明 細書 新規タンパク質およびその D NA 技術分野
' 本発明は、 新規タンパク質、 その D NA、 該タンパク質遺伝子の発現を調節 する化合物のスクリーニング方法、 該スクリーニング方法で得られる化合物、 , 該化合物を含有する医薬などに関する。 さらに詳しくは、 癌、 神経変性疾患ま たは自己免疫疾患の予防 ·治療剤などに関する。 背景技術
最近の研究の進展によって癌は複数の遺伝子変異が体細胞に蓄積し、 その結 果として細胞の増殖制御ができなくなる遺伝子の病気であることが証明されて きている。 これらのうち、 P53は、 ヒト癌で最も高頻度に異常が検出されている 癌抑制遺伝子であり、 Gl arres t , apopt os i sの誘導、 DNAに傷を受けた場合のチ エックポイント機構などの多様な生理機能を有していることが明らかにされて いる。 これらの機能は、 p53タンパク質が転写因子として作用し、 その標的遺伝 子の発現制御を行うことにより発揮されるものと考えられている。 そのため、 この P53に異常が生じる (変異型 p53) と、 上記作用が発揮されなくなり、 細胞 は癌化に進んでいくと考えられる。 一方、 p53を欠失している癌細胞に変異型 P53を導入すると、 癌細胞が軟寒天中でもコロニーを形成する、 または胆癌ヌ一 ドマウスモデルで腫瘍を形成するようになる (ネィチャージエネテイクス、 4巻、 42- 46頁、 1993年) 等の報告から、 変異型 p53は、 ただ単に正常な p53 (野生型 P53) の機能を失うだけではなく、 変異型 P53自身が、 積極的に癌化に関わって いることが示唆されている。 変異型 p53には、 変異している位置の相違によりい くつかのタイプに分かれ、 175番目のアルギニン (R) がヒスチジン (H) に置換 した変異型 P53を有する癌が、 最も予後が悪いという報告がある (キャンサーリ サーチ、 55巻、 5217 - 5221頁、 1995年) 。 さらに、 この変異型 p53も野生型 p53と 同様に、 下流遺伝子を誘導することが報告されている (オンコジーン 1-2巻、
194卜 1952頁、 1996年) 。 変異型 p53より誘導される遺伝子の中には細胞増殖、 薬 剤耐性、 アポト一シスの制御に関する遺伝子が報告されており (ジーン、 277巻、 15 - 30頁、 2001年) 、 これらの異常は癌化に密接に関与していると考えられる。 また、 P53の変異は癌のみでなく、 関節リウマチ (Semi n Ar thr i t i s Rheum 4月 号、 31 (5)巻、 299-310頁、 2002年) でも報告されている。
ヒトを含めた大部分の生物の細胞にはアポト一シス機構が備わっており、 こ れは胚発生期の形態形成、 組織の恒常性の維持、 有害 ·不要細胞の除去といつ た多彩な生命現象に関与している。 その反面、 アポトーシスの異常は、 癌や神 経変性疾患などの多くの疾患発症の原因にもなつていることから、 アポト一シ スの研究は疾患治療の面からも注目を集めている。 アポトーシスシグナルはァ ポトーシス促進に働く分子と抑制に働く分子のバランスで制御されている。 さ らに、 このシグナルに細胞増殖シグナルが関与することで、 細胞の生死が決定 されていると考えられる。 現在までに多数の細胞増殖あるいはアポトーシス制 御分子が報告されているが、 未知の制御分子の存在も考えられる。
遺伝子発現を網羅的に解析するために、 cDNAゃォリゴヌクレオチドを固定化 したマイクロアレイ法が開発され、 疾患特異的な遺伝子発現の変化を見出す技 術が普及し、 その有用性が確忍されている。 例えば、 ( 1116 1 社の661½¾ 1 システムは各種の疾患の診断や創薬標的遺伝子の発見に多用されつつある。 し かし、 GeneCh ipのプローブの多くは EST配列を基に作製されており、 その EST配 列を含む cDNAがコードするタンパク質が不明なことが多い。
新たな細胞増殖やアポトーシスの制御に関する遺伝子は、 その遺伝子の発現 亢進や発現減少に起因する種々の疾患、 例えば癌、 神経変性疾患、 自 S免疫疾 患などの予防や治療に役立つ医薬品の開発を可能にする。 これより、 ヒト由来 の新規な細胞増殖やアポトーシスの制御に関する遺伝子を見出すことが望まれ ていた。 発明の開示
本発明者らは、 上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、 癌細胞 株から新規な塩基配列を有する cDNAをクローニングすることに成功し、 それに
コードされるタンパク質が細胞増殖やアポトーシスに関係することを見出した。 本発明者は、 これらの知見に基づいて、 さらに検討を重ねた結果、 本発明を完 成するに至った。
すなわち、 本発明は、
(1) 配列番号: 1または配列番号: 29で表されるアミノ酸配列と同一も しくは実質的に同一のァミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、
( 2 ) 配列番号: 1、 配列番号: 16、 配列番号: 17または配列番号: 1 8で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質またはその塩、
( 3 ) 配列番号: 23、 配列番号: 25、 配列番号: 27または配列番号: 29で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質またはその塩、
(4) 上記 (1) 記載のタンパク質の部分ペプチドまたはその塩、
(5) 上記 (1) 記載のタンパク質または上記 (4) 記載の部分ペプチドを コ一ドするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(6) DNAである上記 (5) 記載のポリヌクレオチド、
(7) 配列番号: 2、 配列番号: 3、 配列番号: 19、 配列番号: 20また は配列番号: 21で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(8) 配列番号: 22、 配列番号: 24、 配列番号: 26、 配列番号: 28 または配列番号: 30で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(9) 上記 (5) 記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、
(10) 上記 (9) 記載の組換えべクタ一で形質転換された形質転換体、
(11) 上記 (10) 記載の形質転換体を培養し、 上記 (1) 記載のタンパ ク質または上記 (4) 記載の部分ペプチドを生成、 蓄積せしめ、 こ—れを採取す ることを特徴とする上記 (1) 記載のタンパク質もしくは上記 (4) 記載の部 分べプチドまたはその塩の製造法、
(12) 上記 (1) 記載のタンパク質もしくは上記 (4) 記載の部分べプチ ドまたはその塩を含有してなる医薬、 '
(13) 上記 (5) 記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬、
(14) 上記 (5) 記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断薬、
(15) 上記 (1) 記載のタンパク質もしくは上記 (4) 記載の部分べプチ
ドまたはその塩に対する抗体、
(16) 上記 (15) 記載の抗体を含有してなる医薬、
(17) 上記 (15) 記載の抗体を含有してなる診断薬、
(18) 上記 (5) 記載のポリヌクレオチドの塩基配列に相補的もしくは実 質的に相補的な塩基配列またはその一部を含有するポリヌクレオチド、
(19) 上記 (18) 記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬、
(20) 上記 · (1) 記載のタンパク質もしくは上記 (4) 記載の部分べプチ ドまたはその塩を用いることを特徴とする、 上記 (1) 記載のタンパク質もし くは上記 (4) 記載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進または阻害する 化合物またはその塩のスクリ一ニング方法、
(21) 上記 (1) 記載のタンパク質もしくは上記 (4) 記載の部分べプチ ドまたはその塩を含有してなる、 上記 (1) 記載のタンパク質もしくは上記
(4) 記載の部分べプチドまたはその塩の活性を促進または阻害する化合物ま' たはその塩のスクリーニング用キット、
(22) 上記 (5) 記載のポリヌクレオチドを用いることを特徴とする、 上 記 (1) 記載のタンパク質遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはそ の塩のスクリーニング方法、
(23) 上記 (5) 記載のポリヌクレオチドを含有してなる、 上記 (1) 記 載のタンパク質遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスク リーニング用キット、
(24) 上記 (15) 記載の抗体を用いることを特徴とする上記 (1) 記載 のタンパク質の定量方法、
(25) 癌の予防 ·治療剤である上記 (16) または (19) 記載の医薬、
(26) 神経変性疾患または自己免疫疾患の予防 ·治療剤である上記 ( 1 2) または (13) 記載の医薬、
(27) 癌、 神経変性疾患または自己免疫疾患の診断薬である上記 (14) または (17) 記載の診断薬、
(28) (癌細胞の) アポトーシス促進剤である上記 (16) または (1 9) 記載の医薬、
(29) (癌細胞以外の細胞の) アポトーシス抑制剤である上記 (12) ま たは (13) 記載の医薬、
(29 a) 神経変性疾患または自己免疫疾患のアポトーシス抑制剤である上 記 (12) または (13) 記載の医薬、
(30) 哺乳動物に対して、 (a) 上記 (1) 記載のタンパク質もしくはその 部分ペプチドまたはその塩の活性を阻害する化合物またその塩、 または (b) 該 タンパク質の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩の有効量を投与する ことを特徴とする癌の予防 ·治療法、
(31) 哺乳動物に対して、 (a) 上記 (1) 記載のタンパク質もしくはその 部分ペプチドまたはその塩の活性を促進する化合物またその塩、 または (b) 該 タンパク質の遺伝子の発現を促進する化合物またはその塩の有効量を投与する ことを特徴とする神経変性疾患または自己免疫疾患の予防 ·治療法、
(32) (a) 上記 (1) 記載のタンパク質もしくはその部分ペプチドまたは その塩の活性を阻害する、 または (b) 該タンパク質の遺伝子の発現を阻害する ことを特徴とする癌の予防 ·治療法、
(33) (a) 上記 (1) 記載のタンパク質もしくはその部分ペプチドまたは その塩の活性を促進する、 または (b) 該タンパク質の遺伝子の発現を促進する ことを特徴とする神経変性疾患または自己免疫疾患の予防 ·治療法、
(34) 癌の予防 ·治療剤を製造するための (a) 上記 (1) 記載のタンパク 質もしくはその部分べプチドまたはその塩の活性を阻害する化合物またその塩、 または (b) 該タンパク質の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩の使用、 (35) 神経変性疾患または自己免疫疾患の予防 ·治療剤を製造するための (a) 上記 (1) 記載のタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の活 性を促進する化合物またその塩、 または (b) 該タンパク質の遺伝子の発現を促 進する化合物またはその塩の使用などを提供する。
さらに、
(36) 上記 (20) 記載のスクリーニング方法または上記 (21) 記載の スクリーニング用キットを用いて得られる、 上記 (1) 記載のタンパク質もし くは上記 (4) 記載の部分ペプチドまたはその塩の活性を阻害する化合物また
はその塩、
(37) 上記 (20) 記載のスクリーニング方法または上記 (21) 記載の スクリーニング用キットを用いて得られる、 上記 (1) 記載のタンパク質もし くは上記 (4) 記載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進する化合物また はその塩、
(38) 上記 (36) 記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、 (39) 上記 (37) 記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、 (40) 上記 (22) 記載のスクリーニング方法または上記 (23) 記載の スクリーニング用キットを用いて得られる、 上記 (1) 記載のタンパク質遺伝 子の発現を阻害する化合物またはその塩、
(41) 上記 (22) 記載のスクリーニング方法または上記 (23) 記載の スクリーニング用キットを用いて得られる、 上記 (1) 記載のタンパク質遺伝 子の発現を促進する化合物またはその塩、
(42) 上記 (40) 記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、 (43) 上記 (41) 記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(44) 癌の予防 ·治療剤である上記 (38) または (42) 記載の医薬、 (45) 神経変性疾患または自己免疫疾患の予防 ·治療剤である上記 (3 9) または (43) 記載の医薬、
(46) 癌細胞のアポトーシス促進剤である上記 (38) または (42) 記 載の医薬、
(47) (癌細胞以外の細胞の) アポト一シス抑制剤である上記 (39) ま たは (43) 記載の医薬、
(48) 神経変性疾患または自己免疫疾患のアポ卜一シス抑制剤である上記 (39) または (43) 記載の医薬なども提供する。 発明を実施するための最良の形態
配列番号: 1または配列番号: 29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは 実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質 (以下、 本発明のタンパク 質と称することもある) は、 ヒトゃ温血動物 (例えば、 モルモット、 ラット、
マウス、 ニヮトリ、 ゥサギ、 ブタ、 ヒッジ、 ゥシ、 サルなど) の細胞 (例、 肝 細胞、 脾細胞、 神経細胞、 グリア細胞、 勝臓 細胞、 骨髄細胞、 メサンギゥム 細胞、 ランゲルハンス細胞、 表皮細胞、 上皮細胞、 杯細胞、 内皮細胞、 平滑筋 細胞、 線維芽細胞、 繊維細胞、 筋細胞、 脂肪細胞、 免疫細胞 (例、 マクロファ —ジ、 T細胞、 B細胞、 ナチュラルキラ一細胞、 肥満細胞、 好中球、 好塩基球、 好酸球、 単球) 、 巨核球、 滑膜細胞、 軟骨細胞、 骨細胞、 骨芽細胞、 破骨細胞、 乳腺細胞、 肝細胞もしくは間質細胞、 またはこれら細胞の前駆細胞、 幹細胞も しくはガン細胞など) もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、 例えば、 脳、 脳の各部位 (例、 嗅球、 扁桃核、 大脳基底球、 海馬、 視床、 視床下部、 大 脳皮質、 延髄、 小脳) 、 脊髄、 下垂体、 胃、 滕臓、 腎臓、 肝臓、 生殖腺、 甲状 腺、 胆のう、 骨髄、 副腎、 皮膚、 筋肉、 肺、 消化管 (例、 大腸、 小腸) 、 血管、 心臓、 胸腺、 脾臓、 顎下腺、 末梢血、 前立腺、 睾丸、 卵巣、 胎盤、 子宮、 骨、 関節、 骨格筋などに由来するタンパク質であってもよく、 合成タンパク質であ つても'よい。
配列番号: . 1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列として は、 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列と約 5 0 %以上、 好ましくは約 6 0 %以上、 さらに好ましくは約 7 0 %以上、 より好ましくは約 8 0 %以上、 特 に好ましくは約 9 0 %以上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有するァ ミノ酸配列などが挙げられる。
配列番号: 1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有 するタンパク質としては、 例えば、 前記の配列番号: 1で表されるアミノ酸配 列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 1で表されるアミノ酸- 配列を含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質などが好 ましい。
配列番号: 2 9で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列とし ては、 配列番号: 2 9で表されるアミノ酸配列と約 5 0 %以上、 好ましくは約 6 0 %以上、 さらに好ましくは約 7 0 %以上、 より好ましくは約 8 0 %以上、 特に好ましくは約 9 0 %以上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有する アミノ酸 S3列などが挙げられる。
配列番号: 2 9で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含 有するタンパク質としては、 例えば、 前記の配列番号: 2 9で表されるァミノ 酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 2 9で表されるァ ミノ酸配列を含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質な どが好ましい。
実質的に同質の活性としては、 例えば、 細胞増殖促進活性、 アポトーシス抑 制作用などが挙げられる。 実質的に同質とは、 それらの性質が性質的に (例、 生理学的に、 または薬理学的に) 同質であることを示す。 したがって、 細胞増 殖促進活性が同等 (例、 約 0. 01〜100倍、 好ましくは約 0. 1〜10倍、 より好まし くは 0. 5〜2倍) であることが好ましいが、 これらの活性の程度、 タンパク質の 分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
細胞増殖促進活性などの活性の測定は、 公知の方法に準じて行うことができ、 例えば、 Internat ional Journal of Cancer 88巻、 162〜171頁、 2000年に記載 の方法またはそれに準じる方法に従って測定することができる。
アポトーシス抑制作用などの活性の測定は、 公知の方法に準じて行うことが でき、 例えば、 Proceedings of the Nat ional Academy of Sc iences of the Uni ted States of America 92巻、 7162〜7166頁、 1995年に記載の方法またはそ れに準じる方法に従って測定することができる。
また、 本発明のタンパク質としては、 例えば、 (1 ) ( 配列番号: 1で表 されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例えば 1〜2 0 0個程度、 好まし くは 1〜1 0 0個程度、 好ましくは 1〜 3 0個程度、 好ましくは 1〜1 0個程 度、 さらに好ましくは数 (1〜5 ) 個) のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、 (i i) 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列に 1または 2個以上 (例えば 1〜 2 0 0個程度、 好ましくは 1〜1 0 0個程度、 好ましくは 1〜3 0個程度、 好 ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数 (1〜5 ) 個) のアミノ酸が付 加したアミノ酸配列、 (i i i) 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列に 1または 2個以上 (例えば 1〜2 0 0個程度、 好ましくは 1〜1 0 0個程度、 好ましく は 1〜3 0個程度、 好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数 (1〜 5 ) 個) のアミノ酸が揷入されたアミノ酸配列、 (iv) 配列番号: 1で表され
るアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例えば 1〜2 0 0個程度、 好ましくは 1〜1 0 0個程度、 好ましくは 1〜 3 0個程度、 好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数 (1〜5 ) 個) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された ミノ酸配列、 または (V) それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパ ク質などのいわゆるムティン、
( 2 ) (i) 配列番号: 2 9で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例 えば 1〜2 0 0個程度、 好ましくは 1〜1 0 0個程度、 好ましくは 1〜3 0個 程度、 好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数 (1〜5 ) 個) のアミ ノ酸が欠失したアミノ酸配列、 (i i) 配列番号: 2 9で表されるアミノ酸配列 に 1または 2個以上 (例えば 1〜2 O 0個程度、 好ましくは 1〜1 0 0個程度、 好ましくは 1〜3 0個程度、 好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数 ( 1〜5 ) 個) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、 (i i i) 配列番号: 2 9で 表されるアミノ酸配列に 1または 2個以上 (例えば 1〜2 0 0個程度、 好まし くは 1〜1 0 0個程度、 好ましくは 1〜 3 0個程度、 好ましくは 1〜1 0個程 度、 さらに好ましくは数 (1〜5 ) 個) のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、 (iv) 配列番号: 2 9で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例えば 1〜2 0 0個程度、 好ましくは 1〜1 0 0個程度、 好ましくは 1〜3 0個程度、 好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数 (1〜5 ) 個) のアミノ酸が 他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、 または (V) それらを組み合わせたァ ミノ酸配列を含有するタンパク質などのいわゆるムティンも含まれる。
上記のようにアミノ酸配列が挿入、 欠失または置換されている場合、 その挿 入、 欠失または置換の位置としては、 とくに限定されない。
本明細書におけるタンパク質は、 ペプチド標記の慣例に従って左端が N末端 (ァミノ末端) 、 右端が C末端 (カルボキシル末端) である。 配列番号: 1で 表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質をはじめとする、 本発明のタンパ ク質は、 C.末端が力ルポキシル基 (- C00H) 、 カルポキシレート(- C00—) 、 アミ ド (_CONH2) またはエステル (- COOR) の何れであってもよい。
ここでエステルにおける Rとしては、 例えば、 メチル、 ェチル、 n—プロピ ル、 イソプロピル、 n -ブチルなどの C ι_6アルキル基、 例えば、 シクロペンチ
ル、 シクロへキシルなどの c3—8シクロアルキル基、 例えば、 フエニル、 ひーナ フチルなどの C 6_12ァリ一ル基、 例えば、 ベンジル、 フェネチルなどのフエニル 一(:卜2アルキル基もしくはひ一ナフチルメチルなどの —ナフチルー ( 卜2アル キル基などの C 7— 14ァラルキル基、 ピバロイルォキシメチル基などが用いられる。 本発明のタンパク質が C末端以外に力ルポキシル基 (またはカルポキシレ一 ト) を有している場合、 力ルポキシル基がアミド化またはエステル化されてい るものも本発明のタンパク質に含まれる。 この場合のエステルとしては、 例え ば上記した C末端のエステルなどが用いられる。
さらに、 本発明のタンパク質には、 N末端のアミノ酸残基 (例、 メチォニン 残基) のァミノ基が保護基 (例えば、 ホルミル基、 ァセチル基などの アル カノィルなどの ァシル基など) で保護されているもの、 生体内で切断され て生成する N末端のダル夕ミン残基がピ口ダル夕ミン酸化したもの、 分子内の アミノ酸の側鎖上の置換基 (例えば- 0H、 - SH、 アミノ基、 イミダゾ一ル基、 ィ ンドール基、 グァニジノ基など) が適当な保護基 (例えば、 ホルミル基、 ァセ チル基などの C ,_6アルカノィル基などの ァシル基など) で保護されている もの、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク質な ども含まれる。
本発明のタンパク質の例としては、 例えば配列番号: 1または配列番号: 2 9で表されるァミノ酸配列を含有するタンパク質などがあげられる。 具体例と しては、 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質、 配列番 号: 1 6で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、 配列番号: 1 7で表 されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、 配列番号: 1 8で表されるァミノ 酸配列を含有するタンパク質、 配列番号: 2 3で表されるアミノ酸配列を有す るタンパク質、 配列番号: 2 5で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、 配列番号: 2 7で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、 配列番号: 2 9で表されるァミノ酸配列を含有する夕ンパク質などがあげられる。
本発明のタンパク質の部分ペプチドとしては、 前記した本発明のタンパク質 の部分ペプチドであって、 好ましくは、 前記した本発明のタンパク質と同様の 性質を有するものであればいずれのものでもよい。
例えば、 本発明のタンパク質の構成アミノ酸配列のうち少なくとも 20個以上、 好ましくは 50個以上、 さらに好ましくは 70個以上、 より好ましくは 100個以上、 最も好ましくは 200個以上のアミノ酸配列を有するペプチドなどが用いられる。 また、 本発明の部分ペプチドは、 該アミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好 ましくは、 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数 (1〜5 ) 個) のアミノ酸が 欠失し、 または、 そのアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜2 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数 (1〜5 ) 個) のアミノ酸が付加し、 または、 そのアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好 ましくは、 1〜2 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましく は数 (1〜5 ) 個) のアミノ酸が挿入され、 または、 そのアミノ酸配列中の 1 または 2個以上 (好ましくは、 1〜1 0個程度、 より好ましくは数個、 さらに 好ましくは 1〜 5個程度) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されていてもよい。 また、 本発明の部分ペプチドは C末端がカルボキシル基 (- C00H) 、 カルポキ シレート (- C00_) 、 アミド (- C0NH2) またはエステル (- C00R) の何れであつ てもよい。
