JP2001248614A - 角穴スナップ嵌めファスナー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シートを機器ラックに取り付ける作業を簡略
化すること。 【解決手段】 ２枚のシートをスナップ嵌めによって結
合固定するためのスナップ嵌めファスナーを提供する。
ファスナー本体の側部延長部分は、第１金属シートに恒
久的に取り付けるクリンチ付形部分を含む。ファスナー
本体から第１シートの反対側の面を越えて突出する一体
のスナップアームは、第２シートの適正なサイズの穴に
取り付けられ、２枚のシートを結合する反復使用可能な
取付手段を構成する。２枚のシートは、ファスナーの方
形穴*の軸線の両側に該軸線に平行に形成された、該フ
ァスナー本体と一体のスナップアームを通すための整列
した方形穴を備えている。第２シートの引き抜けを防止
するたスナップアームをその係合位置に保持するために
ロック機構を用いることができる。更に、ファスナー本
体と一体のフィンガーグリップは、取り付けられたシー
トを持ち運ぶための人間工学的に好適な把手を構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、２枚のパネル又は
シート（例えば金属シート）を固定するために迅速に装
着されるファスナーのためのスナップ嵌め締着に関し、
特に、２枚のパネル又はシートの手作業による固定及び
解放を可能にするパネルファスナーに関する。

【０００２】

【発明の背景及び従来技術】電子機器等をラック（架
台）に組み付ける工程は、機器棚（シート又はパネル）
をラックの側壁又は側部レールに形成された一連の上下
方向に隔置された長方形又は正方形の穴（以下、「方形
穴」又は単に「角穴」とも称する）に取り付ける操作を
含む。このタイプのラックシステムのための従来のファ
スナーは、ケージナット組立体と、ワッシャーと、ねじ
の組み合わせを用いている。機器棚をラックに組み付け
るには、まず、ケージナットをラックの正しい上下方向
の位置に装着しなければならないが、その操作には非常
な手先の器用さと特殊な工具を必要とする。次いで、棚
をそれに形成されている穴がケージナットと整列するよ
うに位置づけして、棚を手作業で所定位置に保持したま
ま、ねじとワッシャーを所定位置に挿入して締め付け
る。ラックの両側壁にこの同じ作業を繰り返さなければ
ならない。各棚に対して２〜４つのファスナー組立体を
必要とする。棚をラックから取り外すには、すべてのね
じを外さなければならないが、遊離した（外れた）ねじ
及びワッシャーが紛失したり、敏感な電子機器内に落下
したりし易い。ねじ付きファスナーが用いられる場合、
取り付け及び取り外しのために各ファスナーを手又は工
具で何回も回さなければならない。このように、ラック
システムをこの従来技術の組み立て方式は、時間がかか
り、しかも、作業が面倒である。従って、当該技術分野
において、機器棚を垂直方向に離隔した方形穴を有する
ラックに組み付ける工程の簡略化を求める要望がある。

【０００３】発明の開示 本発明は、機器棚（シート又はパネル）を機器ラックの
側壁に取り付ける作業を大幅に簡略化する。この目的の
ために。本発明は、棚に恒久的に装着される新規な角穴
要用スナップ嵌めファスナーを開発した。棚の取り付け
は、単にファスナーをラックの側部レールの方形穴にス
ナップ嵌めするだけで行うことができ、棚の取り外し
は、単に棚又はファスナー自体を引っ張るだけで行うこ
とができる。紛失するおそれや、機器に損傷を与えるお
それのある遊離ハードウエア（遊離した部品）は存在し
ない。

【０００４】本発明はラックシステムを組み立てる技術
に大きな進歩をもたらすものであるが、本発明のファス
ナーはラックシステムを組み立てるという特定の応用分
野に限定されるものではなく、パネルを工具を用いずに
迅速に固定することを必要とするいかなる分野にも適用
することができる。本発明は、幾つかの重要な特徴を有
するファスナーを提供する。第１に、本発明のファスナ
ーは、それを第１金属シートに恒久的に取り付けること
ができるクリンチ（噛み合い）輪郭（外形）を有する。
第２に、このファスナーは、第１シートを第２シートに
形成された適当なサイズの方形穴に取り付けるための再
使用可能な手段を構成する一体のスナップアームを有す
る。更に、本発明のファスナーは、随意選択として、ロ
ック機構（以下、単に「ロック」とも称する）及びフィ
ンガーグリップ（把手）を含むものとすることができ
る。

