JP2001283928A - 密閉形電池 - Google Patents
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Abstract
過放電等の異常時に膨張,破裂を防止できるだけでな
く、製造コストを低減できる密閉形電池を提供する。 【解決手段】 密閉形電池10は、電解質層22を介し
て正極25および負極23が積層された電池本体20
と、正極25および負極23にそれぞれ連結された一対
の端子と、各端子の開放端部26A,27Aが外部露出
するように電池本体20を気密封止する密閉形電池用パ
ッケージ34とを有する。密閉形電池用パッケージ34
の融着代40は、特定領域がリチウム塩化合物を含有す
る融着性樹脂により融着された防爆部42を備える。リ
チウム塩化合物を含有する融着性樹脂が融着した融着代
40は、密閉形電池用パッケージ34の内圧が所定値以
上に達したときに剥離可能である。
Description
的に作動する密閉形電池に関し、特に、平常時に高い密
封性を有し、過充電時あるいは過放電時等の異常時に膨
張,破裂を防止できるだけでなく、製造コストを低減で
きる密閉形電池に関する。
般ユーザー向けの携帯機器の小型軽量化が進んでいる。
そして、電池に対しても小型軽量化の要求が高まってい
るため、非水電解液系の密閉形電池が多用されている。
一般に、非水電解液系の密閉形電池は、電解質層を介し
て正極および負極が積層された電池本体と、正極および
負極にそれぞれ連結された正極端子および負極端子と、
正極端子の開放端部および負極端子の開放端部が外部露
出するように電池本体を収容する密閉形電池用パッケー
ジとを有し、密閉形電池用パッケージの内面に設けられ
た融着性樹脂同士を互いに融着させる融着代により電池
本体が気密封止されている。
解液の外部漏洩や、あるいは水分や酸素等の内部侵入を
防止するために、密閉形電池用パッケージが電池本体を
確実に気密封止できる構造が求められている。この要望
に対して、例えば正極端子および負極端子をアイオノマ
ー樹脂により被覆した固体電解質電池(特開昭60-65442
号公報参照:従来例1)や、あるいは正極端子および負
極端子にポリオレフィン水性ディスバージョンの塗膜を
形成した偏平型電池(特開昭63-232265号公報参照:従
来例2)等が提案されている。これらの従来例1および
従来例2によれは、密閉形電池用パッケージに確実な気
密性が得られるとされている。
系の密閉形電池は、過充電あるいは過放電等の異常時に
電池本体が発熱すると、電解質から発生したガスにより
密閉形電池用パッケージが膨張あるいは破裂する可能性
がある。この問題を回避するために、本願出願人は、密
閉形電池用パッケージの所定個所に薄肉部を設けた電池
(特開平9-320550号公報参照:従来例3)や、あるいは
密閉形電池用パッケージにおける所定個所の剥離強度を
低く設定した薄型電池(特開平10-55792号公報参照:従
来例4)を提案した。これらの従来例3および従来例4
によれば、密閉形電池用パッケージの内圧が一定に達し
たときに、確実に気密封止を解除して膨張,破裂を防止
できるという極めて優れた効果が得られる。
密閉形電池に対して製造コストの低減がさらに求められ
ている。本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、平常時に高い密封性を有し、過
充電時あるいは過放電時等の膨張,破裂を防止できるだ
けでなく、製造コストを低減できる密閉形電池を提供す
ることにある。
ために、本発明者らは、鋭意検討の結果、融着性樹脂の
特定領域にリチウム塩化合物を含有し、融着性樹脂同士
の剥離強度をリチウム塩化合物を含有しない他の領域よ
りも低く設定すれば、防爆部として所望の機能を得られ
ることを見出した。すなわち、本発明は、請求項1に記
載したように、電解質層を介して正極および負極が積層
された電池本体と、前記正極および前記負極にそれぞれ
連結された一対の端子と、前記各端子の開放端部が外部
露出するように前記電池本体を収容する密閉形電池用パ
ッケージとを有し、前記密閉形電池用パッケージの内面
に設けられた融着性樹脂同士を互いに融着させる融着代
により前記電池本体が気密封止された密閉形電池であっ
て、前記密閉形電池用パッケージの内圧が所定値以上に
達したときに前記融着代の特定領域が剥離可能な防爆部
を備え、前記防爆部の前記融着性樹脂にリチウム塩化合
物が含有されていることを特徴としている。
塩化合物を含有する融着性樹脂の領域は、適宜設定可能
であるが、密閉形電池用パッケージの内側と外側とを連
通するような領域が好ましい。
ば、過充電時あるいは過放電等の異常によって密閉形電
池用パッケージの内圧が所定値以上に達したときに、リ
チウム塩化合物を含有する融着性樹脂により融着された
融着代の特定領域が容易に剥離して密閉形電池用パッケ
ージの内側と外側とを連通し、密閉形電池用パッケージ
