JP2001255404A - マイクロ構造体アレイ、及びその作製方法 - Google Patents

マイクロ構造体アレイ、及びその作製方法

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JP2001255404A
JP2001255404A JP2000064321A JP2000064321A JP2001255404A JP 2001255404 A JP2001255404 A JP 2001255404A JP 2000064321 A JP2000064321 A JP 2000064321A JP 2000064321 A JP2000064321 A JP 2000064321A JP 2001255404 A JP2001255404 A JP 2001255404A
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Takashi Ushijima
隆志 牛島
Takayuki Tejima
隆行 手島
Yasuhiro Shimada
康弘 島田
Takayuki Yagi
隆行 八木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】面内分布が低減され、作製が容易で、安価なマ
イクロレンズアレイ用金型等のマイクロ構造体アレイ、
その作製方法である。 【解決手段】マイクロ構造体アレイの作製方法におい
て、導電性部分16を有する基板15を用いて、導電性
部分16上に絶縁性マスク層18を形成し、マスク層1
8に複数の開口部19を形成して導電性部分16を開口
部19において露出し、複数の開口部19の領域を実質
的に囲む様に補助電極部17を形成し、電気メッキ或は
電着を行なって開口部19、マスク層18及び補助電極
部17に電気メッキ層或は電着層20を形成する。補助
電極部17へも電気メッキ或は電着をすることで複数の
開口部19の電流密度分布を適当に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、光エレクトロニ
クス分野等で使用されるマイクロレンズアレイを作製す
るためのマイクロレンズアレイ用金型又は金型マスター
等のマイクロ構造体アレイ(本明細書において、金型は
金型マスターを含んだ広い意味で主に用いる)、及びそ
の作製方法等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 マイクロレンズアレイは、直径数μm
から数100μmの微小な略半球状のレンズを複数配置
したものであり、液晶表示装置、受光装置、光通信シス
テムにおけるファイバー間接続等の様々な用途に使用さ
れる様になってきている。
【0003】一方、発光素子間隔を狭くできアレイ化が
容易な面発光レーザー等の開発が進み、レンズアレイの
間隔を狭くでき開口数(NA)の大きなマイクロレンズ
の要求が高まっている。受光素子においても同様に、半
導体プロセス技術の発達に伴い、素子間隔が狭まり、C
CD等に見られる様に、ますます受光素子の小型化がな
されている。この結果、ここでも、レンズ間隔の狭い、
開口数の大きなマイクロレンズアレイが必要となってい
る。この様なマイクロレンズでは、レンズ面に入射する
光の利用効率が高い高集光率のマイクロレンズが望まれ
ている。
【0004】さらに、今後、期待される光情報処理分野
である光並列処理・演算、光インターコネクション等に
おいても、同様の要望がある。
【0005】また、エレクトロルミネッセンス(EL)
等の自発光型のディスプレイ装置の研究開発も盛んに行
われ、高精細且つ高輝度のディスプレイの提案がなされ
ている。この様なディスプレイにおいては、小型且つ開
口数の大きなマイクロレンズアレイに加えて、低コスト
で大面積のマイクロレンズアレイへの要求がある。
【0006】以上の様な状況において、従来、イオン交
換法(M. Oikawa, etal., Jpn.
J. Appl. Phys. 20(4) L51
−54, 1981)を用いて多成分ガラスからなる基
板上の複数の箇所を高屈折率化して、複数のレンズを形
成する様にしたマイクロレンズアレイの作製方法が知ら
れている。しかしながら、この方法では、レンズ同士の
間隔に比べてレンズ径を大きくとれず、開口数の大きな
レンズの設計が困難であった。また、大面積のマイクロ
レンズアレイを作製するにはイオン拡散装置等の大規模
な製造装置が必要とされ、製造が容易でないという問題
もあった。また、金型を用いたモールディングに比べて
ガラス毎にイオン交換工程を施す必要があり、製造装置
の作製条件管理を十分に行わないと、レンズの品質、例
えば焦点距離のばらつきがロット間で大きくなるという
問題があった。また、この方法は、金型を用いた方法に
比べて、割高となる。
【0007】さらに、イオン交換法では、ガラス基板中
に被イオン交換用のアルカリイオンが必須となり、基板
材料がアルカリガラスに限定されアルカリイオンフリー
を前提とする半導体をベースとする素子との適合性が悪
い。さらに、ガラス基板そのものの熱膨張係数が受光装
置や発光装置の基板の熱膨張係数と大きく異なる為に、
素子の集積密度が増加するに伴い、熱膨張係数の不整合
によるミスアライメントが発生する。また、元来、ガラ
ス表面のイオン交換法は表面に圧縮歪みを残すことが知
られており、これによりガラスが反り、マイクロレンズ
アレイが大判化するに従い、受光装置や発光装置との接
着・接合が困難となっている。
【0008】他の方法としては、レジストリフロー法
(D. Daly, et al.,Proc. Mi
crolens Array Teddingto
n.,p23−34, 1991)がある。この方法で
は、基板上に形成した樹脂をフォトリソグラフィプロセ
スを利用して円筒状にパターニングし、これを加熱しリ
フローさせてマイクロレンズアレイを作製する。この方
法により、様々な形状のレンズが低コストで作製するこ
とが可能である。また、イオン交換法に比べて、熱膨張
係数や反り等の問題がない。しかしながら、この方法
は、マイクロレンズの形状が樹脂の厚み、基板と樹脂と
の濡れ性状態、及び加熱温度に強く依存しおり、単―基
板面内の作製再現性は高いが、ロット毎のばらつきが発
