JP2001278899A - 糖鎖結合型インシュリン - Google Patents

糖鎖結合型インシュリン

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JP2001278899A
JP2001278899A JP2000096382A JP2000096382A JP2001278899A JP 2001278899 A JP2001278899 A JP 2001278899A JP 2000096382 A JP2000096382 A JP 2000096382A JP 2000096382 A JP2000096382 A JP 2000096382A JP 2001278899 A JP2001278899 A JP 2001278899A
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sugar chain
insulin
glycoside
glcnac
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JP2000096382A
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Toshiyuki Inazu
敏行 稲津
Reina Suzuki
令奈 鈴木
Katsuji Haneda
勝二 羽田
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Noguchi Institute
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Noguchi Institute
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Abstract

(57)【要約】 【課題】糖鎖を有するインシュリン誘導体を提供する。 【解決手段】本発明は、カルボキシルアルキルグリコシ
ドのカルボキシル基がインシュリンの少なくとも1つ以
上のアミノ基と縮合したことを特徴とする糖鎖結合型イ
ンシュリンである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は糖鎖を有するインシ
ュリン誘導体に関する。糖鎖が細胞表層において細胞の
認識や接着などの重要な働きを担っていることが明らか
になってきている。薬剤に糖鎖を付与できれば、標的志
向型薬剤の創製や新しい医薬の輸送技術、代謝経路の改
善などを提供できるものと考えられる。一方、インシュ
リンは血糖値低下作用により、既に薬剤として広く利用
されていることは周知の事実である。
【0002】
【従来の技術】しかしながら、糖鎖を特定の化合物に導
入することは今なお容易ではなく、実際の薬剤修飾反応
に用いられた例は極めて少ない。特に、天然糖鎖を導入
する方法はほとんど知られておらず、唯一発明者らによ
る化学−酵素法による糖ペプチドの合成例が報告されて
いるに過ぎない(J. Am. Chem. Soc.,121巻、284-290
頁、1999年参照)。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、糖鎖を有す
るインシュリン誘導体を提供するものである。
【0004】
【課題を解決しようとするための手段】本発明者らは、
糖ペプチド合成の例を参考に鋭意検討し、本発明に到達
した。すなわち、本発明は、カルボキシルアルキルグリ
コシドのカルボキシル基がインシュリンの少なくとも1
つ以上のアミノ基と縮合したことを特徴とする糖鎖結合
型インシュリンである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】まず、本発明方法の原料となるカルボキシ
ルアルキルグリコシドは何ら制限はない。周知の糖誘導
体を使用できる。例えば、グルコース、ガラクトース、
マンノース、リボース、N−アセチルグルコサミンなど
の単糖やマルトース、セロビオースなどのオリゴ糖、天
然アスパラギン結合型糖蛋白質糖鎖として(NeuAc
−Gal−GlcNAc)2−(Man)3−(GlcN
Ac)2 あるいは(Gal−GlcNAc)2−(Ma
n)3−(GlcNAc)2 からなる複合型糖鎖、ある
いは(Man)6−(GlcNAc)2からなる高マンノ
ース型糖鎖などを挙げることができる。但し、NeuA
cはN−アセチルノイラミン酸、GalはD−ガラクト
ース、GlcNAcはN−アセチル−D−グルコサミ
ン、ManはD−マンノースを示す。これらの中で、糖
鎖転移反応の基質として重要なN−アセチルグルコサミ
