JP2001263431A - ローエッジコグベルト - Google Patents
ローエッジコグベルトInfo
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Abstract
の欠損によるベルト寿命に至る時間を遅延させたローエ
ッジコグベルトを提供する。 【解決手段】ピッチライン10を、プーリに当接しない
傾斜面9とプーリ当接面12との境界線13より上方に
位置させる。プーリに当接しない傾斜面とプーリ当接面
との境界線からピッチラインへのベルト厚み方向の距離
dが0<d≦1.5mmの式を満足する。
Description
プーリに掛架して用いられるコグ部を有するローエッジ
コグベルトに係り、詳しくはプーリからの側圧によるベ
ルト欠損に至るまでの時間を遅延させたローエッジコグ
ベルトに関わる。
ー、雪上車(スノーモービル)等にも採用される伝動ベ
ルトのうち、近年大型化が進んできている二輪車に装着
される伝動ベルトについて、その長寿命化に対する要求
が厳しさを増してきている。特に、溝幅可変プーリに掛
架されてプーリへの巻き掛け径を無段階に変えながら動
力を伝達する無段変速ベルトとして用いられる伝動ベル
トにおいては、プーリから受ける過大な側圧のため、優
れた耐磨耗性、耐熱性等が要求される。
体的には、心線を埋設し、その上部に伸張ゴム層、下部
に圧縮ゴム層を有する無端状のローエッジVベルトであ
って、従来、耐側圧性を満足させつつ耐屈曲性を付与す
る目的で、伸張ゴム層及び圧縮ゴム層の両方に、あるい
は圧縮ゴム層のみに、ベルト長手方向に連続的に設けた
略半円形あるいは矩形の歯部及び溝部からなるコグ部を
有するタイプが一般的になっている(以下、伸張ゴム層
に設けられるコグ部を上コグ、圧縮ゴム層側に設けられ
るコグ部を下コグと称する)。コグ部を持たないVベル
トに比較して屈曲性に優れているため、使用時の発熱が
小さく、ベルト寿命は長くなる。また、小径プーリへの
巻き掛け使用が可能で伝動システムのコンパクト化にも
貢献する。
コグタイプのローエッジVベルトにおいては、特に無段
変速ベルト用として用いられるベルトにおいて、両コグ
部のうち少なくとも上コグの両側面をベルト全周に渡っ
てコグ深さ分程度カットして、圧縮ゴム層の側面傾斜角
とは逆方向の傾斜面を設ける、つまり圧縮ゴム層の断面
V字形状に対して断面逆V字形状を形成せしめることが
公知となっている。これによって、例えば実開昭62−
55752号公報に開示されているように、ベルト側面
とプーリとの当接面積を減少せしめることによるベルト
駆動時の騒音抑制効果が得られる。
く、近年実機の負荷が増大し、スリップ防止を目的にベ
ルトに対する側圧が大幅に増大してきているため、ベル
トの心線周りに応力が集中し、上コグの剥離及び/また
は接着ゴム層下部の剥離によるベルトの早期欠損が大き
な問題となっている。上記公報で開示されているベルト
両側面がカットされたベルトにおいても、上コグ剥離の
抑止効果はある程度期待できるものの、接着ゴム層がプ
ーリに当接する構成となっており、心線周りからのベル
ト破壊の問題は解決されていない。
故障によるベルト寿命に至る時間を遅延させたローエッ
ジコグベルトを提供することを目的とする。
は、V形状の溝を有するプーリ間に掛架され、ベルト長
手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層の上部に伸張
ゴム層を積層し、下部にプーリ当接面を有する圧縮ゴム
層を積層し、上記伸張ゴム層及び圧縮ゴム層の両方に、
あるいは圧縮ゴム層のみにコグ部を有し、上記伸張ゴム
層の両側にベルト全周に渡ってプーリに当接しない傾斜
面を有するローエッジコグベルトにおいて、上記傾斜面
とプーリ当接面との境界線より上方にピッチラインが存
在することを特徴とするローエッジコグベルトである。
しない傾斜面とプーリ当接面との境界線からピッチライ
ンへのベルト厚み方向の距離dが0<d≦1.5mmの
式を満足する請求項1記載のローエッジベルトである。
ルトについて詳しく説明する。本発明のローエッジコグ
ベルトは、図1に示すように、接着ゴム層5内にベルト
長手方向に沿って心線4が埋設され、接着ゴム層5の上
部に伸張ゴム層3を積層し、下部に圧縮ゴム層2を積層
する基本構造に加えて、上コグ7及び下コグ8を有す
る。圧縮ゴム層2の下面には補強布6が貼着される。な
お、本発明のローエッジコグベルトは下コグのみを有す
るベルトも含む。
であり、例えば、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリ
エステル繊維等の有機繊維、ガラス繊維等の無機繊維や
金属繊維を撚成したロープが用いられる。この心線4は
一般にレゾルシン‐ホルマリン‐ラテックス(RFL)
処理することによって接着ゴムと強く結合する。またR
