JP2001279442A - 絶縁膜の製造方法 - Google Patents

絶縁膜の製造方法

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JP2001279442A
JP2001279442A JP2000090210A JP2000090210A JP2001279442A JP 2001279442 A JP2001279442 A JP 2001279442A JP 2000090210 A JP2000090210 A JP 2000090210A JP 2000090210 A JP2000090210 A JP 2000090210A JP 2001279442 A JP2001279442 A JP 2001279442A
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Tsukasa Itani
司 井谷
Yukiko Kojima
由紀子 小島
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 絶縁膜の製造方法に関し、50nm以下の膜
厚においてより優れた絶縁耐圧と段差被覆性を実現す
る。 【解決手段】 アルミニウムアルコキシド、マグネシウ
ム有機物、及び、酸素を原料としたプラズマ化学気相堆
積法によって、MgO添加アルミナ膜9を堆積する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は絶縁膜の製造方法に
関するものであり、特に、ハードディスクドライブ(H
DD)等の磁気記録装置或いは磁気テープ装置等に用い
られる複合型薄膜磁気ヘッドを構成するシールド間距離
の狭いMRヘッドのリードギャップ層等として用いられ
るアルミナ膜の製造方法に特徴のある絶縁膜の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年のマルチメディア化の進展に伴い、
コンピュータ用磁気記録ディスクの記録容量は年間1.
6倍ものスピードで高密度化が進んでおり、この様な高
密度化によって微細化した記録ビットから十分な信号再
生出力を得るために今日では、再生専用ヘッドとして、
記録媒体の速度に依存せず、小型ディスクに対しても適
用でき、且つ、高い出力が得られる磁気抵抗効果素子
(MR素子)を用いた薄膜磁気ヘッドが実用化されてい
る。
【0003】この様なMR素子、或いは、次世代の再生
素子と言われるGMR(巨大磁気抵抗効果)素子を用い
た薄膜磁気ヘッドで高密度記録された信号を再生するに
は、読取対象となる記録ビットに対してMR素子或いは
GMR素子が十分な特性を持つと同時に、読取位置の分
解能向上が必要となる。
【0004】この分解能の向上のためには、MR素子に
対する外部磁場の影響を除去することが必要となり、そ
のためには、MR素子を挟持する上下の磁気シールド層
の間隔Lを小さくすれば良く、間隔Lが小さくなるにつ
れて位置分解能が向上するので、この事情を図5を参照
して説明する。
【0005】図5(a)参照 図5(a)は、再生専用のMRヘッドと記録専用の薄膜
磁気ヘッドとを積層させた複合型薄膜磁気ヘッドの上部
磁極層の先端部であるライトポール31の中央部で切断
した要部切断斜視図であり、実際には左右対称構造とな
っており、スライダーの母体となるAl2 3 −TiC
基板21上に、Al2 3 膜(図示せず)を介してNi
Fe合金等からなる下部シールド層22を設け、Al2
3 等の下部リードギャップ層23を介して磁気抵抗効
果素子24を設けて所定の形状にパターニングしたの
ち、磁気抵抗効果素子24の両端にAu等からなる導電
膜を堆積させてリード電極25を形成する。
【0006】次いで、再び、Al2 3 等の上部リード
ギャップ層26を介してNiFe合金等からなる下部磁
極層を兼ねる上部シールド層27を設け、その上にAl
2 3 等からなるライトギャップ層28を設けたのち、
レジスト等の層間絶縁膜29を介して水平スパイラル状
のライトコイル30を形成し、次いで、レジスト等から
