JP2001252755A - 線材への連続射出成形用金型及び装置 - Google Patents

線材への連続射出成形用金型及び装置

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JP2001252755A JP2000061524A JP2000061524A JP2001252755A JP 2001252755 A JP2001252755 A JP 2001252755A JP 2000061524 A JP2000061524 A JP 2000061524A JP 2000061524 A JP2000061524 A JP 2000061524A JP 2001252755 A JP2001252755 A JP 2001252755A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高精度の成形品を線材と一体的に連続的に射
出成形できる連続射出成形用金型及び装置を提供する。 【解決手段】 注湯口11を有する固定盤10の上に所
定距離だけ上昇自在に配設された可動下型30と、該可
動下型の各キャビティ31内に突出自在に配されたエジ
ェクタピン41の後端部に固定されたスライダ40と、
可動下型の上部に昇降自在に配設され、降下したときに
上記可動下型を固定盤上に押圧固定すると共に上記キャ
ビティの開口部32を閉鎖するように構成された可動上
型50とを備えている。可動上型は下方に突出したカム
61を備え、該カムの昇降によってそれと係合してスラ
イダが前後進駆動される。線材2をスライダ、エジェク
タピン内及び各キャビティ内に挿通した状態に張設した
状態で、射出工程と成形された射出成形品を間欠的に押
出・排出させる工程を順次繰り返し、線材に多数の射出
成形品が固着した一連の製品を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、線材への連続射出
成形用金型及び装置に関し、さらに詳しくは、間欠的に
移動する線材上に多数の射出成形品を連続的に射出成形
し、線材と射出成形品を一体成形した精密小型製品、例
えば線材として光ファイバを用いて光ファイバ一体型フ
ェルールを製造したり、あるいは、連続射出成形後、線
材を軸線方向に引っ張って成形品から抜き取り、細孔を
有する射出成形品、特に光コネクタ部品(フェルールも
しくはキャピラリ)などを連続的に製造する技術に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】細孔を有し、しかも高い寸法精度が要求
される成形品の代表的なものとして、光コネクタ用フェ
ルールもしくはキャピラリ等の光通信などに使用される
部品が挙げられる。従来、光コネクタ用フェルールを製
造する場合、まず、バインダを含むジルコニア等のセラ
ミック粉末のペーストや、合成樹脂、金属等の射出成
形、押出成形等によって一次成形し(特公平8−307
75号、特開平8−15568号、特開平8−1941
31号、特開平9−141704号、特開平10−18
6176号等)、得られたブランクを、用いた材料に応
じて脱脂、焼結した後、外径研磨加工、内径研磨加工、
先端凸球面加工(PC研磨)等の機械加工により所望の
寸法に仕上げ加工されている。また、フェルールの光フ
ァイバ挿入部の細孔(光ファイバ挿通細孔)の内径は極
めて小さいため(例えばSC型と呼ばれるキャピラリの
細孔径は0.126mm)、細孔の成形には極細線の中
子ピンが用いられ、またその内径加工には一般にラッピ
ング加工が採用されている。このため、製造工程が長大
で、高価な内径加工機、外径研磨機などの装置を必要と
し、製造コストが高いという問題があった。
【0003】上記のような問題を解決できる方法とし
て、本出願人は既に、従来の金型鋳造法をベースにした
技術とガラス遷移領域を示す非晶質合金の組合せによっ
て、光コネクタ用フェルールのような細孔を有する成形
品や、複雑な形状の成形品であっても、所定の形状、寸
法精度、表面品質を満足する非晶質合金成形品を、単一
プロセスで量産性良く製造できる方法を開発し、特許出
願している(特開平10−186176号)。ここに開
示されている細孔を有する非晶質合金成形品の製造方法
は、基本的には、中子ピンをセットした金型キャビティ
内に非晶質合金を生じ得る材料の溶湯を高速度で充填し
て鋳造し、その後中子ピンを鋳造材から引き抜くことに
よって細孔を成形するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】通常、細孔を有する鋳
造成形品を得るためには、離型剤を均一に塗布した中子
ピンを用いなければならない。しかしながら、離型剤を
用いているために、金属溶湯が中子ピンに触れた際、離
型剤が一気に蒸発するため、気泡や欠陥が鋳造成形品の
中に残ってしまう場合がある。さらに、離型剤の蒸発す
る方向が常に均一に制御できないために、細孔部分の寸
法精度を高精度にできないという問題点を有していた。
その上、高精度な鋳造成形品を得るために、鋳造時の射
出圧をより高くして鋳造を行なうと、細孔を形成するた
めの中子ピンと鋳造材との間に隙間が殆どなくなるた
め、中子ピンが抜けなくなるという問題や、ピンが曲が
ったり、ピン表面を傷付けてしまったり、破損させたり
するという問題が生じる。また、得られる製品の細孔の
同心度にズレ等が発生するという問題もある。しかも、
この中子ピンは超硬合金によって作製され、高価である
ため、このピンの傷付きや破損によって繰り返し使用が
できなくなり、結果的に製造コストが増大してしまうと
いう問題がある。このような問題は、光コネクタ用フェ
ルールもしくはキャピラリに固有の問題ではなく、細孔
を有する成形品の金型鋳造の場合に共通した問題であ
る。
【0005】また、プラスチック製品の成形方法ではあ
るが、一連の線材上に間隔を保った繭玉状にプラスチッ
ク製品を成形し、次いでプラスチック製品から上記線材
を抜き取り、線材の抜けた跡で上記プラスチック製品に
貫通孔を形成するようにした連続成形方法も提案されて
いる(特公平5−15367号)。このように線材にプ
