JP2001262238A - 連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定方法及び炉温設定装置 - Google Patents

連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定方法及び炉温設定装置

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JP2001262238A
JP2001262238A JP2000074688A JP2000074688A JP2001262238A JP 2001262238 A JP2001262238 A JP 2001262238A JP 2000074688 A JP2000074688 A JP 2000074688A JP 2000074688 A JP2000074688 A JP 2000074688A JP 2001262238 A JP2001262238 A JP 2001262238A
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heating zone
fuel flow
strip
zone
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Yoshinobu Kishida
義宣 岸田
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】連続的に処理されるストリップ寸法及びライン
速度で定まるストリップ負荷が異なる多種のストリップ
を、加熱帯で所定温度に加熱する場合において、加熱さ
れるべきストリップを所定の温度に至るまで昇温するた
めに燃料を効率的に利用でき、燃料原単位を低減可能と
する連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定方法及び炉温設定装置
を提供する。 【解決手段】加熱帯3の複数のゾーン31 、32 の各々
における燃料流量分布が所定のパターン、具体的には各
ゾーン31 、32 における燃料流量分布が実質的に均一
となるように、複数のゾーン31 、32 の各々の出側に
おけるストリップSの目標板温値を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多種のストリップ
を連続して所定の温度に加熱するための連続焼鈍炉の加
熱帯炉温設定方法及び炉温設定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼帯等のストリップを連続して熱処理す
る連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定方法として、例えば、図
4乃至図7に示すものが知られている(特開昭60- 5
6026号公報参照)。図4に示す連続焼鈍炉100
は、加熱帯101、均熱帯102、急冷帯103、均熱
帯104、最終冷却帯105を具備し、熱負荷の異なる
多種のストリップSをこれらの中に順次走行させて、連
続的にストリップSを熱処理するようになっている。な
お、図4中、符号106はハースロールである。
【0003】ここで、加熱帯101は、図5に示すよう
に、複数のゾーンに区分され(図5にあっては4ゾー
ン)、各ゾーン毎に炉温を制御できるように構成されて
いる。即ち、各ゾーンの炉温設定値110と熱電対10
7で検出された各ゾーンの炉温実測値とが、各ゾーン毎
に設けられた炉温コントローラ108に入力され、炉温
コントローラ108は炉温設定値110と炉温実測値と
の差に応じた信号を料流量調節計109に出力する。そ
して、料流量調節計109は炉温コントローラ108か
らの出力値に基づいてラジアントチューブ111のバー
ナー(図示せず)で使用される燃料の流量を調整するこ
とによって、炉温を設定値110となるように制御して
いる。なお、図5中、符号112はストリップSの速度
を検出する速度検出器、113はストリップSの温度を
検出するストリップ温度検出器である。
【0004】ここで、炉温設定値110は、図示しない
計算機によって演算されるものであり、計算機に予め入
力された加熱帯101の出側のストリップ目標温度と、
ストリップの厚み(板厚)、ストリップの幅(板幅)、
及びライン速度と、から演算される。以降、板厚、板
幅、及びライン速度により決定される炉への熱負荷を
「ストリップ負荷」とする。炉温設定値110は、この