なる層間絶縁膜29によってライトコイル30を被覆し
たのち、層間絶縁膜29上に先端に幅細のライトポール
31を有するパターンの上部磁極層(ライトポール31
以外は図示せず)を設け、最後に、全面にAl2 3
(図示せず)を設けて保護膜とする。
【0007】この複合型薄膜磁気ヘッドにおいて、ライ
トコイル30の両端に設けたライト電極(図示せず)か
らライトコイル30に信号電流を流すことによって発生
した磁束は下部磁極層を兼ねる上部シールド層27と上
部磁極層とからなる磁極コアに導かれ、上部磁極層の先
端のライトポール31近傍においてライトギャップ層2
8によって形成される記録ギャップによって磁束が外部
に漏れ出て、磁気記録媒体に信号が記録されることにな
る。
【0008】一方、MRヘッドにおける再生原理は、リ
ード電極25から一定のセンス電流を流した場合に、磁
気抵抗効果素子24を構成する磁性薄膜の電気抵抗が磁
気記録媒体からの磁界により変化する現象を利用するも
のである。
【0009】図5(b)及び(c)参照 図5(b)及び(c)は、磁気記録媒体32に対する上
下の磁気シールド層の間隔Lと、磁場の影響の説明図で
あり、下部シールド層22と上部シールド層27とに挟
持された磁気抵抗効果素子24は、対向する磁気記録媒
体32に記録された記録ビット33を順次読み取ること
になるが、図5(b)に示すように、磁気記録密度が向
上して下部シールド層22と上部シールド層27との間
の間隔Lが記録ビット33に対して広くなりすぎると、
読取対象の記録ビット33以外の隣接する記録ビット3
3の磁界の影響を受け、位置分解能が低下するという問
題がある。
【0010】一方、下部シールド層22と上部シールド
層27との間の間隔Lを狭くしていくと、読取対象の記
録ビット33以外の隣接する記録ビット33の磁界は、
下部シールド層22及び上部シールド層27によって遮
蔽されるので、磁気記録密度に応じた位置分解能を保つ
ことができる。
【0011】なお、この様な下部シールド層22と上部
シールド層27との間に設けられる下部リードギャップ
層23及び上部リードギャップ層26としては、一般的
にAl2 3 或いはSiO2 等の絶縁膜が用いられてい
る(必要ならば、特開昭58−220240号公報、特
開昭58−19718号公報、或いは、特開平6−17
6322号公報参照)。
【0012】この様な下部リードギャップ層23及び上
部リードギャップ層26等の各層は半導体装置の製造プ
ロセスと同様な薄膜形成方法によって形成されており、
MRヘッドの場合には、磁気抵抗効果素子24が磁性体
によって構成されているため、MRヘッドの製造プロセ
スにおいては、磁性体のキュリー点以下の温度条件でM
Rヘッドを作成する必要があり、例えば、代表的な磁性
体であるFeNiを用いた場合には、250℃以下で行
うことが必須条件となり、したがって、下部リードギャ
ップ層23及び上部リードギャップ層26の成膜工程に
おいては、比較的低温で成膜できる電子ビーム蒸着法
(EB蒸着法)或いはスパッタ法等が主に用いられてい
る。
【0013】しかし、電子ビーム蒸着法或いはスパッタ
法によって成膜したAl2 3 膜やSiO2 膜は、膜厚
が約50nm以下になると、ピンホールが急激に増大
し、絶縁性が劣化し、したがって、高記録密度化の進展
に伴って間隔Lを狭くした場合、下部リードギャップ層
23及び上部リードギャップ層26の膜厚も必然的に薄
くなり、この膜厚の減少による絶縁耐圧の低下が製造歩
留りに重大な影響を与えるという問題がある。
【0014】この様なギャップ層の絶縁性の低下の問題
を解決するために、Al2 3 膜をスパッタ法によって
成膜する際に、MgO、La2 3 、Y2 3 の内のい
ずれか1つ以上を添加するとともに、それらの合計が1
%以下になるように調整したAl2 3 ターゲットを用
いることが提案されている(必要ならば、特願平10−
295084号参照)。
【0015】この提案においては、MgO、La
2 3 、Y2 3 の内のいずれか1つ以上を1重量%以
下添加したAl2 3 ターゲットからなる蒸着源を電子
