JP2001286800A - 湿式塗装ブースの処理方法 - Google Patents

湿式塗装ブースの処理方法

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JP2001286800A
JP2001286800A JP2000107918A JP2000107918A JP2001286800A JP 2001286800 A JP2001286800 A JP 2001286800A JP 2000107918 A JP2000107918 A JP 2000107918A JP 2000107918 A JP2000107918 A JP 2000107918A JP 2001286800 A JP2001286800 A JP 2001286800A
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circulating water
paint
solvent
bacteria
microorganisms
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JP2000107918A
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Naoshi Okawa
直士 大川
Tomohiro Goto
智啓 後藤
Masaaki Yamamoto
雅昭 山本
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Neos Co Ltd
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Neos Co Ltd
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  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湿式塗装ブース循環水の効果的な処理方法を
提供する。 【解決手段】 湿式塗装ブースの循環水中において、蓄
積塗料溶剤分解菌と悪臭成分分解菌とを栄養塩添加量の
制御下において増殖させることを特徴とする湿式塗装ブ
ースの処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は蓄積塗料溶剤分解
菌と悪臭成分分解菌とを利用する湿式塗装ブースの処理
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】湿式塗装ブースの循環水中にはオーバー
スプレーの塗料と共にその溶剤成分が流入する。該溶剤
成分のうち、生分解性が低く、中・高沸点の塗料溶剤は
循環水中に数百〜数千ppmの濃度で蓄積する。該蓄積塗
料溶剤は塗料滓の粘性を低下させてその回収を困難にす
るだけでなく、細菌増殖の炭素源として利用されるため
に悪臭発生の一因となっている。
【0003】湿式塗装ブースの処理方法としては、粘土
鉱物に代表される不粘着化剤を用いて循環水中の塗料滓
を分散させた後、遠心回収法等によって回収する方法が
従来から利用されているが、近年の塗料のハイソリッド
化と水溶性化に伴って、循環水中の蓄積塗料溶剤量が増
加しているので、不粘着化剤も多用しなければ効果が得
られなくなっている。不粘着化剤の多用は、湿式塗装ブ
ースの処理コストを高くするだけでなく、循環水のゲル
化や発泡などの弊害につながることが指摘されている。
【0004】また、湿式塗装ブースを微生物の分解作用
を利用して処理する技術も従来から提案されているが
(特開昭48−62259号および特開平11−314
095号各公報参照)、これらの技術においては、処理
の効率化および塗料溶剤の殺菌作用からの投入微生物の
保護の観点から、循環水の加温および微生物吸着担体の
使用もしくは特別な微生物処理槽の設置が付加的要件と
なっている。しかしながら、これらの技術は、該付加的
要件が湿式塗装ブースの処理コストを大幅に高くすると
いう点および実際の塗装現場においては該付加的要件を
満たすために必要な設備の設置スペースがないのが一般
的であるという点で湿式塗装ブースの現実的な処理方法
とはなっていない。また、これらの技術に従って高い効
率で微生物処理をおこなうと、微生物の過剰な増殖によ