ン誘導体および糖鎖転移して得られる天然糖鎖誘導体が
好ましい。
【0007】カルボキシアルキル基としてはカルボキシ
メチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル
基、カルボキシブチル基など直鎖構造の誘導体や2−メ
チルカルボキシエチル基、2−メチルカルボキシプロピ
ル基など分岐構造の誘導体を挙げることができる。これ
らの中で、カルボキシメチルグリコシド、カルボキシプ
ロピルグリコシドが製造しやすく推奨できる。
【0008】カルボキシアルキルグリコシドのカルボキ
シル基を縮合させるインシュリンは周知のものを使用で
きる。ヒトインシュリン、ブタインシュリン、ウシイン
シュリンなどを挙げることができるが、これら種の違い
を問わない。インシュリンにはA鎖、B鎖のN末端のア
ミノ基、およびリジン残基の側鎖アミノ基が存在する。
種により、リジン残基の違いが存在するが、使用できる
ことは言うまでもない。
【0009】カルボキシアルキルグリコシド類とインシ
ュリンのアミノ基の縮合法は周知の方法を使用できる。
コハク酸イミドエステル、ペンタフルオロエステルなど
の活性エステル類、ジメチルチオホスフィン酸混合酸無
水物法、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドなど
の縮合試薬類など周知のアシル化剤を挙げることができ
る。
【0010】反応は緩衝液などの水中もしくはDMFな
どの有機溶媒混合水溶液中で行われるので、アシル化剤
の分解との競争反応になるため、通常インシュリンに対
して原料のカルボキシグリコシド誘導体やアシル化剤を
大過剰使用する。しかし、一部のアミノ基のみに導入し
ようとすれば適宜減量することで達成できる。通常、1
当量から50当量の範囲であり、好ましくは、3当量か
ら20当量に範囲である。また、アシル化剤の分解を抑
えるためにpHをコントロールして反応させることが推
奨される。通常、pH7からpH11の範囲であるが、
pH7.5から10.0が好ましい。
【0011】酵素法を併用することができる。たとえ
ば、糖鎖誘導体を直接導入する以外に、酵素的糖鎖転移
反応を利用して糖鎖を伸長することができる。すなわ
ち、N−アセチルグルコサミンのカルボキシアルキルグ
リコシド誘導体を縮合した後、天然糖鎖を糖鎖供与体と
して天然糖鎖を導入した糖鎖結合型インシュリンを調製
できる。ここで、利用できる酵素は周知のエンド−β−
N−アセチルグルコサミニダーゼ類を挙げることができ
る。また、糖転移酵素を利用して逐次糖鎖伸長ができる
ことは言うまでもない。
【0012】得られた糖鎖結合型インシュリンの内、部
分的にカルボキシアルキルグリコシド誘導体でアシル化
された誘導体の糖鎖結合位置は特定することなく、混合
物として単離できる。また、複数の異なるカルボキシア
ルキルグリコシド誘導体でアシル化された誘導体でも何
らかまわない。精製法としては、逆相系HPLC、レク
チンカラムによるアフィニティークロマト、ゲル濾過な
ど通常のタンパク質精製法や複合糖質精製法を利用でき
る。構造確認はMALDI TOFマススペクトル分析
が有効である。
【0013】
【実施例1】N−アセチルグルコサミンから誘導したカ
ルボキシメチルグリコシド(GlcNAc-OCH2COOH)25.1mg(90
μmol)を水(1ml)に溶かした。これに炭酸セシウム14.5m
g(45μmol)を水(1ml)に溶かして加えた。水を減圧留去
した後、真空下乾燥させた。これにDMF0.75mlを加
え、更に塩化ジメチルホスフィノチオイルの0.36mmol/L
DMF溶液(231mg/5ml)0.25ml(90μmol)を加え、ジメチ
ルチオホスフィン酸混合酸無水物溶液を調製した。一
方、ウシインシュリン57mg(10μmol)をリン酸緩衝液(p
H8)4ml、DMF2mlに懸濁させ、pHスタットを用い、1
N水酸化ナトリウム水溶液でpHを8.0-10.5に調整しな
がら、前述のジメチルチオホスフィン酸混合酸無水物溶
液(インシュリンのアミノ基に対し、アシル化剤が3当
量)を滴下した。2時間後、反応溶液をゲル濾過(Sepha
dex G-15)カラムに供し、タンパク画分を集め、凍結乾
燥した。これをレクチン結合カラム(LA-WGA;150x4.6mm)
による高速液体クロマトで分析したところ、インシュリ
ン、N−アセチルグルコサミンから誘導したカルボキシ
メチルグリコシド(GlcNAc-OCH2COOH)が1残基結合した
糖鎖インシュリン、2残基結合した糖鎖インシュリン、
3残基結合した糖鎖インシュリンがそれぞれ、1%、1
8%、42%、39%の混合物であることがわかった。