の内圧を低下させることで、密閉形電池パッケージの膨
張,破裂を確実に防止できるという従来と同様な効果が
得られることになる。そして、この密閉形電池において
は、密閉形電池の組み立てにあたって、融着性樹脂の特
定領域にリチウム塩化合物を含有させるという簡単な作
業により防爆部を設置できるため、製造コストを低減で
き、これにより前述した目的を達成できる。
させるリチウム塩化合物として、電池本体に注入される
電解液中に含まれる電解質リチウム塩化合物と同種のリ
チウム塩化合物を採用すれば、電解液を防爆部設置用液
体としても使用できることから、極めて簡単な作業によ
り防爆部を設置でき、密閉形電池の製造コストを極めて
低減できることを見出した。このため、本発明は、請求
項2に記載したように、前記リチウム塩化合物が、前記
電池本体に注入される電解液中に含まれる電解質リチウ
ム塩化合物と同種のリチウム塩化合物であることを特徴
としている。
れる電解液中に含まれるリチウム化合物をフッ素系リチ
ウム塩化合物とし、この電解液を防爆部設置用液体とす
ることにより、融着性樹脂を熱融着して密閉型電池を完
成した後に融着性樹脂中に含有されるフッ素系リチウム
塩化合物の一部または全部がフッ化リチウムになること
を見出した。フッ素系リチウム塩化合物は、安全性に優
れ、良好な電気的特性が得られることから電解液中に含
まれる電解質塩として好ましく、また融着性樹脂上のフ
ッ素系リチウム塩化合物が、熱融着により分解してフッ
化リチウムを生成する反応は、密閉型電池の組み立てに
あたって問題がない。よって、フッ素系リチウム塩化合
物を含有する電解液を防爆部設置用液体としても使用で
きることから、極めて簡単な作業により防爆部を設置で
き、密閉形電池の製造コストを、請求項2に係る密閉形
電池と同様に低減できる。このため、本発明は、請求項
3に記載したように、前記リチウム塩化合物が、前記電
池本体に注入される電解液中に含まれるフッ素系リチウ
ム塩化合物と同種のフッ素系リチウム塩化合物および/
またはフッ化リチウムであることを特徴としている。
1および図2に基づいて詳細に説明する。図1に示すよ
うに、本発明の実施形態である密閉形電池10は、例え
ば携帯機器の電源等に用いられる小型非水電解質二次電
池とされ、略扁平直方体形状の電池本体20が密閉形電
池用パッケージ34により気密封止されている。
質層22を介して正極25および負極23が積層された
構造を有しており、具体的には正極集電体21を介して
積層された正極25と、正極25と密着した電解質層2
2に対して正極25と反対方向から密着する負極23
と、負極23に密着する負極集電体24とを有してい
る。
解質電池用セパレータと電解液とを主要構成材料として
いる。非水電解質電池用セパレータとしてはフッ素樹脂
の多孔膜が好ましく、フッ素樹脂の中でもポリフッ化ビ
ニリデン(単独重合体)、またはフッ化ビニリデンを繰
り返し単位として含有する共重合体が望ましい。これら
のポリフッ化ビニリデン(単独重合体)、またはフッ化
ビニリデンを繰り返し単位として含有する共重合体は、
乳化重合法や懸濁重合法等の公知の重合法を使用するこ
とにより得られる。フッ化ビニリデンを繰り返し単位と
して含有する共重合体としては、フッ化ビニリデン−ヘ
キサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−
パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデ
ン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデ
ン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン
−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキ
サフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチ
レン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合
体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合
体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキ
サフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エ
チレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げるこ
とができる。
は、単独物質としても、あるいは混合物としても、前記
多孔膜の材料として使用可能である。以上のように、前
記多孔膜は、例示した単独重合体あるいは共重合体等の
フッ素樹脂を主成分とするのが好ましいが、必要に応じ
