JP2001307077A - 乗員検知システム - Google Patents

乗員検知システム

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JP2001307077A JP2000117954A JP2000117954A JP2001307077A JP 2001307077 A JP2001307077 A JP 2001307077A JP 2000117954 A JP2000117954 A JP 2000117954A JP 2000117954 A JP2000117954 A JP 2000117954A JP 2001307077 A JP2001307077 A JP 2001307077A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単で信頼性が高く、乗員の存否及び
着座状態を迅速かつ高精度に判定可能な乗員検知システ
ムを得る。 【解決手段】 乗員検知システム10は、CMOSカメ
ラ12と、複数の投光器14A、14Bとを備え、これ
らは助手席56廻りに配置されている。投光器14A、
14Bから投光された赤外光により助手席56上には座
標70が形成される。投光された赤外光は、乗員の存否
及び着座状態に応じて座標70上で遮光され、それぞれ
の場合に応じた遮光軌跡が得られる。乗員検知コンピュ
ータ20では、CMOSカメラ12で撮像された画像デ
ータからこの遮光軌跡が検出され、これに基づいて乗員
の存否及び着座状態が判定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両内の乗員の存
否及び着座状態を検知する乗員検知システムに関する。
【0002】
【従来の技術】エアバッグ装置としては、運転席に着座
した乗員の前方側で袋体を展開させるタイプのエアバッ
グ装置のみならず、運転席の側方に設けられた助手席の
前方や側方で袋体を展開させる所謂助手席用エアバッグ
装置や側突用エアバッグ装置等が考案されている。
【0003】ところで、例えば、上述した助手席用エア
バッグ装置について言えば、助手席に乗員が存在しない
場合や助手席に着座した乗員の体格または着座姿勢によ
ってはエアバッグ装置を作動させない方がよい場合が考
えられる。また、例えば、助手席用エアバッグ装置は一
般的に助手席前方のインストルメントパネル(ダッシュ
ボード)に設けられているが、座席に着座した乗員とイ
ンストルメントパネルとの間隔によってはエアバッグ装
置を作動させない方がよい場合が考えられる。
【0004】ここで、エアバッグ装置の作動可否を判定
する方法としては、荷重センサを用いる方法、距離セン
サを用いる方法、画像処理を用いる方法がある。
【0005】荷重センサを用いる方法では、座面に内蔵
した荷重センサアレイによって荷重分布を得ることで乗
員の存否及び異常姿勢等を検出し、これに基づいてエア
バッグの作動可否が判断される。しかしながら、このよ
うな従来の方法では、センサが直接荷重を受ける構造で
あるため、経年劣化や外的破壊要因(飲料の浸液等)に
よる荷重センサの劣化の問題があった。
【0006】また、距離センサを用いる方法では、エア
バッグ装置近傍に距離センサを配置し、エアバッグ装置
に対する乗員の距離を検出することでエアバッグの作動
可否が判断される。しかしながら、このような従来の方
法では、一次元方向の距離しか検出することができず、
判断の精度が低く、複数のエアバッグ装置の作動可否を
判断することは困難であった。また、複数の距離センサ
を設けて上記問題を解決した構成とすると、システムが
大型化、複雑化し、さらにコストが高いという問題があ
った。
【0007】さらに、画像処理を用いた方法では、CC
Dカメラ等で撮像した画像にエッジ処理等の前処理を施
し、この画像データに基づいて乗員の存否及び着座状態
を検知することでエアバッグの作動可否が判断される。
しかしながら、このような従来の方法では、エッジ処理
等の前処理において画像データの全面を走査するため、
処理時間が長いという問題があった。また、車両室内が
暗い場合(夜間やトンネル走行中等)に精度の高い判断
を行うことが困難であるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事実を
考慮して、構造が簡単で信頼性が高く、乗員の存否及び
着座状態を迅速かつ高精度に判定可能な乗員検知システ
ムを得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1記載の発明に係る乗員検知システムは、車両
室内の座席上の空間に向けて光を投光する少なくとも1
