JP2001322471A - バリアフリ−用アシストグリップ - Google Patents

バリアフリ−用アシストグリップ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乗用車における高齢者のためのバリアフリ−
用アシストグリップを提供する。 【解決手段】 前部座席2の背もたれ3とヘッドレスト
4との間で挟持する後部座席用アシストグリップ1を、
逆L字状板体6とコ字状握り部5とで構成し、板体6の
水平部8を背もたれ3とヘッドレスト4との間で挟持
し、垂直部7を背もたれ3の背面に沿わし、垂直部7
に、握り部5を常時付勢して嵌め込む凹部11を設け、
凹部11を上方開口して指入れとし、この凹部11の下
端で握り部5を枢支するので、握り部5を上方から水平
に迄手前に回して取出して掴むことができ、高齢者がア
シストグリップを取出し易い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用車に装備さ
れ、高年齢者に好都合なバリアフリ−用アシストグリッ
プに関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、高年齢者、障害者など、身体の一
部または全部に機能を低下している人や、子供など、健
全な人(健常者)と同じ行動ができない人に対し、特別
の配慮をするようになった。
【0003】すなわち、高年齢者や障害者もそれぞれ自
立した生活をし、社会に積極的に関与することが健全な
社会であり、そのため、ハンディの状態を正しく把握
し、設備や道具などの使いにくさ(バリア)を排除す
る、つまりバリアフリ−がクロ−ズアップされるように
なった。
【0004】このバリアフリ−の一つに、年齢が高くな
るにつれて身体的機能が低下するので、その低下した能
力を補うことが知られており、例えば乗用車におけるバ
リアフリ−は次のように考えられている。
【0005】例えば車への乗降は、下肢で荷重を支えて
身体の重心の高さを移動させる作業であるから、姿勢を
制御する神経系の機能の低下および下肢筋力の低下(加
齢による筋の萎縮)により、その乗降動作に困難をきた
す。
【0006】そのため、座席からの立上りにおける下肢
の筋負担に関して、高年齢者は若年者より下肢の負担が
大きいのを、手すりを使うと下肢への負担は低減し、筋
負担も顕著に減少する、とされている。
【0007】かかる手すりを車両装備品としてはアシス
トグリップと呼んでいる。すなわち、ドライバ−以外の
乗員(同乗者)が走行中身体を支えるために握る部材を
アシストグリップと呼び、その取付ける場所は、通常サ
イドウインド上方のル−フ側部であるが、ドア、フロン
トピラ−、フロントシ−ト背面等も取付けられている。
【0008】このアシストグリップは大別してバ−型と
リング型とがあって、特に使用時と不使用時とで握り部
が出入りする伸縮式(バ−型)や、不使用時にはバネ力
で後方にはね上げる式(リング型)に構成すると邪魔に
ならない、とされている。
【0009】ところで、かかるアシストグリップについ
て、サイドウインド上方のル−フ側部にこれを取付ける
と、健常者でもこれに長時間掴まると手が疲れるという
問題や、これをフロントシ−ト背面に取付けると手は疲
れないものの、不使用時には邪魔になるという問題に着
目して、これを克服するため、次のような提案がなされ
ている(実公平1−26517号公報)。
【0010】すなわち、ヘッドレスト(ヘッドレストレ
イントともいい、衝突時における乗員の頭部後方移動を
防止し、頸部の障害を緩和する装置で、背もたれと一体
になったものもあるが、上下調節機構付の別体になって
いるもの)の下面に植設した2本のスティを、背もたれ
の上部に装着し、これらのヘッドレストと背もたれとの
間で挟持する後部座席用アシストグリップの両側に前記
スティが貫通する前後方向の長孔を設け、該アシストグ
リップの握り部が背もたれの背面に対し前後方向に摺動
できるようにし、前記長孔の前端がスティに係合する位
置で、該スティを弾性的に掴持して位置決めするため、
スティの外径より小さい間隔で折畳んだ板バネの両端に
それぞれスティを掴持する欠円状部分を設けた板バネ
(スナップリテ−ナまたは弾性クリップという)を前記
長孔に嵌装して、アシストグリップの前後方向の摺動を
弾性的に拘束したアシストグリップ取付装置を提案して
いる。
【0011】かかる提案のアシストグリップ取付装置に
よると、背もたれに対し上下方向調節自在のヘッドレス
トを備えたものである限り、そのヘッドレストや背もた
れを何ら改造することなくアシストグリップを付加でき
る特長を有しており、しかも、ル−フ側部に設けたアシ