ラスチック製品を連続インサート成形するには、線材走
行方向(軸線方向)に型割した二つ割の金型の合わせ面
に形成された溝に線材を嵌合させた状態に金型を閉じ、
ショット毎に型開きして成形品を送る方法が採用され
る。しかし、このような方法では、成形品に、線材と平
行方向の型割り部に生じたバリや型ズレ段違いなど、成
形欠陥が発生し、高精度の成形品を得ることは困難であ
る。
【0006】本発明は、前記のような従来技術の問題点
を解消すべくなされたものであり、その基本的な目的
は、高精度の成形品を線材と一体的に連続的に射出成形
できる成形技術を提案し、またそのための連続射出成形
用金型及び装置を提供することにある。本発明のより具
体的な目的は、中子ピン使用あるいは割型使用に起因す
る前記したような種々の問題を解消し、生産性良く低コ
ストで、線材と一体成形した射出成形品や細孔を有する
射出成形品を連続的に製造できる装置を提供することに
ある。さらに本発明のより特定的な目的は、細長い孔を
有する非晶質合金成形品であっても、簡単な工程でまた
所定の形状、高い寸法精度及び表面品質で成形加工でき
る装置を提供し、もって耐久性、強度、耐衝撃性等に優
れた細孔を有する安価な非晶質合金成形品、特に光コネ
クタ用フェルールもしくはキャピラリ等の光通信部品を
提供しようとするものである。さらに本発明のより特定
的な他の目的は、光ファイバの装着位置精度が高く、か
つ強固に結合した所定の形状、寸法精度、及び表面品質
を満足する光ファイバ一体型フェルールを単一のプロセ
スで量産性良くかつ安価に製造でき、従って内径仕上げ
加工等の機械加工工程やフェルールへの光ファイバの接
着工程が不要な方法及び装置を提供し、もってフェルー
ル製造コストの削減を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明によれば、注湯口を有する固定盤と、該固定
盤の上に所定距離だけ上昇自在に配設され、上記注湯口
と連通する開口部を備えた製品外形を規制する少なくと
も1つのキャビティを有する可動下型と、該可動下型の
各キャビティ内に突出自在に配されたエジェクタピン
と、上記可動下型の上部に昇降自在に配設され、降下し
たときに上記可動下型を固定盤上に押圧固定すると共に
上記キャビティの開口部を閉鎖するように構成された可
動上型とを備え、上記エジェクタピン内及び各キャビテ
ィ内に挿通した状態に長尺な線材がキャビティ開口部側
方向に移動自在に張設されていることを特徴とする線材
への連続射出成形用金型が提供される。
【0008】好適な態様においては、前記可動上型が下
方に突出したカムを備えており、該カムの下方に、前記
キャビティ内に突出自在に配されたエジェクタピンを備
え、かつ上記カムの昇降によってそれと係合して前後進
駆動されるスライダが配設され、また、該スライダに線
材が挿通されるガイド孔が形成されている。さらに、前
記可動上型の下面及び/又は可動下型のキャビティ開口
部側前面に、前ショットで成形されエジェクトされた射
出成形品を固定するための凹陥部が形成されている。
【0009】さらに本発明によれば、前記のような連続
射出成形用金型と、前記エジェクタピン内及び可動下型
の各キャビティ内に挿通された長尺な線材を張設する手
段と、上記金型のキャビティ内に射出材料を射出充填す
る射出手段とを備え、上記線材に所定間隔で連続的に射
出成形品を一体成形するように構成されたことを特徴と
する線材への連続射出成形用装置が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明による射出成形品の連続製
造は、従来のような中子ピンを使用するものではなく、
製品外形を規制する少なくとも1つのキャビティを有す
る金型の各キャビティ内に挿通した状態に長尺な線材を
張設し、上記キャビティ内に射出材料を射出充填する工
程と、上記線材と一体的に成形された射出成形品を間欠
的に押出・排出させる工程を順次繰り返し、上記線材に
多数の射出成形品が固着した一連の製品を製造すること
を特徴とするものであり、従来の中子ピンを用いたバッ
チ方式ではなく、線材に一体成形された射出成形品を連
続して製造することができる。射出工程の際には線材に
対しては張力がかけられているため、射出材料が線材に
対して横方向から流れてきたり、金型内で乱流を起こし
たりしても、線材が不用意に曲がることが無く、精度が
高い射出成形品を作製できる。
【0011】すなわち、本発明によれば、線材に対して
射出成形品を連続的に一体成形すると共に、寸法精度を
維持するために、各キャビティ内に線材移動方向に突出
自在に配されたエジェクタピンを線材挿通用ガイド体と
して利用し、また、成形品が線材にインサート成形され
た状態のまま連続的に金型から押出・排出する方法を採
用するものであり、これによって、線材が挿通されたエ
ジェクタピン及び前ショットの押し出された射出成形品
を次のショットの際の線材位置決めに利用することがで
き、連続射出成形と製品精度の2つの課題を同時に解決
することができる。
【0012】
【実施例】以下、添付図面に示す実施例を説明しながら
本発明についてさらに具体的に説明する。なお、以下に
おいては、光コネクタ用フェルール(キャピラリ)の製
造に本発明の装置を用いた例を挙げて説明するが、これ
に限定されないことは言うまでもない。また、射出材料
としては、金属、少なくとも体積率50%以上の非晶質
相を含む非晶質合金の他、ジルコニア、アルミナ等のセ
ラミックスのペースト、繊維強化サーモトロピック液晶
性ポリエステル等の合成樹脂などを用いることができる
が、フェルール材料として合金を用いた場合を例に挙げ
て説明する。なお、以下においては線材をワイヤと表現
する。
【0013】図1は、本発明によりワイヤに射出成形品
を連続的にインサート成形する装置の一実施例の概略構
成を示している。図1において、符号1は製品形状のキ
ャビティを有する金型であり、符号2はワイヤ(線材)
である。金型1は、銅、銅合金、超硬合金、その他の金
属材料から作製することができ、また、流体、気体等の
冷却媒体や加熱媒体を流通させる流路を配設することも
できる。一方、ワイヤ2としては、後述するように、目
