JP2001283731A - 蛍光体層およびその製造方法 - Google Patents

蛍光体層およびその製造方法

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JP2001283731A
JP2001283731A JP2000091536A JP2000091536A JP2001283731A JP 2001283731 A JP2001283731 A JP 2001283731A JP 2000091536 A JP2000091536 A JP 2000091536A JP 2000091536 A JP2000091536 A JP 2000091536A JP 2001283731 A JP2001283731 A JP 2001283731A
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phosphor layer
scintillator
crystal
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Tetsuro Endo
哲朗 遠藤
Michihiro Ito
通浩 伊藤
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Hamamatsu Photonics KK
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Hamamatsu Photonics KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柱状結晶の形及び大きさが揃った蛍光体層お
よびその製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、基板6上に形成されシンチレ
ータ結晶からなる蛍光体層7の製造方法において、基板
6上にシンチレータ結晶からなる複数の基部7aを、該
複数の基部7aが互いに離隔するようにパターン形成す
る基部パターン形成工程と、基部7a上に、基部7aの
シンチレータ結晶と同一種類のシンチレータ結晶を成長
させて柱状部7bを形成し基部7aと柱状部7bとから
なる蛍光体層7を得る結晶成長工程とを備える構成であ
る。この場合、複数の基部7a上にシンチレータ結晶が
一体的に成長し、形および大きさの揃った柱状部7bが
形成され、蛍光体層7に放射線が入射されると、基部7
a及び柱状部7b内で発生した蛍光が閉じ込められ、途
中でほとんど外側に拡散されることなく伝搬される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光体層及びその
製造方法に関し、より詳細には、X線を可視光に変換す
るX線イメージ・インテンシファイアなどに用いる蛍光
体層及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シンチレータ結晶からなる蛍光体層は、
例えば医療などに用いる放射線撮像装置(例えばX線イ
メージ・インテンシファイア)などに組み込まれ、微弱
な放射線像などを可視化するのに用いられる。このよう
なシンチレータ結晶からなる蛍光体層の製造方法として
は、従来から種々のものが知られている。例えば、特開
昭50−157054号公報には、加熱したアルミニウ
ム基板上にステンレス球を周期的に配列し、これらをプ
レスしてステンレス球の半分をアルミニウム基板中に埋
設し、さらにその上に沃化セシウム(CsI)からなる
蛍光体を柱状に結晶成長させることにより蛍光体層を製
造する方法が開示されている。
【0003】また、特開昭57−7051号公報には、
基板上にあたかも砂利を1〜2層敷き詰めたような平均
15μm以下の蛍光体結晶粒による突起を有する多孔性
の第1の蒸着層を形成し、その上に蛍光体を蒸着して柱
状結晶塊構造の第2の蒸着層を形成することにより蛍光
体層を製造する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た特開昭50−157054号公報に記載の製造方法に
あっては、多数のステンレス球が互いに接合しやすくス
テンレス球を周期的に配設することが難しいため、基板
