JP2001260208A - ニーディングスクリュピース体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、第１、第２大円弧外周のニーディ
ングディスクの中心からの第１、第２距離を互いに異な
らせることにより、合成樹脂原料の粘度の違いにも拘ら
ず、低温混練を可能にするとともに、セルフクリーニン
グ作用を十分に発揮するニーディングスクリュピース体
を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明によるニーディングスクリュピー
ス体は、曲率半径が小さい一対の第１、第２小円弧外周
(12,12a)と前記各小円弧外周(12,12a)より大きい曲率半
径を有する一対の第１、第２大円弧外周(13,13a)を有す
る複数枚のニーディングディスク(11)をスクリュ軸の軸
方向へ重ねて一体化して構成されるニーディングスクリ
ュピース体(10)において、前記各ニーディングディスク
(11)の対向する第１、第２大円弧外周の前記ニーディン
グディスク(11)の中心からの第１、第２距離(d1,d2)を
互いに異なるようにした構成である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、スクリュ式混練
機、押出機あるいは混練押出機等に用いられるニーディ
ングスクリュピース体に関し、特に、混練性および分散
性を向上させるための新規な改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、合成樹脂原料を溶融混練するスク
リュ式混練機、押出機あるいは混練押出機等において、
長尺の円筒状シリンダの内孔に挿入されて回転駆動され
る長尺のスクリュは、各種の性状の異なる合成樹脂原料
をそれぞれ効率良く溶融混練可能なように、合成樹脂原
料の性状に合せてスクリュ形状を変更可能な構造に構成
されている。すなわち、長尺のスクリュは、外周にスク
リュ形状を中心部に軸方向貫通孔をそれぞれ有する複数
個のスクリュピースと、これらスクリュピースの軸方向
貫通孔を貫通して一体化するスクリュ軸と、から構成さ
れている。

【０００３】このスクリュを構成するスクリュピース
は、その機能に応じて種々のスクリュ形状および軸方向
長のものが準備されており、溶融混練する合成樹脂原料
の性状および加工目的にあわせて、スクリュ形状、個数
および配列順序が選択され、一本のスクリュとして一体
化されている。そのようなスクリュピースの一種類とし
て、混練および分散機能に優れたニーディングスクリュ
ピース体がある。すなわち、図４に示すように、スクリ
ュ式混練機、押出機あるいは混練押出機（以下、代表的
にスクリュ式混練押出機という）１は、長尺筒状のシリ
ンダ２と、このシリンダ２の内孔へ回転駆動可能に挿入
された１本あるいは２本のスクリュ５と、により構成さ
れている。

【０００４】前記シリンダ２は、上流部の上方側壁に原
料供給口３および下流部の上方側壁にベント口４が形成
され、前記スクリュ５は、上流部分に未溶融原料輸送機
能に優れたスクリュピースで構成される未溶融原料輸送
部６、前記ベント口４の上流側中間部に溶融および混練
機能に優れたスクリュピースで構成される溶融混練部
７、下流部分に溶融原料の輸送および押出し機能に優れ
たスクリュピースで構成される溶融原料輸送部８により
構成されている。

【０００５】前記スクリュ５の溶融混練部７を構成する
スクリュピースとしては、従来より、図５に示すニーデ
ィングスクリュピース体１０が使用されている。このニ
ーディングスクリュピース体１０は、厚みが前記スクリ
ュ５の直径の０．１倍ないし０．３倍であるニーディン
グディスク１１を軸方向に複数枚、例えば、５枚重ねて
構成されている。このニーディングディスク１１は、曲
率半径の小さい一対の第１、第２小円弧外周１２，１２
ａと、これよりは曲率半径の大きい一対の第１、第２大
円弧外周１３，１３ａと、を交互に組合せた外周が形成
されている。

【０００６】従って、対向する第１、第２大円弧外周１
３，１３ａのディスク中心Ｂからの第１、第２距離ｄ
１，ｄ２は等しく構成されている。その結果、前記ニー
ディングディスク１１の対向する第１、第２大円弧外周
１３，１３ａと、前記シリンダ２の内孔面との間隔、す
なわち、チップクリアランスｒ１，ｒ２は、等しくｒ１
＝ｒ２となっている。また、前記ニーディングディスク
１１は、その中心部にインボリュート及び正多角形、例
えば、正六角形の貫通孔１４が形成され、前記ニーディ
ングスクリュピース体１０は、複数枚の前記ニーディン
グディスク１１を、貫通孔１４の辺を一辺ずつずらせて
重ねられ、スクリュ軸Ａの回転方向において異なる角度
位置に配列されている。

