JP2001297900A - 超電導高周波加速空胴およびその製造方法 - Google Patents

超電導高周波加速空胴およびその製造方法

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JP2001297900A
JP2001297900A JP2000112947A JP2000112947A JP2001297900A JP 2001297900 A JP2001297900 A JP 2001297900A JP 2000112947 A JP2000112947 A JP 2000112947A JP 2000112947 A JP2000112947 A JP 2000112947A JP 2001297900 A JP2001297900 A JP 2001297900A
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frequency accelerating
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Tomoko Ota
智子 太田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超電導特性を保持しながら、高周波加速空胴
の機械的強度を格段に向上することを可能にした超電導
高周波加速空胴を提供する。 【解決手段】 超電導高周波加速空胴は基体11がNi
からなり、基体の内面の第1層12がNiO、第1層1
2の内側の第2層13がBi2Sr2CaCu2Xで構成
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は荷電粒子を加速する
加速器に使用される超電導高周波加速空胴およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、加速器は電子、陽子、イオン等
の荷電粒子を電磁力で数十億電子ボルト(数GeV)程度
の高エネルギー状態に加速するための装置であり、本
来、これは原子核や素粒子の研究の一翼を担う装置とし
て開発されたものである。この加速器は荷電粒子を加速
するためにそのビームラインに高周波加速空胴を備えて
いる。この高周波加速空胴は共振によって内部に電磁エ
ネルギーを蓄え、高電磁界を発生させてビームにエネル
ギーを与えて加速する装置である。
【0003】ところで、高周波加速空胴内が高電界にな
ると、高周波加速空胴の内表面に循環電流が流れるが、
この電流は高周波電流であるために高周波加速空胴の内
面の材質に応じた表皮深さを流れ、そこにジュール損失
を生じる。通常、銅またはアルミニウム等で作られた常
電導高周波加速空胴を用いて荷電粒子ビームの加速に必
要な高電界を得ようとした場合にはジュール損失が極め
て大きくなり、このジュール損失を補うために大きな高
周波電力を供給できる大出力の高周波発振器が必要にな
る。しかし、現時点で入手可能な高周波発振器にはこの
ような大出力を有するものは存在しない。
【0004】一方、高周波加速空胴の供用中には冷却に
よって機器温度を下げなければならないが、この冷却技
術には未解決な問題があり、常電導高周波加速空胴を適
用することは限界がある。
【0005】上記のような問題に応えて、最近、高周波
加速空胴の内面に電流が流れてもジュール損失が生じな
い、電気抵抗がほぼ零に近い超電導材料で製作した超電
導高周波加速空胴の適用が現実になりつつある。この超
電導高周波加速空胴は多方面で有利な使い方が考えられ
るが、特に、放射性廃棄物の消滅処理用加速器において
は限られた電力、限られた空間内で可能な限り高いエネ
ルギーを持つ粒子が得られる超電導高周波加速空胴に対
する要求が強い。
【0006】この超電導高周波加速空胴の製作で有望視
されているのは高温超電導体を用いて高周波加速空胴を
製造することである。このような製造技術の一例を図1
2に示している。この製造工程は下ポンチ1、中子2、
ダイス3および上ポンチ4を用いて所定の原料粉末5を
プレス成形し(図12(a))、成形体6を得る。続いて、
得られた成形体6を加熱炉7において焼成し、開気孔を
除去し、熱間静水圧プレス(HIP)処理可能な状態に
する(図12(b))。
【0007】この後、HIP処理にて高温・高圧に保持