つの投光手段と、前記車両室内の画像を撮像する撮像手
段と、前記車両室内の画像に基づく画像データより前記
投光手段から投光された光が遮光された軌跡を検出し、
当該検出結果より前記座席上の乗員の存否および着座状
態を判定する処理手段と、を備えたことを特徴としてい
る。
【0010】請求項1記載の乗員検知システムでは、投
光器により車両内の座席上の空間に向けて光が投光さ
れ、例えば、マップランプ近傍に配置された撮像手段が
この空間を撮像する。座席上に乗員が存在しない場合
は、光は遮光されることなく撮像範囲を通過する。一
方、座席上に乗員が存在する場合には、光は乗員によっ
て撮像範囲内において遮光される。したがって、投光手
段によって投光された光が撮像範囲内において遮光され
ていることを判定手段が検出すると、座席上に乗員が存
在すると判定される。
【0011】また、投光手段を複数設けた構成とすれ
ば、遮光部の軌跡を検出することで乗員の着座状態や乗
員以外のものが座席上に載置されていることが判定され
る。特に、平面状に配した複数の投光手段を二方向(例
えば、前方及び側方、側方及び上方等)に設けた構成と
した場合は、乗員の体格及び着座姿勢等を同時に精度良
く判定することができる。
【0012】ここで、撮像範囲に対する投光位置(各投
光手段の光路により形成される座標)は予め決まってお
り、画像データ内における走査範囲が小さい(上記座標
の範囲のみ走査すれば足りる)ため、また、撮像された
画像データに対するエッジ処理等の前処理を必要としな
いため、処理手段(処理プログラムを含む)が簡素化さ
れると共に処理手段における検出及び判定処理が迅速に
行われる。
【0013】また、撮像手段及び投光手段は、乗員等と
非接触であるため、経年劣化や外的破壊要因による劣化
の可能性も低い。
【0014】このように、請求項1記載の乗員検知シス
テムでは、構造が簡単で信頼性が高く、乗員の存否及び
着座状態を迅速かつ高精度に判定することができる。
【0015】請求項2記載の発明に係る乗員検知システ
ムは、請求項1記載の乗員検知システムにおいて、前記
投光手段が投光する光を可視光以外の光とし、前記撮像
手段で前記可視光以外の光を撮像可能とした、ことを特
徴としている。
【0016】請求項2記載の乗員検知システムでは、投
光手段によって投光される光が可視光以外の光とされて
いるため、この光が乗員の視界を妨げることはない。し
たがって、限られた車両内の空間において、投光手段の
設置位置が乗員の視界を妨げない位置に限定されないた
め、設置が簡単で、かつ乗員検知に効果的な位置に投光
手段を配置することができる。
【0017】このように、請求項2記載の乗員検知シス
テムでは、構造が一層簡単で信頼性が高く、乗員の存否
及び着座状態を迅速かつ高精度に判定することができ
る。
【0018】請求項3記載の発明に係る乗員検知システ
ムは、請求項1または請求項2記載の乗員検知システム
において、前記投光手段を複数設け、前記複数の投光手
段にそれぞれ接続して設けられ、投光する前記投光手段
を順次切替え可能な切替手段を備えた、ことを特徴とし
ている。
【0019】請求項3記載の乗員検知システムでは、投
光手段を複数設け、切替手段によって一または一部の投
光手段を作動させこの作動状態を順次切替えるため、所
謂、点燈制御が行われる。
【0020】これにより、全投光手段を常時作動させな
いため、消費電力が低減される。また、消費電力の低減
に伴って電源や配線等を簡素化することができ、さら
に、投光による熱発生が抑えられるため熱対策が不要と
なる。
【0021】このように、請求項3記載の乗員検知シス
テムでは、構造がより一層簡単で信頼性が高く、乗員の
存否及び着座状態を迅速かつ高精度に判定することがで
きる。
【0022】請求項4記載の発明に係る乗員検知システ
ムは、請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の乗員検
知システムにおいて、前記投光手段に設けられ、前記投
光手段の投光方向を順次変更可能とする揺動手段を備え
た、ことを特徴としている。
【0023】ここで、請求項4に記載した揺動手段に
は、投光手段自体を揺動させるもののみならず、例え
ば、投光手段の内部に揺動可能に設けられた鏡等の投光
方向のみを変更する手段が含まれる。
【0024】請求項4記載の乗員検知システムでは、投
光手段の投光方向を変更する揺動手段が設けられている
ため、1つの投光手段で複数の方向に投光することがで
きる。このため、判定精度を維持しつつ投光手段の数を
減少させることができ、乗員検知システムをより簡単な
構成とすることができる。
【0025】また、多数の投光手段を設けた場合と比較
