JP2001297786A - 燃料電池装置、及び、燃料電池装置の運転方法。 - Google Patents

燃料電池装置、及び、燃料電池装置の運転方法。

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JP2001297786A
JP2001297786A JP2000112423A JP2000112423A JP2001297786A JP 2001297786 A JP2001297786 A JP 2001297786A JP 2000112423 A JP2000112423 A JP 2000112423A JP 2000112423 A JP2000112423 A JP 2000112423A JP 2001297786 A JP2001297786 A JP 2001297786A
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water
anode
reformer
gas
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Setsuo Omoto
節男 大本
Keiji Fujikawa
圭司 藤川
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料電池装置をコンパクト化し、かつ、電解
質を効率よく加湿して燃料電池を良好に作動させること
を目的とする。 【解決手段】 燃料電池装置1は、アノードAとカソー
ドCとによって挟持された電解質膜EMからなる単セル
UCをもった燃料電池FCと、高温の燃料ガスを燃料電
池FCのアノードAに供給する改質装置30と、改質装
置と燃料電池とを結ぶ燃料ガス供給ラインL5上に設け
られ、燃料ガス供給ライン内に加湿用水を噴射するノズ
ルNと、ノズルNに加湿用水を供給する水供給部20と
を備えており、燃料ガス供給ライン内に噴射された加湿
用水はアノード反応ガスとしての燃料ガスと直接熱交換
して蒸発する。これにより、装置全体をコンパクト化で
きると共に電解質膜EMを効率よく加湿して燃料電池F
Cを良好に作動させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池装置、及
び、その運転方法に関し、特に、アノードとカソードと
によって挟持された高分子電解質を有する燃料電池によ
って電力を発生させる燃料電池装置、及び、その運転方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、アノードとカソードとによっ
て挟持された電解質を有する燃料電池が知られている。
この種の燃料電池は、電極活物質としての燃料ガス(ア
ノード反応ガス)と酸化用ガス(カソード反応ガス)と
を利用した電気化学反応によって発生する電気エネルギ
を直接取り出すものあることから、特に、低温の作動領
域において高い発電効率を有する。従って、燃料電池を
備えた発電ユニットとしての燃料電池装置によれば、カ
ルノー効率の制約を受ける熱機関と比較して、高い総合
エネルギ効率を達成することが可能となり、また、電気
化学反応に伴って発生する熱エネルギの回収も容易であ
る。
【0003】燃料電池の電極活物質、及び、電解質とし
ては、水素、酸素、及び、プロトン伝導性電解質を用い
るのが一般的であり、この場合、アノードにおいて次の
(1)式に、カソードにおいて(2)式に、それぞれ示
す電極反応が進行し、全体として(3)式に示す全電池
反応が進行して起電力が発生する。 H2→2H++2e- …(1) (1/2)O2+2H++2e- …(2) H2+(1/2)O2→H2O …(3) このような電気化学反応によって電力を発生する燃料電
池は、電極活物質、電解質、及び、作動温度等によって
分類されるが、中でも、電解質として高分子電解質を用
いた、いわゆる高分子電解質型燃料電池(PEFC)等
は、小型軽量化が容易であることから、電気自動車等の
移動車両や小型コジェネレーションシステムの電源とし
ての実用化が期待されている。高分子電解質型燃料電池
では、電解質としてプロトン導電性を有する陽イオン交
換膜(固体高分子電解質膜)が使用される。そして、燃
料ガスとして、メタノールや天然ガスといった炭化水素
系原燃料を水蒸気改質して生成される水素含有ガスが用
いられ、酸化用ガスとして、空気が用いられる。
【0004】上記のように、燃料ガスは炭化水素系原燃
料の水蒸気改質反応により得ているが、この水蒸気改質
反応は高分子電解質型燃料電池の作動温度(例えば、6
0〜80℃程度)よりも高温の温度領域(例えば、25
0℃程度)でないと進行しないので、原燃料を直接アノ
ードに供給して内部改質することができない。そのた
め、燃料電池の外部に改質装置を設置し、当該改質装置
において生成させている。
【0005】改質装置における燃料ガスの生成反応につ
いて説明すると、例えば、燃料としてメタノールを水蒸
気改質する場合には、先ず、改質装置にメタノールと水
を供給して水蒸気改質反応を行なわせる。水蒸気改質反
応は、次の(4)式で示すメタノールの分解反応と
(5)式で示した一酸化炭素の変成反応とが同時に進行
すると言われており、全体として(6)式の反応が起こ
る。通常、(6)式に示す水素生成反応を十分に進行さ
せるために過剰量の水が改質装置に供給されている。ま
た、必要に応じて、燃料ガスに空気又は純酸素を混入さ
せて、次の(7)式に示すメタノールの部分酸化反応を
進行させる場合もある。 CH3OH→CO+2H2−21.7kcal/mol …(4) CO+H2O→CO2+H2+9.8kcal/mol …(5) CH3OH+H2O→CO2+3H2−11.9kcal/mol …(6) CH3OH+1/2O2→CO+H2O+H2+36.2kcal/mol …(7) ここで、水蒸気改質反応をにより生成したガス中には、
アノードの電極触媒に対して触媒毒となる一酸化炭素が
含まれている。そのため改質反応よりもやや低温の温度
領域(例えば、120〜200℃程度)において、次の
(8)式に示す一酸化炭素の選択酸化反応を、水素の酸
化反応を抑制しつつ行なわせる。これにより、水素濃度
に比して一酸化炭素濃度が極めて低い燃料ガスが生成さ
れる。 CO+1/2O2→CO2 …(8) 上記のようにして改質装置によって生成された燃料ガス
の温度は、燃料電池の作動温度に比して高温(例えば、
120〜200℃程度)である。従って、アノードに供
給する際には、燃料電池の作動温度近傍に冷却する必要
がある。
【0006】高温の燃料ガスを冷却すること無くアノー
ドに供給すると、燃料電池の内部温度が所定の作動温度
よりも上昇してしまう。また、燃料ガスは所定量の水蒸
気成分を含むので、高温の燃料ガスを冷却すること無く
アノードに供給すると燃料電池内のガス流路内において
この水蒸気成分が急速に凝縮してしまう。水蒸気成分の
凝縮により水が生成すると、アノード内のガス流路を塞
いでしまい、アノードの反応サイトである電極触媒への
燃料ガスの供給が遮断され、アノードにおける電極反応
の進行が妨げられてしまう。
【0007】一方、アノードに供給する燃料ガス中にア
ノードにおいて凝縮を起こさない程度の水蒸気成分を含
ませることは、高分子電解質膜を加湿して燃料電池を安
定した状態で作動させるという観点から重要である。こ
のように高分子電解質膜の加湿が必要なのは、作動中の
高分子電解質型燃料電池では、(1)式及び(2)式に
示した電極反応の進行に伴い水和水を伴ったプロトンが
アノードからカソードに向けて電解質膜中を移動するた
め、電解質膜中の含水量が低下してしまうからである。
電解質膜中の含水量が低下すると必然的に電解質抵抗が
増大化し、所望の電池電圧を得られなくなる。
【0008】そこで、従来は、改質装置と燃料電池のア
ノードを結ぶガスライン上に凝縮器を設け、高温の燃料
ガスを所定の冷却媒体と熱交換させることにより、燃料
電池の作動温度近傍の所定温度に冷却していた。そし
て、これに伴って凝縮するガス中の水蒸気成分の一部を
外部に除去していた。このようにすることにより、燃料
ガスは、燃料電池の作動温度近傍の温度に冷却されてア
ノードに供給されることになる。然も、アノードに供給
される燃料ガスの水蒸気分圧は燃料電池の作動温度近傍
の温度における飽和水蒸気圧に調節されているので、こ
の水蒸気成分により高分子電解質を加湿できることにな
る。
【0009】例えば、特開平1−134870号公報に
は、凝縮器の冷却媒体として改質器に供給するメタノー
ルと水を使用した燃料電池装置及びその運転方法が開示
されている。この燃料電池装置は、改質装置と燃料電池
とを結ぶガスラインとして凝縮器を経由するラインと経
由しないラインとを備え、これらのラインを燃料電池の
作動温度に応じて切換え可能な構成を有している。そし
て、燃料電池装置の起動時などの燃料ガスの温度と燃料
電池の内部温度との差が大きいときには、当該燃料ガス
を凝縮器経由でアノードに供給し、一方、燃料電池の内
部温度が充分に昇温した後には、直接アノードに供給し
ている。
【0010】また、特開平11−162489号公報に
は、凝縮器の冷却媒体として燃料電池の冷却水を使用し
た燃料電池装置及びその運転方法が開示されている。こ
の燃料電池装置は、凝縮器と燃料電池と間を循環する冷
却水の循環ラインとして、凝縮器と燃料電池と間に配置
した冷却器を経由するラインと当該冷却器を経由しない
ラインとを備え、これらのラインを燃料電池の作動温度
に応じて切換え可能な構成を有している。燃料電池の冷
却水の温度は燃料電池の作動温度を反映する温度である
ので、この冷却水と熱交換して冷却させられた燃料ガス
の温度も燃料電池の作動温度を反映する温度とすること
ができる。そして、燃料ガスの温度と燃料電池の内部温
度との差が大きいときには、当該冷却水を凝縮器と燃料
電池と間で直接循環させ、一方、燃料電池の内部温度が
充分に昇温した後には、冷却器経由で循環させている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような燃料ガスに含まれる水蒸気成分の一部を凝縮させ
るための凝縮器を備える燃料電池装置においては、燃料
ガスを冷却媒体との熱交換により確実に冷却させるため
に凝縮器内部の伝熱面積を十分に確保する必要性があ
る。このため、凝縮器の規模が大きくなってしまい、装
置全体としてコンパクト性に欠けるという問題があっ
た。このように、燃料電池装置の規模が大きいと、特に
電気自動車等の移動車輌に使用する上で支障をきたすこ
とになる。
【0012】更に、大型の凝縮器を使用すると凝縮器内
の温度を迅速に変化させることが困難となる傾向が大き
く、燃料ガス中の水蒸気分圧も迅速に変動させることが
困難となってしまう傾向が大きくなる。そのため、燃料
電池の運転状況の急激な変動に対して、これに見合う加
湿用の水蒸気成分の供給を素早く追従させることが困難
になる場合があった。その結果、高分子電解質膜に対し
てその加湿に必要な水分が十分に供給されないといった
不具合や過剰の水分がアノードに供給されてしまうとい
った不具合が生じてしまう場合があった。
【0013】このように、高分子電解質膜に対してその
加湿に必要な水分が十分に供給されないと、電解質抵抗
が増大し所望の電池出力を得られなくなる。また、過剰
の水分がアノードに供給されてしまうと、アノードのガ
ス流路内に加湿用水が滞留するいわゆるフラッディング
の問題が起こり電池電圧が急激に低下してしまう。そし
て、これらの問題を解消しようとすれば、結果として電
解質膜の加湿効率が低下し、燃料電池の作動も不安定と
なってしまうことから、負荷要求の急激な変動に対して
迅速に対応することが困難となる。
【0014】そこで、本発明は、コンパクトに構成する
ことが可能であり、かつ、電解質を効率よく加湿して燃
料電池を良好に作動させることができる燃料電池装置、
及び、その運転方法の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
による燃料電池装置は、アノードとカソードとによって
挟持された高分子電解質を有する燃料電池を備え、改質
装置で生成されたアノード反応ガスをアノードに供給す
ると共に、カソード反応ガスをカソードに供給し、電気
化学反応によって電力を発生する燃料電池装置におい
て、改質装置とアノードとを結ぶアノード反応ガスライ
ン上に設けられており、アノード反応ガスライン内に加
湿用水を噴霧する水噴射手段と、水噴射手段に加湿用水