さらに、 本発明の部分ペプチドには、 前記した本発明のタンパク質と同様に、 C末端以外に力ルポキシル基 (またはカルポキシレート) を有しているもの、 N末端のアミノ酸残基 (例、 メチォニン残基) のァミノ基が保護基で保護され ているもの、 N端側が生体内で切断され生成したグルタミン残基がピロダル夕 ミン酸化したもの、 分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護 されているもの、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ぺプ チドなども含まれる。 — ·
本発明の部分ペプチドは抗体作成のための抗原としても用いることができる。 本発明のタンパク質または部分ペプチドの塩としては、 生理学的に許容され る酸 (例、 無機酸、 有機酸) や塩基 (例、 アルカリ金属) などとの塩が用いら れ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好まレぃ。 この様な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リン酸、 臭化水素酸、 硫酸) との塩、 あるい は有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コハ ク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸、 メタンスルホン酸、 ベ
ンゼンスルホン酸) との塩などが用いられる。
本発明のタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩は、 前述したヒ トや温血動物の細胞または組織から自体公知のタンパク質の精製方法によって 製造することもできるし、 タンパク質をコードする D N Aを含有する形質転換 体を培養することによつても製造することができる。 また、 後述のペプチド合 成法に準じて製造することもできる。
ヒトゃ哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、 ヒトゃ哺乳動物の組織 または細胞をホモジナイズした後、 酸などで抽出を行ない、 該抽出液を逆相ク 口マトグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー を組み合わせることにより精製単離することができる。
本発明のタンパク質もしくは部分ペプチドまたはその塩、 またはそのアミド 体の合成には、 通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることができる。 その ような樹脂としては、 例えば、 'クロロメチル樹脂、 ヒドロキシメチル樹脂、 ベ ンズヒドリルァミン樹脂、 アミノメチル樹脂、 4 _ベンジルォキシベンジルァ ルコール樹脂、 4一メチルベンズヒドリルァミン樹脂、 P AM樹脂、 4—ヒド ロキシメチルメチルフエニルァセトアミドメチル樹脂、 ポリアクリルアミド樹 脂、 4一 (2 ', 4 '—ジメトキシフエ二ルーヒドロキシメチル) フエノキシ樹脂、 4一 ( 2 ', 4 'ージメトキシフエ二ルー F m o cアミノエチル) フエノキシ樹脂 な^を挙げることができる。 このような樹脂を用い、 ά—ァミノ基と側鎖官能 基を適当に保護したアミノ酸を、 目的とするタンパク質の配列通りに、 自体公 知の各種縮合方法に従い、 樹脂上で縮合させる。 反応の最後に樹脂からタンパ ク質または部分ペプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、 さらに高希— 釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、 目的のタンパク質もし くは部分ペプチドまたはそれらのアミド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、 タンパク質合成に使用できる各種 活性化試薬を用いることができるが、 特に、 カルポジイミド類がよい。 力ルポ ジイミド類としては、 D C C、 Ν, Ν' -ジイソプロピルカルポジイミド、 Ν— ェチルー N'— ( 3—ジメチルァミノプロリル) カルポジイミドなどが用いられ る。 これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤 (例えば、 H O B t, H O〇
B t ) とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、 対称酸無水物ま たは H O B tエステルあるいは H O O B tエステルとしてあらかじめ保護アミ ノ酸の活性化を行なった後に樹脂に添加することができる。
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、 タンパク 質縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。 例え ば、 N, N—ジメチルホルムアミド, N, N—ジメチレアセトアミド, N—メ チルピロリドンなどの酸アミド類、 塩化メチレン, クロ口ホルムなどのハロゲ ン化炭化水素類、 トリフルォロエタノールなどのアルコ一ル類、 ジメチルスル ホキシドなどのスルホキシド類、 ピリジン, ジォキサン, テトラヒドロフラン などのエーテル類、 ァセトニトリル, プロピオ二トリルなどの二トリル類、 俳 酸メチル, 酢酸ェチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが 用いられる。 反応温度はタンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られ ている範囲から適宜選択され、 通常約一 2 0 t〜 5 0 °Cの範囲から適宜選択さ れる。 活性化されたアミノ酸誘導体は通常 1 . 5〜4倍過剰で用いられる。 ニン ヒドリン反応を用いたテストの結果、 縮合が不十分な場合には保護基の脱離を 行なうことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができ る。 反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、 無水酢酸またはァ セチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をァセチル化することによって、 後の反応に影響を与えないようにすることができる。
原料のァミノ基の保護基としては、 例えば、 Z、 B o c、 t一ペンチルォキ シカルポニル、 イソポルニルォキシカルポニル、 4 _メトキシベンジルォキシ 力ルポニル、 C 1 一 Z、 B r— Z、 ァダマンチルォキシカルポニル、 トリフル ォロアセチル、 フタロイル、 ホルミル、 2一二トロフエニルスルフエ二ル、 ジ フエニルホスフィノチオイル、 Fm o cなどが用いられる。
力ルポキシル基は、 例えば、 アルキルエステル化 (例えば、 メチル、 ェチル、 プロピル、 ブチル、 tーブチル、 シクロペンチル、 シクロへキシル、 シクロへ プチル、 シクロォクチル、 2—ァダマンチルなどの直鎖状、 分枝状もしくは環 状アルキルエステル化) 、 ァラルキルエステル化 (例えば、 ベンジルエステル、 4—ニト口べンジルエステル、 4—メトキシベンジルエステル、 4—クロ口べ
ンジルエステル、 ベンズヒドリルエステル化) 、 フエナシルエステル化、 ベン ジルォキシカルボニルヒドラジド化、 t—ブトキシカルポニルヒドラジド化、 トリチルヒドラジド化などによって保護することができる。
セリンの水酸基は、 例えば、 エステル化またはエーテル化によって保護する ことができる。 このエステル化に適する基としては、 例えば、 ァセチル基など の低級 (Cト 6) アルカノィル基、 ベンゾィル基などのァロイル基、 ベンジル才 キシカルポニル基、 エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導される基などが 用いられる。 また、 エーテル化に適する基としては、 例えば、 ベンジル基、 テ トラヒドロピラエル基、 t—ブチル基などである。
チロシンのフエノール性水酸基の保護基としては、 例えば、 Bz し C 12 — B z l、 2—二トロベンジル、 B r— Z、 t一ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾ一ルの保護基としては、 例えば、 To s、 4ーメトキ シ— 2, 3, 6—トリメチルベンゼンスルホニル、 DNP、 ベンジルォキシメ チル、 Bum、 Bo c、 Tr t、 Fm o cなどが用いられる。
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応する酸無 水物、 アジド、 活性エステル 〔アルコール (例えば、 ペンタクロロフエノール、 2, 4, 5 -トリクロ口フエノール、 2, 4—ジニトロフエノール、 シァノメ チルアルコール、 パラニトロフエノール、 HONB, N—ヒドロキシスクシミ ド、 N—ヒドロキシフタルイミド、 H〇B t) とのエステル〕 などが用いられ る。 原料のァミノ基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応するリン酸ァ ミドが用いられる。
保護基の除去 (脱離) 方法としては、 例えば、 ? ー黒ぁ¾ぃほ?(1ー炭素 などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、 また、 無水フッ化水素、 メタンスルホン酸、 トリフルォロメ夕ンスルホン酸、 トリフルォロ酢酸あるい はこれらの混合液などによる酸処理や、 ジィソプロピルェチルアミン、 トリエ チルァミン、 ピぺリジン、 ピぺラジンなどによる塩基処理、 また液体アンモニ ァ中ナ卜リゥムによる還元なども用いられる。 上記酸処理による脱離反応は、 一般に約一 20 C〜40°Cの温度で行なわれるが、 酸処理においては、 例えば、 ァニソール、 フエノール、 チオア二ソール、 メタクレゾール、 パラクレゾール、
ジメチルスルフィド、 1 , 4一ブタンジチオール、 1-2—エタンジチオールなど のようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。 また、 ヒスチジンのイミダゾー ル保護基として用いられる 2, 4ージニトロフエニル基はチォフエノ一ル処理 により除去され、 トリブトプアンのィンドール保護基として用いられるホルミ ル基は上記の卜 2—エタンジチオール、 1 , 4一ブタンジチオールなどの存在下 の酸処理による脱保護以外に、 希水酸化ナトリウム溶液、 希アンモニアなどに よるアルカリ処理によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、 およびその保 護基の脱離、 反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段 から適宜選択しうる。
タンパク質または部分ペプチドのアミド体を得る別の方法としては、 例えば、 まず、 カルポキシ末端アミノ酸の α—カルボキシル基をアミド化して保護した 後、 アミノ基側にペプチド (タンパク質) 鎖を所望の鎖長まで延ばした後、 該 ぺプチド鎖の Ν末端の ーァミノ基の保護基のみを除いたタンパク質または部 分ペプチドと C末端の力ルポキシル基の保護基のみを除去したタンパク質また は部分べプチドとを製造し、 これらのタンパク質またはペプチドを上記したよ うな混合溶媒中で縮合させる。 縮合反応の詳細については上記と同様である。 縮合により得られた保護タンパク質またはべプチドを精製した後、 上記方法に よりすベての保護基を除去し、 所望の粗タンパク質またはペプチドを得ること ができる。 この粗タンパク質またはペプチドは既知の各種精製手段を駆使して 精製し、 主要画分を凍結乾燥することで所望の夕ンパク質またはべプチドのァ ミド体を得ることができる。
タンパク質またはペプチドのエステル体を得るには、 例えば、 カルボキシ末 端アミノ酸の α—力ルポキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エス テルとした後、 タンパク質またはペプチドのアミド体と同様にして、 所望のタ ンパク質またはペプチドのエステル体を得ることができる。
本発明の部分べプチドまたはそれらの塩は、 自体公知のぺプチドの合成法に 従って、 あるいは本発明のタンパク質を適当なぺプチダーゼで切断することに よって製造することができる。 ペプチドの合成法としては、 例えば、 固相合成
法、 液相合成法のいずれによっても良い。 すなわち、 本発明の部分ペプチドを 構成し得る部分べプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、 生成物が 保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造する ことができる。 公知の縮合方法や保護基の脱離としては、 例えば、 以下の (i) 〜 (V) に記載された方法が挙げられる。
(i) M. Bodanszky および M.A. OndettK ペプチド ·シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York (1966年)
(ii) Schroederおよび Luebke、 ザ ·ペプチド(The Peptide), Academic Press, New York (1965年)
(iii) 泉屋信夫他、 ペプチド合成の基礎と実験、 丸善 (株) (1975年)
(iv) 矢島治明 および榊原俊平、 生化学実験講座 1、 'タンパク質の化学 IV、 205、 (1977年)
(V) 矢島治明監修、 続医薬品の開発、 第 14巻、 ペプチド合成、 広川書店 また、 反応後は通常の精製法、 例えば、 溶媒抽出,蒸留,カラムクロマトグ ラフィー ·液体ク口マトグラフィ一 ·再結晶などを組み合わせて本発明の部分 ぺプチドを精製単離することができる。 上記方法で得られる部分べプチドが遊 離体である場合は、 公知の方法あるいはそれに準じる方法によって適当な塩に 変換することができるし、 逆に塩で得られた場合は、 公知の方法あるいはそれ に準じる方法によつて遊離体または他の塩に変換することができる。
本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、 前述した本発 明のタンパク質をコードする塩基配列を含有するものであればいかなるもので あってもよい。 好ましくは DNAである。 DNAとしては、 ゲノム DNA、 ゲ ノム DN Aライブラリ一、 前記した細胞■組織由来の cDNA、 前記した細 胞 ·組織由来の c DNAライブラリ一、 合成 DNAのいずれでもよい。
ライブラリーに使用するベクターは、 バクテリオファージ、 プラスミド、 コ スミド、 ファージミドなどいずれであってもよい。 また、 前記した細胞 '組織 より totalRNAまたは mRNA画分を調製したものを用いて直接 Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction (以下、 RT-PCR法と略称する) によ つて増幅することもできる。
本発明のタンパク質をコードする DNAとしては、 例えば (1) 配列番号: 2で表される塩基配列を含有する DNA、 (2) 配列番号: 2で表される塩基 配列とハイストリンジェントな条件下でハイプリダイズする塩基配列を含有し、 前記した配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質と実質的 に同質の性質を有するタンパク質をコードする DNA、 (3) 配列番号: 28 で表される塩基配列を含有する DNA、 (4) 配列番号: 28で表される塩基 配列とハイストリンジェン卜な条件下でハイブリダィズする塩基配列を含有し、 前記した配列番号: 29で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質と実質 的に同質の性質を有するタンパク質をコ一ドする DN Aであれば何れのもので もよい。
配列番号: 2で表される塩基配列を含有する DNAとしては、 例えば配列番 号: 3で表される塩基配列を含有する DNA、 配列番号: 19で表される塩基 配列を含有する DNA、 配列番号: 20で表される塩基配列を含有する DNA、 配列番号: 21で表される塩基配列を含有する DNAなどが挙げら lる。
配列番号: 28で表される塩基配列を含有する DNAとしては、 例えば配列 番号: 22で表される塩基配列を含有する DNA、 配列番号: 24で表される 塩基配列を含有する DNA、 配列番号: 26で表される塩基配列を含有する D NA、 配列番号: 30で表される塩基配列を含有する DNAなどが挙げられる。 配列番号: 2または配列番号: 28で表される塩基配列とハイストリンジェ ントな条件下でハイブリダィズできる DNAとしては、 例えば、 配列番号: 2 または配列番号: 28で表される塩基配列と約 50%以上、 好ましくは約 6 0%以上、 さらに好ましくは約 70%以上、 より好ましくは約 80%以上、 特 に好ましくは約 90%以上、 最も好ましくは約 95%以上の相同性を有する塩 基配列を含有する DN Aなどが用いられる。 '
ハイブリダィゼ一シヨンは、 自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、 例 えば、 Molecular Cloning 2nd (J. Sambrook et al. , Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行なうことができる。 また、 市販のラ イブラリーを使用する場合、 添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうこ とができる。 より好ましくは、 ハイストリンジェン卜な条件に従って行なうこ
とができる。 .
ハイストリンジェントな条件とは、 例えば、 ナトリウム濃度が約 19〜40 mM、 好ましくは約 19〜2 OmMで、 温度が約 50〜70°C、 好ましくは約 60〜65 の条件を示す。 特に、 ナトリウム濃度が約 19 mMで温度が約 6 5 °Cの場合が ¾も好ましい。
より具体的には、 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク 質をコードする DNAとしては、 配列番号: 2で表される塩基配列を含有する DNA、 配列番号: 3で表される塩基配列を含有する DNAなどが、 配列番 号: 16で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードする DNAと しては、 配列番号: 19で表される塩基配列を含有する DNAなどが、 配列番 号: 17で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードする DNAと しては、 配列番号: 2.0で表される塩基配列を含有する DNAなどが、 配列番 号: 18で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードする DNAと しては、 配列番号: 21で表される塩基配列を含有する DNAが、 配列番号: 29で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードする DNAとして は、 配列番号: 28で表される塩基配列を含有する DNA、 配列番号: 30で 表される塩基配列を含有する DNAなどが、 配列番号: 27で表されるァミノ 酸配列を含有するタンパク質をコードする DNAとしては、 配列番号: 26で 表される塩基配列を含有する DNAなどが、 配列番号: 25で表されるァミノ 酸配列を含有するタンパク質をコードする DNAとしては、 配列番号: 24で 表される塩基配列を含有する DNAなどが、 配列番号: 23で表さ.れるァミノ 酸配列を含有するタンパク質をコードする DNAとしては、 配列番号: 22で 表される塩基配列を含有する D N Aなどが用いられる。
本発明の部分ペプチドをコードするポリヌクレオチド (例、 DNA) として は、 前述した本発明の部分ペプチドをコードする塩基配列を含有するものであ ればいかなるものであってもよい。 また、 ゲノム DNA、 ゲノム DNAライブ ラリー、 前記した細胞 '組織由来の cDNA、 前記した細胞'組織由来の cD NAライブラリ一、 合成 DNAのいずれでもよい。
本発明の部分ペプチドをコードする DNAとしては、 例えば、 配列蕃号: 2
または配列番号: 28で表される塩基配列を含有する DNAの一部分を有する DNA、 または配列番号: 2または配列番号: 28で表される塩基配列とハイ ストリンジェントな条件下でハイブリダィズする塩基配列を含有し、 本発明の タンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質をコードする DN Aの一 部分を含有する DNAなどが用いられる。
配列番号: 2または配列番号:· 28で表される塩基配列とハイブリダィズで きる DNAは、 前記と同意義を示す。
ハイプリダイゼーションの方法およびハイストリンジェントな条件は前記と 同様のものが用いられる。
本発明のタンパク質、 部分ペプチド (以下、 これらをコードする DNAのク ローニングおよび発現の説明においては、 これらを単に本発明のタンパク質と 略記する場合がある) を完全にコードする DNAのクロ一エングの手段として は、 本発明のタンパク質をコードする塩基配列の一部分を有する合成 DNAプ ライマーを用いて PC R法によって増幅するか、 または適当なベクタ一に組み 込んだ DN Aを本発明のタンパク質の一部あるいは全領域をコードする DN A 断片もしくは合成 DNAを用いて標識したものとのハイブリダィゼ一シヨンに よって選別することができる。 八イブリダィゼーシヨンの方法は、 例えば、 Molecular Cloning 2nd (J. Sambrook et al. , Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行なうことができる。 また、 市販のラ イブラリ一を使用する場合、 添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうこ とができる。
DNAの塩基配列の変換は、 PCR、 公知のキット、 例えば、 Mutan™- super Express Km (宝酒造 (株) ) 、 Mutan™- K (宝酒造 (株) ) 等を用いて、 0DA-LA PCR法、 Gapped duplex法、 Kunkel法等の自体公知の方法あるいはそれらに準じ る方法に従って行なうことができる。
クローン化されたタンパク質をコードする DN Aは目的によりそのまま、 ま たは所望により制限酵素で消化したり、 リンカ一を付加したりして使用するこ とができる。 該 DNAはその 5' 末端側に翻訳開始コドンとしての ATGを有 し、 また 3, 末端側には翻訳終止コドンとしての TAA、 TGAまたは TAG
を有していてもよい。 これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、 適当な合 成 DN Aアダプターを用いて付加することもできる。
本発明のタンパク質の発現べクタ一は、 例えば、 (ィ) 本発明のタンパク質 をコードする DNAから目的とする DNA断片を切り出し、 (口) 該 DNA断 片を適当な発現べクタ一中のプロモー夕一の下流に連結することにより製造す ることができる。
ベクターとしては、 大腸菌由来のプラスミド (例、 pBR 322, pBR 3 25, pUC 12, pUC 13) 、 枯草菌由来のプラスミド (例、 pUB 11 0, pTP 5, p C 194) 、 酵母由来プラスミド (例、 P SH 19, pSH 15) 、 λファ一ジなどのバクテリオファージ、 レトロウイルス, ワクシニア ウィルス, バキュロウィルスなどの動物ウィルスなどの他、 pAl— 11、 p XT1、 pRcZCMV、 pRc/RS V p c D N A I /N e oなどが用い られる。
本発明で用いられるプロモータ一としては、 遺伝子の発現に用いる宿主に対 応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。 例えば、 動物細胞 を宿主として用いる場合は、 SRo;プロモーター、 SV40プロモーター、 L TRプロモーター、 CMVプロモータ一、 HS V-TKプロモータ一などが挙げ られる。
これらのうち、 CMV (サイトメガロウィルス) プロモー夕一、 SRo;プロ モータ一などを用いるのが好ましい。 宿主がェシエリヒア属菌である場合は、 t r pプロモーター、 l a cプロモーター、 r e cAプロモー夕一、 λPLプ ロモ—ター、 ι ρ ρプロモータ—、 T7プロモータ一などが、 宿主がバチルス 属菌である場合は、 SPOlプロモ一夕一、 SP02プロモー夕一、 p e nP プロモー夕一など、 宿主が酵母である場合は、 PHO 5プロモーター、 PGK プロモータ一、 GAPプロモー夕一、 ADHプロモーターなどが好ましい。 宿 主が昆虫細胞である場合は、 ポリヘドリンプロモーター、 P 10プロモー夕一 などが好ましい。
発現べクタ一には、 以上の他に、 所望によりェンハンサー、 スプライシング シグナル、 ポリ A付加シグナル、 選択マ一力一、 SV40複製オリジン (以下、
S V40 o r iと略称する場合がある) などを含有しているものを用いること ができる。 選択マーカーとしては、 例えば、 ジヒドロ葉酸還元酵素 (以下、 d h f rと略称する場合がある) 遺伝子 〔メソトレキセ一ト (MTX) 耐性〕 、 アンピシリン耐性遺 f云子 (以下、 Amp1"と略称する場合がある) 、 ネオマイ シン耐性遺伝子 (以下、 Ne orと略称する場合がある、 G418耐性) 等が 挙げられる。 特に、 dh f r遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞を用いて dh f r遺伝子を選択マ一カーとして使用する場合、 目的遺伝子 チミジンを 含まない培地によっても選択できる。
また、 必要に応じて、 宿主に合ったシグナル配列を、 本発明のタンパク質の N端末側に付加する。 宿主がェシエリヒア属菌である場合は、 PhoA ·シグナル 配列、 0即 A ·シグナル配列などが、 宿主がバチルス属菌である場合は、 ひーァ ミラーゼ*シグナル配列、 サブチリシン · グナル配列などが、 宿主が酵母で ある場合は、 MF o! ·シグナル配列、 SUC2 ·シグナル配列など、 宿主が動 物細胞である場合には、 インシュリン ·シグナル配列、 α—インターフエ口 ン ·シグナル配列、 抗体分子 ·シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築された本発明のタンパク質をコードする DN Αを含有す るべクタ一を用いて、 形質転換体を製造することができる。
宿主としては、 例えば、.ェシエリヒア属菌、 バチルス属菌、 酵母、 昆虫細胞、 昆虫、 動物細胞などが用いられる。
ェシエリヒア属菌の具体例としては、 例えば、 ェシエリヒア 'コリ
(Escherichia coli) K 1-2 - DH 1 [Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 60 巻, 160 (1968)〕 , J M 103 [Nucleic Acids Research, 9巻, 309 (1981)〕 , J A221 (Journal of Molecular Biology, 120巻, 517(1978)〕 , HB 101 [Journal of Molecular Biology, 41巻, 459 (1969)〕 , C 600 [Genetics, 39 卷, 440 (1954)〕 などが用いられる。
