JP2001281313A - 磁界センサー、それを用いた磁気式エンコーダー、及び磁気ヘッド - Google Patents

磁界センサー、それを用いた磁気式エンコーダー、及び磁気ヘッド

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JP2001281313A
JP2001281313A JP2000326488A JP2000326488A JP2001281313A JP 2001281313 A JP2001281313 A JP 2001281313A JP 2000326488 A JP2000326488 A JP 2000326488A JP 2000326488 A JP2000326488 A JP 2000326488A JP 2001281313 A JP2001281313 A JP 2001281313A
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Osamu Shimoe
治 下江
Chiharu Mitsumata
千春 三俣
Masahiro Mita
正裕 三田
Yukimasa Moronowaki
幸昌 諸野脇
Hiromitsu Itabashi
弘光 板橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゼロ磁界で直流出力を発生しない高感度の磁
気抵抗効果素子を用いた磁界センサーを提供する。 【解決手段】 磁気抵抗効果を有する強磁性膜に磁気的
なバイアスを印加するバイアス膜を備える磁気抵抗効果
素子と、前記磁気抵抗効果素子に交流電流を供給する手
段と、前記磁気抵抗効果素子の直流電圧を検知する手段
とを有し、前記バイアス膜は導電性膜あるいは強磁性膜
であり、前記磁気抵抗効果素子は、前記交流電流により
感磁特性の動作点が移動することを特徴とする磁界セン
サーを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部の磁気信号
(外部磁界)に応じて高感度に抵抗値が変化する磁気抵
抗効果素子を用いた磁界センサーに係わる。特に、磁界
ゼロ点の位置が明確に決まり、磁界以外の外乱(温度
等)によって磁界ゼロ点の位置が変動しない磁気センサ
ーに関する。地磁気検出、車両検知、電流センサー、エ
ンコーダー、弱磁界センサー、磁気ヘッド等に適用する
ことができる。
【0002】
【従来の技術】磁気抵抗効果素子を用いたセンサー(Ma
gnetoresistance Sensor)は、直流電流を流した強磁
性膜に外部磁界を印加して、この外部磁界に応じて強磁
性膜の抵抗値が大きく変化することを利用した高感度の
磁気センサーである。従来、磁気抵抗効果素子(MR素
子)に巻いたコイルに交流電流を流し、コイルからMR
素子にバイアス磁界を印加するとともに、直流電流を印
加しているMR両端の交流電圧を検出していた。あるい
は、ストライプ状にパターニングしたMR素子につい
て、パターンの長手方向の異なるMR素子を複数個組み
合わせてブリッジ接続し、直流あるいは交流を印加し、
出力直流電圧あるいは交流電圧を測定していた。通常交
流の電圧測定には同期検波回路を含むロックインアンプ
が用いられ、直流磁界の検出を行っていた。他の方法と
してはストライプパターン方向と通電電流方向を意図的
に45度異ならせたいわゆるバーバーポール電極を用いた
薄膜強磁性金属磁気抵抗効果センサをブリッジ接続し、
出力電圧を測定していた。これら磁気抵抗効果素子は強
磁性体を用いているため、ヒステリシスを持つ事が問題
であった。また一旦強い磁界にさらされると、素子が磁
化し感度特性が変化するという問題があった。これを解
決するためにコイルを薄膜強磁性体磁気抵抗効果素子と
同一基板上に組み込み、薄膜強磁性体磁気抵抗効果素子
の磁化をリセットする方法などが考えられている。
【0003】薄膜強磁性金属磁気抵抗効果センサは抵抗
体であり、磁界により変化する抵抗分が小さく、抵抗器
の電圧降下のための直流成分が大きく、ブリッジ接続を
行い直流分の相殺が必要であった。このため複数の特性
のそろった素子が必要であった。しかし熱バランスを含
めた完全に同一の素子を作る事ができず、オフセットが
発生し、これが温度により変化するため温度特性が悪か
った。このため微少な直流磁界を測定する事が困難であ
った。またこのドリフトを避けるために、交流分の測定
に置き換えることが一般に行われているが、コイルで交
流の外部磁界を作り出す事が必要で、検出にもロックイ
ンアンプ等の位相を含めた測定が必要で有り複雑、高価
となった。大出力を得るために巨大磁気抵抗効果等の新
規な発明があるが、これも弱磁界での抵抗変化分は従来
の磁気抵抗効果素子と比較して決して大きいもでではな
く簡単な弱磁界測定法が確立したとは言えない。このよ
うに従来技術ではコイルを用いず、簡単な構成で、微弱
直流磁界を測定する事が困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】解決すべき課題として
まず弱磁界の測定は構成が複雑であると言える。近年M
Iセンサと言われる薄膜強磁性体に高周波電流を通電す
る方法もあり、また以前より使われていた強磁性体にコ
イルを巻き強磁性体の透磁率を変化させることによりこ
の強磁性体を通過する磁力を変化させ、この変化した磁
束をコイルで電圧として取り出すフラックスゲートと呼
ばれる弱磁界を計測する方法などがある。しかし、いず
れもコイルを必要とする事が多い。
【0005】また強磁性体磁気抵抗効果素子を用いた場