生しやすい。また、隣接するレンズ同士がリフローによ
り接触すると表面張力により所望のレンズ形状を保つこ
とができなくなる。すなわち、隣接するレンズを接触さ
せレンズ間の光未使用領域を小さくし高集光率化するこ
とが困難である。
【0009】また、数10〜数100μm程度のレンズ
径を得ようとすると、リフローにより球面化するに十分
な厚みの樹脂を塗布することになるが、所望の光学特性
(屈折率、高光透過率など)を有する樹脂材料を均―に
厚く塗布することが困難である。すなわち、大きな曲率
を持ちレンズ径が大きなマイクロレンズを作製すること
が難しい。
【0010】他の方法としては、マイクロレンズアレイ
の原版を作製し、原版にレンズ材料を塗布し、塗布した
レンズ材料を剥離して作製する方法がある。原版となる
金型の作製に当たっては、電子ビームを用いて描画する
方法(特開平1−231601号公報)、金属板の一部
をエッチングし形成する方法(特開平5−303009
号公報)がある。これらの方法は、モールディングにて
マイクロレンズを複製することができ、ロット毎のばら
つきが発生しにくく、また低コストにてマイクロレンズ
を作製することが可能である。また、イオン交換法に比
べて熱膨張係数差に伴うアライメント誤差の発生や反り
等の問題を回避できる。しかしながら、電子ビームを用
いる方法では、電子ビーム描画装置が高価であり多額の
設備投資が必要となる、描画面積が制限されているため
に、10cm角以上の大面積の原版を作製することが困
難である等の問題がある。
【0011】また、エッチングする方法では、主として
化学反応を利用した等方性エッチングを用いるため金属
板の組成や結晶構造が僅かでも変化すると、所望の形状
にエッチングできなくなるという問題がある。また、エ
ッチングする方法では、所望の形状が得られた時点で直
ちに水洗しないとエッチングが継続する。微小なマイク
ロレンズを形成する場合には、所望の形状が得られた時
点から水洗に至るまでの時間に進行するエッチングによ
り、所望の形状から逸脱する場合がある。
【0012】マイクロレンズアレイの原版を作製する他
の方法としては、電気メッキを利用する方法(特開平6
−27302号公報)がある。この方法は、導電層を片
面に形成した開口部を有する絶縁性フィルムを用いて、
導電層を陰極として電気メッキを行い絶縁性フィルムの
表面にレンズの母型となる凸状物を形成するものであ
る。この方法により作製する母型は工程が簡素であり、
低コストを実現できる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】 しかし、電気メッキ
或は電着では、広い面積に渡って均一厚さの金属或は電
着物質を析出させることが困難である。それは電流密度
分布が均一でないからである。特に、電極の端の部分で
電流が集中するので、電極の中心部よりも厚くメッキ或
は電着されることになる。よって、上記作製法におい
て、例えば、図14に示すようにアレイパターンの周辺
部で電流が集中し、メッキ成長或は電着が促進され、基
板1上の電極層2の露出部及びマスク層3上に形成され
た半球状構造体4のサイズの面内分布が生じる。その結
果、これを原版として用いた場合、個々のレンズの光学
特性仕様にバラツキが生じるという問題があった。
【0014】本発明は、上記従来技術の有する問題点に
鑑みなされたものであり、その目的は、(1)面内分布
(構造体の最大サイズと最小サイズの差を最小サイズで
割ったもの)が低減され、(2)作製が容易で、(3)
安価なマイクロレンズアレイ用金型等のマイクロ構造体
アレイ、その作製方法などを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段と作用】 上記目的を達成
する本発明のマイクロレンズアレイ金型等のマイクロ構
造体アレイの作製方法は、(1)少なくとも一部に導電
性部分を有する基板(導電性基板、電極層を有する基板
等)を用意する工程、(2)導電性部分上に絶縁性マス
ク層を形成する工程、(3)マスク層に複数の適当形状
(円形、楕円、直線的ないし曲線的スリット形状等)の
開口部を形成して導電性部分を該開口部において露出す
る工程、(4)複数の開口部の領域を実質的に囲む様に
補助電極部を形成する工程、(5)電気メッキ或は電着
(電析)を行なうことにより開口部、絶縁性マスク層及
び補助電極部に電気メッキ層或は電着層を形成する工程
を有する作製方法であって、前記(5)の工程にて補助
電極部への電気メッキ或は電着をすることにより複数の
開口部の電流密度分布を制御することを特徴とする。
【0016】上記の基本構成に基づいて以下の如き、よ
り具体的な形態が可能である。上記工程(4)におい
て、補助電極部は前記複数の開口部の領域をほぼ連続的
に囲む様に形成すると上記電流密度分布をより柔軟に制
御できる。
【0017】上記工程(5)において、各開口部にメッ
キ層或は電着層をより均一に形成する為には複数の開口
部の領域の電流密度分布がほぼ均一になる様に制御する
のがよい。
【0018】上記工程(1)において、複数の開口部の
下の電極層と補助電極部となる導電性部分を絶縁性基板
上に形成しうる。この場合、複数の開口部の下の電極層
と補助電極部となる導電性部分を電気的に分離したり、
或は電気的に接続させたりして絶縁性基板上に形成しう
る。
【0019】上記工程(4)において、補助電極部は絶
縁性マスク層の一部を取り除くことにより種々のパター
ンで形成しうる。上記工程(4)において、補助電極部
を絶縁性マスク層上に形成することもできる。
【0020】上記工程(5)の後に、(6)補助電極部
及び補助電極部上の電気メッキ層或は電着層を除去する
工程を加えてもよい。この場合、補助電極部が絶縁性マ
スク層上に形成されていれば、工程(6)において、マ
スク層を除去することで、補助電極部及び補助電極部上
の電気メッキ層或は電着層を除去しうる(リフトオ
フ)。
【0021】上記工程(6)において、開口部上の電気
メッキ層或は電着層にマスク層を施し、補助電極部及び
補助電極部上の電気メッキ層或は電着層を電気分解によ
り除去したり、或はエッチング法(ドライ或いはウエッ
ト)により除去したりできる。
【0022】上記工程(4)において、補助電極部は複
数の開口部の領域の周りに1つ或いは複数の囲み領域を
成して形成できる。この場合、補助電極部を複数の開口
