JP2001247656A - 熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物

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JP2001247656A
JP2001247656A JP2000063726A JP2000063726A JP2001247656A JP 2001247656 A JP2001247656 A JP 2001247656A JP 2000063726 A JP2000063726 A JP 2000063726A JP 2000063726 A JP2000063726 A JP 2000063726A JP 2001247656 A JP2001247656 A JP 2001247656A
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Katsumi Inomata
俣 克 巳 猪
Isamu Makihira
平 勇 槙
Masako Suzuki
木 雅 子 鈴
Shinichiro Iwanaga
永 伸一郎 岩
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明における熱硬化性樹脂組成物は、
下記式(1) 【化1】 [式(1)中、Rは水素原子またはメチル基である。]で
表されるフェノール環含有構成単位(a)とエチレン性
不和飽和結合含有化合物から導かれる構成単位(b)と
からなる共重合体(A)と、1分子中に少なくとも2個
のエポキシ基を有する化合物(B)と、硬化剤(C)と
を含有し、前記エチレン性不飽和結合含有化合物を単独
重合して得られる重合体のガラス転移温度が0℃以下で
あることを特徴としている。また、本発明の硬化物はこ
のような熱硬化性樹脂組成物を熱硬化してなることを特
徴としている。 【効果】 本発明によれば、電気絶縁性、耐熱性に優れ
るとともに、耐衝撃性に優れた硬化物が得られる熱硬化
性樹脂組成物を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気絶縁性、耐熱
性、耐衝撃性等の優れた特性を有する硬化物が得られる
熱硬化性樹脂組成物に関する。また、上記のような熱硬
化性樹脂組成物から得られる硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器、通信機などの精密機器に装着
されている回路は、近年ますます高速化、高密度化およ
び高信頼性が求められてきている。そのため、回路基板
は高精度化、微細化、多層化されてきている。このよう
な多層回路基板の層間絶縁膜あるいは平坦化膜材料に
は、優れた導体間の電気絶縁性を有するとともに、高発
熱化に対応するため優れた耐熱性を有することが求めら
れるようになっている。従来から、このような回路基板
に用いる絶縁膜などの材料としては、感光性樹脂または
ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬
化性樹脂が用いられている。
【0003】しかし、これらの樹脂は一般に誘電率が高
く電気特性が十分でないために、回路基板に用いた場合
には演算処理の高速化が困難であったり、優れた誘電率
を示しても、耐熱性が劣るといった問題点があった。ま
た、一般的に(熱)衝撃性を改善するためにゴム成分を
添加する手法が知られているが、このようなゴム成分を
添加すると(熱)衝撃性を改善することはできるもの
の、耐熱性(ガラス転移温度)が低下したり線膨張係数
が大きくなることがあり、また、他成分との相溶性が低
くなり、均一に混合せずに相分離を起こすことがあるな
どの問題点があった。このような背景から、諸性能をバ
ランス良く有する絶縁樹脂材料の出現が望まれていた。
【0004】そこで本発明者らは、上記問題を解決すべ
く鋭意研究した結果、特定のフェノール環含有構成単位
と特定のエチレン性不飽和結合含有化合物から導かれる
構成単位とからなる共重合体と、1分子中に少なくとも
2個のエポキシ基を有する化合物と、硬化剤とを含有す
る熱硬化性樹脂組成物を用いると、絶縁特性、耐熱性を
損なわずに、良好な相溶性を示しつつ、熱衝撃性が格段
に改善させる硬化物が得られることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0005】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、絶縁特性、耐
熱性さらには熱衝撃性に優れた硬化物を得ることができ
るような熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とし
ている。さらに本発明は、このような熱硬化性樹脂組成
物を熱硬化させた硬化物を提供することを目的としてい
る。
【0006】
【発明の概要】本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、
(A)下記一般式(1)
【0007】
【化2】
【0008】[式(1)中、Rは水素原子またはメチル
基である。]で表されるフェノール環含有構成単位
(a)と、エチレン性不飽和結合含有化合物から導かれ
る構成単位(b)とからなる共重合体と、(B)1分子
中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物と、
(C)硬化剤とを含有し、前記エチレン性不飽和結合含
有化合物を単独重合して得られる重合体のガラス転移温
度が0℃以下であることを特徴としている。また、前記
構成単位(b)は、(メタ)アクリル酸エステル、ある
いは1,3-ブタジエンまたはイソプレンであることが好ま
しい。
【0009】本発明に係る硬化物は、前記熱硬化性樹脂
組成物を熱硬化してなることを特徴としている。
【0010】
【発明の具体的説明】以下、本発明にかかる熱硬化性樹
脂組成物、およびその硬化物について具体的に説明す
る。[熱硬化性樹脂組成物] 本発明における熱硬化性樹脂組
成物は、(A)一般式(1)で表されるフェノール環含
有構成単位(a)と、エチレン性不飽和結合(炭素炭素
二重結合)含有化合物から導かれる構成単位(b)とを
必須成分とし前記エチレン性不飽和結合含有化合物の単
独重合体のガラス転移温度が0℃以下である共重合体
と、(B)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有
する化合物と、(C)硬化剤とから構成される。また、
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じ、前記
(A)で示されるフェノール環含有構成単位からなる共
重合体以外のフェノール環含有化合物(D)、有機溶剤
(E)、その他添加剤(F)などを含有していてもよ
い。<共重合体(A)> 本発明に係る共重合体(A)は、下
記一般式(1)
【0011】
【化3】
【0012】[式(1)中、Rは水素原子またはメチル
基である。]で表されるフェノール環含有構成単位
(a)と、エチレン性不飽和二重結合(炭素炭素二重結
合)含有化合物から導かれる構成単位(b)とを必須成