る泡立ちが発生し、塗装対象物への泡の飛散等の実害が
発生する、という問題がある。
【0005】なお、特開平10−33162号公報およ
び特開平10−33163号公報には塗料溶剤分解菌お
よび悪臭成分分解菌を用いる技術が開示されているが、
これらの技術はいずれも塗装現場より排出される循環水
廃液の処理に関するものであり、実稼動している塗装ラ
インにおける湿式塗装ブースの循環水の処理に関するも
のではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は当該分野の
このような実情に鑑み、実稼動している塗装ラインにお
ける湿式塗装ブースの循環水の効果的な処理方法を提供
するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ちこの発明は、湿式塗
装ブース循環水中において、蓄積塗料溶剤分解菌と悪臭
成分分解菌とを栄養塩添加量の制御下で増殖させること
を特徴とする湿式塗装ブースの処理方法に関する。
【0008】本明細書において、「塗料溶剤」とは、塗
装関連の分野において一般的に使用されている各種の有
機溶剤、例えば、アルコール類、多価アルコール類、エ
ーテル類、エステル類、ケトン類及び有機酸類等を意味
し、「蓄積塗料溶剤」とは、これらの塗料溶剤のうち、
実際の塗装ラインにおける湿式塗装ブースの循環水中に
蓄積するもので、特に主要な構成比を占める塗料溶剤を
意味する。
【0009】本明細書において、「悪臭成分」とは、塗
装関連の分野において一般的に使用されている各種の有
機溶剤、例えば、アルコール類、多価アルコール類、エ
ーテル類、エステル類、ケトン類及び有機酸類等のうち
で悪臭を発するものおよび腐敗細菌の作用によってこれ
らの有機溶剤から生成する悪臭性の物質を意味する。
【0010】本明細書において、「蓄積塗料溶剤分解
菌」とは、塗料溶剤を炭素源として有効に利用できる微
生物、特に蓄積塗料溶剤の利用能が高く、しかも一般の
微生物にとって有害な塗料溶剤(例えば、トルエンおよ
びキシレン等)に対して耐性がある微生物を意味する。
特に好ましい蓄積塗料溶剤分解菌としては、コリネバク
テリウムN−TTS−2種( Corynebacterium SP. N
−TTS−2;FERM−P−15524)が挙げられ
る。
【0011】本明細書において、「悪臭成分分解菌」と
は、悪臭成分を炭素源として有効に利用できる微生物、
特に悪臭成分の利用能が高いだけでなく、該蓄積塗料溶
剤分解菌と協働して塗料溶剤を分解させることができ、
しかも一般の微生物にとって有害な塗料溶剤(例えば、
トルエンおよびキシレン等)に対して耐性がある微生物
を意味する。特に好ましい悪臭成分分解菌としては、シ
ュードモナスN−TMS−5種(Pseudomonas sp. N−
TMS−5;FERM−P−15525)が挙げられ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に用いる上記微生物の培養
法は特に限定的ではなく、当該分野で用いられている培
養培地を適宜選択して培養をおこなえばよいが、適当な
培養法は、スタニールらの無機塩培地[スタニール(
R. Y. Stanier )、パレロニ( N. J.Palleroni )お
よびドードロフ( M. Doudoroff )、 J. Gen. Microbi
ol.、第43巻、第159頁(1966年)参照]に炭
素源として塗料溶剤を10〜10,000ppm、好ま
しくは100〜1,000ppmの濃度で添加した培地
を用いる方法である。好ましい培養方式は液体往復振盪
培養方式である。この場合、培養温度を10〜30℃、
好ましくは20〜25℃に調整すると共に、培地のpHを
水酸化ナトリウム溶液等を用いて5〜9、好ましくは
6.5〜7.5に調整するのが一般的である。
【0013】本発明による湿式塗装ブースの循環水の一
般的な処理法は、上述のようにして培養した該微生物を
含む培養液または該微生物の凍結乾燥粉末を該循環水に
添加した後、通気条件下で該微生物の増殖をおこないな
がら蓄積塗料溶剤と悪臭成分を該微生物によって分解さ
せる方法である。該循環水の処理は、通常はpHが5〜9
(好ましくは、6.5〜7.5)の好気的条件下におい
ておこなう。一般的な塗装ラインにおける湿式塗装ブー
スの循環水の水温は冬季で10〜15℃、夏季で23〜
