JP2001236683A - 光学ヘッド用スライダ及びその製造方法並びに光ディスク装置 - Google Patents

光学ヘッド用スライダ及びその製造方法並びに光ディスク装置

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JP2001236683A
JP2001236683A JP2000050522A JP2000050522A JP2001236683A JP 2001236683 A JP2001236683 A JP 2001236683A JP 2000050522 A JP2000050522 A JP 2000050522A JP 2000050522 A JP2000050522 A JP 2000050522A JP 2001236683 A JP2001236683 A JP 2001236683A
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Atsumichi Kawashima
敦道 川島
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録媒体に照射される光のスポットに迷光に
よる影響等を生じさせることなく、記録媒体に対する信
号の記録再生を適切に行う。 【解決手段】 近接場光を利用して記録媒体に対する信
号の記録及び/又は再生を行う光学ヘッドに用いられる
光学ヘッド用スライダであって、記録媒体に対する信号
の記録及び/又は再生時に記録媒体上を浮上走行するス
ライダ部材と、スライダ部材に接合された光学レンズと
を備え、記録媒体と対向する面には、光学レンズにより
集光された光のスポットの周囲を遮光する遮光マスクが
設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、近接場光を利用し
て光ディスク等の記録媒体に対する信号の記録及び/又
は再生を行う光学ヘッドに用いられる光学ヘッド用スラ
イダ、及び、その製造方法、並びに、そのような光学ヘ
ッド用スライダを用いた光学ヘッドにより記録媒体に対
する信号の記録及び/又は再生を行う光ディスク装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、光磁気ディスクや相変化型光
ディスク等のように、信号記録面に光を照射することに
より、信号の記録再生が行われる光ディスクが普及して
いる。そして、これら光ディスクにおいては、できるだ
け多くの情報を記録可能とすべく、記録密度の高密度化
が盛んに行われている。
【0003】また、このような光ディスクの高記録密度
化に伴って、光ディスクに対して信号の記録再生を行う
光学ピックアップに対しても、光ディスクの信号記録面
に照射される光のスポット径を小さくすることにより、
記録密度を向上させる試みが行われている。
【0004】具体的には、ハードディスク装置等に用い
られる浮上型ヘッドスライダの技術を光学ピックアップ
に応用した、いわゆる光ハードディスク装置が提案され
ている。この光ハードディスク装置は、スライダ部材に
レンズを搭載してヘッドスライダを構成し、このヘッド
スライダが光ディスクの信号記録面上を所定の浮上量で
浮上しながら、光ディスクに対する信号の記録再生を行
うものである。
【0005】すなわち、この光ハードディスク装置で
は、ヘッドスライダが、光ディスクの回転により生じる
空気流を受けて、光ディスクの信号記録面から微小な間
隔で浮上した状態となる。この場合、ヘッドスライダと
光ディスクの信号記録面との間隔を、1μm程度以下の
微小な間隔に保持することができる。そして、光ハード
ディスク装置では、ヘッドスライダが光ディスクの信号
記録面上を微小な間隔で浮上しながら、ニアフィールド
記録と呼ばれる近接場光を利用した信号の記録及び/又
は再生が行われる。
【0006】光ハードディスク装置では、このような光
学ヘッド用スライダを用いることにより、従来の光ディ
スク装置の光学系と比べて、光ディスクの信号記録面に
照射される光のスポット径を小さくすることができる。
【0007】詳述すると、光学ヘッド用スライダにおい
て、スライダ部材に搭載されたレンズの光軸に対する光
線の最大角をθとし、レンズの屈折率をnとすると、レ
ンズの開口数NA(Numerical Aperture)は、nsinθと
なる。この場合、θは90゜を超えることはないので、
開口数NAの最大値は、屈折率nとなる。また、入射す
る光の波長をλとすると、レンズのスポット径は、λ/
NAとなる。
【0008】一般に、空気中の屈折率nは1であり、レ
ンズの開口数NAは1よりも小さいので、このレンズの
スポット径は、波長λよりも大きくなる。ところが、レ
ンズと光ディスクの信号記録面との間隔が波長λより十
分小さい場合には、近接場光の効果によりレンズの屈折
率nの影響を受けて、レンズの開口数NAは、1よりも
大きくなる。例えば、屈折率nが1.8のとき、開口数
NAは、1.5程度となる。この場合、レンズのスポッ
ト径は、波長λよりも小さくなる。
【0009】したがって、光ハードディスク装置では、
このような光学ヘッド用スライダを用いることにより、
光ディスクの信号記録面に照射される光のスポット径を
小さくすることができ、従来の光ディスク装置を上回る
記録密度で信号の記録再生を行うことができる。
【0010】ここで、レンズの開口数NAを実質的に高
める方法としては、例えば、顕微鏡の対物レンズと試料
との間に、屈折率の高い液体を入れる液浸法が知られて
いる。これに呼応して、上述した光学ヘッド用スライダ
において、近接場光を利用した信号の記録再生を行う際
に用いられるレンズのことを、固浸レンズ(SIL:So
lid Immersion Lens)と呼んでいる。
【0011】また、光学ヘッド用スライダでは、固浸レ
ンズの代わりに、カタディオプトリックレンズと呼ばれ
るレンズを用いる方法も提案されている。このカタディ
オプトリックレンズは、反射ミラーが形成された単レン
ズであり、上述した固浸レンズと同等の機能を有するこ
とから、固浸ミラー(SIM:Solid Immersion Mirro
r)とも呼ばれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】一般に、カタディオプ
トリックレンズは、図18に示すように、凹面屈折面か
らなる第1面100aと、平面ミラーからなる第2面1
00bと、凹面非球面ミラーからなる第3面100cと
を有しており、凹面屈折面からなる第1面100aから
入射した光を、平面ミラーからなる第2面100bにて