することによりガス圧力と中子からの反作用にて配向組
織を有するバルクを得る(図12(c))。さらに、得ら
れたバルクについて2個接合することにより超電導高周
波加速空胴8を得る(図12(d))。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の超電導高周波加速空胴は望ましい製造工程を経
て作られたものであっても、バルクのみによっては必要
とする機械的強度は得られず、据え付けなどにおいて取
り扱い中の注意を怠ると、高周波加速空胴に損傷を生じ
る可能性がある。
【0009】そこで、本発明の目的は超電導特性を保持
しながら、高周波加速空胴の機械的強度を格段に向上す
ることを可能にした超電導高周波加速空胴およびその製
造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による超電導高周
波加速空胴は基体がNiからなり、基体の内面の第1層
がNiO、第1層の内側の第2層がBi2Sr2CaCu
2Xで構成されるものである。
【0011】上記構成からなる超電導高周波加速空胴に
おいては荷電粒子ビームが接する内面をBi2Sr2Ca
Cu2Xで構成しているので、電気的に高温超電導特性
を保持することできる。また、基体自体はNiで構成し
ているので、バルクの高温超電導体で成形された高周波
加速空胴と比べて機械的強度を格段に向上することが可
能になる。
【0012】さらに、上記と異なる超電導高周波加速空
胴は基体がNiからなり、基体の内面の第1層がNi
O、第1層の内側の第2層がBi2Sr2CaCu2X
構成され、基体の外面の被覆層がCuで構成される。
【0013】上記構成からなる超電導高周波加速空胴に
おいては上記発明の効果に加えて、外面をCuの被覆層
で構成したので、超電導高周波加速空胴の放熱効果を向
上することができ、より高い加速電界を発生させること
が可能になる。
【0014】また、上記と異なる超電導高周波加速空胴
は基体がAgからなり、基体の内面の層がBi2Sr2
aCu2Xで構成される。
【0015】上記構成からなる超電導高周波加速空胴に
おいては荷電粒子ビームが接する内面をBi2Sr2Ca
Cu2Xで構成しているので、電気的に高温超電導特性
を保持することできる。また、基体自体はAgで構成し
ているので、バルクの高温超電導体で成形された高周波
加速空胴と比べて機械的強度を格段に向上することが可
能になる。
【0016】さらに、上記と異なる超電導高周波加速空
胴は基体がAgからなり、基体の内面の層がBi2Sr2
CaCu2Xで構成され、基体の外面の被覆層がCuで
構成される。
【0017】上記構成からなる超電導高周波加速空胴に
おいては上記発明の効果に加えて、外面をCuの被覆層
で構成したので、超電導高周波加速空胴の放熱効果を向
上することができ、より高い加速電界を発生させること
が可能になる。
【0018】また、上記と異なる超電導高周波加速空胴
は基体がNbからなり、基体の内面の層がNb3Snで
構成される。
【0019】上記構成からなる超電導高周波加速空胴に
おいては荷電粒子ビームが接する内面をNb3Snで構
成しているので、電気的に高温超電導特性を保持し、一
方、Nb3Snの臨界温度TcがNbよりも高いことか
ら、高周波加速空胴の発熱をさらに低下させることがで
きる。また、基体自体はAgで構成しているので、バル
クの高温超電導体で成形された高周波加速空胴と比べて
機械的強度を格段に向上することが可能になる。
【0020】さらに、上記と異なる超電導高周波加速空
胴は基体が強磁性体からなり、基体の内面の層が超電導
体で構成される。
【0021】上記構成からなる超電導高周波加速空胴に
おいては荷電粒子ビームが接する内面を超電導体で構成
しているので、電気的に高温超電導特性を保持し、一
方、外面を強磁性体によって構成しているので、磁気シ
ールド機能を備えることができる。また、基体自体は強
磁性体で構成しているので、バルクの高温超電導体で成
形された高周波加速空胴と比べて機械的強度を格段に向
上することが可能になる。
【0022】また、本発明に係る製造方法はNiを用い
て基体を成形する工程、基体を熱処理にかけて内面にN
iOの薄膜を形成する工程、基体の薄膜の表面にBi2
Sr2CaCu2Xペーストを塗布する工程、基体を熱