を供給する加湿用水供給手段とを備え、水噴射手段から
アノード反応ガスライン内に噴射される加湿用水と改質
装置から流出するアノード反応ガスとを直接熱交換させ
ることにより、加湿用水を気化させることを特徴とす
る。
【0016】この燃料電池装置は、移動車両や小型コジ
ェネレーションシステムの電源として採用すると好適な
ものであり、アノードとカソードとによって挟持された
固体高分子電解質膜等の電解質が含まれる燃料電池を備
える。この燃料電池のアノードには、改質装置によって
生成される水素含有ガス等のアノード反応ガス(燃料ガ
ス)が供給される。また、燃料電池のカソードには、ブ
ロア等からなるカソード反応ガス供給装置によって空気
等のカソード反応ガス(酸化用ガス)が供給される。こ
れにより、アノードでアノード反応ガスが、カソードで
カソード反応ガスがそれぞれ電気化学反応し、燃料電池
全体では所定の全電池反応が進行して起電力が得られ
る。
【0017】このように構成された燃料電池装置では、
改質装置において生成させた高温(例えば、120〜2
00℃程度)のアノード反応ガスをアノードに供給する
際に燃料電池の作動温度(例えば、60〜80℃程度)
まで冷却する必要がある。また、燃料電池の性能を安定
化させる上で、電解質(固体高分子電解質膜)を十分に
加湿することも必要となる。これらの点に鑑みて、この
燃料電池装置には、改質装置と燃料電池のアノードとを
結ぶアノード反応ガスライン上に、水噴射手段が設けら
れている。この水噴射手段には、所定の水供給手段から
電解質を加湿させるための加湿用水が供給され、水噴射
手段は、改質装置と燃料電池のアノードとを結ぶアノー
ド反応ガスラインの内部に供給された加湿用水を噴射す
る。
【0018】これにより、改質装置と燃料電池のアノー
ドとを結ぶアノード反応ガスライン内では、改質装置か
ら流出する高温のアノード反応ガスと、水噴射手段から
噴射された微細な加湿用水のミストとが互いに接触し合
って熱交換することになる。すなわち、加湿用水のミス
トは、アノード反応ガスから熱を奪って昇温・蒸発する
一方、アノード反応ガスは、加湿用水のミストに熱を与
えて所望の温度まで冷却する。この結果、加湿用水のミ
ストは、気化して水蒸気となり、冷却したアノード反応
ガスに同伴してアノード反応ガスライン内を進行し、燃
料電池のアノードにアノード反応ガスと共に供給される
ことになる。
【0019】従来の燃料電池装置においては、(4)及
び(5)式に示した改質反応をスムーズに進行させうる
必要量以上の改質用水を改質装置に供給していた。その
ため、改質装置から流出する高温のアノード反応ガス中
には多量の水蒸気成分が含まれており、このアノード反
応ガスを燃料電池の作動温度にまで冷却してアノードに
供給する際には、余分な水蒸気成分が凝縮するのでこれ
を除去していた。そして、冷却後にアノードに供給され
るアノード反応ガス中の水蒸気分圧は燃料電池の作動温
度における飽和水蒸気圧となっており、この水蒸気成分
が電解質の加湿に利用されていた。これに対して本発明
の燃料電池装置においては、水噴射手段から噴射される
加湿用水の気化熱を利用して改質装置から流出する高温
のアノード反応ガスを燃料電池の作動温度にまで冷却す
る。従って、改質装置に供給する改質用水は、改質反応
をスムーズに進行させうる必要量のみとし、電解質の加
湿のためにアノード反応ガスに同伴させる水蒸気成分
は、改質装置の下流に設けた水噴射手段から供給される
加湿用水により調節することが可能となる。すなわち、
作動中の燃料電池において、アノードに水分が滞留して
アノード反応ガスの流入を妨げてしまうような事態を防
止し、ガス拡散電極であるアノードとアノードのガス拡
散性を良好に維持することが可能となる。
【0020】以上の構成により、この燃料電池装置は、
改質装置から流出するアノード反応ガスを冷却する凝縮
器を省くことが可能となる。凝縮器を省くことにより、
凝縮器内に導入する冷却媒体及び凝縮された水を冷却す
る必要がなくなるので、装置に備える冷却設備の規模も
従来に比して大幅に縮小化することが可能となる。その
ため、コンパクトで低コストな燃料電池装置を構成する
ことが可能となると共に、装置全体のエネルギー変換効
率も向上させることが可能となる。
【0021】また、水の気化熱は非常に大きいので、改
質装置から流出する高温のアノード反応ガスを所望の温
度まで冷却させるために必要な加湿用水の水量は少量で
済むことになる。そのため、水噴射手段及びこれに加湿
用水を供給する所定の水供給手段の規模も比較的小さく
することできるので、この点においてもこの燃料電池装
置は、装置全体をコンパクト化することができる。更
に、加湿用水の水量が少量で済むので、この燃料電池装
置は、改質装置から流出するアノード反応ガスを非常に
微小な領域内で迅速に冷却すると共に必要な水蒸気成分
をこれに同伴させることが可能となる。従って、電解質
の加湿を迅速且つ効率良く行なうことが可能となる。こ
の結果、この燃料電池装置では、燃料電池の出力を容易
かつ確実に安定化させることができる。
【0022】更に、本発明の燃料電池装置は、改質器の
出口に設けられたアノード反応ガス流量調整手段と、加
湿用水供給手段と水噴射手段とを結ぶ加湿用水ライン上
に設けられた加湿用水流量調整手段と、燃料電池に対す
る負荷要求に基づいて、加湿用水流量調整手段と、アノ
ード反応ガス流量調整手段とを制御することにより、ア
ノードの入口におけるアノード反応ガス中の水蒸気分圧
を燃料電池の作動温度における飽和水蒸気圧以下に設定
する制御手段とを更に備えることが好ましい。
【0023】この燃料電池装置においては、水噴射手段
には加湿用水供給手段が加湿用水ラインを介して接続さ
れており、更に、この加湿用水ライン上には、加湿用水
流量調整手段が設けられている。そして、水噴射手段に
は、加湿用水供給手段から電解質を加湿させるための加
湿用水が供給され、水噴射手段は、改質装置と燃料電池
のアノードとを結ぶアノード反応ガスラインの内部に供
給された加湿用水を噴射する。
【0024】このような構成を採用すれば、制御手段に
より、燃料電池に対する負荷要求が変化して燃料電池の
出力電流密度や作動温度等の運転状況が変化したとして
も、水噴射手段から噴射する加湿水の水量の設定変更、
及び改質装置から流出するアノード反応ガスの設定変更
を迅速に行なうことができる。そのため、常に適切な湿
度をもったアノード反応ガスを燃料電池のアノードに供
給可能となり、アノードに水分が滞留してアノード反応
ガスの流入を妨げてしまうような事態を防止することが
できる。従って、この燃料電池装置によれば、急激な負
荷要求の変化に対して迅速に対応することができる。
【0025】また、燃料電池の電解質として固体高分子
電解質を採用する場合には、加湿用水供給手段を、改質
装置に供給される改質用水の供給源と兼用すると好まし
い。これにより、燃料電池装置全体をより一層コンパク
ト化することができる。
【0026】更に、本発明の燃料電池装置は、改質装置
における改質反応に使用する流体を改質装置に供給する
流体供給手段と、流体供給手段と改質装置とを結ぶ流体
供給ライン上に設けられた流体流量調整手段とを更に備
え、制御手段は、燃料電池に対する負荷要求に基づい
て、流体流量調整手段を更に制御することにより、改質
装置の出口におけるアノード反応ガス中の水蒸気分圧を
燃料電池の作動温度における飽和水蒸気未満に設定する
ことが好ましい。
【0027】このような構成を採用すれば、制御手段に
より、改質装置に供給される燃料(メタノール等)、改
質用水、及び酸化用ガス(空気等)の供給量を燃料電池
に対する負荷要求に応じて適切に設定することが容易に
可能となる。更には、改質装置から流出してくるアノー
ド反応ガスの成分組成、特にアノード反応ガス中の水蒸
気分圧を所望の値に設定することが容易にできるように
なる。例えば、アノードの入口におけるアノード反応ガ
ス中の水蒸気分圧を、水蒸気成分の凝縮を防止しつつ常
に燃料電池の作動温度における飽和蒸気圧以下に制御す
ることが容易に可能となる。従って、この燃料電池装置
によれば、急激な負荷要求の変化に対してより一層迅速
に対応することができるようになる。
【0028】また、本発明の燃料電池装置は、水噴射手
段の出口におけるアノード反応ガスの圧力を略一定に保
つ圧力調整手段を更に備え、加湿用水供給手段は、加湿
用水流量調整手段に略一定の圧力で加湿用水を供給可能
であり、加湿水流量調整手段は、加湿用水供給手段と水
噴射手段とを結ぶ加湿用水ラインを断続的に開閉可能で
あることが好ましい。
【0029】このような構成のもとでは、加湿水流量調
整手段の入口と出口との間の差圧が常に略一定となるの
で、当該差圧と加湿水流量調整手段の開通時間とからア
ノード反応ガスライン内に噴射する加湿用水の量を精度
よく設定可能となる。従って、この燃料電池装置では、
加湿水流量調整手段を開閉制御するだけで、アノード反
応ガスの湿度を最適かつ精度よく調節することが可能と
なる。
【0030】この場合、加湿用水流量調整手段は、弁本
体に形成された流路を開閉する弁体に取り付けられた可
動鉄心と、可動鉄心を覆うように配置された電磁コイル
とを備える電磁弁あることが好ましい。
【0031】このような電磁弁は、きわめて低コストか
つコンパクトに製造可能であり、かつ、単純な制御によ
って確実に作動させることが可能なものである。従っ
て、このような構成を採用すれば、燃料電池装置全体を
コストダウン化、コンパクト化することが可能となり、
また、加湿用水の噴射を安定化させることができる。
【0032】また、電磁コイルに駆動電圧を断続的に印
加するためのパルス信号を発生するパルス発生手段を更
に備え、制御手段は、燃料電池に対する負荷要求に応じ
て、加湿用水流量調整手段の開通時間と閉止時間とを定
め、当開通時間と閉止時間とに応じたパルス信号をパル
ス発生手段に発生させるものであることが好ましい。
【0033】このような構成を採用すれば、加湿水流量
調整手段としての電磁弁を極めて確実かつ精度よく開閉
制御することができる。これにより、改質装置から流出
してくるアノード反応ガスの流量及びその水蒸気分圧に
応じて加湿水流量調整手段から噴射する加湿用水の噴射
量を極めて精度よく調節することが可能となる。
【0034】また、本発明の燃料電池装置は、改質装置
の出口におけるアノード反応ガスの圧力を略一定に保つ
圧力調整手段を更に備え、流体供給手段は、流体流量調
整手段に略一定の圧力で流体を供給可能であり、流体流
量調整手段は、流体供給手段と改質装置とを結ぶ流体供
給ラインを断続的に開閉可能であることが好ましい。
【0035】このような構成のもとでは、流体流量調整
手段の入口と出口との間の差圧が常に略一定となるの
で、当該差圧と流体流量調整手段の開通時間とから改質
装置内に噴射する改質反応に使用される燃料、改質用
水、及び酸化用ガスといった所定の流体の量を精度よく
設定可能となる。従って、この燃料電池装置では、流体
流量調整手段を開閉制御するだけで、改質装置に対する
流体の供給量、すなわち、燃料、改質用水、及び酸化用
ガスの供給量を常に最適かつ精度よく調節することが可
能となる。加えて、流体流量調整手段として、サイズが
大きく高価なサーマルマスフローコントローラ等を使用
する必要がなくなり、小型で安価な電磁弁等を採用可能
となる。従って、燃料電池装置全体を大幅にコストダウ
ン化、コンパクト化することができる。
【0036】この場合、流体流量調整手段は、弁本体に
形成された流路を開閉する弁体に取り付けられた可動鉄
心と、可動鉄心を覆うように配置された電磁コイルとを
備える電磁弁あることが好ましい。
【0037】このような電磁弁は、きわめて低コストか
つコンパクトに製造可能であり、かつ、単純な制御によ
って確実に作動させることが可能なものである。従っ
て、このような構成を採用すれば、燃料電池装置全体を
コストダウン化、コンパクト化することが可能となり、
また、改質反応に使用する流体の供給を安定化させるこ
とができる。
【0038】また、電磁コイルに駆動電圧を断続的に印
加するためのパルス信号を発生するパルス発生手段を更
に備え、制御手段は、燃料電池に対する負荷要求に応じ
て、流体流量調整手段の開通時間と閉止時間とを定め、
当開通時間と閉止時間とに応じたパルス信号をパルス発
生手段に発生させるものであることが好ましい。
【0039】このような構成を採用すれば、流体流量調
整手段としての電磁弁を極めて確実かつ精度よく開閉制
御することができる。これにより、改質装置に対する流
