JP2001297412A - 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド及びその製造方法

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JP2001297412A
JP2001297412A JP2000109335A JP2000109335A JP2001297412A JP 2001297412 A JP2001297412 A JP 2001297412A JP 2000109335 A JP2000109335 A JP 2000109335A JP 2000109335 A JP2000109335 A JP 2000109335A JP 2001297412 A JP2001297412 A JP 2001297412A
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JP2000109335A
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Inventor
Masaya Sakaguchi
昌也 坂口
Toshio Fukazawa
利雄 深澤
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高記録密度化に伴う短波長の記録信号を再生
するための狭ギャップレングス化された再生ヘッドにお
いて、安定した縦バイアスを供給し、高感度で、且つ安
定した再生性能を有する薄膜磁気ヘッド及びその製造方
法を提供する。 【解決手段】 GMR素子を構成するフリー磁性層の上
に、バイアス非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜の2層の
積層膜或いはバイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及び
バイアス硬質磁性膜の3層の積層膜からなる積層バイア
ス膜を形成し、バイアス非磁性膜を介してバイアス硬質
磁性膜或いはバイアス強磁性膜に対向したフリー磁性層
は、バイアス非磁性膜の膜厚を適当な厚さに選ぶことに
よって、バイアス硬質磁性膜或いはバイアス強磁性膜と
フリー磁性層を強磁性的に結合或いは反強磁性的に結合
させて安定した縦バイアスをフリー磁性層に与え、ノイ
ズの発生が小さく、安定で且つ高感度な再生特性を実現
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスク装置
(HDD装置)等の磁気記録媒体に対して高密度の記録
・再生を行う装置に適用され、特に、磁気抵抗効果素子
のフリー磁性層に安定したバイアス磁界を与えて再生効
率の高い磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド及びその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気ディスク装置(HDD装置)
等の磁気記録媒体に対する記録・再生において、処理速
度の向上と記録容量の大容量化の必要性が増してきてお
り、高記録密度化への取り組みが強化されつつある。
【0003】以下、従来の薄膜磁気ヘッドについて図面
を用いて説明する。
【0004】図34及び図35は、従来の薄膜磁気ヘッ
ドを示す図であり、図34は斜視概略図、図35は薄膜
磁気ヘッドの正面概略模式図である。
【0005】例えば、磁気ディスク装置における信号の
磁気記録媒体への記録再生に用いられる薄膜磁気ヘッド
は、図34に示すような所謂MR(GMR)インダクテ
ィブ複合ヘッドと呼ばれているものが多い。
【0006】図34において、パーマロイ、Co系アモ
ルファス磁性膜或いはFe系合金磁性膜等の軟磁性材料
で成膜された下部シールド層341の上にAl23、A
lN或いはSiO2等の非磁性絶縁材料を用いて下部ギ
ャップ絶縁層342が成膜され、更にその上面に磁気抵
抗効果素子(MR素子或いはGMR素子。以下、GMR
素子と言う)343が積層成膜形成され、GMR素子3
43の左右両側端部にCoPt合金等の材料で縦バイア
ス層344が成膜される。GMR素子343の上面とそ
の両側面とのなす交線である稜線に接し、縦バイアス層
344の上面に成膜するように、Cu、Cr或いはTa
等の材料を用いて電極リード層345が形成される。こ
こで、電極リード層345は縦バイアス層344の上面
及びGMR素子343の一部の上面にかかるようにし
て、電極リード層345を成膜しても良い。次に、電極
リード層345とGMR素子343の露出した部分の上
に、下部ギャップ絶縁層342と同様の非磁性絶縁材料
を用いて上部ギャップ絶縁層346を成膜する。更に、
上部ギャップ絶縁層346の上に、下部シールド層34
1と同じような軟磁性材料を用いて上部シールド層34
7を成膜形成し、再生用の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッ
ド部348を構成する。
【0007】次に、上部シールド層347の上面に下部
ギャップ絶縁層342と同様の非磁性絶縁材料を用いて
記録ギャップ層349を成膜し、更に記録ギャップ層3
49を介して上部シールド層347に対向し、且つ、他
の部分で上部シールド層347に接している上部磁極3
50を軟磁性材料を用いて成膜形成し、記録ギャップ層
349を介して上部シールド層347と上部磁極350
が対向している部分と上部磁極350が上部シールド層
347に接している部分との間で、上部シールド層34
7と上部磁極350から絶縁材(図示せず)を介して絶
縁された巻線コイル351が設けられて、記録用の誘導
型薄膜磁気ヘッド部352を構成する。ここで、上部シ
ールド層347は再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド
部348のシールド機能と記録用誘導型薄膜磁気ヘッド
部352の下部磁極機能とを兼ね備えた機能を有してい
る。
【0008】図35に薄膜磁気ヘッドの再生ヘッド部に
おける磁気抵抗効果素子近傍の正面概略模式図を示すよ
うに、下部シールド層341の上面に成膜された下部ギ
ャップ絶縁層342の上に、FeMn系合金膜、PtM
n系合金膜等の材料である反強磁性層353、NiFe
系合金膜、Co、CoFe合金膜等を材料とする固定磁
性層354、Cu等を材料とする非磁性層355、固定
磁性層354と同様の材料とするフリー磁性層356及
びTa等を材料とするキャップ層357が順次積層成膜
され、イオンミリング等のエッチング工程で左右両側端
部が傾斜した面を持つように削り取られてGMR素子3
43を形成する。GMR素子343の左右両側端面に接
して、左右一対の縦バイアス層344が形成され、その
上に左右一対の電極リード層345が形成されている。
更に、それらの上に、上部ギャップ絶縁層346が成膜
され、更にその上に、上部シールド層347が形成され
ている。近年、高記録密度化に対応した短波長の記録信
号を再生するために、再生ヘッドギャップレングス35
8が益々小さくなってきている。
【0009】巻線コイル351に記録電流が供給される
ことにより、記録用誘導型薄膜磁気ヘッド部352の上
部磁極350と上部シールド層347に記録磁界が発生
し、記録ギャップ層349を介して対向する上部磁極3
50と上部シールド層347との間に漏洩磁束が発生
し、磁気記録媒体に記録信号を記録する。また、信号が
記録された磁気記録媒体からの信号磁界を再生用磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッド部348で再生し、GMR素子
343による抵抗変化に応じた再生信号を電極リード層
345の端子から検出する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従
来の構成の薄膜磁気ヘッドの再生ヘッド部において、磁
気記録媒体に短波長で記録された信号を再生するために
は、再生ヘッドギャップレングスを小さくする必要があ
る。再生ヘッドギャップレングスは下部シールド層の上
面から上部シールド層の下面までの距離即ち下部ギャッ
プ絶縁層、GMR素子及び上部ギャップ絶縁層の夫々の
膜厚の和であり、この距離を小さくすることはGMR素
子の両側にある左右一対の縦バイアス層が下部シールド
層或いは上部シールド層に接近することになり、縦バイ
アス層の磁界が下部シールド層或いは上部シールド層に
逃げ易くなり、GMR素子の縦バイアス層近傍のフリー
磁性層にはバイアス磁界がかかるが、フリー磁性層の中
央部分(ヘッドトラックを形成する部分の中央)ではバ
イアス磁界が弱まって、フリー磁性層の磁化の方向が不
安定になり、ノイズが増加し、安定した再生信号が得ら
れず、安定した再生信号を得るために、縦バイアス磁界
を強くする対策を行うと、フリー磁性層の磁化は安定
し、バルクハウゼンノイズは抑えられるが、感度が低下
し、固定磁性層の磁化の方向も大きく傾き、対称性が悪
化するという課題があった。
【0011】本発明は、上記の課題を解決し、GMR素
子のフリー磁性層にかかる縦バイアス磁界を精度良く、
安定したものにして、フリー磁性層の磁化の方向を安定
させ、バルクハウゼンノイズの発生を抑え、再生感度、
対称性等の再生性能の良好な磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘ
ッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の薄膜磁気ヘッドは、反強磁性層、固定磁性
層、非磁性層及びフリー磁性層が順次積層成膜形成され
た磁気抵抗効果素子と、磁気抵抗効果素子の最上部に構
成されたフリー磁性層の上に順次積層成膜されたバイア
ス非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイア
ス膜とからなるようにした構成を有している。また、本
発明の薄膜磁気ヘッドは、バイアス硬質磁性膜がトラッ
ク幅方向の磁化の方向を有するようにした構成を有して
いる。また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、磁気抵抗効果
素子を構成するフリー磁性層と積層バイアス膜を構成す
るバイアス硬質磁性膜との層間結合磁界の強さが8kA
/m以下(100Oe以下)であるようにした構成を有
している。
【0013】この構成によって、磁気抵抗効果素子(M
R素子或いはGMR素子。以下、GMR素子と言う)の
フリー磁性層は、バイアス非磁性膜を介してバイアス硬
質磁性膜と強磁性的に結合或いは反強磁性的に結合し、
その磁化の方向はバイアス硬質磁性膜と同方向或いは逆
方向に向き易く、従って、フリー磁性層の磁化方向はバ
イアス硬質磁性膜を着磁するによって容易に制御するこ
とができ、且つ、バイアス硬質磁性膜とフリー磁性層と
の間に介在するバイアス非磁性膜の膜厚によりバイアス
硬質磁性膜とフリー磁性層との強磁性的な結合或いは反
強磁性的な結合による層間結合磁界の強さを容易に制御
することができる。そのため、再生ヘッドギャップレン
グスに関わらず、バイアス硬質磁性膜を制御することに
よって、フリー磁性層の磁化方向をトラック幅方向に向
けることが容易に実現でき、積層バイアス膜からのバイ
アス磁界が固定磁性層に与える影響はなく、それによる
固定磁性層の磁化の傾きも生じないため、出力波形の対
称性の劣化が抑えられる。また、バイアス非磁性膜の膜
厚を最適に選ぶことによって積層バイアス膜からフリー
磁性層にかかるバイアス磁界として8kA/m以下の磁
界の強さを安定して与えることができ、バルクハウゼン
ノイズが少なく、再生感度が高い等の再生性能の向上を
図ることができる。
【0014】また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、磁気抵
抗効果素子の最上部に構成されたフリー磁性層の上に順
次積層成膜されたバイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜
及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜からな
る構成を有している。また、本発明の薄膜磁気ヘッド
は、バイアス強磁性膜がトラック幅方向の磁化の方向を
有するようにした構成を有している。また、本発明の薄
膜磁気ヘッドは、磁気抵抗効果素子を構成するフリー磁
性層と積層バイアス膜を構成するバイアス強磁性膜との
層間結合磁界の強さが8kA/m以下(100Oe以
下)であるようにした構成を有している。
【0015】この構成によって、積層バイアス膜を構成
するバイアス強磁性膜とバイアス硬質磁性膜は強く強磁
性結合し、バイアス強磁性膜の磁化の方向をバイアス硬
質磁性膜によって容易に制御することができ、GMR素
子のフリー磁性層は、バイアス非磁性膜を介してバイア
ス強磁性膜と強磁性的に結合或いは反強磁性的に結合
し、その磁化の方向はバイアス強磁性膜と同方向或いは
逆方向に向き易く、従って、結果的にフリー磁性層の磁
化の方向はバイアス硬質磁性膜によって容易に制御する
ことができ、且つ、バイアス強磁性膜とフリー磁性層と
の間に介在するバイアス非磁性膜の膜厚によりバイアス
強磁性膜とフリー磁性層との強磁性的な結合或いは反強
磁性的な結合による層間結合磁界の強さを容易に制御す
ることができる。そのため、バイアス非磁性膜とバイア
ス硬質磁性膜の2層からなる積層バイアス膜と同じよう
に、再生ヘッドギャップレングスに関わらず、バイアス
硬質磁性膜を制御することによって、フリー磁性層の磁
化方向をトラック幅方向に向けることが容易に実現で
き、積層バイアス膜からのバイアス磁界が固定磁性層に
与える影響はなく、それによる固定磁性層の磁化の傾き
も生じないため、出力波形の対称性の劣化が抑えられ
る。また、バイアス非磁性膜の膜厚を最適に選ぶことに
よって積層バイアス膜からフリー磁性層にかかるバイア
ス磁界として8kA/m以下の磁界の強さを安定して与
えることができ、バルクハウゼンノイズが少なく、再生
感度が高い等の再生性能の向上を図ることができる。更
に、その上に、バイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及
びバイアス硬質磁性膜の3層からなる積層バイアス膜と
してバイアス強磁性膜の上にバイアス硬質磁性膜を形成
することによって、硬質磁性材料の結晶性を良くする磁
性下地を有することになり、硬質磁性材料の特性が向上
することになり、フリー磁性層にかかる層間結合磁界が
より一層安定し、磁化を非常に安定させることができ、
再生性能の向上と安定化を図ることができる。
【0016】また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、反強磁
性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層が順次積
層成膜形成された磁気抵抗効果素子と、磁気抵抗効果素
子の最上部に構成されたフリー磁性層の上に順次積層成
膜されたバイアス非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜とか
らなる積層バイアス膜と、バイアス硬質磁性膜の上面に
形成された左右一対の電極リード層とからなるようにし
た構成を有している。また、本発明の薄膜磁気ヘッド
は、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性
層が順次積層成膜形成された磁気抵抗効果素子と、磁気
抵抗効果素子の最上部に構成されたフリー磁性層の上に
順次積層形成されたバイアス非磁性膜及びバイアス硬質
磁性膜とからなる積層バイアス膜と、磁気抵抗効果素子
及び積層バイアス膜の少なくとも左右両側面に夫々接す
る左右一対の電極リード層とからなるようにした構成を
有している。また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、磁気抵
抗効果素子の最上部に構成されたフリー磁性層の上に順
次積層成膜されたバイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜
及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜とバイ
アス硬質磁性膜の上面に形成された左右一対の電極リー
ド層或いは磁気抵抗効果素子及び積層バイアス膜の少な
くとも左右両側面に夫々接する左右一対の電極リード層
からなる構成を有している。また、本発明の薄膜磁気ヘ
ッドは、積層バイアス膜を構成するバイアス硬質磁性膜
の磁化の方向がトラック幅方向を有し、且つ、磁気抵抗
効果素子を構成するフリー磁性層の磁化の方向が、バイ
アス硬質磁性膜と反強磁性的に結合して、バイアス硬質
磁性膜の磁化の方向と逆の方向を有するようにした構成
を有している。また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、積層
バイアス膜を構成するバイアス強磁性膜の磁化の方向が
トラック幅方向を有し、且つ、磁気抵抗効果素子を構成
する前記フリー磁性層の磁化の方向が、バイアス強磁性
膜と反強磁性的に結合して、前記バイアス強磁性膜の磁
化の方向と逆の方向を有している。
【0017】この構成によって、再生ヘッドギャップレ
ングスに関わらず、バイアス硬質磁性膜を制御すること
によって、フリー磁性層の磁化方向をトラック幅方向に
向けることが容易に実現でき、積層バイアス膜からのバ
イアス磁界が固定磁性層に与える影響はなく、それによ
る固定磁性層の磁化の傾きも生じないため、出力波形の
対称性の劣化が抑えられる。また、バイアス非磁性膜の
膜厚で積層バイアス膜からフリー磁性層にかかるバイア
ス磁界の強さを容易に制御することができるので、バル
クハウゼンノイズが少なく、再生感度が高い等の再生性
能の向上を図ることができる。また、電極リード層形
状、磁気抵抗効果素子及び積層バイアス膜形状によって
再生トラック幅を容易に制御することが可能である。ま
た、バイアス非磁性膜とバイアス硬質磁性膜の2層から
なる積層バイアス膜において、バイアス硬質磁性膜とフ
リー磁性層とを反強磁性的に結合させるように、或い
は、バイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス
硬質磁性膜の3層からなる積層バイアス膜においては、
バイアス強磁性膜とフリー磁性層とを反強磁性的に結合
させるように、バイアス非磁性膜の膜厚を選ぶことによ
って、2層からなる積層バイアス膜におけるバイアス硬
質磁性膜或いは3層からなる積層バイアス膜におけるバ
イアス硬質磁性膜及びバイアス強磁性膜とフリー磁性層
における端面磁荷による漏れ磁界は、お互いに打ち消さ
れて小さくなるため、端部までより安定した磁化の方向
が得られ易く、バルクハウゼンノイズが少なく、再生性
能の向上を図ることができる。更に、3層からなる積層
バイアス膜においては、バイアス強磁性膜の上にバイア
ス硬質磁性膜を形成することによって、硬質磁性材料の
結晶性を良くする磁性下地を有することになり、硬質磁
性材料の特性が向上することになり、フリー磁性層にか
かる層間結合磁界がより一層安定し、磁化を非常に安定
させることができ、再生性能の向上と安定化を図ること
ができる。
【0018】また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、反強磁
性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層が順次積
層成膜形成された磁気抵抗効果素子と、磁気抵抗効果素
子の最上部に構成されたフリー磁性層の上に順次積層形
成されたバイアス非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜とか
らなる積層バイアス膜と、磁気抵抗効果素子及び積層バ
イアス膜の左右両側面に夫々接する左右一対の縦バイア
ス層とからなるようにした構成を有している。また、本
発明の薄膜磁気ヘッドは、磁気抵抗効果素子の最上部に
構成されたフリー磁性層の上に順次積層成膜されたバイ
アス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性
膜からなる積層バイアス膜と、磁気抵抗効果素子及び積
層バイアス膜の左右両側面に夫々接する左右一対の縦バ
イアス層とからなる構成を有している。また、本発明の
薄膜磁気ヘッドは、(請求項8)左右一対の縦バイアス
層の上面或いは積層バイアス膜の最上部にあるバイアス
硬質磁性膜の上面の左右の一部及び左右一対の縦バイア
ス層の上面の上に、左右一対の電極リード層を有するよ
うにした構成を有している。また、本発明の薄膜磁気ヘ
ッドは、磁気抵抗効果素子の最上部に構成されたフリー
磁性層の上に順次積層成膜されたバイアス非磁性膜、バ
イアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バ
イアス膜と、左右一対の縦バイアス層の上面或いは積層
バイアス膜の最上部にあるバイアス硬質磁性膜の上面の
左右の一部及び左右一対の縦バイアス層の上面の上に、
左右一対の電極リード層を有している。また、本発明の
薄膜磁気ヘッドは、積層バイアス膜を構成するバイアス
硬質磁性膜の磁化の方向がトラック幅方向を有し、且
つ、磁気抵抗効果素子を構成するフリー磁性層の磁化の
方向が、バイアス硬質磁性膜と強磁性的に結合して、バ
イアス硬質磁性膜の磁化の方向と同じ方向を有するよう
にした構成を有している。また、本発明の薄膜磁気ヘッ
ドは、積層バイアス膜を構成するバイアス強磁性膜の磁
化の方向がトラック幅方向を有し、且つ、磁気抵抗効果
素子を構成するフリー磁性層の磁化の方向が、バイアス
強磁性膜と強磁性的に結合して、バイアス強磁性膜の磁
化の方向と同じ方向を有している。
【0019】この構成によって、再生ヘッドギャップレ
ングスに関わらず、バイアス硬質磁性膜を制御すること
によって、フリー磁性層の磁化方向をトラック幅方向に
向けることが容易に実現でき、積層バイアス膜からのバ
イアス磁界が固定磁性層に与える影響はなく、それによ
る固定磁性層の磁化の傾きも生じないため、出力波形の
対称性の劣化が抑えられる。また、バイアス非磁性膜の
膜厚で積層バイアス膜からフリー磁性層にかかるバイア
ス磁界の強さを容易に制御することができるので、バル
クハウゼンノイズが少なく、再生感度が高い等の再生性
能の向上を図ることができる。また、バイアス非磁性膜
とバイアス硬質磁性膜の2層からなる積層バイアス膜に
おいては、バイアス非磁性膜を介してバイアス硬質磁性
膜とフリー磁性層の間に層間結合磁界があり、或いは、
バイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質
磁性膜の3層からなる積層バイアス膜においては、バイ
アス強磁性膜とフリー磁性層の間に層間結合磁界があ
り、縦バイアス層によるバイアス磁界は大きくなくても
良いため、縦バイアス層のバイアス磁界が固定磁性層に
与える影響が小さく、固定磁性層の磁化方向の傾きが小
さく、縦バイアス層からのバイアス磁界による出力波形
の対称性の劣化や出力低下も抑えられる。また、縦バイ
アス層の形状、GMR素子及び積層バイアス膜形状、電
