JP2001269986A - 樹脂シートの熱成形方法及び樹脂製容器 - Google Patents

樹脂シートの熱成形方法及び樹脂製容器

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JP2001269986A
JP2001269986A JP2000088720A JP2000088720A JP2001269986A JP 2001269986 A JP2001269986 A JP 2001269986A JP 2000088720 A JP2000088720 A JP 2000088720A JP 2000088720 A JP2000088720 A JP 2000088720A JP 2001269986 A JP2001269986 A JP 2001269986A
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polyethylene
resin sheet
sheet
thermoforming
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JP2000088720A
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Yuichiro Yasukawa
雄一郎 安川
Akio Yoshikoshi
昭雄 吉越
Shinobu Kinoshita
忍 木下
Kazuhiro Sakai
和宏 坂井
Kenichiro Ono
健一郎 小野
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Iwasaki Denki KK
Japan Polyolefins Co Ltd
Asano Laboratories Co Ltd
Original Assignee
Iwasaki Denki KK
Japan Polyolefins Co Ltd
Asano Laboratories Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温衝撃性に優れた材料を使い、容易に成形
でき、さらに乳等省令にも適合する樹脂シートの熱成形
方法並びに、当該方法によって成形された樹脂製容器を
提供する。 【解決手段】 この成形工程に供給するポリエチレン
は、たとえば密度が0.940g/cm3程度から0.
970g/cm3程度までの高密度ポリエチレンとす
る。電子線照射装置10によって、ポリエチレンシート
Pの片面もしくは両面に電子線を照射すると、架橋反応
が起こる。その結果、通常は延伸が難しいとされている
ポリエチレンシートが、多方向に延伸可能な状態に変化
する。次に、プレヒート装置11によって、電子線照射
後のポリエチレンシートを加熱し、その温度を軟化点近
傍まで昇温させる。これによってポリエチレンシートは
変形し易くなり、成形性が向上する。その後、成形装置
12によって真空成形を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線の照射によ
り、架橋反応を生じる樹脂からなる樹脂シートの熱成形
方法、並びに当該樹脂シートを成形して得られる樹脂容
器に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ジュース、ミネラルウォーター
等の広口の飲料容器には、ポリプロピレン(PP)やポ
リスチレンなどの樹脂が用いられている。かかる飲料製
品は、これらの樹脂を軟化点近傍まで加熱して成形する
ことにより、製造されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、汎用樹
脂であるポリプロピレンは、樹脂単価が安い反面、低温
衝撃性に劣り、したがってポリプロピレン製容器は、低
温で簡単に破れるという問題がある。また、厚生省の
「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(以下「乳
等省令」と略す)に適合していないため、乳製品用の容
器には使用できないという問題があった。また、ポリス
チレンは、スチレンダイマー及びスチレントリマーが発
ガン物質である可能性が指摘されており、さらに環境ホ
ルモンの一つであるとも言われている。このため、ポリ
スチレンを原材料として飲食物用の容器を製造するの
は、健康上からも、自然環境に対する影響という点から
