JP2001296240A - 赤外/近赤外分光分析用試料のサンプリング用材、分析法及び分析装置 - Google Patents

赤外/近赤外分光分析用試料のサンプリング用材、分析法及び分析装置

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JP2001296240A
JP2001296240A JP2000111231A JP2000111231A JP2001296240A JP 2001296240 A JP2001296240 A JP 2001296240A JP 2000111231 A JP2000111231 A JP 2000111231A JP 2000111231 A JP2000111231 A JP 2000111231A JP 2001296240 A JP2001296240 A JP 2001296240A
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Reikichi Iwamoto
令吉 岩本
Kentaro Oshima
賢太郎 大島
Mikiko Hata
美紀子 畑
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Kansai Research Institute KRI Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、分析対象試料の捕集を簡易に行な
え、該試料と共に直接赤外/近赤外スペクトルの測定に
供することができるサンプリング用材、試料のサンプリ
ング操作を容易かつ効率的に行なうことができる試料の
サンプリング方法、極低濃度の試料分析を可能にする赤
外/近赤外分光分析法、簡易な試料のサンプリング装置
並びに赤外/近赤外分光分析装置を提供する。 【解決手段】赤外線/近赤外線の波数域の全部又は一部
に対して透過性を有する材料からなる赤外/近赤外分光
分析用試料のサンプリング用材、前記サンプリング用材
を用いる試料のサンプリング方法、前記サンプリング方
法に従い試料のサンプリングを行なう赤外/近赤外分光
分析法、前記サンプリング用材が装着されたサンプリン
グ装置、並びに前記サンプリング装置を具備してなり、
試料の赤外/近赤外分光分析又はその自動分析を可能と
した赤外/近赤外分光分析装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外/近赤外分光
分析用試料のサンプリング用材に関する。さらに、本発
明は、赤外/近赤外分光分析用試料のサンプリング方
法、赤外/近赤外分光分析法、赤外/近赤外分光分析用
試料のサンプリング装置、及び赤外/近赤外分光分析装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、粒子状物質の赤外分光分析では、
かかる粒子状物質を充分に微粒子化し、(a)臭化カリ
ウム等の赤外線を吸収しない物質と混合した後、減圧下
で加圧成型によって透明な錠剤試料として、又は(b)
流動パラフィン中に分散して臭化カリウム、塩化ナトリ
ウム、セレン化亜鉛、イオウ化亜鉛等の赤外線非吸収板
に薄く均一に塗布したものを試料として、透過法により
赤外スペクトルを測定することが行なわれてきた。
【0003】一方、液体又は気体中に分散・浮遊する粒
子状物質の赤外分光分析では、分析対象である粒子状物
質を、かかる粒子状物質の粒径よりも小さい孔径を持つ
濾過材を備えた濾過装置で濾過分別して粒子状物質を捕
集し、次に濾過材上に捕集した粒子状物質を任意の方法
で濾過材から分離回収し、前記(a)又は(b)の方法
により、赤外スペクトルを測定することが行なわれてき
た。
【0004】このような従来法では、分析対象である液
体又は気体中の粒子状物質の濃度が低いときには、赤外
スペクトルの測定に必要となる最低限度量を確保するた
めに多量の液体又は気体から濾過によって粒子状物質を
捕集する等の特別な捕集操作が必要である。また、濾過
材上に捕集した粒子状物質の濾過材からの分離回収は一
般に困難であり、高感度の分析を行なうには捕集試料を
全て分析に供するのが理想的であるが、実際には捕集試
料中の内の1から数パーセント程度しか分析に供するこ
とができず、捕集試料が微量の場合には濾過材から試料
を分離回収すること自体が極めて困難であり、かかる試
料の赤外スペクトルの測定は実際上不可能であった。一
方、濾過材上への捕集量が充分に多く、捕集試料の濾過
材からの分離回収がたとえ可能な場合であっても、その
操作が煩雑であった。
【0005】また、試料サンプリングにかかわる赤外分
光分析装置としては、例えば、特開平4- 10247号
公報及び特開平8- 297089号公報に記載のものが
挙げられるが、かかる分析装置は、光ファイバー、受光
レンズ、光センサープローブ等を必要とした複雑な構成
をしており、その取り扱いにも煩雑な作業を必要とす
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、赤外/近赤
外分光分析用試料としての粒子状物質、溶質、気体分子
等を捕集又は濃縮捕集した後に、それら試料の分離回収
を行なう必要がなく、捕集試料と共に赤外又は近赤外ス
ペクトルの測定に直接供することができるサンプリング
用材を提供することを目的とする。また本発明は、サン
プリング用材上に試料を保持したまま捕集試料のほぼ1
00%を分析に供することができ、試料のサンプリング
操作を容易にしかも効率的に行なうことができる試料の
サンプリング方法、並びに試料濃度が低くとも容易に検
出限界以上の濃度に試料を濃縮することができ、極低濃
度までの試料分析を行なうことができる赤外/近赤外分
光分析法を提供することを目的とする。さらに本発明
は、簡易に行なうことができる赤外/近赤外分光分析用