ストリップ負荷に対して所定のストリップ温度まで加熱
するための炉温である。そして、この炉温設定値110
は、通常は、全ゾーンにおいて同一(以下、フラットヒ
ートと称す。)になるように設定されるが、所定以上の
高ストリップ負荷時および所定以下の低ストリップ負荷
時においては、図6(A)及び図7(A)の破断線で示
されるように、ライン進行方向に従ってゾーン毎に段階
的に高くなるような炉温設定パターン(以下、ステップ
ヒートと称す。)で設定されている。
【0005】このように、所定以上の高ストリップ負荷
時および所定以下の低ストリップ負荷時において、炉温
設定値110をステップヒートとする理由を説明する。
加熱帯101の全ゾーンにおいて、フラットヒートとす
ると、必要な燃料流量は、ライン進行方向に従ってゾー
ン毎に段階的に低くなるように分布する。従って、所定
以上の高ストリップ負荷時の場合には、図6(B)の実
線で示すように、入側ゾーン(第1ゾーン)の必要燃料
流量は、バーナー容量から決まる最大流量を超える可能
性がある。即ち、加熱能力は入側ゾーンのバーナー容量
によって抑えられる。一方、所定以下の低ストリップ負
荷時の場合には、図7(B)の実線で示されるように、
出側(第4ゾーン)の必要燃料流量は、空燃比一定とな
る最小流量を下回り、空燃比が大きくなって、熱効率が
悪くなる可能性があるからである。
【0006】従って、図4乃至図7に示す連続焼鈍炉の
加熱帯炉温設定方法においては、所定以上の高ストリッ
プ負荷時及び所定以下の低ストリップ負荷時において、
炉温設定を、ライン進行方向に従ってゾーン毎に段階的
に高くなるようなステップヒートとし、所定以上の高ス
トリップ負荷時の場合に入側ゾーンの必要燃料流量を最
大流量以下にし、所定以下の低ストリップ負荷時の場合
に出側ゾーンの必要燃料流量を最小流量以上としている
のである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図4乃
至図7に示す連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定方法にあって
は、ストリップを目標板温まで加熱するための炉温設定
をいかにするかを第1の目的としているのであって、ラ
イン進行方向に従って各ゾーン毎の燃料流量を一定のパ
ターンに制御することを第1の目的として加熱帯の炉温
を制御しているわけではない。
【0008】このため、連続的に処理されるストリップ
寸法及びライン速度から定まるストリップ負荷が異なる
多種のストリップを、加熱炉で所定温度に加熱する場合
において、加熱されるべきストリップを所定の温度に至
るまで昇温するために燃料が必ずしも効率的に利用され
るとは限らず、燃料原単位コストが高価になってしまう
ことがあった。
【0009】従って、本発明の目的は、連続的に処理さ
れるストリップ寸法やライン速度が異なる多種のストリ
ップを、加熱帯で加熱する場合において、加熱されるべ
きストリップを所定の温度に至るまで昇温するための燃
料を効率的に利用でき、燃料原単位を低減し、及び、加
熱帯炉温を低減することを可能とする連続焼鈍炉の加熱
帯炉温設定方法及び炉温設定装置を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1に
係る連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定方法は、ストリップ負
荷の異なる多種のストリップを、ライン進行方向に沿っ
て区分された複数のゾーンを有する加熱帯で所定の温度
に加熱する連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定方法において、
前記加熱帯の前記複数のゾーンの各々における燃料流量
分布が所定のパターンとなるように、前記複数のゾーン
の各々の出側における前記ストリップの目標板温値を設
定することを特徴としている。
【0011】この連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定方法によ
れば、ストリップ負荷が異なる多種のストリップを、加
熱帯で所定温度に加熱する場合において、燃料流量分布
のパターンの設定の仕方により、加熱されるべきストリ
ップを所定の温度に至るまで昇温するために燃料を効率
的に利用できる。また、本発明のうち請求項2に係る連
続焼鈍炉の加熱帯炉温設定方法は、請求項1記載の発明
において、前記加熱帯の前記複数のゾーンの各々におけ
る燃料流量分布が実質的に均一となるように、前記複数