部の領域の周りに1つ或いは複数のほぼ連続的な囲み領
域を成して形成できる。
【0023】上記工程(5)において、複数の開口部の
領域への平均電流密度と補助電極への電流密度が異なる
様に制御することで各開口部にメッキ層或は電着層をよ
り均一に形成できる。
【0024】上記工程(3)において、開口部が円形形
状或は長く伸びたスリット形状であって、この場合、工
程(5)において、開口部或いは長く伸びたスリットよ
り形成される電気メッキ層或は電着層が半球状或は半円
筒状の形状であり得る。
【0025】また、上記目的を達成する本発明のマイク
ロレンズアレイ金型等のマイクロ構造体アレイは、基板
と、マイクロ構造体アレイ形成用の電極層と、電極層上
に設けた複数の開口部を有する絶縁性マスク層と、複数
の開口部の領域を実質的に囲む1つ或は複数の補助電極
部と、前記開口部を通じてマスク層上に形成された電気
メッキ層或は電着層と、補助電極部上に形成された電気
メッキ層或は電着層から成ることを特徴とする。この構
成において、補助電極部がマスク層上にあったり、電極
層と補助電極部が電気的に分離されていたり、或は接続
されていたりする。また、複数の開口部より形成される
電気メッキ層或は電着層の基板面内での大きさのばらつ
き(面内分布)が少なくとも30%以下である。
【0026】本発明のマイクロレンズアレイ金型等のマ
イクロ構造体アレイ、その作製方法、及び作製装置で
は、電極層上に設けたマスク層に複数の微小ないし細い
開口部を形成し、開口部領域近傍に電流密度分布を制御
する補助電極部を形成し、電気メッキ或は電着によりメ
ッキ層或は電着層を形成するものである。微小ないし細
い開口部上に電気メッキ或は電着を行うと、まず開口部
内にメッキ層或は電着層が析出し、更に電気メッキ或は
電着を行うと開口部及びマスク層上にメッキ層或は電着
層が成長し始める。この場合、補助電極部がないと、ア
レイパターンの周辺部の電流が過剰になり、図14に示
すようにアレイパターンの周辺部でのメッキ成長或は電
着が過剰になり面内分布が生じる。これに対し本発明で
は、電流密度分布を制御する補助電極部をアレイパター
ン周辺に囲むように形成することで、アレイパターン周
辺部の過剰な電流をその近傍の補助電極部に吸収し、ア
レイパターンの周辺部での過剰なメッキ成長或は電着を
抑制し、面内分布が低減されたメッキ層或は電着層を得
ている。この場合、開口部寸法が十分に小さい或は細い
と、メッキ層或は電着層はより等方的に成長し、半球状
等のメッキ層或は電着層が開口部及びマスク層上に形成
される。
【0027】補助電極部は、開口部毎のメッキ層或は電
着層が均一になるように電流密度を制御するものであれ
ば、1面あるいは複数面を用いることが可能である。本
発明は、上記半球状等のメッキ層或は電着層の形態を利
用しマイクロレンズアレイ金型又はマイクロレンズアレ
イ金型マスター等のマイクロ構造体アレイを実現するも
のであり、この金型を用いてモールディングにより形成
したマイクロレンズアレイの形状はメッキ層或は電着層
の形状若しくはその反転形状と等しくなる。
【0028】上記マイクロレンズアレイ金型等のマイク
ロ構造体アレイは電気メッキ或は電着により基板上に直
接形成できるために、高価な設備を必要とせず、低コス
トで作製でき、また容易に大判化することも可能とな
る。さらに、メッキ或は電着時間、温度等によりメッキ
層或は電着層の大きさをその場の観察により制御するこ
とができ、この金型より作製したマイクロレンズは、容
易に高精度にレンズ径を制御でき、更にはメッキ層或は
電着層は等方的に成長するため曲率の大きなレンズ等も
得られる。
【0029】図1に電気メッキ装置の概略図を示す。開
口部を形成した基板をワーク10にしてメッキ液に漬
け、陽極板との間を外部電源13と繋げて電流を流し、
開口部にメッキ層を形成する。この場合、開口部の電極
層と補助電極部が独立しているワークについては新たに
外部電源14を設けることで、補助電極部の電流値を制
御することができる。ここでは電気メッキで説明する
が、電着についても析出機構は同様である。
【0030】メッキ液中で微小な開口部にメッキを行う
と、図13に示すようにメッキ液12中の金属イオンが
メッキ層に集中し、メッキ層の析出が成長方向としては
等方的に進行し、半球状等の構造体4が形成される。開
口部の寸法が陽極板に比べて小さく、また金属イオンが
メッキ液中に一様に溶解していれば、メッキ層の成長が
等方的となる。典型的には、作製する各マイクロレンズ
としては数μmから数100μmの範囲であり、開口部
の大きさは所望のマイクロレンズの径よりも小さくする
必要がある。この場合、メッキ層の成長が等方的になる
為には開口部の寸法は半球状構造体の直径に対して小さ
い程、半球状構造体の形状は真球に近づく。この為、開
口径の大きさとしては、電気メッキが可能な限りにおい
て、小さいほど好ましい。好ましくは10μm以下であ
る。
【0031】電気メッキの場合、半球状等の構造体はメ
ッキ浴中の金属イオンが電気化学反応により析出するこ
とにより形成される。電気メッキではメッキ時間、メッ
キ温度等を制御してメッキ層の厚さを容易に制御するこ
とが可能である。主なメッキの金属としては単金属では
Ni,Au,Pt,Cr,Cu,Ag,Zn等、合金で
はCu−Zn,Sn−Co,Ni−Fe,Zn−Ni等
があるが、他の電気メッキ可能な材料であれば用いるこ
とは可能である。特に、Ni、Cr、Cuは光沢メッキ
が容易にできる点で、マイクロレンズアレイ金型のメッ
キ材料として好ましい。
【0032】このマイクロレンズアレイ金型よりマイク
ロレンズを作製する工程を以下に説明する。まず、マイ
クロレンズ金型として用いる場合の一例を説明する。こ
のマイクロレンズ金型は凸型となっている。前述した工
程で得られたマイクロレンズ金型上に、紫外線硬化型の
樹脂を塗布し、次いでガラスを該樹脂の上に載せ、ガラ
ス側から紫外線を照射し樹脂を硬化する。硬化後に、ガ
ラスと樹脂を金型から剥離し、ガラス上にメッキ層或は
電着層の形状を反転した樹脂からなる凹型のマイクロレ
ンズが形成される。この凹型のマイクロレンズ上に前記
樹脂より高屈折率の樹脂を塗布し、該樹脂を硬化し平坦
化することによりマイクロレンズが作製できる。このよ
うな方法を用いてマイクロレンズを作製する場合には、
