JP2001246495A - 溶接材料および溶接継手の製造方法 - Google Patents

溶接材料および溶接継手の製造方法

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JP2001246495A JP2000402652A JP2000402652A JP2001246495A JP 2001246495 A JP2001246495 A JP 2001246495A JP 2000402652 A JP2000402652 A JP 2000402652A JP 2000402652 A JP2000402652 A JP 2000402652A JP 2001246495 A JP2001246495 A JP 2001246495A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 490〜1180MPa 級高張力鋼の溶接継手を、予
熱を施すことなく低温割れを防止でき、さらに溶接継手
の耐疲労特性に優れ、また溶接金属の強度を適正に調整
できる、溶接材料および溶接継手の製造方法を提案する
とともに、溶接低温割れを防止した溶接継手を提案す
る。 【解決手段】 溶接材料は、C:0.20%以下、Cr: 6.0
〜16.0%、Ni: 6.0〜16.0%を含有し、さらにSi:1.0
%以下、Mn:2.5 %以下を含む組成で、マルテンサイト
変態開始温度(Ms 点)が 170℃未満0℃以上の鉄基合
金を使用する。このような溶接材料を用いて、低合金鋼
材を被溶接材として、溶接し、溶接金属が、C:0.20%
以下、Cr: 3.0〜13.0%、Ni: 3.0〜13.0%を含有し、
マルテンサイト変態開始温度(Ms 点)が 360℃以下50
℃以上、好ましくは170 ℃未満50℃以上の鉄合金組成を
有する溶接継手とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶、橋梁、貯
槽、建設機械等の大型鋼構造物の溶接に用いて好適な溶
接材料に係り、とくに溶接継手部の耐溶接割れ性改善、
耐疲労特性の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】船舶、海洋構造物、ペンストック、橋梁
や貯槽、建設機械等の大型鋼構造物においては、軽量化
の目的から使用鋼材の高強度化が要望されている。これ
ら鋼構造物に使用される鋼材には、主としてCr、Ni、Mo
等の合金元素が10質量%未満、好ましくは 5.0質量%未
満含有された、いわゆる低合金鋼が使用され、その強度
は、引張強さ:290MPa〜1180MPa の範囲を有している。
【0003】このような鋼材の高強度化への要望に応
じ、低合金鋼のなかでも高強度の鋼材を使用すると、溶
接の際に低温割れが多発する場合がある。この高強度鋼
材の溶接継手に発生する低温割れの主因は、溶接中に溶
接金属に溶解した水素であり、この水素は冷却中に拡散
して、とくに溶接熱により硬化した止端部、ルート部な
どの応力集中部に集まり、割れを発生させる。溶接金属
に溶解した拡散性水素が多いほど、また応力が高いほど
低温割れが発生しやすく、拡散性水素量が多いほど低い
応力で低温割れが発生することはよく知られている。低
温割れ発生の限界曲線を模式的に図2に示す。
【0004】このような溶接における低温割れの発生を
回避するために、従来から、 溶接時に予熱を行うこと、 溶接直後に適正な後熱を行うこと、 低水素系の溶接材料を使用すること、などが行われて
おり、さらには、被溶接材である鋼材についても、 C等を低減して低炭素当量として溶接硬化性を低減し
た鋼材、 PCM値を低減して低温割れ感受性を低減した鋼材等
が、採用されている。
【0005】しかしながら、溶接に際し予熱、後熱を行
うことは大変な作業でありかつ多大な時間を要し、溶接
作業コストの高騰や、溶接作業能率の低下を招く。ま
た、780MPa級以上の高張力鋼では、強度確保のため合金
元素を多量添加しており、低水素系溶接材料を用いても
なお、溶接低温割れ防止の観点から、溶接時の予熱を必
須としている。
【0006】このような問題に対し、例えば、特開平9
−253860号公報には、全溶着金属のMs 点が 400℃以下
で、Ni: 7.5〜12.0重量%およびH:2重量ppm 以下と
したソリッドワイヤを使用し、ワイヤ供給速度を5〜40
g/min として、 760〜980 N/mm2 級の高張力鋼をTIG
溶接する溶接方法が提案されている。この溶接方法によ
れば、50mmを超える極厚の 760〜980 N/mm2 級の高張力
鋼においても、室温における溶接割れの発生を防止でき
るとしている。
【0007】また、特開平11-138290 号公報には、溶接
により生成する溶接金属を、溶接後の冷却過程でマルテ
ンサイト変態を起こさせ、室温において該マルテンサイ
ト変態の開始時よりも膨張している状態とする溶接方法
が開示されている。その際、溶接材料として、マルテン
サイト変態開始温度が 250℃未満 170℃以上の鉄合金を
使用すると記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
9−253860号公報に記載された技術では、TIG溶接に
限定され、それ以外の拡散性水素が2重量ppm 以上と多
くなる溶接方法では、依然として、溶接割れを防止する
ために予熱を必要とするという問題があった。また、特
開平11-138290 号公報に記載された技術では、溶接金属
の強度が被溶接材の強度にくらべ高くなり、いわゆるオ
ーバーマッチングの問題がある。
【0009】本発明は、上記した従来技術の問題を解決
し、 490〜1180MPa 級高張力鋼の溶接継手を、予熱を施
すことなく低温割れを防止でき、さらに溶接継手の疲労
強度を高め、また溶接金属の強度を適正に調整できる、
溶接材料および溶接継手の製造方法を提案するととも
に、溶接低温割れを防止した溶接継手を提案することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を達成するため、 490〜1180MPa 級高張力鋼を、各
種溶接材料を用いて溶接し、低温割れ、溶接継手部の疲