極リード層形状によって再生トラック幅を容易に制御す
ることが可能である。また、2層からなる積層バイアス
膜においては、バイアス硬質磁性膜とフリー磁性層と
を、或いは3層からなる積層バイアス膜においては、バ
イアス強磁性膜とフリー磁性層とを強磁性的に結合させ
るようにバイアス非磁性膜の膜厚を選び、縦バイアス層
からフリー磁性層にかかる磁界と積層バイアス膜からフ
リー磁性層にかかる磁界の方向を同一にすることによっ
て、2層からなる積層バイアス膜におけるバイアス硬質
磁性膜及びフリー磁性膜或いは3層からなる積層バイア
ス膜におけるバイアス硬質磁性膜、バイアス強磁性膜及
びフリー磁性膜の端面磁荷による漏れ磁界は、縦バイア
ス層の端面磁荷による漏れ磁界によって打ち消され、端
部までより安定した磁化の方向が得られ、バルクハウゼ
ンノイズが少なく、再生性能の向上を図ることができ
る。更に、3層からなる積層バイアス膜においては、バ
イアス強磁性膜の上にバイアス硬質磁性膜を形成するこ
とによって、硬質磁性材料の結晶性を良くする磁性下地
を有することになり、硬質磁性材料の特性が向上するこ
とになり、フリー磁性層にかかる層間結合磁界がより一
層安定し、磁化を非常に安定させることができ、再生性
能の向上と安定化を図ることができる。
【0020】また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、少なく
とも積層バイアス膜を構成するバイアス硬質磁性膜の上
面に接したキャップ層を有するようにした構成を有して
いる。
【0021】この構成によって、前述の積層バイアス膜
の構成によってもたらされる効果以外に、積層バイアス
膜の上面の酸化が防止され、耐食性も向上し、それらに
よる特性劣化を抑えることができる。
【0022】また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、下部ギャップ絶縁層の上に、反強磁性層、固定磁性
層、非磁性層及びフリー磁性層を順次積層成膜し、反強
磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層で構成
される磁気抵抗効果素子を形成する第1の工程と、磁気
抵抗効果素子を構成するフリー磁性層の上に、バイアス
非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜を成膜して、バイアス
非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス
膜を形成する第2の工程とを有している。
【0023】この方法によって、GMR素子のフリー磁
性層は、バイアス非磁性膜を介してバイアス硬質磁性膜
と強磁性的に結合或いは反強磁性的に結合し、その磁化
の方向はバイアス硬質磁性膜と同方向或いは逆方向に向
き易く、従って、フリー磁性層の磁化方向はバイアス硬
質磁性膜によって容易に制御することができ、且つ、バ
イアス硬質磁性膜とフリー磁性層との間に介在するバイ
アス非磁性膜の膜厚によりバイアス硬質磁性膜とフリー
磁性層との強磁性的な結合或いは反強磁性的な結合によ
る層間結合磁界の強さを容易に制御することができる。
そのため、再生ヘッドギャップレングスに関わらず、バ
イアス硬質磁性膜を制御することによって、フリー磁性
層の磁化方向をトラック幅方向に向けることが容易に実
現でき、積層バイアス膜からのバイアス磁界が固定磁性
層に与える影響はなく、それによる固定磁性層の磁化の
傾きも生じないため、出力波形の対称性の劣化が抑えら
れ、バルクハウゼンノイズの少ない、再生感度の高い、
再生性能の優れた磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製
することができる。
【0024】また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、下部ギャップ絶縁層の上に、反強磁性層、固定磁性
層、非磁性層及びフリー磁性層を順次積層成膜し、反強
磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層で構成
される磁気抵抗効果素子を形成する第1の工程と、磁気
抵抗効果素子を構成するフリー磁性層の上に、バイアス
非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜を
成膜して、バイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバ
イアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜を形成する第
2の工程とを有している。
【0025】この方法によって、積層バイアス膜を構成
するバイアス強磁性膜はバイアス硬質磁性膜と強く強磁
性結合し、バイアス強磁性膜の磁化の方向をバイアス硬
質磁性膜によって容易に制御することができ、GMR素
子のフリー磁性層は、バイアス非磁性膜を介してバイア
ス強磁性膜と強磁性的に結合或いは反強磁性的に結合
し、その磁化の方向はバイアス強磁性膜と同方向或いは
逆方向に向き易く、従って、結果的にフリー磁性層の磁
化の方向はバイアス硬質磁性膜によって容易に制御する
ことができ、且つ、バイアス強磁性膜とフリー磁性層と
の間に介在するバイアス非磁性膜の膜厚によりバイアス
強磁性膜とフリー磁性層との強磁性的な結合或いは反強
磁性的な結合による層間結合磁界の強さを容易に制御す
ることができる。そのため、バイアス非磁性膜とバイア
ス硬質磁性膜の2層からなる積層バイアス膜と同じよう
に、再生ヘッドギャップレングスに関わらず、バイアス
硬質磁性膜を制御することによって、フリー磁性層の磁
化方向をトラック幅方向に向けることが容易に実現で
き、積層バイアス膜からのバイアス磁界が固定磁性層に
与える影響はなく、それによる固定磁性層の磁化の傾き
も生じないため、出力波形の対称性の劣化を抑えた磁気
抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製することができる。ま
た、バイアス非磁性膜の膜厚で積層バイアス膜からフリ
ー磁性層にかかるバイアス磁界の強さを容易に制御する
ことができるので、バルクハウゼンノイズが少なく、再
生感度の高い、再生性能の優れた磁気抵抗効果型薄膜磁
気ヘッドを作製することができる。更に、バイアス非磁
性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜の3層
からなる積層バイアス膜としてバイアス強磁性膜の上に
バイアス硬質磁性膜を形成することによって、硬質磁性
材料の結晶性を良くする磁性下地を有することになり、
硬質磁性材料の特性が向上することになり、フリー磁性
層にかかる層間結合磁界がより一層安定し、磁化を非常
に安定させることができ、再生性能が向上し、非常に安
定した磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製することが
できる。
【0026】また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、下部ギャップ絶縁層の上に、反強磁性層、固定磁性
層、非磁性層及びフリー磁性層を順次積層成膜し、反強
磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層で構成
される磁気抵抗効果素子を形成する第1の工程と、磁気
抵抗効果素子を構成するフリー磁性層の上に、バイアス
非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜を成膜して、バイアス
非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス
膜を形成する第2の工程と、積層バイアス膜のバイアス
硬質磁性膜の上に、左右一対の電極リード層を成膜形成
する第3の工程を有している。また、本発明の薄膜磁気
ヘッドの製造方法は、積層バイアス膜のバイアス硬質磁
性膜の上を覆うように電極リード層膜を成膜した後、バ
イアス硬質磁性膜が露出するように、電極リード層膜の
一部を削り取って、左右一対の電極リード層を形成する
第3の工程を有している。また、本発明の薄膜磁気ヘッ
ドの製造方法は、下部ギャップ絶縁層の上に、反強磁性
層膜、固定磁性層膜、非磁性層膜及びフリー磁性層膜を
順次積層成膜して、磁気抵抗効果素子膜を形成する第1
の工程と、磁気抵抗効果素子膜の最上部にあるフリー磁
性層膜の上に、バイアス非磁性層膜及びバイアス硬質磁
性層膜を成膜して、積層バイアス層膜を形成した後、磁
気抵抗効果素子膜及び積層バイアス層膜の左右両側部を
夫々削り取り、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及び
フリー磁性層で構成される磁気抵抗効果素子とバイアス
非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス
膜を形成する第2の工程と、磁気抵抗効果素子と積層バ
イアス膜の積層部の少なくとも左右両側面に接するよう
に左右一対の電極リード層を成膜形成する第3の工程と
を有している。
【0027】この方法によって、再生ヘッドギャップレ
ングスに関わらず、バイアス硬質磁性膜を制御すること
によって、フリー磁性層の磁化方向をトラック幅方向に
向けることが容易に実現でき、積層バイアス膜からのバ
イアス磁界が固定磁性層に与える影響はなく、それによ
る固定磁性層の磁化の傾きも生じないため、出力波形の
対称性の劣化を抑えた磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを
作製することができる。また、バイアス非磁性膜の膜厚
で積層バイアス膜からフリー磁性層にかかるバイアス磁
界の強さを容易に制御することができるので、バルクハ
ウゼンノイズが少なく、再生感度の高い、再生性能の優
れた磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製することがで
きる。また、電極リード層形状、磁気抵抗効果素子及び
積層バイアス膜形状によって再生トラック幅を容易に制
御することが可能な磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作
製することができる。
【0028】また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、磁気抵抗効果素子を構成するフリー磁性層の上に、
バイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質
磁性膜を成膜して、バイアス非磁性膜、バイアス強磁性
膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜を形
成する第2の工程とバイアス硬質磁性膜の上に、左右一
対の電極リード層を成膜形成する第3の工程或いは電極
リード層膜の一部を削り取って、左右一対の電極リード
層を形成する第3の工程を有している。また、本発明の
薄膜磁気ヘッドの製造方法は、磁気抵抗効果素子膜の最
上部にあるフリー磁性層膜の上に、バイアス非磁性層
膜、バイアス強磁性層膜及びバイアス硬質磁性層膜を成
膜して、積層バイアス層膜を形成した後、磁気抵抗効果
素子膜及び積層バイアス層膜の左右両側部を夫々削り取
り、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性
層で構成される磁気抵抗効果素子とバイアス非磁性膜、
バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層
バイアス膜を形成する第2の工程を有している。
【0029】この方法によって、バイアス非磁性膜とバ
イアス硬質磁性膜の2層からなる積層バイアス膜と同じ
ように、再生ヘッドギャップレングスに関わらず、バイ
アス硬質磁性膜を制御することによって、フリー磁性層
の磁化方向をトラック幅方向に向けることが容易に実現
でき、積層バイアス膜からのバイアス磁界が固定磁性層
に与える影響はなく、それによる固定磁性層の磁化の傾
きも生じないため、出力波形の対称性の劣化を抑えた磁
気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製することができる。
また、バイアス非磁性膜の膜厚で積層バイアス膜からフ
リー磁性層にかかるバイアス磁界の強さを容易に制御す
ることができるので、バルクハウゼンノイズの少ない、
再生感度の高い、再生性能の優れた磁気抵抗効果型薄膜
磁気ヘッドを作製することができる。更に、バイアス非
磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜の3
層からなる積層バイアス膜としてバイアス強磁性膜の上
にバイアス硬質磁性膜を形成することによって、硬質磁
性材料の結晶性を良くする磁性下地を有することにな
り、硬質磁性材料の特性が向上することになり、フリー
磁性層にかかる層間結合磁界がより一層安定し、磁化を
非常に安定させることができ、再生性能が向上し、非常
に安定した磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製するこ
とができる。また、バイアス硬質磁性膜の上面及び側面
に、電極リード層を形成することによって、電極リード
層形状、磁気抵抗効果素子及び積層バイアス膜形状によ
る再生トラック幅の制御が容易に可能な磁気抵抗効果型
薄膜磁気ヘッドを作製することができる。
【0030】また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、下部ギャップ絶縁層の上に、反強磁性層膜、固定磁
性層膜、非磁性層膜及びフリー磁性層膜を順次積層成膜
して、磁気抵抗効果素子膜を形成する第1の工程と、磁
気抵抗効果素子膜の最上部にあるフリー磁性層膜の上
に、バイアス非磁性層膜及びバイアス硬質磁性層膜を成
膜して、積層バイアス層膜を形成した後、磁気抵抗効果
素子膜及び積層バイアス層膜の左右両側部を夫々削り取
り、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性
層で構成される磁気抵抗効果素子とバイアス非磁性膜及
びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜を形成す
る第2の工程と、磁気抵抗効果素子と積層バイアス膜の
積層部の左右両側面に接するように左右一対の縦バイア
ス層を成膜形成する第3の工程と、左右一対の縦バイア
ス層の上に、左右一対の電極リード層を成膜形成する第
4の工程とを有している。また、本発明の薄膜磁気ヘッ
ドの製造方法は、左右一対の縦バイアス層の上面及びバ
イアス硬質磁性膜の上面の左右の一部の上に、左右一対
の電極リード層を成膜形成する第4の工程を有してい
る。また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、左右
一対の縦バイアス層及びバイアス硬質磁性膜の上を覆う
ように、電極リード層膜を成膜した後、バイアス硬質磁
性膜の上面の全部又は一部が露出するように、電極リー
ド層膜の一部を削り取り、左右一対の電極リード層を形
成する第4の工程を有している。また、本発明の薄膜磁
気ヘッドの製造方法は、磁気抵抗効果素子膜の最上部に
あるフリー磁性層膜の上に、バイアス非磁性層膜、バイ
アス強磁性層膜及びバイアス硬質磁性層膜を成膜して、
積層バイアス層膜を形成した後、磁気抵抗効果素子膜及
び積層バイアス層膜の左右両側部を夫々削り取り、反強
磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層で構成
される磁気抵抗効果素子とバイアス非磁性膜、バイアス
強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス
膜を形成する第2の工程と左右一対の縦バイアス層の上
に、左右一対の電極リード層を成膜形成する第4の工程
或いは左右一対の縦バイアス層の上面及びバイアス硬質
磁性膜の上面の左右の一部の上に、左右一対の電極リー
ド層を成膜形成する第4の工程或いは電極リード層膜の
一部を削り取り、左右一対の電極リード層を形成する第
4の工程を有している(。
【0031】この方法によって、再生ヘッドギャップレ
ングスに関わらず、バイアス硬質磁性膜を制御すること
によって、フリー磁性層の磁化方向をトラック幅方向に
向けることが容易に実現でき、積層バイアス膜からのバ
イアス磁界が固定磁性層に与える影響はなく、それによ
る固定磁性層の磁化の傾きも生じないため、出力波形の
対称性の劣化を抑えた磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを
作製することができる。また、バイアス非磁性膜の膜厚
で積層バイアス膜からフリー磁性層にかかるバイアス磁
界の強さを容易に制御することができるので、バルクハ
ウゼンノイズが少なく、再生感度の高い、再生性能の優
れた磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製することがで
きる。また、バイアス非磁性膜とバイアス硬質磁性膜の
2層からなる積層バイアス膜においては、バイアス非磁
性膜を介してバイアス硬質磁性膜とフリー磁性層の間
に、或いはバイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバ
イアス硬質磁性膜の3層からなる積層バイアス膜におい
ては、バイアス非磁性膜を介してバイアス強磁性膜とフ
リー磁性層の間に、層間結合磁界があり、縦バイアス層
によるバイアス磁界は大きくなくても良いため、縦バイ
アス層のバイアス磁界が固定磁性層に与える影響が小さ
く、固定磁性層の磁化方向の傾きが小さく、縦バイアス
層からのバイアス磁界による出力波形の対称性の劣化や
出力低下も抑えた磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製
することができる。また、縦バイアス層の形状、GMR
素子及び積層バイアス膜形状、電極リード層形状によっ
て再生トラック幅を容易に制御することが可能な磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製することができる。更
に、3層からなる積層バイアス膜においては、バイアス
強磁性膜の上にバイアス硬質磁性膜を形成することによ
って、硬質磁性材料の結晶性を良くする磁性下地を有す
ることになり、硬質磁性材料の特性が向上することにな
り、フリー磁性層にかかる層間結合磁界がより一層安定
し、磁化を非常に安定させることができ、再生性能が向
上し、非常に安定した磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを
作製することができる。
【0032】また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、磁気抵抗効果素子を構成するフリー磁性層の上に、
バイアス非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜を成膜して、
バイアス非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層
バイアス膜を形成し、更に、バイアス硬質磁性膜の上
に、キャップ層を形成する工程を有している。また、本
発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、磁気抵抗効果素子
を構成するフリー磁性層の上に、バイアス非磁性膜、バ
イアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜を成膜して、バ
イアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁
性膜からなる積層バイアス膜を形成し、更に、バイアス
硬質磁性膜の上に、キャップ層を形成する工程を有して
いる。また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、左
右一対の電極リード層及びバイアス硬質磁性膜の露出し
た部分の上を覆うように、キャップ層を成膜する工程を
有している。また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、磁気抵抗効果素子膜の最上部にあるフリー磁性層膜
の上に、バイアス非磁性層膜及びバイアス硬質磁性層膜
を成膜して、積層バイアス層膜を形成した後、更にその
上に、キャップ層膜を成膜し、前記磁気抵抗効果素子
膜、前記積層バイアス層膜及び前記キャップ層膜の左右
両側部を削り取り、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層
及びフリー磁性層で構成される磁気抵抗効果素子とバイ
アス非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイ
アス膜とキャップ層とを形成する工程を有している。ま
た、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、磁気抵抗効
果素子膜の最上部にあるフリー磁性層膜の上に、バイア
ス非磁性層膜、バイアス強磁性層膜及びバイアス硬質磁
性層膜を成膜して、積層バイアス層膜を形成した後、更
にその上に、キャップ層膜を成膜し、磁気抵抗効果素子
膜、積層バイアス層膜及びキャップ層膜の左右両側部を
削り取り、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリ
ー磁性層で構成される磁気抵抗効果素子とバイアス非磁
性膜,バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からな
る積層バイアス膜とキャップ層とを形成する工程を有し
ている。
【0033】この方法によって、前述の積層バイアス膜
の形成によってもたらされる効果以外に、積層バイアス
膜の上面の酸化が防止され、耐食性も向上し、それらに
よる特性劣化が少ない、再生性能の優れた磁気抵抗効果
型薄膜磁気ヘッドを作製することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、下部シールド層と上部シールド層との間に絶縁材を
介して磁気抵抗効果素子を有し、信号電流を流すための
電極リード層からなる磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドに
おいて、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー
磁性層が順次積層成膜形成された磁気抵抗効果素子と、
磁気抵抗効果素子の最上部に構成されたフリー磁性層の
上に順次積層成膜されたバイアス非磁性膜及びバイアス
硬質磁性膜からなる積層バイアス膜とからなる構成を有
することを特徴としたものであり、また、本発明の請求
項10に記載の発明は、バイアス強磁性膜がトラック幅
方向の磁化の方向を有することを特徴としたものであ
り、また、本発明の請求項16に記載の発明は、磁気抵