【０００５】クリンチ取り付けは、第１シートからその
素材金属をファスナーの後述するアンダーカット内へ押
しのける（変位させる）ことによって達成される。即
ち、このクリンチは、金属を凸領域から凹領域へ押しの
ける（変位させる）ことによって作動する。金属は、こ
の押しのけ手段からアンダーカットへ低温流動する。金
属がアンダーカット内へ流入して（食い込んで）金属の
塑性流れが停止すると、部品（ファスナー）が恒久的に
シート金属に結合される。穴は、クリンチの動作面に沿
う側では適正なサイズとしなければならないが、方形ク
リンチの他方の面に沿う側では過大寸法としてもよい。
クリンチ輪郭及びファスナーの全体外形は、広範囲のい
ろいろなパネルサイズ及び厚さに適合するように寸法づ
けすることができる。

【０００６】本発明のファスナーの１対のスナップアー
ム（以下、単に「アーム」又は「スナップ」とも称す
る）は、それらの端部をスナップ嵌めすべき（弾発的に
嵌合すべき）第２シートの方形穴内に最初に係合させる
ことを可能にするテーパー付きバーブ（かえし、逆と
げ）を有する。１対のアームの端部を穴内へ進入させ
て、穴の側辺に係合させ、引き続きアームに軸方向の力
を加えると、アームは、互いに近接する方向に内方へ撓
曲して穴を通り抜ける。穴を通り抜けると、アームは、
弾性によってそれらの元の位置に戻り、それによってフ
ァスナーを穴内に保持する。ファスナー又は棚のどちら
かを引っ張れば、ファスナーは、装着されるときと同様
の態様で解放される。

【０００７】本発明のファスナーの変型実施形態におい
ては、ファスナーにロッククリップの形としたロック機
構を組み入れる。ファスナーを第２シートに係合させた
後、ロッククリップ（「ロック機構」又は単に「ロッ
ク」とも称する）を前方へ押し進めると、ロックリップ
がスナップアームの間の所定位置にスナップ嵌合し、フ
ァスナーが弛んだり、抜けたりするのを防止する。即
ち、ロッククリップは、スナップアームが内方へ撓曲し
手第２シートの穴から脱係合するのを防止する確実なス
トッパーとして機能する。ファスナーをアンロックする
（ロックを解除する）には、単に、ロッククリップを引
っ張ってアンロック位置へスナップ嵌めさせるだけでよ
い。アンロック位置では、ロック機構は、上述したアー
ムの撓曲の経路外にあるので、第１シートと第２シート
の分離を可能にする。ロッククリップには、それがアン
ロック位置にあるときはスナップアームの経路外に係留
されるように戻り止めを設けることができる。このロッ
ククリップは、又、振動や地震の際にファスナーが弛む
のを防止する働きをする。ロッククリップは、プラスチ
ック材で金型成形することができ、それによって色分け
による識別及び照合の手段を提供することができる。

【０００８】本発明のファスナーの更に別の変型実施形
態においては、ファスナーと一体のフィンガーグリップ
即ち把手を組み入れる。これによってファスナーの構成
部品自体を機器を操作するための把手として機能させる
ことができる。この把手部分は、ファスナー本体の延長
部を握りやすいように人間工学的に設計することによっ
て形成することができ、把手やつまみ等の追加のハード
ウエアを設ける必要性を排除することができる。又、フ
ィンガーグリップをスナップアームの真後ろに配置する
ことによって、スナップアームに加えられる力が軸方向
に向けられ、ファスナーが受ける側方の応力を減少さ
せ、それによって、組み立て及び分解に要する力を減少
させることができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】好ましい実施形態の説明 図１Ａ、１Ｂ、２及び３を参照すると、本発明のファス
ナー１の基本的特徴が透視図で示されている。ファスナ
ー１は、長手方向に延長した側部延長部分１ａとスナッ
プアーム１０を有する。図１は、第１シート（以下、単
に「シート」又は「パネル」とも称する）２に装着され
る前の状態にあるファスナー１を示す。この状態では、
側部延長部分１ａ及び弾性スナップアーム１０を第１シ
ート（例えば、金属シート）２の適正に寸法ぎめされた
取付穴４に整列させる。図１Ｂは、ファスナー１が第１
シート２に恒久的にクリンチ止めされたところを示す。
この状態では、ファスナー１は、第２シート（例えば、
金属シート）３に取り付けるために第２シート（以下、
単に「シート」又は「パネル」とも称する）の穴５に整
列されている。

