JP2001263472A - 車両の自動変速装置 - Google Patents
車両の自動変速装置Info
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Abstract
のシフトダウンのとき、全体の変速時間を短縮する。 【解決手段】 少なくともメインギヤ及びその出力側に
位置するレンジギヤと、これらメインギヤ及びレンジギ
ヤの変速制御を実行する変速制御手段とを備え、上記メ
インギヤが機械的なシンクロ機構を有さず、そのメイン
ギヤの変速の際に所定のシンクロ制御を実行するもので
あって、上記シンクロ制御が、シフトアップ時のカウン
タシャフトブレーキ制御又はシフトダウン時のダブルク
ラッチ制御を含むものであり、上記レンジギヤのシフト
ダウンを伴う変速機全体のシフトダウンのとき、レンジ
ギヤのシフトダウンとダブルクラッチ制御とを同時に行
うようにした。
Description
大型車両に適用される車両の自動変速装置に関する。
め、トラクタやトラック等の大型車両においても自動変
速装置を採用する例が多く見られる。このような大型車
両では、メインギヤの他に、副変速機としてのスプリッ
タ及びレンジギヤを有する多段変速機が装備される。こ
の場合、部品数及びコストの低減を図るため、メインギ
ヤから機械的シンクロ機構を省略し、代わりにシンクロ
制御なるものを行ってギヤインの際の同期を図ることが
考えられる。ここでシンクロ制御とは、主に、シフトア
ップのときはカウンタシャフトブレーキ制御を行うこと
であり、シフトダウンのときはダブルクラッチ制御を行
うことである。
ンのとき、レンジギヤのシフトダウンとダブルクラッチ
制御とを両方実行するときがある。このときこれらの順
番を適当に定めないと全体の変速時間を徒に長くしてし
まう。
が比較的大きいので、そのシフトダウンは比較的時間を
要する。またダブルクラッチ制御も同様である。よって
これらを順番に行っていたのでは全体の変速時間が長く
なってしまう。
フトダウンを伴う変速機全体のシフトダウンのとき、全
体の変速時間を短縮化することにある。
変速装置は、少なくともメインギヤ及びその出力側に位
置するレンジギヤを含む変速機と、これらメインギヤ及
びレンジギヤの変速を制御するコントローラと、変速を
実行する変速制御手段とを備え、上記メインギヤが機械
的なシンクロ機構を有さず、そのメインギヤの変速の際
に所定のシンクロ制御を実行するものであって、上記シ
ンクロ制御が、変速機全体をシフトアップするときのカ
ウンタシャフトブレーキ制御及び変速機全体をシフトダ
ウンするときのダブルクラッチ制御を含むものであり、
上記レンジギヤのシフトダウンを伴う変速のとき、レン
ジギヤのシフトダウンとダブルクラッチ制御とを同時に
行うようにしたものである。
ロ機構を有し、ハイ又はローに切換可能で、且つハイ・
ロー間で比較的大きく減速比が異なってもよい。
きには、上記レンジギヤの変速後、上記シンクロ制御を
実行してもよい。
力側に位置されたスプリッタを含んでもよい。
を添付図面に基づいて詳述する。
置を示す。ここでは車両がトレーラを牽引するトラクタ
であり、エンジンがディーゼルエンジンである。図示す
るように、エンジン1にクラッチ2を介して変速機3が
取り付けられ、変速機3のアウトプットシャフト4(図
2参照)が図示しないプロペラシャフトに連結されて後
輪(図示せず)を駆動するようになっている。エンジン
1はエンジンコントロールユニット(ECU)6によっ
て電子制御される。即ち、ECU6は、エンジン回転セ
ンサ7とアクセル開度センサ8との出力から現在のエン
ジン回転速度及びエンジン負荷を読取り、主にこれらに
基づいて燃料噴射ポンプ1aを制御し、燃料噴射時期及
び燃料噴射量を制御する。
よって検知される実アクセル開度と無関係にECU6自
らが加工した疑似アクセル開度なるものに基づいてエン
ジン制御を実行する。これは特に後述するダブルクラッ
チ制御において必要である。
にフライホイール1bが取り付けられ、フライホイール
1bの外周にリングギヤ1cが形成され、リングギヤ1
cの歯が通過する度にエンジン回転センサ7がパルスを
出力し、ECU6が単位時間当たりのパルス数をカウン
トしてエンジン回転数を算出する。
変速機3とがトランスミッションコントロールユニット
