JP2001247288A - 吊下物の制振装置及び制振方法 - Google Patents

吊下物の制振装置及び制振方法

Info

Publication number
JP2001247288A
JP2001247288A JP2000073041A JP2000073041A JP2001247288A JP 2001247288 A JP2001247288 A JP 2001247288A JP 2000073041 A JP2000073041 A JP 2000073041A JP 2000073041 A JP2000073041 A JP 2000073041A JP 2001247288 A JP2001247288 A JP 2001247288A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
suspended object
rotation
torsional vibration
suspended
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000073041A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuichi Sato
勇一 佐藤
Yasunori Tokimasa
泰憲 時政
Keiichi Katayama
圭一 片山
Mitsuhiro Yoshida
光宏 吉田
Yuichiro Sawada
祐一郎 澤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2000073041A priority Critical patent/JP2001247288A/ja
Publication of JP2001247288A publication Critical patent/JP2001247288A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control And Safety Of Cranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の捩り振動の振れ止め装置は、捩り振動
止めに要する時間を極力短縮して荷役作業効率を向上さ
せるためには、シーブ台車を駆動する反力が横行トロリ
ーに連結されている運転室に加わり、運転者の乗り心地
に悪影響を及ぼすおそれがあったため、これを改善する
ことを目的とする。 【解決手段】 コンテナ等の吊荷23に取り付けられて
これを吊り支える吊具22の上面左右側端部に、平面内
で回転する一対の回転アーム50a,50b及びこれを
回転駆動する駆動装置51a,51bを設け、同回転ア
ームを回転することにより、吊荷23の平行振動又捩り
振動の方向とは逆方向の力又はトルクを加え、吊荷の平
行振動及び捩り振動を同時になくすとともに、運転室へ
の悪影響をなくした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば大型の吊荷
用コンテナクレーン等に適用される、吊下物のための制
振装置、及びこれを用いた制振方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図18に示すように、一般に船舶と岸壁
との間のコンテナヤード内におけるシャーシと貯蔵場所
との間のコンテナの移動には、コンテナ荷役用のクレー
ン1が使用される。このようなクレーン1は、クレーン
本体2の上端部に枠体状のビーム3が略水平かつ横方向
に向けて取り付けられ、吊荷であるコンテナ5を着脱で
きる吊具6、吊具6を上下方向に移動させるためワイヤ
ーロープ7を巻き上げる巻き上げ装置4、吊具6を横方
向に移動させるためビーム3に沿って移動する横行トロ
リー8を備えており、吊具6はワイヤーロープ7によっ
て横行トロリー8から吊り下げられており、また運転室
9が横行トロリー8と一体に取り付けられ、作業員が運
転室9内からコンテナ5の動きを見下ろしながら、コン
テナ5の運搬を操作している。
【0003】上記のクレーン1において、吊具6でコン
テナ5を把持している場合は、巻き上げ装置4で吊具6
を一旦巻き上げ、横行トロリー8で横移動させ、しかる
後吊具6を巻き下げてコンテナ5を所定の場所に降ろし
た後、吊具6による把持を解除する。同様に所定の位置
にあるコンテナ5を取りにいく場合も、吊具6を一旦巻
き上げ、横移動させ、その後吊具6を巻き上げ、コンテ
ナ上に降ろして把持する。吊具6及び吊具6に把持され
たコンテナ5は、ワイヤロープ7によって横行トロリー
8から吊り下げられているため、上記の荷役動作の過程
で、「スウェイ」と呼ばれる平行振動、及び「スキュ
ー」と呼ばれる捩り振動が生じることがある。このう
ち、平行振動は主として横行トロリーを加速、減速する
過程で生じるものであり、捩り振動は主として風外乱、
コンテナの偏心、コンテナ初期姿勢等によって生じるも
のである。
【0004】吊具あるいはこれに吊り下げられたコンテ
ナを所定位置に着地しようとする場合、平行振動、捩り
振動が大きいと、許容範囲内の位置に着地させることが
できない。そこで従来では振動が収まるまで待機する
か、振れ止め装置を用いて積極的に振動を許容範囲に収
めることが必要であった。ところで近年クレーン運転の
自動化及び荷役時間の短縮化が求められるにつれて、平
行振動に対する振れ止め対策が実施されるようになり、
ついで捩り振動に対する対策が一部で実施されるように
なった。従来の捩り振動の振れ止め方法及び装置の一例
を図19に示す。図において、横行トロリー8は図示し
ないクレーン本体の主桁ビーム上を横行(図において左
右方向に移動)自在に配置されている。横行トロリー8
上には一対のレール12、13が横行トロリー8の移動
方向と平行に敷設されており、これらレール12、13
上を左右のシーブ台車14、15が小距離移動可能に支
持されている。
【0005】横行トロリー8には、ロープ16を介して
この横行トロリー8を移動させる主桁ビーム上のトロリ
ー駆動装置17が連結され、各シーブ台車14、15に
は、これらシーブ台車14、15を移動させるシーブ台
車駆動装置18、19が連結されている。また横行トロ
リー8には、巻き上げロープ20を介して上面に吊荷の
振動検出マーク21a,21bが配設された吊具22が
吊り下げられており、この吊具22は吊荷としてのコン
テナ23を吊り支えている。横行トロリー8のトロリー
駆動装置17にはトロリー変位検出器31及び速度検出
器32が装着されている。そして左側のシーブ台車14
にはシーブ台車変位検出器33及び速度検出器34が装
着されるとともに、右側のシーブ台車15にも同様に変
位検出器35及び速度検出器36が装着されている。
【0006】また横行トロリー8の各側部には、コンテ
ナ23の振動量を検出するために、吊具22の検出マー
ク21a,21bの動作からコンテナ23の振動変位を
検出する吊荷左右側の振動検出器37、38が装着され
ている。そしてトロリーと一体に設けられた図示しない
クレーン運転室内に設けられた横行運転操作盤39に
は、運転者がトロリー横行速度を設定するノッチが付い
ており、また運転者がこのノッチ操作で設定した操作量
(トロリー横行速度設定値)を信号出力するノッチ操作
量検出器40が装着されている。
