JP2001258822A - 内視鏡 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】観察対象部位と観察光学系との相対的な位置関
係を常に一定な状態に保持して安定した観察を行える内
視鏡をを提供すること。 【解決手段】先端カバー１２には観察光学系を構成する
対物レンズ１３、照明光を体腔内組織に向けて照射する
照明レンズ１４が配置されるとともに、チャンネルチュ
ーブ１０に連通する開口１０ａが形成されている。先端
カバー１２の先端面には、この先端カバー１２の先端面
を体腔表面に押し当てたとき、この先端カバー１２が体
腔表面に対して滑ることを防止する相対位置保持手段と
なる突起部１２ａ，…，１２ａが突設している。突起部
１２ａは、この先端カバー１２の例えば外周側に中心に
対して対称な位置に複数、一体的に形成されており、挿
入部先端面と体腔表面との間に相対的な位置関係を保持
する摩擦力を与えるのに必要最小限の大きさで、鋭利な
エッジ部等のない略円柱形状である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内視鏡の有する観
察光学系と観察対象部位との相対的な位置関係を一定に
保って観察を行える内視鏡に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、細長の挿入部を体腔内に挿入
し、この挿入部の先端部分に内蔵されている観察光学系
によって体腔内臓器等を観察したり、必要に応じて処置
具チャンネル内に処置具を挿通して各種治療処置の行え
る医療用の内視鏡が広く利用されている。

【０００３】一般的な内視鏡では観察対象である体腔内
組織とこの内視鏡の観察光学系との相対位置位置関係を
常に一定な状態に固定する機構を有していない。このた
め、内視鏡の観察光学系として高倍率の対物レンズを設
けている場合には、視野範囲が狭いため目的観察部位を
視野内に留めておくことが難しいという問題や、観察深
度が浅いため最適なピント調整状態にして観察し続ける
ことが難しいという問題があった。

【０００４】特に、観察対象部位が鼓動や拍動、呼吸な
どの影響で動きが生じる場合には、観察対象部位を安定
した状態で視野内に留めることや、最適なピント状態を
保持して観察を続けることが困難であった。

【０００５】このため、例えば実開昭６０−５１５２８
号公報にはファイバスコープの先端面と被写体との距離
を一定に保つため、対物部の先端に被写体との間隔距離
を一定に保持する支持体を設けたファイバファイバスコ
ープが示されている。

【０００６】また、特開昭６１−２１６５７８号公報に
は焦点が正確に合うように、固体撮像素子の感光面に光
学像を結像させる撮像レンズの光軸上前方に所定間隔を
保持して固定される透明基板を具備した固体撮像装置が
示されている。

【０００７】また、実開昭５５−１２９５３号公報には
挿入部の先端に進退自在に取り付けたフードと、このフ
ードを前方に付勢する付勢部材と、この付勢部材の復元
力に抗してフードが押し込まれたときフード内を外部に
対して連通させる開放弁機構とを具備した内視鏡が示さ
れている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記実
開昭６０−５１５２８号公報に示されているファイバス
コープでは体腔内組織を観察する目的で対物部の先端に
設けた支持体を体腔表面に接触させたとき、この支持体
が体腔表面に対して滑り易かった。このため、拍動、呼
吸などの影響で動きの生じる体腔表面の観察を行う場
合、観察対象部位を視野内に留めること及び観察対象に
対して常に最適なピント状態を保持して観察することが
非常に困難になるという問題があった。

【０００９】また、前記特開昭６１−２１６５７８号公
報の固体撮像装置では直視方向の観察だけが可能である
ので、例えば気管支のような管腔状の臓器における側壁
等を観察をする際、観察対象部位と観察光学系との位置
関係を一定な状態に保持することが困難になるという問
題があった。

【００１０】また、前記実開昭５５−１２９５３号公報
の内視鏡では内視鏡先端に取り付けたフードの先端を体
腔表面に接触させたとき、このフードが体腔表面に対し
て滑り易いので、拍動や呼吸などの影響で観察対象部位
を視野内に留めることが難しいばかりでなく、観察対象
部位と観察光学系との位置関係を一定な状態に保持する
ことが困難になるという問題があった。

