JP2001237190A - 多結晶シリコン薄膜およびその形成方法 - Google Patents

多結晶シリコン薄膜およびその形成方法

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JP2001237190A
JP2001237190A JP2000047990A JP2000047990A JP2001237190A JP 2001237190 A JP2001237190 A JP 2001237190A JP 2000047990 A JP2000047990 A JP 2000047990A JP 2000047990 A JP2000047990 A JP 2000047990A JP 2001237190 A JP2001237190 A JP 2001237190A
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polycrystalline silicon
silicon thin
temperature
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JP2000047990A
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Isamu Shimizu
勇 清水
Toshio Kamiya
利夫 神谷
Toshiyuki Samejima
俊之 鮫島
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Rikogaku Shinkokai
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Rikogaku Shinkokai
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝導特性を向上させた多結晶シリコン薄膜お
よびその形成方法を提供する。 【解決手段】 本発明の方法は、ハロゲン化水素または
ハロゲン化シランと、水素との混合ガスを原料ガスとし
て用いるVHFプラズマCVDにより、温度450℃以
下の基板上に、薄膜表面に平行な結晶面の方位が(40
0)および/または(220)に優先配向した多結晶シ
リコン薄膜を形成する方法において、(I)上記形成し
た多結晶シリコン薄膜を、該薄膜の伝導度を高めるのに
十分な高温および高圧の水蒸気に曝す処理を更に含む
か、または(II)上記形成した多結晶シリコン薄膜に、
該薄膜の伝導度を高めるのに十分な大きさの電流を流す
処理を更に含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示デバイス
など、大面積を必要とする電子デバイスに用いる薄膜ト
ランジスタ(TFT)、メモリーなどの電子素子を形成
するのに適した多結晶シリコン薄膜およびその製造方法
に関する。本発明による多結晶シリコン薄膜は、特に、
単結晶基板を用いては実現困難な50×50cm2 角以上
の大面積基板、また、プラスチックフィルムなどへのフ
レキシブル基板上への上記電子素子の集積が可能であ
る。これにより、大面積・高集積度・高速動作・低コス
トを特徴とする平面液晶ディスプレー、シートコンピュ
ータ、システム・オン・ディスプレーなどへの応用が期
待される。本発明はまた、低誘電率絶縁基板あるいは薄
膜層上にシリコンデバイスを作製することで高速動作を
可能にするSOIデバイスにも応用可能である。
【0002】
【従来の技術】従来のSiH4 /H2 混合ガスを原料と
してプラズマを用いた低温基板温度(Ts<300℃)
シリコン薄膜製造法では、非晶質あるいは粒径30nm以
下の微結晶シリコンが形成され、粒径100nm以上の多
結晶シリコンを形成することが困難であった。これは、
このような低温基板上で結晶成長を促進しようとする
と、水素原子などの化学的作用の助けを借りて結晶化を
促進するため、結晶核の密度が高く、粒径の拡大が阻害
される。あるいは、核密度を低下する条件では、非晶質
相が形成され、結晶化率の低減を伴い、目的とする粒径
が100nm以上で結晶化率の高い多結晶シリコンを形成
することが困難であった。また、多結晶シリコンの表面
形状もランダムで、電子素子形成に必要な原子レベルで
平滑な表面を再現性よく形成することが重要である。
【0003】他にSiH4 /H2 混合ガスを使った方法
としては、cat−CVDあるいはHot−wire
CVDと呼ばれる方法も検討されている。この方法では