てフッ素樹脂以外の重合体をさらに含有してもよい。上
記フッ素樹脂以外の重合体の形態としては、例えば、架
橋部位を有する重合体を挙げることができ、架橋後の耐
溶剤性の観点から、全重合体中におけるフッ化ビニリデ
ン繰り返し単位の重量は、非水電解質電池用セパレータ
の全重量に対して50重量%以上であることが望まし
い。さらに望ましくは75重量%以上であり、最も望ま
しくは95%重量以上である。また、電解質層22の引
っ張り強度を向上させる目的で、上記フッ素樹脂以外の
樹脂からなる多孔膜あるいは繊維状材料が、上記フッ素
樹脂からなる多孔膜中に、埋め込まれたり、張り合わさ
れるなどして、フッ素樹脂とそれ以外の樹脂とが併用さ
れた多孔膜も、非水電解質電池用セパレータとして使用
可能である。
の材質としては、ポリエチレン,ポリプロピレンに代表
されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレ
ート,ポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエ
ステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイト、ポリイミ
ド、ガラス等が望ましい。これらの中で、電解液の含浸
性、セパレータ樹脂の埋め込み易さ、材料コストの点か
ら、ポリエステル製の不織布が望ましい。
素樹脂と共に上記例示したような樹脂の不織布を併用す
る場合は、不織布の厚さはエネルギー密度の観点から薄
いものが望まれる。すなわち、不織布の厚さは50μm
以下であり、望ましくは30μm以下である。さらにこ
の不織布の目付けはゲル状非水電解質の保持量の観点か
ら20g/m2以下が好ましい。また、非水電解質電池用セ
パレータの強度の観点から、5g/m2以上が好ましい。非
水電解質電池用セパレータの引っ張り強度向上を目的と
して、フッ素樹脂と経緯直行配列の不織布との併用、あ
るいはフッ素樹脂と布との併用も可能である。非水電解
質電池用セパレータの空孔率は強度の観点から98体積
%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率
は20体積%以上が好ましい。
て詳しく説明する。電解質層22における電解液中の電
解質塩としては、例えば、LiClO4 、LiBF4
、LiAsF6、LiPF6 、LiCF3 SO3 、Li
CF3 CO2、LiSCN、LiBr、LiI、Li2S
O4、Li2 B10Cl10、NaClO 4 、NaI、Na
SCN、NaBr、KClO4 、KSCN、などのリチ
ウム(Li)、ナトリウム(Na)、またはカリウム
(K)の1種を含む無機イオン塩、(CH3 )4 NBF
4 、(CH3 )4 NBr、(C2 H5 )4 NClO4 、
(C2 H5 )4 NI、(C3 H7 )4 NBr、(n−C
4 H9 )4 NClO4 、(n−C4H9 )4 NI、(C2
H5 )4 N−maleate、(C2 H5 )4 N−b
enzoate、(C2 H5 )4N−phtalate
などの四級アンモニウム塩、ステアリルスルホン酸リチ
ウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼン
スルホン酸リチウムなどの有機イオン塩が挙げられる。
これらのイオン性化合物は、2種以上を併用してもよ
い。電解液中の電解質塩としては、前記に例示した中で
も“リチウム(Li)”を含有する電解質リチウム塩化
合物が好ましく、より好ましくは、安全性に優れ、良好
な電気的特性が得られることから、LiBF4等の“L
i”および“フッ素(F)”を共に含有するフッ素系リ
チウム塩化合物である。
剤としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボ
ネート、ビニレンカーボネートなどの環状炭酸エステ
ル;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル;酢酸メチ
ル、酪酸メチルなどの鎖状エステル;テトラヒドロフラ
ンまたはその誘導体、1,3−ジオキサン、1,2−ジ
メトキシエタン、メチルジグライムなどのエーテル類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ジ
オキサランまたはその誘導体;スルホラン、スルトンま
たはその誘導体などの単独またはそれら2種以上の混合
物などが挙げられる。しかしこれらに限定されるもので
はない。また、その配合割合および配合方法は任意であ
る。このような有機溶剤に上記のイオン性化合物を溶解
することにより電解液を得られる。これらの中で、エチ
レンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチ
ロラクトン等の高沸点溶剤は、電解液の揮発性が低く好
ましい。