【0007】このような吊荷装置における捩り振動止め
は、以下に示す方法によって行われる。即ち、図19に
示す状態において、コンテナ23が矢印で示すように平
面内で時計回りの捩り振動を生じたときには、検出マー
ク21a,21bの変位を振動検出器37、38で検出
し、その信号を演算制御装置41で演算処理して捩り振
動量に変換し、この捩り振動量に合わせて一方のシーブ
台車15を左送りに駆動し、他方のシーブ台車14を右
送りにそれぞれ駆動装置18、19により駆動し、コン
テナ23の反動振動には、前述と逆方向にシーブ台車1
4、15を移動させることで、捩り振動を制振する。な
おコンテナ23が平行振動と捩り振動とを同時に生じて
いる場合は、検出マーク21a,21bの変位を振動検
出器37、38で検出し、その信号を演算制御装置41
で演算処理して平行振動量及び捩り振動量に分解し、捩
り振動に対しては前述の制御を行い、平行振動に対して
は横行トロリー8を駆動して制振する制御を行う。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで前述した振れ
止め装置による捩り振動止めについては、次のような課
題がある。即ち捩り振動止めに要する時間を極力短縮し
て荷役作業効率を向上させるためには、シーブ台車1
4、15を大加速度で駆動する必要があるが、シーブ台
車14、15は横行トロリー上に設置されているため、
シーブ台車14、15を駆動する反力が横行トロリー8
に連結されている運転室に伝わり、運転者の乗り心地に
悪影響を及ぼしていた。
【0009】なお本出願人等は、先に、上記課題を解消
するために、吊荷を支える吊具の上面に回転アーム及び
それを駆動する駆動装置を設け、捩り振動の振動方向と
反対方向に回転アームを強制的に回転させて、捩り振動
をなくす制振装置を提案したが(特願平10−1945
69号)、本装置では、吊荷の振動する位相に合わせ
て、回転アームの回転起動時点及び回転終了時に回転を
止めるパターンを精密に制御しなければならず、その制
御に熟練を要するとともに、制御装置が複雑かつ高価に
なるという問題点があった。
【0010】本発明は上記課題を解消し、捩り振動止め
に要する時間の短縮を図るに際し、運転室の乗り心地に
影響せずに振れ止め時間を短縮することが可能な新たな
振れ止め装置を提供することを目的とする。また本発明
は、別の目的として、運転室の乗り心地に影響せずに捩
り振動止め及び平行振動止めを同時に制振し得る制振効
果の優れた新たな振れ止め装置を提供することを目的と
する。さらに本発明は、捩り振動止め及び平行振動止め
を行うために行う制御を運転員が簡単に行うことがで
き、かつ安価な装置を用いて行うことができる振れ止め
方法及び装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、ワイヤーロープに吊り下げられた吊下物の振動を抑
制するための制振装置であって、前記吊下物に対して回
転可能に該吊下物に設けた少なくとも1個の回転体と、
該回転体を駆動させる回転駆動装置と、を備えたことを
特徴とする。
【0012】このような構成としたことで、吊下物に振
動が発生した場合に、回転体を回転駆動装置により回転
させ、振動の振動方向と逆方向のトルクを吊下物に加え
ることで、吊下物の振動を制振させることができる。
【0013】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
吊下物の制振装置であって、前記吊下物が振動した場合
に、前記吊下物の振動状態を検出し、その振動状態に基
づく検出信号を出力する振動検出器と、前記検出信号に
基づき前記回転駆動装置の回転角速度を決定する演算装
置と、を備えたことを特徴とする。
【0014】このような構成としたことで、回転体の回
転角速度を自動制御でき、吊下物の制振装置の運転を自
動化できる。
【0015】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2
に記載の吊下物の制振装置であって、前記回転体を、水
平面内で回転させることを特徴とする。
【0016】このような構成としたことで、吊下物にほ
ぼ水平方向に生じる平行振動や捩り振動の振動方向に対
してほぼ逆方向のトルクを加えることができ、効果的に
制振させることができる。
【0017】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれかに記載の吊下物の制振装置であって、前記回転
体の、回転の中心と重心とを偏心させたことを特徴とす
る。また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の
吊下物の制振装置であって、前記回転体を、棒状をなす
回転アームとしたことを特徴とする。
【0018】このような構成としたことで、回転体が回
転した際にアンバランス力を発生させ、これによって吊
下物に生じる並行振動及び捩り振動の振動方向と逆方向
のトルクを、吊下物に加えることができる。そのため、
平行振動及び捩り振動のうちの何れも制振させることが
できる。
【0019】請求項6に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれかに記載の吊下物の制振装置であって、前記回転
体を、回転の中心と重心とを一致させた円盤としたこと
を特徴とする。
【0020】このような構成としたことで、回転体が回
転した際にアンバランス力を発生させず、そのため制振
後の強制振動を発生させずに、吊下物の捩り振動の制振
を行うことができる。
【0021】請求項7に記載の発明は、請求項1〜4の
いずれかに記載の吊下物の制振装置であって、前記回転
体を、棒状をなすアーム片を複数備えたアームとし、こ
れらアーム片がそれぞれ回転軸を中心に回転するととも
に、各アーム片が互いになす角度を変更可能に構成した
ことを特徴とする。
【0022】このような構成としたことで、各アーム片
が互いになす角度を変えることにより、回転の中心と重
心とが一致した回転体、及び回転の中心と重心とが一致
しない偏心した回転体の、両方の機能を兼用できるよう
にしたものである。
【0023】請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の
いずれかに記載の吊下物の制振装置であって、前記回転
体を一対とし、これら回転体を前記吊下物の移送方向に
対して平行な前記吊下物の中心線に対して対象に配置し
たことを特徴とする。
【0024】このような構成としたことで、吊下物の重
心からほぼ等距離の位置に回転体を設けることができ、
平行振動でも捩り振動でも、効果的に制振させることが
できる。
【0025】請求項9に記載の発明は、請求項1〜8の
いずれかに記載の吊下物の制振装置であって、前記吊下
物は、ワイヤーロープを介してクレーン本体の水平ビー
ムに支持され、該水平ビームに沿って移動するトロリー
の移動動作を制御することによって平行振動を制振する
ことを特徴とする。
【0026】このような構成としたことで、回転体の回
転とトロリーの移動との双方によって、吊下物を制振さ
せることができる。
【0027】請求項10に記載の発明は、吊下物の制振
方法であって、前記一対の回転体の各々を、棒状をなし
回転の中心と重心とを偏心させた前記回転アームとした