合も、ブリッジを組み直流分の除去が必要であり、この
時バランスがずれ温特悪化。これを避けるためにコイル
を用い外部からの磁界を変調する事により直流弱磁界を
測定する事も可能であった。しかし、コイルを巻き付け
る工程に時間がかかり、磁気抵抗素子に予め成形したコ
イルを通してから電極に固定するにしても、ハンダづけ
のときに素子とコイルとの相対位置関係を正確に確保す
ることが難しい。さらに、コイルのインダクタンスのた
めに、駆動周波数を上げることができない。このように
直流から高周波までの弱磁界の検出には適当な物がな
く、価格が高く、寸法も大きかった。
【0006】しかし、MR素子を使うことができれば、
コイルがないので小型、安価となることが予想される。
またこれはHDDの磁気ヘッドに用いられるように50
0MHzまでの十分高い高周波で使用でる。さらに外乱
磁界で特性が変化する事を考える必要もない。外乱磁界
とは、本来検知すべき外部磁界以外の磁界を指す。そこ
で、本発明は、外乱磁界を受けてもバイアス磁界の向き
が変動しにくい構成のMRセンサーを得ることを目的と
する。本発明では感磁部が永久磁石膜、反強磁性膜等を
用いず強磁性体のみで構成される。本発明では内部で十
分大きな交番磁界を測定時印加した事になり、外乱があ
っても消磁されるため特性の変化がなく。ヒステリシス
もない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の磁界センサー
は、磁気抵抗効果を有する強磁性膜と、前記強磁性膜に
磁気的なバイアスを印加するバイアス膜を備える磁気抵
抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子に交流電流を供給
する手段と、前記磁気抵抗効果素子の直流電圧を検知す
る手段とを有し、前記バイアス膜は導電性膜あるいは強
磁性膜であり、前記磁気抵抗効果素子は、前記交流電流
により感磁特性の動作点が移動することを特徴とする。
前記強磁性膜には主として単層膜を用いる。但し、単層
膜と同様に磁化の変化を生じるものであれば、前記強磁
性膜として、多層膜あるいは強磁性膜間に非磁性膜を介
した積層膜を用いてもよい。前記直流電圧は、磁気抵抗
効果素子の両端に生じる電圧の直流成分に相当する。
【0008】上記本発明において、前記磁気抵抗効果素
子は基板上に形成されることが望ましい。交流電流を供
給する手段や直流電圧を検知する手段は、導電性の配線
膜を介して磁気抵抗効果素子に接続する。また、磁気抵
抗効果を有する強磁性膜とバイアス膜の間には磁気的な
スペーサとなる非磁性材料で構成した膜を設けることが
望ましい。交流電流は、発振器による反転電流を含む不
連続な波形であっても向きが正負に変わる波形であれば
よい。直流電圧を検知する手段は、1個のコンデンサ
ー、直流成分をパスするフィルター、積分回路、OPア
ンプ等を使用することができる。交流電流を供給する手
段として、次に挙げる第1から第3の構成のいずれかを
用いることができる。第1の構成は、トランスを介して
発振器の出力を磁気抵抗効果素子に入力するものであ
る。第2の構成は、発振器の出力にコンデンサーと抵抗
を直列に接続し、このコンデンサーと抵抗の中点の電圧
を磁気抵抗効果素子に入力する構成である。第3の構成
は、第1の構成においてコンデンサーと直列接続する抵
抗を本発明のSALバイアス型MRに置換する構成であ
る。
【0009】本発明の他の磁界センサーは、磁気抵抗効
果を有する強磁性膜と前記強磁性膜に磁気的なバイアス
を印加するバイアス膜を備える磁気抵抗効果素子を複数
有し、前記磁気抵抗効果素子を直列に接続して、一端を
出力端とし、他端を基準電圧入力端とし、前記磁気抵抗
効果素子を直列に接続した接続点に交流電流を供給する
手段を有し、前記出力端に直流電圧を検知する手段を備
えることを特徴とする。前記複数の磁気抵抗効果素子を
同一基板上に設けることもできる。ここで、接続点に印
加する前記交流電流を供給する手段としては、発振器を
用いることができる。また、出力端に設ける構成は、第
1から第3の構成を用いることができる。第1の構成は
コンデンサーである。第2の構成は直列抵抗とその接続
点と接地点の間にコンデンサーを設けた構成である。第
3の構成はOPアンプである。
【0010】上記本発明のいずれかの磁界センサーで、
地磁気あるいは電流による弱磁界を検知することができ
る。また、上記本発明のいずれかの磁界センサーと、こ
の磁界センサーに対向させる磁気ドラムを備える磁気式
エンコーダーを構成することで、磁気ドラムの小型化を
図ることができる。磁界センサーと磁気ドラムは所定の
間隔(ギャップ)をおいて対向する。また、上記本発明
のいずれかの磁界センサーと、前記磁気センサーの近傍
に配置した磁気シールドを備えることで高感度の磁気ヘ
ッドを構成することができる。磁気シールドは絶縁膜を
介して前記磁気センサーを挟む一対の軟磁性膜で構成す
ることができる。
【0011】本発明に係る作用を説明する。図1に強磁
性薄膜からなるMR素子について、その抵抗値の外部磁
界依存性を示す。この強磁性薄膜は電流の方向と強磁性
薄膜の磁化方向のなす角によって、抵抗値が変化するた
め、磁気抵抗効果素子として用いることができる。外部
磁界が印加されていない状態では、形状異方性のために
磁化は強磁性薄膜の長手方向を向いている。このとき、
強磁性薄膜の抵抗値が最も大きい。外部磁界を強磁性薄
膜の幅方向に印加すると、磁化は外部磁界の方向に向き
を変えはじめて、抵抗値が減少してくる。
【0012】次に、磁気抵抗効果の小さな軟磁性体のバ