【０００７】以上のように構成されたニーディングスク
リュピース体１０において、合成樹脂原料は、チップク
リアランスｒ１，ｒ２の間で、シリンダ２の内孔面と大
円弧外周１３，１３ａの外周との相対速度により、剪断
作用を受け、発熱溶融するとともに混練分散される。ま
た、複数枚のニーディングディスク１１が順次回転して
重ねられていることにより、合成樹脂原料はニーディン
グスクリュピース体１０の軸方向すなわちスクリュ軸Ａ
方向へ輸送作用を受ける。また、各大円弧外周１３，１
３ａは、シリンダ２の内周に付着する合成樹脂材料を掻
き落とすセルフクリーニング作用を発揮する。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】従来のニーディングス
クリュピース体は以上のように構成されていたため、次
のような課題が存在していた。すなわち、合成樹脂原料
の粘度が高い場合、従来のチップクリアランスでは、剪
断速度が大き過ぎ、局部的に高温の発熱を起こし、品質
が低下することがあった。これを改善するために、チッ
プクリアランスを大きくすることが行われている。その
結果、剪断速度が低下し、低温の混練が可能になった。
しかしながら、合成樹脂原料の粘度が低い場合、剪断速
度が低過ぎて十分な混練分散が行われないことになって
いた。さらに、セルフクリーニング作用も十分に発揮さ
れなくなり、シリンダに長時間滞留して品質低下した原
料が混入することにより、製品の品質低下を起こすこと
があった。

【０００９】本発明は以上のような課題を解決するため
になされたものであり、特に、各大円弧外周のディスク
中心からの距離を互いに異ならせることにより、各大円
弧外周におけるチップクリアランスを異ならせ、合成樹
脂原料の粘度の違いにも拘らず、低温混練を可能にする
とともに、セルフクリーニング作用を十分に発揮するニ
ーディングスクリュピース体を提供することを目的とす
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明によるニーディン
グスクリュピース体は、曲率半径が小さい一対の第１、
第２小円弧外周と前記各小円弧外周より大きい曲率半径
を有する一対の第１、第２大円弧外周を有する複数枚の
ニーディングディスクをスクリュ軸の軸方向へ重ねて一
体化して構成されるニーディングスクリュピース体にお
いて、前記各ニーディングディスクの対向する第１、第
２大円弧外周の前記ニーディングディスク(11)のディス
ク中心からの第１、第２距離を、互いに異なるようにし
た構成であり、また、前記各ニーディングディスクは前
記スクリュ軸の回転方向において異なる角度位置に設け
られている構成であり、また、前記各ニーディングディ
スクの第１、第２大円弧外周は、前記スクリュ軸の回転
方向において交互に配列されている構成である。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、図面とともに本発明による
ニーディングスクリュピース体の好適な実施の形態につ
いて詳細に説明する。なお、従来例と同一又は同等部分
については同一符号を用いて説明する。図１は、本発明
によるニーディングスクリュピース体を正面図で示して
いる。図１において、符号１０で示されるものはニーデ
ィングスクリュピース体である。このニーディングスク
リュピース体１０は、厚みがスクリュの直径の０．１倍
ないし０．３倍であるニーディングディスク１１が複数
枚、図１では５枚スクリュ軸方向Ａへ重ねられ、一体化
して構成されている。このニーディングディスク１１
は、曲率半径の小さい一対の第１、第２小円弧外周１
２，１２ａと、この小円弧外周１２，１２ａよりも曲率
半径の大きい第１、第２大円弧外周１３，１３ａとを交
互に組合せた外周を有している。

【００１２】前述の対向する前記第１、第２小円弧外周
１２，１２ａは、そのディスク中心Ｂからの距離が等し
くなるように構成され、他方、前記第１、第２大円弧外
周１３，１３ａのディスク中心Ｂからの第１、第２距離
ｄ１，ｄ２は、互いに異なると共に、ｄ１＞ｄ２の関係
で構成されている。その結果、前記第１、第２大円弧外
周１３，１３ａと、シリンダ２の内孔面との間隔、すな
わち、第１、第２チップクリアランスｒ１とｒ２とは異
なり、ｒ１＜ｒ２の関係となって第１大円弧外周１３側
の第１チップクリアランスｒ１がｒ２よりも小さく構成
されている。また、前記ニーディングディスク１１は、
その中心部にインボリュート及び正多角形、例えば、正
六角形の貫通孔１４が形成されている。また、前記ニー
ディングスクリュピース体１０は、複数枚の前記ニーデ
ィングディスク１１を、貫通孔１４の辺を一辺ずつずら
せて重ねられ、スクリュ軸Ａの回転方向に角度をずらせ
て配列されている。

