JP2001255361A - 方位測定装置 - Google Patents

方位測定装置

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JP2001255361A
JP2001255361A JP2000066740A JP2000066740A JP2001255361A JP 2001255361 A JP2001255361 A JP 2001255361A JP 2000066740 A JP2000066740 A JP 2000066740A JP 2000066740 A JP2000066740 A JP 2000066740A JP 2001255361 A JP2001255361 A JP 2001255361A
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signal
azimuth
phase
frequency
antenna
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JP2000066740A
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Nobutaka Daikoumei
宜孝 大光明
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  • Digital Transmission Methods That Use Modulated Carrier Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 デジタル信号処理により直線性の良い位相検
波を施し、より簡単な計算で方位測定が行え、しかも回
転正弦波信号を正確に再生することができる方位測定装
置を提供する。 【解決手段】 方位アンテナ2は円周上に等間隔に配置
された複数のアンテナ素子を所定の回転周波数で順次走
査し、A/D変換器17は各アンテナ素子からの信号を
デジタル信号に変換し、A/D変換器16は受信アンテ
ナ1からの基準信号をデジタル信号に変換し、位相検波
器18はA/D変換器17から出力される各アンテナ素
子からの信号とA/D変換器16から出力される基準信
号とを乗算することにより位相検波して回転周波数を含
む回転正弦波信号を得る。FFT処理部21は回転正弦
波信号に対して方位基準信号をフレーム開始点とする高
速フーリエ変換処理を行い、方位角算出部23はFFT
出力におけるスペクトラムの内の回転周波数に相当する
周波数成分ベクトルの方位角から受信電波の到来方向を
求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンテナが円形に
配列され、電波の到来方向を求めるためのドップラー方
位測定装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】図9に従来のドップラー方位測定装置の
代表的な構成図を示す。図10にドップラー方位測定装
置に設けられた方位アンテナの構成図を示す。図9にお
いて、受信アンテナ1及び方位アンテナ2により受信し
た到来電波は、それぞれ周波数変換器3,4により局部
発振器5からの局部発振周波数信号を用いて中間周波数
信号に変換される。変換された二つの中間周波数信号
は、混合器6により方位情報のみを有する中間周波数信
号として取り出され、周波数弁別器7に送られ、この周
波数弁別器(ディスクリミネータ)7により検波されて
方位情報が表示器8に表示される。
【0003】このような装置では、方位アンテナ2は、
図10に示すように、円周上にM本のアンテナ素子2−
1〜2−Mが等間隔に配置されて構成されており、各ア
ンテナ素子2−1〜2−Mの出力は、スイッチ9により
一定速度で切り換えられる。このとき、空間的に各アン
テナ素子2−1〜2−Mへの電波の到来位相が順次シフ
トしていくため、アンテナ切換出力における信号の位相
は、アンテナ切り換えの1周期長を周期とする正弦波に
よる周波数変調を受けて周波数変換器4に入力される。
【0004】そして、この周波数変調成分を周波数弁別
器7により検波すると、検波された信号は、図11
(a)に示すように、N段の階段波状の正弦波形とな
る。この正弦波形を積分して基本波成分のみを抽出し
て、図11(b)に示す回転正弦波信号(方位信号)
と、図11(c)に示す方位基準信号を得て、回転正弦
波信号と方位基準信号との位相差θが到来方位につれて
変化することにより、電波の到来方向を求める。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ドップラ方位測定装置にあっては、次のような問題点が
あった。
【0006】まず、十分な方位測定精度を得るには、検
波後の帯域幅を狭くすることが必要で、方位検出の応答
時間は遅い。従来の装置では、アンテナ切り換え周波数
は数十Hzで、方位検出の応答時間は約1秒である。こ
のため、アナログ方式の周波数弁別器を用いる従来のド
ップラー方位測定装置は、高速測定を要求される自動測
定等には不向きであった。
【0007】また、ドップラー方位測定装置において
は、円形配列アンテナである方位アンテナ2の直径が測
定する電波の1波長を超えてしまうと、理想的な位相検
波器でも表現できる位相の範囲が一般には±πの範囲に
限られる。このため、位相検波した出力には不連続が生
じてしまい、復調した回転正弦波信号が正しく再生され
ないという問題があった。
【0008】さらに、従来の技術では、アナログ位相検
波器を使用するのが一般的であるが、このアナログ位相
検波器は、直線性の良い範囲が狭く、たかだか±1/2
πまでの位相差を表現できるに過ぎないので、±πの範
囲を直線性良く表現することが困難であった。
【0009】また、復調した回転正弦波信号は、信号が
弱い場合にはノイズを付加された信号となるため、その
ままでは位相の測定が容易でなく、できるだけ狭帯域の
フィルタを通過させて位相ジッタを抑えていた。しか
し、狭帯域化によりますます方位検出の応答時間を遅ら
せることになっていた。
【0010】本発明の目的は、上記事情を考慮してなさ
れたもので、デジタル信号処理により直線性の良い位相
検波を施し、より簡単な計算で方位測定が行え、しかも
回転正弦波信号を正確に再生することができる方位測定
装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を解決
するために以下の構成とした。本発明の方位測定装置
は、円周上に等間隔に配置された複数のアンテナ素子を
所定の回転周波数で順次走査して得られる信号と基準信
号との位相差に基づき、受信電波の到来方向を検出する
方位測定装置において、各アンテナ素子からの信号及び
基準信号のそれぞれをデジタル信号に変換する変換手段
と、この変換手段から出力される各アンテナ素子からの
信号と基準信号とを乗算することにより位相検波して回
転周波数を含む回転正弦波信号を得る位相検波手段と、
この位相検波手段からの回転正弦波信号に対して、方位
基準信号をフレーム開始点とする高速フーリエ変換処理
を行い高速フーリエ変換出力を得る高速フーリエ変換手
段と、この高速フーリエ変換手段で得られた高速フーリ
エ変換出力におけるスペクトラムの内の前記回転周波数
に相当する周波数成分ベクトルの方位角から受信電波の
到来方向を演算する方位演算手段とを備えることを特徴
とする。
【0012】この発明によれば、変換手段が各アンテナ
素子からの信号及び基準信号のそれぞれをデジタル信号
に変換すると、位相検波手段は、変換手段から出力され
る各アンテナ素子からの信号と基準信号とを乗算するこ
とにより位相検波して回転周波数を含む回転正弦波信号
を得る。すなわち、デジタル信号処理により直線性の良
い位相検波を施すので、±πまで直線性の良い位相検波
が可能となる。また、高速フーリエ変換手段が位相検波
手段からの回転正弦波信号に対して、方位基準信号をフ
レーム開始点とする高速フーリエ変換処理を行い高速フ
ーリエ変換出力を得て、方位演算手段が高速フーリエ変
換手段で得られた高速フーリエ変換出力におけるスペク
トラムの内の回転周波数に相当する周波数成分ベクトル
の方位角から受信電波の到来方向を演算する。すなわ
ち、直接、方位角を計算できるので、より簡単な計算で
方位測定を行える。
【0013】また、複数のアンテナ素子の走査において
隣接アンテナ素子間のスイッチ時の位相ジャンプ量が±
πを超えない受信周波数範囲、アンテナ配列直径、及び
素子数の条件内で動作せることを条件に、位相検波手段
で得られた回転正弦波信号の位相表現範囲を±Nπ
(N:正の整数)まで拡大する位相角拡大処理手段を備
えることを特徴とする。
【0014】この発明によれば、位相角拡大処理手段
は、複数のアンテナ素子の走査において隣接アンテナ素
子間のスイッチ時の位相ジャンプ量が±πを超えない受
信周波数範囲、アンテナ配列直径、及び素子数の条件内
で動作せることを条件に、位相検波手段で得られた回転
正弦波信号の位相表現範囲を±Nπまで拡大するので、
回転正弦波信号を不連続なしに正確に再生でき、同一の
アンテナ配列直径、素子数における使用可能な周波数範
囲を拡大することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の方位測定装置の実
施の形態について説明する。図1は実施の形態の方位測
定装置の構成図である。図1において、受信アンテナ1
は、指向性を持つアンテナであり、基準信号を周波数変
換器3に出力する。方位アンテナ2は、図10に示すよ
うに、円周上にM本のアンテナ素子2−1〜2−Mが等
間隔に配置されて構成されており、各アンテナ素子2−
1〜2−Mの出力は、スイッチ9により所定の回転周波
数Fで切り換えられる。このとき、空間的に各アンテナ
素子2−1〜2−Mへの電波の到来位相が順次シフトし
ていくため、アンテナ切換出力における信号の位相は、
アンテナ切り換えの1周期長を周期とする正弦波による
位相変調を受けて周波数変換器4に入力される。
【0016】周波数変換器3は、受信アンテナ1からの
基準信号を局部発振器5からの局部発振周波数信号を用
いて中間周波数信号に変換する。周波数変換器4は、方
位アンテナ2からの回転正弦波信号を局部発振器5から
の局部発振周波数信号を用いて中間周波数信号に変換す
る。
【0017】A/D変換器16は、周波数変換器3から
の中間周波数信号をデジタル信号に変換し、変換された
信号を基準IF信号として位相検波器8に出力する。A
/D変換器17は、周波数変換器4からの中間周波数信
号をデジタル信号に変換し、変換された信号を回転IF
信号として位相検波器18に出力する。A/D変換器1
6,17は、本発明の変換手段に対応する。
【0018】位相検波器18は、本発明の位相検波手段
に対応し、A/D変換器16からの基準IF信号とA/
D変換器17からの回転IF信号とを複素乗算すること
により位相検波して回転周波数Fを含む回転正弦波信号
を得る。位相角算出部19は、位相検波器18で得られ
た回転正弦波信号のベクトルから位相角を算出する。
【0019】位相角拡大処理部20は、本発明の位相角
拡大処理手段に対応し、位相角算出部19で得られた回
転正弦波信号の位相角に基づき、方位アンテナ2の走査
において隣接アンテナ素子間のスイッチ時の位相ジャン
プ量が±πを超えない受信周波数範囲、アンテナ配列直
径、及びアンテナ素子数等の条件内で動作させることを
条件に、回転正弦波信号の位相表現範囲を±Nπ(N:
正の整数)まで拡大する処理を行う。
【0020】FFT処理部21は、本発明の高速フーリ
エ変換手段に対応し、位相角拡大処理部20で処理され
た回転正弦波信号に対して、方位基準信号(例えば真北
パルス信号)をフレーム開始点とする複素高速フーリエ
変換(以下、複素FFTと略称する。)処理を行い複素
スペクトラムを得る。
【0021】方位角算出部23は、FFT処理部21で
得られた複素スペクトラムの中から既定の回転周波数に
相当する回転周波数成分を抽出し、抽出された回転周波
数成分の複素数(ベクトル)の方位角を算出する。
【0022】次にこのように構成された実施の形態の方
位測定装置の動作を説明する。まず、アンテナ素子数N
からなる方位アンテナ2の出力は、スイッチ9により回
転周波数Fで切り換えスキャンされて、方位アンテナ2
の出力には階段状に位相ジャンプを加えられて位相変調
を受けた回転正弦波信号が得られる。
【0023】この回転正弦波信号は、周波数変換器4に
入力され、局部発振器5からの局部発振周波数信号を用
いて周波数変換器4により中間周波数信号に変換され
る。その後、この中間周波数信号は、A/D変換器17
により、デジタル処理のために、A/D変換され、ある
サンプルレートの離散直交(I/Q)デジタルベースバ
ンド信号に変換される。この信号を回転IF信号とい
う。
【0024】一方、基準アンテナとしての受信アンテナ
1の出力も同様に別の周波数変換器3に入力され、局部
発振器5からの局部発振周波数信号を用いて周波数変換
器3により中間周波数信号に変換される。その後、この
中間周波数信号は、A/D変換器16により、A/D変
換され、直交(I/Q)デジタルベースバンド信号に変
換される。この信号を基準IF信号という。
【0025】なお、基準IF信号と回転IF信号の受信
系は、完全に同期している必要はないが、両者のA/D
変換器16,17は、同期して動作し、両者のサンプル
データは、1対1に対応していることが必要である。ま
た、両受信系統の遅延時間は、ほぼ同一であり、フィル
タ処理も同等のものであることが必要であるが、絶対位
相差として厳密に管理する必要はない(1/2サンプル
周期程度の遅延時間差は許容できるものとする)。
【0026】次に、基準IF信号と回転IF信号のそれ
ぞれの振幅変調成分を除去するために、基準IF信号と
回転IF信号に対してサンプル単位で振幅の正規化を行
う。そして、位相検波器18は、デジタル信号処理によ
り、基準IF信号と回転IF信号とに対して複素乗算を
行うことにより、位相検波して位相復調信号としてのベ
クトルデータ(I/Q)を得る。すなわち、基準IF信
号を用いて回転正弦波信号を得る。
【0027】このベクトルデータは、実部データDrと
虚部データDiとからなる。このため、位相角算出部1
9は、実部データDrと虚部データDiとを用いて式
(1)を演算することにより位相角信号θを算出する。
【0028】 θ=tan-1(Di/Dr) ・・・(1) 得られた位相角は、±πの範囲の値であるが、このまま
では位相角に不連続があるので、以下の判断基準により
計算を行い、位相表現範囲を拡大して位相角の不連続性
を除去する。
【0029】位相角信号の隣接サンプル間には、アンテ
ナ配列直径、アンテナ素子数、受信周波数の関係によ
り、ノイズ付加による影響を無視すれば、以下の最大位
相ジャンプ量Φmaxが存在する。
【0030】アンテナ配列直径:D(m)、素子数:
n、受信周波数:f(MHz)、波長:λ=300/f
(m)とすると、Φmax=(2πD/λ)sin(π
/n)である。
【0031】例えば、f=10MHz、D=20m、n
=8素子とすると、Φmax=(40π/30)sin
(π/8)=1.6rad(ラジアン) 従って、この値が±πを超えない範囲で動作させれば、
隣接サンプル間の位相差は、πを超えないという条件が
成立するので、見かけ上の値が超えている場合には2π
だけ逆方向へ位相角を補正すればよく、次の計算によ
り、位相不確定性を除去した表現が可能である。
【0032】そこで、位相角拡大処理部20は、図2に
示すようなフローチャートに示す処理を行う。
【0033】まず、隣接するアンテナ素子間のスイッチ
時に発生する位相ジャンプ量は、受信周波数、円形配列
アンテナの直径、素子数等の条件から、±πを超えない
ものとする。また、位相検波器18の位相検波出力にお
けるn番目の回転信号サンプルの位相角を位相角算出部
19により求め、この値をφn(n=1,2・・・)と
する。ここでφnは、±πの範囲で表現される。次に、
位相角表現範囲拡大後の位相角(位相角拡大処理部20
の出力)をθnとする。
【0034】図2に示したように、現在の位相角φnか
ら直前の位相角φn−1を減算した位相差Δを求め、位
相差Δの範囲により位相角θnの値を決定する。すなわ
ち、位相差Δが±πの範囲内であれば(ステップS11
のYES)、単に直前の表示範囲拡大後の位相角θn−
1に位相差Δを加えて位相角θnとする(ステップS1
3)。また、位相差Δが+π以上であれば(ステップS
15のYES)、同じく位相角θn−1に位相差Δを加
えてから更に2πを減ずる(ステップS17)。位相差
Δが−π以下であれば(ステップS19のYES)、同
様に位相角θn−1に位相差Δを加えてから更に2πを
加える(ステップS21)。このような操作を行って位
相角θnとする。さらに、次のサンプルの処理を行う
(ステップS23)。結果として得られる位相角θnは
その表示範囲が拡大され、連続した波形データを得るこ
とができる。
【0035】すなわち、回転正弦波信号を不連続なしに
正確に再生でき、同一のアンテナ配列直径、素子数にお
ける使用可能な周波数範囲を拡大することができる。
【0036】次に、FFT処理部21は、位相角拡大処
理部20で得られた正弦波形に対し、回転基準(例えば
真北位置)に相当するA/D変換(サンプルタイミン
グ)に同期したパルスをフレームの開始点とする複素F
FT処理を行う。
【0037】ここで、FFT処理の周波数ポイント数を
多くとれば、よりフィルタリングが確実になって測定誤
差が減少する。また、FFT処理の周波数ポイント数を
少なくとれば、より短時間の測定に適する。従って、必
要に応じてFFT処理の周波数ポイント数を柔軟に変更
することができる。
【0038】なお、FFT処理を行う前に、当該フレー
ム内で位相サンプルの平均値を求め、その平均値分だけ
回転正弦波信号を補正してDCオフセットを極小にする
ことにより、FFT結果におけるDC成分を抑えること
ができる。
【0039】次に、FFT処理部21で得られたFFT
結果には回転周波数成分にピークが現れるため、方位角
算出部23は、この回転周波数成分を抽出し、抽出され
た回転周波数成分の複素数(ベクトル)の方位角を求め
る。
【0040】すなわち、求められた方位角は、回転基準
からの位相差を表わしているので、方位角の読み値に受
信系の遅れ時間等による補正値を加減算したものを電波
の到来方向とすることができる。このFFT処理部21
のFFT処理により、直接、方位角を計算できるので、
より簡単な計算で方位測定を行える。
【0041】次に、位相拡大処理部20から出力される
回転正弦波信号波形をFFT処理したFFT結果の具体
的な例をいくつか説明する。
【0042】図3に位相角拡大処理部20から出力され
る回転正弦波信号波形の例1を示し、図4に図3に示す
回転正弦波信号波形をFFT処理したFFT結果を示
す。この例1では、受信周波数5MHz、波長60m、
アンテナ配列直径30m、半径分位相1.6ラジアン、
アンテナ素子数16本、最大位相ジャンプ量0.6ラジ
アン、回転周波数0.094kHz、C/N比80dB
Hz、入射角50度、測定結果50.3度、測定誤差−
0.3度である。図4に示すFFT結果の出力ルレベル
がピーク値を表している回転周波数は、0.094kH
zであり、この回転周波数成分のベクトルの方位角を求
めると、その方位角、すなわち測定結果は50.3度と
なる。この例1では、比較的C/Nが高く、測定誤差も
小さい。また、比較的低い周波数5MHzを用いたの
で、最大位相ジャンプ量を低く抑えることができる。
【0043】また、図5に位相角拡大処理部20から出
力される回転正弦波信号波形の例2を示し、図6に図5
に示す回転正弦波信号波形をFFT処理したFFT結果
を示す。この例2では、受信周波数5MHz、波長60
m、アンテナ配列直径30m、半径分位相1.6ラジア
ン、アンテナ素子数16本、最大位相ジャンプ量0.6
ラジアン、回転周波数0.094kHz、C/N比40
dBHz、入射角50度、測定結果49.7度、測定誤
差0.3度である。図6に示すFFT結果の出力ルレベ
ルがピーク値を表している回転周波数は、0.094k
Hzであり、この回転周波数成分のベクトルの方位角を
求めると、その方位角、すなわち測定結果は49.72
度となる。この例2では、C/Nが悪い場合の例であ
る。回転正弦波信号波形からは位相を読み取ることが困
難であるが、FFT出力の方位角では正確に測定されて
いることがわかる。
【0044】さらに、図7に位相角拡大処理部20から
出力される回転正弦波信号波形の例3を示し、図8に図
7に示す回転正弦波信号波形をFFT処理したFFT結
果を示す。この例3では、受信周波数20MHz、波長
15m、アンテナ配列直径30m、半径分位相6.3ラ
ジアン、アンテナ素子数16本、最大位相ジャンプ量
2.5ラジアン、回転周波数0.094kHz、C/N
比80dBHz、入射角50度、測定結果49.3度、
測定誤差0.7度である。図8に示すFFT結果の出力
ルレベルがピーク値を表している回転周波数は、0.0
94kHzであり、この回転周波数成分のベクトルの方
位角を求めると、その方位角、すなわち測定結果は4
9.3度となる。この例3では、回転正弦波信号の位相
が±πを超えるような条件として、周波数を高くしたも
のである。この場合には、位相角拡大処理部20の位相
角拡大処理により、回転正弦波信号の位相角が±π以上
の範囲で拡大されて、正弦波である回転正弦波信号が正
しく再現されていることがわかる。なお、例3では、回
転正弦波信号の位相角にDCオフセットがある。このた
め、DCオフセット補正を行い、DCオフセットを除去
している。
【0045】このように実施の形態の方位測定装置によ
れば、デジタル処理を用い正規化という操作で振幅変調
成分を簡単に除去することができる。また、デジタル信
号処理による複素乗算と位相角への変換により、完全に
リニアな位相検波を実現することができる。
【0046】また、FFT処理部21及び方位角算出部
23の処理により、直接、方位角を計算できるので、よ
り簡単な計算で方位測定を行える。また、位相角拡大処
理部20の処理により、回転正弦波信号を不連続なしに
正確に再生できる。
【0047】また、デジタル演算により位相の表現範囲
を拡大するという考えは、円形配列アンテナという物理
的条件下において、原理的に位相ジャンプ量が制限され
るということに着目しており、雑音が付加される実際の
条件では、想定以上に位相ジャンプすることも当然考え
られる。
【0048】しかしながら、このような場合でも、FF
T処理部21のFFT処理により方位角を求めるという
方法は、多少の不連続にも影響を受け難いという性質が
あるため、有効に作用し、測定不能とはならない。特
に、従来の方法では、検波波形が雑音により見にくくな
ると、ゼロクロス等の判定が困難で測定不能に陥るが、
このFFT処理によれば、何らかの測定値は必ず出ると
いう利点がある。
【0049】FFT処理により方位角を求める方法は、
信号の長短によりFFTの分解能を自在に変えて測定で
きるという柔軟性を持ち、またこのように測定パラメー
タを変えても角度の補正が原則的に不要であるという特
長を持っている。
【0050】以上説明したように、本発明は従来のドッ
プラー方位測定装置の欠点を基本的に除去し、デジタル
処理により個々の調整も不要とし、かつデジタル信号処
理自体も極めて単純な演算だけに限定できているので、
実際のシステムへの適用が極めて容易でかつ低コストと
なる。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
デジタル信号処理により直線性の良い位相検波を施し、
より簡単な計算で方位測定が行え、しかも回転正弦波信
号を正確に再生することができる方位測定装置を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施の形態の方位測定装置の構成図であ
る。
【図2】実施の形態の方位測定装置に設けられた位相角
拡大処理部の処理を示すフローチャートである。
【図3】位相角拡大処理部から出力される回転正弦波信
号波形の例1を示す図である。
【図4】図3に示す回転正弦波信号波形をFFT処理し
たFFT結果を示す図である。
【図5】位相角拡大処理部から出力される回転正弦波信
号波形の例2を示す図である。
【図6】図5に示す回転正弦波信号波形をFFT処理し
たFFT結果を示す図である。
【図7】位相角拡大処理部から出力される回転正弦波信
号波形の例3を示す図である。
【図8】図7に示す回転正弦波信号波形をFFT処理し
たFFT結果を示す図である。
【図9】従来のドップラー方位測定装置の代表的な構成
図である。
【図10】従来のドップラー方位測定装置に設けられた
方位アンテナの構成図である。
【図11】従来のドップラー方位測定装置に設けられた
周波数弁別器の各検波波形を示す図である。
【符号の説明】
1 受信アンテナ 2 方位アンテナ 3,4 周波数変換器 5 局部発振器 6 混合器 7 周波数弁別器 8 表示器 9 スイッチ 16,17 A/D変換器 18 位相検波器 19 位相角算出部 20 位相角拡大処理部 21 FFT処理部 23 方位角算出部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円周上に等間隔に配置された複数のアン
    テナ素子を所定の回転周波数で順次走査して得られる信
    号と基準信号との位相差に基づき、受信電波の到来方向
    を検出する方位測定装置において、 各アンテナ素子からの信号及び前記基準信号のそれぞれ
    をデジタル信号に変換する変換手段と、 この変換手段から出力される各アンテナ素子からの信号
    と前記基準信号とを乗算することにより位相検波して前
    記回転周波数を含む回転正弦波信号を得る位相検波手段
    と、 この位相検波手段からの回転正弦波信号に対して、方位
    基準信号をフレーム開始点とする高速フーリエ変換処理
    を行い高速フーリエ変換出力を得る高速フーリエ変換手
    段と、 この高速フーリエ変換手段で得られた高速フーリエ変換
    出力におけるスペクトラムの内の前記回転周波数に相当
    する周波数成分ベクトルの方位角から受信電波の到来方
    向を演算する方位演算手段と、を備えることを特徴とす
    る方位測定装置。
  2. 【請求項2】 前記複数のアンテナ素子の走査において
    隣接アンテナ素子間のスイッチ時の位相ジャンプ量が±
    πを超えない受信周波数範囲、アンテナ配列直径、及び
    素子数の条件内で動作せることを条件に、前記位相検波
    手段で得られた回転正弦波信号の位相表現範囲を±Nπ
    (N:正の整数)まで拡大する位相角拡大処理手段を備
    えることを特徴とする請求項1記載の方位測定装置。
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