JP2001300699A - 扁平型浸漬ノズル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏った溶鋼の流し込みが抑制され、高品質な
鋳造品の製造に適する扁平型浸漬ノズルの提供。 【解決手段】 スライドゲート５の溶鋼用流路５ａに対
峙する一端側がノズル軸線に垂直な断面形状が円形の溶
鋼用流路７ａを成し、他端封止側がノズル軸線に垂直な
断面形状が扁平形で、かつ先端部の長径方向に対向して
開口７ｃ、７ｄする溶鋼用流路７ｂを成す扁平型浸漬ノ
ズルであって、前記スライドゲート５に対峙する溶鋼用
流路７ａの円形状断面が径大化部７ａ′および径小化部
７ａ″から成る溶鋼撹拌部を備えていることを特徴とす
る。また、スライドゲート５に対峙する溶鋼用流路５ａ
端面の内壁面一部に、テーパ付きの溝なすし切り欠き部
が形成されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造に使用さ
れる扁平型浸漬ノズルに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、薄スラブ連続鋳造設備による薄板
（厚さ５０〜１２０ｍｍ程度）の熱間圧延製造プロセス
が実用化され、また、広く普及している。この製造プロ
セスは、生産性や製造コスト、省エネルギーなどを考慮
し、一般的に、連続鋳造設備とストリップミルとが直結
したレイアウトとなっている。

【０００３】ここで、薄スラブの連続鋳造などにおいて
は、溶鋼容器の湯だし口側にスライドゲート付きの浸漬
型ノズル設置しておき、前記スライドゲート側における
相対的な摺動・移動・開閉によって溶鋼の流量の制御を
行いながら、モールド中に供給して一次的な薄板に鋳造
している。そして、溶鋼の供給に浸漬ノズルとして、モ
ールド側に位置して供給された溶鋼に接する先端部が、
ノズル軸線に垂直な断面形状を扁平に形成した扁平型浸
漬ノズルが開発されている。

【０００４】図３は、上記扁平型浸漬ノズルの概略構成
を示す断面図である。図３において、１はスライドゲー
ト２付きの上ノズル、３は前記スライドゲート２溶鋼用
流路２ａに対峙する一端側が、ノズル軸線に垂直な断面
形状が真円形の溶鋼用流路３ａを成し、他端封止側がノ
ズル軸線に垂直な断面形状が扁平の溶鋼用流路３ｂを成
し、かつ先端部の長径方向に対向して開口３ｃ、３ｄし
て溶鋼用流路を成す浸漬ノズル本体である。ここで、溶
鋼容器の湯だし口に接続する上ノズル１は、一体的に配
置されたスライドゲート２面に、摺動可能、かつ液密に
浸漬ノズル本体３の溶鋼用流路３ａ端面を装着・組み合
わせて、扁平型浸漬ノズル４を構成している。

【０００５】このように、浸漬ノズル４の溶鋼流出部３
ｃ、３ｄ側の溶鋼用流路３ｂを扁平状にすると、モール
ドの形状に近い形状を採ることになるため、薄スラブの
連続鋳造などに適している。ここで、扁平状とは、いわ
ゆる扁平状、楕円状、長方形など全体的に細長い形状を
意味する。

【０００６】なお、上記スライドプレート２は、その摺
動によって溶鋼用流路２ａ、３ａを相対的に開閉し、溶
鋼の流量制御を行う機能から、摺動および面圧に耐える
強度が要求され、このような素材としては、たとえばア
ルミナ−カーボン材質系が挙げられる。また、扁平型浸
漬ノズル本体３は、溶鋼に直接接触する機能性から、高
いスポーリング性、耐食性、機械的な強度が要求され、
このような素材としては、たとえばアルミナ−黒鉛材質
が挙げられる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記、扁平型浸漬ノズ
ル４は、実用上すぐれた特長を有するとはいえ、次のよ
うな不都合が認められる。すなわち、溶鋼の流量制御を
行うために、スライドゲート２の溶鋼用流路２ａに対
し、扁平型浸漬ノズル本体３の真円形溶鋼用流路３ａの
位置をずらしたとき、その程度にもよるが、真円形溶鋼
用流路３ａに流入した溶鋼の偏流が発生する傾向があ
る。

【０００８】たとえば図４（ａ）に要部を断面的に示す
ように、相対的な摺動・操作によって、スライドゲート
２の溶鋼用流路２ａに対し、扁平型浸漬ノズル本体３の
真円形溶鋼用流路３ａの位置をずらした場合、スライド
ゲート２を介して扁平型浸漬ノズル３側に流入した溶鋼
は、図４（ｂ）に溶鋼の流れを矢印で模式的に示すごと
く、真円形溶鋼用流路３ａおよび扁平の溶鋼用流路３ｂ
で偏流を生ずる。したがって、扁平型浸漬ノズル本体３
の扁平溶鋼用流路３ｂ先端部に、扁平の長経方向に対向
して設けられている開口・流出部３ｃ、３ｄからの流出
量も必然的に偏ってくることになる。

