JP2001280914A - 光干渉測定方法 - Google Patents

光干渉測定方法

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JP2001280914A
JP2001280914A JP2000092088A JP2000092088A JP2001280914A JP 2001280914 A JP2001280914 A JP 2001280914A JP 2000092088 A JP2000092088 A JP 2000092088A JP 2000092088 A JP2000092088 A JP 2000092088A JP 2001280914 A JP2001280914 A JP 2001280914A
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Takaharu Hashimoto
孝晴 橋本
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Tokyo Sokki Kenkyujo Co Ltd
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Tokyo Sokki Kenkyujo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】物理量に応じた干渉光信号における光路差、ひ
いては物理量を、簡略なシステム構成で幅広い範囲にわ
たって容易に把握することを可能とする光干渉測定方法
を提供する。 【解決手段】干渉光信号を分光器14で受光し、その分
光データをデータ処理装置17に取り込む。データ処理
装置17は、この分光データに変換処理を施して、光源
光が白色光であるとした場合の干渉光信号の波長分布デ
ータを推定的に求める。求めた波長分布データから、所
定波長差当たりの強度差の数列データを求める。この強
度差データとそれに関する自己回帰モデル形式の演算式
とを用いて干渉光信号の光路差に応じた位相成分と波長
差に応じた位相成分とを求め、それらの位相成分に基づ
いて、干渉光信号の光路差、ひいては、物理量を把握す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光路差を有する二
つの光の干渉現象を利用して、ひずみ、変位等の物理量
を測定する光干渉測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の光干渉測定では、単一の光源光
から、測定しようとする物理量に応じて変化する光路差
を有する二つの光を生成し、その二つの光を干渉させ
る。このとき、前記光路差に応じた干渉光信号が生成さ
れ、この干渉光信号に基づいて、前記光路差ひいては、
前記物理量を測定する。
【0003】例えば、物理量としての測定対象物のひず
みを測定する手法として、所謂、ファブリ・ペロー(Fa
bry-Perot)型の光ファイバ式ひずみセンサを用いる手
法が知られている(例えば米国特許5202939や特
開平10−170233号公報を参照)。
【0004】この手法では、光の一部を反射可能な一対
の部分反射面を両端に有する共振器と、この共振器の一
方側の部分反射面から他方側の部分反射面に向かう光を
該共振器に導入するための光ファイバとを備える光ファ
イバ式ひずみセンサが用いられ、このひずみセンサの共
振器の両部分反射面の間隔が測定対象物のひずみに応じ
て変化するように該共振器が測定対象物に取付けられ
る。そして、ひずみ測定に際しては、ひずみセンサの共
振器に光ファイバを介して光を導入する。このとき、各
部分反射面での光の反射によって、両部分反射面の間隔
の二倍の光路差を有する二つの光が生成され、それらの
光の干渉が生じる。これにより、上記光路差に応じた干
渉光信号が生成され、該干渉光信号に基づいて上記光路
差、ひいては、両部分反射面の間隔(光路差の半分)を
把握することができる。そして、該共振器の両部分反射
面の間隔は、該共振器を取付ける測定対象物のひずみに
応じて変化するので、把握される両部分反射面の間隔の
変化量からひずみを測定することができる。
【0005】ところで、上記のような干渉光信号に基づ
いて、その干渉光信号の基礎となる二つの光の光路差を
把握する手法としては、従来、所謂、白色光干渉方式や
位相検出方式(ヘテロダイン法)が一般に知られてい
る。白色光干渉方式の一例としては、例えば、前記米国
特許第5202939号に見られる手法が挙げられ、位
相検出方式の一例としては、例えば特開平10−170
233号公報に見られる手法が挙げられる。
【0006】前記白色光干渉方式では、光源光として白
色光(ここでは波長分布が比較的広いという意味での白
色光)を用いて、測定する物理量に応じた干渉光信号を
生成する。そして、この干渉光信号をフィゾー干渉計等
の干渉計に入力し、この干渉計によって、上記干渉光信
号における光路差を打ち消すような光路差を与える。つ
まり、該干渉計の出力が、干渉計への入力光が光路差を
有さない場合における干渉計の出力と同等になるよう
に、干渉計のパラメータ(干渉計への入力光に与える光
路差を規定するパラメータ)を調整する。このように干
渉計のパラメータを調整したとき、該パラメータにより
規定される光路差が、前記干渉光信号における光路差と
なり、これにより該光路差、ひいては、物理量が測定さ
れる。
【0007】また、前記位相検出方式では、干渉光信号
の位相(これは、干渉光信号における光路差に応じたも
のとなる)を、位相変調器等を用いて検出し、その検出
した位相から、前記光路差、ひいては、物理量が測定さ
れる。
【0008】しかしながら、従来のこれらの方式は、次
のような不都合を有するものであった。
【0009】すなわち、従来の白色光干渉方式では、物
理量に応じた干渉光信号に光路差を与えるための干渉計
が必要となるため、測定システムの構成が煩雑なものと
なりやすい。また、光路差が小さ過ぎると、原理的に該
光路差を精度よく把握することが困難であると共に、物
理量に応じた前記干渉光信号を生成するための構成の制
約を受け易い。
【0010】また、従来の位相検出方式では、物理量に
応じた干渉光信号の位相を検出するために位相変調器が
必要となるため、測定システムの構成が煩雑なものとな
りやすい。また、原理的に、検出可能な光路差の変化量
が範囲が比較的狭い範囲に限定され、幅広い範囲で、光
路差ひいては、物理量を測定することが困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる背景に
鑑みてなされたものであり、測定する物理量に応じた干
渉光信号における光路差、ひいては物理量を、簡略なシ
ステム構成で幅広い範囲にわたって容易に把握すること
を可能とする光干渉測定方法を提供することを目的とす
る。そして、特に物理量としてのひずみを測定する場合
に好適な光干渉測定方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】まず、本発明の光干渉測
定方法の基本原理について説明する。
【0013】物理量に応じた光路差を有する二つの光の
元となる光源光(この光源光は、例えば前述のひずみ測
定に関していえば、前記共振器に入力する光である)
が、理想的な白色光であるとする。ここで、「白色光」
は、ある波長範囲(比較的広い波長範囲)においてその
範囲内の各波長の光の強度(波長分布)が均一であるよ
うな光を意味するものとする(以下、同様)。そして、
この白色光を光源光として用いて、ある値の物理量に応
じた光路差を有する二つの光を生成して干渉させ、該光
路差に応じた干渉光信号を生成した場合を想定する。
【0014】このとき、上記波長範囲内における光源光
の各波長の強度をI(これは白色光では各波長において
同一である)、この光源光から生成される二つの光の干
渉度をV、その二つの光の光路差をLとおくと、その二
つの光の干渉光信号の任意の波長値λ(上記波長範囲内
の波長値)における強度I(λ)は、一般的に次式(3)
により表される。
【0015】
【数3】
【0016】さらに、所定の単位波長差Δλづつ値が異
なる複数の波長値λ0、λ1(=λ0+Δλ)、λ2(=λ
1+Δλ)、…、λn(=λn-1+Δλ)、……を定める
と共に、その複数の波長値λn(n=0,1,2,…
…)のうちの一つ、例えばλ1(但し、λ1>>Δλ)を
特定して、それをλaとおく(λa=λ1とおく。以下、
この所定波長値λaを基準波長値λaという)。このと
き、次式(4),(5)により定義するθ,αを導入す
ると、
【0017】
【数4】
【0018】
【数5】
【0019】各波長値λn(n=0,1,2,……)に
おける干渉光信号の強度I(λn)は次式(6)により与
えられる。
【0020】
【数6】
【0021】ここで、式(4)により定義されるθは、
干渉光信号を組成する二つの光の光路差Lに比例する位
相であるので、該光路差Lに応じた位相成分としての意
味をもつ。また、式(5)により定義されるαは、光路
差Lに比例するものであると同時に、前記単位波長差Δ
λに比例する位相であるので、波長差に応じた位相成分
としての意味をもつ。以下、θを光路差位相成分と称
し、αを波長差位相成分と称する。
【0022】次に、式(6)により与えられる強度I
(λn)(n=0,1,2,…)の数列において、前記単
位波長差Δλのある整数倍、例えば2倍の波長差(=2
・Δλ)を有するものの組(I(λ0),I(λ2))、(I
(λ1),I(λ3))、…、(I(λn+2),I(λn))、…
…を考え、それらの各組における二つの強度I(λn+
2),I(λn)(n=0,1,2,…)の差(=I(λn+2)
−I(λn))をΔInとおく。このとき、この強度差ΔI
n(=I(λn+2)−I(λn)、n=0,1,2…)は、式
(6)に基づいて、次式(7)により与えられる。
【0023】
【数7】
【0024】さらに、式(7)の右辺のsin(θ+n・
α)(n=0,1,2,…)を複素数により表現する
と、次式(8)が得られる。尚、式(8)中のexp()
は、自然対数の底eの指数関数である。
【0025】
【数8】
【0026】ここで、次式(9)により定義する複素数
Z1,Z2,A1,A2を導入すると、
【0027】
【数9】
【0028】前記式(8)に与えられる強度差ΔInの
数列は、次式(10)の漸化式によって、自己回帰モデ
ルの形式で表現される。
【0029】
【数10】
【0030】このように強度差ΔIn(n=0,1,
2,…)の数列を自己回帰モデルの形式で表現したと
き、強度差ΔInの複数の計測データが得られれば、そ
の計測データから最小二乗法や、Yule-Walker法、Burg
法等によって、自己回帰モデルの自己回帰係数としての
前記複素数Z1,Z2,A1,A2の値を求める(同定す