イアス膜を磁気的な絶縁層を介して上記の強磁性薄膜に
設けた軟磁性膜バイアス式磁気抵抗効果素子(SALバ
イアスMRと称す)を用いて、抵抗値の外部磁界依存性
を検討した。同様に、外部磁界を印加すると抵抗値は減
少していくが、抵抗最大となる外部磁界の値は電流値に
依存し、電流値0、I1、I2に応じて曲線がシフトし
て、外部磁界依存性が変化する。電流の向きを反転する
と磁気抵抗効果を表わす曲線も逆向き(外部磁界の負の
向き)に移動する。本明細書では、以下の記述で上記S
ALバイアスMRをMR素子と称する。
【0013】絶縁層を介して対向するバイアス膜(SA
L)5と強磁性膜(MR)3とそれらの間にある磁気絶
縁層からなるMR素子は、長手方向に電流Iを流すと内
部磁界Hint(ループ状の矢印)が発生し、矢印の方向
にそれぞれの膜の磁化が向く。これらの矢印の向きが電
流値I(負、0、正)に応じて変化する様子を図3に図
示する。電流が小さい場合、抵抗―外部磁界の関係は図
1と同じであるが、電流が正の時は内部磁界Hintによ
り、曲線は図2のように右側(外部磁界正の向き)に動
く。ここで、小さな正の外部磁界がMR素子に加えられ
ると、磁化は長手方向に少し向きを変え、電流と磁化と
のなす角θは減少する。抵抗の変化値はcosθの自乗
に比例して変化する。したがって、抵抗値は増加する。
結果を図2に示す。電流が負の場合は極性が逆となる。
これらをMR素子の電流電圧の関係で表示する(図4)。
外部磁界ゼロで、原点を通り、電流大の時にリニアより
やや抵抗小となる。外部磁界正の時、原点を通り、電流
正方向でやや抵抗大のため電圧が大となる。逆に電流負
ではリニアより大幅に電圧小となる。つまり、電流電圧
特性が非対称の非線形となる。外部磁界が負の場合も同
様に電流正で抵抗小となり、電流負で抵抗大の非対称性
を示す。
【0014】外部磁界がゼロの場合、電圧電流特性は次
のようになる。電圧の小さな領域に比べて電圧の大きな
領域の抵抗値が下がり、原点付近での線形性から求めら
れる値より、やや大きな電流が流れる。しかし、原点に
対しては対称である。これに対して、外部磁界がある場
合には抵抗値の大きな値を示す電流値がこの電流によっ
て発生する内部磁界によって移動するため、電流の向き
によって正負の電圧値が異なる非線形性が現れる。すな
わち、このMR素子は外部磁界のない場合、電圧電流特
性が対称であるため交流電圧を印加しても流れる正負の
電流に差はないが、外部磁界の有る場合は正負の通電電
流が同じでも電圧値に差の生じることとなる。もちろ
ん、正負同一の電圧値に対して流れる電流も異なるわけ
である。
【0015】図5に比較例を示す。ここで、抵抗値Rの
SALバイアスMR素子を2つ用意し、これらを磁界中
に置いて、一定の大きさの電流を流すことを考える。一
方は抵抗の増加する方向に、他方は抵抗が減少する方向
に配置する。すなわち、外部磁界と電流のなす角が一方
は正の90度であり、他方は負の90度に配置し、これ
らを直列に接続して、両端に極性の異なる等しい大きさ
の電圧Vinを印加し、中点の電圧Voutを計測する事を
考える。外部磁界Hoで抵抗値がそれぞれΔR変化する
と考えると、中点出力にはVout=−Vin*ΔR/Rの
電圧が現れる。ここで出力端にコンデンサCを接続して
も交流の出力電圧に変化はない。この時の回路の時定数
はR*C/2である。
【0016】図6は本発明の構成である。時定数より速
い周期で周期的に電圧を正負に切り替えて、一つの素子
に同一の動作を行なわせて、図5と同一の出力電圧を得
ることができる。一つの素子としたデメリットは出力抵
抗の増加である。R/2であった出力抵抗が、2個の素
子を用いることでRになる事である。しかし、電圧の測
定器すなわち後に接続される回路の入力インピーダンス
が十分に素子の抵抗値に比べ大きければ変化はない。具
体的には図7に示すように矩形波の発振器と、入力電圧
に直流分を持たせないためにトランスによって実現され
る。トランスを用いない回路を図8に示す。矩形波の電
圧源の出力を一旦コンデンサC2で直流分を無くし、改
めて抵抗R2により基準電位を与える事によって実現さ
れる。これでも同一の動作を行わせることができる。本
発明では一つの素子を用いながらあたかも2つの素子を
用いたように動作させることができるため、従来のよう
にブリッジ回路のバランスやオフセット電圧やドリフト
を全く考慮する必要がない。もちろん出力電圧の測定に
は十分に高い入力インピーダンスを持つ事が必要であ
る。
【0017】MR素子の電流電圧特性に関し、実際のM
R素子では電圧と電流の積に相当する電力がMR素子で
消費されるため、MR素子は発熱し温度が上昇する。こ
のため、素子の電流電圧特性は図4に示すようにはなら
ず、2次曲線と内部磁界による抵抗変化との合成で表わ
される曲線となる。しかし、交流電源の周波数は熱の伝
播より十分に早くすることができるため、内部磁界によ
る抵抗値の変化のみによって動作が決まる。このような
正負の電圧に対して非線形性持つ電子回路部品としては
整流用ダイオードが上げられる。本発明は軟磁性膜バイ
アス式磁気抵抗効果素子を整流用ダイオードが使われる
回路構成で使うものである。次に実施例を用いて詳細に
本発明を説明する。
【0018】
【発明の実施の形態】(実施例1)図面を用いて、本発
明に係るMR素子10の構成を図9の斜視図で説明す
る。このMR素子10は、磁気抵抗効果膜(MR膜)/
非磁性膜/バイアス膜を積層したストライプと、その両
端に設けた一対の電極を基板の上に備える。このMR素
子10の製造工程を説明する。まず、ガラス基板1上に