も問題がある。
【0004】これに対して、ポリエチレン(PE)樹脂
は、乳等省令に適合しており、したがって健康に与える
影響はこれらの材料に比べて非常に少なく、安全性が高
いといわれている。また、低温衝撃性についても、ポリ
エチレンは、ポリプロピレンに比べて優れている。
【0005】しかしながら、ポリエチレンの場合は、延
伸性が低く、このため、熱成形を行おうとすると、成形
時の延伸に耐えられないとうい問題がある。このため、
ポリエチレンは熱成形で形成する容器などの材料には適
さないとされていた。
【0006】本発明は、このような技術的背景のもとに
なされたものである。すなわち、その目的は、低温衝撃
性に優れた材料を使い、容易に成形でき、さらに乳等省
令にも適合する樹脂シートの熱成形方法並びに、当該方
法によって成形された樹脂製容器を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明である樹脂シートの熱成形方法は、放射線
の照射により架橋反応を生じる樹脂からなる樹脂シート
の表面に放射線を照射して架橋させる放射線照射工程
と、前記放射線照射工程の後に、前記樹脂シートを所定
形状に成形する熱成形工程と、を具備することを特徴と
する。
【0008】また、本発明である樹脂製容器は、樹脂シ
ートに放射線を照射し、その後、熱成形工程において前
記樹脂シートから所定の形状に成形されたことを特徴と
する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、本発明の
一実施形態について説明する。図1は、本実施形態にお
ける樹脂シートによる広口飲料容器の熱成形工程を示し
た図である。同図に示すように、この熱成形工程は、押
出し装置9により原材料をシート状に形成する押出し工
程、電子線(EB)照射装置10による電子線照射工
程、プレヒート装置11による加熱工程、そして、成形
装置12による熱成形工程から構成される。
【0010】押出し工程では、Tダイ法により、原材料
をシート状に成形する。なお、本発明は、Tダイ法に限
定されるものではなく、カレンダー法やインフレーショ
ン法でもよい。押出し装置9に供給される原材料は、ポ
リエチレンである。ここで用いるポリエチレンは、エチ
レン単独重合体であってもエチレンと1−アルケンの共
重合体であっても構わない。また、ポリエチレンとして
は、密度が0.940g/cm3程度から0.970g
/cm3程度までの高密度ポリエチレンを用いるのが好
ましい。ポリエチレンとして高密度ポリエチレンを用い
るのは、密度がこれよりも低すぎると、成形後の容器の
剛性が不十分で容器として使えないからである。また、
密度が0.970g/cm3より大きいものは、現時点
では、製造が困難である。なお、密度の測定はJIS
K7112にのっとって行った。
【0011】また、ポリエチレンのMFR(メルトフロ
ーレイト;JIS K7210(190℃、21.18
N荷重))は、0.01g/10分から10g/10分
の間が適当である。0.01g/10分より小さいと延
伸性が悪くなり、また10g/10分より大きいと、加
熱成形時のドローダウンが大きくなり過ぎるからであ
る。
【0012】本押出し工程では、原材料として上記の物
性を備えるポリエチレンを使用して、ポリエチレンシー
トPを成形する。本実施形態の広口飲料容器は、深絞り
容器であるので、容器の剛性及び熱成形の観点から、ポ
リエチレンシートPの平均厚さは、0.3mm〜3mm
位が好ましい。
【0013】電子線照射工程では、電子線照射装置10
によって、押出し工程で形成されたポリエチレンシート
Pの表面に電子線(EB)を照射する。尚、図1では、
上面に電子線を照射する場合を示しているが、電子線は
下面に照射するようにしても良いし、両面に照射しても
よい。また、両面に照射する場合、電子線照射装置を2
台設けるようにしても良い。ポリエチレンは、その表面
に電子線を照射することによって、瞬時に架橋反応が起
こる。その結果、通常は延伸が難しいとされているポリ
エチレンシートが、多方向に延伸容易なものに変化す
る。特に、本実施形態では、ポリエチレンをシート状に
してあるので、電子線を表面に均一に照射することがで
きる。電子線照射装置10としては、岩崎電気株式会社
製の「アイ・エレクトロビームEC300/30/30
mA」を使用することができる。この電子線照射装置は
X線に対して自己遮蔽が可能であり、したがって本実施