反射させた後、凹面非球面ミラーからなる第3面100
cにて更に反射させて集光するようになされている。ま
た、この図18に示すカタディオプトリックレンズ10
0は、図19に示すように、光ディスク101の信号記
録面101aに照射される光の波長域において、光透過
率が十分に高い材料を用いて形成されたスライダ部材1
02に光学接着材103を用いて接合され、このスライ
ダ部材102と光学的に一体化されて光学ヘッド用ヘッ
ドスライダを構成している。なお、図19は、図18中
示すカタディオプトリックレンズ100とスライダ部材
102との接合部分を拡大して示す要部断面図である。
【0013】この場合、カタディオプトリックレンズ1
00により集光された光は、光学接着材103を介して
スライダ部材102に入射し、このスライダ部材102
の光ディスク101と対する面にて焦点を結ぶことにな
る。
【0014】しかしながら、カタディオプトリックレン
ズ100により集光された光は、スライダ部材102と
光学接着材103との境界面で屈折する際に、媒質の異
なるこれらスライダ部材102と光学接着材103との
屈折率の違いから、僅かに反射する光が生じることにな
る。このため、スライダ部材102と光学接着材103
との境界面では、反射した光による多重屈折が生じてし
まい、いわゆる迷光と呼ばれる光の散乱が発生すること
になる。
【0015】従来の光学ピックアップでは、このような
迷光による影響は、光ディスクの信号記録面から1mm
程度離れていたために問題とはならなかった。しかしな
がら、近接場光を利用して光ディスクに対する信号の記
録再生を行う場合には、上述した光学ヘッド用スライダ
と光ディスクの信号記録面との間隔が50nm程度と極
めて近接した状態となるために、このような迷光による
影響は無視できないものとなる。すなわち、光学ヘッド
用スライダでは、このような迷光の影響により、光ディ
スクの信号記録面に照射される光のスポット径が見かけ
上大きなものとなってしまう。
【0016】このため、従来の光学ヘッド用スライダで
は、光ディスクの信号記録面に照射される光のスポット
径を小さくすることができず、記録密度を大幅に向上さ
せることが非常に困難となるといった問題があった。ま
た、光ハードディスク装置では、このような光学ヘッド
スライダを用いた場合に、S/N比(S:信号,N:雑
音)の大幅な低下を招いてしまい、光ディスクに対する
信号の記録再生に大きな支障を及ぼす虞も生じてくる。
【0017】そこで、本発明はこのような従来の事情に
鑑みて提案されたものであり、記録媒体に照射される光
のスポットに迷光による影響等を生じさせることなく、
記録媒体に対する信号の記録再生を適切に行うことを可
能とした光学ヘッド用スライダを提供することを目的と
する。また、そのような光学ヘッド用スライダを高精度
且つ簡便に作製することを可能とした光学ヘッド用スラ
イダの製造方法を提供することを目的とする。また、そ
のような光学ヘッド用スライダを用いた光学ヘッドによ
り記録媒体に対する信号の記録及び/又は再生を適切に
行うことを可能とした光ディスク装置を提供することを
目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】この目的を達成する本発
明に係る光学ヘッド用スライダは、近接場光を利用して
記録媒体に対する信号の記録及び/又は再生を行う光学
ヘッドに用いられる光学ヘッド用スライダであって、記
録媒体に対する信号の記録及び/又は再生時に記録媒体
上を浮上走行するスライダ部材と、スライダ部材に接合
された光学レンズとを備え、記録媒体と対向する面に
は、光学レンズにより集光された光のスポットの周囲を
遮光する遮光マスクが設けられていることを特徴とす
る。
【0019】この光学ヘッド用スライダでは、記録媒体
と対向する面に光学レンズにより集光された光のスポッ
トの周囲を遮光する遮光マスクが設けられていることか
ら、記録媒体に照射される光のスポット以外の光が記録
媒体に照射されるのを遮断することができる。すなわ
ち、この光学ヘッド用スライダでは、記録媒体に対して
信号の記録及び/又は再生を行うのに有効とされる光の
みを照射することができる。
【0020】また、この目的を達成する本発明に係る光
学ヘッド用スライダの製造方法では、近接場光を利用し
て記録媒体に対する信号の記録及び/又は再生を行う光
学ヘッドに用いられる光学ヘッド用スライダの製造方法
であって、光学レンズが接合されたスライダ部材の記録
媒体と対向する面上にレジスト材料を塗布することによ
りレジスト層を形成する工程と、フォトリソグラフィ技
術を用いて光学レンズ側から光を入射し、記録媒体と対
向する面にて出射された光のスポットによりレジスト層
を露光する工程と、露光された箇所以外のレジスト層を
現像液にて溶解して除去することにより光のスポットに
対応した形状のレジストパターンを形成する工程と、レ
ジストパターンが形成された記録媒体と対向する面上に
遮光性を有する薄膜を形成する工程と、レジストパター
ン上に堆積した薄膜とともに、当該レジストパターンを
除去する工程とを有することを特徴とする。
【0021】この光学ヘッド用スライダの製造方法で
は、光学レンズが接合されたスライダ部材の記録媒体と
対向する面上に、レジスト層を形成した後、光学レンズ
側から光を入射し、記録媒体と対向する面にて出射され
た光のスポットにより当該レジスト層を露光することか
ら、記録媒体と対向する面上に、当該記録媒体と対向す
る面にて出射される光のスポットに対応した形状のレジ
ストパターンを形成することができる。したがって、本
手法では、このレジストパターンを用いて、記録媒体と
対向する面上に、遮光性を有する薄膜をリフトオフ形成
することにより、記録媒体に対する信号の記録及び/又
は再生時に、記録媒体と対向する面にて出射される光の
スポットの周囲を的確に遮光する遮光マスクを、高精度
且つ簡便に形成することができる。
【0022】また、この目的を達成する本発明に係る光
ディスク装置は、近接場光を利用して記録媒体に対する
信号の記録及び/又は再生を行う光学ヘッドを備えた光
ディスク装置であって、光学ヘッドは、回転操作される
記録媒体上を走査するヘッドスライダと、このヘッドス
ライダを支持する支持アームとを備える。そして、ヘッ
ドスライダは、記録媒体に対する信号の記録及び/又は
再生時に記録媒体上を浮上走行するスライダ部材と、ス
ライダ部材に接合された光学レンズとを有し、記録媒体
と対向する面に、光学レンズにより集光された光のスポ
ットの周囲を遮光する遮光マスクが設けられていること
を特徴とする。