労強度、溶接金属の強度におよぼす要因および低温割れ
の防止方法について、鋭意考究した。その結果、低温割
れの発生を防止し、溶接継手の疲労強度を向上させるた
めには、溶接金属を、溶接後の冷却過程でマルテンサイ
ト変態を生じ、室温まで冷却したのちにマルテンサイト
変態開始時にくらべ膨張状態となる、温度−伸び曲線
(熱膨張曲線)を有するような組成とすることが肝要で
あることに想到した。
【0011】そして、本発明者らは、溶接金属が、溶接
の冷却過程でマルテンサイト変態を生じ、しかも常温
で、マルテンサイト変態開始時よりも膨張状態となるこ
とにより、冷却過程で溶接金属に発生した引張残留応力
を緩和すること、あるいは引張残留応力に代えて圧縮残
留応力とすることができることを見い出した。そして、
これにより、溶接熱で硬化する止端部やルート部へ引張
応力が集中することを防止して、溶接継手部の疲労強度
を向上させ、さらに、拡散性水素が止端部やルート部へ
拡散、集中することを防止して、予熱を行うことなく、
低温割れを阻止できるという知見を得た。
【0012】また、本発明者らは、耐割れ性向上に最適
な溶接金属の変態特性を検討した結果、温度−伸び曲線
(熱膨張曲線)において、マルテンサイト変態により伸
びが膨張に転ずる温度、すなわち変態開始直後における
伸びの最低点の温度から50℃までの温度範囲の線膨張量
が長さ1mm当たり2×10-3〜8×10-3mmの範囲となった
際に溶接割れ率がゼロになることを見いだした。
【0013】また、さらに、本発明者らは、溶接金属に
オーステナイトを適量残留させることにより、上記した
溶接金属の特性を維持しつつ、溶接金属の強度を適正範
囲に調整することができ、溶接金属の強度が高くなるた
めに生じるオーバーマッチング度合いが大きくなること
を防止できることを見いだした。上記したような組成の
溶接金属とするためには、溶接材料以外に、被溶接材か
らの希釈を考慮する必要があり、被溶接材として低合金
鋼の組成に応じ、溶接材料の組成、および溶接入熱等の
溶接条件を調整して、溶接することが肝要となる。溶接
材料としては、マルテンサイト変態開始温度(Ms 点)
が 170℃未満0℃以上となる組成とすることにより、通
常の鋼構造物の適用溶接条件の範囲内では、十分である
ことを見いだした。
【0014】本発明は、上記した知見に基づいて、さら
に検討を加え完成されたものである。すなわち、本発明
は、質量%で、C:0.20%以下、Cr: 6.0〜16.0%、N
i:6.0 〜16.0%を含有し、マルテンサイト変態開始温
度(Ms 点)が 170℃未満0℃以上の組成を有する鉄基
合金であることを特徴とする溶接材料であり、また、本
発明では、前記組成が、C、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nbの
含有量を次(1)式 0≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<170 ……(1) (ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有
量(質量%)) を満足するように調整されることが好ましい。また、本
発明では、前記各組成が、質量%で、C:0.20%以下、
Cr: 6.0〜16.0%、Ni: 6.0〜16.0%を含有し、さらに
Si: 1.0%以下、Mn: 2.5%以下を含み、あるいはさら
にMo: 4.0%以下、Nb: 1.0%以下の1種または2種を
含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成である
ことが好ましい。また、本発明では、前記組成が、さら
に伸び−温度曲線においてマルテンサイト変態により変
態開始直後に伸びが膨張に転ずる温度から50℃までの温
度範囲の線膨張量が、長さ1mm当たり2×10-3〜8×10
-3mmとなる組成であることが好ましい。
【0015】第2の本発明は、溶接材料を用いて被溶接
材同士を溶接し溶接継手とする溶接継手の製造方法にお
いて、前記被溶接材を低合金鋼材とし、前記溶接により
形成される溶接金属が、C:0.20質量%以下、Cr: 3.0
〜13.0質量%、Ni: 3.0〜13.0質量%を含有する鉄合金
組成で、かつ 360℃以下50℃以上のマルテンサイト変態
開始温度(Ms 点)を有するように、前記低合金鋼材の
組成に応じ、前記溶接材料の組成、溶接条件を調整する
ことを特徴とする溶接継手の製造方法である。また、第
2の本発明では、前記溶接金属の組成が、次(2)式 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<360 …(2) (ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有
量(質量%)) を満足するように調整することが好ましい。また、第2
の本発明では、前記溶接金属のマルテンサイト変態開始
温度(Ms 点)が、 170℃未満50℃以上とするのが好ま
しく、また、第2の本発明では、前記溶接金属が、C、
Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nbの含有量を次(3)式 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<170 ……(3) (ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有
量(質量%)) を満足するように調整することが好ましい。また、第2
の本発明では、前記溶接金属が、溶接後の冷却過程でマ
ルテンサイト変態を起こし、室温において該マルテンサ
イト変態の開始時より膨張した状態となることが好まし
い。また、第2の本発明では、前記溶接が予熱なしで行
うのが好ましく、また、前記溶接を多層盛溶接とするこ
とが好ましく、また前記多層盛溶接の初層溶接および/
または最終溶接により形成される溶接金属の組成が、前
記(2)式、または(3)式を満足するのが好ましい。
また、第2の本発明では、前記各溶接金属の線膨張量
が、各溶接金属の温度−伸び曲線においてマルテンサイ