形態の場合、小型で低エネルギー型の装置を使用するこ
とができる。
【0014】次に、図1に示した電子線照射装置10に
ついて説明する。この電子線照射装置10は、図2に示
すように、電子線発生部30と、照射室31と、照射窓
部32とを備えている。電子線発生部30は、電子線を
発生するターミナル33と、ターミナル33から発せら
れた電子線を真空空間(加速空間)で加速する加速管3
4とを備えている。
【0015】ターミナル33は、熱電子を放出する線状
のフィラメント33aと、フィラメント33aを支持す
るガン構造体33bと、フィラメント33aから放出さ
れた熱電子を制御するグリッド33cとを有する。
【0016】照射室31は、被処理物であるポリエチレ
ンシートに電子線を照射する照射空間38を含むもので
ある。尚、電子線発生部30及び照射室31の周囲に
は、電子線照射時に二次的に発生するX線が外部へ漏出
するのを防ぐために、鉛遮蔽が施されている。
【0017】照射窓部32は、金属箔からなる窓箔35
と、窓箔35を支持すると共に窓箔35を冷却する窓枠
構造体36とを有する。窓箔35は、電子線発生部30
内の真空雰囲気と照射室31内の雰囲気とを仕切るもの
であり、また電子線発生部30から発せられた電子線を
照射室31内へ取り出すものである。窓箔35には、機
械的な扱い易さから、一般に、厚さ約13μmのTi箔
が最も良く用いられる。
【0018】また、電子線照射装置10は、図3に示す
ように、フィラメント33aに接続された加熱用電源3
7aと、フィラメント33aとグリッド33cとの間に
接続された制御用直流電源37bとを有する。加熱用電
源37aは、フィラメント33aを加熱してフィラメン
ト33aから熱電子を発生させる。制御用直流電源37
bは、フィラメント33aとグリッド33cとの間に電
圧を印加して熱電子を制御する。加速用直流電源37c
は熱電子に加速電圧を印加する。尚、電子線照射装置1
0のビーム電流の調節は、図3に示すように、加熱用電
源37a及び加速用直流電源37cを所定の値に固定
し、制御用直流電源37bを可変することにより行って
いる。一般に、電子線照射装置10では、被処理物が吸
収する線量はビーム電流に比例する。このため、ビーム
電流を変えることにより、電子線の吸収線量を調整する
ことができる。
【0019】次に、この電子線照射装置10の動作につ
いて説明する。加熱用電源37aによりフィラメント3
3aを加熱すると、フィラメント33aは熱電子を放出
する。この熱電子は、制御用直流電源37bの制御電圧
により四方八方に引き寄せられ、このうち、グリッド3
3cを通過したものだけが電子線として有効にターミナ
ル33から取り出される。次に、ターミナル33から取
り出された電子線は、加速用直流電源37cの加速電圧
により、加速管34内の加速空間で加速された後、窓箔
35を突き抜け、照射空間38に照射される。
【0020】電子線の線量については10〜500kG
yの範囲の値となるように、ビーム電流を設定する。電
子線の線量をこのような範囲としたのは、線量を10k
Gy未満とすると十分に架橋せず、延伸が不十分とな
り、一方、線量を500kGy以上としても、架橋反応
がほぼ飽和して延伸が不可能となり破断につながるから
である。
【0021】ポリエチレンシートが、厚さ1.5mm、
密度0.950g/cm3である場合、このポリエチレ
ンシートの厚さの5%以上について電子線を作用させる
のに必要な電子線加速電圧は、約115kV以上であ
る。
【0022】加熱工程では、プレヒート装置11によっ
て、電子線照射後のポリエチレンシートPを加熱し、そ
の温度を軟化点近傍(140℃〜150℃)まで昇温さ
せる。これによってポリエチレンシートPは変形し易く
なり、成形性が向上する。
【0023】熱成形工程では、加熱工程で軟化点近傍に
加熱されたポリエチレンシートPに対して成形装置12
によって加熱成形を行う。図4は成形装置12の概略断
面図であり、図5は本成形装置で成形する広口飲料容器
の断面図である。図4に示すように、本成形装置12
は、容器を成形するための型41が設けられている上型
テーブル41と、プラグ43が設けられている下型テー
ブル44と、成形時にシートを固定するための治具45
とを備えている。図5に示す容器は、容量が300mm
lで、絞り比が7である。なお、本明細書において、絞
り比とは、元の樹脂シート面積に対する樹脂製容器表面
積の比をいう。成形装置12で成形を行うには、先ず、
ポリエチレンシートPを上型テーブル42と下型テーブ
