JP2001310986A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2001310986A
JP2001310986A JP2000127240A JP2000127240A JP2001310986A JP 2001310986 A JP2001310986 A JP 2001310986A JP 2000127240 A JP2000127240 A JP 2000127240A JP 2000127240 A JP2000127240 A JP 2000127240A JP 2001310986 A JP2001310986 A JP 2001310986A
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ethylene
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propylene
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JP2000127240A
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Akira Amano
明 天野
Yuji Fujita
祐二 藤田
Shigeo Mizukami
茂雄 水上
Kenjiro Takayanagi
健二郎 高柳
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Japan Polychem Corp
Original Assignee
Japan Polychem Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶性ポリプロピレン樹脂をベースとし、多
量のゴム成分を使用することなく、剛性、表面硬度、延
性、耐衝撃性等の物性バランスに優れ、かつ光沢が低い
成形品を与える熱可塑性樹脂組成物の提供。 【解決手段】 特定量のプロピレンの単独重合体成分と
特定量のプロピレンとエチレンとを必須成分とする、プ
ロピレンと、炭素数2〜8の他のα-オレフィンとの共
重合体成分を含有し、温度上昇溶離分別の溶出量が特定
されたエチレン含量の異なる2種類の熱可塑性エラスト
マー組成物と、結晶性ポリプロピレン樹脂と、無機充填
材とからなる熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、剛性、延性、耐衝
撃性等の機械的強度に優れるとともに、光沢が低い熱可
塑性樹脂組成物に関し、特に自動車内外装部品等の射出
成形品、射出圧縮成形品に好適に利用できるポリプロピ
レン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは、低価格、低密度であ
りながら耐熱性、剛性、成形性が良好であることから各
種の分野に広く利用されている。また、その耐衝撃性を
改良したものとしてエチレン・プロピレンブロック共重
合体が利用されている。耐衝撃性を更に高めるため、多
段重合で得られるエチレン・プロピレンブロック共重合
体にエチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン
・ブテンランダム共重合体等のゴム成分とタルク等の無
機充填材を添加した種々のポリプロピレン系樹脂組成物
が提案されている。これらの組成物は特に、バンパー、
インストルメントパネル、ガーニッシュなどの自動車内
外装部品、テレビケースなどの家電機器部品等の各種工
業部品用成形材料に利用されている。これらの製品は近
年薄肉化、高機能化、大型化されているため、更なる材
料の高性能化が要求されている。
【0003】しかしながら、上記ゴム成分の耐衝撃性改
良効果は小さく、耐衝撃性を所望レベルに改善するため
には、多量のゴム成分を含有させる必要がある。ゴム成
分を多量に含有したポリプロピレン系樹脂組成物は耐衝
撃性には優れる反面、剛性、硬度、延性等が大きく低下
し、更に光沢が上昇してしまう。このような組成物を加
工品に成形して、特にインストルメントパネルに使用す
る場合には、表面硬度の低下による耐傷付き性が悪化
し、製品の耐久性に問題が発生すると共に、表面光沢の
上昇による前面ガラスの映り込みにより、運転者の前面
視界が悪化する問題があった。そこで、従来はインスト
ルメントパネル表面を塗装することにより表面硬度を向
上させると共に、低光沢化を発現させていた。
【0004】そこで、上記ゴム成分に代えて、オレフィ
ン系熱可塑性エラストマーまたは他のエチレン・α−オ
レフィンランダム共重合体またはそれらのブレンドを用
いる試みがなされている。例えば、特開平7−8243
4号公報では、エチレンと炭素数が4〜8のα−オレフ
ィンとの共重合部分を含むプロピレン重合体を含有する
組成物を提案している。しかしこの組成物は光沢が高い
ため、インストルメントパネルには使用不可能である。
【0005】また、特開平10−168247号公報で
は、メタロセン触媒で製造されたポリエチレン系樹脂
と、クロス分別クロマトグラフ分析の溶出量の割合を規
定したポリプロピレン系樹脂と、他の熱可塑性樹脂とを
含有ずる熱可塑性樹脂組成物を提案している。しかし、
剛性、延性、耐衝撃性のバランスには改良の余地があ
る。このため、剛性、表面硬度、延性、耐衝撃性等のバ
ランスに優れ、かつ光沢が低いポリプロピレン系熱可塑
性樹脂組成物が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明が
解決しようとする課題は、結晶性ポリプロピレン樹脂を
ベースとし、多量のゴム成分を使用することなく、剛
性、表面硬度、延性、耐衝撃性等の物性バランスに優
れ、かつ光沢が低い成形品を与えるポリプロピレン樹脂
組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
に鑑み、プロピレン・エチレンブロック共重合体であっ
て、温度上昇溶離分別(TREF)の溶出量が特定され
たエチレン含量の異なる2種類の熱可塑性エラストマー
組成物、及び無機充填材を結晶性ポリプロピレン樹脂と
組み合わせることによって、場合によりエチレン・α−
