JP2001276846A - 用水浄化剤 - Google Patents

用水浄化剤

Info

Publication number
JP2001276846A
JP2001276846A JP2000101707A JP2000101707A JP2001276846A JP 2001276846 A JP2001276846 A JP 2001276846A JP 2000101707 A JP2000101707 A JP 2000101707A JP 2000101707 A JP2000101707 A JP 2000101707A JP 2001276846 A JP2001276846 A JP 2001276846A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
phosphate
glass
magnesium phosphate
purifying agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000101707A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4586232B2 (ja
Inventor
Masao Tanigawa
征男 谷川
Akemi Tanaka
あけみ 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Original Assignee
Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Seikan Kaisha Ltd filed Critical Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority to JP2000101707A priority Critical patent/JP4586232B2/ja
Publication of JP2001276846A publication Critical patent/JP2001276846A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4586232B2 publication Critical patent/JP4586232B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Removal Of Specific Substances (AREA)
  • Water Treatment By Sorption (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 密封包装容器に何らかの害を与えることなし
に、加熱殺菌機器内でのステアリン酸カルシウム系の浮
遊物の発生を、簡単な手段で有効に抑制できる用水浄化
剤を提供するにある。 【解決手段】 リン酸マグネシウム及び/またはリン酸
塩ガラスを含有することを特徴とする用水浄化剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、用水浄化剤、特に
加熱殺菌機器や他の水加熱機器等の用途に使用される用
水浄化剤、及び該水浄化剤を充填して成る加熱殺菌機器
の浄水用吸着器及び浄水用濾過器に関する。より詳しく
は、加熱殺菌装置、特に食品殺菌用レトルト釜内に蓄積
或いは浮遊する汚れ原因物質の発生を防止する用途に使
用され、更にCaイオンやFeイオンなどを取り除く、
いわゆる清罐剤作用を有する水浄化剤に関する。
【0002】
【従来の技術】食品包装の目的の内、微生物の繁殖と汚
染とを防止することが最大のものであり、この目的のた
め、レトルト(一種のオートクレーブ)による加熱殺菌
が、缶詰、ビン詰めでは勿論のこと、またレトルト食品
についても広く行われている。
【0003】このレトルト殺菌に際して、レトルト内の
熱水中にもやもやしたもの(浮遊物、以下油かす状物と
も呼ぶ)が発生することは知られていたが、その発生原
因等は一切不明であった。特に、加熱殺菌機器内で食品
充填密封容器のレトルト殺菌を繰り返し行う場合、容器
の底部やフランジ等に、直径が0.01乃至1mm程度
の淡褐色乃至白色の粒状物が付着し、包装体の外観特性
を低下させ、商品価値を損なうという問題が有った。ま
た、上記粒状物は、当然のことながら、レトルト釜の器
壁や底に付着、堆積し、レトルト釜内をかなり頻繁に清
掃しなければならないという問題があった。
【0004】また、食品殺菌加工以外の水加熱器でも、
水中のCaやFeイオンによりスケールが生成し、定期
的に除去したり、前処理によってそれらのイオン量を減
少させる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、加熱殺
菌機器内で発生する浮遊物の化学組成及び成因について
検討を重ねた結果、この浮遊物は高級飽和脂肪酸のカル
シウム塩や鉄塩、特にステアリン酸カルシウム、パルミ
チン酸カルシウムであること、及びその発生原因は次の
通りであることを見出した。
【0006】(1)レトルト釜内にはステアリン酸カル
シウム等の高級飽和脂肪酸カルシウム類の原料が豊富に
ある。水道水でもトン当たり10乃至30gのカルシウ
ムがあり、ステアリン酸カルシウム150乃至450g
の原料となる。容器の成形性向上、滑り性向上のため
に、脂肪酸乃至油脂系の潤滑剤が容器に付着しており、
食品漏れ等を合わせ、数十g/日の油脂が係わるが、原
料となる遊離或いは加水分解脂肪酸が%レベルで残留蓄
積する。
【0007】(2)ステアリン酸カルシウムの性質が特
異である。クラフト点が140乃至150℃で他の近縁
の石鹸に比べ高く、常温では不溶性粉体で特定場所に付
着し、熱水中では粘着性粉体で離脱浮遊し、しかも粒子
同士は結合しない。また、油溶性でオレフィン系樹脂に
付着しやすい。更に、比重が約1で泡と液面を浮遊しや
すい。 (3)レトルト内のトレー、水平棚の設置や、熱水対流
早さ、液面など、熱水の流れが付着に関連している。
【0008】レトルト釜中のステアリン酸カルシウム浮
遊物の発生を防止するために、(I)水道水中のカルシ
ウムをゼロにする、(II)潤滑剤を変更し、或いはその
使用を中止する、(III)レトルト殺菌中の破袋を防止
する、等が考えられるが、上記(I)は工業的には高価
な設備を要し、前記(II)は天然油脂系潤滑剤の使用は
不可欠のものであると共に、他の潤滑剤の使用は衛生上
問題があり、また前記(III)はある確率で発生するの
で、何れも実現困難なものである。
【0009】更に、レトルト釜中で発生したステアリン
酸カルシウムの浮遊物を強い酸或いはアルカリで分解す
ることが考えられるが、密封包装容器は、鉄を原料とし
たものもあり、酸の使用は容器が腐食するので、酸を用
いることはできない。同様に、密封包装容器は、アルミ
ニウムを原料としたものもあり、強いアルカリの使用は
容器を腐食するので、強いアルカリを用いることはでき
ない。
【0010】従って、本発明の目的は、密封包装容器に
何らかの害を与えることなしに、加熱殺菌機器内でのス
テアリン酸カルシウム系の浮遊物の発生を、簡単な手段
で有効に抑制できる用水浄化剤を提供するにある。本発
明の他の目的は、被加熱容器を搬入する前或いは後にも
使用でき、これにより用水中の汚れ原因物質の除去を行
いうる用水浄化剤を提供するにある。本発明の更に他の
目的は、加熱装置の保護のために水の前処理として使用