して配線を簡素化することができると共に、乗員の近傍
に置かれた荷物等(地図や衣服等)により遮光される恐
れのない位置に投光手段を設置することができる。
【0026】このように、請求項4記載の乗員検知シス
テムでは、構造がさらにより一層簡単で信頼性が高く、
乗員の存否及び着座状態を迅速かつ高精度に判定するこ
とができる。
【0027】請求項5記載の発明に係る乗員検知システ
ムは、請求項3または請求項4記載の乗員検知システム
において、前記切替手段及び前記揺動手段の何れか一方
または双方に接続されると共に前記処理手段に接続して
設けられ、投光される光路を処理手段に認識させる光路
認識手段を備えた、ことを特徴としている。
【0028】請求項5記載の乗員検知システムでは、光
路認識手段により、切替手段による投光手段の各切替え
毎の作動している投光手段、及び揺動手段による投光方
向変更毎の投光手段、の投光光路が認識される。
【0029】このため、処理手段では、各光路の切替毎
に遮光位置を検出する過程においては、光路認識手段の
認識結果に基づいて、各投光手段の光路により形成され
る座標を構成する1つの光路上のみを走査すれば足り
る。したがって、画像データ上の捜査範囲が一層限定さ
れる(例えば、点燈制御を行わない場合の走査範囲を投
光手段数で分割した範囲より小さい範囲に限定できる)
ため、処理時間が一層短縮される。
【0030】このように、請求項5記載の乗員検知シス
テムでは、構造がさらにより一層簡単で信頼性が高く、
乗員の存否及び着座状態を一層迅速かつ高精度に判定す
ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態を図1
及び図2に基づいて説明する。
【0032】図1には、本発明の実施の形態に係る乗員
検知システム10を適用した車両50の一部が平面図及
びブロック図によって示されている。また、図2には、
乗員検知システム10を適用した車両50の一部が斜視
図よって示されている。
【0033】図1に示す如く、車両50に適用された乗
員検知システム10は、車両50の助手席56廻りに配
置され、助手席56上における乗員60の存否及び着座
状態を判定する構成となっている。
【0034】ここで、乗員検知システム10は、撮像手
段としてのCMOSカメラ12を備えている。CMOS
カメラ12は、図2に示す如く、助手席56側のAピラ
ー58の上端部に設置され、後に説明する赤外光で形成
される座標70を撮像範囲に入れるように構成されてい
る。なお、CMOSカメラ12は、赤外光を撮像可能と
する図示しない赤外フィルタを内蔵している。
【0035】また、乗員検知システム10は、投光手段
を構成する投光器14A及び投光器14Bを備えてい
る。投光器14A及び投光器14Bは、可視領域外の光
である赤外光を直線的に投光するようになっている。こ
こで、投光器14Aは、助手席側ドア52内面に格子状
に複数(本第1の実施の形態では6個)配置されてい
る。また、投光器14Bは、インストルメントパネル5
4に格子状に複数(本第1の実施の形態では6個)配置
されている。これにより、投光器14A、14Bから投
光される赤外光の光路によって助手席56上に座標70
が形成されるようになっている。
【0036】各投光器14A、14Bは、それぞれ切替
手段としての接点切替器16へ電気的に接続されてい
る。接点切替器16は、後に説明する乗員検知コンピュ
ータ20の指令に基づいて12個の投光器14A、14
Bを一個ずつ順次作動させるように各投光器14A、1
4Bの接点(図示省略)を切替可能に構成されている。
【0037】接点切替器16は、処理手段及び光路認識
手段としての乗員検知コンピュータ20へ電気的に接続
されている。また、乗員検知コンピュータ20は、CM
OSカメラ12へも電気的に接続されている。
【0038】乗員検知コンピュータ20は、車両50内
の適宜位置に設置され、図示しない記憶装置(ROM)
を有している。このROMには、CMOSカメラ12か
ら観察される座標70の位置及び形状のデータ、作動さ
せる投光器を選択して投光信号を接点切替器16へ出力
する光路認識プログラム、この切替タイミングと同期し
てCMOSカメラ12に撮像を行わせる同期プログラ
ム、座標70を構成する複数の光路のうち撮像された1
つの赤外光の光路上のみを走査(部分走査)し赤外光の
遮光位置を検出及び記憶する検出プログラム、座標70
上の各遮光位置の軌跡を検出し乗員の存否及び着座状態
を判定しこの判定結果に応じた信号を後述するエアバッ
グECU30へ出力する判定プログラム、並びに上記各
プログラムを統合して実行する乗員検知プログラムが記
憶されている。また、乗員検知コンピュータ20は、上