Crの下地膜2をスパッタリングで成膜した。このCr
下地膜2の上に異方性を有するNiFeのMR膜3を直
流スパッタリングで成膜した。さらに磁気的な絶縁膜と
してタンタルの非磁性膜4と、NiFeを主成分とする
バイアス膜5を順にスパッタリングで製膜して多層膜を
得た。
【0019】次に、フォトレジストを利用したパターニ
ングによってこの多層膜をストライプの形状の加工し
た。パターニング工程は、フォトレジスト膜を塗布する
工程、マスクを介してフォトレジストをストライプの形
状に沿って露光する工程、フォトレジスト膜の一部を除
去する工程、フォトレジストを除去することで露出した
積層膜をエッチングで除去する工程、フォトレジスト膜
を除去する工程を含むものとした。この後、ストライプ
の両端にタンタル膜(Ta)及び銅膜(Cu)からなる
電極8を形成し、パターンニングを行う。その後、多層
膜を保護するためのアルミナの保護膜を成膜した。電極
8に相当する箇所に穴を開けて配線を設けることとし
た。外部に取り出し用の配線電極を作製する。
【0020】実施例1のMR素子による磁界抵抗特性を
示す。図8は、このMR素子を回路で動作させた本発明
の磁界センサーの回路図である。その出力特性を検討し
た。この回路は、交流電圧電源である発振器12と、こ
の発振器の直流成分をカットするコンデンサC2と、こ
の発振器にゼロ電位を付与する抵抗R2と、抵抗Rで表
したMR素子10と、平滑コンデンサCを有する。発振
器はこの回路に100kHzの矩形波を入力する。発振
器からみると、コンデンサC2とMR素子10と平滑コ
ンデンサCを直列に接続して、平滑コンデンサCの両端
の電圧Voutをデジタル電圧計で測定する。C2のR側
と発振器のアースの間には抵抗R2を接続する。発振器
のアース側は0(V)端子と共通である。
【0021】次に測定の条件を述べる。MR素子のスト
ライプ幅方向に加える外部磁界Hoは、−20から20
(Oe)とした。このストライプ幅方向は、Rに流す電
流の向きとほぼ垂直な向きである。MR素子に流す交流
電流Iは、周波数100(kHz)であり、矩形波のゼ
ロ−ピーク間で16〜40(mA)とした。ストライプ
幅は50(μm)、長さは0.5(mm)である。MR
膜の厚さは18(nm)とし、絶縁層は5(nm)、バ
イアス膜の厚さは18(nm)にした。ストライプの抵
抗値は170(Ω)であった。このような条件で測定し
たところ、図10に示す出力特性を得た。横軸は10
−4(T)を単位とする外部磁界Hoとし、縦軸は図8
の回路の出力電圧Vout(mV)とした。MR素子に流
す電流を増加させるとともに出力は増大し、1(Oe)
以下の磁界に対して非常に良い直線性を示した。出力の
最大値は25(mV)であった。図10のグラフの特徴
は、原点に対し対称な出力波形であり、発振器の出力等
の使用条件を変えても、原点は動かず、明確に磁界ゼロ
を検出できる事を示している。すなわち、本発明は微少
な直流外部磁界の測定に向いていると言える。また、M
R素子の接続端子を逆方向とすると出力電圧は反転し
た。ここでは回路全体のコストを考えて、発振器出力の
もつ直流分をコンデンサと抵抗で遮断した場合を示し
た。ゼロ電位付与手段として用いたR2は固定抵抗器で
あり、発振器出力の負荷となる。このため、固定抵抗器
の代わりに発振器の負荷とならないトランス、チョーク
等の巻線部品を用いる事が可能である。図7に示すよう
に、コンデンサC2と抵抗R2の部分をトランスに置き
換えることもできる。例えば、小型のフェライトコアを
用いた巻線比1:1のトランス11を用いて交流電源か
ら回路に信号を加えた場合も同様の特性となった。
【0022】実施例1の交流電源は、矩形波を出力す
る。矩形波を用いると、出力を正弦波にした場合に比べ
て2倍ほど大きい出力を得られることが判った。本発明
は、電流バイアス、あるいはSALバイアス等のバイア
ス電流によって動作点(感磁特性)の変化する磁気抵抗
効果素子に交流電流を流し、その時のMR素子の非線形
性によって発生する直流電圧を測定することにより外部
磁界を測定検知する磁界センサーである。第2の比較例
として、MR素子に外部コイルを設け、その外部コイル
に交流を流し、その出力を同期検波回路で検波する回路
が考えられる。本発明の回路はこの比較例の回路と等価
である。同期検波回路の箇所をMRの出力(小信号部)
からMR電源(大信号部)に変更した事と等価となって
いる。しかしながら、この回路方式は第2の比較例に比
べて、同期回路に起因するような雑音がなく、交流増幅
器が不要であるため、低雑音であり、部品点数を少なく
することができる。
【0023】図10の特性には、比較例にない特徴があ
る。図8の構成は、直流分を持たない交流入力に対し
て、1つのMR素子でブリッジ回路のように引き算を行
い、直流出力を得る。従って、ゼロ点(外部磁界ゼロ、
出力電圧ゼロの点)が変動せず、明確に外部磁界ゼロの
点を求めることができる。このように、本発明ではゼロ
磁場でゼロ出力がとれるため、複数のMR素子や差動増
幅器の入力バイアスのばらつきに依存することなく、増
幅検出することが容易となる。また、回路構成も簡単で
ある。
【0024】図11に、この回路を用いた弱磁界測定器
の回路を示す。まず、矩形波を得る手段を説明する。D
フリップフロップが2つが入っているCMOSデジタル
IC(型番:74AC74)の片方のフリップフロップ
をインバータとして用い、RC3段の移相回路とからな
る200(kHz)の発振回路を構成し、他方のフリッ
プフロップでその出力を2分の1に分周した。この回路