できる用水浄化剤を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、リン酸
マグネシウム及び/またはリン酸塩ガラスを含有するこ
とを特徴とする用水浄化剤が提供される。本発明によれ
ばまた、リン酸マグネシウム及び/またはリン酸塩ガラ
スを水不溶性有機重合体から成る結着剤を介して粒状物
或いは他の成形品に成形して成る加熱殺菌機器用水浄化
剤が提供される。上記水不溶性有機重合体は、溶解性パ
ラメーターが19(MPa)(1/2)未満の有機重合体
であるのが好ましく、好適なものとして、オレフィン系
樹脂またはそれを主体とする廃材、特にプロピレン系重
合体またはそれを主体とする廃材、ゴムまたはそれを主
体とする廃材を挙げることができる。また、リン酸マグ
ネシウムをガラスから成る結着剤を介して粒状物或いは
他の成形品に成形して成るものを加熱殺菌機器用水浄化
剤として使用することもでき、ガラスとしては、ソーダ
石灰ガラスまたは珪ホウ酸ガラスそれを主体とする廃材
を用いることができる。更に、リン酸マグネシウム鉱物
及び/またはリン酸塩ガラスの粒状物、塊状物或いは破
砕品を加熱殺菌機器用水浄化剤として用いることができ
る。本発明によれば更に、上記水浄化剤を充填して成る
ことを特徴とする加熱殺菌機器の浄水用吸着器や、上記
水浄化剤を充填して成ることを特徴とする加熱殺菌機器
の浄水用濾過器も提供される。
【0012】
【発明の実施形態】[作用]本発明は、リン酸マグネシ
ウム及び/またはリン酸塩ガラスを加熱殺菌機器用水浄
化剤として使用すると、密封包装容器に何らかの害を与
えることなしに、加熱殺菌機器内での高級脂肪酸カルシ
ウム塩系の浮遊物の発生を、簡単な手段でしかも有効に
抑制でき、また水中からCaやFeイオンを容易に取り
除くことができるという知見に基づくものである。
【0013】添付図面の図1を参照されたい。図1は、
ステアリン酸カルシウムを含有する温度104℃の水
に、リン酸マグネシウム[Mg(PO]を、M
g1ミリモル/リットルの量で添加したときの経過時間
と液中のステアリン酸カルシウム濃度との関係を示して
いる。この結果によると、速度は比較的遅いがステアリ
ン酸カルシウムの分解が確実に起こっていることが明ら
かである。
【0014】本発明において使用するリン酸マグネシウ
ムは、水難溶性のリン酸塩であり、レトルト熱水中に微
量溶解する。溶解したリン酸マグネシウムは、系中の高
級飽和脂肪酸カルシウム或いは系中の高級飽和脂肪酸及
びカルシウム成分と反応し、リン酸カルシウム及び高級
飽和脂肪酸マグネシウムを生成する。この複分解の結果
生成するリン酸カルシウムはほぼ水不溶性であり、また
高級飽和脂肪酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウ
ム)は、クラフト点がレトルト温度の近傍にあり強い粘
性は無く、また水に僅かに溶けるので、レトルト釜中で
生成沈着する高級飽和脂肪酸カルシウムを分解して、非
沈着性の不溶分として排出し、その蓄積を抑制し、殺菌
器壁への付着或いは包装容器への付着を防止することが
できる。
【0015】また、本発明で用いるリン酸塩ガラスも、
ガラス化しているため水に難溶性であり、ガラスの表面
からリン酸ナトリウムとして徐々に溶出するという特性
を有している。水中に溶出したリン酸ナトリウムは高級
脂肪酸カルシウムと複分解反応して、不溶性のリン酸カ
ルシウムと水溶性の高級脂肪酸ナトリウムとを生成す
る。生成した高級脂肪酸ナトリウムはアニオン性界面活
性剤として油脂汚れを除く作用がある。勿論、水中に溶
出したリン酸ナトリウムは水中に存在する高級脂肪酸と
も反応して、高級脂肪酸ナトリウムを生成するし、また
水中に存在するCaやFeイオンとも反応して、これら
を不溶化し、スケールの付着や高級脂肪酸カルシウムの
生成を防止する機能もある。
【0016】加熱殺菌機器の用水浄化に使用する場合、
本発明のリン酸マグネシウム系及び/またはリン酸塩ガ
ラス系の用水浄化剤を、加熱殺菌機器内に熱水と接触す
るように設置して使用することもできるし、加熱殺菌機
器外の熱水循環系に設置して使用することもでき、これ
ら何れの場合にも、一度設置すれば、長期間にわたっ
て、用水の浄化作用が有効且つ安定に奏される。
【0017】リン酸マグネシウム及び/またはリン酸塩
ガラスは、例えば鉱物乃至ガラスの粒状物、塊状物或い
は破砕品等の形状で用いることができるし、また、リン
酸マグネシウム及び/またはリン酸塩ガラスを、水不溶
性重合体、特にオレフィン系樹脂等の溶解性パラメータ
ーが19(MPa)(1/2)未満の重合体を結着剤とし
て粒状化或いは成形した形で用いることができる。後者
の場合には、結着剤となる重合体が油かす状物に対する
吸着相となって、油かす状物の捕集及び分解が有効に行
われると共に、熱水中での用水浄化剤の崩壊が有効に防
止され、寿命がきた場合の交換も容易となるという利点
も奏される。同様の目的で、ガラス、特にソーダ石灰ガ
ラスから成る結着剤を用いることができ、この場合に
は、ケイ酸ソーダ等が放出されて、油かす状物の分解を
促進助長するという利点がある。また、リン酸マグネシ
ウムに対して、リン酸塩ガラスを結着剤として使用でき
ることも了解されよう。
【0018】[リン酸マグネシウム系用水浄化剤]本発
明において用いるリン酸マグネシウムは、一般に酸化物
基準で、下記式(1) nMgO・P・mHO ‥(1) 式中、nは1.5乃至4、特に2乃至3の数であり、m
は22以下の数である、で表される化学組成を有するも
のである。
【0019】リン酸マグネシウムは、天然に産出するも
のでも、或いは合成のものであってもよく、鉱物名とし
ては、三マグネシウム8水塩であるボビーライト[Mg
(PO・8HO]、一水素塩であるニューベ
リーライト[MgHPO]等が知られており、これら
は何れも本発明の目的に使用できる。またこれらを加熱
したガラス状の溶融物も使用できる。また、合成のリン
酸マグネシウムとしては、オルトリン酸、メタリン酸、
ピロリン酸、トリポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸等
のリンのオキシ酸成分と、マグネシウム成分とを反応さ
せて得られるリン酸マグネシウムが何れも使用される。
【0020】リン酸マグネシウムを主成分とする鉱物
は、粉末、鉱物の破砕品、粒状物或いは塊状物等の形
で、加熱殺菌機器用水浄化剤として使用されるが、一般
に5mm乃至20mmの粒径を有するものが取り扱いが
容易である。天然鉱物の場合、純粋なリン酸マグネシウ
ムから成っている必要はなく、例えば、リン酸三カルシ
ウム、アパタイト等を含有していても何ら差し支えな
い。
【0021】リン酸マグネシウムを、水不溶性有機重合
体から成る結着剤を介して粒状物或いは他の成形品、例
えば膜、繊維、シート、ハネカム構造体等に成形して加
熱殺菌機器用水浄化剤として用いることができる。水不
溶性有機重合体としては、溶解性パラメーター(Sp
値:凝集エネルギー密度の1/2乗値)が19(MPa)
(1/2)未満の有機重合体が油かす状物の吸着性の点
で適当であり、例えばプロピレン系重合体等のオレフィ
ン系樹脂またはそれを主体とする廃材や、ゴムまたはそ
れを主体とする廃材等が有利に使用される。より具体的
には、例えば、低−、中−、高−密度ポリエチレン、線
状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、アイ
ソタクティックポリプロピレン、プロピレン−エチレン