FL処理した表面にさらにゴム糊を塗布することもあ
る。
R)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、不飽和カル
ボン酸金属塩を分散したHNBR、クロロスルフォン化
ポリエチレン(CSM)、天然ゴム、スチレン‐ブタジ
エンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等の単一
材もしくはこれらのブレンド物が挙げられ、耐熱性、耐
磨耗性に優れたCR、HNBR、不飽和カルボン酸金属
塩を分散したHNBRが好ましく、中でも不飽和カルボ
ン酸金属塩を分散したHNBRが特に好ましい。
2に使用するゴム及び接着ゴム層5の下面側に積層する
圧縮ゴム層3を形成するゴム組成物にも上記接着ゴムと
同様の種類のゴムが用いられる。
加硫または架橋したゴムであり、通常用いられるカーボ
ンブラック、シリカ等の補強材や炭酸カルシウム、タル
ク等の充填剤、架橋補助剤、加硫促進剤、可塑剤、安定
剤、加工補助剤、老化防止剤、着色剤等の種々の添加剤
が配合されていることはいうまでもない。また、圧縮ゴ
ム層と伸張ゴム層にはアラミドの短繊維を含んだゴム組
成物を用いてもよい。
リエステル繊維、ナイロン等からなり、平織、綾織、朱
子織等に製織した布で、経糸と緯糸との交差角が90度
から120度程度の広角度帆布であってもよい。上記補
強布6をRFL処理した後、ゴム組成物をフリクション
コーティングしてゴム付帆布とする。
グ部は、以下に説明するプリフォーム製法あるいはスパ
ンコグ製法として知られる従来のローエッジコグベルト
の二つの製造方法によって異なった態様で形成される。
加硫ゴムシートとを歯部と溝部とを交互に配した平坦な
金属型に載置し、加圧することによってコグ形状に型付
けしたコグパッドを予め形成し、成型時に上記コグパッ
ドをモールドに装着した円筒状の内側母型に嵌め込み、
コグパッドの両端部を突き合わせて無端化する。そし
て、その上に心線をスパイラルに巻き付けた後に、型付
けしていない帆布と未加硫ゴムシートを巻き付け、コグ
形状を持った円筒状外側母型に嵌め込み、加硫工程へと
移される。
ドに装着した円筒状の内側母型に、型付けしていない補
強布と未加硫ゴムシートを巻き付け、心線を大きな張力
でスパイラルに巻き付けた後に型付けしていない補強布
と未加硫ゴムシートとを巻き付け、コグ形状を持った円
筒状の外側母型に嵌め込んで、加硫工程へと移される。
層のV角度及び幅に合わせてカットし、個々のローエッ
ジコグベルトを得る。上記公知の方法において、一つの
ベルトのプーリ当接面を切り出す作業が、同時にゴムス
リーブ内で隣接する部分から切り出されるベルトのプー
リに当接しない傾斜面を形成する作業となるように調整
することにより、上記傾斜面は特別な後工程を必要とす
ることなく容易に得られる。上記傾斜面はまた、通常の
ローエッジコグベルトを得た後に別工程での加工で所定
の角度に形成されることもある。
は、図2に示す様に、ピッチライン10が、プーリに当
接しない傾斜面9とプーリ当接面12との境界線13よ
り上方に存在し、さらに具体的には、上記境界線13を
起点にしたピッチライン10までのベルト厚み方向の距
離dが0<d≦1.5mmの式を満足することを特徴と
する(上記境界線から上方をプラスとする)。dが+
1.5mmを超えると、上コグ7の剥離に対する耐久性
は十分得られるものの、圧縮ゴム層2のプーリ当接面1
2の面積の減少によって、ベルトの耐磨耗性に悪影響が
生じ始める。
イン10が上記境界線13の下方に存在するベルトで
は、ベルト厚み方向に接着ゴム層5の端面の半分以上が
プーリ11と当接することとなるため、上コグ7の剥離
及び/または接着ゴム層5の下部からの欠損に対する耐
久性が得られない。
リからの角度αについては特に限定されるものではない
が、5度以上が好ましい。5度未満では、ベルト駆動時
に接着ゴム層5及びプーリに当接しない傾斜面9がプー
リ11と十分な距離を確保できないおそれがある。
てさらに詳細に説明する。 実施例1 まず、心線として、1,100デニールのパラ系アラミ
ド繊維を上撚り数11.4回/10cm、下撚り数2
1.0回/10cmで上下逆方向に撚糸して2×3の撚
り構成とし、トータルデニール6,600の未処理コー
ドを準備して、この未処理コードをイソシアネート系接
着剤に浸漬した後、約170〜180°Cで乾燥、さら
にRFL液に浸漬した後、200〜240°Cで延伸熱
固定処理を行い、心線用処理コードを作製した。
ETからなる平織帆布を用いた。RFL液に浸漬した
後、150℃で2分間熱処理して処理帆布とし、続いて
不飽和カルボン酸金属塩を分散したHNBRを主成分と
するゴム組成物をフリクションコーティングしてゴム付
帆布とした。
不飽和カルボン酸金属塩を分散したHNBRからなる未
加硫ゴムシートと接着ゴム層の未加硫ゴムシートを積層
