JP2001279370A - 耐摩耗性に優れた冷間圧延用ロール - Google Patents

耐摩耗性に優れた冷間圧延用ロール

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JP2001279370A JP2000091760A JP2000091760A JP2001279370A JP 2001279370 A JP2001279370 A JP 2001279370A JP 2000091760 A JP2000091760 A JP 2000091760A JP 2000091760 A JP2000091760 A JP 2000091760A JP 2001279370 A JP2001279370 A JP 2001279370A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過酷な圧延条件で冷間圧延を行うと、冷間圧
延用ロールの摩耗や肌荒れが増加する。 【解決手段】 少なくとも被圧延材に接するロール表面
が、このロール表面における相当粒径が10μm以上で
ある炭化物の粒間間隔が平均値で50μm以下であると
ともに、この相当粒径の最大値が100μmである炭化
物分散特性を有する鉄基合金により構成される耐摩耗性
に優れた冷間圧延用ロールである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性に優れた
冷間圧延用ロールに関し、例えば、珪素鋼板に代表され
る硬質材の圧延やスケールが表面に付着した鋼板に対す
る強圧下圧延等のような、ロール摩耗量が大きな過酷な
圧延条件で使用するのに好適な、耐摩耗性に優れた冷間
圧延用ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、冷間圧延用ワークロールとし
ては、0.8%(本明細書では特にことわりがない限り
「%」は「質量%」を意味するものとする)程度のC
と、約5%程度のCrと、少量のMoとを含有する5%
Cr鍛鋼焼入れロールが多用されてきた。
【0003】この5%Cr鍛鋼焼入れロールは、通常、
表面硬度が97Hs 程度に焼入れされて圧延作業に供さ
れるが、使用とともに表面硬度は低下する。そして、摩
耗量が25〜40mm程度になり表面硬度が85Hs
度にまで低下した時点で、表面硬度を上昇させるための
再焼入れが行われ、この後、摩耗量が25〜40mm程
度に達するまで使用される。
【0004】したがって、冷間圧延用ロールの耐摩耗性
を向上させることにより、冷間圧延工程の生産能率を大
幅に向上することができる。このため、5%Cr鍛鋼焼
入れロールに代えて、例えばC:1%程度、Cr:5%
程度、Mo:3%程度およびV:1%程度を含有した、
いわゆるセミハイスロールや、例えばC:1.3%程
度、Cr:4%程度、Mo:9%程度、V:2%程度、
Co:5%程度およびW:2%程度を含有した、いわゆ
るハイスロール等といった、硬質炭化物をより多く含有
するロールを用いることにより、冷間圧延用ロールの耐
摩耗性の向上が図られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近では、
省エネルギーの観点から、例えば冷延無方向性珪素鋼板
や冷延方向性珪素鋼板等の珪素鋼板に代表される硬質材
の圧延量が増加する傾向にある。また、冷間圧延時に被
圧延材である鋼板の表面に存在するスケールを除去する
とともに生産性を高めるため、強圧下圧延も多用される
ようになってきた。
【0006】これらの過酷な圧延条件での圧延に供され
ることにより、冷間圧延用ロールの摩耗や肌荒れが増加
する。このため、被圧延材の形状制御精度が低下した
り、冷間圧延の操業が不安定になり、近年、冷間圧延の
大きな課題となっている。
【0007】本発明の目的は、耐摩耗性に優れた冷間圧
延用ロールを提供することであり、例えば、珪素鋼板に
代表される硬質材の圧延やスケールが表面に付着した鋼
板に対する強圧下圧延等のように、ロール摩耗量が大き
な過酷な圧延条件での圧延に供されても、摩耗や肌荒れ
の発生が充分に抑制された、耐摩耗性に優れた冷間圧延
用ロールを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、まず、上述