【００１０】図２は、図１Ａ及び１Ｂに示された３つの
要素（ファスナー１、第１及び第２シート２，３）が結
合された状態を示す。第２シート３は、ファスナー１の
長手軸線の両側の側部延長部分１ａの間に位置するファ
スナー１の１対の弾性スナップアーム１０によって第１
シート２に解放自在（即ち、着脱自在）に取り付けられ
る。スナップアーム１０は、第２シート３の穴５の側辺
を把持するバーブ付き端部を有する。図３では、ファス
ナー１のロッククリップ６は、そのロック位置にあると
ころが示されており、スナップアーム１０の間に延長し
てそれらの間にくさび状に圧入して確実に両アームを外
方に押し広げる働きをする１対の脚部を備えている。図
３は、ファスナー１の取付端からみた透視図であり、側
部延長部分１ａ、クリンチ付形部分１ｂ、スナップアー
ム１０及びロッククリップ６を含むファスナー１の基本
的構成要素を明示している。（ここで、「クリンチ付形
部分」とは、クリンチ（噛み合い）止めするために特定
の形状を付与された部分という意味である。）ロック機
構を構成するロッククリップ（以下、単に「ロック」と
も称する）６は、ロック位置にあるところが示されてい
る。

【００１１】図４及び図５は、図２に示された組み立て
られたシートの断面図であり、図４は、ファスナー１の
ロッククリップ６がロック位置にあるところを示し、図
５は、ロッククリップ６がアンロック位置にあるところ
を示す。まず図４を参照すると、第１シート２にクリン
チ止めされたファスナーの本体の両側部の細部構造が示
されている。クリンチ付形部分１ｂの押しのけ部７は、
シート２の穴４に圧入されるにつれてシート２の素材
（例えば、金属材）をクリンチ付形部分１ｂのアンダー
カット８内へ押しのける。それによってファスナー１を
第１シート２にクリンチ止めする。

【００１２】一方、スナップアーム１０は、第２シート
３の裏面を貫通して突出し、第２シート３は、スナップ
アーム１０の端部のバーブとの直接接触によってファス
ナーに取り付けられ、従って第１シートに取り付けられ
る。図４では、ロッククリップ６は、ロック位置にあ
り、クリップの脚部は、１対のスナップアーム１０の端
部の間にくさび状に挿入されてスナップアームを押し広
げた状態に保持している。ファスナーの寸法、及び、フ
ァスナーの本体のバーブ及びクリンチ付形部分と取り付
けるべきパネル２，３の厚さの関係は、本発明によるス
ナップ嵌め取付にとって決定的な重要性を有する。

【００１３】図５を参照すると、図４に示されているの
と同じ要素が示されているが、ロッククリップ６が引っ
込められたアンロック位置にある。この位置では、ロッ
ククリップ６の脚部は、スナップアーム１０の端部から
引っ込められており、従って、ファスナーが第２シート
３から引き抜かれるときスナップアーム１０のバーブ
（かえし）が内方へ撓むのを阻止しない。スナップアー
ム１０及びそのスナップ止めバーブの形状は、所望の大
きさの挿入力及び引き抜き力を要するように設計され
る。

【００１４】図６を参照すると、図４の正面（上）から
みた断面図が示されており、スナップアーム１０及びロ
ッククリップ６の詳細が示されている。この図から、ロ
ッククリップ６がスナップアーム１０にの間に食い込ん
でいることが分かる。スナップアーム１０は、ロックク
リップ６の脚部の内側表面に形成された肩部６ａに当接
し、該脚部の内向き突片１９の側面によって拘束され
る。従って、スナップアーム１０の端部のバーブは、内
方へ撓曲しない限り第２シート３を解放することがな
く、それによって、ロッククリップ６は、第２シートを
ファスナーに確実に保持する。

【００１５】ロックされた状態では、スナップアーム１
０の側辺の寸法は両シートの穴の寸法に合致するので、
両シートは側方にも、軸方向にも、回転方向にも動かな
いように保持される。かくして、両シートは、確実に固
定され、どの方向にも動かないように保持される。

【００１６】ファスナー１の本体の側部延長部分１ａ
は、スナップアーム１０撓曲させることができるように
ロックアーム６から間隙１０ａ（図６参照）だけ離隔さ
れている。