バチルス属菌としては、 例えば、 バチルス ·サブチルス (Bacillus
subtilis) MI 114 〔Gene, 24巻, 255 (1983)〕 , 207 -21 [Journal of Biochemistry, 95巻, 87(1984)) などが用いられる。
酵母としては、 例えば、 サッカロマイセス セレピシェ (Saccharomyces
cerevisiae) AH 22 , AH22R -, NA87 - 11 A, DKD- 5D, 2 OB— 12、 シゾサッカロマイセス ボンべ (Schizosaccharoiyces pombe) N CYC 1913, NCYC 2036、 ピキア パストリス (Pichia pastoris) KM 71などが用いられる。
昆虫細胞としては、 例えば、 ウィルスが Ac NPVの場合は、 夜盗蛾の幼虫 由来株化細胞 (Spodoptera frugiperda cell; S f細胞) 、 Trichoplusia niの 中腸由来の MG1細胞、 Trichoplusia niの卵由来の High Five™細胞、
Mamestra brass icae由来の細胞または Estigmena acrea由来の細胞などが用いら れる。 ウィルスが BmNPVの場合は、 蚕由来株化細胞 (Bombyx mori N細 胞; BmN細胞) などが用いられる。 該 S f細胞としては、 例えば、 S f 9細 胞 (ATCC CRL1711) 、 S f 21細胞 (以上、 In Vivo, 13, 213-217, (1977)) な どが用いられる。
昆虫としては、 例えば、 カイコの幼虫などが用いられる 〔Nature,315 巻, 592 (1985)〕 。
動物細胞としては、 例えば、 サル細胞 COS— 7, Ve r o, チャイニーズ ハムスター細胞 CHO (以下、 CHO細胞と略記) , dh f r遺伝子欠損チヤ ィニーズハムスター細胞 CH〇 (以下、 CHO (dh f r— ) 細胞と略記) , マウス L細胞, マウス At T— 20, マウスミエ口一マ細胞, マウス ATDC 5細胞, ラット GH3, ヒト FL細胞などが用いられる。
ェシエリヒア属菌を形質転換するには、 例えば、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69巻, 2110 (1972)や Gene, 17巻, 107 (1982)などに記載の方法に従つて行なう ことができる。
バチルス属菌を形質転換するには、 例えば、 Molecular & General
Genetics, 168巻, 111 (1979)などに記載の方法に従って行なうことができる。 酵母を形質転換するには、 例えば、 Methods in Enzymology, 194巻, 182-
187 (1991)、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75巻, 1929 (1978)などに記載の方法に 従って行なうことができる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、 例えば、 Bio/Teclmology,6, 47- 55 (1988)などに記載の方法に従つて行なうことができる。
動物細胞を形質転換するには、 例えば、 細胞工学別冊 8 新細胞工学実験プ ロトコール. 263-267 (1995) (秀潤社発行) 、 Virology, 52巻, 456 (1973)に記載 の方法に従つて行なうことができる。
このようにして、 タンパク質をコードする D NAを含有する発現べクタ一で 形質転換された形質転換体を得ることができる。
宿主がェシエリヒア属菌、 バチルス属菌である形質転換体を培養する際、 培 養に使用される培地としては液体培地が適当であり、 その中には該形質転換体 の生育に必、要な炭素源、 窒素源、 無機物その他が含有せしめられる。 炭素源と しては、 例えば、 グルコース、 デキストリン、 可溶性澱粉、 ショ糖など、 窒素 源としては、 例えば、 アンモニゥム塩類、 硝酸塩類、 コーンスチープ · リカ一、 ペプトン、 カゼイン、 肉エキス、 大豆粕、 バレイショ抽出液などの無機または 有機物質、 無機物としては、 例えば、 塩化カルシウム、 リン酸二水素ナトリウ ム、 塩ィ匕マグネシウムなどが挙げられる。 また、 酵母エキス、 ビタミン類、 生 長促進因子などを添加してもよい。 培地の; p Hは約 5〜 8が望ましい。
ェシエリヒア属菌を培養する際の培地としては、 例えば、 グルコース、 カザ ミノ酸を含む M 9培地 [Journal of Experiments in Molecul ar Genet ics, 431-433, Cold Spr ing Harbor Laboratory, New York 1972) が好ましい。 ここ に必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、 例えば、 3 )3—インド リルァクリル酸のような薬剤を加えることができる。
宿主がェシエリヒア属菌の場合、 培養は通常約 1 5〜4 3 °Cで約 3〜2 4時 間行ない、 必要により、 通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、 培養は通常約 3 0 ~ 4 0 °Cで約 6〜 2 4時間 if ない、 必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、 培地としては、 例えば、 バーク ホールダー (Burkholder) 最小培地 [Proc. Nat l . Acad. Sci . USA, 77 巻, 4505 (1980)〕 や 0 . 5 %カザミノ酸を含有する S D培地 〔Proc. Nat l . Acad. Sc i. USA, 81巻, 5330 (1984)〕 が挙げられる。 培地の p Hは約 5〜 8に調整する のが好ましい。 培養は通常約 2 0 °C〜3 5 で約 2 4〜7 2時間行ない、 必要 に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する際、 培地としては、 Grace' s Insect Medium (Nature, 195, 788 (1962) ) に非動化した 1 0 %ゥシ血清 等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。 培地の p Hは約 6 . 2〜6 . 4に調整するのが好ましい。 培養は通常約 2 7 °Cで約 3〜 5日間行ない、 必要 に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、 培地としては、 例えば、 約 5〜2 0 %の胎児牛血清を含む ME M培地 [; Sc ience, 122巻, 501 (1952)〕 , DM E M培地 01(^,8巻,396 (1959)〕 , R P M I 1 6 4 0培地 〔The Journal of the American Medical Assoc iat ion 199卷, 519 (1967)〕 , 1 9 9培地
〔Pro.ceeding of the Society for the' Biological Medic ine, 73巻, 1 (1950)〕 などが用いられる。 p Hは約 6〜8であるのが好ましい。 培養は通常約 3 0 °C 〜4 0 °Cで約 1 5〜6 0時間行ない、 必要に応じて通気や撹拌を加える。
以上のようにして、 形質転換体の細胞内、 細胞膜または細胞外に本発明の夕 ンパク質を生成せしめることができる。
上記培養物から本発明のタンパク質を分離精製するには、 例えば、 下記の方 法により行なうことができる。
本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、 培養 後、 公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、 これを適当な緩衝液に懸濁し、 超 音波、 リゾチームおよび Zまたは凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破 壊したのち、 遠心分離やろ過によりタンパク質の粗抽出液を得る方法などが適 宜用いられる。 緩衝液の中に尿素や塩酸グァニジンなどの蛋白質変性剤や、 ト リトン X— 1 0 0™などの界面 ¾f生^力含まれていてもよい。 培褰液中に夕 ― パク質が分泌される場合には、 培養終了後、 それ自体公知の方法で菌体あるい は細胞と上清とを分離し、 上清を集める。
このようにして得られた培養上清、 あるいは抽出液中に含まれるタンパク質 の精製は、 自体公知の分離 ·精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。 これらの公知の分離、 精製法としては、 塩析ゃ溶媒沈澱法などの溶解度を利用 する方法、.透析法、 限外ろ過法、 ゲルろ過法、 および S D S—ポリアクリルァ ミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、 イオン交換ク
口マトグラフィ一などの荷電の差を利用する方法、 ァフィ二ティークロマトグ ラフィ一などの特異的親和性を利用する方法、 逆相高速液体クロマトグラフィ 一などの疎水性の差を利用する方法、 等電点電気泳動法などの等電点の差を利 用する方法などが用いられる。
かくして得られるタンパク質が遊離体で得られた場合には、 自体公知の方法 あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、 逆に塩で得られ た場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、 遊離体または他 の塩に変換することができる。
なお、 組換え体が産生するタンパク質を、 精製前または精製後に適当な蛋白 修飾酵素を作用させることにより、 任意に修飾を加えたり、 ポリペプチドを部 分的に除去することもできる。 蛋白修飾酵素としては、 例えば、 トリプシン、 キモトリブシン、 アルギニルエンドべプチダ一ゼ、 プロテインキナーゼ、 ダリ コシダーゼなどが用いられる。
かくして生成する本発明のタンパク質の存在は、 特異抗体を用いたェンザィ ムィムノアッセィやウェスタンブロッテイングなどにより測定することができ る。
本発明のタンパク質もしくは部分ぺプチドまたはその塩に対する抗体は、 本 発明のタンパク質もしくは部分べプチドまたはその塩を認識し得る抗体であれ ば、 ポリクローナル抗体、 モノクローナル抗体の何れであってもよい。
本発明のタンパク質もしくは部分ペプチドまたはその塩 (以下、 抗体の説明 においては、 これらを単に本発明のタンパク質と略記する場合がある) に対す る抗体は、 本発明のタンパク質を抗原として用い、 自体公知の抗 または 血 清の製造法に従って製造することができる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
( a ) モノクローナル抗体産生細胞の作製
本発明のタンパク質は、 温血動物に対して投与により抗体産生が可能な部位 にそれ自体あるいは担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生 能を高めるため、 完全フロイントアジュバントゃ不完全フロイントアジュバン トを投与してもよい。 投与は通常 2〜 6週毎に 1回ずつ、 計 2〜1 0回程度行
われる。 用いられる温血動物としては、 例えば、 サル、 ゥサギ、 ィヌ、 モルモ ット、 マウス、 ラット、 ヒッジ、 ャギ、 ニヮトリが挙げられるが、 マウスおよ びラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、 抗原で免疫された温血動物、 5 例えばマウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の 2〜 5日後に脾 臓またはリンパ節を採取し、 それらに含まれる抗体産生細胞を同種または異種 動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、 モノクローナル抗体産生ハイプリ ド一マを調製することができる。 .抗血清中の抗体価の測定は、 例えば、 後記の 標識化夕シパク質と抗血清とを反応させたのち、 抗体に結合した標識剤の活性0 を測定することにより行なうことができる。 融合操作は既知の方法、 例えば、 ケ一ラーとミルスタインの方法 〔Nature、 256、 495 (1975)〕 に従い実施するこ とができる。 融合促進剤としては、 例えば、 ポリエチレングリコール (PEG) や センダイウィルスなどが挙げられるが、 好ましくは PEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、 例えば、 N S— 1、 P 3 U 1、 S P 2 / 0 , A P— 15 などの温血動物の骨髄腫細胞が挙げられるが、 P 3 U 1が好ましく用いられる。
用いられる抗体産生細胞 (脾臓細胞) 数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は 1 : 1 〜20 : 1程度であり、 PEG (好ましくは PEG1000〜PEG6000) が 10〜80 %程度の濃度 で添加され、 20〜40° (:、 好ましくは 30〜37°Cで 1〜10分間インキュベートするこ とにより効率よく細胞融合を実施できる。
0 モノクローナル抗体産生ハイプリド一マのスクリーニングには種々の方法が 使用できるが、 例えば、 タンパク質抗原を直接あるいは担体とともに吸着させ ― た固相 (例、 マイクロプレート) にハイプリドーマ培養上清を添加し、 次に放 射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロプリン抗体 (細胞融合に用いられる 細胞がマウスの場合、 抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる) またはプロ5 ティン Aを加え、 固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、 抗免疫 グロプリン抗体またはプロティン Aを吸着させた固相にハイプリドーマ培養上 清を添加し、 放射性物質や酵素などで標識したタンパク質を加え、 固相に結合 したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノクローナル抗体の選別は、 自体公知あるいはそれに準じる方法に従って
行なうこ仁ができる。 通常 HAT (ヒポキサンチン、 アミノプテリン、 チミジン) を添加した動物細胞用培地で行なうことができる。 選別および育種用培地とし ては、 ハイプリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。 例えば、 1〜20 %、 好ましくは 10〜20%の牛胎児血清を含む RPMI 1640培地、 1〜 10%の牛胎児血清を含む GIT培地 (和光純薬工業 (株) ) あるいはハイプリドー マ培養用無血清培地 (SFM- 101、 日水製薬 (株) ) などを用いることができる。 培養温度は、 通常 20〜40°C、 好ましくは約 37°Cである。 培養時間は、 通常 5日〜 3週間、 好ましくは 1週間 2週間である。 .培養は、 通常 5 %炭酸ガス下で行なう ことができる。 ハイプリドーマ培養上清の抗体価は、 上記の抗血清中の抗体価 の測定と同様にして測定できる。
( b ) モノクローナル抗体の精製
モノク.ローナル抗体の分離精製は、 自体公知の方法、 例えば、 免疫グロプリ ンの分離精製法 〔例、 塩析法、 アルコール沈殿法、 等電点沈殿法、 電気泳動法、 イオン交換体 (例、 DEAE) による吸脱着法、 超遠心法、 ゲルろ過法、 抗原結合 固相あるいはプロティン Aあるいはプロティン Gなどの活性吸着剤により抗体 のみを採取し、 結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕 に従って行なうこ とができる。
〔ポリクローナル钪体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、 それ自体公知あるいはそれに準じる方法に 従って製造することができる。 例えば、 免疫抗原 (タンパク質抗原) 自体、 あ るいはそれとキャリアー蛋白質との複合体をつくり、 上記のモノクローナル抗 体の製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、 該免疫動物から本発明のタンパ ク質に対する抗体含有物を採取して、 抗体の分離精製を行なうことにより製造 することができる。
温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質との複合 体に関し、 キャリア一蛋白質の種類およびキャリア一蛋白質とハプテンとの混 合比は、 キヤリァー蛋白質に架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率 良くできれば、 どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、 例えば、 ゥシ血清アルブミンゃゥシサイログロブリン、 へモシァニン等を重量比でハプ
テン 1に対し、 約 0 . 1〜2 0、 好ましくは約 1〜 5の割合でカプルさせる方 法が用いられる。
また、 ハプテンとキャリアー蛋白質の力プリングには、 種々の縮合剤を用い ることができるが、 ダルタルアルデヒドやカルポジイミド、 マレイミド活性ェ ステル、 チオール基、 ジチォピリジル基を含有する活性エステル試薬等が用い られる。 '
縮合生成物は、 温血動物に対して、 抗体産生が可能な部位にそれ自体あるい ' は担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全フロイントアジュバントゃ不完全フロイントアジュバントを投与してもよ い。 投与は、 通常約 2〜 6週毎に 1回ずつ、 計約 3〜 1 0回程度行なわれる。 ポリクロ一ナル抗体は、 上記の方法で免疫された温血動物の血液、 腹水など、 好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価め測定は、 上記の钪血清中の抗体価の測定 と同様にして測定できる。 ポリクロ一ナル抗体の分離精製は、 上記のモノクロ ーナル抗体の分離精製と同様の免疫グロプリンの分離精製法に従って行なうこ とができる。
本発明のタンパク質または部分べプチドをコードするポリヌクレオチド (例、 D NA (以下、 アンチセンスポリヌクレオチドの説明においては、 これらの D NAを本発明の D NAと略記する場合がある) ) の塩基配列に相補的な、 また は実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有するアンチセンスポリヌクレ ォチドとしては、 本発明のポリヌクレオチド (例、 D NA) の塩基配列に相補 的な、 または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有し、 MD NAの堯 現を抑制し得る作用を有するものであれば、 いずれのアンチセンスポリヌクレ ォチドであってもよいが、 アンチセンス D N Aが好ましい。
本発明の D NAに実質的に相補的な塩基配列とは、 例えば、 本発明の D NA に相補的な塩基配列 (すなわち、 本発明の D NAの相補鎖) の全塩基配列ある いは部分塩基配列と約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 より好ましくは 約 9 0 %以上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有する塩基配列などが 挙げられる。 特に、,本発明の D NAの相補鎖の全塩基配列うち、 (ィ) 翻訳阻
害を指向したアンチセンスポリヌクレオチドの場合は、 本発明のタンパク質の
N末端部位をコードする部分の塩基配列 (例えば、 開始コドン付近の塩基配列 など) の相補鎖と約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 より好ましくは約 9 0 %以上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有するアンチセンスポリ ヌクレオチドが、 (口) R N a s e Hによる R NA分解を指向するアンチセン スポリヌクレオチドの場合は、 ィ トロンを含む本発明の D N Aの全塩基配列 の相補鎮と約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 より好ましくは約 9 0 % 以上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有するアンチセンスポリヌクレ ォチドがそれぞれ好適である。
具体的には、 配列番号: 2または配列番号: 2 8で表される塩基配列を含有 する D NAの塩基配列に相補的な、 もしくは実質的に相補的な塩基配列、 また はその一部分を有するアンチセンスポリヌクレオチド、 好ましくは、 配列番 号: 2または配列番号: 2 8で表される塩基配列を含有する D N Aの塩基配列 に相補な塩基配列、 またはその一部分を有するアンチセンスポリヌクレオチド (より好ましくは、 配列番号: 2または配列番号: 2 8で表される塩基配列を 含有する D N Aの塩基配列に相補な塩基配列、 またはその一部分を有するアン チセンスポリヌクレオチド) が挙げられる。
アンチセンスポリヌクレオチドは通常、 1 0〜4 0個程度、 好ましくは 1 5 〜3 0個程度の塩基から構成される。
ヌクレア一ゼなどの加水分解酵素による分解を防ぐために、 アンチセンス D NAを構成する各ヌクレオチドのりん酸残基 (ホスフェート) は、 例えば、 ホ スホロチォエート、 メチルホス ネ一ト、 ホスホロジチォネートなどの化学修 飾りん酸残基に置換されていてもよい。 また、 各ヌクレオチドの糖 (デォキシ リポース) は、 2, —O—メチル化などの化学修飾糖構造に置換されていても よいし、 塩基部分 (ピリミジン、 プリン) も化学修飾を受けたものであっても 'よく、 配列番号: 2で表される塩基配列を有する D NAにハイブリダィズする ものであればいずれのものでもよい。 これらのアンチセンスポリヌクレオチド は、 公知の D N A合成装置などを用いて製造することができる。
本発明に従えば、 本発明の夕ンパク質遺伝子の複製または発現を阻害するこ
とのできるアンチセンスポリヌクレオチド (核酸) を、 クローン化した、 ある いは決定されたタンパク質をコードする D N Aの塩基配列情報に基づき設計し、 合成しうる。 かかるポリヌクレオチド (核酸) は、 本発明のタンパク質遺伝子 . の R NAとハイブリダィズすることができ、 該 R NAの合成または機能を阻害 することができるか、 あるいは本発明のタンパク質関連 R NAとの相互作用を 介して本発明のタンパク質遺伝子の発現を調節 ·制御することができる。 本発 明の夕ンパク質関連 R N Aの選択された配列に相補的なポリヌクレオチド、 お よび本発明のタンパク質関連 R N Aと特異的にハイブリダイズすることができ るポリヌクレオチドは、 生体内および生体外で本発明の夕ンパク質遺伝子の発 現を調節 ·制御するのに有用であり、 また病気などの治療または診断に有用で ある。 用語 「対応する」 とは、 遺伝子を含めたヌクレオチド、 塩基配列または 核酸の特定の配列に相同性を有するあるいは相補的であることを意味する。 ヌ クレオチド、 塩基配列または核酸とペプチド (蛋白質) との間で 「対応する」 とは、 ヌクレオチド (核酸) の配列またはその相補体から誘導される指令にあ るペプチド (蛋白質) のアミノ酸を通常指している。 タンパク質遺伝子の 5 ' 端ヘアピンル一プ、 5 ' 端 6 _ベ一スペア · リピート、 5 ' 端非翻訳領域、 ポ リペプチド翻訳開始コドン、 蛋白質コード領域、 O R F翻訳終止コドン、 3 ' 端非翻訳領域、 3 ' 端パリンドロ ム領域、 および 3 ' 端ヘアピンループは好 ましい対象領域として選択しうるが、 タンパク質遺伝子内の如何なる領域も対 象として選択しうる。
目的核酸と、 対象領域の少なくとも一部に相補的なポリヌクレオチドとの関 係は、 対象物とハイブリダィズ矛 ことができるポリヌクレオ —との関係ほ、
「アンチセンス」 であるということができる。 7ンチセンスポリヌクレオチド は、 2—デォキシ一D—リポースを含有しているポリヌクレオチド、 D—リポ —スを含有しているポリヌクレオチド、 プリンまたはピリミジン塩基の N—グ リコシドであるその他のタイプのポリヌクレオチド、 あるいは非ヌクレオチド 骨格を有するその他のポリマー (例えば、 市販の蛋白質核酸および合成配列特 異的な核酸ポリマ一) または特殊な結合を含有するその他のポリマー (但し、 該ポリマーは D N Aや R N A中に見出されるような塩基のペアリングゃ塩基の
付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有する) などが挙げられる。 それ らは、 2本鎖 DNA、 1本鎖 DNA、 2本鎖 RNA、 1本鎖 R NA、 さらに D NA: RNAハイブリッドであることができ、 さらに非修飾ポリヌクレオチド (または非修飾オリゴヌクレオチド) 、 さらには公知の修飾の付加されたもの、 例えば当該分野で知られた標識のあるもの、.キャップの付いたもの、 メチル化 されたもの、 1個以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、 分子内 ヌクレオチド修飾のされたもの、 例えば非荷電結合 (例えば、 メチルホスホネ ート、 ホスホトリエステル、 ホスホルアミデート、 カルパメートなど) を持つ もの、 電荷を有する結合または硫黄含有結合 (例えば、 ホスホロチォエート、 ホスホロジチォエートなど) を持つもの、 例えば蛋白質 (ヌクレア一ゼ、 ヌク レアーゼ ·インヒビ夕一、 トキシン、 抗体、 シグナルペプチド、 ポリ— L—リ ジンなど) や糖 (例えば、 モノサッカライドなど) などの側鎖基を有して る もの、 インターカレント化合物 (例えば、 ァクリジン、 ソラレンなど) を持つ もの、 キレート化合物 (例えば、 金属、 放射活性をもつ金属、 ホウ素、 酸化性 の金属など) を含有するもの、 アルキル化剤を含有するもの、 修飾された結合 を持つもの (例えば、 αァノマー型の核酸など) であってもよい。 ここで: Γヌ クレオシド」 、 「ヌクレオチド」 および 「核酸」 とは、 プリンおよびピリミジ ン塩基を含有するのみでなく、 修飾されたその他の複素環型塩基をもつような ものを含んでいて良い。 こうした修飾物は、 メチル化されたプリンおよび i リ ミジン、 ァシル化されたプリンおよびピリミジン、 あるいはその他の複素環を 含むものであってよい。 修飾されたヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオチ ドはまた糖部分が修飾されていてよぐ、 例えば、 1個以上の水酸基がハロゲン とか、 脂肪族基などで置換されていたり、 あるいはエーテル、 ァミンなどの官 能基に変換されていてよい。
本発明のアンチセンスポリヌクレオチド (核酸) は、 RNA、 DNA、 ある いは修飾された核酸 (RNA、 D NA) である。 修飾された核酸の具体例とし ては核酸の硫黄誘導体ゃチォホスフエ一ト誘導体、 そしてポリヌクレオシドア ミドゃオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、 それ. に限定されるものではない。 本発明のアンチセンス核酸は次のような方針で好
ましく設計されうる。 すなわち、 細胞内でのアンチセンス核酸をより安定なも のにする、 アンチセンス核酸の細胞透過性をより高める、 目標とするセンス鎖 に対する親和性をより大きなものにする、 そしてもし毒性があるならアンチセ ンス核酸の毒性をより小さなものにする。
こうして修飾は当該分野で数多く知られており、 例えば J. Kawakami e t al ., P arm Tech Japan, Vo l . 8, pp. 247, 1992 ; Vol . 8, pp. 395, 1992 ; S. T.
