JP2001272488A - ステージ装置 - Google Patents

ステージ装置

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JP2001272488A
JP2001272488A JP2000087398A JP2000087398A JP2001272488A JP 2001272488 A JP2001272488 A JP 2001272488A JP 2000087398 A JP2000087398 A JP 2000087398A JP 2000087398 A JP2000087398 A JP 2000087398A JP 2001272488 A JP2001272488 A JP 2001272488A
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Japan
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moving
stage
vacuum chamber
moving shaft
chamber
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Application number
JP2000087398A
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English (en)
Inventor
Kazuyoshi Sugihara
和佳 杉原
Katsuya Okumura
勝弥 奥村
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動機構を真空中に設置することなくステー
ジの駆動を行うことができ、真空チャンバや全体構成の
小型化をはかる。 【解決手段】 真空内でウェハを支持すると共にXY方
向に移動させるステージ装置において、ベースプレート
2と、このベースプレート2に対して相対的に移動可能
に設けられたステージ1と、ベースプレート2に設置さ
れ、ベースプレート2に対してステージ1を相対的に移
動させる駆動機構120〜123と、ベースプレート2
とステージ1が対向する領域で、かつベースプレート2
とステージ1の対向面の一方に設けられた差動排気部1
03とを具備してなり、ベースプレート2とステージ1
で囲まれた空間が真空チャンバ110となり、ステージ
1がウェハ5を支持するための試料台を兼ねている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子ビーム応用機
器等で使用されるステージ装置に係わり、例えば電子ビ
ーム露光装置で使用される真空対応のステージ装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】図12は、従来から電子ビーム露光装置
で使用されているステージの構成を示す一例である(米
国 Anorad Corporation のカタログより抜粋)。ステー
ジリニアガイドによって移動可能に支持されたテーブル
をXY直交するように2段重ねにしたもので、2段のテ
ーブルからなるステージ91は図示しない真空チャンバ
内に設置されている。
【0003】ステージ91を動かすための駆動系92,
93は真空チャンバ外に配置され、これらの駆動系9
2,93はチャンバを貫通する駆動棒94,95(真空
シールにはベローズ96を使用)によってステージ91
の各テーブルとそれぞれ接続されている。そして、片袖
の駆動棒がテーブルとの連結部でもう一軸のテーブルの
動きを妨げないで、かつテーブルを駆動できるように、
スライド式のカップリングが使用されている。
【0004】しかしながら、上記のように真空チャンバ
内にステージを設置する構成では、ウェハの大口径化に
伴ってステージ自体が大きくなり、かつストロークも大
きくなることから、チャンバの大きさがそれに伴って大
型化する。
【0005】この結果、ステージ部品の大型化と表面
積増加に伴いアウトガス量が増大する、チャンバを排
気する真空ポンプの排気用量が大きくなる、大型化し
たステージを駆動するために高出力のモータが必要にな
る、チャンバが大型化することでチャンバに加わる真
空力が大きくなるため、チャンバ変形を小さく抑えよう
とするとチャンバ壁の肉厚を大きくする必要がある(装
置重量の増大につながる)など、装置を製作する上でど
れをとってもマイナスとなるような事項が多く発生す
る。
【0006】そしてこれらは、いずれも装置コストの増
加としてユーザーに跳ね返ることになり、今後のコスト
的に有利な装置開発及び製作を進める上での大きな障害
となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように従来、電子
ビーム応用機器で使用されるステージ装置においては、
真空チャンバ内に駆動機構(リニアガイドなど)を設置
しているため、真空領域内での被加工物であるウェハの
汚染が生じることが大きな問題となっている。また、ウ
ェハの大口径化と共にステージは大型化,長ストローク
化しており、これに伴って真空チャンバの大型化だけで
なく、ステージの駆動機構も大きくなり、そこで使用さ
れるアクチュエータなども高出力化せざるを得なくなっ
ている。真空チャンバが大型化すると、上記の汚染の問
題は顕著となり、さらに駆動機構で使用される潤滑油な
どにより排気用のポンプの大型化が避けられなくなって
きている。
【0008】本発明は、上記事情を考慮して成されたも
ので、その目的とするところは、駆動機構を真空中に設
置することなくステージの駆動を行うことができ、真空
チャンバや全体構成の小型化をはかり得るステージ装置
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】(構成)上記課題を解決
するために本発明は次のような構成を採用している。
【0010】即ち本発明は、静止部材と、この静止部材
に対して相対的に移動可能に設けられた移動部材と、前
記静止部材に設置され、該静止部材に対して前記移動部
材を相対的に移動させる駆動機構と、前記静止部材と移
動部材が対向する領域で、かつ前記静止部材と移動部材
の対向面の一方に設けられた差動排気部とを具備してな
るステージ装置であって、前記静止部材と移動部材で囲
まれた空間が気密チャンバとなり、前記移動部材が試料
を支持するための試料台を兼ねることを特徴とする。
【0011】また本発明は、複数の静止部材と、これら
の静止部材間に挟まれて設置され、前記複数の静止部材
に対して相対的に移動可能に設けられた移動部材と、前
記静止部材に固定され、該静止部材に対して前記移動部
材を相対的に移動させる駆動機構と、前記静止部材と前
記移動部材が対向する領域で、かつ前記静止部材と移動
