JP2001245386A - 多機能型発音体 - Google Patents

多機能型発音体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外磁型構造を採用した多機能型発音体におい
て、その外部への漏洩磁束を効果的に減少させ、外磁型
の利点を十分に発揮し得る構造を提供すること。 【解決手段】 カバーと、該カバーに支持され音響周波
数の電磁力を受けて振動する振動板と、前記カバーに弾
性部材により弾性支持されて比較的低周波の振動系を構
成し、前記振動板に対して前記電磁力を発生するための
磁界を与える永久磁石を含み比較的質量の大なる磁気回
路とより成り、複数の周波数帯の電気的入力に対応して
前記振動板または前記磁気回路が主に応答して振動する
多機能型発音体において、前記永久磁石はリング状をな
してその内側に前記磁界を形成すると共に、前記永久磁
石の外側には前記筐体の外部への磁束の漏洩を減少させ
るために、前記カバーを合成樹脂に高透磁率材料の粉末
を混合した材料で形成したこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は複数の周波数帯に対して応答し、
音響周波数あるいは更に低周波の振動を出力する多機能
型発音体の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば数100〜数kHzの音響周波数
の電気的入力に応答して音響信号を出力すると共に、1
0〜100Hz程度の低周波数の電気的入力にも応答し
て体感できる振動(バイブレーション)出力をも行う多
機能型発音体が知られている。これは1個の音響変換器
であるのに複数種類の信号を発生できるために、携帯電
話等の機器の小型化・低コスト化のための手段としての
有効性が高い。図4および図5に従来例の多機能発音体
の構造の概略を示す。
【0003】図4は第1の従来例である多機能発音体の
構造の概略を示す断面図である。1はカバーで合成樹脂
製の筐体であり略箱型をなす。2は振動板で音響出力用
のものであり、カバー1に周縁部を固着され、ボイスコ
イル3が一体化されている。5は円筒形の永久磁石であ
り、円筒の軸方向に磁化され、高透磁率材料より成る円
筒型カップ状のヨーク7の中心部に固着されている。6
はトッププレートでやはり高透磁率材料より成る磁極片
で、永久磁石5の上端に固着されている。
【0004】永久磁石5、トッププレート6およびヨー
ク7は磁気回路を構成する。ヨーク7にはサスペンショ
ンバネ8が固着されている。サスペンションバネ8はヨ
ーク7の外側に向かって延びる複数の腕部状部(断面図
のみであらわされている)を有し、この腕部の外端はカ
バー1に固着されている。従って磁気回路はサスペンシ
ョンバネ8の腕状部に弾性的に懸架され、一体となって
軸方向(図の上下方向)に振動することができる。ヨー
ク7の外周のリング状の部分は付加質量9で、磁気回路
の主要部の外側を占め、磁束の通路としてよりは磁気回
路の固有振動数を十分低く下げるための追加の質量とし
ての役割を持つ。従ってヨーク7と異なる材質で作って
結合してもよい。
【0005】永久磁石5が生成する磁束はトッププレー
ト6の周囲側面とヨーク7のカップ状の上端付近内面と
の間のリング状の磁気空隙に集中され、強力な磁界を作
る。この磁気空隙内にはボイスコイル3が挿入されてお
り、ボイスコイルに音響周波数の信号電流が流れると振
動板2が振動し音響を発する。なおカバー1は小型電気
音響機器の外壁または回路基板等(図示せず)に固着さ
れている。
【0006】このような構成であるから、ボイスコイル
3に外部回路(図示せず)から駆動電流を入力するとボ
イスコイル3と磁気回路との間に相対的に電磁力が発生
する。駆動電流が音響あるいは音声周波数であると、磁
気回路はその固有振動数がはるかに低いために応答せ
ず、専ら振動板2のみが振動して音響を出力する。しか
し駆動電流が磁気回路の固有振動数に近い低い周波数で
あると、振動板3はほとんど応答せず、磁気回路が共振
して大振幅で軸方向に振動する。そして音響を嫌う環境
中やあるいは逆に騒音が大きくて音響信号が不適当な環
境の中で、サイレントでかつ体感可能な振動による信号
を発生する。
【0007】一般に磁気回路には漏洩磁束が必ずあり、
それが遠方まで届くのは他の部品や機器に影響を与え好
ましくないため、何らかの防磁策が施こされる。図4に
おいてヨーク7に設けたリング状の溝11は磁束の漏洩
を防止するために設けられたものである。即ち高透磁率
材料に設けた溝11の内部は磁気抵抗が高いため、永久
磁石5→トッププレート6→磁気空隙→ヨーク7の上端
部→ヨーク7の下端部→永久磁石5と一巡する磁束はこ
の部分を越えることが少なく、それより外側への漏洩が