上に形及び大きさの揃ったCsIの柱状結晶が成長しに
くい。このため、この蛍光体層を放射線撮像装置等に適
用した場合、その解像度が十分ではなかった。
【0005】また、特開昭57−7051号公報に記載
の製造方法にあっては、第1の蒸着層の上に蛍光体柱状
結晶を成長させる場合、柱状結晶の太さや長さにばらつ
きが生じる場合がある。この場合、蛍光体層に放射線を
入射させると、柱状結晶内の蛍光が途中で柱状結晶の外
部へ拡散する。更に、いくつかの結晶粒子が積み重なっ
た突起部においても、結晶粒界によって光の拡散が起こ
る場合がある。従って、このような蛍光体層を放射線撮
像装置等に適用した場合、その解像度が十分とはいえな
かった。
【0006】そこで、本発明は、上記事情に鑑み、柱状
結晶の形及び大きさが揃った蛍光体層およびその製造方
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の蛍光体層の製造方法は、基板上に形成され
シンチレータ結晶からなる蛍光体層の製造方法におい
て、基板上にシンチレータ結晶からなる複数の基部を、
該複数の基部が互いに離隔するようにパターン形成する
基部パターン形成工程と、基部上に、基部を構成するシ
ンチレータ結晶と同一種類のシンチレータ結晶を成長さ
せて柱状部を形成し、基部と柱状部とからなる蛍光体層
を得る結晶成長工程とを備えることを特徴とする。
【0008】この発明によれば、複数の基部の上にシン
チレータ結晶が一体的に成長し、形及び大きさの揃った
柱状部が形成される。このため、蛍光体層に放射線が入
射されると、それぞれの基部および柱状部においてその
内部で放射線により発生した蛍光が閉じ込められ、途中
で基部および柱状部の外側にほとんど拡散されることな
く伝搬される。
【0009】また、本発明による蛍光体層は、基板上に
形成されシンチレータ結晶からなる蛍光体層において、
基板上に形成される所定パターンのシンチレータ結晶か
らなる基部と、基部上に一体的に設けられるシンチレー
タ結晶と同一種類のシンチレータ結晶からなる柱状部と
を備えることを特徴とする。
【0010】この発明によれば、蛍光体層に放射線が入
射されると、それぞれの基部および柱状部においてその
内部で放射線により発生した蛍光が途中で外側にほとん
ど拡散されることなく伝搬される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明による蛍
光体層の好適な実施形態について詳細に説明する。な
お、全図中、同一又は相当する構成要素については、同
一の符号を付す。
【0012】図1は、本発明に係る蛍光体層を適用した
X線イメージ・インテンシファイアの一例を示す切断面
端面図である。
【0013】同図に示すように、X線イメージ・インテ
ンシファイア10は、筒状の密封容器1を備えている。
この密封容器1は、入力部1aを有し、その入力部1a
の内側には、X線−光変換面2が配置されている。ま
た、密封容器1は、入力部1aに対向して出力面板3を
有し、この出力面板3とX線−光変換面2との間に、X
線−光変換面2側から順次配置される円筒状の集束電極
4および陽極5を有している。このようなX線イメージ
・インテンシファイア10においては、入力部1aにX
線が入射されると、X線は入力部1aを透過してX線−
光変換面2に入射され、ここから出射される光電子が、
集束電極4および陽極5を通って集束・加速されて出力
面板3に入射され、これによりX線像が可視化される。
【0014】図2は、図1のX線−光変換面2の構成を
示す断面図であり、図3は、図2のIII−III線に
沿った断面図であり、基板上における基部によるパター
ンを示している。図2に示すように、X線−光変換面2
は、密封容器1の入力部1a側から基板6、蛍光体層7
及び光電陰極8が順次積層されたものである。蛍光体層
7は、図3に示すように、基板6上に設けられるシンチ
レータ結晶(例えば沃化セシウム(以下、「CsI」と
いう))からなる複数の基部7aを有し、これらの基部
7aは互いに離隔して格子状のパターン20を形成して
いる。ここで、これらの複数の基部7aは互いにほぼ同
一の形状および大きさである。各基部7aの形状として
は、例えば円盤形、円錐台、立方体、直方体、四角錐