処理して内面にBi2Sr2CaCu2Xの薄膜を形成す
る工程からなる。
【0023】さらに、上記と異なる製造方法はNiを用
いて基体を成形する工程、基体を熱処理にかけて内面に
NiOの薄膜を形成する工程、基体の薄膜の表面にBi
2Sr2CaCu2Xペーストを塗布する工程、基体を熱
処理して内面にBi2Sr2CaCu2Xの薄膜を形成す
る工程、Cuを用いて基体の外面を被覆する工程からな
る。
【0024】また、上記と異なる製造方法はAgを用い
て基体を成形する工程、基体の内面にBi2Sr2CaC
2Xペーストを塗布する工程、基体を熱処理して内面
にBi2Sr2CaCu2Xの薄膜を形成する工程からな
る。
【0025】さらに、上記と異なる製造方法はAgを用
いて基体を成形する工程、基体の内面にBi2Sr2Ca
Cu2Xペーストを塗布する工程、基体を熱処理して内
面にBi2Sr2CaCu2Xの薄膜を形成する工程、C
uを用いて基体の外面を被覆する工程からなる。
【0026】また、上記と異なる製造方法は外側がN
b、内側がCu−Snからなるクラッドパイプを製作す
る工程、クラッドパイプを用いて基体を成形する工程、
基体を熱処理にかけてNb層とCu-Sn層との間にN
3Sn層を生成する工程、基体を熱処理して内面のC
u-Sn層を除去する工程からなる。
【0027】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)本発明の第
1の実施の形態について図面を参照して説明する。図1
において、超電導高周波加速空胴は基体11がNiで構
成されている。この基体11の内面の第1層または薄膜
12はNiOからなる。さらに、薄膜12の内側の第2
層または薄膜13はBi2Sr2CaCu2Xからなる。
【0028】上記構成からなる超電導高周波加速空胴に
おいては荷電粒子ビームが接する内面はBi2Sr2Ca
Cu2Xからなる薄膜13で構成したもので、電気的に
高温超電導特性を保持することできる。基体11自体は
Niで構成しているので、バルクの高温超電導体で成形
された高周波加速空胴と比べて機械的強度を格段に向上
することが可能になる。また、Bi2Sr2CaCu2X
の臨界温度Tcは70〜90Kであり、冷媒として安価
な液体窒素を使用することができ、高周波加速空胴を利
用する装置で冷凍機などの運転に要する費用を下げるこ
とが可能になる。
【0029】本実施の形態の超電導高周波加速空胴は以
下の工程を経て製造する。図2において、第1工程にお
いては、Niを用いて基体11を成形し(図2
(a))、第2工程で、基体11の内面にNiOからな
る薄膜12を形成し(図2(b))、第3工程で、薄膜
12の表面にBi2Sr2CaCu2Xペースト13aを
塗布し(図2(c))、第4工程においては、基体11
全体を熱処理にかけてBi2Sr2CaCu2Xの薄膜1
3を形成する(図2(d))。
【0030】各工程を詳細に説明すると、第1工程で
は、Ni製平板からプレス加工または液圧成形またはス
ピニング加工により半体(ハーフセル)を製作する。半
体を2個組み合わせて接合部を溶接等により接合して基
体11を成形する。この方法によらないときは、Ni製
パイプ材を用いて液圧バルジ加工またはスピニング加工
によりシームレスな基体11を成形してもよい。
【0031】第2工程においては、基体11を空気中で
熱処理する。850〜880°Cの温度を保った加熱炉
Fで約8時間熱処理にかけ、基体11の内面に10μm
程度のNiOの薄膜12を形成する。第3工程では、薄
膜12の表面にBi2Sr2CaCu2Xペースト13a
を均一に塗布する。塗布するペーストの厚さは100μ
m程度である。
【0032】最後の第4工程においては、基体11全体
を空気中で熱処理する。加熱炉Fの温度は、初めに、8
85°Cまで昇温し、その後、約830°Cまで10時
間程度をかけてゆっくり温度を下げ、その温度で数時間
保持し、その後、室温まで温度を低下させる。たとえ
ば、全工程で30時間程度の時間をかける。このような
温度制御(徐冷)によって高温超電導の結晶をゆっくりと
成長させる。こうして、薄膜12の表面に20〜30μ
m程度の厚さの高温超電導体であるBi2Sr2CaCu
2Xの薄膜13を形成することができる。
【0033】本実施の形態によれば、荷電粒子ビームが