1600℃以上に加熱したタングステン等のヒーターに
より熱的あるいは触媒的にSiH4 ,H2 を分解し、基
板温度450℃以下でアモルファス、あるいは多結晶シ
リコン薄膜を形成する。この場合には100nm以上の粒
径、高い(220)配向構造などが確認されているが、
高温ヒーターからの輻射熱により実際の基板表面温度は
450℃以上に高くなっていると考えられている。その
ため、デバイス作製時にはn型、p型シリコン層からの
ドーピング原子の拡散などの問題が起こり、高性能デバ
イスを作製する際の問題となっている。
【0004】液晶平面ディスプレー用の高速動作可能な
TFT材料としてはアモルファスシリコンをレーザ照射
して加熱あるいは溶融して再結晶化させるレーザアニー
ル法が用いられ、現在、「低温ポリシリコン」として1
3インチ程度のサイズの液晶ディスプレーに実用化され
ている。この方法では100nm以上の粒径、100cm 2
/Vs以上の電子移動度を持つ多結晶シリコンを作製で
きる。しかし、100〜500nm程度の表面凹凸を作る
ことは困難である。また、レーザ強度、均一性、再現性
の確保には高度の技術が必要であり、レーザ本体、ガ
ス、光学系など、維持・運用コストが高いことが問題で
ある。
【0005】さらに、450℃以下での任意基板上への
(400)配向構造制御は発明者以外にこれまで報告例
はない。シリコン薄膜を電子素子へ応用するためには、
膜中欠陥濃度は<1016cm-3に低減される必要があり、
キャリア輸送特性の内、電子、正孔の移動度がアモルフ
ァスシリコンのそれに比較して、遙かに大きいことが必
要である。また、大面積化、低コスト化といった要請を
満足する必要もある。従来の技術では、上記全ての要請
を満足して高品質多結晶シリコン膜を形成することは困
難であった。
【0006】次世代薄膜トランジスタに応用するための
シリコン薄膜としては、アモルファスシリコン薄膜、お
よび微結晶シリコン薄膜が利用されているが、より高性
能な素子機能を実現するためには、膜の微構造(結晶化
率、配向構造、粒径、表面あらさなど)を制御して材料
を作製する必要がある。たとえば次世代液晶平面ディス
プレーに要求されている半導体薄膜の特性はTFTの動
作特性として評価される電界効果移動度にして100cm
2 /Vsである。これを実現するためには多結晶半導体
薄膜の大粒径化、膜構造、粒界構造の改質が不可欠であ
ると考えられる。具体的には、(a)ラテラル粒径を1
00nm以上と大きくすることで従来の微結晶シリコンの
十倍以上の電子、正孔移動度を持ち、(b)表面あらさ
が小さく膜表面を走行するキャリアの障害とならず、
(c)シリコン−絶縁体層界面がSi(100)面で構
成され界面欠陥密度を最少にできる(400)配向多結
晶シリコン膜を作製する技術が必要である。また、これ
らの多結晶シリコン薄膜は、大面積を必要とする電子デ
バイスへ応用するため、高分子フィルム、ガラスなどの
基板上に450℃以下の低温で堆積製造が可能であるこ
とが必要とされる。
【0007】これまでの低温シリコン結晶形成技術では
このような高度な結晶薄膜の微構造制御は実現されてい
なかった。さらに、作製される多結晶シリコン薄膜中の
ダングリングボンドなどの欠陥濃度は、<1016cm-3
低減されることは勿論のこと、電子、正孔などのキャリ
ア輸送特性に粒界のつくる局在電子準位が障害となら
ず、高移動度が得られることが必要である。
【0008】以上の必要事項をまとめると以下のとおり
である。 1)基板温度450℃以下にて、ポリマー、ガラスなど
の単結晶シリコン以外の基板上にラテラル平均粒径が1
00nm以上、結晶化率80%以上の多結晶シリコン膜を
形成する。 2)シリコン結晶は、トップゲート型薄膜トランジスタ
の形成において、半導体−絶縁層界面の欠陥密度を最も
低減できる{100}面が膜表面にでており、また、そ
の表面形状が「非常に平滑(エリプソメータで測定した
表面粗さ層厚さが15nm以下)」であるよう高度な形状
制御がなされていること。
【0009】3)水素原子あるいは高温高圧水蒸気処理
により、ダングリングボンドなど結晶成長過程に形成さ
れる欠陥を除去する「欠陥パッシベーション技術」。 4)膜の結晶化率、粒径を増大させ、さらに粒界の原子
配列、電子構造を改質するための「ポストアニール技
術」。具体的には、半導体膜中に高密度の電流を流すこ
とで基板を製膜温度よりも低温に保ったまま、シリコン
膜と基板の極表面のみを結晶シリコンの融点よりも低い
温度の範囲で加熱することで、シリコン膜中のアモルフ