25℃程度であり、該微生物による蓄積塗料溶剤と悪臭
成分の分解作用はこのような温度条件下でも効果的にお
こなわれる。従って、本発明においては、循環水を加熱
するための特別な付加的設備は不要である。
【0014】循環水の上記処理中は、該微生物の栄養塩
として、例えば、窒素源(例えば、硝酸アンモニウム、
尿素等)、燐源(例えば、燐酸カリウム等)、無機塩類
(例えば、マグネシウム塩、鉄塩等)および有機増殖因
子(例えば、酵母エキス、ペプトン等)から成る群から
選択される成分を該被処理循環水に適宜添加して該微生
物の増殖を促進させることによって、蓄積塗料溶剤と悪
臭成分の分解を促進させる。この場合、栄養塩の添加量
は、微生物増殖による発泡が誘発されないように制御す
る。栄養塩は日毎または週毎にバッチ方式で添加しても
よいが、好ましくは、ポンプ等の送給手段を用いて連続
的に添加する。栄養塩の添加速度は、例えば、20日間
の累計添加量から算出される循環水中の栄養塩濃度が、
通常培地中の栄養塩濃度の1/10〜1/1,000、
好ましくは、1/50〜1/500となるようにする。
【0015】使用する微生物の組み合わせは、特に限定
されるものではなく、前述の蓄積塗料溶剤分解菌と悪臭
成分分解菌とを適宜組み合わせて使用すればよい。特に
好ましい組み合わせは、コリネバクテリウムN−TTS−2
種およびシュードモナスN−TMS−5種との組み合わせで
ある。なお、それぞれの微生物種の数は複数であっても
よい。
【0016】塗装ラインの現場で使用する塗料の種類の
変更等によって蓄積塗料溶剤の主成分が変わった場合に
は、該塗料溶剤を効率よく分解する既存のもしくは新規
な微生物によって使用中の微生物を置き換えてもよく、
あるいは該既存のもしくは新規な微生物を使用中の微生
物と併用してもよい。また、該既存のもしくは新規な蓄
積塗料溶剤分解菌と組み合わせる悪臭成分分解菌に関し
ても、協働して塗料溶剤分解をおこなうことができる既
存のもしくは新規な微生物によって使用中の微生物を置
き換えてもよく、あるいは該既存のもしくは新規な微生
物を使用中の微生物と併用してもよい。以上のような微
生物の組み合わせによれば、例えば、蓄積塗料溶剤分解
菌の中間代謝産物を悪臭成分分解菌が処理することによ
って、中間代謝産物によるフィードバック阻害が回避さ
れる等の効果が得られるので、これらの分解菌の単独使
用に比べて有効に塗料溶剤を処理できる。
【0017】上記の蓄積塗料溶剤分解菌および悪臭成分
分解菌の使用量は、主として被処理循環水中の蓄積塗料
溶剤や悪臭成分の濃度等によって左右され、特に限定的
ではないが、例えば、蓄積塗料溶剤を100〜5,00
0ppmの濃度で含有する循環水を処理する場合には、1
×103〜1×109細胞/ml、好ましくは、1×10
4〜1×106細胞/mlである。
【0018】上述の循環水処理条件下においては、塗装
作業を毎日おこなっていても、非処理時に比べて50%
以上の塗料溶剤の蓄積抑制効果がみられ、悪臭や泡立ち
を発生させることなく、塗装ラインの湿式塗装ブースを
運行できる。本発明による循環水中の塗料溶剤の蓄積抑
制効果は、塗料溶剤に起因する発泡を抑制するだけでな
く、塗料滓の遠心回収性の改善にも寄与し、また、増殖
した微生物は塗料滓に吸着して塗料滓の凝集効果や不粘
着化効果を示す。従って、本発明によれば、これらの効
果に起因して、従来の不粘着化剤の使用量を大幅に低減
させることができる。さらに、本発明によれば、従来の
微生物処理の高効率化に付随する泡立ちは、栄養塩の添
加量の制御によって適当に抑制されるので、実際の塗装
ラインの現場において該泡立ちに起因する実害が発生す
ることもない。
【0019】本発明は、塗装現場における悪臭の発生、
塗料滓の回収不良、不粘着化剤の使用量の増加に起因す
る処理コストの高騰、塗料のハイソリッド化と水溶性化
への対応および付加的設備投資に起因する処理コストの
高騰等の当該分野における前述の諸問題を一挙に解決で
きる産業上極めて有用な発明である。
【0020】以下、本発明を実施例によって説明する。 実施例1 塗装現場における湿式塗装ブースの循環水(200m
l)を試験水として振とうフラスコ内に入れ、該試験水
にスタニールらの無機塩培地成分を含有する水溶液を、
通常培養時の1/100の濃度で添加し、さらに、コリネバ
クテリウムN−TTS−2種( Corynebacterium SP.
