JP2001295847A - 転動装置 - Google Patents

転動装置

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JP2001295847A
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Koichi Yamamoto
幸一 山本
Susumu Tanaka
進 田中
Manabu Ohori
學 大堀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動,衝撃荷重,あるいは高速連続運転に対
する耐久性に優れた安価な転動装置を提供する。 【解決手段】 玉軸受1は、外輪2と、内輪3と、外輪
2と内輪3との間に転動自在に配設された複数の玉4
と、を備えている。玉4をCr,Mo,及びVの総含有
量Mが5重量%以上である鋼で構成し、焼入れ後にAc1
点以下の温度で浸炭処理することにより、その表面に硬
化層4aを設けた。また、心部4bの硬さをHRC57
以上とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転がり軸受,ボー
ルねじ,リニアガイド,直動ベアリング等の転動装置に
係り、特に、耐久性に優れる転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、転がり軸受等の転動装置におい
ては、該転動装置を構成する外方部材,内方部材と転動
体との間で転がり運動が行われ、前記外方部材,前記内
方部材,及び前記転動体が繰り返し接触応力を受けるた
め、これらの部材の材料には硬い、負荷に耐える、転が
り疲労寿命が長い、滑りに対する耐摩耗性が良好である
等の性質が要求される。
【0003】これらの部材の材料には、軸受鋼としては
日本工業規格のSUJ2、ステンレス鋼としては日本工
業規格のSUS440C又は13Cr系のマルテンサイ
ト系ステンレス鋼、そして肌焼鋼としては日本工業規格
のSCR420相当の鋼を焼入れあるいは浸炭又は浸炭
窒化処理したもの等がよく使用されている。そして、こ
れらの材料は、必要とされる物性(転がり疲労寿命等)
を得るために焼入れ・焼戻しが施され、硬さをHRC5
8〜64としたものが使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】転がり軸受のうちハー
ドディスクドライブ装置(以下、HDDと記す)、ビデ
オテープレコーダ(VTR)、ディジタルオーディオテ
ープレコーダ(DAT)等の情報機器やファンモータ等
に使用される玉軸受においては、トルクや音響,騒音の
低減に対する要求が非常に厳しいため、極めて高精度に
仕上げ加工されている。
【0005】しかしながら、近年、上記のような機器は
小型化により可搬性が高まったことで、様々な問題点が
新たに浮上してきている。例えば、機器の小型化に伴っ
て運搬中に落下や振動にさらされる機会が増えたこと
で、該機器に組み込まれた玉軸受がわずかではあるが損
傷を受け、該機器の性能を劣化させる原因となり得るこ
とが明らかになってきたのである。つまり、機器に衝撃
荷重が加えられた場合、特に小型の玉軸受においては軌
道輪と転動体との接触面積が小さいため、比較的小さな
衝撃荷重でも軌道面が永久変形し、音響劣化や回転トル
クむらが生じ、玉軸受を組み込んだ機器の性能が劣化す
るのである。
【0006】この問題は、鋼中に内在する残留オーステ
ナイト等の軟質相の降伏応力が低いために発生すると考
えられるため、SUJ2であれば、焼入れ後にサブゼロ
処理するか、あるいは220〜240℃程度の比較的高
温で焼戻しするなどして、玉軸受に必要な硬さを保持し
ながら残留オーステナイト量を低減して、衝撃荷重によ
る音響劣化や回転トルクむらを防止するような対策が施
されている。しかしながら、機器の運搬時や動作時の振
動で生じるフレッチングについても、耐久性や信頼性の
点から大きく問題視されており、さらなる対策が求めら
れるようになってきている。
【0007】さらに、リニアガイドやボールねじ等の転
動装置においても例外ではない。このような転動装置は
構造上、玉軸受に比較してすべりが生じ易く、さらに微
小揺動又は超低速で使用されるケースが多いため、転動
体と外方部材,内方部材との間の潤滑状態が悪くなりや