請求項8記載の吊下物の制振装置において、これら一対
の回転体を互いに逆方向に同一位相から起動しかつ前記
中心線に対して常に対象に位置するように回転させるこ
とを特徴とする。
【0028】このような構成としたことで、吊下物の平
行振動に対して逆方向のトルクを、より有効に吊下物に
加えることができる。
【0029】請求項11に記載の発明は、請求項10に
記載の吊下物の制振方法であって、前記一対の回転アー
ムを、前記吊下物の移送方向に対して直角な方向に位置
させておき、その位置から回転を起動させることを特徴
とする。
【0030】このような構成としたことで、吊下物の平
行振動に対して逆方向のトルクを、最大限有効に吊下物
に加えることができる。
【0031】請求項12に記載の発明は、請求項10又
は11に記載の吊下物の制振方法であって、前記回転体
の回転角速度を前記吊下物の捩り振動の角速度で除した
角速度比の値を増加させることを特徴とする。
【0032】このような構成としたことで、吊下物の捩
り振動を制振した後に残る、回転体の回転による強制振
動の振幅を低減させることができる。
【0033】請求項13に記載の発明は、吊下物の制振
方法であって、請求項1〜9のいずれかに記載の吊下物
の制振装置において、前記吊下物が捩り振動を起こした
場合には、該吊下物の捩り振動の位相が0°となった時
点で前記回転体の回転を起動し、該回転体の回転を所定
時間持続させることを特徴とする。
【0034】このような構成としたことで、吊下物を制
振させた後に、回転体の回転が停止した反動トルクによ
って吊下物に振動が再生されることを防止することがで
きる。
【0035】請求項14に記載の発明は、吊下物の制振
方法であって、請求項1〜9のいずれかに記載の吊下物
の制振装置において、前記吊下物が捩り振動を起こした
場合には、該捩り振動が制振されるまでの間に、該捩り
振動の位相に応じた前記回転体の回転の起動及び停止を
少なくとも1回ずつ行うことを特徴とする。また、請求
項15に記載の発明は、請求項14に記載の吊下物の制
振方法であって、前記吊下物の捩り振動の周期をTと
し、該吊下物がある位相に至った時点を基準時刻として
該基準時刻から起算した前記回転体の回転起動時刻をt
1とし、前記基準時刻から起算した前記回転体の回転停
止時刻をt2とし、これらT、t1及びt2とが式
(A)の関係を満たすように前記回転体の回転を起動及
び停止させることを特徴とする。 t1+t2=nT(nは任意の正整数) …………(A)
【0036】このような構成としたことで、吊下物を制
振させた後に回転体の回転を停止させても、停止した反
動トルクによって吊下物に振動が再生されることを防止
することができる。
【0037】請求項16に記載の発明は、請求項15に
記載の吊下物の制振方法であって、前記基準時刻は、前
記吊下物の振幅が最大となった時点とし、前記t1をT
/4とし、前記t2を3T/4としたことを特徴とす
る。
【0038】このような構成としたことで、回転体の回
転角速度を小さくしても、吊下物を制振させた後に回転
体の回転を停止させることができ、有効に吊下物の制振
が行える。
【0039】請求項17に記載の発明は、記載の吊下物
の制振方法であって、請求項1〜9のいずれかに記載の
吊下物の制振装置において、前記吊下物が捩り振動をし
ている場合には、該吊下物の捩り振動の位相が0°とな
った時点で前記回転体の回転を停止させることを特徴と
する。
【0040】このような構成としたことで、回転体の回
転が停止した反動トルクによって吊下物を制振させるこ
とができ、吊下物の制振と回転体の停止とを同時に行う
ことができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下に本発明に係る制振装置の第
1乃至第3の実施形態について、図1乃至図9に基づき
説明する。なお、図19において説明した構成部材と同
一部材には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0042】[第1の実施の形態]第1の実施形態に係
る吊下物の制振装置の構成を図1に示す。図において、
横行トロリー8は、図示しないクレーンの主桁ビームを
横行(図において左右方向に移動)自在に配設されてお
り、横行トロリー8にはロープ16を介してこの横行ト
ロリー8を移動させる図示しない主桁ビーム上のトロリ
ー駆動装置17が連結されている。また、横行トロリー
8には、巻き上げロープ(ワイヤーロープ)20を介し
て上面に吊荷の振動検出マーク21a,21bが配設さ
れた吊具22が吊り下げられており、この吊具22は吊
荷としてのコンテナ23を吊り支えている。すなわち、
本実施形態において、符号Aで示す「吊下物」とは、吊
具22及びコンテナ23を意味する。
【0043】さらに、吊具22の上面の左右両端側に
は、一対の回転アーム(回転体)50a、50bが回転
軸を介して取り付けられ、回転駆動装置51a,51b
によって吊具22の上面と接触しない位置で吊具22の
上面と平行な水平面内で回転駆動される。回転駆動装置
51a,51bには、例えばステッピングモータ、サー
ボモータ等の回転速度が制御可能な駆動装置が使用され
る。トロリー駆動装置17には、トロリー変位検出器3
1及びトロリー速度検出器32が装着されている。また
横行トロリー8の左右両側部には、吊荷の振動量を検出
するために、吊具22の両側端近傍の吊具上面に設けら
れた検出マーク21a,21bの動きを検出して、その
動作から吊具22の振動変位を検出する振動検出器3
7、38が装着されている。トロリー8と一体に設置さ
れた図示しないクレーン運転室内の横行運転操作盤39
には、運転者がトロリー横行速度を設定するノッチが付
いており、また運転者がこのノッチ操作で設定してノッ
チ操作量(トロリー横行速度設定値)を信号出力するノ
ッチ操作量検出器40が装着されている。
【0044】この制振装置には、回転アーム50a,5
0bにより制振を行うための自動化装置として、回転ア
ーム50a、50bの回転を制御するための演算装置4
2が設けられている。図9に示すように、この演算装置
42は、振動演算器60,回転速度演算器61及び指令
値演算器62から構成されている。
【0045】図9において、振動検出器37、38で検
出された検出マーク21a,21bの動きは、検出信号
a,bとして振動演算器60に送られる。振動演算器6
0は、振動検出器37、38で検出した吊具22の検出
信号a,bから、吊下物Aの振動変位及び振動速度を算
出する。振動演算器60で演算された吊下物Aの振動変
位/速度の信号は、回転速度演算器61に送られ、そこ
で吊下物Aを制振するのに必要な回転アーム50a、5
0bの回転速度及びタイミングを決定する。回転速度演
算器61で演算された回転アーム50a、50bの回転
速度指令値は、指令値演算器62に送られ、そこで回転
アーム50a、50bが決定された回転速度で回転する
ように、回転速度検出器63a,63bからフィードバ
ックされた回転アーム50a、50bの回転速度検出値
を入力して操作信号を算出し、この操作信号を回転駆動
装置51a,51bに送る。
【0046】次に、この制振装置を用いた制振方法につ
いて、説明する。なお、以下において「制振」とは、振
動の角度振幅が初期角度の10分の1以下となった場合
をいうものとする。先ず、捩り振動の制振方法について