用セパレータ、正極25及び負極23のうち、少なくと
も一部に含まれる電解質部分にあらかじめ含まれていて
もよく、これらを積層した後に注液により含ませてもよ
い。また、非水電解質電池用セパレータ、正極および負
極が積層された電池本体全体を捲回する態様の密閉型電
池においても、前記電解液は、前記捲回の後に電池本体
に注液する方法を採用してもよい。注液法としては、常
圧で注液することも可能であるが、真空含浸方法や加圧
含浸方法も使用可能である。
CuO、Cu2 O、Ag2 O、CuS、CuSO4 など
のI族金属化合物、TiS2 、SiO2 、SnOなどの
IV族金属化合物、V2 O5 、V6 O12、VOx、Nb2
O5 、Bi2 O3 、Sb2 O3などのV族金属化合物、
CrO3 、Cr2 O3 、MoO3 、MoS2 、WO3 、
SeO2 などのVI族金属化合物、MnO2 、Mn2 O3
などのVII 族金属化合物、Fe2 O3 、FeO、Fe3
O4 、Ni2 O3 、NiO、CoO3 、CoOなどのVI
II族金属化合物、または、一般式LixMX2 、LixM
NyX2(M、NはIからVIII族の金属、Xは酸素、硫黄
などのカルコゲン化合物を示す。)等で表される、例え
ば、リチウム−コバルト系複合酸化物あるいはリチウム
−マンガン系複合酸化物等の金属化合物、さらに、ジス
ルフィド、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェ
ニレン、ポリアセチレン、ポリアセン系材料等の導電性
高分子化合物、擬グラファイト構造炭素質材料等が挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。
炭素質材料、スズ酸化物,珪素酸化物等の金属酸化物、
さらにこれらの物質に負極特性を向上させる目的でリン
やホウ素を添加し改質を行った材料等が挙げられる。炭
素質材料の中でもカーボン等の黒鉛質材料が好ましい。
以下に、好適に用いることのできる炭素質材料のX線回
折等による分析結果を示す; 格子面間隔(d002) 0.333〜0.360nm a軸方向の結晶子の大きさLa 20nm c軸方向の結晶子の大きさLc 20nm 真密度 2.00〜2.25g/cm3 また、異方性のピッチを2000℃以上の温度で焼成し
た黒鉛質粉末、さらに好ましくは、Lc<100nmの黒鉛質材
料から構成される短繊維状炭素繊維あるいはメソカーボ
ンマイクロビーズを挙げることができる。しかしなが
ら、格子面間隔,結晶子の大きさ,および真密度は、上
記した範囲に限定されるものではない。
属、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム
−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガ
リウム,およびウッド合金等のリチウム金属含有合金等
も用いられるが、これらに限定されるものではない。ま
た、リチウム金属またはリチウム金属含有合金とリチウ
ムを含有する有機化合物とが併用された材料、炭素質材
料をあらかじめ電気化学的に還元することによってリチ
ウムが挿入された炭素質材料等も負極23として使用可
能である。
粉体の少なくとも表面層部分を電子伝導性やイオン伝導
性の良いもの、あるいは疎水基を有する化合物で修飾す
ることも可能である。例えば、金、銀、カーボン、ニッ
ケル、銅等の電子伝導性のよい物質や、炭酸リチウム、
ホウ素ガラス、固体電解質等のイオン伝導性のよい物
質、あるいはシリコーンオイル等の疎水基を有する物質
をメッキ、焼結、メカノフュージョン、蒸着、焼き付け
等の技術を応用して被覆することが挙げられる。
は、平均粒子サイズ100μm以下であることが望まし
い。正極活物質の粉体は、密閉形電池の高出力特性を向
上する目的で10μm以下であることが望ましい。粉体
を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機が用いられ
る。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボール
ミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェ
トミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。
粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存さ
せた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法として
は、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿
式ともに必要に応じて用いられる。
については、例えば、アプリケーターロールなどのロー
ラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクター
ブレード方式、スピンコーティング、バーコーダーなど
の手段を用いて任意の厚みおよび任意の形状に塗布する
ことが望ましいが、これらに限定されるものではない。
なお、これらの手段を用いることで、電解質層22と集
電体とに接触する正極活物質及び負極活物質の実表面積
を増加できる。
て導電剤,結着剤またはフィラー等を添加できる。導電
剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性
材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒
鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブ
ラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カ
ーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,ア
ルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミッ
クス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物と
して含ませることができる。これらの中で、導電剤とし
ては、導電性及び塗工性の観点よりアセチレンブラック
が望ましい。導電剤の添加量は、正極または負極の総重
量に対して1〜50重量%が好ましく、特に2重量%〜
30重量%が好ましい。これらの混合方法は、物理的な
混合であり、その理想とするところは均一混合である。
そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボール
ミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾
式、あるいは湿式で混合することが可能である。
チレン,ポリフッ化ビニリデン,ポリエチレン,ポリプ
ロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレンジエ
ンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,ス
チレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム
弾性を有するポリマー、カルボキシメチルセルロース等
の多糖類等を1種または2種以上の混合物として用いる
ことができる。また、多糖類の様にリチウムと反応する
官能基を有する結着剤は、例えばメチル化するなどして
その官能基を失活させておくことが望ましい。結着剤の
添加量は、正極または負極の総重量に対して1〜50重
量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。
ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレ
ン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、アエロジ
ル、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラ
ーの添加量は、正極または負極の総重量に対して添加量
は30重量%以下が好ましい。
ては、構成された電池において悪影響を及ぼさない電子
伝導体であれば何でもよい。例えば、正極用集電体21
としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッ
ケル、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス等の他
に、接着性、導電性および耐酸化性向上の目的で、アル
ミニウムや銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや
銀等で処理した物を用いることができる。負極用集電体
24としては、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタ
ン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガ
ラス、Al−Cd合金等の他に、接着性、導電性、耐酸
化性向上の目的で、銅等の表面をカーボン、ニッケル、
チタンや銀等で処理した物を用いることができる。これ
らの材料については表面を酸化処理することも可能であ
る。
状については、フォイル状の他、フィルム状、シート
状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされた物、ラス
体、多孔質体、発砲体、繊維群の形成体等が用いられ
る。厚みの限定は特にないが、1〜500μmのものが