る)ことができる。
【0031】さらに、このように自己回帰係数Z1,Z
2,A1,A2の値を求めたとき、前記式(9)の定義に
よって、それらの値(複素数値)から、次式(11),
(12)によって、それぞれ前記光路差位相成分θ及び
波長差位相成分αを求めることができる。
【0032】
【数11】
【0033】
【数12】
【0034】尚、式(11)に基づく光路差位相成分θ
の算出は、実際上は、複素数A1/A2の位相(=2θ)
を例えば−π〜+πの範囲で求め、その位相2θの半分
の値を求めることによって行われる。従って、求められ
る光路差位相成分θの範囲は、−π/2<θ<π/2で
ある。このことは波長差位相成分αについても同様であ
る。
【0035】このように光路差位相成分θ及び波長差位
相成分αが求まれば、前記式(4),(5)の定義式に
基づいて、光路差Lは、光路差位相成分θを用いた次式
(13)、あるいは、波長差位相成分αを用いた次式
(14)によって求めることができることとなる。尚、
以下の説明では、式(13),(14)により求まる光
路長Lにそれぞれ参照符号Lp,Laを付することがあ
る。
【0036】
【数13】
【0037】
【数14】
【0038】ここで、光路差位相成分θ及び波長差位相
成分αは、位相であるので、光路差Lの変化に対して、
周期性を有する(図4(a),(b)を参照。但し、図
4の横軸はL/2であることに注意)。すなわち、光路
差位相成分θは、その範囲(−π/2〜π/2)と前記
式(13)とから明らかなように、光路差Lが前記基準
波長値λaの1/2(=λa/2)だけ変化する毎に、同
一の値を採る(図4(b)を参照)。また、波長差位相
成分αは、その範囲(−π/2〜π/2)と前記式(1
4)とから明らかなように、光路差Lがλa2/(2・Δ
λ)だけ変化する毎に、同一の値を採る(図4(a)を
参照)。
【0039】このため、光路差位相成分θにより求めら
れる光路差L(=Lp)及び波長差位相成分αの値により
求められる光路差L(=La)は、より正確には、それ
ぞれ次式(15),(16)により与えらる。前記式
(13),(14)は、それぞれ式(15),(16)
の「m」の値が「0」であるときに成立するものであ
る。
【0040】
【数15】
【0041】
【数16】
【0042】従って、光路差位相成分θあるいは波長差
位相成分αの値から、光路差Lを把握するためには、式
(15)あるいは式(16)の「m」の値を特定する必
要がある。
【0043】この場合、光路差位相成分θの1周期当た
りの光路差Lの変化量λa/2よりも小さい分解能で光
路差Lの大きさを大略的に推測できる場合(光路差Lが
光路差位相成分θのどの周期内に属するかを推測できる
場合)には、前記式(15)の「m」の値を特定するこ
とができるため、式(15)に従って、光路差位相成分
θの値から光路差Lを求めることができる。同様に、波
長差位相成分αの1周期当たりの光路差Lの変化量λa2
/(2・Δλ)よりも小さい分解能で光路差Lの大きさ
を大略的に推測できる場合には、前記式(16)の
「m」の値を特定することができるため、式(16)に
従って、波長差位相成分αの値から光路差Lを求めるこ
とができる。
【0044】尚、光路差Lの変化が例えば光路差位相成
分θの1周期内でのみ生じるような場合には、その光路
差Lの変化量は、前記式(15)のθに係る係数(λa
/2)に、光路差位相成分θの変化量を乗算することに
より求められるので、式(15)の「m」の値を認識す
る必要はない。このことは、波長差位相成分αに関して
も同様である。
【0045】また、例えば光源光が可視光であるとした
とき、その波長は、数百nmであるから、光路差位相成分
θの1周期当たりの光路差Lの変化量λa/2も、概ね
数百nm程度であり、比較的小さい。また、前記単位波長
差Δλを数nmとしたとき、波長差位相成分αの1周期当
たりの光路差Lの変化量λa2/(2・Δλ)は、概ね数
十〜数百μmであり、光路差位相成分θの1周期当たり
の光路差Lの変化量λa/2よりも十分に大きい。従っ
て、光路差位相成分θを用いることによって比較的微小
な光路差Lあるいは該光路差Lの微小な変化量を把握す
ることが可能となる。また、波長差位相成分αを用いる
ことによって、比較的大きな光路差Lあるいは、該光路
差Lの比較的大きな変化量を把握することが可能とな
る。さらに、波長差位相成分αに基づき把握される光路
差Lの分解能が、光路差位相成分θの1周期当たりの光
路差Lの変化量λa/2よりも小さく、波長差位相成分
αに基づき把握される光路差Lが光路差位相成分θのど
の周期内に属するかを把握することができる(このこと
は式(15)の「m」の値を特定できることを意味す
る)場合には、波長差位相成分αに基づいて光路差Lを
巨視的に把握しつつ、光路差位相成分θの複数周期にわ
たって、該光路差位相成分θの値に基づいて、高精度に
光路差Lやその変化量を把握することも可能である。
【0046】このように、光路差位相成分θや波長差位
相成分αが求まれば、それらを選択的あるいは併用的に
用いることによって、光路差Lやその変化量を幅広い範
囲で把握することが可能となる。
【0047】尚、前述の説明では、例示的にλa=λ1と
した。また、前記単位波長差Δλの2倍の波長差を有す
る干渉光信号の強度I(λn+2),I(λn)(n=0,1,
2,…)の差ΔIn(=I(λn+2)−I(λn))を用い
て、式(8)の自己回帰モデルを構成した。但し、基準
波長値λaは、λ2、λ3等、他の波長値であってもよ
い。また、単位波長差Δλの1倍、3倍等、他の所定の
整数倍の波長差を有する強度の差を用いて、式(8)と
同様の自己回帰モデルを構築することも可能である。詳
細な説明は省略するが、いずれの場合でも、前述の説明
と同様の考え方によって、強度差の数列に関する自己回
帰モデル(但し、該自己回帰モデルの漸化式の形は、式
(8)と必ずしも同じではない)を構築することができ
る。そして、その自己回帰モデルの自己回帰係数を、各
波長λn(n=0,1,2,…)における干渉光信号の
強度の計測データから得られる強度差のデータから、最
小二乗法等を用いて求めれば、その自己回帰係数の値か
ら、前記光路差位相成分θや前記波長差位相成分αを求
めることができる。
【0048】ところで、前述の説明では、光源光が理想
的な白色光であることを前提として説明を行った。しか
るに、前述の説明から明らかなように、基本的には単位
波長差Δλづつ値が相違する離散的な波長値λn(n=
0,1,2,…)のそれぞれにおける干渉光信号の強度
I(λn)のデータが得られれば良いので、例えば、波長
を可変的に設定できるレーザ光源を用いて、干渉光信号
の強度I(λn)(n=0,1,2,…)のデータを得る
ことも可能である。すなわち、レーザ光源の波長を波長
値λn(n=0,1,2,…)に順次設定して発光し、
その各波長値λnの光源光毎に、干渉光信号を生成し
て、その強度を検出する。このとき、レーザ光源の各波
長値λn毎の強度が同一であれば、光源光を理想的な白
色光とした場合と同様の、干渉光信号の強度I(λn)
(n=0,1,2,…)のデータを得ることが可能とな
る。
【0049】一方、通常的な光源を用いて、理想的な白
色光を得ることは一般には困難である。また、通常的な
可変波長のレーザ光源では、各波長毎の光源光の強度
は、一般には同一の大きさにはならない。しかるに、通
常的な光源を用いた場合であっても、その波長分布がほ
ぼ一定であれば、その光源光を用いて生成される干渉光
信号の強度の波長分布データに対して、光源光の波長分
布に基づく所定の変換処理を施すことによって、光源光
が白色光であったと仮定した場合に得られると推定され
る干渉光信号の強度の波長分布データを得ることが可能
である。
【0050】また、通常的な可変波長のレーザ光源を用
いた場合であっても、その各波長毎の光源光の強度がほ
ぼ一定であれば、その光源光を用いて生成される干渉光
信号の強度データに対して、光源光の波長分布に基づく
所定の変換処理を施すことによって、光源光が白色光で
あったと仮定した場合に得られると推定される干渉光信
号の強度の波長分布データを得ることが可能である。
【0051】以上説明したことを基礎として、本発明を
次に説明する。尚、以下の説明では、本発明の理解の便
宜上、必要に応じて適宜、前述の参照符号を用いる。
【0052】本発明の光干渉測定方法は、単一の光源光
から物理量に応じて変化する光路差Lを有する二つの光
を生成すると共にその二つの光を干渉させてなる干渉光
信号を生成し、その干渉光信号に基づき把握される前記
光路差から前記物理量を測定する光干渉測定方法であ
る。
【0053】そして、本発明の第1の態様は、前記の目
的を達成するために、前記光源光を所定の波長分布を有
する光源光として、前記干渉光信号を生成する干渉工程
と、該干渉光信号を受光して分光し、該干渉光信号の各
波長毎の強度を表す分光データを得る分光工程と、前記
光源光の波長分布に基づく所定の変換処理を前記分光デ
ータに施すことにより、前記光源光が白色光であるとし
て前記干渉工程を実行した場合に前記分光工程で得られ
ると推定される分光データを変換分光データとして求め
る分光データ変換工程と、該変換分光データから、所定
の単位波長差Δλづつ値が異なる複数の波長値λ0,λ
1,…における干渉光信号の強度データI(λ0),I(λ
1),…を抽出すると共に、各波長値における各強度デー
タと該強度データに対して前記単位波長差Δλの所定整
数倍の波長差を有する強度データとを組データとし、そ
の各組データの二つの強度データの値の差を強度差デー
タΔI0,ΔI1,…として求める強度差データ生成工程
と、該強度差データに関してあらかじめ定めた演算式と
前記強度差データ生成工程で求めた強度差データとを用
いて、前記干渉光信号の前記光路差に応じた第1位相成
分θと、該干渉光信号の波長差に応じた第2位相成分α
とのうちの少なくとも一方の位相成分を求める位相算出
工程とを備え、その求めた位相成分に基づき前記光路差
を把握することを特徴とする。
【0054】また、本発明の第2態様は、前記光源光を
所定波長を有する光源光として、前記干渉光信号を生成
すると共に、その干渉光信号の生成を、前記光源光の波
長を所定の単位波長差Δλづつ異なる複数の波長値λ
0,λ1,…に順次変化させて行う干渉工程と、前記光源
光の各波長に対応する各干渉光信号を受光し、該干渉光
信号の強度データを得る受光工程と、前記光源光の各波
長毎の強度に基づく所定の変換処理を前記各干渉光信号
の強度データに施すことにより、前記光源光の各波長毎
の強度が同一であるとして前記干渉工程を実行した場合
に前記受光工程で該光源光の各波長に対応して得られる
と推定される強度データを変換強度データI(λ0),I
(λ1),…として求める強度データ変換工程と、該変換
強度データのうちの前記光源光の各波長に対応する各変
