JP2001257896A - 画像処理装置、方法、記録媒体及び伝送媒体 - Google Patents

画像処理装置、方法、記録媒体及び伝送媒体

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JP2001257896A
JP2001257896A JP2000067780A JP2000067780A JP2001257896A JP 2001257896 A JP2001257896 A JP 2001257896A JP 2000067780 A JP2000067780 A JP 2000067780A JP 2000067780 A JP2000067780 A JP 2000067780A JP 2001257896 A JP2001257896 A JP 2001257896A
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scene
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JP2000067780A
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Hiroshi Yamaguchi
博司 山口
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原画像群に占める異常シーン原画像の割合が
高い場合に適正な色バランス補正条件を設定する。 【解決手段】 写真フィルムに記録された各画像のデー
タを用いて各画像毎に色バランス補正値D1jを設定し(1
00)、各画像を類似シーンを表す画像を単位としてグル
ープ分けし(102)、各グループに属する画像のデータを
用いて各グループ毎に色バランス補正値D2jを設定する
(106)と共に、各グループ毎に異常シーン画像か否かを
判定し(110)、異常シーン画像の割合を演算する(118)。
異常シーン画像の割合が高い場合(124が肯定)には、正
常シーン画像(128が否定される画像)に対し、フィルム
特性に起因する色バランス偏倚を補正するための色バラ
ンス補正値Dxjとして、前記正常シーン画像が属するグ
ループに設定した色バランス補正値D2jを設定する(13
0)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像処理装置、方
法、記録媒体及び伝送媒体に係り、特に、一定の条件で
被写体が撮影記録されて成る原画像群の各原画像の色バ
ランス補正条件を設定する画像処理装置、該画像処理装
置に適用可能な画像処理方法、コンピュータを前記画像
処理装置として機能させるためのプログラムが記録され
た記録媒体、コンピュータを前記画像処理装置として機
能させるためのプログラムを伝送する伝送媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】カメラ等によって被写体が撮影記録され
た写真フィルムに対して現像等の処理を行うことで写真
フィルム上に可視化される画像(以下、単に写真フィル
ムに記録された画像という)の色バランスは、写真フィ
ルムそのものの特性や現像処理における処理条件等(以
下、これらをフィルム特性と総称する)の影響を受け、
撮影時の被写体の色バランスに対して偏倚している。こ
のため、写真フィルムに記録された画像を印画紙等の記
録材料に記録したり、ディスプレイ等の表示手段に表示
するにあたっては、記録材料に記録される画像や表示手
段に表示される画像(以下、これらを出力画像と総称す
る)の色バランスが撮影時の被写体の色バランスに一致
するように(撮影時の被写体のグレーの部分が出力画像
上でグレーとして再現されるように)出力画像の色バラ
ンスを補正する必要がある。
【0003】出力画像の色バランス補正方法の一例とし
て、写真フィルムに記録された画像(原画像)のハイラ
イトに相当する画素(例えばネガ画像では最大濃度の画
素、ポジ画像では最小濃度の画素)の色を白、原画像の
シャドーに相当する画素(例えばネガ画像では最小濃度
の画素、ポジ画像では最大濃度の画素)の色を黒と仮定
して、撮影時の被写体のグレー部分の原画像上での色バ
ランスを表すグレーバランスを推定し、推定したグレー
バランスを基準として出力画像の色バランスを補正する
方法が知られている。この方法では、原画像からハイラ
イトに相当する画素及びシャドーに相当する画素を各々
抽出し、グレーバランスを表すグレー軸として、例えば
RGB濃度座標上での双方の画素に対応する点を直線で
結んだ軸を求めている。
【0004】しかし、上記の補正方法では、例えばスト
ロボを使用して人物を撮影した画像において人物の顔の
頬の部分(肌色の部分)がハイライトとなっている等の
ように、原画像中のハイライトに相当する画素の色が白
でない場合に、適正なグレーバランスを表すグレー軸を
求めることができず(シャドーについても同様)、出力
画像の色バランスが前記ハイライトに相当する画素の色
の補色の色に偏倚する(ハイライトフェリアという)。
上記のようなハイライトフェリアの生じ易い原画像の出
現頻度は比較的高く、適正な色バランスの出力画像が得
られる確率が低いという問題があった。
【0005】また、エバンスの理論に基づき、各色成分
(例えばR,G,B)毎のLATD(積算透過濃度)が
一定の画像を、色バランスが撮影時の被写体の色バラン
スに一致している画像(グレーバランスがとれている画
像)とみなし、原画像の各色成分(例えばR,G,B)
毎のLATD(積算透過濃度)を測定し、出力画像の各
色成分毎のLATDが一定となるように出力画像の色バ
ランスを補正する方法も知られている。
【0006】しかし、上記の補正方法では非グレーかつ
略一定の色相の領域(例えば緑の芝生や青い空・海に対
応する領域等)が原画像中の比較的広い面積を占めてい
た場合に、出力画像の各色成分毎のLATDが一定とな
るように補正することで、出力画像の色バランスが前記
領域の色の補色の色に偏倚する(カラーフェリアとい
う)。上記のようなカラーフェリアの生じ易い原画像の
出現頻度も比較的高いので、前述した補正方法と同様に
適正な色バランスの出力画像が得られる確率が低いとい
う問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した問題を解決す
るため、本願出願人は、写真フィルムに記録された単一
の画像の画像データからグレー候補画素を抽出し、ハイ
ライト−シャドー軸との濃度差に応じて各グレー候補画
素を重み付けすることを、同一の写真フィルムに記録さ
れた複数の画像について各々行い、グレー候補画素群の
RGB濃度座標上での分布に基づき、個々の画像毎に、
個々の画像の濃度域内におけるグレーバランスを表すグ
レー軸を線形近似によって各々推定し、濃度・色変換処
理の処理条件を設定することを提案している(特願平1
1−64961号)。上記技術を適用すれば、写真フィ
ルムに記録された画像の画像データからグレーバランス
を精度良くかつ安定に推定することができ、画像データ
が表す画像の色バランスを適正に補正できる適正な色バ
ランス補正条件を得ることができる。
【0008】しかしながら、上記技術を以てしても、単
一の写真フィルムに記録されている画像の大多数が、カ
ラーフェリアやハイライトフェリア等のフェリアの生じ
易い画像、或いは蛍光灯やタングステン灯のような異種
光源(昼光等の一般的な光源以外の光源)で照明された
異種光源シーンを表す画像(異種光源シーンを表す画像
では、フィルム特性に起因する色バランス偏倚に加え
て、撮影光源に起因する色バランス偏倚も生じている)
であった場合(以下、これらを異常シーン画像と総称す
る)には、多数の異常シーン画像の影響を受けてグレー
候補画素として誤抽出される画素(実際には被写体のグ
レーの部分に対応していない画素)の数が大幅に増加す
ることで、グレー候補画素群の分布が本来のグレーバラ
ンスに対して偏倚するので、写真フィルムに記録されて
いる正常なシーン(例えば昼光によって照明され、画像
中の非グレーかつ略一定の色相の部分の面積が小さいシ
ーン)を表す正常シーン画像に対して適正な色バランス
補正条件を得ることができない、という問題がある。
【0009】また、写真フィルムに記録されている殆ど
の異常シーン画像がフェリアの生じ易い画像等である場
合には、該フェリアの生じ易い画像に対しても適正な色
バランス補正条件を得ることができないという問題もあ
る。
【0010】一例として、写真フィルムに記録されてい
る画像のうちの大多数(例えば24コマ中の20コマ)
が水族館の水槽の中のシーンを表す異常シーン画像(全
体に青みがかったカラーフェリアの生じ易い画像)で、
残りの画像が屋外のシーンを表す正常シーン画像であっ
た場合、水槽の中のシーンを表す大多数の画像から適正
なグレー候補画素が抽出されないことにより、抽出した
グレー候補画素群の分布が本来のグレーバランスに対し
て大きく偏倚する。これにより、グレー候補画素群の分
布に基づいて求めた色バランス補正条件に従って出力画
像の色バランスを補正したとすると、正常シーン画像
(屋外シーンを表す画像)については出力画像が黄色み
がかった色バランスとなり、異常シーン画像(水槽の中
のシーンを表すカラーフェリアの生じ易い画像)につい
ては出力画像が青みがかった色バランスとなる。
【0011】また、デジタルスチルカメラによって被写
体が撮影されることで情報記録媒体に記録された画像デ
ータが表す原画像の色バランスは、デジタルカメラの光
電変換素子の特性の影響を受けて撮影時の被写体の色バ
ランスに対して偏倚すると共に、撮影光源が異種光源で
あった場合にはこの影響により更に偏倚する。そして色
バランス補正に際しては、フェリアの生じ易い原画像の
画像データや、撮影光源の光源種が異なる原画像の画像
データが色バランス補正における補正精度低下の原因と
なる。従って、上述した色バランス補正に関する問題
は、デジタルスチルカメラによって被写体が撮影記録さ
れて成る原画像に対して色バランス補正を行う場合にも
共通する問題である。
【0012】本発明は上記事実を考慮して成されたもの
で、一定の条件で被写体が撮影記録されて成る原画像群
に占める異常シーン原画像の割合が高い場合に、適正な
色バランス補正条件を得ることができる画像処理装置、
画像処理方法、記録媒体及び伝送媒体を得ることが目的
である。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1記載の発明に係る画像処理装置は、一定の条
件で被写体が撮影記録されて成る原画像群の各原画像
を、正常シーンを表す正常シーン原画像又は異常シーン
を表す異常シーン原画像に各々分類する分類手段と、前
記原画像群に占める異常シーン画像の割合が所定値以上
の場合に、撮影記録特性に起因する各原画像の色バラン
ス偏倚を補正するための色バランス補正条件を、前記異
常シーン原画像の画像特徴量が前記色バランス補正条件
に影響を及ぼさないように設定するか、又は前記異常シ
ーン原画像の画像特徴量が前記色バランス補正条件に及
ぼす影響が、前記異常シーン原画像の割合が所定値未満
の場合よりも小さくなるように設定する設定手段と、を
含んで構成されている。
【0014】請求項1記載の発明では、一定の条件(例
えばカメラによって同一の写真フィルムに撮影記録され
た、デジタルスチルカメラによって同一の情報記録媒体
に画像データが記録された、或いは同一のデジタルスチ
ルカメラによって撮影記録された等)で被写体が撮影記
録されて成る原画像群の各原画像を、分類手段により、
正常シーンを表す正常シーン原画像又は異常シーンを表
す異常シーン原画像に各々分類する。
【0015】なお、本発明において、正常シーン原画像
は、撮影記録特性に起因する色バランス偏倚は生じてい
るものの、撮影記録時の被写体のグレーの部分を比較的
精度良く抽出できる原画像を指す。一方、異常シーン原
画像としては、例えば昼光等の一般的な光源以外の異種
光源(例えば夕日や蛍光灯、タングステン灯)の照明下
で撮影記録されたシーンを表す原画像(以下、異種光源
シーン原画像という)のように、撮影記録特性に起因す
る色バランス偏倚に加えて、撮影光源やその他の要因で
色バランスの偏倚が生じている原画像、及び、カラーフ
ェリアやハイライトフェリア等のフェリアの生じ易い原
画像(以下、フェリア原画像という)のように、撮影記
録特性に起因する色バランス偏倚が生じていると共に、
撮影記録時の被写体のグレーの部分を抽出することが困
難な原画像が挙げられる。
【0016】また本発明において、撮影記録特性は被写
体の各色成分毎の濃度(又は輝度)と画像データ上での
各色成分毎の濃度との関係を表す特性を意味し、前記関
係に応じて変動するグレーバランスを表している。この
撮影記録特性は、カメラによって写真フィルムに画像を
撮影記録する態様においてはフィルム特性、デジタルス