【００１１】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、観察対象部位と観察光学系との相対的な位置関係
を常に一定な状態に保持して安定した観察を行える内視
鏡をを提供することを目的にしている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明の内視鏡は、体腔
内に挿入される挿入部の先端部分に体腔内組織を観察す
る観察光学系を設けた内視鏡であって、前記観察光学系
近傍に、この観察光学系と観察対象部位との相対的位置
関係を保持する相対位置保持手段を設けている。

【００１３】この構成によれば、鼓動や拍動、呼吸等の
影響を受けることなく、観察対象部位の観察を高精度に
行える。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図１ないし図４は本発明の第１実
施形態に係り、図１は内視鏡の構成を説明する図、図２
は内視鏡の先端部の構成を説明する断面図、図３は内視
鏡の先端部を説明する斜視図、図４は内視鏡の作用を説
明する図である。

【００１５】図１に示すように本実施形態の内視鏡１
は、細長で可撓性を有する挿入部２と、この挿入部２の
基端部に連設する操作部３と、この操作部３の側方から
延出して基端部に図示しない光源装置に着脱自在に接続
されるコネクタ４を設けた可撓性を有するユニバーサル
コード５とで主に構成されている。

【００１６】前記内視鏡１の細長で可撓性を有する挿入
部２は、先端側から順に硬性の先端部６，湾曲自在な湾
曲部７、可撓性を有する可撓管部８を連接して構成され
ており、前記操作部３に設けた湾曲ノブ９を適宜操作す
ることによって先端部６が所望の方向を向くように湾曲
部７が湾曲されるようになっている。

【００１７】図２及び図３に示すように前記挿入部２内
には図示しない内視鏡用処置具を挿通して処置用チャン
ネルとして使用されるとともに、図示しない吸引チュー
ブを介して図示しない吸引ポンプに接続されて吸引用チ
ャンネルとして使用されるチャンネルチューブ１０が挿
通している。このチャンネルチューブ１０の先端部は、
前記先端部６を構成する硬性で金属製の先端構成部材１
１の所定位置に固定されている。

【００１８】前記先端構成部材１１の先端部分には樹脂
製の先端カバー１２が接着固定されている。この先端カ
バー１２には観察光学系を構成する対物レンズ１３、照
明光を体腔内組織に向けて照射する照明レンズ１４が配
置されるとともに、前記チャンネルチューブ１０に連通
する開口１０ａが形成されている。

【００１９】前記先端カバー１２の先端面には、この先
端カバー１２の先端面を体腔表面に押し当てたとき、こ
の先端カバー１２が体腔表面に対して滑ることを防止す
る相対位置保持手段となる突起部１２ａ，…，１２ａが
突設している。前記突起部１２ａは、この先端カバー１
２の例えば外周側に中心に対して対称な位置に複数、一
体的に形成されており、挿入部先端面と体腔表面との間
に相対的な位置関係を保持する摩擦力を与えるのに必要
最小限の大きさで、鋭利なエッジ部等のない略円柱形状
である。

【００２０】なお、この必要最小限の大きさに形成した
突起１２ａは、照明レンズ１４より発せられる照明光を
遮って影を作ることや、この突起１２ａが視野内に入っ
て観察画面内に映し出されることがないように設けられ
ている。

【００２１】図３に示すように前記先端構成部材１１に
は中心軸に平行な貫通孔が複数形成されており、それぞ
れの貫通孔には観察光学系を構成する対物レンズ群１
６、レンズ固定枠１７及びＣＣＤ１８等で構成されたＣ
ＣＤユニット１９の先端部分や、前記チャンネルチュー
ブ１０の先端部、前記照明レンズ１４及び照明光を伝送
する図示しないライトガイドバンドルの先端部が固設さ
れている。前記観察光学系を構成する対物レンズ１３及
び対物レンズ群１６の光学特性は、前記先端カバー１２
を体腔表面に接触させた状態のとき、観察対象が観察深
度内に入るようになっている。