ァス層を結晶化し、膜中の結晶粒をエピタキシャル成長
核として結晶化率の向上、粒径の増大を行う。
【0010】5)高キャリア移動度を実現するために、
欠陥濃度としては<1016cm-3以下、粒界にキャリア輸
送の障害となる深い局在電子準位を形成しないこと。本
発明者らは既に、上記必要事項のうち1)〜4)につい
ては、ハロゲン元素と水素原子の強い化学的相互作用を
気相および固体表面の反応に利用した新しいシリコン多
結晶薄膜製造法を提案している。
【0011】すなわち、原料ガスとして、Cl,F,B
rなどハロゲンを含むハロゲン化珪素、たとえば、Si
4 ,SiF3 H,SiH2 2 ,SiCl4 ,SiC
3H,SiH2 Cl2 などの分子を気化したものに加
えて、H2 および少量のシランSiH4 、あるいは高次
シランたとえばSi2 6 を加えた混合ガスを用い、V
HFプラズマ中で分解し、気相中での衝突反応により堆
積前駆体を形成する。さらに、形成された堆積前駆体は
基板表面で吸着反応し、シリコン以外の元素である水
素、ハロゲンを放出して結晶シリコンを450℃以下の
低温で、基板上に形成する。
【0012】さらに、上記必要事項の5)についても、
膜中欠陥を水素あるいは酸素原子で終端するための「水
素プラズマ処理」を既に提案している。しかし、多結晶
シリコン薄膜の伝導特性を更に向上させる技術の開発が
望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記必要事
項5)に関して、更に伝導特性を向上させた多結晶シリ
コン薄膜およびその形成方法を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の第一の観点によれば、ハロゲン化シラン
と水素との混合ガスを原料ガスとして用いるVHFプラ
ズマCVDにより、温度450℃以下の基板上に、薄膜
表面に平行な結晶面の方位が(400)および/または
(220)に優先配向した多結晶シリコン薄膜を形成す
る方法において、上記形成した多結晶シリコン薄膜を、
該薄膜のキャリア移動度を高めるのに十分な高温および
高圧の水蒸気に曝す処理を更に含むことを特徴とする多
結晶シリコン薄膜の形成方法が提供される。
【0015】更に、本発明の第二の観点によれば、ハロ
ゲン化シランと水素との混合ガスを原料ガスとして用い
るVHFプラズマCVDにより、温度450℃以下の基
板上に、薄膜表面に平行な結晶面の方位が(400)お
よび/または(220)に優先配向した多結晶シリコン
薄膜を形成する方法において、上記形成した多結晶シリ
コン薄膜に、該薄膜のキャリア移動度を高めるのに十分
な大きさの電流を流す処理を更に含むことを特徴とする
多結晶シリコン薄膜の形成方法が提供される。
【0016】本発明は更に、上記本発明の方法により形
成された多結晶シリコン薄膜も提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の第一の観点によれば、基
板上に成長した多結晶シリコン薄膜を高温・高圧の水蒸
気に曝すことにより、欠陥密度が低下し伝導度を高める
ことができる。水蒸気の温度は、薄膜を成長させる際の
基板温度より低温とする。本発明の第二の観点によれ
ば、基板上に成長した多結晶シリコン薄膜に高密度の電
流を流すことにより薄膜の構造、特に結晶粒界における
Si−Si結合、Si−O−Si結合等の化学結合状態
の改質により欠陥密度が低下し、伝導度を高めることが
できる。
【0018】
【実施例】先ず、本発明者が既に提案している低温VH
FプラズマCVD法により、下記条件で多結晶シリコン
薄膜を形成した。膜の構造はVHFプラズマ形成のため
の投入電力(Pw:W/cm2 )、周波数(f:27〜2
00MHz )、圧力(P:50〜500mTorr)に強く依存
する。図1では、Pw=1W/cm2 、P=400mTorr
で製膜した多結晶シリコン薄膜のX線回折(XRD)図
形を示す。原料ガスとして、SiF4 とH2 との混合ガ
スを用いた。原料ガスの流量SiF4 /H2 および基板
温度Tsは、(a)SiF 4 /H2 =60/2.5scc
m,Ts=300℃、(b)SiF4 /H2 =30/4
0sccm,Ts=300℃および(c)SiF4 /H2
60/40sccm,Ts=50℃とした。後に詳述するよ
うに、SiH4 流量0.05−0.25sccmの範囲では
膜構造は大きな違いを示さないことが確認されている。
XRD図中には結晶シリコンの特徴であるSi111,
220,311,400回析ピークが認められるが、図