抗効果素子を構成するフリー磁性層と積層バイアス膜を
構成するバイアス硬質磁性膜との層間結合磁界の強さが
8kA/m以下(100Oe以下)であることを特徴と
したものであり、磁気抵抗効果素子(MR素子或いはG
MR素子。以下、GMR素子と言う)のフリー磁性層
は、バイアス非磁性膜を介してバイアス硬質磁性膜と強
磁性的に結合或いは反強磁性的に結合し、その磁化の方
向はバイアス硬質磁性膜と同方向或いは逆方向に向き易
く、従って、フリー磁性層の磁化方向はバイアス硬質磁
性膜を着磁することによって容易に制御することがで
き、且つ、バイアス硬質磁性膜とフリー磁性層との間に
介在するバイアス非磁性膜の膜厚によりバイアス硬質磁
性膜とフリー磁性層との強磁性的な結合或いは反強磁性
的な結合による層間結合磁界の強さを容易に制御するこ
とができる。そのため、再生ヘッドギャップレングスに
関わらず、バイアス硬質磁性膜を制御することによっ
て、フリー磁性層の磁化方向をトラック幅方向に向ける
ことが容易に実現でき、積層バイアス膜からのバイアス
磁界が固定磁性層に与える影響はなく、それによる固定
磁性層の磁化の傾きも生じないため、出力波形の対称性
の劣化が抑えられる。また、バイアス非磁性膜の膜厚を
最適に選ぶことによって積層バイアス膜からフリー磁性
層にかかるバイアス磁界として8kA/m以下の磁界の
強さを安定して与えることができ、バルクハウゼンノイ
ズが少なく、再生感度が高い等の再生性能の向上を図る
ことができるという作用を有している。
【0035】また、本発明の請求項2に記載の発明は、
磁気抵抗効果素子の最上部に構成されたフリー磁性層の
上に順次積層成膜されたバイアス非磁性膜、バイアス強
磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜
からなる構成を有することを特徴としたものであり、ま
た、本発明の請求項11に記載の発明は、バイアス強磁
性膜がトラック幅方向の磁化の方向を有することを特徴
としたものであり、また、本発明の請求項17に記載の
発明は、磁気抵抗効果素子を構成するフリー磁性層と積
層バイアス膜を構成するバイアス強磁性膜との層間結合
磁界の強さが8kA/m以下(100Oe以下)である
ことを特徴としたものであり、積層バイアス膜を構成す
るバイアス強磁性膜とバイアス硬質磁性膜は強く強磁性
結合し、バイアス強磁性膜の磁化の方向をバイアス硬質
磁性膜によって容易に制御することができ、GMR素子
のフリー磁性層は、バイアス非磁性膜を介してバイアス
強磁性膜と強磁性的に結合或いは反強磁性的に結合し、
その磁化の方向はバイアス強磁性膜と同方向或いは逆方
向に向き易く、従って、結果的にフリー磁性層の磁化の
方向はバイアス硬質磁性膜によって容易に制御すること
ができ、且つ、バイアス強磁性膜とフリー磁性層との間
に介在するバイアス非磁性膜の膜厚によりバイアス強磁
性膜とフリー磁性層との強磁性的な結合或いは反強磁性
的な結合による層間結合磁界の強さを容易に制御するこ
とができる。そのため、バイアス非磁性膜とバイアス硬
質磁性膜の2層からなる積層バイアス膜と同じように、
再生ヘッドギャップレングスに関わらず、バイアス硬質
磁性膜を制御することによって、フリー磁性層の磁化方
向をトラック幅方向に向けることが容易に実現でき、積
層バイアス膜からのバイアス磁界が固定磁性層に与える
影響はなく、それによる固定磁性層の磁化の傾きも生じ
ないため、出力波形の対称性の劣化が抑えられる。ま
た、バイアス非磁性膜の膜厚を最適に選ぶことによって
積層バイアス膜からフリー磁性層にかかるバイアス磁界
として8kA/m以下の磁界の強さを安定して与えるこ
とができ、バルクハウゼンノイズが少なく、再生感度が
高い等の再生性能の向上を図ることができる。更に、そ
の上に、バイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイ
アス硬質磁性膜の3層からなる積層バイアス膜としてバ
イアス強磁性膜の上にバイアス硬質磁性膜を形成するこ
とによって、硬質磁性材料の結晶性を良くする磁性下地
を有することになり、硬質磁性材料の特性が向上するこ
とになり、フリー磁性層にかかる層間結合磁界がより一
層安定し、磁化を非常に安定させることができ、再生性
能の向上と安定化を図ることができるという作用を有し
ている。
【0036】また、本発明の請求項3に記載の発明は、
反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層が
順次積層成膜形成された磁気抵抗効果素子と、磁気抵抗
効果素子の最上部に構成されたフリー磁性層の上に順次
積層成膜されたバイアス非磁性膜及びバイアス硬質磁性
膜とからなる積層バイアス膜と、バイアス硬質磁性膜の
上面に形成された左右一対の電極リード層とからなる構
成を有することを特徴としたものであり、また、本発明
の請求項4に記載の発明は、反強磁性層、固定磁性層、
非磁性層及びフリー磁性層が順次積層成膜形成された磁
気抵抗効果素子と、磁気抵抗効果素子の最上部に構成さ
れたフリー磁性層の上に順次積層形成されたバイアス非
磁性膜及びバイアス硬質磁性膜とからなる積層バイアス
膜と、磁気抵抗効果素子及び積層バイアス膜の少なくと
も左右両側面に夫々接する左右一対の電極リード層とか
らなる構成を有することを特徴としたものであり、ま
た、本発明の請求項5に記載の発明は、磁気抵抗効果素
子の最上部に構成されたフリー磁性層の上に順次積層成
膜されたバイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイ
アス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜とバイアス硬質
磁性膜の上面に形成された左右一対の電極リード層或い
は磁気抵抗効果素子及び積層バイアス膜の少なくとも左
右両側面に夫々接する左右一対の電極リード層からなる
構成を有することを特徴としたものであり、また、本発
明の請求項12に記載の発明は、積層バイアス膜を構成
するバイアス硬質磁性膜の磁化の方向がトラック幅方向
を有し、且つ、磁気抵抗効果素子を構成するフリー磁性
層の磁化の方向が、バイアス硬質磁性膜と反強磁性的に
結合して、バイアス硬質磁性膜の磁化の方向と逆の方向
を有することを特徴としたものであり、また、本発明の
請求項13に記載の発明は、積層バイアス膜を構成する
前記バイアス強磁性膜の磁化の方向がトラック幅方向を
有し、且つ、磁気抵抗効果素子を構成するフリー磁性層
の磁化の方向が、バイアス強磁性膜と反強磁性的に結合
して、バイアス強磁性膜の磁化の方向と逆の方向を有す
ることを特徴としたものであり、再生ヘッドギャップレ
ングスに関わらず、バイアス硬質磁性膜を制御すること
によって、フリー磁性層の磁化方向をトラック幅方向に
向けることが容易に実現でき、積層バイアス膜からのバ
イアス磁界が固定磁性層に与える影響はなく、それによ
る固定磁性層の磁化の傾きも生じないため、出力波形の
対称性の劣化が抑えられる。また、バイアス非磁性膜の
膜厚で積層バイアス膜からフリー磁性層にかかるバイア
ス磁界の強さを容易に制御することができるので、バル
クハウゼンノイズが少なく、再生感度が高い等の再生性
能の向上を図ることができる。また、電極リード層形
状、磁気抵抗効果素子及び積層バイアス膜形状によって
再生トラック幅を容易に制御することが可能である。ま
た、バイアス非磁性膜とバイアス硬質磁性膜の2層から
なる積層バイアス膜においては、バイアス硬質磁性膜と
フリー磁性層とを反強磁性的に結合させるように、或い
は、バイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス
硬質磁性膜の3層からなる積層バイアス膜においては、
バイアス強磁性膜とフリー磁性層とを反強磁性的に結合
させるように、バイアス非磁性膜の膜厚を選ぶことによ
って、2層からなる積層バイアス膜におけるバイアス硬
質磁性膜或いは3層からなる積層バイアス膜におけるバ
イアス硬質磁性膜及びバイアス強磁性膜とフリー磁性膜
における端面磁荷による漏れ磁界は、お互いに打ち消さ
れて小さくなるため、端部までより安定した磁化の方向
が得られ易く、バルクハウゼンノイズが少なく、再生性
能の向上を図ることができる。更に、3層からなる積層
バイアス膜においては、バイアス強磁性膜の上にバイア
ス硬質磁性膜を形成することによって、硬質磁性材料の
結晶性を良くする磁性下地を有することになり、硬質磁
性材料の特性が向上することになり、フリー磁性層にか
かる層間結合磁界がより一層安定し、磁化を非常に安定
させることができ、再生性能の向上と安定化を図ること
ができるという作用を有している。
【0037】また、本発明の請求項6に記載の発明は、
反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層が
順次積層成膜形成された磁気抵抗効果素子と、磁気抵抗
効果素子の最上部に構成されたフリー磁性層の上に順次
積層形成されたバイアス非磁性膜及びバイアス硬質磁性
膜とからなる積層バイアス膜と、磁気抵抗効果素子及び
積層バイアス膜の左右両側面に夫々接する左右一対の縦
バイアス層とからなる構成を有することを特徴としたも
のであり、また、本発明の請求項7に記載の発明は、磁
気抵抗効果素子の最上部に構成されたフリー磁性層の上
に順次積層成膜されたバイアス非磁性膜、バイアス強磁
性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜
と、磁気抵抗効果素子及び積層バイアス膜の左右両側面
に夫々接する左右一対の縦バイアス層とからなる構成を
有することを特徴としたものであり、また、本発明の請
求項8に記載の発明は、左右一対の縦バイアス層の上面
或いは積層バイアス膜の最上部にあるバイアス硬質磁性
膜の上面の左右の一部及び左右一対の縦バイアス層の上
面の上に、左右一対の電極リード層を有することを特徴
としたものであり、また、本発明の請求項9に記載の発
明は、磁気抵抗効果素子の最上部に構成されたフリー磁
性層の上に順次積層成膜されたバイアス非磁性膜、バイ
アス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイ
アス膜と、左右一対の縦バイアス層の上面或いは積層バ
イアス膜の最上部にあるバイアス硬質磁性膜の上面の左
右の一部及び左右一対の縦バイアス層の上面の上に、左
右一対の電極リード層を有することを特徴としたもので
あり、また、本発明の請求項14に記載の発明は、積層
バイアス膜を構成するバイアス強磁性膜の磁化の方向が
トラック幅方向を有し、且つ、磁気抵抗効果素子を構成
するフリー磁性層の磁化の方向が、バイアス硬質磁性膜
と強磁性的に結合して、バイアス硬質磁性膜の磁化の方
向と同じ方向を有することを特徴としたものであり、ま
た、本発明の請求項15に記載の発明は、積層バイアス
膜を構成するバイアス強磁性膜の磁化の方向がトラック
幅方向を有し、且つ、磁気抵抗効果素子を構成するフリ
ー磁性層の磁化の方向が、バイアス強磁性膜と強磁性的
に結合して、バイアス強磁性膜の磁化の方向と同じ方向
を有することを特徴としたものであり、再生ヘッドギャ
ップレングスに関わらず、バイアス硬質磁性膜を制御す
ることによって、フリー磁性層の磁化方向をトラック幅
方向に向けることが容易に実現でき、積層バイアス膜か
らのバイアス磁界が固定磁性層に与える影響はなく、そ
れによる固定磁性層の磁化の傾きも生じないため、出力
波形の対称性の劣化が抑えられる。また、バイアス非磁
性膜の膜厚で積層バイアス膜からフリー磁性層にかかる
バイアス磁界の強さを容易に制御することができるの
で、バルクハウゼンノイズが少なく、再生感度が高い等
の再生性能の向上を図ることができる。また、バイアス
非磁性膜とバイアス硬質磁性膜の2層からなる積層バイ
アス膜においては、バイアス非磁性膜を介してバイアス
硬質磁性膜とフリー磁性層の間に、或いは、バイアス非
磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜の3
層からなる積層バイアス膜においては、バイアス強磁性
膜とフリー磁性層の間に、層間結合磁界があり、縦バイ
アス層によるバイアス磁界は大きくなくても良いため、
縦バイアス層のバイアス磁界が固定磁性層に与える影響
が小さく、固定磁性層の磁化方向の傾きが小さく、縦バ
イアス層からのバイアス磁界による出力波形の対称性の
劣化や出力低下も抑えられる。また、縦バイアス層の形
状、GMR素子及び積層バイアス膜形状、電極リード層
形状によって再生トラック幅を容易に制御することが可
能である。また、2層からなる積層バイアス膜において
は、バイアス硬質磁性膜とフリー磁性層とを、或いは3
層からなる積層バイアス膜においては、バイアス強磁性
膜とフリー磁性層とを強磁性的に結合させるようにバイ
アス非磁性膜の膜厚を選び、縦バイアス層からフリー磁
性層にかかる磁界と積層バイアス膜からフリー磁性層に
かかる磁界の方向を同一にすることによって、2層から
なる積層バイアス膜におけるバイアス硬質磁性膜及びフ
リー磁性膜或いは3層からなる積層バイアス膜における
バイアス硬質磁性膜、バイアス強磁性膜及びフリー磁性
膜の端面磁荷による漏れ磁界は、縦バイアス層の端面磁
荷による漏れ磁界によって打ち消され、端部までより安
定した磁化の方向が得られ、バルクハウゼンノイズが少
なく、再生性能の向上を図ることができる。更に、3層
からなる積層バイアス膜においては、バイアス強磁性膜
の上にバイアス硬質磁性膜を形成することによって、硬
質磁性材料の結晶性を良くする磁性下地を有することに
なり、硬質磁性材料の特性が向上することになり、フリ
ー磁性層にかかる層間結合磁界がより一層安定し、磁化
を非常に安定させることができ、再生性能の向上と安定
化を図ることができるという作用を有している。
【0038】また、本発明の請求項18に記載の発明
は、少なくとも積層バイアス膜を構成するバイアス硬質
磁性膜の上面に接したキャップ層を有することを特徴と
したものであり、前述の積層バイアス膜の構成によって
もたらされる効果以外に、積層バイアス膜の上面の酸化
が防止され、耐食性も向上し、それらによる特性劣化を
抑えることができるという作用を有している。
【0039】また、本発明の請求項19に記載の発明
は、下部ギャップ絶縁層の上に、反強磁性層、固定磁性
層、非磁性層及びフリー磁性層を順次積層成膜し、反強
磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層で構成
される磁気抵抗効果素子を形成する第1の工程と、磁気
抵抗効果素子を構成するフリー磁性層の上に、バイアス
非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜を成膜して、バイアス
非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス
膜を形成する第2の工程とを有することを特徴としたも
のであり、GMR素子のフリー磁性層は、バイアス非磁
性膜を介してバイアス硬質磁性膜と強磁性的に結合或い
は反強磁性的に結合し、その磁化の方向はバイアス硬質
磁性膜と同方向或いは逆方向に向き易く、従って、フリ
ー磁性層の磁化方向はバイアス硬質磁性膜によって容易
に制御することができ、且つ、バイアス硬質磁性膜とフ
リー磁性層との間に介在するバイアス非磁性膜の膜厚に
よりバイアス硬質磁性膜とフリー磁性層との強磁性的な
結合或いは反強磁性的な結合による層間結合磁界の強さ
を容易に制御することができる。そのため、再生ヘッド
ギャップレングスに関わらず、バイアス硬質磁性膜を制
御することによって、フリー磁性層の磁化方向をトラッ
ク幅方向に向けることが容易に実現でき、積層バイアス
膜からのバイアス磁界が固定磁性層に与える影響はな
く、それによる固定磁性層の磁化の傾きも生じないた
め、出力波形の対称性の劣化が抑えられ、バルクハウゼ
ンノイズの少ない、再生感度の高い、再生性能の優れた
磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製することができる
という作用を有している。
【0040】また、本発明の請求項20に記載の発明
は、下部ギャップ絶縁層の上に、反強磁性層、固定磁性
層、非磁性層及びフリー磁性層を順次積層成膜し、反強
磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層で構成
される磁気抵抗効果素子を形成する第1の工程と、磁気
抵抗効果素子を構成するフリー磁性層の上に、バイアス
非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜を
成膜して、バイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバ
イアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜を形成する第
2の工程とを有することを特徴としたものであり、積層
バイアス膜を構成するバイアス強磁性膜はバイアス硬質
磁性膜と強く強磁性結合し、バイアス強磁性膜の磁化の
方向をバイアス硬質磁性膜によって容易に制御すること
ができ、GMR素子のフリー磁性層は、バイアス非磁性
膜を介してバイアス強磁性膜と強磁性的に結合或いは反
強磁性的に結合し、その磁化の方向はバイアス強磁性膜
と同方向或いは逆方向に向き易く、従って、結果的にフ
リー磁性層の磁化の方向はバイアス硬質磁性膜によって
容易に制御することができ、且つ、バイアス強磁性膜と
フリー磁性層との間に介在するバイアス非磁性膜の膜厚
によりバイアス強磁性膜とフリー磁性層との強磁性的な
結合或いは反強磁性的な結合による層間結合磁界の強さ
を容易に制御することができる。そのため、バイアス非
磁性膜とバイアス硬質磁性膜の2層からなる積層バイア
ス膜と同じように、再生ヘッドギャップレングスに関わ
らず、バイアス硬質磁性膜を制御することによって、フ
リー磁性層の磁化方向をトラック幅方向に向けることが
容易に実現でき、積層バイアス膜からのバイアス磁界が
固定磁性層に与える影響はなく、それによる固定磁性層
の磁化の傾きも生じないため、出力波形の対称性の劣化
を抑えた磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製すること
ができる。また、バイアス非磁性膜の膜厚で積層バイア
ス膜からフリー磁性層にかかるバイアス磁界の強さを容
易に制御することができるので、バルクハウゼンノイズ
が少なく、再生感度の高い、再生性能の優れた磁気抵抗
効果型薄膜磁気ヘッドを作製することができる。更に、
バイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質
磁性膜の3層からなる積層バイアス膜としてバイアス強
磁性膜の上にバイアス硬質磁性膜を形成することによっ
て、硬質磁性材料の結晶性を良くする磁性下地を有する
ことになり、硬質磁性材料の特性が向上することにな
り、フリー磁性層にかかる層間結合磁界がより一層安定
し、磁化を非常に安定させることができ、再生性能が向
上し、非常に安定した磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを
作製することができるという作用を有している。
【0041】また、本発明の請求項21に記載の発明
は、下部ギャップ絶縁層の上に、反強磁性層、固定磁性
層、非磁性層及びフリー磁性層を順次積層成膜し、反強
磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層で構成
される磁気抵抗効果素子を形成する第1の工程と、磁気
抵抗効果素子を構成するフリー磁性層の上に、バイアス
非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜を成膜して、バイアス
非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス
膜を形成する第2の工程と、積層バイアス膜のバイアス
硬質磁性膜の上に、左右一対の電極リード層を成膜形成
する第3の工程を有することを特徴としたものであり、
また、本発明の請求項22に記載の発明は、請求項21
の第3の工程において、積層バイアス膜のバイアス硬質
磁性膜の上を覆うように電極リード層膜を成膜した後、
バイアス硬質磁性膜が露出するように、電極リード層膜
の一部を削り取って、左右一対の電極リード層を形成す
る第3の工程を有することを特徴としたものであり、ま
た、本発明の請求項26に記載の発明は、下部ギャップ
絶縁層の上に、反強磁性層膜、固定磁性層膜、非磁性層
膜及びフリー磁性層膜を順次積層成膜して、磁気抵抗効
果素子膜を形成する第1の工程と、磁気抵抗効果素子膜
の最上部にあるフリー磁性層膜の上に、バイアス非磁性
層膜及びバイアス硬質磁性層膜を成膜して、積層バイア
ス層膜を形成した後、磁気抵抗効果素子膜及び積層バイ
アス層膜の左右両側部を夫々削り取り、反強磁性層、固
定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層で構成される磁気
抵抗効果素子とバイアス非磁性膜及びバイアス硬質磁性
膜からなる積層バイアス膜を形成する第2の工程と、磁
気抵抗効果素子と積層バイアス膜の積層部の少なくとも
左右両側面に接するように左右一対の電極リード層を成
膜形成する第3の工程とを有することを特徴としたもの
であり、再生ヘッドギャップレングスに関わらず、バイ
アス硬質磁性膜を制御することによって、フリー磁性層
の磁化方向をトラック幅方向に向けることが容易に実現
でき、積層バイアス膜からのバイアス磁界が固定磁性層
に与える影響はなく、それによる固定磁性層の磁化の傾
きも生じないため、出力波形の対称性の劣化を抑えた磁
気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製することができる。
また、バイアス非磁性膜の膜厚で積層バイアス膜からフ
リー磁性層にかかるバイアス磁界の強さを容易に制御す
ることができるので、バルクハウゼンノイズが少なく、
再生感度の高い、再生性能の優れた磁気抵抗効果型薄膜
磁気ヘッドを作製することができる。また、電極リード
層形状、磁気抵抗効果素子及び積層バイアス膜形状によ
って再生トラック幅を容易に制御することが可能な磁気
抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製することができるとい
う作用を有している。
【0042】また、本発明の請求項23に記載の発明
は、磁気抵抗効果素子を構成するフリー磁性層の上に、
バイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質
磁性膜を成膜して、バイアス非磁性膜、バイアス強磁性
膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜を形
成する第2の工程とバイアス硬質磁性膜の上に、左右一
対の電極リード層を成膜形成する第3の工程或いは電極
リード層膜の一部を削り取って、左右一対の電極リード
層を形成する第3の工程を有することを特徴としたもの
であり、また、本発明の請求項27に記載の発明は、請