アルカリガラスが必須とはならず、イオン交換法と比べ
て、マイクロレンズ、支持基板の材料に対する制限が少
なくなる。紫外線硬化型の樹脂を用いたマイクロレンズ
の作製例を示したが、従来の熱可塑性の樹脂を用いて金
型を加熱しスタンプする、あるいは金型上に熱硬化樹脂
を塗布し加熱して樹脂を硬化する、あるいは電子線硬化
樹脂に電子線照射し硬化することで凹型マイクロレンズ
を作製してもよい。
【0033】次に、前述した工程で得られたメッキ層或
は電着層を形成した基板をマイクロレンズ金型マスター
として用い、マイクロレンズを作製する場合の一例を説
明する。マイクロレンズ金型マスターに、金型をメッキ
或は電着形成する為の金型用電極を形成し、該金型用電
極上にマイクロレンズ金型マスターの作製に使用したと
は異なるメッキ或は電着材料をメッキ或は電着しマイク
ロレンズ金型を形成する。ついで、マイクロレンズ金型
をマイクロレンズ金型マスターから剥離することで凹型
のマイクロレンズ金型が作製される。この凹型のマイク
ロレンズ金型を用いたマイクロレンズの作製工程の一例
は次の通りである。紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、電子
線硬化樹脂等を塗布し、夫々の樹脂に紫外線、熱、電子
線等を当てて硬化し、金型と該樹脂等を剥離することで
マイクロレンズを作製する。熱可塑性樹脂を用いて、金
型を加熱しスタンプすることで凸型のマイクロレンズを
作製することも可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】 以下に本発明の実施の形態を図
面を参照しつつ説明する。
【0035】(実施例1)本実施例は、マイクロレンズ
アレイ金型などのマイクロ構造体アレイ金型、及びその
作製方法に係る。本実施例を、図3の作製工程図を用い
て説明する。
【0036】先ず、酸化ガスを用いて熱酸化し、両面に
1μm厚の二酸化シリコン膜が形成された縦1.5イン
チ(38.1mm)×横1インチ(25.4mm)のシ
リコンウエハを基板15として用意する。このウエハに
薄膜形成法の1つであるスパッタリング法によりNiを
200nm成膜する。
【0037】次に、縦17.5mm×横17.5mm角
と外部電源と接続する為の取り出し線の部分、その0.
98mm外周を取り囲む200μm幅の補助電極部と外
部電源と接続する取り出し線の部分にマスク層を形成
し、それ以外のNiをエッチング法で除去する。このこ
とで、電気メッキ用電極層として、図2に示すような電
極層16及び補助電極部17を形成する。
【0038】この様に、絶縁性基板15上に導電性薄膜
を、スパッタリング法、抵抗加熱法、電子ビーム蒸着法
等の薄膜形成方法を用いて成膜し、フォトリソグラフィ
プロセスとエッチングにより前記導電性薄膜をパターニ
ングし、図2に示すような電極パターンを形成する。
【0039】次に、フォトリソグラフィプロセスにより
フォトレジストを塗布、露光、現像し、図4に示すよう
な開口部19を有する有機系マスク層18を形成する
(図3(a)参照)。開口部19は円形をしており、そ
の直径は5μmである。開口部19は700×700の
マトリックス状に25μm間隔で配置されている。
【0040】この様に、微小な開口部を形成することが
可能な半導体フォトリソグラフィープロセスとエッチン
グを用いて、開口部19を有するマスク層18を形成す
る。この場合、マスク層18は、後の電気メッキに対し
て絶縁性を有することが必要であり、電極層16とメッ
キ液との絶縁を保つ。従って、マスク層18は絶縁性を
有する材料であればよく、無機絶縁体、有機絶縁体の何
れも使用できる。こうして図4に構成を示すようなワー
クが得られる。マスク層18としてフォトレジストを用
いるとエッチングの工程を省略できる。
【0041】このウエハをワーク10として用いて、電
極層16、17を陰極として、硫酸ニッケルと塩化ニッ
ケルとほう酸及び光沢剤からなるNiメッキ浴を用い
て、浴温50℃、陰極電流密度40A/dmでNi電
気メッキを行なう(図1参照)。これにより、開口部1
9内にメッキ層20を析出させ、半球体の直径が18μ
mとなるまでメッキを析出させる(図3(b)参照)。
メッキ層20はマスク層18上にも広がり、図13に示
すような半球状構造体20のメッキ層が形成される。こ
の場合、開口部形状を円形にしているので、メッキが開
口部中心の周りに等方的に成長し、開口部19の円形に
対応して半球形状のマイクロ構造体アレイが得られる。
補助電極部17は開口部19の導電層16に対して独立
しているため、補助電極部17の電流値の制御が可能で
あり、全体のメッキ電流密度分布を制御し易い。
【0042】次に、開口部19を得るときと同様の手法
を用いて、開口部19上に形成されたメッキ層20のみ
を無機系マスク層21で被覆し、補助電極部17及び補
助電極部17上のメッキ層20をエッチング法で除去す
る(図3(c)、(d)参照)。メッキ液中で補助電極
部17を陽極とし補助電極上のメッキ層20を電気分解
してもよい。この場合、補助電極部17にメッキ層20
と同様の材料を用いることで、補助電極部17を補助電
極部17上のメッキ層20と同時に除去することが可能
である。
【0043】最後に、開口部19上の無機系マスク層2
1を除去することでマイクロレンズアレイ金型などのマ
イクロ構造体アレイ金型を得ることができる(図3
(e)参照)。
【0044】補助電極部無しの基板に電気メッキを行っ
た試料の面内分布は55%であったのに対し、上記のプ
ロセスではマイクロ構造体アレイの面内分布を30%ま
で低減することができた。このことより、補助電極部1
7を付加することで、面内分布の低減された光沢性の高
いマイクロレンズアレイ金型などを得られた。
【0045】(実施例2)本実施例のマイクロ構造体ア
レイ金型、及びその作製方法を図6の作製工程図を用い
て説明する。
【0046】酸化ガスを用いて熱酸化し、両面に1μm
厚の二酸化シリコン膜が形成された縦1.5インチ×横
1インチのシリコンウエハを基板22として用いる。こ
のウエハに薄膜形成法の1つであるスパッタリング法に
よりNiを200nm成膜する。
【0047】次に、縦17.5mm×横17.5mm角
と外部電源と接続する為の取り出し線の部分、その0.