中(c)のXRD図形の各ピークの強度比は、粉末結晶
シリコンの粉末XRD図形とほぼ同じであり、膜中の各
結晶粒は特定の優先配向構造を持たない「ランダム配向
膜」であることがわかる。また、Si111回析線幅か
らScherrer法を用いて算出した結晶粒径はせい
ぜい30nmと小さい微結晶シリコンであることがわか
る。それに対して、適切な条件、例えばTs=300℃
においてSiF4 /H2 =60/2.5sccmを選択する
ことで(a)に見られるように、他の回析線が見られず
Si400ピークのみ観察される(400)配向膜が得
られる。また、Ts=300℃、SiF4 /H2 =30
/40sccmではSi220回析線強度が他の回析線強度
よりも大きい(220)配向膜が得られる。
【0019】これらの膜の表面構造は、それぞれの微構
造を反映した特徴的な構造であることが確認されてい
る。原子間力顕微鏡(AFM)で観察した膜の表面構造
を図2〜図4に示す。先ず、図4に示したランダム配向
膜(図1(c))は粒径20nm程度の微細な等方的な結
晶粒が観測されるが、図2に示した(400)配向膜
(図1(a))の粒径は100nm程度と大きく、分光エ
リプソメトリスペクトルの解析から得られた表面あらさ
も15nm以下と小さい。また、図3に示した(220)
配向膜(図1(b))の粒形状は結晶シリコンの(10
0)面を反映していると考えられる特徴的な三角柱状構
造を持ち、表面あらさは100nm程度に達する。
【0020】製膜条件の最適化により、このような特徴
的な微構造はより顕著になる。図5は走査電子顕微鏡
(SEM)で観察した(400)配向多結晶シリコン薄
膜の表面形態である。製膜条件は、SiF4 /H2 =9
0/10sccm,Ts=360℃であり、膜厚4μmであ
る。各結晶粒の表面が平滑になっており、ラテラル粒径
も200nmを越えていることがわかる。これはAFM観
察によっても原子レベル(<1nm)で表面が平滑である
ことが確認されている。
【0021】また、これら多結晶シリコンの堆積速度は
デバイスの大量生産時のスループット向上においては非
常に重要なパラメータとなる。本技術では、上述のよう
な構造を大きく変えずに、SiH4 添加量を最適制御す
ることで堆積速度向上を可能にしている。図6に示すよ
うに、SiF4 /H2 =60/2.5sccmに対してSi
4 添加量を0から0.1sccmへ増加させることで、X
RD図形をほとんど変化させずに堆積速度を0.27nm
/sから0.38nm/sへ向上させることが可能なこと
がわかる。
【0022】図7に示すように、このような微量SiH
4 添加による成長速度増大は図6のような(400)配
向膜だけでなく、(220)配向膜でも実現できる。同
図中、SiH4 流量は(A)1.0sccm,(B)1.5
sccm,(C)2.0sccmである。この場合、SiF4
2 =30/90sccmの流量条件においてSiH4 添加
量を2sccmまで増やしても図7(1)に見られるように
配向構造の変化は無く、また、堆積速度も0.5nm/s
まで向上させることが可能である。
【0023】ある程度の結晶化率低下を容認すれば、図
8に示すように結晶化率が65%と良好な(220)配
向多結晶シリコン薄膜を2.4nm/sの高速で堆積する
ことも可能である。これらの条件を実現するためには、
Pw:0.1〜2W/cm2 、f:27〜150MHz 、
P:50〜500mTorr 、SiH4 流量:0.05〜1
0sccmとするのが適正であることがわかっている。図9
に示すように、この範囲内での膜構造はガス流量比Si
4 /H2 、基板温度によって制御可能なことが分かっ
ており、この2つのパラメータを制御することで構造を
アモルファス、ランダム配向微結晶、(220)配向多
結晶、(400)配向多結晶シリコンと変え、また、結
晶化率を0〜100%、粒径を10〜200nm、表面あ
らさを0〜数百nmの範囲で変えることができる。堆積速
度は上述したように、SiH4 添加量とVHF出力を変
えることによって、膜構造とは独立に制御可能である。
【0024】これら材料のデバイスへの応用を考える
と、膜中の欠陥密度を1016/cm3 以下に低減すること
が不可欠である。しかしながら、図9に示したように、
(400)優先配向の多結晶シリコン薄膜成長に適した
条件は、水素混合比が小さく形成された多結晶シリコン
薄膜中に>1017cm-3の欠陥(ダングリングボンド)が
残存する場合がある。この欠陥は、5〜50nm厚の結晶
成長毎に成長を中断し、表面を水素プラズマ処理する