求項26の第2の工程において、磁気抵抗効果素子膜の
最上部にあるフリー磁性層膜の上に、バイアス非磁性層
膜、バイアス強磁性層膜及びバイアス硬質磁性層膜を成
膜して、積層バイアス層膜を形成した後、磁気抵抗効果
素子膜及び積層バイアス層膜の左右両側部を夫々削り取
り、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性
層で構成される磁気抵抗効果素子とバイアス非磁性膜、
バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層
バイアス膜を形成する第2の工程を有することを特徴と
したものであり、バイアス非磁性膜とバイアス硬質磁性
膜の2層からなる積層バイアス膜と同じように、再生ヘ
ッドギャップレングスに関わらず、バイアス硬質磁性膜
を制御することによって、フリー磁性層の磁化方向をト
ラック幅方向に向けることが容易に実現でき、積層バイ
アス膜からのバイアス磁界が固定磁性層に与える影響は
なく、それによる固定磁性層の磁化の傾きも生じないた
め、出力波形の対称性の劣化を抑えた磁気抵抗効果型薄
膜磁気ヘッドを作製することができる。また、バイアス
非磁性膜の膜厚で積層バイアス膜からフリー磁性層にか
かるバイアス磁界の強さを容易に制御することができる
ので、バルクハウゼンノイズの少ない、再生感度の高
い、再生性能の優れた磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを
作製することができる。更に、バイアス非磁性膜、バイ
アス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜の3層からなる積
層バイアス膜としてバイアス強磁性膜の上にバイアス硬
質磁性膜を形成することによって、硬質磁性材料の結晶
性を良くする磁性下地を有することになり、硬質磁性材
料の特性が向上することになり、フリー磁性層にかかる
層間結合磁界がより一層安定し、磁化を非常に安定させ
ることができ、再生性能が向上し、非常に安定した磁気
抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製することができる。ま
た、バイアス硬質磁性膜の上及び側面に、電極リード層
を形成することによって、電極リード層形状、磁気抵抗
効果素子及び積層バイアス膜形状による再生トラック幅
の制御が容易に可能な磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを
作製することができるという作用を有している。
【0043】また、本発明の請求項29に記載の発明
は、下部ギャップ絶縁層の上に、反強磁性層膜、固定磁
性層膜、非磁性層膜及びフリー磁性層膜を順次積層成膜
して、磁気抵抗効果素子膜を形成する第1の工程と、磁
気抵抗効果素子膜の最上部にあるフリー磁性層膜の上
に、バイアス非磁性層膜及びバイアス硬質磁性層膜を成
膜して、積層バイアス層膜を形成した後、磁気抵抗効果
素子膜及び積層バイアス層膜の左右両側部を夫々削り取
り、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性
層で構成される磁気抵抗効果素子とバイアス非磁性膜及
びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜を形成す
る第2の工程と、磁気抵抗効果素子と前記積層バイアス
膜の積層部の左右両側面に接するように左右一対の縦バ
イアス層を成膜形成する第3の工程と、左右一対の縦バ
イアス層の上に、左右一対の電極リード層を成膜形成す
る第4の工程とを有することを特徴としたものであり、
また、本発明の請求項30に記載の発明は、請求項29
の第4の工程において、左右一対の縦バイアス層の上面
及びバイアス硬質磁性膜の上面の左右の一部の上に、左
右一対の電極リード層を成膜形成する第4の工程を有す
ることを特徴としたものであり、また、本発明の請求項
31に記載の発明は、請求項29の第4の工程におい
て、左右一対の縦バイアス層及びバイアス硬質磁性膜の
上を覆うように、電極リード層膜を成膜した後、バイア
ス硬質磁性膜の上面の全部又は一部が露出するように、
電極リード層膜の一部を削り取り、左右一対の電極リー
ド層を形成する第4の工程を有することを特徴としたも
のであり、また、本発明の請求項32に記載の発明は、
請求項29の第2の工程において、磁気抵抗効果素子膜
の最上部にあるフリー磁性層膜の上に、バイアス非磁性
層膜、バイアス強磁性層膜及びバイアス硬質磁性層膜を
成膜して、積層バイアス層膜を形成した後、磁気抵抗効
果素子膜及び積層バイアス層膜の左右両側部を夫々削り
取り、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁
性層で構成される磁気抵抗効果素子とバイアス非磁性
膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる
積層バイアス膜を形成する第2の工程と左右一対の縦バ
イアス層の上に、左右一対の電極リード層を成膜形成す
る第4の工程或いは左右一対の縦バイアス層の上面及び
バイアス硬質磁性膜の上面の左右の一部の上に、左右一
対の電極リード層を成膜形成する第4の工程或いは電極
リード層膜の一部を削り取り、左右一対の電極リード層
を形成する第4の工程を有することを特徴としたもので
あり、再生ヘッドギャップレングスに関わらず、バイア
ス硬質磁性膜を制御することによって、フリー磁性層の
磁化方向をトラック幅方向に向けることが容易に実現で
き、積層バイアス膜からのバイアス磁界が固定磁性層に
与える影響はなく、それによる固定磁性層の磁化の傾き
も生じないため、出力波形の対称性の劣化を抑えた磁気
抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製することができる。ま
た、バイアス非磁性膜の膜厚で積層バイアス膜からフリ
ー磁性層にかかるバイアス磁界の強さを容易に制御する
ことができるので、バルクハウゼンノイズが少なく、再
生感度の高い、再生性能の優れた磁気抵抗効果型薄膜磁
気ヘッドを作製することができる。また、バイアス非磁
性膜とバイアス硬質磁性膜の2層からなる積層バイアス
膜においては、バイアス非磁性膜を介してバイアス硬質
磁性膜とフリー磁性層の間に、或いはバイアス非磁性
膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜の3層か
らなる積層バイアス膜においては、バイアス非磁性膜を
介してバイアス強磁性膜とフリー磁性層の間に、層間結
合磁界があり、縦バイアス層によるバイアス磁界は大き
くなくても良いため、縦バイアス層のバイアス磁界が固
定磁性層に与える影響が小さく、固定磁性層の磁化方向
の傾きが小さく、縦バイアス層からのバイアス磁界によ
る出力波形の対称性の劣化や出力低下も抑えた磁気抵抗
効果型薄膜磁気ヘッドを作製することができる。また、
縦バイアス層の形状、GMR素子及び積層バイアス膜形
状、電極リード層形状によって再生トラック幅を容易に
制御することが可能な磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを
作製することができる。更に、3層からなる積層バイア
ス膜においては、バイアス強磁性膜の上にバイアス硬質
磁性膜を形成することによって、硬質磁性材料の結晶性
を良くする磁性下地を有することになり、硬質磁性材料
の特性が向上することになり、フリー磁性層にかかる層
間結合磁界がより一層安定し、磁化を非常に安定させる
ことができ、再生性能が向上し、非常に安定した磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製することができるという
作用を有している。
【0044】また、本発明の請求項24に記載の発明
は、請求項19の第2の工程において、磁気抵抗効果素
子を構成するフリー磁性層の上に、バイアス非磁性膜及
びバイアス硬質磁性膜を成膜して、バイアス非磁性膜及
びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜を形成
し、更に、バイアス硬質磁性膜の上に、キャップ層を形
成する第2の工程を有することを特徴としたものであ
り、また、本発明の請求項25に記載の発明は、請求項
19の第2の工程において、磁気抵抗効果素子を構成す
るフリー磁性層の上に、バイアス非磁性膜、バイアス強
磁性膜及びバイアス硬質磁性膜を成膜して、バイアス非
磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜から
なる積層バイアス膜を形成し、更に、バイアス硬質磁性
膜の上に、キャップ層を形成する第2の工程を有するこ
とを特徴としたものであり、また、本発明の請求項28
及び請求項33に記載の発明は、左右一対の電極リード
層及びバイアス硬質磁性膜の露出した部分の上を覆うよ
うに、キャップ層を成膜する工程を有することを特徴と
したものでありまた、本発明の請求項34に記載の発明
は、磁気抵抗効果素子膜の最上部にあるフリー磁性層膜
の上に、バイアス非磁性層膜及びバイアス硬質磁性層膜
を成膜して、積層バイアス層膜を形成した後、更にその
上に、キャップ層膜を成膜し、磁気抵抗効果素子膜、積
層バイアス層膜及びキャップ層膜の左右両側部を削り取
り、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性
層で構成される磁気抵抗効果素子とバイアス非磁性膜及
びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜とキャッ
プ層とを形成する第2の工程を有することを特徴とした
ものであり、また、本発明の請求項35に記載の発明
は、磁気抵抗効果素子膜の最上部にあるフリー磁性層膜
の上に、バイアス非磁性層膜、バイアス強磁性層膜及び
バイアス硬質磁性層膜を成膜して、積層バイアス層膜を
形成した後、更にその上に、キャップ層膜を成膜し、磁
気抵抗効果素子膜、積層バイアス層膜及びキャップ層膜
の左右両側部を削り取り、反強磁性層、固定磁性層、非
磁性層及びフリー磁性層で構成される磁気抵抗効果素子
とバイアス非磁性膜,バイアス強磁性膜及びバイアス硬
質磁性膜からなる積層バイアス膜とキャップ層とを形成
する第2の工程を有することを特徴としたものであり、
前述の積層バイアス膜の形成によってもたらされる効果
以外に、積層バイアス膜の上面の酸化が防止され、耐食
性も向上し、それらによる特性劣化が少ない、再生性能
の優れた磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製すること
ができるという作用を有している。
【0045】以下、本発明の実施の形態について、図面
を用いて説明する。
【0046】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の
形態1を示す再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの概
要説明図であり、磁気記録媒体に対向するヘッド摺動面
側から見た磁気抵抗効果素子近傍を模式的に示した図で
ある。
【0047】図1において、パーマロイ、Co系アモル
ファス磁性膜或いはFe系微粒子磁性膜等の軟磁性材料
を素材とする下部シールド層(図示せず)の上に形成さ
れたAl23、AlN或いはSiO2等の非磁性絶縁材
料を用いた下部ギャップ絶縁層(図示せず)の上に、I
rMn、αFe24、NiO、FeMn系合金膜、Pt
Mn系合金膜等の材料である反強磁性層1、NiFe系
合金膜、Co、CoFe合金膜等を材料とする固定磁性
層2、Cu等を材料とする非磁性層3が順次積層されて
形成され、その上に、固定磁性層2と同様の強磁性材料
を材料とするフリー磁性層4が形成され、反強磁性層
1、固定磁性層2、非磁性層3及びフリー磁性層4で構
成されるGMR素子5が形成されている。GMR素子5
のフリー磁性層4の上に、Ru、Cu等の非磁性材料を
用いたバイアス非磁性膜6が形成されており、その上
に、CoPt等の硬質磁性材料を用いてバイアス硬質磁
性膜7が形成され、バイアス非磁性膜6及びバイアス硬
質磁性膜7で構成される積層バイアス膜8を形成してい
る。積層バイアス膜8のバイアス硬質磁性膜7とGMR
素子5のフリー磁性層4とはバイアス非磁性膜6を介し
て強磁性的に結合或いは反強磁性的に結合しており、G
MR素子5のフリー磁性層4の磁化方向は、介在するバ
イアス非磁性膜6の膜厚に対応してバイアス硬質磁性膜
7の磁化の方向と同じ方向或いは逆の方向に安定した状
態を保つことになり、従って、結果的にフリー磁性層4
の磁化の方向はバイアス硬質磁性膜7の着磁の方向によ
って容易に制御することができる。また、積層バイアス
膜8からフリー磁性層4にかかるバイアス磁界の大きさ
は、バイアス非磁性膜6の膜厚を変化させることによっ
て、バイアス硬質磁性膜7とフリー磁性層4の層間結合
磁界が変化するため容易に制御できる。
【0048】図2(a)に示すように、更に、それらの
上に、Cu、Cr或いはTa等の材料を用いた左右一対
の電極リード層21があり、その上に、図示していない
が、全体を覆うように下部ギャップ絶縁層と同様の絶縁
材料を用いて上部ギャップ絶縁層が形成され、更に、そ
の上に、下部シールド層と同様の軟磁性材料を用いて上
部シールド層が形成されて、再生ヘッド用磁気抵抗効果
型薄膜磁気ヘッドが構成される。本構造では、電極リー
ド層21の形状によって再生トラック幅22を容易に制
御することが可能である。
【0049】尚、左右一対の電極リード層21及びバイ
アス硬質磁性膜7の露出した部分の上面を覆うようにT
a等を材料としてキャップ層23を形成して酸化を防
ぎ、耐食性を向上させるようにする方が好ましい。
【0050】GMR素子5を構成する固定磁性層2の磁
化の方向が磁気記録媒体に対向するヘッド摺動面と直行
するY方向(図1の紙面に垂直な方向)になるように、
固定磁性層2にY方向に磁場が与えられて、所定の温度
及び時間で熱処理(アニール)され、反強磁性層1との
反強磁性結合による結合磁界により、固定磁性層2の磁
化の方向はY方向に固定される。一方、バイアス硬質磁
性膜7の磁化の方向を固定磁性層2の磁化の方向に略直
行した方向(図1において、トラック幅方向即ちX或い
は−X方向)になるように常温にて着磁し、バイアス硬
質磁性膜7との層間結合磁界によって、フリー磁性層4
の磁化の方向をトラック幅方向に設定する。また、固定
磁性層2に所定の磁化の方向を与えるための反強磁性層
1の熱処理は、左右一対の電極リード層21の上に、キ
ャップ層23が成膜された後、且つ、キャップ層23、
電極リード層21、積層バイアス膜8及びGMR素子5
が所定の形状にパターニングされて削り取られる前に、
実施するのが好ましい。
【0051】また、図2(b)に示すように、バイアス
硬質磁性膜7の上面にキャップ層24が形成されていて
も良い。この場合も、固定磁性層2の磁化の方向を設定
するための反強磁性層1に加える熱処理はバイアス硬質
磁性膜7の上にキャップ層24を成膜した後、左右の電
極リード層21を形成する前に実施するのが好ましい。
また、左右の電極リード層21を形成する前に、電極リ
ード層21と接するキャップ層24の少なくとも一部を
削り取ることにより、抵抗を低下させる効果もある。
【0052】更に、バイアス非磁性膜6の膜厚が小さけ
れば、GMR素子5のフリー磁性層4の磁化の方向は、
バイアス硬質磁性膜7との強磁性的な結合によってバイ
アス強磁性膜の磁化の方向と同じ方向のままであり、そ
れよりもバイアス非磁性膜6の膜厚が大きくなるとフリ
ー磁性層4の磁化の方向はバイアス硬質磁性膜7と反強
磁性的な結合をしてバイアス硬質磁性膜7の磁化の方向
と逆方向になり、更に、バイアス非磁性膜6の膜厚が大
きくなるとフリー磁性層4の磁化の方向は再びバイアス
硬質磁性膜7の磁化の方向と同じ方向になるというよう
に、膜厚によって磁化の方向が同じ方向或いは逆の方向
と周期的に変化し、層間結合磁界の強さも徐々に減衰し
てゆく。一方、図3はフリー磁性層にかかる層間結合磁
界の強さと再生出力の関係をシミュレーションした結果
であり、フリー磁性層に付加された磁界の強さが非常に
強い場合に比較して小さい時の方が再生出力は非常に高
くなっており、特に層間結合磁界が8kA/m以下で大
幅に再生出力が増加していることが分かる。従来のよう
にフリー磁性層の上に直接バイアス用反強磁性膜が成膜
された場合には、フリー磁性層とバイアス用反強磁性膜
とは非常に強く反強磁性結合し、フリー磁性層にかかる
磁界の強さは使用するバイアス用反強磁性膜の材料、膜
厚により決まるため、フリー磁性層にかかる磁界の強さ
を微妙に制御することは非常に難しい。特に8kA/m
以下で安定させることは困難である。
【0053】従って、バイアス非磁性膜6の膜厚を適切
な範囲に設定することによって、フリー磁性層4の磁化
の方向がトラック幅方向に付加されたバイアス硬質磁性
膜7の磁化の方向と同じ或いは逆の方向で、且つ、層間
結合磁界の強さが8kA/m以下(100Oe以下)に
なるようにすることができ、高い再生出力を得ることが
できるようにバイアス非磁性膜6の膜厚を設定すること
ができる。
【0054】層間結合磁界によってフリー磁性層4にバ
イアス磁界をかけるため、再生ヘッドギャップレングス
に関わらず、フリー磁性層4の磁化方向をトラック幅方
向に向けることが容易にでき、積層バイアス膜8からの
バイアス磁界が固定磁性層2に与える影響はなく、それ
による固定磁性層2の磁化の傾きも生じないため、出力
波形の対称性の劣化が抑えられる。
【0055】尚、図4に示すように、固定磁性層2を、
第1の固定磁性層膜41、非磁性材料を用いた固定中間
非磁性層膜42及び第2の固定磁性層膜43が積層され
て形成された積層固定磁性層44とし、反強磁性層1、
積層固定磁性層44、非磁性層3及びフリー磁性層4か
らなるGMR素子45を形成しても良い。検討結果によ
れば、この場合の第1の固定磁性層膜41と第2の固定
磁性層膜43とを反強磁性的に非常に強く結合させるた
めの固定中間非磁性層膜42の膜厚は、用いる非磁性材
料により異なり、表1の如き結果を得た。
【0056】
【表1】
【0057】以上のように本実施の形態1によれば、磁
気抵抗効果素子(MR素子或いはGMR素子。以下、G
MR素子と言う)のフリー磁性層は、バイアス非磁性膜
を介してバイアス硬質磁性膜と強磁性的に結合或いは反
強磁性的に結合し、その磁化の方向はバイアス硬質磁性
膜と同方向或いは逆方向に向き易く、フリー磁性層の磁
化方向はバイアス硬質磁性膜によって容易に制御するこ
とができ、且つ、バイアス硬質磁性膜とフリー磁性層と
の間に介在するバイアス非磁性膜の膜厚によりバイアス
硬質磁性膜とフリー磁性層との強磁性的な結合或いは反
強磁性的な結合による層間結合磁界の強さを容易に制御
することができる。そのため、再生ヘッドギャップレン
グスに関わらず、フリー磁性層の磁化方向をトラック幅
方向に向けることが容易に実現でき、積層バイアス膜か
らのバイアス磁界が固定磁性層に与える影響はなく、そ
れによる固定磁性層の磁化の傾きも生じないため、出力
波形の対称性の劣化が抑えられる。また、バイアス非磁
性膜の膜厚を最適に選ぶことによって積層バイアス膜か
らフリー磁性層にかかるバイアス磁界として8kA/m
以下の磁界の強さを安定して与えることができ、バルク
ハウゼンノイズが少なく、再生感度が高い等の再生性能
の向上を図ることができる。また、電極リード層の形状
のみによって再生トラック幅を容易に制御することが可
能である。
【0058】(実施の形態2)図5は、本発明の実施の
形態2を示す再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの概
要説明図であり、磁気記録媒体に対向するヘッド摺動面
側から見た磁気抵抗効果素子近傍を模式的に示した図で
ある。
【0059】図5において、前述の実施の形態1と同じ
ようにして、反強磁性層1、固定磁性層2、非磁性層3
及びフリー磁性層4が順次積層成膜され、GMR素子5
が形成されている。その上に、バイアス非磁性膜51、
Fe系合金膜、FeN系合金膜等を材料とするバイアス
強磁性膜52及びバイアス硬質磁性膜53が順次積層成
膜されて、積層バイアス膜54が形成されている。バイ
アス強磁性膜52の磁化の方向はバイアス硬質磁性膜5
3との強磁性結合によって、トラック幅方向(例えば、
X或いは−X方向)に非常に安定した状態に保たれる。
また、積層バイアス膜54のバイアス強磁性膜52とG
MR素子5のフリー磁性膜4とはバイアス非磁性膜51
を介して強磁性的に結合或いは反強磁性的に結合してお
り、GMR素子5のフリー磁性層4の磁化方向は、介在
するバイアス非磁性膜51の膜厚に対応してバイアス強
磁性膜52の磁化の方向と同じ方向或いは逆の方向に安
定した状態を保つことになり、従って、結果的にフリー
磁性層4の磁化の方向はバイアス硬質磁性膜53の着磁
の方向によって容易に制御することができる。また、積
層バイアス膜54からフリー磁性層4にかかるバイアス
磁界の大きさは、バイアス非磁性膜51の膜厚を変化さ
せることによって、バイアス強磁性膜52とフリー磁性
層4の層間結合磁界が変化するため容易に制御できる。
【0060】また、バイアス強磁性膜の上にバイアス硬
質磁性膜を形成することによって、硬質磁性材料の結晶
性を良くする磁性下地を有することになり、硬質磁性材
料の特性が向上して、フリー磁性層にかかる層間結合磁
界がより一層安定し、磁化を非常に安定させることがで
きる。
【0061】図6(a)に示すように、前述の実施の形
態1と同様にして、バイアス硬質磁性膜53の上に、左
右一対の電極リード層61が形成されている。その上
に、全体を覆うように下部ギャップ絶縁層と同様の絶縁
材料を用いて上部ギャップ絶縁層(図示せず)が形成さ
れ、更に、その上に、下部シールド層と同様の軟磁性材
料を用いて上部シールド層(図示せず)が形成されて、
再生ヘッド用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドが構成され
る。前述の実施の形態1と同様に、本構造でも、電極リ
ード層61の形状によって再生トラック幅62を容易に
制御することが可能である。
【0062】尚、前述の1実施の形成1と同様に、左右
一対の電極リード層61及びバイアス硬質磁性膜53の
露出した部分の上面を覆うようにキャップ層63を形成
して酸化を防ぎ、耐食性を向上させるようにする方が好
ましい。
【0063】また、図6(b)に示すように、バイアス
硬質磁性膜53の上面にキャップ層64が形成されてい
ても良い。
【0064】尚、固定磁性層2の磁化の方向を設定する
ための反強磁性層1に加える熱処理の実施のタイミング
は、前述の実施の形態1と同じである。
【0065】また、左右の電極リード層61を形成する
前に、電極リード層61と接するキャップ層64の少な
くとも一部を削り取ることにより、抵抗を低下させる効
果もある。
【0066】更に、バイアス非磁性膜51の膜厚が大き
くなるにしたがって、フリー磁性層4とバイアス強磁性
膜52は強磁性的に結合或いは反強磁性的に結合し、フ
リー磁性層4の磁化の方向はバイアス強磁性膜52の磁
化の方向と同じ方向或いは逆の方向と周期的に変化し、