部材の対向面の一方に設けられた差動排気部とを具備し
てなるステージ装置であって、前記静止部材と移動部材
で囲まれた空間が気密チャンバとなり、前記移動部材が
試料を支持するための試料台を兼ねることを特徴とす
る。
【0012】ここで、本発明の望ましい実施態様として
は次のものが挙げられる。
【0013】(1) 静止部材は表面が平坦に形成されたも
のであり、移動部材は箱状体を伏せた状態で静止部材の
表面に配置されること。
【0014】(2) 静止部材は、2枚の板状体からなり相
互に離間対向配置され、移動部材は、筒状体からなり各
々の開口面が各板状体と対向するように配置されるこ
と。
【0015】(3) 静止部材に電子光学鏡等が取り付けら
れること。
【0016】(4) 気密チャンバは、大気圧より減圧され
てなること。
【0017】(5) 駆動機構は、全て大気中に設置されて
いること。
【0018】(6) 静止部材内に圧力の調整を行うことの
できる空間を設けてなること。
【0019】(7) 試料は、移動部材の側面に設けられた
開口を通して搬出入されること。
【0020】(8) 差動排気部は、大気側と気密チャンバ
側との間に複数の排気領域を設けたものであり、各々の
排気領域は大気側から気密チャンバ側の順により高真空
の排気が可能となっていること。
【0021】また本発明は、真空内で試料台を移動させ
るためのステージ装置において、真空チャンバと、この
真空チャンバを貫通して設けられた移動軸と、前記真空
チャンバ内で前記移動軸に取り付けられた試料載置用の
テーブルと、前記移動軸の両端で前記真空チャンバの外
部に設けられ、前記移動軸を前記真空チャンバに対して
相対的に移動させるための駆動機構と、前記移動軸が前
記真空チャンバを貫通する領域に設けられた差動排気部
とを具備してなることを特徴とする。ここで、移動軸が
真空チャンバを貫通する領域に設けられた差動排気部の
少なくとも一方は、真空チャンバに対して移動可能に取
り付けられることが望ましい。さらに、差動排気部は、
大気側と真空チャンバ側との間に複数の排気領域を設け
たものであり、各々の排気領域は大気側から真空チャン
バ側の順により高真空の排気が可能となっているが望ま
しい。
【0022】また本発明は、真空内で試料台を移動させ
るためのステージ装置において、真空チャンバと、この
真空チャンバを貫通して設けられた中空構造の第1の移
動軸と、第1の移動軸の両端で前記真空チャンバの外部
に設けられ、第1の移動軸を前記真空チャンバに対して
相対的に移動させるための第1の駆動機構と、第1の移
動軸が前記真空チャンバを貫通する領域に設けられた第
1の差動排気部と、前記真空チャンバ内で第1の移動軸
と直交する方向に第1の移動軸を貫通して設けられた第
2の移動軸と、第1の移動軸内で第2の移動軸を支持案
内するための軸受と、第1の移動軸内に設けられ、第2
の移動軸を第1の移動軸に対して相対的に移動させるた
めの第2の駆動機構と、第2の移動軸が第1の移動軸を
貫通する領域に設けられた第2の差動排気部と、前記真
空チャンバ内で第1の移動軸の外側に位置する第2の移
動軸に取り付けられた試料載置用のテーブルとを具備し
てなることを特徴とする。
【0023】ここで、第1の移動軸が真空チャンバを貫
通する領域に設けられた第1の差動排気部の少なくとも
一方は、真空チャンバに対して移動可能に取り付けられ
ることが望ましい。同様に、第2の移動軸が真空チャン
バを貫通する領域に設けられた第2の差動排気部の少な
くとも一方は、真空チャンバに対して移動可能に取り付
けられることが望ましい。また、差動排気部は、大気側
と真空チャンバ側との間に複数の排気領域を設けたもの
であり、各々の排気領域は大気側から真空チャンバ側の
順により高真空の排気が可能となっていることが望まし
い。
【0024】また本発明は、真空内で試料台を移動させ
るためのステージ装置において、真空チャンバと、この
真空チャンバを貫通する第1の移動軸と、第1の移動軸
の両端で前記真空チャンバ外部に設けられ、第1の移動
軸を前記真空チャンバに対して相対的に移動させるため
の第1の駆動機構と、第1の移動軸が前記真空チャンバ
を貫通する領域に設けられた第1の差動排気部と、第1
の移動軸を貫通して第1の移動軸と相対的に移動可能に
設けられた第2の移動軸と、第1の駆動機構に設置され
て、第2の移動軸を第1の移動軸に対して相対的に移動
させるための第2の駆動機構と、第2の移動軸が第1の
移動軸を貫通する領域に設けられた第2の差動排気部
と、前記真空チャンバ内で第2の移動軸に取り付けられ
た試料載置用のテーブルとを具備してなることを特徴と
する。
【0025】ここで、第2の移動軸は、第1の移動軸の
両端部で第1の移動軸を貫通して設けられた2つの軸体
と、第1の移動軸内に挿入されて2つの軸体間を連結す
る連結部材とからなり、テーブルはこの連結部材に取り
付けられていることが望ましい。さらに、差動排気部
は、大気側と真空チャンバ側との間に複数の排気領域を
設けたものであり、各々の排気領域は大気側から真空チ
ャンバ側の順により高真空の排気が可能となっているこ
とが望ましい。
【0026】また、第1の移動軸が真空チャンバを貫通
する領域に設けられた第1の差動排気部の少なくとも一
方は、真空チャンバに対して移動可能に取り付けられる
ことが望ましい。同様に、第2の移動軸が真空チャンバ
を貫通する領域に設けられた第2の差動排気部の少なく
とも一方は、真空チャンバに対して移動可能に取り付け
られることが望ましい。
【0027】(作用)本発明によれば、静止部材と移動
部材の対向面の一方に差動排気部を設け、差動排気を用
いて真空シールすることにより、摺動を伴うステージ駆
動機構を全て大気中に設置することができる。このた
め、真空中での摩擦摩耗による発塵を無くすことができ
る。しかも、駆動機構が大気中に置かれているため、メ
ンテナンス作業が容易である。
【0028】また、静止部材と移動部材で囲まれた空間
が気密チャンバとなり、移動部材が試料を支持するため
の試料台(ステージ)を兼ねることになるため、装置構
成を小型化することができる。さらに、静止部材に圧力
の調整を行うことのできる空間(差圧調整室)を設ける
ことにより、静止部材に加わる真空力を小さくすること
ができる。これにより、被可動物の重量を小さくするこ
とができ、ステージの運動特性の向上や駆動機構の小型
化が可能になる。
【0029】また本発明によれば、真空チャンバを貫通
して設けられた移動軸に試料載置用のテーブル(ステー
ジ)を取り付け、移動軸が真空チャンバを貫通する領域
に差動排気部を設けることにより、移動軸を真空チャン
バに対して相対的に移動させるための駆動機構を移動軸
の両端、即ち真空チャンバの外部に設けることができ
る。従って、上記に説明したのと同様の効果が得られ
る。しかも、真空チャンバとステージが別体となってい