すい傾向にある。このため、摩耗の進行が早く転動体と
軌道面とのすきまが大きくなって、結果として、早期に
予圧が抜けて機械の精密な位置決めができなくなる場合
があるという問題もある。
【0008】これらの問題点を解決するための方法とし
て、近年では、セラミックス材料の適用が進んでいる。
セラミックス材料は鋼に比較して軽くて非常に高硬度で
あり、転がり軸受が比較的高温,高速で使用された場合
においても、寸法変化や摩耗あるいは焼付き等が生じ難
い。さらに、鋼に比べて耐食性が優れる等の利点がある
ため、工作機械用や腐食環境用の転がり軸受に好適に使
用されている。
【0009】しかしながら、セラミックス材料は素材費
及び加工費が非常に高価であることと、靱性が鋼に比べ
て著しく劣ることから、その適用に限界があった。そこ
で最近では、特に玉軸受において、転動体のみがセラミ
ックス材料で構成され、外内輪は従来の軸受鋼で構成さ
れるハイブリッド軸受が採用されるケースが多くなって
きている。しかし、ハイブリット軸受は鋼とセラミック
スとの物性の違いから、予圧抜けによる剛性の低下や衝
撃荷重による音響劣化等の問題が生じる恐れがあり、特
に回転精度が要求される情報機器用軸受に適用すること
には問題が多かった。
【0010】また、上記問題点を解決するための別の方
法として、転動装置を構成する部材の材料である鋼の表
面改質があげられ、表面改質の方法としてはPVD,C
VD,あるいはめっき等の被覆法がある。しかし、これ
らの方法により得られた硬質被膜は母材との密着性が十
分ではなく、高い剪断応力がかかる転動部材としては問
題がある場合が多かった。また、母材の硬さが剪断応力
に耐えるには不十分であることや複雑な形状の部材へ適
用することに限界があること等の問題もあり、特に高い
信頼性が要求される情報機器用玉軸受に適用することは
非常に難しかった。
【0011】また、前記表面改質の方法としては、浸炭
あるいは浸炭窒化等の方法もある。これらの方法は、被
処理物をRXガス+エンリッチガス中に加熱保持するこ
とによって、炭素あるいは炭素と窒素とを同時に表面か
ら拡散浸透させて表面を硬化させる方法である。これに
より得られた表面層には炭化物が分散していて、耐フレ
ッチング性,耐焼付性等に一定の効果がある。
【0012】しかし、浸炭処理は一般にAc1点以上の温
度で行われるため、熱処理による変形が大きくなる傾向
があり、その後の仕上げ加工に多くの時間を要したり、
場合によっては不良率が大きくなるという恐れがある。
また、浸炭あるいは浸炭窒化等の方法は、一般には、被
処理層に含まれる残留オーステナイトの有効利用を図る
ものが主であるので、転がり軸受に適用された場合に
は、先に述べた衝撃荷重による音響劣化が問題となる。
【0013】そこで本発明は、上記のような従来の転動
装置の有する問題点を解決し、振動,衝撃荷重,あるい
は高速連続運転に対する耐久性に優れた安価な転動装置
を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち本発明
の転動装置は、外方部材と、内方部材と、前記外方部材
と前記内方部材との間に転動自在に配設された複数の転
動体と、を備えた転動装置において、前記外方部材,前
記内方部材,及び前記転動体のうち少なくとも一つが、
Cr,Mo,及びVの総含有量が5重量%以上である鋼
で構成され、焼入れ後のAc1点以下の温度での浸炭処理
により形成した硬化層を表面に備えるとともに、心部の
硬さがHRC57以上であることを特徴とする。
【0015】このような構成の転動装置であれば、振
動,衝撃荷重,あるいは高速連続運転に対する耐久性に
優れている。なお、本発明における前記外方部材とは、
転動装置が転がり軸受の場合には外輪を意味し、同じく
ボールねじの場合にはボールねじナット、同じくリニア
ガイドの場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場
合には外筒をそれぞれ意味する。また、本発明における
前記内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内
輪あるいは軸体を意味し、同じくボールねじの場合には
ねじ軸、同じくリニアガイドの場合には案内レール、同
じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。
【0016】前記外方部材,前記内方部材,及び前記転
動体のうち少なくとも一つを構成する前記鋼は、Cr,
Mo,及びVの総含有量が5重量%以上である必要があ
り、このような鋼としては例えばマルテンサイト系ステ
ンレス鋼,合金工具鋼,高速度鋼等があげられる。C
r,Mo,及びVが前記鋼中に存在すると、前記浸炭処
理により表面に硬質且つ微細な炭化物(M23C6,M
7C3,Mo2C,VC等)が析出するので、前記転動
装置を構成する部材(前記外方部材,前記内方部材,及
び前記転動体)の表面の硬さが向上することに加えて、
耐フレッチング性,耐摩耗性等の摺動性が著しく向上す
る。このような摺動性を十分に得るためには、前記鋼中
の前記総含有量が5重量%以上である必要があり、ま
た、前記硬化層の硬さはHRC64以上であることが好
ましく、HRC67以上であることがより好ましい。
【0017】また、前記硬化層の内側の前記心部におい
てはCr,Mo,及びVが二次硬化に作用し、前記心部
の軟化を抑制する。前記転動装置を構成する部材が接触
応力に十分に耐えるためには、前記心部の硬さはHRC
57以上であることが必要である。さらに、本発明にお
ける前記浸炭処理はAc1点以下の温度で実施されるた
め、Ac1点以上で実施される通常の浸炭処理とは異な
り、熱処理による変形が極めて少ないのは勿論のこと、
残留オーステナイトが生成しないばかりか、浸炭処理前
に存在していた残留オーステナイトをほぼ完全に消滅さ
せることができる。よって、前記転動装置を構成する部
材の耐衝撃性が向上する。
【0018】ここで、浸炭処理方法について説明する。
Cr,Mo,V等は浸炭性を阻害する作用を有するた
め、通常のRXガスを用いた浸炭処理では浸炭むら等の
問題が発生する恐れがある。このような場合にはプラズ
マ浸炭等の方法が用いられるのが一般的であるが、この
ような放電現象を利用するものの場合には、量産性に欠
けることに加えて、複雑な形状を有する部材に対して均
一な処理層を形成させることが難しいという問題点があ
る。
【0019】そこで、本発明における前記浸炭処理とし
ては、フッ素系ガスによるフッ化処理を行なうプロセス
と浸炭性ガスによる浸炭処理を行なうプロセスとからな
る浸炭処理方法が好ましく採用される。このような浸炭
処理方法としては、例えば、大同ほくさん株式会社のパ
イオナイトプロセス(商品名)等があげられる。この浸
炭処理方法においては、200〜400℃程度でNF3
(三フッ化窒素)等のフッ素系ガスによるフッ化処理を
浸炭処理の前処理として行うことにより、浸炭反応を阻
害するCr酸化物層が除去され、表面に極薄いフッ化物
層が形成されて、表面が極めて活性化される。そして、
その後の浸炭処理によって安定的に均一な硬化層が形成
されることが可能となる。なお、浸炭性ガスとしてはR
Xガスが主に用いられるが、スーティング等の観点か
ら、エチレンやアセチレン等の不飽和炭化水素ガスを用
いて、1torr以下の真空下あるいは減圧下で浸炭処
理を行なうことが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明に係る転動装置の実施の形
態を、図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係
る転動装置の一実施形態である玉軸受1を玉4の一部分
を破断して示した縦断面図である。玉軸受1(日本精工
株式会社製、JIS呼び番号:695)は、外輪2と、
内輪3と、複数の玉4と、保持器5とを備えている。
【0021】玉4はマルテンサイト系ステンレス鋼,合
金工具鋼,高速度鋼等の鋼から構成されていて、該鋼は
Cr,Mo,及びVを合わせて5重量%以上含有してい
る。また、玉4は、焼入れ後にAc1点以下の温度で浸炭
処理することにより形成した硬化層4aを表面に備える
とともに、硬化層4aの内側の心部4bの硬さはHRC
57以上である。なお、前記浸炭処理としては、例え
ば、大同ほくさん株式会社のパイオナイトプロセス等が
好適である。
【0022】このような玉軸受1は、前記浸炭処理によ
り玉4の表面に硬化層4a(高硬度の炭化物が存在す
る)が形成されているので、静粛性,耐摩耗性はもちろ
んのこと、運搬時や動作時の振動に対する耐フレッチン
