JP2001286736A - 亜酸化窒素ガス含有ガスの処理方法及びその処理触媒 - Google Patents

亜酸化窒素ガス含有ガスの処理方法及びその処理触媒

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Abstract

(57)【要約】 【課題】亜酸化窒素の処理方法としては比較的低温であ
るとされる、300〜350℃の温度で、かつ水蒸気,
NOx及びSOxなどの影響を受けずに、炭化水素等の
還元ガスの存在下に処理できる、NOを含有する排ガ
スの処理方法及びその触媒の提供。 【解決手段】亜酸化窒素ガスを含有するガスを処理して
亜酸化窒素を還元処理する亜酸化窒素の処理方法におい
て、金属イオンによりイオン交換及び/又は金属イオン
を含浸させたベータゼオライトと接触させることを特徴
とする亜酸化窒素の処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜酸化窒素ガスを
含有する各種燃焼排ガス、産業設備からの排ガス、及び
麻酔用排ガス等のガスに含まれる亜酸化窒素を還元除去
する処理方法及び処理方法に使用される触媒に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】NO(NO+NOの混合ガス)と言
われる窒素酸化物は、光化学スモックの原因や健康上好
ましくないものとされ、その処理対策が積極的に進めら
れてきた。しかしながら、亜酸化窒素(以下、NOと
も言う)は、このような作用を及ぼすことがないとさ
れ、その処理対策は、従来から十分に行われてきたもの
であるというものではない。ところで、NOは温室効
果ガスの一つであり、その1分子あたりで比較すると、
COの310倍もの温暖化効果を持つとされ、温室効
果ガスを処理して温室効果を有しないガスに変換するこ
とは、地球の温暖化防止の点から見て、近年注目される
に至っている。第3回国連気候変動枠組条約締約国会議
(COP−3)においても、このガスは削減対象に指定
され、本格的な処理対策を図る必要があることが確認さ
れた。NOを含有するガスには、三元触媒を装着した
ガソリン自動車の排ガス、石炭や廃棄物の燃焼炉からの
排出ガス、ナイロンの原料となるアジピン酸製造工程か
らの排出ガスなど知られており、これらの排ガスを処理
することが必要となっている。また、酸素が過剰に残存
する排ガス中のNOを、炭化水素類やアルコール類を
用いて選択的に還元する触媒の研究が盛んに行われてお
り、これらの触媒としては、Pt等の貴金属を使用した触
媒は水分やSOxを含む実際の排ガスを処理しても活性
の低下が少ない優れた触媒であることが知られている。
しかしながら、Pt等の貴金属触媒を使用してNOxを還元
すると、大量のNOが副生することも知られている
(H. Hirabayashi et al. Chem. Lett., (1992) 2235.
G.Zhang et al., Appl. Catal. B, 1(1992) L15. A.
Obuchi et al., Appl. Catal. B, 2(1993) 71.)。従
来知られているNO処理触媒の代表的なものとしては
以下のものがある。Y. Liらは種々のカチオンをイオン
交換したゼオライト触媒についてN0の分解活性を調
べ、CuやCoをイオン交換したMFI、ベータゼオラ
イト、RhやRuをイオン交換したMFIが高活性であ
ることを報告している(Y. Li et al., Appl. Catal.