試料のサンプリング装置並びに赤外/近赤外分光分析装
置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
に鑑みて鋭意検討した結果、不透明な材料の赤外スペク
トルの測定は困難であるとの従来からの既成概念を破
り、不透明な材料であっても、ポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)やポリエチレンのように使用波数域に
障害になる程の赤外線及び/又は近赤外線の吸収がない
ものであればスペクトル測定に十分な透過光が得られ
(図1〜4)、分析対象試料のサンプリング用材として
用い、該サンプリング用材と共に試料を直接赤外/近赤
外分光測定に供したとしても、充分にS/N比の高い試
料の赤外/近赤外スペクトルが得られることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明の要旨は、(1)赤外線及び
/又は近赤外線の波数域の全部又は一部に対して透過性
を有する材料からなる、濾過材又は捕集材である、赤外
/近赤外分光分析用試料のサンプリング用材、(2)液
体及び/又は気体中の粒子状物質、気体分子、液体中に
溶解した物質及び物体表面に付着した物質からなる群よ
り選ばれる1種以上の物質を、前記(1)記載のサンプ
リング用材を用いて捕集又は濃縮捕集する、赤外/近赤
外分光分析用試料のサンプリング方法、(3)前記
(2)記載のサンプリング方法を用いて試料のサンプリ
ングを行なう工程を含む、赤外/近赤外分光分析法、
(4)前記(1)記載のサンプリング用材が装着されて
なる、赤外/近赤外分光分析用試料のサンプリング装
置、並びに(5)前記(4)記載のサンプリング装置を
具備してなり、該サンプリング装置により捕集又は濃縮
捕集した試料の赤外/近赤外分光分析又はその自動分析
を可能としたことを特徴とする赤外/近赤外分光分析装
置、に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の赤外/近赤外分光分析用
試料のサンプリング用材によれば、かかるサンプリング
用材による分析対象試料の捕集又は濃縮捕集後、捕集試
料をサンプリング用材と共に直接分析に供することがで
きるため、容易に、しかも効率的に試料のサンプリング
を行なうことができる。
【0010】前記分析対象試料としては、一般に赤外/
近赤外分光分析法で測定可能な有機物質、無機物質等で
あればよい。具体的に分析対象試料として本発明のサン
プリング用材により捕集又は濃縮捕集され得る物質とし
ては、液体及び/又は気体中の粒子状物質、気体分子、
液体中に溶解した物質及び物体表面に付着した物質から
なる群より選ばれる1種以上の物質が挙げられる。かか
る物質は、1種類の物質又は2種類以上の物質からなる
集合体であってもよい。
【0011】前記「粒子状物質」とは、液体及び/又は
気体中で粒子状であることが確認され得る状態にある物
質をいい、微粒子や液体中の沈殿物であってもよく、濾
過材への捕集限界が0.001μm程度以上であること
及び100μmより大きい粒子は通常再度微粒化する必
要があるという観点から、その平均粒子径は0.001
〜100μmが好ましく、0.01〜10μmがさらに
好ましい。尚、かかる平均粒子径は、コールターカウン
ター装置、光散乱法あるいは顕微鏡観察により測定され
る。
【0012】「液体及び気体中の粒子状物質」とは、例
えばエーロゾル中に分散した前記粒子状物質を挙げるこ
とができる。ここに、液体又は気体は、特に限定される
ものでない。
【0013】「液体中に溶解した物質」とは、一般には
溶液中の溶質をいうものであるが、エーロゾル中に溶解
した物質等も含み、特に限定されるものではない。ま
た、前記液体としては有機溶剤又は無機溶剤が挙げら
れ、分析対象試料が溶解されるものであればいずれでも
よい。
【0014】「物体表面に付着した物質」とは、ある物
体表面に付着している物質であれば特に限定されるもの
ではなく、例えば、粉状物質、ワックスのような粘性物
質等であってもよい。
【0015】また、「捕集」とは、分析対象試料を、該
試料が存在する気体及び/又は液体、又は物体表面等か
らサンプリング用材上に移し取ることをいい、「濃縮捕
集」とは、分析対象試料のその媒質中の濃度に比較して
数十倍から数百万倍以上に濃縮してサンプリング用材上
に捕集することをいう。
【0016】本発明のサンプリング用材は、具体的に
は、赤外線及び/又は近赤外線の波数域の全部又は一部
に対して透過性を有する材料からなるものであり、かか
る特性を有する材料からなる濾過材又は捕集材である。
【0017】尚、本発明にいう「赤外線及び/又は近赤
外線の波数域の全部又は一部」とは、赤外線の波数域4
00〜4000cm-1及び/又は近赤外線の波数域40
00〜13300cm-1の全部又は一部をいい、「透過
性を有する」とは、最低限利用可能なS/N比の分析対
象試料のスペクトルを測定できる透過率を有すること、
さらに好ましくは100%から5%程度の透過率を有す
ることをいう。
【0018】前記濾過材又は捕集材の形態としては、好
ましくは平面状であるが、赤外線及び/又は近赤外線に
対して透過性を有し得る限り特に限定されるものではな
く、それらが使用される場面において適宜調節すればよ
い。
【0019】例えば、濾過材は、市販の1〜100ml
容のシリンジと、それに連結可能なフィルターホルダー
を用い、該ホルダーに当該濾過材を装着して好適に用い
ることもでき、かかる場合には、厚さ0.1〜1mm、
直径10〜50mmの円形のものが好ましい。また、濾
過材の孔径は、分析対象試料の通過を防止する観点か
ら、一般に0.001〜10μmが好ましく、0.01
〜1μmがより好ましい。
【0020】一方、捕集材としては、物体表面から分析
対象試料を拭き取り操作によって移しとることが可能で
ある形態のものが好ましく、厚さ0.05〜0.5mm
