JP2001269184A - 新規タンパク質およびそのdna - Google Patents

新規タンパク質およびそのdna

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祐輔 中村
Hirobumi Arakawa
博文 荒川
Hiroshi Tanaka
浩史 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規タンパク質とそのDNAの提供。 【解決手段】本発明のタンパク質は、そのアミノ酸配列
において、例えばリボヌクレオチドレダクターゼに相同
性を有しているため、本発明のタンパク質、そのDN
A、それらの抗体等は、癌の予防、治療、診断等に有用
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リボヌクレオチド
レダクターゼ(Ribonucleotide re ductase)と相同性
を有する新規タンパク質およびそれをコードするDNA
等に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の研究の進展により、癌は複数の遺
伝子変異が体細胞に蓄積し、その結果として細胞の増殖
制御ができなくなる遺伝子の病気であることが証明され
てきている。p53は、ヒト癌で最も高頻度に異常が検
出されている癌抑制遺伝子であり、G1 arres
t、apoptosisの誘導、DNAに傷を受けた場
合のチェックポイント機構などの多様な生理機能を有し
ていることが明らかにされている。これらの機能は、p
53タンパクが転写因子として作用し、その標的遺伝子
の発現制御を行うことにより発揮されるものと考えられ
ている。p53の異常は癌の悪性度、抗癌剤・放射線治
療抵抗性、転移、血管新生能にも関わっていることが示
唆されている[ザ・ニュー イングランド・ジャーナル
・オブ・メディスン(The New England Journal of Med
icine),329巻,1318頁(1993)等]。リボヌクレオチ
ドレダクターゼ(Ribonucleotide Reductase)はリボヌ
クレオチドをそれぞれに対応するデオキシリボヌクレオ
チドに変換し、DNA合成の際にそれらを供給する律速
酵素である [サイエンス(Science), 260巻,1773頁
(1993)]。この酵素は、大サブユニット(R1)およ
び小サブユニット(R2)から成るヘテロダイマーであ
り、R1およびR2[National Center for Biotechnol
ogy Information の GenBank の Accession No. X5961
8]の各々はホモダイマーから成る。酵素活性は、R2
量によって制御されている。R2量は、細胞周期依存的
に制御されており、S期でもっとも発現が高い。リボヌ
クレオチドレダクターゼに関しては酵母でよく研究され
ており、酵母では3つのサブユニット(RNR1,RN
R2,RNR3)が存在することが知られている。RN
R1およびRNR3は哺乳動物のR1に、RNR2は哺
乳動物のR2にそれぞれ相当し、RNR1は 細胞周期
依存的に発現が制御されている。放射線照射等のDNA
損傷により、RNR1は発現誘導されないが、RNR3
は100倍以上も発現誘導されることが報告されている
[ジーンズ・アンド・デベロップメント(Genes &Devel
op ment),4巻,740頁(1990)]。また、抗癌剤・放射
線治療抵抗性のある悪性度の高い癌細胞ではR2の発現
量が増加していると報告されている[バイオケミストリ
ー・アンド・セル・バイオロジー(Biochemistry and C
ell Biology),68巻,1364頁(1990)]。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】後述の実施例で得られ
た遺伝子TP53R2Hは、R2と高い相同性を有し、
種間で保存されているribonucleotide
reductase signature seque
nce も有することより、遺伝子TP53R2H産物
は、DNA合成の際のデオキシリボヌクレオチド供給に
関与している可能性が考えられる。また、TP53R2
Hは、抗癌剤処理・放射線照射などによるDNA損傷に
より発現が誘導されること(R2は誘導されない)よ
り、特に、DNA損傷後のDNA修復時のデオキシリボ
ヌクレオチド供給に関与している可能性が考えられる。
そこで、抗癌剤・放射線治療抵抗性のある悪性度の高い
癌ではTP53R2Hをブロックすることにより、優れ
た効果があり、副作用の少ない治療が期待できる。ま
た、TP53R2Hはホモダイマーとして働く可能性が
ある(R2はホモダイマーで働く)ため、変異を持った
TP53R2H遺伝子、TP53R2Hタンパクを癌細
胞に導入することにより、dominant nega
tiveな効果を持たせ、この酵素の活性を抑えるとい
うことが考えられることから、変異を持ったTP53R
2H遺伝子、TP53R2Hタンパクも、抗癌剤・放射
線治療に抵抗性のある悪性度の高い癌の治療剤として有
用であると考えられる。さらにこの遺伝子の変異を調べ
ることにより癌の診断、予防にも役立つものと思われ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、ヒト筋肉由来cDNAライブラリーか
ら、リボヌクレオチドレダクターゼに相同性を有する新
規なタンパク質をコードするcDNAをクローニングす
ることに成功し、これらの知見に基づいてさらに検討を
重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明
は、 (1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もし
くは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質ま
たはその塩; (2)リボヌクレオチドレダクターゼ活性を有する前記
(1)記載のタンパク質; (3)前記(1)記載のタンパク質の部分ペプチドまた
はその塩; (4)前記(1)記載のタンパク質または前記(3)記
載の部分ペプチドをコードする塩基配列を有するDNA
を含有するDNA; (5)配列番号:2で表される塩基配列を有する前記
(4)記載のDNA; (6)配列番号:12で表される塩基配列を有する前記
(4)記載のDNA; (7)前記(4)記載のDNAを含有する組換えベクタ
ー; (8)前記(7)記載の組換えベクターで形質転換され
た形質転換体; (9)前記(8)記載の形質転換体を培養し、前記
(1)記載のタンパク質もしくはその塩または前記
(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩を生成、蓄積
せしめ、これを採取することを特徴とする前記(1)記
載のタンパク質もしくはその塩または前記(3)記載の
部分ペプチドもしくはその塩の製造方法; (10)前記(1)記載のタンパク質もしくはその塩ま
たは前記(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩を含
有してなる医薬; (11)前記(4)記載のDNAを含有してなる医薬; (12)前記(1)記載のタンパク質もしくはその塩ま
たは前記(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩に対
する抗体; (13)前記(12)記載の抗体を含有する診断剤; (14)前記(1)記載のタンパク質もしくはその塩ま
たは前記(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩を用
いることを特徴とする前記(1)記載のタンパク質また
はその塩の酵素活性を阻害または活性化する化合物また
はその塩のスクリーニング方法; (15)前記(1)記載のタンパク質もしくはその塩ま
たは前記(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩を含
有する、前記(1)記載のタンパク質またはその塩の酵
素活性を阻害または活性化する化合物またはその塩のス
クリーニング用キット; (16)前記(14)記載のスクリーニング方法または
前記(15)記載のスクリーニング用キットを用いて得
られる、前記(1)記載のタンパク質またはその塩の酵
素活性を阻害または活性化する化合物またはその塩; (17)前記(16)記載の化合物またはその塩を含有
してなる医薬; (18)癌の予防治療剤である前記(17)記載の医薬
等に関する。
【0005】さらに、本発明は、 (19)配列番号:2または配列番号:12で表される
塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズする塩基配列を有するDNAを含有するDNA; (20)前記(19)記載のDNAを含有する組換えベ
クター; (21)前記(20)記載の組換えベクターで形質転換
された形質転換体; (22)前記(21)記載の形質転換体を培養し、前記
(19)記載のDNAにコードされるタンパク質を生
成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする前記
(19)記載のDNAにコードされるタンパク質または
その塩の製造方法; (23)前記(22)記載の製造法で製造される、前記
(19)記載のDNAにコードされるタンパク質または
その塩; (24)前記(12)記載の抗体と、被検液および標識
化された前記(1)記載のタンパク質、前記(3)記載
の部分ペプチドまたはそれらの塩とを競合的に反応さ
せ、該抗体に結合した標識化された前記(1)記載のタ
ンパク質もしくはその塩、または前記(3)記載の部分
ペプチドもしくはその塩の割合を測定することを特徴と
する被検液中の前記(1)記載のタンパク質もしくはそ
の塩、または前記(3)記載の部分ペプチドもしくはそ
の塩の定量法; (25)被検液と担体上に不溶化した前記(12)記載
の抗体および標識化された別の前記(12)記載の抗体
とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体
上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中
の前記(1)記載のタンパク質もしくはその塩、または
前記(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩の定量
法; (26)前記(12)記載の抗体(好ましくは、前記
(1)記載のタンパク質の活性を中和する活性を有する
抗体)を含有してなる医薬; (27)癌の治療剤である前記(26)記載の医薬; (28)(i)前記(1)記載のタンパク質もしくはそ
の塩、または前記(3)記載の部分ペプチドもしくはそ
の塩に基質を接触させた場合と、(ii)前記(1)記載
のタンパク質もしくはその塩、または前記(3)記載の
部分ペプチドもしくはその塩に基質および試験化合物を
接触させた場合における、前記(1)記載のタンパク質
もしくはその塩、または前記(3)記載の部分ペプチド
もしくはその塩の酵素活性を測定して、比較することを
特徴とする前記(1)記載のタンパク質またはその塩の
酵素活性(例、リボヌクレオチドレダクターゼ活性等)
を阻害または活性化する化合物またはその塩のスクリー
ニング方法; (29)前記(1)または前記(19)記載のDNAに
相補的または実質的に相補的な塩基配列を有し、該DN
Aの発現を抑制し得る作用を有するアンチセンスオリゴ
ヌクレオチド; (30)前記(1)または前記(19)記載のDNAに
実質的に相補的な塩基配列が、該DNAに相補的な塩基
配列の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約90%以上
(好ましくは約95%以上)の相同性を有する塩基配列
である前記(29)記載のアンチセンスオリゴヌクレオ
チド; (31)前記(29)または前記(30)記載のアンチ
センスオリゴヌクレオチドを含有してなる医薬;および (32)癌の治療剤である前記(31)記載の医薬等も
提供する。
【0006】本発明のタンパク質は、配列番号:1で表
されるアミノ酸配列またはそれと実質的に同一のアミノ
酸配列を含有するタンパク質である。本発明のタンパク
質は、例えば、温血動物(例えば、ヒト、モルモット、
ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウ
シ、サルなど)のあらゆる細胞(例えば、脾細胞、神経
細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウ
ム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内
皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免
疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュ
ラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸
球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨
芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細
胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン
細胞など)、またはそれらの細胞が存在するあらゆる組
織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳
基底核、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小
脳、後頭葉、前頭葉、側頭葉、被殻、尾状核、脳染、黒
質)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、
甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管
(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下
腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関
節、骨格筋などに由来するタンパク質であってもよく、
また合成タンパク質であってもよい。
【0007】配列番号:1と実質的に同一のアミノ酸配
列としては、例えば、配列番号:1で表されるアミノ酸
配列と約90%以上、好ましくは約95%以上の相同性
を有するアミノ酸配列などが挙げられる。本発明の配列
番号:1と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタン
パク質としては、前記した配列番号:1と実質的に同一
のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表されるアミノ
酸配列を含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有
するタンパク質などが用いられる。実質的に同質の活性
としては、例えば、リボヌクレオチドレダクターゼ活性
など核酸代謝に関与する酵素(好ましくはリボヌクレオ
チドレダクターゼ)の活性が挙げられる。実質的に同質
とは、それらの活性が性質的に(例、生理化学的に、ま
たは薬理学的に)同質であることを示す。したがって、
例えばリボヌクレオチドレダクターゼ活性などの活性が
同様(例、約0.01〜100倍、好ましくは約0.5
倍〜20倍、より好ましくは約0.5〜2倍)であるこ
とが好ましいが、これらの活性の程度やタンパク質の分
子量などの量的要素は異なっていてもよい。リボヌクレ
オチドレダクターゼ活性の測定は、自体公知の方法に準
じて行なうことができる。例えば、後述する医薬候補化
合物のスクリーニング方法に従って測定することができ
る。
【0008】また、本発明のタンパク質としては、配
列番号:1で表されるアミノ酸配列中の1または2個以
上(好ましくは1〜30個程度、より好ましくは1〜2
0個程度、さらに好ましくは1〜10個程度、最も好ま
しくは1〜5個程度)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配
列、配列番号:1で表されるアミノ酸配列に1または
2個以上(好ましくは1〜30個程度、より好ましくは
1〜20個程度、さらに好ましくは1〜10個程度、最
も好ましくは1〜5個程度)のアミノ酸が付加したアミ
ノ酸配列、配列番号:1で表されるアミノ酸配列中の
1または2個以上(好ましくは1〜30個程度、より好
ましくは1〜20個程度、さらに好ましくは1〜10個
程度、最も好ましくは1〜5個程度)のアミノ酸が他の
アミノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを
組み合わせたアミノ酸を含有するタンパク質なども用い
られる。
【0009】本明細書におけるタンパク質は、ペプチド
標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端
がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で
表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質をはじめと
する、本発明のタンパク質は、C末端が通常カルボキシ
ル基(−COOH)またはカルボキシレート(−CO
-)であるが、C末端がアミド(−CONH2)または
エステル(−COOR)であってもよい。該エステルに
おけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロ
ピル、イソプロピル、n−ブチルなどのC1-6アルキル
基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC
3-8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチ
ルなどのC6-12アリール基、例えば、ベンジル、フェネ
チルなどのフェニル−C1- 2アルキル基もしくはα−ナ
フチルメチルなどのα−ナフチル−C1-2アルキル基な
どのC7-14アラルキル基、ピバロイルオキシメチル基な
どが用いられる。本発明のタンパク質がC末端以外にカ
ルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している
場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化され
ているものも本発明のタンパク質に含まれる。この場合
のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステル
などが用いられる。さらに、本発明のタンパク質には、
N末端のアミノ酸残基(例、メチオニン残基)のアミノ
基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC
1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護され
ているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタ
ミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ
酸の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ
基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基な
ど)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基
などのC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で
保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる
糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれる。本
発明のタンパク質の具体例としては、例えば、配列番
号:1で表されるアミノ酸配列を有するヒト由来タンパ
ク質などが挙げられる。
【0010】本発明のタンパク質の部分ペプチドとして
は、前記した本発明のタンパク質の部分ペプチドであれ
ば何れのものであってもよいが、例えば、本発明のタン
パク質の構成アミノ酸配列のうち少なくとも10個以
上、好ましくは50個以上、より好ましくは100個以
上のアミノ酸配列を有するペプチドであって、好ましく
は、リボヌクレオチドレダクターゼ活性など核酸代謝に
関与する酵素の活性を有するものなどが挙げられる。ま
た、本発明の部分ペプチドとしては、配列番号:1で
表されるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1
〜20個、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましく
は数個(例、1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ
酸配列、配列番号:7、配列番号:8または配列番
号:9で表されるアミノ酸配列に1または2個以上(例
えば1〜20個、好ましくは1〜10個程度、さらに好
ましくは数個(例、1〜5個))のアミノ酸が付加した
アミノ酸配列、配列番号:7、配列番号:8または配
列番号:9で表されるアミノ酸配列中の1または2個以
上(例えば1〜20個、好ましくは1〜10個程度、さ
らに好ましくは数個(例、1〜5個))のアミノ酸が他
のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれら
を組み合わせたアミノ酸を含有する部分ペプチドなども
用いられる。また、本発明の部分ペプチドは、C末端が
通常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレ
ート(−COO-)であるが、前記した本発明のタンパク
質と同様、C末端がアミド(−CONH2)またはエス
テル(−COOR)であってもよい(Rの定義は前記と
同意義)。さらに、本発明の部分ペプチドには、前記し
た本発明のタンパク質と同様に、N末端のアミノ酸残基
(例、メチオニン残基)のアミノ基が保護基で保護され
ているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタ
ミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ
酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているも
の、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの
複合ペプチドなども含まれる。本発明の部分ペプチドは
抗体作成のための抗原として用いることができるので、
必ずしもリボヌクレオチドレダクターゼ活性など核酸代
謝に関与する酵素(好ましくはリボヌクレオチドレダク
ターゼ)の活性を有している必要はない。
【0011】本発明のタンパク質または部分ペプチドの
塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有
機酸)、塩基(例、アルカリ金属)などとの塩が用いら
れ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好まし
い。該塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リ
ン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例
えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン
酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安
息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との
塩などが用いられる。本発明のタンパク質もしくはその
塩、または部分ペプチドもしくはその塩は、前述した温
血動物の細胞または組織から自体公知のタンパク質また
はペプチドの精製方法によって製造することができる。
また、後述のタンパク質または部分ペプチドをコードす
るDNAを含有する形質転換体を培養することによって
も製造することができる。さらに、後述のペプチド合成
法またはこれに準じる方法に従って製造することもでき
る。本発明のタンパク質、部分ペプチドまたはそれらの
塩を、温血動物の組織または細胞から製造する場合、温
血動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸など
で抽出を行ない、該抽出液を、塩析や溶媒沈澱法などの
溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過
法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換
クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、ア
フィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を
利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの
疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等
電点の差を利用する方法などを組み合わせることにより
精製単離することができる。本発明のタンパク質、部分
ペプチドもしくはそれらの塩、またはそれらのアミド体
の合成には、通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いる
ことができる。そのような樹脂としては、例えばクロロ
メチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルア
ミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベン
ジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン
樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニ
ルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、
4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−ヒドロキシメ
チル)フェノキシ樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシ
フェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂など
を挙げることができる。このような樹脂を用い、α−ア
ミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的
とするタンパク質または部分ペプチドの配列通りに、自
体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反
応の最後に樹脂からタンパク質または部分ペプチドを切
り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液
中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的の
タンパク質、部分ペプチドまたはそれらのアミド体を取
得する。
【0012】上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、
タンパク質合成に使用できる各種活性化試薬を用いるこ
とができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボ
ジイミド類としては、DCC、N,N’−ジイソプロピ
ルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチル
アミノプロリル)カルボジイミドなどが用いられる。こ
れらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、H
OBt、HOOBt等)とともに保護アミノ酸を直接樹
脂に添加するか、または、対称酸無水物またはHOBt
エステルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ
保護アミノ酸の活性化を行なった後に、樹脂に添加する
ことができる。保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に
用いられる溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用し
うることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例
えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの酸アミ
ド、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化
水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、DMF、
ピリジン、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエー
テル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニト
リル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、あ
るいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。反応温
度はタンパク質結合形成反応に使用され得ることが知ら
れている範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50
℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘
導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリ
ン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には
保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことに
より十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返し
ても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸または
アセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチ
ル化して、後の反応に影響を及ぼさないようにすること
ができる。
【0013】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、t−ペンチルオキシカルボニル、イソ
ボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキ
シカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマンチルオキ
シカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホ
ルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニル
ホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられる。カル
ボキシル基は、例えばアルキルエステル化(例えば、メ
チル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、シクロ
ペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオ
クチル、2−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状もしく
は環状アルキルエステル化)、アラルキルエステル化
(例えば、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエス
テル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロベン
ジルエステル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシ
ルエステル化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド
化、t−ブトキシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒ
ドラジド化などによって保護することができる。セリン
の水酸基は、例えば、エステル化またはエーテル化によ
って保護することができる。このエステル化に適する基
としては、例えばアセチル基などの低級アルカノイル
基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカ
ルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導
される基などが用いられる。また、エーテル化に適する
基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニ
ル基、t−ブチル基などである。チロシンのフェノール
性水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl2
Bzl、2−ニトロベンジル、Br−Z、t−ブチルな
どが用いられる。ヒスチジンのイミダゾールの保護基と
しては、Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチ
ルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチ
ル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが用いられ
る。
【0014】原料のカルボキシル基の活性化されたもの
としては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エ
ステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノー
ル、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニ
トロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロ
フェノール、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、N
−ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕
などが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたもの
としては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられ
る。保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd
黒またはPd−炭素などの触媒の存在下での水素気流中
での接触還元、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、ト
リフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるい
はこれらの混合液などによる酸処理、ジイソプロピルエ
チルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジ
ンなどによる塩基処理、液体アンモニア中ナトリウムに
よる還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反応
は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行われるが、酸
処理においてはアニソール、フェノール、チオアニソー
ル、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフ
ィド、1,4−ブタンジチオール、1,2−エタンジチ
オールのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。ま
た、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる
2,4−ジニトロフェニル基はチオフェノール処理によ
り除去され、トリプトファンのインドール保護基として
用いられるホルミル基は上記の1,2−エタンジチオー
ル、1,4−ブタンジチオールなどの存在下の酸処理に
よる脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモ
ニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
【0015】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護および保護基、ならびにその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基あるいは公知の手
段から適宜選択しうる。本発明のタンパク質またはその
部分ペプチドのアミド体を得る別の方法としては、ま
ず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をア
ミド化して保護した後、アミノ基側にペプチド鎖(タン
パク質鎖)を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖
のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いたタンパク
質とC末端のカルボキシル基の保護基のみを除去したタ
ンパク質とを製造し、この両タンパク質を上記したよう
な混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については
上記と同様である。縮合により得られた保護タンパク質
を精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去
し、所望の粗タンパク質を得ることができる。この粗タ
ンパク質は既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要
画分を凍結乾燥することで所望のタンパク質またはその
部分ペプチドのアミド体を得ることができる。本発明の
タンパク質またはその部分ペプチドのエステル体を得る
には、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を
所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした
後、タンパク質または部分ペプチドのアミド体と同様に
して、所望のタンパク質またはその部分ペプチドのエス
テル体を得ることができる。
【0016】本発明の部分ペプチドまたはその塩は、自
体公知のペプチドの合成法に従って、あるいは本発明の
タンパク質を適当なペプチダーゼで切断することによっ
て製造することができる。ペプチドの合成法としては、
例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良
い。すなわち、目的とするペプチドを構成し得る部分ペ
プチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成
物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより
目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合方
法や保護基の脱離としては、例えば、以下の〜に記
載された方法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド・シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptid
e), Academic Press, NewYork (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合
成、広川書店 また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出、蒸
留、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィ
ー、再結晶などを組み合わせて、目的のペプチドを精製
単離することができる。上記方法で得られるペプチドが
遊離体である場合は、公知の方法あるいはそれに準じる
方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に
塩で得られた場合は、公知の方法あるいはそれに準じる
方法によって遊離体または他の塩に変換することができ
る。
【0017】本発明のタンパク質をコードするDNAと
しては、前述した本発明のタンパク質をコードする塩基
配列を含有するものであればいかなるものであってもよ
い。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、
前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組
織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれで
もよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリ
オファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなど
いずれであってもよい。また、前記した細胞・組織より
total RNAまたはmRNA画分を調製したものを用
いて直接 Reverse Transcriptase Polymerase Chain R
eaction(以下、RT−PCR法と略称する)によって
増幅することもできる。本発明の配列番号:1で表され
るアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA
としては、具体例として、配列番号:2で表される塩
基配列を有するDNA、配列番号:12で表される塩
基配列を有するDNA、配列番号:2または配列番
号:12で表される塩基配列にハイストリンジェントな
条件下でハイブリダイズする塩基配列を含有するDNA
であれば何れのものでもよい。配列番号:2または配列
番号:12で表される塩基配列とハイストリンジェント
な条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例え
ば、配列番号:2または配列番号:12で表される塩基
配列と約90%以上、好ましくは約95%以上の相同性
を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0018】ハイブリダイゼーションは、自体公知の方
法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・
クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook
et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記
載の方法などに従って行なうことができる。また、市販
のcDNAライブラリー、またはmRNAライブラリー
あるいはキットを使用する場合、それらに添付の使用説
明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好
ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なう
ことができる。ハイストリンジェントな条件とは、例え
ば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約
19〜20mM、温度が約50〜70℃、好ましくは約
60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約
19mMおよび温度が約65℃の場合が好ましい。配列
番号:1で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質
をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:2、
配列番号:3、配列番号:4または配列番号:12で表
される塩基配列を有するDNAを含有するDNAなど
(好ましくは、配列番号:2または配列番号12で表さ
れる塩基配列を有するDNAを含有するDNA)が用い
られる。
【0019】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、前述した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリ
ー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞
・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいず
れでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バク
テリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミド
などいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織
より total RNAまたはmRNA画分を調製したもの
を用いて直接RT−PCR法によって増幅することもで
きる。
【0020】本発明のタンパク質またはその部分ペプチ
ド(以下、本発明のタンパク質と略記する場合がある)
をコードするDNAのクローニングの手段としては、
(1)本発明のタンパク質をコードするDNAの部分塩
基配列を有する合成DNAプライマーを用いて、PCR
法によって前記DNAライブラリー等から目的とするD
NAを増幅する、または(2)適当なベクターに組み込
んだDNAと、本発明のタンパク質の一部あるいは全領
域をコードするDNA断片もしくは合成DNAを標識し
たもの(プローブ)とのハイブリダイゼーションによっ
て選別する方法などが挙げられる。ハイブリダイゼーシ
ョンの方法は、例えば、モレキュラー・クローニング
(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et a l., Col
d Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法など
に従って行われる。また、市販のライブラリーやキット
を使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従っ
て行なうことができる。本発明の部分ペプチドをコード
するDNAは、自体公知のオリゴヌクレオチドの合成法
に従って製造することもできる。DNAの塩基配列の変
換(欠失・付加・置換)は、公知のキット、例えば、M
utanTM−G(宝酒造(株))、MutanTM−K
(宝酒造(株))などを用いて、Gapped dup
lex法、Kunkel法などの自体公知の方法あるい
はそれらに準じる方法に従って行なうことができる。ク
ローン化された本発明のタンパク質をコードするDNA
は、目的によりそのまま、または所望により制限酵素で
消化したり、リンカーを付加したりして使用することが
できる。該DNAはその5'末端側に翻訳開始コドンと
してのATGを有し、また3'末端側には翻訳終止コド
ンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していても
よい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適
当な合成DNAアダプターを用いて付加することもでき
る。本発明のタンパク質をコードするDNAの発現ベク
ターは、例えば、(イ)本発明のタンパク質をコードす
るDNAから目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)
該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの
下流に連結することにより製造することができる。
【0021】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB11
0,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド
(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバ
クテリオファージ、レトロウイルス、ワクシニアウイル
ス、バキュロウイルスなどの動物ウイルスなど、および
pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/R
SV、pcDNAI/Neoなどが用いられる。本発明
で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用
いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかな
るものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる
場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、
LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)
プロモーター、HSV-TKプロモーターなどが挙げら
れる。これらのうち、CMVプロモーター、SRαプロ
モーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒ
ア属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロ
モーター、recAプロモーター、λPLプロモータ
ー、lppプロモーター、T7プロモーターなどが、宿
主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモータ
ー、SPO2プロモーター、penPプロモーターな
ど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、
PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロ
モーター、AOX1プロモーターなどが好ましい。宿主
が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、
P10プロモーターなどが好ましい。
【0022】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)
等が挙げられる。特に、dhfr遺伝子欠損チャイニー
ズハムスター細胞CHOを用いてdhfr遺伝子を選択
マーカーとして使用する場合、目的遺伝子で形質転換さ
れた細胞をチミジンを含まない培地によっても選択でき
る。また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列
を、タンパク質のN端末側に付加する。宿主がエシェリ
ヒア属菌である場合は、アルカリフォスファターゼ・シ
グナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチ
ルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配
列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母で
ある場合は、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナ
ル配列など、宿主が動物細胞である場合には、例えばイ
ンシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シ
グナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利
用できる。このようにして構築された本発明のタンパク
質をコードするDNAを含有するベクターを細胞に導入
することによって形質転換体を製造することができる。
【0023】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH
1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160(196
8)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リサー
チ,(Nucleic Acids Research),9巻,309(1981)〕,
JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオ
ロジー(J. Mol. Biol.)〕,120巻,517 (1978)〕,H
B101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロ
ジー(J. Mol. Biol.),41巻,459(1969)〕,C600
〔ジェネティックス(Genetics),39巻,440(1954)〕
などが用いられる。バチルス属菌としては、例えば、バ
チルス・サチルス(Bacillus subtilis)MI114
〔ジーン(Gene),24巻,255(1983)〕,207−21
〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of
Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用いられ
る。酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビ
シエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22
R−,NA87−11A,DKD−5D,20B−1
2、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccharomy
ces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピ
キア パストリス(Pichia pastoris)KM71などが
用いられる。
【0024】昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodop
t era frugiperda cell;Sf細胞)、Trichop
lusia niの中腸由来のMG1細胞、Trich
oplusia niの卵由来のHigh Five
TM細胞、Mamestra brassicae由来
の細胞またはEstigmena acrea由来の細
胞などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合は、
蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN細胞)などが
用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞
(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以上、Vaughn, J.L.
ら、イン・ヴィボ(in Vivo),13巻, 213-217(1977))
などが用いられる。昆虫としては、例えば、カイコの幼
虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),
315巻,592(1985)〕。動物細胞としては、例えば、サ
ル細胞COS−7、Vero細胞、チャイニーズハムス
ター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記)、dhfr
遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、
CHO(dhfr-)細胞と略記)、マウスL細胞、マ
ウスAtT−20細胞、マウスミエローマ細胞、ラット
GH3細胞、ヒトFL細胞、293細胞、C127細
胞、BALB/3T3細胞、Sp−2細胞などが用いら
れる。これらの中でも、CHO細胞、CHO(dhfr
-)細胞、293細胞などが好ましい。
【0025】エシェリヒア属菌を形質転換するには、例
えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,2110(197
2);ジーン(Gene),17巻,107(1982)などに記載の
方法に従って行なうことができる。バチルス属菌を形質
転換するには、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネ
ラル・ジェネティックス(Molecular & General Genet
ics),168巻,111(1979)などに記載の方法に従って
行なうことができる。酵母を形質転換するには、例え
ば、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in E
nzymology),194巻,182-187(1991)、プロシージン
グズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Ac
ad. Sci . USA),75巻,1929(1978)などに記載の方
法に従って行なうことができる。昆虫細胞または昆虫を
形質転換するには、例えばバイオ/テクノロジー(Bio/
Technology),6巻, 47-55(1988)などに記載の方法
に従って行なわれる。動物細胞を形質転換するには、例
えば、細胞工学別冊8 新細胞工学実験プロトコール.
263-267(1995)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virol
ogy),52巻,456(1973)に記載の方法に従って行なう
ことができる。発現ベクターの細胞への導入方法として
は、例えば、リン酸カルシウム法〔Graham, F. L. and
van der Eb, A. J.ヴィロロジー(Virology) 52, 456-
467(1973)〕、電気穿孔法〔Nuemann, E. et al. エン
ボ・ジャーナル(EMBO J.) 1,841-845(1982)〕等が
挙げられる。このようにして、本発明のタンパク質をコ
ードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換され
た形質転換体が得られる。
【0026】なお、動物細胞を用いて、本発明のタンパ
ク質を安定に発現させる方法としては、上記の動物細胞
に導入された発現ベクターが染色体に組み込まれた細胞
をクローン選択によって選択する方法がある。具体的に
は、上記の選択マーカーを指標にして形質転換体を選択
する。さらに、このように選択マーカーを用いて得られ
た動物細胞に対して、繰り返しクローン選択を行なうこ
とにより本発明のタンパク質の高発現能を有する安定な
動物細胞株を得ることができる。また、dhfr遺伝子
を選択マーカーとして用いた場合、MTX濃度を徐々に
上げて培養し、耐性株を選択することにより、dhfr
遺伝子とともに、本発明のタンパク質をコードするDN
Aを細胞内で増幅させて、さらに高発現の動物細胞株を
得ることもできる。上記の形質転換体を本発明のタンパ
ク質をコードするDNAが発現可能な条件下で培養し、
本発明のタンパク質を生成、蓄積せしめることによっ
て、本発明のタンパク質またはその塩を製造することが
できる。宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である
形質転換体を培養する際、培養に使用される培地として
は液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生
育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめ
られる。炭素源としては、例えばグルコース、デキスト
リン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例え
ばアンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカ
ー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイシ
ョ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては例
えば塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マ
グネシウムなどが挙げられる。また、酵母エキス、ビタ
ミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のp
Hは約5〜8が望ましい。
【0027】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431-43
3,Cold Spring Harbor Laboratory, New York(197
2)〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効
率よく働かせるために、例えば3β−インドリル アク
リル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエシ
ェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3
〜24時間行い、必要により通気や撹拌を加えることも
できる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30
〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹
拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質転換体
を培養する際、培地としては、例えば、バークホールダ
ー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、プロ
シージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オ
ブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc.
Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505(1980)〕、0.
5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A.
ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,5330(198
4)〕が挙げられる。培地のpHは約5〜8に調整する
のが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜
72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
【0028】宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換
体を培養する際、培地としては、例えば、Grace's Inse
ct Med ium〔Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),19
5,788(1962)〕に非動化した10%ウシ血清等の添加
物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約
6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約
27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌
を加える。宿主が動物細胞である形質転換体を培養する
際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清
を含むMEM培地〔サイエンス(Science),122巻,50
1(1952)〕、DMEM培地〔ヴィロロジー(Virolog
y),8巻,396(1959)〕、RPMI 1640培地〔ジャ
ーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエ
ーション(J. Amer. Med. Ass.)199巻,519(1967)〕、
199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ
・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proc. So
c. Biol. Med.),73巻,1(1950)〕などが用いられる。
pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30
℃〜40℃で約15〜72時間行ない、必要に応じて通
気や撹拌を加える。特に、CHO(dhfr-)細胞お
よびdhfr遺伝子を選択マーカーとして用いる場合、
チミジンをほとんど含まない透析ウシ胎児血清を含むD
MEM培地を用いるのが好ましい。以上のようにして、
形質転換体に本発明のタンパク質を生成せしめることが
できる。
【0029】上記培養物から本発明のタンパク質を分離
精製するには、例えば下記の方法により行なうことがで
きる。本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞から
抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるい
は細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、
リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あ
るいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により本発
明のタンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用い得
る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのタンパク
質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤
が含まれていてもよい。培養液中にタンパク質が分泌さ
れる場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体
あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このよ
うにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれ
る本発明のタンパク質の精製は、自体公知の分離・精製
法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの
公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの
溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過
法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換
クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、ア
フィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を
利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの
疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等
電点の差を利用する方法などが用いられる。かくして得
られる本発明のタンパク質が遊離体で得られた場合に
は、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって
塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には自
体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体
または他の塩に変換することができる。なお、組換え体
が産生する本発明のタンパク質を、精製前または精製後
に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に
修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去すること
もできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシ
ン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、
プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられ
る。かくして生成する本発明のタンパク質の存在または
活性は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイな
どにより検出または測定することができる。
【0030】本発明のタンパク質、その部分ペプチドま
たはそれらの塩(以下、本発明のタンパク質等と略記す
る場合がある)に対する抗体は、本発明のタンパク質、
その部分ペプチドまたはそれらの塩を認識し得る抗体で
あれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何
れであってもよい。さらには、本発明のタンパク質等に
対する抗体は、本発明のタンパク質等の活性を中和する
活性を有するものであってもよい。本発明のタンパク質
等に対する抗体は、本発明のタンパク質等を抗原として
用い、自体公知の抗体または抗血清の製造法に従って製
造することができる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のタンパク質等は、温血動物に対して投与により
抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤
とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高める
ため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイント
アジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎
に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用いられる
温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モル
モット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが挙
げられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられ
る。モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗
原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の
認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓ま
たはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞
を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル
抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血
清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化タンパク
質等と抗血清とを反応させた後、抗体に結合した標識剤
の活性を測定することにより行なうことができる。融合
操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの
方法〔ネイチャー(Nature),256巻,495 (1975)〕に従
い実施することができる。融合促進剤としては、例え
ば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィ
ルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられ
る。骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U
1、SP2/0、AP−1などの温血動物の骨髄腫細胞
などが挙げられるが、P3U1が好ましく用いられる。
用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数
との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PE
G(好ましくは、PEG1000〜PEG6000)が
約10〜80%程度の濃度で添加され、約20〜40
℃、好ましくは約30〜37℃で1〜10分間インキュ
ベートすることにより効率よく細胞融合が行われる。
【0031】モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの
スクリーニングには種々の方法が使用できるが、例え
ば、タンパク質等の抗原を直接あるいは担体とともに吸
着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドー
マ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識
した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞
がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いら
れる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノ
クローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体
またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ
培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したタ
ンパク質等を加え、固相に結合したモノクローナル抗体
を検出する方法などが挙げられる。モノクローナル抗体
の選別は、自体公知あるいはそれに準じる方法に従って
行なうことができるが、通常はHAT(ヒポキサンチ
ン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用
培地で行なうことができる。選別および育種用培地とし
ては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのよう
な培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましく
は10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI1640培
地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純
薬工業(株))あるいはハイブリドーマ培養用無血清培
地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いるこ
とができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましく
は約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好
ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸
ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清
の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にし
て測定できる。
【0032】(b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は通常のポリクローナル
抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法
〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気
泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着
法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロ
テインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により
抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的
精製法〕に従って行なうことができる。
【0033】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じ
る方法にしたがって製造することができる。例えば、免
疫抗原(タンパク質等の抗原)とキャリアー蛋白質との
複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と
同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物から本発明
のタンパク質等に対する抗体含有物を採取して、抗体の
分離精製を行なうことにより製造できる。温血動物を免
疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質と
の複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリ
アーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて
免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、ど
の様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例え
ば、ウシ血清アルブミンやウシサイログロブリン、ヘモ
シアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜2
0、好ましくは約1〜5の割合でカップルさせる方法が
用いられる。また、ハプテンとキャリアーのカプリング
には、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタル
アルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステ
ル、チオール基、ジチオピリジル基を含有する活性エス
テル試薬等が用いられる。縮合生成物は、温血動物に対
して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、
希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を
高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロ
イントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約
2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なわれ
る。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された温
血動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取する
ことができる。抗血清中のポリクローナル抗体価の測定
は、上記ハイブリドーマ培養上清の抗体価の測定と同様
にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、
上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロ
ブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
【0034】本発明のタンパク質またはその部分ペプチ
ドをコードする塩基配列を含有するDNAまたはmRN
A(以下、本発明のDNAまたはmRNAと略記する)
に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列を有する
アンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、本発明のD
NAまたはmRNAに相補的、または実質的に相補的な
塩基配列を有し、本発明のタンパク質等の発現を抑制し
得る作用を有するオリゴヌクレオチドまたはその誘導体
であれば、いずれのアンチセンスオリゴヌクレオチドで
あってもよいが、例えばアンチセンスDNA、アンチセ
ンスRNAなどがあげられ、なかでもアンチセンスDN
Aが好ましい。本発明のDNAまたはmRNAに実質的
に相補的な塩基配列とは、例えば、本発明のDNAまた
はmRNAに相補的な塩基配列(すなわち、本発明のD
NAの相補鎖)の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約
90%以上、好ましくは約95%以上の相同性を有する
塩基配列などが挙げられる。特に、本発明のDNAまた
はmRNAの相補鎖の全塩基配列うち、本発明のタンパ
ク質等のN末端部位をコードする部分の塩基配列(例え
ば、開始コドン付近の塩基配列など)の相補鎖と約90
%以上、好ましくは約95%以上の相同性を有するアン
チセンスオリゴヌクレオチドが好適である。アンチセン
スオリゴヌクレオチドは通常、10〜40個程度、好ま
しくは15〜30個程度の塩基から構成される。ヌクレ
アーゼなどの加水分解酵素による分解を防ぐために、ア
ンチセンスオリゴヌクレオチドを構成するヌクレオチド
のリン酸残基(ホスフェート)の全てまたは一部は、例
えばホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホ
ロジチオエートなどの化学修飾リン酸残基に置換されて
いてもよい。これらのアンチセンスオリゴヌクレオチド
は、自体公知の方法、例えばDNA合成装置などを用い
て製造することができる。
【0035】本発明のタンパク質は、そのアミノ酸配列
において、例えばリボヌクレオチドレダクターゼ(Ribo
nucleotide reductase)等の核酸代謝に関与する酵素に
相同性を有している。従って、本発明のタンパク質、そ
の部分ペプチドまたはそれらの塩は、例えば、リボヌク
レオチドレダクターゼ等の核酸代謝に関与する酵素活性
を有している可能性がある。従って、生体内での(1)
リボヌクレオチドレダクターゼ等の酵素量を減少させる
か、または(2)リボヌクレオチドレダクターゼ等の酵
素活性を阻害することによりDNA合成経路を制御で
き、これにより抗癌剤・放射線治療の効果を高めること
が期待できる。さらに後述の実施例2で得られたTP5
3R2Hは抗癌剤・放射線治療時に発現が誘導される
為、R2よりもDNA修復に関与していると考えられ
る。よって、TP53R2Hの発現及び活性を抑えるこ
とにより、効果的な治療成績が期待できる。また、正常
細胞においてTP53R2Hに異常がある場合、DNA
損傷後のDNA修復において、デオキシリボヌクレオチ
ドの供給が不完全な為に正常に行われず、DNA stabi
lity が減少し癌になりやすい可能性があると考えられ
ることから、診断の面でもTP53R2Hが利用できる
と考えられる。以下に、本発明のタンパク質もしくはそ
の塩、またはその部分ペプチドもしくはその塩(以下、
本発明のタンパク質等と略記する)、本発明のタンパク
質等をコードするDNA(以下、本発明のDNAと略記
する)、本発明のタンパク質等に対する抗体(以下、本
発明の抗体と略記する)およびアンチセンスオリゴヌク
レオチドの用途を説明する。
【0036】(1)医薬 本発明のタンパク質等または本発明のDNAは、例え
ば、リボヌクレオチドレダクターゼ等の核酸代謝に関与
する酵素をコードする遺伝子の欠損やそれに起因する疾
病、またはその酵素活性の低下やそれに起因する疾病
(例、口腔癌、咽頭癌、口唇癌、舌癌、歯肉癌、鼻咽頭
癌、食道癌、胃癌、小腸癌、大腸癌(結腸癌も含む)、
肝臓癌、胆嚢癌、膵臓癌、鼻腔癌、肺癌、骨肉腫、軟部
組織癌、皮膚癌、黒色腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立
腺癌、精巣癌、陰茎癌、膀胱癌、腎臓癌、脳腫瘍、甲状
腺癌、リンパ腫、白血病などの癌)などの予防剤などの
医薬として有用である。例えば、生体内においてリボヌ
クレオチドレダクターゼ等の核酸代謝に関与する酵素が
減少または欠損しているために、細胞における、該酵素
活性が十分に、あるいは正常に発揮されない患者がいる
場合に、(イ)本発明のDNAを該患者に投与し、生体
内で本発明のタンパク質等を発現させることによって、
(ロ)細胞に本発明のDNAを挿入し、本発明のタンパ
ク質等を発現させた後に、該細胞を患者に移植すること
によって、(ハ)本発明のタンパク質等を該患者に投与
することなどによって、該患者における本発明のタンパ
ク質等の役割を十分に、あるいは正常に発揮させること
ができる。本発明のタンパク質等を上記の医薬として使
用する場合は、製剤化して、例えば、錠剤、糖衣錠、カ
プセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとし
て経口的に、あるいは水または水以外の薬学的に許容し
得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤と
して非経口的に使用できる。例えば、本発明のタンパク
質等を生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベ
ヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認
められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和する
ことによって製造することができる。これら製剤におけ
る有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られる
ようにすればよい。本発明のDNAを用いる場合は、該
DNAを単独またはレトロウイルスベクター、アデノウ
イルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイ
ルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套
手段に従って実施することができる。本発明のDNA
は、そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤など
の生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子
銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによっ
て投与できる。本発明のタンパク質等を上記の医薬とし
て使用する場合、少なくとも90%、好ましくは95%
以上、より好ましく98%以上、さらに好ましくは99
%以上に精製されたタンパク質等を使用するのが好まし
い。
【0037】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのなどの香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は、注射用水のようなベヒクル中の活
性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油な
どを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従っ
て処方することができる。注射用の水性液としては、例
えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等
張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、
塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液
としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶
解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール
などと併用してもよい。必要に応じ、例えば、緩衝剤
(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、
無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカ
インなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポ
リエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジ
ルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配
合して製剤化されてもよい。調製された注射液などの医
薬組成物は、通常、適当なアンプルに充填される。本発
明のDNAが挿入されたベクターも上記と同様に製剤化
され、通常、非経口的に使用される。
【0038】かくして得られる製剤は、安全で低毒性で
あるので、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、ラット、
マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウ
マ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して安全に投与するこ
とができる。本発明のタンパク質等の投与量は、対象疾
患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例
えば、癌の予防目的で本発明のタンパク質等を経口投与
する場合、成人(60kgとして)に対し、一日につき
該タンパク質等を約0.1mg〜100mg、好ましく
は約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20
mg投与する。非経口的に投与する場合は、該タンパク
質等の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても
異なるが、例えば、癌の予防目的で本発明のタンパク質
等を注射剤の形で成人(体重60kgとして)に投与す
る場合、一日につき該タンパク質等を約0.01〜30
mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好
ましくは約0.1〜10mg程度を患部に注射すること
により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、
60kg当たりに換算した量を投与することができる。
本発明のDNAも上記と同様にして使用することができ
る。
【0039】(2)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、プローブとして使用することによ
り、哺乳動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、モルモ
ット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イ
ヌ、サルなど)における本発明のタンパク質等をコード
するDNAまたはmRNA(以下、本発明のDNAまた
はmRNAと略記)の異常(遺伝子異常)を検出するこ
とができるので、例えば、本発明のDNAまたはmRN
Aの損傷、欠損、突然変異あるいは発現低下や、該DN
AまたはmRNAの増加あるいは発現過多などを検出す
るための遺伝子診断剤として有用である。本発明のDN
Aを用いて上記の遺伝子診断は、例えば、自体公知のノ
ーザンハイブリダイゼーション、PCR−SSCP法
〔ゲノミックス(Genomics),5巻,874-879(1989)、
プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proc.
Natl. Acad. Sci. USA),第86巻,2766-2770(198
9)〕などにより実施することができる。例えば、ノー
ザンハイブリダイゼーションにより該mRNAの発現低
下が検出された場合は、例えば、癌などの疾病である
か、または将来罹患する可能性が高いと診断することが
できる。一方、ノーザンハイブリダイゼーションにより
癌患者で該mRNAの発現過多が検出された場合は、抗
癌剤、放射線治療に抵抗性のある癌である可能性が高い
と診断することができる。また、PCR−SSCP法に
よりDNAの突然変異が検出された場合は、例えば、癌
などの疾病であるか、または将来罹患する可能性が高い
と診断することができる。
【0040】(3)本発明のタンパク質、その部分ペプ
チドまたはそれらの塩の定量 本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの
塩に対する抗体は、本発明のタンパク質、その部分ペプ
チドまたはそれらの塩(以下、本発明のタンパク質等と
略記する)を特異的に認識することができるので、被検
液中の本発明のタンパク質等の定量、特にサンドイッチ
免疫測定法による定量などに使用することができる。す
なわち、本発明は、(i)本発明のタンパク質等に対す
る抗体と、被検液および標識化された本発明のタンパク
質等とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化さ
れた本発明のタンパク質等の割合を測定することを特徴
とする被検液中の本発明のタンパク質等の定量法、およ
び(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体およ
び標識化された別の本発明の抗体とを同時あるいは連続
的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測
定することを特徴とする被検液中の本発明のタンパク質
等の定量法を提供する。上記(ii)の定量法において
は、一方の抗体が本発明のタンパク質等のN端部を認識
する抗体で、他方の抗体が本発明のタンパク質等のC端
部に反応する抗体であることが望ましい。
【0041】また、本発明のタンパク質等に対するモノ
クローナル抗体(以下、抗タンパク質抗体と称する場合
がある)を用いて本発明のタンパク質等の定量を行なえ
るほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。
これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、
また、抗体分子のF(ab')2、Fab'、あるいはFa
b画分を用いてもよい。本発明の抗体を用いる本発明の
タンパク質等の定量法は、 特に制限されるべきもので
はなく、被測定液中の抗原量(例えば、タンパク質量)
に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を
化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の
抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出す
る測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例
えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法お
よびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異
性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好
ましい。標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤と
しては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発
光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例
えば、125I、131I、3Hまたは14Cなどが用いられ
る。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好
ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシ
ダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダー
ゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質と
しては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイ
ソチオシアネートなどが用いられる。発光物質として
は、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェ
リン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体ある
いは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用
いることもできる。
【0042】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常タンパク質あるいは酵
素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用
いる方法でもよい。担体としては、例えば、アガロー
ス、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポ
リスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹
脂、あるいはガラス等が用いられる。サンドイッチ法に
おいては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検
液を反応させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発
明のモノクローナル抗体を反応させ(2次反応)た後、
不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検
液中の本発明のタンパク質量等を定量することができ
る。1次反応と2次反応は逆の順序に行っても、また、
同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよ
い。標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じ
ることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定
法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられ
る抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を
向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用い
てもよい。本発明のサンドイッチ法による本発明のタン
パク質等の測定法においては、1次反応と2次反応に用
いられるモノクローナル抗体は、本発明のタンパク質等
の結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。
すなわち、1次反応および2次反応に用いられる抗体
は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、本発明のタ
ンパク質等のC端部を認識する場合、1次反応で用いら
れる抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認
識する抗体が用いられる。
【0043】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体
に対して競合的に反応させた後、未反応の標識抗原
(F)と抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B
/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定することに
より、被検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗
体として可溶性抗体を用い、B/F分離にはポリエチレ
ングリコールを用いるが、これ以外に前記抗体に対する
第2抗体などを用いる液相法、さらに、第1抗体として
固相化抗体を用いる固相化法、あるいは第1抗体に可溶
性抗体を用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化
法などがある。イムノメトリック法では、被検液中の抗
原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反