的に応じてバネ用材料、高張力鋼材料、超弾性材料等の
弾性限の高い材料からなるワイヤや、光ファイバなどを
用いることができる。ワイヤ2は、ワイヤ供給リール3
から供給され、金型1の各キャビティ内を挿通した状態
にワイヤ巻取りリール(図示せず)との間に張り渡し、
テンションリール4により一定の張力がかかるように設
定されている。なお、ここでは縦型射出成形機を用い、
ワイヤ2は横方向に移動させる形態で説明するが、横型
射出成形機を用い、縦方向にワイヤを移動させることも
可能である。
【0014】図2乃至図4は前記金型1を示しており、
図2はその斜視図、図3は型閉時の中心で切断した断面
図(図2のIII−III線断面図)、図4は型開時の手前側
エジェクタピンを中心に切断した断面図(図2のIV−IV
線断面図)を示している。図中、符号10は固定盤、2
0は可動下ダイプレート、30は可動下型、40はスラ
イダ、50は可動上型、60は可動上ダイプレートであ
る。固定盤10の所定位置には、その下方に昇降自在に
配設された射出スリーブ5の上部が嵌挿される注湯口1
1が形成されており、また後部側の両側所定位置には後
述するカム下端部を案内するガイド溝12が形成されて
いる。また、固定盤10の注湯口11周囲上面には中央
突出部14が形成されており、その上面は型閉時の可動
下型30の下面と合致する高さ関係となっている。
【0015】上記固定盤10の上には、可動下型30が
固定された可動下ダイプレート20が配置されており、
これら可動下ダイプレート20及び可動下型30は、固
定盤10と可動下ダイプレート20との間に配設された
ばね部材13により、所定距離だけ上昇するように上方
に付勢されている。なお、ばね部材13は、図示の例で
は固定盤10の四隅部に4箇所配設されているが、その
個数及び設置場所は特に限定されるものではなく、また
可動下ダイプレート20と可動下型30を所定距離だけ
上昇させる他の手段に代えることもできる。また、図示
の例では、可動下ダイプレート20と可動下型30は別
体に形成されているが、一体に形成することもできる。
可動下ダイプレート20の両側所定位置にも、上記固定
盤10のガイド溝12と同様なガイド溝21が整合して
形成されている。
【0016】可動下型30は、上方から見て矩形枠状体
であって、その前側辺部33中心部に切欠部36が形成
されており、またその後側辺部35は他の三辺部に比べ
て上方に突出して形成され、その内部所定位置(図示の
例では4箇所であるが、任意の個数にできる)にワイヤ
2の移動方向(軸線方向)に向いた断面円形のキャビテ
ィ31が形成されている。また、これらキャビティ31
の前端部には、各キャビティ31と連通し、かつ前記固
定盤10の注湯口11とも連通する開口部32が形成さ
れている。なお、本明細書において前側とは、ワイヤ2
の移動方向側(図面上、右側)をいう。可動下型30の
両側辺部34上面には、前ショット後にキャビティ31
から押し出された各射出成形品Aを連結するランナー部
Bを配座させるための溝部37が形成されている。
【0017】一方、可動下ダイプレート20には、上記
矩形枠状の可動下型30の中央空間部に嵌合される突出
部22が形成されており、そのキャビティ開口部32側
の上面には、前ショット後にキャビティ31から押し出
された各射出成形品Aを配座させるための凹陥部もしく
は段差部23が形成されている。符号24は、該段差部
23とキャビティ開口部32との間に形成された各ワイ
ヤ2配座用の筋状の溝である。また、上記突出部22に
は、注湯口11真上のワイヤ移動方向中心部に沿って溝
部25が形成されており、この溝部25と前記可動下型
30の前側辺部中心部の切欠部36は、各射出成形品A
の湯口部分、すなわちビスケットCを案内するガイド溝
として機能する。
【0018】前記可動下型30の各キャビティ31内に
はエジェクタピン41が嵌挿され、摺動自在に配設され
ており、該エジェクタピン41の後端は可動下ダイプレ
ート20上に摺動自在に配設されたスライダ40に連結
されている。スライダ40及びエジェクタピン41に
は、それぞれワイヤ2を挿通するためのガイド孔42が
形成されており、キャビティ31内に挿通されるワイヤ
2の後側の調心機構として機能する。また、スライダ4
0の両側部には、それぞれ斜状のカム溝43が形成され
ている。なお、スライダ40とエジェクタピン41は一
体成形したものであってもよく、またスライダ40内部
に別体のエジェクタピン41を埋設したものであっても
よい。あるいはまた、各エジェクタピンの後端部を連結
する棒状部材又は板状部材の両側部に、各々カム溝が形
成された一対のスライダ部を連結した構造など、エジェ
クタピン41をキャビティ31内にワイヤ移動方向に突
出可能な構造であれば任意の形態を採用できる。
【0019】一方、可動下型30の上方には、シリンダ
等(図示せず)により作動される昇降自在な可動上ダイ
プレート60の下面に固定され、その昇降に伴って昇降
する可動上型50が配設されている。可動上型50は、
断面略L字状であって、その前側突出部51の下面中央
部には前記可動下ダイプレート20の突出部22中心部
の溝25内に嵌挿される中央突部52が形成され、かつ
その両側部には、ワイヤ2配座用の筋状の溝54と射出
成形品A配座用の溝部55が形成された凹陥部53がそ
れぞれ形成されている。可動上ダイプレート60が降下
して可動上型50の後側段部56が可動下型30の突出
した後側辺部35に当接すると、可動上型50の前側突
出部51の両側部下面が可動下型30の両側辺部34上
面に、また中央突部52の下端面が固定盤10の中央突
出部14の上面に当接した状態となり、図3に示すよう
に、可動上型50の前側突出部51によりキャビティ3
1の開口部32を閉鎖し、かつ注湯口11の一部を覆っ
た状態となる。なお、図示の例では可動上型50と可動
上ダイプレート60は別体に形成されているが、一体成
形されたものであってもよい。
【0020】また、可動上ダイプレート60の前記スラ
イダ40と対応する位置の下面両側部には、それぞれカ
ム61が垂下するように取り付けられている。なお、カ
ム61も図示の例では別体であるが可動上ダイプレート