「水素パッシベーション処理」により、多結晶シリコン
の配向制御を疎外することなく、欠陥濃度<1016cm-3
に低減することができる。例えば、水素パッシベーショ
ンを使わないで200℃、SiF4 /H2 =30/10
sccmで作製した(400)配向多結晶シリコンの暗伝導
度は10-3S/cmに近く、欠陥密度も1019/cm・eV
程度と見積もられた。それに対して16nm毎に水素パッ
シベーション処理を行うことで、図10に見られるよう
に暗伝導度は10-7S/cm、光伝導度はそれより2桁以
上高い良質な伝導特性を示すようになる。なお、図10
は基板温度200℃で製膜した(400)配向多結晶シ
リコン薄膜についての結果である。
【0025】次に、以上のように製膜した多結晶シリコ
ン薄膜に、以下のように本発明による処理を更に行っ
た。先ず、本発明の第一の観点により、基板温度300
℃で製膜した0.5μm厚の(400)配向多結晶シリ
コン薄膜に、1.2MPa 、270℃で3hの高温高圧水
蒸気アニール処理を施した。
【0026】その結果、図11に示すように、光伝導度
と暗伝導度の比が10程度まで改善された。その機構は
下記のようであると考えられる。(400)配向膜で
は、暗伝導度が高いために光感度(光伝導度と暗伝導度
の比)が高くないことが、光半導体としてのデバイス応
用については問題である。また、暗伝導度が高いこと
は、TFTなどのリーク電流を上げる原因にもなるた
め、暗伝導度を下げて光感度を上げることがデバイス材
料としては必須となる。
【0027】これらは、粒界における欠陥によるキャリ
ア注入、欠陥を介したホッピング伝導、あるいは弱いS
i−HやSi−F結合あるいは歪んだ結合がドナーサイ
トとして働くことによるキャリア注入の結果と考えられ
る。水素パッシベーション及び高温水蒸気処理により、
これらの欠陥の終端や、弱い結合の再構成により、キャ
リア注入の減少、欠陥密度の減少が起こった結果、伝導
特性が改善されたと考えられる。
【0028】あるいは、本発明の第二の観点により、1
6 J/cm3 以上の密度の電流を薄膜に流すことによ
り、膜構造の改質を行った。その結果、図12に示すよ
うに、伝導特性が向上した。図12は、1μm×0.2
mmの断面積で2mmの電極間距離を持つ、Pドープを施し
て作製したn型多結晶シリコン薄膜に10-3A〜5×1
-2Aの電流を20min ずつ流し、その電流加熱中、お
よび電流を流すことを止めて室温まで冷却した後に測定
した暗伝導度の変化を示している。電流10-2Aまでは
電流加熱による膜温度の上昇に伴う伝導度の増大が認め
られるが、冷却後には電流加熱前の暗伝導度まで回復
し、特に電流加熱による特性改質は認められない。2×
10-2A以上の電流加熱により、冷却後の暗伝導度の増
大が認められ、5×10-2Aの電流加熱により伝導度が
5倍程度まで改善されている。ドーパントであるPのイ
オン化効率は電流加熱前の薄膜において50%以上であ
り、5倍の伝導度の改善は移動度の増大によるものと考
えられる。このような結果は、大密度電流を流すことに
よる加熱効果によって、膜構造、特に粒界におけるSi
−Si、Si−O−Siなどの化学結合状態の改質によ
るものと考えられる。
【0029】このような電流加熱処理により、実際に結
晶化率の改善が確認される。図13に示した膜は、加熱
処理前はRaman散乱スペクトルから評価した結晶化
率は70%であったが、電流加熱処理後は90%まで向
上している。図14には、加熱前後のこの膜のHall
移動度を示しており、加熱処理によりHall移動度が
約3倍に増大していることがわかる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により、4
50℃以下の低温にて高度に配向制御し、更に伝導特性
を向上させた多結晶シリコン薄膜が提供される。本発明
による多結晶シリコン薄膜を薄膜トランジスタのような
大面積を必要とする電子デバイスに用いることにより、
従来のアモルファスあるいは微結晶シリコン薄膜では達
成できない、電子、正孔などのキャリアの高移動度を実
現することができ、デバイス性能を飛躍的に向上させる
ことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、原料ガスの流量(ガス混合比)および
基板温度を変えて形成した多結晶シリコン薄膜のX線回
折(XRD)図形を示すグラフである。
【図2】図2は、図1中の(a)の(400)配向多結
晶シリコン薄膜の表面構造を示す原子間力顕微鏡(AF