B, 1(1992) L21.)。しかし、実際に水分、SO等を
含む排ガスの処理に使用すると、活性の低下が起こる。
J.W. Hightower らは、イオン交換法で調製したN
分解触媒に対するHO、SOの影響を調べ、Co-MF
I, Fe-MFI, Cu-MFIはいずれもHOの存在で活性が低
下すること、Co-MFI, Cu-MFIはSOでも活性が低下する
こと、を報告している(J.W. Hightower et al., 11th
International Congress on Catalysis-40th Aniversar
y Studies in Surface Science and Catalysis, 101
a),(1996)641.)。ハイドロタルサイト(MgAl
12(OH)16CO・4HO)にCoやLa、Rhを導入
した触媒は、Co-MFIより高活性であるが、酸素と水分が
共存すると低温活性が著しく低下する(特開平7-16387
0、J.N. Armor et al., Appl. Catal.B, 7(1996) 39
7.)。Rh若しくはCo又はそれらの混合
物、Cr、Mo、Mn、Ce、Sn、Au、Ru化合物又はそれらの混
合物、アルカリ金属化合物若しくはアルカリ土類金属化
合物又はそれらの混合物、それぞれ一種以上を有効成分
として含む多元触媒は、水分、SO、HCl等の被毒
成分が共存する条件下でも高活性を示す、と報告されて
いる(特開平5-131117号公報,特開平 5-192540号公報,
特開平5-220350号公報,特開平6-7640号公報,特開平 6-2
3236号公報,特開平 6-106027号公報,特開平 6-106028号
公報,特開平 6-190244号公報,特開平 6-246135号公報
等)。しかし、実際に水分、SO等を含む排ガスの処
理に使用すると、活性の低下が起こる。アルミナにイリ
ジウムを高担持した触媒は、SOが共存する条件下で
も活性が高いという報告もある(中辻ら, 第72回触媒討
論会講演要旨集, 3H311(1993).)。しかし、この触媒も
水分の存在下で低温活性が低下する。また、イリジウム
は稀少金属であり、その使用は触媒コストの上昇をもた
らすので好ましくない。C. Pophalらは、MFIに2価の鉄
をイオン交換した触媒(Fe-MFI)を用いてプロピレンで
Oを還元すると、水分及び酸素が共存しても効率よ
くNOをNへ還元できると報告している(C. Popha
l et al., Applied Catalysis B, Vol.16, p177(199
8))。しかしながら、この場合には、プロピレンを用い
るものであるから、高価な還元剤を用いることになり、
その点で実用的ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、この
種の反応としては比較的低温であるとされる、300〜
350℃の温度で、かつ水蒸気,NOx及びSOxなど
の影響を受けずに、炭化水素等の還元ガスの存在下に処
理できる、NOを含有する排ガスの処理方法及びその
触媒を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、亜酸化窒
素ガスを含有するガスを処理して亜酸化窒素を還元処理
する亜酸化窒素の処理方法において、金属イオンにより
イオン交換及び/又は金属イオンを含浸させたベータゼ
オライトと接触させると、亜酸化窒素ガスを還元処理で
きることを、新たに見出した。即ち、このように処理す
ると、前記課題を解決できることを見出したものであ
る。本発明は以下の通りである。 (1)亜酸化窒素ガスを含有するガスを処理して亜酸化
窒素を還元処理する亜酸化窒素の処理方法において、金
属イオンによりイオン交換及び/又は金属イオンを含浸
させたベータゼオライトと接触させることを特徴とする
亜酸化窒素の処理方法。 (2)金属イオンが2価の鉄イオンであることを特徴と
する前記記載の亜酸化窒素の処理方法。 (3)金属イオンが2価の鉄イオンの他にコバルト、白
金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、
銅から選ばれる金属の金属イオンにより構成されている
ことを特徴とする前記記載の亜酸化窒素の処理方法。 (4)亜酸化窒素ガスを含有するガス中にNOを含有
することを特徴とする前記記載の亜酸化窒素の処理方
法。 (5)NOを含有するガスを触媒と接触させてNO
を処理した後に、前記記載の亜酸化窒素ガスを含有する