チルカメラによって情報記録媒体に画像データを記録す
る態様においては光電変換素子の特性等に応じて定ま
る。
【0017】正常シーン原画像(及びフェリア原画像)
に生じる色バランス偏倚は撮影記録特性に起因するもの
であり、この撮影記録特性に起因する色バランス偏倚
は、本願出願人が特願平11−64961号で提案して
いるように、色バランス補正条件設定対象の原画像の画
像データのみならず、一定の条件で撮影記録された複数
の原画像の画像データを用い、各原画像の画像データか
ら被写体のグレーの部分に対応する画素である可能性の
高いグレー候補画素を各々抽出し、抽出したグレー候補
画素から成るグレー候補画素群の所定の座標上での分布
に基づいて、撮影記録特性に応じて偏倚するグレーバラ
ンスを推定し、推定したグレーバランスを基準として色
バランス補正条件を設定し、設定した色バランス補正条
件を用いて補正を行うことで通常は精度良く補正でき
る。しかしながら、色バランス補正条件の演算に用いる
複数の原画像の中に異常シーン原画像が高い割合で含ま
れていた場合には、異常シーン原画像の画像特徴量(例
えば異常シーン原画像の色バランス、原画像中の広面積
を占める部分の色)が色バランス補正条件に悪影響を及
ぼし、適正な色バランス補正条件を得ることが困難とな
る。
【0018】これに対し、請求項1記載の発明に係る設
定手段は、原画像群に占める異常シーン原画像の割合が
所定値以上の場合に、撮影記録特性に起因する各原画像
の色バランス偏倚を補正するための色バランス補正条件
を、前記異常シーン原画像の画像特徴量が前記色バラン
ス補正条件に影響を及ぼさないように設定するか、又は
前記異常シーン原画像の画像特徴量が前記色バランス補
正条件に及ぼす影響が、前記異常シーン原画像の割合が
所定値未満の場合よりも小さくなるように設定する。な
お、前記影響を小さくすることには、原画像群に占める
異常シーン原画像の割合が高くなるに従って、前記影響
を段階的又は連続的に小さくすることも含まれる。
【0019】撮影記録特性に起因する色バランス偏倚を
補正するための色バランス補正条件を上記のように設定
することは、例えば請求項6に記載したように、前記色
バランス補正条件として、一定の条件で被写体が撮影記
録されて成る原画像群のうち複数の正常シーン原画像の
画像データから求めた第2の色バランス補正条件を用い
るか、又は標準的な撮影記録特性から求めた標準色バラ
ンス補正条件を用いることで実現できる。なお、第2の
色バランス補正条件は、具体的には、例えば複数の正常
シーン原画像の画像データからグレー候補画素を各々抽
出し、抽出したグレー候補画素から成るグレー候補画素
群の所定の座標上での分布に基づいてグレーバランスを
推定し、推定したグレーバランスを基準として求めるこ
とができる。
【0020】また、例えば補正条件の設定に用いる各原
画像からグレー候補画素を抽出し、抽出したグレー候補
画素から成るグレー候補画素群の所定の座標上での分布
に基づいて、撮影記録特性に応じて偏倚するグレーバラ
ンスを推定し、推定したグレーバランスを基準として色
バランス補正条件を設定する態様において、補正条件の
設定に用いる原画像に異常シーン原画像を含めると共
に、異常シーン原画像から抽出したグレー候補画素に対
する重みを、正常シーン原画像から抽出したグレー候補
画素に対する重みよりも小さくする(前記割合が高くな
るに従って段階的又は連続的に小さくしてもよい)こと
によっても実現できる。
【0021】更に、例えば異常シーン原画像を含む複数
の原画像の画像データから求めた色バランス補正条件
と、異常シーンを含まない複数の原画像の画像データか
ら求めた色バランス補正条件の加重平均を、撮影記録特
性に起因する色バランス偏倚を補正するための色バラン
ス補正条件として設定する態様において、異常シーン原
画像を含む複数の原画像の画像データから求めた色バラ
ンス補正条件の重みを小さくする(前記割合が高くなる
に従って段階的又は連続的に小さくしてもよい)ことに
よっても実現することができる。
【0022】これにより、一定の条件で被写体が撮影記
録されて成る原画像群に占める異常シーン原画像の割合
が高い場合に、異常シーン原画像の画像特徴量が、撮影
記録特性に起因する各原画像の色バランス偏倚を補正す
るための色バランス補正条件に及ぼす影響を小さくする
か、又は前記色バランス補正条件に影響を及ぼすことを
阻止することができるので、請求項1記載の発明によれ
ば、前記原画像群に占める異常シーン原画像の割合が高
い場合に、撮影記録特性に起因する各原画像の色バラン
ス偏倚を精度良く補正できる適正な色バランス補正条件
を得ることができる。
【0023】ところで、原画像群の各原画像を正常シー
ン原画像又は異常シーン原画像に分類することは、例え
ば請求項2に記載したように、原画像群の各原画像を、
各々類似のシーンを表す原画像から成る複数のグループ
に分け、特定のグループに属する原画像が前記正常シー
ン原画像か前記異常シーン原画像かを判断することを、
各グループを単位として行うことで実現できる。
【0024】各原画像を、各々類似のシーンを表す原画
像から成る複数のグループに分ける基準としては、例え
ば画像濃度を用いることができ、原画像群の各原画像の
画像濃度を比較し、画像濃度が近似している原画像を類
似のシーンを表す原画像と判断することができる。ま
た、類似のシーンを表す原画像は撮影記録された順番が
連続又は近接していることが多いので、前記基準として
撮影記録された順番等も用い、原画像群の各原画像が撮
影記録された順番を比較し、撮影記録された順番が連続
又は近接しているか否かも考慮して類似のシーンを表す
原画像を判断してもよい。
【0025】更に、各原画像に関連する情報(例えば撮
影日時や撮影条件等)が各原画像に付加されている場合
(例えば原画像群の各原画像が写真フィルムに記録され
ている態様において、前記情報が磁気的又はその他の形
態で写真フィルムに記録されている場合や、原画像群の
各原画像が画像データとして情報記録媒体に記録されて
いる態様において、前記情報が画像データと対応されて
情報記憶媒体に記憶されている場合)には、前記基準と
して各原画像に関連する情報も用いて類似のシーンを表
す原画像を判断してもよい。
【0026】上記のように、原画像群の各原画像を各々
類似のシーンを表す原画像から成る複数のグループに分
けることにより、原画像群の中に正常シーン原画像と異
常シーン原画像が混在していた場合、少なくとも正常シ
ーン原画像と異常シーン原画像は別々のグループに分け
られ、異常シーン原画像の中にフェリア原画像と異種光
源シーン原画像とが混在していた場合には、このフェリ
ア原画像と異種光源シーン原画像が更に別々のグループ
に分けられることになる。
【0027】また、特定のグループに属する原画像が正
常シーン原画像か異常シーン原画像かの判断は、例えば
請求項3に記載したように、原画像群の全ての原画像の
画像データから求めた第1の特性値と、前記特定のグル
ープに属する各原画像の画像データから求めた第2の特
性値と、を比較することによって行うことができる。上
記の第1の特性値及び第2の特性値としては、グレーバ
ランスの推定結果を表す特性値や、グレーバランスの推
定結果に応じて色バランスを補正するための補正値を用
いることができる。
【0028】請求項2記載の発明では、各グループが各
々類似のシーンを表す原画像で構成されており、正常シ
ーン原画像か異常シーン原画像かの判断を各グループを
単位として行うので、例えば異常シーン原画像から成る
グループについて求めた第2の特性値は、正常シーン原
画像から成るグループについて求めた第2の特性値と大
きく相違することになり、例えば各グループ毎の第2の
特性値を第1の特性値と比較する等により、各グループ
に属する原画像が正常シーン原画像か異常シーン原画像
かを精度良く判断することができる。従って、請求項2
記載の発明によれば、各原画像を正常シーン原画像又は
異常シーン原画像に分類することを精度良く行うことが
できる。
【0029】なお、請求項3記載の発明のように、正常
シーン原画像か異常シーン原画像かの判断を、各グルー
プ毎に求めた第2の特性値を第1の特性値と比較するこ
とで行う態様においては、第1の特性値が判断の基準と
なるが、第1の特性値は原画像群の全ての原画像の画像
データから求めた特性値であるので、原画像群に占める
異常シーン原画像の割合が高くになるに従って、第1の
特性値は異常シーン原画像の特徴を反映した値となるの
で、第1の特性値を正常シーン原画像に相当する値とし
て用いたとすると、前記割合が高くなるに従って正常シ
ーン原画像か異常シーン原画像かの判断の精度が低下す
ることも考えられる。
【0030】上記を考慮すると、請求項4に記載したよ
うに、原画像群の全ての原画像の画像データから求めた
第1の特性値が所定範囲から外れていた場合には、第1
の特性値に代えて、標準的な撮影記録特性から求めた標
準特性値を用いることが好ましい。なお、請求項4にお
ける所定範囲としても、標準的な撮影記録特性に基づい
て定めることができる。これにより原画像群に占める異
常シーン原画像の割合が高い場合にも、各原画像を正常
シーン原画像又は異常シーン原画像に分類することを精
度良く行うことができる。
【0031】なお、本発明において、原画像群に占める
異常シーン原画像の割合が所定値未満の場合には、請求
項5に記載したように、撮影記録特性に起因する各原画
像の色バランス偏倚を補正するための色バランス補正条
件として、原画像群の全ての原画像の画像データから求
めた第1の色バランス補正条件を用いることが好まし
い。
【0032】なお、第1の色バランス補正条件は、具体
的には、例えば原画像群の全ての原画像の画像データか
らグレー候補画素を各々抽出し、抽出したグレー候補画
素から成るグレー候補画素群の所定の座標上での分布に
基づいてグレーバランスを推定し、推定したグレーバラ
ンスを基準として求めることができる。これにより、一
定の条件で被写体が撮影記録されて成る原画像群に占め
る異常シーン原画像の割合が低い場合にも、撮影記録特
性に起因する各原画像の色バランス偏倚を精度良く補正
できる適正な色バランス補正条件を得ることができる。
【0033】ところで、原画像群に占める異常シーン原
画像の割合が所定値以上の場合に、撮影記録特性に起因
する各原画像の色バランス偏倚を補正するための色バラ
ンス補正条件としては、請求項6にも記載したように、
原画像群のうち複数の正常シーン原画像の画像データか
ら求めた第2の色バランス補正条件、又は標準的な撮影
記録特性から求めた標準色バランス補正条件を用いるこ
とができるが、実際の撮影記録特性は標準的な撮影記録
特性に対して変動する(この変動はフィルム特性、或い
は光電変換素子の特性の変動に起因する)ので、標準色
バランス補正条件は第2の色バランス補正条件と比較し
て若干補正精度が低い場合がある。
【0034】このため、補正条件設定対象の画像が正常
シーン原画像であり、原画像群に占める異常シーン原画
像の割合が所定値以上の場合には、請求項7に記載した
ように、正常シーン原画像に対して撮影記録特性に起因
する色バランス偏倚を補正するための色バランス補正条
件として、原画像群のうち補正条件設定対象の正常シー
ン原画像を含む複数の正常シーン原画像の画像データか
ら求めた第2の色バランス補正条件を用いることが好ま
しい。これにより、一定の条件で被写体が撮影記録され
て成る原画像群に占める異常シーン原画像の割合が高い
場合に、撮影記録特性に起因する正常シーン原画像の色
バランス偏倚をより精度良く補正できる適正な色バラン
ス補正条件を得ることができる。
【0035】なお、原画像群に占める異常シーン原画像
の割合が所定値以上の場合、異常シーン原画像に対して
撮影記録特性に起因する色バランス偏倚を補正するため
の色バランス補正条件としても、原画像群に含まれる正
常シーン原画像の数が比較的多ければ、複数の正常シー
ン原画像の画像データから求めた第2の色バランス補正
条件を用いることが好ましい。但し、原画像群に含まれ
る正常シーン原画像の数が少ない、或いは存在しない場
合には、標準色バランス補正条件を用いることが望まし
く、異常シーン原画像に対して撮影記録特性に起因する
色バランス偏倚を補正するための色バランス補正条件
を、前記第2の色バランス補正条件と前記標準色バラン
ス補正条件との加重平均とし、原画像群に含まれる正常
シーン原画像の数(割合)に応じて双方の補正条件の重
みを変えるようにしてもよい。
【0036】ところで、異常シーン原画像のうちの異種
光源シーン原画像については、撮影記録特性に起因する
色バランス偏倚に加えて、撮影光源に起因する色バラン
ス偏倚も生じているので、異種光源シーン原画像の色バ
ランスを適正に補正するためには、撮影光源に起因する
色バランス偏倚も補正する必要がある。撮影光源に起因
する色バランス偏倚を補正するための色バランス補正条