るので、ステージに加わる真空力を小さくすることがで
きる。これにより、被可動物の重量を小さくすることが
でき、ステージの運動特性の向上や駆動機構の小型化が
可能になる。
【0030】また本発明によれば、真空チャンバを貫通
して中空構造の第1の移動軸を設けると共に、第1の移
動軸を貫通して第2の移動軸を設け、第1の移動軸を移
動させるための第1の駆動機構は第1の移動軸の両端で
真空チャンバの外部に設け、第2の移動軸を移動させる
ための第2の駆動機構は第1の移動軸内に設け、第1の
移動軸が真空チャンバを貫通する領域、第2の移動軸が
第1の移動軸を貫通する領域にそれぞれ差動排気部を設
け、真空チャンバ内で第1の移動軸の外側で第2の移動
軸に試料載置用のテーブルを取り付けることにより、摺
動を伴うステージ駆動機構を全て大気中に設置すること
ができる。従って上記と同様に、真空中での摩擦摩耗に
よる発塵を無くすことができ、メンテナンス作業が容易
となる。また、真空チャンバとステージが別体となって
いるので、ステージに加わる真空力を小さくすることが
でき、ステージの運動特性の向上や駆動機構の小型化が
可能になる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を図示の実施
形態によって説明する。
【0032】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1
の実施形態に係わるステージ装置の概略構造を説明する
ためのもので、(a)は平面図、(b)は側断面図であ
る。
【0033】図中の1はステージ(移動部材)、2はベ
ースプレート(静止部材)、3は電子光学鏡筒である。
4,4’は、ステージ1をベースプレート2上でXY方
向に移動させるための駆動機構である。5はウェハ(試
料)、6はウェハ5を搬送する際に用いるゲートバル
ブ、7はステージ1の側壁に設けられたウェハ搬送口を
開閉するための開閉機構である。但し、図1(a)では
ウェハローダーは図示していない。
【0034】次に、このようなステージ装置の詳しい構
造とその動きについて説明する。ステージ1はお椀を伏
せたような箱形構造であり、このステージ1をベースプ
レート2の表面上に設置することにより、これらで囲ま
れた空間110が真空チャンバとして機能することにな
る。
【0035】ステージ1のベースプレート2と接する縁
領域101には、図2(a)に示すように、静圧空気軸
受領域102と差動排気領域103とが設けられてい
る。静圧空気軸受領域102には、縁領域101の大気
側に全周にわたって掘り込まれた溝105があり、この
溝105に例えば露点の低い2〜3気圧程度の窒素ガス
を供給することにより、ステージ1全体をベースプレー
ト2から僅かに浮かすようになっている。縁領域101
において、ステージ1とベースプレート2の隙間106
の窒素ガス膜は潤滑材として働くため、ステージ1はス
ムーズにベースプレート2上を動くことができる。
【0036】溝105から放出される窒素ガスは隙間1
06を通って大気側と真空チャンバ110内へと流れて
行く。チャンバ110内へ流れ込む窒素ガスは、溝10
5よりも(内側)チャンバ110側に設けられた溝10
7によって極力排気され、この溝107の気圧はほぼ大
気圧と同等となっている。溝107を過ぎてさらにチャ
ンバ110内に流れ込む窒素ガスは、縁領域101にお
いてステージ1とベースプレート2とによって形成され
る空間104から生じる放出ガスとなる。そこで、縁領
域101の差動排気領域103に全周にわたって掘り込
まれた2段の溝108,109を設けて、チャンバ11
0内に流れ込むガスを極力排気するようになっている。
これにより、真空チャンバ110の真空排気を容易に行
うことができる。
【0037】なお、各溝105,107,108,10
9は図2(b)に示すように、ステージ1の底面全周に
わたって形成されており、各々の溝105,107,1
08,109は図2(c)に示すように、ステージ1の
内部に設けられた通気孔及びステージ側面に接続された
配管を介して独立に吸気又は排気されるようになってい
る。即ち、溝105はステージ内部に設けられた吸気用
経路を経て吸気用のコンプレッサに連結され、溝107
はステージ内部に設けられた排気用経路を経て排気用の
ポンプに連結され、2段構成の溝108,109はステ
ージ内部に設けられた排気用経路を経て排気用の真空ポ
ンプ(ドライポンプ,ターボ分子ポンプなど)に連結さ
れる。
【0038】ステージ1とベースプレート2で囲まれた
空間(真空チャンバ)110内にはウェハ5やウェハ5
を保持するための部品などが取り付けられ(ウェハ5の
み示して他は図示せず)、真空チャンバ110はステー
ジ1と連結された排気ポンプ(図示せず)によって例え
ば10-5Pa程度に真空排気される。また、ベースプレ
ート2には開口が設けられ、この開口に電子ビーム光学
鏡筒3が接続されている。そして、ウェハ5を電子ビー
ム光学鏡筒3の直上にセットすることにより電子ビーム
露光を行うようになっている。
【0039】次に、このように構成されたステージ装置
の動作について説明する。まず、ベースプレート2上に
静止したステージ1の溝108,109に連結した真空
ポンプを動作させ、溝部108,109の排気を行う。
次いで、静圧空気軸受領域102の溝105に、例えば
乾燥窒素ガスを供給し、ステージ1を浮上させる。さら
に、真空チャンバ110内に連結した真空ポンプを駆動
し、真空チャンバ110内の圧力を所定の値、例えば1
-5Pa程度までにする。その後、空気軸受領域102
に供給するガス圧を高め、ステージ1がベースプレート
2から数μmのギャップで完全に浮上するようにする。
この結果、ステージ1とベースプレート2で形成される
空間(真空チャンバ)110が高真空に保たれ、かつス
テージ1は非接触でベースプレート2上を移動できるよ
うになる。
【0040】因みに、差動排気領域103と真空チャン
バ110内を真空排気するために必要な真空ポンプの大
きさを検討した結果を、図3(a)(b)に示す。ステ
ージ1とベースプレート2との距離を平均5μmに設定
した場合、1000L/min程度のドライポンプと3
00L/s以下のターボ分子ポンプで十分な排気ができ
ることが確認できている。
【0041】ステージ1の移動は、例えば摩擦駆動方式
の駆動機構を使って行う。図1に示したステージ1で
は、X方向の移動を2つの駆動機構4で、Y方向の移動
を1つの駆動機構4’を使って行うように構成してい
る。X方向の駆動機構4は、ステージ1と連結棒120
との連結部がY方向の移動を妨げないように、スライド
式連結部121となっている。即ち、X方向の連結棒1
20は、その動きが直接ステージ1に伝達されるが、Y
方向にステージ1が動いた時には、X方向の連結棒12
0はY方向の動きを何ら拘束しない構成となっている。