5mm外側すべてのNi部分にマスク層を形成し、それ
以外の部分のNiをエッチング法で除去する。このこと
で、電極層として、図5に示すような独立する2つの電
極層23、24を形成する。
【0048】次に、フォトリソグラフィプロセスにより
フォトレジストを塗布、露光、現像し、図6(a)に示
すような開口部27及び補助電極部25を有する有機系
マスク層26を形成する。開口部27は円形をしてお
り、その直径は5μmである。開口部27は700×7
00のマトリックス状に25μm間隔で配置されてい
る。補助電極部は、開口部マトリックスの1mm外周を
200μm幅に囲んだ補助電極部25が設けられると共
に、更にその1mm外周に100μm幅の補助電極部2
5を設けた(図7参照)。
【0049】このウエハをワーク10として用いて、電
極層23、24を陰極として、硫酸ニッケルと塩化ニッ
ケルとほう酸及び光沢剤からなるNiメッキ浴を用い
て、浴温50℃、陰極電流密度40A/dmでNi電
気メッキを行なう。これにより、開口部27内にメッキ
層28を析出させ、半球体の直径が18μmとなるまで
メッキを析出させる(図6(b)参照)。メッキ層28
はマスク層26上にも広がり、図13に示すような半球
状構造体20のメッキ層が形成される。この段階の構造
を金型として用いることもできる。この場合、補助電極
部25上のメッキ層28が金型上に塗布される樹脂等の
成形体を堰き止める役を担い得る。
【0050】次に、開口部27上に形成されたメッキ層
28のみを無機系マスク層29で被覆し(図6(c)参
照)、補助電極部25及び補助電極部25上のメッキ層
28をエッチング法で除去する(図6(d)参照)。
【0051】最後に、開口部27上の無機系マスク層2
9を除去することでマイクロレンズアレイ金型等を得る
ことができる(図6(e)参照)。
【0052】補助電極部無しの基板に電気メッキを行っ
た試料の面内分布は55%であったのに対し、このプロ
セスではマイクロレンズアレイ金型等の面内分布を21
%まで低減することができた。このことより、補助電極
部を付加することで、面内分布の低減された光沢性の高
いマイクロレンズアレイ金型等が得られた。
【0053】本実施例の場合、使用するマスクパターン
に応じて補助電極部25の形状パターンを様々に設計で
きる為、全体のメッキ電流密度分布を制御し易い。更に
は、補助電極部25は開口部27の導電層23に対して
独立しているため、補助電極部の電流値の柔軟な制御が
可能であり、電流密度分布を制御し易い。また、補助電
極部25が図7に示すように開口部27群を多重に囲む
形状となっているため、開口部アレイ端部へと回り込む
過剰な電流を数回に分けて補助電極側に引きつけて低減
できる。よって、徐々に過剰な電流を取り去ることがで
き、より面内分布の低減されたマイクロレンズアレイ金
型等が得られる。
【0054】(実施例3)本実施例のマイクロ構造体ア
レイ金型、及びその作製方法を図8の作製工程図を用い
て説明する。
【0055】先ず、酸化ガスを用いて熱酸化し、両面に
1μm厚の二酸化シリコン膜が形成された縦1.5イン
チ×横1インチのシリコンウエハを基板30として用い
る。このウエハに薄膜形成法の1つであるスパッタリン
グ法によりNiを200nm成膜し電極層31となる膜
を形成する。
【0056】次に、フォトリソグラフィプロセスにより
フォトレジストを塗布、露光、現像し、開口部33を有
する有機系マスク層32を形成する(図8(a)参
照)。開口部33は円形をしており、その直径は5μm
である。開口部33は700×700のマトリックス状
に25μm間隔で配置されている。
【0057】補助電極部34の形成は次の様に行なう。
スパッタリング法を用いて開口部33を形成したマスク
層32上にNiを200nm成膜し、更にその上にマト
リックス状の開口部群の1mm外周を200μm幅で囲
む部分と外部電源と接続が可能な部分を含むマスク層を
形成する。そして、補助電極部材料の不要な部分をエッ
チングし、得られたパターン上のマスク層を除去するこ
とで、図9に示すようなパターンの補助電極部34を形
成する。図9に現れている電極層31部分は、電極層3
1と繋がっている開口部33を外部電源と接続する為の
部分である。
【0058】このウエハをワーク10として用いて、電
極層31、34を陰極として、硫酸ニッケルと塩化ニッ
ケルとほう酸及び光沢剤からなるNiメッキ浴を用い
て、浴温50℃、陰極電流密度40A/dmでNi電
気メッキを行なう。こうして、開口部33内にメッキ層
35を析出させ、半球体の直径が18μmとなるまでメ
ッキを析出させる(図8(b)参照)。メッキ層35は
マスク層32上にも広がり、図13に示すような半球状
構造体20のメッキ層が形成される。
【0059】次に、マスク層32を除去することで、補
助電極部24及び補助電極部24上のメッキ層35が除
去され、マイクロレンズアレイ金型などを得ることがで
きた(図8(c)参照)。
【0060】補助電極部無しの基板に電気メッキを行っ
た試料の面内分布は55%であったのに対し、このプロ
セスではマイクロレンズアレイ金型等の面内分布を30
%まで低減することができた。このことより、補助電極
部を付加することで、面内分布の低減された光沢性の高
いマイクロレンズアレイ金型等を得られる。
【0061】本実施例の場合、基板材料としては、金
属、半導体、絶縁体の何れの材料を使用することも可能
である。基板として金属材料を使用するのであれば、電
極層31を形成する必要はない。また、半導体を用いる
場合、メッキが可能な程度の導電性を有するのであれ
ば、必ずしも電極層31を形成する必要はない。
【0062】マスク層32上に補助電極部34を形成す
る為に、絶縁性基板30上に導電性薄膜をスパッタリン
グ法、抵抗加熱法、電子ビーム蒸着法等の薄膜形成方法
