JP2001251637A - カラー画像表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】カラー画像表示装置のカラー陰極線管の動作時
にフォ−カス劣化を招くこと無くモアレを防止する。 【解決手段】偏向装置１２に蛍光面１１ｄに表示された
画像の周辺部のみを上下に変位させる補正機構１４を備
え、この補正機構１４を垂直偏向電源回路１５ｂから垂
直偏向コイルに印加する垂直偏向電流に同期して矩形波
電流を印加する第２の駆動回路１６に接続した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、カラー陰極線管を
持ちいたカラー画像表示装置に係り、特にカラー陰極線
管の良好なフォ−カス特性の確保の下でモアレの発生を
抑制したカラー画像表示装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】カラー画像表示装置、例えばカラーテレ
ビ、ＯＡ機器端末用カラーディスプレイモニター等で
は、これら装置に用いられるカラー陰極線管は、色選択
電極としてシャドウマスクを用いたものが多用されてい
るが、このシャドウマスク形カラー陰極線管は、内面に
ドット状或いはストライプ状の多数の蛍光体絵素を含む
蛍光面を持つ略矩形状のパネル部と、３本の電子ビ−ム
を発射する電子銃を収容する略筒状のネック部と、この
ネック部と前記パネル部とを接続する略漏斗状のファン
ネル部とで真空外囲器を形成し、この真空外囲器内で前
記蛍光面に近接対向して多数の電子ビ−ム通過孔を有す
る色選択電極であるシャドウマスクがマスクフレームに
固定された構成で配置されている。

【０００３】一方、この様なシャドウマスク形カラー陰
極線管に、強磁性体のヨークに水平偏向コイルと垂直偏
向コイルを組み合わせて構成した偏向装置を前記ネック
部とファンネル部の遷移部分に装着し、またネック部に
色純度補正、センタリング補正等のためのマグネット組
立体を装着し、更にこれらを駆動する偏向回路や駆動回
路等を具備してカラー画像表示装置を構成している。

【０００４】そして、前記電子銃から発射された電子ビ
ームは前記偏向装置で水平と垂直の２方向に偏向を受け
た後、色選択電極であるシャドウマスクの電子ビーム通
過孔を通って蛍光体絵素に射突し蛍光面に画像を表示す
る。

【０００５】この様なカラー画像表示装置において、そ
の動作中にカラー陰極線管の蛍光面の左右周辺部に、所
謂モアレが発生し、画像品質が劣化すると言う欠点があ
る。このようなモアレは、特に高精細度のカラー画像表
示装置において顕著に現れる。

【０００６】モアレは、電子ビ−ムと蛍光体絵素の位置
関係により生成する明部と暗部が一定周期となることに
起因し、画面上に縞模様となって視認され、画質特性を
劣化させる現象である。このモアレは電子ビ−ムの縦径
（すなわち、電子ビームのスポットが垂直方向に長軸を
持つ）が小さいほど顕著に現れることが知られている。

【０００７】図５はカラー画像表示装置のカラー陰極線
管のパネル部を正面からみたもので、前述した蛍光面に
画像を表示する際の蛍光面上の各位置における電子ビ−
ムの形状を示す正面図である。図５において、パネル部
１の蛍光面２を中央領域（以下、中央ゾ−ン）３と左右
領域（以下、左右ゾ−ン）４、５の３つの領域（ゾ−
ン）に分け、かつ時計表示でみると、中央ゾ−ン３の中
央の中央ビ−ムスポット６は垂直方向に長軸を持つやや
縦長の形状で、１２時及び６時の上下ビ−ムスポット
７、８は更に縦長であるのに対し、３時及び９時の左右
ビ−ムスポット９、１０は横長形状（すなわち、電子ビ
ームスポットが水平方向に長軸をもつ形状）となってい
る。

【０００８】この様な各位置のビ−ムスポット形状か
ら、３時及び９時の左右ビ−ムスポット９、１０は電子
ビ−ムの縦径が他の部分に比べて小さく、結果的に前述
のように左右ゾ−ン４、５に相当する部分にモアレが顕
著に現れる。

【０００９】この様なモアレに対する従来の対策方法
は、画像の１水平走査目と２水平走査目で電子ビ−ム通
過位置を垂直方向すなわち上下方向に微小量ずらすこと
で画像全体を上下に変位させ、画面上の明部と暗部の位
置を入れ替えて、目視上モアレが視認されないようにす
る方法が用いられている。