オレフィンランダム共重合体を配合することにより、上
記課題が解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、アイソタクチックイ
ンデックスが90%以上のプロピレンの単独重合体成分
(成分A)30〜60重量%と、プロピレンとエチレン
とを必須成分とする、プロピレンと、炭素数2〜8の他
のα−オレフィンとの共重合体成分であって、そのエチ
レン含量が30重量%以上である成分(成分B)40〜
70重量%とを含み、成分Aの単量体の重合後に成分B
の単量体が重合されることにより製造され、オルソジク
ロルベンゼンを溶媒として用いた温度0〜140℃の間
の温度上昇溶離分別における0℃での溶出分が全溶出量
に対して30〜60重量%で、かつ80〜100℃での
溶出分が全溶出量に対して1〜6重量%である熱可塑性
エラストマー組成物(1)と、アイソタクチックインデ
ックスが90%以上のプロピレンの単独重合体成分(成
分C)30〜60重量%と、プロピレンとエチレンとを
必須成分とする、プロピレンと、炭素数2〜8の他のα
−オレフィンとの共重合体成分であって、そのエチレン
含量が20重量%以下である成分(成分D)40〜70
重量%とを含み、成分Cの単量体の重合後に成分Dの単
量体が重合されることにより製造され、オルソジクロル
ベンゼンを溶媒として用いた温度0〜140℃の間の温
度上昇溶離分別における0℃での溶出分が全溶出量に対
して5〜40重量%で、かつ80〜100℃での溶出分
が全溶出量に対して1〜6重量%である熱可塑性エラス
トマー組成物(2)、結晶性ポリプロピレン樹脂(3)
と、無機充填材(4)とからなることを特徴とする熱可
塑性樹脂組成物である。
【0009】また、本発明は、上記の熱可塑性エラスト
マー組成物(1)と、熱可塑性エラストマー組成物
(2)と、結晶性ポリプロピレン樹脂(3)と、無機充
填材(4)と、エチレン・α−オレフィンランダム共重
合体(5)とからなる熱可塑性樹脂組成物である。
【0010】さらに、本発明は、上記熱可塑性樹脂組成
物を射出成形してなる光沢度35%以下の成形体であ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明を以下詳細に説明する。 1.熱可塑性エラストマー組成物 本発明で用いる熱可
塑性エラストマー組成物(1)又は(2)は、成分A
(又はC)及び成分B(又はD)とからなる。成分A
(又はC)とは、アイソタクチックインデックスが90
%以上、好ましくは95%以上のプロピレンの単独重合
体成分である.成分Aの重量平均分子量は、10万〜3
0万が好ましい。熱可塑性エラストマ一組成物中に占め
る成分A(又はC)の含有量は30〜60重量%であ
る。
【0012】成分B(又はD)とは、プロピレンとエチ
レンとを必須成分とする、プロピレンと炭素放2〜8の
他のα−オレフインとの共重合体成分であり、熱可塑性
エラストマー組成物中の含有量は40〜70重量%であ
る。成分B(又はD)が40重量%未満であると耐衝撃
性が劣るとともに光沢が高くなり、70重量%を超える
と剛性に劣る。成分Bは、エチレン含量が30重量%以
上、好ましくは40重量%以上である。成分Bのエチレ
ン含量が30重量%未満であると光沢が高くなる。ま
た、成分Dは、エチレン含量が20重量%以下である。
エチレン含量が20重量%を超えると耐衝撃性が劣る。
【0013】成分A(又はC)と成分B(又はD)は、
単なる物理的混合物ではなく、成分A(又はC)の単量
体の重合後に成分B(又はD)の単量体が重合されるこ
とにより製造されるものであり、両者は一体となって熱
可塑性エラストマー組成物を形成する。
【0014】該熱可塑性エラストマー組成物(1)は、
オルソジクロルベンゼンを溶媒として用いた温度0〜1
40℃の間の温度上昇溶離分別(TREF)における0
℃での溶出分が全溶出量に対して30〜60重量%で、
かつ80〜100℃での溶出分が全溶出量に対して1〜
6重量%であることに特徹がある。好ましくは、120
〜140℃の間における溶出分が、3〜6重量%のもの
である。0℃での溶出分が30重量%未満であると、耐
衝撃性が劣るとともに光沢が高くなり、60重量%を超
えると剛性に劣る。80〜100℃の溶出分が1重量%
未満であると剛性び耐熱性に劣り、6重量%を超える耐
衝撃性が劣る。また120〜140℃の溶出分が3重量
%未満であると、剛性及び耐熱性に劣り、6重量%を超
えると耐衝撃性が劣る。
【0015】また、TREFにより分取したフラクショ
ンの数平均分子量は、次のような範囲であることが好ま
しい。すなわち、40℃以下の溶出分が20万〜200
万、100℃以上の溶出分が、10万〜30万の範囲で
ある。40℃以下の溶出分の数平均分子量が20万未満
であると耐衝撃性が劣るとともに光沢が高くなり、20
0万を超えると耐衝撃性が悪くなる。また、100℃以
上の溶出分の数平均分子量が10万未満であると、剛性
および耐衝撃性が劣り、30万を超えると流動性が不十
分な熱可塑性樹脂組成物しか得られない。
【0016】該熱可塑性エラストマー組成物(2)は、
オルソジクロルベンゼンを溶媒として用いた温度0〜1
40℃の間の温度上昇溶離分別(TREF)における0
℃での溶出分が全溶出量に対して5〜40重量%で、か
つ80〜100℃での溶出分が全溶出量に対して1〜6
重量%であることに特徴がある。好ましくは、120〜
140℃の間における溶出分が、5〜15重量%のもの
である。0℃での溶出分が5重量%未満であると、耐衝
撃性が劣るとともに光沢が高くなり、40重量%を超え
ると剛性に劣る。80〜100℃の溶出分が1重量%未
満であると、剛性及び耐熱性に劣り、6重量%を超える
と耐衝撃性が劣る。また、120〜140℃の溶出分が
5重量%未満であると、剛性及び耐熱性に劣り、15重
量%を超えると耐衝撃性が劣る。
【0017】また、TREFにより分取したフラクショ
ンの数平均分子量は、次のような範囲であることが好ま
しい。すなわち、40℃以下の溶出分が15万〜200
万、100℃以上の溶出分が、10万〜30万の範囲で
ある。40℃以下の溶出分の数平均分子量が15万未満
であると耐衝撃性が劣るとともに光沢が高くなり、20
0万を超えると耐衝撃性が悪くなる。また、100℃以