程度の濾紙状又は布状の形態に加工してあるものが望ま
しい。
【0021】また、サンプリング用材を用いて分析対象
試料を捕集又は濃縮捕集する場合、さらに高効率に当該
試料の捕集又は濃縮捕集を行い得るという観点から、捕
集剤及び/又は吸着剤を担持させて用いることが好まし
い。かかる捕集剤及び/又は吸着剤のサンプリング用材
への担持は、少なくとも分析対象試料の捕集又は濃縮捕
集に用いる部分に行えばよい。
【0022】捕集剤としては、分析対象試料をその溶解
作用又は接触付着作用等によって捕集でき、かつ当該試
料の分析に必要な波数域の赤外線及び/又は近赤外線に
対して透過性を有する特性を持つ流動パラフィン等が挙
げられる。
【0023】吸着剤としては、分析対象試料をその吸着
作用によって捕集できるアルミナやゼオライト等が挙げ
られる。吸着剤は通常赤外域に吸収をもっており、かか
る吸着剤を用いる際には分析対象試料の少なくとも検出
限界以上の量を捕集でき、かつ最低限の透過率を確保で
きるように担持量を調整するのが望ましい。
【0024】サンプリング用材は、赤外線及び/又は近
赤外線の波数域の全部又は一部に対して透過性を有する
材料からなり、該材料はかかる透過性を有するものであ
れば特に限定されるものではない。
【0025】かかる材料としては、汎用性の観点から、
好ましくはポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレ
ン、セルロース、KBr、NaCl、ダイヤモンド、Z
nSe、ZnS、Ge、Si、CaF2 、MgF2 、M
gAl2 3 、Al2 3 、SiO2 、繊維状Si
2 、ガラス及び繊維状ガラスからなる群より選ばれる
1種以上を挙げることができる。また、より好ましくは
ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ダイヤモ
ンド、ZnSe、ZnS、Si、SiO2 などである。
【0026】ポリテトラフルオロエチレンは、赤外波数
域の広い範囲でほとんど吸収がなく、多くの試料に利用
できるという観点から好ましい(図1)。しかしなが
ら、1300〜1100cm-1及び600〜500cm
-1の波数域に強い吸収があり、この波数域に重要な吸収
を有する試料の分析には好ましくない。また、ポリエチ
レンでは、3000〜2800cm-1、1500〜13
00cm-1及び720cm-1付近に吸収がある(図2)
が、ポリテトラフルオロエチレンに吸収のある1300
〜1100cm-1波数域には目立った吸収を示さない。
このように、ポリエチレンの透過波数域は、ポリテトラ
フルオロエチレンの透過波数域と相補的な関係にあり、
分析対象試料の吸収スペクトルによって、適宜選択する
のが望ましい。一方、セルロースは、市販の0.2mm
厚さの濾紙では3500〜2700cm-1及び1500
〜400cm-1に強い吸収があり、4000〜400c
-1における測定は極めて限定されるが、10000〜
4000cm-1の透過率は0.1〜0.5%の範囲にあ
り、MCTなどの高感度検出器を使用すれば近赤外域用
のサンプリング用材として使用できる。
【0027】ダイヤモンドは赤外波数域及び近赤外波数
域において透明であり(図3)、化学的に安定で、機械
的強度が強くサンプリング用材として好ましい。
【0028】また、ZnSeの使用に好適な波数域は1
0000〜500cm-1、ZnSでは10000〜70
0cm-1であり、赤外波数域の広い範囲でほとんど吸収
がなく(例えば図4)、多くの試料に利用できるという
観点から、これらZnSe及び/又はZnSがより好ま
しい。
【0029】また、かかる材料は、濾過操作によって微
粒子物質を捕集又は濃縮捕集するという観点から、多孔
性材料であることが好ましく、その際、細孔径を数nm
から数100μmの細孔径でその細孔分布を調節できる
ことが望ましい。
【0030】本発明のサンプリング用材は、前記各材料
に必要に応じて第三成分を加え、所望の透過性、機械的
強度及び多孔性を有するようにホットプレス及びこれに
続く溶出操作によって多孔性成型体に加工することで製
造することができ、平面状に加工する場合、同一又は異
なる各材料を平面状に加工したもので二層以上としても
よい。またさらに、その表面に対し、親水化等の処理を
行なってもよい。
【0031】前記第三成分としては、低い融点を持ち、
赤外線及び/又は近赤外線の吸収のない高分子の微粒子
及び水溶性の無機微粒子であればよく、例えば、前者に
はポリエチレン、後者にはKBrやNaCl等を挙げる
ことができる。
【0032】本発明の赤外/近赤外分光分析用試料のサ
ンプリング方法では、前記サンプリング用材を用いて捕
集又は濃縮捕集を行う。
【0033】液体及び/又は気体中の粒子状物質の捕集
又は濃縮捕集では、媒質である液体又は気体を除去し
て、効率的に分析対象試料を捕集又は濃縮捕集するとい
う観点から、前記濾過材を用いるのが好ましい。具体的
には、前記のように市販のシリンダーに当該濾過材を装
着したフィルターホルダーを連結し、手動により回分式
に、又は、濾過面からガス圧等により加圧し、若しくは
濾過面の反対側から減圧ポンプ等により吸引し、連続的
若しくは半連続的に捕集を行う。いずれの場合も、かか
る捕集の多数回のくり返し等により、分析対象試料を含
む多量の液体又は気体試料を濾過処理することで効率的
に分析対象試料を濾過材上に濃縮することができる。
【0034】液体中に溶解した物質の捕集又は濃縮捕集
では、例えば溶液を濾過材上に滴下し、溶媒を蒸発させ
て濾過材上に捕集すればよい。また、溶液濃度が低いと
きには相当量の溶液を濾過材上に滴下・蒸発して濃縮捕
集することもできる。
【0035】気体分子の捕集又は濃縮捕集では、例えば
吸着剤を担持させたサンプリング用材を気体試料捕集装
置に固定し、これに分析対象試料を含む気体を通して当