層間結合磁界の強さも徐々に減衰してゆく。層間結合磁
界の強さと再生出力の関係は前述の実施の形態1におけ
る図3に示される特性を有し、フリー磁性層に付加され
た磁界の強さが非常に強い場合に比較して小さい時の方
が再生出力は非常に高くなっており、特に層間結合磁界
が8kA/m以下で大幅に再生出力が増加している。
【0067】従って、バイアス非磁性膜51の膜厚を適
切な範囲に設定することによって、フリー磁性層4の磁
化の方向がトラック幅方向に付加されたバイアス強磁性
膜52の磁化の方向と同じ或いは逆の方向で、且つ、層
間結合磁界の強さが8kA/m以下(100Oe以下)
になるようにすることができ、高い再生出力を得ること
ができるようにバイアス非磁性膜51の膜厚を設定する
ことができる。
【0068】尚,前述の実施の形態1と同様に、層間結
合磁界によってフリー磁性層4にバイアス磁界をかける
ため、再生ヘッドギャップレングスに関わらず、フリー
磁性層4の磁化方向をトラック幅方向に向けることが容
易にでき、積層バイアス膜54からのバイアス磁界が固
定磁性層2に与える影響はなく、それによる固定磁性層
2の磁化の傾きも生じないため、出力波形の対称性の劣
化が抑えられる。
【0069】また、前述の実施の形態1と同様に、固定
磁性層2を積層固定磁性層としても良いのは言うまでも
ない。
【0070】以上のように本実施の形態2によれば、積
層バイアス膜を構成するバイアス強磁性膜はバイアス硬
質磁性膜と強く強磁性結合し、バイアス強磁性膜の磁化
の方向をバイアス硬質磁性膜によって容易に制御するこ
とができ、GMR素子のフリー磁性層は、バイアス非磁
性膜を介してバイアス強磁性膜と強磁性的に結合或いは
反強磁性的に結合し、その磁化の方向はバイアス強磁性
膜と同方向或いは逆方向に向き易く、結果的にフリー磁
性層の磁化方向はバイアス硬質磁性膜によって容易に制
御することができ、且つ、バイアス強磁性膜とフリー磁
性層との間に介在するバイアス非磁性膜の膜厚によりバ
イアス強磁性膜とフリー磁性層との強磁性的な結合或い
は反強磁性的な結合による層間結合磁界の強さを容易に
制御することができる。
【0071】そのため、再生ヘッドギャップレングスに
関わらず、フリー磁性層の磁化方向をトラック幅方向に
向けることが容易に実現でき、積層バイアス膜からのバ
イアス磁界が固定磁性層に与える影響はなく、それによ
る固定磁性層の磁化の傾きも生じないため、出力波形の
対称性の劣化が抑えられる。また、バイアス非磁性膜の
膜厚を最適に選ぶことによって積層バイアス膜からフリ
ー磁性層にかかるバイアス磁界として8kA/m以下の
磁界の強さを安定して与えることができ、バルクハウゼ
ンノイズが少なく、再生感度が高い等の再生性能の向上
を図ることができる。また、リード形状のみによって再
生トラック幅を容易に制御することが可能である。
【0072】更に、バイアス強磁性膜の上にバイアス硬
質磁性膜を形成することによって、硬質磁性材料の結晶
性を良くする磁性下地を有することになり、硬質磁性材
料の特性が向上して、フリー磁性層にかかる層間結合磁
界がより一層安定し、磁化を非常に安定させることがで
き、再生性能の一層の向上と安定化を図ることができ
る。
【0073】(実施の形態3)図7は、本発明の実施の
形態3を示す再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの概
要説明図であり、磁気記録媒体に対向するヘッド摺動面
側から見た磁気抵抗効果素子近傍を模式的に示した図で
ある。
【0074】図7(a)に示すように、下部シールド層
(図示せず)、下部ギャップ絶縁層(図示せず)の上
に、反強磁性層71、固定磁性層72、非磁性層73及
びフリー磁性層74が順次積層成膜され、反強磁性層7
1、固定磁性層72、非磁性層73及びフリー磁性層7
4からなるGMR素子700が形成されている。更に、
その上に、バイアス非磁性膜75及びバイアス硬質磁性
膜76が積層成膜されて積層バイアス膜701が形成さ
れており、積層成膜形成されたGMR素子700及び積
層バイアス膜701の左右両側面に接して左右一対の電
極リード層77が形成されている。尚、左右一対の電極
リード層77はGMR素子700及び積層バイアス層7
01の左右両側面及びバイアス硬質磁性膜76の上面の
一部の上に成膜形成されていても良い。更に、その上
に、図示していないが、全体を覆うように下部ギャップ
絶縁層と同様の絶縁材料を用いて上部ギャップ絶縁層が
形成され、更に、その上に、上部シールド層が形成され
て、再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドが構成され
る。本構造では、電極リード層77の形状、GMR素子
700及び積層バイアス膜701の形状によって再生ト
ラック幅を容易に制御することが可能である。
【0075】尚、左右一対の電極リード層77及びバイ
アス硬質磁性膜76の露出した部分の上面を覆うように
Ta等を材料としてキャップ層78を形成して酸化を防
ぎ、耐食性を向上させるようにしても良いということは
言うまでもない。
【0076】また、固定磁性層72の磁化の方向を設定
するための反強磁性層71に加える熱処理はキャップ層
78の成膜後、キャップ層78、電極リード層77、積
層バイアス膜701及びGMR素子700がパターニン
グされて所定の形状に形成される前に、実施するのが良
い。
【0077】また、図7(b)に示すように、左右一対
の電極リード層702の間にあり、バイアス硬質磁性膜
76の露出した上面に接するようにキャップ層703が
形成されていても良い。この時の固定磁性層72の磁化
方向を設定するための反強磁性層71に加える熱処理
は、キャップ層703が積層バイアス膜701を構成す
るバイアス硬質磁性膜76の上に成膜された後、左右一
対の電極リード層702が形成される前に実施するのが
好ましい。
【0078】また、フリー磁性層74は、バイアス非磁
性膜75を介してバイアス硬質磁性膜76と反強磁性的
に結合し、バイアス硬質磁性膜76の磁化の方向と逆方
向の磁化方向をGMR素子700のフリー磁性層74に
与えるように、バイアス非磁性膜75の膜厚の厚さを設
定する。それによって、バイアス硬質磁性膜76とフリ
ー磁性膜74における端面磁荷による漏れ磁界は、お互
いに打ち消され、端部までより安定した磁化の方向が得
られ、バルクハウゼンノイズを低減できる。
【0079】また、フリー磁性層74とバイアス硬質磁
性膜76との反強磁性的な層間結合磁界の強さが8kA
/m以下になるように、バイアス非磁性膜75の膜厚の
厚さを設定して、フリー磁性層74の磁化の方向(例え
ば、X方向の場合)をバイアス硬質磁性膜76の磁化の
方向(−X方向)と逆の方向の磁化の方向にする。バイ
アス非磁性膜75の膜厚と、フリー磁性層74及びバイ
アス硬質磁性膜76の磁化の方向との関係及びフリー磁
性層にかかる層間結合磁界の強さと再生出力の関係は前
述の実施の形態1と同様である。従って、バイアス非磁
性膜75の膜厚を適切な範囲に設定することによって、
反強磁性的に結合した層間結合磁界の強さが8kA/m
以下になるようにすることができる。
【0080】また、従来のようにフリー磁性層に磁化の
方向を与えるためのGMR素子の側面に接した縦バイア
ス層がないため、縦バイアス層からの磁界によって固定
磁性層72の磁化の方向が傾くこともなく、出力波形の
対称性を悪化させることもない。
【0081】尚、フリー磁性層74は、バイアス非磁性
膜75を介してバイアス硬質磁性膜76と強磁性的に結
合し、バイアス硬質磁性膜76の磁化の方向と同じ方向
の磁化の方向がGMR素子700のフリー磁性層74に
与えられるように、且つ、その強磁性的な結合による層
間結合磁界の強さが8kA/m以下の強さになるよう
に、バイアス非磁性膜75の膜厚の厚さを設定して、フ
リー磁性層74の磁化の方向(例えば、X方向の場合)
をバイアス硬質磁性膜76の磁化の方向(X方向)と同
じ方向の磁化の方向にした場合でも、端面磁荷による漏
れ磁界による端部での磁化方向の乱れは発生するが、再
生ヘッドギャップレングスに関わらずバイアス磁界が安
定してかけられるという効果はある。
【0082】尚、前述の実施の形態1と同様に、固定磁
性層72を積層固定磁性層としても良いのは言うまでも
ない。
【0083】以上のように本実施の形態3によれば、G
MR素子のフリー磁性層は、バイアス非磁性膜を介して
バイアス硬質磁性膜と反強磁性的に結合し、その磁化の
方向はバイアス硬質磁性膜と逆方向に向き易く、従っ
て、フリー磁性層の磁化方向はバイアス硬質磁性膜によ
って容易に制御することができ、且つ、バイアス硬質磁
性膜とフリー磁性層との間に介在するバイアス非磁性膜
の膜厚によりバイアス硬質磁性膜とフリー磁性層との反
強磁性的な結合による層間結合磁界の強さを容易に制御
することができる。そのため、再生ヘッドギャップレン
グスに関わらず、バイアス硬質磁性膜を制御することに
よって、フリー磁性層の磁化方向をトラック幅方向に向
けることが容易に実現でき、積層バイアス膜からのバイ
アス磁界が固定磁性層に与える影響はなく、それによる
固定磁性層の磁化の傾きも生じないため、出力波形の対
称性の劣化が抑えられる。また、バイアス非磁性膜の膜
厚を最適に選ぶことによって積層バイアス膜からフリー
磁性層にかかるバイアス磁界として8kA/m以下の磁
界の強さを安定して与えることができ、バルクハウゼン
ノイズが少なく、再生感度が高い等の再生性能の向上を
図ることができる。また、電極リード層形状、GMR素
子及び積層バイアス膜形状によって再生トラック幅を容
易に制御することが可能で、バイアス硬質磁性膜とフリ
ー磁性層とを反強磁性的に結合させるように、バイアス
非磁性膜の膜厚を選ぶことによって、バイアス硬質磁性
膜とフリー磁性膜における端面磁荷による漏れ磁界は、
お互いに打ち消され、端部までより安定した磁化の方向
が得られ、バルクハウゼンノイズが少なく、再生性能の
向上を図ることができる。
【0084】(実施の形態4)図8は、本発明の実施の
形態4を示す再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの概
要説明図であり、磁気記録媒体に対向するヘッド摺動面
側から見た磁気抵抗効果素子近傍を模式的に示した図で
ある。
【0085】図8(a)において、前述の実施の形態3と
同様にして、反強磁性層71、固定磁性層72、非磁性
層73及びフリー磁性層74が順次積層成膜され、GM
R素子700が形成されている。更に、その上に、バイ
アス非磁性膜81、バイアス強磁性膜82及びバイアス
硬質磁性膜83が積層成膜されて積層バイアス膜84が
形成されており、積層成膜形成されたGMR素子700
及び積層バイアス膜84の左右両側面に接して左右一対
の電極リード層85が形成されている。尚、左右一対の
電極リード層85はGMR素子700及び積層バイアス
層84の左右両側面及びバイアス硬質磁性膜83の上面
の一部の上に成膜形成されていても良い。
【0086】本構造では、電極リード層85形状、GM
R素子700及び積層バイアス膜84形状によって再生
トラック幅を容易に制御することが可能である。
【0087】尚、左右一対の電極リード層85及びバイ
アス硬質磁性膜83の露出した部分の上面を覆うように
Ta等を材料としてキャップ層86を形成して酸化を防
ぎ、耐食性を向上させるようにしても良いということは
言うまでもない。また、図8(b)に示すように、左右
一対の電極リード層87の間にあり、バイアス硬質磁性
膜83の露出した上面に接するようにキャップ層88が
形成されていても良い。固定磁性層72の磁化の方向を
設定するための反強磁性層71に加える熱処理の実施の
タイミングは、前述の実施の形態3と同じである。
【0088】また、左右の電極リード層87を形成する
前に、電極リード層87と接するキャップ層88の少な
くとも一部を削り取ることにより、抵抗を低下させる効
果もある。
【0089】また、フリー磁性層74は、バイアス非磁
性膜81を介してバイアス強磁性膜82と反強磁性的に
結合し、バイアス強磁性膜82の磁化の方向と逆方向の
磁化方向をGMR素子700のフリー磁性層74に与え
るように、バイアス非磁性膜81の膜厚の厚さを設定す
る。それによって、バイアス強磁性膜82とフリー磁性
膜74における端面磁荷による漏れ磁界は、お互いに打
ち消され、端部までより安定した磁化の方向が得られ、
バルクハウゼンノイズを低減できる。
【0090】また、フリー磁性層74とバイアス強磁性
膜82との反強磁性的な層間結合磁界の強さが8kA/
m以下になるように、バイアス非磁性膜81の膜厚の厚
さを設定して、フリー磁性層74の磁化の方向(例え
ば、X方向の場合)をバイアス強磁性膜82の磁化の方
向(−X方向)と逆の方向の磁化の方向にする。バイア
ス非磁性膜81の膜厚と、フリー磁性層74及びバイア
ス強磁性膜82の磁化の方向との関係及びフリー磁性層
にかかる層間結合磁界の強さと再生出力の関係は前述の
実施の形態1と同様である。従って、バイアス非磁性膜
81の膜厚を適切な範囲に設定することによって、反強
磁性的に結合した層間結合磁界の強さが8kA/m以下
になるようにすることができる。
【0091】また、従来のようにフリー磁性層に磁化の
方向を与えるためのGMR素子の側面に接した縦バイア
ス層がないため、縦バイアス層からの磁界によって固定
磁性層72の磁化の方向が傾くこともなく、出力波形の
対称性を悪化させることもないのは前述の実施の形態3
と同様である。
【0092】尚、フリー磁性層74は、バイアス非磁性
膜81を介してバイアス強磁性膜82と強磁性的に結合
し、バイアス強磁性膜82の磁化の方向と同じ方向の磁
化の方向がGMR素子700のフリー磁性層74に与え
られるように、且つ、その強磁性的な結合による層間結
合磁界の強さが8kA/m以下の強さになるように、バ
イアス非磁性膜81の膜厚の厚さを設定して、フリー磁
性層74の磁化の方向(例えば、X方向の場合)をバイ
アス強磁性膜82の磁化の方向(X方向)と同じ方向の
磁化の方向にした場合でも、前述の実施の形態3と同様
に、端面磁荷による漏れ磁界による端部での磁化方向の
乱れは発生するが、再生ヘッドギャップレングスに関わ
らずバイアス磁界が安定してかけられるという効果はあ
る。
【0093】尚、前述の実施の形態1と同様に、固定磁
性層72を積層固定磁性層としても良いのは言うまでも
ない。
【0094】以上のように本実施の形態4によれば、積
層バイアス膜を構成するバイアス強磁性膜はバイアス硬
質磁性膜と強く強磁性結合し、バイアス強磁性膜の磁化
の方向をバイアス硬質磁性膜によって容易に制御するこ
とができ、GMR素子のフリー磁性層は、バイアス非磁
性膜を介してバイアス強磁性膜と反強磁性的に結合し、
その磁化の方向はバイアス強磁性膜と逆方向に向き易
く、従って、結果的にフリー磁性層の磁化方向はバイア
ス反強磁性膜によって容易に制御することができ、且
つ、バイアス強磁性膜とフリー磁性層との間に介在する
バイアス非磁性膜の膜厚によりバイアス強磁性膜とフリ
ー磁性層との反強磁性的な結合による層間結合磁界の強
さを容易に制御することができる。従って、前述の実施
の形態3と同じような効果があり、更にその他に、前述
の実施の形態2と同様に、バイアス強磁性膜の上にバイ
アス硬質磁性膜を形成することによって、硬質磁性材料
の結晶性を良くする磁性下地を有することになり、硬質
磁性材料の特性が向上して、フリー磁性層にかかる層間
結合磁界がより一層安定し、磁化を非常に安定させるこ
とができ、再生性能の一層の向上と安定化を図ることが
できる。
【0095】(実施の形態5)図9は、本発明の実施の
形態5を示す再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの概
要説明図であり、磁気記録媒体に対向するヘッド摺動面
側から見た磁気抵抗効果素子近傍を模式的に示した図で
ある。
【0096】図9(a)において、下部シールド層(図
示せず)、下部ギャップ絶縁層(図示せず)の上に、反
強磁性層91、固定磁性層92、非磁性層93及びフリ
ー磁性層94が順次積層成膜されてGMR素子90が形
成されている。更に、その上に、バイアス非磁性膜95
及びバイアス硬質磁性膜96が積層成膜されて積層バイ
アス膜97が形成されており、夫々積層成膜形成された
GMR素子90及び積層バイアス膜97の左右両側面に
接してCoPt系合金膜等の硬質磁性材料からなる左右
一対の縦バイアス層98が形成されている。左右一対の
縦バイアス層98の上に、左右一対の電極リード層99
が成膜形成されている。尚、左右一対の電極リード層9
9は左右一対の縦バイアス層98の上面及び露出したバ
イアス硬質磁性膜96の上面の一部の上に成膜形成され
ていても良い。更に、その上に、図示していないが、全
体を覆うように下部ギャップ絶縁層と同様の絶縁材料を
用いて上部ギャップ絶縁層が形成され、更に、その上
に、上部シールド層が形成されて、再生用磁気抵抗効果
型薄膜磁気ヘッドが構成される。本構造では、縦バイア
ス層98の形状、GMR素子90及び積層バイアス膜9
7形状、電極リード層99形状によって再生トラック幅
を容易に制御することが可能である。
【0097】また、左右一対の電極リード層99及びバ
イアス硬質磁性膜96の露出した部分の上面を覆うよう
にキャップ層901を形成して酸化を防ぐようにしても
良いということは言うまでもない。この時、固定磁性層
92に磁化の方向を与えるための熱処理は、前述の実施
の形態3と同じである。また、図9(b)に示すよう
に、左右一対の電極リード層902の間にあり、バイア
ス硬質磁性膜96の露出した上面に接するようにキャッ
プ層904が形成されていても良い。この時の磁化の方
向を与えるための熱処理は、キャップ層904が積層バ
イアス膜97の上に成膜された後、GMR素子90、積
層バイアス膜97及びキャップ層904が台形状に削り
取られる前に、実施するのが好ましい。
【0098】フリー磁性層94は、バイアス非磁性膜9
5を介してバイアス硬質磁性膜96と強磁性的に結合
し、バイアス硬質磁性膜96の磁化の方向と同一方向の
磁化方向をGMR素子90のフリー磁性層94に与える
ように、バイアス非磁性膜95の膜厚の厚さを設定す
る。それによって、バイアス硬質磁性膜96とフリー磁
性膜94における端面磁荷による漏れ磁界は、縦バイア
ス968の端面磁荷による漏れ磁界によって打ち消さ
れ、端部までより安定した磁化の方向が得られ、バルク
ハウゼンノイズを低減できる。
【0099】また、フリー磁性層94とバイアス硬質磁
性膜96との強磁性的な層間結合磁界の強さが8kA/
m以下の強さになるように、バイアス非磁性膜95の膜
厚の厚さを設定して、フリー磁性層94の磁化の方向
(例えば、X方向の場合)をバイアス硬質磁性膜96の
磁化の方向(X方向)と同じ方向の磁化の方向にする。
バイアス非磁性膜95の膜厚と、フリー磁性層94及び
バイアス硬質磁性膜96の磁化の方向との関係及びフリ
ー磁性層にかかる層間結合磁界の強さと再生出力の関係
は前述の実施の形態1と同様である。従って、バイアス
非磁性膜95の膜厚を適切な範囲に設定することによっ
て、強磁性的に結合した層間結合磁界の強さが8kA/
m以下になるようにすることができる。
【0100】また、縦バイアス層98の磁化の方向も、
積層バイアス膜97のバイアス硬質磁性膜96及びそれ
と強磁性的に結合したフリー磁性層94の磁化の方向と
同じ方向になるように磁化する。積層バイアス膜97の
バイアス硬質磁性膜96と強磁性的に結合してフリー磁
性層94が層間結合磁界を有しているため、縦バイアス
層98の磁界の強さを大きくしなくても、フリー磁性層
94の磁化の方向は非常に安定しており、且つ、縦バイ
アス層98の磁界の大きさが大きくないので、縦バイア
ス層98が固定磁性層92の磁化の方向に与える影響は
小さく、固定磁性層92の磁化方向の傾きが小さく、再
生波形の対称性悪化を抑制できる。
【0101】尚、フリー磁性層にかかるバイアス磁界
は、バイアス硬質磁性膜との層間結合磁界と縦バイアス
層からの磁界があるが、縦バイアス層の磁界はバイアス
硬質磁性膜とフリー磁性層の端面磁荷による漏れ磁界
を、縦バイアス層の端面磁荷による漏れ磁界によって打
ち消される程度の小さな磁界で良い。
【0102】また、実施の形態1と同様に、固定磁性層
92を図4に示されるような積層固定磁性層としても良
いのは言うまでもない。
【0103】以上のように本実施の形態5によれば、G
MR素子のフリー磁性層は、バイアス非磁性膜を介して
バイアス硬質磁性膜と強磁性的に結合し、その磁化の方
向はバイアス硬質磁性膜と同方向に向き易く、従って、
フリー磁性層の磁化方向はバイアス硬質磁性膜によって
容易に制御することができ、且つ、バイアス硬質磁性膜
とフリー磁性層との間に介在するバイアス非磁性膜の膜
厚によりバイアス硬質磁性膜とフリー磁性層との強磁性
的な結合による層間結合磁界の強さを容易に制御するこ
とができる。そのため、再生ヘッドギャップレングスに
関わらず、バイアス硬質磁性膜を制御することによっ
て、フリー磁性層の磁化方向をトラック幅方向に向ける
ことが容易に実現でき、積層バイアス膜からのバイアス
磁界が固定磁性層に与える影響はなく、それによる固定
磁性層の磁化の傾きも生じないため、出力波形の対称性
の劣化が抑えられる。また、バイアス非磁性膜の膜厚を
最適に選ぶことによって積層バイアス膜からフリー磁性
層にかかるバイアス磁界として8kA/m以下の磁界の
強さを安定して与えることができ、バルクハウゼンノイ
ズが少なく、再生感度が高い等の再生性能の向上を図る
ことができる。また、バイアス非磁性膜を介してバイア
ス硬質磁性膜と強磁性的に結合したフリー磁性層の層間
結合磁界があり、縦バイアス層によるバイアス磁界は大
きくなくても良いため、縦バイアス層のバイアス磁界が
固定磁性層に与える影響が小さく、固定磁性層の磁化方
向の傾きが小さく、縦バイアス層からのバイアス磁界に
よる出力波形の対称性の劣化や出力低下も抑えることが
できる。また、縦バイアス層の形状、GMR素子及び積
層バイアス膜形状、電極リード層形状によって再生トラ
ック幅を容易に制御することが可能で、バイアス硬質磁
性膜とフリー磁性層とを強磁性的に結合させるようにバ
イアス非磁性膜の膜厚を選び、縦バイアス層からフリー
磁性層にかかる磁界と積層バイアス層からフリー磁性層
にかかる磁界の方向を同一にすることによって、バイア
ス硬質磁性膜とフリー磁性層の端面磁荷による漏れ磁界
は、縦バイアス層の端面磁荷による漏れ磁界によって打
ち消され、端部までより安定した磁化の方向が得られ、
バルクハウゼンノイズが少なく、再生性能の向上を図る
ことができる。
【0104】(実施の形態6)図10は、本発明の実施の
形態2を示す再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの概
要説明図であり、磁気記録媒体に対向するヘッド摺動面
側から見た磁気抵抗効果素子近傍を模式的に示した図で
ある。
【0105】図10において、 前述の実施の形態5と
同じようにして、反強磁性層91、固定磁性層92、非
磁性層93及びフリー磁性層94が順次積層成膜され、
GMR素子90が形成されている。その上に、バイアス
非磁性101、バイアス強磁性膜102及びバイアス硬
質磁性膜103が順次積層成膜されて、積層バイアス膜
