JP2001271928A - ピストンリング - Google Patents

ピストンリング

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JP2001271928A JP2000082320A JP2000082320A JP2001271928A JP 2001271928 A JP2001271928 A JP 2001271928A JP 2000082320 A JP2000082320 A JP 2000082320A JP 2000082320 A JP2000082320 A JP 2000082320A JP 2001271928 A JP2001271928 A JP 2001271928A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合口部付近における面圧を低減し、実働時の
合口部周辺における当たり抜けを防止するとともに、合
口部付近における摩耗の少ないピストンリングの提供。 【解決手段】 ピストンリング10は、略円形状をな
し、外周摺働面3と、ピストンに対向する内周面4と、
略円形状を半径方向に分断する1つの合口部2とを備え
ている。内周面4側において、合口部2の端面を始端と
する所定の周長部分に亘り、内周面4の一部をなす切欠
部4aが形成されており、所定周長部分における半径方
向の厚さが、所定周長部分以外の部分の半径方向の厚さ
に比較して小さくなっている。切欠部4aは合口部2端
面に向かって徐々に外周摺働面3に近づく円弧面状をな
し、合口部2端面における半径方向厚さが、所定周長部
分以外の部分における半径方向の厚さの0.6乃至0.
8倍であり、所定周長部分は外周摺働面3の中心軸で規
定される中心角30°乃至50°の範囲に亘り形成され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はピストンリングに関し、
特にローポイントピストンリングに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のピストンリングの面圧分布として
は、図8に示す等面圧分布、図9に示す楕円面圧分布、
図10に示す桃型分布(合口高面圧分布)、図11に示
すりんご型分布などが知られている。
【0003】図8に示される等面圧分布は、全周に亘り
均一に面圧が分布している。中高回転型4サイクルエン
ジンでは使用時のリング摩耗によって、合口部の面圧の
低下が生じるため、低回転型エンジンやコンプレッサ等
のリングに用いられる。
【0004】図9に示される楕円面圧分布は、合口付近
とその反対側位置(180°位置)の面圧のみが高くな
るよう面圧が分布している。この分布は、合口部から9
0°位置と270°位置の2箇所で面圧が高くなるよう
分布させても良い。
【0005】図10に示される桃型分布(合口高圧分
布)は、合口部における面圧が他の部分の面圧と比較し
て高くなる面圧分布である。自動車を始めとする各種高
回転型のエンジンのリングに用いられている。
【0006】図11に示されるりんご型分布は、合口部
における面圧が他の部分の面圧と比較して低くなる面圧
分布である。特に、合口部における面圧の変化率は0で
あり、合口部付近において面圧はなだらかに変化する。
そして、合口部付近の両端側では、他の部分と比較して
面圧が高くなっている。りんご型分布のピストンリング
は、2サイクルエンジンや、合口部よりスカッフィング
の発生しやすい大型の舶用リングに用いられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した等面圧分布等
のピストンリングでは、シリンダとピストンリングの温
度差による熱膨張量の差や、ピストンリングの内周側と
外周側の温度差による熱応力等により、ピストンリング
のリングカーブの曲率が小さくなり、合口部付近が高面
圧となる。
【0008】特に、高Pmaxディーゼルエンジンのト
ップリングとして用いた場合では、極めて過酷な運転条
件にあるため、合口部のブローバイガスの吹き抜けによ
って合口部付近が極端に加熱される。このため、ピスト
ンリングの内周側と外周側の温度差による熱応力が極端
に大きくなると共に、合口部付近の周方向への熱膨張が
大きくなるため、合口部付近での曲率が極端に小さくな