【００１７】図７を参照すると、ファスナー１の本体が
示されている。１対のスナップアーム１０は、間隙Ｋだ
け互いに離隔されており、スナップ嵌めをするのに必要
とされる撓みがスナップアームの素材の弾性領域内に収
まるように寸法づけされている。即ち、スナップアーム
１０の長さは、ファスナーが所定位置にスナップ（弾発
的に）嵌合する際に生じるすべての運動がファスナーの
素材の弾性領域内に収まるようにするのに十分な長さと
されている。ファスナーの表面１３は、ファスナーにス
ナップ嵌合する第２シート３を受容するための座着表面
である（図４、５参照）。この座着表面１３は、クリン
チ止めされる第１シート２がファスナーのクリンチ輪郭
の高さＪより厚さが薄い場合、第２シート３のスナップ
運動に対する確実なストッパーを構成する。反対にクリ
ンチ止めされる第１シート２がクリンチ輪郭の高さＪよ
り厚さが厚い場合は、クリンチ止めされた第１シート２
自体が第２シート３のスナップ運動に対する確実なスト
ッパーとして機能し、両シートが面接触状態に保持され
る。

【００１８】スナップアーム１０が第２シートの穴５の
側壁に押し当てられて挿入されるにつれて、スナップア
ーム１０のバーブ１８に設けられた先導テーパー１６が
スナップアームを内方へ撓曲せしめる。バーブ１８を含
むスナップアーム１０は、第２シートの穴５内に完全に
挿入されると、第２シート３の裏面で常態の不撓曲位置
に戻り、第１シートとファスナー組立体を軸方向に動か
ないように保持する。スナップアーム１０のバーブ１８
に形成された逆テーパー１７は、ファスナーを挿入する
ときの先導テーパー１６の機能と同様の態様でファスナ
ーを穴５から引き抜くのを可能にする。テーパー１６，
１７の傾斜角が、ファスナーの装着及び脱着に要する力
の大きさを制御する。ファスナーの装着に要する力の方
がファスナーの脱着に要する力のより小さくなるよう
に、通常、テーパー１６の傾斜角は６０°、テーパー１
７の傾斜角は４５°とする。

【００１９】図７にも、ファスナーに設けられた押しの
け部７及びアンダーカット８が明示されている。これら
は、ファスナーを第１シート２をにクリンチ止めするた
めの必須の特徴部分である。アンダーカット８の上方の
ファスナーの付形部分１１即ちガイドは、第１シートの
取付穴４に遊び嵌合し、シート２へのファスナーの装着
を容易にするためにファスナーをシート２に心合させる
のを助成する先導ガイドとして機能する。押しのけ部７
の下方に付形部分１２として示された表面は、第１シー
ト２への装着クリンチ止め工程に対する確実なストッパ
ーである。付形部分１４として形成されたフィンガーグ
リップは、ファスナーの把手部分であり、掴みやすいよ
うに十分な大きさとされており、その外方に湾曲した湾
曲部（丸み）１５は、引っ張りやすいように人間工学的
に設計されている。

【００２０】図８Ａは、図８Ｂから９０°回転された方
向からみたロッククリップ６の側面図であり、端部に内
向き突片１９を有する脚部２８を備えたロッククリップ
６を示す。図６に示されるように、これらの突片１９
は、ファスナー１のスナップアーム１０の間に嵌合する
ようになされている。ロッククリップ６の突片１９は、
スナップアーム１０に対して９０°の角度に配向されて
おり、それらのアーム１０をその内向き撓曲に抗してく
さび状に押し拡げられた状態に確実に保持する。ロック
クリップ６の突片１９がスナップアーム１０に対してロ
ック位置におかれた状態では、スナップアーム１０は、
第２シート３の方形穴５の内側表面内に拘束され、それ
によって両シート２，３を相対移動しないように固定す
る。

【００２１】ロッククリップ６の突片１９は、ファスナ
ー１に最初に組み付けたとき該ロックを方形スナップフ
ァスナーの本体を覆って所定位置へスナップ嵌めするの
を可能にする先導テーパー２０を有する。このロックは
装着後取り外すことを企図されていないので、ロックク
リップ６の突片１９には先導テーパー２０に対応する逆
テーパーが設けられていない。代わりに、ロッククリッ
プ６の各突片１９の底部コーナーに、ロックがアンロッ
ク位置に置かれたときスナップアーム１０の逃げ湾曲部
（丸み）２２（図７参照）に合致して密嵌合する湾曲部
２１が設けられている。