(TMCU)9の制御信号に基づいて自動制御される。
即ちかかる自動変速装置には自動クラッチ装置と自動変
速機とが備えられる。ECU6とTMCU9とは互いに
バスケーブル等を介して接続され、相互に連絡可能であ
る。
2は機械式摩擦クラッチであり、入力側をなすフライホ
イール1b、出力側をなすドリブンプレート2a、及び
ドリブンプレート2aをフライホイール1aに摩擦接触
或いは離反させるプレッシャプレート2bから構成され
る。そしてクラッチ2は、クラッチブースタ(クラッチ
アクチュエータ)10によりプレッシャプレート2bを
軸方向に操作し、基本的には自動断接され、ドライバの
負担を軽減し得るものとなっている。一方、微低速バッ
クに際しての微妙なクラッチワークや、非常時のクラッ
チ急断等を可能とするため、ここではクラッチペダル1
1によるマニュアル断接も可能となっている。所謂セレ
クティブオートクラッチの構成である。クラッチ位置
(即ちプレッシャプレート2bの位置)を検知するため
のクラッチストロークセンサ14と、クラッチペダル1
1の位置を検知するためのクラッチペダルストロークセ
ンサ16とが設けられ、それぞれTMCU9に接続され
る。
スタ10は実線で示す二系統の空圧通路a,bを通じて
エアタンク5に接続され、エアタンク5から供給される
空圧で作動する。一方の通路aがクラッチ自動断接用、
他方の通路bがクラッチマニュアル断接用である。一方
の通路aが二股状に分岐され、そのうちの一方に自動断
接用の電磁弁MVC1,MVC2が直列に設けられ、他
方に非常用の電磁弁MVCEが設けられる。分岐合流部
にダブルチェックバルブDCV1が設けられる。他方の
通路bに、クラッチブースタ10に付設される油圧作動
弁12が設けられる。両通路a,bの合流部にもダブル
チェックバルブDCV2が設けられる。ダブルチェック
バルブDCV1,DCV2は差圧作動型の三方弁であ
る。
はTMCU9によりON/OFF制御され、ONのとき上流側を
下流側に連通し、OFF のとき上流側を遮断して下流側を
大気開放する。まず自動側を説明すると、電磁弁MVC
1は単にイグニッションキーのON/OFFに合わせてON/OFF
されるだけである。イグニッションキーOFF 、つまり停
車中はOFF となり、エアタンク5からの空圧を遮断す
る。電磁弁MVC2は比例制御弁で、供給又は排出エア
量を自由にコントロールできる。これはクラッチの断接
速度制御を行うためである。電磁弁MVC1,MVC2
がともにONだとエアタンク5の空圧がダブルチェックバ
ルブDCV1,DCV2をそれぞれ切り換えてクラッチ
ブースタ10に供給される。これによりクラッチが分断
される。クラッチを接続するときはMVC2のみがOFF
され、これによりクラッチブースタ10の空圧がMVC
2から排出されてクラッチが接続される。
MVC1又はMVC2に異常が生じ、いずれかがOFF と
なると、ドライバの意思に反してクラッチが急接されて
しまう。そこでこのような異常がTMCU9の異常診断
回路で検知されたら、即座に電磁弁MVCEをONする。
すると電磁弁MVCEを通過した空圧がダブルチェック
バルブDCV1を逆に切り換えてクラッチブースタ10
に供給され、クラッチ分断状態が維持され、クラッチ急
接が防止される。
ダル11の踏込み・戻し操作に応じてマスタシリンダ1
3から油圧が給排され、この油圧が破線で示す油圧通路
13aを介して油圧作動弁12に供給される。これによ
って油圧作動弁12が開閉され、クラッチブースタ10
への空圧の給排が行われ、クラッチ2のマニュアル断接
が実行される。油圧作動弁12が開くと、これを通過し
た空圧がダブルチェックバルブDCV2を切り換えてク
ラッチブースタ10に至る。
的に常時噛み合い式の多段変速機で、前進16段、後進
2段に変速可能である。変速機3はメインギヤ18と、
その入力側及び出力側にそれぞれ副変速機としてのスプ
リッタ17及びレンジギヤ19を備える。そして、イン
プットシャフト15に伝達されてきたエンジン動力をス
プリッタ17、メインギヤ18、レンジギヤ19へと順
に送ってアウトプットシャフト4に出力する。
ットGSUが設けられ、これはスプリッタ17、メイン
ギヤ18、レンジギヤ19それぞれの変速を担当するス
プリッタアクチュエータ20、メインアクチュエータ2