のゾーンの各々の出側における前記ストリップの目標板
温値を設定することを特徴としている。
【0012】この連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定方法によ
れば、各ゾーンにおける燃料流量分布が実質的に均一で
あるので、最大燃料流量規制値と最小燃料流量規制値と
の間における加熱帯の複数のゾーンの各々における燃料
流量分布の振れ幅を大きくとることができ、ストリップ
負荷が変化した場合に各ゾーンにおける燃料流量分布を
上下に変化させることで、ストリップを所定の温度に容
易に加熱することができ、操業の自由度を大きくするこ
とができる。そして、各ゾーンにおける燃料流量分布を
実質的に均一にすることにより、加熱帯内において燃料
流量が突出して高くなる部分がなくなり、加熱帯内のス
トリップ温度変化を時間当りで単純相加平均したストリ
ップ平均温度も低くなることからストリップを効率的に
昇温することができ、熱効率が向上するとともに、燃料
原単位を低減することができ、さらに、加熱帯の炉温も
低くすることができ、炉内金物・耐火物寿命を延長する
ことができる。
【0013】更に、本発明のうち請求項3に係る連続焼
鈍炉の加熱帯炉温設定方法は、請求項2記載の発明にお
いて、実質的に均一となる、前記加熱帯の前記複数のゾ
ーンの各々における燃料流量分布の最大値と最小値との
幅が、最大燃料流量規制値と最小燃料流量規制値との幅
の20%以内であることを特徴としている。ここで、
「最大燃料流量規制値」とは、バーナーの容量等によっ
て決まる加熱帯内へ投入可能な燃料流量の最大値であ
る。また、「最小燃料流量規制値」とは、空燃比一定と
なる最小流量のような加熱帯内へ投入可能な燃料流量の
最小値である。
【0014】この場合において、加熱帯の複数のゾーン
の各々における燃料流量分布の最大値と最小値との幅
が、最大燃料流量規制値と最小燃料流量規制値との幅の
20%よりも大きければ、最大燃料流量規制値と最小燃
料流量規制値との間における加熱帯の複数のゾーンの各
々における燃料流量分布の振れ幅が小さくなるので、燃
料流量分布の上限値と下限値との幅を最大燃料流量規制
値と最小燃料流量規制値との幅の20%以内とする。
【0015】本発明のうち請求項4に係る連続焼鈍炉の
加熱帯炉温設定装置は、ストリップ負荷の異なる多種の
ストリップを、ライン進行方向に沿って区分された複数
のゾーンを有する加熱帯で所定の温度に加熱する連続焼
鈍炉の加熱帯炉温設定装置において、前記加熱帯の前記
複数のゾーンの各々における燃料流量分布が所定のパタ
ーンとなるような、前記複数のゾーンの各々の出側にお
ける前記ストリップの目標板温値を計算する目標板温計
算機を有することを特徴としている。
【0016】この連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定装置によ
れば、請求項1に係る加熱帯炉温設定方法と同様に、ス
トリップ負荷が異なる多種のストリップを、加熱炉で所
定温度に加熱する場合において、燃料流量分布のパター
ンの設定の仕方により、加熱されるべきストリップを所
定の温度に至るまで昇温するために燃料を効率的に利用
できる。
【0017】本発明のうち請求項5に係る連続焼鈍炉の
加熱帯炉温設定装置は、請求項4記載の発明において、
前記目標板温計算機は、前記加熱帯の前記複数のゾーン
の各々における燃料流量分布が実質的に均一となるよう
な、前記複数のゾーンの各々の出側における前記ストリ
ップの目標板温値を計算することを特徴としている。こ
の連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定装置によれば、請求項2
記載の発明と同様に、最大燃料流量規制値と最小燃料流
量規制値との間における加熱帯の複数のゾーンの各々に
おける燃料流量分布の振れ幅を大きくとることができる
とともに、燃料原単位を低減及び加熱帯の炉温を低くす
ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態を図面を参
照して説明する。図1は連続焼鈍炉の一例を示す概略
図、図2は本発明に係る加熱帯炉温設定装置の一実施形
態を示す概略図、図3は加熱帯の各ゾーンにおける炉温
設定値、ストリップ温度、及び燃料流量分布を示すグラ
フである。
【0019】図1において、ストリップSを焼鈍する連
続焼鈍炉1は、予熱帯2、加熱帯3、均熱帯4、冷却帯
5を具備し、ストリップ負荷の異なる多種のストリップ
