JP2001323263A - 色素退色防止剤及び該色素退色防止剤を用いた色素退色防止方法 - Google Patents
色素退色防止剤及び該色素退色防止剤を用いた色素退色防止方法Info
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Abstract
有効な色素退色防止剤及び該色素退色防止剤を添加する
ことによる色素退色防止方法を提供する。 【解決手段】コーヒー豆抽出物を有効成分として含有す
る色素退色防止剤。そして、色素退色防止剤をウコン色
素、リボフラビン色素、デュナリエラカトテン色素、紅
コウジ色素及びアナトー色素に添加することにする色素
退色防止方法。
Description
び該色素退色防止剤を用いた色素退色防止方法に関し、
更に詳しくは、コーヒー豆抽出物を有効成分として含有
し、ウコン色素、リボフラビン色素、デュナリエラカロ
テン色素、紅コウジ色素、アナトー色素等の各種色素の
退色を有効に防止することができる色素退色防止剤及び
該色素退色防止剤を添加することによる色素退色防止方
法に関する。
とにより、その食品の品質、味覚等を推定して購入する
傾向があることから、食品の色というのは売れ行きに影
響を与える重要な要素である。そのため、従来より、着
色料を食品に添加することにより、食品の色を整えるこ
とは広く行われている。また、このような着色料は、飲
食品だけでなく、化粧品、保健・医薬品などの分野にお
いても利用されている。
して使用されてきた色素としては、タール系の合成色素
が多用されていたが、安全性の観点から、天然素材から
得られる天然色素が用いられるようになってきている。
このような天然色素としては、例えば、ウコン色素、リ
ボフラビン色素、デュナリエラカロテン色素、クチナシ
黄色色素、パプリカ色素、赤キャベツ色素、ベニバナ黄
色色素、クチナシ青色色素等が挙げられる。
性が高い反面、食品の色素を構成する化学成分は、カロ
チノイド、フラボノイド、テトラピロール誘導体等、様
々な構造を有し、合成色素と比較して一般的に不安定で
あることから、合成色素と比較して熱、光等により退色
・変色しやすいという問題がある。特に、大量生産・大
量販売される加工食品・加工飲料の場合、品質の統一性
が要求されることからも、生産された加工食品の色を維
持することは、食品加工上重要である。
する方法として、冷蔵、遮光等の物理的方法の他、退色
防止剤を用いる方法が行われていた。このような退色防
止剤として、従来より用いられている代表的なものとし
ては、例えばトコフェロール、アルコルビン酸等の酸化
防止剤が挙げられる。その他、コーヒー豆に含まれてい
るタンニン成分の一種であるクロロゲン酸類に酸化防止
効果があることが見出されており、アントシアニン、ク
チナシ、パプリカ色素等の天然色素の退色防止剤として
用いられている(特公昭59−50265号公報、特公
昭1−22872号公報、特開平5−32909号公報
等)。
様々な構造を有し、熱、光等によりどのような機構を経
て退色・変色するかというのは千差万別である。よっ
て、天然色素の退色防止は、必ずしも酸化防止効果だけ
で説明できるものではないことから、どのような色素に
も全般的に適用できる退色防止剤はない。特に、ウコン
色素、リボフラビン色素、デュナリエラカロテン色素、
紅コウジ色素、アナトー色素についてはどのような成分
が退色防止に効果的であるかについては全く検討されて
いない。一方、コーヒー豆に含まれている成分の活性に
関する近年の研究は、コーヒー豆中の特定成分を抽出
し、その活性を検討するものが多い。しかし、コーヒー
豆中の成分は数多くの物質が含まれているので、それら
の全てを分離、同定し、その性質を検討することは困難
である。また、ある特定成分のみでなく、複数の成分の
相乗効果がある場合も考えられるが、このような相乗効
果に関する知見はまだ十分に得られていないのが現状で
ある。
鑑みてなされたものであり、コーヒー豆抽出物を有効成
分として含有し、ウコン色素、リボフラビン色素、デュ
ナリエラカロテン色素、紅コウジ色素、アナトー色素等
の各種色素の退色を有効に防止することができる色素退
色防止剤及び該色素退色防止剤を添加することによる色
素退色防止方法を提供することを目的とする。
点より、コーヒー豆中の各成分単独の効果ではなく、コ
ーヒー豆中の様々な成分による複合的な相乗作用による
活性に着目して種々検討した結果、コーヒー豆を原料と
した抽出物を添加することにより、従来より退色防止に
ついて検討が不十分であった各種色素、特にウコン色
素、リボフラビン色素、デュナリエラカロテン色素、紅