し、歯部と溝部とを交互に配した平坦な金型に設置し、
80℃で加熱することによってコグ部を型付け成形した
下コグ用コグパッドを得た。
ールドに上記の下コグ用コグパッド、心線、伸張ゴム層
を形成する不飽和カルボン酸金属塩を分散したHNBR
からなる平滑なゴムシートを順次巻き付け、続いて内周
面に歯部と溝部を交互に有する外母型を嵌挿した。その
後、ジャケットを被せて、モールドを加硫缶に設置して
加硫することによりゴムスリーブを得た。このゴムスリ
ーブをカットマシーンに装着し、圧縮ゴム層のV角度が
30度及び上記d=+1.0mmとなるようにカッター
刃によってV形状に一定間隔で切り込み、個々のローエ
ッジコグベルトを得た。プーリと当接しない傾斜面は、
プーリ面からの角度30度を有するように切り出され
た。
側面に当接させながらベルト及びサンドペーパーを回転
させることによって、圧縮ゴム層の側面の表面処理を行
なった。得られたローエッジコグベルトは、上幅25m
m、厚み15mm、長さ950mm、上コグのピッチ1
0mm、上コグの高さ4mm、下コグのピッチ11m
m、下コグの高さ7.5mmであった。
駆動側プーリ(φ135mm)と、固定プーリとスプリ
ング力でベルト側面を抑えつける移動プーリとからなる
従動側プーリ(φ120)との間にベルトを掛架し、9
0℃の雰囲気温度で、従動側プーリへ30PSの負荷及
び移動プーリへ1100Nのスプリング力をかけつつ、
駆動側プーリを8000rpmで回転させ、ベルトの上
コグ剥離あるいはコグ谷亀裂の発生に至るまでの時間
(寿命)を測定した。得られた結果を表1に示す。 比較例1 d=−1.0mmとした以外は実施例1と同条件のベル
トを作製し(図3に断面図を示す)、同様の試験を行っ
た。結果を表1に併記する。
命に終わったのに対し、実施例1では、上コグ剥離は見
られないままゴム硬化によるコグ谷の亀裂発生まで十分
に長い寿命を維持することが明らかとなった。
の発明によるローエッジコグベルトは、V形状の溝を有
するプーリ間に掛架され、ベルト長手方向に沿って心線
を埋設した接着ゴム層の上部に伸張ゴム層を積層し、下
部にプーリ当接面を有する圧縮ゴム層を積層し、上記伸
張ゴム層及び圧縮ゴム層の両方に、あるいは圧縮ゴム層
のみにコグ部を有し、上記伸張ゴム層の両側にベルト全
周に渡ってプーリに当接しない傾斜面を有するローエッ
ジコグベルトにおいて、ピッチラインが上記傾斜面とプ
ーリ当接面との境界線より上方に存在することを特徴と
するローエッジコグベルトであって、上コグ及び接着ゴ
ム層端面がプーリとの当接から解放され、上コグの剥離
及び/または接着ゴム層下部からのベルト欠損に至る時
間が著しく遅延される。よって、得られるローエッジコ
グベルトは、上記欠損の関与なく、伸張ゴム層、圧縮ゴ
ム層及び接着ゴム層の性能向上に伴う耐熱性及び耐磨耗
性を十分に発揮した寿命を有するベルトとなる。
一例を示す断面斜視図である。
一例を示す断面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 V形状の溝を有するプーリ間に掛架さ
れ、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層
の上部に伸張ゴム層を積層し、下部にプーリ当接面を有
する圧縮ゴム層を積層し、上記伸張ゴム層及び圧縮ゴム
層の両方に、あるいは圧縮ゴム層のみにコグ部を有し、
上記伸張ゴム層の両側にベルト全周に渡ってプーリに当
接しない傾斜面を有するローエッジコグベルトにおい
て、ピッチラインが上記傾斜面とプーリ当接面との境界
線より上方に存在することを特徴とするローエッジコグ
ベルト。 - 【請求項2】 プーリに当接しない傾斜面とプーリ当接
面との境界線からピッチラインへのベルト厚み方向の距
離dが0<d≦1.5mmの式を満足する請求項1記載
のローエッジコグベルト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000072388A JP4495294B2 (ja) | 2000-03-15 | 2000-03-15 | ローエッジコグベルト |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001263431A true JP2001263431A (ja) | 2001-09-26 |
JP4495294B2 JP4495294B2 (ja) | 2010-06-30 |
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- 2000-03-15 JP JP2000072388A patent/JP4495294B2/ja not_active Expired - Fee Related
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