共重合体、ポリブチレン等のオレフィン樹脂;天然ゴ
ム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチ
レン−アクリロニトリルゴム(AN<25%)、イソプ
レンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、
クロロプレンゴム sp18-19.2、アクリロニトリルゴム s
p18-21、スチレンゴム、ブチルゴム等のゴム等が挙げら
れる。
【0022】リン酸マグネシウム(A)と水不溶性有機
重合体系結着剤(B)との配合比率は、特に限定されな
いが、(A):(B)=1:9乃至9:1の重量比にあ
るのがよい。
【0023】また、粒状物或いは成形品への成形は、リ
ン酸マグネシウム(A)と水不溶性有機重合体系結着剤
(B)との混合物を、溶融混練して押出成形するか、或
いはこの混合物を圧縮成形すればよい。
【0024】また、リン酸マグネシウムを、ガラスから
成る結着剤を介して粒状物或いは他の成形品に成形し
て、加熱殺菌機器用水浄化剤として用いることもでき
る。ガラスとしては、ソーダ石灰ガラスまたは珪ホウ酸
ガラスそれを主体とする廃材や後述するリン酸塩ガラス
を使用することができる。リン酸マグネシウム(A)と
ガラス系結着剤(B)との配合比率は、(A):(B)
=1:9乃至9:1の重量比にあるのがよいが、特にこ
れに限定されない。
【0025】粒状物乃至成形体は、リン酸マグネシウム
(A)とガラス系結着剤(B)との混合物を高温で圧縮
成形するか、或いは前記混合物の粒状物乃至成形体を高
温で焼成するか、或いはリン酸マグネシウム(A)と水
ガラス系結着剤(B’)との混合造粒物乃至成形体を硬
化させることにより得られる。
【0026】[リン酸塩ガラス系用水浄化剤]リン酸塩
ガラスは、リン酸を主要成分の一つとして含有するガラ
スであり、特に限定されないが、例えば代表的なものと
して、Pを1乃至15モル%、NaOを10乃
至35モル%及びSiOを50乃至80モル%の組成
で含むものが使用される。
【0027】リン酸塩ガラスは、上記成分の原料、例え
ばリン酸ナトリウムやリン酸1水素ナトリウムなどのリ
ン酸成分、炭酸ナトリウムなどのナトリウム成分、シリ
カなどの珪酸成分を加熱溶融することにより得られる。
水に易溶性のリン酸塩の溶解性を固溶体の形成により低
減させることが可能になる。
【0028】リン酸塩ガラスは、ガラスの粉末、水砕品
などの破砕品、粒状物或いは塊状物等の形で、用水浄化
剤として使用されるが、一般に5mm乃至20mmの粒
径を有するものが取り扱いが容易である。ガラス製品に
通常行われる成形技術も適用できる。
【0029】[用途]本発明の用水浄化剤を適用する加
熱殺菌機器としては、熱水を用いて食品充填密封包装体
を加熱殺菌する機器一般が挙げられ、例えば(1)加圧
熱水循環式レトルトシステム、(2)加圧熱水圧平衡型
レトルトシステム、(3)空気混合系加圧レトルトシス
テム、(4)連続式加圧レトルトシステム等が挙げられ
るが、この例に限定されない。
【0030】前記(1)のシステムの場合、レトルトと
は別に、熱交換機において水を加熱し、これをレトルト
内に循環させ、同時にレトルトを空気加圧して加圧加熱
殺菌を行うものであるが、熱水循環による包装への影響
があるのが欠点とされていた。本発明においては、レト
ルト内に或いは熱水循環系にリン酸マグネシウム系及び
/またはリン酸塩ガラス系の用水浄化剤を存在させるこ
とにより、油かす状物の発生を防止し、包装への影響を
回避することができる。
【0031】前記(2)のシステムは、原理的にはシス
テム(1)と同様であるが、平衡加圧が、特に冷却初期
においても十分に得れるように、加熱水蒸気による加熱
装置を有する密閉型の圧力平衡器を備えている。この圧
力平衡器では、加熱による熱媒体としての水の体積膨張
があり、加熱温度に対応した水蒸気圧の発生があり、更
に加圧空気の導入があるため、殺菌工程中のレトルト内
圧を包装内圧よりも常に大に維持されるという利点があ
る。勿論、この場合にも、システム(1)と同様な利点
が達成される。
【0032】前記(3)の空気混合系加圧レトルトシス
テムでは、水蒸気と空気とを別個にレトルト中に供給す
るのではなく、水蒸気に対する空気の混合率を20〜2
5%以下として、同時に供給するシステムであり、装置
としてコストも低く、昇温、殺菌温度、時間、圧力調
節、加圧冷却、排水等の単位操作の制御も、全てプログ
ラムに沿って自動化できるという利点を与えるが、本発
明では、この場合でも、熱水中の油かす状物の発生を有
効に防止できるものである。
【0033】上記(1)乃至(3)のバッチ式レトルト
では、包装体をレトルト内に配置するとき、包装体相互
の密着を防止して均一な殺菌温度を達成するようにする
ため、一定の配列状態で殺菌が行えるように、配列棚を
用いており、その配列形式に応じて、縦型殺菌棚と横型
殺菌棚とがある。
【0034】本発明においては、レトルト内の殺菌棚の
一部に、或いはレトルト内の殺菌棚以外の専用の収納ス
ペースに、前記リン酸マグネシウム系及び/またはリン
酸塩ガラス系の用水浄化剤を熱水と接触し得るように位
置せしめることにより、前記油かす状物の発生を防止す
ることができる。
【0035】また、これらのバッチ式レトルトの熱水循
環系に、リン酸マグネシウム系用水浄化剤を充填して成
る浄水用吸着器或いは浄水用濾過器を設置するか、或い
はレトルトに専用の熱水循環系を設けると共に、この循
環系に、リン酸マグネシウム系及び/またはリン酸塩ガ
ラス系の用水浄化剤を充填して成る浄水用吸着器或いは
浄水用濾過器を設置することにより、油かす状物の発生
並びにその付着を防止することができる。
【0036】前記(4)の連続式加圧レトルトシステム
には、水圧ロック式連続式加圧レトルトシステムや、静
水圧加圧型連続式レトルトシステムが知られている。前
者の方式では、特殊な水圧シール方式により、レトルト
内に連続的に包装体を挿入し、且つ搬出するものであ
り、一方、後者の方式では、10乃至15mの水圧塔を
使用し、連続的に加熱加圧と冷却とを行うものであり、
殺菌室では空気による加圧を行うものもある。この連続
式加圧レトルトシステムにおいても、バッチ式の場合と
同様にして、リン酸マグネシウム系及び/またはリン酸
塩ガラス系の用水浄化剤、浄水用吸着器或いは浄水用濾
過器を設置することにより、油かす状物の発生並びにそ
の付着を防止することができる。
【0037】本発明は、種々の食品充填密封包装体、例
えば、缶詰、ビン詰め、レトルトパウチ、レトルトカッ
プ、チューブ等の加熱殺菌に適用することができる。特
に、絞り成形或いは絞り−しごき加工等による缶や、絞
り成形で形成したカップ等の容器では、脂肪酸や油脂系
の潤滑剤が用いられているので、本発明の用水浄化剤等
の使用が有効である。また、レトルトパウチの場合も、
破袋等による内容物の漏れがあるので、有効である。加
熱殺菌条件としては、80乃至135℃の温度で、10
乃至120分間の加熱が一般的である。
【0038】本発明の用水浄化剤、浄水用吸着器或いは
浄水用濾過器の使用量は、包装容器の種類、内容物の種
類、加熱殺菌の温度や時間等によっても相違し、一概に
規定することは困難であるが、一般にリン酸マグネシウ
ム及び/またはリン酸塩ガラス換算で、用水1トン当た
り、100g乃至10kg、特に500g乃至5kgの
量で用いるのがよい。一般には、過剰の量のリン酸マグ
ネシウム及び/またはリン酸塩ガラスを使用して、繰り