コウジ色素、アナトー色素の退色を有効に防止すること
ができることを見出して、本発明を完成するに至った。
豆抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
本第1発明の色素退色防止剤の原料である上記「コーヒ
ー豆」としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種及び
リベリカ種等のいずれの品種を用いてもよく、その産地
も特に限定されることはない。また、栽培原地において
コーヒー飲料用として生産されたコーヒー豆は、焙煎用
に選別される際に多量の選外品が分別除去されるが、本
第1発明においてはこの選外品も上記「コーヒー豆」と
して使用することができる。
得るための抽出方法・抽出条件については特に限定はな
い。例えば、原料であるコーヒー豆は未粉砕でも、粉砕
したものでもよく、抽出物の品質を維持できる限り、不
純物除去等の前処理をしてもよい。また、抽出溶媒とし
ては、水又は熱水の他、エタノール、酢酸エチル、n−
ヘキサン等の有機溶媒や、これらの有機溶媒と水又は熱
水との混合溶媒でもよい。この場合、本抽出物は水溶性
であることから、これらの溶媒のうち、水(熱水も含
む)又はエタノール/水の混合溶媒が好ましい。更に、
抽出条件も特に制限はないが、通常は常温又は加熱抽出
が好ましい。加熱温度及び加熱時間についても、十分に
抽出でき、抽出物の品質を維持できる範囲で種々の条件
とすることができる。また、上記抽出において、抽出物
の品質を維持できる限り、抽出を補助する物質を添加す
ることもできる。例えば、プロテアーゼ、セルラーゼ等
の酵素類の他、L−アスコルビン酸類のような還元性物
質などを加えてもよい。抽出液のpHは、L−アスコル
ビン酸類などを加えると、通常は5.0〜6.0を示す
が、抽出物の品質劣化を引き起こさない限り、このpH
には制限はない。
退色を防止できる色素としては、ウコン色素、リボフラ
ビン色素、デュナリエラカロテン色素、クチナシ黄色色
素、パプリカ色素、赤キャベツ色素、ベニバナ黄色色
素、クチナシ青色色素等の各種天然色素が挙げられる。
この中で、本第2発明に示すように、特にウコン色素、
リボフラビン色素、デュナリエラカロテン色素、紅コウ
ジ色素、アナトー色素の退色を効果的に防止することが
できるので、これらの色素の退色防止剤として好まし
い。
特に限定はなく、通常は、抽出物を噴霧乾燥等の公知の
方法により粉末としているが、その他にも、抽出液を濾
過したままの液の他、これを脱色等の後処理をした液で
もよいし、これを濃縮した濃縮液でもよい。また、粉末
を造粒した造粒品、増量剤等他の粉末成分を配合した錠
剤、又はマイクロカプセル等とすることができる。更
に、本発明の色素退色防止剤は、その性質を維持できる
限り、他の物質を添加することができる。例えば、色素
退色防止用に、従来より既知の添加剤であるアスコルビ
ン酸等の酸化防止剤、退色防止剤、あるいは各種アミノ
酸やメイラード反応物等を添加することができる。その
他、製造における計量を容易にするために、水溶性に富
んだコーンスターチを添加することができる。
発明又は第2発明の色素退色防止剤を添加して、ウコン
色素、リボフラビン色素、デュナリエラカロテン色素、
紅コウジ色素又はアナトー色素等の各種色素の退色を防
止することを特徴とする。本第3発明の色素退色防止方
法において使用される本第1発明及び第2発明の色素退
色防止剤は、コーヒー豆抽出物という天然素材を原料と
していることから、有害な成分及び重金属は認められず
安全である。よって、本第3発明の色素退色防止方法
は、飲食物分野だけでなく、医薬品分野、香粧品分野等
において広く用いることができる。この場合、本第3発
明における上記色素退色防止剤の添加量は特に限定がな
く、色素の含有量又は濃度などによって適宜選択するこ
とができるが、一般的には色素に対して0.001〜5
00重量%、好ましくは0.001〜80重量%がしば
しば採用される。
的に説明する。 (1)使用着色料 本試験例において使用した着色料を以下に示す。尚、以
下の製品は全て東京田辺製薬株式会社製である。 試験例1:ベニコウジ色素 商品名「ルビルカ」 試験例2:アナトー色素 商品名「アナトーN10」 試験例3:デュナリエラカロテン色素 商品名「デュナ
リエラカロテン25」 試験例4:リボフラビン製剤 商品名「エンチイエロ
ー」 試験例5:ウコン色素 商品名「テクノカラーUS」
色防止剤を以下の方法により調製した。原料であるコー
ヒー豆100kg(種類:Java、インドネシア産)