体の供給量を極めて精度よく調節することが可能とな
る。
【0040】また、必要に応じて、本発明の燃料電池装
置は、加湿用水を予熱する予熱手段を更に備えると好ま
しい。
【0041】このような構成を採用すれば、アノード反
応ガスライン内で加湿用水(ミスト)をより確実に気化
させることが可能となる。この場合、予熱手段の熱源と
しては、燃料電池又は改質装置から排出される排ガスを
利用すると好ましく、更に、加湿用水供給手段は、改質
用水供給手段と兼用をすることが好ましい。これによ
り、燃料電池装置全体のエネルギ変換効率を向上させる
と共に、装置全体をもコンパクト化することができる。
【0042】請求項11に記載の本発明による燃料電池
の運転方法は、アノードとカソードとによって挟持され
た高分子電解質を有する燃料電池を備え、改質装置で生
成されたアノード反応ガスをアノードに供給すると共
に、カソードガス供給手段からカソード反応ガスをカソ
ードに供給し、電気化学反応によって電力を発生する燃
料電池装置の運転方法において、改質装置とアノードと
を結ぶアノード反応ガスライン内に水噴霧手段を設けて
加湿用水を噴霧し、加湿用水とアノード反応ガスとを直
接熱交換させることにより、加湿用水を気化させること
を特徴とする。
【0043】また、燃料電池に対する負荷要求に基づい
て、アノード反応ガス中の水蒸気分圧を燃料電池の作動
温度における飽和水蒸気圧以下となるように改質装置か
ら流出するアノード反応ガスの流量と水噴霧手段から噴
霧される加湿用水の流量とを設定することが好ましい。
【0044】更に、燃料電池に対する負荷要求に基づい
て、改質装置の出口におけるアノード反応ガス中の水蒸
気分圧が燃料電池の作動温度における飽和水蒸気圧未満
となるように、改質装置における改質反応に使用する流
体を該改質装置に供給することが好ましい。
【0045】また、水噴射手段の出口におけるアノード
反応ガスの圧力を略一定に保つと共に、水噴射手段に対
して略一定の圧力で断続的に加湿用水を供給することが
好ましい。更に、燃料電池に対する負荷要求に基づい
て、水噴射手段に対する加湿用水の供給継続時間と供給
停止時間との割合を設定することが好ましい。
【0046】また、改質装置の出口におけるアノード反
応ガスの圧力を略一定に保つと共に、改質装置に対して
略一定の圧力で断続的に流体を供給することが好まし
い。更に、燃料電池に対する負荷要求に基づいて、改質
装置に対する流体の供給継続時間と供給停止時間との割
合を設定することが好ましい。更に、加湿用水を噴射前
に予熱しておくことが好ましい。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
による燃料電池装置、及び、燃料電池装置の運転方法の
好適な実施形態について詳細に説明する。
【0048】図1は、本発明による燃料電池装置を示す
系統図である。同図に示す燃料電池装置1は、移動車両
や小型コジェネレーションシステムの電源として採用す
ると好適なものであり、固体高分子電解質型の燃料電池
FCを備える。この燃料電池FCは、水素を含む燃料ガ
ス(アノード反応ガス)と、酸化用ガスとしての空気
(カソード反応ガス)とを利用した電気化学反応によっ
て電気エネルギを発生する。燃料電池FCが発生する電
気エネルギは、移動車両の駆動源や小型コジェネレーシ
ョンシステムの発電源として利用される。なお、燃料電
池装置1に、直接メタノール型燃料電池(DMFC)を
備えることも可能である。
【0049】図1に示すように、燃料電池装置1は、燃
料ガスを生成するための燃料供給部10、水供給部2
0、及び、改質装置30を備えている。燃料供給部10
は、燃料ガスを生成するためのメタノールを貯留する燃
料タンク11を有する。燃料タンク11内には、燃料ポ
ンプP1が配置されており、燃料ポンプP1の吐出口に
は、圧力調整ラインLP1の一端が接続されている。圧
力調整ラインLP1は、中途に圧力調整弁PRV1を有
し、その他端側は燃料タンク11内に導かれている。圧
力調整弁PRV1は、燃料ポンプP1から吐出されて圧
力調整ラインLP1内を流通する流体圧力を所定値に保
つ。なお、圧力調整弁PRV1による圧力調整によって
余剰となったメタノールは、圧力調整ラインLP1を介
して燃料タンク11内に返送される。
【0050】また、圧力調整ラインLP1からは、燃料
ポンプP1と圧力調整弁PRV1との間において燃料ラ
インL1が分岐されている。燃料ラインL1は、中途に
流体流量調整手段として機能する電磁弁SV1を有し、
燃料供給ラインLSに接続されている。ここで、上述し
たように、燃料ポンプP1と圧力調整弁PRV1との間
における圧力調整ラインLP1内の流体圧力は、燃料供
給部10の圧力調整弁PRV1によって一定に保たれて
いる。従って、電磁弁SV1の上流側における燃料ライ
ンL1内の流体圧力は常に一定となる。
【0051】同様に、水供給部20は、燃料(メタノー
ル)を改質する際に改質用流体として利用される水を貯
留する水タンク21を有する。水タンク21内には、水
ポンプP2が配置されており、水ポンプP2の吐出口に
は、圧力調整ラインLP2の一端が接続されている。こ
の圧力調整ラインLP2も、中途に圧力調整弁PRV2
を有し、その他端側は水タンク21内に導かれている。
圧力調整弁PRV2は、水ポンプP2から吐出されて圧
力調整ラインLP2内を流通する流体圧力を所定値に保
つ。なお、圧力調整弁PRV2による圧力調整によって
余剰となった水は、圧力調整ラインLP2を介して水タ
ンク21内に返送される。
【0052】そして、圧力調整ラインLP2からは、水
ポンプP2と圧力調整弁PRV2との間において改質用
水ラインL2が分岐されている。改質用水ラインL2
は、中途に流体流量調整手段として機能する電磁弁SV
2を有し、燃料ラインL1と燃料供給ラインLSとの接
続部に合流している。ここで、上述したように、水ポン
プP2と圧力調整弁PRV2との間における圧力調整ラ
インLP2内の流体圧力は、水供給部20の圧力調整弁
PRV2によって一定に保たれている。従って、電磁弁
SV2の上流側における改質用水ラインL2内の流体圧
力は常に一定となる。
【0053】燃料供給部10から供給されるメタノール
と水供給部20から供給される改質用水は、燃料ライン
L1と、改質用水ラインL2と、燃料供給ラインLSと
の合流部で混ざり合い、燃料供給ラインLSを介して改
質装置30に供給される。改質装置30は、燃料供給部
10から供給されるメタノールを水供給部20から供給
される改質用水を利用した水蒸気改質によって水素を含
む燃料ガスを生成するものである。このため、改質装置
30は、蒸発部31、改質部32、及び、選択酸化部3
3を含む。
【0054】改質装置30における燃料ガスの生成工程
について説明すると、燃料供給部10及び水供給部20
からの水メタノール混合液は、燃料供給ラインLSを介
して、まず蒸発部31に供給される。蒸発部31は、図
示しないバーナを備えており、このバーナが発生する熱
によって水メタノール混合液は気化・昇温して水メタノ
ール混合ガスとなる。そして、蒸発部31で気化・昇温
した水メタノール混合ガスは、改質部32に流入する。
【0055】改質部32の内部には、改質触媒として、
例えば、微粒子状の触媒を坦持させたハニカム状の多孔
質体(図示せず)が配置されている。改質部32に流入
した水メタノール混合ガスが当該改質触媒の表面を通過
すると、以下の(4)及び、(5)式に示した反応が進
行し、これにより、水素リッチな改質ガスが生成され
る。なお、(4)及び、(5)式をあわせて表現すると
(6)式となる。 CH3OH→CO+2H2−21.7kcal/mol …(4) CO+H2O→CO2+H2+9.8kcal/mol …(5) CH3OH+H2O→CO2+3H2−11.9kcal/mol …(6) なお、上記(4)〜(6)式に示す水蒸気改質反応は、
吸熱反応であることから、反応を進行させるための熱を
改質部32内に供給する必要がある。このためには、蒸
発部31から水メタノール混合ガスが熱を同伴しながら
改質部32に流れ込むように構成すると好ましい。ま
た、改質部32に所定の加熱装置を設け、反応を進行さ
せるための熱を当該加熱装置から改質部32内に与える
ように構成してもよい。なお、Cu−Zn触媒によって
水蒸気改質反応を進行させた場合、改質部32の内部温
度は、250〜300℃の温度範囲が好ましい。
【0056】更に、この改質部32には、中途に流体流
量調整手段として機能する電磁弁SV3を有する空気ラ
インL3が接続されており、改質部32内には、空気ラ
インL3を介して改質用の空気が必要に応じて供給され
る。改質部32内に改質用空気が供給された場合、改質
部32では、蒸発部31から流入する水メタノール混合
ガス中のメタノールと改質用の空気に含まれる酸素との
間で、次の(7)式に示す反応が進行する。 CH3OH+1/2O2→CO+H2O+H2+36.2kcal/mol…(7) これにより、吸熱反応による熱を更に補うことができ
る。
【0057】このようにして改質部32で生成された改
質ガスは、次に、選択酸化部33に流入する。選択酸化
部33には、メタロシリケート触媒等のCO選択酸化触
媒を坦持させた多孔質体(図示せず)が配置されてい
る。また、選択酸化部33には、中途に電磁弁SV4
(流体流量調整手段)を有する空気ラインL4が接続さ
れており、選択酸化部33内には、空気ラインL4を介
してCO酸化用の空気が供給される。そして、選択酸化
部33に流入した改質ガスが当該CO選択酸化触媒の表
面を通過すると、空気ラインL4から供給されたCO酸
化用の空気が利用されて、次の(8)式に示す選択酸化
反応が進行する。 CO+1/2O2→CO2 …(8) これにより、改質部32で生成された改質ガス中の一酸
化炭素のみが選択的に酸化され、選択酸化部33では、
一酸化炭素濃度が十分に低減された燃料ガスが生成され
ることになる。そして、改質装置30の選択酸化部33
で生成された燃料ガスは、燃料ガス供給ラインL5を介
して燃料電池FCに供給される。
【0058】この燃料ガス供給ラインL5上には、改質
装置30の近傍に位置するように燃料ガス流量調整手段
として機能する燃料ガス流量調整弁FRV1が配置され
ている。この燃料ガス流量調整弁FRV1は、改質装置
から流出する燃料ガスの流量を燃料電池FCの負荷要求
に対応した所定値に維持するものである。
【0059】また、燃料ガス流量調整弁FRV1の下流
側の燃料ガス供給ラインL5上には、水噴射手段として
のノズルNが配置されている。そして、このノズルN
は、加湿用水流量調整手段として機能する電磁弁SV5
を介して加湿用水ラインL15の一端と接続されてい
る。加湿用水ラインL15の他端は、図1に示すよう
に、水供給部20の水ポンプP2と圧力調整弁PRV2
との間に接続されている。電磁弁SV5は、加湿用水ラ
インL15を断続的に開閉することにより、水供給部2
0からノズルNに向けて供給される加湿用水の流量を調
節して燃料電池FCの負荷要求に対応した加湿条件を満
たすように、電磁弁SV5から流出する燃料ガス中の水
蒸気分圧を所定値に調節するものである。
【0060】ここで、上述したように、水ポンプP2と
圧力調整弁PRV2との間における圧力調整ラインLP
2内の流体圧力は、圧力調整弁PRV2によって一定に
保たれている。従って、加湿用水ラインL15内が常時
水タンク21内の水で満たされると共に、電磁弁SV5
の上流側(水供給部20側)における加湿用水ラインL
15内の流体圧力が常に一定となる。この結果、電磁弁
SV5を断続的に開閉させれば、水タンク21から加湿
用水ラインL15内に流れ込んだ水(加湿用水)がノズ
ルNに供給され、水噴射手段としてのノズルNから加湿
用の水が燃料ガス供給ラインL5内に断続的に噴射され
ることになる。また、このように、改質装置30に改質
用水を供給する手段である水供給部20を加湿用の水を
供給するための手段としても利用することにより、燃料
電池装置1の全体をより一層コンパクト化することがで
きる。
【0061】更に、ノズルNの下流側の燃料ガス供給ラ
インL5上には圧力調整弁PRV3が配置されている。
この圧力調整弁PRV3は、当該圧力調整弁PRV3の
上流の燃料ガス供給ラインL5内及び改質装置30内の
燃料ガスの圧力の圧力を常に所定値に維持するものであ
る。すなわち、圧力調整弁PRV3は、流体流量調整手
段である電磁弁SV1、電磁弁SV2、電磁弁SV3、
電磁弁SV4、及び水噴射手段であるノズルNの噴射口