Sをこれらの中に順次走行させて、連続的にストリップ
Sを熱処理するようになっている。なお、図1中、符号
6はハースロールである。ここで、連続焼鈍炉1におけ
る加熱帯3は、図2に示すように、ストリップSのライ
ン進行方向に沿って区分された複数(本実施形態にあっ
ては2つ)のゾーン31 、32 を有し、それぞれのゾー
ン31 、32 でストリップSを順次加熱するようになっ
ている。
【0020】そして、加熱帯3の炉温設定装置は、図2
に示すように、目標板温計算機10、1ゾーン31 及び
2ゾーン32 のそれぞれに設けられた2つの加熱帯炉温
設定値計算機11、各加熱帯炉温設定値計算機11に接
続される2つの炉温コントローラ12、各炉温コントロ
ーラ12に接続される2つの燃料流量調節計13、各燃
料流量調節計13に連結する2つの燃料流量調節弁1
4、各燃料流量調節弁14に連結し、1ゾーン31 及び
2ゾーン32 のそれぞれの内部に配置されたラジアント
チューブ15、1ゾーン31 の入側に配置された加熱帯
入側板温検出器16、1ゾーン31 及び2ゾーン32
それぞれの内部に配置された2つの熱電対17、2ゾー
ン32 の出側に配置された加熱帯出側板温検出器18を
備えている。目標板温計算機10は、1ゾーン31 側の
加熱帯炉温設定値計算機11に接続されている。また、
加熱帯出側板温検出器18は、熱効率の計算に用いられ
る。
【0021】このうち、目標板温計算機10は、図3に
示すように、加熱帯3の1ゾーン3 1 、2ゾーン32
各々における燃料流量分布が実質的に均一となるよう
な、1ゾーン31 の出側、即ち加熱帯中央33 における
ストリップSの目標板温値を計算する。具体的には、目
標板温計算機10は、加熱帯入側板温検出器16により
検出された加熱帯3の入側の板温実績値と、加熱帯3の
出側の目標板温値と、1ゾーン31 及び2ゾーン32
おける熱効率(燃料投入熱量に対するストリップ顕熱ア
ップへの寄与比率)と、ストリップ負荷(ストリップの
板厚、板幅、ライン速度)との情報により、加熱帯中央
3 におけるストリップSの目標板温値を計算する。
【0022】また、1ゾーン31 側の加熱帯炉温設定値
計算機11は、ストリップSの温度が目標板温計算機1
0で計算された加熱帯中央33 における目標板温値とな
るように、1ゾーン31 の炉温設定値を、この目標板温
値と、加熱帯入側板温検出器16により検出された加熱
帯3の入側の板温実績値と、ストリップ負荷(ストリッ
プの板厚、板幅、ライン速度)との情報により、計算す
る。一方、2ゾーン3 2 側の加熱帯炉温設定値計算機1
1は、ストリップSの温度が加熱帯3の出側の目標板温
値となるように、2ゾーン32 の炉温設定値を、この目
標板温値と、ストリップ負荷(ストリップの板厚、板
幅、ライン速度)と、加熱帯中央板温検出器19により
検出された加熱帯中央33 の板温実績値との情報によ
り、計算する。計算された炉温設定値は、図3に示すよ
うに、1ゾーン31 側の炉温設定値よりも2ゾーン32
側の炉温設定値の方が段階的に高くなる。
【0023】そして、1ゾーン31 側の炉温コントロー
ラ12は、1ゾーン31 内に配置された熱電対17によ
り検出された炉温実績値を、1ゾーン31 側の加熱帯炉
温設定値計算機11により計算された炉温設定値になる
ように、燃料流量調節計13により燃料流量の調節を行
う。一方、2ゾーン32 側の炉温コントローラ12は、
2ゾーン32 内に配置された熱電対17により検出され
た炉温実績値を、2ゾーン32 側の加熱帯炉温設定値計
算機11により計算された炉温設定値になるように、燃
料流量調節計13により燃料流量の調節を行う。これら
の炉温コントローラ12による燃料流量の調節を行う
と、図3に示すように、1ゾーン31 側の燃料流量と2
ゾーン32 側の燃料流量とが実質的に同一レベルにな
り、全ゾーン31 、32 における燃料流量分布が実質的
に均一になる。燃料流量調節計13は、燃料流量調節弁
14の開度を調節して燃料流量の調節を行う。そして、
燃料流量が調整された燃料は、各ゾーン31 、32 内に
配置されたラジアントチューブ15内で燃焼され、各ゾ
ーン31 、32 の炉温が炉温設定値となり、ストリップ
温度は、図3に示すような昇温カーブを描く。加熱帯3
によって加熱されたストリップSは、加熱帯出側での目
標板温で加熱帯3から出て、次ぎの均熱炉4内へ移動す
る。
【0024】このように、1ゾーン31 及び2ゾーン3
2 における燃料流量分布を、図3に示すように、実質的
に均一とすると、バーナーの容量等によって決まる加熱
