JP2001267562A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体装置及びその製造方法

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JP2001267562A
JP2001267562A JP2000077803A JP2000077803A JP2001267562A JP 2001267562 A JP2001267562 A JP 2001267562A JP 2000077803 A JP2000077803 A JP 2000077803A JP 2000077803 A JP2000077803 A JP 2000077803A JP 2001267562 A JP2001267562 A JP 2001267562A
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Katsutada Horiuchi
勝忠 堀内
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】微細MOSトランジスタにおける、大電流化、
消費電力の低減、及び、ゲート電極の細線効果によるゲ
ート抵抗増加を抑制。 【解決手段】実効チャネル長を規定する第一のゲート電
極3の側面に、ひさし構造を有する第二のゲート電極7
を設けて、この第二のゲート電極7をイオン注入阻止マ
スクとしての傾角イオン注入によって、半導体基板1表
面のチャネル領域では低濃度、基板内部では高濃度とな
る不純物分布を有するポケット構造不純物領域を形成す
る。ゲート電極上部では第一及び第二のゲート電極3,
7を金属珪化膜で接続する。 【効果】パンチスルー現象を抑制しながらの大電流化
と、ドレイン接合端におけるトンネル漏洩電流の抑制す
なわち待機時の消費電力の抑制とを実現でき、さらに
は、ゲート電極の細線効果に基づくゲート電極抵抗の増
加を抑制して、高速動作化を実現することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置及びそ
の製造方法に係わり、特に、超微細MOS型電界効果ト
ランジスタの大電流化,超高速動作化に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】超高密度集積回路装置を構成するMOS
型電界効果トランジスタ(以下、単にMOSと略記す
る)は、スケーリング則に基づき微細化が進み、200
nm以下のゲート長を有する超微細MOSも実用化され
てきている。これら超微細MOSにおいては、使用する
電源電圧において信頼性を含め十分に動作可能とするた
めに、チャネル領域を含めた半導体表面部分の基板不純
物濃度をスケーリング則に基づき高濃度に設計して、ソ
ース・ドレイン間のパンチスルーを防止している。
【0003】上記超微細MOSにおいては、基板不純物
の最大濃度が1018/cm3 以上にも達する。チャネル
領域における基板不純物濃度の高濃度化は易動度の劣化
を、また、ソース・ドレイン領域においては接合容量の
増加を招き、超微細MOSの大電流化,高速動作化を阻
害する作用をする。従来の基板不純物濃度の高濃度化の
手法としては、ゲート電極形成前にn型MOS構成領域
の半導体基板全面にp型不純物(p型MOSに対しては
n型不純物)のイオン注入を施す手法や、図2に示す如
く上記のイオン注入をゲート電極形成後に半導体基板主
表面に対し傾角の方向から施してn型ソース・ドレイン
拡散層を包み込む如くp型不純物拡散層領域を構成する
手法が知られている。前者の半導体基板全面に不純物を
導入する手法においては、その後の製造工程における熱
処理履歴が避けられず、また半導体基板内部へのイオン
注入においても半導体表面チャネル領域の高濃度化は必
然であった。後者の手法によるp型不純物(p型MOS
に対してはn型不純物)の拡散層はポケット又はハロー
構造と称されるが、図2に示すような傾角Θ,飛程Xjp
なるイオン注入条件において、ゲート電極1の影響がな
い領域でのSi基板深さ方向の飛程はXjp・cosΘ、
ゲート電極側面からXjp・sinΘなる位置に飛程が定
められる。従って、MOSの電流経路である半導体基板
表面10nm以下のチャネル領域においてもp型高濃度
領域の形成が避けられない。傾角Θが45度以下であれ
ば、深さ方向濃度勾配に比べて横方向濃度勾配は急峻と
なる。
【0004】ソース・ドレイン近傍におけるチャネル領
域内での急峻な高濃度不純物分布の存在は、閾電圧値の
ゲート長依存性においてゲート長が短くなるに従い閾電
圧値が一旦上昇してから急激に減少するいわゆる逆短チ
ャネル特性を生じさせ、かつ易動度の劣化を生じさせ
る。これは、ゲート端から導入される高濃度不純物ポケ
ット領域がソース・ドレイン接合近傍に局在されるた
め、ゲート長が一定値より短くなれば、同一ポケット形
成イオン注入条件下では長チャネル素子に比べてチャネ
ル不純物濃度が高くなってしまうためである。ゲート長
が更に短くなれば、ソース・ドレイン間のパンチスルー
現象により閾電圧値は急激に低下する。この易動度の劣
化もチャネル不純物濃度の上昇に基づく現象である。
【0005】スケーリング則に基づく従来構造MOSの
微細化においては、微細化に伴ってドレイン接合近傍で
の基板不純物濃度がより高濃度に設定されるため、nM
OSにおいてはドレイン端子に高電圧が印加され、か
つ、ゲート端子に閾電圧以下の零(ゼロ)又は負電圧が印
加される条件下でドレイン電流が負のゲート電圧と共に
増加するいわゆるゲート誘因ドレイン漏洩電流(gate i
nduced drain leakage/ゲート・インジュースド・ドレ
イン・リーケージ: GIDLと称される)が無視できな
いほど大きくなることが知られている。このGIDL現
象は、ドレイン接合部分におけるドレイン高濃度領域と
基板高濃度領域間とのバンド間トンネル電流に基づく現
象であり、微細MOSの遮断状態、すなわちゲート電圧
が零電圧における漏洩電流が大きくなることであり、保