104が形成されている。夫々積層成膜形成されたGM
R素子90及び積層バイアス膜104の左右両側面に接
して左右一対の縦バイアス層105が形成され、更に、
左右一対の縦バイアス層105の上に、左右一対の電極
リード層106が成膜形成されている。尚、左右一対の
電極リード層106は左右一対の縦バイアス層105の
上面及び露出したバイアス硬質磁性膜103の上面の一
部の上に成膜形成されていても良い。本構造では、前述
の実施の形態5と同様に、縦バイアス層105の形状、
GMR素子90及び積層バイアス膜104形状、電極リ
ード層106形状によって再生トラック幅を容易に制御
することが可能である。
【0106】また、左右一対の電極リード層106及び
バイアス硬質磁性膜104の露出した部分の上面を覆う
ようにキャップ層107を形成して酸化を防ぐようにし
ても良いということは言うまでもない。また、図10
(b)に示すように、左右一対の電極リード層108の
間にあり、バイアス硬質磁性膜103の露出した上面に
接するようにキャップ層109が形成されていても良
い。この時、固定磁性層92に磁化の方向を与えるため
の熱処理を実施するタイミングは、前述の実施の形態5
と同様のタイミングで行うのが好ましい。
【0107】バイアス強磁性膜102の磁化の方向はバ
イアス硬質磁性膜103との強磁性結合によって、トラ
ック幅方向(例えば、X或いは−X方向)に非常に安定
した状態に保たれる。更に、フリー磁性層94は、バイ
アス非磁性膜101を介してバイアス強磁性膜102と
強磁性的に結合し、バイアス強磁性膜102の磁化の方
向と同一方向の磁化方向をGMR素子90のフリー磁性
層94に与えるように、バイアス非磁性膜102の膜厚
の厚さを設定する。それによって、バイアス強磁性膜1
02とフリー磁性膜94における端面磁荷による漏れ磁
界は、縦バイアス層105の端面磁荷による漏れ磁界に
よって打ち消され、端部までより安定した磁化の方向が
得られ、バルクハウゼンノイズを低減できる。
【0108】また、フリー磁性層94とバイアス強磁性
膜102との強磁性的な層間結合磁界の強さが8kA/
m以下の強さになるように、バイアス非磁性膜101の
膜厚の厚さを設定して、フリー磁性層94の磁化の方向
(例えば、X方向の場合)をバイアス強磁性膜102の
磁化の方向(X方向)と同じ方向の磁化の方向にする。
バイアス非磁性膜101の膜厚と、フリー磁性層94及
びバイアス強磁性膜102の磁化の方向との関係及びフ
リー磁性層にかかる層間結合磁界の強さと再生出力の関
係は前述の実施の形態1と同様である。従って、バイア
ス非磁性膜101の膜厚を適切な範囲に設定することに
よって、強磁性的に結合した層間結合磁界の強さが8k
A/m以下になるようにすることができる。
【0109】また、縦バイアス層105の磁化の方向
も、積層バイアス膜104のバイアス強磁性膜102及
びそれと強磁性的に結合したフリー磁性層94の磁化の
方向と同じ方向になるように磁化する。積層バイアス膜
104のバイアス強磁性膜102と強磁性的に結合して
フリー磁性層94が層間結合磁界を有しているため、縦
バイアス層105の磁界の強さを大きくしなくても、フ
リー磁性層94の磁化の方向は非常に安定しており、且
つ、縦バイアス層105の磁界の大きさが大きくないの
で、縦バイアス層105が固定磁性層92の磁化の方向
に与える影響は小さく、固定磁性層92の磁化方向の傾
きが小さく、再生波形の対称性悪化を抑制できる。
【0110】尚、フリー磁性層にかかるバイアス磁界
は、前述の実施の形態5と同様に、バイアス強磁性膜と
の層間結合磁界と縦バイアス層からの磁界があるが、縦
バイアス層の磁界はバイアス強磁性膜とフリー磁性層の
端面磁荷による漏れ磁界を、縦バイアス層の端面磁荷に
よる漏れ磁界によって打ち消される程度の小さな磁界で
良い。
【0111】また、実施の形態1と同様に、固定磁性層
92を図4に示されるような積層固定磁性層としても良
いのは言うまでもない。
【0112】以上のように本実施の形態6によれば、積
層バイアス膜を構成するバイアス強磁性膜はバイアス反
強磁性膜と強く反強磁性結合し、バイアス強磁性膜の磁
化の方向をバイアス反強磁性膜によって容易に制御する
ことができ、GMR素子のフリー磁性層は、バイアス非
磁性膜を介してバイアス強磁性膜と強磁性的に結合し、
その磁化の方向はバイアス強磁性膜と同方向に向き易
く、従って、結果的にフリー磁性層の磁化方向はバイア
ス反強磁性膜によって容易に制御することができ、且
つ、バイアス強磁性膜とフリー磁性層との間に介在する
バイアス非磁性膜の膜厚によりバイアス強磁性膜とフリ
ー磁性層との強磁性的な結合による層間結合磁界の強さ
を容易に制御することができる。従って、従って、前述
の実施の形態5と同じような効果があり、更にその他
に、前述の実施の形態2と同様に、バイアス強磁性膜の
上にバイアス硬質磁性膜を形成することによって、硬質
磁性材料の結晶性を良くする磁性下地を有することにな
り、硬質磁性材料の特性が向上して、フリー磁性層にか
かる層間結合磁界がより一層安定し、磁化を非常に安定
させることができ、再生性能の一層の向上と安定化を図
ることができる。
【0113】尚、前述の実施の形態1〜実施の形態6に
おいて、GMR素子を構成する非磁性層としてCu等の
非磁性導電材を用いた所謂MR素子或いはGMR素子に
ついて説明をしてきたが、非磁性層としてAl23等の
非磁性絶縁材を用いた所謂TMR素子に対しても電極リ
ード層等の構成を変えて本発明を適用することができる
のは言うまでもないことである。
【0114】(実施の形態7)図11〜図20は、本発
明の実施の形態7を示す再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気
ヘッドの製造工程を説明するための工程概要説明図であ
り、磁気記録媒体に対向するヘッド摺動面の近傍におけ
るヘッド摺動面と平行な面で切断した断面図である。以
下、図面を用いて再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド
の製造方法を各工程順に説明する。
【0115】図11に示すように、AlTiC等を材料
とした基材の上に、SiO2等の絶縁材が成膜された基
板110の上に、パーマロイ、Co系アモルファス磁性
膜或いはFe系微粒子磁性膜等の軟磁性材料を素材とす
る下部シールド層111が成膜され、その上にAl
23、AlN或いはSiO2等の非磁性絶縁材料を用い
て下部ギャップ絶縁層112を成膜する。
【0116】第1の工程として、図12に示すように、
下部ギャップ絶縁層112の上に、IrMn、FeMn
系合金膜、NiMn系合金膜、PtMn系合金膜、αF
23或いはNiO等の材料を用いて反強磁性層121
を成膜し、更に、その上に、NiFe系合金膜、Co或
いはCoFe合金膜等を材料として固定磁性層122を
成膜する。次に、固定磁性層122の上に、Cu等を材
料とする非磁性層123を成膜する。更に、非磁性層1
23の上に、固定磁性層122と同様の材料を用いてフ
リー磁性層124を成膜し、反強磁性層121、固定磁
性層122、非磁性層123及びフリー磁性層124か
らなるGMR素子125を形成する。
【0117】第2の工程として、図13に示すように、
GMR素子125の最上部に構成されるフリー磁性層1
24の上に、Ru、Cu等の非磁性材料を用いてバイア
ス非磁性膜131及びCoPt等の硬質磁性材料を用い
てバイアス硬質磁性膜132を成膜し、バイアス非磁性
膜131及びバイアス硬質磁性膜132からなる積層バ
イアス膜133を形成する。
【0118】第3の工程として、図14に示すように、
積層バイアス膜133のバイアス硬質磁性膜132の上
に、茸型レジスト141を形成して、Cu、Cr或いは
Ta等の非磁性導電材料を用いて左右一対の電極リード
層142を成膜形成する。
【0119】次に、図15に示すように、それらの上
に、下部ギャップ絶縁層112と同様の絶縁材料を用い
て上部ギャップ絶縁層151を成膜し、更に、上部ギャ
ップ絶縁層151の上に、下部シールド層111と同じ
ような軟磁性材料を用いて上部シールド層152を成膜
形成して、再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド153
を作製する。本製造方法で作製することにより、電極リ
ード層142の形状によって再生トラック幅154を容
易に制御することが可能である。
【0120】尚、第4の工程として、図16に示すよう
に、GMR素子125の最上部にあるフリー磁性層12
4の上に形成された積層バイアス膜133のバイアス硬
質磁性膜132の露出した部分の酸化を防防ぎ、耐食性
を向上させるために、左右一対の電極リード層142及
びバイアス硬質磁性膜132の露出した部分の上に、T
a等の材料でキャップ層161を成膜する工程を追加す
るのが好ましい。
【0121】前述の実施の形態1と同様にして、GMR
素子125を構成する固定磁性層122の磁化の方向が
磁気記録媒体に対向するヘッド摺動面と直行するY方向
(図15の紙面に垂直な方向)になるように、Y方向に
磁場が与えられて、所定の温度及び時間で熱処理(アニ
ール)され、反強磁性層121との反強磁性結合による
結合磁界により、固定磁性層122の磁化の方向はY方
向に固定される。一方、積層バイアス膜94のバイアス
硬質磁性膜132の磁化方向を固定磁性層122の磁化
の方向に略直交した方向(図15において、トラック幅
方向即ちX或いは−X方向)になるように常温にて着磁
する。また、前述の固定磁性層122に磁化の方向を与
えるための熱処理は、左右一対の電極リード層142の
上に、キャップ層161が成膜された後、且つ、キャッ
プ層161、電極リード層142、積層バイアス膜13
3及びGMR素子125が所定の形状にパターニングさ
れて削り取られる前に、実施するのが好ましい。
【0122】また、フリー磁性層124に磁化の方向を
付加する方法は、前述の実施の形態1で記述したものと
同様であり、積層バイアス膜133のバイアス非磁性膜
131の膜厚によって、フリー磁性層124の層間結合
磁界の強さを制御して、8kA/m以下になるようにす
ることにより、再生出力が向上する。
【0123】また、第1の工程として、図17に示すよ
うに、下部ギャップ絶縁層(図示せず)の上に形成され
た反強磁性層121の上に、第1の固定磁性層膜17
1、固定中間非磁性層膜172、第2の固定磁性層膜1
73を順次積層成膜した積層固定磁性層174を形成
し、更にその上に非磁性層123を成膜し、更に、その
上に、フリー磁性層124を成膜してGMR素子175
を形成しても良い。
【0124】また、第2の工程として、GMR素子12
5の最上部に成膜されたフリー磁性層124の上面をA
r等によるプリスパッタ或いはECR等の方法によって
クリーニングし、フリー磁性層124の表面の酸化膜、
異物或いは汚れ等を取り除いた後、図13に示すよう
に、GMR素子125の最上部に構成されるフリー磁性
層124の上に、バイアス非磁性膜131及びバイアス
硬質磁性膜132を成膜して積層バイアス膜133を形
成しても良い。フリー磁性層124をクリーニングする
ことによって、フリー磁性層124とバイアス非磁性膜
131との間には異物の介在がなく、バイアス硬質磁性
膜132とバイアス非磁性膜131を介して強磁性的な
結合或いは反強磁性的な結合によるフリー磁性層124
の層間結合磁界の強さが低下することなく、安定した層
間結合磁界を維持することができる。また、フリー磁性
層124とバイアス非磁性膜131との界面以外の場合
でも、同様の効果が得られる。特に、真空中連続成膜で
きなかった界面での効果が顕著である。
【0125】また、第3の工程として、図18(a)に
示すように、積層バイアス膜133のバイアス硬質磁性
膜132の上に、Cu、Cr或いはTa等の非磁性導電
材料を用いて電極リード層膜181を成膜し、図18
(b)に示すように、バイアス硬質磁性膜132が露出
するように、フォトレジストを塗布して、電極リード層
膜181の一部を削り取り、左右一対の電極リード層1
82を形成しても良い。
【0126】また、第3の工程として、図19(a)に
示すように、積層バイアス膜133のバイアス硬質磁性
膜132の上に、キャップ層膜191を成膜した後、図
19(b)に示すように、キャップ層膜191の上に、
茸型レジスト192を形成して、バイアス硬質磁性膜1
32の上に、左右一対の電極リード層193を成膜形成
しても良い。
【0127】上述の実施の形態は、バイアス非磁性膜及
びバイアス硬質磁性膜の2層からなる積層バイアス膜に
ついて記述してきたが、上述の第2の工程において、図
20に示すように、GMR素子125の最上部に構成さ
れるフリー磁性層124の上に、バイアス非磁性膜20
1、Fe系合金膜等の強磁性材料を用いてバイアス強磁
性膜202及びバイアス硬質磁性膜203を成膜し、バ
イアス非磁性膜201、バイアス強磁性膜202及びバ
イアス硬質磁性膜203の3層からなる積層バイアス膜
204を形成して、2層からなる積層バイアス膜に置き
換えて3層からなる積層バイアス膜を形成しても良い。
【0128】バイアス非磁性膜201、バイアス強磁性
膜202及びバイアス硬質磁性膜203からなる3層の
積層バイアス膜204として、バイアス強磁性膜202
の上にバイアス硬質磁性膜203を形成することによっ
て、硬質磁性材料の結晶性を良くする磁性下地を有する
ことになり、硬質磁性材料の特性が向上する。
【0129】以上のように本実施の形態7によれば、G
MR素子のフリー磁性層は、バイアス非磁性膜を介して
バイアス硬質磁性膜(2層の場合)或いはバイアス強磁
性膜(3層の場合)と強磁性的に結合或いは反強磁性的
に結合し、その磁化の方向をトラック幅方向に向き易く
し、且つ、バイアス硬質磁性膜或いはバイアス強磁性膜
とフリー磁性層との間に介在するバイアス非磁性膜の膜
厚によりバイアス硬質磁性膜或いはバイアス強磁性膜と
フリー磁性層との強磁性的に結合或いは反強磁性的に結
合した層間結合磁界の強さを制御することができ、バイ
アス非磁性膜の膜厚を最適に選ぶことによって、バイア
ス非磁性膜を介してバイアス硬質磁性膜或いはバイアス
強磁性膜とフリー磁性層との層間結合磁界を、安定して
8kA/m以下の強さにでき、安定した磁化の方向が得
られることになる。そのため、再生ヘッドギャップレン
グスに関わらず、フリー磁性層の磁化方向をトラック幅
方向に向けることが容易に実現でき、積層バイアス膜か
らのバイアス磁界が固定磁性層に与える影響はなく、そ
れによる固定磁性層の磁化の傾きも生じないため、出力
波形の対称性の劣化が抑えられ、バルクハウゼンノイズ
の少ない、再生感度の高い、再生性能の優れた磁気抵抗
効果型薄膜磁気ヘッドを作製することができる。また、
電極リード層形状のみによって再生トラック幅を容易に
制御することが可能な磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを
作製することができる。
【0130】更に、3層からなる積層バイアス膜の場合
には、バイアス強磁性膜の上にバイアス硬質磁性膜を形
成することによって、硬質磁性材料の結晶性を良くする
磁性下地を有することになり、硬質磁性材料の特性が向
上して、フリー磁性層にかかる層間結合磁界がより一層
安定し、磁化を非常に安定させることができ、再生性能
が一層向上し、安定化した磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッ
ドを作製することができる。
【0131】(実施の形態8)図21〜図27は、本発
明の実施の形態8を示す再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気
ヘッドの製造工程を説明するための工程概要説明図であ
り、磁気記録媒体に対向するヘッド摺動面の近傍におけ
るヘッド摺動面と平行な面で切断した断面図である。以
下、図面を用いて再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド
の製造方法を各工程順に説明する。
【0132】前述の実施の形態7と同様に、図11に示
すように、基板110の上に成膜された下部シールド層
111の上に、下部ギャップ絶縁層112を成膜する。
【0133】第1の工程として、図21に示すように、
下部ギャップ絶縁層112の上に、反強磁性層膜21
1、固定磁性層膜212、非磁性層膜213及びフリー
磁性層膜214を順次積層成膜し、反強磁性層膜21
1、固定磁性層膜212、非磁性層膜213及びフリー
磁性層膜214からなるGMR素子膜215を形成す
る。
【0134】第2の工程として、図22に示すように、
GMR素子膜215を構成するフリー磁性層膜214の
上に、バイアス非磁性層膜2201及びバイアス硬質磁
性層膜2202を成膜して、積層バイアス層膜2203
を形成した後、茸型レジスト220を形成して、GMR
素子膜215及び積層バイアス層膜2203が積層され
た膜の夫々の両側部をエッチング等の方法によって削り
取り、反強磁性層221、固定磁性層222、非磁性層
223及びフリー磁性層224とで構成されるGMR素
子225とバイアス非磁性膜226及びバイアス硬質磁
性膜227からなる積層バイアス膜228を形成する。
【0135】第3の工程として、図23に示すように、
茸型レジスト220を利用して、GMR素子225及び
積層バイアス膜228の左右両側面に、Cu、Cr或い
はTa等の非磁性材料を用いて左右一対の電極リード層
231を成膜形成する。尚、左右一対の電極リード層2
31はGMR素子225及び積層バイアス層228の左
右両側面及びバイアス硬質磁性膜227の上面の一部の
上に成膜形成されていても良い。また、第2の工程と第
3の工程において、同一の茸型レジスト220を使用し
たが、異なる茸型レジストを用いても良い。
【0136】次に、図示しないが、左右一対の電極リー
ド層及び積層バイアス膜の上を覆うように絶縁材料を用
いて上部ギャップ絶縁層を成膜し、更に、上部ギャップ
絶縁層の上に、軟磁性材料を用いて上部シールド層を成
膜形成して、再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作
製する。本製造方法で作製することにより、電極リード
層231形状、GMR素子225及び積層バイアス膜2
28形状によって再生トラック幅を容易に制御すること
が可能である。
【0137】尚、第4の工程として、図24に示すよう
に、左右一対の電極リード層231及び露出している積
層バイアス膜228を構成するバイアス硬質磁性膜22
7の上に、Ta等の材料でキャップ層241を成膜する
工程を追加する方が良いのは言うまでもない。
【0138】また、他の一例として、上述の第2の工程
として、図25に示すように、GMR素子膜215を構
成するフリー磁性層膜214の上に、バイアス非磁性層
膜2201及びバイアス硬質磁性層膜2202を成膜し
て、積層バイアス層膜2203を積層成膜形成し、更に
その上に、キャップ層膜2501を成膜した後、茸型レ
ジスト250を形成して、GMR素子膜215、積層バ
イアス層膜2203及びキャップ層膜2501が積層さ
れた膜の夫々の両側部をエッチング等の方法によって削
り取り、反強磁性層251、固定磁性層252、非磁性
層253及びフリー磁性層254とで構成されるGMR
素子255とバイアス非磁性膜256及びバイアス硬質
磁性膜257からなる積層バイアス膜258及びキャッ
プ層259を形成する。
【0139】次に、第3の工程として、図26に示すよ
うに、茸型レジスト250を利用して、GMR素子25
5、積層バイアス膜258及びキャップ層259の左右
両側面に、左右一対の電極リード層261を成膜形成し
ても良い。
【0140】GMR素子255の固定磁性層252に磁
化の方向を付加するための熱処理は、キャップ層膜25
01を成膜した後、エッチングによってGMR素子、積
層バイアス膜及びキャップ層が形成される前に、実施す
るのが良い。
【0141】フリー磁性層は、バイアス非磁性膜を介し
てバイアス硬質磁性膜と反強磁性的に結合し、バイアス
硬質磁性膜の磁化の方向(トラック幅方向)と逆方向の
磁化方向をGMR素子のフリー磁性層に与えられるよう
に、バイアス非磁性膜の膜厚を設定する。それによっ
て、バイアス硬質磁性膜とフリー磁性膜における端面磁
荷による漏れ磁界は、お互いに打ち消され、端部までよ
り安定した磁化の方向が得られ、バルクハウゼンノイズ
を低減できる。
【0142】また、フリー磁性層とバイアス硬質磁性膜
との反強磁性的な層間結合磁界の強さが8kA/m以下
の強さになるように、バイアス非磁性膜の膜厚を設定し
て、フリー磁性層の磁化の方向(例えば、X方向の場
合)をバイアス硬質磁性膜の磁化の方向(−X方向)と
逆方向の磁化の方向にする。バイアス非磁性膜の膜厚
と、フリー磁性層及びバイアス硬質磁性膜の磁化の方向
との関係は前述の実施の形態1と同様である。従って、
バイアス非磁性膜の膜厚を適切な範囲に設定することに
よって、フリー磁性層の磁化の方向がバイアス硬質磁性
膜の磁化の方向と逆の方向で、且つ、反強磁性的に結合
した層間結合磁界の強さが8kA/m以下になるように
することができる。
【0143】また、上述の説明においては、積層バイア
ス膜をバイアス非磁性膜とバイアス硬質磁性膜の2層か
らなる積層膜についてのものであるが、図27に示すよ
うに、第2の工程として、図21におけるGMR素子膜
215の上に、バイアス非磁性層膜2701、バイアス
強磁性層膜2702及びバイアス硬質磁性層膜2703
を順次積層成膜して、積層バイアス層膜2704を形成
し、その上に、茸型レジスト275を形成して、GMR
素子膜215及び積層バイアス層膜2704が積層され
た膜の夫々の両側部をエッチング等の方法によって削り
取り、反強磁性層221、固定磁性層222、非磁性層
223及びフリー磁性層224とで構成されるGMR素
子225とバイアス非磁性膜271、バイアス強磁性膜
272及びバイアス硬質磁性膜273からなる積層バイ
アス膜274を形成しても良い。
【0144】バイアス非磁性膜271、バイアス強磁性
膜272及びバイアス硬質磁性膜273からなる3層の
積層バイアス膜274として、バイアス強磁性膜272
の上にバイアス硬質磁性膜273を形成することによっ
て、硬質磁性材料の結晶性を良くする磁性下地を有する
ことになり、硬質磁性材料の特性が向上する。また、バ
イアス強磁性膜はバイアス硬質磁性膜と強く強磁性結合
し、フリー磁性層は、バイアス非磁性膜を介してバイア
ス強磁性膜と反強磁性的に結合し、バイアス強磁性膜の
磁化の方向(トラック幅方向)と逆方向の磁化方向をG
MR素子のフリー磁性層に与えられるように、バイアス
非磁性膜の膜厚を設定する。それによって、バイアス硬
質磁性膜及びバイアス強磁性膜とフリー磁性膜における
端面磁荷による漏れ磁界は、お互いに打ち消されて小さ
くなり、端部までより安定した磁化の方向が得られ、バ
ルクハウゼンノイズを低減できる。また、上述の2層の
積層バイアス膜と同様に、バイアス非磁性膜の膜厚を適
切な範囲に設定することによって、フリー磁性層の磁化
の方向がバイアス強磁性膜即ちバイアス硬質磁性膜の磁
化の方向と逆の方向で、且つ、反強磁性的に結合した層
間結合磁界の強さが8kA/m以下になるようにするこ
とができる。