換強度データと該変換強度データに対して前記単位波長
差Δλの所定整数倍の波長差を有する変換強度データと
を組データとし、その各組データの二つの変換強度デー
タの値の差を強度差データΔI0,ΔI1,…として求め
る強度差データ生成工程と、該強度差データに関してあ
らかじめ定めた演算式と前記強度差データ生成工程で求
めた強度差データとを用いて、前記干渉光信号の前記光
路差に応じた第1位相成分θと、該干渉光信号の波長差
に応じた第2位相成分αとのうちの少なくとも一方の位
相成分を求める位相算出工程とを備え、その求めた位相
成分に基づき前記光路差を把握することを特徴とする。
【0055】本発明の前記第1の態様は、前記干渉光信
号を生成する干渉工程において、光源光として所定の波
長分布を有する光源光を用いるもので、前記干渉光信号
に対して前記分光工程及び前記分光データ変換工程を実
行することによって、前記光源光が白色光であるとして
前記干渉工程を実行した場合に前記分光工程で得られる
と推定される分光データとしての前記変換分光データが
得られる。つまり、光源光が白色光である場合に生成さ
れたと推定される干渉光信号の強度の波長分布のデータ
が前記変換分光データとして得られる。そして、前記強
度差データ生成工程において、上記変換分光データか
ら、所定の単位波長差Δλづつ値が異なる複数の波長値
λ0,λ1,…における干渉光信号の強度データを抽出す
ることによって、前記式(6)の強度I(λn)(n=
0,1,2,…)の数列の計測データが得られることと
なる。
【0056】また、本発明の前記第2の態様は、前記干
渉光信号を生成する干渉工程において、光源光としてレ
ーザ光のような所定波長の光源光を用いるもので、その
光源光の波長を所定の単位波長差Δλづつ異なる複数の
波長値λ0,λ1,…に順次変化させ、その各波長値の光
源光毎に干渉光信号を生成する。そして、その各干渉光
信号に対して、前記受光工程及び前記強度データ変換工
程を実行することによって、前記光源光の各波長毎の強
度が同一であるとして前記干渉工程を実行した場合に前
記受光工程で該光源光の各波長に対応して得られると推
定される強度データとしての前記変換強度データ、すな
わち、前記式(6)の強度I(λn)(n=0,1,2,
…)の数列の計測データが得られる。
【0057】さらに、本発明の第1及び第2の態様で
は、上記のように得られる各強度データI(λn)(第2
の態様では変換強度データと称したもの)に対し、前記
強度差データ生成工程において、各強度データと該強度
データに対して前記単位波長差Δλの所定整数倍の波長
差を有する強度データとの差を求める。これにより、式
(7)における強度差ΔI0,ΔI1,…の計測データに
相当する強度差データの数列が得られる。尚、このとき
得られる強度差データは、より正確には、前記所定整数
の値に依存し、該所定整数を「2」とした場合以外は、
式(7)の関係式が成立する強度差ΔI0,ΔI1,…の
計測データそのものを意味するものではないことはもち
ろんである。
【0058】そして、本発明の第1及び第2の態様で
は、前記位相算出工程において、該強度差データに関し
てあらかじめ定めた演算式、すなわち、前記式(8)で
例示したような自己回帰モデルの形式の演算式(漸化
式)と、上述のように得られる強度差データΔI0,Δ
I1,…とを用いることによって、前述したようにして
干渉光信号の前記光路差に応じた第1位相成分としての
前記光路差位相成分θと、該干渉光信号の波長差に応じ
た第2位相成分としての前記波長差位相成分αとのうち
の少なくとも一方の位相成分を求める。
【0059】このとき求められる光路差位相成分θ(第
1位相成分)及び波長差位相成分α(第2位相成分)
は、上記の強度差データに関する自己回帰モデルの形式
の演算式(漸化式)を構築する上であらかじめ定められ
る所定の基準波長値λaを用いて、それぞれ、干渉光信
号の物理量に応じた光路差Lと前記式(4),(5)の
関係を有する。従って、光路差位相成分θあるいは波長
差位相成分αに基づいて前記光路差ひいては、前記物理
量を把握することが可能となる。
【0060】この場合、光路差位相成分θと波長差位相
成分αとは、それぞれ光路差Lあるいはその変化量に対
して前述したような特徴を有するため、該光路差位相成
分θ及び波長差位相成分αを選択的あるいは併用的に用
いることによって、光路差やその変化量、ひいては物理
量やその変化量を幅広い範囲にわたって測定することが
可能となる。
【0061】また、本発明の第1の態様では、前記分光
工程で干渉光信号を分光器等によって受光して前記分光
データを得た後は、パソコン等を用いた単なるデータ処
理によって、光路差Lを把握するための前記光路差位相
成分θや波長差位相成分αを求めることができる。同様
に、本発明の第2の態様では、前記受光工程で複数の波
長値の光源光のそれぞれに対応する干渉光信号を受光器
等によって受光して、該光源光の各波長毎の前記強度デ
ータを得た後は、パソコン等を用いた単なるデータ処理
によって、前記光路差位相成分θや波長差位相成分αを
求めることができる。このため、測定システムの構成が
簡略なもので済む。
【0062】従って、本発明の第1及び第2の態様によ
れば、測定する物理量に応じた干渉光信号における光路
差、ひいては物理量を、簡略なシステム構成で幅広い範
囲にわたって容易に把握することを可能となる。
【0063】尚、本発明の第1の態様では、前記光源光
の波長分布が白色光の波長分布と略同一の波長分布であ
るとき、すなわち、光源光が理想的な白色光と同等の光
源光である場合には、前述の説明から明らかなように、
前記分光データ変換工程で、前記分布データに光源光の
波長分布に基づく変換処理を必ずしも施す必要はない。
従って、この場合には、前記分光データ変換工程では、
前記分光工程で得られた前記分光データを前記変換分光
データとして得ればよい。
【0064】同様に、本発明の第2の態様では、前記光
源光の各波長毎の強度が略同一であるときには、前記強
度データ変換工程で、各波長毎の干渉光信号の強度デー
タに光源光の各波長毎の強度に基づく変換処理を必ずし
も施す必要はない。従って、この場合には、前記強度デ
ータ変換工程では、前記受光工程で得られた前記強度デ
ータを前記変換強度データとして得ればよい。
【0065】前述した本発明の光干渉測定方法の第1及
び第2の態様は、種々様々の物理量の測定に適用するこ
とが可能であるが、その一つの適用形態として、ひずみ
測定を行う場合に好適である。この場合における本発明
の光干渉測定方法では、光の一部を反射可能な一対の部
分反射面を両端に相対向させて形成され、前記物理量と
しての測定対象物のひずみに応じて前記両部分反射面の
間隔が変化するよう該測定対象物に取付けられる共振器
と、前記両部分反射面の一方側から他方側に向かう光を
前記共振器にその外部から導入するための光ファイバと
を備えた光ファイバ式ひずみセンサを用いて前記測定対
象物のひずみの測定を行う。そして、前記干渉工程で
は、前記光源光を前記光ファイバを介して前記共振器に
導入して、該光源光の一部を該共振器の各部分反射面で
反射させることにより、前記両部分反射面の間隔の二倍
の光路差を有する二つの光を生成すると共に、その二つ
の光を干渉させてなる前記干渉光信号を生成する。
【0066】すなわち、光源光を光ファイバを介してひ
ずみセンサの共振器に導入したとき、その光源光の一部
は共振器の前記一方側の部分反射面で反射されて光ファ
イバ内を戻る。また、一方側の部分反射面で反射されず
に共振器内に透過した光の一部は、他方側の部分反射面
で反射されて一方側の部分反射面に進行し、さらにその
光の一部が該部分反射面を透過して光ファイバ内を戻
る。このとき、一方側の部分反射面で反射された光と他
方側の部分反射面で反射された光とは、共振器の両部分
反射面の間隔の二倍の長さの光路差を有し、この二つの
光が干渉して、干渉光信号が生成される。従って、この
干渉光信号から、前述の処理によって求められる光路差
位相成分θ(第1位相成分)や波長差位相成分α(第2
位相成分)に基づいて把握される光路差の半分の値を、
共振器の両部分反射面の間隔として把握することができ
ることとなる。そして、測定対象物に取付けられる前記
共振器の両部分反射面の間隔は、基本的には該共振器の
取付け後に測定対象物に生じたひずみに比例した量だけ
変化するので、該間隔の変化量(これは光路差の変化量
の半分である)を把握することによって、ひずみ測定値
(これはひずみセンサの所定のゲージ長に対する両部分
反射面の間隔の変化量の比として与えられる)を得るこ
とができる。
【0067】この場合、例えば前記光路差位相成分θを
用いることで、共振器の両部分反射面の間隔の比較的小
さな変化量を測定できるので、比較的小さなひずみを測
定することが可能となる。また、例えば前記波長差位相
成分αを用いることで、共振器の両部分反射面の間隔の
比較的大きな変化量を測定できるので、比較的大きなひ
ずみを測定することが可能である。
【0068】このように、本発明の光干渉測定方法をひ
ずみ測定に適用する場合、前記ひずみセンサは、少なく
とも先端面の中心部に軸心と略直交する直交面があらか
じめ形成された第1の光ファイバと、先端面の中心部に
あらかじめ凹面が形成され、且つ該凹面の底部が軸心と
略直交する第2の光ファイバとを備えると共に、前記第
1の光ファイバの先端面の周縁部と前記第2の光ファイ
バの先端面の周縁部とが略同心に接合されて固着されて
おり、前記第1の光ファイバの先端面の中心部と前記第
2の光ファイバの凹面の底部とを前記両部分反射面とし
て前記共振器が構成してなるひずみセンサである場合に
好適である。そして、この場合、前記測定対象物のひず
み測定の開始前に、前記位相算出工程で前記第2位相成
分(波長差位相成分α)を求めて、該第2位相成分に基
づき把握される前記光路差の半分の値を前記ひずみセン
サのゲージ長として得ると共に、ひずみ測定時には、前
記位相算出工程で前記第1位相成分(光路差位相成分
θ)を求めて、該第1位相成分に基づき把握される前記
光路差の変化量により前記測定対象物のひずみに応じた
前記両部分反射面の間隔の変化量を把握し、その変化量
と前記ゲージ長の比によりひずみ測定値を得ることが好
適である。
【0069】すなわち、上記のような構造のひずみセン
サでは、ひずみ測定に際しては、前記第1及び第2の光
ファイバの接合箇所の内部に密閉状態で形成される前記
共振器は、両光ファイバの接合箇所を測定対象物に取付
けることによって、該測定対象物に取付けられ、このと
き、該共振器の間隔が測定対象物のひずみに応じて変化
する。そして、この場合、前記共振器の両部分反射面の
当初の間隔、すなわち、第1の光ファイバの先端面の中
心部と、第2の光ファイバの先端面の凹面の底部との当
初の間隔がひずみセンサのゲージ長となる。すなわち、
このひずみセンサを用いたひずみ測定では、共振器の両
