JP2001236026A - 表示用蛍光体、表示用蛍光体の製造方法、および該表示用蛍光体を使用した電界放出表示素子 - Google Patents

表示用蛍光体、表示用蛍光体の製造方法、および該表示用蛍光体を使用した電界放出表示素子

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JP2001236026A
JP2001236026A JP2000043426A JP2000043426A JP2001236026A JP 2001236026 A JP2001236026 A JP 2001236026A JP 2000043426 A JP2000043426 A JP 2000043426A JP 2000043426 A JP2000043426 A JP 2000043426A JP 2001236026 A JP2001236026 A JP 2001236026A
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fine particles
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conductive
electrode
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Application number
JP2000043426A
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English (en)
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Okitoshi Kimura
興利 木村
Yasuyuki Takiguchi
康之 滝口
Tadao Katsuragawa
忠雄 桂川
Toshiharu Murai
俊晴 村井
Hiroyuki Takahashi
裕幸 高橋
Tomohiro Inoue
智博 井上
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電着するために印加する電圧が低く、蛍光層
中に不純物(発光を阻害し、発光効率を落とす要因物)
が残りにくく、蛍光層のパターンニングが容易な電気化
学的方法によって作製された表示用蛍光体と該表示用蛍
光体の製造方法。 【解決手段】 1.蛍光層構成材料の少なくとも1種を
内包したミセルを含む液媒体中に1対の導電性基板を浸
漬し、電界を印加することにより所望の部位に表示用蛍
光層を形成したことを特徴とする表示用蛍光体、および
2.蛍光層構成材料の少なくとも1種を内包したミセル
を含む液媒体中、少なくとも蛍光体微粒子及び導電性微
粒子を内包したミセルを含む液媒体中、少なくとも導電
性微粒子を内包するミセルと蛍光体微粒子を含む液媒体
中または少なくともを蛍光体微粒子を内包するミセルと
導電性微粒子を含む液媒体中に少なくとも1対の導電性
基板を浸漬し、電界を印加することにより所望の部位に
表示用蛍光層を形成したことを特徴とする表示用蛍光体
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示用蛍光体、表
示用蛍光体の製造方法、該表示用蛍光体を使用した電界
放出表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の電子機器の薄型化、軽量化の進歩
は目覚ましいものがあり、マンインターフェイスを支え
る表示装置にも薄型、軽量等の高性能化が要求されてき
ている。このような要望の中、薄さ、軽さ、視野角、応
答速度、解像度、作動動作範囲等においてCRTや液晶
より総合的に優れる表示素子として電界放出表示素子の
研究が盛んにおこなわれている。電界放出表示素子はC
RTと同じく電子線励起蛍光体発光を利用したもので、
CRTの優れた特性を維持しつつ液晶なみ、あるいはそ
れ以上の高精細、低消費電力を実現できる平面型表示素
子として期待されるものである。このような表示素子の
カラー化(単色、多色)を支える技術として蛍光体が存
在する。
【0003】蛍光体層を製造するにあたっては、従来、