ガスの処理を行うことを特徴とする亜酸化窒素の処理方
法。 (6)NOを含有するガスのNOの処理と亜酸化窒
素を含有するガスの亜酸化窒素の処理を、金属イオンに
よりイオン交換及び/又は金属イオンを含浸させたベー
タゼオライトとNO処理触媒の存在下に行うことを特
徴とするNO及び亜酸化窒素の処理方法。 (7)金属イオンによりイオン交換及び/又は金属イオ
ンを含浸されたベータゼオライトから構成されているこ
とを特徴とする亜酸化窒素ガス還元用触媒。 (8)金属イオンが鉄イオンであることを特徴とする前
記記載の亜酸化窒素ガス還元用触媒。 (9)金属イオンが鉄イオンの他に、銅、コバルト、白
金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、及びイリジウ
ムから選ばれる金属イオンであることを特徴とする前記
記載の亜酸化窒素ガス還元用触媒。 (10)金属イオンによりイオン交換及び/又は金属イ
オンを含浸されたベータゼオライト、並びにNO還元
触媒からなる亜酸化窒素ガス並びにNO還元用触媒。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で処理しようとする排ガス
は、NOを含有しているガスである。これらの排ガス
には,NO以外の成分として、NOやSOガスの
他COを含有しているガスから選ばれるガスを含んで
いても差し支えない。したがって、NOなどを含有す
る排ガスを処理するための排ガス処理とNOを処理し
て還元処理するための排ガス処理を同時に行うことがで
きる。又、前段階でNOを処理した後に得られる排ガ
スを、引き続いて、後段階として、本発明の処理対象ガ
スとして、NOの処理を行うことができる。NOの
含有量は排ガスの組成に応じて、適宜変化させたものと
して供給することができる。一般には、NOの含有量
は、0.0001〜10体積%、好ましくは0.001〜1体積%
(圧力0.5〜2atm、 温度200〜700℃)
の範囲のものである。この排ガスに含有する他のガスと
しては、NO,SO,CO,H、HOがある。
NOは、0〜0.5体積%、SOは、0〜0.5体
積%、COは、0〜2体積%及びHは、0〜2体積
%、HOは0〜20体積%の範囲で含有していて差し
支えない。又、酸素ガスは含んでいてもよいし、含んで
いなくても問題はない。一般に不活性であると言われて
いる窒素、炭酸ガスなどのガスを含んでいることは、何
ら差し支えない。
【0006】本発明で使用される触媒は、SiO/A
のモル比が10〜100のH型又はNa型、ア
ンモニウム型のベータゼオライトである。このベータゼ
オライトを、鉄、コバルト、白金、ロジウム、パラジウ
ム、ルテニウム、イリジウム、銅から選ばれる金属の金
属塩又はアンミン錯塩水溶液中にて処理し、ベータゼオ
ライトの陽イオンを前記金属イオンによりイオン交換及
び/又は金属イオンを含浸させた後に、これを加熱処理
した後のものが用いられる。これらの金属の原料として
は、水溶液中で、鉄イオンの他、他の金属イオン、例え
ば、銅イオン、コバルトイオン、白金イオン、ロジウム
イオン、パラジウムイオン、ルテニウムイオン、イリジ
ウムイオン、あるいはこれらのアンミン錯体イオンとな
るものが好ましい。これらのイオンは、混合して用いる
ことができる。2価の鉄により置換されているものが特
に好ましい。これらの金属イオンは複数のイオンから構
成されるものであっても差し支えない。例えば、鉄イオ
ンと銅イオン、鉄イオンと白金イオン、鉄イオンとロジ
ウムイオン、鉄イオンとパラジウムイオン、鉄イオンと
ルテニウムイオン、鉄イオンとイリジウムイオン、鉄イ
オンと銅イオンとパラジウムイオンの組み合わせなどを
挙げることができる。イオン交換に際しては、粉粒状の
状態にあるベータゼオライトを水に浸漬した後、交換し
ようとする金属塩化合物を含有している水溶液と合し、
十分に撹拌し懸濁状態となるようにする。イオン交換
は、一般に室温〜95℃の温度で行う。金属塩化合物の
濃度は、適宜必要に応じて濃度を変更して用いることが
できる。金属イオンを含浸法によってベータゼオライト
に担持する場合には、乾燥したベータゼオライトに金属
塩化合物を含有する水溶液を含浸させる。金属イオン交
換及び/又は金属イオンを含浸処理して得られる、金属
イオンを担持したベータゼオライトは、空気中で焼成し
て用いる。焼成温度は、一般に300〜550℃の温度
が用いられる。焼成後には一般に、イオン交換で担持し
た金属イオンはイオンの形で存在するが、含浸法で担持