上の溶出分の数平均分子量が10万未満であると、剛性
および耐衝撃性が劣り、30万を超えると流動性が不十
分な熱可塑性樹脂組成物しか得られない。
【0018】なお、温度上昇溶離分別(Tempera
ture Rising Elution Fract
ionation:TREF)による測定は、ジャーナ
ルオブ アプライド ポリマーサイエンス「Journ
al of Applied Polymer Sci
ence,Vol 26,4217−4231.(19
81)」および「高分子論文集 2P1C09(198
5年)」に記載されている原理に基づき、以下の様にし
て行われる。
【0019】まず、測定の対象とするポリマーを溶媒
(オルソジクロロベンゼン)中で完全に溶解させる。そ
の後、冷却して不活性担体表面に薄いポリマー層を形成
させる。かかるポリマー層は結晶しやすいものが内側
(不活性担体表面に近い側)に、結晶しにくいものが外
側に形成されてなるものである。次に温度を連続または
段階的に上昇させると、低温度段階では対象のポリマー
組成中の非晶部分、すなわちポリマーの持つ短鎖分岐の
分岐度の多いものから溶出し、温度が上昇するとともに
徐々に分岐度の少ないものが溶出し、最終的に分岐のな
い直鎖状の部分が溶出し測定は終了する。かかる温度で
の溶出成分の濃度を検出し、その溶出量と溶出温度によ
って描かれるグラフによってポリマーの組成分布を見る
ことが出来るものである。また、それぞれのフラクショ
ンの分子量は、TREF装置に接続されたゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し
た。
【0020】本発明において使用する熱可塑性エラスト
マー組成物(1)及び(2)のメルトフローレート(M
FR)は、好ましくは0.05〜30g/10分、より
好ましくは0.1〜20g/10分である。それぞれの
MFRが0.05未満であると、流動性が不十分な熱可
塑性樹脂組成物しか得られず、MFRが30g/10分
を超えると物性バランスが不十分な熱可塑性樹脂組成物
しか得られない。
【0021】また、熱可塑性エラストマー組成物(1)
の室温キシレン可溶分の重量平均分子量は、好ましくは
20万〜80万、より好ましくは30万〜60万であ
る。重量平均分子量が20万未満では、光沢が高くな
り、一方、80万を超えると流動性が不十分である。熱
可塑性エラストマー組成物(2)の室温キシレン可溶分
の重量平均分子量は、好ましくは15万〜80万、より
好ましくは18万〜50万である。重量平均分子量が1
5万未満では、光沢が高くなり、一方、80万を超える
と流動性が不十分である。
【0022】さらに、本発明において使用する熱可塑性
エラストマー組成物(1)および(2)は、JIS K
7112に準拠して水中置換法にて測定した密度が0.
87〜0.88g/cm、JIS K7203に準拠
して温度23℃で測定した曲げ弾性率が600MPa以
下、JIS K7113に準拠して温度23℃で測定し
た引張破断点強度が6MPa以上、引張破断点伸度が7
00%以上、JISK7110に準拠したアイゾット衝
撃試験(温度−40℃)において、10KJ/m以上
であるものが好ましい。
【0023】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物は、成分A(又はC)の単量体の重合後に成分
B(又はD)の単量体が重合されることにより製造され
るものである。この逐次重合に用いられる触媒は、有機
アルミニウム化合物と、チタン、マグネシウム、ハロゲ
ン及び電子供与性化合物を必須とする固体成分とからな
るものが好適である。
【0024】ここで、有機アルミニウム化合物として
は、この種の重合において公知の、一般式R AlX
3−m(式中、Rは炭素数1〜12の炭化水素基、X
はハロゲンを示し、mは1〜3の数である。)で表され
る化合物、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチ
ルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチ
ルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリ
ド等のジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミ
ニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロ
リド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、メチル
アルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリ
ド等のアルキルアルミニウムジハライド、ジエチルアル
ミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイド
ライド等が挙げられる。
【0025】また、チタン、マグネシウム、ハロゲン及
び電子供与性化合物を必須とする固体成分としては、や
はりこの種の重合において公知であって、チタンの供給
源となるチタン化合物としては、一般式Ti(OR
4−n(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素
基、Xはハロゲンを示し、nは0〜4の数である。)で
表わされる化合物が挙げられ、中でも、四塩化チタン、
テトラエトキシチタン、テトラブトキシテタン等が好ま
しい。
【0026】マグネシウムの供給源となる化合物として
は、例えば、ジアルキルマグネシウム、マグネシウムジ
ハライド、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグ
ネシウムハライド等が挙げられ、中でもマグネシウムジ
ハライド等が好ましい。なお、ハロゲンとしては、フツ
素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、中でも、塩素が好
ましく、これらは、通常、前記チタン化合物或いはマグ
ネシウム化合物から供給されるが、アルミニウムのハロ
ゲン化物、珪素のハロゲン化物、タングステンのハロゲ
