JP2001303026A - 摩擦材用補強繊維及びその製造方法 - Google Patents

摩擦材用補強繊維及びその製造方法

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JP2001303026A
JP2001303026A JP2000121214A JP2000121214A JP2001303026A JP 2001303026 A JP2001303026 A JP 2001303026A JP 2000121214 A JP2000121214 A JP 2000121214A JP 2000121214 A JP2000121214 A JP 2000121214A JP 2001303026 A JP2001303026 A JP 2001303026A
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aramid
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Satoshi Kusaka
聡 日下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アラミドパルプ開繊時の静電気発生を抑え
て、周囲への飛散・付着を防止して作業性を改善し、開
繊性を向上させた摩擦材用補強繊維を提供する。 【解決手段】 アラミドパルプに有効成分として界面活
性剤を溶解した帯電防止剤溶液、界面活性剤を乳化分散
した帯電防止剤水系エマルジョン、又はこれら両者を併
用して付着させた後、開繊してなることを特徴とする摩
擦材用補強繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アラミド(芳香族
ポリアミド)樹脂からなる帯電防止されたパルプ状物及
びその製造方法に関するものである。本発明によって得
られたパルプ状物のアラミドパルプは、開繊時に静電気
の発生を抑えられるため、周囲への飛散あるいは容器へ
の付着などの静電気を帯びることにより生じる取扱い上
の諸問題を克服でき、石綿代替材料として自動車用ディ
スクブレーキパッド、ドラムブレーキライニングもしく
はクラッチフェーシング等の摩擦材用補強繊維として有
用である。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車のディスクブレーキ、ドラ
ムブレーキ、クラッチフェーシング等に使用される摩擦
材は、その基材として石綿が多く使用されていたが、石
綿はその粉塵の人体への有害性が指摘された結果、その
使用を制限されつつあり、石綿を使用しない摩擦材に対
する要求が強くなってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、石綿を使用し
ない非石綿系摩擦材においては、多くの場合アラミドパ
ルプが補強繊維として利用されるが、従来の乾式摩擦材
製造法では、ミキサーを用いるアラミドパルプの開繊工
程で、非常に強い静電気が発生し、周囲への飛散・作業
者の衣服への付着等取扱性が著しく悪かった。また静電
気発生により、アラミドパルプがミキサーの壁に付着す
るなどして、部分的に開繊性が不均一になった。
【0004】静電気を抑える方法として、アラミドパル
プにはあらかじめ数%(約5%)の水分が添加されてい
るが、現状の含水分では十分な制電効果は得られない。
さらに水分を与える方法もあるが、結合材として利用さ
れているフェノール樹脂の硬化反応に悪影響を与えるこ
とが知られており、さらに水分を添加することは好まし
くない。また水分の添加法によっては同時に混合させる
材料の凝集を招き、材料分散の不均一性の増大を招いた
り、成形物にひび割れやふくれを生じて製品として使用
できない等の問題点があった。
【0005】本発明は、このような従来の課題に鑑みて
なされたものであり、アラミドパルプ開繊時の静電気発
生を抑えて、周囲への飛散・付着を防止して作業性を改
善し、アラミドパルプの開繊性の向上とともに他の材料
の分散性も向上する、開繊性の向上した摩擦材用補強繊
維及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、以
下の構成よりなるものである。 (1)アラミドパルプに有効成分として界面活性剤を溶
解した帯電防止剤溶液及び/又は界面活性剤を乳化分散
した帯電防止剤水系エマルジョンを付着させた後、開繊
してなることを特徴とする摩擦材用補強繊維。 (2)アラミドパルプに有効成分として界面活性剤を溶
解した帯電防止剤溶液及び/又は界面活性剤を乳化分散
した帯電防止剤水系エマルジョンを付着させた後、開繊
を行うことを特徴とする摩擦材用補強繊維の製造方法。 (3)有効成分として界面活性剤を溶解した帯電防止剤
溶液及び/又は界面活性剤を乳化分散した帯電防止剤水
系エマルジョンを添加した水中でアラミド繊維のパルプ
化を行い、次いで脱水、乾燥後開繊を行うことを特徴と
する摩擦材用補強繊維の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。本発明に用いられるアラミド(芳香族ポリアミ