【００２２】図７を参照すると、ファスナーのベースに
形成された、ロック６を受容するためのロック凹部（以
下、単に「凹部」とも称する）９が示されている。凹部
９は、ロック機構６がロック位置に置かれたとき、ロッ
ククリップ６の外表面が図１、２及び３に示されるよう
にファスナー１のフィンガーグリップ１４と面一となる
ようにロッククリップ６のベースをぴったり受容するよ
うに寸法づけされている。又、ロック凹部９は、ロック
にそのロック位置においてもアンロック位置においても
追加の安定性を与えるためにスナップアーム１０間の幅
より大きい平行な内側側面を有している。ロック６のベ
ースの表面２３は、図７に示されるようにファスナー１
の本体の凹部９に座着し、ロッククリップ６がファスナ
ーのロック受け止め梁２５に当接するロック位置に置か
れたときロッククリップに対する確実なストッパーを構
成する。ロックの脚部２８の内側面に設けられた戻り止
め２４は、ファスナーのロック受け止め梁２５の、凹部
９のある側とは反対側の面に当接して梁２５を押さえ
る。かくして、表面２３は、戻り止め２４，２６の逆テ
ーパーと連携してロックをロック位置に位置ぎめして保
持する働きをし、どちらの方向へも移動するのを防止す
る。表面２３は、ロックをファスナーに装着するのに要
する力を小さくするためにスナップアーム１０に沿って
切除することができる。又、湾曲部２１と、ロックの脚
部２８の内側面に設けられた戻り止め２６の先導テーパ
ーによって画定される表面が、ファスナーをアンロック
位置に保持する。即ち、湾曲部２１と戻り止め２６がロ
ック受け止め梁２５の両側の面に当接して押さえる。

【００２３】ロックの脚部２８の外表面には、手で把持
しやすい一連の凸状（刻み）２７が形成されているの
で、ロックを容易に所定位置に押し込むことができ、
又、引っ張って解放することができる。ロックの係合及
び脱係合操作に要する力は、戻り止め２４，２６をロッ
ク受け止め梁２５を通して移動させるのに要する力だけ
である。

【００２４】図８Ｂは、図８Ａの矢印８Ｂの方向にみた
側面図である。図８Ｂにおいて、ロッククリップ６の、
シート２の外部に残される部分の幅Ｌは、ロッククリッ
プが梁２５を中心として回転するのを防止するためにス
ナップアーム１０の間隙寸法Ｋ（図７）より幅広とされ
ている。内向き突片１９は、上述した機能をする戻り止
め２４を含む脚部２８の先端から突出している。突片１
９の構造は、突片１９と同じ突片構造を有するが、掛止
手段を含む後述の図２１に示された実施形態を参照する
ことによってより明瞭に理解することができる。

【００２５】図９〜１２は、シートに形成される穴のい
ろいろな形態を示す。即ち、図９〜１１は、第１シート
２に形成される穴のいろいろな形態を示し、図１２は、
ファスナー１によって解放自在に取り付けられる第２シ
ート３に形成される方形穴の基本的な形態を示す。

【００２６】図９は、本発明のクリンチをスナップ嵌め
すべき穴の２つの最も簡単な変型例のうちの１つを示
す。穴４の長さＢは、クリンチ輪郭（図７に示された付
形部分７，８，１１及び１２）と合致するように慎重に
寸法ぎめしなければならない。幅Ｃは、ファスナーを装
着する際心狂いを生じる可能性を少なくするためにファ
スナーの厚さと緊密に合致するように寸法ぎめしなけれ
ばならない。ロック機構を備えたファスナーの好ましい
実施形態では、ロックを収容するために穴４に延長部を
設けなければならない。これは、寸法ＤとＥによって示
されている。

【００２７】図１０は、シート２に穿設すべき穴４の別
の変型例を示す。これは、本発明のクリンチをスナップ
嵌めすべき穴の２つの最も簡単な変型例のうちの他の１
つである。この穴の形状は、ロック機構を受容するため
の逃げ部分が円形にされている点を除いては、図９に示
されたのと同じ長方形部分を有している。直径Ｆは、図
９の寸法Ｄ及びＥによって画定される長方形を囲んで描
かれた円に対応する。

【００２８】図１１は、本発明のクリンチをスナップ嵌
めすべき第１シート２の穴の第３の変型例を示す。これ
は、シートの強度を高めるために穴の周りのシート材の
量をできるだけ大きくした例である。この形態は、３つ
の長方形の穴から成る。中央の穴は、ロックアーム６を
受容するための逃げを構成し、スナップアーム１０を撓
曲させるための余地を与える。中央の穴の両側の２つの
側方穴は、クリンチ機構の適正な装着を可能にするため
のクリアランスを与えるように寸法づけされている。寸
法Ｂ、Ｃ及びＤは、図９に示されたものと同じである。
寸法Ｅは、スナップアーム１０のバーブ１８より大きく
なるように寸法づけしなければならない。寸法Ｇは、ク
リンチ輪郭１ｂ（付形部分７，８）を含むクリンチ側部
延長部分１ａを収容するように寸法づけしなければなら
ない。