件は、例えば撮影光源の光源種が同一の複数の異種光源
シーン原画像の画像データから求めることも考えられる
が、撮影光源に起因する色バランス偏倚の補正について
は、撮影光源の光源種が同一であっても好ましい補正が
各原画像毎に相違していることがある。
【0037】このため、撮影光源に起因する原画像の色
バランス偏倚を補正するための色バランス補正条件につ
いては、請求項8に記載したように、補正条件設定対象
の原画像の画像データに基づいて設定することが好まし
い。これにより、撮影光源に起因する色バランス偏倚を
個々の原画像毎に精度良く補正できる適正な補正条件を
得ることができる。
【0038】請求項9記載の発明に係る画像処理方法
は、一定の条件で被写体が撮影記録されて成る原画像群
の各原画像を、正常シーンを表す正常シーン原画像又は
異常シーンを表す異常シーン原画像に各々分類し、前記
原画像群に占める異常シーン原画像の割合が所定値以上
の場合に、撮影記録特性に起因する各原画像の色バラン
ス偏倚を補正するための色バランス補正条件を、前記異
常シーン原画像の画像特徴量が前記色バランス補正条件
に影響を及ぼさないように設定するか、又は前記異常シ
ーン原画像の画像特徴量が前記色バランス補正条件に及
ぼす影響が、前記異常シーン原画像の割合が所定値未満
の場合よりも小さくなるように設定するので、請求項1
記載の発明と同様に、被写体が撮影記録されて成る原画
像群に占める異常シーン原画像の割合が高い場合に、適
正な色バランス補正条件を得ることができる。
【0039】請求項10記載の発明に係る記録媒体は、
一定の条件で被写体が撮影記録されて成る原画像群の各
原画像を、正常シーンを表す正常シーン原画像又は異常
シーンを表す異常シーン原画像に各々分類する第1のス
テップ、及び、前記原画像群に占める異常シーン原画像
の割合が所定値以上の場合に、撮影記録特性に起因する
各原画像の色バランス偏倚を補正するための色バランス
補正条件を、前記異常シーン原画像の画像特徴量が前記
色バランス補正条件に影響を及ぼさないように設定する
か、又は前記異常シーン原画像の画像特徴量が前記色バ
ランス補正条件に及ぼす影響が、前記異常シーン原画像
の割合が所定値未満の場合よりも小さくなるように設定
する第2のステップを含む処理をコンピュータに実行さ
せるためのプログラムが記録されている。
【0040】請求項10記載の発明に係る記録媒体に
は、上記第1及び第2のステップを含む処理、すなわち
コンピュータを、請求項1に記載の画像処理装置として
機能させるためのプログラムが記録されているので、コ
ンピュータが前記記録媒体に記録されたプログラムを読
み出して実行することにより、請求項1記載の発明と同
様に、被写体が撮影記録されて成る原画像群に占める異
常シーン原画像の割合が高い場合に、適正な色バランス
補正条件を得ることができる。
【0041】請求項11記載の発明に係る伝送媒体は、
一定の条件で被写体が撮影記録されて成る原画像群の各
原画像を、正常シーンを表す正常シーン原画像又は異常
シーンを表す異常シーン原画像に各々分類する第1のス
テップ、及び、前記原画像群に占める異常シーン原画像
の割合が所定値以上の場合に、撮影記録特性に起因する
各原画像の色バランス偏倚を補正するための色バランス
補正条件を、前記異常シーン原画像の画像特徴量が前記
色バランス補正条件に影響を及ぼさないように設定する
か、又は前記異常シーン原画像の画像特徴量が前記色バ
ランス補正条件に及ぼす影響が、前記異常シーン原画像
の割合が所定値未満の場合よりも小さくなるように設定
する第2のステップを含む処理をコンピュータに実行さ
せるためのプログラムを伝送する。
【0042】請求項11記載の発明に係る伝送媒体は、
上記第1及び第2のステップを含む処理、すなわちコン
ピュータを、請求項1に記載の画像処理装置として機能
させるためのプログラムを伝送するので、コンピュータ
が前記伝送媒体によって伝送されたプログラムを記憶手
段に一時記憶した後に前記記憶手段から読み出して実行
することにより、請求項1記載の発明と同様に、被写体
が撮影記録されて成る原画像群に占める異常シーン原画
像の割合が高い場合に、適正な色バランス補正条件を得
ることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、本発明の実
施形態の一例を詳細に説明する。図1には、本発明が適
用された画像処理システム10が示されている。画像処
理システム10は、フィルムスキャナ12、画像処理装
置14及びプリンタ16が直列に接続されて構成されて
いる。
【0044】フィルムスキャナ12は、写真フィルム2
6(例えばネガフィルムやリバーサルフィルム)等の写
真感光材料(以下単に写真フィルムと称する)に記録さ
れているフィルム画像(被写体を撮影後、現像処理され
ることで可視化されたネガ画像又はポジ画像:本発明の
原画像に相当)を読み取り、該読み取りによって得られ
た画像データを出力するものであり、光源20から射出
され光拡散ボックス22によって光量むらが低減された
光が、フィルムキャリア24にセットされている写真フ
ィルム26に照射され、写真フィルム26を透過した光
がレンズ28を介してラインCCDセンサ30(エリア
CCDセンサでもよい)の受光面上に結像されるように
構成されている。
【0045】フィルムキャリア24は、写真フィルム2
6上のフィルム画像が記録されている箇所が、光源20
からの射出光の光軸上に順に位置するように写真フィル
ム26を搬送する。これにより、写真フィルム26に記
録されているフィルム画像がCCDセンサ30によって
順に読み取られ、CCDセンサ30からはフィルム画像
に対応する信号が出力される。CCDセンサ30から出
力された信号はA/D変換器32によってデジタルの画
像データに変換されて画像処理装置14に入力される。
【0046】画像処理装置14のスキャナ補正部36
は、入力されたスキャンデータ(フィルムスキャナ12
から入力されるR、G、Bのデータ)から各画素毎に対
応するセルの暗出力レベルを減ずる暗補正、暗補正を行
ったデータを濃度値を表すデータに対数変換する濃度変
換、写真フィルム26を照明する光の光量むらに応じて
濃度変換後のデータを補正するシェーディング補正、該
シェーディング補正を行ったデータのうち入射光量に対
応した信号が出力されないセル(所謂欠陥画素)のデー
タを周囲の画素のデータから補間して新たに生成する欠
陥画素補正の各処理を順に行う。スキャナ補正部36の
出力端はI/Oコントローラ38の入力端に接続されて
おり、スキャナ補正部36で前記各処理が施されたデー
タはスキャンデータとしてI/Oコントローラ38に入
力される。
【0047】I/Oコントローラ38の入力端は、イメ
ージプロセッサ40のデータ出力端にも接続されてお
り、イメージプロセッサ40からは画像処理(詳細は後
述)が行われた画像データが入力される。また、I/O
コントローラ38の入力端はパーソナルコンピュータ4
2にも接続されている。パーソナルコンピュータ42は
拡張スロット(図示省略)を備えており、この拡張スロ
ットには、メモリカードやCD−R等の情報記憶媒体に
対してデータの読出し/書込みを行うドライバ(図示省
略)や、他の情報処理機器と通信を行うための通信制御
装置が接続される。拡張スロットを介して外部からファ
イル画像データが入力された場合、入力されたファイル
画像データはI/Oコントローラ38へ入力される。
【0048】I/Oコントローラ38の出力端は、イメ
ージプロセッサ40のデータ入力端、オートセットアッ
プエンジン44、パーソナルコンピュータ42に各々接
続されており、更にI/F回路54を介してプリンタ1
6に接続されている。I/Oコントローラ38は、入力
された画像データを、出力端に接続された前記各機器に
選択的に出力する。
【0049】本実施形態では、写真フィルム26に記録
されている個々のフィルム画像に対し、フィルムスキャ
ナ12において異なる解像度で2回の読み取りを行う。
1回目の比較的低解像度での読み取り(以下、プレスキ
ャンという)では、フィルム画像の濃度が非常に低い場
合(例えばネガフィルムにおける露光アンダのネガ画
像)にも、CCDセンサ30で蓄積電荷の飽和が生じな
いように決定した読取条件(写真フィルム26に照射す
る光のR、G、Bの各波長域毎の光量、CCDセンサ3
0の電荷蓄積時間)で写真フィルム26の全面の読み取
りが行われる。このプレスキャンによって得られたデー
タ(プレスキャンデータ)は、I/Oコントローラ38
からオートセットアップエンジン44へ入力される。
【0050】オートセットアップエンジン44は、CP
U46、RAM48(例えばDRAM)、ROM50
(例えば記憶内容を書換え可能なROM)、入出力ポー
ト52を備え、これらがバスを介して互いに接続されて
構成されている。オートセットアップエンジン44は、
I/Oコントローラ38から入力されたプレスキャンデ
ータに基づいてフィルム画像のコマ位置を判定し、写真
フィルム26上のフィルム画像記録領域に対応するデー
タ(プレスキャン画像データ)を抽出する。また、プレ
スキャン画像データに基づいて、フィルム画像のサイズ
を判定すると共に濃度等の画像特徴量を演算し、プレス
キャンを行った写真フィルム26に対し、フィルムスキ
ャナ12が比較的高解像度での再度の読み取り(以下、
ファインスキャンという)を行う際の読取条件を決定す
る。そしてコマ位置及び読取条件をフィルムスキャナ1
2に出力する。
【0051】また、オートセットアップエンジン44
は、プレスキャン画像データに基づいて、フィルム画像
中の主要部(例えば人物の顔に相当する領域(顔領域))
の抽出を含む画像特徴量の演算を行い、フィルムスキャ
ナ12がファインスキャンを行うことによって得られる
画像データ(ファインスキャン画像データ)に対する各
種の画像処理の処理条件を演算により自動的に決定し
(セットアップ演算)、決定した処理条件をイメージプ
ロセッサ40へ出力する。
【0052】パーソナルコンピュータ42には、ディス
プレイ、キーボード、及びマウスが接続されている(何
れも図示省略)。パーソナルコンピュータ42は、オー
トセットアップエンジン44からプレスキャン画像デー
タを取込むと共に、オートセットアップエンジン44に
よって決定された画像処理の処理条件を取込み、取り込
んだ処理条件に基づき、ファインスキャン画像データを
対象としてイメージプロセッサ40で行われる画像処理
と等価な画像処理をプレスキャン画像データに対して行
ってシミュレーション画像データを生成する。
【0053】そして、生成したシミュレーション画像デ
ータを、ディスプレイに画像を表示するための信号に変
換し、該信号に基づいてディスプレイにシミュレーショ
ン画像を表示する。また、表示されたシミュレーション
画像に対しオペレータによって画質等の検定が行われ、
検定結果として処理条件の修正を指示する情報がキーボ
ードを介して入力されると、該情報をオートセットアッ
プエンジン44へ出力する。これにより、オートセット
アップエンジン44では画像処理の処理条件の再演算等
の処理が行われる。
【0054】一方、フィルムスキャナ12でフィルム画
像に対してファインスキャンが行われることによってI
/Oコントローラ38に入力された画像データ(ファイ
ンスキャン画像データ)は、I/Oコントローラ38か
らイメージプロセッサ40へ入力される。イメージプロ
セッサ40は、階調変換や色変換を含む濃度・色補正処
理、画素密度変換処理、画像の超低周波輝度成分の階調
を圧縮するハイパートーン処理、粒状を抑制しながらシ
ャープネスを強調するハイパーシャープネス処理等の各
種の画像処理を行う画像処理回路を各々備えており、入
力された画像データに対し、オートセットアップエンジ
ン44によって各画像毎に決定されて通知された処理条
件に従って種々の画像処理を行う。
【0055】イメージプロセッサ40で実行可能な画像
処理としては、上記以外に、例えば画像全体又は一部分
(例えば人物の顔に相当する領域)に対するシャープネ
ス補正又はソフトフォーカス処理や、画調を意図的に変
更する画像処理(出力画像をモノトーンに仕上げる画像
処理、出力画像をポートレート調に仕上げる画像処理、
出力画像をセピア調に仕上げる画像処理等)や、画像を
加工する画像処理(例えば原画像中に存在する人物を主
画像上で細身に仕上げるための画像処理、赤目を修正す
る画像処理等)や、LF(レンズ付きフィルム)によっ
て撮影された画像に対し、LFのレンズの歪曲収差、倍
率色収差に起因する画像の幾何学的歪み、色ずれ、LF
のレンズの周辺減光に起因する画像の周縁部の明度低
下、LFのレンズの特性に起因する画像の鮮鋭度の低下
等のように、LFのレンズの特性に起因する出力画像の
画質の低下を補正する各種のLF収差補正処理等が挙げ
られる。
【0056】イメージプロセッサ40で画像処理が行わ