接する内面をBi2Sr2CaCu2Xからなる薄膜13
で構成しているので、電気的に高温超電導特性を保持す
ることできる。また、基体11自体はNiで構成してい
るので、バルクの高温超電導体で成形された高周波加速
空胴と比べて機械的強度を格段に向上することが可能に
なる。
【0034】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施
の形態を図3および図4を参照して説明する。図3にお
いて、超電導高周波加速空胴は基体11がNiで構成さ
れている。この基体11の内面の第1層または薄膜12
はNiOからなり、さらに、薄膜12の内側の第2層ま
たは薄膜13はBi2Sr2CaCu2Xからなる。ま
た、基体11の外面に被覆層14が形成されている。こ
の被覆層14はCuからなる。
【0035】上記構成からなる超電導高周波加速空胴に
おいては荷電粒子ビームが接する内面はBi2Sr2Ca
Cu2Xからなる薄膜13で構成したもので、電気的に
高温超電導特性を保持することできる。基体11自体は
Niで構成しているので、バルクの高温超電導体で成形
された高周波加速空胴と比べて機械的強度を格段に向上
することが可能になる。特に、本実施の形態では液体窒
素で冷却される外面をCuの被覆層14で構成している
ことから、良好な熱伝導性が保たれ、超電導高周波加速
空胴の放熱効果を向上することができ、より高い加速電
界を発生させることが可能になる。
【0036】本実施の形態の超電導高周波加速空胴は以
下の工程を経て製造する。図4において、第1工程にお
いては、Niを用いて基体11を成形し(図4
(a))、第2工程で、基体11の内面にNiOからな
る薄膜12を形成し(図4(b))、第3工程で、薄膜
12の表面にBi2Sr2CaCu2Xペースト13aを
塗布し(図4(c))、第4工程においては、基体11
全体を熱処理にかけてBi2Sr2CaCu2Xの薄膜1
3を形成する(図4(d))。第5工程では、基体11
の外面にCuからなる被覆層14を形成する(図4
(e))。
【0037】各工程を詳細に説明すると、第1工程で
は、薄いNi製平板からプレス加工または液圧成形また
はスピニング加工により半体を製作する。半体を2個組
み合わせて接合部を溶接等により接合して基体11を成
形する。この方法によらないときは、厚みの薄いNi製
パイプ材を用いて液圧バルジ加工またはスピニング加工
によりシームレスな基体11を成形してもよい。
【0038】第2工程、第3工程および第4工程は第1
の実施の形態の各第2工程、第3工程および第4工程と
同様である。最後の第5工程においては、基体11の外
面に電鋳またはメッキによりCuからなる被覆層14を
形成する。
【0039】本実施の形態によれば、第1の実施の形態
の効果に加えて、液体窒素で冷却される外面をCuの被
覆層14で構成しているので、超電導高周波加速空胴の
放熱効果を向上することができ、より高い加速電界を発
生させることが可能になる。
【0040】(第3の実施の形態)本発明の第3の実施
の形態を図5および図6を参照して説明する。図5にお
いて、超電導高周波加速空胴は基体15がAgで構成さ
れている。この基体15の内面の層または薄膜13はB
2Sr2CaCu2Xからなる。
【0041】上記構成からなる超電導高周波加速空胴に
おいては荷電粒子ビームが接する内面はBi2Sr2Ca
Cu2Xからなる薄膜13で構成したもので、電気的に
高温超電導特性を保持することできる。基体15自体は
Agで構成しているので、バルクの高温超電導体で成形
された高周波加速空胴と比べて機械的強度を格段に向上
することが可能になる。
【0042】本実施の形態の超電導高周波加速空胴は以
下の工程を経て製造する。図6において、第1工程にお
いては、Agを用いて基体15を成形し(図6
(a))、第2工程で、基体15の内面にBi2Sr2
aCu2Xペースト13aを塗布し(図6(b))、第
3工程においては、基体15全体を熱処理にかけてBi
2Sr2CaCu2Xの薄膜13を形成する(図6
(c))。
【0043】工程を詳細に説明すると、第1工程では、
薄いAg製平板からプレス加工または液圧成形またはス
ピニング加工により半体を製作する。半体を2個組み合
わせて接合部を溶接等により接合して基体15を成形す