台、六角錐台など種々のものが挙げられ、このうち、図
3には、形状が四角錐台の基部7aが示されている。
【0015】図4は、図3のIV−IV線に沿った断面
図であり、基部7a同士の位置関係を示すものである。
同図に示すように、基部7aの根元の幅Wは、好ましく
は20〜100μmである。また、最も近い基部7aの
根元同士の間の間隔dは、好ましくは根元の幅Wの1/
10〜1/2である。更に、基部7aの厚さtは、好ま
しくは基部7aの根元の幅Wの1/10〜2である。
【0016】更に、このような基部7aの上には、図2
に示すように、柱状部7bがそれぞれ一体的に延びてい
る。この柱状部7bは、基部7aを構成するシンチレー
タ結晶と同一種類のシンチレータ結晶で構成されてい
る。また、柱状部7bは、蛍光体層7の光電陰極8側に
向かうにつれて太くなっており、複数の柱状部7bは、
蛍光体層7の光電陰極8側で互いに密接している。柱状
部7bの延び方向の長さLは、基部7aの厚さtの1〜
100倍である(図2参照)。
【0017】次に、このような蛍光体層7を製造する好
適な方法について図5を用いて説明する。図5は、基板
6上に蛍光体層7を製造する一連の工程を示す図であ
る。
【0018】まず、図5(a)に示すように、真空蒸着
装置の真空容器内に蒸着ボート12を設置し、蒸着ボー
ト12の収容凹部にシンチレータ(例えばCsI)13
を載置する。
【0019】次に、図5(b)に示すように、蒸着ボー
ト12の上方に基板6を配置する。基板6は、真空容器
内に固定して水平に保持する。基板6の上部にはヒータ
等を配置する。一方、基板6の下部には平板状のパター
ンマスク11を固定する。パターンマスク11は、例え
ば基板6の上部に磁石を配置しこの磁石でパターンマス
ク11を引き付けることにより固定する。パターンマス
ク11としては、例えばFe、Ni、Al、Si、T
i、Cu、Co、Zn、Cr、W、Au及びその合金な
どで構成されかつ複数の貫通孔11aによる格子状パタ
ーンが形成されたものを用いる。
【0020】ここで、パターンマスク11に形成された
格子状パターンについて説明する。
【0021】格子状パターンを構成する各貫通孔11a
は、図5(a)に示すように、ほぼ同一の形状および大
きさとなっており、この貫通孔11aは例えばエッチン
グなどの公知の方法で形成される。貫通孔11aの形状
としては、円柱状、四角柱状、六角柱状など種々のもの
が挙げられる。各貫通孔11aの幅W1は適宜決められ
るが、X線イメージインテンシファイアの特性上、20
〜200μmであることが好ましい。また、最も近い貫
通孔11a同士の間の間隔d1も適宜決められるが、貫
通孔11aの幅W1の1/10〜1/2であることが好
ましい。これは、間隔d1が幅W1の1/10未満で
は、柱状のシンチレータ結晶が個々に分割されにくい傾
向があり、1/2を越えると、パターン化されるシンチ
レータ結晶の間に有効ではない結晶が形成されてしまう
傾向があるからである。更に、貫通孔11aの深さt1
も適宜決められるが、一般的なメッシュの製造方法であ
るエッチング法により制限され、貫通孔11aの幅W1
の1/10〜1である。
【0022】このようなパターンマスク11を基板6に
固定したならば、真空容器を密閉し、真空ポンプを用い
て真空引きを行い、その後、蒸着ボート12に通電して
シンチレータ13を蒸発させる。これにより、パターン
マスク11の貫通孔11aを通して基板6上にシンチレ
ータ結晶13が蒸着される。このときのシンチレータ結
晶の厚さを膜厚測定装置によって測定し、シンチレータ
結晶13の厚さが所定の厚さになった時点で蒸着ボート
12への通電を止める。シンチレータ結晶13の厚さ
は、適宜決められるが、パターンマスク11の貫通孔1
1aの幅W1の1/10〜2とすることが好ましい。こ
れは、厚さが幅W1の1/10未満では、格子状パター
ンとして十分な凹凸を形成しにくい傾向があり、2を越
えると、マスクを外した時に結晶が壊れやすい傾向があ
るからである。蒸着が完了したならば、真空容器を開放
する。そして、図5(c)に示すように、基板6からパ
ターンマスク11を取り外すと、基板6上にほぼ同一形
状の基部7aの格子状パターン20が得られる(基部パ
ターン形成工程)。