【００１０】その具体的な手段は、画像の１水平走査お
きに偏向装置の垂直偏向コイルに流す垂直偏向電流にモ
アレ補正用矩形波電流を重畳することで画像全体の位置
を上下に変化させるものである。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法は、こ
の種技術を用いない方法に比べモアレ対策としては一応
の効果は期待できる。然し乍ら、画像全体の位置を１走
査毎に上下に平行移動させて目視上モアレを見えなくす
る方法であるため、表示上最も重要な中央ゾ−ンのフォ
−カス特性が劣化してしまい、モアレ対策以外の点で致
命的な問題が生じ、カラー画像表示装置としては更なる
対策が求められている。

【００１２】本発明の目的は、前述した種々の問題を解
決して良好な画像特性を持つ優れたカラー画像表示装置
を提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の典型的な構成を記述すれば次の通りであ
る。すなわち、 （１）画像を表示する蛍光面及びこの蛍光面に向って複
数の電子ビ−ムを発射する電子銃を具備するカラー陰極
線管と、前記カラー陰極線管に装着して前記電子ビ−ム
を水平及び垂直方向に偏向し、前記蛍光面上に画像を表
示する水平及び垂直偏向コイルを有する偏向装置と、前
記水平及び垂直偏向コイルに駆動信号を供給する偏向回
路を備えたカラー画像表示装置であって、前記偏向装置
に、当該偏向装置の駆動で表示した前記蛍光面上の表示
画像の水平方向両周辺領域を垂直偏向周期に同期させて
垂直方向に変位させる偏向補正機構と、この偏向補正機
構に補正信号を供給するための偏向補正回路とを備え
た。

【００１４】上記（１）の構成とすることにより、モア
レの発生を防止すると共に蛍光面上の中央ゾ−ンは上下
の画像変位がないことからフォ−カス特性を良好に確保
することができる。 （２）前記偏向補正機構は、前記偏向装置に装着されて
前記蛍光面に表示した画像を当該蛍光面の中心を中心と
して転回させる磁界を発生する補正コイルから構成し
た。

【００１５】上記（２）の構成とすることにより、コス
トの上昇を招くことなくモアレの発生を防止すると共に
フォ−カス特性を良好に確保することができる。 （３）前記補正コイルを前記偏向装置の前記蛍光面側の
端部に装着した。

【００１６】上記（３）の様な構成とすることにより、
表示画像の制御が容易となる。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
き、実施例の図面を参照して詳細に説明する。

【００１８】図１は本発明の一実施例を示すカラ−画像
表示装置の全体構成例を説明するためのブロック図であ
る。図１において、１１はカラ−陰極線管で、その詳細
は後述する。１２は偏向装置であり、この偏向装置１２
は強磁性体のヨークに水平偏向コイル及び垂直偏向コイ
ルを組み合わせて構成し、カラ−陰極線管１１のファン
ネル部１１ａからネック部１１ｂの遷移部分に装着して
ある。この偏向装置の詳細についても後述する。

【００１９】１３はマグネット組立体であり、ネック部
１１ｂに装着されている。１４は補正機構で、この補正
機構１４は偏向装置１２の先端部、すなわちカラ−陰極
線管１１のパネル部１１ｃの蛍光面１１ｄ側に第３のコ
イルとして装着されている（水平偏向コイルを第１のコ
イル、垂直偏向コイルを第２のコイルとしたとき、補正
コイルは第３のコイルとなる）。

【００２０】１５は偏向回路である第１の駆動回路で、
この第１の駆動回路１５は水平偏向電源回路１５ａ、垂
直偏向電源回路１５ｂ、ロ−テ−ション補正用電源回路
１５ｃ及びミキサ−１５ｄを含む構成からなる。前記水
平偏向電源回路１５ａは前記水平偏向コイルに、又垂直
偏向電源回路１５ｂは前記垂直偏向コイルにそれぞれ接
続されている。

【００２１】更に、ロ−テ−ション補正用電源回路１５
ｃは前記ミキサ−１５ｄを介して前記補正機構１４を構
成する第３のコイルに接続され、この補正機構１４を構
成する第３のコイルに所定の電流を印加することにより
蛍光面上の表示画像を管軸を中心に回転方向に変位させ
る機能を有している。１６は第２の駆動回路で、この第
２の駆動回路１６は前記ミキサ−１５ｄを介して前記補
正機構１４を構成する第３のコイルに接続されている。