持状態における消費電力の増大をもたらす。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ソー
ス・ドレイン間におけるパンチスルー電流経路を完全に
遮断すべく、半導体基板表面チャネル部の深さ10nm
以下の部分を除く半導体基板内部の不純物濃度を高濃度
に設定し、かつ、半導体基板表面チャネル領域における
不純物濃度を低く制御した構造を実現し、易動度の劣化
の無い、従って大電流化,高速動作化の可能な超微細M
OSを今後の更なる微細化の進展に際しても実現できる
技術を提供することにある。
【0007】本発明の他の課題は、p型基板領域内に構
成されるnチャネルMOSばかりでなく、同一半導体基
板内にp型領域とn型領域を有し、各々の領域にnチャ
ネルMOSとpチャネルMOSが構成された相補型MO
S(以下、CMOSと記す)に関しても上記の不純物分
布構造を実現し、もって超微細CMOSの大電流化,高
速動作化の可能な超微細MOSを提供することにある。
【0008】本発明のさらに他の課題は、微細MOSに
おける逆短チャネル特性が軽減されて、閾電圧値がゲー
ト長の変化に対して変動幅の小さいMOSを提供するこ
とにある。
【0009】本発明のさらに他の課題は、GIDL効果
による漏洩電流が小さく、保持状態における消費電力を
低減できる超微細MOSを提供することにある。
【0010】本発明のさらに他の課題は、MOSにおけ
るゲート電極長が微細化されるのに伴い、多結晶シリコ
ンゲート膜と積層でゲート電極を構成する高融点金属珪
化膜の抵抗値がゲート電極の細線化に伴い急激に上昇す
る現象に対して対策を講ずることである。細線化に伴う
抵抗上昇は高融点金属珪化膜の結晶粒の大きさと相関が
あり、該結晶粒径よりもゲート電極が細線化されると抵
抗値は急激に上昇する傾向を示す。本発明では、大電流
化のために必須な実効ゲート長の細線化を実施しつつ、
ゲート抵抗値の上昇を抑える手法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】MOS特性の大電流化を
追求する観点から、本発明によるMOS構造において
は、ゲート絶縁膜の薄膜化及びゲート長の微細化は使用
電源電圧によってスケーリング則に基づいて実施する。
従って、電流−電圧特性を基本的に決定する実効チャネ
ル長が微細化の限界技術が適用されるゲート電極加工技
術とゲート電極をマスクとしてのイオン注入によるソー
ス・ドレイン拡散層とで決定される構造を採用する。上
記拡散層がソース・ドレイン間のパンチスルー現象を十
分に抑制しかつソース抵抗を可能な限り低減するように
するために、浅接合高濃度の条件を満たすようなイオン
注入条件とその後の熱処理負担の軽減策とを採用する。
すなわち、ゲート絶縁膜厚及びゲート電極をマスクとし
てのソース・ドレイン拡散層形成条件等に関しては、従
来技術と何ら変わらない。
【0012】本発明の基本概念は、実効チャネル長の設
計は最適な従来技術に基づき、チャネル領域における不
純物濃度を、基板表面部分では低濃度に保ちつつ、基板
内部ではパンチスルー経路を遮断できるような高濃度と
することにある。このような不純物濃度分布を実現し得
る概念を図3を用いて説明する。図3は、nチャネルト
ランジスタのソース拡散層領域部分を拡大図示したもの
である。ドレイン領域側も対称の関係にあり、これと同
様な構造が採用される。
【0013】従来手法に基づいて、半導体基板上にゲー
ト酸化膜、ゲート電極1を形成し、さらに、このゲート
電極1を注入阻止マスクとしてのイオン注入によりソー
ス・ドレイン拡散層を形成する。この状態から、熱負荷
をかけない程度の低温、即ち500℃程度の低温でゲー
ト電極2を、ゲート電極1の側壁部にゲート酸化膜に接
する部分を除いた上部に選択的に形成し、イオン注入に
対するひさし構造阻止マスクとする。ゲート電極2の材
料としてはシリコン膜,絶縁膜,金属膜,金属珪化膜又
はそれらの積層膜等何ら限定されない。上記のひさし構
造マスクに対し傾角Θなる角度でp型不純物をイオン注
入すると、飛程Xjpで注入されたイオンはシリコン基板
内でXjp・cosΘの深さに達する。シリコン薄膜で構
成されるゲート電極1及び2内においてはゲート電極2
の側壁面よりXjp・sinΘなる内部にまで達する。ひ
さし部分を通過して基板内部に注入されるイオンは、飛
程が一定になる如く深さXjp・cosΘとゲート電極側
壁からの距離Xjp・sinΘの各々を結ぶ如き分布とな
る。図3から明らかな如く、ひさし構造イオン注入阻止
マスクを用いての傾角イオン注入によりシリコン基板内
の不純物分布は基板内部ではゲート電極1端と平行に、
基板表面部分では傾角の向きに傾斜した分布を実現する
ことができる。上記の傾きは、イオン注入エネルギー,
イオン種類,注入傾角,及び、ひさし構造イオン注入阻
止マスクの材質及び形状によって決定される。
【0014】上記の傾角イオン注入方法により、半導体
基板内部ではソース・ドレイン接合を包み込むごとく、
また半導体基板のごく表面部ではソース・ドレイン接合
内部に逆に包括されるごとくポケット構造形成の基板不
純物濃度分布が構成される。上記の不純物濃度分布構成
においては、チャネルが形成される半導体表面での不純
物濃度が低濃度となるため、易動度の劣化を生じること
なく、同一ゲート長の従来MOSに比べて大電流化が達
成できる。チャネル領域下でゲート電圧で制御されない
半導体基板領域ではポケット構造基板不純物濃度が十分
高く設定されるため、パンチスルー電流成分を十分に抑
制することができる。
【0015】上述した本発明手法に基づけば、ゲート電
極と重畳する半導体基板表面のドレイン接合近傍では基
板不純物濃度が低く設定されるため、バンド間トンネル
現象に基づくGIDL現象を軽減することができる。従
って、非動作時における漏洩電流を極小化することがで
き、低消費電力のMOSを実現することができる。
【0016】また、本発明手法に基づけば、実効ゲート
長はゲート電極1のゲート長で決定され、従来MOSと
同一の実効チャネル長が確保できる上に、高融点金属珪
化膜をゲート電極1とその側壁に対で構成されるゲート
電極2の上部表面に形成するすることができるため、ゲ
