JP2001255417A - 光ファイバシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ファイバシートを所望の曲げ形状に保持可
能にして、光機器内に光ファイバシートを配置する作業
（光配線作業）を容易にする。 【解決手段】 光ファイバ３を可撓性を持つシート５に
布線してなる光ファイバシート１Ａにおいて、シート５
の内層または外面（図示の場合）に、当該光ファイバシ
ート１Ａを変形（主として曲げ変形）させた時にその変
形状態を保持する（すなわち曲がり癖のつく）変形保持
部材４Ａを組み込む。光機器内に光ファイバシート１Ａ
を配置する場合、曲がり癖をつけることができるので、
容易に機器内のレイアウトに合わせた配線経路に配置で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、光ファイバを可
撓性を持つシートに布線してなる光ファイバシートに関
する。

【０００２】

【従来の技術】光ファイバシートは、光ファイバを可撓
性を持つシートに布線したものであり、一般にはシート
の内層に布線したもので、ポリイミドその他の軟質樹脂
製で表面に感圧接着剤層を有する２枚のシート材を光フ
ァイバを挟んで貼り合わせた構造か、軟質樹脂によるシ
ート成形時に光ファイバを内層に埋め込んだ構造であ
り、光機器内の光ファイバ配線等に用いられる（特開平
１１−２１８６２１号公報等参照）。この種の従来の光
ファイバシートは、上記の通りの構造であって、単に光
ファイバをシートに布線した構造である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】光ファイバシートは、
光ファイバが、可撓性とともにある程度の剛性も有する
軟質樹脂製のシートで保持されているので、取り扱いが
容易であり、また、曲げが可能なので光機器内のレイア
ウトにある程度自在に対応でき、また、通常は複数の光
ファイバを１枚のシート内に布線するので、光機器内の
光ファイバ配線を整然とかつ省スペースでかつ能率的に
行うことができる。しかし、光機器内に光配線として光
ファイバシートを配置する際、機器内レイアウトに合わ
せて光ファイバシートを所望の方向に曲げても、手を離
せばすぐに元に戻ってしまうので、作業性が悪く、ま
た、機器内レイアウトに合わせた所望の配線経路を実現
できない場合もある。また、所望の配線経路を実現する
ために、何らかの部材で止めなければならない場合もあ
り、煩雑である。また、例えば光ファイバシートに光コ
ネクタを取り付けた場合において、相手側（光機器側）
の光コネクタへの接続方向を確保（相手側の光コネクタ
に対して斜めでなく正しく正面に向けること）する必要
もある。本発明は、上記従来の欠点を解消し要求を満足
させるためになされたもので、光ファイバシートの所望
の変形状態を保持することを可能にして、光機器内に光
ファイバシートを配置する作業を容易にし、また所望の
配線経路の実現を可能にする光ファイバシートを提供す
ることを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明は、光ファイバを可撓性を持つシートに布線してなる
光ファイバシートにおいて、前記シートの内層または外
面に、当該光ファイバシートを変形させた時にその変形
状態を保持する変形保持部材を組み込んだことを特徴と
する。

【０００５】請求項２は、請求項１の光ファイバシート
において、変形保持部材を光ファイバに沿って部分的に
設けたことを特徴とする。

【０００６】請求項３は、請求項１の光ファイバシート
において、変形保持部材とともに、剛性を持つシート補
強部材をシートの内層または外面に組み込んだことを特
徴とする。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図１
〜図７を参照して説明する。図１は本発明の第１実施形
態の光ファイバシート１Ａを示すもので、（イ）は光フ
ァイバシート１Ａの平面図、（ロ）は（イ）のＡ−Ａ拡
大断面図である。この光ファイバシート１Ａは、軟質樹
脂製で表面に感圧接着剤層を有する２枚のシート材２を
光ファイバ３（ＵＶ素線）を挟んで接着剤で貼り合わせ
て、この２枚のシート材２からなるシート５の内層に光
ファイバ３を布線している。そして、このシート５の外
面に、当該光ファイバシート１Ａを例えば曲げ等の変形
をさせた時にその曲げ等の変形状態を保持する（すなわ
ち曲がり癖がつく）変形保持部材４Ａを貼り付けてい
る。この実施形態では、変形保持部材４Ａを光ファイバ
３の両側で光ファイバ３に沿ってほぼシート全長にわた
って設けている。シート５の材質（シート２の材質）と
しては、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等
の種々の軟質樹脂を用いることができる。なお、図１
（イ）の光ファイバシート１Ａは、光ファイバ３のシー
ト５から引き出された部分に補強チューブ６を被せて補
強し、先端に光コネクタ７を取り付けており、光機器内
で光配線する際に機器内の光コネクタに直ちに接続でき
る状態である。また、図では１本の光ファイバ３のみを
示したが、通常は１枚の光ファイバシート１Ａ内に複数
本の光ファイバ３が布線される。また、光ファイバ３の
配置は図示のような直線状に限らず、曲線状の場合もあ
る。