60と一体成形されたものでもよい。一対のカム61
は、それぞれ内側に斜状突部62を有する。型閉時に可
動上ダイプレート60が降下してカム61がスライダ4
0のカム溝43に挿入されると、上記斜状突部62の下
面64がカム溝43の一方の坂路面45に当接・摺動し
て後向きの推力を付加するのでスライダ40は後進し、
それに伴ってエジェクタピン41はキャビティ31内の
図3に示す後退位置まで後退する。一方、型開時に可動
上ダイプレート60が上昇すると、カム61の斜状突部
62の上面63がカム溝43の他方の坂路面44に当接
・摺動して前向きの推力を付加するのでスライダ40は
前進し、それに伴ってエジェクタピン41はキャビティ
31内が突き出た図4に示す前進位置まで前進する。
【0021】フェルールの連続射出成形に際しては、ま
ず、図4に示すように射出スリーブ5が固定盤10の下
方に離間した状態において、合金原料Xを装填する。合
金原料Xの装填方法としては任意の方法が採用できる
が、例えば図4に仮想線で示すように、射出スリーブ5
の側方に原料供給スリーブ8を付設し、原料供給プラン
ジャ9により順次原料を射出スリーブ5内に押し込む方
式が有利である。原料供給スリーブ8への原料供給は、
原料供給スリーブ8に原料収納マガジン(図示せず)を
組み込んで、原料収納マガジンから原料供給スリーブ8
に1個ずつ原料が落下するように構成したり、あるいは
このような原料収納マガジンの複数個をターンテーブル
に組み込んだカセット方式とし、1つの原料収納マガジ
ン内の原料が無くなったらターンテーブルを所定角度だ
け回転させ、次の原料収納マガジンが所定位置に移動す
るように構成するなど、適宜の構造とすることができ
る。
【0022】射出スリーブ5内には射出プランジャ6が
摺動自在に配置され、図示しない油圧シリンダ(又は空
圧シリンダ)により上下動される。また、射出スリーブ
5の上部周囲には、加熱源として高周波誘導コイル7が
配設されている。加熱源としては、高周波誘導加熱の
他、抵抗加熱等の任意の手段を採用できる。上記射出ス
リーブ5及び射出プランジャ6の材質としては、セラミ
ックス、耐熱皮膜コーティング金属材料などの耐熱性材
料が好ましい。なお、溶湯の酸化皮膜形成を防止するた
めに、装置全体を真空中又はArガス等の不活性ガス雰
囲気中に配置するか、あるいは少なくとも固定盤10と
射出スリーブ5との間に不活性ガスを流すことが好まし
い。
【0023】次いで、図3に示すように金型1が型閉さ
れ(スライダ40及びエジェクタピン41は後退位
置)、キャビティ31内にワイヤ2が張設された状態
で、高周波誘導コイル7を励磁して合金原料Xを急速に
加熱する。合金原料Xが溶解したかどうかを溶湯温度を
検出して確認した後、高周波誘導コイル7を消磁し、次
いで、射出スリーブ5の上端部が固定盤10の注湯口1
1内に嵌挿されるまで、射出スリーブ5及び射出プラン
ジャ6を同期的に上昇させ、さらに射出プランジャ6を
急速に上昇させ、溶湯を射出する(図3)。射出された
溶湯はキャビティ31内に注入、加圧され、急速に凝固
されてワイヤ2と一体に成形される。この際、射出温
度、射出速度等を適宜設定することにより、103K/
s以上の冷却速度を得ることができる。
【0024】射出成形(1ショット)後、可動上ダイプ
レート60及び可動上型50が上昇し始めると共に、カ
ム61の作用によりスライダ40及びエジェクタピン4
1がキャビティ31内に突出し始め、また可動下ダイプ
レート20及び可動下型30はばね部材13の作用によ
り上昇し始める。その結果、射出成形品Aのビスケット
Cが固定盤10の注湯口11から持ち上げられつつ、図
4に示すように、射出成形品Aがランナー部B及びビス
ケットCと一体のままエジェクタ41によりキャビティ
31内から押し出されると共にワイヤ2を所定距離だけ
移動させる。
【0025】その後、射出スリーブ5及び射出プランジ
ャ6を下降させ、次の原料装填を行なうと共に、可動上
ダイプレート60及び可動上型50を下降させて可動下
型30及び可動下ダイプレート20を押し下げて固定盤
10に対して押圧固定して、図3に示すような型閉状態
にする。この際、カム61の降下に伴って駆動されるス
ライダ40は後退し、エジェクタピン41は図3に示す
後退位置に戻り、次のショットに備える。このとき、先
にショットされた射出成形品Aは、可動下ダイプレート
20の突出部22に形成された段差部23と可動上型5
0の凹陥部53に形成された溝部55との間に挟持され
た状態に金型内に保持され、ワイヤ2の移動方向側(前
側)の位置決め及び固定部として働き、ワイヤ2は筋状
の溝24、54に収容される。なお、ワイヤ2の後側の
位置決めはエジェクタピン41により行なわれ、その精
度はエジェクタピン41の外径とキャビティ31の内径
との嵌め合い精度で定まる。この結果、ワイヤ2は一方
をエジェクタピン41、他方を前ショットの射出成形品
Aで支持されることになり、極細線のワイヤ2であって
も前後共にしっかりと保持され、ワイヤ2の位置精度が
確保される。
【0026】このように可動下型30のキャビティ31
内への射出充填工程と射出成形品Aのエジェクト及びワ
イヤ2の間欠的移動工程を順次繰り返し、図5に示すよ
うに、ワイヤ2に多数の射出成形品A(フェルール)が
固着した一連の中間品を製造する。その後、ランナー部
BとビスケットCを切断除去する。得られた射出成形品
Aは断面円形のキャビティ31内で成形されているた
め、成形部に割型を用いたときのようなバリや型ズレ段
違いなどの成形欠陥が発生することもなく、真円度が確
保される。なお、射出成形品Aのエジェクタピンによる
横方向押し出し移動に対し、ビスケットCは縦方向離脱
であって移動方向が不一致であるが、可動下型の縦移動
(上昇)とカム機構によるエジェクタピン41及び射出
成形品Aの横移動(前進)とによってビスケットCは斜
め上方に移動するため、注湯口11の上端縁部が面取り
されて漏斗状に上方に拡開されていることとも相俟っ
て、動きの干渉も解決できる。このようにして、ワイヤ
2に多数の射出成形品A(フェルール)を一定間隔で連
続的にインサート成形することができる。