減少し、必要な磁気空隙に磁束が集中するようになる。
【0008】図5は第2の従来例である多機能発音体の
構造の概略を示す断面図である。ほとんど図4の第1の
従来例と同じ構造であり、各部分に付した符号も共通に
してある。第1の従来例との相違点は漏洩磁束の防止構
造であり、第2の従来例では溝に替えてヨーク7の材質
よりも更に高い透磁率を有する材料より成る防磁リング
10を磁気空隙に接近して設けた。永久磁石から発して
上記一巡する磁束は、大部分が磁気抵抗の低い防磁リン
グ10の内部を通り、漏洩磁束の比率は小さくなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例はいずれも
ヨークが中心軸部にある永久磁石を囲んでいる、内磁型
の構造を採用している。これに対し、永久磁石がリング
状であって、永久磁石が発生する磁束の主要部分を永久
磁石リングの内側にある磁気空隙に集中させるようにし
た、外磁型構造があり、本発明ではこの構成を採用しよ
うとする。外磁型構造は永久磁石の容積を内磁型よりも
容易に大きくすることができ、大きな磁気エネルギーを
利用することができる。また永久磁石の容積を抑えるな
らば、比較的薄型の磁気回路を設計することもできる利
点がある。しかし永久磁石が外側にあるため、外部への
漏洩磁束はやや多い傾向があり、これを効果的に抑制す
る必要があるが、外磁型構造における有効性の高い漏洩
磁束防止構造はまだ提案されていない。
【0010】本発明の目的は、外磁型の構造を採用した
多機能型発音体において、その外部への漏洩磁束を効果
的に減少させ、外磁型の利点を十分に発揮し得る構成を
提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の多機能型発音体は下記の特徴を備える。 (1)カバーと、該カバーに支持され音響周波数の電磁
力を受けて振動する振動板と、前記カバーに弾性部材に
より弾性支持されて比較的低周波の振動系を構成し、前
記振動板に対して前記電磁力を発生するための磁界を与
える永久磁石を含み比較的質量の大なる磁気回路とより
成り、複数の周波数帯の電気的入力に対応して前記振動
板または前記磁気回路が主に応答して振動する多機能型
発音体において、前記永久磁石はリング状をなしてその
内側に前記磁界を形成すると共に、前記永久磁石の外側
には前記カバーの外部への磁束の漏洩を減少させるため
に、前記カバーを合成樹脂に高透磁率材料の粉末を混合
した材料で形成したこと。
【0012】また本発明の多機能型発音体は更に下記の
特徴のうち少なくとも一つを備えることがある。 (2)前記高透磁率材料はソフトフェライトであること
を特徴とする請求項1の多機能型発音体。
【0013】(3)前記弾性部材は前記カバー材料にイ
ンサートモールドされていること。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態の一例
である多機能型発音体の断面図である。図5および図6
で既に説明したものと機能に共通性がある部分について
は同じ記号と名称を付して重複する説明を省略する。従
来例と以下の部分が主に異なる。 (1)永久磁石5が円筒形ではなくリング状(磁化は厚
み方向)であって磁気回路の外側を占め、いわゆる外磁
型の構造をなすこと。これに伴って従来例のヨーク7に
対応するポールピース4は図3に示した斜視図のよう
に、高透磁率の軟磁性部分が外周部ではなく芯の部分で
あること。またトッププレート6も従来例と異なってリ
ング状である。
【0015】(2)合成樹脂製のカバー1が上下2体と
なり、上カバー1aと下カバー1bにはそれぞれ磁気回
路を弾性支持する弾性部材である、上サスペンションバ
ネ8a、下サスペンションバネ8bがインサートモール
ドによって一体化されていること。この構造およびその
ための加工法が本発明の眼目となる。またカバーの平面
形状が角形でなく円形である。上下カバーは多機能型発
音体の組立の際一体に接合される(上下の腕部は90°
向きを異ならせる)。その内部で磁気回路が上下サスペ
ンションバネの各腕部によって従来例同様に弾性的に懸
架される。
【0016】(3)外磁型構造では大きな体積の永久磁
石を用いて強力な空隙磁束を得ることもできるが、永久
磁石から外側へ漏れる磁束も比較的多い傾向がある。そ
のため、永久磁石5の外周から少し離れた外側に位置す
るカバーに高透磁率材料、例えばソフトフェライトの粉
末を混入することによって高透磁性を与え、漏洩磁束を
カバーに集めてその外側への漏洩を極力少なくしている
こと。
【0017】図2(a)は上述の本発明の実施の形態の
一例における上カバーの平面図、(b)は同じく下カバ
ーの平面図で、いずれもサスペンションバネのインサー
トモールドを完了した状態を示している。上サスペンシ