Crooke et al . ed. , Ant i sense Research and Appl i cat ions, CRC Press, 1993 などに開示がある。
本発明のアンチセンス核酸は、 変化せしめられたり、 修飾された糖、 塩基、 結合を含有していて良く、 リボゾーム、 ミクロスフエアのような特殊な形態で 供与されたり、 遺伝子治療により適用されたり、 付加された形態で与えられる ことができうる。 こうして付加形態で用いられるものとしては、 リン酸基骨格 の電荷を中和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、 細胞膜との 相互作用を高めたり、 核酸の取込みを増大せしめるような脂質 (例えば、 ホス ホリピド、 コレステロールなど) といった疎水性のものが挙げられる。 付加す るに好ましい脂質としては、 コレステロールやその誘導体 (例えば、 コレステ リルクロ口ホルメート、 コール酸など) が挙げられる。 こうしたものは、 核酸 の 3 ' 端あるいは 5 ' 端に付着させることができ、 塩基、 糖、 分子内ヌクレオ シド結合を介して付着させることができうる。 その他の基としては、 核酸の 3 ' 端あるいは 5 ' 端に特異的に配置されたキャップ用の基で、 ェキソヌクレ ァーゼ、 R N a s eなどのヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙 げられる。 こうしたキャップ用の基としては、 ポリエチレングリコ一ル、 テト ラエチレングリコールなどのグリコ一ルをはじめとした当該分野で知られた水 酸基の保護基が挙げられるが、 それに限定されるものではない。
アンチセンス核酸の阻害活性は、 本発明の形質転換体、 本発明の生体内や生 体外の遺伝子発現系、 あるいは本発明めタンパク質の生体内や生体外の翻訳系 を用いて調べることができる。 該核酸それ自体公知の各種の方法で細胞に適用 できる。
以下に、 本発明のタンパク質もしくは部分ペプチドまたはその塩 (以下、 本 発明のタンパク質と略記する場合がある) 、 本発明のタンパク質または部分べ プチドをコードするポリヌクレオチド (例、 D NA) (以下、 本発明のポリヌ クレオチド、 本発明の D NAなどと略記する場合がある) 、 本発明のタンパク 質もしくは部分ペプチドまたはその塩に対する抗体 (以下、 本発明の抗体と略 記する場合がある) 、 および本発明の D NAのアンチセンスポリヌクレオチド (以下、 本発明のアンチセンスポリヌクレオチドと略記する場合がある) の用 途を説明する。
本発明のタンパク質は、 細胞増殖促進活性、 アポトーシス抑制作用などを有 するので、 本発明のタンパク質、 本発明のポリヌクレオチド、 本発明の抗体な どは、 例えば癌 (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 滕臓癌、 脳腫瘍、 メラノーマ、 血液腫瘍など) 、 神経変性疾患 (例、 アルツハイマー病、 パ一キ ンソン症候群など) 、 自己免疫疾患 (例、 重症筋無力症、 糸球体腎炎、 多発性 硬化症、 シエーダレン症候群、 インスリン抵抗性糖尿病、 慢性関節リウマチ、 全身性エリテマトーデスなど) などの疾患マ一カーとして有用であり、 上記疾 患の予防 ·治療剤としても有用である。 さらに、 本発明のアンチセンスポリヌ クレオチド、 本発明のタンパク質の活性を調節 (促進または阻害) する化合物' またはその塩、 本発明のタンパク質遺伝子の発現を調節 (促進または阻害) す る化合物またはその塩なども、 例えば癌 (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲 状腺癌、'塍臓癌、 脳腫瘍、 メラノ一マ、 血液腫瘍など) 、 神経変性疾患 (例、 アルツハイマー病、 パーキンソン症候群など) 、 自己免疫疾患 (例、 重症筋無 力症、 糸球体腎炎、 多発性硬化症、 シェ一ダレン症候群、 インスリン抵抗性糖 尿病、 慢性関節リウマチ、 全身性ェリテマト一デスなど) などの予防'治療剤 として有用である。
また、 本発明のタンパク質の遺伝子は、 .正常組織での発現が低いことから、 副作用の少ない癌の予防 ·治療剤のスクリーニングが可能になる。 また、 変異 型 P53を保持している癌は、 臨床で抗癌剤が効きにくい、予後が悪い等、 悪性度
が高いことが知られている。 本発明のタンパク質遺伝子は、 変異型 P53の下流で 働くことより、 本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドのアンチセ ンスポリヌクレオチド、 本発明のタンパク質の活性を阻害する化合物もしくは その塩、 本発明のタンパク質の遺伝子の発現を阻害する化合物もしくはその塩、 または本発明のタンパク質に対する抗体などは、 悪性度の高い癌にも効果的で ある。 '
( 1 ) 疾病に対する医薬候補化合物のスクリーニング
本発明のタンパク質の活性を阻害すると癌細胞がアポトーシスを起こす。 従 つて、 本発明のタンパク質の活性を調節 (促進または阻害) する化合物または その塩は、 例えば癌 (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝 臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣瘅、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍、 メラノーマ、 血液腫瘍など) 、 神経変性疾患 (例、 アルツハイマー病、 パーキンソン症候群など) 、 自己免疫疾患 (例、 重症筋無力症、 糸球体腎炎、 多発性硬化症、 シェ一ダレン症候群、 インスリン抵抗性糖尿病、 慢性関節リウ マチ、 全身性エリテマトーデスなど) などの予防 ·治療剤として使用すること ができる。
好ましくは、 本発明のタンパク質の活性を阻害する化合物またはその塩は、 例えば癌 (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道 癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍、 メ ラノ一マ、 血液腫瘍など) などの予防'治療剤として使用することができる。 本発明のタンパク質の活性を促進する化合物またはその塩は、 例えぼ神経変性 疾患 (例、 アルツハイマー病、 パーキンソン症候群など) 、 自己免疫疾患 (例、 重症筋無力症、 糸球体腎炎、 多発性硬化症、 シエーダレン症候群、 インスリン 抵抗性糖尿病、 慢性関節リウマチ、 全身性エリテマトーデスなど) などの予 防 ·治療剤として使用することができる。
したがって、 本発明のタンパク質は、 本発明のタンパク質の活性を調節する 化合物またはその塩のスクリーニングのための試藥として有用である。
すなわち、 本発明は、 本発明のタンパク質を用いることを特徴とする本発明
のタンパク質の活性 (例、 細胞増殖促進活性、 アポト一シス抑制作用など) を 調節 (促進または阻害) する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供 する。
より具体的には、 例えば、 (i) 本発明のタンパク質を産生する能力を有する 細胞の細胞増殖促進活性またはアポトーシス抑制作用と、 (i i) 本発明のタン パク質を産生する能力を有する細胞と試験化合物の混合物の細胞増殖促進活性 またはアポトーシス抑制作用との比較をすることを特徴する本発明のタンパク 質の活性を調節する化合物またはその塩のスクリーニング方法が用いられる。 具体的には、 上記スクリーニング方法において、 例えば、 (i) と (i i) の場 合において、 細胞増殖促進活性またはアポトーシス抑制作用を、 コロニー形成 能または DNAの断片化を検出する ELISA反応を利用して測定し、 コロニ一面積ま、 たは DNAの断片化量を指標として比較する。
上記細胞増殖促進活性は、 公知の方法、 例えば、 Internat ional Journal of Cancer 88巻、 162〜171頁、 2000年に記載の方法あるいはそれに準じる方法に従 つて測定することができる。
上記アポ! シス抑制作用は、 公知の方法、 例えば、 Proceed ings of the Nat ional Academy of Sc iences of the Uni ted States of Amer ica 92卷、 7162 〜7166頁、 1995年に記載の方法あるいはそれに準じる方法に従って測定するこ とができる。
試験化合物としては、 例えば、 ペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液などが挙 げられ、 これら化合物は新規な化合物であってもよいし、 公知の化合物であつ てもよい。
上記のスクリーニング方法を実施するには、 本発明のタンパク質を産生する 能力を有する細胞をスクリーニングに適したバッファ一に浮遊して調製する。 バッファーには、 pH約 4〜10 (望ましくは、 pH約 6〜8) のリン酸バッファー、 ほ う酸バッファ一などの、 本発明のタンパク質の活性を阻害しないバッファ一で あればいずれでもよい。 ■
本発明のタンパク質を産生する能力を有する細胞としては、 例えば、 前述し
た本発明のタンパク質をコードする D N Aを含有するベクターで形質転換され た宿主 (形質転換体) が用いられる。 宿主としては、 例えば、 C O S 7細胞、 C H O細胞、 H E K 2 9 3細胞などの動物細胞が好ましく用いられる。 該スク リーニングには、 例えば、 前述の方法で培養することによって、 本発明のタン パク質を細胞膜上、 細胞内に発現させた形質転換体が好ましく用いられる。 本 発明のタンパク質を発現し得る細胞の培養方法は、 前記した本発明の形質変換 体の培養法と同様である。
例えば、 上記 . (i i) の場合における活性を、 上記 (i) の場合に比べて、 約 2 0 %以上、 好ましくは 3 0 %以上、 より好ましくは約 5 0 %以上促進させる試 験化合物を、 本発明のタンパク質の活性を促進する化合物として、 上記 (i i) の場合における活性を、 上記 (i) の場合に比べて、 約 2 0 %以上、 好ましくは 3 0 %以上、 より好ましくは約 5 0 %以上阻害させる試験化合物を、 本発明の タンパク質の活性を阻害する化合物としてそれぞれ選択することができる。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られ る化合物またはその塩は、 例えば、 ペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合 物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液、 血 漿などから選ばれた化合物である。 該化合物の塩としては、 前記した本発明の ペプチドの塩と同様のものが用いられる。
本発明の夕ンパク質遺伝子も、 細胞増殖およびアポ卜一シス抑制 関わって いることより、 本発明のタンパク質遺伝子の発現を調節 (促進または阻害) す る化合物またはその塩は、 例えば癌 (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食. 道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道瘟、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状— 腺癌、 勝臓癌、 脳腫瘍、 メラノーマ、 血液腫瘍など) 、 神経変性疾患 (例、 ァ ルツハイマー病、 パーキンソン症候群など) 、 自己免疫疾患 (例、 重症筋無力 症、 糸球体腎炎、 多発性硬化症、 シェ一ダレン症候群、 インスリン抵抗性糖尿 病、 慢性関節リウマチ、 全身性エリテマトーデスなど) などの予防 ·治療剤と して使用することができる。 - 好ましくは、 本発明のタンパク質遺伝子の発現を阻害する化合物またはその 塩は、 例えば癌 (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、
胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍、 メラノーマ、 血液腫瘍など) などの予防 ·治療剤として使用することができる。 本発明のタンパク質遺伝子の発現を促進する化合物またはその塩は、 例えば神 経変性疾患 (例、 アルツハイマー病、 パーキンソン症候群など) 、 自己免疫疾 患 (例、 重症筋無力症、 糸球体腎炎、 多発性硬化症, シエーダレン 候群、 ィ ンスリン抵抗性糖尿病、 慢性関節リウマチ、 全身性エリテマトーデスなど) な どの予防 ·治療剤として使用することができる。
したがって、 本発明のポリヌクレオチド (例、 D NA) は、 本発明のタンパ ク質の遺伝子の発現を調節する化合物またはその塩のスクリ一ニングのための 試薬として有用である。
スクリーニング方法としては、 (i i i) 本発明のタンパク質を産生する能力を 有する細胞を培養した場合と、 (iv) 試験化合物の存在下、 本発明のタンパク 質を産生する能力を有する細胞を培養した場合との比較を行うことを特徴とす るスクリーニング方法が挙げられる。
上記方法において、 (i i i) と (iv) の場合における、 前記遺伝子の発現量 (具体的には、 本発明のタンパク質量または前記タンパク質をコードする mR NA量) を測定して、 比較する。
試験化合物および本発明のタンパク質を産生する能力を有する細胞としては、 上記と同様のものが挙げられる。
タンパク質量の測定は、 公知の方法、 例えば、 本発明のタンパク質を認識す る抗体を用いて、 細胞抽出液中などに存在する前記タンパク質を、 ウエスタン 解析、 E L I S A法などの方法またはそれに準じる方法に従い測定することが できる。
mR NA量の測定は、 公知の方法、 例えば、 プローブとして配列番号: 2、 配列番号: 3、 配列番号: 2 8もしくは配列番号: 3 0またはその一部を含有 する核酸を用いるノーザンハイブリダィゼ一ション、 あるいはプライマ一とし て配列番号: 2、 配列番号: 3、 配列番号: 2 8もしくは配列番号: 3 0また はその一部を含有する核酸を用いる P C R法またはそれ【こ準じる方法に従い測 定することができる。
例えば、 上記 (iv) の場合における遺伝子の発現を、 上記 (i i i) の場合に比 ベて、 約 2 0 %以上、 好ましくは 3 0 %以上、 より好ましくは約 5 0 %以上促 進させる試験化合物を、 本発明のタンパク質の遺伝子の発現を促進する化合物 として、 上記 (iv) の場合における遺伝子の発現を、 上記 (i i i) の場合に比べ て、 約 2 0 %以上、 好ましくは 3 0 %以上、 より好ましくは約 5 0 %以上阻害 させる試験化合物を、 本発明のタンパク質の遺伝子の発現を阻害する化合物と してそれぞれ選択することができる。 '
本発明のスクリーニング用キットは、 本発明のタンパク質もしくは部分ぺプ チドまたはその塩、 または本発明のタンパク質もしくは部分べプチドを産生す る能力を有する細胞を含有するものである。
本発明のスクリ一ニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られ る化合物またはその塩は、 上記した試験化合物、 例えば、 ペプチド、 タンパク 質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液、 血漿などから選ばれた化合物またはその塩であり、 本発明の タンパク質の活性を調節する化合物またはその塩、 本発明のタンパク質の遺伝 子の発現を調節する化合物またはその塩である。
該化合物の塩としては、 前記した本発明のタンパク質の塩と同様のものが用 いられる。
本発明のタンパク質の活性を阻害する化合物またはその塩、 および本発明の タンパク質の遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩はそれぞれ、 例えば 癌 (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾 臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍、 メラノ一 マ、 血液腫瘍など) などの予防 ·治療剤などの安全な医薬として有用である。 本発明のタンパク質の活性を促進する化合物またはその塩、 および本発明の タンパク質の遺伝子の発現を促進する化合物またはその塩はそれぞれ、 例えば、 神経変性疾患 (例、 アルツハイマー病、 パーキンソン症候群など) 、 自己免疫 疾患 (例、 重症筋無力症、 糸球体腎炎、 多発性硬化症、 シエーダレン症候群、 インスリン抵抗性糖尿病、 慢性関節リウマチ、 全身性エリテマト一デスなど) などの予防 '治療剤などの安全な医薬として有用である。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られ る化合物またはその塩を上述の予防 ·治療剤として使用する場合、 常套手段に 従って製剤化することができる。
例えば、 経口投与のための組成物としては、 固体または液体の剤形、 具体的 には錠剤 (糖衣錠、 フィルムコーティング錠を含む) 、 丸剤、 顆粒剤、 散剤、 : カプセル剤 (ソフトカプセル剤を含む) 、 シロップ剤、 乳剤、 懸濁剤などがあ げられる。 かかる組成物は自体公知の方法によって製造され、 製剤分野におい て通常用いられる担体、 希釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。 例えば、 錠剤甩の担体、 賦形剤としては、 乳糖、 でんぷん、 蔗糖、 ステアリン酸マグネ シゥムなどが用いられる。
非経口投与のための組成物としては、 例えば、 注射剤、 坐剤などが用いられ、 注射剤は静脈注射剤、 皮下注射剤、 皮内注射剤、 筋肉注射剤、 点滴注射剤、 関 節内注射剤などの剤形を包含する。 かかる注射剤は、 自体公知の方法に従って、 例えば、 上記抗体またはその塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは 油性液に溶解、 懸濁または乳化することによって調製する。 注射用の水性液と しては、 例えば、 生理食塩水、 ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが 用いられ、 適当な溶解補助剤、 例えば、 アルコール (例、 エタノール) 、 ポリ アルコール (例、 プロピレングリコール、 ポリエチレングリコ一ル) 、 非ィォ ン界面活性剤 〔例、 ポリソルべ一ト 80、 HCO-50
(.polyoxyethylene (50mol) adduc t o f hydrogenated cas tor o i l) 〕 などと併用 してもよい。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油、 大豆油などが用いられ、 溶解 補助剤として安息香酸ベンジル、 ベンジルアルコールなどを併用してもよい。 調製された注射液は、 通常、 適当なアンプルに充填される。 直腸投与に用いら れる坐剤は、 上記化合物またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合することによ つて調製される。
上記の経口用または非経口用医薬組成物は、 活性成分の投与量に適合するよ うな投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。 かかる投薬単位の剤形 としては、 錠剤、 丸剤、 カプセル剤、 注射剤 (アンプル) 、 坐剤などが例示さ れ、 それぞれの投薬単位剤形当たり通常 5〜500mg、 とりわけ注射剤では 5〜
100mg、 その他の剤形では 10〜250mgの上記化合物が含有されていることが好ま しい。
なお前記した各組成物は、 上記化合物との配合により好ましくない相互作用 を生じない限り他の活性成分を含有してもよい。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトまた は温血動物 (例えば、 マウス、 ラット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ゥマ、 トリ、 ネコ、 ィヌ、 サル、 チンパンジーなど) に対して経口的にまたは非経口 的に投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 その作用、 対象疾患、 投与対象、 投与ル ートなどにより差異はあるが、 例えば、 乳癌の治療の目的で本発明のタンパク 質の活性を阻害する化合物またはその塩を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 60kgとして) においては、 一日につき該化合物またはその塩を約 0. 1〜 100mg、 好ましくは約1. 0〜501½、 より好ましくは約 1. 0〜20mg投与する。 非経口 的に投与する場合は、 該ィ匕合物またはその塩の 1回投与量は投与対象、 対象疾 患などによっても異なるが、 例えば、 乳癌の治療の目的で本発明のタンパク質 の活性を阻害する化合物またはその塩を注射剤の形で通常成人 (体重 60kgとし て) に投与する場合、 一日 つき該化合物またはその塩を約 0. 01〜30mg、 好ま しくは約 0. l〜20mg、 より好ましくは約 0. l〜10mgを癌病変部に注射により投与 するのが好都合である。 他の動物の場合も、 体重 60kg当たりに換算した量を投 与することができる。
例えば、 アルツハイマー病の治療の目的で本発明のタンパク質の活性を促進 する化合物またはその塩を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 60kgとし て) においては、 一日につき該ィ匕合物またはその塩を約 0. l〜100mg、 好ましく は約 1. 0〜50mg、 より好ましくは約 1. 0〜20mg投与する。 非経口的に投与する場 合は、 該化合物またはその塩の 1回投与量は投与対象、 対象疾患などによって も異なるが、 例えば、 アルツハイマー病の治療の目的で本発明のタンパク質の 活性を促進する化合物またはその塩を注射剤の形で通常成人 (体重 60kgとし て) に投与する場合、 一日につき該ィヒ合物またはその塩を約 0. 01〜30mg、 好ま しくは約 0. l〜20mg、 より好ましくは約 0. l〜10mgを癌病変部に注射により投与
するのが好都合である。 他の動物の場合も、 体重 60kg当たりに換算した量を投 与することができる。
( 2 ) 本発明のタンパク質、 その部分ペプチドまたはその塩の定量
本発明のタンパク質に対する抗体 (以下、 本発明の抗体と略記する場合があ る) は、 本発明のタンパク質を特異的に認識することができるので、 被検液中 の本発明のタンパク質の定量、 特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに 使用することができる。
すなわち、 本発明は、
( i ) 本発明の抗体と、 被検波および標識化された本発明のタンパク質とを競 合的に反応させ、 該抗体に結合した標識化された本発明のタンパク質の割合を 測定することを特徴とする被検液中の本発明の夕ンパク質の定量法、 および
(i i) 被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の 別の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、 不溶化担体上の標識剤の 活性を測定することを特徴とする被検波中の本発明のタンパク質の定量法を提 供する。
上記 (i i) の定量法においては、 一方の抗体が本発明のタンパク質の N端部 を認識する抗体で、 他方の抗体が本発明のタンパク質の C端部に反応する抗体 であることが望ましい。
また、 本発明のタンパク質に対するモノクローナル抗体 (以下、 本発明のモ ノクロ一ナル抗体と称する場合がある) を用いて本発明のタンパク質の定量を 行なえるほか、 組織染色等による検出を行なうこともできる。 これらの目的に は、 抗体分子そのものを用いてもよく、 また、 抗体分子の F ( a b ' ) 2 、 F a b '、 あるいは F a b画分を用いてもよい。
本発明の抗体を用いる本発明のタンパク質の定量法は、 特に制限されるべき ものではなく、 被測定液中の抗原量 (例えば、 タンパク質量) に対応した抗体、 抗原もしくは抗体一抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、 これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定 法であれば、 いずれの測定法を用いてもよい。 例えば、 ネフロメトリ一、 競合
法、 ィムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、 感度、 特異性の点で、 後述するサンドィツチ法を用いるのが特に好ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、 例えば、 放射性同位 元素、 酵素、 蛍光物質、 発光物質などが用いられる。 放射性同位元素としては、 例えば、 〔 i〕 、 ci3ln 、 〔¾〕 、 〔i4c〕 などが用いられる。 上記酵素とし ては、 安定で比活性の^:きなものが好ましく、 例えば、 一ガラクトシダーゼ、 β―ダルコシダーゼ、 アル力リフォスファ夕一ゼ、 パーォキシダーゼ、 リンゴ 酸脱水素酵素などが用いられる。 蛍光物質としては、 例えば、 フルォレスカミ ン、 フルォレツセンイソチオシァネートなどが用いられる。 発光物質としては, 例えば、 ルミノール、 ルミノール誘導体、 ルシフェリン、 ルシゲニンなどが用 いられる。 さらに、 抗体あるいは抗原と標識剤との結合にピオチン一アビジン 系を用いる.こともできる。
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、 物理吸着を用いてもよく、 ま 通常 タンパク質あるいは酵素等を不溶化、 固定化するのに用いられる化学結合を用 いる方法でもよい。 担体としては、 ァガロース、 デキストラン、 セルロースな どの不溶性多糖類、 ポリスチレン、 ポリアクリルアミド、 シリコン等の合成樹 脂、 あるいはガラス等が挙げられる。
サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液 を反応させ (1次反応) 、 さらに標識化した別の本発明のモノクローナル抗体 を反応させ (2次反応) たのち、 不溶化担体上の標識剤の活性を測定すること により被検液中の本発明のタンパク質量を定量することができる。 1次反応と 2次反応は逆の順序に行っても、 また、 同時に行なってもよいし時間をずらし て行なってもよい。 標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じること ができる。 また、 サンドイッチ法による免疫測定法において、 固相用抗体ある いは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも 1種類である必要はなく、 測定感 度を向上させる等の目的で 2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドイッチ法による本発明のタンパク質の測定法においては、 1 次反応と 2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗体は、 本発明のタン パク質の結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。 すなわち、 1次
反応および 2次反応に用いられる抗体は、 例えば、 2次反応で用いられる抗体 が、 本発明のタンパク質の C端部を認識する場合、 1次反応で用いられる抗体 は、 好ましくは C端部以外、 例えば N端部を 識する抗体が用いられる。
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、 例えば, 競合法、 ィムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることができ る。.