該試料をサンプリング用材上に吸着することによって行
なうことができる。例えば、気体分子がフェノール系化
合物である場合、吸着剤としてアルミナなどを用いるの
が好ましい。気体試料の捕集又は濃縮捕集では、所望に
より気体分子の拡散を防ぐための機構を付与することも
できる。具体的に、前記気体試料捕集装置としてはZn
Seなど赤外線/近赤外線透過材の窓、吸着剤を担持し
てなるサンプリング用材からなる捕集部、及び捕集部の
前後に付属される開閉弁からなるフロータイプの気体試
料捕集フローセルが考えられるが、捕集部に捕集した気
体試料の濃縮捕集率を高め、拡散を防ぐために捕集部を
冷却する機構を付与することができる。さらに、当該フ
ローセルにアルゴンなど非吸着性気体を流通させ、捕集
部を高温にする機構を付与することによって捕集材を洗
浄・再生する機構を付与することもできる。
【0036】物体表面に付着した物質の捕集又は濃縮捕
集では、前記捕集材を用いるのが好ましく、特に布状に
加工された捕集材を用いるのが好ましい。具体的には、
かかる布状の捕集材を用い、分析対象試料としての物体
表面上の付着物質を拭き取ることにより捕集を行うこと
ができる。従来の試料のサンプリングのように捕集材か
ら分析対象試料を分離回収する必要がなく、容易かつ効
率的に試料のサンプリングを行うことができる。
【0037】本発明の赤外/近赤外分光分析法は、前記
サンプリング方法を用いて試料のサンプリングを行う工
程を含むものであり、その他の条件等については特に限
定されるものではなく、従来の赤外/近赤外分光分析法
の条件等に従って分析対象試料の測定を行えばよい。
【0038】本発明のサンプリング方法によれば、捕集
又は濃縮捕集した後の分析対象試料を、サンプリング用
材から分離回収する必要がなく、サンプリング用材と共
に捕集した分析対象試料を直接赤外又は近赤外スペクト
ルの測定に供することができるため、容易に、しかも該
捕集試料のほぼ100%を分析に供することができる。
また、分析対象試料濃度が低くとも容易に検出限界以上
の濃度に該試料を濃縮することができる。それゆえ、本
発明の赤外/近赤外分光分析法は、容易かつ効率的に極
低濃度までの分析対象試料の分析を行なうことが可能で
ある。
【0039】本発明のサンプリング装置は、前記サンプ
リング用材が装着されてなることを特徴としており、前
記サンプリング方法の説明において記載したサンプリン
グ用材を用いる捕集又は濃縮捕集の態様の少なくとも1
つを行い得る。好ましい態様としては、分析対象試料若
しくは分析対象試料を含む液体及び/又は気体等の試料
(以下、試料という場合がある)を供給し得る装置の排
出口等が、若しくはかかる試料を貯留するための試料容
器の開口部が、ラインチューブ等を介してサンプリング
用材が装着されたフィルターホルダーの試料吸引口に連
結されており、かかるフィルターホルダーは、直接又は
間接に媒質回収容器に連結され、さらに媒質回収容器が
ラインチューブ等を介して吸引装置に連結された構造等
を有するものを挙げることができる。
【0040】かかるサンプリング装置には、さらに設定
された捕集時刻及び/又は捕集時間に合わせて分析対象
試料を捕集できる機能を付与することもできる。この場
合、例えば分析対象試料の捕集プログラムに合わせて、
自動的にサンプリング用材装着フィルターホルダーを脱
着・装着し、また、同時に自動的に連続捕集する機構を
付与することができる。自動捕集に際しては、分析対象
試料、分析対象試料の捕集時刻、捕集時間等にかかわる
データを何らかの方法で赤外/近赤外スペクトル分光計
に転送し、測定した分析対象試料の赤外/近赤外スペク
トルに添付して記録できる機構を有することが望まし
い。
【0041】前記試料容器は、サンプリング装置自身に
必須のものでなく、単に試料を貯留及び/又は供給し得
るものであればよく、分析対象試料の製造工程において
用いる反応容器等が挙げられるが、特に限定されるもの
ではない。また、必ずしも容器である必要はなく、フィ
ルターホルダーの試料吸引口に適切に連結でき、当該試
料を供給し得るものであれば、かかる試料の製造装置等
に由来する試料排出口であってもよい。
【0042】前記の例は、試料を吸引装置を用いて吸引
濾過する場合を示すものであるが、試料容器が、例えば
ポンプや、ガスによる加圧機構等、試料供給を可能にし
得る機構を具備するものであれば、吸引装置は必ずしも
必要ではない。
【0043】フィルターホルダーは、サンプリング用材
を装着・保持・脱着できるものであれば特に限定される
ものではなく、例えば、サンプリング用材と一体となっ
ており、かかるサンプリング用材の交換が不可能なタイ
プのものや、サンプリング用材の交換が可能なタイプの
ものを挙げることができる。材質も特に限定されるもの
ではなく、分析対象試料の媒質の性状により適宜選択す
ればよい。
【0044】尚、フィルターホルダーは、必ずしもサン
プリング装置中でホルダーとして分離独立した構造を有
する必要はなく、サンプリング装置中、サンプリング用
材を装着・保持・脱着する機能を発揮するために必要と
される構造を少なくとも有する部分であればよい。
【0045】媒質回収容器とは、濾過材により分析対象
試料が除去された後の媒質を回収するための容器であ
り、シリンジ、ガラス瓶等を挙げることができるが、特
に限定されるものではない。また、吸引装置とは、分析
対象試料を吸引濾過するのに必要な程度の吸引力を発生
し得るものであればよく、例えば、減圧ポンプ等が挙げ
られるが、特に限定されるものではない。
【0046】また、本発明のサンプリング装置として
は、サンプリング用材を、その上に分析対象試料を捕集
等したままの状態で、簡便に脱着でき、かかるサンプリ
ング用材は、次いで当該試料の測定を行なうために赤外
/近赤外分光分析装置に簡便に装着できる構造を有する
ものが好ましい。
【0047】本発明の赤外/近赤外分光分析装置は、例