帯内へ投入可能な燃料流量の最大値である最大燃料流量
規制値と空燃比一定となる最小流量のような加熱帯内へ
投入可能な燃料流量の最小値である最小燃料流量規制値
との間における1ゾーン31 、2ゾーン32 の各々にお
ける燃料流量分布の振れ幅を大きくとることができ、ス
トリップ負荷(板厚、板幅、ライン速度)が変化した場
合に各ゾーン31 、32 における燃料流量分布を上下に
変化させることで、ストリップを所定の温度に容易に制
御することができ、操業の自由度を大きくすることがで
きる。そして、各ゾーン31 、32 における燃料流量分
布を実質的に均一にすることにより、加熱帯3内におい
て燃料流量が突出して高くなる部分がなくなり、ストリ
ップ平均温度も低くなることからストリップを効率的に
昇温することができ、熱効率が向上するとともに、燃料
原単位を低減することができ、さらに、加熱帯の炉温も
低くすることができ、炉内金物や耐火物寿命を延長する
ことができる。なお、図6(B)に示すように、加熱帯
の前段側における燃料流量が高いと、加熱帯前段側でス
トリップ温度がより昇温され、加熱帯内でのストリップ
平均温度が高くなる。加熱帯でのストリップへの伝熱
は、ふく射伝熱であり、伝熱量は炉温の4乗とストリッ
プ温度の4乗との差に比例する。すなわち、加熱帯での
ストリップ平均温度が低い方がより効率的にストリップ
へ伝熱されるということになる。
【0025】なお、実質的に均一となる、加熱帯3の複
数のゾーン31 、32 の各々における燃料流量は、同一
となるのが望ましいが、許容される燃料流量の分布の幅
は、最大燃料流量規制値と最小燃料流量規制値との幅の
20%以内であればよい。加熱帯3の複数のゾーン
1 、32 の各々における燃料流量分布の最大値と最小
値との幅が、最大燃料流量規制値と最小燃料流量規制値
との幅の20%よりも大きければ、最大燃料流量規制値
と最小燃料流量規制値との間における加熱帯3の複数の
ゾーン31 、32 の各々における燃料流量分布の振れ幅
が小さくなるからである。
【0026】また、複数のゾーン31 、32 の各々にお
ける燃料流量分布は実質的に均一の場合に限らず、1ゾ
ーン31 から2ゾーン32 にかけて、段階的に大きくあ
るいは小さくしたりする所定のパターンとなるように、
加熱帯中央33 におけるストリップSの目標板温を設定
するようにしてもよい。これによれば、ストリップ負荷
が異なる多種のストリップSを、加熱帯3で所定温度に
加熱する場合において、燃料流量分布のパターンの設定
の仕方により、加熱されるべきストリップSを所定の温
度に至るまで昇温するために燃料を効率的に利用でき、
燃料原単位を低減することができる。
【0027】以上、本発明の実施形態を説明してきた
が、本発明はこれに限定されず、種々の変更を行うこと
ができる。例えば、前述の実施形態では、加熱帯中央板
温検出器19による実測値を、2ゾーン32 側の加熱帯
炉温設定値計算機11に入力するようにしているが、目
標板温計算機10で得られた加熱帯中央33 における目
標板温値を入力するようにしてもよい。また、本実施形
態においては、加熱帯3におけるゾーンの数を2つとし
ているが、これに限らず、3つ以上とすることができ
る。この場合、ライン進行方向に沿って2つ目のゾーン
以後の各ゾーンにおいて目標板温計算機10を加熱帯炉
温設定値計算機11に接続し、この目標板温計算機10
で、加熱帯3の全ゾーンにおける燃料流量分布が実質的
に均一となるような、その目標板温計算機10が接続さ
れたゾーンの出側のストリップの目標板温値を計算する
ようにする。例えば、ゾーンの数が3つの場合には、ラ
イン進行方向に沿って2つ目のゾーンにおいて目標板温
計算機10を加熱帯炉温設定値計算機11に接続し、こ
の目標板温計算機10で加熱帯3の3ゾーンにおける燃
料流量分布が実質的に均一となるような、2つ目のゾー
ン出側のストリップの目標板温値を計算するようにす
る。
【0028】
【実施例】次ぎに、図3を参照して実施例を説明する。
焼鈍されるストリップSの板厚が1.0mm、板幅が1
200mm、ライン速度が220m/ minのストリッ
プ負荷の場合に、加熱帯3の出側の目標板温値を800
℃とする炉温設定を行った。
【0029】このとき、加熱帯中央33 の目標板温値
は、1ゾーン31 及び2ゾーン32 における燃料流量が
5000Nm3 / Hと均一となるように、加熱帯入側板
温検出器16により検出された加熱帯3の入側の板温実
績値180℃と、加熱帯3の出側の目標板温値800℃
と、1ゾーン31 及び2ゾーン32 における熱効率実績