ストグリップと違い、長時間掴まっていても手が疲れな
いし、その上、アシストグリップの不使用時にはこれを
前方に強く押圧するとヘッドレストと背もたれとの間で
格納できる特長を有している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
提案のアシストグリップ取付装置を付けた乗用車に高年
齢者が乗ると、次のような問題があった。
【0013】当該提案の明細書にも示されているよう
に、車の急停止時には同乗者がアシストグリップを不用
意に前方に押すおそれがあるので、板バネの弾力を強化
する必要があり、そのため、アシストグリップの引出し
や格納に力を要し高年齢者には好ましくない。
【0014】このアシストグリップ取付装置は特定の
背もたれには適用できるが、車種を異にすると適用でき
ない可能性がある。
【0015】例えば、シ−トの寸法についてはスプリン
グ構造のものやフルフォ−ム構造のものがあったり、ま
た、各国が独自の法規制を実施し、これに適合させてい
たりして、背もたれの厚さ寸法は多様化している。
【0016】しかしながら、この提案のアシストグリッ
プ取付装置では、アシストグリップの前後方向の摺動ス
トロ−クはスナップリテ−ナの大きさに制約されて一定
になっていて、もし厚手の背もたれに適用しようとすれ
ば、アシストグリップの引出しができないおそれがあ
る。
【0017】また、アシストグリップ格納時は、前部
座席に突出して、そこに着座する介護者に好ましくな
い。
【0018】そこで本発明は、かかる問題を解決するこ
とを目的とし、既存の背もたれやヘッドレストを何ら改
造せずに適用できる、高年齢者のための汎用アシストグ
リップを提供しようとするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明は1)
前部座席の背もたれと、該背もたれに上下方向調節自在
に装着したヘッドレストとの間で取外し自在に設けた後
部座席用のアシストグリップにおいて、該アシストグリ
ップを、逆L字状板体で構成した取付本体と、該取付本
体に上方から略水平状に迄回動するように枢支され、該
取付本体の立板に設けられた凹部に弾力により嵌め込ま
れ、かつ、使用時に略水平状で停止するコ字状握り部
と、から構成し、前記嵌め込まれた握り部を、上方開口
した前記凹部に指をいれて掴持するようにして手前に回
転させて掴まることを特徴とするバリアフリ−用アシス
トグリップにあり、また、2)前記取付本体の立板を背
もたれの背面より若干膨出させることにより、該取付本
体に所持品用マルチホルダ−を設けた請求項1に記載の
バリアフリ−用アシストグリップにあり、また、3)前
記取付本体の水平板にヘッドレストのスティを挿通する
孔を設け、該孔を背もたれの厚さに応じ前後方向に変更
可能とした請求項1または2に記載のバリアフリ−用ア
シストグリップを要旨とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明を添付図面に示す実施の形
態例により詳細に述べる。
【0021】図1は本発明の実施の形態例の全体斜視
図、図2は図1の要部分解斜視図、図3は本実施の形態
例の他の要部分解説明図である。
【0022】本実施の形態例の乗用車の後部座席用アシ
ストグリップは、特に乗降に際し、手すりに掴まる必要
な高年齢者用バリアフリ−用品に好都合であるが、他の
障害者や健常者が使用しても好都合となるものでる。
【0023】そして、このアシストグリップは、これを
使用する乗用車の背もたれに、上下方向調節自在の別個
のヘッドレストを備えている限り、すなわち2本ないし
複数本のスティを備えている限り、いずれの車種も適用
できるものである。
【0024】先ず、本実施の形態例のアシストグリップ
取付装置1の概要を述べる。
【0025】このアシストグリップ取付装置1は、図1
および図2において、前部座席の、特にパッセンジャシ
−ト2の背もたれ3とヘッドレスト4との間に取付けら
れていて、アシストグリップの、ロッドを折曲した合成
樹脂製コ字状の握り部5は取付本体6の立板(縦方向の
板)7の凹部11に後方(車の前後方向をいう)から弾
力で嵌め込まれて格納できるようになっている。
【0026】したがって、コ字状の握り部5には、不図
示であるが、その枢支部に捩りコイルバネを外嵌してい
て、アシストグリップ使用時には握り部5を手動で水平
状に迄回転させ、不使用時には手を離せば、この捩りコ
イルバネにより自動的に凹部11に嵌め込まれて格納で
きる。
【0027】したがって、捩りコイルバネのバネ力は握
り部5を戻すためのものであるから、手や指の力が非常
に弱くなった高年齢者にも好都合になる。