【００２２】また、前記先端構成部材１１の基端部外周
面には湾曲部７を構成する管状の第１関節駒２０の先端
部が外嵌した状態で接着固定されている。そして、この
第１関節駒２０には前記湾曲部７を構成する複数の関節
駒２１，…，２１が連接している。これら関節駒同士
は、連結軸２２を介して回動自在に連結されている。

【００２３】前記第１関節駒２０及び複数の関節駒２
１，…，２１の外周には金属製の網状管２３が配設され
ており、この網状管２３の外側には湾曲部７の最外層を
構成する湾曲ゴム２４が被覆してある。つまり、前記先
端構成部材１１は、前記先端カバー１２及び湾曲ゴム２
４によって外表面が露出しないように完全に被覆された
状態になっている。

【００２４】前記第１関節駒２０内周面側中途部にはワ
イヤ固定部２５が設けられており、このワイヤ固定部２
５に一端部を前記湾曲ノブ９に連結したアングルワイヤ
２６の他端部が固定されている。したがって、術者が前
記湾曲ノブ９を操作することによって、アングルワイヤ
２６が牽引されて湾曲部７が術者の所望する方向に曲が
るようになっている。なお、前記網状管２３及び湾曲ゴ
ム２４は、前記湾曲部７の湾曲動作に追従して伸縮す
る。

【００２５】上述のように構成した内視鏡の作用を説明
する。内視鏡の挿入部を体腔内に挿入し、観察対象部位
近傍に到達したなら、湾曲ノブ９の操作及び挿入部の手
元操作を行って、図４に示すように挿入部先端部に配設
した先端カバー１２の先端面を観察対象部位に押し付け
る。

【００２６】すると、この先端カバー１２先端面に形成
されている複数の突起部１２ａが観察対象部位に食い込
んだ状態になる。このとき、前記先端カバー１２に設け
られている突起部１２ａは、体腔表面の任意の方向から
の応力に対し、摩擦力を反作用力として内視鏡先端部に
与える。つまり、前記先端カバー１２と体腔表面との間
に内視鏡先端面と観察対象部位との相対位置関係を保持
するように摩擦力を与えて、対物レンズ１３が観察対象
部位に対峙した状態に保持されることによって、対物レ
ンズ１３及び対物レンズ群１６を通過した光学像がＣＣ
Ｄ１８の撮像面に結像して観察を行える。したがって、
内視鏡先端面に対して傾いた位置関係にある観察対象部
位の体腔表面に対しても安定した固定を行える。

【００２７】このように、内視鏡挿入部の先端部を構成
する先端構成部材の先端側に突起を備えた先端カバーを
配置し、観察対象部位を観察する際、先端カバーの先端
面を体腔表面に押し当てて内視鏡観察を行うことによっ
て、先端カバーの先端面から突出している突起が体腔壁
に食い込んで発生する摩擦力によって、挿入部先端面と
観察対象部位との相対的な位置関係を常に安定した状態
に保持することができる。

【００２８】このことによって、拍動や呼吸によって体
腔表面が動いた場合でも観察対象部位と観察光学系との
距離及び位置等の相対的な位置関係が一定に保持される
ので、観察対象部位を常に対物レンズの観察深度の中に
入れて最良な状態での観察を安定して行える。したがっ
て、内視鏡に、拡大倍率が高く、観察深度の狭い対物光
学系が備えられている場合であっても、観察部位を確実
に視野範囲に収め、かつピントの合った状態を保持して
の観察を容易に行える。

【００２９】なお、先端構成部材１１の先端側に配設す
る先端カバー１２に形成した突起部１２ａを相対位置保
持手段にする代わりに、図５に示すように摩擦抵抗が大
きく、体腔表面の垂直効力を得易い例えばシリコンゴム
などの弾性体で構成した先端カバー１２ｂを接着固定す
るようにしても同様の作用及び効果を得ることができ
る。