値と、ストリップSの板厚1,0mm、板幅1200m
m、ライン速度200m/ minとから計算されて、5
75℃となった。
【0030】そして、1ゾーン31 の炉温設定値は、加
熱帯中央33 の目標板温値575℃と、加熱帯入側板温
検出器16により検出された加熱帯3の入側の板温実績
値180℃と、ストリップSの板厚1.0mm、板幅1
200mm、ライン速度200m/ minとから計算さ
れて820℃となった。一方、2ゾーン32 の炉温設定
値は、加熱帯3の出側の目標板温値800℃と、ストリ
ップSの板厚1.0mm、板幅1200mm、ライン速
度200m/ minと、加熱帯中央板温検出器19によ
り検出された加熱帯中央33 の板温実績値とから計算さ
れて860℃となった。
【0031】そして、1ゾーン31 内に配置された熱電
対17により検出された炉温実績値が計算された炉温設
定値820℃となるように、炉温コントローラ12によ
る燃料流量調節が行われた。また、2ゾーン32 内に配
置された熱電対17により検出された炉温実績値が計算
された炉温設定値860℃となるように、炉温コントロ
ーラ12による燃料流量調節が行われた。これらの炉温
コントローラ12による燃料流量調節を行った結果、図
3に示すように、1ゾーン31 側の燃料流量と2ゾーン
2 側の燃料流量とが5000Nm3 / Hで同一レベル
になり、全ゾーン31 、32 における燃料流量分布が均
一になった。
【0032】このように、1ゾーン31 及び2ゾーン3
2 における燃料流量分布を、5000Nm3 / Hに均一
にすることにより、バーナーの容量等によって決まる加
熱帯内へ投入可能な燃料流量の最大値である最大燃料流
量規制値8000Nm3 / Hと空燃比一定となる最小流
量のような加熱帯内へ投入可能な燃料流量の最小値であ
る最小燃料流量規制値3000Nm3 / Hとの間におけ
る1ゾーン31 、2ゾーン32 の各々における燃料流量
分布の振れ幅を大きくとることができた。そして、各ゾ
ーン31 、32 における燃料流量分布を5000Nm3
/ Hに均一にすることにより、ストリップ負荷及び加熱
帯3の出側の目標板温値を同一とした場合のステップヒ
ートとする場合と比較して、加熱帯3の炉温を平均で1
5℃低くすることができ、燃料原単位を約5%低減する
ことができた。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1に係る連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定方法及び請求項
4に係る炉温設定装置によれば、加熱帯の複数のゾーン
の各々における燃料流量分布が所定のパターンとなるよ
うに、前記複数のゾーンの各々の出側におけるストリッ
プの目標板温値を設定するので、ストリップ負荷が異な
る多種のストリップを、加熱帯で所定温度に加熱する場
合において、燃料流量分布のパターンの設定の仕方によ
り、加熱されるべきストリップを所定の温度に至るまで
昇温するために燃料を効率的に利用でき、燃料原単位を
低減することができる。
【0034】また、本発明のうち請求項2に係る連続焼
鈍炉の加熱帯炉温設定方法及び請求項5に係る炉温設定
装置によれば、加熱帯の複数のゾーンの各々における燃
料流量分布が実質的に均一となるように、前記複数のゾ
ーンの各々の出側における前記ストリップの目標板温値
を設定するので、最大燃料流量規制値と最小燃料流量規
制値との間における加熱帯の複数のゾーンの各々におけ
る燃料流量分布の振れ幅を大きくとることができ、スト
リップ負荷が変化した場合に各ゾーンにおける燃料流量
分布を上下に変化させることで、ストリップを所定の温
度に容易に加熱することができ、操業の自由度を大きく
することができる。そして、ストリップ平均温度も低く
なることからストリップを効率的に昇温することがで
き、燃料原単位を低減することができ、さらに、加熱帯
の炉温も低くすることができ、炉内金物・耐火物寿命を
延長することができる。
【0035】更に、本発明のうち請求項3に係る連続焼
鈍炉の加熱帯炉温設定方法によれば、請求項2記載の発
明において、実質的に均一となる、前記加熱帯の前記複
数のゾーンの各々における燃料流量分布の最大値と最小
値との幅が、最大燃料流量規制値と最小燃料流量規制値
との幅の20%以内であり、最大燃料流量規制値と最小
燃料流量規制値との間における加熱帯の複数のゾーンの
各々における燃料流量分布の振れ幅を大きくとるのに適