ト変態により変態開始直後に伸びが膨張に転ずる温度か
ら50℃までの温度範囲で、長さ1mm当たり2×10-3〜8
×10-3mmであることが好ましい。
【0016】第3の本発明は、溶接材料を用いて被溶接
材同士を溶接した溶接継手であって、前記被溶接材を低
合金鋼材とし、前記溶接により形成された溶接金属が、
C:0.20質量%以下、Cr: 3.0〜13.0質量%、Ni: 3.0
〜13.0質量%を含有する鉄合金組成で、かつ 360℃以下
50℃以上のマルテンサイト変態開始温度(Ms 点)を有
し、さらに、該溶接金属が室温においてマルテンサイト
変態の開始時よりも膨張した状態の温度−伸び曲線を示
す組成とすることを特徴とする溶接継手であり、また、
第3の本発明では、前記溶接金属が、C:0.20質量%以
下、Cr: 3.0〜13.0質量%、Ni: 3.0〜13.0質量%を含
有し、さらにSi: 1.0質量%以下、Mn:2.5質量%以下
を含み、あるいはさらにMo: 4.0質量%以下、Nb: 1.0
質量%以下の1種または2種を含み残部Feおよび不可避
的不純物からなる鉄合金組成を有することが好ましい。
また、第3の本発明では、前記溶接金属の組成が、C、
Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nbの含有量を前記(2)式を満足
するように調節することが好ましい。また、第3の本発
明では、前記溶接金属のマルテンサイト変態開始温度
(Ms 点)が、 170℃未満50℃以上とするのが好まし
い。また、第3の本発明では、前記溶接金属が、C、S
i、Mn、Cr、Ni、Mo、Nbの含有量を前記(3)式を満足
するように調整することが好ましい。また、第3の本発
明では、前記各溶接金属の線膨張量が、各溶接金属の温
度−伸び曲線においてマルテンサイト変態により変態開
始直後に伸びが膨張に転ずる温度から50℃までの温度範
囲で、長さ1mm当たり2×10-3〜8×10-3mmであること
が好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の溶接材料は、マルテンサ
イト変態開始温度(Ms 点)が 170℃未満0℃以上の組
成を有する鉄基合金からなる。Ms 点が 170℃以上で
は、溶接金属のマルテンサイト変態による膨張量が多く
なるが、溶接金属の強度が被溶接材である低合金鋼材の
強度にくらべ高くなりすぎる。一方、Ms 点が0℃未満
では、冷却過程における溶接金属のマルテンサイト変態
による膨張効果が十分でなく、耐低温割れ性の改善、疲
労強度の増加が少ない。このようなことから、溶接材料
を、マルテンサイト変態開始温度(Ms 点)が 170℃未
満0℃以上の組成を有する鉄基合金に限定した。これに
より、耐低温割れ性が改善し、溶接継手の疲労強度が増
加する。
【0018】また、溶接材料のMs 点を 170℃未満0℃
以上とすることにより、室温の溶接金属中に残留オース
テナイトが適量存在するようになり、合金元素の多量添
加による強度の異常増加を抑制でき、溶接金属を適正な
強度とすることができる。これにより、溶接金属への応
力集中を防止できる。つぎに、Ms 点が 170℃未満0℃
以上となる、本発明の溶接材料組成について説明する。
なお、本発明における溶接材料の化学成分、Ms 点は、
JIS Z 3111の規定に準拠して作製した溶着金属について
の値とする。
【0019】本発明の溶接材料は、C:0.20質量%以
下、Cr: 6.0〜16.0質量%、Ni: 6.0〜16.0質量%を含
有する組成を有する鉄基合金で、好ましくは、さらにS
i: 1.0質量%以下、Mn: 2.5質量%以下を含み、ある
いはさらにMo: 4.0質量%以下、Nb: 1.0質量%以下の
うちの1種または2種を含み、残部Feおよび不可避的不
純物からなる組成を有する。(以下、質量%は%と記
す。) C:0.20%以下 Cは、マルテンサイトの硬さを増加し、溶接硬化性を増
大し低温割れを助長する元素であり、できるだけ低減す
るのが望ましく,溶接割れの観点から0.20%以下、好ま
しくは0.10%以下とする。
【0020】Cr: 6.0〜16.0% Crは、マルテンサイト変態開始温度を低温とする元素で
あり、本発明の溶接材料としては重要な元素の一つであ
り、 6.0%以上の含有を必要とする。Crの含有量が 6.0
%未満では、マルテンサイト変態開始温度を 170℃未満
とするために高価なNiの多量添加、および加工性を劣化
させる元素の多量添加を必要とし、経済性、製造性の観
点から問題がある。一方、Crの含有量が16.0%を超える
と、溶接金属にフェライトが現出し、靱性の点で好まし
くない。このようなことから溶接材料のCr含有量を 6.0
〜16.0%とする。
【0021】Ni: 6.0〜16.0% Niは、マルテンサイトを安定化する元素てあり、マルテ
ンサイト変態開始温度(Ms 点)を 170℃未満と低温と
するために重要な元素である。このようなことから、本
発明では、Niは 6.0%以上含有させる必要がある。一
方、16.0%を超える多量の含有量は、溶接材料を高価な
ものとし経済的に不利となる。
【0022】Si: 1.0%以下、 Siは、マルテンサイト変態開始温度(Ms 点)を低下さ
せる作用を有し、Ms点低下のためには多く含有させる
ほうが好ましい。しかし、 1.0%を超えて含有すると、
加工性が低下し、溶接材料の製造性が低下する。このた
め、Siは 1.0%以下とするのが好ましい。
【0023】Mn: 2.5%以下 Mnは、脱酸剤として作用するが、 2.5%を超えて含有す
ると、加工性が低下し、溶接材料の製造性が低下する。
このため、Mnは 2.5%以下に調整するのが好ましい。本
発明では、さらにMo: 4.0%以下、Nb: 1.0%以下のう
ちの1種または2種を含有できる。
【0024】Moは、溶接金属の耐食性を向上させる目的
で、添加することができるが、 4.0%を超えて含有する
と、加工性が低下し、溶接材料の製造性が低下する。こ
のため、Moは 4.0%以下とするのが好ましい。Nbは、マ
ルテンサイト変態開始温度(Ms 点)を低下させる作用
を有し、Ms点低下のためには多く含有させるほうが好