【００３０】なお、このとき、前記対物レンズ１３は、
先端カバー１２ｂの先端表面よりも後方側に位置してい
る。また、前記先端カバー１２ｂの先端表面から対物レ
ンズ１３まで距離は、この対物レンズ１３の観察深度に
入る距離に設定している。

【００３１】図６は本発明の第２実施形態に係る相対位
置保持手段の別の構成を説明する図である。図に示すよ
うに本実施形態においては前記先端構成部材１１の先端
部に相対位置保持手段として管状のフードユニット３０
を固定している。

【００３２】前記フードユニット３０は、先端側を構成
する摩擦抵抗の大きく体腔表面の垂直効力を得易い素材
である例えばシリコンゴムなどの弾性体で形成した先端
側フード３１と、前記先端構成部材１１に固定配置され
る基端側を構成する樹脂製の基端側フード３２とで構成
されている。

【００３３】前記フードユニット３０を構成する先端側
フード３１の先端面から対物レンズ１３までの距離は、
対物レンズ１３及び対物レンズ群１６の焦点距離と同じ
長さに設定してある。つまり、検査対象部位に対してフ
ードユニット３０の先端面を押し付けた状態のとき、内
視鏡の対物光学系の焦点が合うようになっている。

【００３４】なお、前記基端側フード３２は、前記第１
実施形態の先端カバー１２と同様に、先端構成部材１１
に接着固定されている。その他の構成は前記第１実施形
態と同様であり、同部材には同符合を付して説明を省略
する。

【００３５】このように、フードユニットを内視鏡の先
端部に配設して、このフードユニットを構成する先端側
フードを観察対象部位に押し付けることによって、観察
対象部位と観察光学系との間隔を一定に保持することが
できる。

【００３６】このことによって、対物レンズの焦点距離
が長い対物光学系を備えた内視鏡であっても、内視鏡の
有する対物光学系に対して最適な長さ寸法に設定したフ
ードユニットを先端構成部材に固定することによって、
体腔表面に内視鏡先端面を押し付けて、安定した状態で
観察を行える。

【００３７】また、内視鏡先端部にフードユニットを配
置する構成にしたことによって、体腔の粘液や血液が対
物レンズや照明レンズに付着することを防止して、観察
中に内視鏡を引き抜いてレンズ表面に付着した汚れを拭
き取る手間を少なくすることができる。

【００３８】なお、本実施形態においては対物レンズ１
３や照明レンズ１４が配設される先端面が内視鏡中心軸
に対して直交した直視方向を観察する内視鏡としている
が、前記対物レンズ１３や照明レンズ１４が配設される
先端面が図７に示すように内視鏡中心軸に対して傾いた
斜視型の内視鏡１ａの場合には、内視鏡先端部に先端面
より観察方向に対物光学系の焦点が合う距離だけ突出す
る透明なスペーサ３３を接着固定する。このことによっ
て、湾曲操作を行って管腔側壁にスペーサ３３の先端面
を押し付けることによって、上述と同様にピントの合っ
た状態で安定した観察を行える。前記スペーサ３３も前
記フードユニット３０同様、先端部に摩擦抵抗の大きく
体腔表面の垂直効力を得易い素材である例えばシリコン
ゴムなどの弾性体を配置している。

【００３９】図８は本発明の第３実施形態に係る側視型
の内視鏡の構成及び作用を説明する図であり、図８
（ａ）は挿入部の具体的な構成を説明する図、図８
（ｂ）は挿入部の作用を説明する図てある。

【００４０】図８（ａ）に示すように本実施形態の内視
鏡１ｂは、例えば気管支などの管状の臓器の腔壁面に挿
入部先端部を押し付けた状態で、観察光学系近傍を観察
対象部位に押し付けた状態にして観察を行う。