を相互式粉砕機(相互産業株式会社製)により粉砕し、
この粉砕豆に10000ガウスの磁力を通して金属異物
を除去する。次に、この粉砕豆に対して、水を5倍量混
入し、さらにクエン酸0.02%、L−アスコルビン酸
0.15%攪拌しながら添加してpHを5.6〜6.0
とし、溶けたら攪拌を止めて加熱せずに一晩放置して抽
出する。そして、遠心分離器にて、この抽出液から固形
物を取り除く。引き続き、抽出液をタンクに移し、理論
上の粉砕豆量に対して0.06%の活性炭を混合し、5
0℃に加熱し、30分間攪拌して脱色する。その後、プ
レコートとしてろ過器内に0.5〜1.5kgのケイソ
ウ土を使用し、ボディーコートとして抽出エキスに約
1.8kgのケイソウ土を使用してろ過を行うことによ
り得られたコーヒー豆抽出物(粉末状)を本実施例1〜
5で使用する色素退色防止剤とした。本実施例1〜5で
使用する色素退色防止剤は、クロロゲン酸を33%含有
している。一方、試験例1〜5において、比較例とし
て、コーヒー豆から抽出・精製により得られた精製クロ
ロゲン酸(クロロゲン酸30%含有)を含む「フレーバ
ーホルダーRC30」(長谷川香料株式会社製)を使用
した。
−クエン酸)に基づき、以下の緩衝液A及びBを調製し
た。緩衝液Aは、0.2M Na2HPO4を10.3m
lと、0.1M クエン酸を39.7ml使用して、p
H3.0、全量50.0mlとなるようにして調製し
た。緩衝液Bは、0.2M Na2HPO4を31.6m
lと、0.1M クエン酸を18.4ml使用して、p
H6.0、全量50.0mlとなるようにして調製し
た。
加し、完全に溶解するまで攪拌し、表1に示す各色素の
最大吸収波長である測定波長(nm)で測定した吸光度
が2.0となる濃度である試験例1〜5を各6本づつ調
製した。各試験例のpH及び濃度を以下の表1に示す。
尚、溶解しにくいものは加熱して溶解させた。また、
「テクノカラーUS」(ウコン色素製剤)は水に溶解し
にくいことから、上記緩衝液Bの1/3量のエタノール
を添加して溶解することにより、検体を調製した。
き試験管6本にサンプリングし、これらの検体を(A)
コントロール、(B)実施例、及び(C)比較例の3つ
のグループに各2本づつ分けて、(A)は何も添加せ
ず、(B)には上記(2)で調製した本発明の色素退色
防止剤を添加し、(C)には上記(2)に記載した比較
例の精製クロロゲン酸を添加した。添加量は、本発明の
色素退色防止剤の場合、0.01g/100mlであ
り、比較例の精製クロロゲン酸は0.011g/100
mlである。この場合、クロロゲン酸濃度は共に33p
pmである。そして、試験例2〜5で使用する検体につ
いても、上記試験例1と同様に(A)コントロール、
(B)実施例、及び(C)比較例の3つのグループに各
2本づつ分けて、(A)は何も添加せず、(B)には上
記(2)で調製した本発明の色素退色防止剤を添加し、
(C)には上記(2)に記載した比較例の精製クロロゲ
ン酸を添加した。
0ルクス)に静置し、0、4、8、12、24及び48
時間経過後の吸光度を、分光光度計(「UV−160
0」 株式会社島津製作所製)を用いて測定することに
より、色素残存率(%)を求めた。以上の測定結果を以
下の表2に示す。また、上記試験例1〜5における色素
残存率(%)の経時変化を図1〜図5に示す。更に、4
8時間経過後の上記試験例1〜5における各実施例の色
素残存率を100とした場合の、コントロール及び比較
例の色素残存率の比を色素残存比として図6に示す。
どの色素でもかなり減少しているのに対し、コーヒー豆
抽出物を使用した実施例では、いずれも色素残存率が向
上していた。具体的には、48時間経過後の色素残存率
を比較すると、コーヒー豆抽出物を使用した実施例で
は、無添加のコントロールよりも試験例1(紅コウジ色
素)で約1.6倍、試験例2(アナトー色素)で約28
倍、試験例3(デュナリエラカロテン色素)で約4.2
倍、試験例4(リボフラビン製剤)で約2.1倍、試験
例5(ウコン色素)で約2倍の色素残存率を示してい
た。特に、試験例3(デュナリエラカロテン色素)では
48時間経過後でも色素残存率98%と、ほとんど退色
が認められず、また、試験例2(アナトー色素)で約2
8倍もの色素残存率を示しており、これらの色素の退色
を効率的に防止することができることが判る。
対比すると、両者は共にクロロゲン酸の濃度が共通であ
るにもかかわらず、どの色素においても実施例の方が色
素残存率が向上していた。具体的には、48時間経過後
の色素残存率を比較すると、コーヒー豆抽出物を使用し
た実施例では、精製クロロゲン酸を添加した比較例より