【0023】この光ディスク装置では、ヘッドスライダ
の記録媒体と対向する面に、光学レンズにより集光され
た光のスポットの周囲を遮光する遮光マスクが設けられ
ていることから、記録媒体に照射される光のスポット以
外の光が記録媒体に照射されるのを遮断することができ
る。したがって、この光ディスク装置では、記録媒体に
対して信号の記録及び/又は再生を行うのに有効とされ
る光のみを照射することができ、記録媒体に対する信号
の記録及び/又は再生を適切に行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0025】本発明を適用した光ハードディスク装置の
一例を図1に示す。この図1に示す光ハードディスク装
置1は、パーソナルコンピュータ等における記憶装置と
して使用されるハードディスク装置の技術を応用したも
のであり、筐体2の内部に設けられたスピンドルモータ
3には、光磁気ディスクや相変化型光ディスク等、光を
用いて信号の記録再生が行われる光ディスク4が取り付
けられ、クランパ5により固定されている。そして、光
ディスク4は、制御回路により駆動制御されるスピンド
ルモータ3の回転に伴い、所定の回転数で回転操作され
る。
【0026】また、筐体2の内部には、ハードディスク
装置で用いられる磁気ヘッド装置の代わりに、光学ヘッ
ド装置6が設けられている。この光学ヘッド装置6は、
スピンドルモータ3により回転操作される光ディスク4
に対して信号の記録再生を行うものであり、ボイスコイ
ルモータ7の駆動により回動操作されるアーム8と、こ
のアーム8と一体に形成されたヘッド支持バネ9と、こ
のヘッド支持バネ9の先端部に取り付けられたヘッドス
ライダ10とを備えている。
【0027】ボイスコイルモータ7は、アーム8に取り
付けられたボイスコイルと、このボイスコイルを挟持す
るように配設された一対のマグネットとにより構成さ
れ、ボイスコイルに外部から電流が供給されることによ
り、このボイスコイルに流れる電流とマグネットの磁界
とによって駆動力が生じ、アーム8及びヘッド支持バネ
9を、支軸8aを回動中心として、図中矢印Xで示す方
向に回動操作する。
【0028】この光学ヘッド装置6では、アーム8及び
ヘッド支持バネ9が、ボイスコイルモータ7の駆動によ
って回動操作されることにより、ヘッド支持バネ9の先
端部に取り付けられたヘッドスライダ10が、スピンド
ルモータ3の駆動により回転操作される光ディスク4の
径方向に沿って移動操作されることになる。そして、ヘ
ッド支持バネ9の先端部に取り付けられたヘッドスライ
ダ10は、光ディスク4の回転により生じる空気流を受
けて、光ディスク4の信号記録面上を50nm程度の浮
上量で浮上しながら、光ディスク4の信号記録面を走査
することになる。
【0029】この光学ヘッド装置6が備えるヘッドスラ
イダ10の一例を図2及び図3に示す。なお、図2は、
このヘッドスライダ10を光ディスク4と対向する面側
から見た平面図であり、図3は、図2中線分A−A’で
切断した断面図である。
【0030】このヘッドスライダ10は、近接場光を利
用して光ディスク4に対する信号の記録再生を行う際に
用いられる光学ヘッド用スライダであり、光ディスク4
の信号記録面4a上を浮上走行するスライダ部材11を
備え、このスライダ部材11の光ディスク4と対向する
面とは反対側の面上に、光ディスク4の信号記録面4a
に照射されるレーザービームLを集光するカタディオプ
トリックレンズ12と、このカタディオプトリックレン
ズ12が接合されたスライダ部材を補強する補強板13
とを備えている。
【0031】スライダ部材11は、例えばオハラ社製の
低軟化点ガラスL−LAH53が略平板状に形成されて
なる。このスライダ部材11は、レーザビームLの波長
域において光透過率が十分に高く、且つ屈折率が高い材
料により形成されていることが望ましく、このような材
料として、モールド成形用ガラス等の光学ガラスを挙げ
ることができる。具体的には、上述したオハラ社製の低
軟化点ガラスL−LAH53の他に、L−BAL42
(屈折率1.58)、L−BAL35(屈折率1.62)、
L−BSM15(屈折率1.62)、L−TIM28(屈
折率1.69)、L−TIM22(屈折率1.65)、L
−LAM69(屈折率1.73)、L−LAL12(屈折
率1.79)、L−LAM71(屈折率1.79)、L−
LAM70(屈折率1.73)等を挙げることができる。
また、スライダ部材11の材料としては、上述したモー
ルド成形用ガラス等の光学ガラスに限定されず、光学プ
ラスチック等を挙げることができる。具体的には、PR
G社製のCR−39(屈折率1.50)、ポリカーボネー
ト(屈折率1.59)や、ニコン社製等の含硫ウレタン樹
脂(屈折率1.67)、HOYA社製のテスラリッド(屈
折率1.71)等を挙げることができる。
【0032】このスライダ部材11では、光ディスク4
の信号記録面4aと対向する面が、光ディスク4の回転
に伴って発生する空気流により浮揚力を発生させるため
の空気潤滑面とされている。すなわち、このスライダ部
材11の光ディスク4の信号記録面4aと対向する面に
は、光ディスク4の回転に伴って発生する空気流により
浮揚力を受け、この浮揚力により光ディスク4の信号記
録面4a上を所定の浮上量で浮上させるための第1の段
差部14a及び第2の段差部14bが設けられている。
この第1の段差部14aは、スライダ部材11の空気流
入側の両端部にそれぞれ設けられている。一方、第2の
段差部14bは、これら第1の段差部14aよりも空気
流出側の略中央部、詳述すると、カタディオプトリック
レンズ12の光軸延長上に位置して設けられている。
【0033】したがって、ヘッドスライダ10は、ハー
ドディスク装置において用いられるヘッドスライダと同
様に、光ディスク4が回転操作されることによって光デ
ィスク4とスライダ部材11との間に生じる空気流を受
けて、この空気流による浮揚力とヘッド支持バネ9によ
るバネ荷重との釣り合いによって、光ディスク4の信号
記録面4a上を50nm程度の浮上量で浮上走行するこ
とになる。
【0034】また、スライダ部材11は、カタディオプ
トリックレンズ12と光学的に一体化されており、カタ
ディオプトリックレンズ12に入射したレーザービーム
Lが、このスライダ部材11を介して光ディスク4の信
号記録面4aに至るようになされている。
【0035】カタディオプトリックレンズ12は、上述
したスライダ部材11と同様の材料からなる母材12a
が所定の形状にモールド成形されることにより、凹面屈
折面からなる第1面S1が形成されるとともに、この母
材12aの所定の面上に、例えばAl、Pt膜等からな