れた画像データを印画紙への画像の記録に用いる場合に
は、イメージプロセッサ40で画像処理が行われた画像
データは、I/Oコントローラ38からI/F回路54
を介し記録用画像データとしてプリンタ16へ出力され
る。また、画像処理後の画像データを画像ファイルとし
て外部へ出力する場合は、I/Oコントローラ38から
パーソナルコンピュータ42に画像データが出力され
る。これにより、パーソナルコンピュータ42では、外
部への出力用としてI/Oコントローラ38から入力さ
れた画像データを、拡張スロットを介して画像ファイル
として外部(前記ドライバや通信制御装置等)に出力す
る。
【0057】プリンタ16は、画像メモリ58、R,
G,Bのレーザ光源60、該レーザ光源60の作動を制
御するレーザドライバ62を備えている。画像処理装置
14から入力された記録用画像データは画像メモリ58
に一旦記憶された後に読み出され、レーザ光源60から
射出されるR,G,Bのレーザ光の変調に用いられる。
レーザ光源60から射出されたレーザ光は、ポリゴンミ
ラー64、fθレンズ66を介して印画紙68上を走査
され、印画紙68に画像が露光記録される。画像が露光
記録された印画紙68は、プロセッサ部18へ送られて
発色現像、漂白定着、水洗、乾燥の各処理が施される。
これにより、印画紙68に露光記録された画像が可視化
される。
【0058】次に本実施形態の作用を説明する。本実施
形態に係る濃度・色補正条件演算処理は、請求項9に記
載の画像処理方法が適用された処理であり、オートセッ
トアップエンジン44のCPU46により、濃度・色補
正条件演算プログラムが実行されることにより実現され
る。濃度・色補正条件演算プログラムは、その他の処理
をCPU46で実行させるためのプログラムと共に、当
初は、情報記憶媒体72(図1参照)に記憶されてい
る。なお、図1では情報記憶媒体72をフロッピー(登
録商標)ディスクとして示しているが、CD−ROMや
メモリカード等の他の情報記憶媒体で構成してもよい。
【0059】パーソナルコンピュータ42に接続された
情報読出装置(図示省略)に情報記憶媒体72が装填さ
れ、情報記憶媒体72から画像処理装置14へのプログ
ラムの移入(インストール)が指示されると、情報読出
装置によって情報記憶媒体72から濃度・色補正条件演
算プログラム等が読み出され、記憶内容を書換え可能な
ROM50に記憶される。
【0060】そして、濃度・色補正条件演算処理を実行
すべきタイミング(スキャナ12から画像処理装置14
にプレスキャンデータが入力され、オートセットアップ
エンジン44において、プレスキャンデータからの画像
データの切り出し等の処理を完了したタイミング)が到
来すると、ROM50から濃度・色補正条件演算プログ
ラムが読み出され、濃度・色補正条件演算プログラムが
CPU46によって実行される。これにより、オートセ
ットアップエンジン44は請求項1の発明に係る画像処
理装置として機能する。このように、濃度・色補正条件
演算プログラム等を記憶している情報記憶媒体72は請
求項10に記載の記録媒体に対応している。
【0061】濃度・色補正条件演算処理は、イメージプ
ロセッサ40で実行される濃度・色補正処理における色
・濃度補正条件(最終色バランス補正量)を、単一の写
真フィルム26に記録された各フィルム画像について各
々演算する処理であり、以下、その詳細について図2の
フローチャートを参照して説明する。なお、以下では一
例として、写真フィルム26としてのネガフィルムに記
録されたネガ画像に対して色・濃度補正条件(最終色バ
ランス補正量)を演算する場合を説明する。
【0062】ステップ100では、写真フィルム26に
記録されている各フィルム画像の画像データを用いて、
第1の色バランス補正値を各フィルム画像について各々
演算する第1の色バランス補正値設定処理を行う。以
下、第1の色バランス補正値設定処理処理について、図
3のフローチャートを参照して説明する。
【0063】ステップ160では、処理対象のフィルム
画像の画像データを取り込む。なお、この画像データは
フィルム画像の全ての画素の各色成分(例えばR,G,
B)毎の濃度値を表すデータである。次のステップ16
2では、取り込んだ画像データが表すフィルム画像の各
画素の濃度値に基づいて、各色成分毎に最大濃度djmax
及び最小濃度djmin (jは各色成分の何れかを表す)
を演算する。
【0064】ステップ164では、画像データから各色
成分毎に求めた最大濃度djmax 及び最小濃度djmin に
基づいて、各成分毎の最大濃度(drmax ,dgmax ,d
bmax )を仮のハイライト点の濃度、各成分毎の最小濃
度(drmin ,dgmin ,dbmin )を仮のシャドー点の
濃度とし、フィルム画像の各画素の濃度値を各色成分毎
に規格化する。この規格化は次式を用いて行うことがで
きる。 dj'=100×(dj −djmin)/(djmax −djmi
n) 但し、djは演算対象画素の色成分jの濃度値、dj'は
色成分jの規格化濃度値である。
【0065】次のステップ166では、規格化後の画像
データを用いて各画素の彩度を演算し、フィルム画像中
の高彩度の画素を抽出する。例として図8(A)に示す
ように、R濃度dr、G濃度dg、B濃度dbを座標軸
とする3次元濃度座標(RGB濃度座標)によって規定
されるRGB濃度空間に対し、原点(0,0,0)及び
RGB濃度空間内の点(1,1,1)を各々通る直線Q
に垂直で、かつ原点(0,0,0)を含む平面ψ(R+
G+B=0の平面)を設定し、各画素の各色成分毎の規
格化濃度値(dr',dg',db')に対応するRGB濃度
座標上での各画素の濃度点を平面ψ上に写像する。
【0066】そして平面ψ上に、図8(B)に示すxy
直交座標を設定する。或る画素の規格化濃度値に対応す
る濃度点の平面ψ上への写像位置が点Pであるとする
と、前記画素の色相はxy座標の原点及び点Pを通る直
線とx軸の成す角θ(色相角θという)に対応し、前記
画素の彩度はxy座標の原点と点Pとの距離に対応して
いる。なお参考までに、画素の明度は各色成分毎の規格
化濃度に基づき「明度=(dr'+dg'+db')/3」等
の演算式によって求めることができる。
【0067】従って、各画素毎に、規格化濃度値に対応
する濃度点の平面ψ上への写像位置(点Pの位置)を求
め、図8(C)にも示すように、xy座標の原点と点P
との距離を彩度の閾値Lthと比較することで高彩度画素
か否かを判定することができ、原点と点Pとの距離が彩
度の閾値Lthよりも大きい画素を高彩度画素として抽出
することができる。
【0068】次のステップ168では、ステップ166
で抽出した特定の高彩度画素の色相を、フィルム画像上
で前記特定の高彩度画素の近傍に存在する8個の画素
(所謂8近傍の画素)の色相と各々比較し、特定の高彩
度画素の近傍に存在している8画素の中に特定の高彩度
画素と色相が近似している画素が有れば、該画素を高彩
度画素と判定することを、ステップ166で抽出した全
ての高彩度画素について各々行う。
【0069】ステップ170では、ステップ168の処
理によって高彩度画素と判定した画素の数が増加したか
否か判定する。ステップ170の判定が肯定された場合
にはステップ168へ戻り、新たに高彩度画素と判定し
た画素を対象として、近傍に存在している画素(既に高
彩度画素と判定されている画素を除く)との色相を比較
し、近傍に存在している各画素のうち色相が近似してい
る画素を高彩度画素と判定する。このステップ168は
ステップ170の判定が否定される迄繰り返される。ス
テップ170の判定が否定されるとステップ172へ移
行し、高彩度画素と判定された画素を除外し、高彩度画
素と判定されなかった画素のみをグレー候補画素と認定
する。そして、グレー候補画素と認定した画素を記憶す
る。
【0070】例えばフィルム画像が高彩度の画素を多数
含んだ画像(例えばカラーフェリアの生じ易い画像)で
あった場合、RGB濃度座標上でフィルム画像の各画素
に対応する位置に点をプロットしたときの点の分布(以
下、単に「RGB濃度座標上での画素の分布」という)
は、例として図9(A)及び(B)に示すように、グレ
ーバランスを表すと推定される画素の集合(図9(A)
及び(B)における「グレー候補画素の集合」)の周囲
の若干離れた位置に、高彩度の画素の集合が現れる分布
となる。
【0071】しかし、上記処理を行うことで、フィルム
画像中にカラーフェリアの原因となる可能性の高い領
域、すなわち高彩度の画素を含む特定の色相の領域が含
まれていた場合にも、該領域の殆どの画素(図9(A)
及び(B)に示した「高彩度の画素の集合」に対応する
画素)を高彩度画素として除外することができ、グレー
候補画素と認定した画素の中に、被写体のグレーの部分
に対応する画素(グレーバランスを表す画素)が高い割
合で含まれることになる。
【0072】次のステップ174では、元の画像データ
から、各色成分毎にグレー候補画素中のハイライト点濃
度dhj(最大濃度)及びシャドー点濃度dsj(最小濃
度)を各々抽出する。なお、各色成分毎にダイナミック
レンジIR=(dhr−dsr)、IG=(dhg−ds
g)、IB=(dhb−dsb)を求め、各色成分毎のダ
イナミックレンジの差(IR−IG)、(IG−I
B)、(IB−IR)を演算し、ダイナミックレンジの
差が所定の許容値を越えた場合にはダイナミックレンジ
IR,IG,IBが互いに等しくなるようにハイライト
点濃度(dhr,dhg,dhb)の何れかを修正するよ
うにしてもよい。
【0073】ステップ176では、グレー候補画素から
各色成分毎に求めたハイライト点濃度dhj及びシャド
ー点濃度dsj に基づいて、各成分毎のハイライト点濃
度(dhr,dhg,dhb)をハイライト点の濃度、各
成分毎のシャドー点濃度(dsr,dsg,dsb)をシ
ャドー点の濃度とし、RGB濃度座標上でハイライト点
に対応する濃度点とシャドー点に対応する濃度点とを結
ぶ軸を設定する(図9(C)参照)。
【0074】写真フィルムは、鮮やかな発色を実現する
ために、露光量が同一であってもグレー露光より多色露
光の方が硬調に仕上がるように感光層が設計されている
ことが一般的であり(所謂重層効果)、フィルム画像中
の被写体のグレーの部分に対応する画像領域よりも、被
写体の非グレー色の部分(例えば赤等)に対応する画像
領域の方が最大濃度が高くなる可能性がある。
【0075】上記に基づき本実施形態では、ステップ1
62で求めた最大濃度djmax 及び最小濃度djmin に基
づいて画像データを規格化し(ステップ164)、高彩
度画素を除去(ステップ166〜ステップ172)した
後に、元の画像データからハイライト点濃度及びシャド
ー点濃度を求め(ステップ174)、ハイライト点濃度
及びシャドー点濃度に基づいてハイライト−シャドー軸
を設定している(ステップ176)。上記のように最大
濃度djmax 及び最小濃度djmin を用いてハイライト−
シャドー軸を設定することなく、ハイライト点濃度及び
シャドー点濃度を求めてハイライト−シャドー軸を設定
することで、ハイライトフェリアの発生を抑制すること
ができる。
【0076】ステップ180では、同一の写真フィルム
26に記録された全てのフィルム画像に対して上記処理
を行ったか否か判定する。判定が否定された場合にはス
テップ160に戻り、ステップ160〜ステップ178
の処理を繰り返す。これにより、同一の写真フィルム2
6に記録されている全てのフィルム画像からグレー候補
画素が各々抽出され、抽出された全てのグレー候補画素
に対して各々重みが設定されることになる。
【0077】ステップ180の判定が肯定されるとステ
ップ182へ移行し、ステップ182以降で、同一の写
真フィルム26に記録された複数のフィルム画像から各
々抽出したグレー候補画素から成るグレー候補画素群
(図10(A)参照)に基づいて、処理対象のフィルム
画像(同一の写真フィルム26に記録された複数のフィ
ルム画像のうちの1つ)のグレーバランスを表すグレー
軸を線形近似によって求める。
【0078】すなわち、ステップ182では処理対象の
フィルム画像の濃度域(ステップ162で演算した最大
濃度djmax 及び最小濃度djmin )を取り込む。次のス
テップ184では、グレー候補画素群を構成する各グレ
ー候補画素のうち、先のステップ182で取り込んだ処
理対象のフィルム画像の濃度域(最大濃度djmax から
最小濃度djmin に至る濃度範囲)に対応するグレー候
補画素のデータを抽出する。
【0079】写真フィルムに記録される複数のフィルム
画像の各々の濃度域は不定であるので、複数のフィルム
画像から各々抽出したグレー候補画素から成るグレー候
補画素群のRGB濃度座標上での分布は、写真フィルム
26の発色濃度域(一般に濃度値で3.0に近い広さ)
に対応する広がりをもっている。一方、写真フィルムに
記録される個々のフィルム画像の濃度域は濃度値で1.