構成で正確にディーティ50%の矩形波を得ることがで
きる。
【0025】このフリップフロップの出力(矩形波)の
直流成分をコンデンサC2により遮断して、抵抗器R2
で接地電位を与えてから、MR素子10とコンデンサC
を直列に接続した経路に導いた。コンデンサCの両端に
発生した直流電圧をμA741型のオペアンプ14によ
り増幅して出力電圧Voutを得た。この出力電圧Voutと
0(V)電位のアース間をデジタル電圧計で測定した。
この回路構成は、0.35(V)/1(Oe)の感度を
もつ磁力計となった。この感度は、車両検出、位置検出
(小型・高感度磁気センサの応用、MIセンサの自動車
走行システムへの応用、第107回研究会資料、1998/11
/6日本応用磁気学会)に適する感度を持っている事が分
かる。この事からこれら用途に本発明の磁界センサーの
適用が可能である。
【0026】本発明では1つのMR素子の出力を交流入
力の正負に対応して引き算をしている事となり、偶数次
の歪みが相殺する。従って、リニアリティーが非常に良
い。また、この引き算のため、磁界変化に対する出力電
圧変化、すなわち感度も従来の1つの素子の出力電圧に
比べ大きくなっている。さらに、バイアス磁界を発生さ
せるための外部コイルが不要であるため、外部コイルの
インダクタンスによる交流電源の周波数制限がなく、数
百(MHz)まで使用することが可能である。回路構成
もCMOSデジタルIC(74ACタイプ)を用いる事
により、容易に変調周波数50(Mhz)程度まで対応
可能である。さらに、MR素子は小型であるため空間分
解能が大きく、アレイ化も容易である。また、厳密な磁
界強度を測定するためには、従来通りコイルや単に電流
通路を近接させるだけで、そこに発生する磁界を用い負
帰還磁界を印加することも可能である。MR素子内部の
磁化の向きをチョッパ周波数で電流により発生する磁界
で強制的に動かしているので、ヒステリシスも発生しな
い。磁界の速い変化を測定する必要がない場合は、消費
電力を低減させる事が望ましい、その場合にはMR素子
の間欠駆動や、1周期あたりの通電時間の減少が望まし
い。出力直流成分に含まれる交流分の低減に平滑コンデ
ンサを用いたが、この代わりに遮断特性の良いローパス
フィルターをいれると、より変調周波数に近い周波数、
例えば変調周波数の5分の1まで信号周波数として使う
ことも可能になった。
【0027】(実施例2)本発明の回路はMR素子の非
線形性によって、交流入力が直流に変換されたと考える
ことができる。そのため、MR素子を整流用のダイオー
ドと考えれば多倍圧の整流回路の類推から出力の増倍が
可能と考えられる。図12、図13は2倍圧あるいは3
倍圧の整流回路について、整流器をMR素子に置き換え
た回路である。図14はその磁界と出力の特性である。
発振器の出力電圧を一定に保った場合、出力電圧は各々
2倍、3倍の出力を得ることができた。このとき、MR
素子の接続は直流成分が2つ及び3つのMR素子に外部
磁界が同一方向となるように接続した。この結果、従来
の構成では電源電圧と抵抗変化率との積で制限されてい
た最大出力電圧が電源電圧によらず、大きな出力を得る
ことができるようになった。このため、次段の回路設計
が容易となり、特に高価でドリフトの小さい直流増幅器
を用意する必要がなくなった。また、ストライプ形状も
接続方向のみ同一にすれば良く、その配置を自由に設計
できる。また、その出力の直流分を任意の電位に選べる
ため、次段の増幅器や比較器の動作点を自由に選ぶこと
ができ、電圧計などを任意に後段に接続する事ができ
る。また、両波整流の多倍圧回路を用いれば交流分を減
少させることができる。例えば、コッククロフト回路を
2個組み合せた対象型カスケード直流高電圧発生回路に
本発明の構成を適用する。
【0028】本実施例では、2倍圧あるいは3倍圧の整
流回路を元に考えたが、この発明によれば多段整流回路
を参考に、これ以上の多倍圧化により直接大電圧が得ら
れる。従来の方法では、MR素子にかかる電圧は電源電
圧で制限されており、大きな出力電圧を得るためには、
電圧降下の小さな定電流源で電源電圧からMR素子を駆
動していた。そのために最大出力電圧は、電源電圧と抵
抗変化率との積で制限されていた。本発明では、素子の
駆動を交流で行うため、直流電位に関係なくコンデンサ
で自由な電位を与えることができる。すなわち、交流的
には並列で素子の駆動を行い、直列に出力を取り出すこ
とになる。従って、本実施例では磁気抵抗効果素子に電
源電圧の2倍あるいは3倍の電圧源で駆動した事と等価
であり、大きな出力電圧を得た事になる。MR素子の駆
動電圧源には交流電源から見た並列素子数を駆動できる
よう、低い出力抵抗とする必要がある。本実験ではMR
素子の抵抗値Rが約170Ωであり、電源電圧を5Vに
設定したため、各MR素子に25(mA)の電流を必要
としたが、MR素子の幅を小さくする事でMR素子の抵
抗値を上昇させる事が可能であり、現状で幅約1(μ
m)までのMR素子を作ることができる。このとき、必
要な電流は1素子あたり1(mA)と計算で求められ、
通常使われているCMOSデジタルICでMR素子を駆
動することが可能である。
【0029】(実施例3)図15に一実施形態である集
積化電流センサー50の一例を示した。ガラス基板21
の上にMR素子23とコンデンサの一方の電極24,2
5を成膜し、これらを所定の形状にパターンニングし
た。次に、アルミナ膜31を0.2(μm)の厚さで成
膜し、2箇所に孔34a,34bを形成した。コンデン
サの他方の電極となるアルミ電極32,33をアルミナ
膜31の上に成膜・パターンニングを行った。最後に、