ート細線効果に基づくゲート抵抗の急激な上昇を抑止す
ることができる。従って、ゲート長が同一の従来MOS
に比べて高速動作可能なMOSを提供することができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
き、実施例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。な
お、本発明になる半導体装置の各部の材質,導電型,及
び製造条件等は以下の実施例のみに限定されるものでは
なく、各々多くの変形が可能であることは云うまでもな
い。
【0018】〈実施例1〉図7は本発明の第一の実施例
による半導体装置の完成断面図、図4,図5及び図6は
その製造工程順を示す断面図である。面方位(10
0)、p導電型、直径20cmの単結晶Siよりなる半
導体基板1上に活性領域を画定する素子間分離絶縁領域
(図示せず)を形成し、基板濃度調整用のp導電型イオ
ンの注入と引き延ばし熱処理、及び閾電圧調整用のイオ
ン注入と活性化熱処理を従来周知の手法により施した
後、熱酸化膜1.8nmを形成した後、その表面をNO
ガスにより窒化することにより0.2nmの窒化膜を積
層形成し、ゲート絶縁膜2とした。続いて、燐(P)が
高濃度に添加された非晶質Si膜を化学気相堆積法によ
ってゲート絶縁膜2上に250nmの膜厚で堆積した
後、電子線リソグラフ法により100nm長の第一のゲ
ート電極3に加工した。第一のゲート電極3の低抵抗化
は、上記のごとく予め不純物を添加するのではなく、従
来周知の相補型MOSの製法に基づき、所望ゲート電極
領域に選択的に燐(P),またはボロン(B)を高濃度
イオン注入して形成してもよい。
【0019】第一のゲート電極3の形成後、イオン注入
により表面汚染防止のための2nm厚の薄い絶縁膜6を
第一のゲート電極3の側壁部にも形成した。この状態よ
り、砒素(As)イオンを加速エネルギー:5keV,
注入量:2×1015/cm2の条件で垂直方向からイオ
ン注入し、浅いソース拡散層4及び浅いドレイン拡散層
5とした。続いて、20nm厚の非晶質Si膜7を再び
堆積した。堆積温度は520℃である。なお、非晶質S
i膜7には、特別には不純物の添加を施さなかった。
(図4) 図4の状態から5nm厚のシリコン窒化膜をプラズマ補
助堆積法により400℃の低温で全面に堆積してから、
異方性ドライエッチング法により第一のゲート電極3の
側壁に面した非晶質Si膜7の側壁部にのみ上記シリコ
ン窒化膜を選択的に残置させてゲート側壁絶縁膜8とし
た。続いて、ゲート側壁絶縁膜8をエッチングマスクと
して、等方性エッチング法により、450℃の低温で平
面部分に堆積されている非晶質Si膜7を選択的に除去
して、第一のゲート電極3の側壁部上に、半導体基板表
面側端部に堆積膜厚分だけを除去された形状のひさし構
造を有する第二のゲート電極7を形成した。酸化膜を含
む薄い絶縁膜6及びゲート絶縁膜2は、上記の等方性エ
ッチング工程においては除去されず、ゲート電極3及び
半導体基板1は全くエッチングされない。しかる後、第
二のゲート電極7をイオン注入阻止マスクとするボロン
(B)のイオン注入を、傾角:30度,加速エネルギ
ー:20keV,注入量:5×1013/cm2 なる注入
条件で実施し、パンチスルー防止のためのp導電型高濃
度拡散層9及び10とした。なお、ゲート側壁絶縁膜8
は、所望により上記のイオン注入工程の前に選択的に除
去してもよい。(図5) 図5の状態より、第二のゲート側壁絶縁膜11を第一の
ゲート電極側壁からの距離が50nmとなるごとく膜厚
を調整してプラズマ補助堆積法によりシリコン酸化膜を
400℃の低温で堆積し、その異方性エッチングにより
残置形成した。この際、第一のゲート側壁絶縁膜8を予
め除去してから、第二のゲート側壁絶縁膜11を堆積し
ても何ら問題はない。次いで、この第二のゲート側壁絶
縁膜11を注入阻止マスクとして、n型高濃度ドレイン
拡散層12及びn型高濃度ソース拡散層13をイオン注
入により形成した。イオン注入条件は、Asイオン注
入,加速エネルギー:60keV,注入量:3×1015
/cm2 である。このイオン注入工程の後、950℃,
10秒の条件で注入イオンの活性化熱処理を施した。
(図6) 図6の状態より、厚いシリコン酸化堆積膜を全面に形成
した後に、その表面を機械的化学的研摩法により平坦化
して、表面保護絶縁膜17とした。次に、表面保護絶縁
膜17の所望領域に開口を施してから、タングステン
(W)膜の堆積とその平坦化研摩により、開口部内のみ
に選択的にW膜を残置した。その後、所望の回路構成に
従い、アルミニューム(Al)を主材料とする金属膜の
堆積とそのパターニングにより、ドレイン電極18およ
びソース電極19を含む配線を形成した。(図7) 上記製造工程を経て製造された本実施例による半導体装
置においては、ゲート長が100nmの従来のMOSト
ランジスタでは、ドレイン印加電圧及びゲート電圧Vg
から閾電圧Vtを差し引いた印加電圧が1.5Vの条件
下では、1μmチャネル幅当たりのソース・ドレイン間
電流Idsは0.85mAであったのに対して、同一ゲ
ート長MOS,同一測定条件下で、Ids:1.05m
Aと2割以上の大電流化が実現された。なお、本実施例
による微細MOSのVt値はドレイン電圧1.5Vで
0.4Vであった。さらに、本発明による上記微細MO
SのIds値のVg依存性に関しては、ドレイン印加電
圧1.5Vの場合と0.05Vの場合とでの閾電圧Vt
の違いは僅かに0.15Vと小さく、ドレイン・インヂ
ュースド・バリアロアリング(drain induced barrier
lowering: DIBL)特性に優れていることも明らかになっ
た。このことから、本発明に基づく微細MOSでは、パ
ンチスルー現象が十分に抑制されていることが明らかと
なった。また、上記の本発明に基づく微細MOSにおい
ては、IdsのVg依存特性において、ドレイン電圧
1.5Vにおいても、ゲート電圧が0Vから負電圧に掃
引されてもIdsは変化せず、1μmチャネル幅当たり
1×10-13 A以下の電流を保っていた。一方、同一ゲ
ート長の従来の微細MOSでは、ドレイン電圧が1.5