応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液
中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相
化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させた
後、固相と液相を分離し、いずれかの相の標識量を測定
し被検液中の抗原量を定量する。また、ネフロメトリー
では、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じ
た不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量が
僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレー
ザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好
適に用いられる。
【0044】これら個々の免疫学的測定法を本発明の定
量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のタンパク質等の測定系を構築すればよい。これらの
一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを
参照することができる〔例えば、入江 寛編「ラジオイ
ムノアッセイ〕(講談社、昭和49年発行)、入江 寛
編「続ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和54年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭
和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第
2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編
「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年
発行)、「Methods in Enzymology」 Vol. 70(Immunoche
mical Techniques(Part A))、 同書Vol. 73(Immunochem
ical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochem
ical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochem
ical Techniques(P art D:Selected Immunoassays))、
同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Mono
clonal Antibodies and General Immunoassay Method
s))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part
I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodie
s))(以上、アカデミックプレス社発行)など参照〕。以
上のようにして、本発明のタンパク質抗体を用いること
によって、本発明のタンパク質等を感度良く定量するこ
とができる。さらには、本発明の抗体を用いて本発明の
タンパク質等の濃度を定量することによって、本発明の
タンパク質等が関与する種々の疾病(例、口腔癌、咽頭
癌、口唇癌、舌癌、歯肉癌、鼻咽頭癌、食道癌、胃癌、
小腸癌、大腸癌(結腸癌も含む)、肝臓癌、胆嚢癌、膵
臓癌、鼻腔癌、肺癌、骨肉腫、軟部組織癌、皮膚癌、黒
色腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、陰茎
癌、膀胱癌、腎臓癌、脳腫瘍、甲状腺癌、リンパ腫、白
血病などの癌)の診断をすることができる。具体的に
は、癌患者で本発明のタンパク質等の濃度の増加が検出
された場合は、例えば、抗癌剤、放射線治療に抵抗性が
ある癌などの疾病の可能性が高いと診断することができ
る。また、癌患者で本発明のタンパク質等の発現を調べ
ることにより、抗癌剤への感受性を診断することもでき
る。一方、本発明のタンパク質等の濃度の減少が検出さ
れた場合は、例えば、癌などの疾病の可能性が高いと診
断することができる。このように、本発明の抗体は、上
記疾患の診断剤として有用である。さらに、本発明の抗
体は、体液や組織などの被検体中に存在する本発明のタ
ンパク質等を検出するために使用することができる。ま
た、本発明のタンパク質等を精製するために使用する抗
体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明のタンパク
質等を検出するために使用することができる。
【0045】(4)本発明の抗体を含有する医薬 本発明の抗体のうち、本発明タンパク質等に結合して本
発明タンパク質等のリボヌクレオチドレダクターゼ等の
核酸代謝に関与する酵素活性を中和することができる抗
体は、本発明のタンパク質等の該酵素活性を阻害するこ
とができるので、例えば、癌(例、口腔癌、咽頭癌、口
唇癌、舌癌、歯肉癌、鼻咽頭癌、食道癌、胃癌、小腸
癌、大腸癌(結腸癌も含む)、肝臓癌、胆嚢癌、膵臓
癌、鼻腔癌、肺癌、骨肉腫、軟部組織癌、皮膚癌、黒色
腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、陰茎
癌、膀胱癌、腎臓癌、脳腫瘍、甲状腺癌、リンパ腫、白
血病など)などの疾病の治療剤などの医薬として使用す
ることができる。本発明の抗体を含有する上記疾患の治
療剤は、適当な剤形の医薬組成物として、哺乳動物
(例、ヒト、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど)に対して経口的または非経口的に
投与することができる。投与量は、投与対象、対象疾
患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例え
ば、成人の癌の治療のために使用する場合には、本発明
のタンパク質等のリボヌクレオチドレダクターゼ等の核
酸代謝に関与する酵素活性を中和する抗体を1回量とし
て、通常0.01〜20mg/kg体重程度、好ましく
は0.1〜10mg/kg体重程度、さらに好ましくは
0.1〜5mg/kg体重程度を、1日1〜5回程度、
好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射により投与する
のが好都合である。他の非経口投与および経口投与の場
合もこれに準ずる量を投与することができる。症状が特
に重い場合には、その症状に応じて増量してもよい。本
発明タンパク質等のリボヌクレオチドレダクターゼ等の
核酸代謝に関与する酵素活性を中和する本発明の抗体
は、それ自体または適当な医薬組成物として投与するこ
とができる。上記投与に用いられる医薬組成物は、薬理
学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含
むものである。かかる組成物は、経口または非経口投与
に適する剤形として提供される。例えば、経口投与のた
めの組成物としては、固体または液体の剤形、具体的に
は錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸
剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含
む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。か
かる組成物は自体公知の方法によって製造され、製剤分
野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤
を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤
としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネ
シウムなどが用いられる。
【0046】非経口投与のための組成物としては、例え
ば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射
剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤
などの剤形を包含する。かかる注射剤は、自体公知の方
法に従って、例えば、上記抗体を通常注射剤に用いられ
る無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化す
ることによって調製する。注射用の水性液としては、例
えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等
張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アル
コール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロ
ピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオ
ン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、HCO−50
(polyoxyethylene(50mol)adduct of hydrogenate
d castoroil)〕などと併用してもよい。油性液として
は、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助
剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを
併用してもよい。調製された注射液は、通常、適当なア
ンプルに充填される。直腸投与に用いられる坐剤は、上
記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合すること
によって調製される。上記の経口用または非経口用医薬
組成物は、活性成分の投与量に適合するような投薬単位
の剤形に調製されることが好都合である。かかる投薬単
位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤
(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞれの投薬単
位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ注射剤では
5〜100mg、その他の剤形では10〜250mgの
上記抗体が含有されていることが好ましい。なお、前記
した各組成物は、上記抗体との配合により好ましくない
相互作用を生じない限り他の活性成分を含有してもよ
い。
【0047】(5)各種疾病に対する医薬候補化合物の
スクリーニング 本発明タンパク質の酵素活性(例、リボヌクレオチドレ
ダクターゼ等の核酸代謝に関与する酵素の活性)を促進
する化合物またはその塩は、例えば、癌(例、口腔癌、
咽頭癌、口唇癌、舌癌、歯肉癌、鼻咽頭癌、食道癌、胃
癌、小腸癌、大腸癌(結腸癌も含む)、肝臓癌、胆嚢
癌、膵臓癌、鼻腔癌、肺癌、骨肉腫、軟部組織癌、皮膚
癌、黒色腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣
癌、陰茎癌、膀胱癌、腎臓癌、脳腫瘍、甲状腺癌、リン
パ腫、白血病など)などの各種疾病の予防剤などの医薬
として使用できる。一方、本発明のタンパク質の酵素活
性を阻害する化合物またはその塩は、例えば、癌(例、
口腔癌、咽頭癌、口唇癌、舌癌、歯肉癌、鼻咽頭癌、食
道癌、胃癌、小腸癌、大腸癌(結腸癌も含む)、肝臓
癌、胆嚢癌、膵臓癌、鼻腔癌、肺癌、骨肉腫、軟部組織
癌、皮膚癌、黒色腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺
癌、精巣癌、陰茎癌、膀胱癌、腎臓癌、脳腫瘍、甲状腺
癌、リンパ腫、白血病など)などの各種疾病の治療剤な
どの医薬として使用できる。したがって、本発明のタン
パク質等は、本発明のタンパク質の酵素活性を促進また
は阻害する化合物またはその塩のスクリーニングのため
の試薬として有用である。すなわち、本発明は、(i)
本発明のタンパク質等に基質を接触させた場合と(ii)
本発明のタンパク質等に基質および試験化合物を接触さ
せた場合との比較を行なうことを特徴とするリボヌクレ
オチドレダクターゼ(RR)促進剤またはRR阻害剤の
スクリーニング方法を提供する。具体的には、上記スク
リーニング方法においては、例えば、(i)と(ii)の
場合における、本発明のタンパク質等のRR活性などを
測定して、比較することを特徴とするものである。
【0048】基質としては、本発明のタンパク質等の基
質となり得るものであれば何れのものでもよく、通常、
リボヌクレオチド−2−リン酸が用いられる。リボヌク
レオチド−2−リン酸としては、放射線標識(例、
14C、3H)したリボヌクレオチドなどを用いるのが好
適である。試験化合物としては、例えば、ペプチド、タ
ンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産
物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿な
どが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であっても
よいし、公知の化合物であってもよい。上記のスクリー
ニング方法を実施するには、本発明のタンパク質等を、
スクリーニングに適したバッファーに懸濁することによ
り本発明のタンパク質等の標品を調製する。バッファー
には、pH約4〜10(望ましくは、pH約6〜8)の
リン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどの、本
発明のタンパク質等と基質との結合を阻害しないバッフ
ァーであればいずれでもよい。本発明のタンパク質等の
リボヌクレオチドレダクターゼ等の核酸代謝に関与する
酵素活性は自体公知の方法に準じて定量すればよい。例
えば、上記(ii)の場合におけるRR活性が上記(i)
の場合に比べて、約20%以上、好ましくは約30%以
上、より好ましくは約50%以上促進している場合、該
試験化合物を本発明のタンパク質等のRR活性を促進す
る化合物として選択することができる。一方、例えば、
上記(ii)の場合におけるRR活性が上記(i)の場合
に比べて、約20%以上、好ましくは約30%以上、よ
り好ましくは約50%以上阻害されている場合、該試験
化合物を本発明のタンパク質等のRR活性を阻害する化
合物として選択することができる。
【0049】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明のタンパク質等を含有するものである。本発明のスク
リーニング用キットの例としては、次の例1および例2
が挙げられる。 例1:〔スクリーニング用試薬〕 (1)測定用緩衝液 50mM Hepesバッファー(pH7.2)、6m
M ジチオスレイトール、4mM 酢酸マグネシウム、4
mM ATP、5 units/ml NDP kinas
e (2)タンパク質標品 本発明のタンパク質またはその塩 (3)基質 [14C]−CDPまたは[3H]−CDP (4)検出 液体シンチレーションカウンターで放射活性を測定す
る。 〔測定法〕100pmol[14C]−CDPまたは[3
H]−CDP、本発明のタンパク質またはその塩、50
mM Hepesバッファー(pH7.2)、6mM
ジチオスレイトール、4mM 酢酸マグネシウム、4m
M ATP、および 5 units/ml NDP k
inaseを含む反応液に試験化合物を添加し、37℃
で30分間保温した後、沸騰水浴中(100℃)で5分
間加熱する。これを90mM Hepesバッファー
(pH6.6)、10mM 塩化マグネシウム、0.2
mM dNTP、5 units Klenow fr
agment、1μg/μl DNA(サケ由来DNA
をHaeIIIで切断したもの)、および 150ng
/μl 6−mer ランダムプライマーからなる反応
液に加え室温で30分間反応させる。反応液を濾紙片
(Whatman社、DE−81)にスポットし、風乾
後5%リン酸ナトリウム溶液で3回、さらに95%エタ
ノール溶液で1回洗浄し乾燥させる。この濾紙片上の放
射活性を液体シンチレーションカウンターで測定する。 例2:〔スクリーニング用試薬〕 (1)細胞 MCF7細胞 (2)DNA損傷誘発剤 アドリアマイシン (3)リボヌクレオチドレダクターゼの基質 [3H]−CDP (4)検出 液体シンチレーションカウンターでDNAに取り込まれ
た[3H]−dCTP放射活性を測定する。 〔測定法〕MCF7細胞にアドリアマイシン(0.2μ
g/ml)を投与し、2日間培養後、L−リゾホスファ
チジルコリン処理により、細胞膜の透過性をあげる。こ
れに試験化合物を含んだ反応液を加え、[3H]−CD
Pを加え、37℃で15分間インキュベートする。セル
ハーベスターで細胞を集め、DNAに取り込まれた放射
活性を測定する。
【0050】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、試験化合物(例えば、ペプチド、タンパク、非ペプ
チド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、
植物抽出液、動物組織抽出液など)から選ばれた化合物
であり、本発明のタンパク質等のリボヌクレオチドレダ
クターゼ等の核酸代謝に関与する酵素活性を促進または
阻害する化合物である。該化合物は、新規化合物であっ
てもよいし、公知化合物であってもよい。該化合物の塩
としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機
酸)や塩基(例、アルカリ金属)などとの塩が用いら
れ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好まし
い。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩
酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機
酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マ
レイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚
酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸)との塩などが用いられる。本発明のタンパク質等の
酵素活性を阻害する化合物またはその塩は、例えば、癌
などの各種疾病に対する安全で低毒性な治療剤などの医
薬として有用である。本発明のタンパク質等の酵素活性
を促進する化合物またはその塩は、例えば、癌などの各
種疾病に対する安全で低毒性な予防剤などの医薬として
有用である。
【0051】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の医薬
として使用する場合、常套手段に従って実施することが
できる。例えば、前記した本発明のタンパク質等を含有
する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル
剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などと
することができる。このようにして得られる製剤は安全
で低毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えば、ヒ
ト、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウ
マ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投
与することができる。該化合物またはその塩の投与量
は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異は
あるが、例えば、癌治療の目的で本発明のタンパク質の
酵素活性を阻害する化合物を経口投与する場合、一般的
に成人(体重60kgとして)に対し、一日につき該化
合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜5
0mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。
非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投
与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、癌
治療の目的で本発明のタンパク質の酵素活性を阻害する
化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投
与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30m
g程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ま
しくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与す
るのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当た
りに換算した量を投与することができる。一方、癌予防
の目的で本発明のタンパク質の酵素活性を促進する化合
物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgと
して)においては、一日につき該化合物を約0.1〜1
00mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好まし
くは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する
場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患な
どによっても異なるが、例えば、癌予防の目的で本発明
のタンパク質の酵素活性を促進する化合物を注射剤の形
で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日に
つき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは
約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜1
0mg程度を静脈注射により投与するのが好都合であ
る。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を
投与することができる。
【0052】(6)アンチセンスオリゴヌクレオチドを
含有する医薬 本発明タンパク質をコードするDNAまたはmRNAに
相補的な、本発明のタンパク質等の発現を抑制すること
ができるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、生体内に
おいて上記の作用を発揮する本発明のタンパク質等の機
能を抑制することができる。したがって、該アンチセン
スオリゴヌクレオチドは、例えば、癌などの疾病の治療
剤などの医薬として使用することができる。該アンチセ
ンスオリゴヌクレオチドを上記の医薬として使用する場
合、前記した本発明のDNAを含有する各種疾病の予防
剤と同様にして製造し、哺乳動物に投与することができ
る。例えば、該アンチセンスオリゴヌクレオチドを用い
る場合、該アンチセンスオリゴヌクレオチドを単独ある
いはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクタ
ー、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクター
などの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って
投与することができる。該アンチセンスオリゴヌクレオ
チドは、そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤
などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺
伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルに
よって投与できる。さらに、該アンチセンスオリゴヌク
レオチドは、組織や細胞における本発明のDNAの存在
やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチ
ドプローブとして使用することもできる。
【0053】(7)DNA転移動物 本発明は、外来性の本発明のタンパク質等をコードする
DNA(以下、本発明の外来性DNAと略記する)また
はその変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記す
る場合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。具
体例としては、(1)本発明の外来性DNAまたはその
変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、(2)非ヒト哺乳
動物がゲッ歯動物である前記(1)記載の動物、(3)ゲ
ッ歯動物がマウスまたはラットである前記(2)記載の
動物、および(4)本発明の外来性DNAまたはその変
異DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる組換え
ベクターなどが提供される。本発明の外来性DNAまた
はその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物(以下、本発
明のDNA転移動物と略記する)は、未受精卵、受精
卵、精子およびその始原細胞を含む胚芽細胞などに対し
て、好ましくは、非ヒト哺乳動物の発生における胚発生
の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精卵細胞の
段階でかつ一般に8細胞期以前)に、リン酸カルシウム
法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集法、マイ
クロインジェクション法、パーティクルガン法、DEA
E−デキストラン法などにより目的とするDNAを転移
することによって作出することができる。また、該DN
A転移方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞など
に目的とする本発明の外来性DNAを転移し、細胞培
養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これ
ら細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞融合法により
融合させることにより本発明のDNA転移動物を作出す
ることもできる。
【0054】非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、
ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。な
かでも、病態動物モデル系の作成の面から個体発生およ
び生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ
歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57
BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6
C3F1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BA
LB/c系統,ICR系統など)またはラット(例え
ば、Wistar,SDなど)などが好ましい。哺乳動
物において発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動
物」としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどが
挙げられる。本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動
物が本来有している本発明のDNAではなく、いったん
哺乳動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。
本発明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩
基配列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、
具体的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換など
が生じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含
まれる。該異常DNAとしては、異常な本発明のタンパ
ク質を発現させるDNAを意味し、例えば、正常な本発
明のタンパク質の機能を抑制するタンパク質を発現させ
るDNAなどが用いられる。本発明の外来性DNAは、
対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物
由来のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物
に転移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現
させうるプロモーターの下流に結合したDNAコンスト
ラクトとして用いるのが一般に有利である。例えば、本
発明のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高
い本発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサ
ギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マ
ウスなど)由来のDNAを発現させうる各種プロモータ
ーの下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコン
ストラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精
卵、例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクション
することによって本発明のDNAを高発現するDNA転
移哺乳動物を作出することができる。
【0055】本発明のタンパク質の発現ベクターとして
は、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミ
ド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリ
オファージ、モロニー白血病ウィルスなどのレトロウィ
ルス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルスなど
の動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由
来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由
来のプラスミドなどが好ましく用いられる。上記のDN
A発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、
ウイルス(例、シミアンウイルス、サイトメガロウイル
ス、モロニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイ
ルス、ポリオウイルスなど)に由来するDNAのプロモ
ーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、
モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)および
鳥類(ニワトリなど)由来のプロモーター、例えば、ア
ルブミン、インスリンII、ウロプラキンII、エラス
ターゼ、エリスロポエチン、エンドセリン、筋クレアチ
ンキナーゼ、グリア線維性酸性タンパク質、グルタチオ
ンS−トランスフェラーゼ、血小板由来成長因子β、ケ
ラチンK1,K10およびK14、コラーゲンI型およ
びII型、サイクリックAMP依存タンパク質キナーゼ
βIサブユニット、ジストロフィン、酒石酸抵抗性アル
カリフォスファターゼ、心房ナトリウム利尿性因子、内
皮レセプターチロシンキナーゼ(一般にTie2と略さ
れる)、ナトリウムカリウムアデノシン3リン酸化酵素
(Na,K−ATPase)、ニューロフィラメント軽
鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタロプロティ
ナーゼ組織インヒビター1、MHCクラスI抗原(H−
2L)、H−ras、レニン、ドーパミンβ−水酸化酵
素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ポリペプチド
鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチン、αおよび
βミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2、ミエリン基
礎タンパク質、チログロブリン、Thy−1、免疫グロ
ブリン、H鎖可変部(VNP)、血清アミロイドPコン
ポーネント、ミオグロビン、トロポニンC、平滑筋αア
クチン、プレプロエンケファリンA、バソプレシンなど
のプロモーターなどが用いられる。なかでも、全身で高
発現することが可能なサイトメガロウイルスプロモータ
ー、ヒトポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)の
プロモーター、ヒトおよびニワトリβアクチンプロモー
ターなどが好適である。
【0056】上記ベクターは、DNA転移哺乳動物にお
いて目的とするmRNAの転写を終結する配列(一般に
ターミネーターと呼ばれる)を有していることが好まし
く、例えば、ウィルス由来、各種哺乳動物および鳥類由
来の各DNAの配列を用いることができ、好ましくは、
シミアンウィルスのSV40ターミネーターなどが用い
られる。その他、目的とする外来性DNAをさらに高発
現させる目的で各DNAのスプライシングシグナル、エ
ンハンサー領域、真核生物由来DNAのイントロンの一
部などをプロモーター領域の5’上流、プロモーター領
域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の3’下流 に連結す
ることも目的により可能である。正常な本発明のタンパ
ク質の翻訳領域は、各種哺乳動物(例えば、ヒト、ウサ
ギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マ
ウスなど)由来の肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞
由来DNAおよび市販の各種ゲノムDNAライブラリー
よりゲノムDNAの全てあるいは一部として、または肝
臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来mRNAより公
知の方法により調製された相補DNAを原料として取得
することが出来る。また、外来性の異常DNAは、上記
の細胞または組織より得られた正常なタンパク質の翻訳
領域を点突然変異誘発法により変異した翻訳領域を作製
することができる。該翻訳領域は転移動物において発現
しうるDNAコンストラクトとして、前記のプロモータ
ーの下流および所望により転写終結部位の上流に連結さ
せる通常の遺伝子工学的手法により作製することができ
る。受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの転
移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のすべてに
本発明の外来性DNAが存在するように確保される。D
NA転移後の作出動物の胚芽細胞において、本発明の外
来性DNAが存在することは、作出動物の後代がすべ
て、その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来
性DNAを保持することを意味する。本発明の外来性D
NAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞お
よび体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを有する。
【0057】本発明の外来性正常DNAを転移させた非
ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持
することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。受精卵細胞段階に
おける本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の
胚芽細胞および体細胞の全てに過剰に本発明の外来性D
NAが存在するように確保される。DNA転移後の作出
動物の胚芽細胞において本発明の外来性DNAが過剰に
存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞お
よび体細胞の全てに本発明の外来性DNAを過剰に有す
ることを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだ
この種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全て
に本発明の外来性DNAを過剰に有する。導入DNAを
相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、
この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該
DNAを過剰に有するように繁殖継代することができ
る。本発明の外来性正常DNAを有する非ヒト哺乳動物
は、本発明の正常DNAが高発現させられており、内在
性の正常DNAの機能を促進することにより最終的に本
発明のタンパク質の機能亢進症を発症することがあり、
その病態モデル動物として利用することができる。例え
ば、本発明の正常DNA転移動物を用いて、本発明のタ
ンパク質の機能亢進症や、本発明のタンパク質が関連す
る疾患の病態機序の解明およびこれらの疾患の治療方法
の検討を行なうことが可能である。また、本発明の外来
性正常DNAを転移した哺乳動物は、遊離した本発明の
タンパク質の増加症状を有することから、本発明のタン
パク質に関連する疾患に対する治療薬のスクリーニング
試験にも利用可能である。
【0058】一方、本発明の外来性異常DNAを有する
非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保
持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とす
る外来性DNAを前述のプラスミドに組み込んで原料と
して用いることができる。プロモーターとのDNAコン