分とし、必要に応じ、さらに、該構成単位(a)および
(b)と異なるエチレン性不飽和結合含有化合物からな
る構成単位(c)を含んでいてもよい。
【0013】以下、この共重合体(A)を構成する各構
成単位(a)および(b)について説明するとともに、(c)
についても順次説明する。構成単位(a) 前記一般式(1)で表されるフェノール環含有構成単位
(a)を誘導しうる化合物としては具体的には、p-ヒ
ドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、o-ヒドロ
キシスチレン、p-イソプロペニルフェノール、m-イソ
プロペニルフェノール、o-イソプロペニルフェノール
などが挙げられ、このうち、p-ヒドロキシスチレン、
p-イソプロペニルフェノールが好ましく用いられる。
【0014】このようなフェノール環含有構成単位(ヒ
ドロキシスチレン系構成単位)(a)は、その水酸基を例
えば、t-ブチル基、アセトキシ基などで保護したモノ
マーから誘導することもできる。t-ブチル基、アセト
キシ基などで保護したモノマーから得られた共重合体
は、公知の方法、例えば酸触媒下で脱保護し、ヒドロキ
シスチレン系構成単位にすることができる。
【0015】構成単位(b) 本発明に係る構成単位(b)を誘導しうるエチレン性不
飽和結合含有化合物(炭素炭素二重結合含有化合物)
は、それを単独重合して得られる重合体(単独重合体)
のガラス転移温度(Tg)が0℃以下であることが好ま
しい。なお単独重合とは、1種類の前記エチレン性不飽
和結合含有化合物を重合することを意味している。
【0016】このようなエチレン性不飽和結合含有化合
物としては、(メタ)アクリル酸エステル、1,3-ブタジ
エン(以下「ブタジエン」ということがある。)または
イソプレンが挙げられる。このうち、(メタ)アクリル
酸エステルの具体例としては、アクリル酸エチル、アク
リル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、(メタ)ア
クリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ラ
ウリル、(メタ)アクリル酸n-ステアリル、(メタ)
アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-
エトキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、ア
クリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸フェノキ
シエチルなどが挙げられ、アクリル酸エチル、アクリル
酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、アクリ
ル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸フェノキシエチ
ルなどが特に好ましい。
【0017】その他の構成単位(c) 本発明にかかる共重合体(A)は、必要に応じ、構成単
位(a)および構成単位(b)に加え、構成単位(a)および
(b)と異なる構成単位(c)を含有していてもよい。
このような構成単位(c)としては、構成単位(a)お
よび(b)と異なる構成単位であれば特に限定されず、
重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物であれば
よい。具体的には、スチレン、p-メチルスチレン、α-
メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどのビニル系化合
物、メタクリル酸メチルなどの単独重合体のガラス転移
温度が0℃を越える(メタ)アクリル酸エステル、(メ
タ)アクリルアミド、酢酸ビニルなどのビニルエステル
類などが挙げられる。上記のうち、スチレン、α-メチ
ルスチレンなどが好ましく用いられる。
【0018】本発明においては、このようなその他の構
成単位(c)を誘導しうるエチレン性不飽和結合含有化合
物は、1種または2種以上組み合わせて用いることがで
きる。共重合体(A) 前記共重合体(A)は、構成単位(a)と構成単位
(b)とが、重量比で、(a)/(b)=90/10〜
10/90の範囲で含有されていることが好ましく、8
0/20〜20/80の範囲がより好ましい。構成単位
(a)および(b)の比率がこの範囲を越えると、硬化
物の熱衝撃性、ガラス転移温度、線膨張係数などの物性
が低下する場合がある。
【0019】また、構成単位(c)が共重合体(A)に
含まれる場合は、前記共重合体(A)中の構成単位
(c)の含有量は、目的とする特性が損なわれない範囲
であれば特に制限されないが、好ましくは{構成単位
(a)+構成単位(b)}/構成単位(c)は重量比で
99/1〜60/40の範囲であることが望ましい。共
重合体(A)の分子量は特に限定されないが、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定し
たポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、例え
ば200,000以下、好ましくは5,000〜10
0,000程度であることが望ましい。Mwが5,00
0未満であると、硬化物の耐熱性や伸びなどの物性が低
下し、200,000を越えると粘度が高くなりすぎて
他成分との相溶性が困難になる場合がある。
【0020】このような共重合体(A)は、前記一般式
(1)で表されるフェノール環含有構成単位(a)を誘
導しうる化合物またはその水酸基を保護した化合物と、
構成単位(b)を誘導しうるエチレン性不飽和結合を含
有する化合物であって、その化合物の単独重合体のガラ
ス転移温度が0℃以下である化合物と、必要に応じ、前
記構成単位(c)を誘導しうるエチレン性不飽和化合物
とを重合開始剤の存在下に重合させればよい。
【0021】本発明においては重合方法は特に限定され
ないが、例えばラジカル重合、(リビング)アニオン重
合などが挙げられ、前記構成単位(b)を誘導しうる化合
物として1,3-ブタジエンまたはイソプレンを使用する場
合には、得られる共重合体の分子量や分子構造の制御な
どを考慮すると、リビングアニオン重合が好ましく、硬
化膜の特性を効果的に発現させるためにはA-Bまたは
A-B-Aなどのブロック構造の共重合体が望ましい。
【0022】また、得られた共重合体(A)の分子量お
よび分子量分布を任意の大きさに制御させたい場合に
は、共重合体の低分子量成分を貧溶媒などを用いて分別
除去すればよい。以下に、具体的な共重合体(A)の製造
方法を例示する。 (1) ラジカル重合 ラジカル重合に使用される開始剤としては、通常のラジ
カル重合開始剤が使用でき、例えば、2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−
ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4
−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のア
ゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオ
キシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−
ビス−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有
機過酸化物および過酸化水素などが挙げられる。過酸化
物を使用する場合、還元剤を組み合わせてレドックス型
の開始剤としてもよい。
【0023】これらのラジカル重合開始剤は、単独でま
たは2種以上を混合して使用することができる。このよ
うなラジカル重合に用いる溶媒としては、前記構成単位
(a)を誘導しうる化合物、前記構成単位(b)を誘導
しうる化合物、前記構成単位(c)を誘導しうる化合物
および得られる共重合体(A)に対して不活性であれば
特に限定されない。このような溶媒としては、具体的に
は、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル
類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジ
メチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエー
テル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチル
エーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
などの多価アルコールのアルキルエーテル類、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノ
ン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸
ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテー
ト、乳酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。
【0024】これらの溶媒類の使用量は、通常重合に用
いる全モノマー100重量部に対して10〜1,000
重量部の範囲であり、単独で、あるいは2種以上を混合
して使用してもよい。このような重合反応における重合
温度は、通常、0〜200℃、好ましくは30〜150
℃であり、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好
ましくは1〜40時間であり、所望の分子量の共重合体
を得るために適宜選択できる。
【0025】また、フェノール環含有構成単位(a)を
誘導しうる化合物として、その水酸基を保護したモノマ
ーを用いて共重合した場合には、公知の方法で脱保護
し、水酸基に変換させる。この脱保護反応としては、例
えば溶媒中、塩酸、硫酸などの酸触媒下で、反応温度5
0〜150℃、反応時間1〜30時間行い、フェノール
環含有構成単位にすることができる。 (2) リビングアニオン重合 本発明の特性を効果的に発現させるためには、ブロック
共重合体が好ましく、リビングアニオン重合によって製
造することができる。このようなブロック共重合体が製
造できるリビングアニオン重合法としては、たとえば次
のような手法が挙げられる。
【0026】(i)1官能性のアニオン重合開始剤を用
いて、ブロック単位Aに対応する単量体を重合した後、
ブロック単位Bに対応する単量体を共重合することによ
ってA-B型のブロック共重合体とし、さらに、ブロッ
クAに対応する単量体を共重合させて、A-B-A型のブ
ロック共重合体を製造することができる。 (ii)多官能性のアニオン重合開始剤を用いて、ブロ
ック単位Bに対応する単量体を重合した後、ブロック単
位Aに対応する単量体を共重合することによって、例え
ば2官能性開始剤を用いた場合にはA-B-A型のブロッ
ク共重合体を製造することができる。
【0027】前記(i)の方法に用いられる1官能性の
アニオン重合開始剤としては、たとえば、n-ブチルリ
チウム、n-ヘキシルリチウム、n-オクチルリチウムな
どを挙げることができる。また、前記(ii)の方法に
用いられる多官能性の開始剤としては、例えば、1,4
-ジリチオブタン、1,5-ジリチオヘプタン、1,8-
ジリチオオクタンなどを挙げることができる。
【0028】また、前記(i)または前記(ii)の方
法におけるリビングアニオン重合は、たとえば、n-ペ
ンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタンなど
の脂肪族炭化水素系溶媒やベンゼン、トルエン、キシレ
ンなどの芳香族炭化水素系溶媒中で、必要に応じてジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコー
ルジメチルエーテルなどのエーテル類、トリエチルアミ
ン、ピリジン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチ
レンジアミン、N-メチルモルホリンなどのアミン類な
どの存在下に行うことができる。このような重合反応に
おける重合温度は、通常、-80〜30℃、好ましくは-
70〜0℃であることが望ましく、重合時間は、通常、
0.5〜20時間、好ましくは1〜10時間であること
が望ましい。
【0029】通常、リビングアニオン重合では、フェノ
ール環含有構成単位(a)を誘導しうる化合物として
は、その水酸基を保護したモノマーを用いることが好ま
しく、前記のラジカル重合の場合と同様に、例えば溶媒
中、塩酸、硫酸などの酸触媒下で、反応温度50〜15
0℃、1〜30時間脱保護反応を行い、フェノール環含
有構成単位に変換することができる。<1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合
物(B)> 本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物を構成す
る1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合
物(B)(以下、「エポキシ化合物(B)」という。)
としては、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基があ
れば特に限定されないが、耐熱性などの観点から、エポ
キシ樹脂を用いることが好ましい。このようなエポキシ
樹脂としては、具体的にはフェノールノボラック型エポ
キシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビス
フェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキ
シ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール
-キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール-キシリレン型
エポキシ樹脂、フェノール-ナフトールノボラック型エ
ポキシ樹脂、フェノール-ジシクロペンタジエン型エポ