Vの条件下で、負のゲート電圧印加と共にIdsが増加
し、−1.5Vのゲート電圧印加でのIdsは1μmチ
ャネル幅当たり1×10-7Aにも達した。
【0020】上記の結果より、半導体表面のドレイン接
合端部において、高濃度p型領域と高濃度n型領域によ
るバンド間直接トンネル現象に基づくGIDL特性が本
実施例による半導体装置においては基本的に解消されて
いることが明らかとなった。従って、本実施例による半
導体装置においては、待機状態、すなわちスタンバイ
(stand-by)状態における漏洩電流が無視でき、消費電
力をも抑制できることが明らかとなった。
【0021】〈実施例2〉図1は本発明の第二の実施例
による半導体装置を示す完成断面図である。先の実施例
1における図6の状態より、スパッタリングにより30
nm厚のチタニュウム(Ti)膜を全面に堆積し、65
0℃,60秒の条件で窒素雰囲気中で加熱することによ
ってチタニュウム珪化膜をシリコン基板及びシリコン膜
が露出している領域上に選択的に形成し、拡散層上高融
点金属珪化膜14,15及びゲート電極上高融点金属珪
化膜16とした。しかる後、未反応のチタニュウム膜を
過酸化水素水を含むエッチング液で除去し、その後、こ
れら金属珪化膜の低抵抗化のための熱処理を850℃,
10秒の条件で施した。この状態より、先の実施例1に
おける表面保護絶縁膜17の形成以降の製造工程を施し
て、半導体装置を製造した。(図1) 本実施例に基づいて製造した第一のゲート電極長が80
nmから500nmの微細MOSを従来方法で製造した
同一寸法の微細MOSと比較した。ゲート電極上高融点
金属珪化膜16のシート抵抗についてそのゲート長依存
性を比較した。その結果、双方共ゲート長が150nm
以上ではシート抵抗値は5Ω/□と同一であったが、従
来方法による微細MOSでは、ゲート長が100nmで
のシート抵抗値は10Ω/□,80nmでは30Ω/□
とゲート長の微細化に伴いシート抵抗値が増加する所謂
細線効果が見られた。一方、本実施例による微細MOS
においては、第一のゲート電極長が100nmでのシー
ト抵抗値は5Ω/□,80nmでも7Ω/□とゲート電
極の細線効果は実効上無視できる範囲内に収まっている
ことが明らかになった。本実施例に基づく半導体装置で
ゲート電極のシート抵抗の細線効果が軽減できたのは、
実効チャネル長は第一のゲート電極3で設定されるのに
対し、ゲート電極の抵抗値は第一のゲート電極3と第二
のゲート電極7との合計電極長で決定されるため、金属
珪化膜の結晶粒径の影響が軽減されることによるものと
考えられる。
【0022】さらに、本実施例に基づく半導体装置にお
いては、先の実施例1と同様、従来MOSに比べ単位ゲ
ート幅当たりの電流値を2割以上大きくすることができ
た。上記傾向はゲート長が長い場合の方がより著しいこ
とが明らかになった。また、本実施例に基づく半導体装
置においては、GIDL効果に基づく消費電力の増加現
象も見られず、先の実施例1に基づく半導体装置と同様
の特徴を有していた。
【0023】本実施例においては、チタニュウム珪化膜
によるゲート電極材料について例示したが、これは他の
高融点金属膜、例えば、W,Mo,Co,Ni等の珪化
膜であっても何ら差し支えない。また、本実施例2及び
先の実施例1においては、p導電型高濃度拡散層9及び
10を形成するためのイオン種として、ボロン(B)の例
について例示したが、BF2 等の他のイオン種、及びI
n等であっても何ら差し支えない。さらに、本実施例及
び先の実施例1においては、n導電型MOSへの適用例
について例示したが、反対導電型であるp導電型MOS
に適用しても本発明の主旨を逸脱することはない。この
場合、拡散層9及び10はn導電型高濃度拡散層となる
が、この拡散層形成用のイオン種としては、P,As,
Sb等を用いればよい。
【0024】〈実施例3〉図8は本発明の第三の実施例
による半導体装置のソース近傍断面を示す説明図であ
る。本実施例においては、先の実施例1と同じ製造工程
に従って半導体装置を製造したが、先の実施例1との違
いは第二のゲート電極7の加工形状にある。本実施例に
おいては、第一のゲート側壁絶縁膜8をエッチングマス
クとして第二のゲート電極7をその底面側からエッチン
グし、図8中のa又はbで示す形状とした。本実施例に
おいて、第二のゲート電極7にはスパッタリング法によ
り堆積したタングステン(W)の珪化膜を用いたが、珪化
膜でなく金属膜自体であっても良い。なお、Wの代わり
にMo,Ta等の他の高融点金属膜又はそれらの珪化膜
であっても何ら差し支えない。上記した第二のゲート電
極7の加工後、該ゲート電極7を注入阻止マスクとして
のn型高濃度イオン注入を先の実施例1に従って実施
し、n型高濃度ドレイン拡散層12及びn型高濃度ソー
ス拡散層13を形成した。イオン注入条件は、Asイオ
ン,加速エネルギー60keV,注入量3×1015/c
2 で、垂直方向から注入した。本実施例においては、
第一のゲート電極3を注入阻止マスクとしての浅いソー
ス拡散層4及び浅いドレイン拡散層5の形成と第二のゲ
ート電極7を注入阻止マスクとしてのn型高濃度ドレイ
ン拡散層12及びn型高濃度ソース拡散層13の形成の
後に、図8で示される形状を有する第二のゲート電極7
を注入阻止マスクとして、傾角45度でのボロンイオン
注入を施し、p導電型高濃度拡散層9及び10を形成し
た。この傾角注入以外のイオン注入の条件は先の実施例
1に依った。しかる後に、先の実施例1における表面保
護絶縁膜17の形成工程以降を実施して、本実施例3に
よる半導体装置を製造した。
【0025】本実施例3による半導体装置においては、
p導電型高濃度拡散層9及び10を形成する際の傾角イ
オン注入阻止マスク材として、先の実施例1におけるS
i膜に代えて、より質量の重いW等の珪化膜を用いた。
これにより、先の実施例1に比べ、本実施例による半導
体装置においては、p導電型高濃度拡散層9及び10
は、半導体基板内部では、先の実施例1の場合と同様に
浅いドレイン拡散層5を包み込むごとき分布を維持し、
基板表面領域では、イオン注入飛程の減少効果のために
浅いドレイン拡散層5内に包括される如き分布を得るこ