用いられる。これらの集電体の中で、正極としては、耐
酸化性に優れているアルミニウム箔が、負極としては、
還元場において安定であり、且つ電導性に優れ、安価な
銅箔、ニッケル箔、鉄箔、およびそれらの一部を含む合
金箔を使用することが好ましい。さらに、粗面表面粗さ
が0.2μmRa以上の箔であることが好ましく、これ
により正極活物質または負極活物質と集電体との密着性
は優れたものとなる。よって、このような粗面を有する
ことから、電解箔を使用するのが好ましい。特に、ハナ
付き処理を施した電解箔は最も好ましい。
正極端子26の開放端部26Aおよび負極端子27の開
放端部27Aが連結されている(図1参照)。正極端子
26および負極端子27は、導電性の材料であれば特に
限定されない。このような電池本体20は、正極端子2
6の開放端部26Aおよび負極端子27の開放端部27
Aが外部露出するように密閉形電池用パッケージ34に
収容されている。
材31と、金属箔芯材31の表面に沿う外層32と、金
属箔芯材31の裏面に沿う内層33とが積層された金属
樹脂複合フィルム30により形成されている。金属箔芯
材31は、例えば、アルミニウム箔とされ、層厚が約4
0μmに設定されている。また、外層32は、例えばポ
リエチレンテレフタレートとされ、層厚が約10μmに
設定されている。一方、内層33には、融着性樹脂が採
用され、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、マ
レイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピ
レン等の金属に対する接着力が比較的強い材質が採用さ
れ、層厚が約30μmに設定されている。
は、電池本体20の平面形状よりも大きな矩形状の金属
樹脂複合フィルム30を二枚用意し、内層33が電池本
体20に対面するように各金属樹脂複合フィルム30を
電池本体20の負極集電体24,24に密着させた後、
正極端子26の開放端部26Aおよび負極端子27の開
放端部27Aを外部露出させながら、一方の負極集電体
24に密着させた金属樹脂複合フィルム30の周部を、
他方の負極集電体24に密着させた各金属樹脂複合フィ
ルム30に向かって折り曲げ、次いで各金属樹脂複合フ
ィルム30の周部同士を相互融着させる融着代40A,
40B,40C,40Dにより電池本体20を気密封止
する。ここで、融着代40A,40B,40C,40D
の幅寸法は、約2mm〜5mmに設定されている。
着性樹脂には、融着前にリチウム塩化合物が含有されて
おり、融着代40Aが融着することによって防爆部42
が設置される。すなわち、融着代40Aの内層33であ
る融着性樹脂は、他の融着代40B,40C,40Dの
内層33である融着性樹脂と比較して剥離強度が低く設
定されており、過充電時あるいは過放電等の異常によっ
て密閉形電池用パッケージ34の内圧が所定値以上に達
したときに、融着代40Aが他の融着代40B,40
C,40Dに先立って剥離し、密閉形電池用パッケージ
34の内側と外側とを連通する。その結果、密閉形電池
用パッケージ34の内圧は低下し、密閉形電池パッケー
ジ34の膨張,破裂を確実に防止できる。防爆部42に
おいて、融着代40Aの融着性樹脂のリチウム塩化合物
含有量は、リチウム塩化合物を含有する融着性樹脂同士
の剥離強度を所望値に設定可能な含有量が適宜選択され
る。なお、剥離強度はT型剥離法により測定できる。
合物を含有する融着性樹脂の領域は、密閉形電池用パッ
ケージ34の限界内圧等に応じて適宜設定しておけば良
いが、本実施の形態においては、融着代40Aの全域と
なっている。このように、密閉形電池用パッケージ34
の内側と外側とを連通するような領域とすることで、密
閉形電池用パッケージ34の内圧が所定値以上に達した
ときに、密閉形電池用パッケージ34の内側と外側とが
連通されやすく、密閉形電池10の膨張,破裂をより確
実に防止できるという従来と同様な効果が得られる。そ
して、密閉形電池10においては、融着代40Aの融着
性樹脂にリチウム塩化合物を含有させるという簡単な作
業により防爆部42を設置できるため、従来に比較して
製造コストを低減できる。
としては、本発明の目的を達成できるものであれば特に
限定されないが、電解液中に含まれる電解質リチウム塩
化合物と同種のリチウム塩化合物であることが好まし
い。この場合、電解液を防爆部設置用液体としても使用
できることから、極めて簡単な作業により防爆部42を
設置でき、密閉形電池10の製造コストをより低減でき
る。電解液中に含まれる電解質リチウム塩化合物と同種
のリチウム塩化合物としては、前記例示した電解液とし
て用いることのできるリチウム塩化合物を挙げることが
できる。
にリチウム塩化合物を含有させる方法としては、融着性
樹脂を融着させる前に、リチウム塩化合物を含む液体に
融着性樹脂を浸漬させる方法、リチウム塩化合物を含む