り、筒内圧力作用時以外の行程では、図12に示すよう
に、ピストンリング40の合口部42の周辺位置である
α部とβ部の中間位置においてシリンダボア45に対す
る当たり抜けが発生する。一方で、このような状態で筒
内圧力が作用した場合は、ピストンリング背部に作用す
る筒内圧力によってピストンリングがシリンダボア45
に押しつけられ、ピストンリングの摺動面がシリンダボ
ア45に追従する。これにより、図12に示すα部とβ
部付近の面圧が高くなる。ここで、α部は特に、点接触
状態でシリンダボアに押しつけられるため、非常に高い
接触圧力となる。
【0009】また、こうして、合口部におけるピストン
リング外周部の面圧が高くなり、摩耗が増大することに
より、ピストンリングの耐摩擦性を向上させる目的でピ
ストンリング外周面に被覆したPVD被膜のクラック・
剥離の原因となり、合口端部に向かって極端に摩耗が増
加していく摩耗形状となる。ここで、特に外周面にクロ
ムめっきを施したピストンリングの場合は、摩耗量が極
端に多くなり、シリンダ呼び径の治具に耐久運転後のピ
ストンリングを挿入した場合、合口部が当たり抜けして
漏光してしまう程になる。
【0010】従って、高Pmaxディーゼルエンジンに
対しては、耐摩耗性の高いCr−N系のPVDコーティ
ングを施したピストンリングを使用することになる。し
かし、PVDコーティングを施したトップリングについ
ては、合口部近傍のPVD被膜のクラック・剥離等の問
題が数多く発生しているという問題がある。
【0011】そこで本発明は、合口部付近における面圧
を低減し、実働時の合口部周辺における当たり抜けを防
止するとともに、合口部付近における摩耗の少ない高P
maxディーゼルエンジン用ピストンリングを提供する
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、略円形状をなし、シリンダに対し摺動す
る外周摺動面3と、ピストンに対向する内周面4と、該
略円形状を半径方向に分断する1つの合口部2とを備
え、該内周面側4において、該合口部2の端面を始端と
する所定の周長部分に亘り、該内周面4の一部をなす切
欠部4aが形成されており、該所定周長部分における半
径方向の厚さが、該所定周長部分以外の部分の半径方向
の厚さa1に比較して小さくなっているピストンリング
であって、該切欠部4aは該合口部2端面に向かって徐
々に該外周摺動面3に近づく円弧面状をなし、該合口部
2端面における半径方向厚さが、該所定周長部分以外の
部分における半径方向の厚さa1の0.6乃至0.8倍
であり、該所定周長部分は該外周摺動面4の中心軸O1
で規定される中心角30°乃至50°の範囲に亘り形成
されているピストンリングを提供している。
【0013】また、略円形状をなし、シリンダに対し摺
動する外周摺動面13と、ピストンに対向する内周面1
4と、該略円形状を半径方向に分断する1つの合口部1
2とを備え、該内周面14側において、該合口部12の
端面を始端とする所定の周長部分に亘り、該内周面14
の一部をなす切欠部14a、14b、……が形成されて
おり、該切欠部形成部分における半径方向の厚さが、該
所定周長部分以外の部分の半径方向の厚さa1に比較し
て小さくなっているピストンリングであって、該切欠部
14a、14b、……は該内周面14側に略等間隔に複
数箇所形成されて、該所定周長部分の内周面14が交互
に連続する凹凸状をなし、該所定周長部分は該外周摺動
面の中心軸で規定される中心角20°乃至40°の範囲
に亘り形成されているピストンリングを提供している。
【0014】更に、略円形状をなし、シリンダに対し摺
動する外周摺動面23と、ピストンに対向する内周面2
4と、該略円形状を半径方向に分断する1つの合口部2
2とを備え、該内周面24側において、該合口部22の
端面から所定距離離れた位置を中心点として、所定の周
長部分に亘り対称に該内周面24の一部をなす切欠部2
4aが形成されており、該所定周長部分における半径方
向の厚さが、該所定周長部分以外の部分の半径方向の厚
さa1に比較して小さくなっているピストンリングであ
って、該切欠部24aの所定周長部分は外周摺動面に略
平行な直線状又は曲面状をなし、該中心点は、合口端面
を始点として中心角20°乃至40°の範囲に位置して
いるピストンリングを提供している。
【0015】加えて、略円形状をなし、シリンダに対し