とができた。このような分布は、第二のゲート電極7の
下端部のエッチング形状a又はbの採用によっても更に
確実化される。
【0026】本実施例3においては、n型高濃度ドレイ
ン拡散層12及びn型高濃度ソース拡散層13を、第二
のゲート電極7を注入阻止マスクとして形成した。これ
は、先の実施例1における第二のゲート側壁絶縁膜11
をさらに形成してから同様のイオン注入を施す製造方法
に比べ、更なる工程削減を実現したことを意味する。さ
らに、本実施例3においては、p導電型高濃度拡散層9
及び10の形成に先立って、浅いソース拡散層4及び浅
いドレイン拡散層5の形成、およびn型高濃度ドレイン
拡散層12及びn型高濃度ソース拡散層13の形成を実
施した。上記のソース・ドレインの各拡散層は何れもn
型高濃度拡散層であり、そのイオン注入過程で同領域内
の半導体基板表面は完全に非晶質化されている。本実施
例では、この非晶質化された領域を介してp導電型高濃
度拡散層9及び10形成のためのイオン注入が実施され
るため、イオン注入方向が結晶方位と整合して飛程以上
の深さまで注入イオンが異常到達すると云う所謂チャネ
リング現象を解消することができた。従って、本実施例
3による半導体装置においては、面方位(100)に対
する45度傾角注入のごとくチャネリング現象を生じや
すいイオン注入方向に対しても異常注入分布の問題を憂
慮すること無しに、p導電型高濃度拡散層9及び10を
所望分布に設計することができた。
【0027】〈実施例4〉図9及び図10は、本発明の
第四の実施例による半導体装置の製造工程順を示す断面
図である。本実施例4においては、先の実施例1と同じ
製造工程に従って半導体装置を製造したが、先の実施例
1との違いは、第二のゲート電極7を構成する非晶質S
i膜の堆積を、有機シリコン酸化膜20の塗布と350
℃での緻密化熱処理とに置き換えて実施した点である。
緻密化後の有機シリコン酸化膜20の膜厚は200nm
であった。この状態から、フッ化水素水溶液とフッ化ア
ンモニウム水溶液との混合液により、有機シリコン酸化
膜20を約100nmエッチングしたところ、第一のゲ
ート電極3側面とゲート絶縁膜2とが接する下端部で異
常にエッチング速度が速くて、局所的に有機シリコン酸
化膜20が存在しない部分を有する膜形状が得られた。
(図9) 図9の状態より、有機シリコン酸化膜20をポケット領
域形成イオン注入阻止マスク絶縁膜として、先の実施例
1に従って、p導電型高濃度拡散層9及び10を形成し
てから、第一のゲート電極3側面部を除く上記ポケット
領域形成イオン注入阻止マスク絶縁膜20を異方性ドラ
イエッチングにより選択的に除去して、残置されたイオ
ン注入阻止マスク絶縁膜20をマスクとするイオン注入
とその後の熱処理とにより高濃度n導電型ドレイン拡散
層12及び高濃度n導電型ソース拡散層13を形成し
た。上記の各拡散層の形成及びその活性化熱処理条件は
先の実施例1に基づいた。しかる後に、残置されたイオ
ン注入阻止マスク絶縁膜20を前記のエッチング液によ
りエッチング除去した。(図10) 図10の状態より、先の実施例1に従い表面保護絶縁膜
17の形成以降の工程を実施して、本実施例4に基づく
半導体装置を製造した。
【0028】本実施例4に基づく半導体装置において
は、第一のゲート電極3側面とゲート絶縁膜2とが接す
るゲート下端部から選択的にp導電型高濃度拡散層9及
び10がイオン注入形成され、高濃度n導電型ドレイン
拡散層12及び高濃度n導電型ソース拡散層13の底面
領域の大部分には形成されない構造を自動的に得ること
ができる。従って、本実施例4に基づく半導体装置にお
いては、接合容量の増大を招くことがなく、寄生負荷容
量が軽減でき、高速動作が可能となる。
【0029】〈実施例5〉図11は本発明の第五の実施
例による半導体装置の完成断面図である。本実施例5に
おいては、先の実施例1の製造工程に従って半導体装置
を製造したが、先の実施例1との違いの一つは、浅いソ
ース拡散層4側にのみp導電型高濃度拡散層10を設け
るボロン(B)の傾角イオン注入を施し、浅いドレイン拡
散層5側には同様の拡散層を形成しなかった。先の実施
例1との他の違いは、第一のゲート電極3を注入阻止マ
スクとする浅いドレイン拡散層5を形成するイオン注入
量を2×1013/cm2 と、先の実施例1に比べて1/
100の低濃度に設定した。なお、浅いソース拡散層4
を形成するイオン注入量は、ソース抵抗の増加を防ぐた
めに実施例1と同じ2×1015/cm2 に設定した。ソ
ース,ドレイン拡散層の不純物濃度を異なる値に設定す
るために、本実施例においては、第一のゲート電極3を
マスクとして、浅いドレイン拡散層5を形成する低濃度
イオン注入条件でソース,ドレインの双方にイオン注入
をまず施した。しかる後、ドレイン側をホトレジスト膜
で覆って、1.98×1015/cm2 なる注入量でAs
イオンをソース側だけに選択的に注入した。なお、p導
電型高濃度拡散層10を形成するためのボロン(B)の傾
角イオン注入の場合には、ホトレジスト膜等の選択イオ
ン注入マスクを用いることなく、ソース側のみから傾角
でボロン(B)のイオン注入を実施すればよい。
【0030】本実施例に基づく半導体装置においては、
浅いドレイン拡散層5の不純物濃度が低いため、実効チ
ャネル長が100nmと極微細なMOSであるにも拘ら
ず、3.5V以上の耐圧を実現でき、かつ、1.5V動
作において1μmの単位チャネル幅当たりのソース・ド
レイン電流値も1.10mAと更なる大電流化を実現で
きた。これらは、p導電型高濃度拡散層10がソース側
のみにしか設置されていないので易動度の劣化が更に改
善されること、電流低下に重大な影響を及ぼす浅いソー
ス拡散層4が極めて低抵抗に設定されているので電流劣
化作用が小さいこと、及び、浅い高抵抗ドレイン拡散層
5がドレイン側で高電界を吸収する役割をすること等に
よるものと考えられる。本実施例による微細MOSにお
いては、先の実施例1に基づく半導体装置と同様、保持
状態でゲート電圧が0Vにおける漏洩電流は測定限界以
下であり、GIDL効果に基づく消費電力の増大化は観
測されなかった。
【0031】〈実施例6〉図12は本発明の第六の実施