【００４１】このため、細長で可撓性を有する挿入部２
を構成する可撓管部８の先端側に、複数の関節駒を連接
して湾曲自在な第１湾曲部４１と、この第１湾曲部４１
の基端側に位置して挿入軸方向に対して直交する方向を
観察する観察光学系等を配置した硬性部材で形成した観
察部本体４３と、この観察部本体４３の基端側に位置し
て複数の湾曲駒を連接して湾曲自在な第２湾曲部４２と
を設けて内視鏡１ｂを構成している。

【００４２】前記第１湾曲部４１の先端部を構成する先
端側第１関節駒２０ａの先端側には摩擦抵抗の大きく体
腔表面の垂直効力を得易い素材であるシリコンゴムなど
の弾性体で形成した先端保持部材４４が固設されてお
り、前記操作部３に設けてある湾曲ノブ９を操作するこ
とによって、前記先端保持部材４４を所望の方向に向け
られるようになっている。

【００４３】前記第１湾曲部４１と第２湾曲部４２との
間に配置される観察部本体４３は、硬質な金属部材で略
円柱形状に形成されており、側面部には中心軸に対して
平行な観察平面４５ａを有する凹部４５が形成されてい
る。

【００４４】そして、前記凹部４５の前後を形成する観
察部本体４３の周部外表面には摩擦抵抗の大きな前記シ
リコンゴムなどの弾性体で形成した滑り止め部材４６が
配置されている。

【００４５】前記観察部本体４３には中心軸に対して平
行な孔部と前記観察平面４５ａに対して垂直な孔部とを
連通して形成した屈曲透孔が複数形成されている。そし
て、それぞれの屈曲透孔には、側視用の観察光学系を構
成する対物レンズ５１、プリズム５２、対物レンズ群５
３、ＣＣＤ５４等で構成したＣＣＤユニット５５や、照
明光学系を構成する照明レンズ５６及びライトガイドバ
ンドル５７や、図示しないチャンネルチューブ等が固設
されている。

【００４６】なお、前記凹部４５の観察平面４５ａから
観察部本体４３の側面までの距離は、前記滑り止め部材
４６を腔壁面に押し付けた状態のとき、光学像がＣＣＤ
５４の撮像面に結像するように前記側視用の対物光学系
の焦点が設定されている。

【００４７】また、前記側視用の対物レンズ５１及び図
示しないチャンネルチューブの開口１０ｂは、前記観察
平面４５ａに設けられている。また、観察部本体４３に
は中心軸と平行にアングルワイヤ２６が挿通配置される
アングルワイヤ孔４７が形成されている。符号２０ｂは
観察部本体４３の基端部外周面に先端部が外嵌した状態
で接着固定される第２湾曲部４２を構成する第１関節駒
である。その他の構成は前記第１実施形態と同様であ
り、同部材には同符合を付して説明を省略する。

【００４８】上述のように構成した側視型の内視鏡１ｂ
の作用を簡単に説明する。図８（ｂ）に示すように内視
鏡１ｂを例えば気管支に挿入し、観察部本体４３が観察
対象部位近傍に到達したなら、湾曲ノブ９を操作して先
端保持部材４４を観察対象部位とは反対側の腔壁面に当
接させる。そして、さらに湾曲ノブ９を操作する。する
と、観察部本体４３に形成されている凹部４５の周部外
表面に配置された滑り止め部材４６が観察対象部位に押
し付けられていく。このことによって、観察対象部位と
観察光学系と相対的な位置関係が一定の状態に保持され
て安定した観察を行える。

【００４９】このように、側視用の観察光学系を構成す
るＣＣＤユニットを配設した観察部本体の両端部に湾曲
部をそれぞれ配置する一方、先端側に位置する第１湾曲
部の先端部及び観察部本体の凹部の前後を形成する観察
部本体の周部外表面に先端保持部材及び滑り止め部材を
配置する一方、湾曲操作を行って第１湾曲部の先端部に
配置した先端保持部材を腔壁面に押し付けた状態にして
観察部本体に設けた滑り止め部材を腔壁面に押し付ける
ことによって、気管支などの管腔状の臓器の側壁と観察
光学系とを所定の位置関係に保持させて安定した観察を
行うことができる。その他の作用及び効果は前記第１実
施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を
省略する。