ド)パルプの原料となるアラミド樹脂は、アミド結合の
少なくとも85モル%以上が芳香族ジアミン、芳香族ジ
カルボン酸、芳香族アミノ酸成分より得られるものであ
る。
【0008】その具体例としては、ポリパラフェニレン
テレフタルアミド、ポリメタフェニレンテレフタルアミ
ド、ポリパラベンズアミド、ポリ−4,4’−ジアミノ
ベンズアニリド、ポリパラフェニレン−2,6―ナフタ
リックアミド、コポリパラフェニレン/4,4’−
(3,3’−ジメチルビフェニレン)−テレフタルアミ
ド、コポリパラフェニレン/2,5―ピリジレン−テレ
フタルアミド、ポリオルソフェニレンフタルアミド、ポ
リメタフェニレンフタルアミド、ポリパラフェニレンフ
タルアミド、ポリオルソフェニレンイソフタルアミド、
ポリパラフェニレンイソフタルアミド、ポリオルソフェ
ニレンテレアタルアミド、ポリ−1,5―ナフタレンフ
タルアミド、ポリ−4,4’−ジフェニレンオルソフタ
ルアミド、ポリ−4,4’−ジフェニレンイソフタルア
ミド、ポリ1,4―ナフタレンフタルアミド、ポリ−
1,4―ナフタレンイソフタルアミド、ポリ−1,5―
ナフタレンイソフタルアミド等、及びこれらの芳香族ジ
アミンのベンゼン核の一部をピペラジン、1,5―ジメ
チルピペラジン、2,5―ジエチルピペラジンで置換し
た化合物等に代表される脂環式アミンを含む芳香族ポリ
アミド、または芳香族ジアミンが3,3’−オキシジフ
ェニレンジアミン、3,4’−オキシジフェニレンジア
ミン等のエーテル結台、―S―、―SO2 −、―CO
―、―NH―、等の基により結合された2個のフェニル
基を含む芳香族ポリアミドのコポリマー、例えば、ポリ
−3,3’−オキシジフェニレンテレフタルアミド/ポ
リパラフェニレンテレフタルアミド共重合体、ポリ−
3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド/ポリ
パラフェニレンテレフタルアミド共重合体等を挙げるこ
とができる。これらの中でも、引張特性と耐熱性が抜群
に優れた、デュポン(DuPont)社の商品名ケブラ
ー(Kevlar)として市販されている、ポリパラフ
ェニレンテレフタルアミドが、特に好ましいものであ
る。
【0009】本発明に用いられるアラミドパルプとは、
アラミド繊維が高度にパルプ化(フィブリル化)された
形状を有するものであり、BET法で測定したその比表
面積の値が、好ましくは3〜25m2 /gを示すもので
あり、JISP 8121「パルプの濾水度試験方法」
の、カナダ標準型法で測定した濾水度の値が、好ましく
は100〜700ミリリットルのもの、さらに好ましく
は150〜700ミリリットルのものを言う。
【0010】ところで、上記のアラミドパルプの開繊
は、一般には、高速ミキサー等によって行われるが、こ
の開繊は、高速回転下で行われるので、そのままでは繊
維同士の摩擦による繊維の熱劣化や切断等の不具合が発
生しやすく、また、このような開繊によっても、例えば
実製品中にアラミドパルプの固まりが散見されることが
あり、開繊状態は必ずしも良好とは言えない。その上、
周囲への飛散・作業者の衣服やミキサーの壁に付着する
など作業性と開繊性を悪化させていた。この開繊の際に
アラミドパルプに界面活性剤を添加すると、繊維の表面
に吸着されて静電気の発生を防止する。
【0011】本発明で使用される帯電防止剤は液状もし
くは溶液、水性エマルジョンとして使用できるものであ
れば特に制限されることなく使用できる。先ず、溶液と
しては、カチオン又は非イオン性界面活性剤又はこれら
の混合物の水溶液又は低級アルコール溶液(0.1〜5
重量%)を調製し、浸漬法又はスプレーを用いた塗布法
にてアラミドパルプを処理する。また、水性エマルジョ
ンとしては、高級脂肪酸、高級アルコール、高級エーテ
ル等に溶解したカチオン又は非イオン性界面活性剤又は
これらの混合物の溶液を水中に乳化分散させた水性エマ
ルジョンを調製し、浸漬法又はスプレーを用いた塗布法
にてアラミドパルプを処理する。更に、両者、すなわち
溶液と水性エマルジョンとを同時スプレー又は片方に浸
漬後に残るもう一方をスプレーする、あるいは両者の混
合物中へ浸漬する等、適宜適切な手段によって塗布すれ
ばよい。なお、エマルジョンの方が溶液よりも界面活性
剤濃度が低くても、同等以上の帯電防止効果を発揮する
という利点を有する。
【0012】カチオン性界面活性剤としては、アルキル
トリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモ
ニウム塩等の第四級アンモニウム塩が利用できる。非イ
オン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアル
キルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシ
アルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアル
キレン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレン化合