競合法では、 被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させ たのち、 未反応の標識抗原(F) と、 抗体と結合した標識抗原 (B) とを分離し (BZF分離) 、 B , Fいずれかの標識量を測定し、 被検液中の抗原量を定量 する。 本反応法には、 抗体として可溶性抗体を用い、 BZF分離をポリエチレ ングリコール、 前記抗体に対する第 2抗体などを用いる液相法、 および、 第 1 抗体として固相化抗体を用いるか、 あるいは、 第 1抗体は可溶性のものを用い 第 2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
ィムノメトリック法では、 被検波中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化 抗体に対して競合 応させた後固相と液相を分離するか、 あるいは、 被検液中 の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、 次に固相化抗原を加え未反応の標 識化抗体を固相に結合させたのち、 固相と液相を分離する。 次に、 いずれかの 相の標識量を測定し被検波中の抗原量を定量する。
また、 ネフロメトリーでは、 ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生 じた不溶性の沈降物の量を測定する。 被検波中の抗原量が僅かであり、 少量の 沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメト リ一などが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、 特別の条件、 操作等の設定は必要とされない。 それぞれの方法における通常の 条件、 操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のタンパク質の測定 系を構築すればよい。 これらの一般的な技術手段の詳細については、 総説、 成 書などを参照することができる。
例えば、 入江 寛編 「ラジオィムノアツセィ」 (講談社、 昭和 4 9年発行) 入江 寛編 「続ラジオィムノアツセィ」 (講談社、 昭和 5 4年発行) 、 石川栄
治ら編 「酵素免疫測定法」 (医学書院、 昭和 5 3年発行) 、 石川栄治ら編 「酵 素免疫測定法」 (第 2版) (医学書院、 昭和 5 7年発行) 、 石川栄治ら編 「酵 素免疫測定法」 (第 3版 (医学書院、 昭和 6 2年発行) 、 ("Methods in ENZY OLOGYj Vol. 70 (Immunochemical Techniques (Part A)) , 同書 Vol.
73 (Immunochemical Techniques (Part B)) , Vol. 74 (Immunochemical
Techniques (Part C))、 同書 Vol. 8 (Immunochemical Techniques (Part
Deselected Immunoassays)) ¾ 同書 Vol. 92 (Immunochemical Techniques (Part E:Monoc tonal Antibodies and General Immunoassay Methods)) 同書 Vol . 121 (Immunochemical Techniques (Part r.Hybridoma Technology and
Monoclonal Ant ibodies)) (以上、 アカデミックプレス社発行)などを参照するこ とができる。
以上のようにして、 本発明の抗体を用いることによって、 本発明のタンパク 質を感度良く定量することができる。
さらには、 本発明の抗体を用いて本発明のタンパク質の濃度を定量すること によって、 本発明のタンパク質の濃度の増加が検出された場合、 例えば癌 (例、 大腸癌、 、乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎 癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 睇臓癌、 脳腫瘍、 メラノーマ、 血液 腫瘍など) である、 または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。 本発明のタンパク質の濃度の減少が検出きれた場合、 例えば神経変性疾患 (例、 アルツハイマー病、 パーキンソン症候群など) 、 自己免疫疾患 (例、 重症筋無 力症、 糸球体腎炎、 多発性硬化症、 シエーダレン症候群、 インスリン抵抗性糖 尿病、 慢性関節リウマチ、 全身性エリテマト一デスなど) などである、 または 将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、 本発明の抗体は、 体液や組織などの被検体中に存在する本発明のタン パク質を検出するために使用することができる。 また、 本発明のタンパク質を 精製するために使用する抗体カラムの作製、 精製時の各分画中の本発明のタン パク質の検出、 被検細胞内における本発明のタンパク質の挙動の分析などのた めに使用することができる。
( 3 ) 遺伝子診断薬
本発明の D NAは、 例えば、 プローブとして使用することにより、 ヒトまた は温血動物 (例えば、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 トリ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サル、 チンパンジーなど) における本発明の タンパク質またはその部分ペプチドをコードする D NAまたは mR NAの異常 (遺伝子異常) を検出することができるので、 例えば、 該 D NAまたは mR N Aの損傷、 突然変異あるいは発現低下や、 該 D NAまたは mR NAの増加ある いは発現過多などの遺伝子診断薬として有用である。
本発明の D NAを用いる上記の遺伝子診断は、 例えば、 自体公知のノーザン 八イブリダィゼ一シヨンや PCR- SSCP法 (Genomics,第 5巻, 874〜879頁(1989年)、 Proceedings of the Nat ional Academy of Sc iences of the USA, 第 86卷, 2766 〜2770頁(1989年)) などにより実施することができる。
例えば、 ノーザン Λイブリダィゼーシヨンにより発現過多が検出された場合 や PCR- SSCP法により D NAの突然変異が検出された場合は、 例えば癌 (例、 大 腸癌、 乳癌、 肺輝、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、.精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍、 メラノーマ、 血液腫瘍 など) である可能性が高いと診断することができる。 また、 ノーザンハイプリ ダイゼーションにより発現減少が検出された場合や PCR-SSCP法により D NAの 突然変異が検出された場合は、 例えば神経変性疾患 (例、 アルツハイマー病、 パーキンソン症候群など) 、 自己免疫疾患 (例、 重症筋無力症、 糸球体腎炎、 多発性硬化症、 シエーダレン症候群、 インスリン抵抗性糖尿病、 慢性関節リウ マチ、 全身性エリテマトーデスなど) などである可能性が高いと診断すること ができる。 (4) アンチセンスポリヌクレオチドを含有する医薬
本発明の D NAに相補的に結合し、 該 D NAの発現を抑制することができる 本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは低毒性であり、 生体内における本発 明の夕ンパク質または本発明の D N Aの機能を抑制することができるので、 例 えば癌 (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、
脾臓癌、.腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 滕臓癌、 脳艟瘍、 メラノ 一マ、 血液腫瘍など) などの予防 ·治療剤として使用することができる。
上記アンチセンスポリヌクレオチドを上記の予防 ·治療剤として使用する場 合、 自体公知の方法に従って製剤化し、 投与することができる。
また、 例えば、 前記のアンチセンスポリヌクレオチドを単独あるいはレトロ ウィルスベクタ一、 アデノウイルスベクター、 アデノウイルスァソシエーテツ ドウィルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、 常套手段に従って、 ヒトまたは哺乳動物 (例、 ラット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して経口的または非経口的に投与することができる。 該アンチ センスポリヌクレオチドは、 そのままで、 あるいは摂取促進のために補助剤な どの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、 遺伝子銃やハイドロゲル力 テーテルのようなカテーテルによって投与できる。 あるいは、 エアロゾル化し て吸入剤として気管内に局所投与することもできる。
さらに、 体内動態の改良、 半減期の長期化、 細胞内取り込み効率の改善を目 的に、 前記のアンチセンスポリヌクレオチドを単独またはリボゾームなどの担 体とともに製剤 (注射剤) .化し、 静脈、 皮下等に投与してもよい。
該アンチセンスポリヌクレオチドの投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ル ートなどにより差異はあるが、 例えば、 乳癌の治療の目的で本発明のアンチセ ンスポリヌクレオチドを投与する場合、 一般的に成人 (体重 60kg) においては、 一日につき該アンチセンスポリヌクレオチドを約 0. 1〜100rag投与する。
さらに、 該アンチセンスポリヌクレオチドは、 組織や細胞における本発明の DNAの存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプロ一 ブとして使用することもできる。
上記アンチセンスポリヌクレオチドと同様に、 本発明のタンパク質をコード する R NAの一部を含有する二重攀 RNA、 本発明のタンパク質をコードする RNAの一部を含有するリポザィムなども、 本発明の遺伝子の発現を抑制する ことができ、 生体内における本発明のタンパク質または本発明で用いられる D . NAの機能を抑制することができるので、 例えば癌 (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓瘙、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、
精巣癌、 甲状腺癌、 滕臓癌、 脳腫瘍、 メラノーマ、 血液腫瘍など) などの予 防 ·治療剤などとして使用することができる。
二重鎖 RNAは、 公知の方法 (例、 Nature, 411巻, 494頁, 2001年) に準じ て、 本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。 リポザィムは、 公知の方法 (例、 TRENDS in Molecular Medic ine, 7巻, 221 頁, 2001年) に準じて、 本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造 することができる。 例えば、 本発明のタンパク單をコードする R NAの一部に 公知のリポザィムを連結することによって製造することができる。 本発明のタ ンパク質をコードする R NAの一部としては、 公知のリボザィムによって切断 され得る本発明の RNA上の切断部位に近接した部分 (R NA断片) が挙げら れる。
上記の二重鎖 R NAまたはリボザィムを上記予防 ·治療剤として使用する場 合、 アンチセンスポリヌクレオチドと同様にして製剤化し、 投与することがで きる。
( 5 ) 本発明の抗体を含有する医薬
本発明の抗体 (例、 中和抗体) は、 例えば癌 (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前 立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精 巣癌、 甲状腺癌、 滕臓癌、 脳腫瘍、 メラノーマ、 血液腫瘍など) などの予防 · 治療剤 (例、 ワクチン、 抗体医薬など) として使用することができる。 活性化 抗体は、 例えば神経変性疾患 (例、 アルツハイマー病、 パーキンソン症候群な ど) 、 自己免疫疾患 (例、 重症筋無力症、 糸球体腎炎、 多発性硬化症、 シエー ダレン症候群、 インスリン抵抗性糖尿病、 慢性関節リウマチ、 全身性エリテマ トーデスなど) など予防 ·治療剤 (例、 ワクチン、 抗体医薬など) として使用 することができる。
本発明の抗体を含有する上記疾患の予防 ·治療剤は低毒性であり、 そのまま 液剤として、 または適当な剤型の医薬組成物として、 ヒトまたは哺乳動物 (例、 ラット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対レて経口 的または非経口的 (例、 血管内投与、 皮下投与など) に'投与することができる。
好ましくはワクチンとして定法に従って投与することができる。
本発明の抗体は、 それ自体を投与しても良いし、 または適当な医薬組成物と して投与しても良い。 投与に用いられる医薬組成物としては、 本発 の抗体お よびその塩と薬理学的に許容され得る担体、 希釈剤もしくは賦形剤とを含むも のであっても良い。 このような医薬組成物は、 経口または非経口投与に適する 剤形として提供される。
非経口投与のための組成物としては、 例えば、 注射剤、 坐剤、 ワクチン等が 用いられ、 注射剤は静脈注射剤、 皮下注射剤、 皮内注射剤、 筋肉注射剤、 点滴 注射剤等の剤形を包含しても良い。 このような注射剤は、 公知の方法に従って 調整できる。 注射剤の調整方法としては、 例えば、 上記本発明の抗体またはそ の塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性液、 または油性液に溶解、 懸濁また は乳化することによって調製できる。 注射用の水性液としては、 例えば、 生理 食塩水、 ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液等が用いられ、 適当な溶解補 助剤、 例えば、 アルコール (例、 エタノール) 、 ポリアルコール (例、 プロピ レンダリコール、 ポリエチレングリコール) 、 非イオン界面活性剤 〔例、 ポリ ソルペート 80、 HCO-50 (polyoxyethylene (50mol) adduct of hydrogenated castor oi l) 〕 等と併用してもよい。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油、 大豆 油等が用いられ、 溶解補助剤として安息香酸ベンジル、 ペンジルアルコール等 を併用してもよい。 調製された注射液は、 適当なアンプルに充填されることが 好ましい。 直腸投与に用いられる坐剤は、 上記抗体またはその塩を通常の坐薬 用基剤に混合することによって調製されても良い。
経口投与のための組成物としては、 固体または液体の剤形、 具体的には錠剤 (糖衣錠、 フィルムコーティング錠を含む) 、 丸剤、 顆粒剤、 散剤、 カプセル 剤 (ソフトカプセル剤を含む) 、 シロップ剤、 乳剤、 懸濁剤等が挙げられる。 このような組成物は公知の方法によって製造され、 製剤分野において通常用い られる担体; 希釈剤もしくは賦形剤を含有していても良い。 錠剤用の担体、 賦 形剤としては、 例えば、 乳糖、 でんぷん、 蔗糖、 ステアリン酸マグネシウムが 用いられる。
上記の非経口用または経口用医薬組成^は、 活性成分の投与量に適合するよ
うな投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。 このような投薬単位の 剤形どしては、 例えば、 錠剤、 丸剤、 カプセル剤、 注射剤 (アンプル) 、 坐剤 が挙げられる。 抗体の含有量としては、 投薬単位剤形当たり通常 5〜500mg程度、 とりわけ注射剤では 5〜100mg程度、 その他の剤形では 10〜250mg程度の上記抗体 が含有されていることが好ましい。
本発明の抗体を含有する上記予防'治療剤の投与量は、 投与対象、 対象疾患、 症状、 投与ルートなどによっても異なるが、 例えば、 成人の乳癌の治療,予防 のために使用する場合には、 本発明の抗体を 1回量として、 通常 0.01〜20mg/kg 体重程度、 好ましくは 0. l〜10mg/kg体重程度、 さらに好ましくは 0. l〜5mg/kg体 重程度を、 1日 1〜5回程度、 好ましくは 1日 1〜3回程度、 静脈注射により投与す るのが好都合である。 他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量 を投与することができる。 症状が特に重い場合には、 その症状に応じて増量し てもよい。
本発明の抗体は、 それ自体または適当な医薬組成物として投与することがで きる。 上記投与に用いられる医薬組成物は、 上記 i¾体またはその塩と薬理学的 に許容され得る担体、 希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。 かかる組成 物は、 経 ΰまたは非経口投与 (例、 血管内注射、 皮下注射など) に適する剤形 として提供される。
なお前記した各組成物は、 上記抗体との配合により好ましくない相互作用を 生じない限り他の活性成分を含有してもよい。
( 6 ) 本発明のタンパク質が関与する'各種疾病の治療 ·予防剤
本発明のタンパク質は、 細胞増殖能またはアポトーシス抑制能などを有する。 したがって、 本発明のタンパク質をコードする DNAに異常があったり、 欠損 している場合あるいは本発明のタンパク質の発現量が減少している場合には、 例えば、 癌 (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆 道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍、 メラノーマ、 血液腫瘍など) 、 神経変性疾患 (例、 アルツハイマー病、 パーキ ンソン症候群など) 、 自己免疫疾患 (例、 重症筋無力症、 糸球体腎炎、 多発性
硬化症、 シエーダレン症候群、 インスリン抵抗性糖尿病、 慢性関節リウマチ、 全身性エリテマトーデスなど) などの種々の疾患が発症する。
したがって、 本発明のタンパク質および本発明の D NAは、 例えば神経変性 疾患 (例、 アルツハイマー病、 パーキンソン症候群など) 、 自己免疫疾患 (例、 重症筋無力症、 糸球体腎炎、 多発性硬化症、 シエーダレン症候群、 インスリン 抵抗性糖尿病、 慢性関節リウマチ、 全身性エリテマトーデスなど) などの予 防'治療剤などの安全な医薬として使用することができる。
例えば、 生体内において本発明のタンパク質が減少あるいは欠損しているた めに、 本発明のタンパク質の活性が十分に、 あるいは正常に発揮されない患者 がいる場合に、 (ィ) 本発明の DNAを該患者に投与し、 生体内で本発明の夕 ンパク質を発現させることによって、 (口) 細胞に本発明の D NAを挿入し、 本発明のタンパク質を発現させた後に、 該細胞を患者に移植することによって、 または ひ、) 本発明のタンパク質を該患者に投与することなどによって、 該患 者における本発明のタンパク質の役割を十分に、 あるいは正常に発揮させるこ とができる。
本発明の D N Aを上記の治療 ·予防剤として使用する場合は、 該 D NAを単 独あるいはレトロウイルスベクター、 アデノウイルスベクター、 アデノウィル スァソシエーテッドウィルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、 常 套手段に従って、 ヒトまたは温血動物に投与することができる。 本発明の D N Aは、 そのままで、 あるいは摂取促進のための補助剤な の生理学的に認めら れる担体とともに製剤化し、 遺伝子銃やハイド口ゲルカテーテルのようなカテ 一テルによって投与できる。
本発明のタンパク質を上記の治療,予防剤として使用する場合は、 少なくと も 90%、 好ましくは 95%以上、 より好ましくは 98%以上、 さらに好ましくは 99%以上に精製されたものを使用するのが好ましい。
本発明のタンパク質は、 例えば、 必要に応じて糖衣を施した錠剤、 カプセル 剤、 エリキシル剤、 マイクロカプセル剤などとして経口的に、 あるいは水もし くはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、 または懸濁液剤などの 注射剤の形で非経口的に使用できる。 例えば、 本発明のタンパク質等を生理学
的に認められる担体、 香味剤、 賦形剤、 べヒクル、 防腐剤、 安定剤、 結合剤な どとともに一般に認められた製剤実施 要求される単位用量形態で混和するこ とによって製造することができる。 これら製剤における有効成分量は指示され た範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
錠剤、 カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、 例えば、 ゼ ラチン、 コーンスターチ、 トラガント、'アラビアゴムのような結合剤、 結晶性 セルロースのような賦形剤、 コーンスターチ、 ゼラチン、 アルギン酸などのよ うな膨化剤、 ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、 ショ糖、 乳糖または サッカリンのような甘味剤、 ペパーミント、 ァカモノ油またはチェリーのよう な香味剤 どが用いられる。 調剤単位形態がカプセルである場合には、 前記夕 ィプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。 注射のた めの無菌組成物は注射用水のようなべヒクル中の活性物質、 胡麻油、 椰子油な どのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施 に従って処方することができる。
注射用の水性液としては、 例えば、 生理食塩水、 ブドウ糖やその他の補助薬 を含む等張液 (例えば、、 D-ソルビトール、 D-マンニトール、 塩化ナトリウムな ど) などが挙げられ、 適当な溶解補助剤、 例えば、 アルコール (例えば、 エタ ノールなど) 、 ポリアルコール (例えば、 プロピレングリコール、 ポリエチレ ングリコールなど) 、 非イオン性界面活性剤 (例えば、 ポリソルベート 80™、 HC0-50など) などと併用してもよい。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油、 大豆 油などが挙げられ、 溶解補助剤として安息香酸ベンジル、 ベンジルアルコール どと併用してもよい。 また、 緩衝 (例えば、 リン酸塩緩衝液、 覃乍酸ナトリ ゥム緩衝液など) 、 無痛化剤 (例えば、 塩化ベンザルコニゥム、 塩酸プロカイ ンなど) 、 安定剤 (例えば、 ヒト血清アルブミン、 ポリエチレングリコールな ど) 、 保存剤 (例 ば、 ベンジルアルコール、 フエノールなど) 、 酸化防止剤 などと配合してもよい。 調製された注射液は、 通常、 適当なアンプルに充填さ れる。
本発明の D NAが揷入されたベクターも上記と同様に製剤化され、 通常、 非 経口的に使用される。
このようにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 温血動 物 (例えば、 ヒト、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 トリ、 ヒッジ、 ブ タ、 ゥシ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サル、 チンパンジーなど) に対して投与するこ とができる。