る光反射膜12bを成膜することにより、平面ミラーか
らなる第2面S2と、凹面非球面ミラーとなる第3面S
3とが形成されてなる。なお、第2面S2の平面ミラー
や第3面S3の凹面非球面ミラーとなる光反射膜12b
の表面には、例えばダイヤモンドライクカーボン(DL
C)、Si34、Cr等からなる保護膜が成膜されてお
り、これら光反射膜12bの保護が図られている。ま
た、第2面S2の略中央部、すなわち、このカタディオ
プトリックレンズ12の光軸中心付近は、集光されたレ
ーザービームLが透過するように、光反射膜12b及び
保護膜が除去されてなる開口部12cが設けられてい
る。
【0036】そして、このカタディオプトリックレンズ
12は、図4に示すように、光学接着材15によりスラ
イダ部材11と接合され、スライダ部材11と光学的に
一体化されている。なお、図4は、図3中に示すスライ
ダ部材11とカタディオプトリックレンズ12とのと接
合部分を拡大して示す要部断面図である。
【0037】すなわち、カタディオプトリックレンズ1
2は、開口部12cが設けられた第2面S2を接合面と
して、光学接着材15を介して、スライダ部材11の光
ディスク4に対する面とは反対側の面に接合されてい
る。そして、カタディオプトリックレンズ12は、スラ
イダ部材11と光学的に一体化されて、近接場光を利用
した光ディスク4に対する信号の記録再生を行うための
光学系を構成している。なお、光学接着材15として
は、レーザービームLの波長域において光透過率が十分
に高く、且つ屈折率が高い材料を用いることが望まし
い。
【0038】補強板13は、剛性を有する材料が略板状
に成形されてなり、スライダ部材11の光ディスク4に
対向する面とは反対側の面に接合されて、このスライダ
部材11の剛性を高めている。換言すると、スライダ部
材11は、補強板13が接合されることによって、その
剛性が高められ、光ディスク4上を浮上する際の撓みの
発生が抑制されるようになされている。また、この補強
板13には、カタディオプトリックレンズ12の外形に
対応した大きさの開口部13aが設けられており、この
開口部13a内にカタディオプトリックレンズ12が収
容されている。
【0039】このヘッドスライダ10は、ハードディス
ク装置において用いられるヘッドスライダと同様に、ヘ
ッド支持バネ9の先端部に、そのピッチ方向及びロール
方向に変位可能に取り付けられる。これにより、ヘッド
スライダ10は、光ディスク4に対する信号の記録再生
を行う際に、光ディスク4の面振れ等に適切に追従し
て、大きな変動を生じさせることなく、光ディスク4の
信号記録面4a上を所定の浮上量で浮上走行することに
なる。
【0040】そして、光ハードディスク装置1では、こ
のヘッドスライダ10が光ディスク4の信号記録面4a
上を浮上走行しながら、ニアフィールド記録と呼ばれる
近接場光を利用した信号の記録再生が行われる。すなわ
ち、光ハードディスク装置1において、ヘッドスライダ
10は、光ディスク4の信号記録面4a上を微小な間隔
で浮上走行しながら、スライダ部材11と光学的に一体
化されたカタディオプトリックレンズ12に入射したレ
ーザービームLを集光させて、この集光されたレーザー
ビームを光ディスク4の信号記録面4aに照射する。
【0041】ここで、カタディオプトリックレンズ12
に入射したレーザービームLは、先ず、凹面屈折面から
なる第1面S1で拡大されて、平面ミラーからなる第2
面S2に入射する。次に、第2面S2に入射したレーザ
ービームLは、この第2面S2で反射され、凹面非球面
ミラーからなる第3面S3に入射する。次に、第3面S
3に入射したレーザービームLは、この第3面S3で反
射され、第2面S2の略中央部に設けられた開口部16
を通して、このカタディオプトリックレンズ12から出
射される。そして、カタディオプトリックレンズ12か
ら出射されたレーザービームLは、光学接着材15を介
して、カタディオプトリックレンズ12と光学的に一体
化されたスライダ部材11に入射し、スライダ部材11
の光ディスク4と対向する面にて焦点が結ばれる。すな
わち、スライダ部材11の光ディスク4と対向する面
が、カタディオプトリックレンズ12により集光された
レーザービームLの焦点面となる。
【0042】このとき、ヘッドスライダ10では、スラ
イダ部材11の光ディスク4と対向する面と、光ディス
ク4の信号記録面4aとの間隔が、レーザービームLの
波長よりも十分小さく、カタディオプトリックレンズ1
2により集光されたレーザービームLが、スライダ部材
11の光ディスク4と対向する面から浸し出しており、
このレーザービームLが、光ディスク4の信号記録面4
aに照射されることになる。
【0043】これにより、光ハードディスク装置1で
は、従来の光ディスク装置の光学系と比べて、光ディス
ク4の信号記録面4aに照射される光のスポット径を小
さくすることができる。
【0044】ところで、カタディオプトリックレンズ1
2により集光されたレーザービームLは、スライダ部材
11と光学接着材15との境界面で屈折する際に、媒質
の異なるこれらスライダ部材11と光学接着材15との
屈折率の違いから、僅かに反射する光が生じることにな
る。このため、スライダ部材11と光学接着材15との
境界面では、反射した光による多重屈折が生じてしま
い、いわゆる迷光と呼ばれる光の散乱が生じることにな
る。
【0045】この場合、光ディスク4の信号記録面4a
に照射されるレーザービームLのスポット径は、迷光の
影響により見かけ上大きなものとなってしまい、このレ
ーザービームLのスポット径を小さくすることにより記
録密度を向上させることが非常に困難なものとなる。
【0046】そこで、このヘッドスライダ10には、図
2及び図3に示すように、光ディスク4と対向する面
に、カタディオプトリックレンズ12により集光された
レーザービームLのスポットの周囲を遮光する遮光マス
ク16が設けられている。
【0047】詳述すると、この遮光マスク16は、図4
に示すように、カタディオプトリックレンズ12の光軸
延長上に位置して設けられた第2の段差部14bの光デ
ィスク4と対向する面上に、例えばクロムからなる遮光
性を有する金属薄膜16aが成膜されるとともに、この
第2の段差部14bの光ディスク4と対向する面にて出
射されるレーザービームLのスポットの周囲を遮光する
ように、このレーザービームLに対応した形状の開口部
16bが金属薄膜16aの一部を除去することにより形
成されてなる。
【0048】遮光マスク16は、遮光性を有する材料に
より形成されていることが望ましく、金属薄膜16aと