N−TTS−2;FERM−P−15524)とシュー
ドモナスN−TMS−5種(Pseudomonas sp. N−TM
S−5;FERM−P−15525)を試験水中のそれ
ぞれの菌数が1×104個/ml以上となるように添加し
た。また、コリネバクテリウムN−TTS−2種を単独
で添加した試験水も調製した。これらの試験水を25℃
で100rpmの条件下で5日間振蘯培養した後、試験水
中の塗料溶剤ガスクロマトグラフィーによって分析し
た。ガスクロマトグラフィーの測定条件は次の通りであ
る。
【0021】 カラム 日本クロマト工業社製 PEG−20M 3mmφ×1m 液相 :ポリエチレングリコール 20M 担体 :クロモソーブ(Chromosorb) W (HP) 含浸率 :10% 移動相 窒素ガス(40ml/min) 初期カラム温度 50℃ 最終カラム温度 170℃ 昇温条件 6℃/min 注入温度 180℃ 検出器温度 180℃ 検出器 水素炎イオン化検出器(FID) 注入量 2μl
【0022】試験水として採水した湿式塗装ブースの循
環水のガスクロマトグラムを図1に示す。循環水からは
多数の塗料溶剤成分が検出され、個々の溶剤ピークの総
和を循環水中の塗料溶剤量としたが、最も多い成分はソ
ルフィット(3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール)
であった。他の現場における湿式塗装ブースの循環水に
ついても測定したが、ソルフィットが主成分であり、塗
料溶剤成分についても前記の循環水の場合と大きな違い
はなかった。同定できた主要な3成分(1-メトキシ-2
-プロパノール、ソルフィットおよびカルビトール)を
用いて、人工的に循環水を調製し、後述の一部の実験に
おいて用いた。調製した循環水のガスクロマトグラムを
図3に示す。
【0023】前述の微生物処理に付した試験水のガスク
ロマトグラムを図2に示す。蓄積塗料溶剤分解菌である
コリネバクテリウムN−TTS−2種単独で処理した場
合(図2(b)参照)よりも、悪臭成分分解菌であるシ
ュードモナスN−TMS−5種と組み合わせて処理した
場合(図2(a)参照)の方が有効に塗料溶剤を処理で
きることが判明した。
【0024】実施例2 水替え直後の湿式塗装ブースの循環水(約200t)に
コリネバクテリウムN−TTS−2種( Corynebacteri
um SP. N−TTS−2;FERM−P−15524)
およびシュードモナスN−TMS−5種(Pseudomonas
sp. N−TMS−5;FERM−P−15525)を、
該循環水中のそれぞれの菌数が1×10 4個/ml以上
となるように添加した。さらに、スタニールらの無機塩
培地成分を含有する水溶液を20日間で通常培養時の1
/100の濃度となる割合で循環水中へ添加し、以後は
定量ポンプを使用して該水溶液を循環水中へ該割合で連
続的に注入した。循環水への通気は循環水槽底面へのエ
アブローによっておこない、飽和溶存酸素量の70%以上
の溶存酸素量を24時間維持した。但し、塗装作業中は
循環ポンプの作動によって前記溶存酸素量は確保できた
ので、該通気操作は循環ポンプの停止時および塗装作業
のない休日におこなった。また、塗装作業は循環水の微
生物処理期間中も継続したので、循環水中には塗料溶剤
が継続的に流入した。
【0025】上記の微生物処理による循環水中の塗料溶
剤量の冬季および夏季における経時的変化を図4および
図5にそれぞれ示す。図4および図5には、上記の微生
物処理をおこなわない場合における循環水中の塗料溶剤
量の経時的変化(比較例1参照)も併記する。これらの
図から明らかなように、微生物処理をおこなわない場合
には、循環水中の塗料溶剤量は2,000〜3,000p
pmまで上昇し、2〜3ヶ月間その値を維持したが、本
発明によれば、循環水中の塗料溶剤量は1,000ppm以
下の値にとどまり、非処理系に比べて50%以上の塗料
溶剤の蓄積抑制効果が得られた。
【0026】さらに、トリプトソイ寒天培地を用いる平
板培養法によって循環水中の生菌数を測定し、その経時
的変化を追跡した。また、スタニールらの無機塩培地に
唯一の炭素源としてソルフィットを2000ppmの濃度
で添加した寒天培地を使用して、一般細菌では資化が困
難なソルフィットの分解菌数も測定し、その経時的変化