る。この方法によらないときは、厚みの薄いAg製パイ
プ材を用いて液圧バルジ加工またはスピニング加工によ
りシームレスな基体15を成形してもよい。第2工程お
よび第3工程は第1の実施の形態の第3工程および第4
工程と同様である。
【0044】本実施の形態によれば、荷電粒子ビームが
接する内面をBi2Sr2CaCu2Xからなる薄膜13
で構成しているので、電気的に高温超電導特性を保持す
ることできる。また、基体15自体はAgで構成してい
るので、バルクの高温超電導体で成形された高周波加速
空胴と比べて機械的強度を格段に向上することが可能に
なる。特に、本実施の形態においては、高周波加速空胴
の内面に酸化膜の薄膜を形成する必要がなく、高温超電
導体からなる薄膜13を直接形成することが可能で、製
造工程を簡素化することができる。
【0045】(第4の実施の形態)本発明の第4の実施
の形態を図7および図8を参照して説明する。図7にお
いて、超電導高周波加速空胴は基体15がAgで構成さ
れている。この基体15の内面の層または薄膜13はB
2Sr2CaCu2Xからなる。また、基体15の外面
に被覆層14が形成されている。この被覆層14はCu
からなる。
【0046】上記構成からなる超電導高周波加速空胴に
おいては荷電粒子ビームが接する内面はBi2Sr2Ca
Cu2Xからなる薄膜13で構成したもので、電気的に
高温超電導特性を保持することできる。基体15自体は
Agで構成しているので、バルクの高温超電導体で成形
された高周波加速空胴と比べて機械的強度を格段に向上
することが可能になる。特に、本実施の形態では液体窒
素で冷却される外面をCuの被覆層14で構成している
ことから、良好な熱伝導性が保たれ、超電導高周波加速
空胴の放熱効果を向上することができ、より高い加速電
界を発生させることが可能になる。
【0047】本実施の形態の超電導高周波加速空胴は以
下の工程を経て製造する。図8において、第1工程にお
いては、Agを用いて基体15を成形し(図8
(a))、第2工程で、基体15の内面にBi2Sr2
aCu2Xペースト13aを塗布し(図8(b))、第
3工程においては、基体15全体を熱処理にかけてBi
2Sr2CaCu2Xの薄膜13を形成する(図8
(c))。第4工程では、基体15の外面にCuからな
る被覆層14を形成する(図8(e))。
【0048】工程を詳細に説明すると、第1工程では、
薄いAg製平板からプレス加工または液圧成形またはス
ピニング加工により半体を製作する。半体を2個組み合
わせて接合部を溶接等により接合して基体15を成形す
る。この方法によらないときは、厚みの薄いAg製パイ
プ材を用いて液圧バルジ加工またはスピニング加工によ
りシームレスな基体15を成形してもよい。第2工程、
第3工程および第4工程は第2の実施の形態の第3工
程、第4工程および第5工程と同様である。
【0049】本実施の形態によれば、第3の実施の形態
の効果に加えて、液体窒素で冷却される外面をCuの被
覆層14で構成しているので、超電導高周波加速空胴の
放熱効果を向上することができ、より高い加速電界を発
生させることが可能になる。さらに、高価なAgの使用
量を減少させることができ、製造コストを大きく引き下
げることが可能になる。
【0050】(第5の実施の形態)本発明の第5の実施
の形態を図9および図10を参照して説明する。図9に
おいて、超電導高周波加速空胴は基体16がNbで構成
されている。この基体15の内面の層または薄膜17は
Nb3Snからなる。
【0051】上記構成からなる超電導高周波加速空胴に
おいては荷電粒子ビームが接する内面はNb3Snから
なる薄膜17で構成したもので、電気的に高温超電導特
性を保持し、その臨界温度Tcは約18Kで、Tcが
9.2KであるNbよりも高く、高周波加速空胴の発熱
をさらに低下させることができる。たとえば、本実施の
形態の超電導高周波加速空胴を液体ヘリウム(4.2
K)で冷却した場合に得られる性能はバルクのNb製高
周波加速空胴を超流動ヘリウム(2.1K)で冷却した
場合に得られる性能とほぼ同等であり、冷凍機の運転に
伴う多額の費用を下げることが可能になる。一方、基体
16自体はNbで構成しているので、バルクからなる高
温超電導体で成形された高周波加速空胴と比べて機械的
強度を格段に向上することが可能になる。
【0052】本実施の形態の超電導高周波加速空胴は以