キシ樹脂などが挙げられる。このうち、フェノールノボ
ラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキ
シ樹脂、フェノール-キシリレン型エポキシ樹脂、フェ
ノール-ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好まし
く、このようなエポキシ化合物(B)は、1種または2
種以上組み合わせて用いることができる。
【0030】本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、
上記エポキシ化合物(B)の添加量は、前記共重合体
(A)100重量部に対して、1〜200重量部の範囲
内とすることが好ましい。かかるエポキシ化合物(B)
の添加量が1重量部未満となると、熱硬化性が不十分と
なり、所定のガラス転移温度や機械的特性が発現しない
場合があり、他方、200重量部を越えると未反応のエ
ポキシ基が多量に存在するために絶縁特性が低下したり
する場合がある。
【0031】得られる硬化物の物理・化学的特性、機械
的特性などの諸特性のバランスがより良好となるため
に、エポキシ化合物(B)の添加量を10〜150重量
部の範囲内にすることが好ましく、50〜100重量部
の範囲内とすることがさらに好ましい。<硬化剤(C)> 本発明にかかる硬化剤(C)は、特に
制限されないが、例えば、アミン類、ジシアンジアミ
ド、二塩基酸ジヒドラジド、イミダゾール類、有機ボロ
ン、有機ホスフィン、グアニジン類およびこれらの塩な
どが挙げられ、1種単独または2種以上を組み合わせて
用いることができる。
【0032】また、このような硬化剤(C)の添加量
は、前記共重合体(A)100重量部に対して、好まし
くは0.1〜20重量部とするのが好ましく、1〜10
重量部の範囲内とすることがより好ましい。硬化剤の添
加量が0.1重量部未満となると、熱硬化性樹脂組成物
の硬化性が低下することがあり、一方、硬化剤の添加量
が20重量部を超えると、保存安定性の低下を招く恐れ
がある。
【0033】また、必要に応じ、硬化剤(C)ととも
に、硬化反応を促進する目的で硬化促進剤を使用するこ
ともできる。<その他のフェノール化合物(D)> 本発明の熱硬化性
樹脂組成物には、必要に応じ、前記共重合体(A)と異
なる、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有す
るフェノール環含有化合物(以下、「フェノール化合物
(D)」という。)を含有していてもよい。このような
フェノール化合物(D)としては、共重合体(A)と異
なるフェノール環含有化合物であれば、特に限定されな
い。具体的には、ポリヒドロキシスチレンおよびその共
重合体、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック
樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹
脂、フェノール-ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノ
ボラック樹脂、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタ
ン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリ
ス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4
-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、トリス
(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,3-ビス[1-
(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼ
ン、1,4-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メ
チルエチル]ベンゼン、4,6-ビス[1-(4-ヒドロキ
シフェニル)-1-メチルエチル]-1,3-ジヒドロキシ
ベンゼン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-
[4-{1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチ
ル}フェニル]エタン、1,1,2,2-テトラ(4-ヒ
ドロキシフェニル)エタンなどの低分子フェノール化合
物、フェノール-キシリレングリコール縮合樹脂、ナフ
トール-キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール-ジ
シクロペンタジエン樹脂などが挙げられ、1種単独でま
たは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】このようなフェノール化合物(D)を使用
する場合、前記共重合体(A)100重量部に対して、
フェノール化合物(D)を好ましくは10〜200重量
部、より好ましくは50〜150重量部の範囲で用いる
ことが望ましい。このようなフェノール化合物を本発明
に係る熱硬化性樹脂組成物に含有させると、熱硬化性樹
脂組成物の各種基材に対する接着性、熱硬化後のガラス
転移点等を調整することが容易となる。<有機溶剤(E)> 本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物
には必要に応じ、有機溶剤(E)が含有されていてもよ
い。
【0035】このような有機溶媒(E)としては、特に
限定されず、既存の各種の有機溶剤を用いることができ
る。具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテ
ルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル
アセテートなどのエチレングリコールモノアルキルエー
テルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレン
グリコールモノブチルエーテルなどのプロピレングリコ
ールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジ
メチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテ
ル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピ
レングリコールジブチルエーテルなどのプロピレングリ
コールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモ
ノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモ
ノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコール
モノブチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコ
ールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸メチル、
乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピルなど
の乳酸エステル類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢
酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢
酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソプロ
ピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチ
ルなどの脂肪族カルボン酸エステル類、3-メトキシプ
ロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、
3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオ
ン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチルなど
の他のエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭
化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、
シクロヘキサノンなどのケトン類、 N-メチルホルム
アミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチ
ルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド
類、γ−ブチロラクンなどを挙げることができる。
【0036】これらの有機溶媒は、1種単独であるいは
2種以上を混合して使用することができる。このような
有機溶剤(E)を使用する場合の使用量は、特に制限さ
れないが、熱硬化性樹脂組成物100重量部に対し、有
機溶媒(E)が1〜1,000重量部の範囲が好まし
い。<その他添加剤(F)> 熱硬化性樹脂組成物中には、所
望により、その他添加剤(F)を添加することができ
る。具体的には、ゴム成分、界面活性剤、可塑剤、酸化
防止剤、帯電防止剤、無機充填剤、難燃剤などが挙げら
れる。なかでもゴム成分としては、ポリブタジエンゴ
ム、ウレタン変性ポリブタジエンゴム、エポキシ変性ポ
リブタジエンゴム、カルボキシル基含有ポリブタジエン
ゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、スチレン-ブ
タジエンゴム、カルボキシル基含有アクリロニトリル-
ブタジエンゴムおよびそれらの架橋ゴムなどが挙げられ
る。
【0037】このようなゴム成分を添加することによ
り、得られる硬化物の柔軟性や靭性を向上させることが
できる。また、硬化後に過マンガン酸塩、クロム酸また
はクロム酸塩などの酸化剤で表面粗化処理することによ
って微細な粗化ホールを均一に形成でき、めっきの密着
強度(ピール強度)の向上が可能となる。[熱硬化性樹脂組成物および硬化物の製造] 本発明の熱
硬化性樹脂組成物は、前記共重合体(A)と、エポキシ
化合物(B)と、硬化剤(C)と、および必要に応じ、
その他のフェノール化合物(D)、有機溶剤(E)また
はその他添加剤(F)とを混合することによって製造す
ることができる。その製造方法としては、公知の方法を
適宜使用することができ、各成分を一度に、あるいは任
意の順序で加えて撹拌・混合・分散すればよい。
【0038】硬化物 本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、前記一般式
(1)で表されるフェノール環含有化合物から導かれる
構成単位(a)と単独重合体のガラス転移温度が0℃以
下であるエチレン性不飽和結合含有化合物から導かれる
構成単位(b)とを含む共重合体(A)と、エポキシ化
合物(B)と、硬化剤(C)とを含み、その硬化物は絶
縁特性、耐熱性、相溶性さらには熱衝撃性に優れてい
る。
【0039】したがって、本発明の熱硬化性樹脂組成物
は、特に、半導体素子の多層回路基板の層間絶縁膜ある
いは平坦化膜、各種の電気機器や電子部品等の保護膜あ
るいは電気絶縁膜、コンデンサフィルムなどに極めて好
適に用いることができる。また、半導体封止材料、アン
ダーフィル用材料あるいは液晶封止用材料などとしても
好適に使用することができる。
【0040】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、あらかじ
め離型処理した適当な支持体に塗布して、熱硬化性薄膜
を成形し、該薄膜を硬化前に支持体から剥離することに
よって、熱硬化性フィルムを得ることができ、得られた
熱硬化性フィルムは、電気機器や電子部品等の耐熱性接
着フィルムなどとして用いることができる。また、前記
支持体から剥離された熱硬化性薄膜を硬化させるか、ま
たはあらかじめ離型処理した適当な支持体に形成した熱
硬化性薄膜を加熱、硬化させたのち、得られた硬化薄膜
を基体から剥離することによって、硬化フィルムを得る
こともできる。
【0041】さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物の溶
液にガラスクロスなどを含浸させたのち、乾燥したプリ
プレグ、あるいは無溶媒の該樹脂組成物をガラスクロス
などに含浸させたプリプレグは、銅張り積層板などの積
層材などとして用いることもできる。また、本発明の熱
硬化性樹脂組成物は、例えば、粉末、ペレット等の形態
で、熱硬化性成形材料として用いることもできる。
【0042】本発明の熱硬化性樹脂組成物から熱硬化性
フィルムあるいは硬化フィルムを形成させる際に使用さ
れる前記支持体は、特に限定されるものではなく、例え
ば、鉄、ニッケル、ステンレス、チタン、アルミニウ
ム、銅、各種合金等の金属、窒化ケイ素、炭化ケイ素、
サイアロン、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化ほう
素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、アルミナ、シリカ
や、これらの混合物等のセラミック、Si、Ge、Si
C 、SiGe、GaAs等の半導体、ガラス、陶磁器
等の窯業材料、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、
ポリイミド、全芳香族ポリエステル等の耐熱性樹脂等を
挙げることができる。前記支持体には、所望により、予
め離型処理を施しておくことができ、また、シランカッ
プリング剤、チタンカップリング剤等による薬品処理
や、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリ
ング、気相反応法、真空蒸着など適宜の前処理を施すこ
ともできる。
【0043】本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物を前記
支持体に塗布する際には、公知の塗布方法が使用でき
