JP2001302924A - 振動を抑制するための車輌用部品構造 - Google Patents

振動を抑制するための車輌用部品構造

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JP2001302924A
JP2001302924A JP2000118028A JP2000118028A JP2001302924A JP 2001302924 A JP2001302924 A JP 2001302924A JP 2000118028 A JP2000118028 A JP 2000118028A JP 2000118028 A JP2000118028 A JP 2000118028A JP 2001302924 A JP2001302924 A JP 2001302924A
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Tetsuo Mekata
哲雄 目加田
Nagayasu Adachi
永容 安達
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で軽量コンパクト、かつ車輌走行時のミ
ラーの画面ぶれなどの振動を抑制できる車輌用ドアミラ
ーのブラケットなどの振動を抑制するための車輌用部品
構造を提供する。また、騒音大幅に減衰するエンジンカ
バーを提供する。 【解決手段】 対数減衰率を0.07以上および振動吸
収係数tanδが、0.01以上で、曲げ弾性率が16
500MPa以上の高剛性合成樹脂組成物から形成され
る振動を抑制するための車輌用部品構造であって、車体
側から伝わる振動エネルギーの一部を熱エネルギーに変
換することにより、共振を低く抑えつつ、振動を早期に
減衰する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は振動を抑制するため
の車輌用部品構造に関する。さらに詳しくは、走行時に
おけるミラーの画面ぶれを抑制できる車輌用ドアミラー
のブラケットなどの振動を抑制するための車輌用部品構
造に関する。
【0002】本発明の振動を抑制するための車輌用部品
構造は、高剛性が要求され、また、制振性、騒音透過抑
制が要求される車輌用ドアミラーステイ、エンジンカバ
ーなどに適用される。
【0003】
【従来の技術】車輌用部品には、振動を抑制する必要が
ある部品がいろいろ含まれている。とくに、車輌用ドア
ミラーは走行時におけるミラーの画面ぶれを抑制するた
めに、高い制振機能が要求される。
【0004】車輌用ドアミラーは、ミラーの取付け機構
の違いにより大きく2種類に分けることができ、たとえ
ばミラーが支持された合成樹脂製のミラーハウジングを
車体に固定されたアルミダイキャストなどからなる金属
製ステーに直接取り付けてなる手動調整式のドアミラー
と、車体に固定されたアルミダイキャストなどからなる
金属製ステーに、同じく金属製のシャフトを介してブラ
ケットを軸着し、該ブラケットにミラーハウジングおよ
び可動式ミラーをそれぞれ独立に取り付けてなる電動調
整式のドアミラーとがある。
【0005】この電動調整式のドアミラーに用いられる
前記ブラケットには、ミラーハウジングおよび可動式ミ
ラーを長期にわたり確実に支持する耐久性、ならびに車
体に対して前記ミラーを振動させないすぐれた機械的強
度が必要とされ、従来から金属ダイキャスト、または曲
げ弾性率が16000MPa以下の合成樹脂からなるブ
ラケットが採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記金
属ダイキャスト製のブラケットの場合、前記耐久性およ
び機械的強度は比較的容易に満足できるものの、溶融金
属を使用しているため1ショット当たりの金型磨耗率が
大きく、したがって金型の寿命は4万〜7万ショット程
度と短いものであり、金型を頻繁に更新することで製造
コストが上昇するといった問題があった。
【0007】また、曲げ弾性率が16000MPaまで
の合成樹脂を用いた従来のブラケットにおいては、金型
寿命が延長される一方で、前記耐久性および機械的強度
を充分満足するためには補強リブの追加、大型化による
弾性係数の向上や、金属部品による補強、金属製バラン
サーの追加による振動の抑制などが必要となり、ドアミ
ラーの厚さおよび重量の増大、材料コストの上昇が避け
られない。
【0008】このように従来の振動を抑制するための車
輌用部品構造は、材料の選択、断面の形状、リブの配
置、重量バランスなどの各要素について個々に検討して
構成されたものであり、各要素を総合的に考察して設計
された合成樹脂製ブラケットはいまだ存在していない。
【0009】本発明はかかる問題を解消するためになさ
れたもので、安価で軽量コンパクトかつ車輌走行時のミ
ラーの画面ぶれなどの振動を抑制できる車輌用ドアミラ
ーのブラケットなどの振動を抑制するための車輌用部品
構造を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前述の課題
を解決するにあたり鋭意検討を進めた結果、ミラーの画
面ぶれなどの振動の原因は走行振動に起因するブラケッ
トなどの振動が抑制される部品の共振現象と減衰振動性
にあり、同一の強制振動を与えた場合、部品の共振を抑
える要素として、部品に使用した材料の比重(ρ)、曲
げ弾性率(E)と部品の基本断面から計算された断面2
次モーメント(I)、断面積(A)に深い関係があるこ
とを見出した。
【0011】このときの曲げ弾性率は、基本的にアメリ
カ材料試験協会のASTM−D790に示される方法で
測定される。これは、断面形状が、略幅12.7mm×
厚さ6.2mmのバー試験片と言われる棒状サンプル射
出成形し、所定の養生時間(72時間以上)23℃、5
0%の相対湿度に保たれた環境に放置後、同じく、23
℃、相対湿度50%の環境下で、同試験片を水平(6.