ン化物等の他のハロゲン供給源から供給されてもよい。
【0027】電子供与性化合物としては、アルコール
類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルポン
酸類、有機酸又は無機酸及びその誘導体等の含酸素化合
物、アンモニア、アミン類、ニトリル類、イソシアネー
ト類等の含窒素化合物等が挙げられ、中でも、無機酸エ
ステル、有機酸エステル、有機酸ハライド等が好まし
く、珪酸エステル、フタル酸エステル、酢酸セロソルブ
エステル、フタル酸ハライド等が更に好ましく、一般式
3−pSi(OR(式中、Rは炭素数
3〜20、好ましくは4〜10の分岐脂肪族炭化水素
基、又は、炭素数5〜20、好ましくは6〜10の環状
脂肪族炭化水素残基を示し、Rは炭素数1〜20、好
ましくは1〜10の分岐又は直鎖状脂肪族炭化水素残基
を示し、Rは炭素数1〜10、好ましくは1〜4の脂
肪族炭化水素残基を示し、pは1〜3の敷である。)で
表される有機珪素化合物、例えば、t−ブチル−メチル
−ジメトキシシラン、t−ブチル−メチル−ジエトキシ
シラン、シクロヘキシル−メチル−ジメトキシシラン、
シクロヘキシル−メチル−ジエトキシシラン等が特に好
ましい。
【0028】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物の製造は、第一段階で、プロピレンを供給し
て、前記触媒の存在下に温度5〜150℃、好ましくは
50〜100℃、プロピレンの分圧0.5〜4.5MP
a、好ましくは1.0〜3.5MPaの条件で、プロビ
レンの単独重合を実施して成分A(又はC)を製造し、
引き続いて、第二段階で、プロピレンとエチレン又は、
プロピレンとエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィン
を供給して、前記触媒の存在下に温度50〜150℃、
好ましくは50〜100℃、プロピレン及びエチレンの
分圧各0.3〜4MPa、好ましくは0.5〜3.5M
Paの条件で、プロピレン−エチレンの共重合、又は、
プロピレン−エチレン−α−オレフィンの共重合を実施
して成分B(又はC)を製造することによりなされる。
【0029】なお、その際の重合は、回分式、連続式、
半回分式のいずれによってもよく、第一段階の重合は気
相又は液相中、特に気相中で実施するのが好ましく、
又、第二段階の重合は気相中で実施するのが好ましく、
各段階の滞留時間は、各々0.5〜10時間、好ましく
は1〜5時間とする。
【0030】また、前記方法により製造される組成物の
粉体粒子のベタツキ等をなくして流動性を付与するため
に、第一段階での成分A(またはC)の単量体の重合
後、第二段階での成分B(又はD)の単量体の重合開始
前又は重合途中に活性水素含有化合物を、触媒の固体成
分中のチタン原子に対して100〜1000倍モルで、
且つ、触媒の有機アルミニウム化合物に対して2〜5倍
モルの範囲で添加することが好ましい。ここで、活性水
素含有化合物としては、例えば、水、アルコール類、フ
ェノール類、アルデヒド類、カルボン酸類、酸アミド
類、アンモニア、アミン類等が挙げられる。
【0031】2.結晶性ポリプロビレン樹脂(3) 本発明において使用する結晶性ポリプロピレン樹脂は、
プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)は勿
論、プロピレン・エチレンブロック共重合体でも良い。
特にプロピレン・エチレンブロック共重合体が物性バラ
ンス、コスト面から望ましい。かかる結晶性ポリプロピ
レン樹脂は、アイソタクチックインデックスが、通常9
0%以上、好ましくは95%以上のものである。
【0032】上記プロピレン・エチレンブロック共重合
体は、多段重合により製造されるものが好ましい。多段
重合では、まずチーグラー触媒等の存在下でプロピレン
を重合することにより、結晶性プロピレンホモポリマー
部分(少量のコモノマー成分を含んでいても良い。)を
生成し、次の段階でエチレンとプロピレンの混合物に切
替えてプロピレン・エチレン共重合体部分を生成する。
【0033】上記多段重合により製造されたプロピレン
・エチレンブロック共重合体は、実質的に結晶性ホモ
ポリプロピレン部分と、プロピレン・エチレン共重合
体部分と、少量の結晶性ホモポリエチレン部分とから
なるものであり、それぞれの部分は単独のポリマーとし
て存在していても、あるいはそれぞれが結合した状態に
あっても良い。なお、上記各部分は基本的にはプロピレ
ンおよび/またはエチレンとからなるものであるが、他
のα−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ペンテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテンやジエン系モノマー等を少量含有していても良
い。
【0034】プロピレン・エチレンブロック共重合体中
のエチレン含有量は、通常1〜15重量%、好ましくは
2〜10重量%であり、プロピレン・エチレン共重合体
部分(上記)は全体の2〜30重量%、好ましくは4
〜25重量%の範囲から選択される。上記のようなポリ
プロビレン樹脂は、種々の方法で製造することができ
る。そのうち好適な方法としては、例えば、立体規則性
触媒の存在下に、公知のスラリー重合法、溶液重合法、
オレフィンモノマーを媒体とする液相重合法、気相重合
法を適用することにより製造することができる。重合触
媒としては、チーグラーナッタ触媒、メタロセン系触媒
等が使用できる。
【0035】結晶性ポリプロピレン樹脂のメルトフロー
レート(MFR)は、流動性と物性バランスの観点か
ら、好ましくは10〜200g/10分、より好ましく
は10〜150g/10分の範囲から選ばれる。MFR
は重合条件を調整することにより所定値に制御できる
が、重合後得られたポリプロピレン樹脂に有機過酸化物
を添加し、溶融押出反応等により分子量を低下させ、所
望のMFRに調整したものでも良い。
【0036】3.無機充填材(4) 本発明において使用する無機充填材としては、タルク、
炭酸カルシウム、ガラス繊維、塩基性硫酸マグネシウム
ウイスカー、チタン酸カルシウムウイスカー、ホウ酸ア