【0042】同様に、Y方向の駆動機構4’もステージ
1と連結棒122との連結部がX方向の移動を妨げない
ように、スライド式の連結部123となっている。即
ち、Y方向の連結棒122は、その動きが直接ステージ
に伝達されるが、X方向にステージが動いた時には、Y
方向の連結棒122はX方向の動きを何ら拘束しない構
成となっている。さらに、ステージ1の動きはレーザ干
渉計(図示せず)によって常に位置が測定されている。
駆動機構4,4’がこのような構成をとることによっ
て、ステージ1はガイドレールなどのステージ1の動き
を規制するもの無しに自由にXY方向に動くことができ
る。
【0043】また、ステージ1とベースプレート2で囲
まれた真空チャンバ110内へのウェハ5の搬送は、次
のようにして行う。まず、真空チャンバ110内は真空
排気されており、ステージ1の側壁に設けたウェハ搬送
口130に蓋体131が吸着されているものとする。こ
の状態で、ステージ1を開閉機構7の位置まで移動させ
る。そして、ゲートバルブ6を開け、ウェハ5を予備室
から開閉機構7の位置まで搬送すると共に、開閉機構7
の部分を真空排気する。
【0044】開閉機構7の部分が真空排気されると、こ
の領域と真空チャンバ110との差圧がなくなるため、
開閉機構7により蓋体131をステージ1から外すこと
ができる。蓋体131を外した状態で、ウェハ5を真空
チャンバ110内に搬送したのち、開閉機構7により蓋
体131をステージ1のウェハ搬送口130にセットす
る。この状態で、ゲートバルブ6を閉じ、開閉機構7の
部分を大気開放すると、蓋体131はステージ1のウェ
ハ搬送口130に吸着される。この後、ステージ1を開
閉機構7から離しても、蓋体131はステージ1の搬送
口130に吸着されたままであるため、ステージ1を自
由に移動させることができる。真空チャンバ110から
ウェハ5を出す場合は、上記と逆の手順を行えばよい。
【0045】このような構成のステージ装置によれば、
次のような効果が得られる。 (1) 摺動を伴うステージ駆動機構4,4’を全て大気中
に設置できるため、真空中での摩擦摩耗による発塵を無
くすことができる。しかも、駆動機構4,4’が大気中
に置かれているため、メンテナンス作業が容易である。 (2) ステージ自体が真空チャンバを兼ねることになるの
で、装置構成を極めて小型化することができる。
【0046】また、本実施形態のステージ装置では、温
度制御に関しても次に述べるような新たな効果を得るこ
とができる。即ち、加工寸法が小さく、かつ加工精度が
厳しくなるに連れてウェハなど被加工物の温度管理も強
く求められるようになっている。ステージ上のウェハを
直接的に温度制御するためには、図12に示した従来の
ステージ装置では真空チャンバ内を動き回るステージに
冷媒などを供給するパイプを真空中内で引き回しをしな
ければならない。しかしながら、真空内で使用できる冷
媒の漏れがなく、フレキシビリティがあり、真空中内で
のアウトガスの少ない、などの特徴を持つパイプは世の
中になく、どうしても固定されたステージ台座を冷却
し、熱伝達を使ってステージ上のウェハを間接温度制御
せざるを得なかった。この方法では、熱応答性が悪く精
度の高い温度制御ができなかった。
【0047】これに対して本実施形態のステージ装置で
は、ステージ1が真空チャンバ110を兼ねるため、ス
テージ冷却のための冷媒を供給するパイプを大気中に置
くことができる。このため、多種のパイプから適したも
のを選択することができ、従来実現し得なかったウェハ
の直接的な温度制御が可能となる。この機能は、広い温
度範囲で加工を行うイオンビーム関連の装置などにとっ
ては、極めて魅力的な特徴となる。
【0048】(第2の実施形態)図4は、本発明の第2
の実施形態に係わるステージ装置の概略構造を示す側断
面図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付し
て、その詳しい説明は省略する。
【0049】基本構成は、図1に示した第1の実施形態
のステージ装置と同様である。第1の実施形態と異なる
点は、ステージを複数のベースプレートで挟むように構
成した点にある。即ち、板状に形成された2枚のベース
プレート202,202’が離間して対向配置され、こ
れらの間に筒状のステージ201が配置されている。そ
して、ステージ201及びベースプレート202,20
2’からなる空間210で真空チャンバを形成してい
る。
【0050】このステージ装置においては、ステージ2
01内の空間(真空チャンバ)210の真空排気を行う
と、大気との差圧による真空力がステージ全体をベース
プレート202,202’に対して押し付けるように加
わる。この真空力によるベースプレート202,20
2’の変形をできるだけ小さくするために本実施形態で
は、圧力コントロールを行う差圧調整室203,20
3’を持たせるようにしている。
【0051】なお、両ベースプレート202,202’
とステージ201の近接部には第1の実施形態のステー
ジ1と同様の空気軸受領域と差動排気領域を持たせるよ
うにしている。ベースプレート202,202’内に圧
力コントロールを任意に行うことができる差圧調整室2
03,203’を設けることで、差圧調整室203,2
03’を設けない場合に比べてベースプレート202,
202’の変形を小さくすることができる。或いは変形
を同じだけ許す場合には、ベースプレート肉厚(ベース
プレート重量)を減らすことができる。
【0052】次に、このようなステージ装置の詳しい構
造とその動きについて説明する。ステージ201は中空
円筒のような構造であり、ベースプレート202,20
2’と接する2つの縁領域には、第1の実施形態と同様
にそれぞれ静圧空気軸受領域102と差動排気領域10
3とが設けられている(図示しないが構造は図2と同
じ)。そして、静圧空気軸受領域102に設けた溝10
5に大気圧よりも圧力の高い窒素ガスを供給することに
より、ステージ201全体をベースプレート202,2
02’から浮かせる。ステージ201と両ベースプレー
ト202,202’間にできた隙間106に流れる窒素
ガス膜は潤滑材として働くため、ステージ201はスム
ーズにベースプレート202,202’間を動くことが
できる。
【0053】溝105から放出される窒素ガスは隙間1
06を通って大気側と真空チャンバ210内へと流れて
行く。チャンバ210内へ流れ込む窒素ガスは、第1の
実施形態と同様に、差動排気領域103に設けた溝10
7,108,109により排気することにより、チャン
バ210内の真空を保持することができる。
【0054】また、ステージ202,202’に設けた
差圧調整室203,203’は排気ポンプと連結され
る。そして、ステージ重量と真空力とが釣り合うように
差圧調整室203,203’の真空度が決定され、真空
排気が行われる。