えば試料サンプリング部として前記サンプリング装置を
具備してなり、その他、赤外及び/又は近赤外光源部、
赤外及び/又は近赤外分光部、並びに検出部から構成さ
れる。さらに、所望によりデータ処理部を付加すること
もできる。
【0048】図5に本発明の赤外/近赤外分光分析装置
の一態様として、フーリエ変換赤外分光分析装置(FT
−IR)の概略図を示す。
【0049】光源部からの光は、反射鏡M1によってビ
ームスプリッターBSを経て二分され、1つは反射して
固定鏡FMに、他は透過して可動鏡MMによって反射さ
れて、再びビームスプリッターBSで合一するが、ここ
で固定鏡FMと可動鏡MMからの2つの反射光は光路差
によって干渉がおこる。干渉された光は反射鏡M2を経
て試料保持位置にあるサンプリング用材上の分析用試料
に当たり、試料を透過した光が検出部で検出され、光路
差に対応した位置に透過光量の測定値がデジタル値とし
て検出・記憶される。ここで、光路差を横軸とし、透過
光量を縦軸とする干渉グラムが得られる。この干渉グラ
ムをフーリエ変換すると横軸を波数とし、縦軸を光量と
するシングルビームスペクトルが得られる。試料保持位
置に試料を置かずに測定したシングルビームスペクトル
(透過光量:I0 )を、試料のシングルビームスペクト
ル(透過光量:I)で割ると透過スペクトル(I/
0 )が得られる。透過スペクトルの縦軸を吸光度〔−
log(I/I0 )〕に変換すると吸光度表示スペクト
ルが得られる。FT−IR分光計では測光精度が高いこ
と、波数精度が高いこと、また、一回測定の所要時間が
短く、繰り返し測定によってS/N比を容易に向上でき
ることなどの特徴があることから、縦軸及び横軸精度の
極めて高い赤外/近赤外スペクトルを得ることができ
る。
【0050】赤外及び/又は近赤外光源部は、SiC赤
外発光光源及び/又はハロゲンタングステン白色光発光
光源からなり、赤外及び/又は近赤外分光部は通常の赤
外及び/又は近赤外分光計と同様に、分析対象試料の赤
外及び/又は近赤外スペクトルを測定する機構を備えて
いる。
【0051】試料サンプリング部は、試料室と一体とな
っていても、別途設けられていてもよい。例えば、一体
となっている場合(図5)は、フィルターホルダーが赤
外線/近赤外線透過性のフィルター保持板及び窓材から
なり、且つ分析対象試料を含む媒質がスペクトル測定に
障害になるほどに赤外線/近赤外線を吸収しなければ、
分光計の試料保持位置に固定されているフィルダーホル
ダーに直接サンプリング用材を装着し、若しくはサンプ
リング用材を装着したフィルターホルダーを固定し、当
該サンプリング用材上に分析対象試料を捕集又は濃縮捕
集して測定することができる。この際、サンプリング用
材の洗浄機構を付与するか、あるいはサンプリング用材
を交換する機構を付与することによって、自動的に繰り
返し測定することもできる。フィルターホルダーの保持
板及び窓材並びに試料を含む媒質がスペクトル測定に障
害になるほどの吸収を持つ場合には、フィルターホルダ
ーを含む分析試料捕集系を分光計の測定光学系を外すよ
うに設置する必要がある。この場合、手動で試料サンプ
リング後にサンプリング用材を脱着し、当該サンプリン
グ用材をスペクトル測定位置に移して測定することもで
きるが、自動交換機構によって試料サンプリング後にサ
ンプリング用材を脱着し、当該サンプリング用材をスペ
クトル測定位置に移して測定し、同時に、新しいサンプ
リング用材を装着する機構を付与することによって自動
サンプリング及び自動測定を行うこともできる。また、
サンプリング用材若しくはサンプリング用材を装着した
フィルターホルダーの自動交換機構により、任意の時間
間隔で繰り返し試料を捕集して、測定できる機構を具備
してもよい。このように、サンプリング用材若しくはサ
ンプリング用材を装着したフィルターホルダーの交換を
自動により行う場合には、試料サンプリング部は、少な
くとも試料吸引口、サンプリング用材若しくはサンプリ
ング用材を装着したフィルターホルダーの交換部及び吸
引装置から構成され、そのサンプリングのタイミングは
捕集プログラムに合わせて自動的であり、且つサンプリ
ング終了に合わせてスペクトル測定を行うように指示す
る機構を有するものが好ましい。
【0052】他方、試料サンプリング部が別途設けられ
ている場合には、試料サンプリング部にて分析対象試料
を捕集又は濃縮捕集し、次いで該試料が捕集されたサン
プリング用材を分光計の試料保持位置に固定し測定する
ことができる。
【0053】検出部では、DTGS又はMCT赤外/近
赤外検出器などにより分析対象試料からの透過光を検出
する。データ処理部は測定したスペクトルから試料に含
まれる物質を同定するために、必要物質のスペクトルデ
ータベースを保持し、スペクトル比較等による物質同定
などの分析同定及び/又は定量分析機能を有するものが
好ましい。
【0054】本発明によれば、容易に、しかも効率的に
分析対象試料のサンプリングを行うことができるので、
例えば、赤外/近赤外スペクトルの同時測定も可能であ
り、小型で持ち運びの可能な高性能FT−IR/NIR
分光計を用いるような場合には、所望の場所で充分な分
析を実施することが可能となる。従来の試料サンプリン
グの方法では、このようなことは不可能であり、本発明
により分析対象試料のサンプリングを行うことで初めて
成し得ることである。
【0055】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。尚、%は重量%を示す。
【0056】実施例1:PTFEフィルター上に捕集し
たポリスチレンラテックスの赤外スペクトル測定 濃度0.001、0.01及び0.1%のポリスチレン
ラテックス〔品名:LB−3(粒径0.3μm)、Si
gma社製〕水性液の3μlを親水化テフロン(登録商
標)フィルター〔品名:H010A025A(孔径0.