【００２９】図１２は、ファスナーのスナップアーム１
０のバーブ１８を受容する第２シート３の方形穴５を示
す。この穴５の寸法Ａは、スナップアーム１０及び該ア
ームの、穴５に係合する係合部分であるバーブ１８の幅
に適合するように定めなければならない。穴５の他方の
側辺の寸法Ａ−１は、単に、スナップアーム１０の厚さ
より長くすればよい。寸法Ａ−１は、第２シート３にフ
ァスナーを装着するための複数の穴が設けられている場
合、それらの穴間の心狂いを補償する最小限の寸法より
大きくすることができる。

【００３０】図１３は、強度を高めるための湾曲壁２９
を有するファスナーの変型例を示す。この湾曲形状によ
り、クリンチ止めの際ファスナーがより強い力に耐える
ことを可能にする。

【００３１】図１４は、ファスナーの側部延長部分の先
端部のクリンチ付形部分１ｂの詳細を示す。個々に参照
番号を付された要素は、図７に関連して上述した要素に
対応している。

【００３２】図１５は、ファスナーの側部延長部分３１
の先端部を折り返してそれをシートに恒久的に取り付け
ることができるようにするプロング（ピン）型クリンチ
付形部分の随意選択の変型例を示す。この形態は、非常
に硬いシート、及び、適当な穴を備えた適正なサイズの
シートに取り付けるために随意選択として用いることが
できる。

【００３３】図１６は、ファスナーの側部延長部分３４
の先端部をシートの取付穴に取り付けるための取付方法
の変型例を示す。この方法も、シートの厚さが適正であ
り、穴の形態が適正であれば、どのような硬さのシート
への取付にも適用することができる。この方法によれ
ば、第１シート２が損傷したときファスナーを第１シー
トから取り外すことができる。逆テーパー３６の傾斜角
は、ファスナーの取り外しに要する力を増減させるため
に変更することができる。

【００３４】図１７〜２１は、ロッククリップのいろい
ろな変型例を示す。図１７及び１８は、ロックに設けら
れた随意選択の掛止部材３７を示す。掛止部材３７は、
ロッククリップのアームが互いに分離しないようにする
とともに、ロッククリップに追加の安定性と強度を与え
る。又、掛止部材３７は、ロックをファスナー本体に組
み立てるのを容易にする先導テーパー２０を有してい
る。

【００３５】図１９及び２０は、図１７及び１８に示さ
れた掛止部材３７と同様の機能を果たす随意選択の掛止
部材３８とスロット４０の組み合わせを示す。ロックク
リップのための好ましい素材は、アセチル等の金型成形
可能な熱可塑性材である。

【００３６】図２１及び２２は、プラスチックから成形
された「一体ヒンジ」を利用するロッククリップの例を
示す。ファスナーの本体に組み付ける際、ロッククリッ
プを両側のヒンジ４１に沿って折り曲げ、掛止ジョー３
９をバーブ４０を被ってスナップ嵌めさせる。ロックク
リップの外側面に形成されたテーパー４２は、この実施
例のヒンジ４１と必ずしも組み合わせて設けられるもの
ではなく、どの実施例のロッククリップにおいても好ま
しいものである。このテーパー４２は、ロッククリップ
をそのアンロック位置からロック位置へ滑入させる際、
ロッククリップを第２シート３の方形穴５の側辺に沿っ
て案内する。ロッククリップのベースに形成された穴４
３は、成形時のベースの厚肉部分のひけや塑性収縮を抑
制する働きをするのでロッククリップの成形工程を助成
する。

【００３７】図２２は、図２１のロッククリップがその
一体ヒンジが閉じられた状態にあるところを示す。この
図には、又、この図には、ロックをアンロックする操作
中握り力がロッククリップを介してファスナーのベース
にを締め付けることがないような向きに配向されたグリ
ップ表面４５を呈する朝顔形に張り出したグリップ突部
４４が示されている。

【００３８】以上、本発明を実施形態に関連して説明し
たが、本発明は、ここに例示した実施形態の構造及び形
状に限定されるものではなく、いろいろな実施形態が可
能であり、いろいろな変更及び改変を加えることができ
ることを理解されたい。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１Ａは、本発明のファスナー及び第１シート
の上右側正面からみた組み立て態様を示す透視図であ
る。図１Ｂは、本発明のファスナー及び第１シート及び
第２シートの上右側正面からみた組み立て態様を示す透
視図である。