説明する。即ち、図1に示す状態において、吊下物Aが
矢印で示すように水平面内で時計回りあるいは反時計回
りの捩り振動を生じたときには、検出マーク21a,2
1bの変位を振動検出器37、38で検出し、その信号
を演算装置42で演算処理して捩り振動量に変換し、こ
の捩り振動量及び位相に合わせて回転駆動装置51a,
51bにより回転アーム50a,50bを互いに同方向
に回転させ、両方の合トルクにより、捩り振動と逆方向
の慣性モーメントを発生させて、捩り振動を制振する。
【0047】なお、吊下物Aが平行振動及び捩り振動を
同時に生じているときは、検出マーク21a,21bの
動きを振動検出器37、38で検出し、その信号を演算
制御装置41で演算処理して平行振動量及び捩り振動量
に分解し、捩り振動に対しては上述の制御を行い、平行
振動に対しては以下に説明する制御を行う。即ち、横行
トロリー8の移動方向と同一あるいは180°正反対方
向の平行振動に対して、回転アーム50a,50bを互
いに逆方向に回転させて、平行振動の方向と180°正
反対の方向に反力を加えて平行振動と力を打ち消し合
い、平行振動をなくすようにする。この場合平行振動の
振動方向に対して平行な方向以外の方向に作用する力成
分については、一対の回転アームの間で互いに打ち消し
合うように、一対の回転アーム50a,50bをそれら
の間を通る吊荷の運搬方向に平行な中心線に対して回転
起動時点から常に中心線に対して対象に位置するように
かつ互いに逆方向に回転する。
【0048】この場合、回転アーム50a,50bの回
転起動位置は、起動時に平行振動に対して反対方向に働
く反力が最大となるように、吊荷の運搬方向(中心線の
方向)に対して直角な方向に回転アーム50a、50b
が向くように起動位置を設定させるのが好ましい。即ち
図1中の一点鎖線lに合致するように回転アーム50
a、50bを設置するのが好ましい。
【0049】本制振装置により捩り振動が減衰する作用
効果を、図2〜図8を参照して説明する。図2に、本発
明者等が捩り振動の制振方法の実験に用いた実験装置の
概略を示す。クレーンなどにおける吊荷(コンテナ)の
捩り振動は、機械工学ではロープで吊り下げられた物体
の捩り振動であるので、吊下物Aを長手方向に伸びた角
柱Aで模擬し、この角柱Aを2本のロープ20で吊り下
げ、角柱Aの両端上面にステッピングモータ等により水
平面内で回転駆動される回転アーム50a、50bを設
置することで、捩り振動に寄与する力学的要因である角
柱A及び回転アーム50a、50bの慣性モーメント比
及び寸法などを実際の装置と合わせている。
【0050】本制振方法は、捩り振動を低減させるため
に、回転アーム50a、50bの加速トルクのみを利用
するものである。すなわち、角柱Aに初期捩り振動を与
える以前は、回転アーム50a、50bを停止させた状
態としておく。この状態で、角柱Aに所定の初期捩り振
動を与える。この初期捩り振動の振幅は、例えば10°
とする。この角柱Aの捩り振動中において、位相が0°
となった時点で、回転アーム50a、50bの回転を起
動させ、一定の回転角速度まで加速させ、この回転角速
度での回転を所定時間持続させる。この所定時間とは、
クレーンでいえば、吊荷の運搬が終了するまでの時間で
ある。つまり、例えばコンテナが着地したり船舶に積載
されて、回転アーム50a、50bを停止させても反動
トルクの影響を受けないような状態となるまでの時間を
意味する。回転角速度は、後述するように、回転アーム
50a、50bの慣性モーメントと角柱Aの慣性モーメ
ントとの比、及び角柱Aの捩り振動角速度をパラメータ
として決定される。
【0051】本実験装置において、角柱Aが捩り振動を
している間に回転アーム50a,50bを回転させる
と、容易に想像できるように回転アーム50a,50b
の回転速度,回転を起動するタイミング及び回転を終了
するタイミングなどによって、角柱Aの捩り振動は影響
を受け、回転アーム50a,50bを回転しない場合に
比べて加振されたり、減衰したりする。即ち、回転アー
ム50a、50bを起動させると、その加速トルクによ
って角柱Aには反動トルクがかかり、これにより角柱A
の振動エネルギーは回転アーム50a、50bの方へと
移動し、角柱Aの制振が行われることとなる。本発明者
等は、本実験装置を用いて種々の実験を実施し、捩り振
動を効果的に制振することができる方法を見出した。
【0052】図3は、図2の実験装置において回転アー
ム50a,50bの慣性モーメントと角柱Aの慣性モー
メントとの比を0.0107:1とし、角柱Aに10°
の初期捩り振動を与え、かつ角柱Aの捩り振動の角速度
の14倍の角速度で回転アーム50a,50bを回転駆
動させたときに角柱Aの捩り振動が低減される様子を示
したものである。図4は上記慣性モーメント比を0.0
055:1とし、角柱Aに10°の初期捩り振動を与
え、かつ角柱Aの捩り振動の角速度の25倍の角速度で
回転アーム50a,50bを回転駆動させたときに角柱
Aの捩り振動が低減される様子を示したものである。
【0053】図5は上記慣性モーメント比を0.002
0:1とし、角柱Aに10°の初期捩り振動を与え、か
つ角柱Aの捩り振動の角速度の47倍の角速度で回転ア
ーム50a,50bを回転駆動させたときに角柱Aの捩
り振動が低減される様子を示したものである。図3〜図
5から明らかなように、回転アーム50a,50bの回
転開始と同時にその慣性反力により角柱Aの捩り自由振
動はほとんどなくなり、その代わりに回転アーム50
a,50bの回転により生じる遠心力により強制振動が
発生している。この強制振動の角速度は回転アームの回
転角速度に一致しており、またその強制振動の振幅は回
転アームの回転角速度を角柱の角速度で除した角速度比
を大にするほど小さくなることが明らかとなった。この
関係を図6及び図7に示す。
【0054】図6は、図2の実験装置において捩り振動
が最小となる条件下における、回転アーム50a,50
bの回転角速度を角柱Aの角速度で除した角速度比と同
回転アームの慣性モーメントを同角柱の慣性モーメント
で除した慣性モーメント比との関係を示す。なお角柱A
の初期捩り振幅は10°とした。図6より、捩り振動が
最小となる条件下での上記回転角速度比と慣性モーメン
ト比とはほぼ逆比例の関係にあることがわかった。
【0055】図7は、図2の実験装置において捩り振動
が最小となる条件下における、上記回転角速度比と回転
アームの回転で生じる遠心力により発生する強制振動の
振幅との関係を示したものである。なお角柱Aの初期捩
り振幅は10°とした。図7より、捩り振動が最小とな
る条件下において、回転アームの回転により発生する強
制振動の振幅は、上記回転角速度比にほぼ逆比例するこ
とがわかった。図6及び図7から、上記慣性モーメント
比を小さくし、上記角速度比を大きくすることにより、
回転アームの回転により生じる強制振動の振幅を小さく
することができることがわかった。このように図6及び
図7で明らかになった関係を用いて、角柱Aの捩り振動
の状態に応じて、回転アーム50a,50bの角速度及
び慣性モーメントを決定し、さらに同回転アームの回転
開始位置及びタイミングを適宜に設定することで、角柱
の捩り振動を最小にすることができる。さらに回転アー
ム50a,50bの回転動作により角柱Aの捩り振動を
十分低減できなかった場合や、回転アーム50a,50