【0023】次に、蒸着ボート12の収容凹部に、基部
7aを構成するシンチレータ結晶と同一種類のシンチレ
ータ結晶13を載置する。そして、再び真空容器を密閉
し、真空ポンプを用いて真空引きを行った後、基板6を
ヒータによって加熱し、回転駆動装置によって回転軸C
の回りに回転させる。このとき、基板6の温度は室温〜
400℃とする。このような温度範囲にするのは、この
温度範囲を外れるとシンチレータ結晶の結晶性が向上せ
ず単結晶が形成されにくい傾向があるからである。
【0024】次いで、蒸着ボート12に通電してシンチ
レータ結晶13を蒸発させる。こうして、図5(d)に
示すように、各基部7aの上にシンチレータ結晶が柱状
に結晶成長し、複数の基部7aの上に単結晶からなる柱
状部7bが一体的に形成され、基部7aと柱状部7bと
からなる蛍光体層7が得られる(結晶成長工程)。
【0025】以上のような製造方法によれば、基部7a
上に形成される複数の柱状部7bの形および大きさはほ
ぼ揃うようになる。このため、この製造方法によって得
られる蛍光体層7がX線イメージ・インテンシファイア
10内に組み込まれて密封容器1の入力部1aからX線
が入射されると、X線は基板6を透過して基部7aに入
射される。このとき、それぞれの基部7aおよび柱状部
7bにおいて、その内部でX線により発生した蛍光が閉
じ込められ、基部7aおよび柱状部7bの外側に途中で
ほとんど拡散されることなく伝搬される。従って、X線
イメージ・インテンシファイア10の解像度が大幅に向
上する。
【0026】次に、前述した基部パターン形成工程の第
1の変形例について図6を用いて説明する。
【0027】まず、図6(a)に示すように、基板6上
に均一な厚さのシンチレータ層15を蒸着し、このシン
チレータ層15に対し、図6(b)に示すようにレーザ
光源からレーザ光を照射し、例えばレーザ光源を基板6
に対して相対的に移動させながら、複数の基部7aによ
る格子状パターンを形成するように溝堀り加工する。こ
こで、レーザ光としては、エキシマレーザ光、YAGの
3倍高調波などが用いられる。
【0028】次に、前述した基部パターン形成工程の第
2の変形例について図7を用いて説明する。 まず、図
7(a)に示すように、基板6上に均一な厚さのシンチ
レータ層15を蒸着し、このシンチレータ層15上に有
機物層(例えばセルロース)16を形成する(図7
(b)参照)。次いで、この有機物層16をエッチング
により削り取り、基部7aとなるべき部分上の有機物層
16のみを残す(図7(c)参照)。その後、サンドブ
ラストにより、露出したシンチレータ層15を削り取る
(図7(d)参照)。最後に、残った有機物層16を加
熱により焼き飛ばして、基板6上に基部7aのパターン
を得る(図7(e)参照)。
【0029】次に、前述した基部パターン形成工程の第
3の変形例について図8を用いて説明する。
【0030】まず、図8(a)に示すように、基板6上
に均一な厚さのシンチレータ層15を蒸着する。次い
で、図8(b)に示すように、このシンチレータ層15
の上から、シンチレータの融点以上まで加熱した金属製
のメッシュマスク19をシンチレータ層15に押し付け
る。これにより、シンチレータ層15の一部が溶融さ
れ、基板6上に複数の基部7aのパターンが得られる。
【0031】なお、本発明の蛍光体層およびその製造方
法は、前述した実施形態に限定されるものではない。例
えば、本発明の蛍光体層の形状としては、ドーム形状に
限らず、平板状であってもよい。また、基部7aによる
パターン20は、格子状パターンに限定されない。例え
ば図9に示すように、格子状パターンを形成する複数の
基部7aにおいて、任意の4つの基部7aの中央に1つ
の基部7aが配置されるようなパターンであってもよ
い。この場合、基部7aが密に形成でき、柱状部7bも
図10に示すように密に形成できる。従って、放射線撮
像装置などに適用した場合にその解像度を更に向上させ
ることが可能となる。
【0032】また、本発明の蛍光体層は、X線イメージ
・インテンシファイア10への適用に限定されず、種々
の装置に適用可能である。例えば、フラットパネルタイ
プのX線検出器などにも適用可能である。
【0033】以下、実施例により本発明の内容をより具
体的に説明する。
【0034】