2mmが、高さ方向になるように)に100mmのピッ
チで2点支持(金属製の支持台(幅10mm、先端半径
5mmの半円柱形状)が、100mmの間隔を隔てて2
箇所で支え)し、その中央を圧子(幅10mm、先端半
径5mmの半円柱形状)と呼ばれる金属部品で5mm/
分の速度で押し下げ、その時の押し下げ荷重が、5Kg
と15Kgにおける2つの曲げ応力から傾きを求め、弾
性率を求めたものを用いる。
【0012】さらに前記各種物性、係数の間にはつぎの
関係があることを究明した。
【0013】すなわち、車体側から伝わる周期的振動を
acosωtで表わした場合(aは振幅を示す。) W(L)=a×(cosλ+coshλ)/(1+cosλ・coshλ) (1) が基本式となり、この式(1)で求めたW(L)が、強
制振動数120Hz以下の条件下で共振倍率20倍以下
を満たせば、実走行時の画面ぶれを基準以下に充分抑え
ることができるのである。
【0014】ここでW(L)は、定常的な強制振動とし
て前記周期的振動acosωtを採用したときの固定側か
らLだけ離れた部位の強制振動応答(静的撓みに対する
振幅の倍率を表わす関数)を示しており、λは固有モー
ドを示し、以下の式(2)により計算される。 λ=kL (2)
【0015】前記kは、ブラケットのバネ常数を示し、
バネ常数は以下の式(3)で計算される。 k4=ω2ρA/(EI) (3)
【0016】このときのωは、強制振動の振動数で、以
下の式(4)で計算される。 ω=2πf (4)
【0017】また、このときのfは、車輌側から伝えら
れる振動数(単位:Hz)である。さらに、Eはブラケ
ットを形成する合成樹脂組成物の曲げ弾性率、Iはブラ
ケットの断面2次モーメント、ρはブラケットを構成す
る合成樹脂組成物の比重、Aはブラケットの断面積をそ
れぞれ示している。
【0018】また、振動減衰性については、以下の式が
成り立つことを見出した。振動1サイクル毎の損失エネ
ルギーは、 H=πE’a2tanδ (5) E’は動的弾性率、aは振幅、tanδは振動吸収係数
を表わす。
【0019】以上のような部品を作製するための合成樹
脂組成物としては、その比重が1.7以上、また曲げ弾
性率が16500MPa以上としたものが好適である。
そのような合成樹脂組成物の具体例としては、高フィラ
ー強化熱可塑性樹脂、とくに55〜70重量%のフィラ
ーを含有した強化ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートと
ポリブチレンテレフタレートのアロイ、ポリプロピレ
ン、ポリアミド、結晶性スチレンが挙げられ、またta
nδを上げるには、これらの樹脂にスチレン−イソプレ
ン−スチレン(SIS)ブロック共重合体、スチレン−
イソプレン(SI)ブロック共重合体、水添スチレン−
イソプレン−スチレン(水添SIS)ブロック共重合
体、水添スチレン−イソプレン(水添SI)ブロック共
重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン(SIB
S)ブロック共重合体、イソプレン−イソブチレン共重
合体、クロロプレン重合体、ノルボルネン重合体、ポリ
ウレタン、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、アクリ
ロニトリル−ブタジエンラバー(NBR)、シリコーン
ゴムなどを添加することにより達成される。
【0020】またこのときの対数減衰率は、自由振動を
与え、減衰曲線をとったとき、となり合う振幅(となり
合う山同士など)から計算され、 対数減衰率=loge(ai/ai+2) から計算され、0.07以上となる。
【0021】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明を添付図面に基づ
き詳細に説明する。
【0022】前記式(1)〜(4)により得られる強制
振動応答W(L)を共振倍率20倍以下にすることで、
金属ダイキャスト製ブラケットと比較して製造に用いる
金型寿命が長く、また、合成樹脂組成物製であるにもか
かわらず車輌走行時の画面ぶれが少なく、しかも安価で