1及びレンジアクチュエータ22から構成される。これ
らアクチュエータもクラッチブースタ10同様空圧作動
され、TMCU9によって制御される。各ギヤ17,1
8,19の現在ポジションはギヤポジションスイッチ2
3(図1参照)で検知される。カウンタシャフト32の
回転速度がカウンタシャフト回転センサ26で検知さ
れ、アウトプットシャフト4の回転速度がアウトプット
シャフト回転センサ28で検知される。これら検知信号
はTMCU9に送られる。
定され、ドライバのシフトチェンジ操作に基づくマニュ
アル変速が可能である。この場合、図1に示すように、
クラッチ2の断接制御及び変速機3の変速制御は運転席
に設けられたシフトレバー装置29からの変速指示信号
を合図に行われる。即ち、ドライバが、シフトレバー装
置29のシフトレバー29aをシフト操作すると、シフ
トレバー装置29に内蔵されたシフトスイッチが作動
(ON)し、変速指示信号がTMCU9に送られ、これを
基にTMCU9はクラッチブースタ10、スプリッタア
クチュエータ20、メインアクチュエータ21及びレン
ジアクチュエータ22を適宜作動させ、一連の変速操作
(クラッチ断→ギヤ抜き→ギヤ入れ→クラッチ接)を実
行する。そしてTMCU9は現在のシフト段をモニター
31に表示する。
Rはリバース、Nはニュートラル、Dはドライブ、UP
はシフトアップ、DOWNはシフトダウンをそれぞれ意
味する。シフトスイッチはこれら各ポジションに応じた
信号を出力する。また運転席に、変速モードを自動とマ
ニュアルに切り換えるモードスイッチ24と、変速を1
段ずつ行うか段飛ばしで行うかを切り換えるスキップス
イッチ25とが設けられる。
aをDレンジに入れておけば車速に応じて自動的に変速
が行われる。またこの自動変速モードでも、ドライバが
シフトレバー29aをUP又はDOWNに操作すれば、
マニュアルでのシフトアップ又はシフトダウンが可能で
ある。この自動変速モードにおいて、スキップスイッチ
25がOFF (通常モード)なら、シフトレバー29aの
1回のUP又はDOWNの操作により、変速は1段ずつ
行われる。これはトレーラ牽引時等、積載荷重が比較的
大きいときに有効である。またスキップスイッチ25が
ON(スキップモード)なら変速は1段飛ばしで行われ
る。これはトレーラを牽引してないときや荷が軽いとき
などに有効である。
速は完全にドライバの意思に従う。シフトレバー29a
がDレンジのときは変速は行われず、現在ギヤが保持さ
れ、ドライバの積極的な意思でシフトレバー29aをU
P又はDOWNに操作したときのみ、シフトアップ又は
シフトダウンが可能である。このときも前記同様、スキ
ップスイッチ25がOFF なら1回の操作につき変速は1
段ずつ行われ、スキップスイッチ25がONなら変速は1
段飛ばしで行われる。このモードではDレンジは現ギヤ
段を保持するH(ホールド)レンジとなる。
設けられ、GSUの電磁弁等が故障したときはスイッチ
27の手動切換により変速できるようになっている。
インプットシャフト15、メインシャフト33及びアウ
トプットシャフト4が同軸上に配置され、カウンタシャ
フト32がそれらの下方に平行配置される。インプット
シャフト15がクラッチ2のドリブンプレート2aに接
続され、インプットシャフト15とメインシャフト33
とが相対回転可能に支持される。
成を説明する。インプットシャフト15にインプットギ
ヤSHが回転可能に取り付けられる。またメインシャフ
ト33にも前方から順にギヤM4,M3,M2,M1,
MRが回転可能に取り付けられる。MRを除くギヤS
H,M4,M3,M2,M1は、それぞれカウンタシャ
フト32に固設されたカウンタギヤCH,C4,C3,
C2,C1に常時噛合される。ギヤMRはアイドルリバ
ースギヤIRに常時噛合され、アイドルリバースギヤI
Rはカウンタシャフト32に固設されたカウンタギヤC
Rに常時噛合される。
ト33に取り付けられた各ギヤSH,M4…に、当該ギ
ヤを選択し得るようドグギヤ36が一体的に設けられ、
これらドグギヤ36に隣接してインプットシャフト15
及びメインシャフト33に第1〜第4ハブ37〜40が
固設される。第1〜第4ハブ37〜40には第1〜第4
スリーブ42〜45が嵌合される。ドグギヤ36及び第
1〜第4ハブ37〜40の外周部と、第1〜第4スリー