した過酷な圧延条件での圧延に供されることにより冷間
圧延用ロールに摩耗や肌荒れが発生する機構を検討し
た。その結果、この摩耗や肌荒れは、ロール表面におけ
る炭化物の周辺の比較的軟質な基地組織から開始するこ
とが判明した。特に、スケールが付着した鋼板に強圧下
圧延を行う際には、圧延によって破砕された硬質の微小
遊離スケール片がロールバイト内においてロール表面の
基地組織にくい込んで線条キズ(ミクロ摩耗)を発生さ
せ、その後の繰り返しにより、摩耗や肌荒れを進行させ
る。
【0009】本発明者は検討を重ねた結果、スケールが
付着した鋼板の強圧下圧延において、破砕された微小遊
離スケール片の大きさと、ロール表面の線条キズの大き
さとの間には、一定の相関関係があることを知見した。
すなわち、微小遊離スケール片の大きさは10μm以上
のものが多く、平均的サイズは50μm程度であった。
【0010】そこで、本発明者はさらに検討を重ねた結
果、スケールが付着した鋼板の強圧下圧延のみならず、
珪素鋼板等の硬質材の圧延においても、ロール表面にお
ける炭化物の面積をSc としたときの相当粒径√Sc
10μm以上である炭化物を多く含有させることによっ
て微小遊離スケール片等の遊離硬質粒子の食い込みに対
するバリアーとし、かつ、相当粒径が10μm以上の炭
化物の粒間間隔を50μm以下に制御することによって
遊離硬質粒子の食い込みの頻度を低減して線条キズの発
生を抑制することができることを知見して、本発明を完
成した。
【0011】本発明は、少なくとも被圧延材に接するロ
ール表面が、このロール表面における相当粒径が10μ
m以上である炭化物の粒間間隔が平均値で50μm以下
であるとともに、この相当粒径の最大値が100μmで
ある炭化物分散特性を有する鉄基合金により構成される
ことを特徴とする耐摩耗性に優れた冷間圧延用ロールで
ある。
【0012】この本発明にかかる冷間圧延用ロールで
は、鉄基合金が、C:0.8〜1.5%、Si:0.1
〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、Cr:3.0〜
8.0%、Mo:1.0〜10.0%、V:0.5〜
5.0%、W:10.0%以下、Co:6.0%以下、
および、Ti、Nb、ZrおよびTaのうちの1種以上
を合計で1.0%以下を含有する鋼組成を有すること
が、例示される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる冷間圧延用
ロールの実施の形態を、詳細に説明する。なお、以降の
実施の形態の説明では、本発明にかかる冷間圧延用ロー
ルを、外層および芯材を有する複合ロールに適用した場
合を例にとる。
【0014】まず、本実施形態の冷間圧延用ロールの外
層および芯材についてそれぞれ説明する。 [外層]まず、外層の組成を限定する理由を説明する。
【0015】(C:0.8〜1.5%)Cは、炭化物の
形成および基地硬さの確保のいずれについても有効な元
素である。すなわち、本実施形態では、Cは、前述した
炭化物の粒間間隔の平均値を50μm以下に抑制し、硬
質のMC型炭化物とM6 C型炭化物とを得るために含有
する。C含有量が0.8%未満であると、炭化物の粒間
間隔の平均値を50μm以下に抑制できるだけの炭化物
量を確保することができず、一方、C含有量が1.5%
を超えると研削性を著しく阻害するとともに製造を困難
にさせる。そこで、本実施形態では、C含有量は0.8
%以上1.5%以下と限定する。同様の観点から、C含
有量の下限は1.0%、上限は1.5%であることが、
それぞれ望ましい。
【0016】(Si:0.1〜2.0%)Siは、脱酸
剤として0.1%以上含有する。しかし、Si含有量が
2.0%を超えると、脆化が助長される。そこで、本実
施形態では、Si含有量は0.1%以上2.0%以下と
限定する。同様の観点から、Si含有量の下限は0.1
%、上限は1.5%であることが、それぞれ望ましい。
【0017】(Mn:0.1〜2.0%)Mnは、脱酸
剤として配合され、特に焼入れ性の向上を図るため、
0.1%以上含有される。しかし、Mn含有量が2.0
%を超えると脆化が助長される。そこで、本実施形態で
は、Mn含有量は0.1%以上2.0%以下と限定す
る。同様の観点から、Mn含有量の上限は1.5%であ
ることが望ましい。
【0018】(Cr:3.0〜8.0%)Crは、3.