【０００９】この溶鋼の流出量が左右方向で偏たると、
モールド内での流入・供給量の不均一化を招来するた
め、連続鋳造する鋳造製品の厚さの一様性や均質性など
が損われ、品質の向上など阻害される。そして、溶鋼の
流入・供給量の偏流は、鋳造製品の歩留まりや生産性、
さらには、コストなどを左右するので、実用上由々しい
問題の提起といえる。

【００１０】本発明は、このような事情に対処してなさ
れたもので、偏った溶鋼の流し込みが抑制され、高品質
な鋳造品の製造に適する扁平型浸漬ノズルの提供を目的
とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、スラ
イドゲートの溶鋼用流路に対峙する一端側がノズル軸線
に垂直な断面形状が円形の溶鋼用流路を成し、他端封止
側がノズル軸線に垂直な断面形状が扁平形で、かつ先端
部の長径方向に対向して開口する溶鋼用流路を成す扁平
型浸漬ノズルであって、前記スライドゲートに対峙する
溶鋼用流路の円形状断面が径大化部および径小化部から
成る溶鋼撹拌部を備えていることを特徴とする扁平型浸
漬ノズルである。

【００１２】請求項２の発明は、スライドゲートの溶鋼
用流路に対峙する一端側がノズル軸線に垂直な断面形状
が円形の溶鋼用流路を成し、他端封止側がノズル軸線に
垂直な断面形状が扁平形で、かつ先端部の長径方向に対
向して開口する溶鋼用流路を成す扁平型浸漬ノズルであ
って、前記スライドゲートに対峙する溶鋼用流路端面の
内壁面の一部が、スライドゲートに対してテーパ付きに
形成されていることを特徴とする扁平型浸漬ノズルであ
る。

【００１３】請求項１および２の発明において、スライ
ドゲートおよび扁平型浸漬ノズル本体などの構成素材
は、たとえばアルミナ−カーボン材質系、アルミナ−黒
鉛材質系など、この種の溶鋼用ノズルの構成に使用され
る材質なら、いずれであってもよい。そして、これらス
ライドゲートおよび扁平型浸漬ノズル本体などは、従来
の製造方法を基本として製造できる。

【００１４】請求項１および２の発明において、スライ
ドゲートの溶鋼用流路に対峙する断面形状が円形の溶鋼
用流路を成す領域、およびこの円形の溶鋼用流路に連接
する断面形状が扁平形の領域の内径や扁平の度合い、そ
れらの長さ、先端部の長径方向に対向して設けられた開
口ないし溶鋼流出口の径や角度などは、溶鋼の連続鋳造
の規模や鋳造製品に応じて決められる。

【００１５】請求項１の発明において、スライドゲート
の溶鋼用流路に対峙する断面形状が円形の溶鋼用流路を
成す領域は、その円形状断面が径大部および径小部を有
する構造に成っている。ここで、円形状断面の径大部お
よび径小部は、スライドゲートの溶鋼用流路に対峙する
円形の溶鋼用流路の端面経を基準とし、この基準値に対
する大小で区分される。

【００１６】そして、円形状断面が径大部および径小部
を有する構造化は、スライドゲートを介して流入する溶
鋼流が凹凸化ないしジグザグ化した内壁面に対する衝突
により、溶鋼がこの領域を通過する段階で流れが撹拌な
いし撹乱され、偏った流れの抑制に作用するものであ
る。したがって、円形状断面が径大部および径小部の経
比、径大部および径小部の領域比などは、前記機能を果
たす限り、特に限定されない。

【００１７】請求項２の発明において、スライドゲート
に対峙する断面形状が円形の溶鋼用流路端面の内壁面に
対するテーパ付け（切り欠き）は、前記スライドゲート
に対向する位置ないし領域である。つまり、相対的な摺
動によってスライドゲートの溶鋼用流路が部分的に塞が
る側に対向・対峙する断面形状が円形の溶鋼用流路端面
の内壁面側にテーパ付きの溝などが設けられる。

【００１８】そして、スライドゲートに対峙する断面形
状が円形の溶鋼用流路端面の内壁面に対するテーパ付切
り欠き部ないし溝の形成は、スライドゲートを介して流
入する溶鋼流が、スライドゲートの摺動で塞がれる断面
形状が円形の溶鋼用流路側に強制的に供給され、偏った
流の抑制に作用するものである。したがって、テーパ付
切り欠き部ないし溝の数、切り欠きないし溝の深さや
幅、テーパの角度などは、前記機能を果たす限り、特に
限定されない。