る。塗布方法としては、たとえば、ディッピング法、ス
プレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコー
ト法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスク
リーン法、またはインクジェット法などの塗布方法を用
いることができる。
【0044】また、塗布の厚さは、塗布手段、組成物溶
液の固形分濃度や粘度を調節することにより、適宜制御
することができる。熱硬化性樹脂組成物の硬化条件は特
に制限されるものではないが、硬化物の用途に応じて、
例えば50〜200℃の温度で、10分〜48時間程度
加熱し、組成物を硬化させることができる。
【0045】また、硬化を十分に進行させたり、気泡の
発生を防止するために二段階で加熱することもでき、例
えば、第一段階では、50〜100℃の温度で、10分
〜10時間程度加熱し、さらに80〜200℃の温度
で、30分〜12時間程度加熱して硬化させることもで
きる。このような硬化には、加熱設備として一般的なオ
ーブンや、赤外線炉などを使用することができる。
【0046】
【発明の効果】本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、
フェノール環含有構成単位と、単独重合体のガラス転移
温度が0℃以下であるエチレン性不飽和結合を有する化
合物から導かれる構成単位とを必須成分とする共重合体
と、エポキシ化合物と、硬化剤とを含み、該熱硬化性樹
脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物は、絶縁特性に
優れ、高いガラス転移温度を有するなど耐熱性にも優れ
るとともに、相溶性、熱衝撃性にも優れている。したが
って、たとえば、多層回路基板における層間絶縁膜など
に用いた場合、優れた電気絶縁性が得られるとともに、
信頼性の高い回路基板を作製することができる。
【0047】
【発明の実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳
細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定
されるものではない。なお、以下の合成例、実施例、比
較例において、部および%は、特に断らない限り重量部
および重量%の意味で用いる。また、硬化物の各特性に
ついての評価は、下記の要領で行った。特性評価方法 共重合体(A)、エポキシ化合物(B)、硬化剤(C)
および必要に応じて任意成分を加えた各種の熱硬化性樹
脂組成物(溶液)を調製し、下記の方法により電気絶縁
性(体積抵抗率)、耐熱性(ガラス転移温度)および熱
衝撃性を評価した。
【0048】<電気絶縁性(体積抵抗率)>得られた熱
硬化性樹脂組成物の溶液をSUS基板に塗布し、対流式
オーブンで80℃で30分加熱し、50μm厚の均一な
樹脂塗膜を作製し、さらに150℃で2時間および17
0℃で2時間加熱して硬化膜を得た。この得られた硬化
膜を恒温恒湿試験装置(タバイエスペック(株)社製)
で、温度;85℃、湿度;85%の条件下で500時間
の耐性試験を行った。試験前後での層間の体積抵抗率を
測定し、耐性を確認した。 <耐熱性(ガラス転移温度)>得られた熱硬化性樹脂組
成物の溶液をSUS基板に塗布し、80℃×30分、15
0℃×2時間および170℃×2時間加熱して50μm
厚の硬化フィルムを作成した。この硬化フィルムを用い
てDMA法により、厚み50μmの3mm×20mmの
試験片を用いて、荷重3.0g、昇温速度5.0℃/mi
nの条件で測定し、ガラス転移温度(Tg)を求めた。 <熱衝撃性>図1および図2に示すように、厚みが0.6m
mのFR-4基板2の片面上に、厚さ18μm、面積5mm2の銅
箔3を5mmの間隔で付着させた基材1の該面上に、得ら
れた熱硬化性樹脂組成物の溶液を塗布し、対流式オーブ
ンで80℃で30分加熱し、50μm厚の均一な樹脂塗
膜を得た。その後、さらに150℃で2時間および17
0℃で2時間加熱して硬化膜を得た。この基板を冷熱衝
撃試験器(タバイエスペック(株)社製 TSA-40
L)で、-65℃/30分〜125℃/30分を1サイ
クルとして耐性試験を行った。硬化膜にクラックなどの
欠陥が発生したサイクル数を確認した。[共重合体(A)の合成]
【0049】
【合成例1】p-イソプロペニルフェノール30g、ア
クリル酸n-ブチル70g、2,2’-アゾビスイソブチ
ロニトリル(AIBN)3gおよびプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル(PGME)150gを混合して
均一溶液とした。この溶液を窒素で30分間脱気した
後、反応温度70℃で9時間、さらに反応温度95℃で
1時間重合反応を行った。重合反応終了後、反応溶液を
多量のn-ヘキサンと混合し、生成した共重合体を凝固
させ、未反応単量体を除去した。得られた共重合体を、
50℃の減圧下で乾燥して白色の共重合体(A-1)を
得た。得られた共重合体(A-1)は、Mwが18,0
00であり、13C-NMR測定の結果、p-イソプロペニ
ルフェノールとアクリル酸n-ブチルからなる構成単位
の共重合体における重量比は26/74であった。
【0050】
【合成例2】p-t-ブトキシスチレン40g、アクリル
酸エチル60g、AIBN3gおよびPGME150g
を混合して均一溶液とした。この溶液を窒素で30分間
脱気した後、反応温度70℃で7時間、さらに反応温度
95℃で1時間重合反応を行った。ついで、得られた樹
脂溶液を室温まで冷却し、10wt%塩酸水溶液 20
gを加え、50℃に加熱して10時間脱保護反応を行っ
た。その後、反応液に酢酸エチル 150gとイオン交
換水150gを加え、撹拌した後静置し、水層を除去し
た。この操作を水層が中性になるまで繰り返した。さら
に、多量のn-ヘキサン中で凝固を行い、真空乾燥して
白色の共重合体(A-2)を得た。得られた共重合体
(A-2)は、Mwが21,000であり、13C-NMR
測定の結果、p-ヒドロキシスチレンとアクリル酸エチ
ルからなる構成単位の共重合体における重量比は31/
69であった。
【0051】
【合成例3】合成例2において、p-t-ブトキシスチレ
ン40g、アクリル酸エチル60g、AIBN3gおよ
びPGME150gを用いる代わりに、p-t-ブトキシ
スチレン30g、スチレン10g、アクリル酸エチル6
0g、AIBN3gおよびPGME150gを混合して
均一溶液とし、合成例2と同様の条件で重合、脱保護反
応を行い、白色の共重合体(A-3)を得た。得られた
共重合体(A-3)は、Mwが19,000であり、13
C-NMR測定の結果、p-ヒドロキシスチレン、スチレ
ンおよびアクリル酸エチルからなる構成単位の共重合体
における重量比は22/11/67であった。
【0052】
【合成例4】p-t-ブトキシスチレン38.6g、1,3-
ブタジエン61.4g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム5g、塩化カリウム0.4g、ナトリウムハイ
ドロサルファイト 0.05gおよび過硫酸カリウム0.