本発明のタンパク質の投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルートなどによ り差異はあるが、 例えば、 アルッ八イマ一病の治療目的で本発明のタンパク質 を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 60kgとして) においては、 一日.につ き該タンパク質を約 0. 1〜100mg、 好ましくは約 1.0〜50mg、 より好ましくは約 1.0〜20mg投与する。 非経口的に投与する場合は、 該タンパク賀の 1回投与量は 投与対象、 対象疾患などによっても異なるが、 例えば、 アルツハイマー病の治 療目的で本発明のタンパク質を注射剤の形で成人 (体重 60kgとして) に投与す る場合、 一日につき該ダ パク質を約 0.01〜30mg、 好ましくは約 0. 1〜20mg、 よ り好ましくは約 0. 1 ~ 1 Omgを患部に注射することにより投与するのが好都合であ る。 他の動物の場合も、 体重 60kg当たりに換算した量を投与することができる。
( 7 ) DNA転移動物
本発明は、 外来性の本発明のタンパク質をコードする D NA (以下、 本発明 の外来性 D N Aと略記する) またはその変異 DN A (本発明の外来性変異 D N Aと略記する場合がある) を有する非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、 本発明は、
( 1 ) 本発明の外来性 DNAまたはその変異 D NAを有する非ヒト哺乳動物、
( 2 ) 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第 (1 )記載の動物、
( 3 ) ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第 (2 ) 記載の動物、 および
. (4 ) 本発明の外来性 DNAまたはその変異 DNAを含有し、 哺乳動物におい て発現しうる組換えベクターを提供するものである。
本発明の外来性 D NAまたはその変異 D NAを有する非ヒト哺乳動物 (以下、 本発明の D NA転移動物と略記する) は、 未受精卵、 受精卵、 精子およびその 始原細胞を含む胚芽細胞などに対して、 好ましくは、 非ヒト哺乳動物の発生に おける胚発生の段階 (さらに好ましくは、 単細胞または受精卵細胞の段階でか
つ一般に 8細胞期以前) に、 リン酸カルシウム法、 電気パルス法、 リボフェク シヨン法、 凝集法、 マイクロインジェクション法、 パーティクルガン法、 DE AE—デキストラン法などにより目的とする DN Aを転移することによって作 出することができる。, また、 該 DNA転移方法により、 体細胞、 生体の臓器、 組織鉀胞などに目的とする本発明の外来性 DNAを転移し、 細胞培養、 組織培 養などに利用することもでき、 さらに、 これら細胞を上述の胚芽細胞と自体公 知の細胞融合法により融合させることにより本発明の DNA転移動物を作出す ることもできる,'。
非ヒト哺乳動物としては、 例えば、 ゥシ、 ブタ、 ヒッジ、 ャギ、 ゥサギ、 ィ ヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 マウス、 ラットなどが用いられる。 なか でも、 病体動物モデル系の作成の面から個体発生およ^生物サイクルが比較的 短く、 また、 繁殖が容易なゲッ歯動物、 とりわけマウス (例えば、 純系として, C57BLZ6系統, DBA2系統など、 交雑系として、 B 6 C 3 F 系統, BDFi系統, BeDSFi系铳, BALBZc系統, I CR系統など) または ラット (例えば、 Wi s t ar, SDなど) な が好ましい。
哺乳動物において発現しうる組換えベクターにおける 「哺乳動物」 としては、 上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどがあげられる。
本発明の外来性 DNAとは、 非ヒト哺乳動物が本来有している本発明の DN Aではなく、 いったん哺乳動物から単離 ·抽出された本発明の DNAをいう。 本発明の変異 DN Aとしては、 元の本発明の DN Aの塩基配列に変異 (例え ば、 突然変異など) が生じたもの、 具体的には、 塩基の付加、 欠損、 他の塩基 への置換などが生じた DNAなどが用いられ、 また、 異常 DNAも含まれる。 該異常 DNAとしては、 異常な本発明のタンパク質を発現させる DNAを意 味し、 例えば、 正常な本発明のタンパク質の機能を抑制するタンパク質を発現 させる DN Aなどが用いられる。
本発明の外来性 DNAは、 対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺 乳動物由来のものであってもよい。 本発明の DNAを対象動物に転移させるに あたっては、 該 DNAを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合し た DN Aコンストラクトとして用いるのが一般に有利である。 例えば、 本発明
のヒト DNAを転移させる場合、 これと相同性が高い本発明の DNAを有する 各種哺乳動物 (例えば、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 ラッ ト、 マウスなど) 由来の DN Aを発現させうる各種プロモーターの下流に、 本 発明のヒト DNAを結合した DNAコンス卜ラクト (例、 ベクターなど) を対 象哺乳動物の受精卵、 例えば、 マウス受精卵へマイクロインジェクションする ことによつて本発明の D N Aを高発現する D N A転移哺乳動物を作出すること ができる。
本発明のタンパク質の発現ベクターとしては、 大腸菌由来のプラスミド、 枯 草菌由来のプラスミド、 酵母由来のプラスミド、 λファージなどのバクテリオ ファージ、 モロニ一白血病ウィルスなどのレトロウイルス、 ワクシニアウィル スまたはパ年ュロウィルスなどの動物ウイルスなどが用いられる。 なかでも、 大腸菌由来のプラスミド、 枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミ ドなどが好ましく用いられる。
上記の DNA発現調節を行なうプロモーターとしては、 例えば、 (i) ウィル ス (例、 シミアンウィルス、 サイトメガロウィルス、 モロニ一白血病ウィルス、 J Cウィルス、 乳癌ウィルス、 ポリオウイルスなど) に由来する DNAのプロ モーター、 (ii) 各種哺乳動物 (ヒト、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハ ムスター、 ラット、 マウスなど) 由来のプロモーター、 例えば、 アルブミン、 インスリン I I、 ゥロプラキン I I、 エラスターゼ、 エリスロポエチン、 ェン ドセリン、 筋クレアチンキナーゼ、 グリア線維性酸性タンパク 、 ダルタチォ ン S—トランスフェラーゼ、 血小板由来成長因子 ]8、 ケラチン Kl, K1ひお よび Κ14、 コラーゲン I型おょぴ I I型、 サイクリック AMP依存タンパク 質キナーゼ )3 Iサブユニット、 ジストロフィン、 酒石酸抵抗性アルカリフォス ファタ一ゼ、 心房ナトリウム利尿性因子、 内皮レセプターチ口シンキナーゼ (一般に T i e 2と略される) 、 ナトリウムカリウムアデノシン 3リン酸化酵 素 (Na, K-ATP a s e) 、 ニューロフィラメント軽鎖、 メタロチォネィ ン Iおよび I IA、 メタ口プロティナーゼ 1 且織インヒビター、 MHCクラス I抗原 (H-2L) 、 H— r a s、 レニン、 ドーパミン) 3—水酸化酵素、 甲状 腺ペルォキシダーゼ (TPO) 、 ペプチド鑌延長因子 la (EF- 1 ) 、 βァ
クチン、 αおよび) 3ミオシン重鎖、 ミオシン軽鎖 1および 2、 ミエリン基礎夕 ンパク質、 チログロブリン、 Thy— 1、 免疫グロブリン、 H鎖可変部 (VN P) 、 血清アミロイド Pコンポーネント、 ミオグロビン、 卜ロボニン(:、 平滑 筋 αァクチン、 プレプロエンケフアリン Α、 バソプレシンなどのプロモーター などが用いられる。'なかでも、 全身で高発現することが可能なサイトメガロウ ィルスプロモーター、 ヒトペプチド鎖延長因子 1 a (EF- 1 ) のプロモー 夕一、 ヒトおよびニヮトリ ) 3ァクチンプロモーターなどが好適である。
上記ベクターは、 DNA転移哺乳動物において目的とするメッセンジャー R NAの転写を終結する配列 (一般に夕一ミネタ一と呼ばれる) を有しているこ とが好ましく、 例えば、 ウィルス由来おょぴ各種哺乳動物由来の各 DNAの配 列を用いることができ、 好ましくは、 シミアンウィルスの SV40ターミネタ —などが用いられる。
その他、 目的とする外来性 DNAをさらに高発現させる目的で各 DNAのス プライシングシグナル、 ェンハンサー領域、 真核 DN Aのイントロンの一部な どをプロモーター領域の 5,上流、 プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳 領域の 3' 下流 に連結することも目的により可能である。
正常な本発明のタンパク質の翻訳領域は、 ヒトまたは各種哺乳動物 (例えば、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 ラット、 マウスなど) 由来の 肝臓、 腎臓、 甲状腺細胞、 線維芽細胞由来 DNAおよび市販の各種ゲノム DN Aライブラリーよりゲノム DNACO全てあるいは一部として、 または肝臓、 腎 臓、 甲状腺細胞、 線維芽細胞由来 RNAより公知の方法により調製された相補 DNAを原料として取得することが出来る。 また、 外来性の異常 DNAは、 上 記の細胞または組織より得られた正常なタンパク質の翻訳領域を点突然変異誘 発法により変異した翻訳領域を作製することができる。
該翻訳領域は転移動物において発現しうる DNAコンストラクトとして、 前 記のプロモーターの下流および所望により転写終結部位の上流に連結させる通 常の DN A工学的手法により作製することができる。
受精卵細胞段階における本発明の外来性 DNAの転移は、 対象哺乳動物の胚 芽細胞および体細胞のすべてに存在するように確保される。 DNA転移後の作
出動物の胚芽細胞において、 本発明の外来性 D NAが存在することは、 作出動 物の後代がすべて、 その胚芽細胞おょぴ体細胞のすべてに本発明の外来性 D N Aを保持することを意味する。 本発明の外来性 D N Aを受け継いだこの種の動 物の子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性 D NAを有す る。
本発明の外来性正常 DN Aを転移させた非ヒト哺乳動物は、 交配により外来 性 DN Aを安定に保持することを確認して、 該 D N A保有動物として通常の飼 育環境で継代飼育することが出来る。
受精卵細胞段階における本発明の外来性 D N Aの転移は、 対象哺乳動物の胚 芽細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。 D NA転移後 の作出動物の胚芽細胞において本発明の外来性 D N Aが過剰に存在することは、 作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性 D N Aを過剰に有することを意味する。 本発明の外来性 D N Aを受け継いだこの種 の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性 D NAを過 剰に有する。
導入 DNAを相同染色体の両方に持つホモザィゴート動物を取得し、 この雌 雄の動物を交配する.ことによりすべての子孫が該 D NAを過剰に有するように 繁殖継代することができる。
本発明の正常 D NAを有する非ヒト哺乳動物は、 本発明の正常 D NAが高発 現させられており、 内在性の芷常 D N Aの機能を促進することにより最終的に 本発明の夕ンパク質の機能亢進症を発症することがあり、 その病態モデル動物 として利用することができる。 例えば、 本発明の正常 D NA転移動物を用いて、 本発明のタンパク質の機能亢進症や、 本発明のタンパク質が関連する疾患の病 態機序の解明およびこれらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能である。 まだ、 本発明の外来性正常 DNAを転移させた哺乳動物は、 遊離した本発明 の夕ンパク質の増加症状を有することから、 本発明のタンパク質に関連する疾 患に対する予防 ·治療剤、 例えば癌 (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、. 前立腺癌、 食 道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状 腺癌、 滕臓癌、 脳腫瘍、 メラノ一マ、 血液腫瘍など) 、 神経変性疾患 (例、 ァ
ルツハイマー病、 パーキンソン症候群など) 、 自己免疫疾患 (例、 重症筋無力 症、'糸球体腎炎、 多発性硬化症、 シエーダレン症候群、 インスリン抵抗性糖尿 病、 慢性関節リウマチ、 全身性エリテマトーデスなど) などの予防 ·治療剤の スクリーニング試験にも利用可能である。
一方、 本発明の外来性異常 DNAを有する非ヒト哺乳動物は、 交配により外 来性 D NAを安定に保持することを確認して該 D NA保有動物として通常の飼 育環境で継代飼育することが出来る。 さらに、 目的とする外来 DNAを前述の プラスミドに組み込んで原料として用いることができる。 プロモーターとの D NAコンストラク卜は、 通常の DNA工学的手法によって作製することができ る。 受精卵細胞段階における本発明の異常 D N Aの転移は、 対象哺乳動物の胚 芽細胞および体細胞の全てに存在するように確保される。 D NA転移後の作出 動物の胚芽細胞において本発明の異常 D NAが存在することは、 作出動物の子 孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常 DN Aを有すること を意味する。 本発明の外来性 DNAを受け継いだこの種の動物の子孫は、 その 胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常 D NAを有する。 '導入 DNAを相 同染色体の両方に持つホモザィゴート動物を取得し、 この雌雄の動物を交配す ることによりすべての子孫が該 D N Aを有するように繁殖継代することができ る。
本発明の異常 DNAを有する非ヒト哺乳動物は、 本発明の異常 D NAが高発 現させられており、 内在性の正常 D NAの機能を阻害することにより最終的に 本発明のタンパク質の機能不活性型不応症となることがあり、 その病態モデル 動物として利用することができる。 例えば、 本発明の異常 D N A転移動物を用 いて、 本発明のタンパク質の機能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの 疾患を治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、 具体的な利用可能性としては、.本発明の異常 DNA高発現動物は、 本 発明のタンパク質の機能不活性型不応症における本発明の異常タンパク質によ る正常タンパク質の機能阻害 (dominant negat ive作用) を解明するモデルとな る。
また、 本発明の外来異常 D NAを転移させた哺乳動物は、 遊離した本発明の
タンパク質の増加症状を有することから、 本発明のダンパク質または機能不活 性型不応症に対する予防 ·治療剤、 例えば癌 例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立 腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣 癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍、 メラノーマ、 血液腫瘍など) 、 神経変性疾患. (例、 アルツハイマー病、 パーキンソン症候群など) 、 自己免疫疾患 (例、 重 症筋無力症、 糸球体腎炎、 多発性硬化症、 シエーダレン症候群、 インスリン抵 抗性糖尿病、 慢性関節リウマチ、 全身性エリテマ卜一デスなど).などの予防' 治療剤のスクリーニング試験にも利用可能である。
また、 上記 2種類の本発明の DN A転移動物のその他の利用可能性として、 例えば、
(i) 組織培養のための細胞源としての使用、
(i i) 本発明の D N A転移動物の組織中の D N Aもしくは R N Aを直接分析す るか、 または DNAにより発現されたペプチド組織を分析することによる、 本 発明のタンパク質により特異的に発現あるいは活性化するペプチドとの関連性 についての解析、
(i i i) DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、 これらも 使用して、 一般に培養困難な組織からの細胞の機能の研究、
(iv) 上記 (ii i) 記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高めるような薬 剤のスクリーニング、 および
(V) 本発明の変異タンパク質を単離精製およびその抗体作製などが考えられる。 さらに、 本発明の D NA転移動物を用いて、 本発明のタンパク質の機能不活 性型不応症などを含む、 本発明のタンパク質に関連する疾患の臨床症状を調べ ることができ、 また、 本発明のタンパク質に関連する疾患モデルの各臓器にお けるより詳細な病理学的所見が得られ、 新しい治療方法の開発、 さらには、 該 疾患による二次的疾患の研究および治療に貢献することができる。
また、 本発明の DN A転移動物から各臓器を取り出し、 細切後、 トリプシン などのタンパク質分解酵素により、 遊離した DN A転移細胞の取得、 その培養 またはその培養細胞の系統化を行なうことが可能である。 さらに、 本発明の夕 ンパク質産生細胞の特定化、 アポトーシス、 分化あるいは増殖との関連性、 ま
たはそれらにおけるシグナル伝達機構を調べ、 それらの異常を調べることなど ができ、 本発明のタンパク質およびその作用解明のための有効な研究材料とな る。
さらに、 本発明の DNA転移動物を用いて、 本発明のタンパク質の機能不活 性型不応症を含む、 本発明のタンパク質に関連する疾患の治療薬の開発を行な うために、 上述の検査法および定量法などを用いて、 有効で迅速な該疾患 療 薬のスクリーニング法を提供することが可能となる。 まだ、 本発明の DNA転 移動物または本発明の外来性 DNA発現ベクターを用いて、 本発明のタンパク 質が関連する疾患の DN A治療法を検討、 開発することが可能である。
(8) ノックアウト動物
本発明は、 本発明の DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞および 本発明の DNA発瑱不全非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、 本発明は、
( 1 ) 本発明の DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2) 該 DNAがレポ一夕一遺伝子 (例、 大腸菌由来の )3—ガラクトシダーゼ 遺伝子) を導入することにより不活性化された第 (1) 項記載の胚幹細胞、
(3) ネオマイシン耐性である第 (1) 項記載の胚幹細胞、
(4) 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第 (1) 項記載の胚幹細胞、 (5) ゲッ歯動物がマウスである第 (4) 項記載の胚幹細胞、
(6) 本発明の DNAが不活性化された該 DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
(7) 該 DNAがレポーター遺伝子 (例、 大腸菌由来の )3—ガラクトシダーゼ 遺伝子) を導入する とにより不活性化され、 該レポーター遺伝子が本発明の DNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる第 (6) 項記載の非ヒト哺 乳動物、
(8) 非ヒト哺乳動物がゲッ齒動物である第 (6) 項記載の非ヒト哺乳動物、
(9) ゲッ歯動物がマウスである第 (8) 項記載の非ヒト哺乳動物、 および
(10) 第 (7) 項記載の動物に、.試験化合物を投与し、 レポーター遺伝子の 発現を検出することを特徴とする本発明の DNAに対するプロモーター活性を
促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明の D NAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞とは、 該非ヒト哺 乳動物が有する本発明の D NAに人為的に変異を加えることにより、 D NAの 発現能を抑制するか、 もしくは該 D N Aがコードしている本発明のタンパク質 の活性を実質的に喪失させることにより、 DN Aが実質的に本発明のタンパク 質の発現能を有さない (以下、 本発明のノッグアウト D NAと称することがあ る) 非ヒト哺乳動物の胚幹細胞 (以下、 E S細胞と略記する) をいう。
非ヒト哺乳動物としては、 前記と同様のものが用いられる。
本発明の D NAに人為的に変異を加える方法としては、 例えば、 遺伝子工学 的手法により該 DNA配列め一部又は全部の削除、 他 DNAを揷入または置換 させることによって行なうことができる。 これらの変異により、 例えば、 コド ンの読み ¾1り枠をずらしたり、 プロモーターあるいはェキソンの機能を破壊す ることにより本発明のノックアウト D N Aを作製すればよい。
本発明の DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞 (以下、 本発明の DNA不活性化 E S細胞または本発明のノックアウト E S細胞と略記する) の 具体例としては、 例えば、 目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明の D NA を単離し、 そのェキソン部分にネオマイシン耐性遺伝子、 ハイグロマイシン耐 性遺伝子を代表とする薬剤耐性遺伝子、 あるいは l a c Z ( ^—ガラクトシダ ーゼ遺伝子) 、 c a t (クロラムフエニコールァセチルトランスフェラーゼ遺 伝子) を代表とするレポーター遺伝子等を揷入することによりェキソンの機能 を破壊するか、 あるいはェキソン間のイントロン部分に遺伝子の転写を終結さ せる D NA配列 (例えば、 p o l y A付加シグナルなど) を揷入し、 完全なメ ッセンジャー RN Aを合成できなくすることによって、 結果的に遺伝子を破壊 するように構築した D NA配列を有する DNA鎖ズ以下、 ターゲッティングべ クタ一と略記する) を、 例えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、 得られた E S細胞について本発明の D N A上あるいはその近傍の D NA配列を プローブとしたサザンハイブリダィゼーション解析あるいは夕ーゲッティング ベクター上の DNA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本発明の D N A以外の近傍領域の D N A配列をプライマ一とした P C R法により解析し、
本発明のノックアウト E S細胞を選別することにより得ることができる。
また、 相同組換え法等により本発明の D.N Aを不活化させる元 ES細胞と しては、 例えば、.前述のような既に樹立されたものを用いてもよく、 また公知 Evansと Kaufmaの方法に準じて新じく樹立したものでもよい。 例えば、 マウスの ES細胞の場合、 現在、 一般的には 129系の ES細胞が使用されているが、 免疫学的背景がはっきりしていないので、 これに代わる純系で免疫学的に遺伝 的背景が明らかな E S細胞を取得するなどの目的で例えば、 C57BLZ6マ ウスや C 57 B LZ 6の採卵数の少なさを D B AZ 2との交雑により改善した BDFiマウス (C 57 BLZ6と DBA/2との F を用いて樹立したもの なども良好に用いうる。 BDFiマウスは、 採卵数が多く、 かつ、 卵が丈夫で あるという利点に加えて、 C57BLZ6マウスを背景に持つので、 これを用 いて得られた ES細胞は病態モデルマウスを作出したとき、 C57BLZ6マ ウスとパッククロスすることでその遺伝的背景を C 57BLX 6マウスに代え ることが可能である点で有利に用い得る。
また、 ES細胞を樹立する場合、 一般には受精後 3.5日目の胚盤胞を使用す るが、 これ以外に 8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効 率よく多数の初期胚を取得することができる。