を用いて成膜し、フォトリソグラフィプロセスとエッチ
ングにより前記導電性薄膜をパターニングし、図9に示
すような補助電極部34を形成する。従って、補助電極
部34の形状を様々に設計でき、全体の電流密度分布を
制御し易い。
【0063】また、マスク層32を除去することで補助
電極部34を、補助電極部34上のメッキ層35と同時
に除去することができ、こうしてマイクロレンズアレイ
金型等を得られる。この場合、半球状構造体35下のマ
スク層32も除去される。
【0064】(実施例4)本実施例のマイクロ構造体ア
レイ金型、及びその作製方法を図10の作製工程図を用
いて説明する。
【0065】先ず、酸化ガスを用いて熱酸化し、両面に
1μm厚の二酸化シリコン膜が形成された縦1.5イン
チ×横1インチのシリコンウエハを基板36として用い
る。このウエハに薄膜形成法の1つであるスパッタリン
グ法によりNiを200nm成膜し電極層37及び補助
電極部40となる膜を形成する。
【0066】次に、フォトリソグラフィプロセスにより
フォトレジストを塗布、露光、現像し、図11に示すよ
うな開口部39及び補助電極部40を有する有機系マス
ク層38を形成する(図10(a)参照)。開口部39
は円形をしており、その直径は5μmである。開口部3
9は700×700のマトリックス状に25μm間隔で
配置されている。補助電極部40はマトリックス開口部
群の1mm外周を200μm幅で囲んでいる。
【0067】このウエハをワーク10として用いて、電
極層37、40を陰極として、硫酸ニッケルと塩化ニッ
ケルとほう酸及び光沢剤からなるNiメッキ浴を用い
て、浴温50℃、陰極電流密度40A/dmでNi電
気メッキを行なう。こうして、開口部39内にメッキ層
41を析出させ、半球体の直径が18μmとなるまでメ
ッキを析出させる(図10(b)参照)。メッキ層41
はマスク層38上にも広がり、図13に示すような半球
状構造体20のメッキ層が形成される。
【0068】次に、開口部39上に形成されたメッキ層
41のみを無機系マスク層42で被覆し(図10(c)
参照)、補助電極部40上のメッキ層41をエッチング
法で除去する(図10(d)参照)。最後に、開口部3
9上の無機系マスク層42を除去することでマイクロレ
ンズアレイ金型等を得ることができる(図10(e)参
照)。
【0069】補助電極部無しの基板に電気メッキを行っ
た試料の面内分布は55%であったのに対し、このプロ
セスではマイクロ構造体アレイ金型の面内分布を30%
まで低減することができた。このことより、補助電極部
を付加することで、面内分布の低減された光沢性の高い
マイクロレンズアレイ金型等を得られる。
【0070】(実施例5)本実施例のマイクロ構造体ア
レイ金型、及びその作製方法を図10の作製工程図と図
12を用いて説明する。
【0071】酸化ガスを用いて熱酸化し、両面に1μm
厚の二酸化シリコン膜が形成された縦1.5インチ×横
1インチのシリコンウエハを基板36として用いる。こ
のウエハに薄膜形成法の1つであるスパッタリング法に
よりNiを200nm成膜し電極層43及び補助電極部
46となる膜を形成する。
【0072】次に、フォトリソグラフィプロセスにより
フォトレジストを塗布、露光、現像し、図12に示すよ
うな開口部45及び補助電極部46を有する有機系マス
ク層44を形成する。開口部45は円形をしており、そ
の直径は5μmである。開口部45は700×700の
マトリックス状に25μm間隔で配置されている。補助
電極部46は、先ずマトリックス開口部群の1mm外周
を200μm幅で囲んでおり、更に、その外周を1mm
おきに100μm幅の2つの補助電極部46が囲んでい
る。
【0073】このウエハをワーク10として用いて、電
極層43、46を陰極として、硫酸ニッケルと塩化ニッ
ケルとほう酸及び光沢剤からなるNiメッキ浴を用い
て、浴温50℃、陰極電流密度40A/dmでNi電
気メッキを行なう。こうして、開口部45内にメッキ層
41を析出させ、半球体の直径が18μmとなるまでメ
ッキを析出させる。メッキ層41はマスク層38上にも
広がり、図13に示すような半球状構造体20のメッキ
層が形成される。
【0074】次に、開口部45上に形成されたメッキ層
41のみを無機系マスク層42で被覆し、補助電極部4
6上のメッキ層41をエッチング法で除去する。最後
に、開口部45上の無機系マスク層42を除去すること
でマイクロレンズアレイ金型等を得ることができた。
【0075】補助電極部無しの基板に電気メッキを行っ
た試料の面内分布は55%であったのに対し、このプロ
セスではマイクロ構造体アレイ金型の面内分布を12%
まで低減することができた。このことより、補助電極部
を付加することで、面内分布の低減された光沢性の高い
マイクロレンズアレイ金型等を得られる。
【0076】本実施例でも、基板材料としては、金属、
半導体、絶縁体の何れの材料を使用することも可能であ
る。基板として金属材料を使用するのであれば、電極層
37を形成する必要はない。また、半導体を用いる場
合、メッキが可能な程度の導電性を有するのであれば、
必ずしも電極層37を形成する必要はない。また、補助
電極部46の形状を様々に設計できる為、電流密度分布
を制御し易い。
【0077】(実施例6)本実施例のマイクロ構造体ア
レイ金型、及びその作製方法を図10の作製工程図と図
12を用いて説明する。
【0078】酸化ガスを用いて熱酸化し、両面に1μm
厚の二酸化シリコン膜が形成された縦1.5インチ×横
1インチのシリコンウエハを基板として用いる。このウ
エハに薄膜形成法の1つであるスパッタリング法により
Cuを200nm成膜し電極層43及び補助電極部46
となる膜を形成する。
【0079】次に、フォトリソグラフィプロセスにより
フォトレジストを塗布、露光、現像し、図12に示すよ
うな開口部45及び補助電極部46を有する有機系マス