保護膜36を成膜し、取り出し電極部とするための孔を
形成した。これらの孔は、アルミ電極33をアースする
ためのGND35と、出力26を取り出すための電極孔
37と、一方のコンデンサ群をつなぐアルミ電極32に
信号φ2を入力するための電極孔38bと、他方のコン
デンサ群をつなぐアルミ電極32に信号φ1を入力する
ための電極孔38aと、REF電極22にREF信号を
入力するための孔38である。図15の構成は、詳細を
判りやすく説明するためにガラス基板21とアルミナ膜
31と保護膜36を分けて分解図としたが、実際にはこ
れらを積層して一体化するものとした。また、このプロ
セスは1枚のガラスのウェファー上に同様のパターンを
多数一括形成した後、各々を切り離すことにより、多数
の集積化電流センサー50を作製した。
【0030】図15の構成の回路図を図16に示す。こ
の回路の内部構成は、6倍圧整流回路の整流器をMR素
子Rに置き換えた回路を用いた。これにより、図12の
構成に比べて約6倍大きい出力を得るようにした。各コ
ンデンサC2は約200(pF)とした。各MR素子R
の幅は10(μm)とし、長さは150(μm)とし
た。φ1とφ2の駆動周波数は40(Mhz)とした。
図16内の上の部分は集積化センサー50の回路図であ
り、図16内の下の部分は、集積化センサーに信号φ1
とφ2を入力する構成と、集積化センサーの出力(上の
図のOUT端子、あるいは図15の出力26)をオペア
ンプ52で増幅する構成とした。φ1とφ2は位相が1
80度異なる。フリップフロップとインバータを用いる
点は、図11の構成と同じであるが、片方の出力をφ2
として用いる点が異なる。オペアンプには、抵抗R11
とR12とR13を設けた。60(mV)/1(mA)
の感度を持ち、分解能0.1(mA)である集積化電流
センサーとして動作した。
【0031】図17に、この集積化電流センサー50を
プリント基板上に設けて、配線パターンに流れる電流の
検知する様子を示す。この構成では、集積化電流センサ
ー内のMR素子がプリント基板に対向するように、基板
に対して裏向きに半田付けで固定した。ここで裏向きと
は、集積化センサーの保護膜36側がプリント基板と向
き合うように配置することをいう。定電圧源55から配
線パターン53に流す電流を、集積化電流センサー50
で検知する。デジタルIC51はインバータとフリップ
フロップを内蔵して集積化電流センサー50に矩形波を
供給する。オペアンプ52は集積化電流センサー50の
出力を増幅する。
【0032】図15の構成において、アルミ電極をパー
マロイ膜に置き換えた場合についても実験を行った。集
積化電流センサーの電流感度は約2倍となったが、MR
素子の向きによって出力が変動した。この変動は集積化
電流センサーが電流による磁界と合わせて地磁気を検知
していることに起因すると考えられる。パーマロイ膜に
より感度が上昇したにもかかわらず、地磁気のために実
用的な分解能は変化しなかった。ただし、被測定電流通
路を取り巻くように、軟磁性体で磁路を形成して磁気シ
ールドとすれば、この問題は解決し、分解能も向上する
事は明らかである。
【0033】また、MR素子とコンデンサを成膜・パタ
ーンニングする基板上に、発振回路、増幅器及び/ある
いは比較器及び/あるいは定電圧電源回路を組み込んで
一体化した集積化電流センサーを得ることもできる。こ
のとき、集積化電流センサーの外部には電源端子と出力
端子のみが必要となる。この集積化電流センサーは外部
磁界により出力の変化する機能部品である。また、検知
すべき電流を流す通路(電流通路)を集積化電流センサ
ーの内部に組み込んで、外部に設けた端子から電流を導
入する構成とすれば、電流センサーとしての機能を単一
のセンサーで実現した事となる。さらに、この集積化電
流センサーで外部の電流を測定して、内部の電流通路に
帰還電流を流せば高精度のサーボ型の電流検出器とな
る。
【0034】(実施例4)図18に、本発明の一実施形
態であるエンコーダを示した。この磁気式エンコーダ
は、磁気ドラム60の外周面に設けた磁化パターンを、
基板65の磁気センサーで検知し、磁気ドラムの回転角
を検知するものである。基板65にはMR素子を14個
設けて磁気センサーを構成した。そのうち、8個のMR
素子62は従来のインクリメンタル相を検知する磁気セ
ンサーとした。MR素子を2個ずつ組にして、各々を電
気角で90度づつずらして配置した。4個のMR素子毎
にブリッジ接続して、接続点は電極63に導通させた。
このブリッジから電気角で180度異なるMR素子の差
動出力を取り、増幅中点電位である基準電圧と比較し
て、AB相と言われるインクリメンタル相の出力を得
た。これらに流す電流は小さく、動作電流による外部磁
界に対する感度特性は原点に対し対称で、動作点が殆ど
移動しない状態で使用できた。残りの6個のMR素子6
1c,61dは、2個づつ直列に接続され、電流方向が
平行となるように接続部を設けた。また、直列にしたM
R素子の両端には電極64aを形成した。この接続部は
磁界を感じないようにアルミニウムで構成した。このよ
うにして合計3個の磁気センサーを構成し、モータの転
流制御用のUVW相に用いた。
【0035】U相に着目して、従来構成と比較しながら
実施例4の動作を説明する。従来の磁気センサーは磁界
の方向を検知できなかった。例えばU相では、図19に
示すように2つのトラックを設け、媒体の移動方向と直
角方向に磁化が向くように着磁し、各々のトラックに対
向して最低2個のMR膜を設ける。一組のMR膜61a
が磁界を検知しているとき、他方のMR膜の組61bが
磁界を検知しないように2つのトラックを着磁し、2組
のMR膜の抵抗変化を差動接続で出力として取り出して
いた。すなわち、一つの相あたり2つのトラックがあ
り、各々は媒体の移動方向に直角な方向(たとえば、円
柱状のドラムの場合は、円柱の回転方向と直角のドラム
の高さ方向)に磁化しており、各々のトラックで着磁の
有無に対応して出力が反転するように接続されていた。
実際の磁気センサーではUVWの6個のトラックとAB
相の1個のトラックが最低必要であり、隣接するトラッ
クに書き込まれた信号や非着磁部分と他のトラックの信
号とを誤って読み取らないように、各磁気センサー間の
距離を離しておく必要があった。このような構成は、特
開平2−45803号公報や特開平4−77245号公
報などに開示されている。
【0036】本発明の磁界センサーでは、磁界の正負を
判定できるため、図20に示すように各相のトラックは
一つでよく、媒体の移動方向に対して直角な磁化が、極
性を交互に変えて着磁されている。UVW相のトラック
幅は従来の半分となる。本発明によると、着磁出力の反
転に対応する角度で磁化が反転する。次に、周辺回路に
ついて説明する。従来はMR膜を備える3個のブリッジ
回路の出力を、一旦オペアンプで増幅した後、比較器を
用いて矩形波に変換していた。本実施例では3個の磁気
センサーを共通の発振器で駆動した。出力の基準を2.
5(V)として次段にコンパレータを用いた。本発明で
は非着磁部分がないため、隣接トラックからの影響も小
さく、磁気センサーの大きさを従来の約半分にすること
ができた。また、感度も増加しているため、磁気ドラム
と磁気センサー間の相対的な位置が大きく、各構成部品
の寸法公差に余裕を持てることが明らかとなった。
【0037】(実施例5)さらに大きな出力を得たい場
合には、磁気抵抗変化率の大きなCo/Cu多層膜から
なる人工格子(GMR素子)を用いることが望ましい。
GMR素子73にSAL膜75を設けた1実施例を、図
21に示した。GMR素子の構成はCo膜2(nm)/
Cu膜2(nm)の2層膜を繰り返し9層積層して、最
上層に2(nm)のCo膜を積層した。その上に5(n
m)のTa膜を介してバイアス膜(SAL膜)を積層し
た。バイアス膜には不純物を添加したパーマロイを20
(nm)成膜してパターンニングした。GMR素子は抵
抗変化率が大きいため、大出力を得ることができた。
【0038】(実施例6)磁気インク等を用いた磁化パ
ターンを設けた記録媒体について、本発明の磁界センサ
ーを用いて高感度に磁化パターンを検出することが可能
となった。図22は、記録媒体に記録された磁化パター
ンを読みとる磁気ヘッドである。磁気ヘッドの内部で発
生する磁界が、周囲の磁性体の透磁率の大きさ等によっ
て変化することを利用した磁気ヘッドである。歪みが少
ないので、出力波形のわずかの違いから磁化パターンを
認識することができる。この磁気ヘッドは、軟磁性膜で
構成した一対の磁気シールド82の間に、ストライプの
両端に電極膜83を付けたMR素子を2個設けたもので
ある。シールドとMR素子の間はアルミナ絶縁膜を介し
て分離した。構成を見易くするために、同図ではアルミ
ナ膜の図示は省略した。
【0039】(実施例7)本発明では、MR素子の外部
磁界に対する配置を逆にすると、すなわち入出力の端子
を逆に接続すると、極性が反転する事を説明した。さら
に高感度化するためには、図23で説明する構成のよう
に、この反転を利用する事が望ましい。まず、同図
(a)のように、スイッチS1とスイッチs2を左側に
接続してMR素子を第1の発振器に接続する。同時にス
イッチS3を上側に接続してMR素子の直流電圧成分を
コンデンサーとアンプKを介して積分器を通した。次
に、スイッチS1、S2、S3を反対側に切り替えて、
MR素子10から得る直流成分をコンデンサとアンプK
と反転器−1を介して積分器を通した。
【0040】ここで、MR素子10の駆動に用いている
第1の発振器の周波数より低く、かつ被測定対象である
外部磁界の変化の速さより速い第2の発振器を用意し
た。外部磁界はMR素子10の通電方向に対して垂直に
印加する。この第2の発振器の出力に同期して、スイッ
チS1、S2、S3の切替動作を行って出力Voutを得
た。このようにして、MR素子の入出力を切り替え、出
力信号を増幅した後に同期検波を用いれば、地磁気のさ
らに1万分の1の強さの磁界を検出できることが分かっ
た。なお、図23中の(b)のように2つのMR素子と
その接続を切り替えるスイッチS4とスイッチS5を用
いれば、2つのMR素子間での磁界の差を求めることが
できる。また、MR素子間の距離を測っておけば、磁界
の傾きを測定できることが分かった。
【0041】
【発明の効果】SALバイアス型MRに交流電源を接続
して、出力の直流電圧を検出することにより、微少な直
流磁界を高感度に安定して検出する磁界センサーを実現
することができる。この磁界センサー自体の非線形性
は、磁界の方向を検知したり、出力のゼロ点を安定にす
ることを可能にする。また、本発明の構成を多倍圧の整
流回路に組み合せると、微小な電圧から大きな出力電圧
を得ることができる。また、その出力電圧にオフセット
やそのドリフトが発生するおそれがなく、微弱な磁界を
検出することができる。また、磁界センサー以外に電流
センサーやエンコーダ用のセンサーとして用いることも
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気抵抗効果膜の特性図である。
【図2】本発明で用いたMR素子の特性図である。