ルミニウムウイスカー、マイカ等が挙げられる。これら
は単独または2種以上混合して用いられる。無機充填材
としては、タルクが好ましく、その平均粒径は通常10
μm以下、好ましくは5μm以下であり、またアスペク
ト比(縦または横のいずれかの長さと厚みの比)の平均
値が通常4以上、好ましくは5以上のものが用いられ
る。なお、タルクの平均粒径はレーザー回折散乱法によ
って、アスペクト比は、顕微鏡等により測定される。
【0037】タルクの平均粒径やアスペクト比の調整
は、粉砕と分級により行うことができる。例えば、タル
ク原石を衝撃式粉砕機やミクロンミル粉砕機で粉砕して
製造したり、更にミクロンミル、ジェットミルなどで微
粉砕した後、サイクロンやミクロンセバレーター等で分
級調整する等の方法で製造する。
【0038】上記で製造されたタルクは、無処理でその
まま使用することができるが、予め表面処理をしてから
樹脂組成物に配合しても良い。表面処理は、組成物の剛
性や耐熱性を向上させることができるので好ましい。表
面処理の具体例としては、シランカップリング剤、高級
脂肪酸、脂肪酸金属塩、不飽和有機酸、有機チタネート
等の処理剤を用いる化学的または物理的処理が挙げられ
る。
【0039】金属塩を用いるタルクの表面処理方法は、
特に限定されないが、例えば、予め粉砕分級されたタル
ク粉と、所定量の金属塩を高速ミキサーにて混合する手
法が挙げられる他、本発明の樹脂組成物を混練造粒する
際に、該金属塩とタルク粉を他のポリプロピレンなどと
共に配合・混合して造粒機に供する方法を用いても良
い。
【0040】4.エチレン・α−オレフィンランダム共
重合体(5) 以上詳述した通り、本発明は上記(1)〜(4〉の4成
分を必須の構成成分とするものであるが、目的・用途に
応じて、ゴム成分を配合することができる。ゴム成分と
しては、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体
(5)が好ましい。エチレン・α−オレフィンランダム
共重合体は、公知のチタン系触媒、バナジウム系触媒ま
たはメタロセン触媒を用いて重合することが出来るが、
メタロセン触媒を用いて重合することが望ましい。
【0041】エチレン・α−オレフィンランダム共重合
体のα−オレフインとしては、炭素数4〜12のものが
好ましい。具体的に1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘ
プテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。中
でも、炭素数3〜8のα−オレフィンとのランダム共重
合体が好ましい。これらは、エチレン・プロピレンゴ
ム、エチレン・ブテンゴム、エチレン・ヘキセンゴム、
エチレン・オクテンゴムのように呼称される。
【0042】エチレン・α−オレフィンランダム共重合
体の密度は、通常0.85〜0.90g/cm、好ま
しくは0.86〜0.88g/cmである。密度が
0.85g/cm未満の場合は、硬度が不十分であ
り、密度が0.90g/cmを超える場合は耐衝撃性
の改善が不十分となる傾向がある。
【0043】エチレン・α−オレフィンランダム共重合
体のメルトフローレート(MFR、230℃、2160
g荷重下)は、好ましくは0.01〜200g/10
分、より好ましくは0.2〜100g/10分である。
MFRが0.01g/10分未満のエチレン・α−オレ
フィンランダム共重合体からは、耐衝撃性および流動性
が不十分な熱可塑性樹脂組成物しか得られず、MFRが
200g/10分を超えるエチレン・α−オレフィンラ
ンダム共重合体からは、耐衝撃性および表面硬度が不十
分な熱可塑性樹脂組成物しか得られない。
【0044】5.その他の成分 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば自動車の内外装
などその用途によっては、その改質を白的として、他の
添加剤、例えば熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃
剤、造核剤、可塑剤、帯電防止剤、銅害防止剤、離型
剤、色剤、顔料およびその分散剤を含有することができ
る。前記の各種添加剤や顔料は、各成分の混合時に添加
するのが一般的であるが、高濃度のマスターバッチを予
め作成しておき、射出成形あるいは押出成形時に後ブレ
ンドしても良い。
【0045】6.配合割合 本発明の熱可塑性樹脂組成物における各成分の配合割合
としては、成形品の目的、用途に応じて広範囲から選択
されるが、熱可塑性エラストマー組成物(1)は、4〜
70重量%が好ましく、より好ましくは5〜60重量%
である。4重量%未満では耐衝撃性が不十分であり、一
方70重量%を超えると剛性と耐熱性が低下する。ま
た、熱可塑性エラストマー組成物(2)は、1〜10重
量%が好ましく、より好ましくは2〜9重量%である。
1重量%未満では耐衝撃性が不十分であり、一方10重
量%を超えると剛性と耐熱性が低下するとともに光沢が
高くなる。
【0046】結晶性ポリプロピレン樹脂(3)は、19
〜94重量%が好ましく、より好ましくは30〜90重
量%である。19重量%未満では、剛性、耐熱性が低下
しやすく、一方94重量%を超えると耐衝撃性が低下す
る。無機充填材(4)は、1〜40重量%が好ましく、
より好ましくは2〜30重量%である。1重量%未満で
は、剛性が不足し、一方40重量%を超えると耐衝撃性
に劣る。エチレン・α−オレフィンランダム共重合体
(5)からなるゴム成分を使用する場合は、通常1〜4
0重量%が好ましく、より好ましくは2〜30重量%の
範囲である。ゴム成分が多すぎると、剛性及び耐熱性に
劣る。
【0047】7.樹脂組成物 各成分の配合による本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造
方法については、特に制限されない。例えば、上記の各
成分を上記割合で配合して、一軸押出機、二軸押出機、
バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープ
ラストグラフ、ニーダー等通常の混練機を用いて混練す
ることによって得られる。この場合、各成分をより均一