下の工程を経て製造する。図10において、第1工程に
おいては、外側にNb、内側にCu−Sn合金がくるよ
うにクラッドパイプ18を成形し(図10(a))、第
2工程で、クラッドパイプ18から基体16を成形し
(図10(b))、第3工程で、基体16を熱処理して
Nb層とCu−Sn層との間にNb3Snの薄膜17を
生成し(図10(c))、第4工程においては、基体1
6の内側のCu−Sn層を除去する(図10(d))。
【0053】各工程を詳しく説明すると、第1工程で
は、Nb製およびCu−Sn合金製の材料を用いてHI
Pまたは爆着もしくはろう付け等によって外側がNb
で、内側がCu−Snのクラッドパイプ18を製作す
る。第2工程においては、クラッドパイプ18を液圧バ
ルジ加工またはスピニング加工によってシームレスな基
体16を成形する。第3工程では、基体16を真空中あ
るいはアルゴンガス雰囲気中で熱処理する。真空炉Gの
温度は650〜700°Cに保って熱処理にかけ、基体
16のNb層とCu−Sn層との間にNb3Snの薄膜
17を生成する。最後に、第4工程においては、基体1
6の内側のCu−Sn層を酸処理または機械加工によっ
て除去する。
【0054】本実施の形態によれば、荷電粒子ビームが
接する内面は電気的に超電導特性を保持することができ
る。基体16自体はNbで構成しているので、バルクの
高温超電導体で成形された高周波加速空胴と比べて機械
的強度を格段に向上することが可能になる。特に、本実
施の形態においては液体ヘリウム(4.2K)で冷却し
た場合に得られる性能はバルクのNb製高周波加速空胴
を超流動ヘリウム(2.1K)で冷却した場合に得られ
る性能とほぼ同等であり、冷凍機の運転に伴う多額の費
用を下げることが可能になる。
【0055】(第6の実施の形態)本発明の第6の実施
の形態を図11を参照して説明する。超電導高周波加速
空胴は基体19が強磁性体で構成されている。基体19
の内面の層または薄膜20は超電導体からなる。
【0056】本実施の形態の超電導高周波加速空胴にお
いては荷電粒子ビームが接する内面は電気的に超電導特
性を保持することができる。一方、外面は強磁性体から
なるもので、磁気シールド機能を備えており、従来のよ
うに高周波加速空胴の外側に別途磁気シールドを設置す
るスペースを必要とせず、これによりクライオスタット
を小型化することが可能になる。
【0057】本実施の形態の超電導高周波加速空胴は以
下の工程を経て製造する。初めに、HIPまたは爆着ま
たはろう付け等によって外側が、たとえばFeのような
強磁性体で、内側が、たとえばNbのような超電導体の
クラッドパイプを製作する。次に、クラッドパイプを液
圧バルジ加工またはスピニング加工によってシームレス
な基体19を成形する。
【0058】本実施の形態によれば、荷電粒子ビームが
接する内面は電気的に超電導特性を保持することができ
る。基体19自体はFeで構成しているので、バルクの
高温超電導体で成形された高周波加速空胴と比べて機械
的強度を格段に向上することが可能になる。また、外面
は強磁性体からなるもので、磁気シールド機能を備えて
おり、従来のように高周波加速空胴の外側に別途磁気シ
ールドを設置するスペースを必要とせず、これによりク
ライオスタットを小型化することができる。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、基体を望ましいNiま
たはAgあるいはNbもしくは強磁性体で構成し、荷電
粒子ビームが接する内面をBi2Sr2CaCu2Xまた
はNb 3Snあるいは超電導体で構成したので、超電導
特性を保持しながら、高周波加速空胴の機械的強度を向
上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超電導高周波加速空胴の第1の実
施の形態を示す断面図。
【図2】本発明による第1の実施の形態に係る超電導高
周波加速空胴の製造工程を示す図。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す断面図。
【図4】本発明による第2の実施の形態に係る超電導高
周波加速空胴の製造工程を示す図。
【図5】本発明の第3の実施の形態を示す断面図。
【図6】本発明による第3の実施の形態に係る超電導高