【0027】細孔を有する射出成形品(フェルール)を
製造する場合、前記のようにして製造された中間品のワ
イヤ2を切断した後、仕上げ工程として、ワイヤ2を軸
線方向に引っ張って上記射出成形品A(フェルール)か
らワイヤ2を引き抜き、コーン穴加工、外径仕上げ、及
び端部仕上げを行なった後、フランジ圧入、光ファイバ
挿入接着、PC研磨(凸球面研磨)を行なう。なお、コ
ーン穴加工は、光ファイバを挿通し易くするためにフェ
ルールの一端面(フランジ圧入側)の孔部開口部を円錐
状に研削する加工をいう。また、端部仕上げは、フェル
ールの両端縁部に丸みを付ける面取り加工をいう。な
お、外径仕上げ(外径研磨)は、非晶質合金からフェル
ールを作製した場合には行なう必要はないが、必要に応
じて行なっても構わない。用いる原料によっては、さら
に必要に応じて、フェルールの細孔にワイヤラッピング
加工を施すこともできる。ワイヤの太さとしては、所望
の細孔径に応じて任意に変えることができるが、光コネ
クタ用部品(フェルール)の製造の場合には一般にφ
0.025mm〜1mmの範囲内に設定される。
【0028】射出成形後のワイヤ2の引き抜き性を改善
する方法としては、以下のような方法がある。 (1)弾性ワイヤ、超弾性ワイヤ法 ワイヤとして、弾性限の高いワイヤを利用する方法であ
る。これによって、ワイヤを射出成形品から引き抜く
際、ワイヤが引き抜き方向に対して弾性変形することに
より、ワイヤが射出成形品の細孔に対して細くなり、ワ
イヤと射出成形品との間のクリアランスが確保されるた
め、ワイヤを引き抜くことができ、ワイヤの断面形状を
持った細孔が射出成形品に形成できる。上記ワイヤとし
ては、例えば、バネ用材料や高張力鋼材料、超弾性材料
(Ni−Ti系超弾性材料等)などが利用できる。
【0029】(2)表面被覆、表面処理ワイヤ法 ワイヤが射出成形品から離型し易いように、ワイヤ表面
に剥離し易い皮膜をコーティングする方法、又は、表面
皮膜が製造上付着しているワイヤを利用する方法であ
る。これによって、ワイヤを射出成形品から引き抜く
際、ワイヤの表面皮膜が鋳造材と密着しているため、ワ
イヤから表面皮膜が部分的に又は全体的に剥離してワイ
ヤのみが引き抜けることにより、ワイヤの断面形状を持
った細孔が射出成形品に形成できる。上記ワイヤの表面
皮膜は、例えば、酸化物、窒化物、炭化物等の材料を物
理的気相蒸着法(PVD)や化学的気相蒸着法(CV
D)等によりワイヤ表面に析着させる方法や、金属など
の電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ等の適当な方
法で形成する。さらに、上記ワイヤの表面皮膜は、ワイ
ヤが活性な金属材料である場合、製造工程において特別
な処理を行なわなくても、スケールとしてワイヤ構成元
素を含む酸化物、窒化物、炭化物等の皮膜が残っている
ものをそのまま利用することも可能である。皮膜厚さと
しては、皮膜の剥離性やワイヤの引き抜き性等の点から
約0.5〜100μm程度が好ましい。尚、この方法の
場合、ワイヤ材料としては種々の材料を用いることがで
きるが、その中でも耐熱性等に優れたTi系合金が好ま
しい。尚、前記した(1)及び(2)の方法は、組み合
わせて採用することができる。
【0030】一方、ワイヤ2として光ファイバを用い、
光ファイバ一体型フェルールを製造する場合、前記のよ
うにして製造された中間品の光ファイバ(ワイヤ)を所
定の長さで切断した後、上記射出成形部の外径仕上げ、
端部仕上げ(両端縁部に丸みを付ける面取り加工)、P
C研磨(凸球面研磨)等の所望の仕上げ工程を行なう。
なお、外径仕上げ(外径研磨)は、非晶質合金から作製
した場合には行なう必要はないが、必要に応じて行なっ
ても構わない。光ファイバは、光コネクタ用フェルール
内部に一端部から他端部にかけてのみ延在している態
様、あるいは、さらに光コネクタ用フェルールの一端部
から外部に連続的に延出している態様のいずれにも切
断、仕上げ加工できる。より具体的な一つの態様では、
前記金型のキャビティ内径(従って、フェルールの外
径)は0.2〜2.5mmに設定される。
【0031】本発明によれば、光ファイバは、光コネク
タ用フェルール製造の際の熱収縮もしくは凝固収縮によ
り、上記フェルール内に一体的に強固に固定される。従
って、従来のように射出成形の際に高価な中子ピンを使
用する必要がなく、またフェルールへの光ファイバの挿
着に接着剤を使用する必要もないので、前記したような
中子ピン使用による問題や、接着剤に起因する使用中の
熱サイクルにより光ファイバが剥離するといった問題も
なく、光ファイバの装着位置精度が高い光ファイバ一体
型フェルールを提供することができる。さらに、内径仕
上げ加工等の機械加工工程やフェルールへの光ファイバ
の接着工程が不要で加工工程数を大幅に減少できるの
で、所定の形状、寸法精度、及び表面品質を満足する光
ファイバ一体型フェルールを単一のプロセスで量産性良
く製造でき、フェルール製造コストを大幅に削減するこ
とができる。
【0032】本発明で用いる射出材料としては、一般の
鋳造で用いられる材料であれば全て使用可能であり、特
定の材料に限定されるものではないが、好ましくは少な
くとも体積率50%以上の非晶質相を含む実質的に非晶
質の合金が好適に使用できる。さらに好ましくは、下記
一般式(1)〜(6)のいずれか1つで示される組成を
有する非晶質合金を好適に使用できる。 一般式(1):M1 a2 bLnc3 d4 e5 f 但し、M1はZr及びHfから選ばれる1種又は2種の
元素、M2はNi、Cu、Fe、Co、Mn、Nb、T
i、V、Cr、Zn、Al及びGaよりなる群から選ば
れる少なくとも1種の元素、LnはY、La、Ce、N
d、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb及びMm(希
土類元素の集合体であるミッシュメタル)よりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の元素、M3はBe、B、
C、N及びOよりなる群から選ばれる少なくとも1種の
元素、M4はTa、W及びMoよりなる群から選ばれる