ョンバネ8a、下サスペンションバネ8bはいずれも平
板状であり、内側および外側に同心のリング部を持ち、
両リングは点対称に配置された一対のほぼ半円弧状の腕
部で連結されている。外側のリングはカバー内にモール
ドされ、内側のリングは図1に示すように、下サスペン
ションバネ8bはポールピース4の下面の段差部に、上
サスペンションバネ8aはトッププレート6の上面の段
差部に圧入固着される。
【0018】上カバー1a、下カバー1bはいずれもほ
ぼリング状をなすが、上カバー1aには方形の突出部で
ある端子部1fを有する。この部分には2本の端子ピン
1gが植えられる。これらには多機能型発音体の組立の
際、ボイスコイル3の両端からの引出し線が接続され
る。また上サスペンションバネ8aの一部は端子部1f
を貫通して外部に延びており、これはアース端子8dと
なる。なお上カバー1aの上部には同心円状のひだを付
けた振動板2がその外周部で接着される。
【0010】以上本発明の実施の形態の一例について説
明したが、本発明はこの実施の形態に限定されないこと
はもちろんである。例えばカバーに樹脂材に混入する高
透磁率材料の材質、比率、粒度や形状はもとより、カバ
ーの形状、サスペンションバネの形状や腕数や枚数、振
動板の形状、永久磁石の形状、ポールピースの形状、ト
ッププレートの形状、付加質量を設けること、その他細
部の形状、他の部材を付加すること、あるいは各部の材
質等は種々変更が可能である。
【0020】
【発明の効果】(1)本発明においてはリング状の永久
磁石の外側に位置するカバーの材料自体に高透磁率性を
与えたので、簡素な構造でしかも小型であるにもかかわ
らず、外磁型構造においても漏洩磁束を十分に小さくす
ることができた効果がある。
【0021】(2)また更にカバーに混入する材料をソ
フトフェライトとして効果的な防磁構造を実現した。
【0022】(3)また磁気回路を支持する弾性部材を
高透磁率を与えたカバーにインサートモールドしたこと
によって、簡素な構造によって磁気遮蔽効果を得ると共
に多機能型発音体の中での振動する磁気回路の正確な位
置決めを同時に達成することができた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例である多機能型発音
体の断面図である。
【図2】(a)は本発明の実施の形態の一例における上
カバーの平面図、(b)は同じ例における下カバーの平
面図である。
【図3】本発明の実施の形態の一例におけるポールピー
スの斜視図である。
【図4】多機能型発音体の第1の従来例の断面図であ
る。
【図5】多機能型発音体の第2の従来例の断面図であ
る。
【符号の説明】
1 カバー 1a 上カバー 1b 下カバー 1f 端子部 1g 端子ピン 2 振動板 3 ボイスコイル 4 ポールピース 5 永久磁石 6 トッププレート 7 ヨーク 8a 上サスペンションバネ 8b 下サスペンションバネ 8d アース端子 9 付加質量 10 防磁リング 11 溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D012 BB05 BB07 EA03 FA08 GA04 5D017 AA20 5D107 AA03 BB08 CC08 FF08 5H633 BB09 BB10 BB17 GG03 GG06 GG09 GG29 HH02 HH05 HH07 HH09 HH24 HH25 JA03 JA04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カバーと、該カバーに支持され音響周波
    数の電磁力を受けて振動する振動板と、前記カバーに弾
    性部材により弾性支持されて比較的低周波の振動系を構
    成し、前記振動板に対して前記電磁力を発生するための
    磁界を与える永久磁石を含み比較的質量の大なる磁気回
    路とより成り、複数の周波数帯の電気的入力に対応して
    前記振動板または前記磁気回路が主に応答して振動する
    多機能型発音体において、前記永久磁石はリング状をな
    してその内側に前記磁界を形成すると共に、前記永久磁
    石の外側には前記カバーの外部への磁束の漏洩を減少さ
    せるために、前記カバーを合成樹脂に高透磁率材料の粉
    末を混合した材料で形成したことを特徴とする多機能型
    発音体。
  2. 【請求項2】 前記高透磁率材料はソフトフェライトで
    あることを特徴とする請求項1の多機能型発音体。
  3. 【請求項3】 前記弾性部材は前記カバー材料にインサ
    ートモールドされていることを特徴とする請求項1ある
    いは2の多機能型発音体。
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