ル44の間に搬送し、治具45により固定する。次に、
上型テーブル42を下降させると同時に下型テーブル4
4を上昇させる。これによりシートは下型テーブルに取
着されたプラグ43により凸状に加工される。次に、下
型テーブル44を加圧すると同時に、或いは加圧時点よ
り0.2〜0.4秒手前のタイミングで、上型テーブル
42内を真空に引くことにより、シートを型41の内壁
に密着させる。最後に上型テーブルを上昇させて下型テ
ーブルを下降させ、シートを次の切断工程(不図示)に
搬送する。切断工程では、シートが個々の容器毎にカッ
ティングされ、図5に示すような広口飲料容器が形成さ
れる。
【0024】上記のようにして得られた容器20は、材
料としてポリエチレンを用いているので、十分な低温衝
撃性を有するものとなる。本実施形態のような容器の場
合、ポリエチレンのアイゾット衝撃値(試験法はJIS-K7
110)は、測定温度が23℃のときは例えば約15〜2
0kJ/m2であり、この温度が0℃になると、例えば約1
2〜15kJ/m2となる。これに対して、ポリプロピレン
のアイゾット衝撃値(試験法はJIS-K7110)は、測定温
度が23℃のときは例えば約10kJ/m2であり、また温
度が0℃になると、例えば約2.9kJ/m2となることが
知られている。このように、ポリプロピレンの衝撃値
は、低温になると、低下するが、ポリエチレンは低温で
も衝撃値が大きく変化することはない。
【0025】本発明者等がポリエチレンシートについて
本熱成形装置12を用いて図5に示す容器を成形する各
種の実験を行った結果、プラグ43の上端の曲率Rの値
が重要であることが分かった。本実施形態の場合、この
曲率Rが1〜10mm位(望ましくは5〜10mm)で
あるときに、良好な成形を行うことができた。また、本
熱成形装置12でポリエチレンシートを用いて容器を良
好に形成するには、上下の各テーブルの速度は200m
m/sec以上600mm/sec以下に、成形圧空圧
力は2kg/cm2以上10kg/cm2以下(望ましくは
7kg/cm2)に、真空圧は約700mmHgに調整す
る。
【0026】
【実施例】次に、本発明の一実施例について説明する。
まず原材料として、日本ポリオレフィン(株)製ジェイ
レクスHD(MFR0.5g/10分、密度0.959
g/cm3)を用いてTダイ法にて平均厚さ1.5mm
のポリエチレンシートを形した。次に、岩崎電気株式会
社製の「アイ・エレクトロビームEC300/30/3
0mA」を使用して、このポリエチレンシートの両面に
電子線を照射した。このときの照射条件は、加速電圧が
128kV〜280kV、電子線量が100〜250k
Gyである。なお、電子線は片面に照射したものと、両
面に照射したものの双方について実験した。この場合の
ポリエチレンの架橋深さは約16%から88%である。
次に、プレヒート装置のヒーターをオン状態として、ポ
リエチレンシートを炉内で44秒〜52秒加熱した後、
成形装置12で容量300ml、絞り比7の容器を成形
した。成形装置12としては、株式会社浅野研究所製の
研究真空圧空成形機(FKC−0631−20)を使用
した。この成形装置12により、プラグのRが5mmの
ものと、10mmのものと、15mmのものについて実
験した。また、成形時の条件は、テーブルが速度600
mm/sec、成形圧空圧力が7kg/cm2、真空圧
が約700mmHgである。
【0027】上記のようにして成形を行ったときの実験
結果を図6の表に示す。なお、図6の表では、参考のた
めに、電子線を照射しない場合(加速電圧0V、電子線
量0kGy)にいても記載してある。同図において、○
印は良好な成形ができたことを、×印は成形不良である
ことを、△印は使用可であることを示す。また、成形性
を示す容器の肉厚の数値は、図5に示す側面上部d1
側面下部d2、底部d3の順である。同図の表から分かる
ように、電子線照射装置の照射条件は加速電圧が250
kV以上(両面、架橋深さ73%以上)、線量が250
kGy以上、プレヒート装置による加熱時間が48秒か
ら52秒、成形装置12のプラグのRが5mm又は10
mmのときに、良好な成形を行うことができた。また、
加速電圧280kV(両面)、線量250kGy、プラ
グR5mm、加熱時間50秒の場合、成形された容器の
肉厚は、側面上部d1が0.46mm、側面下部d2
0.25mm、底部d3が0.29mmであった。
【0028】なお、上記の実施例の場合、架橋剤を混入