ストラク卜は、通常の遺伝子工学的手法によって作製す
ることができる。受精卵細胞段階における本発明の異常
DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞
の全てに本発明の異常DNAが存在するように確保され
る。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明
の異常DNAが存在することは、作出動物の子孫が全て
その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常DNA
を有することを意味する。本発明の外来性DNAを受け
継いだこの種の動物の子孫は、その胚芽細胞および体細
胞の全てに本発明の異常DNAを有する。導入DNAを
相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、
この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該
DNAを有するように繁殖継代することができる。本発
明の外来性異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発
明の異常DNAが高発現させられており、内在性の正常
DNAの機能を阻害することにより最終的に本発明のタ
ンパク質の機能不活性型不応症となることがあり、その
病態モデル動物として利用することができる。例えば、
本発明の異常DNA転移動物を用いて、本発明のタンパ
ク質の機能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの
疾患を治療方法の検討を行なうことが可能である。ま
た、具体的な利用可能性としては、本発明の外来性異常
DNA高発現動物は、本発明のタンパク質の機能不活性
型不応症における本発明の異常タンパク質による正常タ
ンパク質の機能阻害(dominant negative作用)を解明
するモデルとなる。また、本発明の外来性異常DNAを
転移させた哺乳動物は、遊離した本発明のタンパク質の
増加症状を有することから、本発明のタンパク質の機能
不活性型不応症に対する治療薬スクリーニング試験にも
利用可能である。
【0059】また、上記2種類の本発明のDNA転移動
物のその他の利用可能性として、例えば、 組織培養のための細胞源としての利用、 本発明のDNA転移動物の組織中のDNAもしくはR
NAを直接分析するか、または組織中のタンパク質を分
析することによる、本発明のタンパク質により特異的に
発現あるいは活性化するタンパク質との関連性について
の解析、 本発明のDNAを有する組織からの細胞が、標準的な
組織培養技術により培養しうることがある場合の、これ
らの細胞を使用することによる、一般に培養困難な組織
からの細胞の機能の研究、 上記記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高
めるような薬剤のスクリーニング、および 本発明の変異タンパク質の単離精製およびその抗体の
作製などが考えられる。さらに、本発明のDNA転移動
物を用いて、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症
などを含む、本発明のタンパク質に関連する疾患の臨床
症状を調べることができ、また、本発明のタンパク質に
関連する疾患モデルの各臓器におけるより詳細な病理学
的所見が得られ、新しい治療方法の開発、さらには、該
疾患による二次的疾患の研究および治療に貢献すること
ができる。また、本発明のDNA転移動物から各臓器を
取り出し、細切後、トリプシンなどのタンパク質分解酵
素により、遊離したDNA転移細胞の取得、その培養ま
たはその培養細胞を株化することが可能である。さら
に、本発明のタンパク質産生細胞の特定化、核酸代謝調
節機能を調べ、それらの異常を調べることなどができ、
本発明のタンパク質およびその作用解明のための有効な
研究材料となる。さらに、本発明のDNA転移動物を用
いて、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症を含
む、本発明のタンパク質に関連する疾患の治療薬の開発
を行なうために、上述の検査法および定量法などを用い
て、有効で迅速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提
供することが可能となる。また、本発明のDNA転移動
物または本発明の外来性DNA発現ベクターを用いて、
本発明のタンパク質が関連する疾患のDNA治療法を検
討、開発することが可能である。
【0060】(8)ノックアウト動物 本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳
動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳
動物を提供する。具体例としては、(i)本発明のDN
Aが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、(ii)該
DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラ
クトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化さ
れた前記(i)項記載の胚幹細胞、(iii)ネオマイシ
ン耐性である前記(i)項記載の胚幹細胞、(iv)非ヒ
ト哺乳動物がゲッ歯動物である前記(i)項記載の胚幹
細胞、(v)ゲッ歯動物がマウスである前記(ii)項記
載の胚幹細胞、(vi)本発明のDNAが不活性化された
該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、(vii)該DNAが
レポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダ
ーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レ
ポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーター
の制御下で発現しうる前記(vi)項記載の非ヒト哺乳動
物、(viii)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である前記
(vi)項記載の非ヒト哺乳動物、(ix)ゲッ歯動物がマ
ウスである前記(viii)項記載の非ヒト哺乳動物、およ
び(x)前記(vii)項記載の動物に、試験化合物を投
与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴と
する本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進ま
たは阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法
などが提供できる。
【0061】本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明
のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの
発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしてい
る本発明のタンパク質の活性を実質的に喪失させること
により、DNAが実質的に本発明のタンパク質の発現能
を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称す
ることがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES
細胞と略記する)をいう。非ヒト哺乳動物としては、前
記と同様のものが用いられる。本発明のDNAに人為的
に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手
法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNA
を挿入または置換させることによって行なうことができ
る。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠
をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を
破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製
すればよい。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細
胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の
具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が
有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネ
オマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を
代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガ
ラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表例とする
レポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機
能を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分
に遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、poly
A付加シグナルなど)を挿入し、完全なmRNAを合成
できなくすることによって、結果的に遺伝子を破壊する
ように構築したDNA配列を有するDNA鎖(以下、タ
ーゲッティングベクターと略記する)を、例えば相同組
換え法により該動物の染色体に導入し、得られたES細
胞について本発明のDNA上あるいはその近傍のDNA
配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解
析あるいはターゲッティングベクター上のDNA配列と
ターゲッティングベクター作製に使用した本発明のDN
A以外の近傍領域のDNA配列をプライマーとしたPC
R法により解析し、本発明のノックアウトES細胞を選
別することにより得ることができる。
【0062】また、相同組換え法等により本発明のDN
Aを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述
のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知
のEvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立
したものでもよい。例えば、マウスのES細胞の場合、
現在、一般的には129系のES細胞が使用されているが、免
疫学的背景がはっきりしていないので、これに代わる純
系で免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得する
などの目的で、例えば、C57BL/6マウスやC57
BL/6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により
改善したBDF1マウス(C57BL/6とDBA/2
とのF1)を用いて樹立したものなども良好に用いう
る。BDF1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫
であるという利点に加えて、C57BL/6マウスを背
景に持つので、これを用いて得られたES細胞は病態モ
デルマウスを作出したとき、C57BL/6マウスと戻
し交配することでその遺伝的背景をC57BL/6マウ
スに代えることが可能である点で有利に用い得る。ま
た、ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日
目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵
し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の
初期胚を取得することができる。また、雌雄いずれのE
S細胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖
系列キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培
養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別
を行なうことが望ましい。ES細胞の雌雄の判定方法と
しては、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領
域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例として挙
げることができる。この方法を使用すれば、従来、核型
分析をするのに約106個の細胞数を要していたのに対
して、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済む
ので、培養初期におけるES細胞の第一次セレクション
を雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞
の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に
削減できる。
【0063】また、第二次セレクションとしては、例え
ば、G−バンディング法による染色体数の確認等により
行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常
数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の
関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウト
した後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n
=40である細胞)に再びクローニングすることが望ま
しい。このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その
増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすい
ので、注意深く継代培養することが必要である。例え
ば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上
でLIF(1−10000 U/ml)存在下に炭酸ガス培
養器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気、また
は5%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で
培養するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、ト
リプシン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリ
プシン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1
%トリプシン/1mM EDTA)処理により単一な細
胞とし、新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方
法などがとられる。このような継代は、通常1〜3日毎
に行なうが、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常
な細胞が見受けられた場合はその培養細胞は放棄するこ
とが望まれる。ES細胞は、適当な条件により、高密度
に至るまで単層培養するか、または細胞集塊を形成する
まで浮遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋な
どの種々のタイプの細胞に分化させることが可能であり
〔M. J. Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Natur
e)第292巻、154(1981);G. R. Martin プロシーデ
ィングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)
第78巻、7634(1981);T. C. Doetschman ら、ジャー
ナル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメ
ンタル・モルフォロジー(Journal of Embryology and
Experimental Morphology),第87巻,27(1985)〕、
本発明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA
発現不全細胞は、インビトロにおける重要性を検討する
上で有用である。本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動
物は、該動物のmRNA量を公知方法を用いて測定して
間接的にその発現量を比較することにより、正常動物と
区別することが可能である。該非ヒト哺乳動物として
は、前記と同様のものが用いられる。
【0064】本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティン
グベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入
し、導入によりターゲッティングベクター中の本発明の
DNAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換え
により、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上
の本発明のDNAと入れ換わることにより、本発明のD
NAをノックアウトさせることができる。本発明のDN
Aがノックアウトされた細胞は、本発明のDNA上また
はその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブ
リダイゼーション解析またはターゲッティングベクター
上のDNA配列と、ターゲッティングベクターに使用し
たマウス由来の本発明のDNA以外の近傍領域のDNA
配列とをプライマーとしたPCR法による解析で判定す
ることができる。非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用いた場合
は、遺伝子相同組換えにより、本発明のDNAが不活性
化された細胞株をクローニングし、その細胞を適当な時
期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動物胚または胚盤胞
に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺
乳動物の子宮に移植する。作出された動物は正常な本発
明のDNA座をもつ細胞と人為的に変異した本発明のD
NA座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物で
ある。該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明
のDNA座をもつ場合、このようなキメラ個体と正常個
体を交配することにより得られた個体群より、全ての組
織が人為的に変異を加えた本発明のDNA座をもつ細胞
で構成された個体を、例えば、コートカラーの判定等に
より選別することにより得られる。このようにして得ら
れた個体は、通常、本発明のタンパク質のヘテロ発現不
全個体であり、本発明のタンパク質のヘテロ発現不全個
体同志を交配し、それらの産仔から本発明のタンパク質
のホモ発現不全個体を得ることができる。卵細胞を使用
する場合は、例えば、卵細胞核内にマイクロインジェク
ション法でDNA溶液を注入することによりターゲッテ
ィングベクターを染色体内に導入したトランスジェニッ
ク非ヒト哺乳動物を得ることができ、これらのトランス
ジェニック非ヒト哺乳動物は、遺伝子相同組換えにより
本発明のDNA座に変異のあるものを選択することによ
り得られる。
【0065】このようにして本発明のDNAがノックア
ウトされている個体は、交配により得られた動物個体の
該DNAがノックアウトされていることを確認して通常
の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。さらに、
生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよ
い。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を
交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両
方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホ
モザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,
ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することに
より効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物
の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有する
ホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代
する。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物
胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を
作出する上で、非常に有用である。また、本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のタンパク質によ
り誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明
のタンパク質の生物活性の不活性化を原因とする疾病の
モデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治
療法の検討に有用である。
【0066】(9)本発明のDNAの欠損や損傷などに
起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物の
スクリーニング方法 本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のD
NAの欠損や損傷などに起因する疾病(例、口腔癌、咽
頭癌、口唇癌、舌癌、歯肉癌、鼻咽頭癌、食道癌、胃
癌、小腸癌、大腸癌(結腸癌も含む)、肝臓癌、胆嚢
癌、膵臓癌、鼻腔癌、肺癌、骨肉腫、軟部組織癌、皮膚
癌、黒色腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣
癌、陰茎癌、膀胱癌、腎臓癌、脳腫瘍、甲状腺癌、リン
パ腫、白血病などの癌)に対して治療・予防効果を有す
る化合物のスクリーニングに用いることができる。すな
わち、本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動
物に試験化合物を投与し、該動物の変化を観察・測定す
ることを特徴とする、本発明のDNAの欠損や損傷など
に起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物
またはその塩のスクリーニング方法を提供する。該スク
リーニング方法において用いられる本発明のDNA発現
不全非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが挙げ
られる。試験化合物としては、例えば、ペプチド、タン
パク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、
細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などが
挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよい
し、公知の化合物であってもよい。具体的には、本発明
のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を、試験化合物で処理
し、無処理の対照動物と比較し、該動物の各器官、組
織、疾病の症状などの変化を指標として試験化合物の治
療・予防効果を試験することができる。試験動物を試験
化合物で処理する方法としては、例えば、経口投与、静
脈注射などが用いられ、試験動物の症状、試験化合物の
性質などにあわせて適宜選択することができる。また、
試験化合物の投与量は、投与方法、試験化合物の性質な
どにあわせて適宜選択することができる。例えば、癌に
対して治療・予防効果を有する化合物をスクリーニング
する場合、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に癌
誘発処置を行ない、癌誘発処置前または処置後に試験化
合物を投与し、該動物の発癌率および生存率などを経時
的に測定する。該スクリーニング方法において、試験動
物に試験化合物を投与した場合、該試験動物の生存率が
約10%以上、好ましくは約30%以上、より好ましく
は約50%以上上昇した場合、該試験化合物を癌に対し
て治療・予防効果を有する化合物として選択することが
できる。
【0067】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物
であり、本発明のタンパク質等の欠損や損傷などによっ
て引き起こされる疾患(例、口腔癌、咽頭癌、口唇癌、
舌癌、歯肉癌、鼻咽頭癌、食道癌、胃癌、小腸癌、大腸
癌(結腸癌も含む)、肝臓癌、胆嚢癌、膵臓癌、鼻腔
癌、肺癌、骨肉腫、軟部組織癌、皮膚癌、黒色腫、乳
癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、陰茎癌、膀胱
癌、腎臓癌、脳腫瘍、甲状腺癌、リンパ腫、白血病など
の癌など)に対して治療・予防効果を有するので、該疾
患に対する安全で低毒性な治療・予防剤などの医薬とし
て使用することができる。さらに、上記スクリーニング
で得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いる
ことができる。該スクリーニング方法で得られた化合物
は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、生
理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸)や塩基
(例アルカリ金属)などとの塩が用いられ、とりわけ生
理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩と
しては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化
水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢
酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハ
ク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、
メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが
用いられる。該スクリーニング方法で得られた化合物ま
たはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のタンパ
ク質を含有する医薬と同様にして製造することができ
る。このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であ
るので、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、ラット、マ
ウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウ
マ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して安全に投与するこ
とができる。該化合物またはその塩の投与量は、対象疾
患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例
えば、癌予防の目的で該化合物を経口投与する場合、一
般的に成人(体重60kgとして)においては、一日に
つき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約
1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg
投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回
投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、
例えば、癌予防の目的で該化合物を注射剤の形で通常成
人(60kgとして)に投与する場合、一日につき該化
合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1
〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程
度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動
物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与するこ
とができる。
【0068】(10)本発明のDNAに対するプロモー
ターの活性を促進または阻害する化合物をスクリーニン
グ方法 本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、
試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出す
ることを特徴とする本発明のDNAに対するプロモータ
ーの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。上記スクリーニング方法
において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物とし
ては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入す
ることにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発
明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる
ものが用いられる。試験化合物としては、前記と同様の
ものが挙げられる。レポーター遺伝子としては、前記と
同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子
(lacZ)が好適である。本発明のDNAがレポータ
ー遺伝子で置換された本発明のDNA発現不全非ヒト哺
乳動物では、レポーター遺伝子が本発明のDNAに対す
るプロモーターの支配下に存在するので、レポーター遺
伝子がコードするタンパク質の発現をトレースすること
により、プロモーターの活性を検出することができる。
【0069】例えば、本発明のタンパク質をコードする
DNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明
のタンパク質の発現する組織で、本発明のタンパク質の
代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例
えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−
ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラク
トシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することによ
り、簡便に本発明のタンパク質の動物生体内における発
現状態を観察することができる。具体的には、本発明の
タンパク質欠損マウスまたはその組織切片をグルタルア
ルデヒドなどで固定し、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩
液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室
温または7℃付近で、約30分ないし1時間反応させた
後、組織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄す
ることによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止さ
せ、呈色を観察すればよい。また、常法に従い、lac
ZをコードするmRNAを検出してもよい。
【0070】上記スクリーニング方法を用いて得られる
化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれ
た化合物であり、本発明のDNAに対するプロモーター
活性を促進または阻害する化合物である。該スクリーニ
ング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、
該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、
無機酸、有機酸)や塩基(例、アルカリ金属)などとの
塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩
が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例
えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、ある
いは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマ
ル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リン
ゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンス
ルホン酸)との塩などが用いられる。本発明のDNAに
対するプロモーター活性を促進する化合物またはその塩
は、本発明のタンパク質の発現を促進し、該タンパク質
の機能を促進することができるので、例えば、癌(例、
口腔癌、咽頭癌、口唇癌、舌癌、歯肉癌、鼻咽頭癌、食
道癌、胃癌、小腸癌、大腸癌(結腸癌も含む)、肝臓
癌、胆嚢癌、膵臓癌、鼻腔癌、肺癌、骨肉腫、軟部組織
癌、皮膚癌、黒色腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺
癌、精巣癌、陰茎癌、膀胱癌、腎臓癌、脳腫瘍、甲状腺
癌、リンパ腫、白血病など)などの疾病に対する安全で
低毒性な予防剤などの医薬として有用である。一方、本
発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合
物またはその塩は、本発明のタンパク質の発現を阻害
し、該タンパク質の機能を阻害することができるので、
例えば、癌などの疾病に対する安全で低毒性な治療剤な
どの医薬として有用である。さらに、上記スクリーニン
グで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用い
ることができる。
【0071】該スクリーニング方法で得られた化合物ま
たはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のタンパ
ク質またはその塩を含有する医薬と同様にして製造する
ことができる。このようにして得られる製剤は、安全で
低毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、
ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、
ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して安全に投
与することができる。該化合物またはその塩の投与量
は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異は
あるが、例えば、癌治療の目的で本発明のDNAに対す
るプロモーター活性を阻害する化合物を経口投与する場
合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、
一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましく
は約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20
mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の
1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なる
が、例えば、癌治療の目的で本発明のDNAに対するプ
ロモーター活性を阻害する化合物を注射剤の形で通常成
人(60kgとして)に投与する場合、一日につき該化
合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1
〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程
度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動
物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与するこ
とができる。一方、例えば、癌予防の目的で本発明のD
NAに対するプロモーター活性を促進する化合物を経口
投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)に
おいては、一日につき該化合物を約0.1〜100m
g、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約
1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合
は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などに
よっても異なるが、例えば、癌予防の目的で本発明のD
NAに対するプロモーター活性を促進する化合物を注射
剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、
一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ま
しくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.