【００２２】この第２の駆動回路１６は、前記垂直偏向
電源回路１５ｂから垂直偏向コイルに印加する垂直偏向
電流に同期した信号ＳＹＮＣで位相を制御した矩形波電
流を生成し、前記補正機構１４にこの矩形波電流を印加
することにより、図２に示すようにパネル部１１ｃの蛍
光面１１ｄ上に表示される画像２１を、１水平走査目の
画像２１ａに対し２水平走査目の画像２１ｂを同軸で、
かつその周辺部のみが上下方向に変位させることを繰り
返す走査とすることができる。

【００２３】図３は本発明のカラ−画像表示装置に用い
られるシャドウマスク形カラ−陰極線管の一例の全体構
造を説明するための断面図である。図３において、３１
はパネル部、３２はネック部、３３はファンネル部、３
４は蛍光膜、３５は多数の電子ビーム通過孔を有する色
選択電極であるシャドウマスクである。このシャドウマ
スク３５は前記蛍光膜３４と同軸で、かつ所定の間隔を
隔てて配置されている。３６はマスクフレームで、後述
する構造でシャドウマスク３５等を固定保持している。
３７はスプリング、３８はパネルピン、３９は磁気シー
ルド、４０はアノ−ドボタン、４１は内装導電膜、４２
は電子ビームを水平と垂直に偏向する偏向装置で、その
一例を図４に示す。また、４３は３本の電子ビーム４４
（センター電子ビーム及び２本のサイド電子ビーム）を
発射する電子銃である。

【００２４】図３において、蛍光膜３４を内面に有する
パネル部３１と、ファンネル部３３とは、パネル部３１
とファンネル部３３で形成されるバルブ内部にシャドウ
マスク３５および磁気シールド３９等を固定したマスク
フレーム３６をスプリング３７でパネルピン３８に装架
し、パネル部３１と、ファンネル部３３とをフリットガ
ラスで溶着固定し、ネック部３２に電子銃４３を封入し
て真空封止する。

【００２５】電子銃４３から発射された電子ビーム４４
はネック部３２とファンネル部３３の遷移部分に装着さ
れた偏向装置４２で水平と垂直の２方向に偏向を受け、
色選択電極であるシャドウマスク３５の電子ビーム通過
孔を通して蛍光膜３４に射突することにより画像を形成
する。

【００２６】最近フラット画面タイプのカラーテレビや
カラーディスプレイモニターの普及に伴い、これらに使
用されるカラー陰極線管においても、フェースプレート
（パネルガラス）がフラット化される傾向にある。

【００２７】前記図３は本発明のカラー画像表示装置に
用いられる一例のフラットタイプのシャドウマスク形カ
ラー陰極線管を示している。図３において、パネル部３
１は、その外面が略平坦であり、内面は凹面状に湾曲し
ている。シャドウマスク３５は、シャドウマスク原板が
プレス成形によって所定の曲面に整形されたもので、パ
ネル部３１の内面に合わせて湾曲している。

【００２８】このように、パネル部３１の外面が略平坦
であるにもかかわらず、パネル部３１の内面及びシャド
ウマスク３５を湾曲させているのは、プレス成形技術に
よるシャドウマスク３５の製作方法が簡単かつ低コスト
であるためである。

【００２９】このシャドウマスク３５は、多数の電子ビ
ーム通過孔が形成された有孔領域を含む主面が略長方形
であり、長軸（水平方向）沿い、短軸（垂直方向）沿い
および対角線沿いで各々曲率半径が異なっている。これ
は、カラー陰極線管としての画面のフラット感と成形さ
れたシャドウマスクの機械的強度維持の両立を図るため
である。

【００３０】本例におけるシャドウマスク３５の曲面形
状は、曲率半径が長軸沿い、短軸沿いおよび対角線沿い
の各々で主面の中央から周辺に向かって徐々に減少した
非球面である。長軸沿いの曲率半径Ｒｘは１４５０ｍｍ
から１２５０ｍｍの間、短軸沿いの曲率半径Ｒｙは２０
００ｍｍから１３００ｍｍの間で、対角線沿いの曲率半
径Ｒｄは１６００ｍｍから１２５０ｍｍの範囲で変化し
ている。