コンパクトなドアミラーを提供できる。このような式
(1)〜(4)を満足する合成樹脂製ブラケットは、以
下のような手法により簡単に得ることができる。
【0023】まず、ブラケットにおける振動は、固定側
から最も離れた位置において最も顕著であることから、
Lとしては、ブラケット断面における固定側から先端ま
での距離として計算すればよい。また、車体側の振動数
としては、実用上、車輌の振動は120Hz程度までを
検討すればよく、とくに70〜90Hz付近に現れる3
次固有モードの共振現象が重要である。
【0024】また、前記ブラケットの断面2次モーメン
ト(I)は、実用上4000〜12000mm4の範囲
内であり、また、その断面積(A)は、実用上300〜
1000mm2の範囲内である。したがって、目的とす
る合成樹脂製ブラケットを得るためには、前記ブラケッ
ト断面における固定側から先端までの距離(L)、ブラ
ケットの断面2次モーメント(I)、断面積(A)を実
用的な範囲で適宜設計し、強制振動数が120Hz程度
までにおいて共振倍率が20倍以下となるような曲げ弾
性率(E)および比重(ρ)を満足する樹脂組成物を選
択してブラケットを製造することで、目的とする画面ぶ
れが抑制された車輌用ドアミラーとすることができる。
【0025】図1〜3は本発明にかかる振動を抑制する
ための車輌用部品構造の代表的実施形態を示し、図中1
はドアミラー、6はブラケットをそれそれ示している。
図1はドアミラー1の構造を示す模式的分解斜視図であ
る。電動調整式のドアミラー1は、車体に固定されたア
ルミダイキャスト製の金属ステー8に同じくアルミダイ
キャスト製の金属シャフト9を介してブラケット6が軸
着され、当該ブラケット6にABS樹脂やAAS樹脂か
らなるミラーハウジング5、ならびに図示しない電動モ
ータにより傾動操作される可動式ミラー7をそれぞれ取
り付けて構成されている。
【0026】前記ブラケット6は、図2に示されるよう
に、高さh=129mmの寸法を有し、主要リブは横方
向に沿って設けられるため、該ブラケット6における前
記強制振動応答W(L)を考える場合は下端部11を固
定端とした上端部10における共振倍率に着目すればよ
く、先端までの距離Lはhとなる。
【0027】また、図2中のP−P断面を示す図3は、
ブラケット6における高さ方向に沿って一様な断面形状
を有する基本断面とみなすことができる。ここで、図3
において、水平方向の寸法は、X1=124mm、X2
43mm、X3=65mm、X4=11mm、X5=3m
m、X6=8mm、X7=5mm、X8=5mm、X9
2.5mm、X10=2.5mmであり、垂直方向の寸法
はY1=9mm、Y2=6.5mm、Y3=9mm、Y4
4.5mm、Y5=2.5mm、Y6=2.7mm、Y7
=3mm、Y8=2.5mm、Y9=2.5mmである。
これらの数値に基づいて以下の材料力学の公知の式を用
いて断面2次モーメントの計算を行なう。
【0028】仮に設けた曲げ方向の線(X軸)から、図
心を通るX軸に平行な曲げ中心線までの距離をYeとす
ると、 Atotal×Ye=A1×Y1+‥‥‥+An×Xn ・・・ (An:n番要素の面積、Xn:X軸からn番要素重心ま
での距離) この式からYeを求める。ついで、 IAn=(1/2)×bn・hn 3+An×(Xn−Ye)2 ・・・ (bn:n番要素の幅寸法、hn:n番要素の厚み寸法) を計算し、最後に次式より断面2次モーメントItotal
を求める。 Itotal=IA1+‥‥‥IAn ・・・
【0029】以上の式〜から断面2次モーメントI
は7648.64mm4、断面積Aは471.6mm2
求めることができる。なお、ここで図3中の図示しない
寸法は2mmである。
【0030】そして、ブラケット6を形成する合成樹脂
組成物の曲げ弾性率Eを18000MPaとした場合
に、比重ρを1.5(図4のIのグラフ)、1.78
(同IIのグラフ)、2(同IIIのグラフ)として前記式
(1)〜(4)で得られるそれぞれの強制振動応答W
(L)は、図4に示すとおりである。この図4から、ブ
ラケット6を構成する合成樹脂材料の比重(ρ)が1.