返し加熱殺菌操作を行い、浄化能力が低下したとき、新
しい用水浄化剤、浄水用吸着器或いは浄水用濾過器と交
換するようにするのがよい。
【0039】本発明を既存の設備に適用する場合、設備
に既に付着しているステアリン酸カルシウム等の付着物
を除去するため、リン酸3ナトリウム/非イオン系乃至
アニオン系界面活性剤処方分解剤により、ステアリン酸
カルシウム等を水溶性のステアリン酸ナトリウム及び水
不溶性無害のリン酸カルシウム等に分解し、その後、容
器壁面を洗浄した後、本発明を適用するのが有利であ
る。
【0040】本発明においては、用途によってリン酸マ
グネシウム系の用水浄化剤と、リン酸塩ガラス系の用水
浄化剤とを使い分けることができる。一般に、リン酸塩
ガラス系の用水浄化剤は100℃以下の条件での加熱殺
菌に用いるか、或いは加熱殺菌前の用水の浄化や加熱殺
菌後の用水の浄化に用いるのが好ましい。
【0041】
【実施例】本発明を次の例で説明する。 [用水浄化剤の浄化効果の評価方法] 「評価法1」油かす状物分解反応のメチル誘導体化GC
分析法による評価法 用水浄化剤として試薬1級燐酸マグネシウム8水塩の微
粉末試薬1ミリモルを懸濁させた水分散液1リットルを
ビーカーに調製する。これに油かす状物モデルとしての
ステアリン酸カルシウム微粉末試薬5mgを非イオン系
界面活性剤TRITON−X40(ポリエチレングリコ
ールオクチルフェニルエーテル)の一滴でペースト状に
したものを加え、激しく攪拌混合する。激しく攪拌しな
がらビーカーから10mlの水分散液を30mlスクリ
ュー蓋付きバイアルに採取し密栓する。105℃オーブ
ン中でバイアルを加熱し105℃レトルト殺菌条件を模
する。非加熱、8、24、48、72、84分の加熱時
間で反応率測定用試料液を作製する。各条件のバイアル
内溶液を温かいうちにテフロン(登録商標)製1ミクロ
ンメンブランフィルター入りカートリッジを通じ濾過、
全量を30ml蓋付きサンプル管に移す。未反応ステア
リン酸カルシウムとリン酸マグネシウム浄化剤残余粉末
は除かれる。サンプル管内の濾液にクロロホルム5ml
を加え、マグネチックスターラー回転子(テフロン被
覆)を投入して密栓する。1分間激しく回転後静止、サ
ンプル管下層の約8割分をピペットで採取する。この5
mlクロロホルム抽出操作を3回行い、抽出液を合わせ
て乾燥する。これに濃塩酸1滴と水1滴を加え、さらに
試薬特級n−ヘキサンを10ml加えてマグネチックス
ターラー回転子存在下で攪拌抽出する。ヘキサン抽出液
の約8割を採取後さらに10mlのヘキサンを加え同様
に計3回の抽出を行う。ヘキサン抽出液を合わせて乾燥
する。サンプル管の乾燥物に三フッ化硼素メタノール法
による脂肪酸メチルエステル誘導体化を行い、高級脂肪
酸のガスクロマトグラフ分析の定法に沿って分析を進め
る。燐酸マグネシウムで分解された遊離ステアリン酸量
(ビーカー中ではステアリン酸マグネシウムで存在し
た)に対応するメチルエステルがn−ヘキサンを溶媒と
するGC分析用検液に調製される。検液にC12飽和脂
肪酸(ラウリン酸)メチルの一定量を内部標準として添
加、試薬ステアリン酸メチル標準液とのピーク面積比較
計算からクロロホルムに溶解したステアリン酸塩(Ca
塩、Fe塩)に相当するステアリン酸量(残留量)が求
められる。反応液中からの有機溶媒抽出による未反応の
ステアリン酸カルシウム(および/または鉄)の定量値
(残留量)から、分解反応生成物である水可溶性ステア
リン酸塩類のステアリン酸換算値(分解量)が算出され
る。初期投入量と分解量の比を分解率(%)とし、浄化
効果の評価に密接な関係がある。未反応残留ステアリン
酸カルシウム量に対応するステアリン酸重量をプロット
したのが図1のグラフ(実温度104℃)である。同様
に行ったリン酸3ナトリウムの同モル添加濃度の実験結
果も併記した。反応速度はリン酸3ナトリウムよりは低
いが、リン酸マグネシウムは油かす状物の遅効性分解剤
としての効果が確認された。両者の差は不溶解固形物か
ら溶解平衡的に溶出するリン酸イオン量と完全水溶液と
成っているリン酸イオン濃度との差違に基づくと考えら
れる。この方法はリン酸ナトリウム系水溶解性化合物に
よる油かす状物の分解反応の観察にも使用できる。
【0042】「評価法2」固形ないし不溶解性の用水浄
化剤の分解力評価法 用水浄化剤としてリン酸塩ガラスの5−10mm長径破
砕物を5gと水1リットルとをビーカーに採取する。5
mgのステアリン酸カルシウムを含むペーストを加え、
アルミ箔で口を覆い、105℃オートクレーブ中で加熱
殺菌を模する。前記1.で示した試験法と同じくメンブ
ランフィルター濾過からの処理を4時間加熱状態での上
澄み液に対して行う。メチル誘導体化GC分析法でステ
アリン酸カルシウムの分解率(%)を評価する。
【0043】「評価法3」溶出性リン元素の定量による
分解力評価法 用水浄化剤の効果測定からリン酸イオン濃度が分解力の
指標の一つとなり、さらにリン元素の溶出濃度も指標の
一つとなることが確認された。105℃以上の目的に沿
った温度でのリン酸塩溶出量変化をリン元素のICP発
光分光光度法測定結果から求め、1リットルの水中に用
水浄化剤5gの割合で存在したとして換算し、リン酸イ
オンの溶出濃度/時間の関係を用水浄化剤の特性評価と
することができる。
【0044】実施例1 リン酸マグネシウム8水塩粉末を鋼鉄性の赤外線吸収ス
ペクトル分析用錠剤成型器に充填し、油回転式減圧ポン
プで被加圧室部分を脱気しつつ10トン油圧プレスで加
圧した。得られた10mm径の厚さ2mmから10mm
の複数の錠剤を固形分解剤として実験した。効果判定を
ステアリン酸カルシウム残存率の測定により分解率を算
出する方法である評価法2によって行った。5mgのス
テアリン酸カルシウムを含むペーストを1リットルの水
中に採り、リン酸マグネシウム成形錠剤5gを加えてス
テアリン酸カルシウム分解率測定法にしたがって105
℃熱水中4時間での効果を測定した。残存率は12%で
あったので、分解率は88%である。
【0045】実施例2 実施例1の成形したリン酸マグネシウム錠剤を高密度ポ
リエチレン樹脂製網袋に納めたバッグ式の用水浄化剤
は、何ら浄化効果を損なうことなく、投入、取り出しな
ど取り扱いを極めて容易にすることができた。網袋には
ステアリン酸カルシウムの粉末付着が見られた。
【0046】実施例3 リン酸マグネシウム8水塩をアルミナ製ルツボで強熱
し、鉄板上に取り出して冷却、得られた透明な硬い固体
を粉砕し粉末とする。これをアルミナ製ルツボに5倍重
量のソーダ石灰ガラス粉末とともに約1500℃に加熱
溶融し、鉄板に流し出して冷却すると透明なガラス状固
体となる。この破砕物の2−10mm径の物5gを実施
例2と同様ポリプロピレン網袋に納めてバッグ状にし
た。評価法2に従い、5mgのステアリン酸カルシウム
を含むペーストを1リットルの水中に採り、105℃熱
水中4時間での効果を測定した。分解率は17%であっ
た。ガラス質の表面の曇り発生と粒子の崩れが観察され
た。
【0047】実施例4 リン酸マグネシウム8水塩をアルミナ製ルツボで強熱
し、鉄板上に取り出して冷却、得られた透明な硬い固体
を粉砕し粉末とする。これをアルミナ製ルツボに20倍
重量のソーダ石灰ガラス粉末とともに約1500℃に加
熱溶融し、鉄板に流し出して冷却すると透明なガラス状
固体となる。この破砕物の2−10mm径の物5gを実
施例2と同様ポリプロピレン網袋に納めてバッグ状にし
た。評価法2に従い、5mgのステアリン酸カルシウム
を含むペーストを1リットルの水中に採り、105℃熱