少なくとも1種の元素、M5はAu、Pt、Pd及びA
gよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a、
b、c、d、e及びfはそれぞれ原子%で、25≦a≦
85、15≦b≦75、0≦c≦30、0≦d≦30、
0≦e≦15、0≦f≦15である。
【0033】上記非晶質合金は、下記一般式(1−a)
〜(1−p)の非晶質合金を含む。 一般式(1−a):M1 a2 b この非晶質合金は、M2元素がZr又はHfと共存する
ために、混合エンタルピーが負で大きく、アモルファス
形成能が良い。 一般式(1−b):M1 a2 bLnc この非晶質合金のように、上記一般式(1−a)の合金
に希土類元素を添加することによりアモルファスの熱的
安定性が向上する。
【0034】一般式(1−c):M1 a2 b3 d 一般式(1−d):M1 a2 bLnc3 d これらの非晶質合金のように、原子半径の小さな元素M
3(Be,B,C,N,O)でアモルファス構造中の隙
間を埋めることによって、その構造が安定化し、アモル
ファス形成能が向上する。
【0035】一般式(1−e):M1 a2 b4 e 一般式(1−f):M1 a2 bLnc4 e 一般式(1−g):M1 a2 b3 d4 e 一般式(1−h):M1 a2 bLnc3 d4 e これらの非晶質合金のように、高融点金属M4(Ta,
W,Mo)を添加した場合、アモルファス形成能に影響
を与えずに耐熱性、耐食性が向上する。
【0036】一般式(1−i):M1 a2 b5 f 一般式(1−j):M1 a2 bLnc5 f 一般式(1−k):M1 a2 b3 d5 f 一般式(1−l):M1 a2 bLnc3 d5 f 一般式(1−m):M1 a2 b4 e5 f 一般式(1−n):M1 a2 bLnc4 e5 f 一般式(1−o):M1 a2 b3 d4 e5 f 一般式(1−p):M1 a2 bLnc3 d4 e5 f これらの貴金属M5(Au,Pt,Pd,Ag)を含ん
だ非晶質合金の場合、結晶化が起きても脆くならない。
【0037】 一般式(2):Al100-g-h-iLng6 h3 i 但し、LnはY、La、Ce、Nd、Sm、Gd、T
b、Dy、Ho、Yb及びMmよりなる群から選ばれる
少なくとも1種の元素、M6はTi、V、Cr、Mn、
Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Hf、T
a及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元
素、M3はBe、B、C、N及びOよりなる群から選ば
れる少なくとも1種の元素、g、h及びiはそれぞれ原
子%で、30≦g≦90、0<h≦55、0≦i≦10
である。
【0038】上記非晶質合金は、下記一般式(2−a)
及び(2−b)の非晶質合金を含む。 一般式(2−a):Al100-g-hLng6 h この非晶質合金は、混合エンタルピーが負で大きく、ア
モルファス形成能が良い。 一般式(2−b):Al100-g-h-iLng6 h3 i この非晶質合金においては、原子半径の小さな元素M3
(Be,B,C,N,O)でアモルファス構造中の隙間
を埋めることによって、その構造が安定化し、アモルフ
ァス形成能が向上する。
【0039】一般式(3):Mg100-p7 p 但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から
選ばれる少なくとも1種の元素、pは原子%で5≦p≦
60である。この非晶質合金は、混合エンタルピーが負
で大きく、アモルファス形成能が良い。
【0040】一般式(4):Mg100-q-r7 q8 r 但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から
選ばれる少なくとも1種の元素、M8はAl、Si及び
Caよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、q
及びrはそれぞれ原子%で、1≦q≦35、1≦r≦2
5である。この非晶質合金のように、前記一般式(3)
の合金において原子半径の小さな元素M8(Al,S
i,Ca)でアモルファス構造中の隙間を埋めることに
よって、その構造が安定化し、アモルファス形成能が向
上する。
【0041】一般式(5):Mg100-q-s7 q9 s 一般式(6):Mg100-q-r-s7 q8 r9 s 但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から
選ばれる少なくとも1種の元素、M8はAl、Si及び
Caよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M
9はY、La、Ce、Nd、Sm及びMmよりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の元素、q、r及びsはそれ
ぞれ原子%で、1≦q≦35、1≦r≦25、3≦s≦
25である。これらの非晶質合金のように、前記一般式
(3)及び(4)の合金に希土類元素を添加することに
よりアモルファスの熱的安定性が向上する。
【0042】前記した非晶質合金の中でも、ガラス遷移
温度(Tg)と結晶化温度(Tx)の温度差が極めて広
いZr−TM−Al系及びHf−TM−Al系(TM:
遷移金属)非晶質合金は、高強度、高耐食性であると共
に、過冷却液体領域(ガラス遷移領域)ΔTx=Tx−
Tgが30K以上、特にZr−TM−Al系非晶質合金
は60K以上と極めて広く、この温度領域では粘性流動
により数10MPa以下の低応力でも非常に良好な加工
性を示す。また、冷却速度が数10K/s程度の鋳造法
によっても非晶質バルク材が得られるなど、非常に安定
で製造し易い特徴を持っている。これらの合金は、溶湯
からの金型鋳造によっても、またガラス遷移領域を利用
した粘性流動による成形加工によっても、非晶質材料が
できると同時に、金型形状及び寸法を極めて忠実に再現
する。
【0043】本発明に利用されるこれらのZr−TM−