部分反射面の当初の間隔に対する該間隔の変化量の比の
値がひずみ測定値となる。従って、ひずみ測定を行うた
めには、上記ゲージ長があらかじめ判明している必要が
ある。
【0070】そして、本発明では、ひずみ測定の開始前
に、前記位相算出工程で前記波長差位相成分を求めて、
該波長差位相成分に基づき把握される前記光路差の半分
の値を前記ひずみセンサのゲージ長として得る。この場
合、共振器の両部分反射面の当初の間隔であるゲージ長
は、測定対象物のひずみに伴う両部分反射面の間隔の変
化量に対して比較的大きいが、前記波長差位相成分αに
基づき把握可能な光路差、ひいては、両部分反射面の間
隔は比較的広いので、ひずみセンサのゲージ長を支障な
く求めることができる。このように、ひずみ測定の開始
前にひずみセンサのゲージ長を波長差位相成分αに基づ
いて求めることによって、前述のような構造のひずみセ
ンサの製造過程等において、共振器の両部分反射面の間
隔を厳格に管理する必要がなくなる。このため、前記第
2の光ファイバの凹面の形成等、ひずみセンサの製造工
程を比較的簡略化して行うことが可能となる。
【0071】さらに、本発明では、上記のようにゲージ
長を求めた後のひずみ測定時には、前記位相算出工程で
前記第1位相成分(光路差位相成分θ)を求めて、該第
1位相成分に基づき把握される前記光路差の変化量によ
り前記測定対象物のひずみに応じた前記両部分反射面の
間隔の変化量を把握する。この場合、光路差位相成分θ
を用いることによって、前記光路差、ひいては、両部分
反射面の微小の変化量を把握することができるので、測
定対象物のひずみに伴う共振器の両部分反射面の間隔の
変化量を精度よく把握することができる。そして、その
変化量の前記ゲージ長に対する比の値として、精度のよ
いひずみ測定値を得ることができる。
【0072】
【発明の実施の形態】本発明の光干渉測定方法の第1の
実施形態を図1〜図8を参照して説明する。本実施形態
は、例えば測定対象物のひずみを物理量として測定する
場合に関するものである。
【0073】まず、図1を参照して本実施形態で用いる
光ファイバ式ひずみセンサを説明する。
【0074】図1に示すように、本実施形態で用いる光
ファイバ式ひずみセンサ1は、その構成要素として、第
1光ファイバ2及び第2光ファイバ3を具備する。第1
光ファイバ2は、本実施形態では、例えば石英系のシン
グルモード光ファイバであり、参照符号2a,2bを付
した部分がそれぞれこの光ファイバ2のコア、クラッド
である。また、第2光ファイバ3は、例えば石英系のマ
ルチモード光ファイバ(より詳しくは、石英系のグレイ
デッド・インデックス・光ファイバ)であり、参照符号
3a,3bを付した部分がそれぞれこの光ファイバ3の
コア、クラッドである。
【0075】第1光ファイバ2の先端面は、その全面に
わたって該光ファイバ2の軸心とほぼ直交する面に形成
されている。また、第2光ファイバ3の先端面には、そ
の中心部であるコア3a部分に、縦断面、略放物線形状
の凹面4が形成されており、この凹面4の底部4aは、
該光ファイバ3の軸心とほぼ直交する。
【0076】そして、これらの光ファイバ2,3の先端
面は、同心に突き合わされ、それらの周縁部を全周にわ
たって加熱・溶融して融着することによって、接合・固
着されている。これにより、第1及び第2光ファイバ
2,3は、実質的に一本の光ファイバから構成されてい
るように一体的に連接されている。
【0077】このように構成されたひずみセンサ1で
は、両光ファイバ2,3の接合箇所の内部で第1光ファ
イバ2の先端面と第2光ファイバ3の凹面4との間で形
成された密閉された空間5(空洞)が、所謂、ファブリ
・ペロー型のひずみセンサとしてのひずみセンサ1の共
振器(詳しくは外部共振器)となり、この共振器5の一
対の部分反射面が、第1光ファイバ2の先端面の中心部
6(該先端面のコア2a部分)と、第2光ファイバ3の
凹面4の底部4aとにより構成される。
【0078】すなわち、両光ファイバ2,3のうち、例
えば第1光ファイバ2に共振器5に向かう光を導入する
と、その光の一部は、光ファイバ2の先端面の中心部で
ある部分反射面6で反射され、該光ファイバ2内を戻
る。また、第1光ファイバ2の先端面で反射されずに、
共振器5内に透過した光の一部が第2光ファイバ3側の
部分反射面4a(凹面4の底部)で反射されて、部分反
射面6側に戻り、さらにその一部が部分反射面6を透過
して第1光ファイバ2内に進入し、該第1光ファイバ2
内を戻る。そして、このように部分反射面4aで反射さ
れて、第1光ファイバ2内を戻る光と、前述のように部
分反射面6で反射されて第1光ファイバ2内を戻る光と
が干渉し、それらの光の光路差(=両部分反射面6,4
aの間隔Dの二倍の長さ2D)に応じた干渉光信号が得
られる。
【0079】また、両光ファイバ2,3の接合部分(共
振器5の箇所)を測定対象物に貼着すると、測定対象物
のひずみに応じて共振器5の両部分反射面6,4aの間
隔Dが変化する。
【0080】尚、本実施形態では、上記部分反射面6,
4aは、第1光ファイバ2の先端面や、第2光ファイバ
3の凹面4に特別な反射皮膜層をコーティングすること
なく、各光ファイバ2,3のコア2a,3bそのものに
より形成されている。このため、それらの部分反射面
6,4aで生じる光の反射は所謂、フレネル反射であ
り、その反射率は、約4%程度である。従って、本実施
形態のひずみセンサ1で構成される干渉系はフィゾー干
渉系である。
【0081】上述した構成のひずみセンサ1は、例えば
次のように製造されている。
【0082】すなわち、第1光ファイバ2の素材となる
素材光ファイバ(本実施形態では石英系のシングルモー
ド光ファイバ。以下、ここでは第1素材光ファイバとい
う)と第2光ファイバ3の素材となる素材光ファイバ
(本実施形態では石英系のグレイデッド・インデックス
・光ファイバ。以下、ここでは第2素材光ファイバとい
う)とを用意し、各素材光ファイバの先端面が軸心と直
交する面となるように、各素材光ファイバの先端部を公
知の工具等を用いて切断しておく。この切断によって、
第1素材光ファイバは、そのまま、第1光ファイバ2と
して得られる。
【0083】次いで、第2光ファイバ3の素材となる第
2素材光ファイバの先端部をエッチング液に浸漬させ
て、該第2素材光ファイバの先端面にエッチング加工を
施す。この場合、エッチング液は、例えば弗化水素水溶
液、あるいは、これに弗化アンモニウム水溶液を混合し
たものを用いる。このエッチング加工によって、第2素
材光ファイバの先端面は、そのコア部分を中心にしてエ
ッチングされ、前記凹面4が形成される。これにより、
前記第2光ファイバ3が得られる。このとき、該凹面4
の深さは例えば40μm程度である。
【0084】上記のようにしてエッチング加工によっ
て、第2光ファイバ3を得た後、前述のように第1素材
光ファイバから得た第1光ファイバ2の先端面の周縁部
と第2光ファイバ3の先端面の周縁部とを同心に融着す
る。この融着は、両光ファイバ2,3の先端面を同心に
突き合わせ、この状態で、レーザやアーク放電によって
両光ファイバ3の先端面の周縁部を加熱して溶融させ、
その後、冷却することによってなされる。
【0085】このような融着によって、両光ファイバ
2,3の先端面の周縁部が一体的に接合・固着され、こ
れにより、図1のひずみセンサ1が得られる。
【0086】次に、ひずみセンサ1を用いてひずみ測定
を行う本実施形態の光干渉測定方法を図2〜図7を参照
して説明する。尚、本実施形態は、より詳しくは、本発
明の第1の態様に係わる実施形態である。
【0087】図2に、本実施形態におけるひずみ測定シ
ステムの全体のシステム構成を示す。尚、同図2では、
前記ひずみセンサ1を模式化して記載している。
【0088】本実施形態におけるひずみ測定システムで
は、所定の波長分布を有する光源光を放出する光源10
に、投光側光ファイバ11及び3dBカプラ12を介し
て、ひずみセンサ1の第1光ファイバ2が接続されてい
る。また、カプラ12には、受光側光ファイバ13を介
して分光器14が接続されている。
【0089】尚、投光側光ファイバ11及び受光側光フ
ァイバ13は、第1光ファイバ2と同じシングルモード
光ファイバである。また、光源10は、例えば発光ダイ
オードにより構成され、それが放出する光源光(投光側
光ファイバ11に導入する光)の波長分布は、例えば図
3に実線aで示すような略正規型の分布であり、その中
心波長は例えば830nmである。
【0090】この構成により、光源10から投光側光フ
ァイバ11に光源光を導入すると、その光は、カプラ1
2及び第1光ファイバ2を介してひずみセンサ1の共振
器5に導かれる。そして、このとき、共振器5の部分反
射面6,4aで前述のようにそれぞれ反射された二つの
光の干渉光信号が、第1光ファイバ2内をカプラ12側
に戻り、該カプラ12から受光側光ファイバ13を介し
て分光器14に導かれて受光される。
【0091】分光器14は、受光する干渉光信号を図示
しないグレーティングにより分光して、該干渉光信号の
強度の波長分布データを生成するもので、各波長の強度
に応じたレベルの信号を出力するCCD15を備えてい
る。そして、このCCD15は、その各素子の出力、す
なわち、受光した干渉光信号の各波長の強度を表す出力
をA/D変換するA/D変換器16を介してパソコン等
からなるデータ処理装置17に接続されている。
【0092】データ処理装置17は、その主要な機能的
構成として、分光器14のCCD15から得られる波長
分布データに所定の変換処理を施す分布データ変換手段
18と、この分布データ変換手段18により得られるデ
ータ(変換分布データ)から、所定の波長差当たりの干
渉光信号の強度差の複数のデータ(前記式(7)の強度
差ΔI0,ΔI1,…のデータ)を求める強度差データ生
成手段19と、その強度差データを用いて干渉光信号の
前記光路差位相成分θ(第1位相成分)及び波長差位相
成分α(第2位相成分)を求める位相算出手段20と、
その位相成分を用いてひずみを算出する等の処理を行う
ひずみ算出手段21とを具備している。分布データ変換
手段18、強度差データ生成手段19、及び位相算出手
段20は、それぞれ本発明の第1態様における分布デー
タ変換工程、強度差データ生成工程、位相算出工程を実
行する手段に相当するものである。尚、これらの各手段
18〜21の処理のより具体的な内容については、本実
施形態のひずみ測定システムの作動の説明と併せて後述
する。
【0093】ここで、本実施形態のひずみ測定システム
の作動を具体的に説明する前に、前記ひずみセンサ1の
共振器5の両部分反射面6,4aの間隔D(以下、反射
面間隔Dという)と、前記光路差位相成分θ及び波長差
位相成分αとの関係について補則説明をしておく。
【0094】ひずみセンサ1を用いたひずみ測定では、
共振器5の反射面間隔Dの大きさ及びその変化量を把握