0程度である。従ってステップ184により、図10
(B)に「グレー軸推定対象の画像の濃度域」として一
例を示すように、グレー候補画素群の全濃度域のうちの
一部の濃度域内のグレー候補画素のデータのみが抽出さ
れる。
【0080】次のステップ186では、ステップ184
でデータを抽出したグレー候補画素の重みを表すデータ
を取り込み、ステップ188では、写真フィルムに記録
されたフィルム画像の数と対応されて予め設定されたグ
レー軸の傾きの許容範囲のうち、処理対象の写真フィル
ム26に記録されたフィルム画像の数に対応するグレー
軸の傾きの許容範囲を取り込む。なお、このグレー軸の
傾きの許容範囲は、フィルム画像の数が少なくなるに伴
って許容範囲が小さくなるように設定されている。
【0081】そしてステップ190では、ステップ18
4で抽出したグレー候補画素のデータ及びステップ18
6で抽出した各グレー候補画素の重みに基づいて、抽出
したグレー候補画素のRGB濃度座標上における分布
を、各グレー候補画素に付された重みも考慮して線形近
似し、傾きが、ステップ188で取り込んだ許容範囲内
となるように処理対象のフィルム画像のグレー軸を推定
演算する。
【0082】なお、線形近似は、例えば線形重回帰分析
等に利用される最小2乗法等の手法を適用し、予測誤差
の平方和が最小となるように行うことができる。この場
合、グレー軸の傾きを許容範囲内とすることは、例えば
最小2乗法等による演算に際し、グレー軸を規定する変
数のうちのグレー軸の傾きを規定する変数の値を、前記
許容範囲に対応する数値範囲内の値に制限する条件式を
連立方程式に加える等によって実現できる。
【0083】また、各グレー候補画素の重みを反映した
線形近似は、例えば重みの大きい画素についてはRGB
濃度空間内の略同一の位置に存在するグレー候補画素の
数がデータ上で増加するようにグレー候補画素のデータ
を変換し(例えば1画素のデータを100画素のデータ
に変換する等)、重みが小さい画素についてはRGB濃
度空間内の略同一の位置に存在するグレー候補画素の数
がデータ上で減少するようにグレー候補画素のデータを
変換し(たとえば100画素のデータを1画素のデータ
に変換する等)、変換後のグレー候補画素のデータを用
いて線形近似を行うことで実現できる。
【0084】また、線形近似は3次元空間(RGB濃度
空間)上で行ってもよいし、複数の2次元空間(例えば
R−G,G−B,B−Rの各濃度空間)上で行ってもよ
い。例えばRGB濃度空間上での線形近似によるグレー
軸の推定は、処理対象のフィルム画像の濃度域として特
定の色成分についてのフィルム画像の濃度域、或いはR
GB平均濃度についてのフィルム画像の濃度域を用い、
該濃度域内に存在するグレー候補画素のRGB濃度空間
上での分布を線形近似することで行うことができる。
【0085】また、R−G,G−B,B−Rの各濃度空
間上での線形近似によるグレー軸の推定は、例えばR−
G濃度空間についてはフィルム画像のRの濃度域内に存
在するグレー候補画素の分布を線形近似し、G−B濃度
空間についてはフィルム画像のGの濃度域内に存在する
グレー候補画素の分布を線形近似し、B−R濃度空間に
ついてはフィルム画像のBの濃度域内に存在するグレー
候補画素の分布を線形近似し、各空間上での線形近似に
よって得られた3本の軸の重心に相当する軸をグレー軸
として演算することができる。
【0086】そしてステップ192では、処理対象のフ
ィルム画像のグレー軸を推定演算した結果に基づいて、
処理対象のフィルム画像に対して第1の色バランス補正
値D1j(請求項3及び請求項4に記載の第1の特性値、
請求項5に記載の第1の色バランス補正条件に相当)を
設定する。第1の色バランス補正値D1jは、一例として
以下のように設定することができる。
【0087】すなわち、推定演算したグレー軸が表すグ
レーバランスのうちのG濃度dgとR濃度drとの関係
(グレー軸をG濃度及びR濃度を座標軸とする2次元濃
度座標に投影した結果に相当)がdg=αrg・dr+β
rgで表され、G濃度dgとB濃度dbとの関係(グレー
軸をG濃度及びB濃度を座標軸とする2次元濃度座標に
投影した結果に相当)がdg=αbg・db+βbgで表さ
れるとすると、例えばG濃度dgを無変換とし、R濃度
drをdr=αrg・dr+βrgなる変換式に従って変換
し、B濃度dbをdb=αbg・db+βbgなる変換式に
従って変換する変換条件を定める。
【0088】次に、ステップ184で抽出したグレー候
補画素の各色成分毎の平均濃度を求め、求めた各色成分
毎の平均濃度を上記の変換条件に従って変換したときの
変換前の濃度と変換後の濃度との差を、各色成分毎に第
1の色バランス補正値D1jとして設定する。これによ
り、写真フィルム26に記録されている各フィルム画像
の画像データから、撮影記録時の被写体のグレーの部分
がグレーとして再現されるように、処理対象のフィルム
画像の濃度を各色成分毎にシフトするための第1の色バ
ランス補正値D1jが得られる。
【0089】ところで、本実施形態では、同一の写真フ
ィルム26に記録された複数のフィルム画像からグレー
候補画素を各々抽出しているので、前記複数のフィルム
画像の中に、カラーフェリアの生じ易い画像(以下、
「カラーフェリア画像」と称する)や異種光源シーンを
表す画像(以下、「異種光源シーン画像」と称する)等
のように、グレー候補画素として適正な画素(グレーバ
ランスを表す画素)が抽出されないことが多い画像が若
干含まれていたとしても、グレー候補画素群全体では複
数のフィルム画像の画像内容のばらつきが平均化され
る。
【0090】しかしながら、同一の写真フィルム26に
記録された複数のフィルム画像の大多数が、カラーフェ
リア画像や異種光源シーン画像であった場合は、大多数
の画像からグレー候補画素として適正な画素が抽出され
ないことにより、第1の色バランス補正値D1jによるグ
レーバランスの補正精度が大幅に低下する。このため、
本実施形態では、写真フィルム26に記録されたフィル
ム画像に対する標準的な色バランス補正値(標準色バラ
ンス補正値)を、写真フィルム26の露光量−発色濃度
特性から演算によって各濃度域毎に求めることを、写真
フィルムの各フィルム種について各々行い、各フィルム
種毎及び各濃度域毎に求めた標準色バランス補正値をR
OM50等に予め記憶している。
【0091】そしてステップ194では、ステップ19
2で設定した第1の色バランス補正値D1jに対応する標
準色バランス補正値(処理対象の写真フィルム26と同
一フィルム種で処理対象のフィルム画像の濃度域に対応
する補正値)をROM50から取り込み、ステップ19
2で設定した第1の色バランス補正値D1jと、ROM5
0から取り込んだ標準色バランス補正値との差が所定値
未満か否かを判定することにより、設定した第1の色バ
ランス補正値D1jが適正範囲内か否か判定する。
【0092】ステップ194の判定が否定された場合に
は、例えば写真フィルム26に記録されたフィルム画像
の大多数が、カラーフェリア画像や異種光源シーン画像
であった等の理由により、第1の色バランス補正値D1j
が適正範囲外である(補正精度が低い)と判断できる。
このため、前記判定が否定された場合にはステップ19
6へ移行し、第1の色バランス補正値D1jを、先に取り
込んだ標準色バランス補正値に書き替えた後にステップ
198へ移行する。このように、ステップ194,19
6は請求項4に記載の分類手段に対応しており、上記の
標準色バランス補正値は請求項4に記載の標準特性値に
対応している。
【0093】また、前記判定が肯定された場合には、第
1の色バランス補正値D1jが適正範囲内(補正精度が高
い)と判断できるので、何ら処理を行うことなくステッ
プ198へ移行する。
【0094】ステップ198では、同一の写真フィルム
26に記録された全てのフィルム画像に対して上記処理
(グレー軸の推定演算及び第1の色バランス補正値D1j
の設定)を行ったか否か判定する。判定が否定された場
合にはステップ182に戻り、全てのフィルム画像に対
してステップ182〜ステップ198を繰り返す。これ
により、同一の写真フィルム26に記録された全てのフ
ィルム画像に対し、個々のフィルム画像を単位として、
グレーバランスを表すグレー軸が各々推定演算され、第
1の色バランス補正値D1jが各々設定されることにな
る。ステップ198の判定が肯定されると第1の色バラ
ンス補正値設定処理を終了し、濃度・色補正条件演算処
理(図2)のステップ102へ移行する。
【0095】ステップ102では、写真フィルム26に
記録された各フィルム画像を、類似シーンを表すフィル
ム画像毎にグループ分けする、類似コマのグループ分け
処理を行う。この処理は本発明の分類手段(詳しくは請
求項2に記載の分類手段)に対応しており、以下、図4
のフローチャートを参照して説明する。
【0096】ステップ210では、写真フィルム26へ
の記録順に各フィルム画像に付与されたコマ番号を保持
するための変数n、及びフィルム画像のグループ分けに
おける個々のグループを識別するための変数grpに各々
1を代入する。ステップ212ではn番目のフィルム画
像(n=1であるので、写真フィルム26に最初に記録
されたフィルム画像)の各色成分毎の平均濃度を演算
し、次のステップ214ではn番目のフィルム画像をグ
ループgrpにグループ分けする。
【0097】ステップ216では変数nの値を1だけイ
ンクリメントし、次のステップ218ではn番目のフィ
ルム画像の各色成分毎の平均濃度を演算し、n−1番目
のフィルム画像(このときはステップ214でグループ
分けしたフィルム画像)の各色成分毎の平均濃度と比較
し、ステップ220では、各色成分毎の平均濃度の比較
結果に基づいて、n番目のフィルム画像とn−1番目の
フィルム画像が類似シーンを表すフィルム画像か否か判
定する。
【0098】n番目のフィルム画像はn−1番目のフィ
ルム画像に続いて写真フィルム26に記録されたフィル
ム画像である(写真フィルム26に記録された順番が連
続している)ので、平均濃度の差が各色成分について各
々所定値以下であれば、n番目のフィルム画像とn−1
番目のフィルム画像は類似のシーンを表すフィルム画像
であると判断できる。上記のような場合にはステップ2
20の判定が肯定されてステップ222へ移行し、n番
目のフィルム画像をグループgrp(n−1番目のフィル
ム画像と同一のグループ)にグループ分けした後にステ
ップ228へ移行する。
【0099】一方、各色成分の少なくとも何れかについ
て平均濃度の差が所定値以上であった場合には、n番目
のフィルム画像とn−1番目のフィルム画像は類似のシ
ーンを表すフィルム画像ではないと判断できるので、ス
テップ220の判定が否定され、ステップ224で変数
grpを1だけインクリメントした後に、次のステップ2
26において、n番目のフィルム画像をグループgrp
(n−1番目のフィルム画像と異なるグループ)にグル
ープ分けし、ステップ228へ移行する。
【0100】ステップ228では変数nの値が写真フィ
ルム26に記録されたフィルム画像の総数Nに等しくな
ったか否か判定する。判定が否定された場合にはステッ
プ216に戻り、ステップ228の判定が肯定される迄
ステップ216〜ステップ228を繰り返す。これによ
り、写真フィルム26に記録されたNコマのフィルム画
像は、類似のシーンを表すフィルム画像を単位として、
総数grpmaxの各グループの何れかにグループ分けされ、
例えば昼光等の一般的な光源によって照明されたシーン
を表す正常シーン画像、カラーフェリア画像、及び異種
光源シーン画像は、互いに異なるグループにグループ分
けされることになる。ステップ228の判定が肯定され
ると類似コマのグループ分け処理を終了し、濃度・色補
正条件演算処理(図2)のステップ104へ移行する。
【0101】ステップ104では変数grpに1を代入す
ると共に、異常シーン画像の数を計数するための変数x
に0を代入する。次のステップ106では、グループgr
pに属する各フィルム画像の画像データを用いて、グル
ープgrpに対して第2の色バランス補正値を演算する第
2の色バランス補正値設定処理を行う。この処理につい
て図5のフローチャートを参照して説明する。
【0102】ステップ240では、先に行われた第1の
色バランス補正値設定処理において、グループgrpに属
する単一のフィルム画像から抽出されたグレー候補画
素、及び各グレー候補画素に対して設定された重みを取
り込む。ステップ242では、グループgrpに属する全
てのフィルム画像に対してステップ240の処理を行っ
たか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ
240に戻り、ステップ242の判定が肯定される迄、
ステップ240,242を繰り返す。
【0103】グループgrpに属する全てのフィルム画像
についてグレー候補画素及び重みの取り込みを完了する
と、ステップ242の判定が肯定されてステップ244
へ移行し、グループgrpに属するフィルム画像の数に対
応するグレー軸の傾きの許容範囲を取り込む。グループ
grpに属する各フィルム画像は類似のシーンを表すフィ
ルム画像であるので、それぞれの濃度域も近似してい
る。このためステップ246では、ステップ240でデ
ータを取り込んだグレー候補画素のRGB濃度座標上に
おける分布を、各グレー候補画素に付された重みも考慮
して線形近似し、グレー軸の傾きがステップ244で取
り込んだ許容範囲内となるように、グレー軸を推定演算
する。
【0104】そしてステップ248では、推定演算した
グレー軸に基づいて、グループgrpに対して第2の色バ
ランス補正値D2jを設定する。この第2の色バランス補
正値D2jについても、例えば推定演算したグレー軸が表
すグレーバランスのうちG濃度dgとR濃度drとの関
係がdg=αrg・dr+βrg、G濃度dgとB濃度db
との関係がdg=αbg・db+βbgで表されるとする
と、例えばG濃度dgを無変換とし、R濃度drを変換
式dr=αrg・dr+βrgに従って変換し、B濃度db
を変換式db=αbg・db+βbgに従って変換する変換
条件を定め、ステップ240でデータを取り込んだグレ
ー候補画素の各色成分毎の平均濃度を求め、求めた各色
成分毎の平均濃度を上記の変換条件に従って変換したと