ましい。しかし、 1.0%を超えて含有すると、加工性が
低下し、溶接材料の製造性が低下する。このため、Nbは
1.0%以下に限定するのが好ましい。
【0025】上記した以外は残部がFeおよび不可避的不
純物である。不可避的不純物としては、N: 0.050%以
下、O: 0.080%以下、P: 0.010%以下、S: 0.010
%以下が許容される。なお、溶接材料には耐食性の観点
からCuめっきを施してもよいのはいうまでもない。本発
明の溶接材料は、上記した組成範囲で、かつC、Si、M
n、Cr、Ni、Mo、Nbを含有量を次(1)式 0≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<170 ……(1) (ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有
量(質量%))を満足するように調整するのが好まし
い。なお、本発明においては、(1)式における各元素
のうち、含有しない元素がある場合には、その元素量を
0として(1)式を計算するものとする。(以下、
(2)式、(3)式の場合にも同様とする。)上記した
(1)式を満足させるように、溶接材料の組成を調整す
ることにより、耐低温割れ性を向上させ、さらに溶接継
手の疲労強度を増加させ、溶接金属の異常な強度増加を
抑制することができる。(1)式を満足しない場合にお
いても耐溶接割れ性および疲労強度を確保できる場合が
あるが、溶接金属の強度が大きく増加することによるオ
ーバーマッチングが生じる。
【0026】また、本発明の溶接材料は、温度−伸び曲
線において、マルテンサイト変態により伸びが膨張に転
ずる温度、すなわち変態開始直後に伸びが最低となる温
度から50℃までの温度範囲で線膨張量が、長さ1mm当た
り2×10-3〜8×10-3mmとなる組成を有するのが好まし
い。なお、本発明における溶接材料の線膨張量は、JIS
Z 3111の規定に準拠して作製した溶接金属についての値
とする。
【0027】上記した温度範囲での線膨張量が長さ1mm
当たり2×10-3mm未満あるいは、8×10-3mmを超える
と、溶接部に引張残留応力が残留し、割れが発生しやす
くなる。つぎに、本発明の溶接継手は、上記した組成の
溶接材料を用い、被溶接材同士を溶接することにより作
製される。
【0028】本発明の溶接継手においては、被溶接材と
して、低合金鋼を用いる。低合金鋼は、20mm厚以上の 4
90〜980MPa級高張力鋼材が好適であり、なかでも、75mm
厚以上の極厚490MPa級高張力鋼材および 590〜1180MPa
級高張力鋼材が好適である。ただし本発明に用いられる
これら低合金鋼材の組成については、とくに限定する必
要はなく、通常公知の鋼材いずれもが適用可能である。
【0029】本発明では、被溶接材に応じて、溶接材料
の組成、および溶接方法、溶接条件を調整して、適正組
成の溶接金属を形成する。本発明の溶接継手の製造にあ
たっては、被覆アーク溶接、(メタル)ガスアーク溶
接、サブマージアーク溶接、FCWなど各種溶接法がい
ずれも好適に適用できる。また、継手形状は、荷重非伝
達型十字溶接継手、角回し溶接などの隅肉溶接継手、突
き合わせ溶接継手など、船舶、海洋構造物、ペンストッ
ク、橋梁、貯槽、建設機械等の大型構造物に用いられる
継手形状がいずれも好適である。
【0030】つぎに、本発明の溶接継手における溶接金
属について説明する。本発明の溶接継手における溶接金
属は、温度−伸び曲線、すなわち熱膨張曲線が室温にお
いてマルテンサイト変態の開始時よりも膨張した状態の
温度−伸び曲線を示す。本発明の溶接継手における溶接
金属の温度−伸び曲線の一例を図1に示す。本発明の溶
接金属(実線)は、冷却過程においてマルテンサイト変
態を生じ、そのマルテンサイト変態による膨張で、室温
において、マルテンサイト変態開始時より膨張した状態
となるものである。このような組成の溶接金属とするこ
とにより、溶接継手には、冷却時の収縮による引張応力
を緩和するか、あるいは圧縮応力が残留することにな
る。一方、本発明の範囲を外れる溶接金属(点線)で
は、マルテンサイト変態開始温度Ms 点が高く、マルテ
ンサイト変態による膨張が少ないため、室温において
は、変態後の冷却で収縮した状態となる。なお、本発明
における溶接金属の変態挙動は、通常の熱膨張による伸
びの温度変化を連続的に測定して得られる、温度−伸び
曲線(熱膨張曲線)を作成して求めるものとする。
【0031】このような状態となる溶接金属とするため
には、被溶接材、溶接材料および溶接条件により得られ
る溶接金属の組成を、マルテンサイト変態開始温度(M
s 点)が 360℃以下50℃以上となる組成とする必要があ
る。Ms 点が 360℃を超えると、マルテンサイト変態に
よる膨張量が少なくなるとともに、変態膨張の最大点が
室温より高くなりすぎるため、変態後の冷却により再度
熱収縮が生じ、これにより引張残留応力が発生するよう
になり、耐低温割れ性が低下する。また、Ms点が50℃
未満では、冷却過程におけるマルテンサイト変態による
膨張効果が十分でなく、耐低温割れ性が改善が少ない。
このようなことから、溶接金属の組成を、溶接金属のマ
ルテンサイト変態開始温度(Ms 点)が 360℃以下50℃
以上となる組成に限定した。これにより、耐低温割れ性
が改善できる。なお、耐低温割れ性をさらに改善するた
めには、溶接金属のMs 点は 170℃未満50℃以上とする
のがより好ましい。
【0032】溶接金属のMs 点が50℃以上360 ℃以下と
なっても、温度−伸び曲線においてマルテンサイト変態
により変態開始直後に伸びが膨張に転ずる温度(図1:
T点)から50℃までの温度範囲での、溶接金属の線膨張
量が、長さ1mm当たり2×10 -3mm未満では、溶接熱影響
部に引張残留応力がかかるため低温割れが生じる。一
方、上記したT点から50℃までの温度範囲で、溶接金属
の線膨張量が、長さ1mm当たり8×10-3mm超では、溶接
金属のルート部に引張残留応力が発生し、溶接金属にお
いて割れが生じる。このようなことから、溶接金属の温
度−伸び曲線においてマルテンサイト変態により変態開
始直後に伸びが膨張に転ずる温度(T点)から50℃まで