ビーム等のエネルギー源によって加熱することによっ
て、蒸着源からクラスタが飛び出し、基板に付着して表
面マイグレーションを起こすことによってアルミナ膜と
して堆積させるものである。
【0016】そして、例えば、アルミナ膜の膜厚を20
nmとした場合、約6.9MV/cm、また、50nm
とした場合、約8MV/cmの絶縁耐圧を得ることがで
き、無添加のAl2 3 膜の100nmにおける絶縁耐
圧5MV/cmより1桁改善することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のEB蒸
着法或いはスパッタ法等のPVD(物理蒸着)法と総称
される堆積方法では、段差端や、パターン壁等において
堆積膜の膜厚現象が生じ、パターンの被覆性が悪くなる
ため、製造した素子の信頼性や製品歩留りの低下の原因
になるという問題がある。
【0018】この様な段差被覆性を改善するために、本
発明者は、PVD法によるAl2 3 膜に代わって、ア
ルミニウムアルコキシドと酸素を原料としたプラズマC
VD法を用いてAl2 3 膜を成膜することを提案して
おり(必要ならば、特願平11−301911号参
照)、これによって、50nmの膜厚において8MV/
cm以上の絶縁耐圧と優れた段差被覆性を得ることがで
きる。
【0019】本発明は、この様なプラズマCVD法を更
に改良して、50nm以下の膜厚においてより優れた絶
縁耐圧と段差被覆性を実現することを目的とするもので
ある。
【0020】
【課題を解決するための手段】ここで、図1を参照して
本発明における課題を解決するための手段を説明する。
なお、図1は、本発明の実施の形態に用いる容量結合型
プラズマCVD装置の概念的構成図である。 図1参照 (1)本発明は、絶縁膜の製造方法において、アルミニ
ウムアルコキシド、マグネシウム有機化合物、及び、酸
素を原料としたプラズマ化学気相堆積法によって、Mg
O添加アルミナ膜9を堆積することを特徴とする。
【0021】この様に、プラズマ化学気相堆積法(プラ
ズマCVD法)における原料として、液体のアルミニウ
ムアルコキシド及びマグネシウム有機化合物を用いるこ
とにより、固体原料を用いた場合より制御性の高い原料
供給を行うことができる。即ち、Al原料および原料と
しては、気体原料が通常存在しないので、この様な液体
原料の方が固体原料よりも制御性の点で有利になる。
【0022】また、Al原料としてAl原料中の炭素組
成比率が大きなアルミニウムアルコキシドを用いること
により、プラズマ8中で完全に分解しずらく、基板4表
面においてすぐに反応せずにマイクレーションするの
で、表面マイグレーション距離が長くなり、それによっ
て、段差被覆性が向上する。この様な製造方法は、MR
ヘッドを構成する上下のリードギャップ層の製造方法と
して特に好適である。
【0023】また、従来のアルミナ焼結体における緻密
化手法を応用してAl2 3 にMgOを添加するため
に、プラズマCVD法における原料ガスにMg有機化合
物を添加することによって、緻密化したピンホールフリ
ーで、従来より高絶縁耐圧で、且つ、段差被覆性に優れ
たMgO添加アルミナ膜9を製造することができる。
【0024】(2)また、本発明は、上記(1)におい
て、マグネシウム有機化合物がビスエチルシクロペンタ
ジエニルマグネシウムであり、アルミニウムアルコキシ
ドがアルミニウムトリ−セカンダリ−ブトキシドである
ことを特徴とする。
【0025】この様に、マグネシウム有機化合物として
は、ビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム{E
tCp2 Mg、即ち、(C2 5 5 4 2 Mg}
が、また、アルミニウムアルコキシドとしては、アルミ
ニウムトリ−セカンダリ−ブトキシド{Al(sec−
OC4 9 3 、即ち、〔C2 5 CH(CH3 )O〕
3 Al}が、入手容易性や取扱容易性の観点から好適で
ある。
【0026】(3)また、本発明は、上記(1)または
(2)において、プラズマ化学気相堆積法における成膜