ク層44を形成する。開口部45は円形をしており、そ
の直径は5μmである。開口部は700×700のマト
リックス状に25μm間隔で配置されている。補助電極
部46はマトリックスの1mm外周を200μm幅で囲
んでおり、更にその外周を1mmおきに100μm幅の
補助電極部46が囲んでいる。
【0080】このウエハをワーク10として用いて、電
極層を陰極として硫酸銅と硫酸と塩酸及び光沢剤からな
るCuメッキ浴を用いて、浴温55℃、陰極電流密度4
A/dmでCu電気メッキを行ない、開口部45内に
メッキ層41を析出させ、半球体の直径が18μmとな
るまでメッキを析出させる。メッキ層はマスク層上にも
広がり図13に示すような半球状構造体20のメッキ層
が形成された。
【0081】次に、開口部上に形成されたメッキ層のみ
を無機系マスク層で被覆し、補助電極部上のメッキ層を
エッチング法で除去する。最後に開口部上の無機系マス
ク層を除去することでマイクロレンズアレイ金型等を得
ることができた。
【0082】補助電極部無しの基板に電気メッキを行っ
た試料の面内分布は55%であったのに対し、このプロ
セスではマイクロ構造体アレイ金型の面内分布を12%
まで低減することができた。このことより、補助電極部
を付加することで、面内分布の低減された光沢性の高い
マイクロレンズアレイ金型等を得られる。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、電極
層上に設けたマスク層に形成した微小或は細い開口部か
らメッキ層或は電着層を成長させ半球状等の構造体を形
成する際、電流密度分布を制御する補助電極部を開口部
アレイパターン周辺に形成することで、アレイパターン
周辺部の過剰な電流はその近傍の補助電極部に吸収さ
れ、アレイパターンの周辺部での過剰なメッキ或は電着
成長は抑制され、面内分布が低減されたメッキ層或は電
着層が得られる。
【0084】この場合、開口部寸法が十分に小さいと、
メッキ層或は電着層は等方的に成長し、半球状等のメッ
キ層或は電着層が開口部及びマスク層上に形成される。
開口部形状を円形等にすることにより、メッキ層或は電
着層はマスク層内に等方的に成長できる。また、メッキ
層或は電着層は等方的に成長するため曲率の大きなレン
ズ等が得られる。この半球状等の構造体を金型マスター
として金型材料を金型マスター上に形成し、剥離するこ
とで金型を作製できるため、低コスト且つ容易に金型の
作製及び大判化が可能である。また、この金型より作製
されるマイクロレンズアレイ等は金型マスターと同一形
状のものを得ることができ、1つの金型より、少なくと
も1000枚以上のマイクロレンズアレイ等の作製が可
能である為、再現性良く大量生産が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いた電気メッキ装置の一例の概略図
である。
【図2】本発明の実施例1に用いた金型用電極基板の構
成図である。
【図3】本発明の実施例1に用いた金型用電極基板の構
成とマイクロレンズアレイ金型の作製法を示す断面図で
ある。
【図4】本発明の実施例1に用いた開口部を持つマスク
層の施された金型用電極基板の構成図である。
【図5】本発明の実施例2に用いた金型用電極基板の構
成図である。
【図6】本発明の実施例2に用いた金型用電極基板の構
成とマイクロレンズアレイ金型の作製法を示す断面図で
ある。
【図7】本発明の実施例2に用いた開口部を持つマスク
層の施された金型用電極基板の構成図である。
【図8】本発明の実施例3に用いた金型用電極基板の構
成とマイクロレンズアレイ金型の作製法を示す断面図で
ある。
【図9】本発明の実施例3に用いた開口部を持つマスク
層の施された金型用電極基板の構成図である。
【図10】本発明の実施例4等に用いた金型用電極基板
の構成とマイクロレンズアレイ金型の作製法を示す断面
図である。
【図11】本発明の実施例4等に用いた開口部を持つマ
スク層の施された金型用電極基板の構成図である。
【図12】本発明の実施例5等に用いた開口部を持つマ
スク層の施された金型用電極基板の構成図である。
【図13】本発明の電気メッキによる半球状構造体の作
製原理を説明する図である。
【図14】従来工程で作製されるマイクロレンズアレイ
金型の断面図及び上面図である。
【符号の説明】
1、5、15、22、30、36 基板 2、6、16、23、24、31、37、43 電
極層 3、、7、18、26、32、38、44 マスク
層 4 半球状構造体 8、19、27、33、39、45 開口部 9、17、25、34、40、46 補助電極部 10 ワーク 11 陽極板 12 金属イオンを含むメッキ液 13 第1外部電源 14 第2外部電源 20、28、35、41 メッキ層(電着層) 21、29、42 半球状構造体保護マスク層
フロントページの続き (72)発明者 島田 康弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 八木 隆行 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 4K024 AA02 AA03 AA05 AA09 AA10 AA11 AA12 AA15 AA19 AB08 BB07 BC10 CB08 CB21 CB26 FA05

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)導電性部分を有する基板を用意する
    工程、(2)導電性部分上に絶縁性マスク層を形成する
    工程、(3)絶縁性マスク層に複数の開口部を形成して
    導電性部分を該開口部において露出する工程、(4)複
    数の開口部の領域を実質的に囲む様に補助電極部を形成
    する工程、(5)電気メッキ或は電着を行なうことによ