7以上であれば、式(1)〜(4)で得られる強制振動
応答W(L)が共振倍率20倍以下となる合成樹脂製ブ
ラケットを得ることができることがわかる。
【0031】また、ブラケット6を形成する合成樹脂組
成物の比重(ρ)を1.78とした場合に、曲げ弾性率
(E)を15000MPa(図5のIのグラフ)、16
000MPa(同IIのグラフ)、18000MPa(同
IIIのグラフ)、19000MPa(同VIのグラフ)と
した前記式(1)〜(4)で得られる各強制振動応答W
(L)は、図5に示すとおりである。この図5から、ブ
ラケット6を構成する合成樹脂材料の曲げ弾性率(E)
が18000MPa以上であれば、式(1)〜(4)か
ら得られる強制振動応答W(L)が共振倍率20倍以下
となる合成樹脂製ブラケットを得ることができることが
わかる。
【0032】前記のような比重(ρ)および縦弾性率
(E)を有する合成樹脂組成物としては、55〜70重
量%のフィラーを含有した強化ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレ
フタレートとポリブチレンテレフタレートのアロイ、ポ
リプロピレン、ポリアミド、結晶性ポリスチレンをあげ
ることができる。この場合のフィラーとしては、ガラス
繊維またはマイカ、炭酸カルシウム、ワラストナイト、
タルクなどの無機粉体、カーボンファイバーがあげられ
る。
【0033】前記のようにして得られる本発明の振動を
抑制するための車輌用部品構造は、合成樹脂材料から形
成されているので、金属ダイキャスト品と比較して製造
時の金型寿命が長く、また合成樹脂製であっても車輌走
行時の振動が少なくかつ安価でコンパクトなドアミラー
を提供することができる。
【0034】また、tanδを上げることによって、振
動一回当たりの損失エネルギーを向上させ、また、対数
減衰率を0.07以上に向上させることにより、車両か
らの振動が、停止した場合、きわめて短時間で、振動が
減衰し、ドアミラーの画面ぶれを停止することができ
る。
【0035】また、同じような理由で、ドアミラーステ
イへの応用も可能である。
【0036】さらにエンジン内のピストンの騒音を透過
させにくい、エンジンカバー(たとえばエンジンヘッド
のカバーなど)への応用も同じく、騒音は、振動の伝播
であるから、それが、大幅に減衰するため、エンジンカ
バー上部から外への騒音を大幅に削減できるため、本発
明のような合成樹脂を使用することによって、走行中静
粛な車内を保つことができ、本発明の応用範囲である。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。本
実施例で行なう振動試験、およびその評価方法はつぎの
とおりである。
【0038】(振動試験)図6は本実施例に採用される
ドアミラーの加振評価法を示す説明図であり、図示した
ようにドアミラー1を固定治具を介して0〜120Hz
の範囲で加振し、ミラー7からl1=0.8〜1m離れ
た位置のレーザーポインター2からレーザー光を照射
し、その反射光を約l2=2m離れたスクリーン3で受
光する。
【0039】(評価方法)前記スクリーン3で受けた反
射光による測定光源4の光ぶれの振幅を測定し、該光ぶ
れの振幅が20mm以下であれば実車走行時に問題とな
らず合格と判断する。
【0040】実施例1および比較例1ともに、前述の図
3に示す断面形状のブラケット6が用いられ、断面2次
モーメントIは7648.64mm4、断面積Aは47
1.6mm2である。
【0041】そして、使用される合成樹脂組成物はつぎ
に示すものである。
【0042】すなわち、実施例1では、曲げ弾性率15
000MPa、比重1.78の50%フィラー強化ポリ
エチレンテレフタレートを用い、比較例1では、合成樹
脂組成物として曲げ弾性率19000MPa、比重1.