沈殿法、印刷法、電着法等が知られている。この内、電
着法は例えば特公昭57−55172、特開昭50−7
3560、特開平11−67087に記載される方法で
あるが、基板上に形成された導電パターン通りに蛍光体
層を形成できるため、駆動用電極とのアライメントが必
要ないという利点や印刷法などと比較した時、材料の損
失が少ない特徴を有している反面、電着するために印加
する電圧が数百ボルトと高いこともあり、蛍光層中に不
純物(発光を阻害し、発光効率を落とす要因物)が残り
やすく(副反応が電圧が高いため起りやすい)、また分
散媒体が有機溶剤であるため、安全面、コスト面の問題
を有している。
【0004】また、電子線励起蛍光体層の別な問題とし
て蛍光体層の導電化があげられる。蛍光層は電子を受け
て発光するため陽極に設置されるが、蛍光層の導電性が
悪いと蛍光体粒子表面がマイナスに帯電することにな
り、励起するための電子線による電流が流れなくなり最
終的には発光不能となってしまう。蛍光体自身が電気伝
導度に優れたものを使用すれば良いが、導電性に優れる
蛍光体はZnO/Zn程度しかなく、緑白発光のみであ
れば良いが、多色表示をしようとした場合、導電性にす
ぐれる他の蛍光体がないのが現状である。このため、実
際の蛍光層の作製においては蛍光体に導電性を付与する
ために蛍光体粒子と導電性粒子を混合して使用したり
(特開昭52−23913、特開昭52−23916、
特開昭52−23911)、蛍光体表面に導電性微粒子
を複合化したり(特公平7−47732、特開平10−
212473)して蛍光層を導電化している。しかしな
がら、前者の方法は導電体の使用量が最低でも蛍光層に
対して10%と添加量が多いため非発光物質である導電
性粒子が蛍光体の発光の邪魔になり十分な輝度が得られ
ないとともに、蛍光層のパターンニングに対してなんら
考慮はされていない。後者の方法は導電粒子の使用量も
比較的少なく、その粒径も考慮されているが、蛍光体粒
子と導電体粒子の複合物を作製するための工程がふえ、
蛍光層作製の工程が煩雑になるとともに蛍光層のパター
ンニングに対してなんら考慮はされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、
(1)電着するために印加する電圧が低く、蛍光層中に
不純物(発光を阻害し、発光効率を落とす要因物)が残
りにくく、蛍光層のパターンニングが容易な電気化学的
方法によって作製された表示用蛍光体と該表示用蛍光体
の製造方法、および(2)十分な輝度を持ち、かつ導電
性粒子の割合の制御された導電性蛍光層を一工程で作製
されたパターンニングが容易な表示用蛍光体と該表示用
蛍光体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題の
解決手段を種々検討した結果、蛍光体構成材料の少なく
とも1種を内包したミセルを含む液媒体中に少なくとも
1対の導電性基板を浸漬し、電界を印加し所望の部位に
表示用蛍光体層を形成することにより前記(1)の目的
が達成されることを見出し、また、蛍光体および導電性
微粒子の内、少なくとも1種の微粒子を内包するミセル
を含む液媒体に少なくとも1対の導電性基板を浸漬し、
電界を印加して所望の部位に蛍光体/導電性微粒子を複
合化することにより、前記(2)の目的が達成されるこ
とを見出し、本発明に到達することができた。
【0007】本発明で用いる「ミセルを含む液媒体中少
なくとも一対の導電性基板を浸漬し電界を印加する方
法」(以後ミセル電解法とも呼ぶ)は、例えば特公平3
−59998等に開示されている。前記ミセル電解法
は、具体的にはフェロセンのような酸化還元可能な部位
をもつ界面活性剤(ミセル化剤)により作製されている
ミセルが、電極表面で酸化あるいは還元をうけミセルが
崩壊し、ミセル内部の物質が電極表面に堆積するもので
ある。このミセル電解法は、本質的に電気化学反応を利
用しているため、前述したように電極部に選択的に目的
物を堆積させることが可能であり、印刷法等による蛍光
層の作製方法に対して、本発明の方法によると、電極と
のアライメントが不用という利点がある。また、電着法
としては特公昭57−55172、特開昭50−735