【図3】本発明で用いたMR素子の磁化の向きを説明す
る概略図である。
【図4】本発明で用いたMR素子の電流電圧特性図であ
る。
【図5】比較例を説明する回路図である。
【図6】本発明のMR素子を設けた回路図である。
【図7】本発明の実施形態に係る回路図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る回路図である。
【図9】本発明の実施形態に係るストライプの斜視図で
ある。
【図10】図8の回路で得た外部磁界出力特性図であ
る。
【図11】本発明の他の実施形態に係る回路図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る回路図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る回路図である。
【図14】定倍化回路における外部磁界出力特性図であ
る。
【図15】本発明の実施形態に係る集積化電流センサー
を説明する斜視図である。
【図16】図15の構成に係る回路図である。
【図17】本発明に係る応用例の斜視図である。
【図18】本発明に係る他の応用例の斜視図である。
【図19】従来例を説明する概略図である。
【図20】本発明に係る応用例の概略図である。
【図21】本発明の実施形態に係るストライプの斜視図
である。
【図22】本発明の実施形態に係る磁気ヘッドの斜視図
である。
【図23】本発明の他の一実施形態に係る回路図であ
る。
【符号の説明】
1 ガラス基板、2 下地膜、3 バイアス膜、4 非
磁性膜、5 MR膜、8 電極、10 MR素子、11
トランス、12 発振器、14 オペアンプ、21
ガラス基板、22 REF電極、23 連続したMR
膜、24 コンデンサーの電極、25 コンデンサーの
電極、26 出力電極、31 アルミナ膜、32 アル
ミニウム電極、33 アルミニウム電極、34a 孔、
34b 孔、35 GND用孔、36 保護膜、37
出力用孔、38 REF用孔、38a φ1用孔、38
b φ2用孔、50 集積化電流センサー、51 デジ
タルIC、52 オペアンプ、53 配線パターン、5
4 プリント基板、55 定電圧電源、60 磁気ドラ
ム、61a 61b UVW用のMR膜、61 61c
61d UVW相用のMR素子、62 AB相用のM
R素子、 63 電極、64 64a 電極、71 ガ
ラス基板、73 Co/Cu多層膜、74 非磁性膜、
75 バイアス膜、76 下地膜、78 電極膜、81
ストライプ、82 シールド、83 電極。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 43/08 G01R 33/06 R (72)発明者 諸野脇 幸昌 栃木県真岡市松山町18番地 株式会社電子 テック内 (72)発明者 板橋 弘光 栃木県真岡市松山町18番地 株式会社電子 テック内 Fターム(参考) 2F077 AA36 AA37 AA38 NN04 NN19 PP14 QQ04 QQ15 TT55 VV11 2G017 AA01 AB05 AB07 AC09 AD54 BA02 BA03 BA05 5D034 BA02 BA04 CA08 5E049 AA01 AA07 AC00 BA16 CB02 DB02 GC01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気抵抗効果を有する強磁性膜と、前記
    強磁性膜に磁気的なバイアスを印加するバイアス膜を備
    える磁気抵抗効果素子と、 前記磁気抵抗効果素子に交流電流を供給する手段と、前
    記磁気抵抗効果素子の直流電圧を検知する手段とを有
    し、 前記バイアス膜は導電性膜あるいは強磁性膜であり、 前記磁気抵抗効果素子は、前記交流電流により感磁特性
    の動作点が移動することを特徴とする磁界センサー。
  2. 【請求項2】 磁気抵抗効果を有する強磁性膜と、前記
    強磁性膜に磁気的なバイアスを印加するバイアス膜を備
    える磁気抵抗効果素子を複数有し、 前記磁気抵抗効果素子を直列に接続して、一端を出力端
    とし、他端を基準電圧入力端とし、 前記磁気抵抗効果素子を直列に接続した接続点に交流電
    流を供給する手段を有し、 前記出力端に直流電圧を検知する手段を備えることを特
    徴とする磁界センサー。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の複数の磁気抵抗効果素
    子を同一基板上に設けることを特徴とする磁界センサ
    ー。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の磁
    界センサーであって、地磁気あるいは電流による弱磁界
    を検知することを特徴とする磁界センサー。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし3のいずれかに記載の磁
    界センサーと、前記磁界センサーに対向する磁気ドラム
    を備えることを特徴とする磁界センサーを用いた磁気式
    エンコーダー。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし3のいずれかに記載の磁
    界センサーと、前記磁気センサーの近傍に配置した磁気
    シールドを備えることを特徴とする磁界センサーを用い
    た磁気ヘッド。
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