ブ42〜45の内周部とにスプラインが形成されてお
り、第1〜第4スリーブ42〜45は第1〜第4ハブ3
7〜40に常時係合してインプットシャフト15又はメ
インシャフト33と同時回転すると共に、前後にスライ
ド移動してドグギヤ36に対し選択的に係合・離脱す
る。この係合・離脱によりギヤイン・ギヤ抜きが行われ
る。第1スリーブ42の移動をスプリッタアクチュエー
タ20で行い、第2〜第4スリーブ43〜45の移動を
メインアクチュエータ21で行う。
18とは各アクチュエータ20,21によって自動変速
され得る常時噛み合い式の構成とされる。特に、スプリ
ッタ17のスプライン部には通常の機械的なシンクロ機
構が存在するものの、メインギヤ18の各スプライン部
にはシンクロ機構が存在しない。このため、後述のシン
クロ制御なるものを行ってドグギヤ回転とスリーブ回転
とを同期させ、シンクロ機構なしで変速できるようにし
ている。ここではメインギヤ18以外にスプリッタ17
にもニュートラルポジションが設けられ、所謂ガラ音対
策がなされている(特願平11-319915 号参照)。
ンジギヤ19は遊星歯車機構34を採用しており、ハイ
・ローいずれかのポジションに切り替えることができ
る。遊星歯車機構34は、メインシャフト33の最後端
に固設されたサンギヤ65と、その外周に噛合される複
数のプラネタリギヤ66と、プラネタリギヤ66の外周
に噛合される内歯を有したリングギヤ67とからなる。
各プラネタリギヤ66は共通のキャリア68に回転可能
に支持され、キャリア68はアウトプットシャフト4に
連結される。リングギヤ67は管部69を一体的に有
し、管部69はアウトプットシャフト4の外周に相対回
転可能に嵌め込まれてアウトプットシャフト4とともに
二重軸を構成する。
れる。また第5ハブ41の後方に隣接して、アウトプッ
トシャフト4にアウトプットシャフトドグギヤ70が一
体的に設けられる。第5ハブ41の前方に隣接して、ミ
ッションケース側に固定ドグギヤ71が設けられる。第
5ハブ41の外周に第5スリーブ46が嵌合される。こ
れら第5ハブ41、アウトプットシャフトドグギヤ7
0、固定ドグギヤ71及び第5スリーブ46にも前記同
様にスプラインが形成され、第5スリーブ46が第5ハ
ブ41に常時係合すると共に、前後にスライド移動して
アウトプットシャフトドグギヤ70又は固定ドグギヤ7
1に対し選択的に係合・離脱する。第5スリーブ46の
移動がレンジアクチュエータ22で行われる。レンジギ
ヤ19のスプライン部には機械的なシンクロ機構が存在
する。
が固定ドグギヤ71に係合し、第5ハブ41と固定ドグ
ギヤ71とが連結される。これによりリングギヤ67が
ミッションケース側に固定され、アウトプットシャフト
4が1より大きい比較的大きな減速比(ここでは4.5 )
で回転駆動されるようになる。これがローのポジション
である。
とこれがアウトプットシャフトドグギヤ70に係合し、
第5ハブ41とアウトプットシャフトドグギヤ70とが
連結される。これによりリングギヤ67とキャリア68
とが互いに固定され、アウトプットシャフト4が1の減
速比で直結駆動されるようになる。これがハイのポジシ
ョンである。このようにかかるレンジギヤ19ではハイ
・ロー間の減速比が比較的大きく異なる。
て、スプリッタ17でハイ・ローの2段、メインギヤ1
8で4段、レンジギヤ19でハイ・ローの2段に変速可
能であり、計2×4×2=16段に変速することができ
る。また後進側では、スプリッタ17のみでハイ・ロー
を切り替えて2段に変速することができる。
について説明する。これらアクチュエータはエアタンク
5の空圧で作動する空圧シリンダと、空圧シリンダへの
空圧の給排を切り替える電磁弁とで構成される。そして
これら電磁弁がTMCU9で選択的に切り替えられ、空
圧シリンダを選択的に作動させるようになっている。
ピストンを有した空圧シリンダ47と三つの電磁弁MV
H,MVF,MVGとで構成される。スプリッタ17を
ニュートラルにするときはMVH/ON,MVF/OF
F,MVG/ONとされる。スプリッタ17をハイにす
るときはMVH/OFF,MVF/OFF,MVG/O
Nとされる。スプリッタ17をローにするときはMVH
/OFF,MVF/ON,MVG/OFFとされる。
トンを有しセレクト側の動作を担当する空圧シリンダ4