きの変換前の濃度と変換後の濃度との差を各色成分毎に
第2の色バランス補正値D2jとすることで設定すること
ができる。
【0105】これにより、グループgrpに属する各フィ
ルム画像(類似のシーンを表す各フィルム画像)の画像
データから、撮影記録時の被写体のグレーの部分がグレ
ーとして再現されるように前記各フィルム画像の濃度を
各色成分毎にシフトするための第2の色バランス補正値
D2jが得られる。第2の色バランス補正値D2jの設定を
完了すると、第2の色バランス補正値設定処理を終了
し、濃度・色補正条件演算処理(図2)のステップ10
8へ移行する。
【0106】ステップ108では、グループgrpに属す
る各フィルム画像の濃度域に対応する第1の色バランス
補正値D1j(グループgrpに属する何れかのフィルム画
像に対して設定された第1の色バランス設定値D1jであ
ってもよい)を取り込む。そしてステップ110では、
グループgrpに対して設定された第2の色バランス設定
値D2jと、ステップ108で取り込んだ第1の色バラン
ス補正値D1jと、の偏差の絶対値(|D2j−D1j|)が所
定値以下か否かを判定することにより、グループgrpに
属する各フィルム画像が正常シーンを表す画像(正常シ
ーン画像)か否か判定する。なお、このステップ110
も本発明の分類手段(詳しくは請求項2、請求項3に記
載の分類手段)に対応している。
【0107】第1の色バランス補正値D1jは、写真フィ
ルム26に記録されている全てのフィルム画像の画像デ
ータから設定した色バランス補正値であり、該補正値が
適正範囲から外れていた場合には標準色バランス補正値
に書き替えられているので、写真フィルム26のフィル
ム特性(撮影記録特性)に起因する色バランスの偏倚を
或る程度の精度で補正することができる。これに対し、
第2の色バランス補正値D2jは、類似のシーンを表す各
フィルム画像の画像データから設定した色バランス補正
値であるので、各フィルム画像が、例えばカラーフェリ
ア画像、或いは異種光源シーン画像等の異常シーン画像
であった場合には、第1の色バランス補正値D1jとの偏
差が所定値よりも大きくなる。
【0108】このため、ステップ110の判定が肯定さ
れた場合には、グループgrpに属する各フィルム画像は
正常シーン画像であると判断できるので、何ら処理を行
うことなくステップ114へ移行するが、ステップ11
0の判定が否定された場合には、グループgrpに属する
各フィルム画像は何れも異常シーンを表す画像(異常シ
ーン画像)であると判断し、ステップ118でグループ
grpに属するフィルム画像数を変数xに加算した後にス
テップ114へ移行する。
【0109】ステップ114では、変数grpがグループ
の総数grpmaxに等しいか否かを判定することにより、全
てのグループに対してステップ106以降の処理を行っ
たか否か判定する。ステップ114の判定が否定された
場合には、ステップ116で変数grpの値を1だけイン
クリメントした後にステップ106に戻り、ステップ1
14の判定が肯定される迄、ステップ106〜ステップ
116を繰り返す。これにより、全てのグループに対
し、第2の色バランス補正値D2jの設定、グループに属
する各フィルム画像が異常シーン画像か否かの判定等が
行われることになる。
【0110】なお、上記の処理によって各グループに対
して設定された第2の色バランス補正値D2jは請求項3
及び請求項4に記載の第2の特性値に対応しており、各
グループに対して設定された第2の色バランス補正値D
2jのうち、正常シーン画像から成るグループに対して設
定された第2の色バランス補正値D2jは、請求項6及び
請求項7に記載の第2の色バランス補正条件に対応して
いる。
【0111】ステップ114の判定が肯定されるとステ
ップ118へ移行し、変数x(異常シーン画像の数)を
フィルム画像の総数Nで除することにより、写真フィル
ム26に記録されたフィルム画像に占める異常シーン画
像の割合F1を演算する。次のステップ120以降では、
写真フィルム26に記録された各フィルム画像に対し、
色バランス最終補正値Djを各々設定する。
【0112】すなわち、ステップ120では変数nに1
を代入し、次のステップ122ではn番目のフィルム画
像(処理対象のフィルム画像)が異種光源シーン画像か
否かを判定する異種光源シーン判定処理を行う。この処
理について図6のフローチャートを参照して説明する。
【0113】すなわち、ステップ260では処理対象の
フィルム画像の画像データを取り込むと共に、処理対象
のフィルム画像に対して設定された第1の色バランス補
正値Dj1を取り込み、取り込んだグレーバランス補正条
件に従って、処理対象のフィルム画像の画像データを第
1の色バランス補正値Dj1によって補正することで画像
データの規格化を行う。この規格化により、フィルム特
性に起因する色バランスの偏倚が補正された画像データ
が得られる。
【0114】ステップ262では処理対象のフィルム画
像から抽出されたグレー候補画素のデータを取り込み、
次のステップ264では、取り込んだグレー候補画素の
データを対象として、処理対象のフィルム画像中のハイ
ライト部に対応すると推定される画素(ハイライト画
素)を複数抽出する。このハイライト画素の抽出は、例
えば各画素について各色成分毎の濃度の平均値(3色平
均濃度)を各々演算して3色平均濃度のヒストグラムを
作成し、高濃度側からの累積頻度が所定値に達する迄の
区間に属する画素を抽出することで行うことができる。
また、ハイライト画素として抽出する画素を、フィルム
画像上で互いに近接した位置に存在している画素に制限
してもよい。
【0115】なお、異種光源シーン画像については、フ
ィルム画像中のハイライト部の色が、撮影光源の光源種
に対応する特定の色相かつ高彩度の色となるが、グレー
候補画素は、該フィルム画像の最大濃度Djmax 及び最
小濃度Djmin を基準として規格化を行って抽出してい
るので、異種光源シーン画像であっても、ステップ26
2で取り込んだグレー候補画素のデータの中に、実際の
ハイライトに相当する画素のデータが含まれている。
【0116】ステップ266では、ステップ260にお
ける規格化後の画像データから、ステップ264で抽出
した複数のハイライト画素のデータを各々抽出する。そ
してステップ268では、規格化後の画像データから抽
出した複数のハイライト画素のデータに基づき、撮影光
源の色を表す光源色データとして、複数のハイライト画
素の各色成分毎の平均濃度を演算する。光源色データは
規格化後の画像データから求めているので、フィルム特
性に起因する色バランスの偏倚は補正されており、光源
色データが表す色は、撮影光源の光源色(撮影光源によ
る照明光の色味)を精度良く表している。
【0117】ステップ270では、ステップ268で演
算した光源色データに基づいて、処理対象のフィルム画
像のハイライト部の色相及び彩度を表すハイライト色ベ
クトルHLを求める。このハイライト色ベクトルHL
は、例えば先に説明した第1の色バランス補正値設定処
理(図3)のステップ166と同様に、光源色データが
表すハイライト部の各色成分毎の平均濃度に対応するR
GB濃度座標上での濃度点を平面ψ上に写像し、例とし
て図11に示すように、平面ψ上に設定したxy直交座
標の原点(RGB濃度座標の原点と同一の位置に位置し
ている)から前記濃度点の平面ψ上への写像位置PHLへ
向かうベクトルをハイライト色ベクトルHLとすること
で求めることができる。ハイライト色ベクトルHLは、
x軸の成す角度(色相角)がハイライト部の平均的な色
相を表し、ベクトルの大きさ(長さ)Hがハイライト部
の平均的な彩度を表している。
【0118】次のステップ272では、ステップ270
で求めたハイライト色ベクトルHLに基づいて、処理対
象のフィルム画像の撮影光源の光源色が明らかに非グレ
ーか否か判定する。平面ψ上に設定したxy直交座標の
原点は、第1の色バランス補正値設定処理によって求め
られたグレーバランスを表しており、グレー(中性色)
に対する光源色の偏倚度合いはxy直交座標の原点と写
像位置PHLとの距離に正比例する。従ってステップ27
2の判定は、例えばハイライト色ベクトルの大きさHが
所定値以上か否かを判断することで行うことができる。
【0119】ステップ272の判定が否定された場合に
は、処理対象のフィルム画像は異種光源シーン画像では
ないと判断し、何ら処理を行うことなく異種光源シーン
判定処理を終了する。一方、ステップ272の判定が肯
定された場合には処理対象のフィルム画像が異種光源シ
ーン画像であると判断し、ステップ274で処理対象の
フィルム画像が異種光源シーン画像であることを表す情
報を設定した後に異種光源シーン判定処理を終了する。
異種光源シーン画像判定処理を終了すると、濃度・色補
正条件演算処理(図2)のステップ124へ移行し、写
真フィルム26に記録されたフィルム画像に占める異常
シーン画像の割合F1が所定値よりも大きいか否か判定す
る。
【0120】異常シーン画像の割合F1が小さい場合、処
理対象のフィルム画像が正常シーン画像か異種光源シー
ン画像かカラーフェリア画像かに拘わらず、処理対象の
フィルム画像におけるフィルム特性に起因する色バラン
ス偏倚は、処理対象のフィルム画像に対して設定された
第1の色バランス補正値D1jによって高精度に補正でき
る。このため、ステップ124の判定が否定された場合
にはステップ126へ移行し、処理対象のフィルム画像
に対してフィルム特性に起因する色バランス偏倚を補正
するためのフィルムグレーバランス補正値Dxj(本発明
に係る「撮影記録特性に起因する原画像の色バランス偏
倚を補正するための色バランス補正条件」に相当)に、
処理対象のフィルム画像に対して設定された第1の色バ
ランス補正値D1jを代入した後に、ステップ142へ移
行する。
【0121】一方、異常シーン画像の割合F1が所定値よ
りも大きい場合には、ステップ124の判定が肯定され
てステップ128へ移行し、先のステップ110におけ
る判定の結果に基づいて、処理対象のフィルム画像が異
常シーン画像か否か判定する。
【0122】処理対象のフィルム画像が正常シーン画像
である場合、処理対象のフィルム画像と同一のグループ
に属する各フィルム画像も正常シーン画像であり、異常
シーン画像は含まれていない。このため、処理対象のフ
ィルム画像が属するグループに対して設定された第2の
色バランス補正値D2jは、写真フィルム26に記録され
たフィルム画像に占める異常シーン画像の割合F1が所定
値よりも大きいにも拘わらず異常シーン画像の画像特徴
量の影響を受けておらず、処理対象のフィルム画像(正
常シーン画像)におけるフィルム特性に起因する色バラ
ンス偏倚を精度良く補正可能である。
【0123】このため、前記判定が否定された場合には
ステップ130へ移行し、フィルムグレーバランス補正
値Dxjに、処理対象のフィルム画像が属するグループに
対して設定された第2の色バランス補正値D2jを代入し
た後にステップ142へ移行する。これにより、異常シ
ーン画像の割合F1が所定値よりも大きい場合にも、正常
シーン画像に対し、フィルム特性に起因する色バランス
偏倚を精度良く補正できる適正な色バランス補正値を設
定することができる。このように、ステップ130は、
先に説明したステップ124,126,128と共に、
本発明の設定手段(詳しくは請求項6及び請求項7に記
載の設定手段)に対応している。また、ステップ126
は請求項5に記載の設定手段に対応している。
【0124】なお、処理対象のフィルム画像と同一のグ
ループに属する各フィルム画像の数が少なく、かつ処理
対象のフィルム画像が属するグループと別に正常シーン
画像から成る他のグループが存在している等の場合に
は、該他のグループに対して設定された第2の色バラン
ス補正値D2jとの平均値(単純平均値でも加重平均値で
もよい)を用いてもよい。
【0125】また、処理対象のフィルム画像が異常シー
ン画像である場合には、ステップ128の判定が肯定さ
れてステップ132へ移行し、異種光源シーン判定処理
(ステップ122)の結果に基づき、処理対象のフィル
ム画像が異種光源シーン画像か否か判定する。
【0126】処理対象のフィルム画像が異種光源シーン
画像である場合、該異種光源シーン画像に対してフィル
ム特性に起因する色バランス偏倚のみを補正することを
考えると(撮影光源に起因する色バランス偏倚は光源グ
レーバランス補正値Dyj(後述)によって補正する)、
処理対象のフィルム画像が属するグループに対して設定
された第2の色バランス補正値D2jを用いることは望ま
しくない。一方、異常シーン画像の割合F1が所定値より
も大きい場合、第1の色バランス補正値D1jは標準色バ
ランス補正値に書き替わっており、この標準色バランス
補正値は異常シーン画像の画像特徴量の影響を受けてい
ないため、フィルム特性に起因する処理対象のフィルム
画像の色バランス偏倚を精度良く補正できる。このた
め、前記判定が肯定された場合にはステップ134へ移
行し、フィルムグレーバランス補正値Dxjに第1の色バ
ランス補正値D1jを代入した後にステップ142へ移行
する。
【0127】なお、このステップ134において、第1
の色バランス補正値D1jに代えて、正常シーン画像から
成るグループに対して設定された第2の色バランス補正
値D2j、或いは各々正常シーン画像から成る複数のグル
ープに対して各々設定された第2の色バランス補正値D
2jの平均値を用いるようにしてもよい。上述したステッ
プ132,134も本発明の設定手段(詳しくは請求項
6に記載の設定手段)に対応している。
【0128】一方、処理対象のフィルム画像がカラーフ
ェリア画像である場合には、ステップ132の判定が否
定されてステップ136へ移行し、写真フィルム26に
記録されたフィルム画像の中に正常シーン画像が存在す
るか否か判定する。処理対象のフィルム画像がカラーフ
ェリア画像である場合、処理対象のフィルム画像が属す
るグループに対して設定された第2の色バランス補正値
D2jを用いることは望ましくない。一方、第1の色バラ
ンス補正値D1jは前述のように標準色バランス補正値に
書き替わっており、この標準色バランス補正値は異常シ
ーン画像の画像特徴量の影響を受けていないため、フィ