【０００８】前述の通り変形保持部材４Ａは、光ファイ
バシート１Ａを変形させた時に、その変形状態を保持で
きるものでなければならない。したがって、変形保持部
材４Ａの材質は、所望の曲げ等の変形が可能であるこ
と、所望の変形を保持できることの条件を満たすものを
用いる。さらに、配線のやり代え等ができるように、繰
り返し所望の変形が可能であることが望ましい。具体的
には、薄く柔らかい金属で、光ファイバ３より剛性のあ
る材料、例えば、アルミニュームや銅等の薄板を用いる
ことができる。また、形状記憶合金を使用することもで
きる。

【０００９】また、変形保持部材４Ａの配置は、光ファ
イバシート１Ａを曲げた時に、シート５に坐屈が生じな
い配置である必要がある。ここで、シート５の坐屈と
は、例えば光ファイバシート１Ａを曲げた時の曲げの圧
縮側のシート２に坐屈の皺がよる現象を指す。変形保持
部材４Ａの配置によっては、曲げた時に変形保持部材４
Ａのない部分に変形が集中してシート５に坐屈が生じる
場合もあるので、このような坐屈が発生しない配置とす
る。さらに、光ファイバが許容曲率半径以上に曲がった
り、折損するような場合も含む。また、変形保持部材４
Ａは、シート５における光ファイバ３の布線の邪魔にな
らない配置である必要がある。

【００１０】図２に第２実施形態の光ファイバシート１
Ｂを示す。この実施形態の光ファイバシート１Ｂは、変
形保持部材４Ｂを第１実施形態のようにシート５の全長
に設けるのでなく、間隔をあけて設けたものである。光
ファイバシートを光機器内で配置する場合、曲がり癖
（すなわち変形状態を保持すること）がつく方が常によ
いとは限らないので、必要のない箇所は、変形保持部材
を配置しないことが適切である。

【００１１】図３（イ）、（ロ）に第３実施形態の光フ
ァイバシート１Ｃを示す。この光ファイバシート１Ｃ
は、変形保持部材４Ｃとして、薄板でなく線材を用いた
ものである。図示例では線材の変形保持部材４Ｃを複数
本配置（接着固定）しているが、本数は任意である。

【００１２】図４に第４実施形態を示す。この実施形態
は変形保持部材をシート５の内層に配置したものであ
る。図４（イ）の光ファイバシート１Ｄは、図１でシー
ト５の外面に配置した薄板の変形保持部材４Ａを、内層
つまり２枚のシート材２の間に配置したものである。図
４（ロ）の光ファイバシート１’Ｄは、図３でシート５
の外面に配置した線材の変形保持部材４Ｃを、内層つま
り２枚のシート材２の間に配置したものである。

【００１３】図５に第５実施形態の光ファイバシート１
Ｅを示す。この実施形態の光ファイバシート１Ｅは、広
い薄板状の変形保持部材４Ｅをシート５の概ね全面に設
けたものである。図示例ではシート５の外面であるが、
内層でもよい。

【００１４】上記の光ファイバシート１（１Ａ、１Ｂ、
１Ｃ、１Ｄ、１Ｅ）を光機器内に配置（光配線）する場
合、光機器内の部品レイアウトに応じて光ファイバシー
ト１を曲げて配置する。光ファイバシート１の曲げの態
様は光機器内部の部品レイアウトに適合するように行な
うが、例えば、図７（イ）のように、中央部分を上に持
ち上げて、例えばその下にある部品を避ける。また、図
（ロ）のように一端側のみを曲げることもある。また、
図５のようにシート５の全面に変形保持部材４Ｅを設け
た光ファイバシート５１の場合は、図７（ハ）のように
樋状に湾曲させることもでき、さらに、図７（ニ）のよ
うに捻りの変形を与えることもできる。