88の60%フィラー強化ポリエチレンテレフタレート
を用いた。
【0043】ここで、前記実施例1のドアミラーにおい
て式(1)〜(4)により求められる強制振動応答は、
図7に示されるように、強制振動数が約75Hzで現れ
る3次固有モードの共振倍率が12倍程度となり、実際
の振動試験による測定光源の光ぶれの振幅も前述の基準
を充分に満たすものと推測される。
【0044】また、前記比較例1のドアミラーにおいて
式(1)〜(4)により求められる強制振動応答は、図
8に示されるように、共振振動数が約25Hzで現れる
2次固有モードの共振倍率が約34倍、約70Hzで現
れる3次固有モードの共振倍率が20倍程度となり、実
際の振動試験による測定光源の光ぶれの振幅も基準を満
たさないと推測できる。
【0045】評価結果はつぎのとおりである。
【0046】実施例1 実際の振動試験による光ぶれの振幅は、図9に示される
ように、最大13mm程度であり、基準となる「20m
m以下」を充分満たしている。
【0047】比較例1 実際の振動試験による光ぶれの振幅は、図10に示され
るように、最大22mm程度であり、前記基準を満たさ
ず良好でない。
【0048】以上より、式(1)の結果が実際の振動試
験の結果と一致することが明らかであり、式(1)〜
(4)で求められる強制振動応答W(L)が、強制振動
数120Hz以下の条件で共振倍率20倍以下を満たす
合成樹脂製ブラケットを構成することで、画面ぶれを抑
制してなる車輌用ドアミラーを得るという本発明の目的
を達成できることが明らかである。
【0049】また、車輌が停止した場合の画面ぶれを制
止させる効果を見るため、1自由度減衰系の自由振動で
実験した例を図11〜13のグラフに示す。なお、グラ
フを見やすくするため、図11ではt≦0.3の領域、
図12ではt≦0.15の領域については波形の山谷の
先端を点で示している。
【0050】この試験では、60%フィラー強化ポリエ
チレンテレフタレートにスチレン−イソプレン−スチレ
ン(SIS)を0、5、10重量%添加した結果例を示
す。
【0051】これによれば、実際にSISを5重量%入
れたものと入れないものとでは、振動継続時間では、添
加側が、半分程度となり、また、振動の減衰の大きさを
表わす対数減衰率は、約37%上昇する。
【0052】この対数減衰率は、(6)で図11〜13
の振幅の大きさから計算される。 対数減衰率=loge(ai/ai+2) (6) aiはi番目の振幅、ai+2はi+2番目の振幅。
【0053】また、この実験における24℃、70Hz
におけるtanδ、対数減衰率、振動継続時間をまとめ
た結果を表1に示す。
【0054】また、tanδの測定は、JIS K 7
198に準じて、レオバイブロンDDV−25FP型を
使用し、引張りモード、加振振幅25μm、掴み具間3
0mmで測定した結果を用いた。
【0055】
【表1】
【0056】この結果を見ても、本発明における材料を
使用した場合、車輌停止後、画面ぶれが早期に減衰して
なる車輌用ドアミラーを得るという本発明の目的を達成
できることが明らかである。
【0057】また、対数減衰率は、24℃、湿度50%
の環境下で、図14に示されるように、ASTM試験用
ダンベル13を用いて、サンプル支持台12の上で梁長
さg 1を158mmに調整し、一端を固定して任意の曲
げを与え、放すことにより、その振幅をレーザー測位器
14を用いて先端からの位置g2(10mm程度)で測
定し、アンプ15で増幅し、それをXYプロッター16
に出力することにより求めたグラフから計算された。
【0058】この試験方法を図14に示す。
【0059】また、本発明の合成樹脂内を騒音波が伝播
する際、大幅に減衰されることから、外部の騒音が減少
できることも明らかである。
【0060】
【発明の効果】振動を抑制するための車輌用部品構造、
ステイを構成する合成樹脂組成物の曲げ弾性率、その密
度、ブラケットの断面2次モーメント、断面積などを、
式(1)で表わされる強制振動応答が強制振動数120
Hz以下の条件で共振倍率20倍以下を満たすように設
定することで、合成樹脂製ブラケットであっても、車輌
用ドアミラーの後方視認性を妨げるミラーの振動、すな
わち画面ぶれを抑えることができる。
【0061】また、合成樹脂製であるため寿命の長い射
出成形金型を利用することができ、金型作製面数の削減