8と、シングルピストンを有しシフト側の動作を担当す
る空圧シリンダ49とを備える。各空圧シリンダに対し
三つずつ電磁弁MVC,MVD,MVE及びMVB,M
VAが設けられる。
OFF,MVD/ON,MVE/OFFのとき図の下方
に移動し、メインギヤの3rd、4th又はN3を選択
可能とし、MVC/ON,MVD/OFF,MVE/O
Nのとき中立となり、メインギヤの1st、2nd又は
N2を選択可能とし、MVC/ON,MVD/OFF,
MVE/OFFのとき図の上方に移動し、メインギヤの
Rev又はN1を選択可能とする。
N,MVB/ONのとき中立となり、メインギヤのN
1、N2又はN3を選択可能とし、MVA/ON,MV
B/OFFのとき図の左側に移動し、メインギヤの2n
d,4th又はRevを選択可能とし、MVA/OF
F,MVB/ONのとき図の右側に移動し、メインギヤ
の1st又は3rdを選択可能とする。
ストンを有した空圧シリンダ50と二つの電磁弁MV
I,MVJとで構成される。空圧シリンダ50は、MV
I/ON,MVJ/OFFのとき図の右側に移動し、レ
ンジギヤをハイとし、MVI/OFF,MVJ/ONの
とき図の左側に移動し、レンジギヤをローとする。
カウンタシャフト32を制動するため、カウンタシャフ
ト32にはカウンタシャフトブレーキ27が設けられ
る。カウンタシャフトブレーキ27は湿式多板ブレーキ
であって、エアタンク5の空圧で作動する。この空圧の
給排を切り替えるため電磁弁MV BRKが設けられ
る。電磁弁MV BRKがONのときカウンタシャフト
ブレーキ27に空圧が供給され、カウンタシャフトブレ
ーキ27が作動状態となる。電磁弁MV BRKがOF
Fのときにはカウンタシャフトブレーキ27から空圧が
排出され、カウンタシャフトブレーキ27が非作動とな
る。
MCU9には図4に示すシフトアップマップと図5に示
すシフトダウンマップとがメモリされており、TMCU
9は、自動変速モードのとき、これらマップに従って自
動変速を実行する。例えば図4のシフトアップマップに
おいて、ギヤ段n(nは1から15までの整数)からn
+1へのシフトアップ線図がアクセル開度(%)とアウ
トプットシャフト回転(rpm )との関数で決められてい
る。そしてマップ上では現在のアクセル開度(%)とア
ウトプットシャフト回転(rpm )とからただ1点が定ま
る。車両加速中は、車輪に連結されたアウトプットシャ
フト4の回転が次第に増加していく。そこで通常の自動
変速モードでは、現在の1点が各線図を越える度に1段
ずつシフトアップを行うこととなる。このときスキップ
モードであれば線図を交互に1本ずつ飛ばして2段ずつ
シフトアップを行う。
に、ギヤ段n+1(nは1から15までの整数)からn
へのシフトダウン線図がアクセル開度(%)とアウトプ
ットシャフト回転(rpm )との関数で決められている。
そしてマップ上では現在のアクセル開度(%)とアウト
プットシャフト回転(rpm )とからただ1点が定まる。
車両減速中はアウトプットシャフト4の回転が次第に減
少していくので、通常の自動変速モードでは、現在の1
点が各線図を越える度に1段ずつシフトダウンを行う。
スキップモードであれば線図を交互に1本ずつ飛ばして
2段ずつシフトダウンする。
マップと無関係にドライバが自由にシフトアップ・ダウ
ンを行える。通常モードなら1回のシフトチェンジ操作
で1段変速でき、スキップモードなら1回のシフトチェ
ンジ操作で2段変速できる。
回転センサ28により検知される現在のアウトプットシ
ャフト回転の値から現在の車速を換算し、これをスピー
ドメータに表示する。つまり車速がアウトプットシャフ
ト回転から間接的に検知され、アウトプットシャフト回
転と車速とは比例関係にある。
は、スプリッタ17及びメインギヤ18における各ギヤ
の歯数ZSH,Z1 〜Z4 ,ZR ,ZCH,ZC1〜ZC4,Z
CRと、レンジギヤ19におけるハイ・ローの減速比とが
予め記憶されている。そこでTMCU9は、メインギヤ
18のギヤ歯数と、カウンタシャフト回転センサ26に
よって検知されるカウンタシャフト回転(rpm) とに基づ
き、次回変速先となるメインギヤ18のギヤ段(目標メ
インギヤ段)におけるドグギヤ回転(rpm) を算出する。
またTMCU9は、次回変速先となるレンジギヤ19の