0%以上含有することによって、炭化物を形成するとと
もに、基地中に固溶して焼入れ性を高め、基地硬さを高
める。しかし、Cr含有量が8.0%を超えると、逆に
基地硬さが低下する。そこで、本実施形態では、Cr含
有量は3.0%以上8.0%以下と限定する。同様の観
点から、Cr含有量の上限は6.0%であることが望ま
しい。
【0019】(Mo:1.0〜10.0%)Moは、M
6 C型炭化物形成元素であるとともに、焼入れ性を向上
し、かつ、2次硬化作用により高い硬さと高い耐摩耗性
とをともに発現させる。Mo含有量が1.0%未満であ
ると、かかる効果が認められず、一方、Mo含有量が1
0.0%を超えると、脆化して製造を不安定にさせる。
そこで、本実施形態では、Mo含有量は1.0%以上1
0.0%以下と限定する。同様の観点から、Mo含有量
の下限は2.0%、上限は5.0%であることが、それ
ぞれ望ましい。
【0020】(V:0.5〜5.0%)Vは、強力な炭
化物形成元素であるとともに、硬質のMC型炭化物を形
成する。V含有量が0.5%未満であると、かかる効果
が認められず、一方、V含有量が5.0%を超えると、
炭化物量が過剰になり、研削性および製造安定性を阻害
する。そこで、本実施形態では、V含有量は0.5%以
上5.0%以下と限定する。同様の観点から、V含有量
の下限は1.0%、上限は3.0%であることが、それ
ぞれ望ましい。
【0021】(W:10.0%以下)Wは、炭化物形成
元素であり、耐摩耗性を高めるために添加する。しか
し、W含有量が10.0%を超えると、かかる効果は飽
和し、コストが嵩むだけとなる。そこで、本実施形態で
は、W含有量は10.0%以下と限定する。同様の観点
から、W含有量の上限は5.0%であることが望まし
い。
【0022】(Co:6.0%以下)Coは、基地に固
溶し、強化するために添加する。しかし、Co含有量が
6.0%を超えると、かかる効果は飽和し、コストが嵩
むだけとなる。そこで、本実施形態では、Co含有量は
6.0%以下と限定する。
【0023】(Ti、Nb、ZrおよびTaのうちの1
種以上を合計で1.0%以下)Ti、Nb、Zrおよび
Taと、CおよびNとの親和力は非常に強く、粒状の炭
化物、窒化物あるいは炭窒化物の形態で晶出する。晶出
物の多くは、共晶炭化物の凝固時における核となり、炭
化物の過度の粗大化を抑制する作用がある。そこで、本
実施形態では、Ti、Nb、ZrおよびTaのうちの1
種以上を添加する。しかし、Ti、Nb、ZrおよびT
aのうちの1種以上を合計で1%を超えて添加すると、
これらの化合物は偏析し、機械的性質の劣化および研削
性の悪化を招く。そこで、本実施形態では、Ti、N
b、ZrおよびTaのうちの1種以上は合計で1.0%
以下と限定する。同様の観点から、Ti、Nb、Zrお
よびTaのうちの1種以上の下限は合計で0.05%、
上限は合計で0.60%であることが、それぞれ望まし
い。
【0024】本実施形態では、Niを任意添加元素とし
て含有してもよい。Niを2%以下含有することによ
り、焼入れ性の向上を図ることができる。また、本実施
形態では、不純物としてPおよびSを含有する。Pおよ
びSそれぞれの含有量は、いずれも低いほうが望ましい
が、極端な低減には相応のコスト上昇を伴う。そこで、
本実施形態では、PおよびSそれぞれの含有量は、いず
れも0.1%以下である。