【００１９】

【発明の実施態様】以下、図１（ａ）、（ｂ）および図
２（ａ）、（ｂ）を参照して実施例を説明する。

【００２０】図１は、第１の発明に係る扁平型浸漬ノズ
ルの概略構成を示すもので、（ａ）は側面断面図、
（ｂ）は正面断面図である。図１（ａ）、（ｂ）におい
て、５は上ノズル６に一体化されたスライドゲートであ
り、スライドゲート５および上ノズル６は、ほぼ真円形
の溶鋼用流路５ａ、６ａが一体的に連通している。そし
て、上ノズル６が溶鋼容器の湯だし口に接続され、スラ
イドゲート５面に扁平型浸漬ノズル本体７の端面が摺動
可能で、かつ液密に装着一体化される。

【００２１】上記扁平型浸漬ノズル本体７は、スライド
ゲート５面に対峙する一端側がノズル軸線に垂直な断面
形状が円形の溶鋼用流路を７ａ成し、他端封止側がノズ
ル軸線に垂直な断面形状が扁平形７ｂで、かつ先端部の
長径方向に対向して開口７ｃ、７ｄする溶鋼用流路を成
す構成と成っている。

【００２２】なお、円形の溶鋼用流路７ａは、スライド
ゲートに対峙する溶鋼用流路の円形状断面が径大化部７
ａ′および径小化部７ａ″で構成されている。また、断
面形状が扁平形の溶鋼用流路７ｂは、テーパ付きで径大
化された領域を介して円形の溶鋼用流路７ａの径小化部
７ａ″に連接している。

【００２３】この実施例においては、スライドゲート５
の溶鋼用流路５ａは、径５０〜９０ｍｍ程度である。ま
た、扁平型浸漬ノズル本体７の大化部７ａ′は、テーパ
角度３０〜６０°程度、深さ１０〜２０ｍｍ程度の環状
溝で、径小化部７ａ″の径は、前記スライドゲート５の
溶鋼用流路５ａ径よりも１０ｍｍ程度小さく、長さが５
０〜２００ｍｍ程度の円筒状である。さらに、扁平形の
溶鋼用流路７ｂは、テーパ角度１０〜３０°程度のテー
パ付きの扁平形領域７ｂ′、および断面形状が２０〜３
０×１００〜２００ｍｍ程度、長さ３００〜５００ｍｍ
程度の扁平形領域７ｂ″である。なお、扁平形領域７
ｂ″に対向・対称的に設けられた開口７ｃ、７ｄは、断
面形状が３０〜６０×１００〜２５０ｍｍ程度、角度３
０〜６０°程度である。

【００２４】図２は、第２の発明に係る扁平型浸漬ノズ
ルの概略構成を示すもので、（ａ）は側面断面図、
（ｂ）は正面断面図、（ｃ）は扁平型浸漬ノズル本体の
上面図である。この実施例は、第１の実施例の場合、ス
ライドゲート５に対峙する扁平型浸漬ノズル本体７の溶
鋼用流路７ａが径大化部７ａ′および径小化部７ａ″で
構成されていたのを断面真円形にし、その代わりに、溶
鋼用流路７ａ端面にテーパ角度３０〜６０°程度、幅１
０〜３０ｍｍ程度の切り欠き部７ｅを設け、溶鋼の偏流
発生を抑制する構成を採ったものである。

【００２５】つまり、第２の実施例は、従来の扁平型浸
漬ノズルの構成の一部に変更を加えて、第１の実施例に
係る扁平型浸漬ノズル場合と同様の作用・効果を得るも
のである。

【００２６】さらに、詳述すると、スライドゲートの溶
鋼用流路に対峙する一端側がノズル軸線に垂直な断面形
状が円形の溶鋼用流路を成し、他端封止側がノズル軸線
に垂直な断面形状が扁平形で、かつ先端部の長径方向に
対向して開口する溶鋼用流路を成す扁平型浸漬ノズルの
構成を基本としている。そして、このような構成におい
て、互いに対峙する断面円形状の溶鋼用流路端面内壁部
に、テーパ付きの切り欠き部７ｅを形成したものであ
る。

【００２７】次に、上記第１および第２の実施例に係る
扁平型浸漬ノズルおよび従来の扁平型浸漬ノズル（第２
の実施例に係る扁平型浸漬ノズルにおいて切り欠き部７
ｅを有しない構成）をそれぞれ使用した場合の実施例を
説明する。