ギヤ段(目標レンジギヤ段)の減速比と、アウトプット
シャフト回転センサ28によって検知されるアウトプッ
トシャフト回転(rpm) とに基づき、メインギヤ18にお
けるスリーブ回転(rpm) を算出する。
た「1st」、「2nd」…「Rev」の語は目標メイ
ンギヤ段を示している。また括弧内の「1st」、「2
nd」…の語は各目標メインギヤ段が担当する変速機全
体としての目標ギヤ段を示している。例えば、メインギ
ヤ18の「1st」(ギヤM1)が担当する変速機全体
のギヤ段は「1st」、「2nd」、「9th」、「1
0th」である。括弧内の語は最初の二つと後の二つと
がレンジギヤ19のロー・ハイで切り分けられる。例え
ばメインギヤ「1st」だと「1st」、「2nd」が
レンジギヤロー、「9th」、「10th」がレンジギ
ヤハイである。そして最初の二つ又は後の二つの中にお
いて、先と後とがスプリッタ17のロー・ハイで切り分
けられる。例えばメインギヤ「1st」でレンジギヤロ
ーだと、スプリッタローで変速機は「1st」、スプリ
ッタハイで変速機は「2nd」となる。またメインギヤ
「1st」でレンジギヤハイだと、スプリッタローで変
速機は「9th」、スプリッタハイで変速機は「10t
h」となる。目標メインギヤ段の「2nd」、「3r
d」、「4th」についても同様である。
ヤ19による切り分けは行われず、スプリッタ17のみ
で切り分けがなされる。スプリッタハイでリバース「h
igh」、スプリッタローでリバース「low」とな
る。
出式を示している。例えば目標メインギヤ段「1st」
だと、カウンタシャフト回転センサ26による検出値
(カウンタシャフト回転(rpm) )に、ギヤ比ZC1/Z1
を乗じた値が、ギヤM1に固設されたドグギヤ36の回
転即ちドグギヤ回転(rpm) となる。目標メインギヤ段
「Rev」では、カウンタシャフト回転(rpm) に減速比
CRev を乗じた値がドグギヤ回転(rpm) となる。
リーブ43、44、45の回転即ちスリーブ回転(rpm)
の算出式を示している。次回変速先の目標レンジギヤ段
がHighのときは、減速比が1なので、アウトプットシャ
フト回転センサ28の検出値(アウトプットシャフト回
転(rpm) )がそのままスリーブ回転(rpm) となる。また
目標レンジギヤ段がLow のときは、減速比がCRG=4.5
なので、アウトプットシャフト回転(rpm) に減速比CRG
を乗じた値がスリーブ回転(rpm) となる。
スリーブ回転とをギヤイン可能な範囲内に近付ける制御
を行う。具体的には回転差Δ=(ドグギヤ回転−スリー
ブ回転)を計算し、この値をギヤイン可能な範囲に入れ
る制御を行う。シフトアップでは、通常ギヤイン直前で
ドグギヤ回転>スリーブ回転となっているので、カウン
タシャフトブレーキ(以下CSBという)制御を行い、
ドグギヤ回転を下げる。逆に、シフトダウンでは、通常
ギヤイン直前でドグギヤ回転<スリーブ回転となってい
るので、ダブルクラッチ制御を行い、ドグギヤ回転を上
げる。
図8に示すように、時刻t1 で変速指示信号があった場
合、まずクラッチ断し、ギヤ抜きを行う。ギヤ抜きは、
クラッチが切れ始めた直後の位置、言い換えれば半クラ
ッチ領域に入った直後の位置p1 で開始する。エンジン
制御は、クラッチ位置がp1 となった時点から、実アク
セル開度から離れた疑似アクセル開度に基づく制御に移
行される。このときエンジン回転は、カウンタシャフト
を加速させるのに十分で、且つ目標メインギヤ段におい
てドグギヤ回転をスリーブ回転に略一致させることがで
きるような回転まで上昇され、この回転に達すると回転
が一定に保持される。
れによりドグギヤ回転がギヤイン可能な回転まで上昇す
る。この直後クラッチが再び断され、ギヤインが実行さ
れる。ギヤインは、クラッチ切り終わり直前となる位
置、言い換えれば半クラッチ領域から抜け出る直前の位
置p2 から開始される。ギヤイン終了後、直ちにクラッ
チが再接続され、クラッチが完接されるとダブルクラッ
チ制御が終了し、エンジン及びカウンタシャフト回転が
実アクセル開度に従った回転に移行する。
き、レンジギヤのシフトダウンとダブルクラッチ制御と
を両方実行するときがある。図7の表でいえば9th→
7th、9th→8th、10th→8thの場合であ