における燃料ガスの圧力を常に所定値に維持するもので
ある。これにより、改質装置30(蒸発部31、改質部
32、及び、選択酸化部33)の内部における水メタノ
ール混合ガス、改質ガスといった流体の圧力を、燃料電
池装置1のコストアップを抑制しながら常に一定に保つ
ことができる。
【0062】一方、燃料電池装置1は、図1に示すよう
に、カソード反応ガスとしての空気を燃料電池FCに供
給するカソード反応ガス供給手段として、ブロアBを備
える。このブロアBは、中途に空気流量調整弁FRVを
有する空気供給ラインL6を介して燃料電池FCと接続
されており、大気中の空気を吸込んで所定圧力まで昇圧
させ、燃料電池FCに対して圧送する。これにより、ブ
ロアBから燃料電池FCにむけて、圧縮されて所定温度
(例えば、120℃程度)まで昇温した空気が供給され
ることになる。
【0063】更に、ブロアBと、燃料電池FCの各カソ
ードCと接続されている空気入口47bとを結ぶ空気供
給ラインL6上には、熱交換器70が設けられている。
これにより、ブロアBから圧送される空気は、熱交換器
70の内部を経由した後、燃料電池FCの空気入口47
bに流入することになる。熱交換器70は、密閉容器と
して構成されている。また、熱交換器70内には、伝熱
管T70が配置されている。そして、冷却系統60の冷
却媒体戻りラインL10からは、熱交換器62の冷媒入
口Riにおいて、冷却媒体ラインL16が分岐されてお
り、この冷却媒体ラインL16は、伝熱管T70の流体
入口に接続されている。これにより、スタック40等を
冷却させて燃料電池の内部温度を反映する所定温度(例
えば、60℃〜80℃程度)に昇温し、燃料電池FCの
冷却媒体出口49bから流出する冷却水等の一部は、ラ
ジエータ61に戻されず、熱交換器70内に配置されて
いる伝熱管T70に流れ込むことになる。熱交換器70
内に配置された伝熱管T70の流体出口には、冷却媒体
戻りラインL17が接続されており、冷却媒体戻りライ
ンL17は、熱交換器62の冷却入口Riに戻され、冷
却・再循環させられる。
【0064】一方、熱交換器70の内部には、燃料電池
FCを冷却させた冷却水等が流通する伝熱管T70が配
置されているので、所定温度(120℃程度)まで昇温
させられた空気は、燃料電池FCを冷却させて所定温度
(例えば、60℃〜80℃程度)まで昇温した冷却媒体
と伝熱管T70を介して熱交換することになる。これに
より、熱交換器70の内部において、ブロアBから流入
する空気は燃料電池FCの作動温度近傍(例えば、60
℃〜80℃程度)まで冷却させられ、燃料電池FCの各
カソードCに供給されることになる。なお、ここで、カ
ソード側より高分子電解質膜を加湿する場合には、図示
しない加湿手段により空気に水蒸気成分を同伴させて各
カソードCに供給する。また、熱交換器70内における
熱交換条件等により熱交換器70から流出する空気の温
度が燃料電池FCの作動温度よりも高くなる場合におい
ては、熱交換器70と燃料電池FCを結ぶ空気供給ライ
ンL6上に必要に応じて、更に冷却手段を設置してもよ
い。
【0065】また、上述したCO酸化用の空気を選択酸
化部33に供給するための空気ラインL4は、ブロアB
に接続された空気供給ラインL6から分岐されており、
改質用空気を改質部32に供給するための空気ラインL
3は、この空気ラインL4から分岐されている。すなわ
ち、ブロアBは、改質装置30の改質部32及び選択酸
化部33にCO酸化用の空気及び改質用空気を供給する
流体供給手段としても機能する。これにより、CO酸化
用の空気及び改質用空気を供給するための供給源を別途
設ける必要がなくなるので、燃料電池装置1全体のコン
パクト化を図ることができる。
【0066】このようにして、燃料電池FCは、改質装
置30から燃料ガスの供給を受け、ブロアBから空気の
供給を受けることになる。この燃料電池FCについて詳
細に説明すると、燃料電池FCは、図2に示すように、
単セルUC(図3参照)とセパレータSP(図4参照)
とを図示しないシール材を介して交互に多数積層させた
スタック40を有する。このスタック40は、各単セル
UCのアノードAと接続されたアノード集電板41a
と、各単セルUCのカソードCと接続されたカソード集
電板41bとによって挟持されており、アノード集電板
41aとカソード集電板41bとの外方には、絶縁板4
2が配置されている。
【0067】各絶縁板42の外方には、スタック締付板
43を介してフランジ44a,44bが配置されてい
る。各フランジ44a,44bは、膜板45によって連
結されると共に強固に締め付けられている。これによ
り、スタック40、アノード集電板41a、カソード集
電板41b、絶縁板42等が一体化される。なお、各フ
ランジ44a,44bは、リブ構造を有する無垢材から
なり、これにより、燃料電池FC全体が軽量化される。
また、絶縁板42とフランジ44a,44bとの間に
は、皿ばね等の弾性体46を配置すると好ましく、これ
により、燃料電池FCの温度上昇、温度降下によるスタ
ック40の伸縮を吸収することができる。
【0068】更に、燃料電池FCは、カソード集電板4
1b側に位置する絶縁板42の左上コーナー部を貫通す
る燃料ガス入口47a(アノード反応ガス入口)を有
し、この燃料ガス入口47aには、改質装置30と連な
る燃料ガス供給ラインL5が接続される。また、燃料電
池FCは、カソード集電板41b側に位置する絶縁板4
2の右上コーナー部を貫通する空気入口47b(カソー
ド反応ガス入口)を有し、この空気入口47bには、ブ
ロアBと連なる空気供給ラインL6が接続される。これ
により、燃料ガス入口47aから各単セルUCのアノー
ドAに燃料ガスが流れ込み、空気入口47bから各単セ
ルUCのカソードCに酸化用ガスとしての空気が流れ込
むことになる。
【0069】図3に示すように、各単セルUCは、電解
質膜EMをガス拡散電極であるアノードAとカソードC
とによって挟持させたものである。電解質膜EMは、例
えばフッ素系樹脂等の固体高分子材料によって形成され
ており、湿潤状態下で良好なイオン伝導性を示すイオン
交換膜である。電解質膜を構成する固体高分子材料とし
ては、ナフィオン膜(デュポン社製)のほか、パーフル
オロカーボンスルホン酸樹脂、ポリサルホン樹脂、パー
フルオロカルボン酸樹脂、スルホン酸基を有するポリス
チレン系陽イオン交換樹脂、フルオロカーボンマトリッ
クスとトリフルオロエチレンとのグラフト共重合樹脂、
ポリエチレンスルホン酸樹脂、及びポリビニルスルホン
酸樹脂等を用いることができる。
【0070】一方、ガス拡散電極であるアノードA及び
カソードCは、何れもガス拡散層と、ガス拡散層上に形
成された反応層(触媒層)とからなる。ここで、ガス拡
散層と反応層とについて簡単に説明すると、ガス拡散層
は、各単セルUC毎に供給された燃料ガス又は空気を反
応層側に円滑かつ均一に供給すると共に、反応層におけ
る電極反応によって生じる電子を単セルUCの外部に放
出させる役割を担うものである。 ガス拡散層として
は、例えば、電気伝導性を有する多孔質体(本実施形態
では、炭素繊維からなるカーボンペーパ)にフッ素系樹
脂(例えば、PTFE〔ポリテトラフルオロエチレ
ン〕)を用いて撥水化処理を施したものが使用される。
【0071】また、反応層は、アノードでは、上記
(1)式、カソードでは、上記(2)式にそれぞれ示す
電極反応が進行させる役割を担う。この反応層は、いわ
ゆる反応サイトの三次元化、すなわち、触媒とイオン伝
導性の電解質からなる領域(電解質ネットワーク)と燃
料ガス又は空気が供給される領域(ガス拡散ネットワー
ク)との三相界面面積の増大化が図られている。具体的
には、触媒表面積の大きな触媒担持カーボンブラック微
粒子で基礎となる骨格を形成し、当該骨格の一部分にP
TFE等の撥水剤を分散させて撥水化処理を施すること
により、疎水性のガス拡散ネットワークを構築する。そ
して、上記骨格の他の部分に、高分子電解質を有機溶媒
に溶解させた溶液を浸透塗布等して、触媒担持カーボン
ブラックの表面を高分子電解質で被覆し親水性の電解質
ネットワークを構築する。これにより、燃料ガス又は空
気とイオン(プロトン)と触媒とを効率よく接触させて
各電極反応を速やかに進行させることが可能となる。
【0072】このようなガス拡散層と反応層とからなる
アノードAとカソードCは、以下のような手順に従って
製造される。先ず、界面活性剤を含む有機溶媒中に親水
性のカーボンブラック微粒子と疎水性のカーボンブラッ
ク微粒子とPTFEとを混入し、USHM(超音波ホモ
ジナイザー)やビーズミルなどによって分散混合させて
ペースト状のスラリーを調製する。次に、当該スラリー
をガス拡散層となるカーボンぺーパ上に厚さが均一にな
るように塗布した上で乾燥させる。そして、当該カーボ
ンペーパに電気炉又はホットプレス等を用いて熱処理を
施し、スラリー内のPTFEを焼結させると共に界面活
性剤を除去することにより反応層を形成する。更に、反
応層の表面に電極触媒を構成する金属塩を含む溶液(例
えば、塩化白金酸水溶液等)を塗布し、電気炉等で乾燥
・熱分解させた後、水素還元等の処理を施す。これによ
り、アノードAとカソードCとが完成する。
【0073】この場合、電極触媒を構成する金属塩を含
む溶液は、親水性の電解質ネットワークを経由して反応
層内の細部に浸透して行くことから、水素還元処理等を
施した後の反応層内には、電極触媒が高い分散度で担持
されることになる。なお、必要に応じて、触媒担持量を
低減させたり、疎水性のより優れたガス拡散ネットワー
クを構築したりするために、フッ素系樹脂で予め被覆し
た触媒無担持のカーボンブラック微粒子を触媒担持カー
ボンブラック微粒子に分散させてもよい。
【0074】また、反応層の電気抵抗を低減させるため
に、触媒無担持のカーボンブラック微粒子からなる骨格
に撥水化処理を施すことなく、高分子電解質のみで被覆
して高分子電解質自体が構造的に有する疎水性領域をガ
ス拡散ネットワークとすることも可能である。更に、ア
ノードA及びカソードCは、カーボンフエルトや、炭素
繊維からなるカーボンクロス等を用いて構成してもよ
い。
【0075】そして、上述した構成を有するアノードA
及びカソードを、固体高分子材料からなる電解質膜EM
に接合させることにより、単セルUCが形成される。具
体的には、アノードAとカソードCとの反応層を電解質
膜EMと接触させた上で、電気炉やホットプレス等で熱
処理することにより、単セルUCが完成する。この場
合、アノードA及びカソードCの接合面における密着性
を向上させるために、アノードA及びカソードCの反応
層表面に高分子電解質の膜を有機溶媒に溶解させた溶液
を少量塗布した上で熱処理を施すと好ましい。また、ア
ノードAとカソードCとを接合する前に、過酸化水素の
希薄溶液にて電解質膜EM中の不純物を酸化除去し、そ
の後、硫酸水溶液で電解質膜EM内のイオン交換基をプ
ロトンフォームにする等して電解質膜の活性化処理を施
すと好ましい。
【0076】上述したように構成された単セルUCと共
に、スタック40を構成するセパレータSPは、図3に
示すように、1体の単セルUCに対して、アノードA側
と、カソードC側とにそれぞれ1体ずつ装着される。セ
パレータSPは、例えば、カーボンを圧縮してガス不透
過とした緻密質カーボンといったようなガス不透過の導
電性部材により形成され、図4(a)及び図4(b)に
示すように、矩形薄板状を呈する。ここで、図4(a)
は、セパレータSPの表裏面のうち、アノードAと接す
る側の面(以下「アノード接触面」という)をアノード
A側から視た平面図であり、カソードCと接する側の面
(以下「カソード接触面」という)をカソードC側から
視た平面図である。
【0077】図4(a)及び図4(b)に示すように、
セパレータSPの四隅には、その側縁部に沿って延びる
長穴状の開口部50a,50b,51a,51bが形成
されている。また、セパレータSPのアノード接触面に
は、一端側が図中右上の開口部50aと連通し、他端側
が図中左下の開口部51aと連通するように、S字状に
屈曲する複数の溝52が形成されている。更に、セパレ
ータSPのカソード接触面には、一端側が図中右上の開
口部50bと連通し、他端側が図中左下の開口部51b
と連通するように、S字状に屈曲する複数の溝53が形
成されている。
【0078】このように構成されたセパレータSPと単
セルUCとを多数積層させてスタック40を構成する
と、各開口部50a,50b,51a,51bは、それ
ぞれ1本の流路を形成する。また、各セパレータSPの