ルム特性に起因する処理対象のフィルム画像の色バラン
ス偏倚を精度良く補正できる。このため、前記判定が否
定された場合(正常シーン画像が存在しない場合)には
ステップ140へ移行し、フィルムグレーバランス補正
値Dxjに第1の色バランス補正値D1jを代入した後にス
テップ142へ移行する。
【0129】また、前記判定が肯定された場合(正常シ
ーン画像が存在する場合)にはステップ138へ移行
し、フィルムグレーバランス補正値Dxjに、正常シーン
画像から成るグループに対して設定された第2の色バラ
ンス補正値D2j、或いは各々正常シーン画像から成る複
数のグループに対して各々設定された第2の色バランス
補正値D2jの平均値を代入した後にステップ142へ移
行する。上記の第2の色バランス補正値D2j及び第2の
色バランス補正値D2jの平均値も異常シーン画像の画像
特徴量の影響を受けていないため、フィルム特性に起因
する処理対象のフィルム画像の色バランス偏倚を精度良
く補正することができる。なお、上述したステップ13
6,138,140も本発明の設定手段(詳しくは請求
項6に記載の設定手段)に対応している。
【0130】ステップ142では、処理対象のフィルム
画像に対して異種光源補正(撮影光源に起因する色バラ
ンス偏倚の補正)を行うための異種光源補正値(光源グ
レーバランス補正値)を設定する光源グレーバランス補
正値設定処理を行う。この処理は請求項8に記載の設定
手段に対応しており、以下、図7のフローチャートを参
照して説明する。
【0131】ステップ290では、異種光源シーン判定
処理(図6)のステップ260における規格化によって
得られた処理対象のフィルム画像の規格化後の画像デー
タから単一の画素(特定画素)のデータを取り込み、異
種光源シーン判定処理(図6)のステップ270と同様
に色ベクトルCP(図11参照)を演算する。ステップ
292では、ハイライト色ベクトルHLと特定画素の色
ベクトルCPの成す角度(色相角差)を表す物理量とし
て、ハイライト色ベクトルHLと特定画素の色ベクトル
CPの色相角差の余弦(内積)COSを次式に従って演
算し、演算結果を記憶する。 COS=HL・CP/|HL||CP|
【0132】ステップ294では、処理対象のフィルム
画像中の全ての画素に対してステップ290,292の
処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合に
はステップ290に戻り、ステップ294の判定が肯定
される迄ステップ290〜ステップ294を繰り返す。
そしてステップ294の判定が肯定されるとステップ2
96へ移行する。
【0133】色相がハイライト部と大きく相違している
画素の色ベクトルCPは、図11に「ハイライト色ベク
トルとの色相角差:大」の色ベクトルCPとして示すよ
うに、平面ψ(2次元色座標)上でのハイライト色ベク
トルHLとの成す角度が大きくなり、色相角差の余弦C
OSは符号が負になるか、或いは符号が正の場合にも小
さな値となる(色相角差の余弦COS≪1)。
【0134】また色相がハイライト部と近似している画
素の色ベクトルCPは、図11に「ハイライト色ベクト
ルとの色相角差:小」の色ベクトルCPとして示すよう
に、平面ψ上でのハイライト色ベクトルHLとの成す角
度が小さくなり、色相角差の余弦COSは「1」に近い
値となる。
【0135】異種光源シーン画像は、撮影光源の影響を
受け、画像中のハイライト部の色が撮影光源の光源種に
対応する特定の色相かつ高彩度の色になると共に、画像
中の非ハイライト部の色についても、ハイライト部と同
一の特定の色相を帯びた色になる。従って、処理対象の
フィルム画像中の全ての画素についての色相角差の余弦
COSの演算結果に基づき、色相角差の余弦COSの値
が小さい側からの累積ヒストグラムを作成したとする
と、処理対象のフィルム画像が異種光源シーン画像であ
れば、殆どの画素は色相角差の余弦COSが「1」に近
い値となり、色相角差の余弦COSの最小値も比較的高
い値となる。
【0136】一方、カラーフェリア画像は一定の色相の
領域が画像中の広い面積を占めているので、該一定の色
相の領域内に画像中のハイライト部が存在していた場合
には、上記と同様に多数の画素について色相角差の余弦
COSが「1」に近い値となるが、撮影光源が昼光等の
一般的な光源であれば、異種光源シーン画像と比較し
て、色相角差の余弦COSの最小値が明らかに小さな値
となる。またハイライトフェリアの生じ易い画像(以
下、「ハイライトフェリア画像」という)についても、
上記と同様に、異種光源シーン画像と比較して、色相角
差の余弦COSの最小値が明らかに小さな値となる。
【0137】上記に基づきステップ296では、フィル
ム画像中のハイライト部の色と原画像を構成する各要素
の色との相関を表す物理量(色相角相関T)として、全
ての画素について演算した色相角差の余弦COSの最小
値を抽出する。そしてステップ298では、ハイライト
色ベクトルの大きさH及び色相角相関Tに基づいて異種
光源度αを演算する。なお異種光源度αは、例えば図1
2に示すようなハイライト色ベクトルの大きさH及び色
相角相関Tと異種光源度αの関係を示すマップを用いて
演算することができる。
【0138】図12に示したマップは、色相角相関Tが
所定値未満(図12では一例として0.2未満)のとき
にはハイライト色ベクトルHLの大きさHに拘わらず異
種光源度αの値が「0」になり、ハイライト色ベクトル
の大きさHが所定値未満(図12では一例として0.1
5未満)のときにも色相角相関Tの値に拘わらず異種光
源度αの値が「0」になるように定められているので、
処理対象のフィルム画像が昼光等の一般的な光源を用い
て撮影記録された画像であれば、正常シーン画像、カラ
ーフェリア画像、ハイライトフェリア画像の何れについ
ても異種光源度α=0と設定される。
【0139】本実施形態に係る異種光源度αは、処理対
象のフィルム画像の撮影光源に起因する色バランス偏倚
の度合いを表しており、後述するように、異種光源補正
における補正量を異種光源度αの値に応じて設定してい
るので、処理対象のフィルム画像が昼光等の一般的な光
源を用いて撮影記録された画像であれば異種光源補正は
実質的に行なわれず、異種光源補正によって画質の低下
を招くことはない。
【0140】また、図12に示したマップは、色相角相
関Tが所定値(例えば0.2)以上で、かつハイライト
色ベクトルHLの大きさHも所定値(例えば0.15)
以上のときには、色相角相関Tの値が大きくなるに伴っ
て異種光源度αの値が増加し、ハイライト色ベクトルH
Lの大きさHが大きくなるに伴って異種光源度αの値が
増加するように定められている。従って、異種光源シー
ン画像については、撮影光源に起因するフィルム画像の
色バランス偏倚の度合いに応じた補正量で異種光源補正
が行なわれることになる。
【0141】次のステップ300では、ステップ298
で求めた異種光源度αに基づき、いて、ハイライト色ベ
クトルHLが表す色バランス偏倚(撮影光源に起因する
色バランス偏倚)を補正するための光源グレーバランス
補正値Dyjを次式に従って演算・設定し、光源グレーバ
ランス補正値設定処理を終了する。この光源グレーバラ
ンス補正値Dyjは、請求項8に記載の「撮影光源に起因
する原画像の色バランス偏倚を補正するための色バラン
ス補正条件」に対応している。Dyj=αHL
【0142】なお、異種光源シーン画像に対する光源グ
レーバランス補正値Dyjについては、撮影光源の光源種
が同一の異種光源シーン画像から成るグループに対して
設定された第2の色バランス補正値D2jを用いることも
考えられる。しかし、異種光源シーン画像は、通常は撮
影光源に起因する色バランス偏倚を完全に補正すること
が望ましいものの、異種光源シーン画像の中には、撮影
光源に起因する色バランス偏倚を完全に補正することが
好ましくない画像(例えば夕日のシーンを表す画像)
や、撮影光源の光源種が同一であっても光源グレーバラ
ンス補正値Dyjの適正値が他の画像と若干異なる画像
(例えばタングステン灯及びストロボ光によって各々照
明されたシーンを表す画像等)も存在する。このため、
異種光源シーン画像に対する光源グレーバランス補正値
Dyjは処理対象の画像の情報(例えば処理対象の画像の
異種光源度αやハイライト色ベクトルHL)のみに基づ
いて設定することが好ましい。
【0143】光源グレーバランス補正値設定処理を終了
すると、濃度・色補正条件演算処理(図2)のステップ
144へ移行し、処理対象のフィルム画像に対して設定
したフィルムグレーバランス補正値Dxjと光源グレーバ
ランス補正値Dyjを加算することで、処理対象のフィル
ム画像に対する最終色バランス補正値Djを演算する
(次式参照)。 Dj=Dxj+Dyj
【0144】次のステップ146では、変数nの値がフ
ィルム画像の総数Nに等しいか否かを判定することで、
写真フィルム26に記録された全てのフィルム画像に対
してステップ122以降の処理を行ったか否か判断す
る。判定が否定された場合には、ステップ148で変数
nの値を1だけインクリメントした後にステップ122
に戻り、全てのフィルム画像に対してステップ122以
降の処理を繰り返す。そして、写真フィルム26に記録
された全てのフィルム画像に対して最終色バランス補正
値Djを各々設定すると、ステップ146の判定が肯定
されて濃度・色補正条件演算処理を終了する。
【0145】濃度・色補正条件演算処理によって各フィ
ルム画像毎に設定した最終色バランス補正値Djは、オ
ートセットアップエンジン44からイメージプロセッサ
40へ出力される。写真フィルム26に記録された各フ
ィルム画像に対してフィルムスキャナ12がファインス
キャンを行うことで、画像処理部14のイメージプロセ
ッサ40にファインスキャン画像データが入力される
と、イメージプロセッサ40は、まずファインスキャン
画像データが表すフィルム画像の平均濃度が、同一のフ
ィルム画像のプレスキャン画像データが表すフィルム画
像の平均濃度と一致するように、入力されたファインス
キャン画像データを補正するプレ・ファインスキャン間
補正を行う。
【0146】次にイメージプロセッサ40は、フィルム
スキャナ12の機差(例えばラインCCDセンサ30の
分光感度の素子単位でのばらつき等)を補正するスキャ
ナキャリブレーションを行う。そして上記処理を経たフ
ァインスキャン画像データの各画素の濃度を、先に入力
された最終色バランス補正値Djに従って各色成分毎に
濃度をシフトする濃度・色補正処理を行う。
【0147】これにより、フィルム特性に起因する色バ
ランス偏倚、及び撮影光源に起因する色バランス偏倚が
各々高精度に補正され、処理対象のフィルム画像が正常
シーン画像、カラーフェリア画像、ハイライトフェリア
画像、異種光源シーン画像の何れであっても、被写体の
グレーの部分(昼光等の一般的な光源による照明下でグ
レーに見える部分)が画像データ上でグレーとなるよう
に、ファインスキャン画像データを補正することができ
る。
【0148】濃度・色補正処理を行うと、イメージプロ
セッサ40はハイパートーン処理やハイパーシャープネ
ス処理等の他の画像処理を行う。そして、上記の画像処
理を経た画像データ(出力画像データ)は、例えばイメ
ージプロセッサ40からプリンタ16へとして出力され
て印画紙68への画像の記録に用いられたり、或いはC
D−R等の情報記憶媒体に格納される。
【0149】なお、上記では写真フィルム26に記録さ
れたフィルム画像を、類似のシーンを表すフィルム画像
のグループに分けることを、写真フィルム26に記録さ
れた順番及び平均濃度に基づいて行っていたが、これに
限定されるものではなく、例えば各フィルム画像に関連
する情報(例えば撮影日時や撮影条件等)がAPSフィ
ルム等のように写真フィルム26に磁気記録されている
場合や、その他の形態で付加されている場合には、前記
各フィルム画像に関連する情報も用いてグループ分けを
行うようにしてもよい。
【0150】また、上記ではフィルムグレーバランス補
正値Dxjに設定する補正値を、写真フィルム26に記録
されたフィルム画像に占める異常シーン画像の割合F1が
所定値よりも大きいか否かによって切替える場合を説明
したが、これに限定されるものではなく、フィルムグレ
ーバランス補正値Dxjとして、各フィルム画像から抽出
したグレー候補画素に基づいて設定した第1の色バラン
ス補正値D1j(ステップ126)と、処理対象のフィル
ム画像(正常シーン画像)が属するグループに対して設
定された第2の色バランス補正値D2j(ステップ13
0)、又は標準色バランス補正値(ステップ134,1
40)、又は各々正常シーン画像から成る複数のグルー
プに対して各々設定された第2の色バランス補正値D2j
の平均値(ステップ138)と、の加重平均値を用い、
割合F1が大きくなるに従って第1の色バランス補正値D
1jに対する重みを小さく(段階的に変化させてもよい
し、連続的に変化させてもよい)して前記加重平均値
(フィルムグレーバランス補正値Dxj)を演算するよう
にしてもよい。
【0151】また、上記では本発明に係る色バランス変
換条件として、各色成分毎に濃度をシフトさせる色バラ
ンス補正値を用いた例を説明したが、これに限定される
ものではなく、各色成分毎の濃度変化の傾き(階調)も
変化させる補正条件を本発明に係る色バランス補正条件
として用いてもよいことは言うまでもない。
【0152】更に、上記では写真フィルムに撮影記録さ
れたフィルム画像を原画像とし、原画像を表す画像デー
タとして、前記フィルム画像を読み取ることで得られた
スキャン画像データを用いていたが、本発明は上記に限
定されるものではなく、デジタルスチルカメラによって
撮影記録された画像(情報記録媒体に記録された画像デ
ータが表す画像を原画像とし、原画像を表す画像データ
として、デジタルスチルカメラによって前記情報記録媒
体に記録された画像データを用いてもよい。
【0153】また、上記では本発明に係る濃度・色補正
条件演算プログラムが、当初は、本発明に係る記録媒体
としての情報記憶媒体72に記憶されており、上記の情
報記憶媒体72から本実施形態に係る画像処理装置14
へ前記プログラムがインストールされて実行されること
により、画像処理装置14が本発明に係る画像処理装置
として機能する態様について説明したが、画像処理装置