記各プログラムを実行するCPU(図示省略)を備えて
いる。
【0039】また、図1に示されるように、乗員検知コ
ンピュータ20は、車両50内の適宜位置に設置された
エアバッグECU30を構成するCPU32へ電気的に
接続されており、上記の判定プログラムの判定結果に応
じた信号をCPU32へ出力するようになっている。
【0040】また、エアバッグECU30のCPU32
は、前突用センサ34及び車両50の左右に設けられた
各側突用センサ36、38へ電気的に接続されている。
前突用センサ34及び各側突用センサ36、38は、所
定値以上の減速度や荷重等を検出した場合には検出信号
をCPU32へ送信するようになっている。さらに、エ
アバッグECU30のCPU32は、エアバッグECU
30内に設けられた起動装置40とも電気的に接続され
ている。これにより、基本的には各センサ34、36、
38からの検出信号を受信したCPU32は起動装置4
0を作動させるようになっている。
【0041】また、起動装置40は、運転席前突用エア
バッグ装置の着火装置42、運転席側突用エアバッグ装
置の着火装置44、助手席前突用エアバッグ装置の着火
装置46、助手席側突用エアバッグ装置の着火装置48
へ電気的に接続されている。各着火装置42、44、4
6、48は、起動装置40によりそれぞれ別個に作動可
能とされ、各エアバッグ装置にそれぞれ設けられた着火
剤を着火するようになっている。これにより、各着火装
置が着火剤を着火することで各エアバッグ装置のインフ
レータ(図示省略)内にそれぞれ収容されたガス発生剤
が燃焼し、瞬時に大量のガスが発生するようになってい
る。さらに、各エアバッグ装置のインフレータ近傍の所
定位置にはそれぞれ袋体(図示省略)が折り畳み状態で
配置されており、各袋体は各インフレータで発生したガ
スの圧力により膨張して乗員60の前方、側方等の所定
位置で展開するようになっている。
【0042】次に本第1の実施の形態の作用について説
明する。
【0043】本乗員検知システム10は、例えば、イグ
ニッションキーをキーシリンダへ挿入し、車両50のア
クセサリ(例えば、オーディオやパワーウインド)が作
動可能な状態、若しくは、エンジンが始動した状態とな
ると、乗員検知コンピュータ20が起動して乗員検知コ
ンピュータ20に予め記憶されていた乗員検知プログラ
ムが起動される。
【0044】乗員検知プログラムが起動している乗員検
知コンピュータ20では、先ず、接点切替器16への投
光信号が初期化(最初に投光する投光器が認識)され
る。その後、接点切替器16へ投光信号が出力され(光
路認識プログラムが作動され)、接点切替器16では、
投光器14A、14Bのうち選択された1つの投光器を
作動させる。
【0045】また、上記の投光タイミングと同期するよ
うに、CMOSカメラ12へ撮像信号が出力され(同期
プログラムが作動され)、CMOSカメラ12では車両
50内の画像が撮像される。また、この画像データは、
乗員検知コンピュータ20へ出力される。
【0046】CMOSカメラ12で撮像した画像データ
が乗員検知コンピュータ20に入力されると、乗員検知
コンピュータ20では、予め記憶された座標70を構成
する各光路のうち光路認識プログラムの投光信号に対応
した上記画像データ上の光路のみを走査(部分走査)
し、座標70上における遮光位置を検出及び記憶する
(検出プログラムが作動される)。
【0047】また、乗員検知プログラムが起動している
乗員検知コンピュータ20では、上記一連の処理を投光
器14A、14Bの設置数(本第1の実施の形態では1
2個)に応じて繰り返す。
【0048】さらに、乗員検知プログラムが起動してい
る乗員検知コンピュータ20では、投光器の設置数だけ
上記処理が実行された後、記憶された座標70上におけ
る各遮光位置の軌跡を検出し、乗員60の存否及び着座
状態が判定される(判定プログラムが作動される)。
【0049】ここで、図3から図5に基づいて各遮光位
置の軌跡と判定結果の例について説明する。
【0050】図3に軌跡Aで示される如く、各遮光位置
の軌跡が平面状に形成され、座標70の奥側(助手席5
6のシートバック側)に位置する場合は、助手席56上
に乗員60が着座していないと判定される。
【0051】一方、図4に軌跡Bで示される如く、各遮
光位置の軌跡が略左右対称の曲面状に形成され、座標7
0の中央部に位置する場合は、助手席56上に乗員60
が正常に着座していると判定される。
【0052】さらに、図5に軌跡Cで示される如く、各
遮光位置の軌跡が曲面上に形成されているが、左右対称
ではなく座標70の手前側(インストルメントパネル5
4設置側)に位置する場合は、助手席56上に乗員が上