1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合
である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した
量を投与することができる。このように、本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAに対する
プロモーターの活性を促進または阻害する化合物または
その塩をスクリーニングする上で極めて有用であり、本
発明のDNA発現不全に起因する各種疾患の原因究明ま
たは予防・治療薬の開発に大きく貢献することができ
る。
【0072】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commission on Biochemical Nomenclature による略号
あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体
があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すもの
とする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン Y :チミンまたはシトシン N :チミン、シトシン、アデニンまたはグアニン R :アデニンまたはグアニン M :シトシンまたはアデニン W :チミンまたはアデニン S :シトシンまたはグアニン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 ADP :アデノシン二リン酸 CDP :シチジン二リン酸 GDP :グアノシン二リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム EIA :エンザイムイムノアッセイ
【0073】 GlyまたはG :グリシン AlaまたはA :アラニン ValまたはV :バリン LeuまたはL :ロイシン IleまたはI :イソロイシン SerまたはS :セリン ThrまたはT :スレオニン CysまたはC :システイン MetまたはM :メチオニン GluまたはE :グルタミン酸 AspまたはD :アスパラギン酸 LysまたはK :リジン ArgまたはR :アルギニン HisまたはH :ヒスチジン PheまたはF :フェニルアラニン TyrまたはY :チロシン TrpまたはW :トリプトファン ProまたはP :プロリン AsnまたはN :アスパラギン GlnまたはQ :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸 Xaa :未同定のアミノ酸
【0074】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブチルオキシカルボニル DNP :ジニトロフェノール Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2 ,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド TFA :トリフルオロ酢酸 DIEA :ジイソプロピルエチルアミン
【0075】本明細書の配列表の配列番号は、以下の配
列を示す。 〔配列番号:1〕本発明のタンパク質のアミノ酸配列を
示す。 〔配列番号:2〕配列番号:1で表される本発明のタン
パク質をコードするcDNAの塩基配列(ORFのみ,
1053bp)を示す。ヒト胎盤由来。 〔配列番号:3〕配列番号:1で表される本発明のタン
パク質をコードする、後述の実施例2記載のヒト胎盤由
来のcDNAの塩基配列(ORFの前後も含む,495
5bp)を示す。 〔配列番号:4〕実施例2記載のpcDNA3.1
(+)に挿入されたDNA断片の塩基配列(1081b
p)を示す。SW480由来。 〔配列番号:5〕実施例2記載のヒト由来R2のアミノ
酸配列を示す。 〔配列番号:6〕実施例2において使用したプライマー
1の塩基配列を示す。 〔配列番号:7〕実施例2において使用したプライマー
2の塩基配列を示す。 〔配列番号:8〕実施例2において使用したプライマー
3の塩基配列を示す。 〔配列番号:9〕実施例2において使用したプライマー
4の塩基配列を示す。 〔配列番号:10〕実施例2において使用したプライマ
ー5の塩基配列を示す。 〔配列番号:11〕実施例2において使用したプライマ
ー6の塩基配列を示す。 〔配列番号:12〕配列番号:1で表される本発明のタ
ンパク質をコードするcDNAの塩基配列(ORFの
み,1053bp)を示す。SW480由来。 〔配列番号:13〕実施例3において使用したプライマ
ー7の配列を示す。 〔配列番号:14〕実施例3において使用したプライマ
ー8の配列を示す。
【0076】後述の実施例5において使用したオリゴヌ
クレオチドAS3、SE3およびp53ASの配列を以
下にそれぞれ示す。 AS3:ASSSSSSSSSSSSSS
ST SE3:ASSSSSSSSSSSSSS
ST p53AS:CSSSSSSSSSSSS
SSSSSSSC いずれも、5’−および3’−末端はOH基である。上
記「S」は、ヌクレオチドの3’位と5’位とをつなぐ
P分子に、S分子が結合している(ホスホロチオエート
結合)ことを示す。後述の実施例2で得られた形質転換
体大腸菌(Escherichia coli)XL1
Blue MRF/pcDNA3.1(+)−TP5
3R2Hは、平成11年5月27日から発酵研究所(I
FO)に寄託番号 IFO16287として、平成11
年6月23日から通商産業省工業技術院生命工学工業技
術研究所(NIBH)に寄託番号 FERM BP−6
764としてそれぞれ寄託されている。
【0077】
【発明の実施の形態】以下に、実施例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定され
るものではない。なお、クローニング方法および塩基配
列の決定法などの遺伝子操作法は、公知の方法〔例え
ば、Molecular Cloning,2nd,J. Sambrook et al., Co
ld Spring Harbor Lab. Press(1989)等に記載の方
法〕に従って行った。
【0078】
【実施例】実施例1 Differential Display法 正常p53を欠失した大腸癌細胞株SW480に、La
cSwitch Expression system
(STRATAGENE社)を導入しイソプロピル ベ
ータ−D−チオガラクトピラノシドによる外因性の正常
型p53の発現制御が可能な細胞株(SW480WTp
53)を樹立した。また、コントロールとして変異型p
53の発現制御が可能な細胞株(SW480MTp5
3)も樹立した。イソプロピル ベータ−D−チオガラ
クトピラノシド添加0、8、16、24、32および4
0時間後にこれらの細胞株からm−RNAを抽出し、a
nchor primer{(GT15MC) M:m
ixture of G,A,and C)}を用いて
cDNAを合成した。これらをtemplateとし、
anchor primer{(GT15MC)M:m
ixture ofG,A,and C)}と32Pでラ
ベルした28種のarbitrary primer
(12mer)を組み合わせてPCRを施行し、電気泳
動でバンドを分離後オートラジオグラフィーでバンドパ
ターンを検出した。その結果、正常型p53の発現誘導
に伴って、発現量が増加する新規p53標的遺伝子断片
(cDNA fragment)を検出した為、このバ
ンドを切り出し、cDNA断片を抽出後1st PCR
と同条件で2nd PCR、3rd PCRを行った。
3rd PCRを行った後、cDNA断片をpT7 B
lue T vector(Novagen社)と結合
し、得られたプラスミドDNAをエレクトロポレーショ
ン装置(Biorad社)を用いて、大腸菌XL1 B
lue MRF株に導入し、形質転換体(クローン)を
得た。この形質転換体からランダムに5個のクローンを
選択しプラスミドを精製後シークエンサー(appli
ed Biosystem社;ABI377)を用いて
挿入部分の塩基配列を決定した。
【0079】実施例2 TP53R2H遺伝子の単離 実施例1で得られた配列についてEST検索を行い、伸
長した配列を元にプライマー1、プライマー2を作製
し、イソプロピル ベータ−D−チオガラクトピラノシ
ド添加0、8、16、24、32および40時間後のS
W480WTp53からm−RNAを抽出し、olig
o(dT)12−18primerを用いて合成したc
DNAをtemplateとし、RT−PCRを施行
し、TP53R2Hの発現誘導を確認した。さらに上記
のPCR産物から作製したプローブを用いて施行したN
orthern blot analysis(sam
pleは上記m−RNA)でもこのcDNA断片の発現
誘導を確認し、転写産物の大きさは約5.5kbである
ことが確認された。同プローブを用いてヒト骨格筋由来
cDNAライブラリー(106 plaques)をス
クリーニングし、4368bpのcDNA断片を得た。
Marathon cDNA Amplificati
on Kit(Clontech社)を用いて5’RA
CE法により5’側の伸長を行った。該伸長反応はヒト
胎盤由来 m−RNA(Clontech社)からMa
rathon cDNA Amplification
Kit(Clontech社)を用い作製したcDNA
をtemplateとして行った。プライマー3とプラ
イマーAP1(前記のMarathon cDNA A
mplification Kit に付属)を用いて
1st.PCRを行い、プライマー4とプライマーAP
2(前記のMarathon cDNA Amplif
ication Kit に付属)を用いて2nd.P
CRを行った結果、5’側に587bp伸長し、合計4
955bpの塩基配列を有するcDNA断片が得られ
た。この4955bpのcDNA配列中には351個の
アミノ酸をコードする1053bpのORF(Open
Reading Frame)が見出された(〔図
1〕〜〔図3〕)。そのアミノ酸配列の相同性検索を行
ったところ、該アミノ酸配列はヒト由来のリボヌクレオ
チドレダクターゼの小サブユニット(R2)と約80%
の相同性が認められた〔図4〕。得られた4955bp
の塩基配列のうち、1053bpのORFを有するcD
NA断片を以下の手順で大腸菌にクローニングし、形質
転換体Escherichia coli XL1 B
lue MRF/pcDNA3.1(+)−TP53R
2Hを得た。まず、前述の1053bpの塩基配列に相
補的で、各々異なる制限酵素認識部位(Eco RIと
Xho I)を持つ2種の合成プライマー5およびプラ
イマー6を公知の方法により合成した。プライマー5と
プライマー6を使用し、イソプロピル ベータ−D−チ
オガラクトピラノシド添加40時間後のSW480WT
p53のm−RNAから作製したcDNAをtempl
ateとし、RT−PCR反応を行い、PCR増幅断片
を得た。これをEco RIとXho Iで切断した後、
プラスミドベクターpcDNA3.1(+)を同制限酵
素で切断した部位に挿入し、プラスミドpcDNA3.
1(+)−TP53R2Hを得た。こうして得られたプ
ラスミドpcDNA3.1(+)−TP53R2Hを大
腸菌XL1 Blue MRFに導入し、形質転換体E
scherichia coli XL1 Blue
MRF/pcDNA3.1(+)−TP53R2Hを得
た。
【0080】実施例3 DNA損傷によるp53依存的なTP53R2Hの発現
誘導の確認 正常p53を持つ正常ヒト繊維芽細胞株NHDFならび
に乳癌細胞株MCF7、および正常p53が欠失してい
る大腸癌細胞株SW480ならびに肺癌細胞株H129
9を10cmシャーレに1×106個ずつ播き、24時
間後にDNA損傷(γ線照射14Gy)を与えた。γ線
照射後0、6、12、24および48時間後に細胞を回
収し、m−RNAを抽出し、オリゴ(dT)をプライマ
ーとして用いた逆転写酵素反応によりcDNAを作製
し、それらをtemplateとし、プライマー1とプ
ライマー2とを用いてTP53R2Hの経時的発現量の
変化を、プライマー7とプライマー8とを使用してR2
の経時的発現量の変化をRT−PCRでそれぞれ調べ
た。その結果、TP53R2Hは、SW480およびH
1299ではほとんど発現が認められず、NHDFおよ
びMCF7でのみ経時的に発現量が増加していた。R2
の発現量は、SW480およびH1299では変化がな
く、NHDFおよびMCF7では経時的に低下してい
た。〔図5〕
【0081】実施例4 TP53R2H発現誘導時のリボヌクレオチドレダクタ
ーゼ活性を介したDNA修復実験 DNA損傷を与えた細胞内で、リボヌクレオチドレダク
ターゼを介して[3H]−CDPを[3H]−dCTPに
変換し、障害を受けたDNAが取り込んだ[3H]−d
CTPの放射活性を測定することにより、リボヌクレオ
チドレダクターゼ活性を介したDNA修復活性を求め
た。MCF7を10cmシャーレに1×106個まき、
24時間後に細胞にDNA損傷(γ線照射14Gy)を
与え、0、6、24および48時間後に細胞を回収し
た。この細胞を溶液A〔150mM sucrose,
80mM KCl,35mM Hepes(pH7.