して、上述したクロムの他に、金、アルミニウム等を挙
げることができる。また、遮光マスク16の材料として
は、このような金属に限らず、シリコン等の半導体材料
を挙げることができ、可視光を吸収する材料であれば使
用可能である。
【0049】なお、遮光マスク16の金属薄膜16aの
表面には、例えば、ダイヤモンドライクカーボン(DL
C)、Si34、Cr等からなる保護膜が成膜されてお
り、この遮光マスク16を構成する金属薄膜16aの保
護が図られている。
【0050】以上のように、このヘッドスライダ10で
は、光ディスク4と対向する面に、カタディオプトリッ
クレンズ12により集光されたレーザービームLのスポ
ットの周囲を遮光する遮光マスク16が設けられている
ことから、光ディスク4の信号記録面4aに照射される
レーザービームLのスポット以外の光、すなわち迷光が
光ディスク4の信号記録面4aに照射されるのを遮断す
ることができる。
【0051】これにより、ヘッドスライダ10では、光
ディスク4の信号記録面4aに対して、光ディスク4に
対する信号の記録再生を行うのに有効とされる光のみを
照射することができ、光ディスク4の信号記録面4aに
照射される光のスポット径を小さくすることができる。
【0052】したがって、この光ハードディスク装置1
では、記録密度の大幅な向上を図ることができるととも
に、光ディスク4に対する信号の記録再生を適切に行う
ことができる。また、この光ハードディスク装置1で
は、S/N比の大幅な向上を図ることができ、結果とし
て、読取精度の向上、読取速度の増大、記録再生時に使
用されるレーザービームの低出力化等を図ることがで
き、装置の小型化、長寿命化、低コスト化等を実現する
ことができる。
【0053】次に、上述したヘッドスライダ10を製造
する方法について、その製造工程の一例を例示しながら
説明する。
【0054】このヘッドスライダ10を製造する際は、
先ず、図5に示すように、例えばオハラ社製の低軟化点
ガラスL−LAH53からなる約24.5mm角の略正
方形状のスライダ基板30を用意し、このスライダ基板
30の一主面上に、例えば東京応化工業社製のネガ型シ
ートレジストBF−603からなるシートレジスト31
を貼り付ける。このスライダ基板30は、上述したスラ
イダ部材11となるものであり、最終的にスライダ基板
30を切り出すことで個々のヘッドスライダ10が一括
して作製されることになる。
【0055】次に、図6に示すように、シートレジスト
31が貼り付けられたスライダ基板30上に、所定の領
域に開口部32を有するフォトマスク33を被せ、アラ
イナーにより紫外光を照射することにより、シートレジ
スト31を露光する。このフォトマスク33は、上述し
たヘッドスライダ11の第1の段差部14a及び第2の
段差部14bに対応した形状の開口部32a,32bが
複数形成されてなるものである。したがって、シートレ
ジスト31に対しては、これら開口部32を通して紫外
光が照射された部分のみが露光されることになる。な
お、ここでは、紫外光の波長を約365nmとし、露光
量を約250mJ/cm2とした。
【0056】次に、図7に示すように、露光した箇所以
外のシートレジスト31を、例えば約0.3%の炭酸ナ
トリウム水溶液にて溶解して除去する。これにより、ス
ライダ基板30上に、上述したスライダ部材11の第1
の段差部14a及び第2の段差部14bに対応した形状
のレジストパターン31a,31bが所定の間隔で複数
形成されることとなる。
【0057】次に、図8に示すように、このスライダ基
板30上に形成されたレジストパターン31a,31b
をマスクとして、イオンミリング装置によりイオンビー
ムを照射してスライダ基板30をエッチングした後に、
例えば約2.38%の水酸化テトラメチルアンモニウム
水溶液にてレジストパターン31a,31bを溶解して
除去する。これにより、スライダ基板30上に、個々の
スライダ部材11に対応した第1の段差部14a及び第
2の段差部14bが複数形成されることとなる。
【0058】次に、図9に示すように、スライダ基板3
0の第1の段差部14a及び第2の段差部14bが複数
形成された面とは反対側の主面上に、補強基板34を貼
り付ける。この補強基板34は、上述したスライダ部材
11の剛性を高めるための補強板13となるものであ
り、個々のスライダ部材11に対応した位置に、上述し
たカタディオプトリックレンズ12の外形に対応した大
きさの開口部13aが複数形成されてなる。
【0059】次に、図10に示すように、補強基板34
の個々の開口部13a内において、カタディオプトリッ
クレンズ12を上述した光学接着材15(図10におい
て図示せず。)を用いてスライダ基板30に貼り付け
る。これにより、個々のカタディオプトリックレンズ1
2とスライダ基板30とが、光学接着材15を介して接
合され、光学的に一体化されることとなる。
【0060】次に、図11に示すように、スライダ基板
30の第1の段差部14a及び第2の段差部14bが複
数形成された面上に、例えば東京応化工業社製のネガ型
フォトレジストOMR−83をスピンコータにより塗布
し、例えば厚さ約1μmとなるレジスト層35を形成す
る。そして、フォトリソグラフィ技術により、このスラ
イダ基板30に貼り付けられたカタディオプトリックレ
ンズ12を通して、例えば約5mWの青色レーザー光を
60秒照射する。これにより、レジスト層35は、これ
らカタディオプトリックレンズ12を通して青色レーザ
ー光が照射された部分のみが露光されることとなる。す
なわち、このレジスト層35は、ヘッドスライダ部材1
1の光ディスク4と対向する面にて出射されたレーザー
ビームLのスポットに対応した部分のみが露光されるこ
ととなる。
【0061】次に、図12に示すように、露光した箇所
以外のレジスト層35を、例えば0.3%の炭酸ナトリ
ウム水溶液により溶解して除去する。これにより、スラ
イダ基板30の個々の第2の段差部14bに対応した位
置に、この第2の段差部14bの光ディスク4と対向す
る面にて出射されるレーザービームLのスポットに対応
した形状のレジストパターン35aが形成されることと
なる。そして、このレジストパターン35aが形成され
たスライダ基板30を洗浄して乾燥させた後、例えば約
120℃で約30分間加熱することにより、このレジス
トパターン35aを硬化させる。
【0062】次に、図13に示すように、このレジスト
パターン35aが形成されたスライダ基板30の個々の
第2の段差部14b上に、例えば厚さ約100nmのC
rからなる金属薄膜16aをスパッタリングにより成膜
する。
【0063】次に、図14に示すように、例えば約2.