る。このときこれらの順番を適当に定めないと全体の変
速時間を徒に長くしてしまう。
が比較的大きく異なるので、機械的シンクロ機構を有し
ていてもシフトダウンに時間がかかる。またダブルクラ
ッチ制御も、ギヤ抜き・ギヤイン間で一回クラッチをつ
なぎ、回転合わせするので、比較的時間がかかる。よっ
てこれらを順番に行っていたのでは全体の変速時間が長
くなる。
ダウンを伴う変速機全体のシフトダウンのとき、レンジ
ギヤのシフトダウンとダブルクラッチ制御とを同時に行
い、全体の変速時間を短縮するようにしている。以下こ
れについて説明する。
伴う変速機全体のシフトダウンのときと、そうでないと
きとで変速パターンを分けている。図9はこの変速パタ
ーン判別のためのプログラムを示す。変速指示があると
TMCU9はまずステップ101でレンジギヤの変速の
有無を判断する。レンジギヤ変速無のときはステップ1
04に進んで変速Aパターンを選択する。変速Aパター
ンとは図10のチャートに従って変速するパターンのこ
とで、通常の変速パターンである。レンジギヤ変速有の
ときはステップ102に進んでその変速がシフトダウン
(H→L)か否かを判断する。シフトアップならステッ
プ104に進んで変速Aパターンを選択し、シフトダウ
ンならステップ103に進んで変速Bパターンを選択す
る。変速Bパターンとは図11のチャートに従って変速
するパターンのことで、比較的特殊なケースにおいて行
われる変速パターンである。
下方に向かう時間軸があり、横並びに示されている項目
は同時ないし同時期に行うことを示している。例えば図
10でステップ201とステップ202とは同時に行
う。
Aパターンについて。図10に示すように、まず、メイ
ンギヤ変速有のときはステップ201に進んでメインギ
ヤ抜きを行う。このときスプリッタの変速も有るとき
は、ステップ202に進んでスプリッタのギヤ抜き(シ
フト抜き)を行う。このときの条件はクラッチ位置がp
1 より断側にあることである。なおこれを「クラッチ位
置>p1 」と表示する。勿論、メインギヤ又はスプリッ
タの一方しか変速しない場合は両ステップのうち一方が
省略される。なおレンジギヤのみの変速の場合は無い。
図7の表に示すように、一気に7段飛ばし(ex.2nd→10
th)になってしまうからである。
同時に行う。ステップ203では次にギヤインするギヤ
M1,M2…に合わせてメインギヤのセレクトを行う。
条件はメインギヤがニュートラルにあることである。ス
テップ204では、レンジギヤの変速があるときは、そ
のギヤ抜きとギヤインとを同時に行う。これは図2に示
したようにレンジアクチュエータ22の構造上、抜きと
インとが同時に行われてしまうからである。このときの
条件はクラッチ位置がp2 より断側にあるか(「クラッ
チ位置>p2 」と表示する)、又はメインギヤがニュー
トラルであることである。ステップ205ではスプリッ
タのギヤイン(シフトイン)を行う。条件はステップ2
04と同様クラッチ位置>p2 又はメインギヤ=Nであ
る。これによりエンジン動力がカウンタシャフト32ま
で伝達可能となり、ダブルクラッチ制御可能となる。な
お、スプリッタのみの変速の場合はここで変速完了とな
る。
る。ここでの条件はメインギヤがNで、且つスプリッタ
とレンジギヤとがシフト完了していることである。ドグ
ギヤ回転−スリーブ回転>M1 (M1 は正の設定値)の
とき、即ちシフトアップのときは、カウンタシャフトブ
レーキ制御を行い、ドグギヤ回転をスリーブ回転付近ま
で下げる。一方、ドグギヤ回転−スリーブ回転<−M2
(M2 は正の設定値)のときは、ダブルクラッチ制御を
行い、ドグギヤ回転をスリーブ回転付近まで上げる。
ップ207に進んでメインギヤをギヤインする。ここで
の条件は、メインギヤがセレクト完了しており(ステッ
プ203)、目標カウンタシャフト回転と現カウンタシ
ャフト回転との差の絶対値がギヤイン可能な値α以下で
あり、且つクラッチ位置>p2 となっていることであ
る。以上により変速Aパターンを終了する。
速Bパターンについて。図11に示すように、ここでは
メインギヤの変速は必須なので(図7参照)、ステップ
302に進んでメインギヤ抜きを行う。条件はステップ
201同様クラッチ位置>p1 である。このときスプリ
ッタの変速も有るときは、ステップ302に先立ってス