4),5mM potassium phosphate
(pH7.4),5mM MgCl2,0.5mM Ca
Cl2〕で洗った後、0.25mg/ml lysole
cithinを含む溶液Aで4℃、1分間処理した。処
理した細胞から5×105個の細胞をとり、300μl
の溶液B〔50mM Hepes (pH7.4), 10
mM MgCl2,8mM dithiothreito
l,0.06mMFeCl3,7.5mM potass
iumphosphate(pH7.4),0.75m
M CaCl2,10mM phosphoenol py
ruvate,0.2mM [3H]−CDP,0.2m
M GDP,0.2mM ADP,0.2mM dTD
P,2mM ATP〕を加え37℃で10分間反応させ
た。反応液に60μlの溶液C(60% percho
lic acid,0.1% sodium pyrop
hosphate)を加え、氷上で15分間インキュベ
ートし、1mlの蒸留水を加えた後7000rpmで遠
心しDNAを得た。このDNAに100μlの0.2N
NaOHを加え、37℃で30分間インキュベートし
た後、溶液Cを20μl加え、氷上で15分間インキュ
ベートした後、遠心操作を繰り返した。得られたDNA
に75μlの0.2N NaOHを加え37℃で30分
間インキュベートした後、5mlのAQUASOL−2
(PACKARD)と混合し、Aloka LSC−5
100液体シンチレーションカウンターで放射活性を測
定した。その結果、MCF7では、実施例3でTP53
R2Hの発現誘導の確認できたDNA損傷後、経時的に
DNA修復活性が上昇していることが確認された。一
方、正常p53が欠失し、TP53R2Hの発現が誘導
されないH1299を用いて行った同様の実験では、D
NA修復活性の上昇はわずかであった。〔図6〕
【0082】実施例5 アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたTP53R2
H抑制実験 アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてTP53R2
Hの発現を抑えた時のリボヌクレオチドレダクターゼ活
性を介したDNA修復活性を調べた。MCF7を10c
mシャーレに2×106個まき、24時間後にリポフェ
クチン試薬(GIBCO BRL)を用いて添付プロト
コールに従い、TP53R2Hのアンチセンスオリゴヌ
クレオチド(AS3)、センスオリゴヌクレオチド(S
E3)、p53のアンチセンスオリゴヌクレオチド(p
53AS)を導入し、4時間後に細胞にDNA損傷(γ
線照射14Gy)を与え、0、24および48時間後に
細胞を回収した。以下、上記実施例4に準じ、DNA修
復活性を測定した。その結果、TP53R2Hの発現を
アンチセンスオリゴヌクレオチド(AS3)にて抑える
と、DNA修復活性が低下することが確認された。また
p53のアンチセンスオリゴヌクレオチド(p53A
S)にてp53の発現を抑えても、DNA修復活性が低
下することが確認された。〔図7〕 さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてTP
53R2Hの発現を抑え、DNA損傷を与えた時の短期
的および長期的細胞生存率を測定した。MCF7を10
cmシャーレに2×106個まき、24時間後にリポフ
ェクチン試薬を用いてp53R2のアンチセンスオリゴ
ヌクレオチド(AS3)、センスオリゴヌクレオチド
(SE3)、p53のアンチセンスオリゴヌクレオチド
(p53AS)を導入し、その4時間後に細胞にDNA
損傷(γ線照射3または14Gy、adriamyci
n 0.2μg/ml、UV 10J/m2処理)を与え
た。短期的生存率を調べるために、DNA損傷後即座に
細胞をはがし、6穴プレートに3×105個になるよう
播き直し、6日目まで毎日細胞数を計測した。長期的生
存率を調べるために、DNA損傷後10cmプレートに
1×104個または1×103個で播き直し、3週間後に
直径1mm以上のコロニー数を計測し百分率で表した。
その結果、短期的および長期的ともに、アンチセンスオ
リゴヌクレオチド(AS3)によりTP53R2Hの発
現を抑えると、DNA損傷に対し感受性があがり細胞死
がおこり易くなることが確認された。同様の結果が、p
53アンチセンスオリゴヌクレオチド(p53AS)を
用いた場合でも認められた。〔表1および図8〕 以下の表1は、実施例5で得られたアンチセンスオリゴ
ヌクレオチドを用いてTP53R2Hの発現を抑え、D
NA損傷を与えた時の長期的細胞生存率を示す。
【表1】
【0083】実施例6 TP53R2Hのstable transforma
ntを用いた細胞障害実験 H1299を用いてTP53R2Hのstable t
ransformantを作製しTP53R2Hを強発
現させた場合のDNA損傷に対する影響を調べた。1×
106個のH1299にTransIT−LT1(Mi
rus)を用いて添付プロトコールに従い、pcDNA
3.1(+)−TP53R2HまたはpcDNA3.1
(+)を導入し、ジェネティシン(GIBCO BR
L)によりTP53R2HまたはpcDNA3.1
(+)導入細胞株を選択した。これらの細胞株にDNA
損傷(adriamycin 0.2μg/ml)を与
えた後、0および48時間後に細胞を回収した。回収し
た細胞をPBSで洗い、70%エタノールで固定した
後、propidium iodideでDNAを染色
し、常法に従いFACScanを施行した。その結果、
TP53R2Hを強発現したH1299では、DNA損
傷(adriamycin 0.2μg/ml)に対す
る感受性が下がり細胞死が抑制される(G2/M ar
restを引き起こしている)ことが確認された。〔図
9〕
【0084】
【発明の効果】本発明のタンパク質、その部分ペプチド
またはそれらの塩は、例えば、リボヌクレオチドレダク
ターゼなどの核酸代謝を触媒する酵素活性を有している
ため、本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそ
れらの塩、および本発明のタンパク質またはその部分を
コードするDNAは、例えば、癌などの疾患の治療剤、
予防剤などの医薬として有用である。さらに、本発明の
DNAは、本発明のDNAの発現異常を検出することが
できるので、癌などの疾患の遺伝子診断剤として有用で
ある。本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそ
れらの塩に対する抗体は、本発明のタンパク質、その部
分ペプチドまたはそれらの塩を特異的に認識することが
できるので、被検液中の本発明のタンパク質等の定量な
どに使用することができる。さらに、本発明のタンパク
質、その部分ペプチドまたはそれらの塩は、本発明のタ
ンパク質の活性を促進または阻害する化合物またはその
塩をスクリーニングするための試薬として有用である。
【0085】
【配列表】 <110> Yusuke NAKAMURA; Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> New Protein and its DNA <130> B00145 <150> JP 11-181131 <151> 1999-06-28 <150> JP 11-192391 <151> 1999-07-06 <150> JP 2000-017770 <151> 2000-01-21 <160> 14 <210> 1 <211> 351 <212> PRT <213> Homo sapiens <220> <223> <400> 1 Met Gly Asp Pro Glu Arg Pro Glu Ala Ala Gly Leu Asp Gln Asp Glu 1 5 10 15 Arg Ser Ser Ser Asp Thr Asn Glu Ser Glu Ile Lys Ser Asn Glu Glu 20 25 30 Pro Leu Leu Arg Lys Ser Ser Arg Arg Phe Val Ile Phe Pro Ile Gln 35 40 45 Tyr Pro Asp Ile Trp Lys Met Tyr Lys Gln Ala Gln Ala Ser Phe Trp 50 55 60 Thr Ala Glu Glu Val Asp Leu Ser Lys Asp Leu Pro His Trp Asn Lys 65 70 75 80 Leu Lys Ala Asp Glu Lys Tyr Phe Ile Ser His Ile Leu Ala Phe Phe 85 90 95 Ala Ala Ser Asp Gly Ile Val Asn Glu Asn Leu Val Glu Arg Phe Ser 100 105 110 Gln Glu Val Gln Val Pro Glu Ala Arg Cys Phe Tyr Gly Phe Gln Ile 115 120 125 Leu Ile Glu Asn Val His Ser Glu Met Tyr Ser Leu Leu Ile Asp Thr 130 135 140 Tyr Ile Arg Asp Pro Lys Lys Arg Glu Phe Leu Phe Asn Ala Ile Glu 145 150 155 160 Thr Met Pro Tyr Val Lys Lys Lys Ala Asp Trp Ala Leu Arg Trp Ile 165 170 175 Ala Asp Arg Lys Ser Thr Phe Gly Glu Arg Val Val Ala Phe Ala Ala 180 185 190 Val Glu Gly Val Phe Phe Ser Gly Ser Phe Ala Ala Ile Phe Trp Leu 195 200 205 Lys Lys Arg Gly Leu Met Pro Gly Leu Thr Phe Ser Asn Glu Leu Ile 210 215 220 Ser Arg Asp Glu Gly Leu His Cys Asp Phe Ala Cys Leu Met Phe Gln 225 230 235 240 Tyr Leu Val Asn Lys Pro Ser Glu Glu Arg Val Arg Glu Ile Ile Val 245 250 255 Asp Ala Val Lys Ile Glu Gln Glu Phe Leu Thr Glu Ala Leu Pro Val 260 265 270 Gly Leu Ile Gly Met Asn Cys Ile Leu Met Lys Gln Tyr Ile Glu Phe 275 280 285 Val Ala Asp Arg Leu Leu Val Glu Leu Gly Phe Ser Lys Val Phe Gln 290 295 300 Ala Glu Asn Pro Phe Asp Phe Met Glu Asn Ile Ser Leu Glu Gly Lys 305 310 315 320 Thr Asn Phe Phe Glu Lys Arg Val Ser Glu Tyr Gln Arg Phe Ala Val 325 330 335 Met Ala Glu Thr Thr Asp Asn Val Phe Thr Leu Asp Ala Asp Phe 340 345 350 <210> 2 <211> 1053 <212> DNA <213> Homo sapiens <220> <223> <400> 2 ATGGGCGACC CGGAAAGGCC GGAAGCGGCC GGGCTGGATC AGGATGAGAG ATCATCTTCA 60 GACACCAACG AAAGTGAAAT AAAGTCAAAT GAAGAGCCAC TCCTAAGAAA GAGTTCTCGC 120 CGGTTTGTCA TCTTTCCAAT CCAGTACCCT GATATTTGGA AAATGTATAA ACAGGCACAG 180 GCTTCCTTCT GGACAGCAGA AGAGGTCGAC TTATCAAAGG ATCTCCCTCA CTGGAACAAG 240 CTTAAAGCAG ATGAGAAGTA CTTCATCTCT CACATCTTAG CCTTTTTTGC AGCCAGTGAT 300 GGAATTGTAA ATGAAAATTT GGTGGAGCGC TTTAGTCAGG AGGTGCAGGT TCCAGAGGCT 360 CGCTGTTTCT ATGGCTTTCA AATTCTCATC GAGAATGTTC ACTCAGAGAT GTACAGTTTG 420 CTGATAGACA CTTACATCAG AGATCCCAAG AAAAGGGAAT TTTTATTTAA TGCAATTGAA 480 ACCATGCCCT ATGTTAAGAA AAAAGCAGAT TGGGCCTTGC GATGGATAGC AGATAGAAAA 540 TCTACTTTTG GGGAAAGAGT GGTGGCCTTT GCTGCTGTAG AAGGAGTTTT CTTCTCAGGA 600 TCTTTTGCTG CTATATTCTG GCTAAAGAAG AGAGGTCTTA TGCCAGGACT CACTTTTTCC 660 AATGAACTCA TCAGCAGAGA TGAAGGACTT CACTGTGACT TTGCTTGCCT GATGTTCCAA 720 TACTTAGTAA ATAAGCCTTC AGAAGAAAGG GTCAGGGAGA TCATTGTTGA TGCTGTCAAA 780 ATTGAGCAGG AGTTTTTAAC AGAAGCCTTG CCAGTTGGCC TCATTGGAAT GAATTGCATT 840 TTGATGAAAC AGTACATTGA GTTTGTAGCT GACAGATTAC TTGTGGAACT TGGATTCTCA 900 AAGGTTTTTC AGGCAGAAAA TCCTTTTGAT TTTATGGAAA ACATTTCTTT AGAAGGAAAA 960 ACAAATTTCT TTGAGAAACG AGTTTCAGAG TATCAGCGTT TTGCAGTTAT GGCAGAAACC 1020 ACAGATAACG TCTTCACCTT GGATGCAGAT TTT 1053 <210> 3 <211> 4955 <212> DNA <213> Homo sapiens <220> <223> <400> 3 GGCTGGCCGA AGTTAGGCGG AGCCCCGAGG CGGGGGAGGC GGGGCCGGGC CGGCGCAGGG 60 AGAGTCACTC AATGGACAGG CGAGAAAGCA GGACCGGCGC GGCGGGGCGG GGCCGGCCGA 120 GTCCCTAGAG CTGGGGGCGG GGCGGACCCA GCGGACCAGC GGACCACCTG GGTGCTGTCG 180 TAGTTGGAGG TGGCCTGAGG AGCTCAGTTC CCTCAGCGCC CGTAGCTTCG GCGGAGTCTG 240 CGCGATGGGC GACCCGGAAA GGCCGGAAGC GGCCGGGCTG GATCAGGATG AGAGATCATC 300 TTCAGACACC AACGAAAGTG AAATAAAGTC AAATGAAGAG CCACTCCTAA GAAAGAGTTC 360 TCGCCGGTTT GTCATCTTTC CAATCCAGTA CCCTGATATT TGGAAAATGT ATAAACAGGC 420 ACAGGCTTCC TTCTGGACAG CAGAAGAGGT CGACTTATCA AAGGATCTCC CTCACTGGAA 480 CAAGCTTAAA GCAGATGAGA AGTACTTCAT CTCTCACATC TTAGCCTTTT TTGCAGCCAG 540 TGATGGAATT GTAAATGAAA ATTTGGTGGA GCGCTTTAGT CAGGAGGTGC AGGTTCCAGA 600 GGCTCGCTGT TTCTATGGCT TTCAAATTCT CATCGAGAAT GTTCACTCAG AGATGTACAG 660 TTTGCTGATA GACACTTACA TCAGAGATCC CAAGAAAAGG GAATTTTTAT TTAATGCAAT 720 TGAAACCATG CCCTATGTTA AGAAAAAAGC AGATTGGGCC TTGCGATGGA TAGCAGATAG 780 AAAATCTACT TTTGGGGAAA GAGTGGTGGC CTTTGCTGCT GTAGAAGGAG TTTTCTTCTC 840 AGGATCTTTT GCTGCTATAT TCTGGCTAAA GAAGAGAGGT CTTATGCCAG GACTCACTTT 900 TTCCAATGAA CTCATCAGCA GAGATGAAGG ACTTCACTGT GACTTTGCTT GCCTGATGTT 960 CCAATACTTA GTAAATAAGC CTTCAGAAGA AAGGGTCAGG GAGATCATTG TTGATGCTGT 1020 CAAAATTGAG CAGGAGTTTT TAACAGAAGC CTTGCCAGTT GGCCTCATTG GAATGAATTG 1080 CATTTTGATG AAACAGTACA TTGAGTTTGT AGCTGACAGA TTACTTGTGG AACTTGGATT 1140 CTCAAAGGTT TTTCAGGCAG AAAATCCTTT TGATTTTATG GAAAACATTT CTTTAGAAGG 1200 AAAAACAAAT TTCTTTGAGA AACGAGTTTC AGAGTATCAG CGTTTTGCAG TTATGGCAGA 1260 AACCACAGAT AACGTCTTCA CCTTGGATGC AGATTTTTAA AAAACCTCTC GTTTTAAAAC 1320 TCTATAAACT TGTCATTGGT AAATAGTAGT CTATTTTCCT CTGCTTAAAA AAAATTTTAA 1380 GTATATCCTT TAAAGGACTG GGGGTTTGCT CAAAAGGAAA TCCAAAACCT ATTCTAAACA 1440 ATTTGCATTT ATATAATTTT CCTGTTTAAC AACAAGAGTG TGACCTAAAT GCTTTTGTCT 1500 TGTCACTGAA ATAAAAGATG GCATTATGTG GTTAAGAGCA TGGGGCGAGG GGTCAGACAT 1560 GAGTCTAAGG TTCTGCCCTT ACTCCAGTGT GTGACCCTTG GCAAGTCAGT TAATCTTGGT 1620 AAACCTCGGT GTACTTATCT TTAAAATGGG AGTAATAGTA GGTCCTAAAT TCATAGAGTG 1680 GATATTAGGA TTAGGATGCA AAAATAAATG CTTAACCAAC ACTACTACTG TTAGCACCAC 1740 TACTAATTAT CATTCATTGA TAATATTAAT TGCAATGATG TTGTAATAAA ATACTCTCAT 1800 TTCCTTAAAA TAATTGTGAT TCTAGGTCCT AGGATCTAGA ATTAGATCTT TGTATTTTTA 1860 ATGCTTAGGG GAAGAATATA AGTATCTCCT TAAAAAGAAC ATAATTCTCA TTCACGCAAG 1920 AATAAGTTCT TTGAATTCCT TAGTATGTAG TGAAGAAAAT TTAGTTGTTA GTTGCTTTGG 1980 GAAGCCTACT TATGGAGTGG AAACCAGGAG GTTATCATGG TAGTTGACCT TGTAAGAAAA 2040 ATGATTCTTC TTCAGAAATT AAAAACATAA CTATTGCCAG ATTTAGCTCT GGAATGTTTA 2100 GAATCAGGCT AGAATAGCAT TTTCCAAAGA ATATTCTAAG AGCTATTAGC TCCTCTAGAT 2160 ATTTTGTTGG GGGAAAAAGG GGATTCTGTG GTCAGATGAG TTTGGGAAAT GCTGAACACT 2220 TCATTCTTCT TTAGCAAGTA CAGTCAGTAC ATCAAAGACT GAGCAGTTCA GTGGTACATA 2280 AATTTATCTC GCCCTGCATA TTCCCAACAT ACTTAACACA GATGTTTTTT ACCTGTTAAC 2340 ATCTCACCCA GCTAGTGTTC CTCAGAACAA AGATTGGAAA AAGCTGGCCG AGAACCATTT 2400 ATACATAGAG GAAGGGCTTA CGGACTGAGA AAGGGAGAAC ATGGTAGGGA TTATTGAATC 2460 ATTTCAAATT TATACCAAGC CTGAATAGTG TACCAGCAAT TGACTTAGGC TGTGTTTCTT 2520 TATGGTTTTA AAACTCTTGA GCTGTTATAA GAGATAGTTC TTTTAATGTG ACTATGCAAC 2580 ATGATAGCCA ATGGTGAGGG AAAAGGAGGT TTCTCTAGAA GAGTCTGATG AAAGGCCGGG 2640 AACCAAGGTT TTTGAGAAGT CTGCCCCTAT TTATTTTTAG TAAGTATCAA GAGGTAGCCT 2700 GAGCCTAGTT AGAGTTAGAC CTGTCTTTGG ATGAAGAAGT CTTAATACTG AAATACTGAA 2760 TTTTTAATAC ATTATTATTT GGTATTCTGT ATACCCCTTC AAGCAGTTGT TTCCCATTCC 2820 CAACAAACTG TACTTTATAC AATTCTGGAT GCTAAAACTT AGAGATTTTC TCTTTGCATA 2880 AATTTTGGCT CCATTCTTTC CATAACAATC TAATCAAAAC TGGGAGTTCT CAAGTGAATG 2940 CAAAAGGAGC AGGCCATAAC TTTATTTGTT AGAGACACTG TCAGAAACTT GAGATCTTTT 3000 GGCCTATGAT AATACCATTA ATTTTTGCAT TGCTTCAGTT TGCCAAGTGT TTTTACATCA 3060 TCTCATTTGA TCTCAAAACA GCTTGACAGA GCAACTGTTA TTGAAATATT ACAGATGGAA 3120 AGAATGAGGC TCAGGGAAGT TAAATGACTT GGCCAAGATC TGCTCATCGT CACTGTCTGT 3180 ACAGTATTTT TTTTTAGAGG TTGTAATGTC TCAGATTTAG TCCTTTACCA TCTATGTTGA 3240 TTTGCTTTTG TCTATTTCCT CATTAATTGA ATATACTTTA AATATATATA TTAAAGTATC 3300 AAAATATAGA GAGACATTTG AACTGTATTC AGGTAATATG TTTAAAGATA TTTATATATT 3360 GCCATACAAA AACTTAACAT TTAAAACTGA TAATATCTGT AATGACATCA GAATGAAAGA 3420 AAAAAAATTG TACAGTGTAT ATTCCTTTGT TTTGAATCCA