水中4時間での効果を測定した。分解率は4%であっ
た。ガラス質の表面の曇り発生以外変化は見られず、4
8時間後の分解率は12%で、ソーダ石灰ガラス組織が
リンの溶出を抑えているものと推察された。
【0048】実施例5 実施例3のリン酸マグネシウムのルツボ加熱で作製した
粉末をさらに瑪瑙乳鉢で十分にすりつぶす。フィルム成
型されたポリプロピレン樹脂100重量部に対し40重
量部のリン酸マグネシウム加熱粉末の割合でサンドイッ
チ状態に粉末を挟み込み、約180℃に加熱したホット
プレスを用い加圧加熱してシートを成形する。このシー
トをさらに複数回折り曲げ、再びホットプレス成形す
る。この操作を10回行い、乳白色の約0.3mm厚さ
のシートを作製した。100mlの水をビーカーに採
り、リン酸マグネシウム0.5gを含む量(1.75
g)の細かく裁断したシートをポリプロピレン網袋に納
め、さらに重しとしてガラス玉を入れてビーカー中に沈
める。ステアリン酸カルシウム分解率測定法における評
価法2の時間以外の条件を1/10にスケールダウンし
て適用評価した。リン酸マグネシウム入りポリプロピレ
ン樹脂シートのステアリン酸カルシウム減少率は14%
であった。樹脂表面には白色の粉末が少量付着しIRス
ペクトルからステアリン酸カルシウムと同定された。減
少率にはこの付着分を含むので分解率は14%を下回
る。樹脂シートは形状変化無く、引き続き44長時間の
加熱を行っても見かけ上の変化は無かった。分解率を含
むステアリン酸カルシウム減少率は72%に達した。
【0049】実施例6 試薬1級リン酸マグネシウム8水塩の粉末と高密度ポリ
エチレン樹脂(商品名ショーレックス、MFR0.25
g/10分、密度0.946g/ml)とを重量比1:
3でヘンシェルミキサーにより混合し、ホットプレスシ
ート成形を行った。白色の約0.5mm厚さのシート2
gを裁断し、実施例5と同様にステアリン酸カルシウム
分解率の評価を行った。分解率を含むステアリン酸カル
シウム減少率は21%であり、シート樹脂に未分解のス
テアリン酸カルシウムの付着が見られた。
【0050】実施例7 試薬1級リン酸マグネシウム8水塩の粉末を乳鉢で微粉
化する。実施例5のポリプロピレンに代えてエチレン酢
酸ビニル共重合体(酢酸ビニル15モル%)を使用し、
約150℃のホットプレスシート成形を同様におこなっ
た。白色の約0.5mm厚さのシート1.75g(リン
酸マグネシウム8水塩0.5g含有)を裁断し、実施例
6と同様にステアリン酸カルシウム分解率の評価を行っ
た。分解率を含むステアリン酸カルシウム減少率は28
%であり、シート樹脂に未分解のステアリン酸カルシウ
ムの付着が見られた。
【0051】実施例8 試薬1級リン酸マグネシウム8水塩の粉末を乳鉢で微粉
化する。スチレン−ブタジエンゴム(スチレンとブタジ
エンのモル比15:85)100重量部を3本ロールで
素練りしつつ、これに100重量部のリン酸マグネシウ
ム微粉末を混練した。約150℃のホットプレスシート
成形を行い、白色の約0.3mm厚さのシートを製作し
た。リボン状に裁断し、10gを1リットルビーカーに
採り、実施例1と同様にステアリン酸カルシウム分解率
の評価を行った。分解率を含む減少率は34%であり、
シート樹脂に未分解のステアリン酸カルシウムの付着が
見られ、リボン表面には無数の細孔が生成していた。
【0052】実施例9 無水リン酸3ナトリウム塩をアルミナ製ルツボに入れ、
20倍重量のソーダ石灰ガラス粉末とともに約1500
℃に加熱溶融し、鉄板に流し出して冷却すると透明なガ
ラス状固体となる。この破砕物の2−10mm径の物5
gを実施例2と同様ポリプロピレン網袋に納めてバッグ
状にした。評価法2に従い、5mgのステアリン酸カル
シウムを含むペーストを1リットルの水中に採り、10
5℃熱水中4時間での効果を測定した。分解率は7%で
あった。ガラス質の表面の曇り発生以外変化は見られ
ず、48時間後の分解率は52%であった。ソーダ石灰
ガラス組織がリンの溶出を遅延しているものと推察され
た。
【0053】実施例10 無水リン酸3ナトリウム、無水炭酸ナトリウム、石英、
ホウ酸ナトリウムの粉末をアルミナルツボに量り取り、
酸化物組成が P:NaO:SiO:B=2.0:21.5:7
0.5:6.0 (モル%) となるようにした。1500℃で溶融し、鉄板に流し出
して冷却すると透明なガラス状固体となる。この破砕物
の5−10mm径のもの5gを1リットルの水の入った
ビーカーに採り、115℃で毎日水を交換して5日間の
加熱を繰り返した。ガラス質はこの間に曇りを生じた
が、破壊度合いは軽微であった。水中に溶出したリン元
素量は以下の濃度で観察された。リン酸イオンの溶出量
が制御された溶出挙動を確認した。 1日:2.5ppm、2日:3.8ppm、3日:3.
9ppm、4日:3.5ppm、5日:3.1ppm
【0054】実施例11 無水リン酸3ナトリウム、無水炭酸ナトリウム、石英、
酸化マグネシウムの粉末をアルミナルツボに量り取り、
酸化物組成が P:NaO:SiO:MgO=2.0:21.5:75.
0:1.5 (モル%) となるようにした。1500℃で溶融し、鉄板に流し出
して冷却すると透明なガラス状固体となる。この破砕物
の5−10mm径のもの5gを1リットルの水の入った
ビーカーに採り、115℃で毎日水を交換して5日間の
加熱を繰り返した。ガラス質はこの間に曇りを生じた
が、破壊度合いは軽微であった。水中に溶出したリン元
素量は以下の濃度で観察された。リン酸イオンの溶出量
が制御された溶出挙動を確認した。 1日:1.5ppm、2日:1.8ppm、3日:1.
7ppm、4日:1.5ppm、5日:1.6ppm
【0055】実施例12 実施例9のリン酸3ナトリウムとソーダ石灰ガラスとの
溶融ガラスから1−5mm粒度範囲の破砕物を10g採
取、内径10mmのガラス製カラムクロマト管に充填し
た。これに水道水(Ca濃度15ppm)をゆっくり通
過させ、さらにメンブランフィルターを通して得られた
水のCa濃度は9ppmに低下していた。この結果は硬
水軟化効果を示す。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、リン酸マグネシウム及
び/またはリン酸塩ガラスを用水浄化剤として前処理に
使用することにより、用水中のCaやFeなどの汚れの
原因物質を予め除去でき、また、特に加熱殺菌機器用水
浄化剤として使用することにより、密封包装容器に何ら
かの害を与えることなしに、加熱殺菌機器内での高級脂
肪酸カルシウム系の浮遊物の発生を、簡単な手段でしか
も有効に持続して、抑制することができる。また、リン
酸マグネシウム及び/またはリン酸塩ガラスを水不溶性
有機重合体やガラスから成る結着剤を介して粒状物或い
は他の成形品に成形したものは、上記浮遊物の吸着性や
分解促進性にも優れ、取り扱いも容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 リン酸3ナトリウムとリン酸マグネシウムに
ついてステアリン酸カルシウムの分解速度をプロットし
たグラフである。
フロントページの続き Fターム(参考) 4D024 AB06 BA17 BB01 BB05 BC01 CA15 DB18 4D038 AA05 AB01 AB10 AB24 BB17 4G066 AA30A AA50A AA50D AA71A AC13B AC13C AE20B AE20C BA12 CA45 DA07 EA20 FA02 FA20 FA21 FA26