に分散できる混練方法が好ましく、通常は、二軸押出機
を用いて混練が行われる。この混練の際には、上記各成
分には、上記各成分の配合物を同時に混練しても、また
逐次的に混練しても良い。
【0048】8.成形体 上記の様にして得られた本発明の熱可塑性樹脂組成物
は、所望の加工品に成形される。成形方法も特に制限さ
れないが、例えば、射出成形(ガス射出成形も含む)ま
たは射出圧縮成形(プレスインジェクション)等にて各
種成形品が製造される。射出成形で得られた成形体の光
沢度は、35%以下、好ましくは30%以下である。成
形体の光沢度が低いので、特に、バンパー、インストル
メントパネル、ガーニッシュ等の自動車内外装部品、テ
レビケース等の家電機器部品等の用途向けに好適であ
る。
【0049】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて、本発明
を更に具体的に説明するが、本発明はそれらに限定され
るものではない。なお、各成分の分析、物性の評価方法
及び用いた原材料成分は、次の通りである。
【0050】1.分析、評価方法 (1)メルトフローレート(MFR):JIS K71
10に準拠し、温度230℃、荷重2160gの条件で
測定した。 (2)引張破断伸度:JIS K7113に準拠し、引
張速度10mm/分で測定した。 (3)曲げ弾性率:JIS K7203に準拠し、曲げ
速度2mm/分で測定した。 (4)Izod衝撃強度:JIS K7110に準拠
し、23℃で測定した。 (5)ロックウェル硬度:JIS K7202に準拠し
て測定した。 (6)光沢:JIS K7105に準拠して淵定した
(60度 鏡面光沢度)。 (7)アイソタクチックインデックス:n−ヘブタンに
よるソックスレー抽出残(%)として測定した。
【0051】(8)温度上昇溶離分別における溶出分:
測定装置として、試料を溶解温度の差を利用して分別す
る温度上昇溶離分別(TREF)機構と、分別された区
分を更に分子サイズで分別するサイズ排除クロマトグラ
フ(Size Exclusion Chromato
graphy;SEC)をオンラインで接続したクロス
分別装置(三菱化学社製「CFCT150A」)を使用
した。
【0052】溶媒としてオルソジクロルベンゼンを用
い、濃度が4mg/mlとなるようにポリマーを140
℃で溶解し、これを測定装置のサンプルループ内に注入
する。サンプルループ内の試料溶液を、不活性担体であ
るガラスビーズが充填された内径4mm、長さ150m
mのTREF装置付属のステンレス製カラムに注入した
後、1℃/分の速度で140℃から0℃の温度まで冷却
し、不活性担体表面にコーティングする。該カラムを0
℃、30分保持した後、0℃の温度で溶解している成分
2mlを1ml/分の流速でTREFカラムからSEC
カラム(昭和電工社製「AD80M/S」、3本)に注
入する。SECで分子サイズの分別が行われている間
に、TREFカラムを次の溶出温度(5℃)に昇温し、
その温度で30分間保持した後、SECカラムに注入す
るという操作を繰り返す。SECでの各溶出区分の測定
は39分間隔で行った。溶出温度は、0、5、10、1
5、20、25、30、35、40、45、49、5
2、55、58、61、64、67、70、73、7
6、79、82、85、88、91、94、97、10
0、102、120、140℃の各温度とし、段階的に
昇温した。
【0053】SECカラムで分子サイズに分別された溶
液は、装置付属の赤外分光光度計でポリマー濃度に比例
する吸光度を測定(波長3.42μmのメチレンの伸縮
振動で検出)し、各溶出温度区分のクロマトグラムを得
る。内蔵のデータ処理ソフトを用い、得られた各溶出温
度区分のクロマトグラムのベースラインを引き、演算処
理する。各クロマトグラムの面積を積分し、積分溶出曲
線を計算する。又、この積分溶出曲線を温度で微分し
て、微分溶出曲線を計算する。計算結果の作図をプリン
ターに出力し、出力した微分溶出曲線の作図は、横軸に
溶出温度を100℃当たり89.3mm、縦軸に微分量
(全積分溶出量を1.0に規格化し、1℃の変化量を微
分量とした。)0.1当たり76.5mmで行った。
【0054】2.各成分原料 成分(1)及び成分(2)(熱可塑性エラストマー組成
物) 次の方法で触媒を製造し、同触媒を用いてプロピレン、
エチレンの重合を実施し、熱可塑性エラストマー組成物
(1)及び(2)を製造した。 固体成分触媒の製造 窒素置換した内容積50リットルの攪拌機付槽に脱水及
び脱酸素したn−ヘプタン20リットルを導入し、次い
で塩化マグネシウム4モルとテトラブトキシチタン8モ
ルとを導入して95℃で2時間反応させた後、温度を4
0℃に下げ、メチルヒドロポリシロキサン(粘度20セ
ンチストークス)480ミリリットルを導入して、更に
3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体
成分をn−ヘプタンで洗浄した。
【0055】引き続いて、前記攪拌機付槽を用いて該槽
に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン15リットルを導入
し、次いで、前記で得られた固体成分をマグネシウム原
子換算で3モル導入し、更に、四塩化珪素8モルをn−
ヘプタン25ミリリットルに加えた混合液を30℃で3
0分間かけて導入して、温度を90℃に上げ、1時間反
応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn
−ヘプタンで洗浄した。
【0056】引き続いて、前記攪拌機付槽を用いて該槽
に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン5リットルを導入
し、次いで、前記で得られたチタン含有固体成分250
gと、1,5−ヘキサジエン750g、t−ブチル−メ
チル−ジメトキシシラン130ミリリットル、ジビニル
ジメチルシラン10ミリリットル、トリエチルアルミニ
ウム225gとをそれぞれ導入して、30℃で2時間接
触させた後、反応液を取り出し、n−ヘプタンで洗浄し
て固体触媒成分を得た。得られた固体触媒成分は、1,
5−ヘキサジエンの予備重合量がチタン含有固体成分あ
たり、2.97gのものであった。
