JP2001294655A - ポリエステルの製造法 - Google Patents

ポリエステルの製造法

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JP2001294655A
JP2001294655A JP2000113667A JP2000113667A JP2001294655A JP 2001294655 A JP2001294655 A JP 2001294655A JP 2000113667 A JP2000113667 A JP 2000113667A JP 2000113667 A JP2000113667 A JP 2000113667A JP 2001294655 A JP2001294655 A JP 2001294655A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子量で、色調及び透明性の良好なポリト
リメチレンテレフタレートを安定して製造する方法を提
供する。 【解決手段】テレフタル酸を主たる酸成分とし、トリメ
チレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエ
ステル樹脂を製造するにあたり、ポリトリメチレンテレ
フタレートオリゴマーに、リン酸又はそのエステルを酸
成分1モルに対し1×10-4〜50×10-4モル量添加し、反
応温度200℃〜250℃で0.5時間以上エステル化反応を行
った後、重縮合触媒としてチタン化合物を特定量添加
し、反応温度230〜260℃で極限粘度が0.78以上となるま
で重縮合反応を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色調、透明性等に
優れた高分子量ポリトリメチレンテレフタレートを製造
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレート(PET)は、その優れた物理的、化学的特性を有
するため、繊維、フィルム、その他成形品として広く利
用されているが、柔軟性に乏しい。PET系フィルムに柔
軟性を付与する方法として、PETにポリテトラメチレン
グリコールを共重合する方法、ダイマー酸を共重合する
方法(特開平6-79776号公報)、あるいはアイオノマーを
添加する方法(特開昭52-84244号公報)などが提案され
ているが、これらの方法で製造されたPETは、耐熱性や
耐候性が十分なものではなかった。
【0003】一方、ポリトリメチレンテレフタレート(P
TT)は、柔軟性に優れた素材として知られており、繊維
状にしてカーペット用素材として用いることなどが提案
されている(特開昭49-21256号公報)。すなわち、PTT
は柔軟性に優れ、ガラス転移温度や融点がナイロン6の
それらと極めて近く、また、吸湿による物性の変化への
影響が少ないため、ナイロン6において吸湿による寸法
・強度変化が問題となっている用途などに利用すること
が期待されている。
【0004】しかしながら、PTTはPETに比べて反応速度
が遅く、長時間の重縮合時間を要し、その間に熱分解反
応が進行するため、高分子量のPTTが得られないという
問題があった。高重合度のPTTは、固相重合をすること
により得られるが、この場合は、新たに固相重合設備が
必要となる。また、PTTは固相重合中、多量の環状オリ
ゴマーが発生し、これが釜内を汚染し、場合によって
は、減圧系を閉塞するため、頻繁な洗浄が必要となる。
また、PTTに重縮合触媒としてチタン化合物を用いた場
合、反応速度を向上することができるが、著しく色調が
悪化するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決し、高分子量で、色調及び透明性の良好なPTTを安
定して製造する方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、次の通りである。テレフタル酸を主たる酸成分と
し、トリメチレングリコールを主たるグリコール成分と
するポリエステル樹脂を製造するにあたり、ポリトリメ
チレンテレフタレートオリゴマーに、リン酸又はそのエ
ステルを酸成分1モルに対し1×10-4〜50×10-4モル量
添加し、反応温度200〜250℃で0.5時間以上エステル化
反応を行った後、重縮合触媒としてチタン化合物を下記
式 (1)〜(2)を満足する量添加し、反応温度230〜260℃
で極限粘度が 0.78以上となるまで重縮合反応を行うこ
とを特徴とするポリエステルの製造法。 (1) 0.5×10-4≦[ Ti ]≦8×10-4 (2) 1≦[ P ]/[ Ti ]≦10 ここで、[ Ti ]、[ P ]は、それぞれチタン化合物、及
びリン化合物の添加量を表し、単位は「モル/酸成分モ
ル」である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明は、テレフタル酸を主たる酸成分とし、ト
リメチレングリコールを主たるグリコール成分とするポ
リエステルである。なお、本発明で製造するポリエステ
ルには、その特性を損なわない範囲で、他の成分を共重
合させることができる。共重合成分の具体例としては、
イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4'-ビ
フェニルジカルボン酸、アジピン酸、エチレングリコー
ル、1,5-ペンタメチレングリコール、1,6-ヘキサメチレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレング
リコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェ
ノールA、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加体
を挙げることができる。
【0008】次に、本発明のポリエステルの製造法につ
いて説明する。テレフタル酸を主たる酸成分とし、トリ
メチレングリコールを主たるグリコール成分としエステ
ル化してPTTオリゴマーを得る。
【0009】次いでこのPTTオリゴマーにリン化合物を
所定の量添加し、常圧〜微加圧下、温度 200〜250 ℃で
0.5時間以上エステル化反応を行う。本発明において用
いるリン化合物は、リン酸又はそのエステル(モノ−、
ジ−及びトリ−エステル)である。リン酸エステルとし
ては、アルキルエステル、アリールエステル及びヒドロ
キシアルキルエステルが用いられ、具体的には、リン酸
トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル及
びリン酸トリス−2−ヒドロキシエチル等が挙げられる リン酸又はそのエステル等のリン化合物成分は、酸成分
1モルに対して1×10 -4〜 50×10-4モル添加すること
が必要である。リン化合物の添加量がこれよりも少ない
と、高分子量のPTTが得られず、色調及び透明性が劣っ
たものとなる。一方、リン化合物の添加量が多すぎる
と、重縮合触媒の活性を失活させてしまうため高分子量
のPTTが得られない。
【0010】リン化合物添加後のエステル化反応温度は
200〜250℃で行われる必要がある。反応温度が200℃未
満であると、オリゴマーとリン化合物との反応が不十分
となり、PTTの色調の改良効果がなくなるばかりでな
く、重縮合触媒として用いるチタン化合物の触媒活性を
失活させてしまうため、高重合度のPTTが得られない。
エステル化温度が250℃を超えると、反応物の色調が悪
化するばかりでなく、エーテル結合が生成しやすいた
め、高重合度のPTTが得られなく、また反応物の耐熱性
も悪化する。
【0011】また、リン化合物添加後のエステル化反応
時間が0.5時間未満であると、オリゴマーとリン化合物
との反応が不十分となり、PTTの色調の改良効果がなく
なるばかりでなく、重縮合反応触媒として用いるチタン
化合物の触媒活性を失活させてしまうため、高重合度の
PTTが得られない。しかし、この時間をあまり長くする
と、反応物の色調が悪化するため好ましくなく、9時間
以下とするのが望ましい。
【0012】上記エステル化反応後、重縮合触媒として
チタン化合物を前記式 (1)〜(2)を満足する量で添加
し、極限粘度が0.78以上となるまで重縮合反応を行う。
チタン化合物としては、テトラ-n-ブチルチタネート、
テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチ
タネート、テトラエチルチタネート等が用いられるが、
重縮合触媒活性、得られるPTTの物性及びコストの点か
ら、テトラ-n-ブチルチタネートが好ましい。
【0013】チタン化合物は十分な重縮合活性を示す
が、重縮合反応後期で熱分解を促進する作用もあるの
で、あまり多量に添加すると高分子量のPTTが得られな
くなる。これらの観点から、チタン化合物の添加量は、
式(1)の範囲とすることが必要である。しかし、チタン
化合物の添加量が式(1)を満足するだけでは、色調及び
透明性が良好な高分子量のPTTを得るには不十分であ
り、式(2)を満足させることが必要である。すなわち、
リン化合物は、チタン化合物によるPTTの熱分解反応を
抑制する効果を奏することで、PTTの色調及び透明性の
悪化を抑制する。この作用を十分発揮させるためには、
式(2) を満足させることが必要である。
【0014】また、重縮合反応は、温度 230〜260℃で
行われる必要がある。重縮合温度が230℃未満では、重
縮合反応に長時間を要し、一方、重縮合温度が260℃を
超えると、熱分解反応が起こり、色調が悪化するばかり
でなく、高分子量のPTTが得られない。
【0015】また、重縮合反応において、チタン化合物
と他の触媒を併用することができる。このような触媒と
しては、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、コバ
ルト化合物が挙げられる。
【0016】重縮合反応は、極限粘度0.78以上のPTTが
得られるまで行うことが必要である。極限粘度が小さい
と、成形品として十分な強度が得られない。
【0017】なお、PTTには、必要に応じて、滑剤、顔
料、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有させる
ことができる。
【0018】本発明で得られるPTTは、種々の成形方法
により各種成形体にすることができ、単体で用いること
もできるし、PET等のポリエステルと混合して用いるこ
ともできる。
【0019】
【作用】本発明により、高分子量で透明性の良好なPTT
が得られるのは、重縮合活性は大きいが、同時に熱分解
促進作用も大きいというチタン化合物の特性が、リン酸
又はそのエステルの併用によって補われるためと推定さ
れる。すなわち、リン酸又はそのエステルは、チタン化
合物を安定化させる作用を有し、チタン化合物によるPT
Tの熱分解促進作用を抑制し、高分子量で透明性の良好
なPTTが得られるものと推定される。
【0020】
【実施例】次に、実施例をあげて本発明を具体的に説明
する。なお、特性値等の測定、評価方法は、次の通りで
ある。 (a) 極限粘度[η] フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒とし
て、温度20℃で測定した。 (b) 色調 日本電色工業社製の色差計ND−Σ80型を用いて測定し
た。色調の判定は、ハンターのLab表色計で行った。
L値は明度(値が大きいほど明るい)、a値は赤−緑系
の色相(+は赤味、−は緑味)、b値は黄−青系の色相
(+は黄味、−は青味)を表す。色調としてはL値が大
きいほど、a値が0に近いほど、またb値は極端に小さ
くならない限り小さいほど良好であり、L値57.0以上、
b値 13未満を合格とした。 (c)溶液ヘーズ 乾燥したPTT 2gを20mlのフェノールと四塩化エタンとの
等質量混合液に溶解したものを、濁度計(日本電子工業
社製、MODEL2001DP)で評価した。なお、フェノールと
四塩化エタンとの等質量混合液のヘーズ値を0%とし、
ヘーズ値が小さいほど透明性が良好であり、10%以下の
ものを合格とした。
【0021】実施例1 エステル化反応缶にテレフタル酸33.2kgとトリメチレン
グリコール24.35kg(テレフタル酸とトリメチレングリコ
ールとのモル比1/1.6)を仕込み、温度 240℃、圧力 5
0hPaG の条件で反応させ、エステル化反応率95%のPTT
オリゴマーを得た。次いで、PTTオリゴマーに濃度3質
量%のリン酸トリエチルのエチレングリコール溶液を、
酸成分1モルに対してリン酸トリエチルが10×10-4モル
となる量で添加した後、温度 230℃で1時間エステル化
反応を行った。得られたエステル化反応物を重縮合反応
缶に投入し、酸成分1モルに対して、テトラ-n-ブチルチ
タネート4×10-4モルを加え、徐々に減圧して、最終的
に圧力0.9hPa、温度 250℃で3時間重縮合反応を行っ
た。得られたPTTは、極限粘度が0.80であった。
【0022】実施例2〜6及び比較例1〜9 PTTの製造条件等を表1のように変更し、実施例1と同
様に実施した。ただし、実施例5〜6、比較例6〜9では、
リン化合物としてリン酸を用いた。実施例1〜6及び比較
例1〜9で得られたPTTの特性値を表1にまとめて示す。
【0023】
【表1】
【0024】実施例1〜6で得られたPTTは、良好な特性
を示したが、比較例では、次のような問題があった。比
較例1では、リン化合物の添加量が少なかったため、極
限粘度0.78以上のPTTが得られなかった。また、色調も
悪かった。比較例2では、チタン化合物の添加量が多す
ぎたため、極限粘度 0.78以上のPTTが得られなかった。
また、色調、溶液ヘーズともに悪かった。比較例3で
は、リン化合物の添加量が多くて重縮合触媒を失活させ
てしまい、極限粘度0.78以上のPTTが得られなかった。
比較例4では、重縮合温度が低かったため、極限粘度0.
78以上のPTTが得られなかった。比較例5では、重縮合
温度が高かったため、極限粘度0.78以上のPTTが得られ
なかった。また、色調も悪かった。比較例6では、リン
化合物添加後のエステル化反応時間が短いため、重縮合
触媒活性を失活させてしまい、極限粘度0.78以上のPTT
が得られなかった。比較例7では、リン化合物添加後の
エステル化反応温度が高いため、極限粘度0.78以上のPT
Tが得られなかった。また、色調も悪かった。比較例8
では、チタン化合物の添加量が少なかったため、極限粘
度0.78以上のPTTが得られなかった。比較例9では、リ
ン化合物添加後のエステル化反応温度が低いため、重縮
合触媒活性を失活させてしまい、極限粘度0.78以上のPT
Tが得られなかった。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、高分子量で、色調及び
透明性の良好なPTTを安定して製造する方法が提供され
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸を主たる酸成分とし、トリ
    メチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリ
    エステル樹脂を製造するにあたり、ポリトリメチレンテ
    レフタレートオリゴマーに、リン酸又はそのエステルを
    酸成分1モルに対し1×10-4〜 50×10-4モル量添加
    し、反応温度200〜250℃で0.5時間以上エステル化反応
    を行った後、重縮合触媒としてチタン化合物を下記式
    (1)〜(2)を満足する量添加し、反応温度230〜260℃で極
    限粘度が0.78以上となるまで重縮合反応を行うことを特
    徴とするポリエステルの製造法。 (1) 0.5×10-4≦[ Ti ]≦8×10-4 (2) 1≦[ P ]/[ Ti ]≦10 ここで、[ Ti ]、[ P ]は、それぞれチタン化合物、及
    びリン化合物の添加量を表し、単位は「モル/酸成分モ
    ル」である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006306918A (ja) * 2005-04-26 2006-11-09 Asahi Kasei Chemicals Corp 樹脂成形体

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WO1999011845A1 (fr) * 1997-09-03 1999-03-11 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Fibres polyester et tissu fabrique a partir de ces fibres
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