時の電源周波数が、50kHz〜150kHzであるこ
とを特徴とする。
【0027】この様に、成膜時の電源周波数を、50k
Hz〜150kHzの比較的低い周波数とすることによ
って、プラズマ8中のイオンが電場の変動に追従しやす
く、基板4へのイオンボンバードメント効率が向上し、
それによって、Al原料等の炭素組成比が大きくプラズ
マ8中で完全に分解しない場合にも、基板4の表面にお
いてイオンボンバードメントによって完全に分解するこ
とができ、したがって、優れた絶縁耐圧と段差被覆性を
有するMgO添加アルミナ膜9を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】ここで、図1乃至図4を参照し
て、本発明の実施の形態のMgO添加アルミナ膜の製造
工程及び得られたMgO添加アルミナ膜の特性を説明す
るが、まず、実施の形態に用いる容量結合型プラズマC
VD装置を説明する。 再び、図1参照 本発明の実施の形態に用いる容量結合型プラズマCVD
装置は、反応室1内にサセプタを兼ねる上部電極3と原
料ガス6の導入口を兼ねるシャワーヘッド型の下部電極
2からなる平行平板電極を備えたプラズマCVD装置で
あり、上部電極3には、基板4が保持される。なお、基
板4は、薄膜磁気ヘッドの製造工程においては、下部磁
気シールドを設けたAl2 3 −TiC基板、或いは、
磁気抵抗効果素子及びリード電極を形成した後のAl2
3 −TiC基板であるが、本発明の実施の形態におい
ては、後述するように、図2に示す基板を用いる。
【0029】この反応室1内に、ガス導入管5及び下部
電極2を介して、アルミニウムアルコキシド、Mg有機
化合物、及び、O2 が原料ガス6として導入され、下部
電極2と上部電極3との間に高周波電源7から50kH
z〜150kHzの高周波電力を印加することによって
プラズマ8を発生させ、基板4上に、MgO添加アルミ
ナ膜9を成膜するものである。なお、他の反応生成物及
び未反応の原料ガスは排気管10を介して排気されるこ
とになる。
【0030】次に、図2を参照して、本発明の実施の形
態における成膜状態及び特性測定方法を説明する。 図2(a)及び(b)参照 図2(a)及び(b)は、絶縁耐圧、即ち、破壊電圧を
測定するための成膜状態及び測定方法を説明する図であ
り、図2(b)は、図2(a)に示すAu凸状電極15
を示す平面図におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った
概略的断面図である。まず、シリコン基板11上に、厚
さ200nmのAu膜を堆積させてAu下部電極12を
形成したのち、下部リードギャップ層に対応するものと
して、MgO添加アルミナ膜13を20nmまたは50
nm堆積させ、次いで、厚さ200nmのAu膜を堆積
させてAu中間電極14を形成したのち、リード電極に
対応するようなパターンとして長さLが300μm、全
体の幅Wが300μm、間隔dが2μmで、厚さが40
0nmの1対のAu凸状電極15を形成し、次いで、上
部リードギャップ層に対応するものとして、再び、Mg
O添加アルミナ膜16を20nmまたは50nm堆積さ
せ、最後に、厚さ200nmのAu膜を堆積させてAu
上部電極17を形成する。なお、Au凸状電極15は、
表面に凹凸がある場合のMgO添加アルミナ膜16の段
差被覆性を確認するために設けている。
【0031】この場合の原料としては、アルミニウムア
ルコキシドとしては、アルミニウムトリ−セカンダリ−
ブトキシド{Al(sec−OC4 9 3 、即ち、
〔C25 CH(CH3 )O〕3 Al}を用い、また、
Mg有機化合物としてはビスエチルシクロペンタジエニ
ルマグネシウム{EtCp2 Mg、即ち、(C2 5
5 4 2 Mg}を用い、夫々Arによってバブリング
して液体原料を気化して用いるものである。
【0032】また、この場合の成膜圧力は、例えば、
0.5Torrであり、各原料のバブリングによって気
化した状態の流量比は、EtCp2 Mg:Al(sec
−OC 4 9 3 :O2 =0.0006:0.02:1
で、EtCp2 Mg及びAl(sec−OC4 9 3