【0145】また、積層バイアス膜が2層であっても3
層であっても、従来のようにフリー磁性層に磁化の方向
を与えるためのGMR素子の側面に接した縦バイアス層
がないため、縦バイアス層からの磁界によって固定磁性
層222の磁化の方向が傾くこともなく、出力波形の対
称性を悪化させることもない。
【0146】尚、フリー磁性層は、バイアス非磁性膜を
介してバイアス硬質磁性膜(2層の積層バイアス膜の場
合)或いはバイアス強磁性膜(3層の積層バイアス膜の
場合)と強磁性的に結合し、バイアス硬質磁性膜或いは
バイアス強磁性膜の磁化の方向と同じ方向の磁化の方向
がGMR素子のフリー磁性層に与えられるように、且
つ、その強磁性的な結合による層間結合磁界の強さが8
kA/m以下の強さになるように、バイアス非磁性膜の
膜厚の厚さを設定して、フリー磁性層の磁化の方向(例
えば、X方向の場合)をバイアス硬質磁性膜或いはバイ
アス強磁性膜の磁化の方向(X方向)と同じ方向の磁化
の方向にした場合でも、端面磁荷による漏れ磁界による
端部での磁化方向の乱れは発生するが、再生ヘッドギャ
ップレングスに関わらずバイアス磁界が安定してかけら
れるという効果はある。
【0147】以上のように本実施の形態8によれば、前
述の実施の形態7と同様に、GMR素子のフリー磁性層
は、バイアス非磁性膜を介してバイアス硬質磁性膜(2
層の積層バイアス膜の場合)或いはバイアス強磁性膜
(3層の積層バイアス膜の場合)と反強磁性的に結合
し、その磁化の方向をトラック幅方向に向き易くし、且
つ、バイアス硬質磁性膜或いはバイアス強磁性膜とフリ
ー磁性層との間に介在するバイアス非磁性膜の膜厚によ
りバイアス硬質磁性膜或いはバイアス強磁性膜とフリー
磁性層との反強磁性的に結合した層間結合磁界の強さを
制御することができ、バイアス非磁性膜の膜厚を最適に
選ぶことによって、バイアス非磁性膜を介してバイアス
硬質磁性膜或いはバイアス強磁性膜とフリー磁性層との
層間結合磁界を、安定して8kA/m以下の強さにで
き、安定した磁化の方向が得られることになる。そのた
め、再生ヘッドギャップレングスに関わらず、フリー磁
性層の磁化方向をトラック幅方向に向けることが容易に
実現でき、積層バイアス膜からのバイアス磁界が固定磁
性層に与える影響はなく、それによる固定磁性層の磁化
の傾きも生じないため、出力波形の対称性の劣化が抑え
られ、バルクハウゼンノイズの少ない、再生感度の高
い、再生性能の優れた磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを
作製することができる。また、電極リード層形状、GM
R素子及び積層バイアス膜形状によって再生トラック幅
を容易に制御することが可能で、バイアス硬質磁性膜と
フリー磁性層とを反強磁性的に結合させるように、バイ
アス非磁性膜の膜厚を選ぶことによって、バイアス硬質
磁性膜とフリー磁性膜における端面磁荷による漏れ磁界
は、お互いに打ち消され、端部までより安定した磁化の
方向が得られ、バルクハウゼンノイズが少なく、再生性
能の優れた磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製するこ
とができる。
【0148】更に、3層からなる積層バイアス膜の場合
には、バイアス強磁性膜の上にバイアス硬質磁性膜を形
成することによって、硬質磁性材料の結晶性を良くする
磁性下地を有することになり、硬質磁性材料の特性が向
上して、フリー磁性層にかかる層間結合磁界がより一層
安定し、磁化を非常に安定させることができ、再生性能
が一層向上し、安定化した磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッ
ドを作製することができる。
【0149】(実施の形態9)図28〜図33は、本発
明の実施の形態9を示す再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気
ヘッドの製造工程を説明するための工程概要説明図であ
り、磁気記録媒体に対向するヘッド摺動面の近傍におけ
るヘッド摺動面と平行な面で切断した断面図である。以
下、図面を用いて再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド
の製造方法を各工程順に説明する。
【0150】前述の実施の形態8と同様に、第1の工程
及び第2の工程により、図22に示すように、GMR素
子225及び積層バイアス膜228を形成した後、第3
の工程として、図28に示すように、GMR素子225
及び積層バイアス膜228の左右両側面に、CoPt系
合金膜等の硬質磁性材料を用いて左右一対の縦バイアス
層281を成膜形成する。
【0151】第4の工程として、図29(a)に示すよ
うに、GMR素子225の上にある積層バイアス膜22
8のバイアス硬質磁性膜227の上にある第2の工程で
形成された茸型レジスト220を利用して、左右一対の
縦バイアス層281の上に、GMR素子225の上面と
両側面の交線である稜線に接するように左右一対の電極
リード層291を成膜形成する。尚、図29(b)に示
すように、左右一対の電極リード層291は、左右一対
の縦バイアス層281の上及びバイアス硬質磁性膜22
7の上面の一部の上にかかるように成膜形成しても良
い。また、第3の工程と第4の工程において、同一の茸
型レジスト220を使用したが、異なる茸型レジストを
用いても良い。或いは、第4の工程の他の一例として、
図30(a)及び図30(b)に示すように、左右一対
の縦バイアス層281及びバイアス硬質磁性膜227の
上を覆うように電極リード層膜301を成膜した後、フ
ォトレジストを塗布して、バイアス硬質磁性膜227の
上面の全部又は一部が露出するように、電極リード層膜
301の一部を削り取り、左右一対の電極リード層30
2を形成しても良い。
【0152】次に、図示しないが、それらの上に、上部
ギャップ絶縁層を成膜し、更に、上部ギャップ絶縁層の
上に、上部シールド層を成膜形成して、再生用磁気抵抗
効果型薄膜磁気ヘッドを作製する。本製造方法で作製す
ることにより、縦バイアス層281形状、GMR素子2
25及び積層バイアス膜228形状、電極リード層29
1、302形状によって再生トラック幅を容易に制御す
ることが可能である。
【0153】尚、第5の工程として、図31に示すよう
に、左右一対の電極リード層291及びバイアス硬質磁
性膜227の露出した部分の上に、Ta等の材料でキャ
ップ層311を成膜する工程を追加するのが好ましい。
【0154】また、GMR素子225の固定磁性層22
2に磁化の方向を付加するための熱処理は、GMR素子
膜215の上に積層バイアス層膜2203が形成された
後、エッチングによってそれらの左右両側部が削り取ら
れる前に、熱処理を実施するのが好ましい。
【0155】また、第2の工程の他の一例として、図2
1におけるGMR素子膜215を構成するフリー磁性層
膜214の上面をAr等によるプリスパッタ或いはEC
R等の方法によってクリーニングし、フリー磁性層膜2
14の表面の酸化膜、異物或いは汚れ等を取り除いた
後、図22に示すように、バイアス非磁性層膜2201
及びバイアス硬質磁性層膜2202を順次積層成膜し、
茸型レジスト220を形成して、それらの積層された膜
の夫々の左右両側部をエッチング等の方法によって削り
取り、反強磁性層221、固定磁性層222、非磁性層
223及びフリー磁性層224で構成されるGMR素子
225と、バイアス非磁性膜226及びバイアス硬質磁
性膜227からなる積層バイアス膜228を形成しても
良い。
【0156】また、第2の工程の他の例として、図32
に示すように、バイアス硬質磁性層膜2202を成膜し
た後、更に、その上に、Ta等の非磁性材料を用いてキ
ャップ層膜3201を成膜し、茸型レジスト(図示せ
ず)を形成して、それらの積層された膜の夫々の左右両
側部をエッチング等の方法によって削り取り、反強磁性
層321、固定磁性層322、非磁性層323及びフリ
ー磁性層324で構成されるGMR素子325と、バイ
アス非磁性膜326及びバイアス硬質磁性膜327から
なる積層バイアス膜328及びキャップ層329を形成
しても良い。この時、固定磁性層322に磁化の方向を
付加するための熱処理は、キャップ層膜3201を成膜
した後、エッチングによりGMR素子膜215、積層バ
イアス層膜2203及びキャップ層膜3201の左右両
側部が削り取られる前に、実施するのが好ましい。
【0157】また、上述の説明においては、積層バイア
ス膜をバイアス非磁性膜とバイアス硬質磁性膜の2層か
らなる積層膜についてのものであるが、前述の実施の形
態8と同様に、図33に示すように、第2の工程とし
て、図21におけるGMR素子膜215の上に、バイア
ス非磁性層膜3301、バイアス強磁性層膜3302及
びバイアス硬質磁性層膜3303を順次積層成膜して、
積層バイアス層膜3304を形成し、その上に、茸型レ
ジスト330を形成して、GMR素子膜215及び積層
バイアス層膜3304が積層された膜の夫々の両側部を
エッチング等の方法によって削り取り、反強磁性層33
1、固定磁性層332、非磁性層333及びフリー磁性
層334とで構成されるGMR素子335とバイアス非
磁性膜336、バイアス強磁性膜337及びバイアス硬
質磁性膜338からなる積層バイアス膜339を形成し
ても良い。
【0158】バイアス非磁性膜336、バイアス強磁性
膜337及びバイアス硬質磁性膜338からなる3層の
積層バイアス膜339として、バイアス強磁性膜337
の上にバイアス硬質磁性膜338を形成することによっ
て、硬質磁性材料の結晶性を良くする磁性下地を有する
ことになり、硬質磁性材料の特性が向上する。
【0159】GMR素子を構成するフリー磁性層は、積
層バイアス膜を構成するバイアス非磁性膜を介してバイ
アス硬質磁性膜(2層の積層バイアス膜の場合)或いは
バイアス強磁性膜(3層の積層バイアス膜の場合)と強
磁性的に結合し、バイアス硬質磁性膜或いはバイアス強
磁性膜の磁化の方向と同一方向の磁化方向をGMR素子
のフリー磁性層に与えられるように、バイアス非磁性膜
の膜厚の厚さを設定する。それによって、バイアス硬質
磁性膜及びフリー磁性層或いはバイアス硬質磁性膜、バ
イアス強磁性膜及びフリー磁性層における端面磁荷によ
る漏れ磁界は、縦バイアス層の端面磁荷による漏れ磁界
によって打ち消され、端部までより安定した磁化の方向
が得られ、バルクハウゼンノイズを低減できる。
【0160】また、フリー磁性層とバイアス硬質磁性膜
或いはバイアス強磁性膜との強磁性的な層間結合磁界の
強さが8kA/m以下の強さになるように、バイアス非
磁性膜の膜厚を設定して、フリー磁性層の磁化の方向
(例えば、X方向の場合)をバイアス硬質磁性膜或いは
バイアス強磁性膜の磁化の方向(X方向)と同じ方向の
磁化の方向にする。バイアス非磁性膜の膜厚と、フリー
磁性層及びバイアス硬質磁性膜或いはバイアス強磁性膜
の磁化の方向との関係及びフリー磁性層にかかる層間結
合磁界の強さと再生出力の関係は前述の実施の形態1或
いは実施の形態2と同様である。従って、バイアス非磁
性膜の膜厚を適切な範囲に設定することによって、強磁
性的に結合した層間結合磁界の強さが8kA/m以下に
なるようにすることができる。
【0161】また、縦バイアス層の磁化の方向も、積層
バイアス膜のバイアス硬質磁性膜或いはバイアス強磁性
膜及びそれと強磁性的に結合したフリー磁性層の磁化の
方向と同じ方向になるように磁化する。積層バイアス膜
のバイアス硬質磁性膜或いはバイアス強磁性膜と強磁性
的に結合してフリー磁性層が層間結合磁界を有している
ため、縦バイアス層の磁界の強さを大きくしなくても、
フリー磁性層の磁化の方向は非常に安定しており、且
つ、縦バイアス層の磁界の大きさが大きくないので、縦
バイアス層が固定磁性層の磁化の方向に与える影響は小
さく、固定磁性層の磁化の方向が傾きが小さく、再生波
形の対称性悪化を抑制できる。
【0162】尚、図4に示すように、下部ギャップ絶縁
層(図示せず)の上に形成された反強磁性層膜の上に、
第1の固定磁性層膜、固定中間非磁性層膜、第2の固定
磁性層膜を順次積層成膜した積層固定磁性層を形成して
も良いのは言うまでもない。
【0163】以上のように本実施の形態9によれば、G
MR素子のフリー磁性層は、バイアス非磁性膜を介して
バイアス硬質磁性膜(2層の積層バイアス膜の場合)或
いはバイアス強磁性膜(3層の積層バイアス膜の場合)
と強磁性的に結合し、その磁化の方向をトラック幅方向
に向き易くし、且つ、バイアス硬質磁性膜或いはバイア
ス強磁性膜とフリー磁性層との間に介在するバイアス非
磁性膜の膜厚によりバイアス硬質磁性膜或いはバイアス
強磁性膜とフリー磁性層との強磁性的に結合した層間結
合磁界の強さを制御することができ、バイアス非磁性膜
の膜厚を最適に選ぶことによって、バイアス非磁性膜を
介してバイアス硬質磁性膜或いはバイアス強磁性膜とフ
リー磁性層との層間結合磁界を、安定して8kA/m以
下の強さにでき、安定した磁化の方向が得られることに
なる。そのため、再生ヘッドギャップレングスに関わら
ず、積層バイアス膜が2層或いは3層のいずれの場合に
おいても、フリー磁性層の磁化方向をトラック幅方向に
向けることが容易に実現でき、積層バイアス膜からのバ
イアス磁界が固定磁性層に与える影響はなく、それによ
る固定磁性層の磁化の傾きも生じないため、出力波形の
対称性の劣化が抑えられ、バルクハウゼンノイズの少な
い、再生感度の高い、再生性能の優れた磁気抵抗効果型
薄膜磁気ヘッドを作製することができる。
【0164】また、バイアス非磁性膜を介してバイアス
硬質磁性膜或いはバイアス強磁性膜と強磁性的に結合し
たフリー磁性層の層間結合磁界があり、縦バイアス層に
よるバイアス磁界は大きくなくても良いため、縦バイア
ス層のバイアス磁界が固定磁性層に与える影響が小さ
く、固定磁性層の磁化方向の傾きが小さく、縦バイアス
層からのバイアス磁界による出力波形の対称性の劣化や
出力低下も抑えた磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製
することができる。
【0165】また、縦バイアス層の形状、GMR素子及
び積層バイアス膜形状、電極リード層形状によって再生
トラック幅を容易に制御することが可能で、バイアス硬
質磁性膜或いはバイアス強磁性膜とフリー磁性層とを強
磁性的に結合させるようにバイアス非磁性膜の膜厚を選
び、縦バイアス層からフリー磁性層にかかるの磁界と積
層バイアス膜からフリー磁性層にかかる磁界の方向を同
一にすることによって、バイアス硬質磁性膜或いはバイ
アス強磁性膜とフリー磁性膜の端面磁荷による漏れ磁界
は、縦バイアス層の端面磁荷による漏れ磁界によって打
ち消され、端部までより安定した磁化の方向が得られ、
バルクハウゼンノイズが少なく、再生性能の優れた磁気
抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製することができる。
【0166】更に、3層からなる積層バイアス膜の場合
には、前述の実施の形態7、実施の形態8と同様に、バ
イアス強磁性膜の上にバイアス硬質磁性膜を形成するこ
とによって、硬質磁性材料の結晶性を良くする磁性下地
を有することになり、硬質磁性材料の特性が向上して、
フリー磁性層にかかる層間結合磁界がより一層安定し、
磁化を非常に安定させることができ、再生性能が一層向
上し、安定化した磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを作製
することができる。
【0167】
【発明の効果】以上のように本発明は、GMR素子を構
成するフリー磁性層の上に、バイアス非磁性膜及びバイ
アス硬質磁性膜の2層の積層膜或いはバイアス非磁性
膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜の3層の
積層膜からなる積層バイアス膜を形成し、バイアス非磁
性膜を介してバイアス硬質磁性膜(2層の積層バイアス
膜の場合)或いはバイアス強磁性膜(3層の積層バイア
ス膜の場合)に対向しているフリー磁性層は、バイアス
非磁性膜の膜厚が増すに従って、或る膜厚でフリー磁性
層の磁化の方向がバイアス硬質磁性膜或いはバイアス強
磁性膜の磁化の方向と逆の方向を向き、更に膜厚が大き
くなれば、お互いの磁化の方向が同じとなり、更に膜厚
が大きくなれば、また逆の方向を向くというように、膜
厚によって、フリー磁性層とバイアス硬質磁性膜或いは
バイアス強磁性膜は、お互いの磁化の方向が交互に同じ
向きになったり、逆の向きになったりすると同時に、膜
厚が大きくなればなる程、フリー磁性層のバイアス硬質
磁性膜或いはバイアス強磁性膜との層間結合磁界の強さ
は減衰してゆくことになり、バイアス非磁性膜の膜厚に
よってフリー磁性層に付加される磁化の方向と層間結合
磁界によるバイアス磁界を制御することができることに
なり、バイアス非磁性膜の膜厚を適当な膜厚に選ぶこと
によって、フリー磁性層に、バイアス硬質磁性膜或いは
バイアス強磁性膜の磁化の方向と同じ方向或いは逆の方
向に磁化の方向を有するように、且つ安定したバイアス
磁界の強さを与えることができるという効果があり、ま
た、積層バイアス膜からフリー磁性層に付加されるバイ
アス磁界によって固定磁性層の磁化の方向を傾けること
がなく、出力波形の対称性が良く、バルクハウゼンノイ
ズが小さく、再生感度を向上させる効果があり、また、
バイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質
磁性膜の3層からなる積層バイアス膜を形成することに
よって、硬質磁性材料の結晶性を良くする磁性下地を有
することができ、硬質磁性材料の特性が向上して、フリ
ー磁性層にかかる層間結合磁界がより一層安定し、磁化
を非常に安定させることができる。これらの効果は、特
に、高記録密度化された記録信号を再生するための狭再
生ヘッドギャップレングスを有する薄膜磁気ヘッドには
非常に有効である。また、そのような優れた再生性能を
有する薄膜磁気ヘッドを容易に作製することができると
いうものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1を示す薄膜磁気ヘッドの
概略説明模式図
【図2】本発明の実施の形態1の他の一例を示す薄膜磁
気ヘッドの概略説明模式図
【図3】本発明の実施の形態1を説明するためのフリー
磁性層に付加された層間結合磁界の強さと再生出力の関
係を示すグラフ
【図4】本発明の実施の形態1の他の例を示す薄膜磁気
ヘッドの一部の概略説明図
【図5】本発明の実施の形態2を示す薄膜磁気ヘッドの
概略説明模式図
【図6】本発明の実施の形態2の一例を示す薄膜磁気ヘ
ッドの概略説明模式図
【図7】本発明の実施の形態3を示す薄膜磁気ヘッドの
概略説明模式図
【図8】本発明の実施の形態4を示す薄膜磁気ヘッドの
概略説明模式図
【図9】本発明の実施の形態5を示す薄膜磁気ヘッドの
概略説明模式図
【図10】本発明の実施の形態6を示す薄膜磁気ヘッド
の概略説明模式図
【図11】本発明の実施の形態7における薄膜磁気ヘッ
ドの製造工程の一部の工程を示す説明概略図
【図12】本発明の実施の形態7における第1の工程を
示す説明概略図
【図13】本発明の実施の形態7における第2の工程を
示す説明概略図
【図14】本発明の実施の形態7における第3の工程を
示す説明概略図
【図15】本発明の実施の形態7における他の一部の工
程を示す説明概略図
【図16】本発明の実施の形態7における第4の工程を
示す説明概略図
【図17】本発明の実施の形態7における第1の工程の
他の一例を示す説明概略図
【図18】本発明の実施の形態7における第3の工程の
他の一例を示す説明概略図
【図19】本発明の実施の形態7における第3の工程の
他の例を示す説明概略図
【図20】本発明の実施の形態7における3層からなる
積層バイアス膜の例を示す説明概略図
【図21】本発明の実施の形態8における第1の工程を
示す説明概略図
【図22】本発明の実施の形態8における第2の工程を
示す説明概略図
【図23】本発明の実施の形態8における第3の工程を
示す説明概略図
【図24】本発明の実施の形態8における第4の工程を
示す説明概略図
【図25】本発明の実施の形態8の他の一例における第
2の工程を示す説明概略図
【図26】本発明の実施の形態8の他の一例における第
3の工程を示す説明概略図
【図27】本発明の実施の形態8における3層からなる
積層バイアス膜の例を示す説明概略図
【図28】本発明の実施の形態9における第3の工程を
示す説明概略図
【図29】本発明の実施の形態9における第4の工程を
示す説明概略図
【図30】本発明の実施の形態9における第4の工程の
他の一例を示す説明概略図
【図31】本発明の実施の形態9における第5の工程を
示す説明概略図
【図32】本発明の実施の形態9における第2の工程の
他の一例を示す説明概略図
【図33】本発明の実施の形態9における3層からなる
積層バイアス膜の例を示す説明概略図
【図34】従来の薄膜磁気ヘッドを示す斜視概略図
【図35】従来の薄膜磁気ヘッドを示す正面概略模式図
【符号の説明】
1、71、91、121、221、251、321、3
31、353 反強磁性層 2、72、92、122、222、252、322、3
32、354 固定磁性層 3、73、93、123、223、253、323、3
33、355 非磁性層 4、74、94、124、224、254、324、3
34、356 フリー磁性層 5、45、90、125、175、225、255、3
25、335、343、700、 磁気抵抗効果素子
(GMR素子) 6、51、75、81、95、101、131、20
1、226、256、271、326、336 バイア
ス非磁性膜 7、53、76、83、96、103、132、20
3、227、257、273、327、338 バイア
ス硬質磁性膜 8、54、84、97、104、133、204、22
8、258、274、328、339、701、 積層
バイアス膜 21、61、77、85、87、99、106、10
8、142、182、193、231、261、29
1、302、345、702、902 電極リード層 22、62、154 トラック幅 23、24、63、64、78、86、88、107、
109、161、241、259、311、329、3
57、703、901、904 キャップ層 41、171 第1の固定磁性層膜 42、172 固定中間非磁性層膜 43、173 第2の固定磁性層膜 44、174 積層固定磁性層 52、82、102、202、272、337 バイア
ス強磁性膜 98、105、281、344 縦バイアス層 110 基板 111、341 下部シールド層 112、342 下部ギャップ絶縁層 141、192、220、250、275、330 茸
型レジスト 151、346 上部ギャップ絶縁層 152、347 上部シールド層 153、348 再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド 181、301 電極リード層膜 191、2501、3201 キャップ層膜 211 反強磁性層膜 212 固定磁性層膜 213 非磁性層膜 214 フリー磁性層膜 215 磁気抵抗効果素子膜(GMR素子膜) 349 記録ギャップ層 350 上部磁極 351 巻線コイル 352 記録用誘導型薄膜磁気ヘッド 358 再生ヘッドギャップレングス 2201、2701、3301 バイアス非磁性層膜 2202、2703、3303 バイアス硬質磁性層膜 2203、2704、3304 積層バイアス層膜 2702、3302 バイアス強磁性層膜