例による半導体装置の完成断面図である。本実施例6に
おいては先の実施例1の製造工程に従って半導体装置を
製造したが、先の実施例1との違いは、第一のゲート電
極3の長さが60nm以下と極めて微細である点、及
び、ゲート絶縁膜2の物理的膜厚がシリコン酸化膜換算
で1.5nmと更に薄膜化されている点である。(図1
2) 本実施例による半導体装置においては、実効ゲート長が
短く、p導電型高濃度拡散層9及び10が半導体基板内
部領域で互いに重畳される構造となった。しかるに、半
導体基板表面領域においては、上記p導電型高濃度拡散
層9及び10は浅いソース拡散層4及び浅いドレイン拡
散層5内部に配置される構成を維持しており、第一のゲ
ート電極3直下の半導体基板領域内においては、基板表
面領域の不純物濃度が低濃度で基板内部に向かうに従っ
て高濃度となる不純物分布が実現された。上記の基板内
不純物分布の実現により、実効ゲート長が60nm以下
と云う超微細MOSであるにも拘らず、パンチスルー現
象の問題無しに低濃度チャネル領域が確保されて、高易
動度・大電流特性が実現できた。さらに、p導電型高濃
度拡散層9及び10が重畳する構成としたことにより、
先の実施例1の超微細MOSよりも更に微細化が進展し
たトランジスタであるにも拘らず傾角イオン注入量を先
の実施例1の注入量より増加させることなくして、パン
チスルー現象を抑止することができた。
【0032】〈実施例7〉図13は本発明の第七の実施
例による半導体装置の完成断面図である。本実施例7に
おいても先の実施例1の製造工程に従って半導体装置を
製造したが、先の実施例1との相違点は、半導体装置を
半導体基板1の主表面上に構成する代わりに、半導体基
板1表面から400nm厚の埋め込み酸化膜21を介し
て絶縁分離された200nm厚の単結晶シリコン薄膜中
に構成した点である。この埋め込み酸化膜21で絶縁分
離された単結晶シリコン薄膜は、SOI(silico
non insulator/シリコン・オン・インシ
ュレータ)として知られる周知の半導体基板材料であ
る。本実施例で用いた単結晶シリコン薄膜は、面方位
(100),抵抗率10Ωcm,膜厚誤差2nmで、貼
合せ技術に基づくSOI基板である。このSOI基板の
上記膜厚は、先の実施例1に基づく半導体装置の製造工
程を経る過程で、特に表面洗浄工程等によって最終的に
150nmにまで薄膜化された。その結果、高濃度n導
電型ドレイン拡散層12及び高濃度n導電型ソース拡散
層13の接合底面は埋め込み酸化膜21面に接する構成
となった。(図13) 本実施例に基づく半導体装置においては、高濃度n導電
型ドレイン拡散層12の底面下部が厚い埋め込み酸化膜
21で構成されているため、ドレイン接合容量はこの酸
化膜21の容量との直列接続として決定される。これに
より、出力容量を従来の1/10程度に低減することが
でき、高速動作化が達成できた。
【0033】本実施例によるSOI基板内の半導体装置
は、半導体基板1から埋め込み酸化膜21により絶縁分
離され、隣接半導体装置からも完全に絶縁分離された構
成を有している。従って、ゲート入力パルス印加時に
は、本半導体装置の基板電位も追随して上昇又は下降す
るごとく変化し、オン動作及びオフ動作時には上記基板
電位の追随がより一層高速動作の方向に作用する。本実
施例に基づく半導体装置においては、p導電型高濃度拡
散層9及び10がSOI膜内で主表面部では低濃度、内
部では高濃度の分布を実現するので基板電位の変化に対
する閾電圧の変化量が大きくなる特性,所謂、基板電圧
係数が従来半導体装置に比べて大きくなる特性を示すこ
とが明らかになった。この基板電位係数が大きく設定で
きる特性により、基板電位はゲート入力により大きく追
随するため、従来のSOI基板内の半導体装置に比べて
更に高速動作化が達成できた。
【0034】〈実施例8〉図14は、本発明の第八の実
施例による半導体装置の完成断面図である。本実施例に
おいては先の実施例2の製造工程に従って半導体装置を
製造したが、先の実施例2との違いは、p導電型高濃度
拡散層9及び10の形成工程を、拡散層上高融点金属珪
化膜14及び15とゲート電極上高融点金属珪化膜16
の形成工程の後に実施したことである。なお、本実施例
においては、上記珪化膜の低抵抗化のための熱処理及び
n型高濃度拡散層形成後の注入イオン活性化熱処理をも
省略して、上記p導電型高濃度拡散層形成のための傾角
イオン注入工程の後に纏めて熱処理を施した。この熱処
理条件は、950℃,10秒である。(図14) 本実施例に基づく半導体装置においては、高濃度n導電
型ドレイン拡散層12及び高濃度n導電型ソース拡散層
13の接合底面部へのp導電型高濃度拡散層9及び10
を形成するための傾角イオン注入が拡散層上高融点金属
珪化膜14及び15を介して実施される。上記珪化膜の
質量はSiに比べて十分に大きいため、注入したボロン
イオンは高濃度n導電型ドレイン拡散層12及び高濃度
n導電型ソース拡散層13の接合底面にまで到達でき
ず、従って同領域内にはp型高濃度層は存在しない構成
となった。この構成により、本実施例に基づく半導体装
置のドレイン接合容量は増大化されず、寄生容量の増加
を抑制することができ、先の実施例1又は2に記載の半
導体装置と同様な大電流特性と相まって、高速動作にも
適した半導体装置を実現することができた。
【0035】〈実施例9〉図15は、本発明の第九の実
施例による半導体装置の製造工程途中の平面図である。
本実施例9においては、先の実施例1に準じて相補型M
OSトランジスタを製造した。先の実施例1に従って素
子間分離絶縁膜の形成後、p導電型半導体基板1の所望
領域に周知の手法によりp導電型MOSを構成するn型
ウエル領域25を選択的に形成してから、ゲート絶縁膜
2及び第一のゲート電極3の形成,n導電型MOSを構
成するp型活性領域への選択的な浅いn型ソース拡散層
31及び浅いn型ドレイン拡散層32の形成を先の実施
例1に従って実施した。続いてn型ウエル領域25の活
性領域30内に選択的に浅いp型ソース拡散層41と浅
いp型ドレイン拡散層42とを第一のゲート電極3を注
入阻止マスクとしてのBF2 のイオン注入により形成し