摺動する外周摺動面33と、ピストンに対向する内周面
34と、該略円形状を半径方向に分断する1つの合口部
32とを備え、該合口部32の端面を始端とする所定の
周長部分に亘り、切欠部35が形成されているピストン
リングであって、該切欠部35は該外周摺動面33及び
内周面34と同心円の円弧状をなすように、該外周摺動
面33と内周面34との間であって、該外周摺動面33
から半径方向の厚さの0.6乃至0.8倍の距離に位置
して形成され、該所定周長部分は該外周摺動面33の中
心軸で規定される中心角略30°の範囲に亘り形成され
ているピストンリングを提供している。
【0016】これらのピストンリングは、スチール母材
に窒化処理を施してその後該外周摺動面3、13、2
3、33にPVD膜を形成するのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態による
ピストンリングについて図1に基づき説明する。図1に
示すピストンリング1は、略円形状をなし、図示せぬシ
リンダに対し摺動する外周面(外周摺動面)3と、図示
せぬピストンに対向する内周面4と、略円形状を半径方
向に分断する1つの合口部2とを有し、呼び径の半分は
1である。
【0018】外周面3と内周面4との距離(ピストンリ
ング半径方向の厚さ寸法)がa1であるが、内周面4側
において、合口部2の端面を始端とする所定の周長部分
に亘り(図1のA乃至Bに亘り)、内周面4の一部をな
す切欠部4aが形成されており、該所定周長部分におけ
る半径方向の厚さが、所定周長部分以外の部分の半径方
向の厚さに比較して小さく形成されている。
【0019】具体的には、切欠部4aは合口部2の端面
に向かって徐々に外周面3に近づく円弧面A−Bをなし
ている。Bにおけるリング半径方向の厚さはa1である
が、合口部2の端面上に存在するAに向かってリング半
径方向の厚さが徐々に減少し、Aでは0.6乃至0.8
1となる。0.6a1未満では半径方向曲げ剛性低減幅
が大きすぎ、また、削除体積が大きいので合口近傍の曲
率変化が大きく漏光が過大となってしまうが、実機運転
による温度上昇時でも合口端部付近の面圧が十分でなく
なる。0.8a1を越えると、半径方向曲げ剛性低減幅
が十分でなく、また削減体積が小さいので、漏光エリア
が過小で、実機運転による温度上昇時では合口端部の面
圧が高くなり本リングの効果を発揮できない。そのた
め、0.6乃至0.8a1とする必要がある。
【0020】円弧面A−Bは、本実施の形態では、ピス
トンリング1の外周面の中心軸O1に平行で、この中心
軸O1から合口部2方向へb=3mm乃至5mm離れた
軸O2を中心とし、半径R2=R1−0.6a1−bの円周
面の一部をなす。また、円弧面A−Bは、合口面を始点
とし、外周面3の中心軸O1で規定される中心角30°
乃至40°(本実施の形態では30°)の範囲に亘り形
成されている。ここで、中心角が30°未満では半径方
向曲げ剛性低減幅が十分でなく、機関運転時に面圧上昇
が発生する。一方、中心角が40°を越えると、合口端
部の面圧が機関運転時であっても十分に上昇しないので
潤滑油消費量に対し問題となる。
【0021】このピストンリング1によると、合口部付
近の曲げ剛性を減少させることができ、合口端部の面圧
が均一断面形状のピストンリングよりも小さくなること
から、機関運転時には局所的摩耗、PVD皮膜のクラッ
ク、剥離等に対して優位となる。尚、図面には示さない
が、図に示された合口面に対向するもう一方の合口面か
らも、同様の切欠部4aが形成される。
【0022】本発明の第2の実施の形態によるピストン
リングについて図2に基づき説明する。図2に示すピス
トンリング10は、略円形状をなし、図示せぬシリンダ
に対し摺動する外周面(外周摺動面)13と、図示せぬ
ピストンに対向する内周面14と、略円形状を半径方向
に分断する1つの合口部12とを有する。
【0023】内周面14側において、合口部12の端面
を始端とする中心角20°乃至40°の周長部分に亘
り、内周面14の一部をなす切欠部14a、14b……
が形成されており、切欠部形成部分における半径方向の
厚さが、合口面を始点とする中心角20°乃至40°の
周長部分以外の部分の半径方向の厚さa1に比較して小
さくなっている。この実施の形態の場合、中心角が20
°未満では合口近傍の曲率変化が小さく曲げ剛性低減幅