アノード接触面に形成された各溝52は、各単セルUC
のアノードAの表面とにより、燃料ガス流路54を画成
する(図3参照)。更に、各セパレータSPのカソード
接触面に形成された各溝53は、各単セルUCのカソー
ドCの表面とにより、空気流路55を画成する(図3参
照)。そして、開口部50aが形成する流路は、燃料ガ
ス入口47aと連通され、開口部50bが形成する流路
は、空気入口47bと連通される。
【0079】これにより、改質装置30で生成された燃
料ガスは、燃料ガス入口47aと、各セパレータSPの
開口部50aとを介して、各セパレータSPの各溝52
とアノードAの表面とによって画成される燃料ガス流路
54に流れ込む。そして、燃料ガスが燃料ガス流路54
を流通すると、各アノードAで上記(1)式に示す反応
が進行する。また、ブロアBから供給される酸化用ガス
としての空気は、空気入口47bと、各セパレータSP
の開口部50bが形成する流路とを介して、各セパレー
タSPの各溝53とカソードCの表面とによって画成さ
れる空気流路55に流れ込む。そして、空気が空気流路
55を流通すると、各カソードCで上記(2)式に示す
反応が進行する。この結果、各単セルUCで上記(3)
式に示す全電池反応が進行し、燃料電池FCのアノード
集電板41aとカソード集電板41bとから起電力を得
ることができる。
【0080】また、この燃料電池FCのセパレータSP
では、燃料ガス流路54を画成する溝52と、空気流路
55を画成する溝53とがS字状に屈曲されている。従
って、各単セルUCのアノードAに供給された燃料ガス
は、S字状の燃料ガス流路54内を開口部50aから開
口部51aに向けて規則的に進行し、燃料ガス流路54
の途中におけるアノード反応サイトで消費されることに
なる。同様に、各単セルUCのカソードCに供給された
空気は、S字状の空気流路55を開口部50bから開口
部51bに向けて規則的に進行し、空気流路55の途中
におけるカソード反応サイトで消費される。
【0081】これにより、燃料ガスと空気とは互いに逆
方向かつ規則的に進行するので、電極反応の進行に伴う
反応熱によって各アノードA及びカソードCに不均一な
温度分布が生じてしまうことが効果的に抑制できる。こ
の結果、燃料電池FC内では、上記(1)に示すアノー
ド電極反応と(2)に示すカソード電極反応とが良好に
進行することになる。なお、燃料ガス流路54及び空気
流路55はS字状のものに限られず、他の形態の流路5
4,55を画成するようにカソードCに溝52,53を
形成してもよい。
【0082】燃料ガス流路54を流通しながらアノード
Aで反応した燃料ガスは、アノード排ガスとなり、各セ
パレータSPの開口部51aが形成する流路に流れ込
む。各セパレータSPの開口部51aが形成する流路
は、空気入口47bの下方に配置されたアノード排ガス
出口48a(図2参照)に接続されている。また、空気
流路55を流通しながらカソードCで反応した空気は、
カソード排ガスとなり、各セパレータSPの開口部51
bが形成する流路に流れ込む。各セパレータSPの開口
部51bが形成する流路は、燃料ガス入口47aの下方
に配置されたカソード排ガス出口48b(図2参照)に
接続されている。
【0083】燃料電池FCのアノード排ガス出口48a
は、図1に示すように、中途に圧力調整弁PRV4を有
するアノード排ガスラインL7を介して、改質装置30
の蒸発部31に接続されている。同様に、燃料電池FC
のカソード排ガス出口48bも、中途に圧力調整弁PR
V5を有するカソード排ガスラインL8を介して、改質
装置30の蒸発部31(バーナ)に接続されている。そ
して、燃料電池FCの各アノードAで生成されたアノー
ド排ガスは、改質装置30の蒸発部31に設けられてい
るバーナで燃料として、各カソードCで生成されたカソ
ード排ガスは、酸化剤として再利用される。
【0084】なお、圧力調整弁PRV4は、アノード排
ガスラインL7を流通するアノード排ガスの圧力を燃料
電池FCの出口で所定値に保つものであり、圧力調整弁
PRV5は、カソード排ガスラインL8を流通するカソ
ード排ガスの圧力を燃料電池FCの出口で所定値に保つ
ものである。これにより、燃料電池FCの内部における
流体圧力、すなわち、各セパレータSPの開口部50
a,50b,51a,51bが形成する流路や、各燃料
ガス流路54、各空気流路55の内部における燃料ガ
ス、及び、空気の圧力を一定に保つことが可能となり、
燃料電池FCを所望の電池電圧で作動させることができ
る。
【0085】また、カソード排ガスラインL8からは、
予熱ラインL20が分岐されている。この予熱ラインL
20は、圧力調整弁PRV5の下流側でカソード排ガス
ラインL8から分岐しており、図1に示すように、その
中途には、水供給部20の水タンク21内に配される伝
熱管T20が設けられている。当該伝熱管T20を介し
て、水タンク21内に貯留されている水は、燃料電池F
Cから昇温した状態で排出されるカソード排ガスと熱交
換することになる。これにより、カソード排ガスの熱を
利用して、水タンク21内の水(改質用水、及び、加湿
用水)を所定温度(例えば、80℃程度)まで予熱する
ことが可能となる。予熱ラインL20は、改質装置30
の蒸発部31の手前で再度、カソード排ガスラインL8
と合流しており、水供給部20の水タンク21を熱源と
して通過したカソード排ガスは、蒸発部31に設けられ
ているバーナで酸化剤として再利用される。
【0086】一方、このように構成された燃料電池FC
は、上記(1)に示すアノード電極反応と(2)に示す
カソード電極反応とが進行するにつれて発熱するが、燃
料電池FCの作動を安定化させるためには、その作動温
度を略一定に維持することが重要である。このため、燃
料電池FCは内部に冷却媒体を流通させることができる
ように構成されており、燃料電池装置1には、冷却系統
60が備えられている。燃料電池FCの冷却構造につい
て説明すると、図4(a)及び図4(b)に示すよう
に、燃料電池FCのスタック40を構成する各セパレー
タSPには、開口部50aと開口部51bとの間に更な
る開口部56が形成されている。更に、開口部50bと
開口部51aとの間には、開口部56と対向するように
開口部57が形成されている。
【0087】このように形成された各セパレータSPの
開口部56,57は、セパレータSPと単セルUCとを
多数積層させてスタック40を構成した際に、それぞ
れ、1本の流路を形成する。そして、各開口部56が形
成する流路と、各開口部57が形成する流路とは、アノ
ード集電板41a側に配置されているフランジ44aの
内部に形成されている図示しない流路を介して互いに連
通しており、冷却流路58(図1参照)を形成する。ま
た、図2に示すように、燃料電池FCのフランジ44b
側には、冷却媒体入口49aが設けられており、この冷
却媒体入口49aは、上記各開口部56が形成する流路
に連通されている。更に、燃料電池FCのフランジ44
b側には、冷却媒体出口49bが設けられており、この
冷却媒体出口49bは、上記各開口部57が形成する流
路に連通されている。
【0088】一方、冷却系統60は、冷却媒体循環ポン
プP3、冷却媒体ラインL9、冷却媒体戻りラインL1
0、熱交換器62とファン63等からなるラジエータ6
1等から構成されている。すなわち、燃料電池FCの冷
却媒体入口49aには、図1に示すように、冷却媒体ラ
インL9を介して、冷却媒体循環ポンプP3が接続され
ている。また、燃料電池FCの冷却媒体出口49bに
は、冷却媒体戻りラインL10が接続されており、この
冷却媒体戻りラインL10は、ラジエータ61を構成す
る熱交換器62の冷媒入口Riに接続されている。
【0089】従って、冷却媒体循環ポンプP3を作動さ
せれば、冷却水等が冷却媒体ラインL9、冷却媒体入口
49aを介して、燃料電池FCの冷却流路58に導入さ
れ、燃料電池FCのスタック40等から熱を奪って昇温
した冷却水等は、冷却媒体出口49b、冷却媒体戻りラ
インL10を介して、ラジエータ61に戻される。冷却
水等は、ラジエータ61で冷却され、冷却媒体循環ポン
プP3によって再度、燃料電池FCに対して供給され
る。これにより、燃料電池FCの作動温度は、常に好適
範囲(例えば、60℃〜80℃程度)に保たれる。
【0090】また、冷却媒体ラインL9からは、冷却媒
体ラインL12が分岐されており、この冷却媒体ライン
L12は、改質装置30の改質部32内に配置された伝
熱管T32の流体入口に接続されている。そして、伝熱
管T32の流体出口は、選択酸化部33内に配置された
伝熱管T33の流体入口の入口に接続されている。従っ
て、冷却媒体循環ポンプP3を作動させれば、改質部3
2の伝熱管T32と、選択酸化部33の伝熱管T33に
も冷却水等が供給されることになる。これにより、冷却
系統60を流通する冷却水等を利用して、改質部32及
び選択酸化部33の内部で発生する余分な反応熱を取り
除くことができる。このようにして改質部32及び選択
酸化部33の冷却が行われることにより、改質装置30
の出口から流出する燃料ガスの温度は、例えば、120
〜200℃程度になる。なお、選択酸化部33の伝熱管
T33を流通した冷却水等は、図示しない配管を介し
て、ラジエータ61を構成する熱交換器62の冷媒入口
Riに戻され、冷却・再循環させる。
【0091】加えて、冷却媒体ラインL12からは、更
なる冷却媒体ラインL13が分岐されており、この冷却
媒体ラインL13を介して抽出される冷却水等は、改質
装置30の蒸発部31から排出される排ガスを冷却する
ために用いられる。すなわち、蒸発部31には、内部で
燃焼したアノード排ガス、カソード排ガス等を排出させ
る排ガスラインL14が接続されており、この排ガスラ
インL14上には、熱交換器65が設けられている。そ
して、冷却媒体ラインL12から分岐された冷却媒体ラ
インL13は、熱交換器65を構成する伝熱管T65の
流体入口に接続されている。これにより、改質装置30
の排ガスは、冷却系統60を流通する冷却水等によって
冷却された後、系外に排出されることになる。熱交換器
65の伝熱管T65を流通した冷却水等も、図示しない
配管を介して、ラジエータ61を構成する熱交換器62
の冷媒入口Riに戻され、冷却・再循環させられる。
【0092】ここで、このように構成された燃料電池装
置1では、燃料電池FCの性能を安定化させる上で、各
単セルUCの電解質膜EM(固体高分子電解質膜)を十
分に加湿することが必要となる。この点に鑑みて、この
燃料電池装置1は、改質装置30から流出する高温の燃
料ガスをノズルNから噴射する加湿用水により冷却させ
ると共に加湿した上で、燃料電池FCの各アノードAに
供給できるように構成されている。
【0093】これにより、改質装置30と燃料電池FC
の各アノードAとを結ぶ燃料ガス供給ラインL5内で
は、改質装置30から流出する高温(例えば、120〜
200℃程度)の燃料ガスと、ノズルNから噴射された
微細な加湿用水のミストとが接触し合って熱交換するこ
とになる。すなわち、加湿用水のミストは、燃料ガスか
ら熱を奪って昇温・蒸発する一方、燃料ガスは、加湿用
水のミストに熱を与えて所望の温度まで冷却する。この
結果、加湿用水のミストは、気化して水蒸気となり、冷
却した燃料ガスに同伴して燃料ガス供給ラインL5内を
進行し、燃料電池FCの各アノードAに燃料ガスと共に
供給されることになる。
【0094】なお、加湿用水のミストの気化熱により冷
却された後の燃料ガスの温度は、燃料電池FCの作動温
度であることが好ましい。冷却後の燃料ガスの温度が燃
料電池FCの作動温度よりも低いと、冷却後の燃料ガス
が燃料電池FCの各アノードAに流入した際に、燃料電
池FCの作動温度を低下させてしまい、燃料電池FCの
出力の変動を引き起こすと共に各アノードAのガス流路
54内の水蒸気成分が凝縮してしまう場合がある。ま
た、冷却後の燃料ガスの温度が燃料電池FCの作動温度
よりも高いと、冷却後の燃料ガスが燃料電池FCの各ア
ノードAに流入した際に、燃料電池FCの作動温度を上
昇させてしまい、燃料電池FCの出力の変動を引き起こ
すと共に各アノードAの触媒層内の電解質ネットワーク
及び高分子電解質膜の乾燥を引き起こしてしまう場合が
ある。
【0095】ここで、この燃料電池1においては、改質
装置30において生成される高温(T1℃)の燃料ガス
をノズルNから噴射される加湿用水の気化熱により、所
定の温度(T2℃;例えば、燃料電池の作動温度TFC
に冷却した際に、冷却後の当該燃料ガス中の水蒸気成分