の温度範囲での溶接金属の線膨張量が、長さ1mm当たり
2×10-3〜8×10-3mmの範囲とすることが好ましい。
【0033】そして、このような範囲のマルテンサイト
変態開始温度(Ms 点)を有する溶接金属となるには、
溶接金属の組成を、C:0.20質量%以下、Cr: 3.0〜1
3.0質量%、Ni: 3.0〜13.0質量%を含有する鉄合金組
成で、好ましくは、さらにSi:1.0質量%以下、Mn: 2.
5質量%以下を含み、あるいはさらにMo: 4.0質量%以
下、Nb: 1.0質量%以下のうちの1種または2種を含み
残部Feおよび不可避的不純物からなる鉄合金組成とす
る。(以下、質量%は%と記す。) Cは、マルテンサイトの硬さを増加し、溶接硬化性を増
大し低温割れを助長する元素であり、できるだけ低減す
るのが望ましく、溶接割れの観点から0.20%以下、好ま
しくは0.12%以下とする。
【0034】Crは、マルテンサイト変態開始温度を低温
とする元素であり、本発明の溶接金属としては重要な元
素の一つであり、 3.0%以上の含有を必要とする。Crの
含有量が 3.0%未満では、マルテンサイト変態開始温度
を 360℃以下とするには、溶接材料に高価なNiの多量添
加、および溶接材料の加工性を劣化させる元素の多量添
加を必要とし、経済性、製造性の観点から問題がある。
一方、Crの含有量が13.0%を超えると、溶接金属にフェ
ライトが現出し、靱性の点で好ましくない。このような
ことから溶接金属のCr含有量を 3.0〜13.0%とする。
【0035】Niは、マルテンサイトを安定化する元素て
あり、マルテンサイト変態開始温度(Ms 点)を 360℃
以下と低温とするために重要な元素である。このような
ことから、本発明では、Niは 3.0%以上含有させる必要
がある。一方、13.0%を超える多量の含有量は、溶接材
料を高価なものとし経済的に不利となる。さらに、Si
は、マルテンサイト変態開始温度(Ms 点)を低下させ
る作用を有し、Ms 点低下のためには多く含有させるほ
うが好ましい。しかし、Siは脱酸剤として溶接材料から
主として供給され、溶接金属にSiを 1.0%を超えて含有
させるためには、溶接材料の製造における加工性が低下
する。このため、Siは 1.0%以下に調整するのが好まし
い。
【0036】Mnは、脱酸剤として溶接材料から供給され
るが、 2.5%を超えて含有させるためには、溶接材料の
製造時における加工性が低下する。このため、Mnは 2.5
%以下に調整するのが好ましい。本発明では、さらにM
o、Nbのうちの1種または2種を含有できる。Moは、溶
接金属の耐食性を向上させる目的として、添加すること
ができるが、4.0%を超えて含有させるためには、溶接
材料の加工性が低下する。このため、Moは 4.0%以下と
するのが好ましい。
【0037】Nbは、マルテンサイト変態開始温度(Ms
点)を低下させる作用を有し、Ms点低下のためには多
く含有させるほうが好ましい。しかし、 1.0%を超えて
含有させるためには、溶接材料の製造における加工性が
低下する。このため、Nbは 1.0%以下に限定するのが好
ましい。上記した以外の元素については、とくに限定さ
れないが、V、Cu、REM をそれぞれ 0.5%以下含有する
ことは許容される。なお、上記した元素以外に被溶接
材、溶接材料に含有される元素が不可避的に含有されて
もなんら問題はない。
【0038】本発明では、上記した組成範囲で、かつ
C、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nbの含有量を次(2)式 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<360 ……(2) (ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有
量(質量%))を満足するように調整するのがより好ま
しい。なお、本発明においては、(2)式における各元
素のうち、含有しない元素がある場合には、その元素量
を0として(2)式を計算するものとする。
【0039】また、さらに耐低温割れ性を改善する観点
からは、次(3)式 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<170 ……(3) (ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有
量(質量%))を満足するのがより好ましい。
【0040】上記した(2)式あるいは(3)式を満足
させるように、溶接金属の組成を調整することにより、
耐低温割れ性が向上する。(2)式あるいは(3)式を
満足しない場合には、溶接金属のマルテンサイト変態に
よる膨張が少なく、溶接継手に生じる引張残留応力の緩
和が少なく、あるいは圧縮残留応力の発生が見られず、
耐低温割れ性が劣る。
【0041】本発明では、低合金鋼材を被溶接材とし
て、溶接材料を用いて被溶接材同士を溶接し溶接継手と
するが、上記した組成、特性の溶接金属が形成されるよ
うに低合金鋼材の組成に応じ、溶接材料の組成、溶接入
熱等の溶接条件を調整する。つぎに、各種継手形状の溶
接継手の製造方法について、図面を参照して説明する。
図3には、端部を所定の開先形状(ここではX開先)に
加工した被溶接材11の端部同士を対向させ、この開先内
に多くの層を重ねるように積層する多層盛溶接により溶
接継手を作製した例を示す。被溶接材の板厚に応じて、
積層数は決定されることはいうまでもない。図3の場合
には、極厚材であるため、板厚中央を境にして両側から
積層するのが好ましく、両面に溶接最終層10が形成され
る。なお、一方向から積層してもよいことはいうまでも
ない。
【0042】本発明では、各層溶接で形成される溶接金
属をそれぞれ、上記した 360℃以下50℃以上、好ましく
は 170℃未満50℃以上のマルテンサイト変態開始温度
(Ms点)を有する組成の溶接金属になるように調整す
るのが好ましい。これにより、溶接金属に生じる引張残
留応力が変態膨張により緩和されるか、あるいは圧縮応
力が残留するようになり、耐低温割れ性が改善される。
この際、先に置かれた溶接金属がマルテンサイト変態開