【0055】このような構成であれば、ステージ201
とベースプレート202,202’からなる箱型構造を
押し潰そうとする真空力を小さくすることができ、ステ
ージ201に上下方向の荷重がかからない状態で駆動機
構4,4’によってステージ1を動かすことができる。
【0056】図5は、差圧調整室203,203’を
0.5気圧程度に真空排気した場合の箱型構造に加わる
圧力の分布を模式的に示している。図中の斜めハッチン
グで示した部分A(ステージ中空空間を潰すように働く
圧力)が圧力の及ぶ範囲と大きさを示している。差圧調
整室203,203’がない場合の圧力分布はドットハ
ッチング(梨子地)Bで示してある。A領域とB領域と
の大きさを比べると分かるように、差圧調整室203,
203’を設けることでステージ201を押し潰そうと
する力を大幅に減らすことができる。
【0057】この結果、ステージ駆動機構4,4’を簡
素化することができ、かつステージ201の運動特性を
向上させることができる。或いはベースプレート20
2,203’の変形を同じだけ許す場合には、ベースプ
レート肉厚(ベースプレート重量)を減らすことができ
る。ステージ201の移動は、第1の実施形態のステー
ジ1と同様に摩擦駆動方式の駆動機構4,4’を使って
行うことができる。図示しないが、駆動機構の詳細は図
1に示したそれと同様である。
【0058】本実施形態のステージ装置では、第1の実
施形態で示した (1)(2) の効果に加え、(3) ステージ2
01に加わる真空力を小さくすることができるため、被
可動物の重量を小さくすることができ、これによりステ
ージ201の運動特性の向上や駆動機構4,4’の小型
化が可能になる。
【0059】また、本実施形態のステージ装置では、第
1の実施形態でも説明したように、冷媒を供給するパイ
プを大気中に置くことができるため、多種のパイプから
適したものを選択することができ、従来実現し得なかっ
たウェハの直接的な温度制御が可能となる新たな利点も
有する。
【0060】(第3の実施形態)第1,第2の実施形態
では、ステージ内部が真空に排気された際にステージと
ベースプレートは押し潰されるような力を受ける。この
力は極めて大きくステージの内径が例えば350mmφ
程度であると約1トンにもなる。この力に抗して変形し
ないようにするためには、ステージとベースプレートの
肉厚を増さなければならず、重量の増大が避けられなく
なってしまう。
【0061】本実施形態は、このようなステージ重量の
増大を招くことなく、ステージの運動特性の向上や駆動
機構の小型化をはかるものである。図6は、本発明の第
3の実施形態に係わるステージ装置の概略構造を説明す
るためのもので、(a)は水平方向の断面図、(b)は
側断面図である(但し、ウェハローダーは図示していな
い)。
【0062】図中301は真空チャンバであり、その内
部はターボ分子ポンプなどによって例えば10-4Pa程
度の真空に排気される(矢印方向に排気する)。中空の
円筒(第1の移動軸)302がチャンバ301を貫通す
るように設けられ、中空円筒302の両端には、中空円
筒302を長手方向に移動せしめる外部ステージ303
が取り付けられている。外部ステージ303の静止部材
304は定盤305上に固定されており、例えばリニア
モーター等のアクチュエータによって外部ステージ30
3が静止部材304に対して相対的に移動する。本図の
場合、この移動方向をX軸とする。従って、中空円筒3
02をX軸ステージと見なすことができる。
【0063】中空円筒302とチャンバ301との境界
部には差動排気部306が設けられており、中空円筒3
02がチャンバ301に対して相対的に移動してもこの
境界部でリークが起こらないようになっている。差動排
気部306の基本構成は前記図2に示したのと同じであ
るが、本実施形態における差動排気部306の具体例を
図7(a)に模式的に示す。中空円筒302と差動排気
部306とのギャップは10μmに設定してある。差動
排気は、例えば3段で行う。差動排気溝の寸法は10m
m幅で20mm深さのリング状で、外周部の一部から配
管で真空排気ポンプによって大気側から流入してくる空
気を排気する。このような差動排気構が10mmの間隔
を空けて3つ並んでいる。
【0064】図7(b)は、このような構成の差動排気
で必要とされる排気ポンプの容量と排気溝と排気経路の
コンダクタンスから予想される有効排気速度で各溝がど
の程度の圧力になり、チャンバ内がどの程度の真空度と
なるかを見積もった結果である。このような設定によ
り、差動排気部306によってチャンバ301の真空度
を低下させないで中空円筒302の移動が可能になる。
【0065】ところで、中空円筒302が貫通した真空
チャンバ301を真空に引くと、差圧によってチャンバ
301が変形し、チャンバ301の対向する2箇所に設
けられた差動排気部306の真直度が低下する場合があ
る。この場合、中空円筒302と差動排気部306との
ギャップが設定値(ここでは10μm)から狂うことに
なる。その結果、差動排気部306で用いている排気ポ
ンプによる到達圧力に変化が生じ、真空チャンバ301
内の真空度が所望の値に達しないことになる。
【0066】これを解決するためには、図8に示すよう
に、片側の差動排気部をベローズ350を介してチャン
バ301に固定し、チャンバ301の真空引き後に外部
からギャップ調整ができるようにすればよい。このよう
にすることで、差動排気部306でのギャップ変動が極
めて少ない差動排気ができる。一方、中空円筒302に
加わる差圧も、円筒内側から大気圧が均等に円筒を押し
広げるように加わるため円筒自体の変形にも歪がなく、
差動排気のギャップが場所によって異なるなどのことも
少ない。
【0067】この結果、中空円筒302が移動してもチ
ャンバ301内の圧力変動が極めて少ない装置を実現す
ることができる。なお、中空円筒302を動かす外部ス
テージ303は大気中に設置されているため、中空円筒
302移動に伴うギャップ変動を最小にするように位置
調整することは何らの支障もない。
【0068】図9は、X軸ステージと直交するY軸ステ
ージの構成を示した断面図である。中空円筒302の中
央部には円筒302と直交する2本の中実軸(第2の移
動軸)307,308が貫通して中空円筒302外に飛
び出ている。2本の中実軸307,308の端部は連結
板309で接続され、一体として動くようになってい
る。太い中実軸307は静圧軸受310に支持され中空
円筒302と直交する方向に自由に往復運動ができるよ
うになっている。細い中実軸308は駆動輪311とア
イドラー(図示せず)とに挟まれて、駆動輪311が駆
動軸312により回転されると駆動輪311と中実軸3
08との摩擦で中実軸307と308が一体で動くこと
になる。従って、この動きをY軸ステージとすることが
できる。