が過剰となると、その過剰な水蒸気成分が凝縮を起こし
てしまう。このように凝縮により水が生成してしまう
と、燃料ガス供給ラインL5内或いは各アノードA内の
ガス流路を塞いでしまうという不具合が発生することに
なる。
【0096】そのため、この燃料電池1においては、こ
のような不具合を防止しつつ上記の装置構成を効果的に
機能させるために、主として電磁弁SV1〜SV5と燃
料ガス流量調整弁FRV1とを制御して改質装置30内
の改質反応とノズルNから噴出させる加湿用水の流量を
調節することにより、改質装置30から流出するT1℃
の燃料ガス中の水蒸気分圧PT1と、加湿用水の気化熱に
より所望の温度T2℃(<T1℃)に冷却させられた後
の燃料ガス中の水蒸気分圧PT2とを以下のように設定す
る。
【0097】すなわち、第一に、改質装置30から流出
する高温(T1℃)の燃料ガス中の水蒸気分圧PT1は、
燃料電池FCの作動温度TFCにおける飽和水蒸気圧P0
TFC未満の値となるように予め設定する。従って、改質
装置30から流出する高温(T1℃)の燃料ガスは、そ
れ自体では、燃料電池FCの作動温度TFCにまで冷却さ
れた場合においても燃料ガス中の水蒸気成分が凝縮する
ことが無い。
【0098】ここで、改質装置30から流出するT1℃
の燃料ガス中の水蒸気分圧PT1を上記のように設定する
には、電磁弁SV1〜SV4を制御して改質装置30に
供給するメタノール、改質用水、及び空気の流量を所定
の値に調節することによって行なう。このとき、特に、
改質用水の供給量(mol)/メタノールの供給量(m
ol)の比(以下、「S/C比」という)の設定が重要
となる。このS/C比は、改質部32の反応温度と、選
択酸化部33反応温度と、改質装置30から流出する燃
料ガスの温度T1と、燃料電池FCの作動温度TFCとを
所定の値に定めたうえで、(4)〜(8)式で示される
改質反応及び選択酸化反応の速度定数をそれぞれに設定
し、メタノール、改質用水、及び、空気の供給量を変化
させて速度論的解析を行ない、改質装置30から流出す
る燃料ガス中の成分組成を算出することにより得られる
ものである。算出される燃料ガス中の成分組成の結果よ
り、改質装置30から流出する燃料ガス中の所望の水蒸
気圧PT1を得る場合のS/C比を求める。なお、改質部
32の反応として、(7)式で示されるようなメタノー
ル等の燃料の部分酸化反応を行わない場合にも同様にし
て改質装置30から流出する燃料ガス中の所望の水蒸気
圧PT1を得る場合のS/C比を求める。
【0099】例えば、燃料電池FCの作動圧力が1.6ata
(98066Pa)であり、作動温度TFCが80℃であ
り、改質部32の反応温度及び選択酸化部33の反応温
度が所定の温度であり、改質装置30から流出する燃料
ガスの温度T1が、120〜200℃である場合には、
電磁弁SV1とSV2とを制御して、改質用水の供給量
(mol)/メタノールの供給量(mol)の比(S/
C比)を1.5以上2.5未満とすることが好ましく、
1.8〜2.0とすることが更に好ましい。
【0100】このS/C比がそれぞれ1.5、1.8、
2.0、2.4、及び2.5であるときには、改質装置
30から流出する燃料ガス中の水蒸気圧PT1の値は、そ
れぞれ65.5℃、71.2℃、74.2℃、78.9
℃、及び80.0℃の飽和水水蒸気圧に相当する値とな
る。ここで、S/C比が、1.5未満であると改質装置
30から流出する燃料ガス中のCOの濃度が増大し、燃
料電池FCの各アノードA内において電極触媒の被毒を
著しく進行させてしまう傾向が大きくなる。一方、S/
C比が、2.5以上となると、改質装置30から流出す
る燃料ガス中の水蒸気圧が燃料電池の作動温度である8
0℃における飽和水蒸気圧以上になり、下流の燃料供給
ライン内においてノズルNからの加湿用水により冷却す
ることができなくなると共に燃料供給ライン内を凝縮水
が塞いでしまう不具合を生じる。なお、必要に応じてC
Oの濃度を低下させるために選択酸化部33の冷却条件
を変更し、選択酸化部33の反応温度を通常よりも下げ
る場合もある。そして、電磁弁SV3及びSV4を制御
して改質装置30に(7)及び/又は(8)式で示され
る化学量論比に基づいた所定量の空気を供給し反応を進
行させる。
【0101】第二に、ノズルNから噴射される加湿用水
の気化により所望の温度(T2℃)に冷却されると共に
水蒸気成分を増加された後の燃料ガス中の水蒸気分圧
(PT2atm)は、燃料電池FCの作動温度(TFC℃)に
おける飽和水蒸気圧(P0 TFC atm)以下の値となるよう
に、予め設定される。但し、このときPT2=P0 TFC
なる場合にも、燃料ガス中に凝縮した水が含まれること
が無いように、ノズルNから噴射される加湿用水の水量
が調節されるものとする。
【0102】ここで、ノズルNから噴射する加湿用水の
水量の調節は、改質装置から流出する高温T1℃(>
TFC)の燃料ガス中の水蒸気分圧PT1(<P0 TFC)を先
に述べたように設定した上で、燃料ガス流量調整弁FR
V1と電磁弁SV5とを制御することにより行なうこと
ができる。
【0103】これについて、以下図8を用いて説明す
る。図8はアノード反応ガス中の水蒸気成分の気液平衡
を模式的に示す状態図である。図中のSCは、飽和蒸気圧
曲線を示す。例えば、改質装置の出口における高温(T
1℃)の燃料ガスを、燃料電池の作動温度(TFC℃)に
まで冷却させる場合には、図8に示すように、水蒸気分
圧に換算してP0 TFC−PT1以下の範囲内に相当する水量
の加湿用水を水噴射噴射から噴霧することが可能であ
る。そして、この範囲内において、ノズルNから噴射さ
れる加湿用水の水量をその気化熱がT1−TFCに相当す
るように設定する。このとき、燃料電池FCに対する負
荷要求により燃料電池FCのアノードにおいて消費され
る燃料ガスの量が決まるので、それに応じて燃料ガス流
量調整弁FRV1を制御し、アノードに供給する燃料ガ
スの流量が決まる。そして、アノードに供給する燃料ガ
スの流量により、電磁弁SV5を制御してノズルNから
噴射される加湿用水の水量をその気化熱がT1−TFC
相当するように設定する。
【0104】このようにして、アノードに供給する燃料
ガス中の水蒸気分圧PTFCは常にPT FC≦P0 TFCであり、
且つPTFC=P0 TFCとなる場合においても、燃料ガス中
の水蒸気が凝縮されないように設定される。
【0105】ところで、この燃料電池装置1では、上述
したように、燃料ラインL1、改質用水ラインL2、空
気ラインL3,L4、燃料ガス供給ラインL5及び、ノ
ズルNに対して、各ラインを断続的に開閉可能な電磁弁
SV1〜SV6が備えられている。そして、このような
構成を採用することにより、燃料電池装置1は、大幅な
低コスト化、コンパクト化が図られている。
【0106】すなわち、メタノールを改質装置30に供
給する燃料供給部10には、圧力調整弁PRV1が設け
られており、この圧力調整弁PRV1によって燃料ポン
プP1から吐出されて圧力調整ラインLP内を流通する
流体圧力が一定に保たれている。従って、燃料供給部1
0から電磁弁SV1の入口には、燃料としてのメタノー
ルが常に一定の圧力で供給される。同様に、改質用水及
び加湿用水の供給源となる水供給部20には、圧力調整
弁PRV2が設けられており、この圧力調整弁PRV2
によって水ポンプP2から吐出されて圧力調整ラインL
P内を流通する流体圧力が常に一定に保たれている。従
って、水供給部20から電磁弁SV2及び電磁弁SV5
の入口には、改質用の水が常に一定の圧力で供給され
る。また、改質用空気の供給源となるブロアBからは、
電磁弁SV3,SV4の入口に改質用の空気が一定の圧
力で供給される。従って、各電磁弁SV1〜SV5の入
口における流体圧力は常に一定となる。
【0107】一方、燃料電池装置1では、改質装置30
の内部及び改質装置30と圧力調整弁PRとを結ぶ燃料
ガス供給ライン内部における水メタノール混合ガス、改
質ガスといった流体の圧力は、圧力調整弁PRV3によ
って常に一定に保たれている。従って、電磁弁SV1〜
SV5の出口における流体圧力も常に一定となる。
【0108】この結果、この燃料電池装置1では、各電
磁弁SV1〜SV5の入口と出口との間の差圧は、常に
一定に保たれることになる。そして、各電磁弁SV1〜
SV5の入口と出口との間の差圧を一定に保つことによ
り、各ラインL1〜L5における流量特性が極めて単純
化され、当該各差圧と各電磁弁SV1〜SV5の開通時
間とから改質装置30とノズルNとに対する流体の供給
量を極めて容易に定めることが可能となる。
【0109】このように、燃料電池装置1では、各電磁
弁SV1〜SV5の入口と出口との間の差圧を一定に保
ちながら、各電磁弁SV1〜SV5を開閉制御し、改質
装置30とノズルNとに対して断続的に各流体を供給し
ている。これにより、改質装置30とノズルNとに対す
る流体の供給量、すなわち、燃料(メタノール)、改質
用水、改質用空気、及び、加湿用水の供給量を常に最適
かつ精度よく調節することが可能となる。この結果、流
体流量調整手段として、サイズが大きく高価なサーマル
マスフローコントローラ等を使用する必要がなくなり、
小型で安価な電磁弁SV1〜SV5を採用可能となる。
従って、燃料電池装置1の全体を大幅にコストダウン
化、コンパクト化することができる。
【0110】次に、これら電磁弁SV1〜SV5の具体
的構成について、図5を参照しながら説明する。電磁弁
SV1〜SV5は、何れも同一の構成を有し、きわめて
低コストかつコンパクト(例えば、全長5〜10cm程
度)に製造可能である。電磁弁SV1〜SV5は、図5
に示すように、略円筒状に形成された弁本体80を有す
る。この弁本体80には、一端側に弁入口81が、他端
側に弁出口82がそれぞれ形成されており、弁入口81
と弁出口82とは、真っ直ぐに伸びる流路83により連
通されている。
【0111】また、弁本体80に形成された流路83内
の弁出口82の近傍には、弁座84が形成されており、
流路83内には、シャフトを介して可動鉄心86に取り
付けられた弁体85が摺動自在に配置されている。弁体
85及び可動鉄心86とは、図示しないバネ等の付勢手
段によって、弁座84に対して付勢されており、通常、
流路83は、弁座84と弁体85とによって閉鎖されて
いる。そして、弁本体80には、流路83及び可動鉄心
86の周囲を覆うように電磁コイル87が配置されてい
る。なお、ノズルNに加湿用の水を供給する加湿用水ラ
インL15に設けられる電磁弁SV5については、図5
の引き出し部に示すように、弁出口82内にノズルNを
配置して両者を一体化させると好ましい。これにより、
ノズルN周辺の構成をコンパクト化することが可能とな
る。
【0112】これら電磁弁SV1〜SV5には、定電圧
電源装置88から駆動電圧が供給される。この定電圧電
源装置88は、図示しない直流電源と定電圧回路とを有
し、当該直流電源の発生する非安定直流電圧を定電圧回
路で安定化させて、安定直流電圧を発生するものであ
る。図5及び図6に示すように、定電圧電源装置88の
プラス出力端子には、各電磁弁SV1〜SV5の電磁コ
イル87の一端が並列に接続されている。一方、定電圧
電源装置88のマイナス出力端子は、トランジスタTr
1,Tr2,Tr3,Tr4,Tr5を介して、各電磁
弁SV1〜SV5に含まれる電磁コイル87の他端が並
列に接続されている。
【0113】また、各電磁弁SV1〜SV5と各トラン
ジスタTr1〜Tr5とを結ぶ電気ラインには、バイパ
ス用の抵抗R及びコンデンサCoが設けられている。そ
して、各トランジスタTr1〜Tr5のゲートには、そ
れぞれ、パルス発生装置PG1,PG2,PG3,PG
4,PG5が接続されている。各パルス発生装置PG1
〜PG5は、各トランジスタTr1〜Tr5をON/O
FFさせるためのパルス(パルス電圧)を発生するもの
である。これにより、各トランジスタTr1〜Tr5
は、スイッチング素子として機能することになる。
【0114】すなわち、各パルス発生装置PG1〜PG
5からのパルスによって各トランジスタTr1〜Tr5
がONすると、各電磁弁SV1〜SV5の電磁コイル8
7に対して駆動電圧が印加される。これにより、電磁コ
イル87が励磁され、可動鉄心86と共に弁体85が上
昇するので、電磁弁SV1〜SV5が開放されることに
なる。一方、各パルス発生装置PG1〜PG5からのパ
ルスによって各トランジスタTr1〜Tr5がOFFす
ると、各電磁弁SV1〜SV5の電磁コイル87に対す
る駆動電圧の印加が解除され、可動鉄心86と弁体85