が小さいので、実機運転による温度上昇時は合口端部の
面圧が高くなってしまう。40°を超えると、合口近傍
の曲率変化が大きく、曲げ剛性低減の幅も大きくなりす
ぎるので、温度上昇時に十分な面圧が発生しにくくな
る。
【0024】切欠部14a、14b、……は内周面14
側に略等間隔に複数箇所形成されて、所定周長部分の内
周面が交互に連続する凹凸状をなしている。尚、図面に
は示さないが、図に示された合口面に対向するもう一方
の合口面からも、同様の切欠部が形成される。
【0025】本発明の第3の実施の形態によるピストン
リングについて図3に基づき説明する。図3に示すピス
トンリング20は、略円形状をなし、図示せぬシリンダ
に対し摺動する外周面(外周摺動面)23と、図示せぬ
ピストンに対向する内周面24と、略円形状を半径方向
に分断する1つの合口部22とを有する。
【0026】内周面24側において、合口部22の端面
から中心角20°乃至40°離れた位置を中心点とし
て、中心角20°の周長部分に亘り対称に内周面24の
一部をなす切欠部24aが形成されており、当該切欠部
24a形成部分における半径方向の厚さが、当該切欠部
24a形成部分以外の部分の半径方向の厚さa1に比較
して小さくなっている。切欠部24aの所定周長部分は
外周摺動面に略平行な直線状又は曲面状をなしている。
尚、図面には示さないが、図に示された合口面に対向す
るもう一方の合口面から中心角20°乃至40°の範囲
にも、同様の切欠部が形成される。この中心角20°乃
至40°の範囲に限定する理由は図2に示した実施の形
態と同様の理由に基づくものである。
【0027】本発明の第4の実施の形態によるピストン
リングについて図4に基づき説明する。図4(a)に示
すピストンリング30は、略円形状をなし、図示せぬシ
リンダに対し摺動する外周面(外周摺動面)33と、図
示せぬピストンに対向する内周面34と、略円形状を半
径方向に分断する1つの合口部32とを有する。合口部
32の端面を始端とする中心角30°の周長部分に亘
り、外周摺動面33及び内周面34と同心円の円弧状を
なすようにスリット状の切欠部35が形成されている。
スリット状の切欠部35は、外周摺動面33と内周面3
4との間であって、外周摺動面33から半径方向の厚さ
1の0.6乃至0.8倍の距離に位置して形成されて
いる。即ち、ピストンリング30の呼び径の半分をR1
とすると、スリット状の切欠部35は半径R2=R1
(0.6乃至0.8)a1の円弧を描いて形成される。
【0028】図4(b)は、本実施の形態のピストンリ
ングを半径方向に切断する断面図である。尚、図面には
示さないが、図に示された合口面に対向するもう一方の
合口面から中心角20°乃至40°の範囲にも、同様の
スリット状の切欠部が形成される。
【0029】図5に示す面圧分布測定装置によって本発
明の第1の実施の形態によるピストンリングの面圧分布
と従来例のピストンリングの面圧分布とを測定し、比較
した。尚、測定に際しては、各リングの軸方向厚さや外
周面形状、半径方向厚さa1が同一のものを用いた。
【0030】図5は、測定装置の左半分を示しており、
シリンダ102、103は、シリンダホルダ101に支
持され、シリンダ103の外周面の一部に凹部103a
が形成されて最薄部となる。テストピースであるピスト
ンリングを、ピストン105のリング溝105aに装着
し、ピストンリングの外周面をシリンダ103の内周面
に当接させる。すると、シリンダ103の最薄部にはピ
ストンリングからの面圧が作用し、歪みが生じることと
なる。よって、凹部103aの底部に歪みゲージ104
を貼りつけ、歪みゲージ104をストレインアンプ10
7に接続し、ペンレコーダ108に歪みの値を記録する
ことによって、歪み値を面圧として測定した。また、ピ
ストンリング溝105a付近と、ピストンリングに対向
する位置にあるシリンダ103の内周面付近に、J型熱
電対109を備え、高速打点計110に接続すること
で、温度を計測した。更に、ピストンリングを保持する
ピストン105の上側に、ヒーター106を取付けて、
ピストンリングを加熱する一方で、シリンダ103の外
周側には冷却水を接触させてシリンダ103の冷却を行
い、ピストン105からシリンダ103まで実機運転時
に近い温度勾配を分布させた。
【0031】図6、7は、縦軸が面圧、横軸が合口部か