【0028】また、このアシストグリップ用取付本体6
は逆L字状に一体形成した板体で構成し、その水平板8
を背もたれ3の上面に載置し、また、厚手(約45m
m)の立板7を背もたれ3の背面に添設し、水平板8に
1対の前後方向に長い長孔9,9(または前後方向に並
んだ複数の円孔(不図示))を穿設して、これらにヘッ
ドレスト4の杆状のスティ10,10を挿通すると共
に、立板7に設けた、後方からみた凹部11に握り部5
を嵌め込むようにしている。それ故、格納時に、前部座
席に着座する介護者には不都合とならない。
【0029】したがって、厚さの異なる背もたれ3であ
っても、それに応じてスティ10を挿通する孔の位置を
選定でき、ひいては汎用アシストグリップを構成するこ
とができる。
【0030】以上要するに、本実施の形態例のアシスト
グリップ取付装置1は、前部座席の背もたれ3の上面に
上下調節自在に装着したスティ付ヘッドレスト4に、ア
タッチメントとして使用でき、該ヘッドレスト4のステ
ィ10に挿通して固定する取付本体6が逆L字状の板体
で構成され、コ字状握り部5が略水平から上方に回動し
て立板7の凹部11に嵌め込まれて格納されるように枢
支され、その水平板8には背もたれ3の厚さに対応して
スティ10を挿通する孔を位置変更可能に設けたことを
特徴とする。
【0031】なお、図1で示す車両装備は、12が後部
座席のサイドドア、13がセンタ−ピラ−、14がアン
カ−、15がショルダ−ベルト、16がア−ムレスト、
17がセンタ−ピラ−用アシストグリップをそれぞれ示
す。
【0032】次に、本実施の形態例のアシストグリップ
取付装置1の詳細を述べる。
【0033】このアシストグリップ取付装置1の取付本
体6は、合成樹脂(例えばABS)製の射出成形品で立
板7の左右巾は約300mm、高さ約200mm、水平
板8の奥行(前後方向長さ)は約150mm、左右巾は
約200mmの大きさになっており、立板7と水平板8
とは略直交状になっているが、その略直交交叉部には半
径約60mmのア−ルの弯曲面ないし、後方下りの傾斜
面で形成して、背もたれ3の上面および背面等に良好に
フイットさせて装着後のガタ付のないようにしており、
特に、この立板7の外面(後面)に形成した上方開放
の、下向きコ字状凹部11に上方から容易に指を入れて
握り部5を掴持することにより、図2の太矢印Aのよう
に手前に回転させてアシストグリップを取出すようにし
ている。したがって、指や手にハンディのある高年齢者
に好都合となっている。
【0034】この凹部11のコ字両端部、すなわち、凹
部11の下端部には貫通孔(不図示)を設け、握り部5
の両端側を立板7の裏面(前面)に突出させ、その突出
部に横設した支持軸を一体連結することにより、握り部
5を立板7の裏面で支持している。
【0035】したがって、握り部5は上方から回動させ
て貫通孔の下面でストップさせて略水平状に停止させ
る。
【0036】この支持軸に捩りコイルバネを外嵌し握り
部5を凹部11へ常時嵌め込むように回動付勢してい
る。
【0037】次に、高年齢者等が所持する所持品用マル
チホルダ(複数の、フック、ハンガ−、ホルダ等部材)
について述べる。
【0038】この取付本体6には、その立板7が背もた
れ3の背面より若干後方に膨出しており、しかも、背も
たれ3には垂直より後方に向け背もたれ角(例えば11
0°)を形成しているので、所持品用マルチホルダを設
けることができる。
【0039】すなわち、厚手の立板7の両側面の一方に
は杖18を保持する杖ホルダ19を、他方には傘20を
保持する傘ホルダ21をそれぞれ設けている。
【0040】杖ホルダ19は突設した切欠環状または立
板7自身に凹設した凹みで形成しており、杖18を立て
たまま側方から押込むと、その切欠きが弾性的に開いて
杖18を保持できる。
【0041】傘ホルダ21はファスナ−付の帯22を太
矢印Bのように開いて傘20を保持して閉じる。この帯
22に雨水カバ−23を吊下している。
【0042】また、厚手の立板7の下面には、若干前方
に折曲したフック取付板24を一体に延設し、したがっ
て、膝に邪魔せずに、このフック取付板24の下面に1
対のフック25,25を一体吊下して、このフック25
にス−パ−袋(ポリエチレン等袋)を懸吊するようにし
ている。
【0043】次に、アジャスタ26について述べる。な
お、図3(A)は全体の分解斜視図、(B)は要部分解
斜視図、(C)は(B)の組立斜視図である。
【0044】すなわち、この取付本体6の水平板8に前
後方向に長い長孔9を穿設した場合、杆状のスティ10
を位置変更して固定するためのアジャスタ26について
述べる。
【0045】このアジャスタ26は、図3に示すように