と付勢手段によって弁座84に対して付勢されるので、
電磁弁SV1〜SV5が閉鎖されることになる。
【0115】このように、各パルス発生装置PG1〜P
G5は、電磁コイルに駆動電圧を断続的に印加するため
のパルスを発生するものであるが、当該パルスの幅と周
期、すなわち、各電磁弁SV1〜SV5の開通時間と閉
止時間とは、図5及び図6に示す制御装置90によって
制御される。制御装置90は、図6に示すように、CP
U91、ROM92、及び、RAM93を有する。CP
U91は、マイクロプロセッサ等からなり、各種演算処
理を行う。また、ROM92には、制御・演算処理のた
めのプログラムが予め記憶されており、RAM93は、
制御・演算処理の際に各種データを読み書きするために
用いられる。
【0116】また、制御装置90は、CPU91と接続
された入出力ポート94を有する。この入出力ポート9
4には、上記各パルス発生装置PG1〜PG5と、改質
装置30の下流側に設けられた燃料ガス流量調整弁FR
V1と、ブロアBの下流側に設けられた空気流量調整弁
FRV2とが接続されている。従って、各パルス発生装
置PG1〜PG5、燃料ガス流量調整弁FRV1、空気
流量調整弁FRV2には、入出力ポート94を介して、
CPU91の演算処理によって生成された各種信号等が
与えられる。更に、制御装置90の入出力ポート94に
は、燃料電池FCに対する負荷を設定する負荷設定手段
(図示せず)が接続されており、当該負荷要求手段によ
って発せられる負荷要求信号がCPU91に与えられ
る。
【0117】加えて、制御装置90は、記憶装置95を
有し、この記憶装置95は、入出力ポート94を介して
CPU91と接続されている。記憶装置95には、燃料
電池FCに対する負荷要求に応じた電磁弁SV1の開通
時間と閉止時間とを示すテーブルと、各電磁弁SV2〜
SV5、燃料ガス流量調整弁FRV1、及び、空気流量
調整弁FRV2について定められた所定の比例定数を示
すデータとが記憶されている。これら各種データは、負
荷要求信号を受け取ったCPU91に読み出される。そ
して、CPU91は、負荷要求信号に基づいて、各パル
ス発生装置PG1〜PG5、燃料ガス流量調整弁FRV
1、並びに、空気流量調整弁FRV2に送出する制御信
号を生成する。
【0118】なお、燃料電池FCに対する負荷要求に応
じた電磁弁SV1の開通時間と閉止時間、すなわち、負
荷要求に応じたメタノールの供給量を示すテーブルは、
理論計算値、実験値等に基づいて定めることができる。
また、電磁弁SV2〜SV5、燃料ガス流量調整弁FR
V1、及び、空気流量調整弁FRV2に関する比例定数
は、電磁弁SV1の開通時間と閉止時間とで定まるメタ
ノールの供給量と、改質用水、改質空気、加湿用水の供
給量との比から電磁弁SV2〜SV5、燃料ガス流量調
整弁FRV1、及び、空気流量調整弁FRV2毎に求め
られる。なお、このような比例定数のデータを記憶装置
95に記憶させる代わりに、各電磁弁SV1〜SV5に
ついて、燃料電池FCに対する負荷要求に応じた開通時
間と閉止時間とを示すデータを作成すると共に、燃料ガ
ス流量調整弁FRV1及び空気流量調整弁FRV2につ
いて、燃料電池FCに対する負荷要求に応じた開度を示
すデータを作成し、これらのデータを記憶装置95に記
憶させてもよい。
【0119】このように構成された制御装置90等によ
り、各電磁弁SV1〜SV5、燃料ガス流量調整弁FR
V1、及び、空気流量調整弁FRV2は、確実かつ精度
よく制御される。従って、燃料ラインL1、改質用水ラ
インL2、空気ラインL3,L4、空気供給ラインL
6、及び、加湿用水ラインL15から、燃料であるメタ
ノール、カソード反応ガスとしての空気、改質用水、改
質空気、及び、加湿用水が各対象機器に安定かつ精度よ
く供給されることになる。なお、制御装置90は、シー
ケンサとして構成することも可能である。
【0120】引き続き、上述した燃料電池装置1の動作
について、図7に示すフローチャート等を参照しながら
説明する。
【0121】この燃料電池装置1の運転が開始される
と、制御装置90のCPU91に対しては、所定の負荷
設定手段から負荷要求信号が与えられる。CPU91
は、負荷要求信号を受け取ると(S10)、負荷要求信
号に基づいて、記憶装置95に記憶されている電磁弁S
V1の開通時間と閉止時間とを示すテーブルにアクセス
する。そして、CPU91は、当該テーブルの中から、
負荷要求信号に示されている燃料電池FCに対する負荷
要求に対応するデータを読み出し、当該負荷要求に応じ
た電磁弁SV1の開通時間と閉止時間とを示すデータに
基づいて、電磁弁SV1に接続されたパルス発生装置P
G1に送出する制御信号を生成する。このように、電磁
弁SV1の開通時間と閉止時間とを定めることにより、
燃料電池FCに対する負荷要求に応じたメタノールの供
給量が決定されることになる(S12)。
【0122】また、S12において、燃料電池FCに対
する負荷要求に応じたメタノールの供給量を決定したC
PU91は、次に、記憶装置95から、各電磁弁SV2
〜SV5、燃料ガス流量調整弁FRV1、及び、空気流
量調整弁FRV2について定められた所定の比例定数を
示すデータを読み出す。そして、CPU91は、当該デ
ータと、S12で読み出した負荷要求に応じた電磁弁S
V1の開通時間と閉止時間とを示すデータと乗じて各パ
ルス発生装置PG1〜PG5、燃料ガス流量調整弁FR
V1、及び、空気流量調整弁FRV2に送出する制御信
号を生成する。これにより、空気流量調整弁FRV2を
介して供給される空気、電磁弁SV2を介して供給され
る改質用水、電磁弁SV3,及び、SV4を介して供給
される改質用空気、及び、電磁弁SV5を介して供給さ
れる加湿用水の供給量が、燃料電池FCに対する負荷要
求に応じるように決定されることになる(S14)。
【0123】S12とS14における処理を行ったCP
U91は、各パルス発生装置PG1〜PG5に対して、
負荷要求に応じた各電磁弁SV1〜SV5の開通時間と
閉止時間とを示す制御信号を、燃料ガス流量調整弁FR
V1、空気流量調整弁FRV2に対して、負荷要求に応
じた開度を示す制御信号をそれぞれ送出する(S1
6)。以上説明したS10〜S16における処理は、制
御装置90のCPU91が負荷要求信号を受け取る度に
繰り返される。
【0124】一方、S16でCPU91によって生成さ
れた制御信号を制御装置90から受け取ったパルス発生
装置PG1〜PG4は、各電磁弁SV1〜SV4に対し
てパルスを送出する。これにより、各電磁コイル87に
駆動電圧が断続的に印加され、電磁弁SV1〜SV4に
よって、各ラインL1〜L4が断続的に開閉される。ま
た、燃料ガス流量調整弁FRV1及び空気流量調整弁F
RV2のアクチュエータ部は、CPU91からの制御信
号を受け取ると、その開度を負荷要求に応じるように変
化させる。
【0125】この結果、改質装置30の蒸発部31に
は、負荷要求に応じた量のメタノールと改質用水とが最
適かつ精度よく供給され、改質部32と選択酸化部33
には、負荷要求に応じた量の改質用空気が最適かつ精度
よく供給される。従って、燃料電池FCに対する負荷要
求が変化し、燃料電池FCに供給すべき燃料ガスの量が
変化したとしても、常に、一酸化炭素濃度が極めて低い
燃料ガスを改質装置30で生成可能となる。また、燃料
電池FCに、極めて一酸化炭素濃度が低い燃料ガスを精
度よく供給することにより、燃料電池FCを安定的に作
動させると共に、アノードAの寿命を長期化させること
ができる。また、空気入口47bには、負荷要求に応じ
た量の空気が熱交換器70を介して精度よく供給される
ことになる。
【0126】一方、CPU91から制御信号を受け取っ
たパルス発生装置PG5は、電磁弁SV5に対してパル
スを送出する。これにより、電磁弁SV5の電磁コイル
87に駆動電圧が断続的に印加され、電磁弁SV5によ
って加湿用水ラインL15が断続的に開閉される。従っ
て、燃料ガス供給ラインL5上に設けられたノズルNに
は、水タンク21内で、伝熱管T20を介して、燃料電
池FCから排出されるカソード排ガスによって所定温度
(例えば、80℃程度)まで予熱された加湿用水が供給
される。この結果、燃料ガス供給ラインL5の内部に水
噴射手段としてのノズルNから、加湿用水が噴射され
る。
【0127】上述したように、燃料ガス供給ラインL5
の内部には、所定温度T1(120℃程度)の燃料ガス
が改質装置30から供給されている。従って、燃料ガス
供給ラインL5の内部では、所定温度T1の燃料ガス
と、ノズルNから噴射された微細な加湿用水のミストと
が接触し合って熱交換することになる。
【0128】これにより、加湿用水のミストは、改質装
置30から流出する燃料ガスから熱を奪って昇温・蒸発
する一方、所定温度T1の燃料ガスは、加湿用水のミス
トに熱を与え、燃料電池FCの作動温度近傍(例えば、
60℃〜80℃程度)まで冷却する。この結果、加湿用
水のミストは、蒸発して水蒸気となり、冷却した燃料ガ
スに同伴して燃料電池FCの各アノードAに燃料ガスと
共に供給されることになる。
【0129】ここで、この燃料電池装置1では、記憶装
置95に記憶されているデータのうち、電磁弁SV1〜
SV4の比例定数は、上述したように、燃料電池FCに
対する負荷要求、すなわち、負荷要求に応じたメタノー
ル量に比例する比例定数として定められると共に、更
に、次の条件を満たすように定められている。すなわ
ち、この燃料電池装置1では、電磁弁SV1〜SV4の
比例定数は、蒸発部31内の流体の温度、改質部32の
流体の温度、及び、選択酸化部33の流体の温度の運転
中における変動を踏まえた上で、改質装置30から流出
する燃料ガスに混入されている水蒸気成分の分圧が燃料
電池FCの作動温度における飽和水蒸気圧未満になるよ
うに定められている。
【0130】また、電磁弁SV5についての比例定数
は、上述したように、燃料電池FCに対する負荷要求、
すなわち、負荷要求に応じたメタノール量に比例する比
例定数として定められると共に、更に、次の条件を満た
すように定められている。すなわち、この燃料電池装置
1では、電磁弁SV5についての比例定数は、水タンク
21における水の予熱条件(予熱ラインL20内の流体
温度)、アノード反応ガス流量調整手段としての燃料ガ
ス流量調整弁FRV1を流通する燃料ガスの流量、改質
装置30の改質部32及び選択酸化部33内に配置され
た伝熱管T32及びT33を流通する冷却媒体(燃料電
池の冷却水等)の温度等の運転中における変動を踏まえ
た上で、改質装置30から流出する燃料ガスに混入され
ている水蒸気成分の分圧が燃料電池FCの作動温度にお
ける飽和水蒸気圧以下になるように定められている。
【0131】これにより、燃料電池FCに対する負荷要
求が変化して燃料電池FCの作動温度等が変化したとし
ても、常に適切な湿度をもった燃料ガスを燃料電池FC
の各アノードAに供給可能となり、アノードAに水分が
滞留して燃料ガスの流入を妨げてしまうような事態を防
止することができる。
【0132】このように、この燃料電池装置1では、昇
温した状態で燃料電池FCの各アノードAに供給される
燃料ガスの顕熱を利用して燃料電池FCの電解質膜EM
を加湿するための加湿用水を蒸発させ、生成した水蒸気
を空気に同伴させながら、燃料電池FCの各アノードA
に供給している。これにより、電解質膜EMを効率よく
加湿することが可能となり、かつ、アノードAに水分が
滞留して空気の流入を妨げてしまうような事態を防止す
ることができる。
【0133】この結果、この燃料電池装置1では、燃料
電池FCの出力を容易かつ確実に安定化させることがで
きる。また、この燃料電池装置1は、従来の燃料電池装
置のように、改質装置において生成される燃料ガスを冷
却させると共にその水蒸気成分の一部を凝縮させるため
の凝縮器を省くことが可能となる。そのため、装置に備
える冷却設備も凝縮器内に導入する冷却媒体及び凝縮し
た水を冷却する必要がないため規模を縮小化できる。こ
のように、燃料電池FCの電解質を加湿するために必要
とされる機器スペースを従来に比して大幅に縮小化する
ことができるので、コンパクトで低コストな燃料電池装
置を構成することが可能となると共に、装置全体のエネ
ルギー変換効率も向上させることが可能となる。
【0134】実際に、図1に示した構成の燃料電池装置
は以下のような結果が得られている。すなわち、燃料電
池の作動温度を80℃とし、改質装置から流出する燃料
ガスに関しては、その温度を120℃、その全圧を1.