【0069】太い中実軸307の両端には支柱313を
設けその上部には試料台314が取り付けられて、ウェ
ハなどの被加工物が載置される。中実軸307,308
が中空円筒302を突き抜ける境界部315には、差動
排気部316を設けてある。この差動排気部316によ
り中空円筒302内からこの境界部を通してチャンバ3
01内に流れ込む空気をシールしている。差動排気部3
16の詳細構造は前記図7(a)に示したのと同様であ
る。従って、差動排気部316によって真空チャンバ3
01の真空度を低下させないで中空円筒302を貫通す
る中実軸307,308の移動が可能になる。
【0070】ところで、中空円筒302が貫通した真空
チャンバ301を真空に引いた場合、中空円筒302は
径が広がる方向に変形するがその量は極めて少ない。こ
のため、中空円筒302に直交するように取り付けられ
た差動排気部316の変形も少なく、そこでのギャップ
変動は殆ど無視できる。従って、中実軸307,308
が移動してもチャンバ301内の圧力変動が極めて少な
い装置を実現することができる。さらに、境界部315
のギャップが設定値より多少大きくなっても中空円筒3
02内を0.1気圧程度に真空引きして置くこともでき
るため、真空チャンバ301内の真空度変動は殆ど起こ
らない。
【0071】このように、差動排気を利用して駆動部を
全て大気中に設置し、差圧によるステージに加わる真空
力が偏荷重とならないように構成した本実施形態のステ
ージ装置では、ステージや駆動機構を押し潰そうとする
真空力が殆どゼロとなるため、ステージ駆動機構を簡素
化でき、かつステージの運動特性を向上させることがで
きる。また、真空チャンバ301の変形に伴う差動排気
部の組立精度劣化は片方の差動排気部をチャンバに対し
て自由に位置決めできる構成とすることで、ステージ性
能や差動排気特性の悪化は殆ど考えなくて良い等の特長
を持つ。
【0072】従って、第1及び第2の実施形態で説明し
た (1) 〜(3)と同様の効果が得られるのは勿論のこと、
ステージに加わる真空力による偏荷重をより小さくする
ことができ、被可動物の重量をより小さくしてステージ
の運動特性のより一層の向上や駆動機構のより一層の小
型化が可能になる。
【0073】また、本実施形態のステージ装置では、第
1の実施形態でも説明したように、冷媒を供給するパイ
プを大気中に置くことができるため、多種のパイプから
適したものを選択することができ、従来実現し得なかっ
たウェハの直接的な温度制御が可能となる新たな利点も
有する。
【0074】(第4の実施形態)本実施形態は、第3の
実施形態と同様に、ステージ重量の増大を招くことな
く、ステージの運動特性の向上や駆動機構の小型化をは
かるものである。図10は、本発明の第4の実施形態に
係わるステージ装置の概略構造を説明するためのもの
で、(a)は水平方向の断面図、(b)は側断面図であ
る(但し、ウェハローダーは図示していない)。なお、
図6と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明
は省略する。
【0075】図中301は真空チャンバであり、その内
部はターボ分子ポンプなどによって例えば10-4Pa程
度の真空に排気される(矢印方向に排気する)。中空の
筒体(第1の移動軸)402がチャンバ301を貫通す
るように設けられている。この筒体402は、鉛直方向
よりも水平方向の径が長い断面角型又は楕円形状を有す
るものであり、筒体402の中央部上面には、チャンバ
301と連通するように開口が設けられている。筒体4
02の両端部には、筒体402と直交する中空円筒40
1がそれぞれ接続されている。そして、中空円筒401
には、筒体402を長手方向に移動せしめる外部Xステ
ージ303が取り付けられている。
【0076】外部Xステージ303の静止部304は定
盤305上に固定されており、例えばリニアモーター等
のアクチュエータによって外部Xステージ303が静止
部304に対して相対的に移動するようになっている。
本図の場合、この移動方向をX軸とする。筒体402と
チャンバ301との境界部には差動排気部306が設け
られており、筒体402がチャンバ301に対して相対
的に移動してもこの境界部でリークが起こらないように
なっている。差動排気部306の具体的構成は前記図7
(a)に示した通りであり、必要とされる排気ポンプの
容量,チャンバ内の真空度等を見積もった結果は、前記
図7(b)と同様となる。従って、差動排気部306に
よってチャンバ301の真空度を低下させないで筒体4
02の移動が可能になる。
【0077】ところで、筒体402が貫通した真空チャ
ンバ301を真空に引くと、差圧によってチャンバ30
1が変形し、チャンバ301の対向する2箇所に設けら
れた差動排気部306の真直度が低下する場合がある。
この場合、筒体402と差動排気部306とのギャップ
が設定値(ここでは10μm)から狂うことになる。こ
の結果、差動排気部306で用いている排気ポンプによ
る到達圧力に変化が生じ、真空チャンバ301内の真空
度が所望の値に達しないことになる。
【0078】これを解決するためには、図11に示すよ
うに、片側の差動排気部306をベローズ410を介し
てチャンバ301に固定板411で固定するようにし
て、チャンバ真空引き後に外部からギャップ調整ができ
るようにすればよい。このようにすることで、差動排気
部306でのギャップ変動が極めて少ない差動排気がで
きる。一方、筒体402に加わる差圧も、筒体内側から
大気圧が均等に筒体を押し広げるように加わるため筒体
自体の変形にも歪がなく、差動排気のギャップが場所に
よって異なるなどのことも少ない。
【0079】この結果、筒体402が移動してもチャン
バ301内の圧力変動が極めて少ない装置を実現するこ
とができる。なお、筒体402を動かす外部Xステージ
303は大気中に設置されているため、筒体402の移
動に伴うギャップ変動を最小にするように位置調整する
ことは何らの支障もない。
【0080】中空円筒401には、差動排気部316を
介して中実軸(第2の移動軸)307,308がそれぞ
れX軸と直交方向に移動自由に設けられ、その両端には
外部Yステージ403が設けられている。差動排気部3
16を設けることにより、筒体402内からこの境界部
を通してチャンバ301内に流れ込む空気をシールして
いる。差動排気部316の詳細構造は、前記図7(a)
に示したのと同様である。従って、差動排気部316に
よってチャンバ301の真空度を低下させないで、筒体
402を貫通する中実軸307,308の移動が可能に
なる。
【0081】外部Yステージ403の静止部は外部Xス
テージ303上に固定されており、例えばリニアモータ
ー等のアクチュエータによって外部Yステージ403が
前記静止部に対して相対的に移動する。2本の中実軸3
07,308は中実軸404によって連結され、一体と