【0057】エラストマー組成物の製造 内容積550リットルの第一段反応器に、温度70℃
で、圧力約3.2MPaになるように、プロピレンと、
トリエチルアルミニウム、及び重合体生成速度が30k
g/時間となるような量比の前記固体触媒成分とを連続
的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を連続的
に供給して液相中で重合を実施した(第一段階重合)。
【0058】引き続いて、生成重合体を、プロピレンパ
ージ槽を経由させて、内容積1900リットルの第二段
反応器に導入し、温度60℃で、圧力3.0MPaにな
るように、生成する共重合体中の組成割合に応じたプロ
ピレンとエチレンとを連続的に供給し、更に分子量制御
剤としての水素を連続的に供給すると共に、活性水素化
合物を、第一段階で供給した固体触媒成分中のチタン原
子に対して200倍モルで、トリエチルアルミニウムに
対して2.5倍モルになるように供給して気相中で重合
を実施し、生成重合体を連続的にベッセルに移した後、
水分を含んだ窒素ガスを導入して反応を停止させた(第
二段階重合)。
【0059】エラストマー組成物 上記の様にして得られたエラストマー組成物をPO−1
〜PO−5として表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】成分(3)(結晶性ポリプロピレン樹脂) PP−1:結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合
体(日本ポリケム社製ノバテックPP、エチレン含有量
4重量%、MFR60g/10分) PP−2:結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合
体(日本ポリケム社製ノバテックPP、エチレン含有量
4重量%、MFR10g/10分) PP−3:結晶性ポリプロピレンホモ重合体(日本ポリ
ケム社製ノバテックPP、MFR25g/10分)
【0062】成分(4)(無機充填材) タルク:富士タルク牡製微粉タルク、平均粒径4.6μ
m、アスペクト比6
【0063】成分(5)(エチレン・α−オレフィンラ
ンダム共重合体(ゴム成分)) EOR:エチレン・オクテンゴム(デュポン・ダウ社製
EOR、密度0.870g/cm、MFR1.0g/
10分) EPR:エチレン・プロピレンゴム(日本合成ゴム社製
EPR、密度0.870g/cm、MFR1.0g/
10分)
【0064】実施例1〜11 成分(1)〜(5)を表2に示す割合で配合し、スーパ
ーミキサーを用いてドライブレンドした後、ホッパーよ
り原料を供給し、神戸製鋼所社製の高速二軸押出機(K
CM)を用い溶融混練し、押出してペレットを得た。得
られたペレットを射出成形機により、樹脂温度210℃
および金型温度30℃で射出成形し、物性試験片を製造
した。樹脂組成物のMFRと共に物性試験片の評価結果
を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】比較例1〜8 成分(1)〜(5)を表3に示す割合で配合し、以下、
実施例1と同様に物性試験片を製造した。樹脂組成物の
MFRと共に物性試験片の評価結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】表2に示す様に実施例1〜11に示す組成
を持った熱可塑性樹脂組成物は、何れも良好な物性バラ
ンスを示し、成形品の光沢が低いことがわかる。また、
表3に示す様に、本発明の範囲を外れる熱可塑性樹脂組
成物は、何れも物性バランスが不良であった。
【0069】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、剛性、
延性、耐衝撃性等の機械的強度に優れるとともに、光沢
が低い。したがって、自動車内外装部品、家電部品等の
工業材料の射出成形によって得られる製品において有用
である。特に薄肉化、高機能化、大型化された各種成形
品、例えば、バンパー、インストルメントパネル、ガー
ニッシュなどの自動車部品やテレビケースなどの家電機
器部晶など各種工業部品用成形材料として好適に利用す
ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08F 293/00 C08F 293/00 (72)発明者 水上 茂雄 三重県四日市市東邦町1番地 日本ポリケ ム株式会社プロセス開発センター内 (72)発明者 高柳 健二郎 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 Fターム(参考) 4F071 AA15 AA20 AA75 AB30 AF20 AF23 AH11 BB05 BC07 4J002 BB054 BB12X BB14X BP02W BP02X BP023 BP03W BP033 DE186 DE236 DJ046 DJ056 DL006 FA046 FD016 GN00 4J026 HA04 HA27 HA38 HB02 HB03 HB04 HB27 HE01

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アイソタクチックインデックスが90%
    以上のプロピレンの単独重合体成分(成分A)30〜6
    0重量%と、プロピレンとエチレンとを必須成分とす
    る、プロピレンと、炭素数2〜8の他のα−オレフィン
    との共重合体成分であって、そのエチレン含量が30重
    量%以上である成分(成分B)40〜70重量%とを含
    み、成分Aの単量体の重合後に成分Bの単量体が重合さ
    れることにより製造され、オルソジクロルベンゼンを溶
    媒として用いた温度0〜140℃の間の温度上昇溶離分
    別における0℃での溶出分が全溶出量に対して30〜6
    0重量%で、かつ80〜100℃での溶出分が全溶出量
    に対して1〜6重量%である熱可塑性エラストマー組成
    物(1)と、アイソタクチックインデックスが90%以
    上のプロピレンの単独重合体成分(成分C)30〜60
    重量%と、プロピレンとエチレンとを必須成分とする、
    プロピレンと、炭素数2〜8の他のα-オレフィンとの