【００２８】上記各扁平型浸漬ノズルの上ノズルを溶鋼
用容器の湯だし口に装着し、これら扁平型浸漬ノズルを
介して、それぞれ溶鋼用容器内の溶融鋼を薄スラブ連続
鋳造用モールドに流し込み・供給したとき、各扁平型浸
漬ノズル先端部の開口（吐出口）７ｃ、７ｄから、それ
ぞれ流出・供給された溶融鋼量の比率（重量％）を求め
たところ表に示すような結果が得られた。なお、この表
示の数値は、それぞれ回行った場合の平均値である。

【００２９】

【表１】

【００３０】上記表から分かるように、請求項１および
２に係る扁平型浸漬ノズルの場合は、従来の扁平型浸漬
ノズルの場合に比べて、溶融鋼の偏った流が抑制され、
より効率よく、品質の高い薄スラブ連続鋳造品が得られ
る。

【００３１】本発明は、上記実施例に限定されるもので
なく、発明の趣旨を逸脱しない範囲でいろいろの変形を
採ることができる。たとえば、スライドゲートの材質や
寸法、扁平型浸漬ノズル本体の材質や形状・寸法など
は、処理容量などに応じて適宜、変更・設定することが
できる。

【００３２】

【発明の効果】請求項１の発明によれはは、スライドゲ
ートに対峙する扁平型浸漬ノズル本体の円形状断面が経
大部および経小部を有する構造化されたことに伴って、
流入する溶鋼流がその領域を通過する段階で撹拌ないし
撹乱され、偏った流れが抑制される。つまり、扁平型浸
漬ノズル本体を流れる過程で、偏った流れが是正・調整
され、左右両方向に等量的に流れる。したがって、薄ス
ラブ連続鋳造用モールドに対する溶鋼の一様な供給・吐
出も容易に確保ないし保持でき、薄スラブ鋳造の生産性
および歩留まり向上に大きく寄与する。

【００３３】請求項２の発明によれば、スライドゲート
に対峙する扁平型浸漬ノズル本体の溶鋼用流路端面の内
壁面に、相対的な摺動によって溶鋼用流路が部分的に塞
がる側にテーパ付きの溝ないし切り欠き部を設けたこと
に伴って、流入する溶鋼流がその領域を通過する段階で
撹乱され、偏った流れが抑制される。すなわち、扁平型
浸漬ノズル本体を流れるに当たって、偏った流れの発生
が是正・抑制され、左右両方向に等量的に流れる。した
がって、薄スラブ連続鋳造用モールドに対する溶鋼の一
様な供給・吐出も容易に確保ないし保持でき、薄スラブ
鋳造の生産性および歩留まり向上に大きく寄与する。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施例に係る扁平型浸漬ノズルの要部構
成を示すもので、（ａ）は側断面図、（ｂ）は正面断面
図。

【図２】第２の実施例に係る扁平型浸漬ノズルの要部構
成を示すもので、（ａ）は側断面図、（ｂ）は正面断面
図、（ｃ）は扁平型浸漬ノズル本体の上面図

【図３】従来の扁平型浸漬ノズルの要部構成を示す正面
断面図。

【図４】従来の扁平型浸漬ノズルにおける溶鋼量制御の
状態を示すもので、（ａ）は側断面図、（ｂ）は溶鋼の
流れと流量との関係例を示す模式図。

【符号の説明】

１、６……上ノズル １ａ、６ａ……上ノズルの溶鋼流路 ２、５……スライドゲート ２ａ、５ａ……スライドゲートの溶鋼流路 ３、７……扁平型浸漬ノズル本体 ３ａ、７ａ……真円形流路 ３ｂ、７ｂ……扁平形流路 ３ｃ、３ｄ、７ｃ、７ｄ……開口・流出口 ７ａ′……真円形流路の径大化部 ７ａ″……真円形流路の径小化部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スライドゲートの溶鋼用流路に対峙する
   一端側がノズル軸線に垂直な断面形状円形の溶鋼用流路
   を成し、他端封止側がノズル軸線に垂直な断面形状扁平
   形で、かつ先端部の長径方向に対向して開口する溶鋼用
   流路を成す扁平型浸漬ノズルであって、前記スライドゲ
   ートに対峙する溶鋼用流路の円形断面が径大化部および
   径小化部から成る溶鋼撹拌部を形成していることを特徴
   とする扁平型浸漬ノズル。
2. 【請求項２】 スライドゲートの溶鋼用流路に対峙する
   一端側がノズル軸線に垂直な断面形状が円形の溶鋼用流
   路を成し、他端封止側がノズル軸線に垂直な断面形状扁
   平形で、かつ先端部の長径方向に対向して開口する溶鋼
   用流路を成す扁平型浸漬ノズルであって、前記スライド
   ゲートに対峙する溶鋼用流路端面の内壁面の一部が、ス
   ライドゲートに対してテーパ付きに形成されていること
   を特徴とする扁平型浸漬ノズル。