アシル化剤の当量数を5当量にして同様に行うと、N−
アセチルグルコサミンから誘導したカルボキシメチルグ
リコシド(GlcNAc-OCH2COOH)が2残基結合した糖鎖イン
シュリンが、3残基結合した糖鎖インシュリンがそれぞ
れ、28%、72%得られ、10当量の場合にはそれぞ
れ、11%、89%で得られた。構造はMALDI TOFマス
スペクトルにより確認した。MALDI TOF MS [M + H]+;1
残基結合したインシュリン5591.68(計算値5590.69)、
2残基結合したインシュリン6253.39(計算値6251.7
8)、3残基結合したインシュリン6514.29(計算値651
2.87)。得られたN−アセチルグルコサミンから誘導し
たカルボキシメチルグリコシド(GlcNAc-OCH2COOH)3残
基でアシル化された誘導体を既に報告している方法に倣
い(J. Am. Chem. Soc.,121巻、284-290頁、1999年参
照)、Mucol hiemalis由来のエンド−β−N-アセチルグ
ルコサミニダーゼ(Endo-M)による糖鎖転移反応に供した
ところ、ODS系高速液体クロマトにより、糖鎖転移生成
物を単離できた。MALDI TOF マス分析からN−アセチル
グルコサミンのカルボキシメチルグリコシド2残基と糖
蛋白質糖鎖(NeuAc−Gal−GlcNAc)2
(Man)3−(GlcNAc)2 のカルボキシメチル
グリコシド1残基によりアシル化された糖鎖結合型イン
シュリンであることが確認できた。MALDI TOF MS [M +
H]+;8529.70(計算値8531.57)。
【0014】
【発明の効果】本発明化合物である糖鎖を側鎖に有する
インシュリン誘導体は、糖鎖の細胞認識能を有するイン
シュリン誘導体として、作用の増強、代謝の改善、新た
なターゲッティング医薬として、その工業的価値は大で
ある。
フロントページの続き Fターム(参考) 4C076 AA95 CC30 DD68E DD68M DD69E DD69M EE30E EE30M FF70 GG50 4C084 AA01 AA07 BA44 CA18 CA20 CA21 DB34 NA05 NA13 ZC352 4H045 AA10 BA53 CA40 DA37 EA27 FA42 GA22 GA26 HA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボキシアルキルグリコシドのカルボキ
    シル基がインシュリンの少なくとも1つ以上のアミノ基
    と縮合したことを特徴とする糖鎖結合型インシュリン。
  2. 【請求項2】カルボキシアルキルグリコシドがN−アセ
    チルグルコサミン誘導体であることを特徴とする請求項
    1記載の糖鎖結合型インシュリン。
  3. 【請求項3】カルボキシアルキルグリコシドが天然アス
    パラギン結合型糖蛋白質糖鎖誘導体であることを特徴と
    する請求項1記載の糖鎖結合型インシュリン。
  4. 【請求項4】カルボキシアルキルグリコシドがカルボキ
    シメチルグリコシド誘導体であることを特徴とする請求
    項1記載の糖鎖結合型インシュリン。
  5. 【請求項5】カルボキシアルキルグリコシドがカルボキ
    シプロピルグリコシド誘導体であることを特徴とする請
    求項1記載の糖鎖結合型インシュリン。
  6. 【請求項6】天然アスパラギン結合型糖蛋白質糖鎖が
    (NeuAc−Gal−GlcNAc)2−(Man)3
    −(GlcNAc)2 あるいは(Gal−GlcNA
    c)2−(Man)3−(GlcNAc)2 からなる複合
    型糖鎖、あるいは(Man)6−(GlcNAc)2から
    なる高マンノース型糖鎖のいずれかであることを特徴と
    する請求項3記載の糖鎖結合型インシュリン。但し、N
    euAcはN−アセチルノイラミン酸、GalはD−ガ
    ラクトース、GlcNAcはN−アセチル−D−グルコ
    サミン、ManはD−マンノースを示す。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008510025A (ja) * 2004-08-12 2008-04-03 リポクセン テクノロジーズ リミテッド シアル酸誘導体
US9102699B2 (en) 2004-08-12 2015-08-11 Lipoxen Technologies Limited Sialic acid derivatives

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