した金属イオンは酸化物の形で存在する。このようにし
て得られるベータゼオライトの金属イオンの担持量は、
一般に0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重
量%である。
【0007】金属イオンを担持したベータゼオライト
は、アルミナゾル等を用いてペレット状に成形又はコー
ジェライト等のハニカム状の基体にウオシュコートし、
反応器に充填して用いる。ペレットとして使用する場合
の粒径は、一般には0.2〜10mmの範囲である。反
応器内に偏りが生じないように充填することが重要であ
る。反応器内には、この触媒の他不活性の充填物を存在
させることができる。
【0008】NOを含有する排ガスの処理とNOガ
スを含有する排ガスの処理を、同時に行う場合には、N
を含有する排ガスの処理触媒と本発明のN0ガス
処理触媒を、同一の反応器に充填して両方の反応を同時
に行うことができる。この場合の両触媒の混合割合は、
どちらの反応を重点的に行うか等を考慮して適宜定める
ことができる。一般には、両方の反応を行うことが必要
であり、その混合割合は10対1〜1対10の範囲の割
合の中から適宜選択される。NOx触媒としては、従来
知られている触媒を用いることができる。具体的には、
以下の触媒を挙げることができる。金属としては、
鉄、銅、コバルト、バナジウム、タングステン、モリブ
デン、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、及び
イリジウムの中から選ばれる1種以上の金属を挙げるこ
とができる。これらの金属を担体に担持して用いること
ができ、担体には、各種ゼオライトを用いることができ
る。具体的には、モルデナイト、ZSM−5等のペンタ
シル型ゼオライト、 ベータゼオライト、MFIゼオラ
イト等を挙げることができる。ゼオライトの他にもアル
ミナ、チタニア等を担体として用いることができる。こ
れらの担体に金属を担持する場合には、イオン交換法又
は含浸法等の手段を用いることができる。金属イオンを
担持したゼオライトは、アルミナゾル等を用いてペレッ
ト状に成形又はコージェライト等のハニカム状の基体に
ウオシュコートし、反応器に充填して用いることができ
る。ペレットとして使用する場合の粒径は、一般には
0.2〜10mmの範囲である。反応器内に偏りが生じ
ないように充填することが重要である。反応器内には、
この触媒の他不活性の充填物を存在させることができ
る。
【0009】反応に際しては、亜酸化窒素含有ガスが、
メタン、エタン、プロパン、プロピレン、ブタン、i−
ブタン等の炭化水素と共に反応器に供給される。これら
の炭化水素ガスはのNOの還元剤として作用する。こ
れらの炭化水素は、NO処理後のガス中に含まれてい
るものでもよいし、反応器の直前で新たに必要量を添加
してもよい。HOガスが存在することも差しつかえな
い。反応温度は、200〜700℃、好ましくは250
〜600℃の温度に維持される反応器内で行われる。反
応圧力は、0.5〜2の範囲で設定される。供給される
ガス中には 酸素は共存してもよいし、共存しなくても
よい。空間速度は、1000〜500000/時間の範囲の条件を
適宜設定して用いる。NOの処理を同時に行う場合に
は、NOの反応処理温度として有効な範囲の温度を選
択することができる。
【0010】反応終了後の排ガスは、既にNOの全量
が、ほぼ完全に窒素ガスに変換されているので、そのま
ま空気中に排出することができる。又、処理後の排ガス
は、前記の反応器に循環させることもできる。
【0011】
【実施例】以下に実施例を示す。本発明はこれらの実施
例により限定されるものではない。反応生成ガスの分析
は、ガスクロマトグラフを用いて行った。 実施例1(本発明の触媒である、鉄イオン(2価)によ
りイオン交換されたベータゼオライトの作製) 東ソー
製のH-BEA(H型ベータゼオライト、SiO /Al
= 27.3(モル比))を空気中、500℃で5時間焼
成後使用した。水350mlの中に窒素ガスを毎分100mlの流
速で流して、1時間バブリングした後、窒素ガスによる
バブリングを継続しながら、FeSO・7H0 1.44gを水
に溶かし、1N NaOH水溶液を添加して、そのpHを5に
調整した(A液)。次に、水150mlの中に窒素ガスを毎
分100mlの流速で流して1時間バブリングした後、窒素
ガスによるバブリングを継続しながら、焼成後のH-BEA
3gを投入して懸濁させた(B液)。窒素ガスによるバ
ブリングを継続しながらB液をA液に合し、攪拌しなが