して動くようになっている。これによってY方向の動き
を得ることができる。即ち、中実軸307,308,4
04は、外部Xステージ303によりX方向に駆動され
ると共に、外部Yステージ403によりY方向に駆動さ
れるようになっている。
【0082】中実軸404の中央には支柱313を設け
その上部には試料台314が取り付けられて、ウェハな
どの披加工物が載置される。なお、筒体402が貫通し
た真空チャンバ301を真空に引いた場合に起こる機械
的な変形を考えて、図11に示すように、X軸の場合と
同様に片側の差動排気部316をベローズ412を介し
て中空円筒401に固定し、チャンバ真空引き後に外部
からギャップ調整ができるようにしてもよい。
【0083】このようにすることで、差動排気部316
でのギャップ変動が極めて少ない差動排気が可能とな
る。従って、中実軸307,308が移動してもチャン
バ301内の圧力変動が極めて少ない装置を実現するこ
とができる。さらに、ギャップが設定値より多少大きく
なっても筒体402内を0.1気圧程度に真空引きして
置くこともできるため、真空チャンバ301内の真空度
変動は殆ど起こらない。
【0084】次に、このようなステージ装置の動きにつ
いて説明する。外部Xステージ303を動かすと筒体4
02及び中空円筒401が一体でX方向に動く。この場
合、中実軸404,307,308は筒体402及び中
空円筒401と一緒に動くのでウェハ5を載置した試料
台314はX方向に動くことになる。次いで、外部Xス
テージ303上の外部Yステージ403を動かすと中実
軸404,307,308と一緒に試料台314がY方
向に動く。従って、試料台314を真空チャンバ301
に対してX,Y方向に自在に動かすことができる。
【0085】このように、差動排気を利用して駆動部を
全て大気中に設置し、差圧によるステージに加わる真空
力が偏荷重とならないように構成した本実施形態のステ
ージ装置では、ステージや駆動機構を押し潰そうとする
真空力が殆どゼロとなる。従って、第3の実施形態と同
様の効果が得られる。
【0086】なお、本発明は上述した各実施形態に限定
されるものではない。第1の実施形態では移動部材の形
状は箱型を想定して説明を進めたが、力に対しての変形
量が少ない球型を採用してもよい。さらに、静止部材を
箱形、移動部材を板状というように、2つの部材の形状
を実施形態と逆にしてもよい。この場合、差動排気部は
移動部材側ではなく静止部材側に設けることになる。
【0087】第3の実施形態においては、Y軸ステージ
の移動機構は、Y軸ステージに固定された駆動軸を中空
円筒外の外部ステージ上にまで導き、そこにY軸方向に
動くステージを設けて行ってもよい。また、この場合の
駆動機構は中空円筒両端に設けても何ら問題がない。さ
らに、第4の実施形態においては、真空チャンバを貫通
する第1の移動体として断面が角型若しくは楕円形状の
筒体を用いたが、丸型(円筒)を用いることも可能であ
る。
【0088】また、本発明のステージ装置は電子ビーム
装置に限るものではなく、真空内で試料を移動させる必
要のある各種の機器に適用することが可能である。その
他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実
施することができる。
【0089】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、静
止部材と移動部材の対向面の一方に差動排気部を設ける
ことにより、又は真空チャンバを貫通して設けられた移
動軸が真空チャンバを貫通する領域に差動排気部を設け
ることにより、又は真空チャンバを貫通して中空構造の
第1の移動軸を設けると共に、第1の移動軸を貫通して
第2の移動軸を設け、第1の移動軸が真空チャンバを貫
通する領域、第2の移動軸が第1の移動軸を貫通する領
域にそれぞれ差動排気部を設けることにより、摺動を伴
うステージ駆動機構を全て大気中に設置することができ
る。従って、真空中での摩擦摩耗による発塵を無くすこ
とができ、しかも駆動機構が大気中に置かれているため
メンテナンス作業が容易となる。つまり、駆動機構を真
空中に設置することなくステージの駆動を行うことがで
き、真空チャンバや全体構成の小型化をはかることがで
きる。
【0090】また、静止部材と移動部材で囲まれた空間
を気密チャンバとする構成では、移動部材が試料を支持
するための試料台(ステージ)を兼ねることになるた
め、装置構成をより小型化することができる。また、真
空チャンバに移動軸を貫通させる構成では、当然のこと
ながら真空チャンバとステージが別体となり、ステージ
に加わる真空力を小さくすることができるため、被可動
物の重量を小さくしてステージの運動特性のより一層の
向上や駆動機構の更なる小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係わるステージ装置の概略構
造を示す平面図と側断面図。
【図2】静圧空気軸受領域と差動排気領域の具体的構成
例を示す図。
【図3】差動排気部の構成と、ステージ内部を真空排気
するために必要な真空ポンプの大きさを検討した結果を
示す図。
【図4】第2の実施形態に係わるステージ装置の概略構
造を示す側断面図。
【図5】差圧調整室を0.5気圧程度に真空排気した場
合の箱型構造に加わる圧力の分布を模式的に示す図。
【図6】第3の実施形態に係わるステージ装置の概略構
造を示す水平方向断面図と側断面図。
【図7】差動排気部の構成と、ステージ内部を真空排気
するために必要な真空ポンプの大きさを検討した結果を
示す図。
【図8】第3の実施形態の変形例を示す水平方向断面図
と側断面図。
【図9】X軸ステージと直交するY軸ステージの具体的
構成例を示す断面図。
【図10】第4の実施形態に係わるステージ装置の概略
構造を示す水平方向断面図と側断面図。
【図11】第4の実施形態の変形例を示す水平方向断面
図。
【図12】従来のステージ構造を示す斜視図。
【符号の説明】
1…ステージ 2…ベースプレート 3…電子ビーム光学鏡筒 4,4’…駆動機構 5…ウェハ(試料) 6…ゲートバルブ 7…開閉機構 101…縁領域 102…静圧空気軸受領域 103…差動排気領域 104…空間 105,107,108,109…溝 106…隙間 110,210…空間(真空チャンバ) 120…X連結棒 121…Xスライド式連結部 122…Y連結棒 123…Yスライド式連結部 201…中空ステージ 202,202’…ベースプレート 203,203’…差圧調整室 301…真空チャンバ 302,401…中空円筒 303…外部Xステージ 304…静止部材 305…定盤 306,316…差動排気部 307,308,404…中実軸 309…連結板 310…静圧軸受 311,312…駆動軸 313…支柱 314…試料台 315…境界部 402…筒体 403…外部Yステージ 410,412…ベローズ 411…固定板