bの回転中に外乱により再び角柱Aの捩り振動が発生し
た場合でも、この捩り振動の振幅及び位相に合わせて、
回転アームの角速度を増加もしくは減少させることによ
り、捩り振動をなくすことができる。
【0056】なお、吊荷の捩り振動を制振するために一
旦回転アーム50a、50bを回転起動した後は、吊荷
の運搬を終了するまで回転を持続する必要がある。その
理由は、吊荷の運搬の途中で回転アームの回転を止める
と、力学的に、その反動トルクにより制振前の吊荷の捩
り振動が再生されてしまうからである。即ち、回転アー
ム50a、50bを停止させると、その減速トルクによ
って角柱Aには反動トルクがかかり、これにより回転ア
ーム50a、50bの回転エネルギーは角柱Aの方へと
移動し、再び角柱Aの捩り振動が発生してしまうことと
なる。一方、平行振動を制振する場合は、吊荷の運搬を
終了するまで回転体の回転を持続する必要はなく、吊荷
の平行振動の振幅及び周波数(又は振動速度)に応じ
て、平行振動の方向と逆方向の慣性反力を加えるべく、
回転体の回転開始位置及びタイミングを適宜に選択する
ことで、通常は半回転あるいは長くても2〜3回転で平
行振動を制振することができ、その後は回転体の回転を
停止する。なお回転体は回転アーム50a,50bのよ
うな棒状体の代わりに、偏心した円盤形状をなすもので
もよい。
【0057】図8は、回転アーム50a,50bの最初
の回転により角柱Aの初期捩り振動を十分低減できなか
った場合において、角柱Aの残留捩り振動を低減するた
めに行った回転アームの角速度の変更パターン(ω1→
ω2)と角柱の捩り振動の継時歴との関係の例を示した
ものである。図において、回転アームの最初の角速度ω
1での回転動作により角柱Aの初期捩り振動を十分低減
できなかったが、角速度をω2に変更して角柱Aの捩り
振動をさらに低減している。
【0058】[第2の実施形態]次に、本発明に係る制
振装置の第2の実施形態について、図10、図12〜図
16に基づいて説明する。本実施形態が上記第1の実施
形態と異なる点は、回転アーム50a、50bの代わり
に、円盤70a、70bを用いている点のみである。
【0059】図10において、円盤(回転体)70a
は、回転軸71を中心に回転するものであり、吊具22
の上面の適宜位置に設けられている。なお、円盤70b
は、図示は省略するが、円盤70aと一対をなして設け
られるものであり、その構成は円盤70aと同様であ
る。これら円盤70a、70bを、吊具22の上面と平
行にかつ吊具上面と接触しないように若干浮かせて回転
させる。この円盤70a、70bは、回転の中心と重心
とが一致した回転体であるため、回転によるトルクのみ
発生し、平行振動を制振する反力は発生しない。従って
吊荷の捩り振動のみを制振することができる。
【0060】また本制振装置は、回転の中心と重心とが
一致した回転体であるため、アンバランス力は発生せ
ず、そのため前記実施形態例の回転アーム50a,50
bのように制振後の強制振動は発生しないという利点が
ある。なお円盤70a、70bの吊具22上面の設置位
置は特に制約されず、また1個あるいは複数個のいずれ
でもよい。複数個設置する場合は、互いに同方向に回転
させて吊下物Aの捩り振動を制振する。
【0061】次に、本実施形態における制振装置を用い
た第1乃至第3の制振方法について説明する。図12
に、本発明者等が実験に用いた実験装置の概略を示す。
この実験装置は、上記第1の実施形態における実験装置
と比較して、回転アーム50a、50bの代わりに円盤
形状をなした円盤70a、70bを設けている点が異な
るのみである。本発明者等は、本実験装置を用いて種々
の実験を実施し、捩り振動を効果的に制振することがで
きる第1乃至第3の制振方法を見出した。
【0062】先ず、第1の制振方法について、図13を
用いて説明する。この第1の制振方法は、捩り振動を低
減させるために、円盤70a、70bの加速トルクのみ
を利用するものである。なお、この図において「捩れ
角」とは、角柱Aの振幅が最大となった時点における捩
れ角を1或いは−1として示した無次元量であり、ま
た、「円盤回転角速度比」とは、円盤70a、70bの
回転角速度を角柱Aの捩り振動の角速度で除した角速度
比である。これら用語の意義は、後述する図14、図1
5及び図17においても同様とする。本制振方法におい
ては、角柱Aに初期捩り振動を与える以前は、円盤70
a、70bを停止させた状態としておく。この状態で、
角柱Aに所定の初期捩り振動を与える。この初期捩り振
動は、例えば10°とする。この角柱Aの捩り振動中に
おいて、位相が0°となった時点で、円盤70a、70
bの回転を起動させ、一定の回転角速度まで加速させ
る。この回転角速度は、後述するように、円盤70a、
70bの慣性モーメントと角柱Aの慣性モーメントとの
比、及び角柱Aの捩り振動角速度をパラメータとして決
定される。円盤70a、70bが一定の回転角速度とな
ったら、このまま所定時間回転を持続させる。すなわ
ち、この点においては上記第1の実施形態における制振
方法と同様である。
【0063】ここで、1回の回転起動動作で角柱Aの捩
り振動を制振させるための、円盤70a、70bの回転
角速度は、以下のようにして求められる。円盤70a、
70bの回転を起動させる直前における、角柱Aの捩り
振動角速度をΩ11、円盤70a、70bの角柱Aに対
する相対回転角速度をω11とする。また、円盤70
a、70bを起動し加速が終了した後における、角柱A
の捩り振動角速度をΩ12とし、円盤70a、70bの
角柱Aに対する相対回転角速度をω12とする。円盤7
0a、70bの加速以前(起動直前)と加速終了後にお
いて、系の角運動量は保存されるので、以下の関係が成
り立つ。 IΩ11+Jω11=IΩ12+Jω12 ここで、ω11=0、Ω12=0であるから、これらを
代入して整理すると、 ω12=(I/J)Ω11 となる。
【0064】本制振方法においては、制振にかかる時間
は、理論的には円盤70a、70bを加速する時間のみ
で済むので、非常に短時間で制振できる。
【0065】次に、第2の制振方法について説明する。
この第2の制振方法は、捩り振動を低減させるために、
円盤70a、70bの加速トルク及び減速トルクの両方
を利用するものである。本発明者らは鋭意研究の結果、
円盤70a、70bの回転を起動させるタイミング(時
点)と停止させるタイミングとの間に一定の関係が有れ
ば、効果的に制振が可能であることを見出した。すなわ
ち、角柱Aの捩り振動の周期をTとし、ある位相に至っ
た時点を基準時刻としてこの基準時刻から起算した円盤
70a、70bの回転起動時刻をt1とし、基準時刻か
ら起算した円盤70a、70bの回転停止時刻をt2と
し、これらT、t1及びt2とが式(A)の関係を満た
すようにする。 t0+t1=nT(nは任意の正整数) …………(A) そして、最適に制振が可能であるのは、基準時刻を角柱
Aの振幅が最大となった時点、すなわち捩り角が最大と
なった時刻とした場合に、t1をT/4とし、t2を3
T/4に設定したときである。
【0066】こうした実験結果を、図14乃至図16に
示す。図14は、t1をT/8とし、t2を7T/8と
した場合に、角柱Aの捩り振動が制振される様子を示し
たものである。また、図15は、t1をT/4とし、t
2を3T/4とした場合に、角柱Aの捩り振動が制振さ