    り開口部、絶縁性マスク層及び補助電極部に電気メッキ
    層或は電着層を形成する工程、を有するマイクロ構造体
    アレイ金型の作製方法において、前記(5)の工程にて
    補助電極部への電気メッキ或は電着をすることにより複
    数の開口部の電流密度分布を制御することを特徴とする
    マイクロ構造体アレイの作製方法。
  2. 【請求項2】工程(4)において、前記複数の開口部の
    領域をほぼ連続的に囲む様に補助電極部を形成する請求
    項1に記載のマイクロ構造体アレイの作製方法。
  3. 【請求項3】工程(5)において、複数の開口部の領域
    の電流密度分布がほぼ均一になる様に制御する請求項1
    又は2に記載のマイクロ構造体アレイの作製方法。
  4. 【請求項4】工程(1)において、複数の開口部の下の
    電極層と補助電極部となる導電性部分を絶縁性基板上に
    形成する請求項1乃至3の何れかに記載のマイクロ構造
    体アレイの作製方法。
  5. 【請求項5】工程(1)において、複数の開口部の下の
    電極層と補助電極部となる導電性部分を電気的に分離し
    て絶縁性基板上に形成する請求項4に記載のマイクロ構
    造体アレイの作製方法。
  6. 【請求項6】工程(1)において、複数の開口部の下の
    電極層と補助電極部となる導電性部分を電気的に接続さ
    せて絶縁性基板上に形成する請求項4に記載のマイクロ
    構造体アレイの作製方法。
  7. 【請求項7】工程(4)において、補助電極部を絶縁性
    マスク層の一部を取り除くことにより形成する請求項5
    又は6に記載のマイクロ構造体アレイの作製方法。
  8. 【請求項8】工程(4)において、補助電極部を絶縁性
    マスク層上に形成する請求項1乃至3の何れかに記載の
    マイクロ構造体アレイの作製方法。
  9. 【請求項9】工程(5)の後に、(6)補助電極部及び
    補助電極部上の電気メッキ層或は電着層を除去する工程
    を有する請求項1乃至8の何れかに記載のマイクロ構造
    体アレイの作製方法。
  10. 【請求項10】工程(6)において、マスク層を除去す
    ることで、補助電極部及び補助電極部上の電気メッキ層
    或は電着層を除去する請求項9に記載のマイクロ構造体
    アレイの作製方法。
  11. 【請求項11】工程(6)において、開口部上の電気メ
    ッキ層或は電着層にマスク層を施し、補助電極部及び補
    助電極部上の電気メッキ層或は電着層を電気分解により
    除去する請求項9又は10に記載のマイクロ構造体アレ
    イの作製方法。
  12. 【請求項12】工程(6)において、開口部上の電気メ
    ッキ層或は電着層にマスクを施し、補助電極部及び補助
    電極部上の電気メッキ層或は電着層をエッチング法によ
    り除去する請求項9又は10に記載のマイクロ構造体ア
    レイの作製方法。
  13. 【請求項13】工程(4)において、補助電極部を複数
    の開口部の領域の周りに1つ或いは複数の囲み領域を成
    して形成する請求項1乃至12の何れかに記載のマイク
    ロ構造体アレイの作製方法。
  14. 【請求項14】工程(4)において、補助電極部を複数
    の開口部の領域の周りに1つ或いは複数のほぼ連続的な
    囲み領域を成して形成する請求項13に記載のマイクロ
    構造体アレイの作製方法。
  15. 【請求項15】工程(5)において、複数の開口部の領
    域への平均電流密度と補助電極への電流密度が異なる様
    に制御する請求項1乃至14の何れかに記載のマイクロ
    構造体アレイの作製方法。
  16. 【請求項16】工程(3)において、開口部が円形形状
    或は長く伸びたスリット形状である請求項1乃至15の
    何れかに記載のマイクロ構造体アレイの作製方法。
  17. 【請求項17】工程(5)において、開口部より形成さ
    れる電気メッキ層或は電着層が半球状或は半円筒状の形
    状である請求項16に記載のマイクロ構造体アレイの作
    製方法。
  18. 【請求項18】マイクロ構造体アレイはマイクロ構造体
    アレイ形成用金型である請求項1乃至17の何れかに記
    載のマイクロ構造体アレイの作製方法。
  19. 【請求項19】基板と、マイクロ構造体アレイ形成用の
    電極層と、電極層上に設けた複数の開口部を有する絶縁
    性マスク層と、複数の開口部の領域を実質的に囲む1つ
    或は複数の補助電極部と、前記開口部を通じてマスク層
    上に形成された電気メッキ層或は電着層と、補助電極部
    上に形成された電気メッキ層或は電着層から成ることを
    特徴とするマイクロ構造体アレイ。
  20. 【請求項20】補助電極部がマスク層上にある請求項1
    9に記載のマイクロ構造体アレイ。
  21. 【請求項21】電極層と補助電極部が電気的に分離され
    ている請求項19又は20に記載のマイクロ構造体アレ
    イ。
  22. 【請求項22】電極層と補助電極部が電気的に接続され
    ている請求項19に記載のマイクロ構造体アレイ。
  23. 【請求項23】マイクロレンズアレイ金型などのマイク
    ロ構造体アレイ形成用金型である請求項19乃至22の
    何れかに記載のマイクロ構造体アレイ。
  24. 【請求項24】複数の開口部より形成される電気メッキ
    層或は電着層の基板面内での大きさのばらつきが少なく
    とも30%以下である請求項19乃至23の何れかに記
    載のマイクロ構造体アレイ。
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