38%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて、
レジストパターン35a上に堆積した金属薄膜16aと
ともに、このレジストパターン35aを溶解して除去す
る。これにより、光ディスク4に対する信号の記録再生
時に、上述した第2の段差部14bの光ディスク4と対
向する面にて出射されるレーザービームLのスポットの
周囲を遮光するように、このレーザービームLに対応し
た形状の開口部16bが形成された金属薄膜16aから
なる遮光マスク16が形成されることとなる。
【0064】そして、このヘッドスライダ10が複数形
成されているスライダ基板30を、ディスクカッタで個
々のヘッドスライダ10として切り出すことにより、図
2及び図3に示すようなヘッドスライダ10が複数作製
される。
【0065】以上のように、本手法では、スライダ基板
30のカタディオプトリックレンズ12が接合された面
とは反対側の面上に、レジスト層35を形成した後、こ
のレジスト層35をカタディオプトリックレンズ12を
通して照射された青色レーザー光により露光することか
ら、スライダ基板30の個々の第2の段差部14bに対
応した位置に、この第2の段差部14bの光ディスク4
と対向する面にて出射される青色レーザー光のスポット
に対応した形状のレジストパターン35aを精度良く形
成することができる。
【0066】そして、このレジストパターン35aを用
いて、スライダ基板30の個々の第2の段差部14bに
対応した位置に、遮光性を有する金属薄膜16aをリフ
トオフ形成することにより、光ディスク4に対する信号
の記録再生時に、スライダ部材11の光ディスク4と対
向する面にて出射されるレーザービームLのスポットの
周囲を的確に遮光する遮光マスク16を、高精度且つ簡
便に形成することができる。
【0067】ここで、本手法により作製されたヘッドス
ライダ10の遮光マスク16を通して照射されるレーザ
ービームのスポットの画像を図15に示す。また、この
ような遮光マスク16が設けられていないヘッドスライ
ダを用いた場合のレーザービームのスポットの画像を図
16に示す。
【0068】図15及び図16から明らかなように、遮
光マスク16を通して照射されるレーザービームのスポ
ットは、遮光マスク16が設けられていないレーザービ
ームのスポットと比べて、光ディスク4の信号記録面に
照射されるレーザービームLのスポット以外の光、すな
わち迷光が適切に遮断されており、レーザービームのス
ポットが小さくなっているのがわかる。
【0069】したがって、本手法により作製されたヘッ
ドスライダ10では、光ディスク4の信号記録面4aに
対して、光ディスク4に対する信号の記録再生を行うの
に有効とされるレーザービームLのみを照射することが
でき、光ディスク4の信号記録面4aに照射されるレー
ザービームのスポット径を小さくすることができる。
【0070】そして、光ハードディスク装置1では、こ
のようなヘッドスライダ10を用いることにより、記録
密度の大幅な向上を図ることができるとともに、光ディ
スク4に対する信号の記録再生を適切に行うことができ
る。
【0071】ここで、上述したヘッドスライダ10を製
造する際に、遮光マスク16を形成する工程において、
別の手法により遮光マスク16を形成した場合について
説明する。
【0072】ここでは、遮光マスク16を形成するに際
し、先ず、スライダ基板30の第1の段差部14a及び
第2の段差部14bが複数形成された面上に、例えば東
京応化工業社製のネガ型フォトレジストOMR−83を
スピンコータにより塗布し、例えば厚さ約1μmとなる
レジスト層35を形成する。
【0073】次に、このレジスト層35が形成されたス
ライダ基板30上に、光ディスク4に対する信号の記録
再生時に、スライダ部材11の光ディスク4と対向する
面にて出射されるレーザービームLのスポットに対応し
た、例えば直径約0.1μmの略円形状の開口部を有す
るガラスマスクを被せる。そして、レジスト層に対し
て、このガラスマスクの開口部を通してパターニングさ
れた部分のみを露光する。
【0074】次に、露光した箇所以外のレジスト層35
を、例えば約0.3%の炭酸ナトリウム水溶液により溶
解して除去する。これにより、スライダ基板30上に、
光ディスク4に対する信号の記録再生時に、スライダ部
材11の光ディスク4と対向する面にて出射されるレー
ザービームLのスポットに対応した形状のレジストパタ
ーン35aが形成される。そして、このレジストパター
ン35aが形成されたスライダ基板30を洗浄して乾燥
させた後、例えば約120℃で約30分間加熱すること
により、このレジストパターンを硬化させる。
【0075】次に、このレジストパターン35aが形成
されたスライダ基板30の第2の段差部14b上に、例
えば厚さ約100nmとなるCrからなる金属薄膜16
aをスパッタリングにより成膜する。
【0076】次に、例えば約2.38%の水酸化テトラ
メチルアンモニウム水溶液にて、レジストパターン35
a上に堆積した金属薄膜16aとともに、このレジスト
パターン35aを溶解して除去する。これにより、光デ
ィスク4に対する信号の記録再生時に、上述した第2の
段差部の光ディスク4と対向する面にて出射されるレー
ザービームLのスポットの周囲を遮光するように、この
レーザービームLに対応した形状の開口部16bが形成
された金属薄膜16aからなる遮光マスク16が形成さ
れることとなる。
【0077】以上のように別の手法により作製された遮
光マスク16を通して照射されるレーザービームのスポ
ットの画像を図17に示す。
【0078】図17に示すように、別の手法により作製
された遮光マスク16を通して照射されるレーザービー
ムのスポットは、図15に示す本手法により作製された
遮光マスク16を通して照射されるレーザービームのス
ポットと比べて、光ディスク4の信号記録面に照射され
るレーザービームLのスポット以外の光、すなわち迷光
が適切に遮断されておらず、このレーザービームのスポ
ット径が僅かに大きくなっているのがわかる。
【0079】これは、遮光マスク16を作製する際に、
スライダ部材11の光ディスク4と対向する面にて出射
されるレーザービームLのスポット位置と、ガラスマス
クに設けられた開口部の位置とが僅かにずれてしまうこ
とに起因する。
【0080】このような作製誤差による位置ずれを解消
する方法としては、レーザービームLのスポット位置と
ガラスマスクに設けられた開口部の位置との位置ずれを