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸マグネシウム及び/またはリン酸
    塩ガラスを含有することを特徴とする用水浄化剤。
  2. 【請求項2】 リン酸マグネシウム及び/またはリン酸
    塩ガラスを水不溶性有機重合体から成る結着剤を介して
    粒状物或いは他の成形品に成形して成る請求項1記載の
    用水浄化剤。
  3. 【請求項3】 水不溶性有機重合体が溶解性パラメータ
    ー19(MPa)(1 /2)未満の有機重合体である請求
    項2記載の用水浄化剤。
  4. 【請求項4】 水不溶性有機重合体がオレフィン系樹脂
    またはそれを主体とする廃材である請求項2または3記
    載の用水浄化剤。
  5. 【請求項5】 水不溶性有機重合体がプロピレン系重合
    体またはそれを主体とする廃材である請求項2または3
    記載の用水浄化剤。
  6. 【請求項6】 水不溶性有機重合体がゴムまたはそれを
    主体とする廃材である請求項2または3記載の用水浄化
    剤。
  7. 【請求項7】 リン酸マグネシウムをガラスから成る結
    着剤を介して粒状物或いは他の成形品に成形して成る請
    求項1記載の用水浄化剤。
  8. 【請求項8】 ガラスがソーダ石灰ガラスまたは珪ホウ
    酸ガラスあるいはそれらを主体とする廃材である請求項
    7記載の用水浄化剤。
  9. 【請求項9】 リン酸マグネシウム鉱物及び/またはリ
    ン酸塩ガラスの粒状物、塊状物或いは破砕品から成る請
    求項1記載の用水浄化剤。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9の何れかに記載の用水
    浄化剤を充填して成ることを特徴とする加熱殺菌機器の
    浄水用吸着器。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至9の何れかに記載の水浄
    化剤を充填して成ることを特徴とする加熱殺菌機器の浄
    水用濾過器。
JP2000101707A 2000-04-04 2000-04-04 用水浄化剤 Expired - Fee Related JP4586232B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000101707A JP4586232B2 (ja) 2000-04-04 2000-04-04 用水浄化剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000101707A JP4586232B2 (ja) 2000-04-04 2000-04-04 用水浄化剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001276846A true JP2001276846A (ja) 2001-10-09
JP4586232B2 JP4586232B2 (ja) 2010-11-24