れる様子を示したものである。更に、図16は、t1
と、そのときの制振可能な円盤の回転角速度との関係を
示したものである。図14及び図15から明らかなよう
に、何れも制振されてはいるが、図15の場合の方が、
円盤70a、70bの回転速度をより小さくして制振が
可能であることがわかる。また、図16から、t1がT
/4付近では、円盤70a、70bの回転角速度の値は
さほど変わらないことがわかる。このことは、円盤70
a、70bの回転起動時刻が多少ずれても、ほぼ同様の
回転角速度での制振が可能であることを示している。つ
まり、t1をT/4付近に設定すれば、回転起動時刻及
び回転停止時刻において要求される時間精度を緩和させ
ることができるとともに、回転速度を小さくしても所定
の制振効果が得られることとなる。
【0067】ここで、1回づつの回転起動動作及び回転
停止動作で角柱Aの捩り振動を制振させるための、円盤
70a、70bの回転角速度は、以下のようにして求め
られる。円盤70a、70bの回転を加速(起動)させ
る直前における、角柱Aの捩り振動角速度をΩ21、円
盤70a、70bの角柱Aに対する相対回転角速度をω
21とする。また、円盤70a、70bの加速が終了し
た後における、角柱Aの捩り振動角速度をΩ22とし、
円盤70a、70bの角柱Aに対する相対回転角速度を
ω22とする。更に、円盤70a、70bの回転を減速
させる直前における、角柱Aの捩り振動角速度をΩ2
3、円盤70a、70bの角柱Aに対する相対回転角速
度をω23とする。更に、円盤70a、70bの減速が
終了し停止した後における、角柱Aの捩り振動角速度を
Ω24とし、円盤70a、70bの角柱Aに対する相対
回転角速度をω24とする。円盤70a、70bの加速
以前(起動直前)と加速終了後において、系の角運動量
は保存されるので、以下の関係が成り立つ。 IΩ21+Jω21=IΩ22+Jω22 また、円盤70a、70bの減速直前と停止後において
も、系の角運動量は保存されるので、以下の関係が成り
立つ。 IΩ23+Jω23=IΩ24+Jω24 ここで、ω21=0、Ω24=0である。そして、ω2
2=ω23であり、この間において円盤70a、70b
は加減速を行わないので、系の運動エネルギーは保存さ
れ、Ω22=−Ω23が成り立つ。これらを代入して整
理すると、 ω22=(I/2J)Ω21 となる。
【0068】本制振方法においては、コンテナの運搬途
中であっても回転を停止させることができるので、円盤
70a、70bを回転駆動させるためのエネルギーを減
ずることができる。また、円盤70a、70bの回転角
速度を、第1の制振方法の場合の半分とすることができ
るので、制振装置における回転駆動装置51a、51b
を小型化、小出力化しても対応可能とできる。
【0069】更に、第3の制振方法について、図17を
用いて説明する。この第3の制振方法は、上記第1の制
振方法とは逆に、減速トルクのみを利用するものであ
る。すなわち、角柱Aに初期捩り振動を与える以前に、
円盤70a、70bを一定の回転角速度で回転させた状
態としておく。この初期回転角速度は、後述するよう
に、円盤70a、70bの慣性モーメントと角柱Aの慣
性モーメントとの比、及び角柱Aの捩り振動角速度をパ
ラメータとして決定される。この状態で、角柱Aに所定
の初期捩り振動を与える。この角柱Aの捩り振動中にお
いて、位相が0°となった時点で、円盤70a、70b
の回転を停止させる。
【0070】ここで、1回の回転停止動作で角柱Aの捩
り振動を制振させるための、円盤70a、70bの初期
回転角速度は、以下のようにして求められる。円盤70
a、70bの減速を開始させる直前における、角柱Aの
捩り振動角速度をΩ31、円盤70a、70bの角柱A
に対する相対回転角速度をω31とする。また、円盤7
0a、70bの停止後における、角柱Aの捩り振動角速
度をΩ32とし、円盤70a、70bの角柱Aに対する
相対回転角速度をω32とする。円盤70a、70bの
減速以前と停止後において、系の角運動量は保存される
ので、以下の関係が成り立つ。 IΩ31+Jω31=IΩ32+Jω32 ここで、ω32=0、Ω32=0であるから、これらを
代入して整理すると、 ω31=−(I/J)Ω31 となる。
【0071】本制振方法においては、制振後に円盤70
a、70bを停止させることができるので、円盤70
a、70bを回転駆動させるためのエネルギーを減ずる
ことができる。また、制振にかかる時間は、理論的には
円盤70a、70bを減速する時間のみで済むので、非
常に短時間で制振できる。なお、回転角速度を予め決定
するために、コンテナ70の捩り角速度や慣性モーメン
ト等を予測しておかなければならないので、例えば一定
の風速下で捩り振動の状態が容易に予測できるような場
合には、有効な制振方法である。
【0072】[第3の実施の形態]本発明に係る制振装
置の第3の実施形態について、図11に基づいて説明す
る。本実施形態が上記第1の実施形態と異なる点は、回
転アーム50a、50bの代わりに、アーム80a、8
0bを用いている点のみである。
【0073】図11において、アーム(回転体)80a
は、互いに寸法及び重量が同一な一組のアーム片82、
83からなる回転体であり、これらは回転軸81を中心
に回転するとともに、両者のなす角度θを可変可能に構
成されている。なお、アーム80bは、図示は省略する
が、アーム80aと一対をなして設けられるものであ
り、その構成はアーム80aと同様である。これらアー
ム80a、80bを、上記第1実施形態と同様に、吊具
22上面の左右両端側に一対装着する。本実施形態にお
いては、吊下物Aの捩り振動のみを制振する場合は、両
アーム片82、83間の角度θを180°として、アー
ム80a、80bの回転中心と重心とを一致させ、トル
クのみを発生させるようにして吊下物Aの捩り振動を制
振する。この場合、上記第2実施形態と同様にアンバラ
ンス力を発生しないので、制振後の強制振動振幅はなく
なるという利点がある。また平行振動及び捩り振動の両
方を制振したい場合は、角度θを180°以外の角度に
設定して回転の中心と重心とが一致しない偏心した回転
体とし、これによって捩り振動に対するトルクのみなら
ず、平行振動に対する反力をも発生可能にして、平行振
動及び捩り振動の両方を制振する。すなわち、上記第1
及び第2実施形態において示した制振方法のうちの何れ
も採用することができる。
【0074】本実施形態においては、アーム片82及び
83間の角度θを調整することにより、偏心によるアン
バランス力の値を調整可能とすることができ、これによ
って平行振動に対して作用させる反力の大きさを調整で
きる利点がある。このように本実施形態では、アーム片
82及び83間の角度θを調整することにより、捩り振
動のみの制振作用と平行振動及び捩り振動の両方に作用
する制振作用とを適宜選択して付与できるとともに、平
行振動に対して作用させる反力の大きさを調整できる利
点がある。
【0075】なお、上記各実施形態においては、演算装
置を用いて回転駆動装置を自動制御するようにしたが、
こうした回転体の回転速度及び起動タイミング等はクレ
ーンの運転者が運転室から目視して決定し、回転アーム
を操作してもよい。
【0076】
【発明の効果】以上のように、本発明による吊下物の制
振装置及び制振方法によれば、吊荷を支える吊具に設け