た。しかる後に、先の実施例1に従い汚染防止絶縁膜6
及び第二のゲート電極7を形成した。この状態より、n
導電型MOSを構成する領域のみに選択的にp導電型高
濃度拡散層9及び10を傾角イオン注入により形成した
が、この傾角イオン注入は第一の側壁に形成された第二
のゲート電極による複合ゲート電極40に対して平行方
向A及びBと、直交方向C及びDとの4方向から実施し
た。しかる後に、高濃度n導電型ドレイン拡散層12及
び高濃度n導電型ソース拡散層13を先の実施例1に従
って形成した。同様に、p導電型MOSを構成する領域
以外をホトレジスト膜で覆って、選択的なn導電型高濃
度拡散層形成をゲート電極40を注入阻止マスクとして
燐(P)の傾角イオン注入により前記A,B,C及びDの
4方向からそれぞれ傾角30度で実施した。引き続い
て、p導電型MOSを構成する領域に高濃度のソース・
ドレイン拡散層を形成するイオン注入を周知の条件で実
施した。しかる後、表面保護絶縁膜17の堆積、及びド
レイン電極18,ソース電極19等の配線工程を先の実
施例1に従って実施し、本実施例による半導体装置(相
補型MOSトランジスタ)を製造した。
【0036】本実施例による半導体装置(相補型MOS
トランジスタ)においては、n導電型MOSと同様、p
導電型MOSにおいても、チャネル領域における不純物
濃度を基板内部に比べ十分に低濃度化できる不純物分布
構成によって、パンチスルー現象の発生を抑えたままp
導電型MOSでの大電流化が実現でき、相補型MOSの
大電流化が達成できた。これは、n導電型MOSにおけ
るp導電型高濃度拡散層9,10及びp導電型MOSに
おけるn導電型高濃度拡散層形成のためのそれぞれの傾
角イオン注入を注入領域を限定して選択的に行なう際
に、非注入領域を覆うホトレジストマスクが所望領域へ
の傾角イオン注入の障害となることがない様に注入方向
を設定したことに基づく。ゲート電極40と直交方向C
及びD方向へのイオン注入では、非注入領域を覆うホト
レジストにより注入を疎外されずに全ての注入所望領域
に対し均等に傾角イオン注入を実施できる。ゲート電極
40と平行方向A及びB方向への傾角イオン注入の実施
は、通常半導体集積回路での各構成半導体装置の配置を
平行又は直交の関係で配置する慣習に対応するものであ
り、本実施例は、従来の配置構成に従った相補型MOS
トランジスタよりなる半導体集積回路に対して何の問題
も生じることなく適用できる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、ゲート電極直下の半導
体基板内部のみで高濃度の基板不純物濃度を実現し、表
面のチャネル領域における基板不純物濃度は低濃度に設
定することができる。従って、超微細ゲートMOSにお
いてもパンチスルー現象の問題を生じること無しに大電
流特性を実現できる。また、本発明によればゲート電極
に重畳される半導体表面領域におけるドレイン接合近傍
で高濃度基板不純物領域の導入が回避できるので、n+
+ 高濃度トンネル接合が形成されず、GIDL現象に
よる保持状態における漏洩電流を低減でき、従って消費
電力の低減を実現することができる。さらにまた、本発
明によればトランジスタ静特性を決定するゲート長は微
細なままでゲート抵抗を律するゲート長部分を別途肥大
化することができるので、金属珪化膜の結晶粒径に依存
する細線効果の影響を軽減でき、低ゲート抵抗値を実現
できる。従って、動特性において、高速動作の可能な半
導体装置を提供することができる。また、本発明によれ
ば、高濃度基板不純物領域をゲート電極直下に限定して
導入することが可能であり、高濃度ソース・ドレイン接
合底面領域以外の大部分の底面領域では低基板不純物濃
度に設定できるので、ソース・ドレイン接合容量を低減
でき、更なる高速動作化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第二の実施例による半導体装置の完成
断面図。
【図2】従来のポケット構造を有する半導体装置のソー
ス近傍の断面説明図。
【図3】本発明のポケット構造を有する半導体装置のソ
ース近傍の断面説明図。
【図4】本発明の第一の実施例による半導体装置の製造
工程順を示す断面図。
【図5】本発明の第一の実施例による半導体装置の製造
工程順を示す断面図。
【図6】本発明の第一の実施例による半導体装置の製造
工程順を示す断面図。
【図7】本発明の第一の実施例による半導体装置の完成
断面図。
【図8】本発明の第三の実施例による半導体装置のソー
ス近傍の断面説明図。
【図9】本発明の第四の実施例による半導体装置の製造
工程順を示す断面図。
【図10】本発明の第四の実施例による半導体装置の製
造工程順を示す断面図。
【図11】本発明の第五の実施例による半導体装置の完
成断面図。
【図12】本発明の第六の実施例による半導体装置の完
成断面図。
【図13】本発明の第七の実施例による半導体装置の完
成断面図。
【図14】本発明の第八の実施例による半導体装置の完
成断面図。
【図15】本発明の第九の実施例による半導体装置の製
造方法を示す平面図。
【符号の説明】
1…半導体基板, 2…ゲート絶縁
膜, 3…第一のゲート電極, 4…浅いソース拡
散層, 5…浅いドレイン拡散層, 6…汚染防止絶縁
膜, 7…第二のゲート電極, 8…第一のゲート
側壁絶縁膜, 9…p導電型高濃度拡散層, 10…p導電型高濃
度拡散層, 11…第二のゲート側壁絶縁膜, 12…高濃度n導
電型ドレイン拡散層, 13…高濃度n導電型ソース拡散層,14…拡散層上高
融点金属珪化膜, 15…拡散層上高融点金属珪化膜, 16…ゲート電極
上高融点金属珪化膜, 17…表面保護絶縁膜, 18…ドレイン電
極, 19…ソース電極, 20…イオン注入
阻止マスク絶縁膜 21…埋め込み酸化膜, 25…n型ウエル
領域, 30…活性領域, 31…n型ソース
拡散層領域, 32…n型ドレイン拡散層領域, 40…ゲート電
極, 41…p型ソース拡散層領域, 42…p型ドレイ