    共重合体成分であって、そのエチレン含量が20重量%
    以下である成分(成分D)40〜70重量%とを含み、
    成分Cの単量体の重合後に成分Dの単量体が重合される
    ことにより製造され、オルソジクロルベンゼンを溶媒と
    して用いた温度0〜140℃の間の温度上昇溶離分別に
    おける0℃での溶出分が全溶出量に対して5〜40重量
    %で、かつ80〜100℃での溶出分が全溶出量に対し
    て1〜6重量%である熱可塑性エラストマー組成物
    (2)と、結晶性ポリプロピレン樹脂(3)と、無機充
    填材(4)とからなることを特徴とする熱可塑性樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 熱可塑性エラストマー組成物(1)のメ
    ルトフローレートが0.05〜30g/10分である請
    求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性エラストマー組成物(1)の温
    度上昇溶離分別における120〜140℃での溶出分が
    全溶出量に対して3〜6重量%である請求項1又は2記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 熱可塑性エラストマー組成物(1)の室
    温キシレン可溶分の重量平均分子量が20万〜80万で
    ある請求項1乃至3のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 熱可塑性エラストマー組成物(2)のメ
    ルトフローレートが0.05〜30g/10分である請
    求項1乃至4のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 熱可塑性エラストマー組成物(2)の温
    度上昇溶離分別における120〜140℃での溶出分が
    全溶出量に対して5〜15重量%である請求項1乃至5
    のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 熱可塑性エラストマー組成物(2)の室
    温キシレン可溶分の重量平均分子量が15万〜80万で
    ある請求項1乃至6のいずれか1記載の熱可塑性樹脂組
    成物。
  8. 【請求項8】 結晶性ポリプロピレン樹脂(3)のメル
    トフローレートが10〜200g/10分である請求項
    1乃至7のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 結晶性ポリプロピレン樹脂(3)がエチ
    レン・プロピレンブロック共重合体であり、そのエチレ
    ン含有量が1〜15重量%である請求項1乃至8のいず
    れか1項記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 結晶性ポリプロピレン樹脂(3)がエ
    チレン・プロピレンブロック共重合体であり、その共重
    合体部分が2〜30重量%である請求項1乃至9のいず
    れか1項記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 無機充填材(4)が平均粒径10μm
    以下のタルクである請求項1乃至10のいずれか1項記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 熱可塑性エラストマー組成物(1)4
    〜70重量%と、熱可塑性エラストマー組成物(2)1
    〜10重量%と、結晶性ポリプロピレン樹脂(3)19
    〜94重量%と、無機充填材(4)1〜40重量%から
    なる請求項1乃至11のいずれか1項記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
  13. 【請求項13】 請求項1記載の熱可塑性エラストマー
    組成物(1)と、熱可塑性エラストマー組成物(2)
    と、結晶性ポリプロピレン樹脂(3)と、無機充填材
    (4)と、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体
    (5)とからなる熱可塑性樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 エチレン・α−オレフィンランダム共
    重合体(5)のメルトフローレートが0.01〜200
    g/10分である請求項13記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  15. 【請求項15】 エチレン・α−オレフインランダム共
    重合体(5)を1〜40重量%含有する請求項13又は
    14記載の熱可塑性樹脂組成物。
  16. 【請求項16】 請求項1乃至15のいずれか1項記載
    の熱可塑性樹脂組成物を射出成形してなる光沢度35%
    以下の成形体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007211190A (ja) * 2006-02-10 2007-08-23 Japan Polypropylene Corp 多成分を含有するプロピレン系樹脂組成物
JP2007211189A (ja) * 2006-02-10 2007-08-23 Japan Polypropylene Corp 耐衝撃性が卓越したプロピレン系樹脂組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007211190A (ja) * 2006-02-10 2007-08-23 Japan Polypropylene Corp 多成分を含有するプロピレン系樹脂組成物
JP2007211189A (ja) * 2006-02-10 2007-08-23 Japan Polypropylene Corp 耐衝撃性が卓越したプロピレン系樹脂組成物

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