していないポリエチレンを使用した。これに対して、架
橋剤を数%程度混入したポリエチレンを使用することに
より、より少ない量の電子線で、例えば線量が10kG
yでも、延伸性を向上させることができる。架橋剤とし
ては、過酸化物、及びトリメチロールプロパントリアク
リレートやトリアリルイソシアヌレートなどの多官能性
アクリル系モノマーやアリル系モノマーなどを用いるこ
とができる。
【0029】ところで、ポリエチレンの架橋度は、一般
的にゲル分率によって確認することができる。図7は、
ポリエチレンシートに電子線を照射したときの線量とゲ
ル分率(JIS C 3005)との関係を示す図であ
る。但し、この場合、架橋剤は混入していない。また、
架橋深さは100%のときのものである。上記の本実施
形態の方法で形成したポリエチレン製の容器のゲル分率
は、架橋深さ5%以上、線量10kGy以上の場合、少
なくとも3%であり、好ましくは約20%以上となる。
【0030】また、上記の本実施形態によれば、電子線
を照射することにより、延伸性の良くないポリエチレン
シートの延伸性を向上させることができるので、熱成形
により容易に広口飲料容器を成形することができる。ま
た、本実施形態により成形した容器は、原材料がポリエ
チレンであるので、低温衝撃性に優れ、更に乳等省令に
適合したものとなる。
【0031】更に、従来、融点以上まで、加熱して熱成
形によってポリエチレンを成形する場合、その形成可能
容器は絞り比が約5倍までであり、生産性の悪いもので
あった。これに対して、上記の本実施形態によれば、融
点近傍の加熱により、約20倍までの深絞りが可能にな
った。
【0032】また、上記の本実施形態によれば、ポリエ
チレンシートに電子線を照射したことにより、成形可能
時間幅が向上し、これにより成形における安定性の向上
を図ることができる。
【0033】ところで、ポリエチレンは、電子線を照射
することによって透明性が向上する。食品用の容器で
は、中に入っている食品が見えることが望ましい場合が
ある。してがって、電子線を照射することによって、延
伸性・成形性が向上し、しかも透明性が向上すれば、こ
のような食品用の容器としての用途に適したものとな
る。
【0034】図8は、1mmの厚さのポリエチレンシー
トの片面又は両面に対し、100kGy又は250kG
yの線量の電子線を照射し、その後20倍に(厚さが2
0分の1になるように)延伸したときのヘイズ特性を調
べた結果を示している。図8のグラフで、横軸の値は、
ポリエチレンシートの厚さを100%とし、電子線(E
B)が浸透して架橋を生じる深さを%を単位として示し
た値である。架橋が生じる深さが深いということは、電
子線の加速電圧を高くすることに対応する。したがっ
て、ポリエチレンシートの厚さが同じであれば、横軸の
値が大きくなるほど(横軸の右側ほど)電子線は深く浸
透する。一方、図8の縦軸の値は、ヘイズ値を示してい
る。このヘイズ値は、値が大きいほど透明性が低く、値
が小さいほど透明性が高い。
【0035】図8を見ると、電子線の線量が多くなるに
従って、ヘイズ値は減少し、したがって透明性は高くな
るが、片面だけに電子線を照射した場合では、横軸の値
が5%から40%の間で、ヘイズ値はほぼ飽和してい
る。したがって、この範囲内で、あるいは望ましくは1
0〜30%の範囲内で電子線を照射すれば、電子線照射
工程に要するコストや時間の無駄を省いて、効率よく必
要な透明性を得ることができる。
【0036】次に、本実施形態の第1変形例について説
明する。上記の実施形態では、単層のポリエチレンシー
トを使用する場合について説明した。しかしながら、本
発明の樹脂シートは、2層以上の多層シートであっても
よい。この多層シートはポリエチレン層が少なくとも一
方の外層にあれば、他の層については、熱成形する際の
加熱温度が略同じものであれば、樹脂の種類や層数は限
定されるものではない。ポリエチレン同士の積層でもか
まわない。ポリエチレンと他の樹脂とを積層する場合、
一方の外層をポリエチレン層とするのは、成形した容器
の内側をポリエチレン層とするためである。これによ
り、多層シートを用いて成形した容器も、乳等省令に適
合したものとなる。また、多層シートの成形方法は、共
押出しによるものであっても、貼り合せるによるもので
あってもよい。例えば、貼り合せによる多層シートの成
形においては、薄いポリエチレンシートに電子線を照射
して延伸性・成形性を向上させ、これを同じポリエチレ
ン或いは他の材料(以下「基材」という)にラミネート