グ性が優れている。また、Ac1点以下の温度での浸炭処
理によって残留オーステナイト(γR )が消滅するた
め、耐衝撃性が優れている。よって、玉軸受1は、HD
D等の情報機器や高温,高速で使用される工作機械をは
じめ、耐食性の要求される食品機械等にも十分に適用可
能で、さらに、比較的低コストで製造可能である。
【0023】なお、本実施形態においては、転動装置と
して玉軸受を例示して説明したが、本発明の転動装置は
円筒ころ軸受,アンギュラ玉軸受等の他の種類の様々な
転がり軸受に対して適用することができる。また、転が
り軸受に限らず、ボールねじ,リニアガイド,直動ベア
リング等の他の種類の転動装置に対しても適用すること
ができ、本発明は本実施形態に限定されるものではな
い。
【0024】次に、本発明の転動装置において使用され
る材料(鋼)について、種々の性能を評価した結果を説
明する。表1に示すような組成の鋼を所定の形状に加工
した後、浸炭処理を含む熱処理(浸炭処理はAc1点以下
の温度での処理)を施して、後述する各種試験に用いる
試験片(玉軸受の玉、二円筒摩耗試験のリング状試験
片)を作製した。実施例1〜7はCr,Mo,及びVの
総含有量Mが5重量%以上の鋼であり、比較例1〜8は
前記総含有量Mが5重量%未満の鋼である(比較例6〜
8はSUJ2である)。なお、表1の値は浸炭処理後の
値である。
【0025】
【表1】
【0026】前記熱処理の条件を以下に示し、以降はこ
の熱処理条件を条件Aと称する。なお、表1の実施例1
〜7の材料において、通常のRXガスによる浸炭処理を
施した場合は、浸炭むら等を生じる恐れがあると思われ
る。 条件A 1)焼入れ 900〜1100℃に保持後、油冷する 2)サブゼロ処理 液体窒素を使用する 3)前処理(フッ化処理) 90%N2 /10%NF3 混合ガス雰囲気下 処理温度300℃〜400℃ 4)浸炭処理 アセチレン雰囲気下 処理温度400〜600℃、12〜48時間 ただし、表1のうち比較例6及び比較例7の熱処理条件
は下記の通りである(以降は、比較例6の熱処理条件を
条件B、同じく比較例7の場合を条件Cと称する)。
【0027】 条件B 1)焼入れ 840〜860℃に保持後、油冷する 2)焼戻し 処理温度160〜180℃、1.5〜2時間 条件C 1)焼入れ 840〜860℃に保持後、油冷する 2)サブゼロ処理 −90℃で20分保持する 3)焼戻し 処理温度220〜240℃、1.5〜2時間 このような浸炭処理により形成された表面の硬化層の厚
さは、切断した試験片を用い表面近傍の硬さ分布を測定
して、母材の硬さに漸近する深さを求めたところ、約7
0〜100μm程度であった。
【0028】上記のような熱処理の後、試験片の表面を
仕上げ加工し高精度に仕上げた。なお、玉軸受の玉はJ
IS等級G3以上まで仕上加工した。評価は、耐摩耗
性,静粛性,耐フレッチング性,及び耐衝撃性について
行なった。耐摩耗性は、二円筒摩耗試験により評価し
た。すなわち、図2に示すように、2つの円筒状の軸2
1,21にそれぞれリング状の試験片20,20を装着
し、上から荷重Pを負荷しながら2つの試験片20,2
0を互いに接触状態で逆方向に低速で回転させて、試験
片20,20の摩耗量を求めた。
【0029】次に、静粛性は、HDDスピンドルモータ
等の情報機器用の玉軸受(JIS呼び番号:695)に
より評価した。すなわち、試験片である玉を備えた前記
玉軸受に11.8Nの与圧をかけた状態でG値測定(玉
軸受の軸方向の振動加速度の測定)を行い、静粛性を評
価した。そして、静粛性の評価を終えた試験片(前記玉
軸受の玉)について後述の条件で耐フレッチング性試験
を行い、試験前後のG値の差(上昇量)から耐フレッチ
ング性を評価した。その際には、比較例6(SUJ2)
の前記G値の上昇量を基準値1とした比により、各材料
の前記G値の上昇量を表した。なお、測定結果は、測定
回数N=15の平均値を用いた。
【0030】次に、耐衝撃性は以下のような方法で評価
した。すなわち、最初は9.8N、次に60.8N、そ
れ以後は4.9Nずつ増やしながら、純アキシアル荷重
を上記と同様の玉軸受に付加していき、試験前に比較し
て音圧レベルが5mG(重力加速度)増加した荷重を耐
衝撃荷重とした。なお、比較例6(SUJ2)の耐衝撃
荷重を基準値1とした比により、各材料の耐衝撃荷重を