【図２】図２は、本発明のファスナーの上右側正面から
みた透視図であり、ファスナーが平行な２枚のシートを
固定したところを示す。

【図３】図３は、本発明のファスナーの上右側背面から
みた透視図である。

【図４】図４は、本発明のファスナー及び第１シート及
び第２シートの上からみた一部断面による図であり、ロ
ッククリップがロック位置にあるところを示す。

【図５】図５は、本発明のファスナー及び第１シート及
び第２シートの上からみた一部断面による図であり、ロ
ッククリップがアンロック位置にあるところを示す。

【図６】図６は、図４の正面（上）からみた断面図であ
る。

【図７】図７は、本発明のファスナーの本体部材の上か
らみた平面図である。

【図８】図８Ａは、本発明のロッククリップ部材の側面
図である。図８Ｂは、図８Ａの矢印８Ｂの方向にみた側
面図である。

【図９】図９は、本発明のファスナーを挿入すべきシー
トの穴の一例の平面図である。

【図１０】図１０は、本発明のファスナーを挿入すべき
第１シートの穴の変型例の平面図である。

【図１１】図１１は、本発明のファスナーを挿入すべき
第２シートの穴の１例の平面図である。

【図１２】図１２は、本発明のファスナーを挿入すべき
第２シートの穴の変型例の平面図である。

【図１３】図１３は、本発明のファスナーの本体部分の
変型実施形態の上からみた平面図である。

【図１４】図１４は、本発明のファスナーの突出スナッ
プアームの係合手段の１例を示す平面図である。

【図１５】図１５は、本発明のファスナーの突出スナッ
プアームの係合手段の変型例を示す平面図である。

【図１６】図１６は、本発明のファスナーの突出スナッ
プアームの係合手段の更に別の変型例を示す平面図であ
る。

【図１７】図１７は、単独で示された本発明のロックク
リップの背面図である。

【図１８】図１８は、図１７に示されたロッククリップ
の側面図である。

【図１９】図１９は、単独で示された本発明の変型例に
よるロッククリップの背面図である。

【図２０】図２０は、図１９に示されたロッククリップ
の側面図である。

【図２１】図２１は、単独で示された本発明の更に別の
変型例によるロッククリップの背面図である。

【図２２】図２２は、図２１に示されたロッククリップ
の側面図である。

【符号の説明】

１ ファスナー １ａ 側部延長部分 １ｂ クリンチ輪郭、クリンチ付形部分 ２ 第１シート ３ 第２シート ４ 取付穴、穴 ５ 方形穴、穴 ６ ロック、ロック機構、ロッククリップ ６ａ 肩部 ７ 付形部分 ８ 付形部分、アンダーカット ９ ロック凹部、凹部 １０ 弾性スナップアーム、スナップアーム １０ａ 間隙 １１ 付形部分 １２ 付形部分 １３ 座着表面 １４ フィンガーグリップ、付形部分 １６ 先導テーパー １７ 逆テーパー １８ バーブ １９ 突片 ２０ 先導テーパー ２１ 湾曲部 ２３ 表面 ２５ 梁 ２８ 脚部 ２９ 湾曲壁 ３１ 側部延長部分 ３４ 側部延長部分 ３６ 逆テーパー ３７ 掛止部材 ３８ 掛止部材 ３９ 掛止ジョー ４０ スロット ４０ バーブ ４１ ヒンジ ４２ テーパー ４３ 穴 ４４ グリップ突部 ４５ グリップ表面 Ａ 寸法 Ｂ 寸法 Ｃ 幅 Ｄ 寸法 Ｅ 寸法 Ｆ 直径 Ｇ 寸法 Ｋ 間隙、間隙寸法 Ｌ 幅

フロントページの続き (72)発明者 ブライアン ジー ベントリン アメリカ合衆国 ペンシルベニア州 19440，ハットフィールド，フォーティ フット ロード 950 (72)発明者 ウイリアム ピー．マックドノウ アメリカ合衆国 ペンシルベニア州 19468，コリッジビル ，コリッジ アヴ ェニュ 23 (72)発明者 デイヴィッド ジェイ ブルーノウ アメリカ合衆国 ペンシルベニア州 18901，ドイルズタウン グレゴリー ド ライブ 4088