も追跡した。なお、コリネバクテリウムN−TTS−2
種(CorynebacteriumSP. N−TTS−2;FERM−
P−15524)とシュードモナスN−TMS−5種
(Pseudomonas sp. N−TMS−5;FERM−P−1
5525)はソルフィットを資化できるので、循環水中
の該2菌株の増減は、ソルフィット分解菌数の増減から
推察した。
【0027】循環水中の生菌数とソルフィット分解菌数
の冬季および夏季における経時的変化を図6および図7
にそれぞれ示す。図6および図7には、微生物処理をお
こなわない場合における生菌数とソルフィット菌の経時
的変化(比較例1参照)も併記する。これらの図から明
らかなように、ソルフィット分解菌数は、非処理系の場
合が105個/ml前後に過ぎないのに対し、微生物処
理系の場合は全生菌数に匹敵するほど多い(107〜1
8個/ml)。このことは、微生物処理系の場合に
は、ソルフィット分解菌が既存の微生物群を駆逐して該
分解菌を主群とする微生物フローラに変化することを示
すものである。なお、非処理系においてもソルフィット
分解菌は存在するが、平板培養プレート上の該分解菌の
コロニーは色調やサイズ等の点で微生物処理系に添加し
た微生物のコロニーとは異なっていたのに対し、微生物
処理系における平板培養プレート上の該分解菌のコロニ
ーは添加微生物の純粋培養時のコロニーと類似した。こ
のことは、微生物処理系の場合には、本発明に従って添
加した微生物が循環水の処理中に有意に増殖したことを
示すものである。
【0028】比較例1 蓄積塗料溶剤分解菌と悪臭成分分解菌を試験水に添加し
ない以外は実施例2の場合同様の測定をおこなった。測
定結果を図4〜図7に示す。
【0029】比較例2 20日分の栄養塩を湿式塗装ブースの循環水に一度に添
加し、その後は栄養塩の補給なしに循環水の微生物処理
をおこなう以外は実施例2と同様の実験をおこなった。
また、栄養塩の添加割合を実施例2の場合の2倍にする
以外は実施例2と同様の実験もおこなった。いずれの場
合も数日後あるいは2〜3週間後に顕著な泡立ちがみら
れ、以後の湿式塗装ブースの円滑な稼動は不可能となっ
た。
【0030】実施例3 実施例2の循環水を採取し、該採取水を遠心分離処理に
付し、上清を除去して得られた固形分(塗料滓)を、イ
オン交換水への再懸濁、遠心分離および上清除去から成
る処理に3回付すことによって洗浄塗料滓を得た。実施
例1において人為的に調製した循環水を塗料溶剤の濃度
が1500ppmおよび500ppmになるように調整し、こ
れに上記の洗浄塗料滓を、採取時の懸濁固形分濃度とな
るように加えて再懸濁させた。また、実施例2の循環水
の遠心上清に上記の洗浄塗料滓を加えて再懸濁させた
(この懸濁液の固形分濃度は上記の再懸濁液の場合と同
一であり、また塗料溶剤の濃度は500ppmである)。
このようにして調製した3種類の再懸濁液(100c
c)を遠心分離処理に付し、塗料滓の沈降度を比較し、
結果を図8に示す(沈降度は遠心分離管中の沈降物占有
容積で示す)。なを、遠心分離処理は塗装現場の遠心脱
水装置を想定し、3,000G、1分間とした。
【0031】図8は沈降物に対する塗料溶剤の影響を示
す。懸濁固形分濃度は同一であるので、沈降物占有容積
が小さいほど沈降性は優れている。図8から明らかなよ
うに、塗料溶剤濃度が高いと塗料滓の沈降性が悪くなっ
て、塗料滓の回収効率は低下する。また、微生物処理系
は、同一塗料溶剤濃度系(500ppm)よりも優れた沈
降性を示しており、このことは、微生物処理によって塗
料滓の凝集等が促進されて塗料滓の回収効率が向上する
ことを示す。
【0032】実施例4 実施例3の再調製循環水と微生物処理循環水の遠心上清
を100mlの試料管に50mlずつ入れ、これらの試
料管を振盪後、静置して泡立ちを比較したところ、循環
水中の溶剤濃度が高いほど泡立ちは激しくなったが、微
生物処理系の場合には、同じ溶剤濃度の循環水の場合と
同等の消泡効果がみられ、微生物の高い増殖率に起因す
る発泡現象は認められなかった。
【0033】実施例5 実施例2と比較例1の循環水中の塗料滓と微生物の存在
状態を顕微鏡(倍率:200倍および1000倍)で観
察したところ、いずれの場合も、図9に模式的に示すよ
うに、塗料滓と微生物体の混合集塊構造が観察された。