始温度(Ms 点)以上のうちに次の層を重ねることが好
ましい。
【0043】なお、多くの多層盛溶接では、図3(b)
に示すように、少なくとも、初層溶接あるいはさらに最
終層溶接により形成される溶接金属のみ上記した組成の
溶接金属になるように調整してもよい。これにより、予
熱、後熱を必要としなくても、低温割れの発生は防止さ
れる。初層あるいは最終層以外の溶接金属を、上記した
組成、特性の溶接金属とすることは必ずしも必要でな
い。
【0044】また、本発明では,各層溶接で形成する溶
接金属のうち、少なくとも初層または最終層をマルテン
サイト変態により変態開始直後に伸びが膨張に転ずる温
度から50℃までの温度範囲で、溶接金属の線膨張量が長
さ1mm2×10-3〜8×10-3mmの範囲とすることが望まし
い。この溶接金属の線膨張量を、上記した範囲内とする
ことにより耐溶接割れ感受性が改善される。
【0045】また、本発明は、図4に示すような、十字
溶接継手を作製する場合も有効である。この場合も、溶
接金属が上記した本発明範囲の組成となるように、溶接
材料、溶接条件を調整するのが好ましい。これにより、
低温割れの発生は防止できる。また、本発明は、隅肉溶
接、円周溶接、補修溶接である肉盛り溶接等の場合にも
適用できることはいうまでもない。
【0046】つぎに、被圧延材と溶接材料の好適な組合
せを例示する。まず、被溶接材として、 C:0.05〜0.20%、Si:0.05〜0.30%、Mn:0.50〜1.50
%、Cr:3%以下、Ni:3%以下、Mo:1%以下を含
み、さらにCu: 0.5%以下、Nb: 0.020%以下、V:0.
02%以下、Ti:0.02%以下、P: 0.020%以下のうちの
1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不
純物からなる780MPa級高張力鋼材を用いる場合は、溶接
材料として、被覆アーク溶接の場合には、JIS Z 3111の
規定による溶着金属の組成が、C:0.20%以下、Si:1.
00%以下、Mn: 2.0%以下、Cr:3〜13%、Ni:3〜13
%を含み、さらにMo: 1.0%以下、Nb:0.10%以下、T
i:0.05%以下、V:0.10%以下、Cu: 0.5%以下のう
ちの1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避
的不純物からなる溶接材料を使用し、5〜50kJ/cm の入
熱で溶接するのが好ましく、ガスアーク溶接の場合に
は、5〜100kJ/cmの入熱で溶接するのが好ましい。
【0047】
【実施例】(実施例1)表1に示す組成の低合金鋼材
(鋼板)を被溶接材として、表2に示す組成(JIS Z 31
11に準拠して測定した溶着金属の組成)を溶接材料を用
いて、表3に示す溶接条件で、JIS Z 3158の規定に準拠
した試験片を用いて溶接割れ性を調査した。溶接割れ性
の試験条件は、温度:30℃、相対湿度:80%、温
度:20℃、相対湿度:60%の雰囲気中で行い、予熱は実
施しなかった。試験繰り返し数を3とし、溶接部に発生
した割れをJIS Z 3158の規定に準拠して割れの有無、割
れ率を測定した。
【0048】それらの結果を表4に示す。なお、形成さ
れた溶着金属から熱膨張試験片(3 φ×12mm)を採取し
て、温度−伸び曲線を求め、マルテンサイト変態により
変態膨張直後に伸びが膨張に転ずる温度から50℃までの
長さ1mm当たりの線膨張量を測定し、表2に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】本発明例では、予熱なしでも低温割れの発
生は認められなかった。一方、比較例では、厳しい試験
条件であるの場合には割れが発生した。 (実施例2)表1に組成を示す低合金鋼材(鋼板)を被
溶接材として、表2に示す組成(JIS Z 3111に準拠して
測定した溶着金属の組成)の溶接材料の一部を用いて、
表5に示す溶接条件(予熱、後熱なし)で、図3、図4
に示す、突合わせ溶接継手、十字溶接継手(継手長さ
0.5m)を製作した。
【0054】これらの溶接継手について、溶接部の割れ
発生状況を表面観察により調査した。また、各溶接継手
について、母材部硬さ、および溶接金属部硬さ(溶接金
属断面の平均硬さ)を測定した。なお、溶接金属中の残
留オーステナイト量をX線回折法により測定した。さら
に、これら溶接継手から、疲労試験片を採取し、室温大
気中で一方向片振り引張疲労試験を実施し、 200万回の
疲労強度を求めた。
【0055】また、溶接継手部の溶接金属から熱膨張試
験片を採取し、温度−伸び曲線を測定し、溶接後の冷却
過程でのマルテンサイト変態挙動を調査し、室温におけ
る状態が、マルテンサイト変態開始より膨張した状態か
どうかを評価した。マルテンサイト変態開始時より膨張
した状態の場合を○、収縮した状態の場合を×として評
価した。
【0056】それらの結果を表6に示す。
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】本発明例は、割れの発生もなく、また疲労
強度も高く、耐溶接低温割れ性、耐疲労特性に優れてい
ることがわかる。また、本発明例では、溶接金属の室温
における状態が、マルテンサイト変態開始時より膨張し
た状態となっている。さらに、本発明例では、溶接金属
の残留オーステナイト量が多く、そのため、溶接金属の
硬さが低く、母材強度との強度差は少なくなって、溶接
金属強度の著しい増加が抑制されている。これに対し
て、本発明の範囲を外れる比較例では、溶接割れの発生
はなく、また疲労強度も高く、耐溶接低温割れ性、耐疲
労特性は本発明例と同等であるが、残留オーステナイト
量が少なく、溶接金属の硬さが高く、母材強度との強度
差は大きくなり、オーバーマッチングの度合いが大きく
なっている。 (実施例3)表7に示す組成の低合金鋼材(鋼板)を被
溶接材として、表8に示す組成(JIS Z 3111に準拠して
測定した溶着金属の組成)を溶接材料を用いて、表9に
示す溶接条件で、JIS Z 3158の規定に準拠した試験片を
用いて溶接割れ性を調査した。
【0060】試験条件は、温度:30℃、相対湿度:80