6ata(98066Pa)、その流量を2085mol/h、
その組成をCO2:18.6%、N2:10.8%、H
2:50.0%、H2O:20.6%とした。この改質
装置から流出する120℃の燃料ガスの水蒸気圧は、7
1℃の飽和水蒸気圧に相当する値となる。従って、燃料
電池の作動温度に対応する80℃の飽和水蒸気圧に比し
て小さいので、この燃料ガスにノズルNから加湿用水を
噴霧することができる。このとき、この改質装置から流
出する120℃の燃料ガスを80℃に冷却するための除
去熱量は、840kcal/mol(約3515J/mol)となる
ので、ノズルNから噴霧する加湿用水の水量は、1.5
5kg/hとなる。
【0135】この結果、80℃に冷却後の燃料ガス中の
水蒸気分圧は、冷却以前に比して約24%増加すること
になる。例えば、この冷却後の燃料ガスをアノードに供
給して所望の電池反応を行なわせ、その後、アノード排
ガス及びカソード排ガスを冷却し、ガス中の水蒸気成分
を凝縮して回収するために装置に設けなければならない
水回収用の凝縮器の伝熱面積の増加率を算出してみる
と、燃料ガス中の水素の利用率が50%の条件で電池反
応がこれに対応する反応熱を伴って進行する場合には、
約8%となる。なお、伝熱面積の増加率とは、カソード
排ガスと、水噴射手段から供給される加湿用水により増
加した燃料ガス中の水蒸気成分を含むアノード排ガスと
を冷却・凝縮して回収するために新たに必要な装置内の
凝縮器の伝熱面積を、水噴射手段から供給される加湿用
水を考慮しない仮定のもとに予め装置全体に備えられて
いる熱交換手段の全伝熱面積で除した値を示す。これに
対して、改質装置から流出する120℃の燃料ガス中の
水蒸気分圧を71℃の飽和水蒸気圧とし、改質装置の下
流側に凝縮器を備えてこの燃料ガスを80℃に冷却させ
た以外は燃料ガスの条件を上記の条件と等しくした場合
の燃料電池装置の伝熱面積の増加率は約180%となっ
た。これにより、本発明の燃料電池装置は、従来の燃料
電池装置に比べて非常にコンパクトに構成できることが
確認できた。
【0136】また、水の気化熱は非常に大きいので、改
質装置30から流出する高温の燃料ガスを所望の温度ま
で冷却させるために必要な加湿用水の水量は少量で済む
ことになる。このことから、この燃料電池装置1では、
改質装置30から流出する燃料ガスをノズルNの近傍の
非常に微小な領域内で迅速に冷却することが可能とな
る。更に、ノズルNから噴射する加湿用水の水量を制御
手段90により制御される電磁弁SV5を用いて調節す
ることにより冷却後の燃料ガス中の水蒸気分圧も調節す
ることも可能となる。従って、凝縮器を備えた従来の燃
料電池装置と比較して、燃料電池FCの急激な負荷変動
に追従しうる加湿用水の供給を迅速に行なうことが可能
となる。
【0137】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による燃料
電池装置は、改質装置と燃料電池のアノードとを結ぶア
ノード反応ガスライン上に、加湿用水供給手段から供給
された加湿用水を当該アノード反応ガスライン内に噴射
する水噴射手段を備える。そして、本発明による燃料電
池装置の運転方法では、アノード反応ガスライン内に加
湿用水を噴射し、アノード反応ガスライン内で昇温した
アノード反応ガスと加湿用水とを直接熱交換させて蒸発
させる。これにより、燃料電池装置をコンパクトに構成
することが可能となり、かつ、電解質を効率よく加湿し
て燃料電池を良好に作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による燃料電池装置を示す系統図であ
る。
【図2】図1の燃料電池装置に備えられた燃料電池を示
す斜視図である。
【図3】図2の燃料電池に設けられた単セル及びセパレ
ータを示す断面図である。
【図4】図4(a)は、図3に示すセパレータをアノー
ド側からみた平面図であり、図4(b)は、図3に示す
セパレータをカソード側からみた平面図である。
【図5】図5は、図1の燃料電池装置に採用されている
電磁弁を説明するための模式図である。
【図6】図1に示す燃料電池装置の制御ブロック図であ
る。
【図7】図1に示す燃料電池装置の制御手順を説明する
ためのフローチャートである。
【図8】図1に示す燃料電池装置の燃料ガス供給ライン
内を流通する燃料ガス中の水蒸気分圧を模式的に示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1…燃料電池装置、10…燃料供給部、11…燃料タン
ク、20…水供給部、21…水タンク、30…改質装
置、31…蒸発部、32…改質部、33…選択酸化部、
35…凝縮器、40…スタック、41a…アノード集電
板、41b…カソード集電板、42…絶縁板、43…ス
タック締付板、44a,44b…フランジ、45…膜
板、47a…燃料ガス入口、47b…空気入口、48a
…アノード排ガス出口、48b…カソード排ガス出口、
49a…冷却媒体入口、49b…冷却媒体出口、50
a,50b,51a,51b,56,57…開口部、5
2,53…溝、54…燃料ガス流路、55…空気流路、
58…冷却流路、60…冷却系統、61…ラジエータ、
65…熱交換器、70…熱交換器、80…弁本体、81
…弁入口、82…弁出口、83…流路、84…弁座、8
5…弁体、86…可動鉄心、87…電磁コイル、88…
定電圧電源装置、90…制御装置、92…ROM、93
…RAM、94…入出力ポート、95…記憶装置、A…
アノード、B…ブロア、C…カソード、Co…コンデン
サ、EM…電解質膜、FC…燃料電池、FRV1…燃料
ガス流量調整弁、FRV2…空気流量調整弁、L1…燃
料ライン、L2…改質用水ライン、L3,L4…空気ラ
イン、L5…燃料ガス供給ライン、L6…空気供給ライ
ン、L7…アノード排ガスライン、L8…カソード排ガ
スライン、L9,L11,L12,L13,L16…冷
却媒体ライン、L10,L17…冷却媒体戻りライン、
L14…排ガスライン、L15…加湿用水ライン、L2
0予熱ライン、LP1,LP2…圧力調整ライン、LS
…燃料供給ライン、N…ノズル、P1…燃料ポンプ、P
2…水ポンプ、P3…冷却媒体循環ポンプ、PG1,P
G2,PG3,PG4,PG5…パルス発生装置、PR
V1,PRV2,PRV3,PRV4,PRV5,PR
V6…圧力調整弁、R…抵抗、Ri…冷媒入口、UC…
単セル、SP…セパレータ、SV1,SV2,SV3,
SV4,SV5…電磁弁、T32,T33,T35,T
70…伝熱管、Tr1,Tr2、Tr3,Tr4,Tr
5…トランジスタ。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アノードとカソードとによって挟持され
    た高分子電解質を有する燃料電池を備え、改質装置で生
    成されたアノード反応ガスを前記アノードに供給すると
    共に、カソード反応ガスを前記カソードに供給し、電気
    化学反応によって電力を発生する燃料電池装置におい
    て、 前記改質装置と前記アノードとを結ぶアノード反応ガス
    ライン上に設けられており、該アノード反応ガスライン
    内に加湿用水を噴霧する水噴射手段と、 前記水噴射手段に加湿用水を供給する加湿用水供給手段
    と、を備え、 前記水噴射手段から前記アノード反応ガスライン内に噴
    射される前記加湿用水と前記改質装置から流出する前記
    アノード反応ガスとを直接熱交換させることにより、該
    加湿用水を気化させることを特徴とする燃料電池装置。
  2. 【請求項2】 前記改質器の出口に設けられたアノード
    反応ガス流量調整手段と、 前記加湿用水供給手段と前記水噴射手段とを結ぶ加湿用
    水ライン上に設けられた加湿用水流量調整手段と、 前記燃料電池に対する負荷要求に基づいて、前記加湿用
    水流量調整手段と、前記アノード反応ガス流量調整手段
    とを制御することにより、前記アノードの入口における
    アノード反応ガス中の水蒸気分圧を前記燃料電池の作動
    温度における飽和水蒸気圧以下に設定する制御手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電
    池装置。
  3. 【請求項3】 前記改質装置における改質反応に使用す
    る流体を該改質装置に供給する流体供給手段と、 前記流体供給手段と前記改質装置とを結ぶ流体供給ライ
    ン上に設けられた流体流量調整手段と、を更に備え、 前記制御手段は、前記燃料電池に対する負荷要求に基づ
    いて、前記流体流量調整手段を更に制御することによ
    り、前記改質装置の出口における前記アノード反応ガス
    中の水蒸気分圧を前記燃料電池の作動温度における飽和
    水蒸気未満に設定することを特徴とする請求項2に記載
    の燃料電池装置。
  4. 【請求項4】 前記水噴射手段の出口における前記アノ
    ード反応ガスの圧力を略一定に保つ圧力調整手段を更に
    備え、 前記加湿用水供給手段は、前記加湿用水流量調整手段に
    略一定の圧力で前記加湿用水を供給可能であり、 前記加湿水流量調整手段は、前記加湿用水供給手段と前
    記水噴射手段とを結ぶ加湿用水ラインを断続的に開閉可
    能である、ことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池
    装置。
  5. 【請求項5】 前記加湿用水流量調整手段は、弁本体に
    形成された流路を開閉する弁体に取り付けられた可動鉄
    心と、前記可動鉄心を覆うように配置された電磁コイル
    とを備える電磁弁であることを特徴とする請求項4に記
    載の燃料電池装置。
  6. 【請求項6】 前記電磁コイルに駆動電圧を断続的に印
    加するためのパルス信号を発生するパルス発生手段を更
    に備え、 前記制御手段は、前記燃料電池に対する負荷要求に応じ
    て、前記加湿用水流量調整手段の開通時間と閉止時間と
    を定め、当該開通時間と閉止時間とに応じたパルス信号
    を前記パルス発生手段に発生させることを特徴とする請
    求項5に記載の燃料電池装置。
  7. 【請求項7】 前記改質装置の出口における前記アノー
    ド反応ガスの圧力を略一定に保つ圧力調整手段を更に備
    え、 前記流体供給手段は、前記流体流量調整手段に略一定の
    圧力で前記流体を供給可能であり、 前記流体流量調整手段は、前記流体供給手段と前記改質
    装置とを結ぶ流体供給ラインを断続的に開閉可能であ
    る、ことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池装置。
  8. 【請求項8】 前記流体流量調整手段は、弁本体に形成
    された流路を開閉する弁体に取り付けられた可動鉄心
    と、前記可動鉄心を覆うように配置された電磁コイルと
    を備える電磁弁であることを特徴とする請求項7に記載
    の燃料電池装置。
  9. 【請求項9】 前記電磁コイルに駆動電圧を断続的に印
    加するためのパルス信号を発生するパルス発生手段を更
    に備え、 前記制御手段は、前記燃料電池に対する負荷要求に応じ
    て、前記流体流量調整手段の開通時間と閉止時間とを定
    め、当該開通時間と閉止時間とに応じたパルス信号を前
    記パルス発生手段に発生させることを特徴とする請求項
    8に記載の燃料電池装置。
  10. 【請求項10】 前記加湿用水を予熱する予熱手段を更
    に備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装
    置。
  11. 【請求項11】 アノードとカソードとによって挟持さ
    れた高分子電解質を有する燃料電池を備え、改質装置で
    生成されたアノード反応ガスを前記アノードに供給する
    と共に、カソードガス供給手段からカソード反応ガスを
    前記カソードに供給し、電気化学反応によって電力を発
    生する燃料電池装置の運転方法において、 前記改質装置と前記アノードとを結ぶアノード反応ガス
    ライン内に水噴霧手段を設けて加湿用水を噴霧し、該加
    湿用水と前記アノード反応ガスとを直接熱交換させるこ
    とにより、該加湿用水を気化させることを特徴とする燃
    料電池装置の運転方法。
  12. 【請求項12】 前記燃料電池に対する負荷要求に基づ
    いて、前記アノード反応ガス中の水蒸気分圧を前記燃料
    電池の作動温度における飽和水蒸気圧以下となるように
    前記改質装置から流出する前記アノード反応ガスの流量
    と前記水噴霧手段から噴霧される加湿用水の流量とを設
    定することを特徴とする請求項11に記載の燃料電池装
    置の運転方法。
  13. 【請求項13】 前記燃料電池に対する負荷要求に基づ
    いて、前記改質装置の出口におけるアノード反応ガス中
    の水蒸気分圧が前記燃料電池の作動温度における飽和水
    蒸気圧未満となるように、前記改質装置における改質反
    応に使用する流体を該改質装置に供給することを特徴と
    する請求項11又は12に記載の燃料電池装置の運転方
    法。
  14. 【請求項14】 前記水噴射手段の出口における前記ア
    ノード反応ガスの圧力を略一定に保つと共に、前記水噴
    射手段に対して略一定の圧力で断続的に加湿用水を供給
    することを特徴とする請求項13に記載の燃料電池装置
    の運転方法。
  15. 【請求項15】 前記燃料電池に対する負荷要求に基づ
    いて、前記水噴射手段に対する加湿用水の供給継続時間
    と供給停止時間との割合を設定することを特徴とする請
    求項14に記載の燃料電池装置の運転方法。
  16. 【請求項16】 前記改質装置の出口における前記アノ
    ード反応ガスの圧力を略一定に保つと共に、前記改質装
    置に対して略一定の圧力で断続的に前記流体を供給する
    ことを特徴とする請求項13に記載の燃料電池装置の運
    転方法。
  17. 【請求項17】 前記燃料電池に対する負荷要求に基づ
    いて、前記改質装置に対する前記流体の供給継続時間と
    供給停止時間との割合を設定することを特徴とする請求
    項16に記載の燃料電池装置の運転方法。
  18. 【請求項18】 前記加湿用水を噴射前に予熱しておく
    ことを特徴とする請求項11に記載の燃料電池装置の運
    転方法。
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