【0025】上記以外は、Feおよび不可避的不純物で
ある。また、この外層の厚さは、ロール状態で10〜7
0mm程度である。[芯材]この種の冷間圧延用ロール
の芯材として周知慣用の材料を用いればよい。本実施形
態では、例えば、C:1.0%以下、Si:1%以下、
Mn:1%以下、Ni:2%以下、Cr:1〜5%およ
びMo:1.0%未満を含有する低合金鋼を用いた。
【0026】本実施形態では、これらの外層および芯材
を有する複合ロールのロールインゴットを、連続肉盛り
法(複合製法)により製造することにより、本実施形態
の冷間圧延用ロールを製造した。連続肉盛り法によれ
ば、凝固過程の冷却速度を小さく制御することにより、
後述する100μmを超える粗大炭化物の抑制と、炭化
物の均等分散とを、いずれも容易に制御することができ
るためである。
【0027】[炭化物分散特性]本実施形態の冷間圧延
用ロールは、連続肉盛り法により、下記の炭化物分散特
性を有する。以下、この炭化物分散特性を説明する。
【0028】前述したように、例えば冷延無方向性珪素
鋼板や冷延方向性珪素鋼板等の珪素鋼板に代表される硬
質材の圧延や、鋼板に対する強圧下圧延等のような過酷
な圧延条件での圧延においては、ロール表面における炭
化物の周辺の比較的軟質な基地組織から破砕・分離され
た微小遊離スケール片等の遊離硬質粒子が、ロールバイ
ト内においてロール表面の基地組織にくい込んで線条キ
ズ(ミクロ摩耗)を発生させ、その後の繰り返しによっ
て、冷間圧延用ロールの摩耗や肌荒れを進行させる。
【0029】この場合に、遊離硬質粒子の大きさは10
μm以上のものが多く、平均的サイズは50μm程度で
ある。このため、ロール表面における炭化物の面積をS
c としたときの相当粒径√S c が10μm以上である炭
化物を多く含有させることによって遊離硬質粒子の食い
込みに対するバリアーとすることができる。そこで、本
実施形態では、ロール表面を摩耗させる遊離硬質粒子に
対する有効なバリアとして、炭化物の相当粒径√Sc
10μm以上に限定する。
【0030】また、相当粒径√Sc が10μm以上であ
る炭化物の粒間間隔を平均値で50μm以下に抑制する
ことによって、遊離硬質粒子のロール基地組織への食い
込みの頻度を低減でき、これにより、線条キズの発生を
抑制することができる。同様の観点から、相当粒径√S
c が10μm以上である炭化物の粒間間隔を平均値で4
0μm以下とすることが望ましい。
【0031】さらに、炭化物の相当粒径√Sc の最大値
が100μmを超えると、研削性の悪化および靱性の劣
化を招く。そこで、本実施形態では、炭化物の相当粒径
√S c の最大値は100μm以下と限定する。同様の観
点から、炭化物の相当粒径√Sc の最大値は80μmで
あることが、望ましい。
【0032】このように、本実施形態では、少なくとも
被圧延材に接するロール表面が、このロール表面におけ
る相当粒径が10μm以上である炭化物の粒間間隔が平
均値で50μm以下であるとともに、この相当粒径の最
大値が100μmである炭化物分散特性を有すると限定
する。
【0033】本実施形態の冷間圧延用ロールは、以上の
ように構成される。この本実施形態の冷間圧延用ロール
によれば、上記の炭化物分散特性を有するため、遊離硬
質粒子に起因した摩耗や肌荒れの発生を、充分に抑制す
ることができる。
【0034】また、本実施形態の冷間圧延用ロールは、