AATCTTTTTC ATAGGTAATG 3480 ACAGATGCCT TAATGTGAAG CTTATTTATA ATAGCAATAA ACCTAACTGG ATTTGGATGA 3540 AGAAGTCTTA ATACTGACAT ACTGGATTTT TAATGCACTG GTTTGTTATT TGGTATTCTA 3600 TCTCTTTTTC CAGGCCTCCA GGTTGCACAT TTATTTATTA TGTTCAATAC TTTGGTTCTT 3660 AGTTCTTAAA GAATCAAGAA GTTGTGTAAT CTTTTAAAAA TATTATCTTG CAGATAAAGA 3720 AAAAAATTAA GAGTGTGTTT ACAACTGTTT TCTCTTTTTT ACAGTACATG TATTTAAATC 3780 ATTGCTATAA TAAAGTTAAG TTCATTAGGA ATATAAAAAC TTGCAGTTCT ATGATAGATT 3840 GCATTTATTA AAAATGTTTC ATTGTATCAC ATAGAAATAT GGCCAGGAAG GACTTGAGAA 3900 GACAGTTTGA TCCATTGCTT TTAGACAGGA CTGGGTTTTG CTGTCCAATT ATATACAATA 3960 ATAGTTTTTC TTACAACTAA GCTGGCCCCA GCCTTGTCTT GATATTAATA CATGAAATTT 4020 TTATAATTGT CTCATTGTCT CATTTAGAAA CATCCATATT TTTCTGCTTT TTCTATTGCC 4080 ATTTTTTATT TGTGCATGAA TTGATTATTG AGAAAATGTA GCAGTTTGCA TATTTAAAAA 4140 TTAATCATTT TGCATTTTAC ATTTAAATAT GCTAACATCG CTGTCATAGA ATTCCCAAAT 4200 TTCATTTGTA GATACTGAAC TAAGGGCTAA TGTCAGGAGC TGATTTTTAA TGATAAAGCT 4260 GCAGATGGGC TAAATAAAAG CCAAATTAAT CCTACAATCA GGTATTATGT TTTTAAACCA 4320 AGTTGAGTGA ATTGGTAGTG GACTTGGGAA ATCTTCCCCA GCAGAATCTG GATGAATGGC 4380 ACAGAATTGA AATCTCTTTG TTTCCCACCA TTTCCCTTTA AGTGCTCTGC TCCTTTGTAA 4440 AAAGTTAAAG ATTTGAAAGA GAATCTCATA TTCCCGAGGC ATTAGGAAGA AAGGATTTAA 4500 TCCCTTCAAT TTGGGGCTTA ATCTTGTTTA AAAAAATGTA AGTGAAGATG GAAGGCTGGA 4560 GAGAATGATT GCTTTTTGTA CAGTTAAATA AGGTCACAAT ATTCTTACAT ACTTTGTTTT 4620 ACAACTGTGT TTTCATTTTT TCAAATGTCT GGCCATTTAG CAAAGTTATT TACTATTTAC 4680 TGTGTACATA GAAAGGTTTA TTATGTGTGG TGTATCTAAA TTTTTTTTTG CTGAAATACA 4740 TTATGGTCAA TCAAGCCAAG CCTGCATGTA CAGAATTTGT TTTTTTTTCA AATAAATTAG 4800 TTGTTTTCTT ATTTTTTTGG CTTAGTATGT TGAAATAAAC TATGGTATCT TCATCATTTT 4860 GTACATTTCC TTTTTGAGGA AGGTTTCTTT ATAAGTGCAA GGGCTACCCT AATAAAGGAA 4920 TGTATATACT TACAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAA 4955 <210> 4 <211> 1081 <212> DNA <213> Homo sapiens <220> <223> <400> 4 GAATTCCAGA CCGTGCATCA TGGGCGACCC GGAAAGGCCG GAAGCGGCCG GGCTGGATCA 60 GGATGAGAGA TCATCTTCAG ACACCAACGA AAGTGAAATA AAGTCAAATG AAGAGCCACT 120 CCTAAGAAAG AGTTCTCGCC GGTTTGTCAT CTTTCCAATC CAGTACCCTG ATATTTGGAA 180 AATGTATAAA CAGGCACAGG CTTCCTTCTG GACAGCAGAA GAGGTTGACT TATCAAAGGA 240 TCTCCCTCAC TGGAACAAGC TTAAAGCAGA TGAGAAGTAC TTCATCTCTC ACATCTTAGC 300 CTTTTTTGCA GCCAGTGATG GAATTGTAAA TGAAAATTTG GTGGAGCGCT TTAGTCAGGA 360 GGTGCAGGTT CCAGAGGCTC GCTGTTTCTA TGGCTTTCAA ATTCTCATCG AGAATGTTCA 420 CTCAGAGATG TACAGTTTGC TGATAGACAC TTACATCAGA GATCCCAAGA AAAGGGAATT 480 TTTATTTAAT GCAATTGAAA CCATGCCCTA TGTTAAGAAA AAAGCAGATT GGGCCTTGCG 540 ATGGATAGCA GATAGAAAAT CTACTTTTGG GGAAAGAGTG GTGGCCTTTG CTGCTGTAGA 600 AGGAGTTTTC TTCTCAGGAT CTTTTGCTGC TATATTCTGG CTAAAGAAGA GAGGTCTTAT 660 GCCAGGACTC ACTTTTTCCA ATGAACTCAT CAGCAGAGAT GAAGGACTTC ACTGTGACTT 720 TGCTTGCCTG ATGTTCCAAT ACTTAGTAAA TAAGCCTTCA GAAGAAAGGG TCAGGGAGAT 780 CATTGTTGAT GCTGTCAAAA TTGAGCAGGA GTTTTTAACA GAAGCCTTGC CAGTTGGCCT 840 CATTGGAATG AATTGCATTT TGATGAAACA GTACATTGAG TTTGTAGCTG ACAGATTACT 900 TGTGGAACTT GGATTCTCAA AGGTTTTTCA GGCAGAAAAT CCTTTTGATT TTATGGAAAA 960 CATTTCTTTA GAAGGAAAAA CAAATTTCTT TGAGAAACGA GTTTCAGAGT ATCAGCGTTT 1020 TGCAGTTATG GCAGAAACCA CAGATAACGT CTTCACCTTG GATGCAGATT TTTAACTCGA 1080 G 1081 <210> 5 <211> 389 <211> PRT <213> Homo sapiens <220> <223> <400> 5 Met Leu Ser Leu Arg Val Pro Leu Ala Pro Ile Thr Asp Pro Gln Gln 1 5 10 15 Leu Gln Leu Ser Pro Leu Lys Gly Leu Ser Leu Val Asp Lys Glu Asn 20 25 30 Thr Pro Pro Ala Leu Ser Gly Thr Arg Val Leu Ala Ser Lys Thr Ala 35 40 45 Arg Arg Ile Phe Gln Glu Pro Thr Glu Pro Lys Thr Lys Ala Ala Ala 50 55 60 Pro Gly Val Glu Asp Glu Pro Leu Leu Arg Glu Asn Pro Arg Arg Phe 65 70 75 80 Val Ile Phe Pro Ile Glu Tyr His Asp Ile Trp Gln Met Tyr Lys Lys 85 90 95 Ala Glu Ala Ser Phe Trp Thr Ala Glu Glu Val Asp Leu Ser Lys Asp 100 105 110 Ile Gln His Trp Glu Ser Leu Lys Pro Glu Glu Arg Tyr Phe Ile Ser 115 120 125 His Val Leu Ala Phe Phe Ala Ala Ser Asp Gly Ile Val Asn Glu Asn 130 135 140 Leu Val Glu Arg Phe Ser Gln Glu Val Gln Ile Thr Glu Ala Arg Cys 145 150 155 160 Phe Tyr Gly Phe Gln Ile Ala Met Glu Asn Ile His Ser Glu Met Tyr 165 170 175 Ser Leu Leu Ile Asp Thr Tyr Ile Lys Asp Pro Lys Glu Arg Glu Phe 180 185 190 Leu Phe Asn Ala Ile Glu Thr Met Pro Cys Val Lys Lys Lys Ala Asp 195 200 205 Trp Ala Leu Arg Trp Ile Gly Asp Lys Glu Ala Thr Tyr Gly Glu Arg 210 215 220 Val Val Ala Phe Ala Ala Val Glu Gly Ile Phe Phe Ser Gly Ser Phe 225 230 235 240 Ala Ser Ile Phe Trp Leu Lys Lys Arg Gly Leu Met Pro Gly Leu Thr 245 250 255 Phe Ser Asn Glu Leu Ile Ser Arg Asp Glu Gly Leu His Cys Asp Phe 260 265 270 Ala Cys Leu Met Phe Lys His Leu Val His Lys Pro Ser Glu Glu Arg 275 280 285 Val Arg Glu Ile Ile Ile Asn Ala Val Arg Ile Glu Gln Glu Phe Leu 290 295 300 Thr Glu Ala Leu Pro Val Lys Leu Ile Gly Met Asn Cys Thr Leu Met 305 310 315 320 Lys Gln Tyr Ile Glu Phe Val Ala Asp Arg Leu Met Leu Glu Leu Gly 325 330 335 Phe Ser Lys Val Phe Arg Val Glu Asn Pro Phe Asp Phe Met Glu Asn 340 345 350 Ile Ser Leu Glu Gly Lys Thr Asn Phe Phe Glu Lys Arg Val Gly Glu 355 360 365 Tyr Gln Arg Met Gly Val Met Ser Ser Pro Thr Glu Asn Ser Phe Thr 370 375 380 Leu Asp Ala Asp Phe 385 <210> 6 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 6 TGAACTCATC AGCAGAGATG A 21 <210> 7 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 7 CCTAATCCTA ATATCCACTC TA 22 <210> 8 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 8 TTCCCCAAAA GTAGATTTTC TATCTG 26 <210> 9 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 9 GCAAACTGTA CATCTCTGAG TGAAC 25 <210> 10 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 10 CCGGAATTCC AGACCGTGCA TCATGGGCGA CCCGGAAAGG CCG 43 <210> 11 <211> 36 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 11 CCGCTCGAGT TAAAAATCTG CATCCAAGGT GAAGAC 36 <210> 12 <211> 1053 <212> DNA <213> Homo sapiens <220> <223> <400> 12 ATGGGCGACC CGGAAAGGCC GGAAGCGGCC GGGCTGGATC AGGATGAGAG ATCATCTTCA 60 GACACCAACG AAAGTGAAAT AAAGTCAAAT GAAGAGCCAC TCCTAAGAAA GAGTTCTCGC 120 CGGTTTGTCA TCTTTCCAAT CCAGTACCCT GATATTTGGA AAATGTATAA ACAGGCACAG 180 GCTTCCTTCT GGACAGCAGA AGAGGTTGAC TTATCAAAGG ATCTCCCTCA CTGGAACAAG 240 CTTAAAGCAG ATGAGAAGTA CTTCATCTCT CACATCTTAG CCTTTTTTGC AGCCAGTGAT 300 GGAATTGTAA ATGAAAATTT GGTGGAGCGC TTTAGTCAGG AGGTGCAGGT TCCAGAGGCT 360 CGCTGTTTCT ATGGCTTTCA AATTCTCATC GAGAATGTTC ACTCAGAGAT GTACAGTTTG 420 CTGATAGACA CTTACATCAG AGATCCCAAG AAAAGGGAAT TTTTATTTAA TGCAATTGAA 480 ACCATGCCCT ATGTTAAGAA AAAAGCAGAT TGGGCCTTGC GATGGATAGC AGATAGAAAA 540 TCTACTTTTG GGGAAAGAGT GGTGGCCTTT GCTGCTGTAG AAGGAGTTTT CTTCTCAGGA 600 TCTTTTGCTG CTATATTCTG GCTAAAGAAG AGAGGTCTTA TGCCAGGACT CACTTTTTCC 660 AATGAACTCA TCAGCAGAGA TGAAGGACTT CACTGTGACT TTGCTTGCCT GATGTTCCAA 720 TACTTAGTAA ATAAGCCTTC AGAAGAAAGG GTCAGGGAGA TCATTGTTGA TGCTGTCAAA 780 ATTGAGCAGG AGTTTTTAAC AGAAGCCTTG CCAGTTGGCC TCATTGGAAT GAATTGCATT 840 TTGATGAAAC AGTACATTGA GTTTGTAGCT GACAGATTAC TTGTGGAACT TGGATTCTCA 900 AAGGTTTTTC AGGCAGAAAA TCCTTTTGAT TTTATGGAAA ACATTTCTTT AGAAGGAAAA 960 ACAAATTTCT TTGAGAAACG AGTTTCAGAG TATCAGCGTT TTGCAGTTAT GGCAGAAACC 1020 ACAGATAACG TCTTCACCTT GGATGCAGAT TTT 1053 <210> 13 <211> 17 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 13 CGCGTCCTGG CCAGCAA 17 <210> 14 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 14 CCAAGTAAGG GCACATCTTC 20
【0086】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られた本発明のタンパク質をコー
ドするDNAの塩基配列およびそれにコードされるアミ
ノ酸配列を示す(図2につづく)。
【図2】実施例2で得られた本発明のタンパク質をコー
ドするDNAの塩基配列およびそれにコードされるアミ
ノ酸配列を示す(図1のつづき、図3につづく)。
【図3】実施例2で得られた本発明のタンパク質をコー
ドするDNAの塩基配列およびそれにコードされるアミ
ノ酸配列を示す(図2のつづき)。
【図4】実施例2で得られた本発明のタンパク質とリボ
ヌクレオチドレダクターゼのアミノ酸配列上の相同性比
較を示す。
【図5】実施例3で得られたDNA損傷後のTP53R
2HおよびR2のmRNAの発現量の変化を示す。
【図6】実施例4で得られたTP53R2Hの発現誘導
時のリボヌクレオチドレダクターゼ活性を介したDNA
修復活性を示す。
【図7】実施例5で得られたアンチセンスオリゴヌクレ
オチドを用いてTP53R2Hの発現を抑えた時のリボ
ヌクレオチドレダクターゼ活性を介したDNA修復活性
を示す。
【図8】実施例5で得られたアンチセンスオリゴヌクレ
オチドを用いてTP53R2Hの発現を抑え、DNA損
傷を与えた時の短期的細胞生存率を示す。
【図9】実施例6で得られたTP53R2Hのstab
le transformantを作製しTP53R2
Hを強発現させた場合のDNA損傷に対する影響を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 C07K 16/32 4C084 A61P 35/00 16/40 4C086 43/00 111 C12N 1/15 4H045 C07K 16/32 1/19 16/40 1/21 C12N 1/15 9/02 1/19 C12P 21/02 C 1/21 21/08 5/10 G01N 33/15 Z 9/02 33/50 Z C12P 21/02 33/53 D 21/08 C12R 1:91) G01N 33/15 1:19) 33/50 (C12N 9/02 33/53 C12R 1:91) //(C12N 15/09 ZNA (C12P 21/02 C12R 1:91) C12R 1:91) (C12N 15/09 ZNA (C12P 21/08 C12R 1:19) C12R 1:91) (C12N 9/02 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:91) A61K 37/02 (C12P 21/02 37/48 C12R 1:91) C12N 5/00 A (C12P 21/08 C12R 1:91) C12R 1:91) 1:19) (72)発明者 中村 祐輔 神奈川県横浜市青葉区あざみ野1丁目17番 33号 (72)発明者 荒川 博文 東京都杉並区善福寺1丁目21番29号 (72)発明者 田中 浩史 茨城県つくば市二の宮4丁目6番地3 L M筑波学園都市404号 Fターム(参考) 2G045 AA40 BB20 CB01 DA12 DA13 DA36 FA40 FB01 FB04 GC22 4B024 AA01 AA12 BA08 BA41 CA04 CA09 CA12 DA03 DA06 EA04 GA11 HA12 HA15 4B050 CC01 DD11 LL01 LL03 4B064 AG01 AG27 CA02 CA10 CA19 CA20 CC24 DA01 DA14 4B065 AA26X AA92X AA93X AA93Y AB01 AB02 BA02 BA08 CA24 CA25 CA28 CA44 CA46 4C084 AA02 AA07 AA13 AA16 BA22 CA17 CA25 CA53 CA59 DC23 MA02 NA14 ZB262 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 MA02 MA04 NA14 ZB26 4H045 AA11 BA10 CA40 DA76 DA89 EA28 EA51 FA72 FA74

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同
    一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパ
    ク質またはその塩。
  2. 【請求項2】リボヌクレオチドレダクターゼ活性を有す
    る請求項1記載のタンパク質。
  3. 【請求項3】請求項1記載のタンパク質の部分ペプチド
    またはその塩。
  4. 【請求項4】請求項1記載のタンパク質または請求項3
    記載の部分ペプチドをコードする塩基配列を有するDN
    Aを含有するDNA。
  5. 【請求項5】配列番号:2で表される塩基配列を有する
    請求項4記載のDNA。
  6. 【請求項6】配列番号:12で表される塩基配列を有す
    る請求項4記載のDNA。
  7. 【請求項7】請求項4記載のDNAを含有する組換えベ
    クター。
  8. 【請求項8】請求項7記載の組換えベクターで形質転換
    された形質転換体。
  9. 【請求項9】請求項8記載の形質転換体を培養し、請求
    項1記載のタンパク質もしくはその塩または請求項3記
    載の部分ペプチドもしくはその塩を生成、蓄積せしめ、
    これを採取することを特徴とする請求項1記載のタンパ
    ク質もしくはその塩または請求項3記載の部分ペプチド
    もしくはその塩の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項1記載のタンパク質もしくはその
    塩または請求項3記載の部分ペプチドもしくはその塩を
    含有してなる医薬。
  11. 【請求項11】請求項4記載のDNAを含有してなる医
    薬。
  12. 【請求項12】請求項1記載のタンパク質もしくはその
    塩または請求項3記載の部分ペプチドもしくはその塩に
    対する抗体。
  13. 【請求項13】請求項12記載の抗体を含有する診断
    剤。
  14. 【請求項14】請求項1記載のタンパク質もしくはその
    塩または請求項3記載の部分ペプチドもしくはその塩を
    用いることを特徴とする請求項1記載のタンパク質また
    はその塩の酵素活性を阻害または活性化する化合物また
    はその塩のスクリーニング方法。
  15. 【請求項15】請求項1記載のタンパク質もしくはその
    塩または請求項3記載の部分ペプチドもしくはその塩を
    含有する、請求項1記載のタンパク質またはその塩の酵
    素活性を阻害または活性化する化合物またはその塩のス
    クリーニング用キット。
  16. 【請求項16】請求項14記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項15記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られる、請求項1記載のタンパク質またはその塩の酵
    素活性を阻害または活性化する化合物またはその塩。
  17. 【請求項17】請求項16記載の化合物またはその塩を
    含有してなる医薬。
  18. 【請求項18】癌の予防治療剤である請求項17記載の
    医薬。
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