表した。
【0031】それぞれの試験条件を下記に示し、試験結
果を表2に示す。なお、図3は表2に示した試験結果を
グラフ化したものであり、図3の(a)及び(b)は摩
耗量及び耐フレッチング性とCr,Mo,及びVの総含
有量M(重量%)との相関を示すグラフである。グラフ
中の丸印(●)は熱処理条件が条件Aであり、三角印
(▲)は条件B、四角印(■)は条件Cである。
【0032】(二円筒摩耗試験) 荷重 294N 回転数 10rpm 滑り率 15% 潤滑剤 鉱油 試験時間 120時間 試験温度 20℃ (静粛性試験) 回転数 7000rpm 試験温度 60℃ 荷重 11.8N 試験時間 1200時間 (耐フレッチング性試験) 周波数 30Hz 試験温度 20℃ 荷重 14.7N 振動角度 2° サイクル数 12万回
【0033】
【表2】
【0034】なお、表中の表面の硬さ及び心部の硬さ
は、荷重0.98Nでビッカース硬さを測定し、ロック
ウェルC硬さに換算したものである。また、残留オース
テナイト量(γR )はX線回折により測定した値であ
る。表2及び図3から、摩耗量及び耐フレッチング性の
双方とも、前記総含有量Mが5重量%以上になると(実
施例1〜7)極めて良好な値を示していることがわか
る。これは、前記した硬質且つ微細な炭化物が析出した
こと、及び残留オーステナイトが消滅したことによるも
のである。また、これらの材料は表面の硬さ及び心部の
硬さについても優れた値であった。
【0035】比較例8の浸炭したSUJ2及び比較例
6,7の浸炭なしのSUJ2は、微細な炭化物は有する
ものの、前記総含有量Mが5重量%未満であるため、耐
摩耗性及び耐フレッチンク性が劣っていた。また、耐衝
撃性については、実施例1〜7の材料は熱処理において
400℃以上で焼戻されたことにより、残留オーステナ
イトが存在しないので、比較例6(SUJ2)と比べて
良好な値を示した。比較例8は実施例1〜7と同様の熱
処理(条件A)が施されているものの、前記総含有量M
が5重量%未満であるため、十分な硬さ及び耐衝撃性を
得ることができなかった。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明の転動装置は、振
動,衝撃荷重,あるいは高速連続運転に対する耐久性に
優れた安価な転動装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転動装置の一実施形態である玉軸
受を示す部分断面図である。
【図2】二円筒摩耗試験の試験方法を説明する概略図で
ある。
【図3】摩耗量及び耐フレッチング性とCr,Mo,及
びVの総含有量との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1 玉軸受 2 外輪 3 内輪 4 玉 4a 硬化層 4b 心部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/00 301 C22C 38/00 301N 302 302Z (72)発明者 大堀 學 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J101 BA10 BA70 DA02 DA03 EA02 FA31 4K042 AA22 BA03 BA04 CA06 CA07 CA08 CA13 DA01 DA06

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外方部材と、内方部材と、前記外方部材
    と前記内方部材との間に転動自在に配設された複数の転
    動体と、を備えた転動装置において、 前記外方部材,前記内方部材,及び前記転動体のうち少
    なくとも一つが、Cr,Mo,及びVの総含有量が5重
    量%以上である鋼で構成され、焼入れ後のAc1点以下の
    温度での浸炭処理により形成した硬化層を表面に備える
    とともに、心部の硬さがHRC57以上であることを特
    徴とする転動装置。
JP2000112577A 2000-04-13 2000-04-13 転動装置 Pending JP2001295847A (ja)

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