【実施例】(実施例1)以下のようにして基板6上に蛍
光体層7を作製した。まず、真空蒸着装置の真空容器内
に蒸着ボート12を設置し、その蒸着ボート12の収容
凹部に60gのCsI13を載置した。
【0035】次に、Alからなる厚さ0.5mmの基板
6を、真空容器内の蒸着ボート12から300mm上方
の位置に水平に保持し、その基板6の上部に電熱ヒータ
を配置した。更に、基板6の上部には直径10mmの磁
石を多数配置しこの磁石によって基板6の下部に厚さ5
0μm、直径150mmのFeからなるドーム状のパタ
ーンマスク11を固定した。このようにすることで基板
6とパターンマスク11との間の間隔を0.5mm以下
とした。ここで、パターンマスク11としては、一辺4
0μmの正方形断面を有し厚さ20μmの四角柱状の貫
通孔11aによって正方格子状にパターン形成されたも
のを用いた。なお、格子状パターンは、最も近い貫通孔
11a同士の間の間隔が20μmとなるものとした。
【0036】次いで、真空容器を密閉し、真空ポンプを
用いて真空引きを行い、真空容器内の圧力を1×10-6
Torrに調整した。その後、蒸着ボート12に通電し
てCsI13を蒸発させた。これにより、パターンマス
ク11の貫通孔11aを通して基板6上にCsI13を
蒸着した。CsI13の厚さは、膜厚測定装置を用いて
測定し、CsI13の厚さが20μmとなった時点で蒸
着ボート12への通電を止めた。
【0037】その後、真空容器を開放し、磁石を外して
基板6からパターンマスク11を取り外した。このとき
の基板表面の様子を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて
斜め上方から観察した。その結果を図11に示す。図1
1に示すように、基板6上には、形および大きさのほぼ
揃った四角錐台の複数の基部7aの格子状パターン20
が得られた。
【0038】次に、蒸着ボート12の収容凹部に200
gのCsI13を載置した。このとき、CsI13は、
蒸着ボート12において回転軸Cから50mmだけ離れ
た位置の収容凹部に配置した。その後、真空容器を密閉
し、真空ポンプを用いて真空引きを行い、真空容器内の
圧力を1×10-6Torrに調整した。そして、電熱ヒ
ータを作動して基板6を300℃に加熱すると共に、回
転駆動装置を作動して基板6を回転軸Cの回りに回転さ
せた。その後、蒸着ボート12に通電し、CsI13を
蒸発させた。そして、CsIの厚さが200μmになっ
た時点で蒸着ボート12への通電を止めた。このように
して各基部7aの上にCsIを柱状に結晶成長させた。
その結果、複数の基部7aの上にシンチレータ単結晶か
らなる柱状部7bが基部7aの上に一体的に形成され、
基板6上に基部7aと柱状部7bとからなる蛍光体層7
が得られた。
【0039】この蛍光体層7をSEMを用いて斜め上方
から観察した。その結果を図12に示す。図12に示す
ように、形成された複数の柱状部7bの形および大きさ
はほぼ揃っていた。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の蛍光体層の
製造方法によれば、複数の基部の上にシンチレータ結晶
が一体的に成長し、形や大きさの揃った柱状部を得るこ
とができる。従って、蛍光体層に放射線が入射される
と、基部および柱状部の内部で発生した蛍光が内部に閉
じ込められ、途中で基部および柱状部の外側にほとんど
拡散されることなく伝搬されるため、放射線撮像装置な
どに適用した場合にその解像度が大幅に向上する。
【0041】また、本発明の蛍光体層によれば、蛍光体
層に放射線が入射されると、基部および柱状部の内部で
発生した蛍光が内部に閉じ込められ、途中で基部および
柱状部の外側にほとんど拡散されることなく伝搬される
ため、放射線撮像装置などに適用した場合にその解像度
が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光体層が適用されるX線イメージ・
インテンシファイアを示す断面図である。
【図2】図1のX線−光変換面の構成を示す断面図であ
る。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図であ