も、試験例1(紅コウジ色素)で約1.4倍、試験例2
(アナトー色素)、試験例3(デュナリエラカロテン色
素)及び試験例5(ウコン色素)で約1.2倍、試験例
4(リボフラビン製剤)で約1.6倍の色素残存率を示
していた。特に、試験例1(紅コウジ色素)及び試験例
4(リボフラビン製剤)では、比較例とコントロールで
はそれほど色素残存率に差が認められず、精製クロロゲ
ン酸のみではあまり退色防止効果が望めないのに対し、
実施例では優れた退色防止効果を示している。このこと
から、色素の退色防止、特に紅コウジ色素及び試リボフ
ラビン製剤においては、クロロゲン酸単独の場合より
も、コーヒー豆抽出物中に含まれている成分との相乗作
用により、さらに優れた退色防止効果を奏することが判
る。
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。
を含有することにより、コーヒー豆中に含まれる各種成
分を含有するコーヒー豆抽出物を含有することから、こ
れらの各種成分による複合的な作用により、クロロゲン
酸単独の場合よりも優れた色素退色防止効果を奏する。
特に、本第2発明に示すように、ウコン色素、リボフラ
ビン色素、デュナリエラカロテン色素、紅コウジ色素、
アナトー色素において、効果的に色素の退色を防止する
ことができる。また、本第1発明及び第2発明の色素退
色防止剤に含まれるコーヒー豆抽出物は水溶性であると
共に、天然素材を原料としていることから、有害な成分
及び重金属は認められず安全である。よって本第3発明
に示すように、水溶性飲料、あるいは食品分野のみなら
ず、広く医薬品分野、化粧品分野等において添加するこ
とにより、ウコン色素、リボフラビン色素、デュナリエ
ラカロテン色素、紅コウジ色素、アナトー色素等の各種
色素の退色を防止することができる。
(%)の経時変化をプロットしたグラフである(測定波
長:492.5nm)。
(%)の経時変化をプロットしたグラフである(測定波
長:410.0nm)。
色素残存率(%)の経時変化をプロットしたグラフであ
る(測定波長:498.5nm)。
率(%)の経時変化をプロットしたグラフである(測定
波長:446.0nm)。
(%)の経時変化をプロットしたグラフである(測定波
長:422.5nm)。
施例に対するコントロール及び比較例の色素残存比をプ
ロットしたグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 コーヒー豆抽出物を有効成分として含有
することを特徴とする色素退色防止剤。 - 【請求項2】 上記色素が、ウコン色素、リボフラビン
色素、デュナリエラカロテン色素、紅コウジ色素及びア
ナトー色素のうちの少なくとも1種である請求項1記載
の色素退色防止剤。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の色素退色防止剤
を添加して、色素の退色を防止することを特徴とする色
素退色防止方法。
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---|---|---|---|
JP2000143753A JP3746185B2 (ja) | 2000-05-16 | 2000-05-16 | 色素退色防止剤及び該色素退色防止剤を用いた色素退色防止方法 |
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Publications (2)
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---|---|---|---|---|
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WO2021200182A1 (ja) | 2020-04-02 | 2021-10-07 | Dic株式会社 | フィコシアニン色素組成物 |
-
2000
- 2000-05-16 JP JP2000143753A patent/JP3746185B2/ja not_active Expired - Lifetime
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US11952497B2 (en) | 2020-04-02 | 2024-04-09 | Dic Corporation | Phycocyanin pigment composition |
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