体を捩りながら前傾した状態で着座していると判定され
る。
【0053】なお、以上の判定結果は、例示列挙であ
り、本発明はこれに限定されず、さまざまな判定(例え
ば、乗員60と貨物の判別、チャイルドシートの接続の
有無等)を行うことができる。
【0054】この判定結果に基づいて、乗員検知コンピ
ュータ20はエアバッグECU30へ信号を出力する。
【0055】ここで、助手席56上に乗員60が着座し
ていないと判定された場合は、乗員検知コンピュータ2
0は、エアバッグ装置作動拒絶信号をエアバッグECU
30のCPU32へ出力する。エアバッグ装置作動拒絶
信号が入力されたCPU32では、助手席用エアバッグ
装置の作動が禁止される。すなわち、起動装置40によ
る助手席前突用エアバッグ装置の着火装置46及び助手
席側突用エアバッグ装置の着火装置48の作動が禁止さ
れる。
【0056】一方、乗員検知コンピュータ20は、助手
席56上に乗員60が着座していると判定された場合で
あっても、乗員60が正しく着座していないと判定され
た場合(例えば、図5に示されるように乗員60がかな
り前傾している場合や助手席中央からずれた位置に着座
している場合)は、エアバッグ装置作動拒絶信号をエア
バッグECU30のCPU32へ出力する。エアバッグ
装置作動拒絶信号が入力されたCPU32では、このエ
アバッグ装置作動拒絶信号に基づいて起動装置40によ
る助手席前突用エアバッグ装置の着火装置46及び助手
席側突用エアバッグ装置の着火装置48の何れか一方ま
たは双方の作動が禁止される。
【0057】なお、本第1の実施の形態では、投光器1
4A、14Bの設置数を計12個としたが、本発明はこ
れに限定されず、投光器の設置数はいくつでも良い。ま
た、投光方向は二方向に限定されるものではなく、例え
ば、一方向でも三方向であっても良い。さらに、投光器
の設置位置はドア52及びインストルメントパネル54
に限定されるものではなく、例えば、天井(ルーフ)に
投光器を設置しても良い。またさらに、投光器の配列は
格子状に限定されるものではなく、任意の配置とするこ
とができ、立体的な配置であっても良い。また、投光方
向を二以上とした場合においては各光路が直交すること
に限定されることもなく、例えば、対向する二方向とし
ても、所定位置からの放射方向(その組合せを含む)と
しても良い。
【0058】また、本第1の実施の形態では、投光器1
4A及び投光器14Bを1個ずつ順次作動させる構成と
したが、本発明はこれに限定されず、例えば、投光器1
4Aと投光器14Bとを1個ずつ(計2個ずつ)作動さ
せる構成としても良い。
【0059】さらに、本第1の実施の形態では、各投光
器14A及び投光器14Bの投光頻度が等しい構成とし
たが、本発明はこれに限定されず、例えば、判定結果に
基づいた重み付けにより各投光器の投光頻度を変更する
構成としても良い。
【0060】このように、本実施の形態に係る乗員検知
システム10では、構造が簡単で信頼性が高く、乗員6
0の存否及び着座状態を迅速かつ高精度に判定すること
ができる。
【0061】次に、本発明の第2の実施の形態を図6及
び図7に基づいて説明する。なお、前記第1の実施の形
態と基本的に同一の部品には前記第1の実施の形態と同
一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】図6(A)には、第2の実施の形態に係る
乗員検知システム80が適用された車両50内の一部が
斜視図によって示されている。この乗員検知システム8
0では、Aピラー58上端部に1個の投光器82が設け
られている。
【0063】図6(B)に示される如く、投光器82
は、内部に発光部84及び揺動手段を構成する揺動機構
86を備えている。これにより、投光器82は、揺動機
構86が作動することで赤外光の投光方向を変更可能な
構成となっている。
【0064】また、投光器82は、接点切替器16を介
さずに乗員検知コンピュータ20と電気的に接続されて
いる。これにより、投光器82の投光方向(光路)は、
乗員検知コンピュータ20のROMに記憶された光路認
識プログラムから直接入力される投光信号に基づいて制
御(選択)及び認識されるようになっている。
【0065】したがって、乗員検知システム80では、
図7に示される如く、選択される各光路により助手席5
6上に座標90が形成されるようになっている。ここ
で、図7においては、助手席56上に基準面Eを想定
し、投光器80設置位置と基準面E上の所定の各点(本
第2の実施の形態では6点)を結ぶ各光路により座標9
0を形成する例を示している。なお、この座標90の位
置及び形状は一例であり、本発明はこれに限定されるも
のではない。