Al系及びHf−TM−Al系非晶質合金は、合金組
成、測定法によっても異なるが、非常に大きなΔTxの
範囲を持っている。例えばZr60Al15Co2.5Ni7.5
Cu15合金(Tg:652K、Tx:768K)のΔT
xは116Kと極めて広い。耐酸化性も極めて良く、空
気中でTgまでの高温に熱してもほとんど酸化されな
い。硬度は室温からTg付近までビッカース硬度(H
v)で460(DPN)、引張強度は1,600MP
a、曲げ強度は3,000MPaに達する。熱膨張率α
は室温からTg付近まで1×10-5/Kと小さく、ヤン
グ率は91GPa、圧縮時の弾性限界は4〜5%を超え
る。さらに靭性も高く、シャルピー衝撃値で60〜70
kJ/m2を示す。このように非常に高強度の特性を示
しながら、ガラス遷移領域まで加熱されると、流動応力
は10MPa程度まで低下する。このため極めて加工が
容易で、低応力で複雑な形状の微小部品や高精度部品に
成形できるのが本合金の特徴である。しかも、いわゆる
ガラス(非晶質)としての特性から加工(変形)表面は
極めて平滑性が高く、結晶合金を変形させたときのよう
に滑り帯が表面に現われるステップなどは実質的に発生
しない特徴を持っている。
【0044】一般に、非晶質合金はガラス遷移領域まで
加熱すると長時間の保持によって結晶化が始まるが、本
合金のようにΔTxが広い合金は非晶質相が安定であ
り、ΔTx内の温度を適当に選べば2時間程度までは結
晶が発生せず、通常の成形加工においては結晶化を懸念
する必要はない。また、本合金は溶湯からの凝固におい
てもこの特性を如何なく発揮する。一般に非晶質合金の
製造には急速な冷却が必要とされるが、本合金は冷却速
度10K/s程度の冷却で溶湯から容易に非晶質単相か
らなるバルク材を得ることができる。その凝固表面はや
はり極めて平滑であり、金型表面のミクロンオーダーの
研磨傷でさえも忠実に再現する転写性を持っている。従
って、射出材料として本合金を適用すれば、金型表面が
成形品の要求特性を満たす表面品質を持っておれば、金
型の表面特性をそのまま再現し、寸法調整、表面粗さ調
整の工程を省略又は短縮することができる。
【0045】以上のように、比較的低い硬度、高い引張
強度及び高い曲げ強度、比較的低いヤング率、高弾性限
界、高耐衝撃性、高耐磨耗性、表面の平滑性、高精度の
鋳造性を併せ持った特徴は、光コネクタのフェルールや
キャピラリ、スリーブ、V溝基板等、歯車やマイクロマ
シン等の精密部品など、種々の分野の成形品の材料とし
て適している。また、非晶質合金は、高精度の鋳造性及
び加工性を有し、かつ金型のキャビティ形状を忠実に再
現できる優れた転写性を有するため、金型を適切に作製
することにより、金型鋳造法によって所定の形状、寸法
精度、及び表面品質を満足する成形品を単一のプロセス
で量産性良く製造できる。
【0046】また、本発明を適用する非晶質合金製成形
品の製造に用いられる材料としては、前記したような非
晶質合金の他、特開平10−186176号、特開平1
0−311923号、特開平11−104281号、特
開平11−189855号等に記載されている非晶質合
金など、従来公知の各種非晶質合金を用いることができ
る。
【0047】また、本発明の射出成形品の製造に用いら
れる金属材料としては、前記したような非晶質合金の
他、Al基合金、Mg基合金、Zn基合金、Fe基合
金、Cu基合金、チタン合金などのダイカスト用合金を
好適に用いることができる。このようなダイカスト用合
金は、通常の鋳造法で用いられている合金であり、従来
の光コネクタ用部品に用いられているセラミックスや非
晶質合金等に比べて安価であり、ダイカストマシンによ
って該合金を金型内に圧入、成形することによって、光
コネクタ用部品等の射出成形品を簡単に製造することが
できる。
【0048】例えば、Al基合金としては、JIS記号
によるADC1、ADC5、ADC12など、Al−S
i系、Al−Mg系、Al−Si−Cu系又はAl−S
i−Mg系のダイカスト用アルミニウム合金を好適に用
いることができ、特にADC12は有用である。同様
に、Mg基合金としては、例えばMDC1A、MDC2
A、MDC3Aなど、Mg−Al系又はMg−Al−Z
n系のダイカスト用マグネシウム合金を好適に用いるこ
とができ、特にMDC1Aは有用である。Zn基合金と
しては、例えばAG40A、AG41A、高Mn合金な
ど、Zn−Al系、Zn−Al−Cu系、Zn−Al−
Cu−Mg系又はZn−Mn−Cu系のダイカスト用亜
鉛合金を好適に用いることができ、特に高Mn合金は有
用である。Fe基合金では、例えばねずみ鋳鉄、オース
テナイト鋳鉄、ステンレス鋳鋼などがあり、ステンレス
鋳鋼が特に有用である。Cu基合金では、例えば黄銅、
青銅、アルミニウム青銅などがあり、アルミニウム青銅
が特に有用である。また、チタン合金では、例えばα型
合金、β型合金、α+β型合金などがあり、α+β型合
金が特に有用である。
【0049】これらの金属の中でも、一般式:Feab
c(但し、MはNi又は/及びCoであり、XはM
n、Si、Ti、Al、Cから選ばれる少なくとも1種
の元素であり、a、b、cはそれぞれ重量%で、30≦
b≦40、0≦c≦10、aは不可避的不純物を含む残
部である。)で示されるFe−M−X系合金は、光コネ
クタ用部品の材料として好ましい。上記一般式で表わさ
れるFe−M−X系合金は、高い寸法精度で加工がし易
く、かつ、線膨張係数が光ファイバの線膨張係数に近い
ため、光ファイバを装着するフェルールの材料として特
に適している。
【0050】以上、本発明の好適な実施形態について説
明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるもの
ではなく、種々の設計変更が可能である。例えば、前記
した装置では、4つの製品成形用キャビティを形成した
金型を用い、単一の射出工程で4個の製品を製造する4
個取りの例を説明したが、1個又は任意の数のキャビテ
ィを並列的に形成した金型を用い、1個取り又は任意の
多数個取りとすることも勿論可能である。キャビティの
断面形状も円形のみに限られず、矩形等の多角形又は任
意の輪郭の断面形状とすることができる。また、本発明