についてはArガスを含まないそれ自体の流量であり、
各蒸気圧に基づいて換算した値である。また、この場合
の成膜時の基板表面温度は、例えば、200℃であり、
また、プラズマ出力は100Wである。
【0033】次いで、破壊電圧測定器18を用いて、A
u下部電極12とAu中間電極14との間に電圧を印加
して、リーク電流の大きさでMgO添加アルミナ膜13
の絶縁耐圧、即ち、絶縁破壊電圧を測定するとと共に、
Au中間電極14とAu上部電極17との間にも電圧を
印加してMgOアルミナ膜16の絶縁破壊電圧を測定
し、その平均絶縁破壊電圧を求める。なお、この場合に
おける絶縁破壊電圧は、両端子間に流れるリーク電流が
1×10-6A以上になった時の電圧とする。
【0034】また、段差被覆性については、Al凸状電
極15の平坦部における膜厚Ds と、一対のAl凸状電
極15の対向部の側壁における膜厚Dw との比、Dw
sで評価し、Dw /Ds が1に近いほど段差被覆性に
優れることになる。
【0035】次に、図3を参照して、本発明の実施の形
態のMgO添加アルミナ膜における平均絶縁耐圧の励起
周波数依存性を説明する。 図3参照 図3は、膜厚が20nmのMgO添加アルミナ膜と50
nmのMgO添加アルミナ膜の平均絶縁耐圧の励起周波
数依存性を示す図であり、励起周波数が50kHz〜1
50kHzの範囲において、8MV/cm以上の優れた
絶縁耐圧が得られた。
【0036】これは、励起周波数を50kHz〜150
kHzの比較的低い周波数とすることによって、プラズ
マ中のイオンが電場の変動に追従しやすく、基板へのイ
オンボンバードメント効率が向上し、それによって、炭
素組成比が大きくプラズマ中で完全に分解しずらいAl
(sec−OC4 9 3 をAl原料として用いた場合
にも、基板表面において、イオンボンバードメントによ
って完全に分解することができ、したがって、炭素を含
有しない優れた絶縁耐圧を有するMgO添加アルミナ膜
を得ることができる。
【0037】また、原料ガス中にMg原料を添加して、
アルミナ膜をMgO添加アルミナ膜とすることによっ
て、MgO無添加アルミナ膜よりも若干絶縁耐圧を向上
することができ、また、より緻密化したアルミナ膜とす
ることができるので、ピンホール密度の低下効果が期待
できる。
【0038】図4参照 図4は、膜厚が20nmのMgO添加アルミナ膜と50
nmのMgO添加アルミナ膜の段差被覆性(Dw
s )の励起周波数依存性を示す図であり、励起周波数
が50kHz〜150kHzの範囲において、Dw /D
s が0.75以上の優れた段差被覆性が確認された。
【0039】これは、Al原料として、炭素組成比の大
きなAl(sec−OC4 9 3を用いたことによる
ものと考えられ、Al原料中の炭素組成比率が大きいた
めにプラズマ中で完全に分解しずらく、したがって、基
板表面においてすぐに反応せずにマイグレーションする
ので、表面マイグレーション距離が長くなり、それによ
って、段差被覆性が向上するためであり、MgO無添加
のCVD−アルミナ膜とほぼ同様の優れた段差被覆性が
得られた。なお、因に、スパッタ法によるアルミナ膜の
段差被覆性は、Dw /Ds ≒0.5であり、本発明のプ
ラズマCVD法による優位性は明らかである。
【0040】また、この場合も、基板表面において完全
に分解しないAlを含む活性種は、励起周波数を50k
Hz〜150kHzの比較的低い周波数とすることによ
って、プラズマ中のイオンが電場の変動に追従しやす
く、基板へのイオンボンバードメント効率が向上するた
め、基板表面において、イオンボンバードメントによっ
てAlを含む活性種を完全に分解することができ、それ
によって、制御性良く絶縁膜を成膜することが可能にな
る。
【0041】次に、この様なMgO添加アルミナ膜をリ
ードギャップ層として用いた複合型磁気ヘッドの製造工
程の一例を簡単に説明するが、構造自体は図5(a)と
同様であるので、図示は省略する。まず、スライダーの
母体となるAl2 3 −TiC基板上に、Al2 3
を介してNiFe合金等からなる厚さが、例えば、2.