1μm、直径25mm)、ADVANTEC社製〕上に
滴下し、液膜として展開し乾燥することにより捕集し、
その赤外スペクトルをFT−IR赤外分光計Magna
760(ニコレー社製)を用いて通常条件(分解能:4
cm-1、スキャン回数:50回)で測定した。濃度0.
1%の場合の赤外スペクトルを図6に示す。図中、30
26、3061及び3083cm-1バンドがポリスチレ
ンラテックスの吸収である。この3吸収のスペクトル波
数域を拡大したスペクトルが図7である。
【0057】3026cm-1バンドの吸光度の濃度依存
性を調べた結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】この結果によれば、吸収の検出限界は吸光
度0.00033以下である。濃度0.01%の水性液
3μl中に含まれるポリスチレンラテックス量はほぼ
0.3μgにあたる。この測定結果は、試料の吸収バン
ドの強さに依存するが、テフロンフィルター上に捕集さ
れる微粒子物質の量が0.1μg以上であれば定量分析
可能であることを示唆している。
【0060】本実施例は、本発明のサンプリング方法に
よれば、液体中に分散した微粒子物質の赤外スペクトル
を容易に測定できることを実証している。
【0061】実施例2:濃度0.03%の水性液中ポリ
スチレンラテックスの濃縮捕集測定 親水化テフロンフィルターを装着したフィルターホルダ
ー(品名:KS−25、ADVANTEC社製)をルア
ーロック式シリンジ〔(株)トップ製〕に連結したもの
を用いて、粒径0.3μmのポリスチレンラテックス
〔品名:LB−3(粒径0.3μm)、Sigma社
製〕の0.03%濃度水性液の10mlからポリスチレ
ンラテックスを濃縮捕集し、かかるポリスチレンラテッ
クスの赤外スペクトルを実施例1と同様に測定した。捕
集したポリスチレンラテックスの赤外スペクトルを図8
に示した。
【0062】スペクトル中波数を入れた1452、14
93、1601、2850、2923、3026、30
60及び3082cm-1の吸収はポリスチレンラテック
スによるものである。これらの吸収は、それぞれ、充分
にS/N比が高く、明瞭である。この結果は本発明によ
って液体中に分散した微粒子物質を容易に濃縮捕集し
て、その赤外スペクトルを測定できることを実証してい
る。
【0063】実施例3:濃度0.001%の水性液中の
ポリスチレンラテックスの濃縮捕集効果 実施例2で用いたポリスチレンラテックスの、0.00
1%濃度水性液の2、10及び50ml採取量のもの
を、それぞれ実施例2と同様にシリンジを用いて親水化
テフロンフィルター上に濃縮捕集し、捕集ポリスチレン
ラテックスの赤外スペクトルを実施例1と同様に測定し
た。ポリスチレンラテックスによる3026cm-1バン
ドについて、その吸収強度の採取量依存性を求めた。そ
の結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】表2から明らかなように、ポリスチレンラ
テックス吸収の吸光度は、その水性液の採取量にほぼ比
例して増大する。本発明のサンプリング方法によって水
性液中に低濃度で分散した微粒子物質を容易に濃縮捕集
し、赤外分光分析法によって分析できることを実証して
いる。
【0066】実施例4:濃度0.1%で分散したカーボ
キシレートポリスチレンラテックスの赤外スペクトル測
定 0.1%の濃度のカーボキシレートポリスチレンラテッ
クス〔品名:CLB−4(粒径0.4μm)、Sigm
a社製〕水性液の1mlから実施例2と同様にして該ラ
テックスを親水化テフロンフィルター上に濃縮捕集し赤
外スペクトルを実施例1と同様に測定した。得られたス
ペクトルを図9に示す。これを図8のポリスチレンラテ
ックスのスペクトルと比較すると、図9のスペクトルに
は新たに1699cm-1に吸収が観測される。この16
99cm-1バンドはC=O基に由来するものであり、本
実施例で用いたラテックスはC=O基を含むことが示さ
れている。本発明の試料サンプリング方法を用いて得た
スペクトルによって、分析対象試料の化学構造を識別で
きることを示している。
【0067】実施例5:ポリエチレンフィルター上に捕
集したポリスチレンのスペクトル測定 ポリエチレンフィルター(孔径:0.2μm、サンプル
品、MILLIPORE社製)上にポリスチレン(ゼネ
ラルサイエンス社製)の濃度5%のトルエン溶液の約5
μlを滴下し、均一に展開し乾燥することによりポリス
チレンを捕集し、赤外スペクトルを実施例1と同様にし
て測定した。かかるポリスチレンの赤外スペクトルを図
10に示す。図2によると2000cm-1以下の波数域
においては20%以上の透過率があり、ポリエチレンフ
ィルターを用いてもS/N比の良好なスペクトルが得ら
れると思われるが、3000cm-1付近では透過率は低
く1〜2%である。しかしながら、図10において30
26、3060及び3082cm-1にS/N比の十分な
ポリスチレンの吸収が認められる。この結果はポリエチ
レンもフィルター用材として優れていることを実証して
いる。さらに本発明を用いれば、溶液中の溶質をサンプ
リング用材上に捕集し、赤外スペクトルを簡易に測定で
きることを示している。
【0068】実施例6:ジオクチルオルソフタレート
(DOP)エーロゾルの濃縮捕集測定 本実施例で用いたサンプリング装置の概略を図11に示
す。以下、かかる装置を図11に基づいて説明する。
【0069】分析対象試料を含む試料2を試料容器3に
入れ、超音波噴霧装置1(品名:NE−U11B、オム
ロン製)に装着する。次いで試料容器3に、エーロゾル
供給チューブ4を連結する。さらにチュープ4のエーロ
ゾル吹き出し口付近に試料吸引口6を置く。超音波噴霧
装置1は、一定出力で試料2のエーロゾル5を発生させ
ることができ、発生したエーロゾル5はエーロゾル供給
チューブ4を介して試料吸引口6に導かれる。エーロゾ
ル5は、三方コック10を介してシリコンチューブ9に