Claims (16)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２枚の穴あきシートを面対面接触状態に
   解放自在に固定するためのクリンチ型ファスナーであっ
   て、 断面方形のファスナー本体と、 該ファスナー本体の軸線の両側に該軸線に平行に形成さ
   れた、該ファスナー本体と一体の２つの側部延長部分
   と、 該２つの側部延長部分の間に位置し、前記ファスナー本
   体から長手方向に突出した２つの側方向に弾性のスナッ
   プアームと、から成り、 前記２つの側部延長部分の各々は、該ファスナーを前記
   ２枚の穴あきシートのうちの第１シートに取り付けるた
   めの取付手段を一端に有しており、 前記２つのスナップアームの各々は、前記２枚の穴あき
   シートのうちの第２シートに係合するためのバーブ付き
   端部を有していることを特徴とするクリンチ型ファスナ
   ー。
2. 【請求項２】 ロッククリップを含み、該ロッククリッ
   プは、アンロック位置とロック位置の間で移動自在の２
   つの長手方向に延長した脚部を有し、該２つの脚部は、
   前記２つのスナップアームの間に内側に突出しており、
   前記ロック位置に置かれたとき該２つのスナップアーム
   の内側表面に当接して該スナップアームの内方への撓曲
   を防止する突片を含むことを特徴とする請求項１に記載
   のクリンチ型ファスナー。
3. 【請求項３】 前記側部延長部分の一端の前記取付手段
   は、押しのけ部と、締り嵌めによる前記第１シートから
   の金属材の低温流れを受容するためのアンダーカットを
   含むことを特徴とする請求項１に記載のクリンチ型ファ
   スナー。
4. 【請求項４】 前記側部延長部分は、折り返しプロング
   であることを特徴とする請求項１に記載のクリンチ型フ
   ァスナー。
5. 【請求項５】 前記側部延長部分の一端の前記取付手段
   は、前記第１シートに対して弾性によるスナップ取り付
   けを可能にする構造体であることを特徴とする請求項１
   に記載のクリンチ型ファスナー。
6. 【請求項６】 前記ロッククリップは、該ロッククリッ
   プの前記２つの脚部を互いに結合状態に保持するため
   の、前記突片から突出した掛止手段を含むことを特徴と
   する請求項２に記載のクリンチ型ファスナー。
7. 【請求項７】 前記掛止手段は、内向きの掛止ジョーを
   含むことを特徴とする請求項６に記載のクリンチ型ファ
   スナー。
8. 【請求項８】 前記ロッククリップの外表面は、人間工
   学的設計のフィンガーグリップとしての凸条を含むこと
   を特徴とする請求項２に記載のクリンチ型ファスナー。
9. 【請求項９】 前記ロッククリップは、フィンガーグリ
   ップを構成するように前記各脚部のベースに朝顔形に張
   り出した突部を含むことを特徴とする請求項２に記載の
   クリンチ型ファスナー。
10. 【請求項１０】 前記ロッククリップは、長手方向に摺
    動自在であり、該ロッククリップを該ファスナー本体上
    に係留するための戻り止めを含むことを特徴とする請求
    項２に記載のクリンチ型ファスナー。
11. 【請求項１１】 前記ファスナー本体は、前記ロックク
    リップがロック位置に置かれたとき該ロッククリップの
    ベースの外表面が該ファスナー本体の端面と面一となる
    ように該ロッククリップのベースを受容する凹部を含む
    ことを特徴とする請求項２に記載のクリンチ型ファスナ
    ー。
12. 【請求項１２】 請求項１２に記載のクリンチ型ファス
    ナーと、第１シートと、第２シートを含む組立体であっ
    て、 前記第１シートは、前記側部延長部分の前記取付手段を
    受容するための１つ又はそれ以上の穴を有し、前記第２
    シートは、第１シートの穴と整合するように配置され、
    前記スナップアームの端部に係合するように寸法ぎめさ
    れた側辺を有する穴を有していることを特徴とする組立
    体。
13. 【請求項１３】 前記第１シート及び前記第２シートの
    穴は、すべて方形であることを特徴とする請求項１２に
    記載の組立体。
14. 【請求項１４】 前記第１シートの前記方形穴は、各々
    前記側部延長部分の１つを受容するための２つの外側穴
    と、前記２つのスナップアームを受容するための中心穴
    を含むことを特徴とする請求項１３に記載の組立体。
15. 【請求項１５】 前記スナップアームの幅は第１寸法で
    あり、該２つのスナップアームの外側表面間の距離は第
    ２寸法であり、該第１寸法及び第２寸法は、側方にも、
    軸方向にも、回転方向にも動かないように保持されるよ
    うに前記第２シートの前記方形穴のそれぞれの側辺寸法
    に実質的に等しいことを特徴とする請求項１４に記載の
    組立体。
16. 【請求項１６】 前記第１寸法と第２寸法は、実質的に
    等しいことを特徴とする請求項１５に記載の組立体。