物類が利用できる。ポリオキシアルキレン基の重合度
は、4〜50程度が好ましい。アルキル基、アルキレン
基の炭素数は4〜24程度が好ましい。しかしながら、
本発明の帯電防止剤は、これらに限定されるものではな
い。
【0013】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定される
ものではない。
【0014】実施例1 界面活性剤の5%メタノール溶液を調製した。デュポン
(DuPont)社製アラミドパルプ(品番1F53
8)1gに対し100ミリリットルの界面活性剤溶液を
用いて浸漬後十分乾燥した。乾燥後パルプ同士を摩擦
し、静電気発生の有無を未処理のパルプと比較した。評
価は、静電気発生同程度=D、効果小=C、効果大=
B、静電気発生無し=A。開繊性評価は、未処理パルプ
に比べC=劣る、B=同程度、A=優れるとして示す。
測定結果を第1表に示す。
【0015】
【表1】
【0016】実施例2 カチオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤を2〜3
種類組合せて、5%メタノール溶液を調製した。実施例
1と同様に帯電防止剤の効果を評価した。測定結果を第
2表に示す。
【0017】
【表2】
【0018】実施例3 溶剤として、高級脂肪酸ではオレイン酸、ラウリン酸を
用い、高級アルコールではn−ラウリルアルコール、n
−ステアリルアルコールを、高級エーテルとしてはデシ
ルエーテル、オクチルエーテルを用いた。上記の試薬を
それぞれ約80℃に温めた。固体状の界面活性剤は、加
熱することによってすべて融解した。これらの液体を溶
媒として、第3表に示す割合で80℃に保ったまま界面
活性剤を溶解した。別に約80℃に温めておいた必要量
の水を攪拌し、あらかじめ作製した界面活性剤溶液を加
え乳化分散液を調製した。この液を使用時に必要な濃度
まで希釈し、帯電防止処理液とした。ここに挙げる配合
例はあくまで一例であり、前記した界面活性剤を用い、
自由に配合を変更できる。
【0019】
【表3】
【0020】デュポン(DuPont)社製アラミドパ
ルプ(品番1F538)1gを第4表に示す濃度の10
0ミリリットルの界面活性剤溶液に浸漬後十分乾燥し
た。乾燥後パルプ同士を摩擦し、静電気発生の有無を未
処理のパルプと比較した。評価は、静電気発生同程度=
C、効果小=B、静電気発生無し=Aとして示す。測定
結果を第4表に示す。
【0021】
【表4】
【0022】
【表5】
【0023】処理剤濃度は、種類によっても異なるが、
0.12〜1.2%が好ましく、溶液よりも低濃度で同
等の帯電防止効果を生じることがわかる。濃度を高くし
すぎると、処理にコストがかかるので好ましくない。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、摩擦材製造原料として
用いるアラミドパルプに、界面活性剤を有効成分とする
帯電防止剤を付着することによって得られたアラミドパ
ルプを用いたことにより、開繊工程での静電気発生を抑
え、パルプの周囲への飛散・付着、開繊の不均一性が低
減される。また、水添加による帯電防止対策が不要とな
り、結合材であるフェノール樹脂の硬化反応への悪影響
が防止できる。界面活性剤を有効成分とする帯電防止剤
を添加した水中でアラミド繊維のパルプ化を行い、次い
で脱水、乾燥後、開繊を行うこともでき、その場合、パ
ルプ化と同時に帯電防止処理を行うことができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/16 104 C09K 3/16 104C D06M 13/463 D06M 13/463 F16D 69/02 F16D 69/02 Z // C08J 5/14 CFB C08J 5/14 CFB C08L 61:06 C08L 61:06 D06M 101:36 D06M 101:36

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アラミドパルプに有効成分として界面活
    性剤を溶解した帯電防止剤溶液及び/又は界面活性剤を
    乳化分散した帯電防止剤水系エマルジョンを付着させた
    後、開繊してなることを特徴とする摩擦材用補強繊維。
  2. 【請求項2】 アラミドパルプに有効成分として界面活
    性剤を溶解した帯電防止剤溶液及び/又は界面活性剤を
    乳化分散した帯電防止剤水系エマルジョンを付着させた
    後、開繊を行うことを特徴とする摩擦材用補強繊維の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 有効成分として界面活性剤を溶解した帯
    電防止剤溶液及び/又は界面活性剤を乳化分散した帯電
    防止剤水系エマルジョンを添加した水中でアラミド繊維
    のパルプ化を行い、次いで脱水、乾燥後開繊を行うこと
    を特徴とする摩擦材用補強繊維の製造方法。
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