周波加速空胴の製造工程を示す図。
【図7】本発明の第4の実施の形態を示す断面図。
【図8】本発明による第4の実施の形態に係る超電導高
周波加速空胴の製造工程を示す図。
【図9】本発明の第5の実施の形態を示す断面図。
【図10】本発明による第5の実施の形態に係る超電導
高周波加速空胴の製造工程を示す図。
【図11】本発明の第6の実施の形態を示す断面図。
【図12】従来の超電導高周波加速空胴の製造工程を示
す図。
【符号の説明】 11、15、16、19 基体, 12、13、1
7、20 薄膜 14 被覆層, 18 クラッドパイプ

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体がNiからなり、前記基体の内面の
    第1層がNiO、前記第1層の内側の第2層がBi2
    2CaCu2Xで構成されてなる超電導高周波加速空
    胴。
  2. 【請求項2】 基体がNiからなり、前記基体の内面の
    第1層がNiO、前記第1層の内側の第2層がBi2
    2CaCu2Xで構成され、前記基体の外面の被覆層
    がCuで構成されてなる超電導高周波加速空胴。
  3. 【請求項3】 基体がAgからなり、前記基体の内面の
    層がBi2Sr2CaCu2Xで構成されてなる超電導高
    周波加速空胴。
  4. 【請求項4】 基体がAgからなり、前記基体の内面の
    層がBi2Sr2CaCu2Xで構成され、前記基体の外
    面の被覆層がCuで構成されてなる超電導高周波加速空
    胴。
  5. 【請求項5】 基体がNbからなり、前記基体の内面の
    層がNb3Snで構成されてなる超電導高周波加速空
    胴。
  6. 【請求項6】 基体が強磁性体からなり、前記基体の内
    面の層が超電導体で構成されてなる超電導高周波加速空
    胴。
  7. 【請求項7】 Niを用いて基体を成形する工程、前記
    基体を熱処理にかけて内面にNiOの薄膜を形成する工
    程、前記基体の薄膜の表面にBi2Sr2CaCu2X
    ーストを塗布する工程、前記基体を熱処理して内面にB
    2Sr2CaCu2Xの薄膜を形成する工程からなる超
    電導高周波加速空胴の製造方法。
  8. 【請求項8】 Niを用いて基体を成形する工程、前記
    基体を熱処理にかけて内面にNiOの薄膜を形成する工
    程、前記基体の薄膜の表面にBi2Sr2CaCu2X
    ーストを塗布する工程、前記基体を熱処理して内面にB
    2Sr2CaCu2Xの薄膜を形成する工程、Cuを用
    いて前記基体の外面を被覆する工程からなる超電導高周
    波加速空胴の製造方法。
  9. 【請求項9】 Agを用いて基体を成形する工程、前記
    基体の内面にBi2Sr2CaCu2Xペーストを塗布す
    る工程、前記基体を熱処理して内面にBi2Sr2CaC
    2Xの薄膜を形成する工程からなる超電導高周波加速
    空胴の製造方法。
  10. 【請求項10】 Agを用いて基体を成形する工程、前
    記基体の内面にBi 2Sr2CaCu2Xペーストを塗布
    する工程、前記基体を熱処理して内面にBi 2Sr2Ca
    Cu2Xの薄膜を形成する工程、Cuを用いて前記基体
    の外面を被覆する工程からなる超電導高周波加速空胴の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 外側がNb、内側がCu−Snからな
    るクラッドパイプを製作する工程、前記クラッドパイプ
    を用いて基体を成形する工程、前記基体を熱処理にかけ
    てNb層とCu-Sn層との間にNb3Sn層を生成する
    工程、前記基体を熱処理して内面のCu-Sn層を除去
    する工程からなる超電導高周波加速空胴の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014175279A (ja) * 2013-03-13 2014-09-22 Mitsubishi Electric Corp ドリフトチューブ線形加速器、および粒子線治療システム

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