0μmの下部シールド層を設け、基板表面温度を200
℃とし、また、成膜圧力は、例えば、0.5Torrと
し、各原料のバブリングによって気化した状態の流量比
を、EtCp2 Mg:Al(sec−OC4 9 3
2 =0.0006:0.02:1とし、プラズマ出力
を100Wとすることによって、20nmのMgO添加
アルミナ膜からなる下部リードギャップ層を堆積させた
のち、シングルスピンバルブ膜等の磁気抵抗効果素子を
設けて所定の形状にパターニングし、磁気抵抗効果素子
の両端にAu等からなる導電膜を堆積させてリード電極
を形成する。
【0042】次いで、再び、基板表面温度を200℃と
し、また、成膜圧力は、例えば、0.5Torrとし、
各原料のバブリングによって気化した状態の流量比を、
EtCp2 Mg:Al(sec−OC4 9 3 :O2
=0.0006:0.02:1とし、プラズマ出力を1
00Wとすることによって、例えば、20nmのMgO
添加アルミナ膜からなる上部リードギャップ層を設け、
次いで、厚さが、例えば、5nmのTa層、及び、厚さ
が、例えば、50nmのNiFe合金からなるメッキベ
ース層を形成したのち、レジスト膜を塗布してパターニ
ングすることによって、所定の開口部を有するレジスト
マスクを形成し、電解メッキ法によって厚さが、例え
ば、3.0μmのNi82Fe18合金からなる下部磁極層
兼ねる上部シールド層を成膜し、次いで、レジストマス
クを除去したのち、Arイオンを用いたイオンミリング
法によってメッキベース層の露出部を除去することによ
ってMRヘッドを構成する。なお、この場合、上下のリ
ードギャップ層は同じ厚さである必要はなく、非対称な
厚さであっても良い。
【0043】以降は、通常の誘導型の薄膜ヘッドの製造
方法と同様に、スパッタリング法によって厚さが、例え
ば、0.4μmのAl2 3 を堆積させてライトギャッ
プ層としたのち、厚さが、例えば、3.5μmのレジス
トからなる層間絶縁膜を介して、厚さが、例えば、3.
0μmのCu膜を設け、パターニングすることによっ
て、後に形成する上部磁極層と下部磁極層の接続部を複
数回巻く平面スパイラル状のライトコイル及びその両端
のライト電極を形成し、次いで、再び、厚さが、例え
ば、3.5μmのレジストからなる層間絶縁膜を形成し
てライトコイルを被覆する。なお、ライトギャップ層は
0.4μm=400nm程度と厚いので、無添加のスパ
ッタ法によるAl2 3 を用いている。
【0044】次いで、厚さが、例えば、5nmのTi
層、及び、厚さが、例えば、50nmのNiFe膜をス
パッタリング法によって順次成膜してメッキベース層を
形成し、次いで、レジスト層を塗布したのち、露光・現
像することによって、上部磁極層に対応する形状の開口
部を有するレジストマスクを設け、このレジストマスク
をマスクとして、Ni82Fe18合金を電解メッキ法によ
って成膜することによって先端部が幅細のライトポール
となった上部磁極層を形成する。
【0045】次いで、レジストマスクを除去したのち、
従来と同様にArイオンを用いたイオンミリングを施す
ことによってメッキベース層の露出部を除去し、次い
で、全面にAl2 3 膜を設けて保護膜としたのち、基
板を切断し、ライトポールの長さ、即ち、ギャップ深さ
を調整するための研削、研磨等を含めたスライダー加工
を行うことにより高記録密度の複合型薄膜磁気ヘッドが
完成する。
【0046】以上、本発明の実施の形態を説明してきた
が、本発明は実施の形態に記載した構成に限られるもの
ではなく、各種の変更が可能である。例えば、上記の実
施の形態の説明においては、Al原料として、アルミニ
ウムトリ−セカンダリ−ブトキシド{Al(sec−O
4 9 3 、即ち、〔C25 CH(CH3 )O〕3
Al}を用いているが、アルミニウムトリ−セカンダリ
−ブトキシドに限られるものではなく、他のアルミニウ
ムアルコキシドを用いても良いものである。
【0047】例えば、他のアルミニウムアルコキシドと
して、 トリメトキシアルミニウム〔Al(OCH3 3 〕 トリエトキシアルミニウム〔Al(OC2 5 3 〕 トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(i−OC3
7 3 〕 トリノルマルプロポキシアルミニウム〔Al(n−OC
3 7 3 〕 トリイソブトキシアルミニウム〔Al(i−OC
4 9 3 〕 トリノルマルブトキシアルミニウム〔Al(n−OC4
9 3 〕 トリターシャルブトキシアルミニウム〔Al(t−OC
4 9 3 〕 等を用いても良いものであり、一般に、炭素含有量が大
きい程、表面マイグレーション距離が長くなるので、段
差被覆性に優れることになる。
【0048】また、上記の実施の形態の説明において
は、成膜時の原料ガスの流量比を、EtCp2 Mg:A