また、 雌雄いずれの ES細胞を用いてもよいが、 通常雄の ES細胞の方が生 殖系列キメラを作出するのに都合が良い。 また、 煩雑な培養の手間を削減する ためにもできるだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
ES細胞の雌雄の判定方法としては、 例えば、 PCR法により Y染色体上の 性決定領域の遺伝子を増幅、 検出する方法が、 その 1例としてあげることがで きる。 この方法を使用すれば、 従来、 核型分析をするのに約 106個の細胞数 を要していたのに対して、 1コロニー程度の ES細胞数 (約 50個) で済むの で、 培養初期における ES細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうこ とが可能であり、 早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間 は大幅に削減できる。
また、 第二次セレクションとしては、 例えば、 G—バンデイング法による染 色体数の確認等により行うことができる。 得られる ES細胞の染色体数は正常
数の 100%が望ましいが、 樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、 ES細胞の遺伝子をノックアウトした後、 正常細 fik (例えば、 マウスでは染色 体数が 2 n = 40である細胞) に再びクローニングすることが望ましい。
このようにして得られた胚幹細胞株は、 通常その増殖性は大変良いが、 個体 発生できる能力を失いやすいので、 注意深く継代培養することが必要である。 例えば、 STO繊維芽細胞のような適当なフィーダ一細胞上で L I F (卜 10000U/ml) 存在下に炭酸ガス培養器内 (好ましくは、 5%炭酸ガス、 95 %空 気または 5%酸素、 5%炭酸ガス、 90%空気) で約 37でで培養するなどの 方法で培養し、 継代時には、 例えば、 トリプシン ZEDTA溶液 (通常 0.00 1—0.5%トリプシン Z0.1— 5mM EDTA、 好ましくは約 0.1 %トリ プシン ZlmM EDTA) 処理により単細胞化し、 新たに用意したフィーダ一 細胞上に播種する方法などがとられる。 このような継代は、 通常 1一 3日毎に 行なうが、 この際に細胞の観察を行い、 形態的に異常な細胞が見受けられた場 合はその培養細胞は放棄することが望まれる。
ES細胞は、 適当な条件により、 高密度に至るまで単層培養するか、 または 細胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、 頭頂筋、 内臓筋、 心筋など の種々のタイプの細胞に分化させることが可能であり 〔M. ; L Evans及ぴ ¾!. H. Kaufman, Nature第 292卷、 154頁、 1981年; G. R. MartinProc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 第 78卷、 7634頁、 1981年; T. C. Doetschman ら、 ジャーナル ·ォ ブ ·ェンブリオロジ一 ·アンド ·ェクスペリメンタル ·モルフォロジ一、 第 87 巻、 27頁、 1985年〕 、 本発明の ES細胞を分化させて得られる本発明の DNA 発現不全細胞は、 インビト口における本発明のタンパク質の細胞生物学的検討 において有用である。
本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物は、 該動物の mRNA量を公知方法 を用いて測定して間接的にその発現量を比較することにより.、 正常動物と区別 することが可能である。
該非ヒト哺乳動物としては、 前記と同様のものが用いられる。
本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物は、 例えば、 前述のようにして作製. したターゲヅティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入し、
導入により夕ーゲッティングベクターの本発明の D N Aが不活性化された D N A配列が遺伝子相同組換えにより、 マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色 体上の本発明の D N Aと入れ換わる相同組換えをさせることにより、 本発明の DNAをノックアウトさせることができる。
本発明の D NAがノックアウトされた細胞は、 本発明の D NA上またはその 近傍の DNA配列をプローブとしたサザン八イブリダィゼーシヨン解^ 1または 夕一ゲッティングベクタ一上の DNA配列と、 夕一ゲッティングベクターに使 用したマウス由来の本発明の DNA以外の近傍領域の D N A配列とをプライマ 一とした P C R法による解析で判定することができる。 非ヒ卜哺乳動物胚幹細 胞を用いた場合は、 遺伝子相同組換えにより、 本発明の DN Aが不活性化され た細胞株をクローニングし、 その細胞 適当な時期、 例えば、 8細胞期の非ヒ ト哺乳動物胚または胚盤胞に注入し、 作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒ ト哺乳動物の子宮に移植すや。 作出された動物は正常な本発明の D NA座をも つ細胞と人為的に変異した本発明の DNA座をもつ細胞との両者から構成され るキメラ動物である。
該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明の DNA座をもつ場合、 こ のようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体群より、 全 ての組織が人為的に変異を加えた本発明の D NA座をもつ細胞で構成された個 体を、 例えば、 コートカラーの判定等により選別することにより得られる。 こ のようにして得られた個体は、 通常、 本発明のタンパク質のヘテロ発現不全個 体であり、 本発明のタンパク質のヘテロ発現不全個体同志を交配し、 それらの 産仔から本発明のタンパク質のホモ発現不全個体を得ることができる。
卵細胞を使用する場合は、 例えば、 卵細胞核内にマイクロインジェクション 法で D NA溶液を注入することにより夕ーゲッティングベクターを染色体内に 導入したトランスジエニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、 これらのトラ ンスジエニック非ヒト哺乳動物に比べて、 遺伝子相同組換えにより本発明の D NA座に変異のあるものを選択することにより得られる。
このようにして本発明の D NAがノックアウトされている個体は、 交配によ り得られた動物個体も該 D N Aがノックアウトされていることを確認して通常
の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。
さらに、 生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。 すなわち、 該不活化 DNAの保有する雌雄の動物を交配することにより、 該不活化 D NA を相同染色体の両方に持つホモザィゴート動物を取得しうる。 得られたホモザ ィゴート動物は、 母親動物 対して、 正常個体 1 , ホモザィゴート複数になる ような状態で飼育することにより効率的に得ることができる。 ヘテロザィゴー ト動物の雌雄を交配することにより、 該不活化 D N Aを有するホモザィゴート およびへテロザィゴート動物を繁殖継代する。
本発明の D NAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞は、 本発明の D N A発現不全非ヒト哺乳動物を作出する上で、 非常に有用である。
また、 本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明のタンパク質によ り誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、 本発明のタンパク質の生物活 性の不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、 これらの疾病の原因 究明及び治療法の検討に有用である。
( 8 a ) 本発明の DNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療 '予防 効果を有する化合物のスクリーニング方法
本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明の D N Aの欠損や損傷な どに起因する疾病に対して治療 ·予防効果を有する化合物のスクリーニングに 用いることができる。
すなわち、 本発明は、 本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物 を投与し、 該動物の変化を観察 ·測定することを特徵とする、 本発明の D NA の欠損や損傷などに起因する疾病、 例えば癌などに対して治療 '予防効果を有 する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
該スクリー: iング方法において用いられる本発明の DN A発現不全非ヒト哺 乳動物としては、 前記と同様のものがあげられる。
試験化合物としては、 例えば、 ペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液、 血漿な どがあげられ、 これら化合物は新規な化合物であってもよいし、 公知の化合物 であってもよい。
具体的には、 本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物を、 試験化合物で処理 し、 無処理の対照動物と比較し、 該動物の各器官、 組織、 疾病の症状などの変 化を指標として試験化合物の治療 ·予防効果.を試験することができる。
試験動物を試験化合物で処理する方法としては、 例えば、 経口投与、 静脈注 射などが用いられ、 試験動物の症状、 試験化合物の性質などにあわせて適宜選 択す
ることができる。 また、 試験化合物の投与量は、 投与方法、 試験化合物の性質 などにあわせて適宜選択することができる。
例えば (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌,、 胃癌、 肝臓癌、 胆 道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍、 メラノーマ、 血液腫瘍など) 、 神経変性疾患 (例、 アルツハイマー病、 パーキ ンソン症候群など) 、 自己免疫疾 (例、 重症筋無力症、 糸球体腎炎、 多発性 硬化症、 シエーダレン症候群、 インスリン抵抗性糖尿病、 慢性関 リウマチ、 全身性エリテマトーデスなど) などに対して予防 ·治療効果を有する化合物を スクリーニングする場合、 本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合 物を投与し、 試験化合物非投与群と癌の発症度合いの違いや癌の治癒度合いの 違いを上記組織で経時的に観察する。 .
該スクリーニング方法において、 試験動物に試験化合物を投与した場合、 該 試験動物の上記疾患症状が約 1 0 %以上、 好ましくは約 3 0 %以上、 より好ま しくは約 5 0 %以上改善した場合、 該試験化合物を上記の疾患に対して治療 · 予防効果を有する化合物として選択することができる。
該スクリーニング方法を用いて得られる化合物は、 上記した試験化合物から 選ばれた化合物であり、 本発明のタンパク質の欠損や損傷などによって引き起 こされる疾患に対して予防 ·治療効果を有するので、 該疾患に対する安全で低 毒性な予防 ·治療剤などの医薬として使用することができる。 さらに、 上記ス クリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることがで きる。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、 該化合 物の塩としては、 生理学的に許容される酸 (例、 無機酸、 有機酸など) や塩基
(例、 アルカリ金属など) などとの塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容さ れる酸付加塩が好ましい。 この様な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩 酸、 リン酸、 臭化水素酸、 硫酸など) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸.、 プロピオン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒 酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸など) と の塩などが用いられる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、 前 記した本発明のタンパク質を含有する医薬と同様にして製造することができる。 このようにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトま たは哺乳動物 (例えば、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与暈は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルートなどに より差異はあるが、 例えば、 該化合物を経口投与する場合、 一般的に成人 (体 重 60kgとして) の乳癌患者においては、 一日につき該化合物を約 0. 1〜100mg、 好ましくは約 1. 0〜50mg、 より好ましくは約 1. 0〜20mg投与する。 非経口的に投 与する場合は、 該化合物の 1回投与量は投与対象、 対象疾患などによっても異 なるが、 例えば、 該化合物を注射剤の形で通常成人 (体重 60kgとして) の乳癌 患者に投与する場合、 一日につき該化合物を約 0, 01〜30mg、 好ましくは約 0. 1〜 ,20mg、 より好ましくは約 0. l〜10mgを静脈注射により投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 体重 60kg当たりに換算した量を投与することができる。
( 8 b ) 本発明の D NAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化 合物のスクリーニング方法
本発明は、 本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物に、 試験化合物を投与し、 レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明の D NAに対する プロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニン グ方法を提供する。
上記スクリーニング方法において、 本発明の D NA発現不全非ヒ卜哺乳動物 としては、 前記した本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物の中でも、 本発明 の D N Aがレポ一ター遺伝子を導入することにより不活性化され、 該レポ一夕
一遺伝子が本発明の D N Aに対するプロモーターの制御下で発現しうるものが 用いられる。
試験化合物としては、 前記と同様のものがあげられる。
レポーター遺伝子としては、 前記と同様のものが用いられ、 3—ガラクトシ ダーゼ遺伝子 (1 acZ) 、 可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子またはル シフェラ ゼ遺伝子などが好適である。
本発明の DNAをレポーター遺伝子で尊換された本発明の DNA発現不全非 ヒト哺乳動物では、 レポーター遺伝子が本発明の DNAに対するプロモーター の支配下に存在するの 、 レポ一夕一遺伝子がコードする物質の発現をトレー スすることにより、 プロモーターの活性を検出することができる。
例えば、 本発明のタンパク質をコードする DNA領域の一部を大腸菌由来の /3—ガラクトシダーゼ遺伝子 (1 acZ) で置換している場合、 本来、 本発明 —のタンパク質の発現する組織で、 本発明のタンパク質の代わりに3—ガラクト シダーゼが発現する。 従って、 例えば、 5—プロモー 4一クロロー 3—インド リル— j8—ガラクトピラノシド (X— ga l) のよう.な 0—ガラクトシダ一ゼ の基質となる試薬を用いて染色することにより、 簡便に本発明のタンパク質の 動物生体内における発現状態を観察することができる。 具体的には、 本発明の タンパク質欠損マウスまたはその組織切片をダルタルアルデヒドなどで固定し、 リン酸緩衝生理食塩液 (PBS) で洗浄後、 X— ga 1を含む染色液で、 室温 または 37 X付近で、 約 30分ないし 1時間反応させた後、 組織標本を 1 mM EDTA/PBS溶液で洗浄することによって、 j8—ガラクトシダーゼ反応を 停止させ、 呈色を観察すればよい。 また、 常法に従い、 1 a cZをコードする mRNAを検出してもよい。
上記スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、 上記した 試験化合物から選ばれた化合物であり、 本発明の DNAに対するプロモーター 活性を促進または阻害する化合物である。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、 該化合 物の塩としては、 生理学的に許容される酸 (例、 無機酸など) や塩基 (例、 ァ ルカリ金属など) などとの塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付
加塩が好ましい。 この様な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リン 酸、.臭化水素酸、 硫酸など) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ 酸、 蓚酸、 安息香酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸など) との塩な どが用いられる。
本発明の D N Aに対するプロモーター活性を阻害する,化合物またはその塩は 本発明のタンパク質の発現の阻害、 該夕ンパク質の機能を阻害することができ るので例えば癌 (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 脬臓癌、 脳腫瘍. メラノーマ、 血液腫瘍など) などの予防'治療剤として有用である。
さ に、 上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様 に用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、 前 記した本発明のタンパク質またはその塩を含有する医薬と同様にして製造する ことができる。
このようにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトま たは哺乳動物 (例えば、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルートなどに より差異はあるが、 例えば、 本発明の D NAに対するプロモーター活性を阻害 する化合物を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 60kgとして) の乳癌患者 においては、 一日につき該化合物を約 0. 1〜100mg、 好ましくは約 1. 0〜50mg、 よ り好ましくは約 1. 0〜20ing投与する。 非経口的に投与する場合は、 該化合物の 1 回投与量は投与対象、 対象疾患などによっても異なるが、 例えば、 本発明の D NAに対するプロモーター活性を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人 (体 重 60kgとして) の乳癌患者に投与する場合、 一日につき該化合物を約 0. 01〜
30mg、 好ましくは約 0. l〜20mg、 より好ましくは約 0. l〜10mgを静脈注射により 投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 体重 60kg当たりに換算した量 を投与することができる。
このように、 本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明の D NAに 対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリ 一二ングする上で極めて有用であり、 本発明の D N A発現不全に起因する各種 疾患の原因究明または予防 ·治療剤の開発に大きく貢献することができる。
また、 本発明のタンパク質のプロモーター領域を含有する D N Aを使って、 その下流に種々のタンパクをコードする遺伝子を連結し、 これを動物の卵細胞 に注入していわゆるトランスジエニック動物 (遺伝子移入動物) を作成すれば、 特異的にそのタンパク質を合成させ、 その生体での作用を検討することも可能 となる。 さらに上記プロモーター部分に適当なレポ^"ター遺伝子を結合させ、 これが発現するような細胞株を樹立すれば、 本発明のタンパク質そのものの体 内での産生能力を特異的に促進もしくは抑制する作用を持つ低分子化合物の探 索系として使用できる。 本明細書において、 塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、 IUPAC- IUB Commiss ion on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野におけ る慣用略号に基づくものであり、 その例を下記する。 またアミノ酸に関し光学 異性体があり得る場合は、 特に明示しなければ L体を示すものとする。
デォキシリポ核酸
相補的デォキシリポ核酸
アデニン
チミン
グァニン
シ卜シン
リポ核酸
メッセンジャーリポ核酸
デォキシアデノシン三リン酸
デォキシチミジン三リン酸
デォキシグアノシン三リン酸
デォキシシ ジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA :エチレンジァミン四酢酸
SDS : ドデシル硫酸ナトリウム
G 1 y :グリシン
A 1 a :ァラニン
Va 1 :パリン
Leu :ロイシン
I 1 e :ィソロイシン
S e r :セリン
Th r :スレオニン
Cy s :システィン
Me t :メチォニン
G 1 u :グルタミン酸
As p :ァスパラギン酸
L y s . リ'"ン
A r g :アルギニン
H i s :ヒスチジン
Ph e :フエ二ルァラニン
Ty r :チロシン
T r p : トリブトファン
Pro :プロリン
A s n :ァスパラギン
G 1 n :グルタミン
pG 1 u :ピログルタミン酸
Se c :セレノシスティン (sele
また、 本明細書中で繁用される置換基、 保護基および試薬を下記の記号で表 記する。
Me :メチル基
E t :ェチル基
B u :ブチル基
Ph :フエニル基
TC :チアゾリジン一 4 (R) 一力ルポキサミド基
To s : p—トルエンスルフォニル
CHO :ホルミル
B z 1 :ベンジル
Cl Bzl : 2, 6—ジクロ口べンジル
Bom :ベンジルォキシメチル
Z :ベンジルォキシカルボニル
C 1 -Z : 2—クロ口べンジルォキシカルボニル
B r— Z : 2—ブロモベンジルォキシカルボニル
Boc : t一ブトキシカルボ二ル
DNP :ジニトロフエニル
T r t : 卜リチル
Bum : t—ブトキシメチル
Fmo c : N— 9—フルォレニルメトキシカルボニル
HOB t : 1—ヒドロキシベンズトリアゾール
HOOB t : 3, 4ージヒドロ _ 3—ヒドロキシ一 4一ォキソ一
1— 2, 3—べンゾトリアジン
HONB : 1-ヒドロキシ -5-ノルポルネン -2,3-ジカルボキシイミド
DCC : N, N' —ジシクロへキシルカルポジイミド 本願明細書の配列表の配列番号は、 以下の配列を示す。
〔配列番号: 1〕 .