た回転体を回転することにより、吊荷に生じる平行振動
又は捩り振動の振動方向と逆方向の力又はトルクを加
え、従来に比べて大きな制振効果を発揮することができ
る。また吊荷に生じる捩り振動に対して、同回転体の吊
荷に対する慣性モーメントの比及び同回転体の回転角速
度の吊荷の捩り振動の角速度に対する比を適宜に設定す
ることにより、さらに大きな制振効果を発揮することが
できるとともに、同回転体の回転により生じる強制振動
の振幅を実害がなくなるほどに押えることができる。
【0077】また回転体の駆動力の反力の影響はロープ
を介してしか横行トロリーに連結された運転室に伝わら
ず、実際上はロープの緩衝効果が大きいため、運転室に
対する悪影響はほとんどなくなるといった効果が期待で
きる。換言すれば、従来の捩り振れ止め装置がシーブ台
車駆動力の反力が有効に作用せず、その悪影響を運転室
が直接受けていたのに対して、本発明による制振装置
は、回転体駆動力の反力自体を振れ止めに有効に作用さ
せ、かつその影響を運転室から切り離すことができる。
【0078】さらに本発明によれば、吊荷の捩り振動を
制振する際に、前述した本出願人等の先願発明のよう
に、吊荷の振動する位相に合わせて回転体の回転起動時
点又は終了時の回転パターンを精密に制御する必要がな
く、吊荷の捩り振動の位相が零となった時点で同回転体
の回転を起動し、かつ同吊荷の運搬が終了するまで同回
転体を回転し続けるという簡単な操作によって、吊荷の
捩り振動を効果的に制振することができ、熟練した運転
員を要せず、かつ複雑な制御装置を必要としないという
利点がある。一般にコンテナクレーン等における吊荷の
振動周期は10〜20秒であり、本発明によれば、平行
振動の制振においてもあるいは捩り振動の制振において
も十分な余裕をもって制振操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る制振装置の第1の実施形態を
示す斜視図である。
【図2】 本発明に係る制振装置の第1の実施形態に
おける実験に用いた実験装置の概略を示す斜視図であ
る。
【図3】 図2の実験装置を用いて行った実験結果で
あって、角柱の捩り振動が制振される様子を示した線図
である。
【図4】 図3と条件を変えて行った同様の線図であ
る。
【図5】 図3及び図4と条件を変えて行った同様の
線図である。
【図6】 図3ないし図5の実験結果をまとめたグラ
フを示す図表である。
【図7】 同じく、図3ないし図5の実験結果をまと
めたグラフを示す図表である。
【図8】 図2の実験装置を用いて行った別の実験結
果を示す線図である。
【図9】 本発明の第1実施形態にける、振動検出器
及び演算装置をを示すブロック線図である。
【図10】 本発明に係る制振装置の第2の実施形態
の一部を拡大して示す斜視図である。
【図11】 本発明に係る制振装置の第3の実施形態
の一部を拡大して示す斜視図である。
【図12】 本発明に係る制振装置の第2の実施形態
における実験に用いた実験装置の概略を示す斜視図であ
る。
【図13】 図12の実験装置を用いて行った実験結
果であって、第2の実施形態における第1の制振方法に
より角柱の捩り振動が制振される様子を示した線図であ
る。
【図14】 図12の実験装置を用いて行った実験結
果であって、第2の実施形態における第2の制振方法に
より角柱の捩り振動が制振される様子を示した線図であ
る。
【図15】 図14とは条件を変えて行った同様の線
図である。
【図16】 図12の実験装置を用いて行った実験結
果であって、t1と、そのときの制振可能な円盤の回転
角速度との関係を示す線図である。
【図17】 図12の実験装置を用いて行った実験結
果であって、第2の実施形態における第3の制振方法に
より角柱の捩り振動が制振される様子を示した線図であ
る。
【図18】 従来のコンテナクレーンを示す全体概略
図である。
【図19】 従来の吊荷の制振装置を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
A 吊下物(角柱) 2 クレーン本体 8 横行トロリー 20 巻き上げロープ(ワイヤーロープ) 22 吊具 23 コンテナ(吊荷) 37,38 振動検出器 42 演算装置 50a,50b 回転アーム(回転体) 51a,51b 回転駆動装置 70a,70b 円盤(回転体) 80a アーム(回転体) 82,83 アーム片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片山 圭一 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 吉田 光宏 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 澤田 祐一郎 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 Fターム(参考) 3F204 AA02 BA02 CA03 DA02 DA08 EA01 EA03 EB05

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワイヤーロープに吊り下げられた吊下
    物の振動を抑制するための制振装置であって、 前記吊下物に対して回転可能に該吊下物に設けた少なく
    とも1個の回転体と、 該回転体を駆動させる回転駆動装置と、 を備えたことを特徴とする吊下物の制振装置。
  2. 【請求項2】 前記吊下物が振動した場合に、前記吊
    下物の振動状態を検出し、その振動状態に基づく検出信
    号を出力する振動検出器と、 前記検出信号に基づき前記回転駆動装置の回転角速度を
    決定する演算装置と、を備えたことを特徴とする請求項
    1記載の吊下物の制振装置。
  3. 【請求項3】 前記回転体を、水平面内で回転させる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の吊下物の制振
    装置。
  4. 【請求項4】 前記回転体の、回転の中心と重心とを
    偏心させたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の吊下物の制振装置。
  5. 【請求項5】 前記回転体を、棒状をなす回転アーム
    としたことを特徴とする請求項4に記載の吊下物の制振
    装置。
  6. 【請求項6】 前記回転体を、回転の中心と重心とを
    一致させた円盤としたことを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の吊下物の制振装置。
  7. 【請求項7】 前記回転体を、棒状をなすアーム片を
    複数備えたアームとし、これらアーム片がそれぞれ回転
    軸を中心に回転するとともに、各アーム片が互いになす
    角度を変更可能に構成したことを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の吊下物の制振装置。
  8. 【請求項8】 前記回転体を一対とし、これら回転体
    を前記吊下物の移送方向に対して平行な前記吊下物の中
    心線に対して対象に配置したことを特徴とする請求項1
    〜7のいずれかに記載の吊下物の制振装置。
  9. 【請求項9】 前記吊下物は、ワイヤーロープを介し