見越して、ガラスマスクに設けられた開口部を大きくし
て、作製される遮光マスク16の開口部16bを大きく
することが考えられる。しかしながら、遮光マスク16
の開口部16が大きくすると、作製誤差による位置ずれ
を解消できたとしても、迷光を遮断する効果は却って小
さくなってしまう。
【0081】逆に、ガラスマスクに設けられた開口部を
小さくして、作製される遮光マスク16の開口部16b
を小さくすると、迷光の遮断効果が大きくなるものの、
最悪の場合、スライダ部材11の光ディスク4と対向す
る面にて出射されるレーザービームLのスポットが遮断
されてしまい、光ディスク4に対する適切な信号の記録
再生を行うことができなくなってしまう。
【0082】したがって、上述した本手法のように、ス
ライダ基板30のカタディオプトリックレンズ12が接
合された面とは反対側の面上に、レジスト層35を形成
した後、このレジスト層35をカタディオプトリックレ
ンズ12を通して照射された青色レーザー光により露光
することは、光ディスク4に対する信号の記録再生時
に、スライダ部材11の光ディスク4と対向する面にて
出射されるレーザービームLのスポットの周囲を的確に
遮光する遮光マスクを、高精度且つ簡便に作製する上で
大変有効である。
【0083】なお、上述したヘッドスライダ10は、ス
ライダ部材11とカタディオプトリックレンズ12とが
光学接着材15を介して接合させることにより、光学的
に一体化された構成とされるが、このような構成に必ず
しも限定されるものではない。例えば、スライダ部材1
1とカタディオプトリックレンズ12とをモールド成形
等により、一体に成形したものであってもよい。
【0084】また、上述したヘッドスライダ10におい
ては、例えばアルチック(Al23−TiC)等の硬質
の非磁性部材からなるスライダ部材を用いてもよい。こ
の場合、スライダ部材には、厚み方向に貫通する孔部が
穿設され、この孔部内に光学レンズが埋め込まれるよう
に接合される。また、このようなスライダ部材の材料と
して、上述したアルチックの他に、無機材料の酸化物、
窒化物、炭化物等を挙げることができる。具体的には、
立方晶系酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、
二酸化ケイ素、炭化ホウ素等を挙げることができる。ま
た、基板表面に硬質保護膜を形成した場合には、金属、
プラスチック等の比較的軟らかい材料も使用可能とな
る。
【0085】なお、上述した光ディスク装置1におい
て、光ディスク4として光磁気ディスクを用いる場合に
は、記録時にこの光磁気ディスクに磁界を印加させるた
めの磁界発生手段が設けられる。この磁界発生手段は、
ヘッドスライダ10とは別体に設けられていてもよい
が、光ディスク装置1の小型化や構成の簡素化を図るた
めには、ヘッドスライダ10と一体に設けられることが
望ましい。この場合、磁界発生手段は、例えば、スライ
ダ部材11の光ディスク4と対向する面4a側に、レー
ザービームLの焦点位置の周りを巻回するように埋設さ
れた薄膜コイル等より構成される。
【0086】なお、以上は、光ディスク4に照射するレ
ーザービームLを集光するための光学レンズとしてカタ
ディオプトリックレンズ12を用いたヘッドスライダ1
0を例に挙げて説明したが、本発明は、以上の例に限定
されるものではなく、例えばソリッドイマージョンレン
ズ等、他のレンズを光学レンズとして用いる場合にも適
用可能である。
【0087】以上は、近接場光を利用して光ディスク4
に対する信号の記録再生を行うヘッドスライダ10を例
に挙げて説明したが、本発明は、近接場光を利用しない
場合にも広く適用可能であることは勿論である。
【0088】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る光学ヘッド用スライダでは、記録媒体と対向する面に
光学レンズにより集光された光のスポットの周囲を遮光
するマスクが設けられていることから、記録媒体に照射
される光のスポット以外の光が記録媒体に照射されるの
を遮断することができ、記録媒体に対して信号の記録及
び/又は再生を行うのに有効とされる光のみを照射する
ことができる。
【0089】したがって、この光学ヘッド用スライダで
は、記録媒体に照射される光のスポット径を小さくする
ことができ、記録密度の大幅な向上を図ることができ
る。
【0090】また、本発明に係る光学ヘッド用スライダ
の製造方法では、光学レンズが接合されたスライダ部材
の記録媒体と対向する面上に、レジスト層を形成した
後、光学レンズ側から光を入射し、記録媒体と対向する
面にて出射された光のスポットにより当該レジスト層を
露光することから、記録媒体と対向する面上に、当該記
録媒体と対向する面にて出射される光のスポットに対応
した形状のレジストパターンを形成することができる。
したがって、本手法では、このレジストパターンを用い
て、記録媒体と対向する面上に、遮光性を有する薄膜を
リフトオフ形成することにより、記録媒体に対する信号
の記録及び/又は再生時に、記録媒体と対向する面にて
出射される光のスポットの周囲を的確に遮光する遮光マ
スクを、高精度且つ簡便に形成することができる。
【0091】また、本発明に係る光ディスク装置では、
ヘッドスライダの記録媒体と対向する面に、光学レンズ
により集光された光のスポットの周囲を遮光する遮光マ
スクが設けられていることから、記録媒体に照射される
光のスポット以外の光が記録媒体に照射されるのを遮断
することができ、記録媒体に対して信号の記録及び/又
は再生を行うのに有効とされる光のみを照射することが
できる。
【0092】したがって、この光ディスク装置では、記
録媒体に照射される光のスポット径を小さくすることが
でき、記録密度の大幅な向上を図るとともに、記録媒体
に対する信号の記録及び/又は再生を適切に行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光ハードディスク装置の一例
を示す概略斜視図である。
【図2】同光ハードディスク装置を構成するヘッドスラ
イダの一例を示す図であり、このヘッドスライダを光デ
ィスクと対向する面側から見た平面図である。
【図3】図2中線分A−A’で切断した断面図である。
【図4】図3中に示すスライダ部材とカタディオプトリ
ックレンズとのと接合部分を拡大して示す要部断面図で
ある。
【図5】ヘッドスライダの製造工程を示す図であり、ス