より気体試料採取シリンジ8(200ml容ルアーロッ
ク式ガラス製シリンジ、ジーエルサイエンス製)に連結
された減圧ポンプ11により発生する吸引力により吸引
されてフイルターホルダー7(ステンレス製フィルター
ホルダー)に入り、フイルターホルダー7内に装着され
ている濾過材(親水化テフロンフィルター)を通過し、
その際、分析対象試料が濾過材上に捕集される。
【0070】本実施例では、試料2として水−エタノー
ル混合溶液(エタノール10容量%)に0.1%のDO
Pを溶解したものを用い、試料容器3として丸底フラス
コを用いた。超音波噴霧装置1により、一定出力でDO
Pエーロゾルを発生させ、テフロンフィルター上にDO
Pを捕集した。それぞれ、フィルターを交換して30
秒、1分、2分、および10分間の濃縮捕集を行った。
DOPを捕集後、その赤外スペクトルを実施例1と同様
に測定した。
【0071】図12及び図13に、それぞれ30秒間お
よび10分間捕集した場合のDOPの赤外スペクトルを
示す。ここに波数を入れた吸収ピークはDOPによる吸
収である。
【0072】さらに、これらDOPの吸収の吸収強度を
捕集時間30秒および10分の間で比較すると、172
6cm-1バンドの吸収強度は、前者では0.0234
(吸光度)であるのに対して後者では0.238(吸光
度)であり、捕集時間の長さに対応して吸収強度が増大
している。本実施例は、本発明によれば、気体中のエー
ロゾルを捕集し、また濃縮捕集して、その赤外スペクト
ルを容易に測定でき、気体中のエーロゾルを分析できる
ことを示している。
【0073】実施例7:タバコの煙中の微粒子物質の赤
外スペクトル測定 直径25mmのテフロンフィルター(品名:T010A
025A、ADVANTEC社製)をフィルターホルダ
ーに装着し、これを容量50mlのルアーロック式シリ
ンジに固定した。一方、タバコ(Kent)の煙をポリ
袋に採取し、ポリ袋に採集したタバコの煙を含む空気5
0mlをフィルターホルダーの吸引口を通してタバコ煙
中の微粒子物質をテフロンフィルターに捕集した。次い
で赤外スペクトルを実施例1と同様に測定した。捕集し
たタバコの煙エーロゾル由来の微粒子物質の赤外スペク
トルを図14に示す。
【0074】この赤外スペクトルの上で波数を入れた吸
収ピークはテフロンフィルターに捕集されたタバコの煙
エーロゾル中の微粒子物質に帰属される。このスペクト
ルはエーロゾルの主成分は、2800〜3000cm-1
波数域のCH伸縮振動の吸収の存在によって、有機化合
物であることを示している。このスペクトルから捕集し
たタバコ煙成分を即座に分析することは困難であるが、
ここに得られたスペクトルは十分にS/N比が高く、タ
バコ煙中の成分の分析に十分に供し得るものである。
【0075】この実施例は、本発明により、大気中に存
在するエーロゾル中の物質を捕集又は濃縮捕集し、簡易
に分析を行えることを実証している。
【0076】実施例8:みかん皮の油脂成分の赤外スペ
クトル測定 みかんの皮を挟んでその油脂成分を飛散させ、飛散する
油状微粒状物質を直接親水化テフロンフィルター上に捕
集し、その赤外スペクトルを実施例1と同様に測定し
た。そのスペクトルを図15に示す。このスペクトルの
各吸収は明瞭であり、本発明によれば極めて簡易に測定
でき、簡易分析法として利用できることを実証してい
る。
【0077】実施例9:柿の皮に付着した微量の白色微
粉の赤外スペクトル測定 橙色に着色した柿の皮にごく僅かに付着する白色微粉を
親水化テフロンフィルターに拭き取り、該テフロンフィ
ルター上に捕集した白色微粉の赤外スペクトルを実施例
1と同様に測定した。そのスペクトルを図16に示す。
波数を入れた吸収が捕集した白色微粉の吸収である。こ
れらの吸収は長鎖パラフィンのスペクトルによく似てお
り、さらに、C=O基による吸収が観測されることか
ら、柿の皮上に僅かに付着する白色微粉は長鎖脂肪酸で
ある可能性を示唆している。
【0078】上記の実施例8および9は、本発明によれ
ば果実あるいは農産物から分析しようとする物質をテフ
ロンフィルターなどに捕集し、その赤外スペクトルを高
感度に測定でき、かかるスペクトルによってその分析が
可能であることを実例で示している。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、赤外/近赤外分光分析
用試料としての粒子状物質、溶質、気体分子等を捕集又
は濃縮捕集した後に、用いた濾過材又は捕集材からの試
料の分離回収を行う必要がなく、それゆえ試料のサンプ
リング操作を容易に、しかも効率的に行なうことがで
き、試料捕集後、当該試料を直ちに赤外又は近赤外スペ
クトルの測定に供することができる。また、分析対象試
料濃度が低くとも容易に検出限界以上の濃度に試料を濃
縮することができ、極低濃度までの試料の赤外/近赤外
分光分析が可能となる。
【0080】また、赤外/近赤外スペクトルの同時測定
も可能であり、小型で持ち運びの可能な高性能FT−I
R/NIR分光計を用いるような場合には、所望の場所
で充分な分析を実施することが可能である。
【0081】さらに、本発明は、微粒子物質、液中の浮
遊微粒子物質、気体中の浮遊微粒子物質、液中に溶解し
た物質、物体表面に付着した微量物質等実試料の赤外/
近赤外スペクトル法による分析に革新的な普及拡大をも
たらす可能性がある。このような分析は化学工業、環境
保全、微生物利用産業、酪農業をはじめとする諸産業に
おいて必要とされており、しかも、工業製品および農業
生産物の高品質化は今後ますます重要な課題となり、簡
易で高精度な分析法が求められる傾向にあるため、本発
明は、かかる分野において大きく貢献し得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、親水化テフロンフィルター(親水性P
TFEメンブランフィルター、品名:H010A015
A、ADVANTEC社製)の赤外スペクトルを示す図