する必要がある。この場合、共振器5に光を導入して、
干渉光信号を生成したとき、その干渉光信号を組成する
二つの光の光路差Lは、反射面間隔Dの二倍の長さであ
る。従って、干渉光信号の光路差位相成分θに基づき把
握される反射面間隔D(=Dp)、及び波長差位相成分
αに基づき把握される反射面間隔D(=Da)は、前記式
(15),(16)から明らかなように、それぞれ次式
(17),(18)により与えられる。
【0095】
【数17】
【0096】
【数18】
【0097】さらに、光路差位相成分θ及び波長差位相
成分αは、前述のように光路差Lの変化に対して周期性
を有するため、光路差Lの半分である反射面間隔Dの変
化に対しても周期性を有する。そして、その1周期当た
りの反射面間隔Dの変化量は、該1周期当たりの光路差
Lの変化量の半分となる。すなわち、光路差位相成分θ
は、図4(b)に示す如く、共振器5の反射面間隔D
が、前記基準波長値λaの1/4(=λa/4)だけ変化
する毎に、同一の値を採る。また、波長差位相成分α
は、図4(a)に示す如く、共振器5の反射面間隔D
が、λa2/(4・Δλ)だけ変化する毎に、同一の値を
採る。
【0098】上述の説明を考慮しつつ、次に、本実施形
態におけるひずみ測定システムの作動を説明する。本実
施形態のひずみ測定システムによるひずみ測定は、次の
ように行われる。
【0099】まず、ひずみセンサ1の共振器5の部分
(前記第1及び第2光ファイバ2,3の接合部分)を図
示しない測定対象物に貼着しておく。この場合、第1及
び第2光ファイバ2,3の接合部分は測定対象物と同じ
ひずみを生じるように接着剤等により直接的に測定対象
物に貼着される。
【0100】そして、このようにひずみセンサ1を測定
対象物に貼着した直後のひずみ測定の開始前に、光源1
0から投光側光ファイバ11、カプラ12及び第1光フ
ァイバ2を介してひずみセンサ1の共振器5に光源光を
導入し、前述のように干渉光信号を生成する。このと
き、生成される干渉光信号は、ひずみセンサ1の測定対
象物への貼着直後の状態での共振器5の反射面間隔D
(この間隔Dはひずみセンサ1のゲージ長に相当するも
ので、以後に測定するひずみの基準長となるものであ
る。以下、これに参照符号D0を付する)の二倍の光路
差(=2・D0)に応じた干渉光信号である。そして、
その干渉光信号を第1光ファイバ2からカプラ12及び
受光側光ファイバ13を介して分光器14に導き、該分
光器14で受光する。
【0101】このとき、分光器14のCCD15から、
例えば図3に実線cで示すような干渉光信号の波長分布
データが得られる。そして、この波長分布データ(干渉
光信号の各波長の強度データ)がA/D変換器16によ
ってA/D変換され、データ処理装置17に取り込まれ
る。尚、干渉光信号の波長分布データを得るに際には、
上述のような干渉光信号の生成及びその分光器14によ
る受光を複数回行い、その各回の波長分布データの平均
値を求めるようにしてもよい。
【0102】データ処理装置17は、この取り込んだ波
長分布データに対して、分布データ変換手段18により
光源10の光源光の波長分布に基づく変換処理を施す。
この変換処理は、光源光(共振器10に導入される光源
光)が仮に白色光であったとして、前述のように干渉光
信号を生成した場合に分光器14を介して得られると推
定される干渉光信号の波長分布データ(変換分布デー
タ)を、実際の波長分布データから推定的に求める処理
である。上記白色光は、図3の仮想線bで示すように、
少なくとも光源10の実際の光源光の波長範囲で、各波
長における強度が均一となるような光である。
【0103】この場合、上記変換処理は例えば次のよう
に行われる。すなわち、データ処理装置17は、実際の
光源光の波長分布(図3の実線a)のデータ(実際の光
源光の各波長値における強度のデータ)をあらかじめ記
憶保持している。そして、データ処理装置17の分布デ
ータ変換手段18は、実際に得られた干渉光信号の各波
長の強度データ(図3の実線c)に対して、その波長値
における実際の光源光の強度の逆数、あるいはこの逆数
にあらかじめ定めた所定値(例えば実際の光源光のピー
ク強度)を乗算したものを乗算することにより、実際に
得られた干渉光信号の波長分布データを変換する。
【0104】このような変換を行うことによって、例え
ば図5に示すような正弦波形状の変換分布データ、すな
わち、光源光が白色光である場合の干渉光信号の波長分
布データが推定的に得られる。
【0105】尚、実際の光源光の各波長の強度がほぼ均
一で、その波長分布が白色光の波長分布とほぼ同一であ
る場合には、実際の干渉光信号の波長分布データに上記
のような変換処理を施しても、得られる変換分布データ
は、元の波長分布データとほぼ同一となる。従って、こ
のような場合には、実際の干渉光信号の波長分布データ
をそのまま変換分布データとして得るようにすればよ
い。
【0106】このようにして分布データ変換手段18の
処理により変換分布データを得た後、データ処理装置1
7は、強度差データ生成手段19によって、前記式
(7)の強度差ΔIn(n=0,1,2,…)のデータ
を次のようにして得る。
【0107】すなわち、図6を参照して、強度差データ
生成手段19は、まず、上記変換分布データから、あら
かじめ定めた波長値λ0を起点として、所定の単位波長
差Δλ(本実施形態では例えば2nm)づつ、値が相違す
る複数の波長値λ0,λ1,…,λn,…における干渉光
信号の強度I(λ0),I(λ1),…,I(λn),…のデー
タ(これは、式(6)の強度I(λn)の計測データに相
当する)を抽出する。そして、これらの強度データI
(λ0),I(λ1),…,I(λn),…において、前記単位
波長差Δλの所定整数倍、例えば2倍の波長差を有する
もの同士(I(λ0),I(λ2)),(I(λ1),I(λ
3)),…,(I(λn+2),I(λn)),…をそれぞれ組
とし、その各組データの二つの強度データI(λn+2),
I(λn)(n=0,1,2,…)の差ΔI0(=I(λ2)−
I(λ0)),ΔI1(=I(λ3)−I(λ1)),……,ΔI
n(=I(λn+2)−I(λn))…を強度差データ(これは
前記式(7)の強度差ΔInの計測データに相当する)
として求める。このようにして求められる強度差データ
ΔIn(n=0,1,2,…)は、各強度差データΔIn
に対応する波長値をλnとしたとき、例えば図7に示す
ように波長値に対して正弦波状に変化するものとなる。
【0108】尚、外乱等の影響を低減するために、上記
のように求められる強度差データΔIn(n=0,1,
2,…)に対して、移動平均処理等によるローパス特性
のフィルタリング処理を施したものを改めて強度差デー
タΔInとして得るようにしてもよい。
【0109】次いで、データ処理装置17は、位相算出
手段20によって、前記光路差位相成分θ及び波長差位
相成分αの値を次のようにして求める。
【0110】すなわち、位相算出手段20は、まず、上
述のようにして強度差データ生成手段19により求めら
れた強度差データΔIn(n=0,1,2,…)から、
例えば最小二乗法の処理によって、前記式(10)の自
己回帰モデルの自己回帰係数としての複素数Z1,Z2,
A1,A2の値を求める。この場合、より具体的には式
(10)の3段目の式で、(Z1+Z2)及びZ1・Z2
を未知数として、最小二乗法の処理を行うことで、強度
差データΔIn(n=0,1,2,…)から(Z1+Z
2)及びZ1・Z2の値が求められ、それらの値から、複
素数Z1,Z2の値が求められる。そして、この複素数Z
1,Z2の値及び強度差データΔI1の値を式(10)の
2段目の式に代入してなる式と、強度差データΔI0の
値を式(10)の1段目の式に代入してなる式とを連立
方程式とし、その連立方程式を解くことによって、複素
数A1,A2の値が求められる。
【0111】次いで、位相算出手段20は、式(11)
に従って、複素数A1,A2の値から、前記光路差位相成
分θの値を求めると共に、式(12)に従って、複素数
Z1,Z2の値から、前記波長差位相成分αの値を求め
る。このようにして求められた光路差位相成分θ及び波
長差位相成分αは、それぞれ、前記基準波長値λaをλa
=λ1(本実施形態では例えばλa=840n m)に定め
たとき、共振器5の現在の反射面間隔D(=ゲージ長D
0)と前記式(17),(18)の関係を有するものと
なる。
【0112】このようにして光路差位相成分θ及び波長
差位相成分αを求めた後、次に、データ処理装置17
は、ひずみ算出手段21によって、前記波長差位相成分
αの値から、式(18)に基づいて、共振器5の現在の
反射面間隔Dを求め、それをひずみセンサ1のゲージ長
D0として図示しないメモリに記憶保持する。
【0113】この場合、本実施形態では、式(18)の
演算に必要な前記基準波長値λa及び単位波長差Δλ
は、それぞれ例えば840nm、2nmであり、波長差位相
成分αの1周期当たりの反射面間隔Dの変化量λa2
(4・Δλ)は、88.2μmである。また、本実施形
態では、ひずみセンサ1の前記凹面4の深さは、おおよ
そ40μm程度である。従って、前記式(18)でm=
0とした式によってゲージ長D0を波長位相成分αから
求めることができる(図4(b)を参照)。
【0114】尚、ゲージ長D0が88.2μm以下で、波
長差位相成分αが負の値となるときには、前記式(1
8)でm=1とした式によって、波長差位相成分αか
ら、ゲージ長D0を求めればよい。
【0115】さらに、データ処理装置17のひずみ算出
手段21は、前記のように位相算出手段20が波長差位
相成分αと共に求めた光路差位相成分θの値を初期光路
差位相成分θ0(図4(b)を参照)として図示しない
メモリに記憶保持する。
【0116】次に、測定対象物のひずみ測定を行う際に
は、前述のようにゲージ長D0及び初期光路差位相成分
θ0を求めた場合と全く同様にして、干渉光信号を生成
し、その干渉光信号の分光データから、前記データ処理
装置17の分光データ変換手段18、強度差データ生成
手段19、及び位相算出手段19の処理を順次行うこと
によって、光路差位相成分θ及び波長差位相成分αの値
を求める。
【0117】データ処理装置17は、さらに、今回のひ
ずみ測定時に上記のように求めた光路差位相成分θの値
の前記初期光路差位相成分θ0からの変化量(θ−θ0)
をひずみ算出手段21によって求める。そして、この変
化量(θ−θ0)から前記式(17)に基づいて共振器
5の反射面間隔Dの当初の値(=ゲージ長D0)からの
変化量ΔDを求める。この場合、共振器5の反射面間隔
Dの現在値が例えば図4(b)に示す「Dx」であると
し(但しここでは反射面間隔Dの変化が光路差位相成分
θの1周期内で生じるとする)、また、この反射面間隔
Dxに対応して求められた光路差位相成分θの値が「θ
x」であるとしたとき、共振器5の反射面間隔Dの変化
量ΔD(=Dx−D0)は、ΔD=(λa/4π)・(θx