テップ301でスプリッタをギヤ抜きし、ステップ30
2と同時にステップ303でスプリッタをギヤインす
る。ステップ301、303の実行条件はステップ20
2、205と同じである。
を同時に行う。ステップ304ではステップ203同様
メインギヤをセレクトする。ステップ305ではステッ
プ204同様、レンジギヤのギヤ抜き及びギヤイン即ち
シフトダウンを行う。ステップ306ではステップ20
6同様シンクロ制御を行う。
ップ307でステップ207同様メインギヤをギヤイン
し、変速Bパターンを終了する。
るレンジギヤのシフトダウンとダブルクラッチ制御とを
同時に行ってしまうので、全体の変速時間を短縮するこ
とができる。
速後にシンクロ制御を行うのは以下の理由による。即
ち、変速Aパターンではレンジギヤがシフトアップであ
り、このときは変速機全体で必ずシフトアップとなり、
シンクロ制御はCSBとなる。CSBによる同期は極め
て短時間で行えるので、このときレンジギヤのシフトア
ップを同時又は後に行ってしまうと、CSBが先に終了
し、レンジギヤのシフト終了までの間にカウンタシャフ
ト回転が落ち込み、せっかく同期した回転が狂うばかり
かダブルクラッチの必要性も生じてくるからである。
インを行ってからレンジギヤをシフトアップする考え方
もあるが、一般的にこれは行えない。レンジギヤが比較
的大きな減速比の差を有するため、この順番で行うとレ
ンジギヤのシンクロ出力側からテーパコーンを介して、
シンクロ入力側からインプットシャフト15までのギヤ
群全体を急加速しなければならず、レンジギヤのシンク
ロ機構に過負荷を掛け、レンジギヤを入れられないか又
は変速機を壊してしまうからである。
レンジギヤの変速を行い、この後メインギヤのシンク
ロ、ギヤインを行うようにしている。
必ずシフトダウンとなりシンクロ制御はダブルクラッチ
となる。レンジギヤのシフトダウンとダブルクラッチと
は両方時間がかかるので、同時に行うのが理想である。
ところで、ダブルクラッチはカウンタシャフト回転が維
持できるので同期が狂う心配がない。またレンジギヤの
ギヤイン前はメインギヤNなので、レンジギヤのシンク
ロ機構が負担する負荷はメインシャフト33及びそれに
固設されたギヤだけであり、シンクロ機構に掛かる負担
は少ない。さらに、ダブルクラッチのときはアウトプッ
トシャフト回転に単に目標ギヤ段のギヤ比を掛けるだけ
で目標エンジン回転が算出できるので、必然的に合わせ
たいエンジン回転が分かり、レンジギヤ変速の過渡状態
を無視してダブルクラッチを行っても問題ない。以上の
理由で、変速Bパターンではレンジギヤのシフトダウン
とシンクロ制御とを同時に行うようにした。
られない。例えば本発明を適用する車両はトラクタに限
られない。
ウンを伴う変速機全体のシフトダウンのとき、全体の変
速時間を短縮できるという優れた効果が発揮される。
図である。
す。
トである。
ートである。
である。
である。
Claims (4)
- 【請求項1】 少なくともメインギヤ及びその出力側に
位置するレンジギヤを含む変速機と、これらメインギヤ
及びレンジギヤの変速を制御するコントローラと、変速
を実行する変速制御手段とを備え、上記メインギヤが機
械的なシンクロ機構を有さず、そのメインギヤの変速の
際に所定のシンクロ制御を実行するものであって、上記
シンクロ制御が、変速機全体をシフトアップするときの
カウンタシャフトブレーキ制御及び変速機全体をシフト
ダウンするときのダブルクラッチ制御を含むものであ
り、上記レンジギヤのシフトダウンを伴う変速のとき、
レンジギヤのシフトダウンとダブルクラッチ制御とを同
時に行うようにしたことを特徴とする車両の自動変速装
置。 - 【請求項2】 上記レンジギヤが機械的なシンクロ機構
を有し、ハイ又はローに切換可能で、且つハイ・ロー間
で比較的大きく減速比が異なる請求項1記載の車両の自
動変速装置。 - 【請求項3】 上記レンジギヤのシフトアップのときに
は、上記レンジギヤの変速後、上記シンクロ制御を実行
する請求項1又は2記載の車両の自動変速装置。 - 【請求項4】 上記変速機が、上記メインギヤの入力側
に位置されたスプリッタを含む請求項1乃至3いずれか
に記載の車両の自動変速装置。
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