らの周方向角度を示す。また、黒丸は常温時(リング・
ライナともに20℃)、白丸は実働時(ピストン250
℃、ライナ120℃)の実験結果を示す。従来例の等面
圧のピストンリングでは、図6に白丸で示すように熱負
荷の作用が働くと、合口端部付近の面圧が極端に上昇し
た。そして、合口端部付近においてピストンリングがシ
リンダに強く押しつけられるのに伴い、5°乃至20°
の範囲において、当たり抜けが生じた。
【0032】これに対して本発明の第1の実施の形態に
よるピストンリング1では、図7から明らかなように、
黒丸で示す常温時の外周面3のシリンダ103に対する
面圧の分布は、合口部2からその近傍に亘ってゼロであ
り、合口部2端面を始点として該中心角15°の範囲に
亘り当たり抜けが生じている。また、中心角が大きくな
る方向へ向かって、ゼロから急激に上昇した後に最大値
を取り、その後なだらかに減少した後に略一定値とな
り、面圧が略一定値となり始める位置は、合口部12端
面を始点として中心角が略80°の位置である。また、
合口部12端面を始点として該中心角15°の位置にお
ける面圧の変化率が不連続となっている。
【0033】しかし、実働時とほぼ同様の熱負荷を与え
た時には、白丸に示されるように、合口端部近傍におけ
る面圧が上昇し、合口端部近傍における当たり抜けは見
られなくなった。また従来のピストンリングと比して、
合口端部の急激な面圧上昇が見られない。従って、これ
に伴い、合口端部2の周辺における当たり抜けが生じな
くなっている。なお、この実験結果より、実働時の合口
部におけるブローバイガスの吹き抜けによる加熱を考慮
しても、合口部における面圧の極端な上昇は見られない
ことがわかる。
【0034】本実施の形態では単にピストンリング合口
部の内周側に切欠部を形成することのみを説明したが、
このような加工を、スチールに窒化処理を施してその後
摺動面にPVD被膜を形成したピストンリングに対して
行うことにより、更に顕著な効果を得ることができる。
PVD被膜と窒化膜の持つ圧縮応力を利用して合口付近
のリング曲率をより大きくすることができるからであ
る。
【0035】尚、本実験においては常温時における合口
部近辺以外の部分の面圧が約1.5kgf/cm2程度
のピストンリングを試作し、実験を行ったが、この数値
はその用途に応じて様々に設定しうることは言うまでも
ない。
【0036】本発明によるピストンリングは上述した実
施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲
で種々の変形や改良が可能である。例えば、本実施の形
態では常温時に合口端部にて当たり抜けが生じるよう構
成したが、合口端部の面圧が他の部分に比して極端に小
さくなっていれば、当たり抜けが生じないよう構成して
も良い。
【0037】
【発明の効果】本発明のピストンリングによれば、合口
端部の高面圧を抑制するために、合口部近傍のピストン
リング半径方向の厚さ寸法a1を小さくし、曲げ剛性を
減少させている。これにより、合口端部の面圧を均一断
面形状のピストンリングよりも低減することができる。
従って、実動時において合口部における極端な面圧の上
昇を抑えることができ、合口部の極端な摩耗を防止する
と同時に、特にピストンリング外周面にPVD被膜を施
した場合には、膜のクラック、剥離等の障害を阻止する
ことができる。更に、請求項1記載のピストンリングに
よると、ピストンリングの半径方向厚さが緩やかに減少
しているので、曲げ剛性の変化も緩やかな減少となり、
応力集中を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるピストンリン
グの合口部近傍の形状を示す平面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態によるピストンリン
グの合口部近傍の形状を示す平面図。
【図3】本発明の第3の実施の形態によるピストンリン
グの合口部近傍の形状を示す平面図。
【図4】本発明の第4の実施の形態によるピストンリン
グの合口部近傍の形状を示す図であり、(a)は平面
図、(b)はIV−IV線断面図。
【図5】本発明の実施の形態によるピストンリングの面
圧分布と従来例のピストンリングの面圧分布との測定に
用いた面圧分布測定装置を示す断面図。
【図6】従来のピストンリングの面圧分布を示す折線