14(又は本実施形態に係る画像処理システム10)
に、公衆電話回線やコンピュータネットワーク(例えば
LAN、インターネット、無線通信ネットワーク等)シ
ステムにおける通信媒体(光ファイバや無線回線)を介
して他の情報処理機器(例えばネットワークサーバ)と
通信する機能を設け、前記プログラムが当初は前記情報
処理機器の記憶装置に記憶されており、前記情報処理機
器から前記通信媒体(本発明に係る伝送媒体)によって
前記プログラムが画像処理装置14へ伝送され、伝送さ
れたプログラムを画像処理装置14がハードディスク等
の記憶手段にインストールして実行することにより、画
像処理装置14が本発明に係る画像処理装置として機能
するようにしてもよい。
【0154】
【発明の効果】以上説明したように請求項1及び請求項
9記載の発明は、一定の条件で被写体が撮影記録されて
成る原画像群の各原画像を正常シーン原画像又は異常シ
ーン原画像に各々分類し、異常シーン画像の割合が所定
値以上の場合に、撮影記録特性に起因する各原画像の色
バランス偏倚を補正するための色バランス補正条件を、
異常シーン原画像の画像特徴量が影響を及ぼさないよう
に設定するか、又は異常シーン原画像の画像特徴量が及
ぼす影響が、異常シーン原画像の割合が所定値未満の場
合よりも小さくなるように設定するので、原画像群に占
める異常シーン原画像の割合が高い場合に、撮影記録特
性に起因する各原画像の色バランス偏倚を精度良く補正
できる適正な色バランス補正条件を得ることができる、
という優れた効果を有する。
【0155】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、類似のシーンを表す原画像から成る複数の
グループに各原画像を分け、特定のグループに属する原
画像が正常シーン原画像か異常シーン原画像かを判断す
ることを、各グループを単位として行うので、上記効果
に加え、各原画像を正常シーン原画像又は異常シーン原
画像に分類することを精度良く行うことができる、とい
う効果を有する。
【0156】請求項4記載の発明は、特定のグループに
属する原画像が正常シーン原画像か異常シーン原画像か
の判断を、原画像群の全ての原画像の画像データから求
めた第1の特性値と、特定のグループに属する各原画像
の画像データから求めた第2の特性値と、を比較するこ
とによって行うに際し、第1の特性値が所定範囲から外
れていた場合には、第1の特性値に代えて、標準的な撮
影記録特性から求めた標準特性値を用いるので、上記効
果に加え、原画像群に占める異常シーン原画像の割合が
高い場合にも、各原画像を正常シーン原画像又は異常シ
ーン原画像に分類することを精度良く行うことができ
る、という効果を有する。
【0157】請求項5記載の発明は、請求項1記載の発
明において、原画像群に占める異常シーン原画像の割合
が所定値未満の場合に、撮影記録特性に起因する各原画
像の色バランス偏倚を補正するための色バランス補正条
件として、原画像群の全ての原画像の画像データから求
めた第1の色バランス補正条件を用いるので、上記効果
に加え、原画像群に占める異常シーン原画像の割合が低
い場合にも、撮影記録特性に起因する各原画像の色バラ
ンス偏倚を精度良く補正できる適正な色バランス補正条
件を得ることができる、という効果を有する。
【0158】請求項7記載の発明は、請求項1記載の発
明において、原画像群に占める異常シーン原画像の割合
が所定値以上の場合に、正常シーン原画像に対して撮影
記録特性に起因する色バランス偏倚を補正するための色
バランス補正条件として、補正条件設定対象の正常シー
ン原画像を含む複数の正常シーン原画像の画像データか
ら求めた第2の色バランス補正条件を用いるので、上記
効果に加え、原画像群に占める異常シーン原画像の割合
が高い場合に、撮影記録特性に起因する正常シーン原画
像の色バランス偏倚をより精度良く補正できる適正な色
バランス補正条件を得ることができる、という効果を有
する。
【0159】請求項8記載の発明は、請求項1記載の発
明において、撮影光源に起因する原画像の色バランス偏
倚を補正するための色バランス補正条件を、補正条件設
定対象の原画像の画像データに基づいて設定するので、
上記効果に加え、撮影光源に起因する色バランス偏倚を
個々の原画像毎に精度良く補正できる適正な補正条件を
得ることができる、という効果を有する。
【0160】請求項10及び請求項11記載の発明は、
一定の条件で被写体が撮影記録されて成る原画像群の各
原画像を正常シーン原画像又は異常シーン原画像に各々
分類する第1のステップ、及び、異常シーン画像の割合
が所定値以上の場合に、撮影記録特性に起因する各原画
像の色バランス偏倚を補正するための色バランス補正条
件を、異常シーン原画像の画像特徴量が影響を及ぼさな
いように設定するか、又は異常シーン原画像の画像特徴
量が及ぼす影響が、異常シーン原画像の割合が所定値未
満の場合よりも小さくなるように設定する第2のステッ
プを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログ
ラムを記録媒体に記録、又は伝送するので、被写体が撮
影記録されて成る原画像群に占める異常シーン原画像の
割合が高い場合に、適正な色バランス補正条件を得るこ
とができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係る画像処理システムの概略構
成図である。
【図2】 本実施形態に係る濃度・色補正条件設定処理
の内容を示すフローチャートである。
【図3】 第1の色バランス補正値設定処理の内容を示
すフローチャートである。
【図4】 類似コマのグループ分け処理の内容を示すフ
ローチャートである。
【図5】 第2の色バランス補正値設定処理の内容を示
すフローチャートである。
【図6】 異種光源シーン判定処理の内容を示すフロー
チャートである。
【図7】 光源グレーバランス補正値設定処理の内容を
示すフローチャートである。
【図8】 (A)乃至(C)はフィルム画像中の高彩度
画素の抽出を説明するための概念図である。
【図9】 (A)及び(B)は高彩度の画素を多数含む
画像、(C)は前記画像から高彩度画素を除外した後
の、RGB濃度座標上における各画素のデータの分布の
一例を示す概念図である。
【図10】 (A)は複数の画像から各々抽出したグレ
ー候補画素から成るグレー候補画素群のRGB濃度座標
上における分布の一例を示す概念図、(B)は(A)に
示したグレー候補画素群からの特定の画像のグレー軸の
推定を説明するための概念図である。
【図11】 ハイライト色ベクトルHL及び特定画素の
色ベクトルCPの一例を示す概念図である。
【図12】 色相角相関Tとハイライト色ベクトルの大
きさHから異種光源度αを求めるための異種光源判定テ
ーブルの一例を示す線図である。
【符号の説明】
10 画像処理システム 14 画像処理装置 26 写真フィルム 44 オートセットアップエンジン 72 情報記憶媒体
フロントページの続き Fターム(参考) 5B057 AA20 BA02 CA01 CA08 CA12 CB01 CB08 CB12 CC01 CE17 CH18 DB02 DB06 DB09 DC25 5C066 AA11 CA08 EA13 EC02 GA01 KE07 KE17 KM02 5C077 MM20 MP08 NP07 PP32 PP35 PP37 PP46 PP47 PP52 PP53 PQ08 PQ18 PQ20 SS06 TT09 5C079 LA01 LA05 LA11 LA23 LA31 MA11 NA03 NA29

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一定の条件で被写体が撮影記録されて成
    る原画像群の各原画像を、正常シーンを表す正常シーン
    原画像又は異常シーンを表す異常シーン原画像に各々分
    類する分類手段と、 前記原画像群に占める異常シーン原画像の割合が所定値
    以上の場合に、撮影記録特性に起因する各原画像の色バ
    ランス偏倚を補正するための色バランス補正条件を、前
    記異常シーン原画像の画像特徴量が前記色バランス補正
    条件に影響を及ぼさないように設定するか、又は前記異
    常シーン原画像の画像特徴量が前記色バランス補正条件
    に及ぼす影響が、前記異常シーン原画像の割合が所定値
    未満の場合よりも小さくなるように設定する設定手段
    と、 を含む画像処理装置。
  2. 【請求項2】 前記分類手段は、前記原画像群の各原画
    像を、各々類似のシーンを表す原画像から成る複数のグ
    ループに分け、特定のグループに属する原画像が前記正
    常シーン原画像か前記異常シーン原画像かを判断するこ
    とを、各グループを単位として行うことで、正常シーン
    原画像と異常シーン原画像との分類を行うことを特徴と
    する請求項1記載の画像処理装置。
  3. 【請求項3】 前記分類手段は、前記特定のグループに
    属する原画像が前記正常シーン原画像か前記異常シーン
    原画像かの判断を、前記原画像群の全ての原画像の画像
    データから求めた第1の特性値と、前記特定のグループ
    に属する各原画像の画像データから求めた第2の特性値
    と、を比較することによって行うことを特徴とする請求
    項2記載の画像処理装置。
  4. 【請求項4】 前記分類手段は、前記原画像群の全ての
    原画像の画像データから求めた第1の特性値が所定範囲
    から外れていた場合には、前記第1の特性値に代えて、
    標準的な撮影記録特性から求めた標準特性値を用いるこ
    とを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
  5. 【請求項5】 前記設定手段は、前記原画像群に占める
    異常シーン原画像の割合が所定値未満の場合に、撮影記
    録特性に起因する各原画像の色バランス偏倚を補正する
    ための色バランス補正条件として、前記原画像群の全て
    の原画像の画像データから求めた第1の色バランス補正
    条件を用いることを特徴とする請求項1記載の画像処理
    装置。
  6. 【請求項6】 前記設定手段は、前記原画像群に占める
    異常シーン原画像の割合が所定値以上の場合に、撮影記
    録特性に起因する各原画像の色バランス偏倚を補正する
    ための色バランス補正条件として、前記原画像群のうち
    複数の正常シーン原画像の画像データから求めた第2の
    色バランス補正条件、又は標準的な撮影記録特性から求
    めた標準色バランス補正条件を用いることを特徴とする
    請求項1記載の画像処理装置。
  7. 【請求項7】 前記設定手段は、前記原画像群に占める
    異常シーン原画像の割合が所定値以上の場合に、正常シ
    ーン原画像に対して撮影記録特性に起因する色バランス
    偏倚を補正するための色バランス補正条件として、前記
    原画像群のうち補正条件設定対象の正常シーン原画像を
    含む複数の正常シーン原画像の画像データから求めた第
    2の色バランス補正条件を用いることを特徴とする請求
    項1記載の画像処理装置。
  8. 【請求項8】 前記設定手段は、撮影光源に起因する原
    画像の色バランス偏倚を補正するための色バランス補正
    条件を、補正条件設定対象の原画像の画像データに基づ
    いて設定することを特徴とする請求項1記載の画像処理
    装置。
  9. 【請求項9】 一定の条件で被写体が撮影記録されて成
    る原画像群の各原画像を、正常シーンを表す正常シーン
    原画像又は異常シーンを表す異常シーン原画像に各々分
    類し、 前記原画像群に占める異常シーン原画像の割合が所定値
    以上の場合に、撮影記録特性に起因する各原画像の色バ
    ランス偏倚を補正するための色バランス補正条件を、前
    記異常シーン原画像の画像特徴量が前記色バランス補正
    条件に影響を及ぼさないように設定するか、又は前記異
    常シーン原画像の画像特徴量が前記色バランス補正条件
    に及ぼす影響が、前記異常シーン原画像の割合が所定値
    未満の場合よりも小さくなるように設定する画像処理方
    法。
  10. 【請求項10】 一定の条件で被写体が撮影記録されて
    成る原画像群の各原画像を、正常シーンを表す正常シー
    ン原画像又は異常シーンを表す異常シーン原画像に各々
    分類する第1のステップ、 及び、前記原画像群に占める異常シーン原画像の割合が
    所定値以上の場合に、撮影記録特性に起因する各原画像
    の色バランス偏倚を補正するための色バランス補正条件
    を、前記異常シーン原画像の画像特徴量が前記色バラン
    ス補正条件に影響を及ぼさないように設定するか、又は
    前記異常シーン原画像の画像特徴量が前記色バランス補
    正条件に及ぼす影響が、前記異常シーン原画像の割合が
    所定値未満の場合よりも小さくなるように設定する第2
    のステップを含む処理をコンピュータに実行させるため
    のプログラムが記録された記録媒体。
  11. 【請求項11】 一定の条件で被写体が撮影記録されて
    成る原画像群の各原画像を、正常シーンを表す正常シー
    ン原画像又は異常シーンを表す異常シーン原画像に各々
    分類する第1のステップ、 及び、前記原画像群に占める異常シーン原画像の割合が
    所定値以上の場合に、撮影記録特性に起因する各原画像
    の色バランス偏倚を補正するための色バランス補正条件
    を、前記異常シーン原画像の画像特徴量が前記色バラン
    ス補正条件に影響を及ぼさないように設定するか、又は
    前記異常シーン原画像の画像特徴量が前記色バランス補
    正条件に及ぼす影響が、前記異常シーン原画像の割合が
    所定値未満の場合よりも小さくなるように設定する第2
    のステップを含む処理をコンピュータに実行させるため
    のプログラムを伝送する伝送媒体。
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