%、温度:20℃、相対湿度:60%の2条件の雰囲気中
で行い、予熱は実施しなかった。ついで、形成された溶
接金属の組成分析をビード中央部付近で実施した。試験
繰り返し数を3とし、溶接部に発生した割れをJIS Z 31
58の規定に準拠して割れの有無、割れ率を測定した。さ
らに、形成された溶接金属から熱膨張試験片を採取し、
温度−伸び曲線を求め、マルテンサイト変態により変態
開始直後に伸びが膨張に転ずる温度から50℃までの長さ
1mm当たりの線膨張量を測定した。
【0061】それらの結果を表10に示す。
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】
【0065】
【表10】
【0066】本発明例では、試験条件の場合には予熱
なしでも低温割れの発生は認められなかった。一方、本
発明範囲を外れる比較例では、試験条件の場合にも割
れの発生が認められた。(2)式を満足する本発明例
は、条件の厳しい試験条件でも低温割れの発生は認め
られなかった。また、本発明例である溶接継手No.3-18
〜No.3-21 は、線膨張量が5.8 ×10-3〜7.1 ×10-3mm/
長さ1mmと大きく、耐溶接割れ性の顕著な改善と一致す
る。 (実施例4)表7に組成を示す低合金鋼材(鋼板)の一
部を被溶接材として、表8に組成(JIS Z 3111に準拠し
て測定した溶着金属の組成)を示す溶接材料の一部を用
いて、表11に示す溶接条件(予熱、後熱なし)で、図
3、図4に示す、突合わせ溶接継手、十字溶接継手(継
手長さ 0.5m)を製作した。これらの溶接継手につい
て、溶接部の割れ発生状況を表面観察により調査した。
なお、一部の継手については、初層と最終層を本発明の
範囲の溶接金属とした。その結果を表12に示す。
【0067】
【表11】
【0068】
【表12】
【0069】本発明例では、割れの発生が認められなか
った。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、 490〜1180MPa 級高張
力鋼材の溶接においても、予熱を行うことなく、低温割
れを防止でき、溶接作業の能率向上に寄与でき、産業上
格段の効果を奏する。また、耐疲労特性に優れ、さらに
溶接金属強度の著しい増加を抑制できる溶接金属への応
力集中を回避でき、鋼構造物の施工が容易になるという
効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接金属の変態特性の1例を示す温度−伸び曲
線を模式的に示す説明図である。
【図2】溶接部の低温割れ発生限界を模式的に示す説明
図である。
【図3】本発明の実施の形態である突き合わせ溶接継手
の1例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態である十字溶接継手の1例
を示す説明図である。
【符号の説明】
5 溶接金属 10 溶接最終層 11 被溶接材 21 主板 22 副板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 高宏 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 安田 功一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 天野 虔一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 平岡 和雄 茨城県つくば市千現一丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内 (72)発明者 志賀 千晃 茨城県つくば市千現一丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内 (72)発明者 太田 昭彦 茨城県つくば市千現一丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、 C:0.20%以下、 Cr: 6.0〜16.0%、 Ni: 6.0〜16.0% を含有し、マルテンサイト変態開始温度(Ms 点)が 1
    70℃未満0℃以上の組成を有する鉄基合金であることを
    特徴とする溶接材料。
  2. 【請求項2】 前記組成が、C、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、
    Nbの含有量を下記(1)式を満足するように調整された
    ことを特徴とする請求項1に記載の溶接材料。 記 0≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<170 ……(1) ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有量
    (質量%)
  3. 【請求項3】 前記組成が、質量%で、 C:0.20%以下、 Cr: 6.0〜16.0%、 Ni: 6.0〜16.0% を含有し、さらに Si: 1.0%以下、 Mn: 2.5%以下 を含み、あるいはさらにMo: 4.0%以下、Nb: 1.0%以
    下の1種または2種を含み、残部Feおよび不可避的不純
    物からなる組成であることを特徴とする請求項1または
    2に記載の溶接材料。
  4. 【請求項4】 前記組成が、温度−伸び曲線においてマ
    ルテンサイト変態により変態開始直後に伸びが膨張に転
    ずる温度から50℃までの温度範囲での線膨張量が、長さ
    1mm当たり2×10-3〜8×10-3mmとなる組成であること
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の溶接
    材料。
  5. 【請求項5】 溶接材料を用いて被溶接材同士を溶接し
    溶接継手とする溶接継手の製造方法において、前記被溶
    接材を低合金鋼材とし、前記溶接により形成される溶接
    金属が、C:0.20質量%以下、Cr: 3.0〜13.0質量%、
    Ni: 3.0〜13.0質量%を含有する鉄合金組成で、かつ 3
    60℃以下50℃以上のマルテンサイト変態開始温度(Ms