実施例 1 (4) で得られた MTp53IG-lタンパク質のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 2〕
配列番号: 1で表されるアミノ酸配列をコードする DNAの塩基配列を示す。 〔配列番号: 3〕
実施例 1 (4) で得られた MTP53IG- 1タンパク質をコードする全長遺伝子 (ポ
リ Aを除く) を含む DNAの塩基配列を示す。
〔配列番号: 4〕
実施例 1 (1) で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 5〕
実施例 1 (1) で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列畚号: 6〕
実施例 1 (4) で用いられたプライマーの: ^基配列を示す。
〔配列番号: 7〕
実施例 1 (4) で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 8〕
実施例 1 (4) で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 9〕
施例 1 (4) で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 10〕
実施例 1 (4) で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 113
実施例 1 (4) で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 12〕
実施例 1 (4) で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 13〕
実施例 1 (4) で用いられたプライマ一の塩基配列を示す。
〔配列番号: 14〕
実施例 3で用いられたアンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。 〔配列番号: 15〕 '
実施例 3で用いられたコントロールォリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。 〔配列番号: 16〕
実施例 1 (4) で得られた MTP53IG - 1タンパク質バリアント夕イプー 1のアミ 酸配列を示す。
〔配列番号: 17〕
実施例 1 ( 4 ) で得られた MTp53IG- 1タンパク質バリアントタイプ— 2のアミ ノ酸配列を示す。
〔配列番号: 1 8〕
実施例 1 ( 4) で得られた MTP53IG- 1タンパク質バリアント夕イプー 3のアミ ノ酸配列を示す。
〔配列番号: 1 9〕
配列番号 1 6で表されるアミノ酸をコードする塩 配列を示す。
〔配列番号: 2 0〕
配列番号 1, 7で表されるアミノ酸をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号: 2 1〕
配列番号 1 8で表されるアミノ酸をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号: 2 2〕
配列番号: 2 3で表されるアミノ酸配列の塩基配列を示す。
〔配列番号: 2 3〕 - 実施例 4で得られた MTP53IG- 1 (D) .タンパク質バリアントタイプ一 3のアミ ノ酸配列を示す。
〔配列番号: 2 4〕
配列番号: 2 5で表されるア ノ酸配列の塩基配列を示す。
〔配列番号: 2 5〕
実施例 4で得られた MTp53IG-l (D) タンパク質バリアント夕イプー 2のアミ ノ酸配列を示す。
〔配列番号: 2 6〕
配列番号: 2 7で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号: 2 7〕
実施例 4で得られた MTp53IG- 1 (D) タンパク質パリアンドタイプ一 1のアミ ノ.酸配列を示す。
〔配列番号: 2 8〕
配列番号: 2 9で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号: 2 9〕
実施例 4で得られた MTp53 IG-1 (D)タンパク質のァミノ酸配列を示す。
〔配列番号 : 3 0 3
実施例.4で得られた MTp53IG- 1 (D)タンパク質をコードする全長遺伝子 (ポリ Aを除ぐ) を含む DNAの塩基配列を示す。
〔配列.番号: 3 1〕
実施例 4で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 3 2〕
実施例 4で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 3 3〕
実施例 6で用いられた部分ペプチドのアミノ酸配列を示す。 後述の実施例 4で取得された Escherichi a col i JM109/MTp53IG-lは、 2003年 3 月 12日から、 日本国茨城県つくば市東卜 1-1 中央第 6 (郵便番号 305 - 8566) の独 立行啄法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託番号 FERM BP-8327 として寄託されている。
後述の実施例 4で取得された Escherichia col i JMlQ9/MTp53IG-l (D)は、 2003 年 3月 12日から、 日本国茨城県つくば巿東卜卜 1 中央第 6 (郵便番号 305- 8566) の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託番号 FERM BP- 8328として寄託されている。 以下において、 実施例により本発明をより具体的にするが、 この発明はこれ らに限定されるものではない。
実施例 1
( 1 ) 変異型 p53ベクターの構築
野生型 p53 (GenBank Access ion No. AF307851) の翻訳開始コドン ATGの Aから 数えて 524番目の塩基を Gから Aに置換したフォワード側およびリバース側のブラ イマ一 (配列番号: 4および配列番号: 5 ) を作製した。 Bam HI- Eco RIサイ トに野生型 p53 (WTp53) ¾pcDNA3. 1 (Invi trogen) に組み込んだ pcDNA3. 1- WTp53ベクターを铸型として、 上記 2種類のプライマーを使用し、 QuikChange™
Site-Directed Mutagenesis Kit (STMTAGENE)を用いて変異型 p53 (MTp53) 遺 伝子を作製した。 方法は添付プロトコールに従った。 MTp53遺伝子を Bam HI と Eco RIで制限酵素処理し、 同酵素で処理した pINDベクター (Ecdysone - Inducible Mammalian Expression System (Invitrogen) に添付) に組み込み、 pI D- MTp53ベクターを得た。 この変異型 p53は 175番目のアミノ酸配列がアルギ ニン (R) からヒスチジン (H) に置換している。 コントロールとして野生型 p53 遺伝子を pINDベクターに組み込んだ pIND-WTp53ベクターも調製した。 もう一つ のコントロールとして CAT (クロラムフエニコ一ルァセチルトランスフェラー ゼ) が組み込まれた pIND- CATベクター (Invitrogen) も使用した。
(2) 変異型 P53遺伝子発現制御細胞の構築
p53が欠失している肺がん由来細胞株 HI 299 (ATCC) を 6cmシャーレに 4X105個 播種し、 ー晚培養後 Fugene6 (Roche) を用いて、 添付プロトコールに従い上記 (1) で得られた pIND-MTp53ベクター、 pI D-WTp53ベクターまたは pIND-CATベ クタ一と、 pVgRXRベクター (Ecdysone - Inducible Mammalian Expression System (invitrogen)に添付) とをそれぞれ co- transfectionした。 ジエネティ シン (GIBCO BRL) と Zeosin (Invitrogen) により、 それぞれの遺伝子の導入細 胞株 (H1299-MTp53, H1299-fTp53, HI 299-CAT) を選択した。 これら 3種の安定 発現株に、 5 の Muristerone A (上記キットに添付) を添加したところ、
H1299- MTp53では MTp53の発現が、 H1299-WTp53では WTp53の発現が、 HI 299-CATで は CATの発現がそれぞれ誘導された。 さらに、 抗 p53抗体 (Oncogene) を用いた ウエスタンブロッテイング法により、 H1299- MTp53では MTp53の発現が、 H1299 - WTp53では ^Γρ53の発現が誘導されたことを確認した。
(3) GeneChip解析
変異型 P53によって発現誘導される遺伝子群を明らかにするため、 5 M
Muristerone Aを H1299-MTp53、 H1299- WTp53および H1299- CATにそれぞれ添加後、 01-2, 24および 48時間後のこれらの 3種の細胞株から調製した total MAを材料 とし GeneChip (Human Genome U95A, U95B, U95C, U95D, U95E; Affymetrix社) を用いて遺伝子発現解析を行った。 実験方法は、 Affymetrix社の実験手引き書 (Expression analysis technical manual) 従つ/こ。
の結果、 変異型 p53によってのみ発現が上昇し、 野生型 P.53では誘導されな い遺伝子 (Affymetrix番号 67069_at; GenBank Accession No. AK026140の部分 配列) を見出した (表 1) o
〔表 1〕
細胞株 (培養時間) Affymetrix番号 67069一 atの相対的発現量
HI 299- CAT (0時間) 0.31
H1299-CAT (12時間) 0.22
H1299-CAT (24時間) 0.11
H1299-CAT (48時間) 0.35
H1299-MTP53 (0時間) 0.67
H1299-MTP53 (12時間) 1.02
H1299-MTP53 (24時間) 1.71
H1299-MTP53 (48時間) 1-60
H1299-WTP53 (0時間) 0.37
H1299-WTP53 (12時間) 0.30
H1299-WTP53 (24時間) 0.17
H1299-WTD53 (48時間) 0.20 (4) 新規遺伝子の単離
上記 (3) で得られた Affymetrix番号 67069_atが含まれる EST配列をもとにプ ライマー 3 (配列番号: 6) およぴプライマー 4 (配列番号: 7) を作製し、 5' -RACEを施行した。 伸長反応は、' Marathon-ready human cololectal adenocarcinoma cDNA (CL0NTECH社) を铸型として行った。 プライマー 3とプラ イマ一 API (前記の Marathon cDNA te即 late に付属) を用いて一次 PCR (94 で 30秒反応後、 .94 5秒- 72で4分の反応サイクルを 5回、 ついで 94 5秒- 70で4分の 反応サイクルを 5回、 ついで 94 5秒 - 68 4分のサイクルを 20回) を行い、 プラ イマ一 4とプライマー AP2 (前記の Marathon cDNA templateに付属) を用いて二 次 PCR (94^で 30秒反応後、 94で5秒- 72で4分の反応サイクルを 5回、 ついで 94^
5秒 - 70 4分の反応サイクルを 5回、 ついで 94で5秒- 68で4分のサイクルを 20回) を行った。 得られた cDNA断片をシークェンスした結果、 5' 側に 985bpが伸長さ れ、 合計 3005bpの塩基配列を得た。 この 3005bpの塩基配列を再度、 公共データ ベースおよびセレラデータベースに対して Blast検索し、 得られた配列をもとに、 プライマ一 7 (配列番号: 8) およびプライマー 8 (配列番号: 9) を設計し、 上^ (2) で構築した MTp53を誘導した HI 299細胞 (H1299-MTp53) から調整した cDNAを铸型として、 PCR反応 (94 で 30秒反応後、 94で10秒- 63で 5秒 - 72 4分の 反応サイクルを 31回) を行った。 さらに、 プライマー 9 (配列番号: 10) お よびプライマー 10 (配列番号: 1 1) を設計し、 H1299-MTP53細胞から調整し た mMAをプライマー 9で逆転写したゆ NAを铸型に用いた PCR反応 (94 で 30秒反 応後、 94で 10秒- 65で 5秒- 68で1分の反応サイクルを 31回) を行った。
各々の反応で得られた cDNA断片をシークェンスし、 塩基配列を連結した。 そ の結果、 370アミノ酸 (配列番号: 1) をコードする lllObp (配列番号: 2) の 0RFを含む、 合計 4550bpの塩基配列 (配列番号: 3) を有する全長遺伝子配列を 得た。
配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質を、 MTP53IG- 1夕 ンパク質と命名する。 MTP53IG- 1タンパク質を既知蛋白質に対して相同性検索を 行ったところ、 相同性のあるタンパク質は認められなかった。
また、 配列番号: 1のアミノ酸配列の N末端側に 1 1アミノ酸が付加された アミノ酸配列 (配列番号: 16) を有するタンパク質を MTP53IG- 1タンパク質バ リアントタイプ— 1、 配列番号: 1のアミノ酸配列の N末側に 12アミノ酸が 付加されたアミノ酸配列 (配列番号: 17) を有するタンパク質を MTp53IG-l夕 ンパク質バリアントタイプ— 2、 配列番号: 1のアミノ酸配列の N末側に 14 アミノ酸が付加されたアミノ酸配列 (配列番号: 18) を有するタンパク質を MTp53IG-l夕ンパ.ク質バリアントタイプ一 3とした。
MTP53IG-1タンパク質バリアントタイプ一 1、 MTP53IG-1タンパク質パリアン ト夕イプー 2および MTP53IG-1タンパク質バリアント夕イプー 3をコードする DNAの塩基配列を、 それぞれ配列番号: 19、 配列番号: 20および配列番号: 2 1に示す。
実施例 2
MTp53IG-l遺伝子の癌細胞株での発現
Megapr ime DNA Label l ing Sys tem (Amersham Pharmac ia Biotech社) を用い て上記実施例 1 ( 4 ) のプライマー 4とプライマー AP2を用いて行った二次 PCR で得られた cDNA断片を、 32 P- dCTPでラベルし、 プローブとした。 Cancer Cel l Line (CL0NTECH社) を用い 7:ノーザンブロッテイングを行った結果、 大腸癌由 来細胞株 SW480および子宮類癌由来細胞株 HeLa S3細胞株で、 MTp53IG-l遺伝子の 発現が認められた。 実施例 3
アンチセンスオリゴヌクレオチドによる細胞死
MTP53IG- 1遺伝子のアポ 1 ^一シスに及ぼす影響を解析するために、 MTp53IG - 1 アンチセンスオリゴヌクレオチド導入実験を行った。
まず、 配列番号: 3で表される塩基配列に対するアンチ ンス (配列番号: 1 4 ) を設計後、 phosphorothi oate化オリゴヌクレオチドを合成し、 HPLC精製 (Amersham Pharmacia Biotech) して導入実験に用いた。 コントロールオリゴ ヌクレオチドとしては、 配列番号: 1 4で表される塩基配列のリパース配列 (配列番号: 1 5 ) を同様に phosphorothioate化し、 HPLC精製 (Amersham Pharmaci a Biotech) して用いた。
被験細胞として肺がん細胞株 A549を用い、 オリゴヌクレオチド導入前日に 3. 3 X 103個の細胞を 96ゥエルプレート (Fal con社) に播種した。 オリゴヌクレオチ ド導入には Ol igofec tAMINE (Invi trogen社) を使用し、 そのプロトコールに従 つた。 アンチセンスオリゴヌクレオチド (250nM) 導入後 3日目に Cel l death detec t ion EL ISA (Roche社) を用いてコントロールオリゴヌクレオチド導入後 3 日目の細胞と比較した。 アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入した場合のァ ポトーシスは、 コントロールオリゴヌクレオチドを導入した場合 (100%) に比 ベ 176%に増加していた。 これより、 MTP53IG- 1遺伝子の発現を抑制すると、 癌 細胞はアポトーシスを起こして細胞死を起こすことが確認された。
実施例 4
プライマー 11 (配列番号: 3 1 ) およびプライマ一 12 (配列番号: 3 2 ) を 設計し、 H1299- MTp53細胞 (実施例 1 ( 2 ) ) から調製した mRNAをプライマー 12 (配列番号: 3 2 ) で逆転写した cDNAを铸型に用いた PCR反応 (94 で 1分反応後 94で 10秒 - 6IT 30秒- 72で1分 30秒の反応サイクルを 35回)を行った。 得られた cDNA断片をシークェンスした結果、 実施例し 配列番号: 2で表される塩基配 列を持つ MTp53IG- l遺伝子断片の他に、 この塩基配列の 743〜745番目の塩基が 欠損した 1107bp (配列番号: 2 8 ) の 0RFを含む全長 4547bp (配列番号: 3 0 ) の cDNA断片も得られた。 この 0RFは配列番号: 1で表されるアミノ酸配列の 248 番目のアミノ酸が欠損した 369アミノ酸配列 (配列番号: 2 9 ) をコードしてお り、 MTP53IG- 1 (D)遺伝子と命名した。 また、 配列番号: 2 9で表されるァミノ 酸配列を含有するタンパク質を、 MTP53IG- 1 (D)タンパク質と命名した。 この cDNA断片 MTP53IG- 1 (D)夕ンパク質を既知蛋白質に対して相同性検索を行つたと ころ、 相同性のあるタンパク質は認められなかった。
ま 、 配列番号: 2 9のアミノ酸配列の N末端側に 11アミノ酸が付加されたァ ミノ酸配列 (配列番号: 2 7 ) を有するタンパク質を MTp53IG-l (D) タンパク 質バリアントタイプ— 1、 配列番号: 2 9のアミノ酸配列の N末側に 12アミノ酸 が付加されたアミノ酸配列 (配列番号: 2 5 ) を有するタンパク質を MTP53IG-1 (D) タンパク質バリアントタイプ一 2、 配列番号: 2 9のアミノ酸配列の N末 側に 14アミノ酸が付加されたアミノ酸配列 (配列番号: 2 3 ) を有するタンパ ク質を MTP53IG- 1 (D) タンパク貲バリアント夕イプー 3とした。
MTp53IG-l (D) タンパク質バリアントタイプ一 1、 MTp53IG- 1 (D) タンパク 質バリアントタイプ一 2および MTP53IG- 1 (D) タンパク質パリアントタイプ— 3をコードする DNAの塩基配列を、 それぞれ配列番号: 2 6、 配列番号: 2 4お ょぴ配列番号: 2 2に示す。
■ 配列番号: 2 2で表される塩基配列を有する DNAを含むプラスミドを pCR - Blunt I I-TOPO-MTp53IG-l (D)と命名し、 このプラスミドを大腸菌 JM109に導入 し、 形貪転換体 Escherichia col i 109/MTp53IG-l (D)を得た。
同様に配列番号: 21で表される塩基配列を有する DNAを含むプラスミドを pT7Blue- MTP53IG- 1と命名し、 このプラスミドを大腸菌頂 109に導入し、 形質転 換体 Escherichia coli 109/MTp53IG-lを得た。 実施例 5
(1) 動物細胞発現ベクターの構築
pT7-Blue- MTP53IG- 1および pCDNA3.1(+) (Invitrogen) を制限酵素 Hind IIIお よび Xba Iで切断した後、 TaKaRa Ligation Kit Ver.2 (宝酒造)を用いて結合さ せ、 得られたプラスミド DNAを公知の方法により大腸菌 109に導入し、 形質転 換体 (クローン) を得た。 この形質転換体からプラスミドを抽出し、 シークェ ンサー (Applied Biosystem¾::ABI3100) を用いてインサート部分の塩基配列を 確認し、 動物細胞発現ベクター pCDNA3.1(+)- MTP53IG-1を構築した。
同様に pCR-Blunt II- T0P0- MTp53IG(D)および pCDNA3.1(+) (Invitrogen) を制 限酵素 Hind IIIおよび Xba Iで切断した後、 TaKaRa Ligation Kit Ver.2 (宝酒 造)を用いて結合させ、 得られたプラスミド DNAを公知の方法により大腸菌 1109 に導入し、 形質転換体 (クローン) を得た。 この形質転換体からプラスミドを 抽出し、 シークェンサ一 (Applied Biosystem社: ABI3100) を用いてインサート 部分の塩基配列を確認し、 動物細胞発現べク夕一 PCDNA3.1 (+) -MTp53IG-l (D)を 構築した。
(2) MTP53IG-1およ U¾lTp53IG-l (D) 遺伝子による細胞増殖効果
6cmシャーレに、 ヒト肺がん細胞株 H1299 (ATCC) を 2.5X105個ずつ播種し、 ー晚培養後 FuGene6 (Roche)を用いて添付のプロトコールに従い、 実施例 4で得 られた PCDNA3.1 (+) -MTp53IG-K PCDNA3.1 (+)-MTp53IG-l (D)および pCDNA3.1 (+) (Invitrogen) を導入した。 ー晚培養後、 ジエネティシン (Invitrogen) を培 地に加えて 7日間培養した。 その後、 細胞を 6cmシャーレに播種しなおして、 さ らにジエネティシンを添加した培地で 3週間細胞を培養した。 PBSで洗浄後、 10%中性フオルマリン溶液 (和光純薬) にて室温で 30分間固定し、 PBSで洗浄し た。 その後、 クリスタルバイオレット (SIGMA) 溶液 (クリスタルバイオレット が 10%になるようエタノールで溶解し、 それを PBSで 100倍に希釈したもの) で
細胞を室温で 2時間染色し、 蒸留水にて洗浄し風乾させた。 染色された細胞の面 積を ImagProアプリケーション(Media Cybernet i cs社)で測定し 。
その結果、 H1299細胞に pCDNA3. 1 (+)を導入した群の面積を 100%とすると、 PCDNA3. 1 (+) -MTp53IG- 1を導入した群の面積は 200%、 pCDNA3. 1 (+) -MTp53IG- 1 (D)を導入した群の面積は 200 %であった。
このことから MTp53IG-l遺伝子およ 1TP53IG- 1 (D)遺伝子は、 細胞増殖を促進 させることがわかる。 実施例 6
ぺプチド抗体の作製
配列番号: 1で表わされるアミノ酸配列の 288〜302番目 (配列番号: 1 6で 表わされるアミノ酸配列の 299〜313番目、 配列審号: 1 7で表わされるァミノ 酸配列の 300〜314番目、 配列番号: 1 8で表わされるアミノ酸配列の 302〜316 番目、 配列番号: 2 3で表わされるアミノ酸配列の 301〜315番目、 配列番号: 2 5で表わされるアミノ酸配列の 299〜313番目、 配列番号: 2. 7で表わされる アミノ酸配列の 298〜312番目、 配列番号: 2 9で表わされるアミノ酸配列の 287 〜301番目に相当) のアミノ酸からなる 15残塞の部分ペプチド (配列番号: 3 3 ) を Fmoc固相合成法により合成した。 このペプチドにキーホールリンペット へモシァニン (KLH) をキャリアータンパク質として結合させ、 抗原とした。 免 疫動物は雄性ゥサギ KBL : JW (10週令、 オリエンタル酵母) 一羽を用い、 感作は 背部に皮下注射により行い 14日毎に 3回繰り返した。 1回の感作には抗原 0. 5mgを 用い、 初回感作後 52日目に全採血を行い、 血清を得た。 得られた血清全量を硫 酸アンモニゥム塩析法により.濃縮し、 得られた粗 IgG画分を全量プロテイン Aァ フィニティーカラム (Amersham- Pharmac i a社製) により精製し、 精製 IgG画分を ポリクロ ナル抗体画分とした。 このうち一部を、 ペプチドの固定化カラムで の精製に供した。 固定化にはべプチドのカルポキシル基末端のシスティンを利 用し、 ホウ酸緩衝液を用いてセファロースカラム (Amer sham- Pharmac ia社) に カップリングした。 カラムからの溶出には 8M尿素 Zリン酸緩衝化生理食塩水 (PBS) を用いた。 溶出液を PBSに対して透析して尿素を除いた後、 限外濃縮、
フィルターろ過滅菌することによりァフィ二ティ一精製抗体を取得した。 実施例 7
ペプチド抗体を用いたウェスタンブロッティング
MTP53IG-1タンパク質 (配列番号: 1 8で表わされるアミノ酸配列を有する夕 ンパク質) の検出を、 実施例 6で作製したペプチド抗体を用いて行った。
6cmシャーレに 8X 105個のサル腎臓由来 COS- 7細胞を播種し、 一晩培養後、 Lipofectamin2000 (Invi trogen) を用いて添付のプロトコールに従い、 実施例 5で得られた pCDNA3. 1 (+) - MTp53IG-lおよび PCDNA3. 1 (+) (Invi trogen) を導入 した。 翌日、 細胞をはがし、 常法に従い SDS- PAGE、 続いてウェス夕ンブロッテ イングを施行した。 一次抗体として実施例 6で作製したペプチド抗体 、 二次 抗体として抗ゥサギ IgG- HRPコンジュゲイト (Juckson ImmunoReseardi社) を用 いた。 検出は ECL (Amersham- Pharmacia社) を用いて添付のマニュアルに従った。 その結果、 実施例 6で作製したペプチド抗体は、 MTp53IG- 1タンパク質を認識 することが確認された。 実施例 8
MTP53IG- 1の細胞内局在
6cmシャーレに 8X 105個のサル腎臓由来 COS- 7細胞を播種し、 一晩培養後、 Lipofectamin2000 (Invi trogen) を用いて添付のプロトコールに従い、 実施例 5で得られた pCDNA3. +) -MTp53IG- 1および pCDNA3. 1 (+) (Invi trogen) を導 Λ した。 更にー晚培養後、 Poly-D-Lysine Cel l ware 4-Wel l Cul ture Sl ide
(BECTON DICKINSON社) に播種しなおし一日培養した。 翌日、 培地を抜き取り 10%中性緩衝ホルマリン液 (wako) で固定した後、 PBSで洗诤し、 次に 0. 1 % Tri ton X-100/PBSで処理した。 PBSで洗浄した後、 3%ゥシ血清アルブミン ZPBS (ブロヅキング溶液) で室温 30分のブロッキング操作を行った。 次にブロッキ ング溶液で希釈した実施例 6で作製したペプチド抗体で室温、 2時間インキュべ ートした後、 PBSで洗浄した。 最後にブロッキング溶液で希釈した FITC標識抗ラ ビット IgG抗体 (SIGMA) で室温、 1時間インキュベートし、 PBSで洗浄後、 蛍光
顕微鏡で観察した。
その結果、 pcDNA3. 1 (+) - MTP53IG- 1導入細胞において、 卿胞質が染まる細胞像 が認められた。 これより、 MTP53IG- 1タンパク質は細胞質に存在することが示唆 された。 産業上の利用可能性
本発明のタンパク質 (配列番号: 1または配列番号: 2 9で表されるァミノ 酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を含有するタンパク質) 、 該タンパク質をコードするポリヌクレオチド、 該タンパク質に対する抗体など は、 例えば癌 (例、 大腸癌、 乳癌、 肺癌、 前立腺癌、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 滕臓癌、 脳腫瘍、 メラノーマ、 血液腫瘍など) 、 自己免疫疾患 (例、 重症筋無力症、 糸球体腎炎、 多発性硬化症、 シエーダレン症候群、 インスリン抵抗性糖尿病、 慢性関節リウ マチ、 全身性エリテマトーデスなど) などの診断マーカーとして有用である。 本発明のタンパク質、 本発明のポリヌクレオチド、 本発明のタンパク質の活 性を促進する化合物もしくはその塩、 .本発明のタンパク質の遺伝子の発現を促 進する化合物もしくはその塩は、 例えば自己免疫疾患 (例、 重症筋無力症、 糸 球体腎炎、 多発性硬化症、 シエーダレン症候群、 インスリン抵抗性糖尿病、 慢 性関 リウマチ、 全身性エリテマトーデスなど) などの予防 ·治療剤などとし て安全に使用することができる。
本発明の抗体、 本発明のアンチセンスポリヌクレオチド、 本発明のタンパク 質の活性を阻害する化合物もしくはその塩、 本発明のタンパク質の遺伝子の発 現を阻害する化合物もしくはその塩は、 例えば癌 (例、 大腸癒、 乳癌、 肺癌、 前立腺瘅、 食道癌、 胃癌、 肝臓癌、 胆道癌、 脾臓癌、 腎癌、 膀胱癌、 子宮癌、 精巣癌、 甲状腺癌、 塍臓癌、 脳腫瘍、 メラノーマ、 血液腫瘍など) などの予 防 -治療剤などとして安全に使用することができる。