l(sec−OC4 9 3 :O2 =0.0006:
0.02:1としているが、必ずしも、この様な流量比
に限られるものではなく、必要とするMgOの添加量に
応じて流量比を設定すれば良い。
【0049】また、上記の実施の形態の説明において
は、複合型薄膜磁気ヘッドを前提として説明している
が、誘導型の薄膜磁気ヘッドと複合化していない単体の
MRヘッドも対象とするものである。
【0050】さらに、本発明は、磁気ヘッドのリードギ
ャップ層に限られるのではなく、印字精度の向上が見込
まれるインクジェットプリンタの印字ヘッドの圧電駆動
部の絶縁膜等の他の微細デバイスにおける高耐圧絶縁膜
も対象とするものである。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、MRヘッド部を構成す
る上下のリードギャップ層等として、MgO添加アルミ
ナ膜をアルミニウムアルコキシド、マグネシウム有機化
合物、及び、酸素を原料としたプラズマCVD法によっ
て成膜しているので、50nm以下の膜厚でもピンホー
ルが少なく、絶縁性の高く、且つ、段差被覆性に優れた
絶縁膜を形成することが可能になり、それによって、上
下の磁気シールド層の間隔Lを狭くすることができるの
でMRヘッドの位置分解能の向上に寄与し、ひいては、
高記録密度のHDD装置等の普及に寄与するところが大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に用いる容量結合型プラズ
マCVD装置の概念的構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における特性測定方法の説
明図である。
【図3】本発明の実施の形態のMgO添加アルミナ膜の
平均絶縁耐圧の励起周波数依存性の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態のMgO添加アルミナ膜の
段差被覆性の励起周波数依存性の説明図である。
【図5】薄膜磁気ヘッドの構成及び狭ギャップ化の説明
図である。
【符号の説明】
1 反応室 2 下部電極 3 上部電極 4 基板 5 ガス導入管 6 原料ガス 7 高周波電源 8 プラズマ 9 MgO添加アルミナ膜 10 排気管 11 シリコン基板 12 Au下部電極 13 MgO添加アルミナ膜 14 Au中間電極 15 Au凸状電極 16 MgO添加アルミナ膜 17 Au上部電極 18 破壊電圧測定器 21 Al2 3 −TiC基板 22 下部シールド層 23 下部リードギャップ層 24 磁気抵抗素子層 25 リード電極 26 上部リードギャップ層 27 上部シールド層 28 ライトギャップ層 29 層間絶縁膜 30 ライトコイル 31 ライトポール 32 磁気記録媒体 33 記録ビット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K030 AA11 AA14 BA43 CA05 EA03 FA01 KA30 LA02 LA20 5D034 BA15 CA06 DA07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムアルコキシド、マグネシウ
    ム有機化合物、及び、酸素を原料としたプラズマ化学気
    相堆積法によって、MgO添加アルミナ膜を堆積するこ
    とを特徴とする絶縁膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記マグネシウム有機化合物がビスエチ
    ルシクロペンタジエニルマグネシウムであり、上記アル
    ミニウムアルコキシドがアルミニウムトリ−セカンダリ
    −ブトキシドであることを特徴とする請求項1記載の絶
    縁膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記プラズマ化学気相堆積法における成
    膜時の電源周波数が、50kHz〜150kHzである
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁膜の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008516459A (ja) * 2004-10-13 2008-05-15 コミツサリア タ レネルジー アトミーク 電気絶縁性半導体基板のMgOベースのコーティング及びその製造方法
US11427499B2 (en) 2017-11-29 2022-08-30 Pilkington Group Limited Process for depositing a layer

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