状に貼り合わせることも可能である。このようにする
と、薄いポリエチレンシートに対して電子線を照射する
ので、片面からの照射で十分であるし、また加速電圧も
低くて良いので、電子線照射装置もより小型のものを使
用できる。ポリエチレンと積層する他の樹脂の例として
は、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVOH、ポリア
ミド、接着性樹脂、ポリエステル等が挙げられる。例え
ばEVOHやポリアミドとの積層シートを用いて容器を
成形した場合、この容器は良好なガスバリア性を有する
ものとなる。
【0037】このように、多層シートとすることによ
り、使用目的に合わせて、安価な容器、或いはバリア性
を有する容器、耐久性の高い容器等、種々の容器を成形
することができる。
【0038】次に、本実施形態の第2変形例であるポリ
エチレンシートを発泡させる場合について説明する。即
席カップ麺などのカップは、ポリスチレンを発泡させた
ものであるが、ポリエチレンについても、発泡剤を練り
込んで電子線を照射して架橋させた後、発泡させる方法
が知られている。しかしながら、従来は、上で説明した
ように、ポリエチレンは延伸性・成形性に劣ると考えら
れていたため、発泡させたポリエチレンを具体的な用途
に用いることはなかった。しかし、今回、ポリエチレン
に電子線を照射することによって架橋反応が起こり、延
伸性・成形性が向上することが明らかとなったため、予
めポリエチレンに発泡剤を注入しておいて電子線を照射
することによって、延伸性・成形性が向上する発泡ポリ
エチレンが得られることが分かった。
【0039】このようなポリエチレンは、前述のプレヒ
ート装置11によって加熱し、その温度を軟化点近傍ま
で昇温させることにより、成形装置12によって容易に
熱成形を行うことができる。したがって、即席カップ麺
などのカップの素材として、ポリスチレンに代わって、
健康や自然環境に与える影響が小さい発泡ポリエチレン
を利用することが可能となる。
【0040】なお、本発明は、上記の実施形態に限定さ
れるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変更が可
能であり、それらも特許請求の範囲に記載した発明の技
術的範囲に属する。例えば、本発明のポリエチレンは、
エチレンとα−オレフィンの共重合体であってもよい。
また、電子線を照射した後、成形する前に、シートを加
熱して予備延伸するようにしてもよい。これにより、ヘ
イズ特性の向上を図ることができる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
放射線の照射によって架橋反応を生じる樹脂であるポリ
エチレンのシートに電子線を照射して架橋反応を生じさ
せることにより、その後に行う熱成形工程において延伸
性が良好で成形し易く、またポリエチレンであるため低
温衝撃性に優れ、他の樹脂に比べて健康や自然環境に与
える影響が小さく、したがって乳等省令にも適合し、乳
製品にも適用可能な樹脂シートの熱成形方法及び樹脂製
容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る樹脂シートによる
広口飲料容器の熱成形工程を示した図である。
【図2】本実施形態に用いる電子線照射装置の概略構成
図である。
【図3】図2に示す電子線照射装置の電子線発生部の概
略回路図である。
【図4】図4は成形装置12の概略断面図である。
【図5】本成形装置で成形する広口飲料容器の断面図で
ある。
【図6】実験結果を示す表である。
【図7】ポリエチレンシートに電子線を照射したときの
線量とゲル分率との関係を示す図である。
【図8】1mmの厚さのポリエチレンシートの片面又は
両面に対し、100kGy又は250kGyの線量の電
子線を照射し、その後20倍に(厚さが20分の1にな
るように)延伸したときのヘイズ特性を調べた結果を示
した図である。
【符号の説明】