【００１３】以上のように構成されたニーディングスク
リュピース体１０において、合成樹脂原料は、各ニーデ
ィングディスク１１の第１、第２チップクリアランスｒ
１，ｒ２の間で、一方では、従来通りの強力な剪断作用
を受け、他方では緩い剪断作用を受け、発熱溶融すると
ともに混練分散される。すなわち、各ニーディングディ
スク１１において、強弱の剪断作用を交互に受ける。

【００１４】また、粘度の高い合成樹脂原料では、強弱
の剪断作用により、剪断速度の平均値が下がり、低温の
混練分散が可能になる。粘度の低い合成樹脂原料では、
一方の小さい第１チップクリアランスｒ１の箇所で十分
な剪断速度が加えられ、容易に混練分散が行われる。ま
た、複数枚のニーディングディスク１１が順次回転して
異なる角度位置に重ねられていることにより、合成樹脂
原料はニーディングスクリュピース体１０の軸方向へ輸
送作用を受ける。また、ディスク中心Ｂからの第１距離
ｄ１の第１大円弧外周１３は、シリンダ２の内周に付着
する合成樹脂材料を掻き落とすセルフクリーニング作用
を発揮する。また、前記各第１、第２大円弧外周１３，
１３ａは、図３のように、第１大円弧外周１３を右側に
配列し、第２大円弧外周１３ａを左側に配列した構成の
他に、図示していないが、第１、第２大円弧外周１３，
１３ａを回転方向に沿って交互に配列することもでき
る。

【００１５】

【発明の効果】本発明によるニーディングスクリュピー
ス体は以上のように構成されていることにより、以下の
ような効果を得ることができる。 （１）各ニーディングディスクにおいて、対向する各大
円弧外周のチップクリア ランスを異なる関係としたことにより、強弱の剪断作用
を交互に行い、従来よりも、低温の混練分散が可能にな
った。 （２）各ニーディングディスクにおいて、強弱の剪断作
用を交互に行うことにより、混練分散作用が向上した。 （３）各ニーディングディスクにおいて、強弱の剪断作
用を交互に行うことにより、合成樹脂原料の粘度の違い
に拘らず混練分散が可能になった。 （４）各ニーディングディスクにおいて、一方のチップ
クリアランスが他方よりも小さいため、十分なセルフク
リーニング作用を発揮することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明によるニーディングスクリュピース体
を示す正面図である。

【図２】 図１のニーディングディスクの斜視図であ
る。

【図３】 本発明のニーディングスクリュピース体を示
す構成図である。

【図４】 本発明及び従来に用いられているスクリュ混
練押出機を示す軸方向断面の概要図である。

【図５】 従来のニーディングスクリュピース体を示す
正面図である。

【図６】 図５のニーディングディスクの斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ スクリュ式混練押出機 １０ ニーディングスクリュピース体 １１ ニーディングディスク １２ 第１小円弧外周 １２ａ 第２小円弧外周 １３ 第１大円弧外周 １３ａ 第２大円弧外周 ｄ１ 第１距離 ｄ２ 第２距離 ｒ１，ｒ２ チップクリアランス

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 曲率半径が小さい一対の第１、第２小円
   弧外周(12,12a)と前記各小円弧外周(12,12a)より大きい
   曲率半径を有する一対の第１、第２大円弧外周(13,13a)
   を有する複数枚のニーディングディスク(11)をスクリュ
   軸(A)の軸方向へ重ねて一体化して構成されるニーディ
   ングスクリュピース体において、前記各ニーディングデ
   ィスク(11)の対向する第１、第２大円弧外周(13,13a)の
   前記ニーディングディスク(11)のディスク中心(B)から
   の第１、第２距離(d1,d2)を、互いに異なるように構成し
   たことを特徴とするニーディングスクリュピース体。
2. 【請求項２】 前記各ニーディングディスク(11)は前記
   スクリュ軸(A)の回転方向又は逆転方向において異なる
   角度位置に設けられていることを特徴とする請求項１記
   載のニーディングスクリュピース体。
3. 【請求項３】 前記各ニーディングディスク(11)の第
   １、第２大円弧外周(13,13a)は、前記スクリュ軸(A)の
   回転方向又は逆転方向において交互に配列されているこ
   とを特徴とする請求項１又は２記載のニーディングスク
   リュピース体。