    てクレーン本体の水平ビームに支持され、該水平ビーム
    に沿って移動するトロリーの移動動作を制御することに
    よって平行振動を制振することを特徴とする請求項1〜
    8のいずれかに記載の吊下物の制振装置。
  10. 【請求項10】 前記一対の回転体の各々を、棒状を
    なし回転の中心と重心とを偏心させた前記回転アームと
    した請求項8記載の吊下物の制振装置において、これら
    一対の回転体を互いに逆方向に同一位相から起動しかつ
    前記中心線に対して常に対象に位置するように回転させ
    ることを特徴とする吊下物の制振方法。
  11. 【請求項11】 前記一対の回転アームを、前記吊下
    物の移送方向に対して直角な方向に位置させておき、そ
    の位置から回転を起動させることを特徴とする請求項1
    0に記載の吊下物の制振方法。
  12. 【請求項12】 前記回転体の回転角速度を前記吊下
    物の捩り振動の角速度で除した角速度比の値を増加させ
    ることを特徴とする請求項10又は11に記載の吊下物
    の制振方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜9のいずれかに記載の吊
    下物の制振装置において、前記吊下物が捩り振動を起こ
    した場合には、該吊下物の捩り振動の位相が0°となっ
    た時点で前記回転体の回転を起動し、該回転体の回転を
    所定時間持続させることを特徴とする吊下物の制振方
    法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜9のいずれかに記載の吊
    下物の制振装置において、前記吊下物が捩り振動を起こ
    した場合には、該捩り振動が制振されるまでの間に、該
    捩り振動の位相に応じた前記回転体の回転の起動及び停
    止を少なくとも1回ずつ行うことを特徴とする吊下物の
    制振方法。
  15. 【請求項15】 前記吊下物の捩り振動の周期をTと
    し、該吊下物がある位相に至った時点を基準時刻として
    該基準時刻から起算した前記回転体の回転起動時刻をt
    1とし、前記基準時刻から起算した前記回転体の回転停
    止時刻をt2とし、これらT、t1及びt2とが式
    (A)の関係を満たすように前記回転体の回転を起動及
    び停止させることを特徴とする請求項14に記載の吊下
    物の制振方法。 t1+t2=nT(nは任意の正整数) …………(A)
  16. 【請求項16】 前記基準時刻は、前記吊下物の振幅
    が最大となった時点とし、前記t1をT/4とし、前記
    t2を3T/4としたことを特徴とする請求項15に記
    載の吊下物の制振方法。
  17. 【請求項17】 請求項1〜9のいずれかに記載の吊
    下物の制振装置において、前記吊下物が捩り振動をして
    いる場合には、該吊下物の捩り振動の位相が0°となっ
    た時点で前記回転体の回転を停止させることを特徴とす
    る吊下物の制振方法。
JP2000073041A 1999-12-27 2000-03-15 吊下物の制振装置及び制振方法 Withdrawn JP2001247288A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000073041A JP2001247288A (ja) 1999-12-27 2000-03-15 吊下物の制振装置及び制振方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-369751 1999-12-27
JP36975199 1999-12-27
JP2000073041A JP2001247288A (ja) 1999-12-27 2000-03-15 吊下物の制振装置及び制振方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001247288A true JP2001247288A (ja) 2001-09-11

Family

ID=26582141

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000073041A Withdrawn JP2001247288A (ja) 1999-12-27 2000-03-15 吊下物の制振装置及び制振方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001247288A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010247928A (ja) * 2009-04-14 2010-11-04 Toshiba Corp 吊荷の制振装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010247928A (ja) * 2009-04-14 2010-11-04 Toshiba Corp 吊荷の制振装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0562124B1 (en) Method and apparatus for controlling prevention of deflection of rope of crane
JPH08290892A (ja) 吊荷の振れ止め装置
JP3355616B2 (ja) クレーンの振れ止め制御方法
JP5254115B2 (ja) 吊荷の制振装置
JP2001247288A (ja) 吊下物の制振装置及び制振方法
JP2569446B2 (ja) 吊り荷の振れ止め運転制御方法
JP2971318B2 (ja) 吊荷の振れ止め制御装置
JP3297378B2 (ja) 吊荷の制振装置
JPH07291576A (ja) 吊荷の振れ止め制御装置
JPH10258987A (ja) 吊り荷の振れ止め装置
WO1994020403A1 (en) Device for preventing swinging of a hung load
JP2837314B2 (ja) クレーンの振れ止め制御装置
JPH1017268A (ja) クレーン吊荷のスキュー振れ止め方法および装置
JP2007269450A (ja) 搬送設備とその制御方法
JP2000219482A (ja) クレーンの制御方法及び制御装置
JP2007145519A (ja) ロープトロリー式クレーンの振れ止め制御装置
JP3024966B1 (ja) クレーン装置
JP2000168914A (ja) 速度制御装置
JP3314368B2 (ja) 吊り荷の振れ止め装置
JP3244498B2 (ja) ケーブルクレーン用横行トロリの速度制御方法
JPH085993Y2 (ja) 荷役機械
JP2979824B2 (ja) クレーンの振れ止め制御装置
JP2003312983A (ja) クレーンの吊荷振止め装置及び振止め方法
JP2934562B2 (ja) クレーンの速度制御方法
JP4247697B2 (ja) 振れ止め制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070605