Family

ID=18615699

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000101707A Expired - Fee Related JP4586232B2 (ja) 2000-04-04 2000-04-04 用水浄化剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4586232B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005199148A (ja) * 2004-01-14 2005-07-28 Toyo Seikan Kaisha Ltd 殺菌用熱水の浄化方法

Citations (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5170964A (ja) * 1974-12-16 1976-06-19 Hohnen Oil Haisuinoshoriho
JPS59374A (ja) * 1982-06-24 1984-01-05 Matsushita Electric Ind Co Ltd 水処理用「ろ」材
JPH02157040A (ja) * 1988-12-08 1990-06-15 Azumi Roshi Kk 繊維状脱臭剤
JPH02198690A (ja) * 1989-01-30 1990-08-07 Ebara Infilco Co Ltd リン除去剤及びその製造方法
JPH04135630A (ja) * 1990-09-26 1992-05-11 Mitsubishi Rayon Co Ltd 中空糸膜濾過モジュール
JPH0470190U (ja) * 1990-10-29 1992-06-22
JPH04247232A (ja) * 1991-02-04 1992-09-03 Osaka Gas Co Ltd 成形吸着体
JPH04284891A (ja) * 1991-03-13 1992-10-09 Ishizuka Glass Co Ltd 硝子水処理材
JPH06126285A (ja) * 1992-10-20 1994-05-10 Ishizuka Glass Co Ltd 風呂水の浄化装置
JPH07124571A (ja) * 1993-11-04 1995-05-16 Ngk Insulators Ltd 有機性排水の処理方法
JPH07256239A (ja) * 1992-06-26 1995-10-09 Kuraray Chem Corp 浄水器用カートリッジ
JPH0884991A (ja) * 1994-09-16 1996-04-02 Matsushita Electric Works Ltd 清水器、及びこの清水器を用いたイオン水生成装置
JPH09187646A (ja) * 1996-01-11 1997-07-22 Takeda Chem Ind Ltd イオン吸着体
JPH10118488A (ja) * 1996-10-21 1998-05-12 Nagoya Yuka Kk 吸着材料
JPH10128923A (ja) * 1996-09-06 1998-05-19 Kureha Chem Ind Co Ltd レトルト包装用容器および包装体、並びにレトルト方法
JPH10296272A (ja) * 1997-04-25 1998-11-10 Noboru Naruo 風呂用などの殺菌剤
WO1999042405A1 (en) * 1998-02-18 1999-08-26 Abtech Industries, Inc. Curb-inlet storm drain systems for filtering trash and hydrocarbons
JPH11262517A (ja) * 1998-03-18 1999-09-28 Kawasumi Lab Inc 連続オートクレーブ滅菌装置及び連続オートクレーブ滅菌方法