組成を最適に設定しているため、耐摩耗性や耐肌荒れ性
以外の特性、例えば耐事故性、硬度さらにロール製造の
安定性等も充分に確保される。
【0035】このため、本実施形態の冷間圧延用ロール
によれば、例えば、珪素鋼板に代表される硬質材の圧延
やスケールが表面に付着した鋼板の圧延等のように、ロ
ール摩耗量が大きくなる過酷な圧延条件での圧延に供さ
れても、摩耗や肌荒れの発生が充分に抑制され、これに
より、冷間圧延工程の生産能率を大幅に向上することが
できる。
【0036】
【実施例】さらに、本発明を実施例を参照しながら具体
的に説明する。 (実施例1)表1に示す13種類のロール材のうち、試
料No.1〜試料No.6の6種類を複合ロールの外層
として用いるとともに、芯材としてC:1.1%、S
i:1.5%、Mn:1.5%、Ni:2.0%、C
r:5.0%およびMo:1.0%未満を含有する低合
金鋼を用い、連続肉盛り法により、前述した実施形態に
かかる冷間圧延用ロールを製造した。
【0037】
【表1】
【0038】そして、得られた6種の冷間圧延用ロール
について、耐摩耗性に及ぼす炭化物の粒間間隔の平均値
の影響を評価した。なお、表1において試料No.1〜
試料No.5は本発明例の冷間圧延用ロールであり、試
料No.6はC量および炭化物の粒間間隔の平均値が本
発明の範囲を外れた比較例の試料である。
【0039】この評価試験には2円筒ころがり・すべり
方式の西原式摩耗試験機を用いた。また、試験材には熱
処理して約HR63の硬さに調整した試料No.1〜試
料No.6を用いるとともに、相手材には熱処理でHR
C60の硬さに調整した、0.8%C−5%Cr鋼を用
いた。また、微小遊離スケール片が付着した板の圧延を
想定して、2円筒間には酸化第2鉄粉末を投入した。ま
た、潤滑油には灯油を用い、ヘルツ接触圧力を1800
MPaに、すべり率を5%にそれぞれ設定した。さら
に、試験材および相手材それぞれの初期粗さRaは、
0.4μmRaとした。
【0040】耐摩耗性は、実際に稼働している圧延機の
使用条件に近い回転数である10万回転後の表面粗さで
評価した。評価試験の結果を、図1にグラフにまとめて
示す。
【0041】図1のグラフから明らかなように、ロール
表面における相当粒径が10μm以上である炭化物の粒
間間隔の平均値が50μm以下である試料No.1〜試
料No.5は、いずれも、肌荒れの程度が少なく、良好
な耐摩耗性を示した。
【0042】これに対し、炭化物の粒間間隔の平均値が
本発明の範囲外である試料No.6はは非常に大きな表
面粗さを示し、耐肌荒れ性および耐摩耗性がいずれも不
充分であった。
【0043】(実施例2)表1のうちの試料No.3、
試料No.7〜試料No.13の8種類を複合ロールの
外層として用い、実施例1と同様にして、研削性に及ぼ
す炭化物の最大粒径の影響を評価した。なお、表1にお
いて試料No.3は本発明例の冷間圧延用ロールであ
り、試料No.7はC量および炭化物の相当粒径の最大
値が本発明の範囲を外れた比較例の冷間圧延用ロールで
あり、試料No.8は炭化物の相当粒径が本発明の範囲
を外れた比較例の冷間圧延用ロールであり、試料No.
9〜試料No.12は、いずれも試料No.8の組成に
類似した組成にTi、Zr、NbおよびTaを適量添加
することによって炭化物の相当粒径を細粒化した本発明
例にかかる冷間圧延用ロールであり、さらに試料No.