切である。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続焼鈍設備の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る加熱帯炉温設定装置の一実施形態
を示す概略図である。
【図3】加熱帯の各ゾーンにおける炉温設定値、ストリ
ップ板温、及び燃料流量分布を示すグラフである。
【図4】従来例の連続焼鈍設備の一例を示す概略図であ
る。
【図5】図4の連続焼鈍設備に使用される加熱炉の炉温
設定装置を示す概略図である。
【図6】ストリップ低負荷時の場合の、図4の連続焼鈍
設備における加熱帯の設定炉温、ストリップ温度、及び
燃料流量分布を示すグラフであり、(A)は各ゾーンに
おける設定炉温及びストリップ温度を示すグラフ、
(B)は各ゾーンにおける燃料流量分布を示すグラフで
ある。
【図7】ストリップ高負荷時の場合の、図4の連続焼鈍
設備における加熱帯の設定炉温、ストリップ温度、及び
燃料流量分布を示すグラフであり、(A)は各ゾーンに
おける設定炉温及びストリップ温度を示すグラフ、
(B)は各ゾーンにおける燃料流量分布を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1は連続焼鈍設備 2は予熱帯 3は加熱帯 31 は1ゾーン 32 は2ゾーン 4は灼熱帯 5は冷却帯 6はロール 10は目標板温計算機 11は加熱帯炉温設定値計算機 12は炉温コントローラ 13は燃料流量調節計 14は燃料流量調節弁 15はラジアントチューブ 16は加熱帯入側板温検出器 17は熱電対 18は加熱帯出側板温検出器 19は加熱帯中央板温検出器

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ストリップ負荷の異なる多種のストリップ
    を、ライン進行方向に沿って区分された複数のゾーンを
    有する加熱帯で所定の温度に加熱する連続焼鈍炉の加熱
    帯炉温設定方法において、 前記加熱帯の前記複数のゾーンの各々における燃料流量
    分布が所定のパターンとなるように、前記複数のゾーン
    の各々の出側における前記ストリップの目標板温値を設
    定することを特徴とする連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定方
    法。
  2. 【請求項2】前記加熱帯の前記複数のゾーンの各々にお
    ける燃料流量分布が実質的に均一となるように、前記複
    数のゾーンの各々の出側における前記ストリップの目標
    板温値を設定することを特徴とする請求項1記載の連続
    焼鈍炉の加熱帯炉温設定方法。
  3. 【請求項3】実質的に均一となる、前記加熱帯の前記複
    数のゾーンの各々における燃料流量分布の最大値と最小
    値との幅が、最大燃料流量規制値と最小燃料流量規制値
    との幅の20%以内であることを特徴とする請求項2記
    載の連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定方法。
  4. 【請求項4】ストリップ負荷の異なる多種のストリップ
    を、ライン進行方向に沿って区分された複数のゾーンを
    有する加熱帯で所定の温度に加熱する連続焼鈍炉の加熱
    帯炉温設定装置において、 前記加熱帯の前記複数のゾーンの各々における燃料流量
    分布が所定のパターンとなるような、前記複数のゾーン
    の各々の出側における前記ストリップの目標板温値を計
    算する目標板温計算機を有することを特徴とする連続焼
    鈍炉の加熱帯炉温設定装置。
  5. 【請求項5】前記目標板温計算機は、前記加熱帯の前記
    複数のゾーンの各々における燃料流量分布が実質的に均
    一となるような、前記複数のゾーンの各々の出側におけ
    る前記ストリップの目標板温値を計算することを特徴と
    する請求項4記載の連続焼鈍炉の加熱帯炉温設定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110321592A (zh) * 2019-05-23 2019-10-11 武汉钢铁有限公司 彩涂板加热炉炉温的设定方法
CN115216619A (zh) * 2022-08-16 2022-10-21 山东钢铁集团日照有限公司 一种提高连退炉加热均匀性的控制方法

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