Patent Citations (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5170964A (ja) * 1974-12-16 1976-06-19 Hohnen Oil Haisuinoshoriho
JPS59374A (ja) * 1982-06-24 1984-01-05 Matsushita Electric Ind Co Ltd 水処理用「ろ」材
JPH02157040A (ja) * 1988-12-08 1990-06-15 Azumi Roshi Kk 繊維状脱臭剤
JPH02198690A (ja) * 1989-01-30 1990-08-07 Ebara Infilco Co Ltd リン除去剤及びその製造方法
JPH04135630A (ja) * 1990-09-26 1992-05-11 Mitsubishi Rayon Co Ltd 中空糸膜濾過モジュール
JPH0470190U (ja) * 1990-10-29 1992-06-22
JPH04247232A (ja) * 1991-02-04 1992-09-03 Osaka Gas Co Ltd 成形吸着体
JPH04284891A (ja) * 1991-03-13 1992-10-09 Ishizuka Glass Co Ltd 硝子水処理材
JPH07256239A (ja) * 1992-06-26 1995-10-09 Kuraray Chem Corp 浄水器用カートリッジ
JPH06126285A (ja) * 1992-10-20 1994-05-10 Ishizuka Glass Co Ltd 風呂水の浄化装置
JPH07124571A (ja) * 1993-11-04 1995-05-16 Ngk Insulators Ltd 有機性排水の処理方法
JPH0884991A (ja) * 1994-09-16 1996-04-02 Matsushita Electric Works Ltd 清水器、及びこの清水器を用いたイオン水生成装置
JPH09187646A (ja) * 1996-01-11 1997-07-22 Takeda Chem Ind Ltd イオン吸着体
JPH10128923A (ja) * 1996-09-06 1998-05-19 Kureha Chem Ind Co Ltd レトルト包装用容器および包装体、並びにレトルト方法
JPH10118488A (ja) * 1996-10-21 1998-05-12 Nagoya Yuka Kk 吸着材料
JPH10296272A (ja) * 1997-04-25 1998-11-10 Noboru Naruo 風呂用などの殺菌剤
WO1999042405A1 (en) * 1998-02-18 1999-08-26 Abtech Industries, Inc. Curb-inlet storm drain systems for filtering trash and hydrocarbons
JPH11262517A (ja) * 1998-03-18 1999-09-28 Kawasumi Lab Inc 連続オートクレーブ滅菌装置及び連続オートクレーブ滅菌方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005199148A (ja) * 2004-01-14 2005-07-28 Toyo Seikan Kaisha Ltd 殺菌用熱水の浄化方法
JP4586368B2 (ja) * 2004-01-14 2010-11-24 東洋製罐株式会社 殺菌用熱水の浄化方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4586232B2 (ja) 2010-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Goudarzi et al. Formation of hydroxyapatite on surface of SiO2–P2O5–CaO–SrO–ZnO bioactive glass synthesized through sol-gel route
Chen et al. Effects of pH on heavy metal sorption on mineral apatite
Kanno et al. Novel apatite-based sorbent for defluoridation: synthesis and sorption characteristics of nano-micro-crystalline hydroxyapatite-coated-limestone
EP2145032B1 (en) Compositions including hardness ions and gluconate and methods employing them to reduce corrosion and etch
CA2084846C (en) Delayed, exothermic, alkaline sterilization method for treating wastewater sludges
CN109153940B (zh) 使用低含量偶合剂/水溶助长剂的固化工艺
CN103911225A (zh) 固体片剂单位剂量炉清洁剂
US11920112B2 (en) Powder and solid alkaline cleaning compositions and use thereof for removing greasy soils
JP2023055896A (ja) 液体装填組成物、その製造方法および使用
US7670989B2 (en) Neutralizing superabsorbent polymer composition
EP0698081B1 (en) Process for consolidating particulate solids and cleaning products therefrom
JP2001276846A (ja) 用水浄化剤
WO2003106535A1 (ja) 粗製ポリエーテルの精製方法および吸着剤
KR20200073750A (ko) 항균성 고흡수성 수지의 제조 방법
US7297318B2 (en) Method of removing heavy metals from silicate sources during silicate manufacturing
US7201885B1 (en) Method of removing heavy metals from silicate sources during silicate manufacturing
JP2001340893A (ja) 水中で緩効的にリン酸イオンを溶出するガラスから成る水処理剤
JP2007007651A (ja) 水質調整装置
RU2163630C2 (ru) Способ получения детергента в макротвердом виде
JP5940047B2 (ja) 廃水浄化材
JP2010111561A (ja) 廃ガラスを原料とする人工ゼオライトの製造方法
WO1992018437A1 (en) Harzardous waste containment system
JP4586368B2 (ja) 殺菌用熱水の浄化方法
JPH10258274A (ja) 浄化剤とその製造方法
Gautam et al. Adsorption of antiviral and antibiotics by recyclable biochar derived from Dillenia indica: Impact of pyrolysis temperature and duration

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070305

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100119

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100316

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100810

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100823

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4586232

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees