JP2018063118A - 位相変動測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高安定な信号発生器からの信号の位相変動の評価を、基準信号源を用いずに行う。【解決手段】第1信号源からの信号を意図的に遅延させた信号と上記信号源からの信号とをアナログデジタル(AD)変換器で比較することで位相変動の測定を行う。単一周波数の電気信号を生成する第1信号源、第1信号源からの信号との位相関係を追跡可能な参照信号を入力してデジタル信号を出力するAD変換手段、その出力のデジタル信号を解析してその位相情報を抽出するデータ解析手段、第1信号源の信号を遅延させる遅延手段、を備え、AD変換手段のサンプリング信号を遅延させて、AD変換手段のデジタル出力の信号の位相の変化を時間差分値として測定する。また、第2信号源からの信号を2分岐し、その一方のAD変換手段のサンプリング信号のみを遅延させ、その遅延有りと無しの出力信号とを比較することで位相変動の測定を行う。【選択図】図1
Description
この発明は、高安定な信号源からの単一スペクトルの信号の位相変動を評価する測定装置であって、その被測定装置自身の過去に発生した信号と現在の信号とを比較することで、基準信号源を用いずに位相変動の測定を行うことのできる位相変動測定装置に関する。
発振器から出力される信号(被測定信号)の位相変動測定には、被測定信号に対して十分に低位相変動で生成周波数の高安定な基準信号源を用い、この基準信号源からの信号と位相比較して被測定信号の位相変動を評価する方法がある。DMTD(Dual Mixer Time Difference)法もその一つで測定精度は基準信号の精度に依存する。そのほか、スペアナ(スペクトラムアナライザ)法、オシロスコープ法、PLL(Phase Lock Loop)法などの測定技術がある。
上記DMTD法は、位相基準の信号を用い位相比較器でその位相基準の信号との位相差を計測する手法で、位相比較の基準となる発振器の信号精度が測定精度の限界となる。ここで、位相比較器は、2つの無変調信号の位相を直接比較する手段である。
また、相互相関法による解析手法もある。この相互相関法はPLL法の一つであり、位相変動の計測用に2系統のサンプリング回路を用いるものである。2系統の信号として、それぞれ異なる発振器からサンプリングクロックを入力する。そこに被測定信号を分岐して入力し、各系統でサンプリングした後、相関器を用いて相関のある被測定信号の位相変動成分のみを抽出する。
この解析手法のメリットの1つは、サンプリング回路で発生する位相変動は相関がないので相関器から出力されないことである。サンプリングしたデータの相関を計算して結果を積算することで測定時間は長くなるが、積算回数に応じて測定器の位相変動を低減できるという利点がある。例えば、100回の積算で測定系の位相変動を10dB、1000回で15dB、1万回で20dB低減できる。但し、測定時間は、相互相関法を適用しない場合に比べて100倍、1000倍、1万倍に延びる。
位相比較の基準信号に利用できる高安定かつ高精度の発振器を提供する技術としては、以下のものがある。
例えば、特許文献1(国際公開2008/099735号公報)に、位相雑音が共通で異なる周波数の出力できる発振器を利用する手法が開示されている。この開示では、例えば10MHzと5MHzの基準信号の両方を出力する発振器において、位相雑音が共通したものが出力できるものが用いられている。この構成で、10MHzを分周して5MHzを生成し、元々出力されている5MHzとの位相差をとると、発振器自身の位相雑音の1/2の位相変化分が得られる。従って、生成した5MHzを2倍した後、10MHzや5MHzの信号の位相から差し引けば、位相雑音の抑圧された基準信号が得られる。このように、位相雑音を補正した信号を基準信号に使用して被測定信号との位相差を計測すれば、被測定信号の位相雑音を直接求めることができる。
例えば、特許文献1(国際公開2008/099735号公報)に、位相雑音が共通で異なる周波数の出力できる発振器を利用する手法が開示されている。この開示では、例えば10MHzと5MHzの基準信号の両方を出力する発振器において、位相雑音が共通したものが出力できるものが用いられている。この構成で、10MHzを分周して5MHzを生成し、元々出力されている5MHzとの位相差をとると、発振器自身の位相雑音の1/2の位相変化分が得られる。従って、生成した5MHzを2倍した後、10MHzや5MHzの信号の位相から差し引けば、位相雑音の抑圧された基準信号が得られる。このように、位相雑音を補正した信号を基準信号に使用して被測定信号との位相差を計測すれば、被測定信号の位相雑音を直接求めることができる。
本発明は、検体である信号源の所定の期間の累積位相について、その累積位相の所定時間隔てた差分を計測し、その計測した差分の累積を求めることで被測定信号の位相変動を検出する測定装置を、提供するものである。
本発明は、概略、何らかの信号、例えば単一スペクトルの連続波を入力するアナログデジタル(AD)変換器のデジタル出力の
安定性がサンプリング信号の安定性に依存することに基づいている。つまり、本発明は、サンプリング信号に検体である発振器の信号を用い、そのデジタル出力を公開された方法(例えば、高速フーリエ変換法やデジタル直交復調法)で解析することによって、その検体の安定性、例えば位相変動特性を測定しようとするものである。より詳しくは、以下に示す。
安定性がサンプリング信号の安定性に依存することに基づいている。つまり、本発明は、サンプリング信号に検体である発振器の信号を用い、そのデジタル出力を公開された方法(例えば、高速フーリエ変換法やデジタル直交復調法)で解析することによって、その検体の安定性、例えば位相変動特性を測定しようとするものである。より詳しくは、以下に示す。
本発明の位相変動測定装置は、単一周波数の電気信号を生成する第1信号源、
上記第1信号源からの信号との位相関係を追跡可能な参照信号を入力してデジタル信号を出力するアナログデジタル変換手段、
上記アナログデジタル変換手段から出力されたデジタル信号を解析して前記デジタル信号の位相情報を抽出するデータ解析手段、
上記第1信号源からの信号を遅延させる遅延手段、を備え、
上記アナログデジタル変換手段へのサンプリング信号に上記遅延手段からの出力信号を用いて、上記第1信号源からの信号の上記遅延手段からの信号に対する位相の変化を測定することを特徴とするものである。
上記第1信号源からの信号との位相関係を追跡可能な参照信号を入力してデジタル信号を出力するアナログデジタル変換手段、
上記アナログデジタル変換手段から出力されたデジタル信号を解析して前記デジタル信号の位相情報を抽出するデータ解析手段、
上記第1信号源からの信号を遅延させる遅延手段、を備え、
上記アナログデジタル変換手段へのサンプリング信号に上記遅延手段からの出力信号を用いて、上記第1信号源からの信号の上記遅延手段からの信号に対する位相の変化を測定することを特徴とするものである。
また、本発明は、上記参照信号に上記第1信号源からの信号に同期した信号を用いることを特徴とするものである。
また、単一周波数の電気信号を生成する第1信号源、
参照信号を入力し、デジタル信号を出力する第1アナログデジタル変換手段および第2アナログデジタル変換手段、
上記第1および第2アナログデジタル変換手段の各々から出力されたデジタル信号を各々解析して前記デジタル信号の位相情報を各々抽出するデータ解析手段、
第1信号源からの信号を遅延させる遅延手段、を備え、
上記データ解析手段においては、
第1アナログデジタル変換手段へのサンプリング信号に上記遅延手段からの信号を用いて、上記参照信号に対する上記遅延手段からの信号の第1相対的位相を測定し、第2アナログデジタル変換手段へのサンプリング信号に第1信号源からの信号を用いて、上記参照信号に対する第1信号源からの信号の第2相対的位相を測定し、上記第1相対的位相と第2相対的位相とから、上記第1信号源からの信号の上記遅延手段からの信号に対する位相の変化を測定するものである。
参照信号を入力し、デジタル信号を出力する第1アナログデジタル変換手段および第2アナログデジタル変換手段、
上記第1および第2アナログデジタル変換手段の各々から出力されたデジタル信号を各々解析して前記デジタル信号の位相情報を各々抽出するデータ解析手段、
第1信号源からの信号を遅延させる遅延手段、を備え、
上記データ解析手段においては、
第1アナログデジタル変換手段へのサンプリング信号に上記遅延手段からの信号を用いて、上記参照信号に対する上記遅延手段からの信号の第1相対的位相を測定し、第2アナログデジタル変換手段へのサンプリング信号に第1信号源からの信号を用いて、上記参照信号に対する第1信号源からの信号の第2相対的位相を測定し、上記第1相対的位相と第2相対的位相とから、上記第1信号源からの信号の上記遅延手段からの信号に対する位相の変化を測定するものである。
この場合、第2アナログデジタル変換手段のサンプリング信号に第1信号源からの信号を用いて、参照信号をデジタル信号に変換する。このデジタル信号を、上記データ解析手段を用いて解析することで、第2相対的位相が得られ、上記参照信号について第1信号源からの信号との位相関係が追跡可能となる。
また、上記アナログデジタル変換手段には第1アナログデジタル変換手段が相当し、上記参照信号を、サンプリング信号として上記遅延手段で遅延した第1信号源からの信号を用い第1アナログデジタル変換手段でデジタル信号に変換する。このデジタル信号を上記データ解析手段で解析することで、上記参照信号と第1信号源からの信号との位相関係を示す第1相対的位相が得られる。
これら、第2相対的位相と第1相対的位相とから上記参照信号を媒介パラメータとして消去することで上記第1信号源からの信号の上記遅延手段からの信号に対する位相の変化を測定することができる。
また、上記アナログデジタル変換手段には第1アナログデジタル変換手段が相当し、上記参照信号を、サンプリング信号として上記遅延手段で遅延した第1信号源からの信号を用い第1アナログデジタル変換手段でデジタル信号に変換する。このデジタル信号を上記データ解析手段で解析することで、上記参照信号と第1信号源からの信号との位相関係を示す第1相対的位相が得られる。
これら、第2相対的位相と第1相対的位相とから上記参照信号を媒介パラメータとして消去することで上記第1信号源からの信号の上記遅延手段からの信号に対する位相の変化を測定することができる。
また、上記参照信号は所定の周波数帯域にあるマルチキャリア信号であり、上記データ解析手段は、前記マルチキャリア信号についてのデータ解析を許容するバンド幅を有するものである。
また、上記遅延手段は、遅延素子と回路切換手段とを備え、
上記回路切換手段は、上記遅延信号を生成するための回路と上記遅延素子の遅延特性を内部回路または外部回路を用いて測定するための回路とを切換えるものである。
上記回路切換手段は、上記遅延信号を生成するための回路と上記遅延素子の遅延特性を内部回路または外部回路を用いて測定するための回路とを切換えるものである。
また、上記第1信号源からの信号に同期した信号を用いて周波数変換を行う周波数変換手段を備え、
上記アナログデジタル変換手段への信号入力においては、上記周波数変換手段によって、上記アナログデジタル変換手段の入力許容帯域の周波数に変換した後、入力するものである。
上記アナログデジタル変換手段への信号入力においては、上記周波数変換手段によって、上記アナログデジタル変換手段の入力許容帯域の周波数に変換した後、入力するものである。
上記第1信号源からの信号の上記遅延手段からの信号に対する上記位相の変化を上記遅延手段の遅延時間毎に順次累積して位相変動を出力する。
本発明では、位相変動測定で直接比較するための基準信号を用いないため、その基準信号の位相変動による影響を除外することができ、直接比較の基準となる発振器の周波数安定度が測定精度の限界となるという従来の問題を、解決することができる。
以下に本発明について、ブロック図を用いて詳細に説明する。なお、ブロック図における符号については、同様の機能をもったブロックには、特別な事情のない限り、同じ符号を用いるものとする。
図1に、本発明の位相変動測定装置の基本となる構成例を示す。この構成例は、検体である信号源1、アナログデジタル(AD)変換手段3、データ解析手段4、を備え、上記信号源1の生成する電気信号の位相変動を測定するためのものである。但し、電源部や測定データの表示部や伝送を行う通信部等の記載が省略されている。ここで、信号源1は、単一周波数の電気信号を生成する信号源であり、AD変換手段3は、参照信号を入力し信号源1からの信号あるいはそれに同期した信号をサンプリング信号として量子化し、デジタル信号を生成するものである。一般に、このサンプリング信号の周波数は、上記参照信号の周波数の2倍以上であることが望ましい。この際、サンプリング信号が不安定である場合、上記で生成されるデジタル信号にはサンプリング信号の不安定性が反映される。このため、このデジタル信号から元の信号波形の再現に相当する処理を行うか、デジタル直交復調などの処理を行って位相情報を抽出することにより、参照信号とサンプリング信号との位相の相対的差異についての情報が得られる。
ここで、上記サンプリング信号には、信号源1からの信号を遅延手段2で所定の時間(ΔT)遅延させた信号を用いる。また、参照信号には、信号源1からの信号との位相関係を追跡可能な信号を用いる。この構成によって、信号源1からの信号は、上記AD変換手段3で、上記遅延時間(ΔT)だけ前に生成された信号源1からの信号に同期したタイミングで量子化されデジタル信号に変換される。このデジタル信号から抽出される位相差情報は、上記参照信号と信号源1からの信号との位相関係を追跡することで、信号源1で生成された信号の位相変動の時間差分または時間差分係数に換算することができる。
つまり、上記相対的差異から信号源1の信号の位相変動の時間差分が得られる。この時間差分については、上記遅延手段2の遅延時間ごとに順次接続するように累積することで、位相変動の時間的変化を得ることが出来る。
つまり、上記相対的差異から信号源1の信号の位相変動の時間差分が得られる。この時間差分については、上記遅延手段2の遅延時間ごとに順次接続するように累積することで、位相変動の時間的変化を得ることが出来る。
上記参照信号の最も簡単な例は、信号源1からの信号を用いることである。図2に、この例を汎用化したものを示す。
図2に示す例では、図1における参照信号に、信号源1からの信号に同期した信号発生手段10からの信号を用いる。信号発生手段10で生成される信号は、単一周波数の正弦波が最も簡単なものであるが、データ解析手段4で解析可能な信号であれば、アナログ変調波やデジタル信号で変調した信号であってもよい。
AD変換手段3でデジタルデータ化された参照信号の位相情報は、直交復調やフーリエ解析などによって抽出できることが知られている。
図2に示す例では、図1における参照信号に、信号源1からの信号に同期した信号発生手段10からの信号を用いる。信号発生手段10で生成される信号は、単一周波数の正弦波が最も簡単なものであるが、データ解析手段4で解析可能な信号であれば、アナログ変調波やデジタル信号で変調した信号であってもよい。
AD変換手段3でデジタルデータ化された参照信号の位相情報は、直交復調やフーリエ解析などによって抽出できることが知られている。
図3に示す構成では、信号源1からの信号をそれぞれ異なる遅延時間で遅延させた各々のサンプリング信号を用いて、自走発振器を備える信号発生手段10からの参照信号を同じ特性のAD変換手段3a、3bで、各々量子化してデジタル信号にする。ここで、AD変換手段3a、3bのどちらか一方の遅延時間はゼロであってもよい。例えば、遅延1については、遅延時間がゼロである場合、つまり遅延器を用いない構成も許すものとする。
データ解析手段4では、上記の各デジタル信号から上記参照信号の位相を媒介変数として、AD変換手段3a、3bで得られたデジタル信号から遅延手段2a、2bの各々の遅延時間差による位相差を求める。
なお、図3においては、遅延器3a、3bを用いて累積的に遅延時間が増加する回路を用いているが、信号源1からの信号を分岐して、それぞれに異なる遅延時間の遅延器を用いる構成であってもよい。
データ解析手段4では、上記の各デジタル信号から上記参照信号の位相を媒介変数として、AD変換手段3a、3bで得られたデジタル信号から遅延手段2a、2bの各々の遅延時間差による位相差を求める。
なお、図3においては、遅延器3a、3bを用いて累積的に遅延時間が増加する回路を用いているが、信号源1からの信号を分岐して、それぞれに異なる遅延時間の遅延器を用いる構成であってもよい。
また、図3においては、信号発生手段10は、信号源1から独立している。このため、信号発生手段10からの信号は、外部からの信号であってもよく、例えば無線伝送による信号を共通の受信手段で受信したのち、分岐して各AD変換手段に入力してもよい。
また、信号発生手段10からの信号は、媒介変数として使用されるだけで、やがて消去されるものであるので、種々の変調波を用いることができる。例えば、連続波(CW)の他に振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、位相シフトキーイング変調(PSK)、直角位相振幅変調(QAM)、直交周波数分割多重変調(OFDM)などであり、種々の通信や放送に使われる信号を用いることが出来る。
また、信号発生手段10からの信号は、媒介変数として使用されるだけで、やがて消去されるものであるので、種々の変調波を用いることができる。例えば、連続波(CW)の他に振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、位相シフトキーイング変調(PSK)、直角位相振幅変調(QAM)、直交周波数分割多重変調(OFDM)などであり、種々の通信や放送に使われる信号を用いることが出来る。
図4に、信号発生手段15の信号発生器15−2からの信号を一旦アップコンバージョンし、伝送の後ダウンコンバージョンする例を示す。このアップコンバージョンに当たっては、発振器15−1からの信号に同期したローカル信号と上記信号発生器15−2からの信号とを混合し、一方の側帯波を濾波器で濾波している。これは、上記発振器15−1には安定度が高いものを用いるが、上記信号発生器とローカル信号の信号源とに別々に安定度の高い信号源を用意することを避けるためである。
信号発生手段15から伝送された信号を受信し、周波数変換手段11で周波数変換して、それ以降の回路の周波数帯域に納まる様にする。この際のローカル信号には、信号源1からの信号に同期した信号を用いているが、必ずしも信号源1からの信号に同期した信号を用いる必要はない。しかし、なるべく安定な信号源に同期させることによって、突発的な位相の飛びなどを抑制することができる。このローカル信号と混合された信号は濾波器で濾波された後2分岐される。その一方の分岐信号については、信号源1からの信号をサンプリング信号に用いてデジタル信号に変換し、他方の分岐信号は信号源1からの信号を遅延手段2で遅延させた信号をサンプリング信号に用いてデジタル信号へ変換し、これらのデジタル信号を比較する。このように、それぞれの分岐信号のサンプリング信号に時間差をつけることでクロックジッタの変動をデジタル値の変動に転化し、これでクロックジッタの変動を抽出することで位相変動測定装置が構成される。
また、図4(b)の例では、遅延手段2の実施例の遅延ユニットであり、遅延素子とその遅延素子の遅延時間特性を測定するための回路切換手段とを備えている。
図4(a)、(b)に示す位相変動測定装置は、次の様に動作させる。
(イ) 信号源1では、発振器1−1の出力信号(被測定信号)は信号発生器1−2に入力され、発振器1−1の出力信号に同期した信号が生成される。信号発生器1−2からは、例えば10MHzの基準信号が出力される。信号発生器1−2で生成される信号は、正弦波に限る必要はなく、AD変換器によっては、サンプリング信号として矩形波、三角波、鋸歯状波、パルス波などを許容するものがある。
(ロ) 測定にあたり、回路切換手段5のSW5−1を信号発生器1−2から直接入力する経路に切換えることで、信号発生器1−2からの信号をAD変換器16でデジタル化し、信号発生器1−2からの信号の位相を読み取り、読み取り値を基準位相とする。
(ハ) 次に、上記SW5−1を切換えて遅延器2−1とAD変換器16とを接続する。遅延器2−1の遅延時間を計測するには、遅延時間計測/制御器17を用いる。
(ニ) この計測に当たっては、次の様に、先ず回路切換手段5のSW5−2をオープン(解放)にする。そして、AD変換器16からの信号をモニタして信号発生器1−2からの信号の強度が零(off)になる時点で計測開始時刻を決定してSW5−2をショート(短絡)し、同時に遅延時間計測/制御器17のクロックカウントを零から開始する。
(ホ) AD変換器16に信号発生器1−2からの信号の立ち上がりを検出した時点で上記クロックカウントを停止する。
(ヘ) 上記クロックカウントを停止した時点の信号発生器1−2からの信号の立ち上がり時点での位相角を求める。上記クロックカウント数に、上記基準位相から上記立ち上がり時点の位相角までの差を上記計数に変換した分を加え、この結果にサンプリング時間間隔を乗じたものが遅延時間となる。
(ト) 遅延器2−1に設けた温度、湿度、大気圧などのセンサーからの情報を取り込む。
(チ) 上記の様に遅延器2−1の遅延時間を確定した後は、SW5−2をショート(短絡)した状態で、信号源1からの信号を遅延手段2に通し、この出力信号をAD変換器3bのサンプリング信号に用いて、位相変動測定を行う。この測定と並行して、上記センサーからの温度、気圧、湿度などの環境測定を行い、それらの変化による遅延手段の遅延特性の変動の補正を実施する。
(イ) 信号源1では、発振器1−1の出力信号(被測定信号)は信号発生器1−2に入力され、発振器1−1の出力信号に同期した信号が生成される。信号発生器1−2からは、例えば10MHzの基準信号が出力される。信号発生器1−2で生成される信号は、正弦波に限る必要はなく、AD変換器によっては、サンプリング信号として矩形波、三角波、鋸歯状波、パルス波などを許容するものがある。
(ロ) 測定にあたり、回路切換手段5のSW5−1を信号発生器1−2から直接入力する経路に切換えることで、信号発生器1−2からの信号をAD変換器16でデジタル化し、信号発生器1−2からの信号の位相を読み取り、読み取り値を基準位相とする。
(ハ) 次に、上記SW5−1を切換えて遅延器2−1とAD変換器16とを接続する。遅延器2−1の遅延時間を計測するには、遅延時間計測/制御器17を用いる。
(ニ) この計測に当たっては、次の様に、先ず回路切換手段5のSW5−2をオープン(解放)にする。そして、AD変換器16からの信号をモニタして信号発生器1−2からの信号の強度が零(off)になる時点で計測開始時刻を決定してSW5−2をショート(短絡)し、同時に遅延時間計測/制御器17のクロックカウントを零から開始する。
(ホ) AD変換器16に信号発生器1−2からの信号の立ち上がりを検出した時点で上記クロックカウントを停止する。
(ヘ) 上記クロックカウントを停止した時点の信号発生器1−2からの信号の立ち上がり時点での位相角を求める。上記クロックカウント数に、上記基準位相から上記立ち上がり時点の位相角までの差を上記計数に変換した分を加え、この結果にサンプリング時間間隔を乗じたものが遅延時間となる。
(ト) 遅延器2−1に設けた温度、湿度、大気圧などのセンサーからの情報を取り込む。
(チ) 上記の様に遅延器2−1の遅延時間を確定した後は、SW5−2をショート(短絡)した状態で、信号源1からの信号を遅延手段2に通し、この出力信号をAD変換器3bのサンプリング信号に用いて、位相変動測定を行う。この測定と並行して、上記センサーからの温度、気圧、湿度などの環境測定を行い、それらの変化による遅延手段の遅延特性の変動の補正を実施する。
図4の構成に於いて、信号発生手段15の出力を、電波や光波で伝送し、これをアンテナや受光器で受信して、その受信信号を周波数変換手段11に入力する構成にすることも可能である。この場合も上記の場合と同様に、マルチキャリア信号が周波数変換手段11に入力するようにすることで、測定結果を平均化することが容易になり、その結果、測定ノイズが抑制される。
一般に、発振器の示す緩慢な位相変動成分を検出するには、なるべく遅延時間特性の大きい遅延素子が望まれる。従来の遅延素子としては、一時期コンピュータの記憶装置として用いられた水銀遅延素子や個体の表面波伝搬やバルク中の音波伝搬を用いた遅延素子は既によく知られており、本発明でもこれらの遅延素子を用いることができる。
また、これらの遅延素子に比べてさらに大きな遅延時間を実現するには、気体中の音波伝搬を利用することができる。この空気を用いた場合の遅延ユニット例を図5(a)に示す。例えば、1気圧0℃での音速は、乾燥空気は331m/秒、二酸化炭素では258m/秒であることが知られており、1mの伝搬で、それぞれ約3ミリ秒、約4ミリ秒の遅延になる。図5(a)に示す遅延手段は、外部の雑音から分離するための容器に入れられ、発音器から超音波を発し受音器で受音するまでの音波伝搬時間を遅延時間とする遅延ユニットである。また、音波伝搬速度の温度依存性等による影響を抑制することは、頻繁に遅延時間を測定することで可能である。しかし、上記遅延ユニット中に、気温、気圧、湿度等のセンサーを備え、そこから得られるデータを基にデータ処理手段で上記の遅延時間を補正することによって、上記の様に頻繁に遅延時間を測定することを抑制することも可能である。
図5(a)に示す遅延手段の構成では、超音波の気体中の伝搬を用いることから、信号源1からの例えば10MHzの信号を直接伝搬させることはせず、この信号に同期して、例えば40kHzの信号を生成してこれを利用する。
このための構成例を図5(b)に示す。この例では、遅延器に入力された信号は、順に、周波数ダウンコンバージョンを受け、遅延ユニットによる遅延を受け、周波数アップコンバージョンを受けて出力される。ここで、上記周波数ダウンコンバージョンは、例えば、信号源1の信号からローカル信号(局発−D)を生成し、入力信号と混合し、不要な信号を濾波することで可能である。また、上記周波数アップコンバージョンは、信号源1の出力信号からローカル信号(局発−U)を生成し、入力信号と混合し、不要な信号を濾波することで可能である。この構成では、2つのローカル信号を信号源1に同期させることで、信号源1の位相変動による周波数変換への影響を相殺させている。
このための構成例を図5(b)に示す。この例では、遅延器に入力された信号は、順に、周波数ダウンコンバージョンを受け、遅延ユニットによる遅延を受け、周波数アップコンバージョンを受けて出力される。ここで、上記周波数ダウンコンバージョンは、例えば、信号源1の信号からローカル信号(局発−D)を生成し、入力信号と混合し、不要な信号を濾波することで可能である。また、上記周波数アップコンバージョンは、信号源1の出力信号からローカル信号(局発−U)を生成し、入力信号と混合し、不要な信号を濾波することで可能である。この構成では、2つのローカル信号を信号源1に同期させることで、信号源1の位相変動による周波数変換への影響を相殺させている。
本発明は、信号発生器(発振器)単体で、自らの位相変動を測定する機能が特長であるが、実験では基準位相と比較する位相差計を用いて検証する。そのため、本発明の基本回路を2系統並行に用いる。まず、各系統から1つで都合2つの発振器からの信号の位相差を位相差計DPMで計測し、各系統で独立に遅延ユニットとAD変換器を介して発振器の位相を計測し、その位相変動を求め、同時に、位相差計DMTDにより各系統から1つで都合2つの遅延ユニットの各出力信号の位相差を計測する。ここでは、遅延ユニットにデジタル遅延回路を用いたため、遅延回路内のクロックによるジッタが生じて位相計測に誤差を生じる。これを相殺するため、2つの遅延ユニットの出力信号を位相差計DMTDで計測しておく。
つまり、信号源Aからの信号と信号源Bからの信号の位相は、位相差計DPMでその位相差が計測される。同様に、遅延ユニットAの出力と遅延ユニットBの出力との位相差は、位相差計DMTDで計測される。
つまり、信号源Aからの信号と信号源Bからの信号の位相は、位相差計DPMでその位相差が計測される。同様に、遅延ユニットAの出力と遅延ユニットBの出力との位相差は、位相差計DMTDで計測される。
図6は、本発明の動作原理を確認するための装置構成を示すブロックである。この装置構成では、遅延ユニットAを介して信号源Aからの連続波をAD変換器αに入力しており、そのサンプリングはオーバーサンプリングでサンプリング信号には、上記信号源Aからの信号を用いている。AD変換器αの出力はCPU-Aでデータ処理を行う。これと同様に、遅延ユニットBを介して信号源Bからの連続波をAD変換器βに入力しており、そのサンプリングはオーバーサンプリングでサンプリング信号は、上記信号源Bからの信号に同期している。AD変換器βの出力はCPU-Bでデータ処理を行う。
信号源A、Bの出力時tの位相変動を含めた位相を各々Φ1(t)、Φ2(t)、遅延ユニットA、B自体による位相の変化をΨ1(t)、Ψ2(t)、CPU−A、Bで抽出される位相差をΔΘ1(t)、ΔΘ2(t)、遅延ユニットによる遅延時間をτとすると、次の関係がある。
また、位相差計DMTD、DPMの出力ΘDMTD(t)、ΘDPM(t)は、次の様になる。
Ψ1(t)、Ψ2(t)がゼロの場合、ΘDMTD(t)はΘDPM(t)がτだけ遅延したものであることが分かる。
ここで、数1および数2から、次の関係を得ることができる。
ここで、数1および数2から、次の関係を得ることができる。
この検証では、数3の結果は、数2の下段の式と右辺が一致することから、これらの式の左辺が一致するかどうかを実験で確認する。
また、t=Nτ(Nは自然数)について、数1から次の式が得られる。
数4の関係から、位相差ΔΘ1(t)をτ時間おいて累積することで位相変動を含むΦ1(t)が得られることが分かる。Φ2(t)についても同様の処理で得ることが出来る。
図7(a)に、(イ)ΔΘ1(t)とΔΘ2(t)との測定値の差と、(ロ)ΘDMTD(t)の測定値と、(ハ)上記(イ)の測定値の差と(ロ)のΘDMTD(t)との和を示す。図7(b)は、上記(ハ)を縦軸方向に拡大し移動平均をとったものである。図7(c)は、上記図7(b)の移動平均をとった結果を再掲載し、さらに信号源A、Bの位相差を直接計測した差分位相計(DPM)の結果を示す。それぞれ10秒の移動平均値である。
この図8(c)の2つは、本質的には、ほぼ一致するものであり数3の関係にあることが確認できる。従って、遅延素子の遅延特性に変動が生じなければ、上記の測定原理に基づく位相変動測定が可能である。
この図8(c)の2つは、本質的には、ほぼ一致するものであり数3の関係にあることが確認できる。従って、遅延素子の遅延特性に変動が生じなければ、上記の測定原理に基づく位相変動測定が可能である。
本発明は、高安定な信号発生器からの単一スペクトルの信号の位相変動を評価する測定装置であるが、図3あるいは図4の構成の場合には、信号源1の位相変動測定と同時に、信号源2からの信号の位相変動求めることは、容易である。
1 信号源
2、2a、2b 遅延手段
3、3a、3b AD変換器
4 データ処理手段
5 回路切換手段
6 データ処理手段
10 信号発生手段
11 周波数変換手段
15 信号発生手段
15−1 発振器
15−2 信号発生器
16 AD変換器
17 遅延時間計測/制御器
2、2a、2b 遅延手段
3、3a、3b AD変換器
4 データ処理手段
5 回路切換手段
6 データ処理手段
10 信号発生手段
11 周波数変換手段
15 信号発生手段
15−1 発振器
15−2 信号発生器
16 AD変換器
17 遅延時間計測/制御器
Claims (6)
- 単一周波数の電気信号を生成する第1信号源、
上記第1信号源からの信号との位相関係を追跡可能な参照信号を入力してデジタル信号を出力するアナログデジタル変換手段、
上記アナログデジタル変換手段から出力されたデジタル信号を解析して前記デジタル信号の位相情報を抽出するデータ解析手段、
上記第1信号源からの信号を遅延させる遅延手段、を備え、
上記アナログデジタル変換手段へのサンプリング信号に上記遅延手段からの出力信号を用いて、上記第1信号源からの信号の上記遅延手段からの信号に対する位相の変化を測定することを特徴とする位相変動測定装置。 - 上記参照信号に上記第1信号源からの信号に同期した信号を用いることを特徴とする、請求項1に記載の位相変動測定装置。
- 単一周波数の電気信号を生成する第1信号源、
参照信号を入力し、デジタル信号を出力する第1アナログデジタル変換手段および第2アナログデジタル変換手段、
上記第1および第2アナログデジタル変換手段の各々から出力されたデジタル信号を各々解析して前記デジタル信号の位相情報を各々抽出するデータ解析手段、
第1信号源からの信号を遅延させる遅延手段、を備え、
上記データ解析手段においては、
第1アナログデジタル変換手段へのサンプリング信号に上記遅延手段からの信号を用いて、上記参照信号に対する上記遅延手段からの信号の第1相対的位相を測定し、第2アナログデジタル変換手段へのサンプリング信号に第1信号源からの信号を用いて、上記参照信号に対する第1信号源からの信号の第2相対的位相を測定し、上記第1相対的位相と第2相対的位相とから、上記第1信号源からの信号の上記遅延手段からの信号に対する位相の変化を測定するものであることを特徴とする位相変動測定装置。 - 上記参照信号は所定の周波数帯域にあるマルチキャリア信号であり、上記データ解析手段は、前記マルチキャリア信号についてのデータ解析を許容するバンド幅を有するものであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の位相変動測定装置。
- 上記遅延手段は、遅延素子と回路切換手段とを備え、
上記回路切換手段は、上記遅延信号を生成するための回路と上記遅延素子の遅延特性を内部回路または外部回路を用いて測定するための回路とを切換えるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の位相変動測定装置。 - 上記第1信号源からの信号に同期した信号を用いて周波数変換を行う周波数変換手段を備え、
上記アナログデジタル変換手段への信号入力においては、上記周波数変換手段によって、上記アナログデジタル変換手段の入力許容帯域の周波数に変換した後、入力するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の位相変動測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016199923A JP2018063118A (ja) | 2016-10-11 | 2016-10-11 | 位相変動測定装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020176965A (ja) * | 2019-04-22 | 2020-10-29 | 日本特殊陶業株式会社 | ガスセンサ及びガスセンサの製造方法 |
-
2016
- 2016-10-11 JP JP2016199923A patent/JP2018063118A/ja active Pending
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