液体を融着性樹脂にコーティングまたは噴霧する方法等
を挙げることができ、公知の浸漬法、コーティング法お
よび噴霧法のいずれも使用できる。また、リチウム塩化
合物を含む液体スポイトを用いて付着させる等の付着方
法も、リチウム塩化合物を含有させる融着性樹脂の面積
等に応じて好適に使用できる。また、電解液中に含まれ
る電解質リチウム塩化合物と同種のリチウム塩化合物を
融着性樹脂に含有させる場合は、電解液を非水電解質電
池用セパレータに注入する際に、融着代40Aの内層3
3を電解液で湿らせ、次いで熱により内層33を融着さ
せることにより防爆部42を設置できるので、密閉形電
池の製造コストを極めて低減でき、好ましい。
た実施の形態に限定されるものではなく、適宜な変形,
改良等が可能である。すなわち、本発明において、例え
ば電解質層,正極,負極,電池本体,正極端子,負極端
子,開放端部,密閉形電池用パッケージ,融着性樹脂,
防爆部,金属箔芯材等の材質,形状,寸法,形態,数,
配置個所等は本発明を達成できるものであれば任意であ
り、限定されない。
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例)下記(a)〜(d)の手順にしたがって、実
施例1の密閉形電池を作製した。 (a)正極は以下のように作製した。 すなわち、正極活物質としてLiCoO2 、導電剤とし
てアセチレンブラック、バインダーとしてポリフッ化ビ
ニリデンを、90:5:5の重量比率で混合後、溶剤と
してN−メチルピロリドンを用いて上記材料の正極スラ
リーを作製した。得られたスラリーを正極集電体として
20μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥により
N−メチルピロリドンを除去した。この正極板をロール
プレスによりプレスし、正極を得た。
造を有する黒鉛質材料、バインダーとしてポリフッ化ビ
ニリデンを、90:10の重量比率で混合後、溶剤とし
てN−メチルピロリドンを用いて上記材料の負極スラリ
ーを作製した。得られたスラリーを負極集電体として粗
面表面粗さが0.3μmRaである電解銅箔の両面に塗
布し、乾燥によりN−メチルピロリドンを除去した。こ
の負極板をロールプレスによりプレスし、負極を得た。
のように作製した。 すなわち、ポリエチレンテレフタレート製の不織布(厚
さ27μm、目付け8g/m2)にポリフッ化ビニリデ
ン12重量部と可塑剤となるフタル酸ジブチル8重量部
を溶剤であるN−メチルピロリドン80重量部に溶解し
た液を離型紙上で埋め込んだ。その後、1Mの水酸化リ
チウム水溶液中に浸漬し凝固、及び架橋をさせた。一旦
乾燥し、水洗により余分な水酸化リチウムを除去した
後、炭酸ガスを注入し常圧に戻す(炭酸処理)ことで、
非水電解質電池用セパレータとして使用する、厚さ30
μm、空孔率約70%のポリフッ化ビニリデン多孔膜を
作製した。
極(A),負極集電体と密着する負極(B)および非水
電解質電池用セパレータを、図2に示すように積層さ
せ、電池本体を作製した。引き続き、アルミニウム端子
(幅5mm、厚さ100μm)(正極端子)を正極集電
体に、ニッケル端子(幅5mm、厚さ100μm)(負
極端子)を負極集電体に、それぞれ電気抵抗溶接により
接続した。次いで、外層,金属箔芯材,内層がそれぞれ
ポリエチレンテレフタレート,アルミニウム箔,変性ポ
リプロピレンである金属樹脂複合材を用いて、防爆部を
設置する領域以外を熱融着により封口し、防爆部を設置
する口から、四フッ化ホウ酸リチウム20重量部、エチ
レンカーボネート32重量部、γ−ブチロラクトン48
重量部、プロピレンカーボネート32重量部を混合した
電解液を注液し、仮真空封口した。最後に防爆部を設置
する変性ポリプロピレンの領域に電解液が付着している
ことを確認し、その領域を熱融着により最終封口を行う
ことで、図1に示す構成の実施例の密閉形電池を作製し
た。実施例の密閉形電池において、防爆部を構成してい
る融着性樹脂から、電解液中に含有される四フッ化ホウ
酸リチウム(LiBF4)と、熱融着によりLiBF4が
分解して生成したと考えられるフッ化リチウム(Li
F)とを機器分析及び化学分析により確認した。
液を付着させない以外は、前記「(d)実施例の密閉形
電池の作製」と同様とすることで参考例の密閉形電池を
作製した。参考例の密閉形電池の変性ポリプロピレンに
対して機器分析及び化学分析を行ったが、電解液中に含
有される四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)および
フッ化リチウム(LiF)は確認されなかった。
電池と参考例の密閉形電池とをそれぞれ使用して、25
℃において充放電サイクル試験を行った。充電は4.1
V,7時間の定電流定電圧充電、放電は終止電圧2.7
Vとし、0.2時間率の電流で充放電サイクル試験を行
った。その初期放電容量とサイクル性能を表1に示す。