3gを蒸留水220gと混合・攪拌し、45℃で8時間
重合を行い、転化率が60%に達した時点で、ジエチル
ヒドロキシルアミン 0.2gを加えて反応を停止し
た。その後、スチームストリッピング(水蒸気蒸留)に
よって残留モノマーを除去し、大量の0.5wt%塩化
カルシウム水溶液で凝固させ、100℃で1時間熱風乾
燥した。
【0053】得られた共重合体50gをテトラヒドロフ
ラン500mLに溶解し、p-トルエンスルホン酸一水
和物5gおよび蒸留水5gを加えて加熱還流下、15時
間脱保護反応を行った。その後、反応液に酢酸ブチル5
00mLとイオン交換水500mLを加えて攪拌し、静
置した。2層に分離した下層(水層)を除去した。この
操作を水層が中性になるまで繰り返した後、有機層を濃
縮し、大量のn-ヘキサンで凝固を行い、真空乾燥させ
て白色の共重合体(A-4)を得た。得られた共重合体
(A-4)は、Mwが185,000であり、13C-NM
R測定の結果、p-ヒドロキシスチレンと1,3-ブタジエ
ンからなる構成単位の共重合体における重量比は30/
70であった。
【0054】
【合成例5】合成例4において、p-t-ブトキシスチレ
ン38.6g、1,3-ブタジエン61.4gを用いる代わり
に、p-t-ブトキシスチレン35g、スチレン15g、
1,3-ブタジエン50gを用いた以外は、合成例4と同様
に合成を行い、白色の共重合体(A-5)を得た。得ら
れた共重合体(A-5)は、Mwが175,000であ
り、13C-NMR測定の結果、p-ヒドロキシスチレン、
スチレンおよび1,3-ブタジエンからなる構成単位の共重
合体における重量比は26/11/63であった。
【0055】
【合成例6】テトラヒドロフラン 1000mLにアニ
オン重合開始剤として、n-ブチルリチウム 0.05g
を溶解した後、-70℃に冷却した。この溶液に1,3-ブ
タジエン 60gを添加して、3時間重合を行った。つ
いで、p-t-ブトキシスチレン 40gを加え、さらに
2時間重合を行い、メタノールを添加して重合を停止
し、多量のメタノールと混合して生成した重合体を凝固
した。
【0056】続いて、得られた共重合体をテトラヒドロ
フラン 500gに溶解し、p-トルエンスルホン酸1
水和物 5gおよび蒸留水 10gを添加し、加熱還流
下で12時間、脱保護反応を行った。その後、反応液を
多量の蒸留水に投入し、共重合体を凝固させ、回収し、
減圧下で乾燥して白色の共重合体(A-6)を得た。こ
の共重合体(A-6)は、A-B型([1,3-ブタジエン]-
[p-ヒドロキシスチレン])のブロック共重合体であ
り、Mwが35,000であった。13C-NMR測定の
結果、1,3-ブタジエン、p-ヒドロキシスチレンからな
る構成単位の共重合体における重量比は30/70であ
った。
【0057】
【合成例7】テトラヒドロフラン 1000mLにアニ
オン重合開始剤として、ジリチオブタン 0.06gを
溶解した後、-70℃に冷却した。この溶液に1,3-ブタ
ジエン60gを添加して、3時間重合を行った。つい
で、p-t-ブトキシスチレン40gを加え、さらに2時
間重合を行い、メタノールを添加して重合を停止し、多
量のメタノールと混合して生成した重合体を凝固した。
【0058】続いて、得られた共重合体をテトラヒドロ
フラン 500gに溶解し、p-トルエンスルホン酸1
水和物 5gおよび蒸留水 10gを添加し、加熱還流
下で12時間、脱保護反応を行った。その後、反応液を
多量の蒸留水に投入し、共重合体を凝固させ、回収し、
減圧下で乾燥して白色の共重合体(A-7)を得た。こ
の共重合体(A-7)は、A-B-A型([p-ヒドロキシ
スチレン]-[1,3-ブタジエン]-[p-ヒドロキシスチレ
ン])のブロック共重合体であり、Mwが45,000
であった。13C-NMR測定の結果、1,3-ブタジエン、
p-ヒドロキシスチレンからなる構成単位の共重合体に
おける重量比は32/68であった。
【0059】
【比較合成例1】p-t-ブトキシスチレン 40g、メ
タクリル酸エチル(単独重合体のガラス転移温度;65
℃) 60g、AIBN 3gおよびPGME 150
gを混合して均一溶液とした。この溶液を窒素で30分
間脱気した後、反応温度70℃で7時間、さらに反応温
度95℃で1時間重合反応を行った。ついで、得られた
樹脂溶液を室温まで冷却し、10wt%塩酸水溶液 2
0gを加え、50℃に加熱して10時間脱保護反応を行
った。その後、反応液に酢酸エチル 150gとイオン
交換水 150gを加え、撹拌した後静置し、水層を除
去した。この操作を水層が中性になるまで繰り返した。
さらに、多量のn-ヘキサン中で凝固を行い、真空乾燥
して白色の共重合体(a-1)を得た。得られた共重合
体(a-1)は、Mwが23,000であった。13C-N
MR測定の結果、p-ヒドロキシスチレンとメタクリル
酸エチルからなる構成単位の共重合体における重量比は
32/68であった。
【0060】
【実施例1】表1に示すとおり、合成例1で得られた共
重合体A-1を100重量部と、o-クレゾールノボラッ
ク型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名EOCN
-104S、「B−1」と略記する。)50重量部と、
2-エチルイミダゾール(「C−1」と略記する。)5