P ポリエチレンシート 9 押出し装置 10 電子線(EB)照射装置 11 プレヒート装置 12 成形装置 20 容器 30 電子線発生部 31 照射室 32 照射窓部 33 ターミナル 34 加速管 35 窓箔 36 窓枠構造体 37a 加熱用電源 37b 制御用直流電源 37c 加速用直流電源 38 照射空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 7/00 CES C08J 7/00 305 305 B29K 23:00 // B29K 23:00 105:24 105:24 B29L 9:00 B29L 9:00 C08L 23:04 C08L 23:04 B65D 1/00 C (72)発明者 安川 雄一郎 神奈川県川崎市川崎区夜光二丁目3番2号 日本ポリオレフィン株式会社技術本部研 究開発センター内 (72)発明者 吉越 昭雄 愛知県愛知郡東郷町大字諸輪字北山158番 地の247 株式会社浅野研究所内 (72)発明者 木下 忍 埼玉県行田市壱里山町1丁目1番地 岩崎 電気株式会社埼玉製作所内 (72)発明者 坂井 和宏 埼玉県行田市壱里山町1丁目1番地 岩崎 電気株式会社埼玉製作所内 (72)発明者 小野 健一郎 埼玉県行田市壱里山町1丁目1番地 岩崎 電気株式会社埼玉製作所内 Fターム(参考) 3E033 AA08 BA13 BA15 BB01 BB08 CA03 DA08 DD01 EA04 FA04 FA10 GA02 4F073 AA05 BA07 BB01 CA41 CA42 HA11 4F208 AA04 AC03 AG03 AH52 AR16 AR20 MA06 MB01 MC03 MG04 MG22 MH06 MH24

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射線の照射により架橋反応を生じる樹
    脂からなる樹脂シートの表面に放射線を照射して架橋さ
    せる放射線照射工程と、 前記放射線照射工程の後に、前記樹脂シートを所定形状
    に成形する熱成形工程と、 を具備することを特徴とする樹脂シートの熱成形方法。
  2. 【請求項2】 前記熱成形工程は、前記樹脂シートを軟
    化点近傍まで加熱した状態で行うことを特徴とする請求
    項1記載の樹脂シートの熱成形方法。
  3. 【請求項3】 前記放射線照射工程は、前記樹脂シート
    の片面又は両面について放射線を照射することを特徴と
    する請求項1又は2記載の樹脂シートの熱成形方法。
  4. 【請求項4】 前記樹脂シートは、単層のポリエチレン
    シート又はポリエチレンの多層シートであることを特徴
    とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の樹脂シ
    ートの熱成形方法。
  5. 【請求項5】 前記樹脂シートは、ポリエチレンと他の
    樹脂とを積層した多層シートであり、且つポリエチレン
    の層が最外層に位置することを特徴とする請求項1乃至
    3のうちいずれか一項記載の樹脂シートの熱成形方法。
  6. 【請求項6】 前記多層シートは、共押出し法により形
    成したものであることを特徴とする請求項4又は5記載
    の樹脂シートの熱成形方法。
  7. 【請求項7】 前記多層シートは、複数のシートを貼り
    合せたものであることを特徴とする請求項4又は5記載
    の樹脂シートの熱成形方法。
  8. 【請求項8】 前記放射線は電子線であり、その線量は
    10kGyから500kGyの範囲、加速電圧は、前記
    樹脂シートの厚さの5パーセント以上まで架橋反応を生
    じさせる電圧であることを特徴とする請求項1乃至7の
    うちいずれか一項記載の樹脂シートの熱成形方法。
  9. 【請求項9】 樹脂シートに放射線を照射し、その後、
    熱成形工程において前記樹脂シートから所定の形状に成
    形されたことを特徴とする樹脂製容器。
  10. 【請求項10】 前記熱成形工程は、前記樹脂シートを
    軟化点近傍まで加熱した状態で行ったことを特徴とする
    請求項9記載の樹脂製容器。
  11. 【請求項11】 前記樹脂シートはポリエチレンのシー
    トであり、前記ポリエチレンはエチレン単独重合体又は
    エチレンと1−アルケンの共重合体であることを特徴と
    する請求項9又は10記載の樹脂製容器。
  12. 【請求項12】 前記樹脂製容器は、ゲル分率が少なく
    とも3パーセントであることを特徴とする請求項9乃至
    11のうちいずれか一項記載の樹脂製容器。
  13. 【請求項13】 前記樹脂製容器は、絞り比が2倍以上
    20倍以下であることを特徴とする請求項9乃至12の
    うちいずれか一項記載の樹脂製容器。
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