【００５０】なお、前記観察光学系の光学特性が、対物
レンズに体腔表面が接触した状態のとき、観察対象が観
察深度内に入る構成である場合には、前記開口１０ａに
連通するチャンネルチューブ１０を吸引用チャンネルと
して使用する。このことによって、前記観察部本体４３
の凹部４５が観察対象部位近傍に位置したとき、前記チ
ャンネルチューブ１０による吸引を行い、腔壁面を凹部
４５内に引き込むことによって対物レンズ５１に密着さ
せることにより、観察対象部位と観察光学系との相対的
な位置関係を一定の状態に保持して安定した観察を行え
る。

【００５１】また、側視型の内視鏡が例えば、図９に示
すように湾曲部７の先端部に上述したように対物レンズ
５１、プリズム５２、対物レンズ群５３、ＣＣＤ５４等
で構成したＣＣＤユニット５５や、照明光学系を構成す
る照明レンズ５６及びライトガイドバンドル５７や、図
示しないチャンネルチューブ１０を設けた側視用先端構
成部材６１を配置した側視型の内視鏡１ｃである場合に
は弾性体で形成した側視用先端フード６２で側視用先端
構成部材６１を被覆する。

【００５２】この側視用先端フード６２には前記対物レ
ンズ５１に対向する透明なフード観察窓６３が視野を妨
げないように配置されている。また、前記チャンネルチ
ューブ１０の開口１０ｃに連通するチャンネル用開口孔
６４が形成されている。前記フード観察窓６３と対物レ
ンズ５１との距離は対物光学系の焦点が合うように設定
されている。

【００５３】このことにより、上述と同様にチャンネル
チューブ１０によって吸引を行って、観察対象部位をフ
ード観察窓６３に密着させて、観察対象部位と観察光学
系との相対的な位置関係を一定の状態に保持して安定し
た観察を行える。

【００５４】ところで、前記図６に示したように内視鏡
先端部にフードユニット３０を配置する構成にしたこと
によって、体腔の粘液や血液が対物レンズ１３や照明レ
ンズ１４に付着することを防止して、観察中に内視鏡を
引き抜いてレンズ表面に付着した汚れを拭き取る手間を
少なくすることができたが、術者からは可能であるなら
ば観察中に内視鏡を引き抜く手間をなくしたいと要望が
あった。

【００５５】この術者からの要望にこたえるため、本実
施形態においては図１０に示すように内視鏡に設けられ
ている送液用管路と吸引用管路とを利用している。

【００５６】図に示すように内視鏡を構成する先端構成
部材１１には前記観察光学系を構成する対物レンズ群１
６、レンズ固定枠１７及びＣＣＤ１８等で構成されたＣ
ＣＤユニット１９や、前記チャンネルチューブ１０、前
記照明レンズ１４及び照明光を伝送する図示しないライ
トガイドバンドルの他に、送水用のチャンネルチューブ
７１も固設されている。

【００５７】そして、本実施形態の先端構成部材１１の
先端部に配設されるフードユニット３０の基端側フード
３２には前記チャンネルチューブ７１，１０に連通する
２つのチャンネル開口孔７２，７３が形成されている。
その他の構成は上述した実施形態と同様であり、同部材
には同符合を付して説明を省略する。

【００５８】前記フードユニット３０の先端側フード３
１を観察対象部位に押し付けて観察を行う。このとき、
体腔の粘液や血液が対物レンズ１３や照明レンズ１４に
付着した場合には、前記先端側フード３１が観察対象部
位に押し付けられていることによって、フードユニット
３０の内部空間が密閉された状態なっていることを利用
して、前記チャンネルチューブ７１から送水を行う一
方、チャンネルチューブ１０によって吸引を行う。この
ことによって、送水用のチャンネルチューブ１０から送
水される液体が吸引用のチャンネルチューブ１０によっ
て回収される還流回路が形成されて、対物レンズ１３や
照明レンズ１４に付着した粘液や血液が洗い流される。