る。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】本発明の蛍光体層の製造方法の一実施形態を示
す端面図である。
【図6】基部パターン形成工程の第1の変形例を示す一
連の図である。
【図7】基部パターン形成工程の第2の変形例を示す一
連の図である。
【図8】基部パターン形成工程の第3の変形例を示す一
連の図である。
【図9】基部によるパターンの変形例を示す平面図であ
る。
【図10】図9の基部上に形成される柱状部の端面を示
す平面図である。
【図11】基部としての沃化セシウムを基板に蒸着した
様子を示すSEM写真である。
【図12】図11の基部としての沃化セシウム上に柱状
部としての沃化セシウムを蒸着した様子を示すSEM写
真である。
【符号の説明】
6…基板、7…蛍光体層、7a…基部、7b…柱状部、
11…パターンマスク、11a…貫通孔、13…シンチ
レータ結晶、15…シンチレータ層、20…パターン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 29/18 H01J 29/18 M 5C037 31/50 31/50 A // C09K 11/61 CPF C09K 11/61 CPF Fターム(参考) 2G088 EE03 FF02 GG20 JJ05 JJ37 4H001 CA01 CA08 XA53 XA55 4K029 AA02 BA41 BC07 CA01 DB01 DB05 HA03 5C028 FF05 FF08 FF12 FF14 5C036 AA01 AA02 5C037 GG05 GH04 GH19

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成されシンチレータ結晶から
    なる蛍光体層の製造方法において、 前記基板上に前記シンチレータ結晶からなる複数の基部
    を、該複数の基部が互いに離隔するようにパターン形成
    する基部パターン形成工程と、 前記基部上に、前記基部を構成する前記シンチレータ結
    晶と同一種類のシンチレータ結晶を成長させて柱状部を
    形成し、前記基部と前記柱状部とからなる蛍光体層を得
    る結晶成長工程と、を備えることを特徴とする蛍光体層
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記基部パターン形成工程において、前
    記複数の基部を互いに同一の形状とし、最も近い前記基
    部同士の間の間隔を前記基部の幅の1/10〜1/2と
    し、かつ前記基部の厚さを前記基部の幅の1/10〜2
    とすることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体層の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記基部パターン形成工程において、前
    記基板上に複数の貫通孔を有するパターンマスクを密着
    させ、前記パターンマスクの貫通孔を通して前記基板上
    に前記シンチレータを蒸着した後、前記パターンマスク
    を前記基板から取り外して前記基板上に前記基部を形成
    することを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光体層
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記基部パターン形成工程において、前
    記基板上にシンチレータ層を形成し、そのシンチレータ
    層に対しレーザ光を照射して溝堀り加工して前記基板上
    に前記基部によるパターンを形成することを特徴とする
    請求項1又は2に記載の蛍光体層の製造方法。
  5. 【請求項5】 基板上に形成されシンチレータ結晶から
    なる蛍光体層において、 前記基板上に設けられる所定
    パターンの前記シンチレータ結晶からなる基部と、 前
    記基部上に一体的に設けられる前記シンチレータ結晶と
    同一種類のシンチレータ結晶からなる柱状部と、を備え
    ることを特徴とする蛍光体層。
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