によるコストダウンが図れる。
【0062】さらに、補強リブを削減することにより、
ブラケット形状のフラット化による車輌用ドアミラーの
コンパクト化が容易であるとともに、使用する合成樹脂
量の低減によるコストダウンが図ることができる。
【0063】また、SISなどの添加により、tanδ
および対数減衰率を高めることで、車輌側の振動停止後
の画面ぶれの抑制を図ることができ、また本材料で構成
された樹脂内を騒音波とうが伝播する際、大幅に減衰す
ることから、振動のみならずこの材料で騒音部を囲むこ
とにより、外部への騒音漏れも軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的実施形態にかかわるドアミラー
の構造を示す模式的分解斜視図である。
【図2】図1のブラケットの一例を示す概略正面図であ
る。
【図3】図2のブラケットにおける主要断面であるP−
P断面図である。
【図4】式(1)〜(4)で得られる図1のブラケット
の強制振動応答を示すグラフであり、縦軸は振幅倍率、
横軸は強制振動数をそれぞれ示している。
【図5】式(1)〜(4)で得られるブラケットの強制
振動応答を示すグラフであり、縦軸は振幅倍率、横軸は
強制振動数をそれぞれ示している。
【図6】本発明の一実施の形態であるドアミラーの加振
評価法を示す説明図である。
【図7】本発明の実施例1のドアミラーにおいて式
(1)〜(4)で求められるブラケットの強制振動応答
を示すグラフであり、縦軸は振幅倍率、横軸は強制振動
数をそれぞれ示している。
【図8】比較例1のドアミラーにおいて式(1)〜
(4)で求められるブラケットの強制振動応答を示すグ
ラフであり、縦軸は振幅倍率、横軸は強制振動数をそれ
ぞれ示している。
【図9】本発明の実施例1のドアミラーにおいて振動試
験による光ぶれの振幅を示すグラフであり、縦軸は振
幅、横軸は加振装置の振動周波数をそれぞれ示してい
る。
【図10】比較例1のドアミラーにおいて振動試験によ
る光ぶれの振幅を示すグラフであり、縦軸は振幅、横軸
は加振装置の振動周波数をそれぞれ示している。
【図11】本発明のブラケットを形成する合成樹脂組成
物として、フィラー60%ポリエチレンテレフタレート
の減衰波形を示すグラフであり、縦軸は振幅、横軸は時
間を示している。
【図12】本発明のブラケットを形成する合成樹脂組成
物として、フィラー60%ポリエチレンテレフタレート
にSIS5%を添加した場合の減衰波形を示すグラフで
あり、縦軸は振幅、横軸は時間を示している。
【図13】本発明のブラケットを形成する合成樹脂組成
物として、フィラー60%ポリエチレンテレフタレート
にSIS10%を添加した場合の減衰波形を示すグラフ
であり、縦軸は振幅、横軸は時間を示している。
【図14】本発明のtanδおよび対数減衰率を求める
際用いた評価法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ドアミラー 2 レーザーポインター 3 スクリーン 4 測定光源 5 ミラーハウジング 6 ブラケット 7 ミラー 8 ステー 9 シャフト 10 上端部 11 下端部 12 サンプル支持台 13 試験用ダンベル 14 レーザー測位器 15 アンプ 16 XYプロッター(データロガー付) h 高さ
フロントページの続き Fターム(参考) 3D053 FF03 FF22 FF23 FF29 GG06 HH09 JJ07 KK02 3J048 AA01 BD01 DA06 EA01 4J002 AC02X AC07X AC09X BB12W BG04X BK00X BP01X CE00X CF06W CF07W CK02X CL00W CP03X DA016 DE236 DJ006 DJ046 DJ056 DL006 FA046 FD016 GN00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対数減衰率が0.07以上かつ、振動吸
    収係数tanδが0.01以上で、曲げ弾性率が165
    00MPa以上の高剛性合成樹脂組成物から形成される
    振動を抑制するための車輌用部品構造であって、車体側
    から伝わる振動エネルギーの一部を熱エネルギーに変換
    することにより、共振を低く抑えつつ、振動を早期に減
    衰し、かつ以下の共振性を満たすことを特徴とする振動