−θ0)という式によって求めることができる。
【0118】そして、ひずみ算出手段21は、このよう
にして求めた反射面間隔Dの変化量ΔDの前記ゲージ長
D0に対する比ΔD/D0をひずみ測定値として算出す
る。これにより、ひずみセンサ1を用いたひずみ測定が
なされる。
【0119】図8に、測定対象物をアルミニウム材とし
て、該アルミニウム材の温度を変化させながら前述のよ
うにひずみ測定(アルミニウム材の温度ひずみの測定)
を行った場合の実測データのグラフを示す。同図10に
示すように、ひずみ測定値は、温度変化に対してリニア
に変化している。そして、グラフの傾き(温度変化に対
するひずみ測定値の変化の割合)は20.4ppm/℃
で、アルミニウム材の物理定数である線膨張係数21pp
m/℃とほぼ同一の値が得られた。このことから、精度
の良いひずみ測定値が得られることが判る。
【0120】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、測定対象物のひずみに応じた反射面間隔Dの変化量
ΔDを光路差位相成分θに基づき把握するので、微小な
変化量ΔDを把握することができ、精度のよいひずみ測
定値を得ることができる。また、反射面間隔Dの初期値
であるゲージ長D0は、基本的にはひずみに応じた反射
面間隔Dの変化量ΔDよりも十分に大きな値であるもの
の、波長差位相成分αに基づいて支障なく把握すること
ができる。
【0121】また、光路差位相成分θ及び波長差位相成
分α、ひいては、ひずみ測定値は分光器14の分光デー
タから、データ処理装置17による単なる演算的な処理
によって求めることができので、該データ処理装置17
は、マイクロコンピュータやパソコンを用いて構成する
ことができる。このため、ひずみ測定システムの構成を
簡易な構成とすることができる。
【0122】また、前記のようにひずみセンサ1のゲー
ジ長D0を波長差位相成分αに基づいて把握することが
できるため、ひずみセンサ1の製造に当たっては、前記
第2光ファイバ3の凹面4の深さ、あるいは共振器5の
反射面間隔Dをさほど厳格に管理する必要がない。この
ため、ひずみセンサ1の製造を前述したような少なく工
程数で容易に行うことができる。
【0123】尚、以上説明した実施形態では、測定対象
物のひずみに応じた反射面間隔Dの変化が光路差位相成
分θの1周期内で生じる場合について説明したが、例え
ば前記波長差位相成分αに基づき把握される反射面間隔
Dの分解能が、光路差位相成分θの1周期当たりの反射
面間隔Dの変化量λa/4よりも十分に小さければ、反
射面間隔Dの変化が光路差位相成分θの複数周期にわた
って生じるような場合でも、波長差位相成分αに基づ
き、巨視的に反射面間隔Dを把握しつつ、光路差位相成
分θに基づいて反射面間隔Dの変化量を求め、ひいては
高精度のひずみ測定値を得ることが可能である。
【0124】具体的には、波長差位相成分θを例えば
0.1degの分解能で求めるようにすると、波長差位相
成分αに基づき把握される反射面間隔Dの分解能は、前
記式(18)から明らかなように、49nm(但し、λa
=840nm、Δλ=2nmとする)である。そして、この
波長差位相成分αに基づく反射面間隔Dの分解能49nm
は、光路差位相成分θの1周期当たりの反射面間隔Dの
変化量λa/4=210nmよりも十分に小さいので、各
ひずみ測定時に得られる波長差位相成分αの値に基づき
把握される反射面間隔Dから、該反射面間隔Dの真値
が、光路差位相成分θのどの周期範囲に属するかを特定
することが可能である。すなわち、光路差位相成分θに
関する前記式(17)中の「m」の値を特定することが
可能である。
【0125】そして、このように式(17)中の「m」
の値を特定できれば、反射面間隔Dがその初期値D0
(=ゲージ長)から光路差位相成分θの複数周期にわた
って変化するような場合にも、該光路差位相成分θの値
に基づいて反射面間隔Dの変化量ΔD、ひいては、ひず
み測定値を得ることができる。
【0126】この場合、ひずみセンサ1を測定対象物に
貼着した直後の反射面間隔D0(=ゲージ長)において
求めた波長差位相成分αに基づく反射面間隔Dから把握
される式(17)の「m」の値をm0、ひずみ測定時に
求めた波長差位相成分αに基づく反射面間隔Dから把握
される式(17)の「m」の値をmxとおき、また、該ひ
ずみ測定時に求めた光路差位相成分θの値をθxとおく
と、反射面間隔Dの変化量ΔDは、前記式(17)から
明らかなように、次式(19)により求めることができ
る。
【0127】
【数19】
【0128】また、この場合、上記m0の値を用いるこ
とによって、ゲージ長である当初の反射面間隔D0を式
(17)に基づいて前記初期光路差位相成分θ0から、
より高精度に求めることもできる。
【0129】尚、式(19)は、mx=m0の場合、すな
わち、反射面間隔Dの変化が光路差位相成分θの1周期
内で生じる場合にも成立する式である。
【0130】次に、本発明の第2の実施形態を図9を参
照して説明する。本実施形態は、本発明の第2の態様に
係わる実施形態であり、前記第1の実施形態と同様に、
前記図1のひずみセンサ1を用いて物理量としての測定
対象物のひずみを測定するものである。尚、本実施形態
の説明では、第1の実施形態と同一構成あるいは同一機
能のものについては、第1の実施形態と同一の参照符号
を用いて詳細な説明を省略する。
【0131】図9は本実施形態におけるひずみ測定シス
テムの構成を示す図である。このシステムでは、所定波
長のレーザ光(実質的に単一波長からなる光)を光源光
として放出するレーザ装置22に、投光側光ファイバ1
1及びカプラ12を介して、ひずみセンサ1の第1光フ
ァイバ2が接続されている。また、カプラ12には、受
光側光ファイバ13を介して受光器23が接続されてい
る。投光側光ファイバ11、カプラ12及び受光側光フ
ァイバ13は前記図1のひずみ測定システムのものと同
一でよい。
【0132】この場合、レーザ装置22は、放出するレ
ーザ光の波長を、例えば前記第1の実施形態における光
源光と同程度の波長範囲で可変的に設定・制御可能なも
ので、各波長のレーザ光の強度は、基本的には各波長毎
に一定である。また、受光器23は、CCD等により構
成されたもので、受光する光の強度に応じたレベルの信
号を出力する。そして、この受光器23には、その出力
をA/D変換するA/D変換器16を介してパソコン等
からなるデータ処理装置24に接続されている。
【0133】データ処理装置24は、その主要な機能的
構成として、後述するようにレーザ装置22のレーザ光
の波長を複数の波長値に可変的に制御しながらひずみセ
ンサ1の共振器5により干渉光信号を生成したときに受
光器23から得られる各波長毎の干渉光信号の強度デー
タに所定の変換処理を施す強度データ変換手段25と、
この強度データ変換手段25により得られるデータ(変
換強度データ)から、所定の波長差当たりの干渉光信号
の強度差の複数のデータを求める強度差データ生成手段
26と、その強度差データを用いて干渉光信号の前記光
路差位相成分θ及び波長差位相成分αを求める位相算出
手段20と、その位相成分を用いてひずみを算出する等
の処理を行うひずみ算出手段21とを具備している。さ
らに、データ処理装置24は、レーザ装置22のレーザ
光の波長を制御するためのレーザ波長制御手段27を備
えている。
【0134】この場合、位相算出手段20及びひずみ算
出手段21が行う処理は、前記第1の実施形態のものと
全く同一である。また、強度データ変換手段25、強度
差データ生成手段26、及び位相算出手段20は、それ
ぞれ本発明の第2態様における強度データ変換工程、強
度差データ生成工程、位相算出工程を実行する手段に相
当するものである。さらに、レーザ波長制御手段27
は、本発明の第2の態様における干渉工程を制御するも
のである。
【0135】次に、本実施形態におけるひずみ測定シス
テムの作動を、データ処理装置24の各手段の処理の具
体的な内容と併せて説明する。本実施形態のひずみ測定
システムによるひずみ測定は、次のように行われる。
【0136】まず、前記第1の実施形態と全く同様にひ
ずみセンサ1のひずみセンサ1の共振器5の部分を測定
対象物に貼着した後、ひずみ測定の開始前に、データ処
理装置24は、レーザ波長制御手段27によって、レー
ザ装置22のレーザ光の波長を、例えば前記第1の実施
形態で説明した複数の波長値λ0,λ1,λ2,…(前記
単位波長差Δλづつ値が異なる波長値)に順番に所定時
間づつ制御し、その各波長値λn(n=0,1,2,
…)のレーザ光をひずみセンサ1の共振器5に投光側光
ファイバ11、カプラ12及び第1光ファイバ2を介し
て導入せしめる。
【0137】このとき、各波長値λnのレーザ光毎に、
共振器5の現在の反射面間隔D(=ひずみセンサ1のゲ
ージ長D0)に応じた干渉光信号(反射面間隔Dの二倍
の光路差を有する二つの光の干渉光信号)が生成され、
それが受光器23で受光される。さらに、各波長値λn
のレーザ光に対応する干渉光信号の強度のデータが受光
器23からA/D変換器16を介してデータ処理装置2
4に取り込まれる。
【0138】次いで、データ処理装置24は、取り込ん
だ各波長値λnに対応する干渉光信号の強度データに対
して、強度データ変換手段25によりレーザ装置22の
各波長値λnの光源光(レーザ光)の実際の強度に基づ
く変換処理を施す。この変換処理は、前記第1の実施形
態における分布データ変換手段18の変換処理と同様の
意義を持つものであり、レーザ装置22の前記各波長値
λn(n=0,1,2,…)におけるレーザ光の強度が
仮に同一であったとした場合に、各波長値λnのレーザ
光に対応して生成される干渉光信号の強度データ(変換
強度データ)を推定的に求める処理である。
【0139】従って、上記変換処理は前記第1の実施形
態の場合と同様の考え方によって、例えば次のように行
われる。すなわち、データ処理装置24は、レーザ装置
12の実際のレーザ光(光源光)の各波長値λn(n=
0,1,2…)における強度のデータをあらかじめ記憶
保持している。そして、データ処理装置24の強度デー
タ変換手段25は、各波長値λnのレーザ光に対応して
実際に得られた各干渉光信号の強度データに、その波長
値における実際のレーザ光の強度の逆数、あるいはこの
逆数にあらかじめ定めた所定値(例えば実際のレーザ光
のピーク強度)を乗算したものを乗算することにより、
各波長値λnのレーザ光に対応して実際に得られた各干
渉光信号の強度データを変換する。
【0140】このような変換を行うことによって、レー
ザ装置22のレーザ光の強度が各波長値λnにおいて同
一であるとした場合における各波長値λnのレーザ光に
対応する干渉光信号の強度データとしての変換強度デー
タが推定的に得られる。そして、このようにして得られ
る強度データは、前記式(4)の強度I(λn)(n=