【００３１】この非球面形状のシャドウマスクの曲率
は、等価曲率半径Ｒｅとして次のように定義することが
できる。

【００３２】Ｒｅ＝（ｚ2 ＋ｅ2 ）／２ｚ 但し、ｅ：シャドウマスク主面の中央から任意の周辺位
置までの管軸に垂直な方向の距離（ｍｍ） ｚ：上記任意の周辺位置におけるシャドウマスク主面の
中央から管軸方向の落ち込み量（ｍｍ） 上述のように、長軸沿いについては、短軸に比べて多少
曲率半径が小さくてもフラット感が損なわれることがな
く、等価曲率半径として１２５０ｍｍ以上であれば良
い。

【００３３】図４は本発明のカラ−画像表示装置に用い
られる偏向装置の一例の概略を示す側面図である。図４
において偏向装置４２は、内側に水平、垂直の二つの偏
向コイルを備えた漏斗状の強磁性体からなるヨーク４５
を中心として、蛍光面側の端部４２ａに中心軸４６を中
心に円環状に巻回した第３のコイル（補正コイル）から
なる補正機構４７を備えている。

【００３４】一方、ネック部側の端部４２ｂには偏向装
置４２自体をネック部に固定する締め付けバンド４８、
２極及び色純度補正や電子ビームのセンタリング補正の
ための４極マグネット４９及び補正コイル５０等を有
し、更には上部には端子板カバ−５１等を備えている。

【００３５】本発明は上記の実施例に限定されるもので
はなく、特許請求の範囲に記載した本発明の思想を逸脱
しない範囲で種々の変更が可能である。

【００３６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
蛍光面上に表示された画像はその中央領域は上下に変位
させることなく画像の水平方向周辺領域を上下すなわち
垂直方向に変位させる構成としたことから、画像中央部
のフォ−カスは確保出来、問題となる画像周辺部のモア
レを除去することが出来てフォ−カス特性に優れ、かつ
モアレの無い優れたカラ−画像表示装置を得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すカラ−画像表示装置の
全体構成例を説明するためのブロック図である。

【図２】本発明を説明するためのパネル部の蛍光面上の
画像の変位を示す正面図である。

【図３】本発明のカラ−画像表示装置に用いられるシャ
ドウマスク形カラ−陰極線管の一例の全体構造を説明す
るための断面図である。

【図４】本発明のカラ−画像表示装置に用いられる偏向
装置の一例の概略を示す側面図である。

【図５】カラー画像表示装置のカラー陰極線管のパネル
部の蛍光面上の各位置における電子ビ−ムの形状を示す
正面図である。

【符号の説明】

１１ カラ−陰極線管 １２、４２ 偏向装置 １４、４７ 補正機構 １５ 第１の駆動回路 １６ 第２の駆動回路 ２１ 表示される画像。

フロントページの続き (72)発明者 佐々木 博 千葉県茂原市早野3681番地 日立デバイス エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 渡辺 健一 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日立 製作所ディスプレイグループ内 (72)発明者 加藤 真一 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日立 製作所ディスプレイグループ内 Ｆターム(参考） 5C042 HH01 HH13 5C060 AA01 CA03 CL01 JA05 5C068 AA17 BA08 BA16 HA05 HB26 KA11

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】画像を表示する蛍光面及びこの蛍光面に向
   って複数の電子ビ−ムを発射する電子銃を具備するカラ
   ー陰極線管と、前記カラー陰極線管に装着して前記電子
   ビ−ムを水平及び垂直方向に偏向し、前記蛍光面上に画
   像を表示する水平及び垂直偏向コイルを有する偏向装置
   と、偏向装置の前記水平及び垂直偏向コイルに駆動信号
   を供給する第１の駆動回路を備えたカラー画像表示装置
   であって、 前記偏向装置に、当該偏向装置の駆動で表示した前記蛍
   光面上の表示画像の水平方向両周辺領域を垂直偏向周期
   に同期させて垂直方向に変位させる偏向補正機構と、こ
   の偏向補正機構に補正信号を供給する第２の駆動回路と
   を備えたことを特徴とするカラー画像表示装置。
2. 【請求項２】前記偏向補正機構は、前記偏向装置に装着
   されて前記蛍光面に表示した画像を当該蛍光面の中心を
   中心として転回させる磁界を発生する補正コイルから構
   成したことを特徴とする請求項１記載のカラー画像表示
   装置。
3. 【請求項３】前記補正コイルを前記偏向装置の前記蛍光
   面側の端部に装着したことを特徴とする請求項２記載の
   カラー画像表示装置。