【0066】次に本第2の実施の形態の作用について説
明する。なお、乗員検知コンピュータ20の起動につい
ては、前記第1の実施の形態と同様の作用であるため説
明を省略する。また、判定プログラムによる判定につい
ても前記第1の実施の形態と基本的に同様の作用である
ため、判定の1例についてのみ説明する。
【0067】乗員検知プログラムが起動している乗員検
知コンピュータ20では、先ず、投光器82への投光信
号が初期化(最初の投光方向が認識)される。その後、
投光器82へ投光信号が出力され(光路認識プログラム
が作動され)、投光器82では、選択された1つの光路
上への投光が行われる。
【0068】また、上記の投光タイミングと同期するよ
うに、CMOSカメラ12へ撮像信号が出力され(同期
プログラムが作動され)、CMOSカメラ12では車両
50内の画像が撮像される。また、この画像データは、
乗員検知コンピュータ20へ出力される。
【0069】CMOSカメラ12で撮像した画像データ
が乗員検知コンピュータ20に入力されると、乗員検知
コンピュータ20では、予め記憶された座標90を構成
する各光路のうち光路認識プログラムの投光信号に対応
した上記画像データ上の光路のみを走査(部分走査)
し、座標90上における遮光位置を検出及び記憶する
(検出プログラムが作動される)。
【0070】また、乗員検知プログラムが起動している
乗員検知コンピュータ20では、上記一連の処理を設定
された光路数(本第2の実施の形態では6光路)に応じ
て繰り返す。これにより、遮光位置の軌跡データが得ら
れる。
【0071】ここで、図7に基づいて各遮光位置の軌跡
と判定結果の例について説明する。図7に軌跡Dで示さ
れる如く、各遮光位置の軌跡が略左右対称の曲面状に形
成され、座標90の中央部に位置する場合は、助手席5
6上に乗員60が正常に着座していると判定される。
【0072】なお、本第2の実施の形態では、1個の投
光器82をAピラー58上端部に備えた構成としたが、
投光器82は2個以上備えても良く、設置位置も限定さ
れない。したがって、例えば、車両50の天井及びドア
に各1個の投光器82を備えた構成としても良い。ま
た、2個以上の投光器82を備えた構成とする場合、接
点切替器を設けても良い。
【0073】また、本第2の実施の形態では、投光器8
2の投光方向の変更頻度が等しい構成としたが、本発明
はこれに限定されず、例えば、判定結果に基づいた重み
付けにより投光方向の変更頻度を変更する構成としても
良い。
【0074】このように、本第2の実施の形態に係る乗
員検知システム80では、構造が簡単で信頼性が高く、
乗員60の存否及び着座状態を迅速かつ高精度に判定す
ることができ、特に、判定精度を維持しつつ投光器の設
置数を減じることができる。
【0075】なお、本第1及び第2の実施の形態では、
乗員検知システム10は助手席56上の乗員60の存否
及び着座状態を検知する構成としたが、本発明はこれに
限られず、例えば、運転席や後部座席の乗員の存否及び
着座状態を検知する構成とし、運転席前突用エアバッグ
装置や運転席側突用エアバッグ装置の作動及び作動禁
止、或いは、その他の装置の作動及び作動禁止の判断に
検知結果を供しても良い。また、乗員検知システムを車
両50の運転席、助手席、後部座席の一部または全部に
同時に適用しても良い。さらに、本第1及び第2の実施
の形態に係る乗員検知システム10及び乗員検知システ
ム80は、それぞれ別個に車両50に適用したが、本発
明はこれに限られず、これらを同時に適用しても良い。
したがって、例えば、ドア52に投光器14Aを配置
し、車両50の天井に投光器82を配置した構成として
も良い。この場合、接点切替器と投光器82とを電気的
に接続し、共用する乗員検知コンピュータにより一括制
御することが望ましい。
【0076】また、各投光器14A及び投光器14Bが
投光する光を赤外光とする構成としたが、本発明はこれ
に限定されず、あらゆる波長の光や電波を使用して構成
することができる。
【0077】さらに、本第1及び第2の実施の形態で
は、CMOSカメラ12をAピラー58の上端部に配置
する構成としたが、本発明はこれに限定されず、例え
ば、CMOSカメラ12をマップランプや室内鏡の近傍
またはインストルメントパネル54上に配置する構成と
しても良い。なお、CMOSカメラ12は、遮光位置が
乗員60の死角に入らない位置に配置することが望まし
い。
【0078】さらにまた、本第1及び第2の実施の形態
では、CMOSカメラ12を備えた構成としたが、本発
明はこれに限定されず、例えば、CCDカメラを備えた
構成としても良い。ただし、画像データの部分走査を行