ら50℃に20時間保持して、Fe2+イオンによるイオン
交換を行った。イオン交換後の試料をろ過により分離
し、ろ液が中性になるまで蒸留水で洗浄した。その後、
110℃で一晩乾燥させ、さらに空気中で加熱し、500℃で
12時間焼成した。イオン交換後のろ液を吸光光度計を用
いて化学分析して求めたFeの担持量は0.77wt%(Fe2+
イオン交換率25%)であった。
【0012】実施例2(本発明の触媒を用いた排ガス処
理) 上記のように調製したFe-BEA触媒 50mgを充填した反応
管にNO 950ppm, CH 500ppm, O 10%, バラン
スHeの組成のガスを空間速度60,000/hで流し、生成物を
ガスクロマトグラフで測定した。NOのNへの転化
率を図1に示す。
【0013】比較例1(他のゼオライトを用い、鉄イオ
ンにより交換した場合の結果) 水350mlの中に窒素ガスを毎分100mlの流速で流して1時
間バブリングした後、窒素ガスによるバブリングを継続
しながら、FeSO・7HO 1.57gを溶かし、1
N NaOH水溶液を添加してpH 5に調整した(A液)。水
150mlの中に窒素ガスを毎分100mlの流速で流して1時間
バブリングした後、窒素ガスによるバブリングを継続し
ながら、東ソー製のNa-MFI(Na-ZSM-5、SiO/AlO
= 23.8(モル比))3gを投入して懸濁させた(B
液)。窒素ガスによるバブリングを継続しながらB液を
A液に合し、攪拌しながら50℃に20時間保持(イオン交
換)した。イオン交換後の試料をろ過により分離し、ろ
液が中性になるまで蒸留水で洗浄した。その後、110℃
で一晩乾燥し、さらに空気中、500℃で12時間焼成し
た。Feの担持量は2.9wt%(Fe2+イオン交換率80%)
であった。上記のように調製したFe-MFI触媒 50mgを用
いて、実施例2と同じ条件で試験した結果を図1に示
す。
【0014】比較例2(他のゼオライトを用い、鉄イオ
ンにより交換した場合の結果) 水350mlの中に窒素ガスを毎分100mlの流速で流して1時
間バブリングした後、窒素ガスによるバブリングを継続
しながら、FeSO・7HO 2.38gを溶かし、1
N NaOH水溶液を添加してpH 5に調整した(A液)。水
150mlの中に窒素ガスを毎分100mlの流速で流して1時間
バブリングした後、窒素ガスによるバブリングを継続し
ながら、東ソー製のH-MOR(H型モルデナイト、SiO/A
lO= 15.7(モル比))3gを投入して懸濁させた
(B液)。窒素ガスによるバブリングを継続しながらB
液をA液に合し、攪拌しながら50℃に20時間保持(イオ
ン交換)した。イオン交換後の試料をろ過により分離
し、ろ液が中性になるまで蒸留水で洗浄した。その後、
110℃で一晩乾燥し、さらに空気中、500℃で12時間焼成
した。Feの担持量は0.9wt%(Fe2+イオン交換率16.7
%)であった。上記のように調製したFe-MOR触媒 50mgを
用いて、実施例2と同じ条件で試験した結果を図1に示
す。
【0015】比較例3(他のゼオライトを用い、ロジウ
ムを担持した場合の結果) N.E.ケムキャット製硝酸ロジウム水溶液(0.031gRh/m
l)0.4mlを東ソー製のH-USY(SiO/AlO = 5.9
(モル比))1.22gに含浸させた後、110℃で一晩乾燥
し、さらに空気中、500℃で12時間焼成した。Rhの担持
量は1wt%であった。上記のように調製したRh/USY触媒 5
0mgを用いて、実施例2と同じ条件で試験した結果を図
1に示す。
【0016】実施例3(本発明の触媒を用いた排ガスの
処理) 実施例1と同じ触媒(Fe-BEA)について、NO 950ppm,
CH 500ppm, O10%、バランスHeの組成のガスを空
間速度60,000/hで流し、生成物をガスクロマトグラフで
測定した。試験結果を図2に示す。
【0017】比較例4(本発明の触媒に用いられるH型
ベータゼオライトのみを用いた排ガスの処理) 実施例1で用いたものと同じ東ソー製のH-BEAを空気
中、500℃で5時間焼成したもの50mgを用いて、実施例
3と同じ条件で試験した。試験結果を図2に示す。
【0018】実施例4(本発明の触媒を用いた排ガスの
処理) 実施例1と同じ触媒(Fe-BEA)について、NO 950ppm,
CH 500ppm, バランスHeの組成のガスを空間速度60,0
00/hで流し、生成物をガスクロマトグラフで測定した。
試験結果を図3に示す。
【0019】比較例5(他のゼオライトを用い、鉄イオ