ン拡散層領域。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 29/786 H01L 29/78 301S 21/336 616L 616T Fターム(参考) 4M104 AA01 BB01 BB40 CC05 DD02 DD64 DD78 DD84 EE05 EE08 EE09 FF06 GG09 HH20 5F040 DA12 DA18 DB03 DC01 EB12 EC03 EC04 EC13 EC19 ED01 ED05 EF02 EF18 EH02 EJ03 EM01 EM02 EM03 FA05 FA07 FA10 FB02 FC13 FC19 5F110 AA02 AA06 AA07 AA13 BB04 CC02 DD05 DD13 EE04 EE05 EE08 EE14 EE32 EE45 FF02 FF03 FF09 FF22 FF26 GG02 GG12 GG24 HJ01 HJ04 HJ07 HJ13 HJ23 HL03 HL04 NN23 QQ11 QQ17 QQ19

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一導電型の半導体基板領域の主表面上に
    設けられた絶縁膜と、該絶縁膜上に設けられた第一のゲ
    ート電極と、上記第一のゲート電極端下部の上記第一導
    電型の半導体主表面領域内に設けられた一対の第二導電
    型の不純物拡散層領域とを有する半導体装置において、
    上記第一のゲート電極の側壁部に、第二のゲート電極が
    上記絶縁膜に接する下部では肉薄に上部では肉厚に形成
    されており、上記第二のゲート電極を不純物導入阻止マ
    スクとして上記第一のゲート電極端下部の上記第一導電
    型の半導体主表面領域内に導入された一対の第一導電型
    の不純物拡散層領域を有してなることを特徴とする半導
    体装置。
  2. 【請求項2】上記第一のゲート電極と上記第二のゲート
    電極とは絶縁膜を介して配置されており、上記第一及び
    第二のゲート電極は両者の上部において互いに電気的に
    接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導
    体装置。
  3. 【請求項3】上記第二のゲート電極が絶縁膜で構成され
    てなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  4. 【請求項4】上記第二のゲート電極が半導体薄膜で構成
    されてなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装
    置。
  5. 【請求項5】上記第二のゲート電極が高融点金属膜また
    はその金属珪化膜で構成されてなることを特徴とする請
    求項1に記載の半導体装置。
  6. 【請求項6】上記一対の第一導電型の不純物拡散層領域
    は、上記第一のゲート電極端下部の上記半導体基板の主
    表面領域内にのみ設けられてなることを特徴とする請求
    項1〜5のいずれかに記載の半導体装置。
  7. 【請求項7】上記一対の第一導電型の不純物拡散層領域
    は、互いに電気的に接続されてなることを特徴とする請
    求項1〜6のいずれかに記載の半導体装置。
  8. 【請求項8】上記第一のゲート電極端下部の上記半導体
    基板主表面領域内における上記第一導電型の不純物の濃
    度は、上記半導体基板の内部から表面に向けて次第に低
    濃度となる如き分布を有することを特徴とする請求項1
    〜7のいずれかに記載の半導体装置。
  9. 【請求項9】上記第一導電型の半導体基板領域は、支持
    基板上に絶縁膜を介して設けられていることを特徴とす
    る請求項1〜8のいずれかに記載の半導体装置。
  10. 【請求項10】上記第二のゲート電極を不純物導入阻止
    マスクとして導入された一対の第二導電型の第二の不純
    物拡散層領域を更に有してなることを特徴とする請求項
    1〜9のいずれかに記載の半導体装置。
  11. 【請求項11】上記第一導電型の不純物拡散層領域は、
    上記第二導電型の第二の不純物拡散層領域下部の第一導
    電型半導体基板領域には選択的に配置されていないこと
    を特徴とする半導体装置。
  12. 【請求項12】第一導電型の半導体領域主表面上にゲー
    ト絶縁膜と該絶縁膜上の第一のゲート電極とを形成する
    工程と、上記第一導電型の半導体領域内に第二導電型の
    不純物をイオン注入する工程と、上記第一のゲート電極
    の側壁に第一の薄膜を形成する工程と、上記第一の薄膜
    の側壁に第二の薄膜を選択的に形成する工程と、上記第
    二の薄膜をマスクとして上記第一の薄膜を等方的にエッ
    チングする工程と、上記第一導電型の半導体領域内に第
    一導電型の不純物を上記半導体領域主表面に垂直な方向
    に対し傾角でイオン注入する工程とを含んでなることを
    特徴とする半導体装置の製造方法。
  13. 【請求項13】上記第一導電型の半導体領域内に上記第
    一の薄膜を注入阻止マスクとして第二導電型の不純物に
    よる第二のイオン注入を施す工程を更に含んでなること
    を特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方
    法。
  14. 【請求項14】上記第二導電型の不純物による第二のイ
    オン注入工程は、上記の第一導電型の不純物の傾角イオ
    ン注入工程に先だって施されることを特徴とする請求項
    13に記載の半導体装置の製造方法。
  15. 【請求項15】上記の第一導電型の不純物の傾角イオン
    注入工程におけるイオン注入は、上記ゲート電極パター
    ンと直行する二方向及び平行な二方向より施されること
    を特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の半導
    体装置の製造方法。
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