【００１５】図６に第６実施形態の光ファイバシート１
Ｆを示す。この実施形態の光ファイバシート１Ｆは、変
形保持部材４Ｆとともに、剛性を持つシート補強部材８
をシート５の内層または外面に組み込んだものである。
図示例では、シート５の両側近傍に変形保持部材４Ｆを
配置し、シート５の中央近傍にシート補強部材８を配置
している。シート補強部材８は、変形保持部材と同様に
シート５の外面でも内層でもよい。このように変形保持
部材４Ｆとシート補強部材８とを混在させるのは、シー
ト５の曲げ変形時に、シート５に坐屈が発生することを
防止するためであり、そのような坐屈発生の恐れがある
部分には、変形保持部材でなくシート補強部材８を設け
るとよい。

【００１６】上述の各実施形態の光ファイバシート１
は、２枚のシート材２で光ファイバ３を挟んだ構造であ
るが、軟質樹脂によるシート成形時に光ファイバ３をシ
ート内層に埋め込んだ構造の光ファイバシートにも同じ
く適用できる。また、光ファイバシートの構造は種々あ
り、例えば、２枚シート構造でなく、１枚シート上に光
ファイバ３を布線し、その上から樹脂で埋め込む等の構
造もある。したがって、本発明の光ファイバシートと
は、樹脂シートと光ファイバとが併設される構造を総称
したものである。

【００１７】

【発明の効果】本発明の光ファイバシートによれば、可
撓性を持つシートの内層または外面に、当該光ファイバ
シートを変形させた時にその変形状態を保持する（すな
わち曲がり癖がつく）変形保持部材を組み込んだ構成で
あるから、光配線としてこの光ファイバシートを光機器
内に配置する時、必要な形状となるように予め曲げてお
くか、あるいは現場において曲げることにより、光ファ
イバシートを所望の変形状態に保持することができ、光
機器内に光ファイバシートを配置する作業が容易にな
る。また、機器内の部品レイアウトの関係で、所望の配
線経路を取ることが困難な場合に、予めあるいは現場に
おいて曲がり癖を付けられることで、その所望の配線経
路が実現可能となる場合もある。また、例えば光ファイ
バシートに光コネクタを取り付けた場合において、相手
側（光機器側）の光コネクタへの接続方向を確保するこ
とが容易になる。

【００１８】光機器内で光ファイバシートを所望の形態
で配置する上で、部分的に変形保持部材が不要な場合も
あるので、このような場合には、請求項２の構成が作業
性等の点で有効である。

【００１９】光機器内で光ファイバシートを所望の形態
にする上で、剛性を持つ部分があった方がよい場合もあ
るので、このような場合には、請求項３の構成が作業性
等の点で有効である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態の光ファイバシートを示
すもので、（イ）は平面図、（ロ）は（イ）のＡ−Ａ拡
大断面図である。

【図２】本発明の第２実施形態の光ファイバシートの平
面図である。

【図３】本発明の第３実施形態の光ファイバシートを示
すもので、（イ）は平面図、（ロ）は（イ）のＢ−Ｂ断
面図である。

【図４】本発明の第４実施形態の光ファイバシートを示
す断面図であり、（イ）、（ロ）は変形保持部材が異な
る場合のものである。

【図５】本発明の第５実施形態の光ファイバシートを示
すもので、（イ）は平面図、（ロ）は（イ）のＣ−Ｃ断
面図である。

【図６】本発明の第６実施形態の光ファイバシートの平
面図である。

【図７】上記の光ファイバシートの変形状態の種々の態
様を説明する図であり、（イ）、（ロ）、（ハ）、
（ニ）はそれぞれ異なる変形態様を示す。

【符号の説明】

１、１Ａ，１Ｂ、１Ｃ、１Ｄ、１Ｅ、１Ｆ 光ファイ
バシート ３ 光ファイバ ４Ａ，４Ｂ、４Ｃ、４Ｅ、４Ｆ 変形保持部材 ５ シート ８ シート補強部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下道 毅 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内 (72)発明者 滝澤 和宏 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内 Ｆターム(参考） 2H001 BB15 BB19 DD05 HH01 KK07 2H038 CA32 CA33

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光ファイバを可撓性を持つシートに布線
   してなる光ファイバシートにおいて、 前記シートの内層または外面に、当該光ファイバシート
   を変形させた時にその変形状態を保持する変形保持部材
   を組み込んだことを特徴とする光ファイバシート。
2. 【請求項２】 前記変形保持部材を光ファイバに沿って
   部分的に設けたことを特徴とする請求項１記載の光ファ
   イバシート。
3. 【請求項３】 前記変形保持部材とともに、剛性を持つ
   シート補強部材をシートの内層または外面に組み込んだ
   ことを特徴とする請求項１記載の光ファイバシート。