【００５９】このように、内視鏡の先端構成部材に配設
されるフードユニットに送水用及び吸引用のチャンネル
チューブに連通するチャンネル開口孔を設けることによ
って、フードユニットの先端側フードを観察対象部位に
押し付けて観察しているとき、フードユニットの内部空
間にフードユニ送水用のチャンネルチューブによって送
水される液体が吸引用のチャンネルチューブによって回
収される還流回路を構成することができる。このことに
よって、対物レンズや照明レンズに付着した粘液や血液
を還流回路を利用して、内視鏡を体腔内から抜去するこ
となく容易に洗い流して、継続的に内視鏡観察を行え
る。その他の作用及び効果は前述した実施形態と同様で
ある。

【００６０】なお、本発明は、以上述べた実施形態のみ
に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範
囲で種々変形実施可能である。

【００６１】［付記］以上詳述したような本発明の上記
実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができ
る。

【００６２】（１）体腔内に挿入される挿入部の先端部
分に体腔内組織を観察する観察光学系を設けた内視鏡に
おいて、前記観察光学系近傍に、この観察光学系と観察
対象部位との相対的位置関係を保持する相対位置保持手
段を設けた内視鏡。

【００６３】（２）前記相対位置保持手段は、前記挿入
部先端面を覆う先端カバーの先端面から突出する複数の
突起部である付記１記載の内視鏡。

【００６４】（３）前記相対位置保持手段は、前記挿入
部先端面を覆う摩擦抵抗の大きな素材で形成した先端カ
バーである付記１記載の内視鏡。

【００６５】（４）前記相対位置保持手段は、前記挿入
部の先端部に配置される内視鏡の対物光学系の焦点に対
応したフードユニットである付記１記載の内視鏡。

【００６６】（５）前記フードユニットは、先端側を構
成する摩擦抵抗の大きな素材で形成した先端側フード
と、この先端側の基端側に位置して内視鏡の先端部に配
置される樹脂製の基端側フードとで構成される付記４記
載の内視鏡。

【００６７】（６）前記相対位置保持手段は、前記挿入
部の先端部に配置される透明なスペーサである付記１記
載の内視鏡。

【００６８】（７）前記相対位置保持手段は、観察対象
部位を観察光学系近傍に密着させる吸引機構である付記
１記載の内視鏡。

【００６９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、観
察対象部位と観察光学系との相対的な位置関係を常に一
定な状態に保持して安定した観察を行える内視鏡をを提
供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１ないし図４は本発明の第１実施形態に係
り、図１は内視鏡の構成を説明する図

【図２】内視鏡の先端部の構成を説明する断面図

【図３】内視鏡の先端部を説明する斜視図

【図４】内視鏡の作用を説明する図

【図５】相対位置保持手段の他の構成例を示す図

【図６】第２実施形態に係る相対位置保持手段の別の構
成を説明する図

【図７】斜視型の内視鏡に設ける相対位置保持手段の構
成例を説明する図

【図８】第３実施形態に係る側視型の内視鏡の構成及び
作用を説明する図

【図９】側視型の内視鏡に設ける相対位置保持手段の他
の構成例を説明する図

【図１０】フードユニットを先端部に配設する内視鏡
と、フードユニットとの関係を説明する図

【符号の説明】

２…挿入部 １２…先端カバー １２ａ…突起部 １３…対物レンズ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 体腔内に挿入される挿入部の先端部分に
   体腔内組織を観察する観察光学系を設けた内視鏡におい
   て、 前記観察光学系近傍に、この観察光学系と観察対象部位
   との相対的位置関係を保持する相対位置保持手段を設け
   たことを特徴とする内視鏡。