13はTi、Zr、NbおよびTaの添加量が本発明の
範囲を外れる比較例の冷間圧延用ロールである。
【0044】試験材には、直径が80mmであるととも
に長さが300mmであり、硬さが約HRC63の円柱
体を用いた。研削試験に用いた砥石の種類はGCであ
り、切り込み量の条件は20μmとした。
【0045】研削性の良否は、研削時に測定した砥石負
荷電流の大小により判別した。結果を図2にグラフで示
す。図2のグラフから明らかなように、炭化物の相当粒
径の最大値が100μm以下である試料No.3、試料
No.9〜試料No.12は、いずれも、低負荷電流で
あり、良好な研削性を示した。
【0046】これに対し、最大粒径が100μmを超え
る試料No.7および試料No.8は、いずれも高電流
を示し、研削中の電流値変動も大きかった。また、試料
No.13は炭化物は細粒であったものの、Ti等の炭
・窒化物が偏析した組織となったため、研削性が劣化し
た。
【0047】(変形形態)実施形態および実施例の説明
では、本発明にかかる冷間圧延用ロールを、外層および
芯材を有する複合ロールにより構成した場合を例にとっ
た。しかし、本発明は複合ロールには限定されず、単一
材料により一体に構成された一体ロールについても、同
様に適用される。
【0048】また、実施形態および実施例の説明では、
鉄基合金が、C:0.8〜1.5%、Si:0.1〜
2.0%、Mn:0.1〜2.0%、Cr:3.0〜
8.0%、Mo:1.0〜10.0%、V:0.5〜
5.0%、W:10.0%以下、Co:6.0%以下、
および、Ti、Nb、ZrおよびTaのうちの1種以上
を合計で1.0%以下を含有する鋼組成を有する場合を
例にとった。しかし、本発明はこの形態には限定され
ず、ロール表面における相当粒径が10μm以上100
μm以下である炭化物の粒間間隔が平均値で50μm以
下である炭化物分散特性を有する鉄基合金であれば、等
しく適用される。このような鉄基合金として、C:1.
5〜2.0%、Cr:3.0〜13.0%、Mo:1.
0〜12.0%、V:0.5〜8.0%、W:20.0
%以下、Co:10.0%以下が例示される。
【0049】また、実施形態および実施例の説明では、
芯材を、C:1.0%以下、Si:1%以下、Mn:1
%以下、Ni:2%以下、Cr:1〜5%およびMo:
1.0%未満を含有する低合金鋼により構成した場合を
例にとった。しかし、本発明はこの低合金鋼には限定さ
れず、この種の芯材の構成材料として周知慣用の材料で
あれば、等しく適用される。
【0050】さらに、実施形態および実施例の説明で
は、連続肉盛り法(複合製法)により複合ロールを製造
したが、本発明は連続肉盛り法には限定されず、粉末冶
金法等の連続肉盛り法以外の方法により複合ロールを製
造してもよい。
【0051】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
り、耐摩耗性に優れた冷間圧延用ロールを提供するこ
と、例えば、珪素鋼板に代表される硬質材の圧延やスケ
ールが表面に付着した鋼板に対する強圧下圧延等のよう
に、ロール摩耗量が大きな過酷な圧延条件での圧延に供
されても、摩耗や肌荒れの発生が充分に抑制された、耐
摩耗性に優れた冷間圧延用ロールを提供することが可能
となった。これにより、冷間圧延工程の生産能率を大幅
に向上することができる。
【0052】かかる効果を有する本発明の意義は、極め
て著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の結果を示すグラフである。
【図2】実施例2の結果を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも被圧延材に接するロール表面
    が、該ロール表面における相当粒径が10μm以上であ
    る炭化物の粒間間隔が平均値で50μm以下であるとと
    もに、該相当粒径の最大値が100μmである炭化物分
    散特性を有する鉄基合金により構成されることを特徴と
    する耐摩耗性に優れた冷間圧延用ロール。
  2. 【請求項2】 前記鉄基合金は、質量%で、C:0.8
    〜1.5%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜
    2.0%、Cr:3.0〜8.0%、Mo:1.0〜1
    0.0%、V:0.5〜5.0%、W:10.0%以
    下、Co:6.0%以下、および、Ti、Nb、Zrお
    よびTaのうちの1種以上を合計で1.0%以下を含有
    する鋼組成を有する請求項1に記載された耐摩耗性に優
    れた冷間圧延用ロール。
JP2000091760A 2000-03-29 2000-03-29 耐摩耗性に優れた冷間圧延用ロール Expired - Fee Related JP3916118B2 (ja)

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WO2015110366A1 (en) * 2014-01-22 2015-07-30 Aktiebolaget Skf Bearing steel

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