フロントページの続き Fターム(参考) 2F078 CA02 CA08 CB05 CB09 CB12 CB16 CC07 CC14 5F031 CA02 KA06 LA02 MA27 NA05 NA09 PA18 5F046 CC01 CC19 CC20 5F056 EA14

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】静止部材と、 この静止部材に対して相対的に移動可能に設けられた移
    動部材と、 前記静止部材に設置され、該静止部材に対して前記移動
    部材を相対的に移動させる駆動機構と、 前記静止部材と移動部材が対向する領域で、かつ前記静
    止部材と移動部材の対向面の一方に設けられた差動排気
    部とを具備してなり、 前記静止部材と移動部材で囲まれた空間が気密チャンバ
    となり、前記移動部材が試料を支持するための試料台を
    兼ねることを特徴とするステージ装置。
  2. 【請求項2】前記静止部材は表面が平坦に形成されたも
    のであり、前記移動部材は箱状体を伏せた状態で前記静
    止部材の表面に配置されることを特徴とする請求項1記
    載のステージ装置。
  3. 【請求項3】複数の静止部材と、 これらの静止部材間に挟まれて設置され、前記複数の静
    止部材に対して相対的に移動可能に設けられた移動部材
    と、 前記静止部材に固定され、該静止部材に対して前記移動
    部材を相対的に移動させる駆動機構と、 前記静止部材と前記移動部材が対向する領域で、かつ前
    記静止部材と移動部材の対向面の一方に設けられた差動
    排気部とを具備してなり、 前記静止部材と移動部材で囲まれた空間が気密チャンバ
    となり、前記移動部材が試料を支持するための試料台を
    兼ねることを特徴とするステージ装置。
  4. 【請求項4】前記静止部材は、2枚の板状体からなり相
    互に離間対向配置され、前記移動部材は、筒状体からな
    り各々の開口面が前記各板状体と対向するように配置さ
    れることを特徴とする請求項3記載のステージ装置。
  5. 【請求項5】真空チャンバと、 この真空チャンバを貫通して設けられた移動軸と、 前記真空チャンバ内で前記移動軸に取り付けられた試料
    載置用のテーブルと、 前記移動軸の両端で前記真空チャンバの外部に設けら
    れ、前記移動軸を前記真空チャンバに対して相対的に移
    動させるための駆動機構と、 前記移動軸が前記真空チャンバを貫通する領域に設けら
    れた差動排気部とを具備してなることを特徴とするステ
    ージ装置。
  6. 【請求項6】前記移動軸が前記真空チャンバを貫通する
    領域に設けられた差動排気部の少なくとも一方は、前記
    真空チャンバに対して移動可能に取り付けられることを
    特徴とする請求項5記載のステージ装置。
  7. 【請求項7】真空チャンバと、この真空チャンバを貫通
    して設けられた中空構造の第1の移動軸と、 第1の移動軸の両端で前記真空チャンバの外部に設けら
    れ、第1の移動軸を前記真空チャンバに対して相対的に
    移動させるための第1の駆動機構と、 第1の移動軸が前記真空チャンバを貫通する領域に設け
    られた第1の差動排気部と、 前記真空チャンバ内で第1の移動軸と直交する方向に第
    1の移動軸を貫通して設けられた第2の移動軸と、 第1の移動軸内で第2の移動軸を支持案内するための軸
    受と、 第1の移動軸内に設けられ、第2の移動軸を第1の移動
    軸に対して相対的に移動させるための第2の駆動機構
    と、 第2の移動軸が第1の移動軸を貫通する領域に設けられ
    た第2の差動排気部と、 前記真空チャンバ内で第1の移動軸の外側に位置する第
    2の移動軸に取り付けられた試料載置用のテーブルとを
    具備してなることを特徴とするステージ装置。
  8. 【請求項8】真空チャンバと、 この真空チャンバを貫通して設けられ、該チャンバ内に
    開口を有する中空構造の第1の移動軸と、 第1の移動軸の両端で前記真空チャンバ外部に設けら
    れ、第1の移動軸を前記真空チャンバに対して相対的に
    移動させるための第1の駆動機構と、 第1の移動軸が前記真空チャンバを貫通する領域に設け
    られた第1の差動排気部と、 第1の移動軸を貫通して第1の移動軸と相対的に移動可
    能に設けられた第2の移動軸と、 第1の駆動機構に設置されて、第2の移動軸を第1の移
    動軸に対して相対的に移動させるための第2の駆動機構
    と、 第2の移動軸が第1の移動軸を貫通する領域に設けられ
    た第2の差動排気部と、 前記真空チャンバ内で第2の移動軸に取り付けられた試
    料載置用のテーブルとを具備してなることを特徴とする
    ステージ装置。
  9. 【請求項9】第2の移動軸は、第1の移動軸の両端部で
    第1の移動軸を貫通して設けられた2つの軸体と、第1
    の移動軸内に挿入されて2つの軸体間を連結する連結部
    材とからなり、前記テーブルはこの連結部材に取り付け
    られていることを特徴とする請求項8記載のステージ装
    置。
  10. 【請求項10】第1及び第2の移動軸が前記真空チャン
    バを貫通する領域に設けられた差動排気部の各々の少な
    くとも一方は、前記真空チャンバに対して移動可能に取
    り付けられることを特徴とする請求項7又は8記載のス
    テージ装置。
  11. 【請求項11】前記差動排気部は、大気側と気密又は真
    空チャンバ側との間に複数の排気領域を設けたものであ
    り、各々の排気領域は大気側からチャンバ側の順により
    高真空の排気が可能となっていることを特徴とする請求
    項1,3,5,7,又は8記載のステージ装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003075327A1 (en) * 2002-03-01 2003-09-12 Nikon Corporation Exposure equipment and device manufacturing method
JP2005175016A (ja) * 2003-12-08 2005-06-30 Canon Inc 基板保持装置およびそれを用いた露光装置ならびにデバイス製造方法
JP2010149245A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Canon Inc 位置決め装置

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