0,1,2,…)の計測データに相当するものとなる。
【0141】尚、レーザ装置22の実際のレーザ光の各
波長の強度がほぼ同一である場合には、上記のような変
換処理をレーザ光の各波長毎の干渉光信号の強度データ
に施す必要はない。従って、この場合には、受光器23
からA/D変換器16を介して得られる、レーザ光の各
波長に対応する干渉光信号の強度のデータをそのまま、
変換強度データとして得るようにすればよい。
【0142】このようにして強度データ変換手段25の
処理により変換強度データI(λn)(n=0,1,2,
…)を得た後、データ処理装置24は、強度差データ生
成手段26によって、前記第1の実施形態における強度
差データ生成手段19の処理と同様の処理によって、前
記式(7)の強度差ΔIn(n=0,1,2,…)のデ
ータを得る。
【0143】すなわち、前記変換強度データI(λn)
(n=0,1,2,…)において、前記単位波長差Δλ
の例えば2倍の波長差を有するもの同士(I(λn+2),I
(λn))を組とし、その各組データの二つの強度データ
I(λn+2),I(λn)の差ΔIn(=I(λn+2)−I(λ
n))(n=0,1,2,…)を強度差データとして求め
る。このようにして求められる強度差データΔIn(n
=0,1,2,…)は、前記第1の実施形態で強度差デ
ータ生成手段19が求める強度差データと同様、前記式
(7)の強度差ΔInの計測データに相当するものであ
る。
【0144】このようにして、強度差データΔIn(n
=0,1,2,…)を得た後には、データ処理装置24
は、前記第1の実施形態の場合と全く同様に、位相算出
手段20によって、前記式(10)の自己回帰モデルの
自己回帰係数としての複素数Z1,Z2,A1,A2の値を
求め、さらに、それらの複素数Z1,Z2,A1,A2の値
から、前記式(11),(12)に従って、光路差位相
成分θ及び波長差位相成分αを求める。
【0145】さらに、データ処理装置24は、前記第1
の実施形態の場合と全く同様に、ひずみ算出手段21に
よって、前記波長差位相成分αの値から前記反射面間隔
Dの現在値であるゲージ長D0を求めて、それを図示し
ないメモリに記憶保持する。また、位相算出手段20が
求めた光路差位相成分θの値を初期光路差位相成分θ0
として記憶保持する。
【0146】次に、測定対象物のひずみ測定を行う際に
は、前述のようにゲージ長D0及び初期光路差位相成分
θ0を求めた場合と全く同様にして、レーザ装置22の
レーザ光の波長を前記複数の波長値λn(n=0,1,
2,)に順番に変化させて、各波長値λnのレーザ光毎
に、干渉光信号を生成し、その各干渉光信号の強度デー
タから、前記データ処理装置24の強度データ変換手段
25、強度差データ生成手段26、及び位相算出手段2
0の処理を順次行うことによって、光路差位相成分θ及
び波長差位相成分αの値を求める。
【0147】さらに、データ処理装置24は、前記第1
の実施形態の場合と全く同様にして、ひずみ算出手段2
1によって、ひずみ測定値を求める。すなわち、今回求
められた光路差位相成分θ(これをここではθxとお
く)の前記初期光路差位相成分θ0からの変化量(θx−
θ0)を求め、この変化量(θx−θ0)から前記式(1
7)に基づいて共振器5の反射面間隔Dの変化量ΔDを
求める。そして、反射面間隔Dの変化量ΔDの前記ゲー
ジ長D0に対する比ΔD/D0をひずみ測定値として算出
する。これにより、ひずみセンサ1を用いたひずみ測定
がなされる。
【0148】この場合、前記第1の実施形態に関して説
明したように、反射面間隔Dの変化が光路差位相成分θ
の1周期内で生じるような場合には、反射面間隔Dの変
化量ΔDは、ΔD=(λa/4π)・(θx−θ0)とい
う式(式(19)でmx=m0とした式)によって求める
ことができる。また、反射面間隔Dの変化が光路差位相
成分θの複数周期に渡るような場合には、ひずみ測定時
に光路差位相成分θと共に求める波長差位相成分αの値
を用いて前記式(17)の「m」の値を特定することに
よって、反射面間隔Dの変化量ΔDは、前記式(19)
により求めることができる。
【0149】このように、干渉光信号を生成するための
光源光としてレーザ装置22の可変波長のレーザ光を用
いる本実施形態においても、前記第1の実施形態と同様
に、光路差位相成分θ及び波長差位相成分αを求めて、
それらの位相成分θ,αの値から反射面間隔Dの大きさ
やその変化量を把握し、ひずみ測定を行うことができ
る。従って、前記第1の実施形態と同様の作用効果を奏
することができる。
【0150】尚、以上説明した第1及び第2の実施形態
では、前記基準波長値λa(=λ1)の値や前記単位波長
差Δλを固定的に設定したが、それらの値を必要に応じ
て可変的に設定するようにしてもよい。
【0151】例えば前記光路差位相成分θに関しては、
前記式(17)から明らかなように、基準波長値λa
(=λ1)を変更すると、光路差位相成分θの1周期当
たりの反射面間隔Dの変化量ΔDが変化する。従って、
基準波長値λaの値を適宜調整することによって、該光
路差位相成分θの1周期内で把握可能な反射面間隔Dの
変化量ΔDの範囲や、該変化量ΔDに対する光路差位相
成分θの感度を調整することができると共に、前記初期
光路差位相成分θ0の値を調整することもできる。
【0152】また、波長差位相成分αに関しては、前記
式(18)から明らかなように、基準波長値λa(=λ
1)あるいは単位波長差Δλを変更すると、波長差位相
成分αの1周期当たりの反射面間隔Dの変化量が変化す
る。従って、波長差位相成分αの値からひずみセンサ1
のゲージ長D0(当初の反射面間隔D)を把握する場合
に、例えば単位波長差Δλの値を適宜調整することで、
波長差位相成分αの1周期内で把握可能なゲージ長D0
の範囲や、該ゲージ長D0に対応して求められる波長差
位相成分αの値を調整することができる。この場合、波
長差位相成分αの値は、それがπ/2の近傍の値になる
ときに、ノイズ等の影響を受け難い。このため、ひずみ
センサ1のゲージ長D0を計測する場合に、波長差位相
成分αの値が、π/2の近傍の値になるように、単位波
長差Δλの値を調整しておけば、求められるゲージ長D
0の信頼性を高めることができる。
【0153】また、前記第1及び第2の実施形態では、
本発明の光干渉測定方法をひずみ測定に適用した場合を
例にとって説明したが、本発明の光干渉測定方法は、ひ
ずみ以外の物理量を測定する場合にも適用することが可
能である。
【0154】以下に、本発明(詳しくは本発明の第1の
態様)を物体の変位位置を測定する場合に適用した実施
形態(第3の実施形態)を図10及び図11を参照して
説明する。
【0155】図10に本実施形態における測定システム
の全体構成を示す。図示のように、本システムでは、図
示しない保持具により先端部を水平に保持した測定用光
ファイバ28が3dBカプラ29及び投光側光ファイバ3
0を介して光源31に接続されると共に、カプラ29及
び受光側光ファイバ32を介して分光器33に接続され
ている。
【0156】測定用光ファイバ28は、前記第1の実施
形態におけるひずみセンサ1の第1光ファイバ2と同
様、石英系のシングルモード光ファイバであり、その先
端面は、軸心と直交する面(鏡面)に形成されている。
また、カプラ29、投光側光ファイバ30、受光側光フ
ァイバ32及び分光器33は、本実施形態では、前記第
1の実施形態で用いたものと同一である。
【0157】そして、前記測定用光ファイバ28の正面
には、本実施形態で変位位置を測定しようとする物体と
しての石英ブロックWが配置され、この石英ブロックW
は、マイクロメータ34によって、測定用光ファイバ2
8の先端部の軸方向に移動可能な可動ステージ35上に
搭載されて固定されている。
【0158】この場合、石英ブロックWの測定用光ファ
イバ28に対向する面部は、垂直な鏡面状に形成されて
いる。
【0159】かかる構成によって、光源31から投光側
光ファイバ30に光源光を導入すると、その光は、カプ
ラ29を介して測定用光ファイバ28に導かれる。そし
て、測定用光ファイバ28に導かれた光源光は、その一
部が測定用光ファイバ28の先端面で反射して戻ると共
に、残部が石英ブロックWに向かった進行する。そし
て、石英ブロックWに進行する光の一部が石英ブロック
Wの表面で反射されて測定用光ファイバ28側に戻り、
さらに、その一部が測定用光ファイバ28の先端面を透
過して、該測定用光ファイバ28内を戻る。このとき、
測定用光ファイバ28の先端面で反射した光と、石英ブ
ロックWの表面で反射した光とが、測定用光ファイバ2
8の先端面と石英ブロックWとの間隔の二倍の光路差を
有して干渉し、その干渉光信号が測定用光ファイバ28
から、カプラ29及び受光側光ファイバ32を介して分
光器33に導かれて受光される。尚、本実施形態の説明
では、説明の便宜上、測定用光ファイバ28の先端面と
石英ブロックWとの間隔の参照符号として、前記第1の
実施形態における反射面間隔と同一の参照符号Dを用い
る。
【0160】さらに、本実施形態のシステムでは、分光
器33に備えられたCCD36、すなわち、分光器33
が受光する干渉光信号の各波長成分の強度に応じたレベ
ルの信号を出力するCCD36は、前記第1の実施形態
の場合と同様、A/D変換器37を介してパソコン等に
より構成されたデータ処理装置38に接続されている。
【0161】この場合、データ処理装置38は、第1の
実施形態におけるデータ処理装置17の分光データ変換
手段18、強度差データ生成手段19、及び位相算出手
段20とそれぞれ同じ処理を行う分光データ変換手段3
9、強度差データ生成手段40、及び位相算出手段41
を具備している。
【0162】かかる測定システムによる石英ブロックW
の変位位置の測定においては、本実施形態では、例えば
石英ブロックWが測定用光ファイバ28の先端面に当接
する位置を石英ブロックWの原点位置とし、石英ブロッ
クWと測定用光ファイバ28の先端面との間隔Dを、石
英ブロックWの変位位置として測定する。そして、石英
ブロックWをマイクロメータ34により複数の位置に順
次移動させて、その移動の都度、石英ブロックWの変位
位置(間隔D)を測定する。
【0163】この場合、マイクロメータ34による石英
ブロックWの各移動位置での石英ブロックWの変位位置
(間隔D)の測定は次のように行われる。
【0164】すなわち、前述のように光源31の光源光
を測定用光ファイバ28及び石英ブロックWに導いて、
それらの間隔D(以下、測定物変位間隔Dという)の二
倍の光路差を有する光の干渉光信号を生成し、この干渉
光信号を分光器33で受光する。そして、その分光器3
3のCCD36から、A/D変換器37を介して、分光
器33で受光された干渉光信号の波長分布データをデー
タ処理装置38に取り込む。
【0165】このときデータ処理装置38は、前記第1
の実施形態の場合と全く同様にして、分光データ変換手