このような塗料滓への微生物体の付着は、塗装現場で通
常起きている現象であり、付着微生物により塗料滓が不
粘着化することは容易に推測できるが、微生物処理系の
場合には、非処理系の場合に比べてサイズの大きな塗料
滓がほとんどみられず、このことは、微生物処理によっ
て塗料滓の凝集が促進されて塗料滓の回収が効率的なお
こなわれたことを示す。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、塗料滓の回収阻害と悪
臭発生の原因となる塗料溶剤の蓄積を効果的に抑制でき
るので、塗料滓の回収性を向上させると共に、悪臭によ
る作業環境の悪化を防止できるだけでなく、増殖微生物
による塗料滓の凝集と不粘着化の促進作用によって不粘
着化剤の使用量を低減させることができる。また、本発
明によれば、微生物の高い増殖率に起因する塗装ブース
の発砲による実害を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 湿式塗装ブースの循環水のガスクロマトグラ
ムである。
【図2】 微生物処理循環水のガスクロマトグラムであ
る。
【図3】 人為的に調製した循環水のガスクロマトグラ
ムである。
【図4】 冬季における循環水中の塗料溶剤能殿の経時
的変化を示すグラフである。
【図5】 夏季における循環水中の塗料溶剤濃度の経時
的変化を示すグラフである。
【図6】 冬季における循環水中の菌数の経時的変化を
示すグラフである。
【図7】 夏季における循環水中の菌数の経時的変化を
示すグラフである。
【図8】 沈降に対する塗料溶剤の影響を示すグラフで
ある。
【図9】 循環水中の塗料滓と微生物の存在状態を示す
模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12N 1/00 (C12N 1/00 P C12R 1:15) C12R 1:15) (C12N 1/00 (C12N 1/00 P C12R 1:38) C12R 1:38) (C12N 1/20 (C12N 1/20 D C12R 1:15) C12R 1:15) (C12N 1/20 (C12N 1/20 D C12R 1:38) C12R 1:38) (C12N 1/20 (C12N 1/20 F C12R 1:15) C12R 1:15) (C12N 1/20 (C12N 1/20 F C12R 1:38) C12R 1:38) (72)発明者 山本 雅昭 愛知県名古屋市中村区名駅3丁目25番9号 (堀内ビル) 株式会社ネオス名古屋営業 所内 Fターム(参考) 4B065 AA24X AA41X BB06 CA54 CA56 4D040 DD03 DD12 4D073 AA01 BB03 DC25 DD40

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿式塗装ブースの循環水中において、蓄
    積塗料溶剤分解菌と悪臭成分分解菌とを栄養塩添加量の
    制御下で増殖させることを特徴とする湿式塗装ブースの
    処理方法。
  2. 【請求項2】 循環水の温度が10〜25℃である請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 蓄積塗料溶剤分解菌がコリネバクテリウ
    ムN−TTS−2種( Corynebacterium SP. N−TT
    S−2;FERM−P−15524)である請求項1ま
    たは2記載の方法。
  4. 【請求項4】 悪臭成分分解菌がシュードモナスN−T
    MS−5種(Pseudomonas sp. N−TMS−5;FER
    M−P−15525)である請求項1または2記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 栄養塩が窒素源、燐源、無機塩および有
    機増殖因子から成る群から選択される請求項1から4い
    ずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 pHが5〜9の好気的条件下でおこなう
    請求項1から5いずれかに記載の方法。
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