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部シールド層と上部シールド層との間
    に絶縁材を介して磁気抵抗効果素子を有し、信号電流を
    流すための電極リード層からなる磁気抵抗効果型薄膜磁
    気ヘッドにおいて、 反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層が
    順次積層成膜形成された磁気抵抗効果素子と、 前記磁気抵抗効果素子の最上部に構成された前記フリー
    磁性層の上に順次積層成膜されたバイアス非磁性膜及び
    バイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜と、からな
    る構成を有することを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記磁気抵抗効果素子の最上部に構成さ
    れた前記フリー磁性層の上に順次積層成膜されたバイア
    ス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜
    からなる積層バイアス膜からなる構成を有することを特
    徴とする請求項1に記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及び
    フリー磁性層が順次積層成膜形成された磁気抵抗効果素
    子と、 前記磁気抵抗効果素子の最上部に構成された前記フリー
    磁性層の上に順次積層成膜されたバイアス非磁性膜及び
    バイアス硬質磁性膜とからなる積層バイアス膜と、 前記バイアス硬質磁性膜の上面に形成された左右一対の
    電極リード層と、からなる構成を有することを特徴とす
    る薄膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及び
    フリー磁性層が順次積層成膜形成された磁気抵抗効果素
    子と、 前記磁気抵抗効果素子の最上部に構成された前記フリー
    磁性層の上に順次積層形成されたバイアス非磁性膜及び
    バイアス硬質磁性膜とからなる積層バイアス膜と、 前記磁気抵抗効果素子及び前記積層バイアス膜の少なく
    とも左右両側面に夫々接する左右一対の電極リード層
    と、からなる構成を有することを特徴とする薄膜磁気ヘ
    ッド。
  5. 【請求項5】 前記磁気抵抗効果素子の最上部に構成さ
    れた前記フリー磁性層の上に順次積層成膜されたバイア
    ス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜
    からなる積層バイアス膜からなる構成を有することを特
    徴とする請求項3或いは請求項4のいずれかに記載の薄
    膜磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及び
    フリー磁性層が順次積層成膜形成された磁気抵抗効果素
    子と、 前記磁気抵抗効果素子の最上部に構成された前記フリー
    磁性層の上に順次積層形成されたバイアス非磁性膜及び
    バイアス硬質磁性膜とからなる積層バイアス膜と、 前記磁気抵抗効果素子及び前記積層バイアス膜の左右両
    側面に夫々接する左右一対の縦バイアス層と、からなる
    構成を有することを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記磁気抵抗効果素子の最上部に構成さ
    れた前記フリー磁性層の上に順次積層成膜されたバイア
    ス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜
    からなる積層バイアス膜からなる構成を有することを特
    徴とする請求項6に記載の薄膜磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 左右一対の前記縦バイアス層の上面或い
    は前記積層バイアス膜の最上部にある前記バイアス硬質
    磁性膜の上面の左右の一部及び左右一対の前記縦バイア
    ス層の上面の上に、左右一対の電極リード層を有するこ
    とを特徴とする請求項6に記載の薄膜磁気ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記磁気抵抗効果素子の最上部に構成さ
    れた前記フリー磁性層の上に順次積層成膜されたバイア
    ス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜
    からなる積層バイアス膜と、 左右一対の前記縦バイアス層の上面或いは前記積層バイ
    アス膜の最上部にある前記バイアス硬質磁性膜の上面の
    左右の一部及び左右一対の前記縦バイアス層の上面の上
    に、左右一対の電極リード層を有することを特徴とする
    請求項6に記載の薄膜磁気ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記バイアス硬質磁性膜がトラック幅
    方向の磁化の方向を有することを特徴とする請求項1、
    請求項3、請求項4、請求項6或いは請求項8のいずれ
    かに記載の薄膜磁気ヘッド。
  11. 【請求項11】 前記バイアス強磁性膜がトラック幅方
    向の磁化の方向を有することを特徴とする項請求項2、
    請求項5、請求項7或いは請求項9のいずれかに記載の
    薄膜磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記積層バイアス膜を構成する前記バ
    イアス硬質磁性膜の磁化の方向がトラック幅方向を有
    し、且つ、前記磁気抵抗効果素子を構成する前記フリー
    磁性層の磁化の方向が、前記バイアス硬質磁性膜と反強
    磁性的に結合して、前記バイアス硬質磁性膜の磁化の方
    向と逆の方向を有することを特徴とする請求項3或いは
    請求項4のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  13. 【請求項13】 前記積層バイアス膜を構成する前記バ
    イアス強磁性膜の磁化の方向がトラック幅方向を有し、
    且つ、前記磁気抵抗効果素子を構成する前記フリー磁性
    層の磁化の方向が、前記バイアス強磁性膜と反強磁性的
    に結合して、前記バイアス強磁性膜の磁化の方向と逆の
    方向を有することを特徴とする請求項5に記載の薄膜磁
    気ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記積層バイアス膜を構成する前記バ
    イアス硬質磁性膜の磁化の方向がトラック幅方向を有
    し、且つ、前記磁気抵抗効果素子を構成する前記フリー
    磁性層の磁化の方向が、前記バイアス硬質磁性膜と強磁
    性的に結合して、前記バイアス硬質磁性膜の磁化の方向
    と同じ方向を有することを特徴とする請求項6或いは請
    求項8のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  15. 【請求項15】 前記積層バイアス膜を構成する前記バ
    イアス強磁性膜の磁化の方向がトラック幅方向を有し、
    且つ、前記磁気抵抗効果素子を構成する前記フリー磁性
    層の磁化の方向が、前記バイアス強磁性膜と強磁性的に
    結合して、前記バイアス強磁性膜の磁化の方向と同じ方
    向を有することを特徴とする請求項7或いは請求項9の
    いずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  16. 【請求項16】 前記磁気抵抗効果素子を構成する前記
    フリー磁性層と前記積層バイアス膜を構成する前記バイ
    アス硬質磁性膜との層間結合磁界の強さが8kA/m以
    下(100Oe以下)であることを特徴とする請求項
    1、請求項3、請求項4、請求項6、請求項8、請求項
    10、請求項12或いは請求項14のいずれかに記載の
    薄膜磁気ヘッド。
  17. 【請求項17】 前記磁気抵抗効果素子を構成する前記
    フリー磁性層と前記積層バイアス膜を構成する前記バイ
    アス強磁性膜との層間結合磁界の強さが8kA/m以下
    (100Oe以下)であることを特徴とする請求項2、
    請求項5、請求項7、請求項9、請求項11、請求項1
    3或いは請求項15のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッ
    ド。
  18. 【請求項18】 少なくとも前記積層バイアス膜を構成
    する前記バイアス硬質磁性膜の上面に接したキャップ層
    を有することを特徴とする請求項1〜請求項17のいず
    れかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  19. 【請求項19】 下部ギャップ絶縁層の上に、反強磁性
    層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層を順次積層
    成膜し、前記反強磁性層、前記固定磁性層、前記非磁性
    層及び前記フリー磁性層で構成される磁気抵抗効果素子
    を形成する第1の工程と、 前記磁気抵抗効果素子を構成する前記フリー磁性層の上
    に、バイアス非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜を成膜し
    て、前記バイアス非磁性膜及び前記バイアス硬質磁性膜
    からなる積層バイアス膜を形成する第2の工程と、を有
    することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  20. 【請求項20】 下部ギャップ絶縁層の上に、反強磁性
    層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層を順次積層
    成膜し、前記反強磁性層、前記固定磁性層、前記非磁性
    層及び前記フリー磁性層で構成される磁気抵抗効果素子
    を形成する第1の工程と、 前記磁気抵抗効果素子を構成する前記フリー磁性層の上
    に、バイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス
    硬質磁性膜を成膜して、前記バイアス非磁性膜、前記バ
    イアス強磁性膜及び前記バイアス硬質磁性膜からなる積
    層バイアス膜を形成する第2の工程と、を有することを
    特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  21. 【請求項21】 下部ギャップ絶縁層の上に、反強磁性
    層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層を順次積層
    成膜し、前記反強磁性層、前記固定磁性層、前記非磁性
    層及び前記フリー磁性層で構成される磁気抵抗効果素子
    を形成する第1の工程と、 前記磁気抵抗効果素子を構成する前記フリー磁性層の上
    に、バイアス非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜を成膜し
    て、前記バイアス非磁性膜及び前記バイアス硬質磁性膜
    からなる積層バイアス膜を形成する第2の工程と、 前記積層バイアス膜の前記バイアス硬質磁性膜の上に、
    左右一対の電極リード層を成膜形成する第3の工程と、
    を有することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項21の第3の工程において、前
    記積層バイアス膜の前記バイアス硬質磁性膜の上を覆う
    ように電極リード層膜を成膜した後、前記バイアス硬質
    磁性膜が露出するように、前記電極リード層膜の一部を
    削り取って、左右一対の電極リード層を形成する第3の
    工程を有することを特徴とする請求項21に記載の薄膜
    磁気ヘッドの製造方法。
  23. 【請求項23】 前記磁気抵抗効果素子を構成する前記
    フリー磁性層の上に、バイアス非磁性膜、バイアス強磁
    性膜及びバイアス硬質磁性膜を成膜して、前記バイアス
    非磁性膜、前記バイアス強磁性膜及び前記バイアス硬質
    磁性膜からなる積層バイアス膜を形成する第2の工程を
    有することを特徴とする請求項21或いは請求項22の
    いずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  24. 【請求項24】 請求項19の第2の工程において、前
    記磁気抵抗効果素子を構成する前記フリー磁性層の上
    に、バイアス非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜を成膜し
    て、前記バイアス非磁性膜及び前記バイアス硬質磁性膜
    からなる積層バイアス膜を形成し、更に、前記バイアス
    硬質磁性膜の上に、キャップ層を形成する第2の工程を
    有することを特徴とする請求項19、請求項21或いは
    請求項22のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方
    法。
  25. 【請求項25】 請求項20の第2の工程において、前
    記磁気抵抗効果素子を構成する前記フリー磁性層の上
    に、バイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜及びバイアス
    硬質磁性膜を成膜して、前記バイアス非磁性膜、前記バ
    イアス強磁性膜及び前記バイアス硬質磁性膜からなる積
    層バイアス膜を形成し、更に、前記バイアス硬質磁性膜
    の上に、キャップ層を形成する第2の工程を有すること
    を特徴とする請求項20或いは請求項23のいずれかに
    記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  26. 【請求項26】 下部ギャップ絶縁層の上に、反強磁性
    層膜、固定磁性層膜、非磁性層膜及びフリー磁性層膜を
    順次積層成膜して、磁気抵抗効果素子膜を形成する第1
    の工程と、 前記磁気抵抗効果素子膜の最上部にある前記フリー磁性
    層膜の上に、バイアス非磁性層膜及びバイアス硬質磁性
    層膜を成膜して、積層バイアス層膜を形成した後、前記
    磁気抵抗効果素子膜及び前記積層バイアス層膜の左右両
    側部を夫々削り取り、反強磁性層、固定磁性層、非磁性
    層及びフリー磁性層で構成される磁気抵抗効果素子とバ
    イアス非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バ
    イアス膜を形成する第2の工程と、 前記磁気抵抗効果素子と前記積層バイアス膜の積層部の
    少なくとも左右両側面に接するように左右一対の電極リ
    ード層を成膜形成する第3の工程と、を有することを特
    徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  27. 【請求項27】 請求項26の第2の工程において、前
    記磁気抵抗効果素子膜の最上部にある前記フリー磁性層
    膜の上に、バイアス非磁性層膜、バイアス強磁性層膜及
    びバイアス硬質磁性層膜を成膜して、積層バイアス層膜
    を形成した後、前記磁気抵抗効果素子膜及び前記積層バ
    イアス層膜の左右両側部を夫々削り取り、反強磁性層、
    固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層で構成される磁
    気抵抗効果素子とバイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜
    及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜を形成
    する第2の工程を有することを特徴とする請求項26に
    記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  28. 【請求項28】 左右一対の前記電極リード層及び前記
    バイアス硬質磁性膜の露出した部分の上を覆うように、
    キャップ層を成膜する第4の工程を有することを特徴と
    する請求項21〜請求項23、請求項26或いは請求項
    27のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  29. 【請求項29】 下部ギャップ絶縁層の上に、反強磁性
    層膜、固定磁性層膜、非磁性層膜及びフリー磁性層膜を
    順次積層成膜して、磁気抵抗効果素子膜を形成する第1
    の工程と、 前記磁気抵抗効果素子膜の最上部にある前記フリー磁性
    層膜の上に、バイアス非磁性層膜及びバイアス硬質磁性
    層膜を成膜して、積層バイアス層膜を形成した後、前記
    磁気抵抗効果素子膜及び前記積層バイアス層膜の左右両
    側部を夫々削り取り、反強磁性層、固定磁性層、非磁性
    層及びフリー磁性層で構成される磁気抵抗効果素子とバ
    イアス非磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バ
    イアス膜を形成する第2の工程と、 前記磁気抵抗効果素子と前記積層バイアス膜の積層部の
    左右両側面に接するように左右一対の縦バイアス層を成
    膜形成する第3の工程と、 左右一対の前記縦バイアス層の上に、左右一対の電極リ
    ード層を成膜形成する第4の工程と、を有することを特
    徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  30. 【請求項30】 請求項29の第4の工程において、左
    右一対の前記縦バイアス層の上面及び前記バイアス硬質
    磁性膜の上面の左右の一部の上に、左右一対の電極リー
    ド層を成膜形成する第4の工程を有することを特徴とす
    る請求項29に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  31. 【請求項31】 請求項29の第4の工程において、左
    右一対の前記縦バイアス層及び前記バイアス硬質磁性膜
    の上を覆うように、電極リード層膜を成膜した後、前記
    バイアス硬質磁性膜の上面の全部又は一部が露出するよ
    うに、前記電極リード層膜の一部を削り取り、左右一対
    の電極リード層を形成する第4の工程を有することを特
    徴とする請求項29に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方
    法。
  32. 【請求項32】 請求項29の第2の工程において、前
    記磁気抵抗効果素子膜の最上部にある前記フリー磁性層
    膜の上に、バイアス非磁性層膜、バイアス強磁性層膜及
    びバイアス硬質磁性層膜を成膜して、積層バイアス層膜
    を形成した後、前記磁気抵抗効果素子膜及び前記積層バ
    イアス層膜の左右両側部を夫々削り取り、反強磁性層、
    固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層で構成される磁
    気抵抗効果素子とバイアス非磁性膜、バイアス強磁性膜
    及びバイアス硬質磁性膜からなる積層バイアス膜を形成
    する第2の工程を有することを特徴とする請求項29〜
    請求項31のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方
    法。
  33. 【請求項33】 左右一対の前記電極リード層及び前記
    バイアス硬質磁性膜の露出した部分の上に、キャップ層
    を成膜する第5の工程を有することを特徴とする請求項
    29〜請求項32のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの
    製造方法。
  34. 【請求項34】 前記磁気抵抗効果素子膜の最上部にあ
    る前記フリー磁性層膜の上に、バイアス非磁性層膜及び
    バイアス硬質磁性層膜を成膜して、積層バイアス層膜を
    形成した後、更にその上に、キャップ層膜を成膜し、前
    記磁気抵抗効果素子膜、前記積層バイアス層膜及び前記
    キャップ層膜の左右両側部を削り取り、反強磁性層、固
    定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層で構成される磁気
    抵抗効果素子とバイアス非磁性膜及びバイアス硬質磁性
    膜からなる積層バイアス膜とキャップ層とを形成する第
    2の工程を有することを特徴とする請求項26或いは請
    求項29〜請求項31のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッ
    ドの製造方法。
  35. 【請求項35】 前記磁気抵抗効果素子膜の最上部にあ
    る前記フリー磁性層膜の上に、バイアス非磁性層膜、バ
    イアス強磁性層膜及びバイアス硬質磁性層膜を成膜し
    て、積層バイアス層膜を形成した後、更にその上に、キ
    ャップ層膜を成膜し、前記磁気抵抗効果素子膜、前記積
    層バイアス層膜及び前記キャップ層膜の左右両側部を削
    り取り、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー
    磁性層で構成される磁気抵抗効果素子とバイアス非磁性
    膜、バイアス強磁性膜及びバイアス硬質磁性膜からなる
    積層バイアス膜とキャップ層とを形成する第2の工程を
    有することを特徴とする請求項27或いは請求項32の
    いずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006245581A (ja) * 2005-02-28 2006-09-14 Seagate Technology Llc スタック内バイアス付与構造を持つ磁気センサ
US7221546B2 (en) 2003-06-18 2007-05-22 Tdk Corporation Thin film magnetic head, head gimbal assembly, and hard disk drive

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