サイクル性能は初期の放電容量の70%になったサイク
ル数を示す。
は、参考例の密閉形電池と同様、優れた充放電サイクル
特性を示すことが確認された。すなわち、実施例の密閉
形電池のように、融着性樹脂にリチウム化合物を含有さ
せても、密閉形電池の性能が低下しないことが確認され
た。
形電池を使用して、前記サイクル試験の50サイクル後
に24V,1CmAの過充電試験を行ったところ、防爆
部からガスを放出した。よって、実施例の密閉形電池に
おける防爆機能を確認できた。
時に高い密封性を有し、過充電等の異常時に膨張,破裂
を防止できる密閉形電池でありながら、融着性樹脂の特
定領域にリチウム塩化合物を含有させるという簡単な作
業により得られることから、製造コストを低減できる密
閉形電池であることが確認された。
ば、請求項1に記載したように、融着代の特定領域が剥
離可能な防爆部を備え、防爆部の融着性樹脂にリチウム
塩化合物が含有されているので、平常時に高い密封性を
有し、過充電時あるいは過放電時等の異常時に、膨張,
破裂を確実に防止できるだけでなく、組み立てにあたっ
て、融着性樹脂の特定領域にリチウム塩化合物を含有さ
せるという簡単な作業により防爆部を設置できるため、
従来に比較して製造コストを低減できる密閉形電池を提
供できる。
たように、リチウム塩化合物が、電解液中に含まれる電
解質リチウム塩化合物と同種のリチウム塩化合物である
ので、融着性樹脂に含有させるリチウム塩化合物とし
て、電解液中に含まれる電解質リチウム塩化合物と同種
のリチウム塩化合物を使用することにより、製造コスト
を極めて低減できる密閉形電池を提供できる。
たように、リチウム塩化合物が、電解液中に含まれるフ
ッ素系リチウム塩化合物と同種のフッ素系リチウム塩化
合物および/またはフッ化リチウムであり、フッ素系リ
チウム塩化合物を含有する電解液を防爆部設置用液体と
して使用できることから、極めて簡単な作業により防爆
部を設置でき、密閉形電池の製造コストを、請求項2に
係る密閉形電池と同様に低減できる。
ある。
電池と参考例の密閉形電池とをそれぞれ使用して、25
℃において充放電サイクル試験を行った。充電は4.1
V,7時間の定電流定電圧充電、放電は終止電圧2.7
Vとし、5時間率(0.2C)の電流で充放電サイクル
試験を行った。その初期放電容量とサイクル性能を表1
に示す。サイクル性能は初期の放電容量の70%になっ
たサイクル数を示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 電解質層を介して正極および負極が積層
された電池本体と、前記正極および前記負極にそれぞれ
連結された一対の端子と、前記各端子の開放端部が外部
露出するように前記電池本体を収容する密閉形電池用パ
ッケージとを有し、 前記密閉形電池用パッケージの内面に設けられた融着性
樹脂同士を互いに融着させる融着代により前記電池本体
が気密封止された密閉形電池であって、 前記密閉形電池用パッケージの内圧が所定値以上に達し
たときに前記融着代の特定領域が剥離可能な防爆部を備
え、 前記防爆部の前記融着性樹脂にリチウム塩化合物が含有
されていることを特徴とする密閉形電池。 - 【請求項2】 前記リチウム塩化合物が、前記電池本体
に注入される電解液中に含まれる電解質リチウム塩化合
物と同種のリチウム塩化合物であることを特徴とする請
求項1に記載の密閉形電池。 - 【請求項3】 前記リチウム塩化合物が、前記電池本体
に注入される電解液中に含まれるフッ素系リチウム塩化
合物と同種のフッ素系リチウム塩化合物および/または
フッ化リチウムであることを特徴とする請求項1に記載
の密閉形電池。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003242965A (ja) * | 2001-12-05 | 2003-08-29 | Wilson Greatbatch Technologies Inc | アルカリ金属イオン電気化学電池用の2枚の正極集電体 |
KR100889765B1 (ko) * | 2001-10-30 | 2009-03-24 | 삼성에스디아이 주식회사 | 리튬 이온 폴리머 전지 |
JP2012234816A (ja) * | 2011-05-04 | 2012-11-29 | Youl Chon Chemical Co Ltd | 爆発安全性を持つセルパウチ及びその製造方法 |
JP2015090760A (ja) * | 2013-11-05 | 2015-05-11 | 株式会社デンソー | 単位電池、組電池および電池パック |
JP2018170163A (ja) * | 2017-03-30 | 2018-11-01 | Tdk株式会社 | リチウムイオン二次電池 |
-
2000
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