    を抑制するための車輌用部品構造。共振性については、
    車体側の振動をacosωtの振動を与えたとして、 W(L)=a×(cosλ+coshλ)/(1+cosλ・coshλ) (1) を満たす。ここで、aは振幅、λは下記式(2)より求
    められる固有モードであり、 λ=kL (2) 式(2)中、kは下記式(3)より求められる振動が抑
    制される部品のバネ常数であり、 k4=ω2ρA/EI (3) 式(3)中、ρは前記部品を形成する合成樹脂組成物の
    比重、Aは前記部品の断面積、Eは前記部品を形成する
    合成樹脂組成物の曲げ弾性率、Iは前記部品の断面2次
    モーメント、ωは下記式(4)より求められる強制振動
    の振動数であり、 ω=2πf (4) 式(4)中、fは車輌側から伝えられる振動数である。
  2. 【請求項2】 前記振動が抑制される部品の主要振動方
    向における代表断面2次モーメントIが4000〜12
    000mm4の範囲内である請求項1記載の車輌用部品
    構造。
  3. 【請求項3】 前記振動が抑制される部品の断面積Aが
    300〜1000mm2の範囲内である請求項1記載の
    車輌用部品構造。
  4. 【請求項4】 前記振動が抑制される部品を構成する合
    成樹脂組成物の比重(ρ)が1.6以上である請求項1
    記載の車輌用部品構造。
  5. 【請求項5】 前記振動が抑制される部品を構成する合
    成樹脂組成物の曲げ弾性率(E)が16500MPa以
    上である請求項1記載の車輌用部品構造。
  6. 【請求項6】 前記合成樹脂組成物が、55〜70重量
    %のフィラー強化ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
    チレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートと
    ポリブチレンテレフタレートのアロイ、ポリプロピレ
    ン、ポリアミドおよび結晶性スチレンからなる群より選
    ばれた少なくとも一種からなる請求項1、2、3、4ま
    たは5記載の車輌用部品構造。
  7. 【請求項7】 前記合成樹脂組成物に、スチレン−イソ
    プレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプ
    レンブロック共重合体、水添スチレン−イソプレン−ス
    チレンブロック共重合体、水添スチレン−イソプレンブ
    ロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレンブ
    ロック共重合体、イソプレン−イソブチレン共重合体、
    クロロプレン重合体、ノルボルネン重合体、ポリウレタ
    ン、アクリル酸エステル系樹脂、アクリロニトリル−ブ
    タジエンラバーおよびシリコーンゴムからなる群より選
    ばれた少なくとも一種を添加することにより、tanδ
    を0.01以上に向上させ、かつ対数減衰率を0.07
    以上に向上させた請求項6記載の車輌用部品構造。
  8. 【請求項8】 前記振動が抑制される部品が、ドアミラ
    ーのブラケットである請求項1、2、3、4、5、6ま
    たは7記載の車輌用部品構造。
  9. 【請求項9】 前記ドアミラーが電動で角度調節される
    可動式ミラーを備えてなる請求項8記載の車輌用部品構
    造。
  10. 【請求項10】 前記振動が抑制される部品がドアミラ
    ーのステイである請求項1、2、3、4、5、6または
    7記載の車輌用部品構造。
  11. 【請求項11】 前記振動が抑制される部品がエンジン
    カバーである請求項1、2、3、4、5、6または7記
    載の車輌用部品構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6923060B2 (en) 2002-08-02 2005-08-02 Denso Corporation Capacitive-type acceleration sensor

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