は、前記したフェルール同士の端面を突き合わせて光フ
ァイバの整合、接続を行なう単芯光コネクタ用フェルー
ルの適用例に限定されるものではなく、多芯光コネクタ
用及び多芯光ファイバ整列用の光コネクタ部材にも適用
できる他、細孔を有する種々の射出成形品の製造に適用
できる。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、連続射
出成形と製品精度の2つの課題を同時に解決でき、以下
のような効果・利点が得られる。 (1)短時間に生産性良く低コストで、高精度の多数の
射出成形品が線材に所定間隔で一体成形された製品を連
続的に製造できる。また、成形部のキャビティは可動下
型のみに形成され、従来のような割型ではないため、型
割り部に生じるバリや型ズレ段違いなどの成形欠陥は発
生しないので、製品外径部の仕上げ加工が不要となる。 (2)射出成形後の成形品押出方向と射出成形品の送り
方向が一致しているので(線材移動方向)、金型に組み
込んだカム機構等の簡単な装置で射出成形品を送ること
ができ、従来のような金型の開閉手段と射出成形品の送
り駆動手段とを別個独立に設けてその駆動を一致させる
特別な機構は不要となる。 (3)キャビティ内に線材移動方向に突出自在に配され
たエジェクタピンを線材挿通用ガイド体として利用し、
また前ショットの押し出された射出成形品を次のショッ
トの際の線材移動方向側のガイド体として利用できるの
で、キャビティ(射出成形品)に対する線材の位置精度
を確保できる。
【0052】(4)射出成形品から線材を引き抜く工程
を付加することにより、細長い孔を有する非晶質合金成
形品であっても、簡単な工程でまた所定の形状、高い寸
法精度及び表面品質で成形加工でき、耐久性、強度、耐
衝撃性等に優れた細孔を有する安価な非晶質合金成形
品、特に光コネクタ用フェルールもしくはキャピラリ等
の光通信部品を提供できる。 (5)線材として光ファイバを用いることにより、光フ
ァイバの装着位置精度が高く、かつ強固に結合した所定
の形状、寸法精度、及び表面品質を満足する光ファイバ
一体型フェルールを単一のプロセスで量産性良くかつ安
価に製造でき、従って内径仕上げ加工等の機械加工工程
やフェルールへの光ファイバの接着工程が不要となり、
フェルール製造コストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の連続射出成形装置の一実施例を概略的
に示す部分斜視図である。
【図2】本発明の連続射出成形用金型の一実施例を概略
的に示す斜視図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】射出成形後の射出成形品の状態を示す部分斜視
図である。
【符号の説明】
1 金型 2 ワイヤ(線材) 3 ワイヤ供給リール 4 テンションリール 5 射出スリーブ 6 射出プランジャ 10 固定盤 11 注湯口 20 可動下ダイプレート 30 可動下型 31 キャビティ 32 開口部 40 スライダ 41 エジェクタピン 43 カム溝 50 可動上型 60 可動上ダイプレート 61 カム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 6/36 G02B 6/36

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 注湯口(11)を有する固定盤(10)
    と、該固定盤(10)の上に所定距離だけ上昇自在に配
    設され、上記注湯口(11)と連通する開口部(32)
    を備えた製品外形を規制する少なくとも1つのキャビテ
    ィ(31)を有する可動下型(30)と、該可動下型
    (30)の各キャビティ(31)内に突出自在に配され
    たエジェクタピン(41)と、上記可動下型(30)の
    上部に昇降自在に配設され、降下したときに上記可動下
    型(30)を固定盤(10)上に押圧固定すると共に上
    記キャビティ(31)の開口部(32)を閉鎖するよう
    に構成された可動上型(50)とを備え、上記エジェク
    タピン(41)内及び各キャビティ(31)内に挿通し
    た状態に長尺な線材(2)がキャビティ開口部側方向に
    移動自在に張設されていることを特徴とする線材への連
    続射出成形用金型。
  2. 【請求項2】 前記可動上型(50)が下方に突出した
    カム(61)を備えており、該カム(61)の下方に、
    前記キャビティ(31)内に突出自在に配されたエジェ
    クタピン(41)を備え、かつ上記カム(61)の昇降
    によってそれと係合して前後進駆動されるスライダ(4
    0)が配設されていることを特徴とする請求項1に記載
    の連続射出成形用金型。
  3. 【請求項3】 前記スライダ(40)に線材(2)が挿
    通されるガイド孔(42)が形成されていることを特徴
    とする請求項2に記載の連続射出成形用金型。
  4. 【請求項4】 前記可動上型(50)の下面及び/又は
    可動下型(30)のキャビティ開口部側前面に、前ショ
    ットで成形されエジェクトされた射出成形品(A)を固
    定するための凹陥部(55,23)が形成されているこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の
    連続射出成形用金型。
  5. 【請求項5】 前記請求項1乃至4のいずれか一項に記
    載の連続射出成形用金型(1)と、前記エジェクタピン
    (41)内及び可動下型(30)の各キャビティ(3
    1)内に挿通された長尺な線材(2)を張設する手段
    (3,4)と、上記金型のキャビティ(31)内に射出
    材料を射出充填する射出手段(5,6)とを備え、上記
    線材(2)に所定間隔で連続的に射出成形品(A)を一
    体成形するように構成されたことを特徴とする線材への
    連続射出成形用装置。
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