ライダ基板上にシートレジストを貼り付ける状態を示す
平面図である。
【図6】ヘッドスライダの製造工程を示す図であり、シ
ートレジストが貼り付けられたスライダ基板上に、フォ
トマスクを被せる状態を示す平面図である。
【図7】ヘッドスライダの製造工程を示す図であり、ス
ライダ基板上にレジストパターンを形成した状態を示す
平面図である。
【図8】ヘッドスライダの製造工程を示す図であり、ス
ライダ基板上に個々のスライダに対応した段差部を複数
形成した状態を示す平面図である。
【図9】ヘッドスライダの製造工程を示す図であり、ス
ライダ基板上に補強基板を貼り付ける状態を示す平面図
である。
【図10】ヘッドスライダの製造工程を示す図であり、
補強基板が貼り付けられたスライダ基板にカタディオプ
トリックレンズを貼り付けた状態を示す斜視図である。
【図11】ヘッドスライダの製造工程を示す図であり、
スライダ基板にレジスト層を形成した状態を示す平面図
である。
【図12】ヘッドスライダの製造工程を示す図であり、
スライダ基板の第2の段差部上にレジストパターンが形
成された状態を示す要部断面図である。
【図13】ヘッドスライダの製造工程を示す図であり、
レジストパターンが形成されたスライダ基板の第2の段
差部上に金属薄膜を成膜した状態を示す要部断面図であ
る。
【図14】ヘッドスライダの製造工程を示す図であり、
スライダ基板の第2の段差部上に遮光マスクが形成され
た状態を示す要部断面図である。
【図15】本手法により作製されたヘッドスライダの遮
光マスクを通して照射されるレーザービームのスポット
の画像を示す図である。
【図16】遮光マスク16が設けられていないヘッドス
ライダを用いた場合のレーザービームのスポットの画像
を示す図である。
【図17】別の手法により作製された遮光マスクを通し
て照射されるレーザービームのスポットの画像を示す図
である。
【図18】従来の光学ヘッド用スライダの一例を示す断
面図である。
【図19】図18中に示すカタディオプトリックレンズ
とスライダ部材との接合部分を拡大して示す要部断面図
である。
【符号の説明】
1 光ハードディスク装置、4 光ディスク、4a 信
号記録面、10 ヘッドスライダ、11 スライダ部
材、12 カタディオプトリックレンズ、14a第1の
段差部、14b 第2の段差部、15 光学接着材、1
6 遮光マスク、16a 金属薄膜、16b 開口部、
30 スライダ基板、35 レジスト層、35a レジ
ストパターン

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 近接場光を利用して記録媒体に対する信
    号の記録及び/又は再生を行う光学ヘッドに用いられる
    光学ヘッド用スライダにおいて、 記録媒体に対する信号の記録及び/又は再生時に、上記
    記録媒体上を浮上走行するスライダ部材と、 上記スライダ部材に接合された光学レンズとを備え、 上記記録媒体と対向する面には、上記光学レンズにより
    集光された光のスポットの周囲を遮光する遮光マスクが
    設けられていることを特徴とする光学ヘッド用スライ
    ダ。
  2. 【請求項2】 上記光学レンズは、カタディオプトリッ
    クレンズであることを特徴とする請求項1記載の光学ヘ
    ッド用スライダ。
  3. 【請求項3】 上記スライダ部材は、光透過性を有する
    部材からなることを特徴とする請求項1記載の光学ヘッ
    ド用スライダ。
  4. 【請求項4】 上記スライダ部材と上記光学レンズとが
    一体に成形されてなることを特徴とする請求項3記載の
    光学ヘッド用スライダ。
  5. 【請求項5】 上記記録媒体と対向する面には、上記光
    学レンズの光軸延長上に位置して、空気潤滑面を構成す
    る段差部が設けられていることを特徴とする請求項1記
    載の光学ヘッド用スライダ。
  6. 【請求項6】 近接場光を利用して記録媒体に対する信
    号の記録及び/又は再生を行う光学ヘッドに用いられる
    光学ヘッド用スライダの製造方法であって、 光学レンズが接合されたスライダ部材の上記記録媒体と
    対向する面上に、レジスト材料を塗布することによりレ
    ジスト層を形成する工程と、 フォトリソグラフィ技術を用いて、上記光学レンズ側か
    ら光を入射し、上記記録媒体と対向する面にて出射され
    た光のスポットにより上記レジスト層を露光する工程
    と、 上記露光された箇所以外のレジスト層を現像液にて溶解
    して除去することにより、上記光のスポットに対応した
    形状のレジストパターンを形成する工程と、 上記レジストパターンが形成された上記記録媒体と対向
    する面上に、遮光性を有する薄膜を形成する工程と、 上記レジストパターン上に堆積した薄膜とともに、当該
    レジストパターンを除去する工程とを有することを特徴
    とする光学ヘッド用スライダの製造方法。
  7. 【請求項7】 近接場光を利用して記録媒体に対する信
    号の記録及び/又は再生を行う光学ヘッドを備えた光デ
    ィスク装置において、 上記光学ヘッドは、回転操作される上記記録媒体上を走
    査するヘッドスライダと、このヘッドスライダを支持す
    る支持アームとを備え、 上記ヘッドスライダは、記録媒体に対する信号の記録及
    び/又は再生時に、上記記録媒体上を浮上走行するスラ
    イダ部材と、上記スライダ部材に接合された光学レンズ
    とを有し、上記記録媒体と対向する面に、上記光学レン
    ズにより集光された光のスポットの周囲を遮光する遮光
    マスクが設けられていることを特徴とする光ディスク装
    置。
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KR100429973B1 (ko) * 2001-10-16 2004-05-03 엘지전자 주식회사 근접장 광기록재생장치
KR100459401B1 (ko) * 2002-02-20 2004-12-03 엘지전자 주식회사 고밀도 광기록재생장치의 광헤드모듈, 그 제조방법
JP2008090954A (ja) * 2006-10-03 2008-04-17 Seiko Instruments Inc 近接場光ヘッド、近接場光アシスト磁気記録ヘッド、及び近接場光ヘッドの製造方法

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