    点)を有するように、前記低合金鋼材の組成に応じ、前
    記溶接材料の組成、溶接条件を調整することを特徴とす
    る溶接継手の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記溶接金属の組成が、下記(2)式を
    満足することを特徴とする請求項5に記載の溶接継手の
    製造方法。 記 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<360 ……(2) ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有量
    (質量%)
  7. 【請求項7】 前記溶接金属のマルテンサイト変態開始
    温度(Ms 点)が、170℃未満50℃以上であることを特
    徴とする請求項5に記載の溶接継手の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記溶接金属が、C、Si、Mn、Cr、Ni、
    Mo、Nbの含有量を下記(3)式を満足するように調整さ
    れたことを特徴とする請求項7に記載の溶接継手の製造
    方法。 記 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<170 ……(3) ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有量
    (質量%)
  9. 【請求項9】 前記溶接金属が、溶接後の冷却過程でマ
    ルテンサイト変態を起こし、室温において該マルテンサ
    イト変態の開始時より膨張した状態となることを特徴と
    する請求項5ないし8のいずれかに記載の溶接継手の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 前記溶接金属が、温度−伸び曲線にお
    いてマルテンサイト変態により変態開始直後に伸びが膨
    張に転ずる温度から50℃までの温度範囲で、長さ1mm当
    たり2×10-3〜8×10-3mmの線膨張量を有することを特
    徴とする請求項5ないし9のいずれかに記載の溶接継手
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記溶接が多層盛溶接であることを特
    徴とする請求項5ないし10のいずれかに記載の溶接継手
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記多層盛溶接の初層溶接あるいはさ
    らに最終溶接により形成される溶接金属の組成が、下記
    (2)式、または(3)式を満足することを特徴とする
    請求項11に記載の溶接継手の製造方法。 記 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<170 ……(3) 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<360 ……(2) ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有量
    (質量%)
  13. 【請求項13】 溶接材料を用いて被溶接材同士を溶接
    した溶接継手であって、前記被溶接材を低合金鋼材と
    し、前記溶接により形成された溶接金属が、C:0.20質
    量%以下、Cr: 3.0〜13.0質量%、Ni: 3.0〜13.0質量
    %を含有する鉄合金組成で、かつ 360℃以下50℃以上の
    マルテンサイト変態開始温度(Ms 点)を有し、さら
    に、該溶接金属が室温においてマルテンサイト変態の開
    始時よりも膨張した状態の温度−伸び曲線を示す組成と
    することを特徴とする溶接継手。
  14. 【請求項14】 前記溶接金属が、温度−伸び曲線にお
    いてマルテンサイト変態により変態開始直後に伸びが膨
    張に転ずる温度から50℃までの温度範囲で、長さ1mm当
    たり2×10-3〜8×10-3mmの線膨張量を有することを特
    徴とする請求項13に記載の溶接継手。
  15. 【請求項15】 前記溶接金属の組成が、C、Si、Mn、
    Cr、Ni、Mo、Nbの含有量を下記(2)式を満足するよう
    に調節されたことを特徴とする請求項13または14に記載
    の溶接継手。 記 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<360 ……(2) ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有量
    (質量%)
  16. 【請求項16】前記溶接金属のマルテンサイト変態開始
    温度(Ms 点)が、170℃未満50℃以上であることを特
    徴とする請求項13または14に記載の溶接継手。
  17. 【請求項17】 前記溶接金属が、C、Si、Mn、Cr、N
    i、Mo、Nbの含有量を下記(3)式を満足するように調
    整されたことを特徴とする請求項15に記載の溶接継手。 記 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<170 ……(3) ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有量
    (質量%)
  18. 【請求項18】 前記溶接金属が、C:0.20質量%以
    下、Cr: 3.0〜13.0質量%、Ni: 3.0〜13.0質量%を含
    有し、さらにSi: 1.0質量%以下、Mn: 2.5質量%以下
    を含み、あるいはさらにMo: 4.0質量%以下、Nb: 1.0
    質量%以下の1種または2種を含み残部Feおよび不可避
    的不純物からなる鉄合金組成を有することを特徴とする
    請求項13〜16のいずれかに記載の溶接継手。
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