である。
【図2】図2は、ポリエチレンフィルター(サンプル
品、MILLIPORE社製)の赤外スペクトルを示す
図である。
【図3】図3は、ダイヤモンド板(ATRプリズム板、
SENSIR社製)の赤外スペクトルを示す図である。
【図4】図4は、ZnSeディスク(2mm厚さ、SP
ECTRA TEC社製)の赤外スペクトルを示す図で
ある。
【図5】図5は、本発明の赤外/近赤外分光分析装置の
一例を示す概略図である。
【図6】図6は、濃度0.1%の水性液3μlから親水
化テフロンフィルター上に捕集したポリスチレンラテッ
クスの赤外スペクトルを示す図である。
【図7】図7は、図6のポリスチレン吸収波数域の拡大
図である。
【図8】図8は、濃度0.03%の水性液10mlから
親水化テフロンフィルター上にの濃縮捕集したポリスチ
レンラテックスの赤外スペクトルを示す図である。
【図9】図9は、濃度0.1%の水性液1mlから親水
化テフロンフィルター上に濃縮捕集したカーボキシレー
トポリスチレンラテックスの赤外スペクトルを示す図で
ある。
【図10】図10は、濃度5%のトルエン溶液約5μl
からポリエチレンフィルター上に捕集したポリスチレン
の赤外スペクトルを示す図である。
【図11】図11は、本発明のサンプリング装置の一例
を示す概略図である。
【図12】図12は、親水化テフロンフィルター上に3
0秒間の濃縮捕集を行ったDOPの赤外スペクトルを示
す図である。
【図13】図13は、親水化テフロンフィルター上に1
0分間の濃縮捕集を行ったDOPの赤外スペクトルを示
す図である。
【図14】図14は、テフロンフィルター上に捕集した
タバコの煙エーロゾル由来の微粒子物質の赤外スペクト
ルを示す図である。
【図15】図15は、テフロンフィルター上に捕集した
みかん皮の油脂成分の赤外スペクトルを示す図である。
【図16】図16は、親水化テフロンフィルター上に捕
集した柿の皮に付着した白色微粉の赤外スペクトルを示
す図である。
【符号の説明】 M1 反射鏡 BS ビームスプリッター FM 固定鏡 MM 可動鏡 M2 反射鏡 1 超音波噴霧装置 2 試料 3 試料容器 4 エーロゾル供給チューブ 5 エーロゾル 6 試料吸引口 7 フィルターホルダー 8 気体試料採取シリンジ 9 シリコンチューブ 10 三方コック 11 減圧ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // G01N 21/59 G01N 21/59 D (72)発明者 畑 美紀子 京都府京都市下京区中堂寺南町17番地 株 式会社関西新技術研究所内 Fターム(参考) 2G059 AA01 BB01 BB04 CC19 DD01 DD04 DD12 EE01 EE09 EE12 GG10 HH01 JJ13 JJ22 KK01 MM09 MM10

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤外線及び/又は近赤外線の波数域の全
    部又は一部に対して透過性を有する材料からなる、濾過
    材又は捕集材である、赤外/近赤外分光分析用試料のサ
    ンプリング用材。
  2. 【請求項2】 該材料が、捕集剤及び/又は吸着剤を担
    持してなる、請求項1記載のサンプリング用材。
  3. 【請求項3】 液体及び/又は気体中の粒子状物質、気
    体分子、液体中に溶解した物質及び物体表面に付着した
    物質からなる群より選ばれる1種以上の物質の捕集又は
    濃縮捕集を可能とする、請求項1又は2記載のサンプリ
    ング用材。
  4. 【請求項4】 前記粒子状物質の平均粒子径が0.00
    1〜100μmである、請求項3記載のサンプリング用
    材。
  5. 【請求項5】 該材料が、ポリテトラフルオロエチレ
    ン、ポリエチレン、セルロース、KBr、NaCl、ダ
    イヤモンド、ZnSe、ZnS、Ge、Si、Ca
    2 、MgF2 、MgAl2 3 、Al2 3 、SiO
    2 、繊維状SiO2、ガラス及び繊維状ガラスからなる
    群より選ばれる1種以上である、請求項1〜4いずれか
    記載のサンプリング用材。
  6. 【請求項6】 該材料が、多孔性材料である、請求項1
    〜5いずれか記載のサンプリング用材。
  7. 【請求項7】 液体及び/又は気体中の粒子状物質、気
    体分子、液体中に溶解した物質及び物体表面に付着した
    物質からなる群より選ばれる1種以上の物質を、請求項
    1〜6いずれか記載のサンプリング用材を用いて捕集又
    は濃縮捕集する、赤外/近赤外分光分析用試料のサンプ
    リング方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のサンプリング方法を用い
    て試料のサンプリングを行なう工程を含む、赤外/近赤
    外分光分析法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6いずれか記載のサンプリン
    グ用材が装着されてなる、赤外/近赤外分光分析用試料
    のサンプリング装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載のサンプリング装置を具
    備してなり、該サンプリング装置により捕集又は濃縮捕
    集した試料の赤外/近赤外分光分析又はその自動分析を
    可能としたことを特徴とする赤外/近赤外分光分析装
    置。
  11. 【請求項11】 請求項9記載のサンプリング装置内に
    装着されたサンプリング用材の洗浄機構及び/又はサン
    プリング用材の交換機構をさらに具備してなる、請求項
    10記載の赤外/近赤外分光分析装置。
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