段39、強度差データ生成手段40、及び位相算出手段
41の処理を順次実行して、前記光路差位相成分θ及び
波長差位相成分αを求める。
【0166】そして、本実施形態では、データ処理装置
38は、これらの位相成分のうちの例えば波長差位相成
分αの値から、前記式(18)に基づいて、測定物変位
間隔Dを求める。
【0167】この場合、本実施形態では、マイクロメー
タ34による石英ブロックWの移動は、前記測定物変位
間隔Dが、例えば波長差位相成分αの1周期当たりの距
離λa2/(4・Δλ)(本実施形態では88.2μm)
に収まる範囲で行う。このとき測定物変位間隔Dは、前
述のように求めた波長差位相成分αの値が「0」もしく
は正の値であるときには、前記式(18)でm=0とし
た式によって波長差位相成分αの値から求められる。ま
た、波長差位相成分αの値が負の値であるときには、前
記式(18)でm=1とした式によって、該波長差位相
成分αの値から求められる。
【0168】これにより、石英ブロックWの各移動位置
において、石英ブロックWの変位位置としての測定物変
位間隔Dが測定される。
【0169】図11に、このような測定による測定物変
位間隔Dの測定データを例示する。この図11では、横
軸は、マイクロメータ34による測定物変位間隔Dの設
定値であり、縦軸は、波長差位相成分αに基づく測定物
変位間隔Dの測定値である。図示のように、測定物変位
間隔Dの測定値は、マイクロメータ34による設定値と
精度よく合致する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の実施形態で用いる光フ
ァイバ式ひずみセンサの構造を示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるひずみ測定シ
ステムのシステム構成図。
【図3】図2のシステムで干渉光信号の生成に用いる光
源光とその光源光を用いて生成される干渉光信号との波
長分布を示す図。
【図4】図2のシステムによるひずみ測定手法を説明す
るための図。
【図5】図2のシステムによるひずみ測定手法を説明す
るための図。
【図6】図2のシステムによるひずみ測定手法を説明す
るための図。
【図7】図2のシステムによるひずみ測定手法を説明す
るための図。
【図8】図2のシステムによるひずみ(温度ひずみ)の
実測データを示すグラフ。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるひずみ測定シ
ステムのシステム構成図。
【図10】本発明の第3の実施形態における測定システ
ムのシステム構成図。
【図11】図10のシステムによる実測データを示すグ
ラフ。
【符号の説明】
1…光ファイバ式ひずみセンサ、2…第1光ファイバ、
3…第2光ファイバ、4…凹面、5…共振器、4a,6
…部分反射面。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単一の光源光から物理量に応じて変化する
    光路差を有する二つの光を生成すると共にその二つの光
    を干渉させてなる干渉光信号を生成し、その干渉光信号
    に基づき把握される前記光路差から前記物理量を測定す
    る光干渉測定方法において、 前記光源光を所定の波長分布を有する光源光として、前
    記干渉光信号を生成する干渉工程と、 該干渉光信号を受光して分光し、該干渉光信号の各波長
    毎の強度を表す分光データを得る分光工程と、 前記光源光の波長分布に基づく所定の変換処理を前記分
    光データに施すことにより、前記光源光が白色光である
    として前記干渉工程を実行した場合に前記分光工程で得
    られると推定される分光データを変換分光データとして
    求める分光データ変換工程と、 該変換分光データから、所定の単位波長差づつ値が異な
    る複数の波長値における干渉光信号の強度データを抽出
    すると共に、各波長値における各強度データと該強度デ
    ータに対して前記単位波長差の所定整数倍の波長差を有
    する強度データとを組データとし、その各組データの二
    つの強度データの値の差を強度差データとして求める強
    度差データ生成工程と、 該強度差データに関してあらかじめ定めた演算式と前記
    強度差データ生成工程で求めた強度差データとを用い
    て、前記干渉光信号の前記光路差に応じた第1位相成分
    と、該干渉光信号の波長差に応じた第2位相成分とのう
    ちの少なくとも一方の位相成分を求める位相算出工程と
    を備え、 その求めた位相成分に基づき前記光路差を把握すること
    を特徴とする光干渉測定方法。
  2. 【請求項2】単一の光源光から物理量に応じて変化する
    光路差を有する二つの光を生成すると共にその二つの光
    を干渉させてなる干渉光信号を生成し、その干渉光信号
    に基づき把握される前記光路差から前記物理量を測定す
    る光干渉測定方法において、 前記光源光を所定波長を有する光源光として、前記干渉
    光信号を生成すると共に、その干渉光信号の生成を、前
    記光源光の波長を所定の単位波長差づつ異なる複数の波
    長値に順次変化させて行う干渉工程と、 前記光源光の各波長に対応する各干渉光信号を受光し、
    該干渉光信号の強度データを得る受光工程と、 前記光源光の各波長毎の強度に基づく所定の変換処理を
    前記各干渉光信号の強度データに施すことにより、前記
    光源光の各波長毎の強度が同一であるとして前記干渉工
    程を実行した場合に前記受光工程で該光源光の各波長に
    対応して得られると推定される強度データを変換強度デ
    ータとして求める強度データ変換工程と、 該変換強度データのうちの前記光源光の各波長に対応す
    る各変換強度データと該変換強度データに対して前記単
    位波長差の所定整数倍の波長差を有する変換強度データ
    とを組データとし、その各組データの二つの変換強度デ
    ータの値の差を強度差データとして求める強度差データ
    生成工程と、 該強度差データに関してあらかじめ定めた演算式と前記
    強度差データ生成工程で求めた強度差データとを用い
    て、前記干渉光信号の前記光路差に応じた第1位相成分
    と、該干渉光信号の波長差に応じた第2位相成分とのう
    ちの少なくとも一方の位相成分を求める位相算出工程と
    を備え、 その求めた位相成分に基づき前記光路差を把握すること
    を特徴とする光干渉測定方法。
  3. 【請求項3】前記分光データ変換工程は、前記光源光の
    波長分布が白色光の波長分布と略同一の波長分布である
    ときには、前記分光工程で得られた前記分光データを前
    記変換分光データとして得ることを特徴とする請求項1
    記載の光干渉測定方法。
  4. 【請求項4】前記強度データ変換工程は、前記光源光の
    各波長毎の強度が略同一であるときには、前記受光工程
    で得られた前記強度データを前記変換強度データとして
    得ることを特徴とする請求項2記載の光干渉測定方法。
  5. 【請求項5】前記第1位相成分をθ、前記第2位相成分
    をα、前記光路差をLとしたとき、該第1位相成分θ及
    び第2位相成分αは、それぞれ、前記光路差Lと次式
    (1)、(2)の関係を有する位相成分であることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光干渉測
    定方法。 【数1】 【数2】 但し、λa:あらかじめ定めた所定の基準波長値、Δ
    λ:前記単位波長差、ka:波長値λaに対応する波数
    (=2π/λa)。
  6. 【請求項6】前記光干渉測定方法は、光の一部を反射可
    能な一対の部分反射面を両端に相対向させて形成され、
    前記物理量としての測定対象物のひずみに応じて前記両
    部分反射面の間隔が変化するよう該測定対象物に取付け
    られる共振器と、前記両部分反射面の一方側から他方側
    に向かう光を前記共振器にその外部から導入するための
    光ファイバとを備えた光ファイバ式ひずみセンサを用い
    て前記測定対象物のひずみの測定を行う光干渉測定方法
    であり、 前記干渉工程は、前記光源光を前記光ファイバを介して
    前記共振器に導入して、該光源光の一部を該共振器の各
    部分反射面で反射させることにより、前記両部分反射面
    の間隔の二倍の光路差を有する二つの光を生成すると共
    に、その二つの光を干渉させてなる前記干渉光信号を生
    成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に
    記載の光干渉測定方法。
  7. 【請求項7】前記ひずみセンサは、少なくとも先端面の
    中心部に軸心と略直交する直交面があらかじめ形成され
    た第1の光ファイバと、先端面の中心部にあらかじめ凹
    面が形成され、且つ該凹面の底部が軸心と略直交する第
    2の光ファイバとを備えると共に、前記第1の光ファイ
    バの先端面の周縁部と前記第2の光ファイバの先端面の
    周縁部とが略同心に接合されて固着されており、前記第
    1の光ファイバの先端面の中心部と前記第2の光ファイ
    バの凹面の底部とを前記両部分反射面として前記共振器
    が構成してなるひずみセンサであり、 前記測定対象物のひずみ測定の開始前に、前記位相算出
    工程で前記第2位相成分を求めて、該第2位相成分に基
    づき把握される前記光路差の半分の値を前記ひずみセン
    サのゲージ長として得ると共に、ひずみ測定時には、前
    記位相算出工程で前記第1位相成分を求めて、該第1位
    相成分に基づき把握される前記光路差の変化量により前
    記測定対象物のひずみに応じた前記両部分反射面の間隔
    の変化量を把握し、その変化量と前記ゲージ長の比によ
    りひずみ測定値を得ることを特徴とする請求項6記載の
    光干渉測定方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011174922A (ja) * 2010-02-09 2011-09-08 Attocube Systems Ag ファブリペロー干渉計を利用して位置を取得する装置
JP2012519856A (ja) * 2009-03-04 2012-08-30 ザ・ボーイング・カンパニー ファイバーケーブルの歪み検出システム及び方法
KR101195101B1 (ko) 2007-07-19 2012-11-05 지고 코포레이션 간섭 측정을 위한 모델 신호 발생

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