長孔9のある水平板8の下面に当接されるチャンネル状
の角形当接コマ27と、この角形当接コマ27に植設さ
れたスティ挿通短管28と、から構成し、この角形当接
コマ27の一辺は長孔9の短径より大にし、スティ挿通
短管28の外径は長孔9の短径より小にし、かつ、その
管長は水平板8の厚さより大にして水平板8の上面に突
出させている。
【0046】その突出部の外周にネジ29を切ってこの
ネジ29にナットを締めると、このナットと、スティ挿
通短管28の下端に固設した角フランジ30とで、この
アジャスタ26が水平板8に固着できる。
【0047】したがって、この角形当接コマ27を長孔
9の長径に沿って移動させると、スティ挿通短管28の
位置が変更でき、特に、無段的に調節ができる。
【0048】以上のようなアシストグリップ取付装置1
を装備した乗用車の後部座席に、高年齢者が乗車すると
き、または乗車して着座したとき、ヘッドレスト4に沿
って指を下ろせば、格納されている握り部5と、後方下
り傾斜面のある上方開口の凹部11との間に、指は挿入
でき握り部5を容易に掴持することができる。
【0049】次いで、この握り部5を手前に回すと握り
部5は略水平状に引出され、それ以上下方に回らないの
で、そのまま掴まっておれば走行中身体を支えることが
できる。また、降車するとき、この握り部5を掴持した
まま、身体をドアに向け摺動させたり、腰を浮かすこと
ができる。
【0050】そして、握り部5を離せば、捩りコイルバ
ネにより、凹部11に自動的に嵌め込むことができ、格
納操作をすることなく、ひいては、車内空間を占めるこ
とがない。
【0051】なお、1つの長孔9の代りに複数(2個ま
たは3個)の円孔を前後方向に穿設した場合、背もたれ
3はシ−トパッド等の軟質クッション性を構成している
ため、無段的なスティ位置調節ができなくても、背もた
れ3の厚さと、スティ挿通位置との誤差は吸収でき、ガ
タ付かずにアシストグリップが装着できる。
【0052】
【発明の効果】本発明の請求項1によると、握り部を、
上方から略水平状に停止する迄回動させて、同乗者の体
重の一部をあずけながら掴持するので、固定されたアシ
ストグリップと同様、アシストグリップに良好に掴ま
り、走行中身体を支えるのに好都合となって、ハンディ
のある同乗者に不安を与えない。
【0053】殊に、握り部を掴持するのに上方開口の凹
部側から指を入れて行うので、指や手にハンディのある
同乗者に好都合となる。
【0054】請求項2によると、前記の他、所持品用の
マルチホルダを設けたので、アシストグリップに掴まる
ことに専念でき、殊に、両手で掴まり、ハンディのある
同乗者にきわめて利便となる。
【0055】請求項3によると、前記の他、汎用のアシ
ストグリップを提供でき、ひいては、量産による安価
で、かつ、取付信頼性のあるアシストグリップにするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例の全体斜視図である。
【図2】図1の要部分解斜視図である。
【図3】本実施の形態例の他の要部分解説明図である。
【符号の説明】
1…アシストグリップ取付装置、2…前部座席、3…背
もたれ、4…ヘッドレスト、5…握り部、6…取付本
体、7…立板、8…水平板、11…凹部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前部座席の背もたれと、該背もたれに上
    下方向調節自在に装着したヘッドレストとの間で取外し
    自在に設けた後部座席用のアシストグリップにおいて、 該アシストグリップを、逆L字状板体で構成した取付本
    体と、該取付本体に上方から略水平状に迄回動するよう
    に枢支され、該取付本体の立板に設けられた凹部に弾力
    により嵌め込まれ、かつ、使用時に略水平状で停止する
    コ字状握り部と、から構成し、 前記嵌め込まれた握り部を、上方開口した前記凹部に指
    をいれて掴持するようにして手前に回転させて掴まるこ
    とを特徴とするバリアフリ−用アシストグリップ。
  2. 【請求項2】 前記取付本体の立板を背もたれの背面よ
    り若干膨出させることにより、該取付本体に所持品用マ
    ルチホルダ−を設けた請求項1に記載のバリアフリ−用
    アシストグリップ。
  3. 【請求項3】 前記取付本体の水平板にヘッドレストの
    スティを挿通する孔を設け、該孔を背もたれの厚さに応
    じ前後方向に変更可能とした請求項1または2に記載の
    バリアフリ−用アシストグリップ。
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