図。
【図7】本発明の第1の実施の形態によるピストンリン
グの面圧分布を示す折線図。
【図8】等面圧分布の面圧分布を示す図。
【図9】楕円面圧分布の面圧分布を示す図。
【図10】桃型分布(合口高圧分布)の面圧分布を示す
図。
【図11】りんご型分布の面圧分布を示す図。
【図12】従来のピストンリングの機関動作中の合口部
付近の形状を示す図。
【符号の説明】
1、10、20、30 ピストンリング 2、12、22、32 合口部 3、13、23、33 外周面 4、14、24、34 内周面 4a、14a、14b、24a、 切欠部 35 スリット状の切欠部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略円形状をなし、シリンダに対し摺動す
    る外周摺動面と、ピストンに対向する内周面と、該略円
    形状を半径方向に分断する1つの合口部とを備え、 該内周面側において、該合口部の端面を始端とする所定
    の周長部分に亘り、該内周面の一部をなす切欠部が形成
    されており、該所定周長部分における半径方向の厚さ
    が、該所定周長部分以外の部分の半径方向の厚さに比較
    して小さくなっているピストンリングであって、 該切欠部は該合口部端面に向かって徐々に該外周摺動面
    に近づく円弧面状をなし、 該合口部端面における半径方向厚さが、該所定周長部分
    以外の部分における半径方向の厚さの0.6乃至0.8
    倍であり、 該所定周長部分は該外周摺動面の中心軸で規定される中
    心角30°乃至50°の範囲に亘り形成されていること
    を特徴とするピストンリング。
  2. 【請求項2】 略円形状をなし、シリンダに対し摺動す
    る外周摺動面と、ピストンに対向する内周面と、該略円
    形状を半径方向に分断する1つの合口部とを備え、 該内周面側において、該合口部の端面を始端とする所定
    の周長部分に亘り、該内周面の一部をなす切欠部が形成
    されており、該切欠部形成部分における半径方向の厚さ
    が、該所定周長部分以外の部分の半径方向の厚さに比較
    して小さくなっているピストンリングであって、 該切欠部は該内周面側に略等間隔に複数箇所形成され
    て、該所定周長部分の内周面が交互に連続する凹凸状を
    なし、 該所定周長部分は該外周摺動面の中心軸で規定される中
    心角20°乃至40°の範囲に亘り形成されていること
    を特徴とするピストンリング。
  3. 【請求項3】 略円形状をなし、シリンダに対し摺動す
    る外周摺動面と、ピストンに対向する内周面と、該略円
    形状を半径方向に分断する1つの合口部とを備え、 該内周面側において、該合口部の端面から所定距離離れ
    た位置を中心点として、所定の周長部分に亘り対称に該
    内周面の一部をなす切欠部が形成されており、該所定周
    長部分における半径方向の厚さが、該所定周長部分以外
    の部分の半径方向の厚さに比較して小さくなっているピ
    ストンリングであって、 該切欠部の所定周長部分は外周摺動面に略平行な直線状
    又は曲面状をなし、該中心点は、合口端面を始点として
    中心角20°乃至40°の範囲に位置していることを特
    徴とするピストンリング。
  4. 【請求項4】 略円形状をなし、シリンダに対し摺動す
    る外周摺動面と、ピストンに対向する内周面と、該略円
    形状を半径方向に分断する1つの合口部とを備え、 該合口部の端面を始端とする所定の周長部分に亘り、切
    欠部が形成されているピストンリングであって、 該切欠部は該外周摺動面及び内周面と同心円の円弧状を
    なすように、該外周摺動面と内周面との間であって、該
    外周摺動面から半径方向の厚さの0.6乃至0.8倍の
    距離に位置して形成され、 該所定周長部分は該外周摺動面の中心軸で規定される中
    心角略30°の範囲に亘り形成されていることを特徴と
    するピストンリング。
  5. 【請求項5】スチール母材に窒化処理を施してその後該
    外周摺動面にPVD膜を形成したことを特徴とする請求
    項1乃至4記載のピストンリング。
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