ンによりイオン交換した触媒による排ガスの処理) 比較例1と同じ触媒(Fe-MFI)について、実施例4と同
じ条件で試験した。試験結果を図3に示す。
【0020】
【発明の効果】本発明のよれば、この種の反応としては
比較的低温であるとされる、300〜350℃の温度
で、かつ水蒸気,NOx及びSOxなど共存するガスの
影響を受けずに、炭化水素ガスの存在下に処理できる、
Oを含有する排ガスの処理方法及びその触媒を提供
されることである。又、この処理に際してはNOの処
理触媒を共存させることによりNOの処理と同時に行
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(NO 950ppm + CH 500ppm + O 10% + H
e)の条件下に処理を行った結果を示す図である。
【図2】(NO 950ppm + CH 500ppm + O 10% +
He)の条件下に処理を行った結果を示す図である。
【図3】(NO 950ppm + CH 500ppm + He)の条件下
に反応を行った処理を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮寺 達雄 茨城県つくば市小野川16番3 工業技術院 資源環境技術総合研究所内 Fターム(参考) 4D048 AA06 AB02 BA11X BA11Y BA30Y BA31Y BA32Y BA33Y BA35Y BA36X BA36Y BA37Y 4G069 AA02 AA03 AA08 BA07A BA07B BA36A BC31A BC66A BC66B BC67A BC70A BC71A BC72A BC74A BC75A CA02 CA04 CA08 CA13 DA06 FA01 FA02 FB14 FB16 ZA19A ZA19B ZD01 ZD02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜酸化窒素ガスを含有するガスを処理して
    亜酸化窒素を還元処理する亜酸化窒素の処理方法におい
    て、金属イオンによりイオン交換及び/又は金属イオン
    を含浸させたベータゼオライトと接触させることを特徴
    とする亜酸化窒素の処理方法。
  2. 【請求項2】金属イオンが2価の鉄イオンであることを
    特徴とする請求項1記載の亜酸化窒素の処理方法。
  3. 【請求項3】金属イオンが2価の鉄イオンの他にコバル
    ト、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジ
    ウム、銅から選ばれる金属の金属イオンにより構成され
    ていることを特徴とする請求項2記載の亜酸化窒素の処
    理方法。
  4. 【請求項4】亜酸化窒素ガスを含有するガス中にNO
    を含有することを特徴とする請求項1記載の亜酸化窒素
    の処理方法。
  5. 【請求項5】NOを含有するガスを触媒と接触させて
    NOを処理した後に、請求項1記載の亜酸化窒素ガス
    を含有するガスの処理を行うことを特徴とする亜酸化窒
    素の処理方法。
  6. 【請求項6】NOを含有するガスのNOの処理と亜
    酸化窒素を含有するガスの亜酸化窒素の処理を、金属イ
    オンによりイオン交換及び/又は金属イオンを含浸させ
    たベータゼオライトとNO処理触媒の存在下に行うこ
    とを特徴とするNO及び亜酸化窒素の処理方法。
  7. 【請求項7】金属イオンによりイオン交換及び/又は金
    属イオンを含浸されたベータゼオライトから構成されて
    いることを特徴とする亜酸化窒素ガス還元用触媒。
  8. 【請求項8】金属イオンが鉄イオンであることを特徴と
    する請求項7記載の亜酸化窒素ガス還元用触媒。
  9. 【請求項9】金属イオンが鉄イオンの他に、銅、コバル
    ト、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、及びイ
    リジウムから選ばれる金属イオンであることを特徴とす
    る請求項7記載の亜酸化窒素ガス還元用触媒。
  10. 【請求項10】金属イオンによりイオン交換及び/又は
    金属イオンを含浸されたベータゼオライト、並びにNO
    還元触媒からなる亜酸化窒素ガス及びNO 還元用触
    媒。
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