M)写真である。
【図3】図3は、図1中の(b)の(220)配向多結
晶シリコン薄膜の表面構造を示す原子間力顕微鏡(AF
M)写真である。
【図4】図4は、図1中の(c)のランダム配向多結晶
シリコン薄膜の表面構造を示す原子間力顕微鏡(AF
M)写真である。
【図5】図5は、(400)配向多結晶シリコン薄膜の
表面構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図6】図6は、種々の堆積速度で成長させた(40
0)配向多結晶シリコン薄膜のXRD図形を示すグラフ
である。
【図7】図7(1)および(2)は、種々のSiH4
量で成長させた(220)配向多結晶シリコン薄膜につ
いて、(1)各々のXRD図形を示すグラフおよび
(2)SiH4 流量と堆積速度との関係を示すグラフで
ある。
【図8】図8は、異なる基板温度で成長させた(22
0)配向多結晶シリコン薄膜のXRD図形を、結晶化率
およびラテラル粒径と供に示すグラフである。
【図9】図9は、基板温度とSiF4 /H2 比との組み
合わせに対して、シリコン薄膜の種々の構造の出現領域
を示すグラフである。
【図10】図10は、水素パッシベーションによる(4
00)配向多結晶シリコン薄膜の伝導度の変化を示すグ
ラフである。
【図11】図11は、本発明により高温高圧水蒸気処理
を行った(400)配向多結晶シリコン薄膜の伝導度を
印加電圧に対して示すグラフである。
【図12】図12は、本発明により高密度電流加熱処理
を行った(400)配向多結晶シリコン薄膜の伝導度
を、加熱処理時間に対して示すグラフである。
【図13】図13は、本発明により高密度電流加熱処理
を行った(400)配向多結晶シリコン薄膜の結晶化率
を示すグラフである。
【図14】図14は、本発明により高密度電流加熱処理
を行った(400)配向多結晶シリコン薄膜のホール移
動度を示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 鮫島 俊之 東京都小金井市中町2−24−16 東京農工 大学内 Fターム(参考) 4K030 AA04 AA06 AA17 BA29 BB03 CA06 CA12 DA08 DA09 FA03 LA11 5F045 AA08 AB03 AC01 AD06 AD08 AD09 AE17 AE19 BB12 BB16 CA05 CA15 EH02 HA11 5F052 AA11 CA04 DA01 DB03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化シランと水素との混合ガスを
    原料ガスとして用いるVHFプラズマCVDにより、温
    度450℃以下の基板上に、薄膜表面に平行な結晶面の
    方位が(400)および/または(220)に優先配向
    した多結晶シリコン薄膜を形成する方法において、 上記形成した多結晶シリコン薄膜を、該薄膜のキャリア
    移動度を高めるのに十分な高温および高圧の水蒸気に曝
    す処理を更に含むことを特徴とする多結晶シリコン薄膜
    の形成方法。
  2. 【請求項2】 ハロゲン化シランと水素との混合ガスを
    原料ガスとして用いるVHFプラズマCVDにより、温
    度450℃以下の基板上に、薄膜表面に平行な結晶面の
    方位が(400)および/または(220)に優先配向
    した多結晶シリコン薄膜を形成する方法において、 上記形成した多結晶シリコン薄膜に、該薄膜のキャリア
    移動度を高めるのに十分な大きさの電流を流す処理を更
    に含むことを特徴とする多結晶シリコン薄膜の形成方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の方法により形成
    された多結晶シリコン薄膜。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005285963A (ja) * 2004-03-29 2005-10-13 Sumco Corp Soi基板の製造方法
JP2005285380A (ja) * 2004-03-26 2005-10-13 Quantum 14:Kk ダイオード素子およびそれを用いた装置
CN114203851A (zh) * 2020-09-01 2022-03-18 嘉兴阿特斯技术研究院有限公司 异质结太阳能电池和制备异质结太阳能电池的方法

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