う場合はCMOSカメラ12を用いることが望ましい。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る乗員
検知システムは、構造が簡単で信頼性が高く、乗員の存
否及び着座状態を迅速かつ高精度に判定することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る乗員検知シス
テムを適用した車両内の一部を示す平面図及びブロック
図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る乗員検知シス
テムを適用した車両内の一部を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る乗員検知シス
テムにより助手席上に構成される座標を示す斜視図であ
る。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る乗員検知シス
テムにより助手席上に構成される座標及び乗員が正常に
着座している場合の遮光軌跡を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る乗員検知シス
テムにより助手席上に構成される座標及び乗員が前傾し
て着座している場合の遮光軌跡を示す斜視図である。
【図6】(A)は本発明の第2の実施の形態に係る乗員
検知システムを適用した車両内の一部を示す斜視図、
(B)は本発明の第2の実施の形態に係る乗員検知シス
テムを構成する投光器の概要を示す平面断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る乗員検知シス
テムにより助手席上に構成される座標及び乗員が正常に
着座している場合の遮光軌跡を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 乗員検知システム 12 CMOSカメラ(撮像手段) 14A 投光器(投光手段) 14B 投光器(投光手段) 16 接点切替器(切替手段) 20 乗員検知コンピュータ(処理手段、光路認識手
段) 30 エアバッグECU 50 車両 52 ドア 54 インストルメントパネル 56 助手席 58 Aピラー 60 乗員 70 座標 80 乗員検知システム 82 投光器(投光手段) 86 揺動機構(揺動手段) 90 座標
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井東 道昌 愛知県丹羽郡大口町豊田三丁目260番地 株式会社東海理化電機製作所内 Fターム(参考) 3B087 DE08 3D054 AA02 AA03 AA07 AA13 AA14 AA21 EE10 EE11 EE14 EE31 FF16 5B057 AA16 BA02 BA15 BA17 CA13 CB13 DA06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両室内の座席上の空間に向けて光を投
    光する少なくとも1つの投光手段と、 前記車両室内の画像を撮像する撮像手段と、 前記車両室内の画像に基づく画像データより前記投光手
    段から投光された光が遮光された軌跡を検出し、当該検
    出結果より前記座席上の乗員の存否および着座状態を判
    定する処理手段と、 を備えたことを特徴とする乗員検知システム。
  2. 【請求項2】 前記投光手段が投光する光を可視光以外
    の光とし、 前記撮像手段で前記可視光以外の光を撮像可能とした、 ことを特徴とする請求項1記載の乗員検知システム。
  3. 【請求項3】 前記投光手段を複数設け、 前記複数の投光手段にそれぞれ接続して設けられ、投光
    する前記投光手段を順次切替え可能な切替手段を備え
    た、 ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の乗員検
    知システム。
  4. 【請求項4】 前記投光手段に設けられ、前記投光手段
    の投光方向を順次変更可能な揺動手段を備えた、ことを
    特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の乗
    員検知システム。
  5. 【請求項5】 前記切替手段及び前記揺動手段の何れか
    一方または双方に接続されると共に前記処理手段に接続
    して設けられ、投光される光路を処理手段に認識させる
    光路認識手段を備えた、ことを特徴とする請求項3また
    は請求項4記載の乗員検知システム。
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