重量部を2-ヘプタノン(「E−1」と略記する。)1
50重量部に溶解させた。得られた溶液は、相分離する
ことなく均一であった。この溶液を用い、前記特性評価
方法にしたがって、硬化物の電気絶縁性(体積抵抗
率)、耐熱性(ガラス転移温度)および熱衝撃性をそれ
ぞれ測定した。得られた結果を表2に示す。
【0061】
【実施例2〜10】実施例1と同様にして、表1に示し
た組成の熱硬化性樹脂組成物を調製し、これらの硬化物
の物性を実施例1と同様に測定した。得られた結果を表
2に示す。
【0062】
【比較例1、2】比較合成例1で得られた共重合体a-
1を用いて、表1に示した組成の熱硬化性樹脂組成物を
調製し、これらの硬化物の物性を実施例1と同様に測定
した。得られた結果を表2に示す。
【0063】
【比較例3】表1に示すとおり、共重合体(A)を使用
せず、エポキシ樹脂(B-1)100重量部、フェノー
ル化合物(D-1)100重量部、硬化剤(C-1)5重
量部および溶剤(E-1)150重量部からなる熱硬化
性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様に硬化膜の物性
を測定した。結果を表2に示す。
【0064】
【表1】
【0065】注)表1に記載の組成は、以下のとおりで
ある。エポキシ化合物(B) B-1:o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本
化薬(株)製、商品名EOCN-104S) B-2:ビスフェノール型エポキシ樹脂(油化シェルエ
ポキシ(株)製、商品名EP-1001) B-3:フェノール-ジシクロペンタジエン型エポキシ樹
脂(日本化薬(株)製、商品名XD-1000L)硬化剤(C) C-1:2-エチルイミダゾール C-2:2-フェニルイミダゾール C-3:トリフェニルホスフィンフェノール化合物(D) D-1:フェノール-キシリレングリコール縮合樹脂(三
井化学(株)製、商品名XL-225) D-2:1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エ
タン D-3:ポリ(4-ヒドロキシスチレン)(丸善石油化学
(株)製、商品名マルカリンカー S-2P)有機溶剤(E) E-1:2-ヘプタノン E-2:乳酸エチル E-3:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセ
テートその他添加剤(F) F-1:変性架橋ゴム(JSR(株)製、商品名XER-
91P)
【0066】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、基材断面の模式図である。
【図2】 図2は、基材表面の模式図である。
【符号の説明】 1……基材 2……基板 3……銅箔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴 木 雅 子 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 (72)発明者 岩 永 伸一郎 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4J036 AA01 AC02 AC03 AD08 AE05 AE07 AF05 AF06 AF08 DC26 DC31 DC35 DC41 DD07 FB03 FB05 GA06 JA08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)下記一般式(1) 【化1】 [式(1)中、Rは水素原子またはメチル基である。]で
    表されるフェノール環含有構成単位(a)と、エチレン
    性不飽和結合含有化合物から導かれる構成単位(b)と
    からなる共重合体と、(B)1分子中に少なくとも2個
    のエポキシ基を有する化合物と、(C)硬化剤とを含有
    し、前記エチレン性不飽和結合含有化合物を単独重合し
    て得られる重合体のガラス転移温度が0℃以下であるこ
    とを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記構成単位(b)が、(メタ)アクリ
    ル酸エステルであることを特徴とする請求項1に記載の
    熱硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記構成単位(b)が、1,3-ブタジエン
    またはイソプレンであることを特徴とする請求項1に記
    載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化
    性樹脂組成物を熱硬化してなる硬化物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010065108A (ja) * 2008-09-10 2010-03-25 Maruzen Petrochem Co Ltd フェノール系硬化剤及び該フェノール系硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物
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