60および特開平11−67087等が知られている
が、これらの方法は電気泳動を利用するものであり、電
着するために印加する電圧が数百ボルトと高いため(粒
子の電気泳動の移動度が小さく高電圧が必要なため)、
蛍光層中に不純物が残りやすい(副反応がおこりやす
い)、また分散媒体が有機溶剤であるため、安全面、コ
スト面の問題を有しているが、本発明で採用する酸化還
元電位によるミセル電解法反応では、低い電圧(数V)
で選択的に目的物を堆積させること、および液媒体に水
を用いることが基本的に可能であるので、有機溶媒を用
いた場合でも低い電圧で実施することが可能であるた
め、本発明によると、コスト面、安全面にも優れた表示
用蛍光体が得られる。
【0008】本発明で言う蛍光層構成材料とは、主に蛍
光体、導電体、接着剤(結着剤)等であるが、蛍光層を
構成するのに必要な材料であり、かつミセル電解法に適
用できるもの(ミセル化可能なもの)であれば使用可能
である。また、ミセル化される蛍光層構成材料は構成材
料の各々が複合化されたものでもかまわない(例えば蛍
光体と導電体の複合粒子)。本発明に使用する蛍光層構
成材料としては、主に蛍光体微粒子が挙げられる。蛍光
体微粒子としては特に制限は無いが、目的とする発光色
によって選択されるものであり、また、設定される(使
用される)加速電圧において、より高い輝度を安定して
得られるものを選択することが好ましい。具体的には赤
色としては、Y:Eu、YS:Eu、YV
:Eu、緑色としてはZnO:Zn、青色としては
SiO:Ce、ZnS:Ag、CaWO等が使用
できるがこれに限るものではない。
【0009】本発明で使用する導電体構成材料として
は、主に導電体微粒子が挙げられる。導電体微粒子とし
ては金属、金属酸化物、金属窒化物、導電性有機物が使
用可能である。より具体的にはAu、Pt、Ag、C
u、Fe、Al、Ti等の金属粒子、In、Sn
、ZnO、CdO、TiO、In−Sn、
SnO−Sbなどの酸化物、TiN、ZrNなどの窒
化物、グラファイト、導電性高分子等の有機物をあげる
ことができる。前記導電性物質は、蛍光層への導電性の
付与をミセル電解法にて行う場合や、導電粒子を基板に
設置したあと、他の蛍光層構成材料をミセル電解法で電
極部に堆積させる場合には、ミセルが崩壊する電位にお
いて電気化学的に安定であることが必要である。たとえ
ば、酸化によりミセルが崩壊する場合、その崩壊電位よ
り使用する金属が貴な酸化還元電位をもっていることが
必要である。その崩壊電位より使用する金属が卑な電位
の場合溶解してしまう。
【0010】本発明において蛍光層構成材料として使用
される接着剤は、主に蛍光体と導電体との接着や、蛍光
体や導電体と電極基板との密着性を向上させるために使
用するものであり、具体的にはポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドンが使用可能である。
【0011】本発明で使用する蛍光体構成材料は、各々
が複合化されたものでも良く、具体的には、例えば蛍光
体粒子表面に導電粒子を複合化したものが挙げられる。
前記蛍光体粒子表面に導電性粒子を複合化する方法とし
ては、例えば水ガラス(KO・SiO)を蛍光体分
散液に添加した液と、導電性粒子分散液に水ガラス添加
した液を混合し、この混合分散液に金属塩を添加するこ
とにより硼酸塩の析出をともないながら蛍光体粒子と導
電性粒子を接着させることができる。また、蛍光体およ
び導電性粒子の分散液にポリアクリルアミド等の高分子
材料を添加することによっても蛍光体粒子と導電性粒子
を複合させることができる。
【0012】本発明に使用するミセル化剤は界面活性剤
であり、分子鎖中に親水部と疎水部を有するとともに酸
化還元反応が可能な部位を有するものである。親水部と
しては非イオン性(ポリエチレングリコール型、多価ア
ルコール型)、カチオン性(アミン塩型、アンモニウム
塩型)、アニオン性(カルボン酸塩型、スルホン酸塩
型、硫酸エステル塩型、リン酸エステル塩型)、両性
(アミノ酸型、ベタイン型)のいずれも選択可能であり
ミセル化される材料、分散媒体により適宜選択される物
である。疎水部としては炭化水素鎖(直鎖型、分岐
型)、ハロゲン化炭化水素鎖(直鎖型、分岐型)が選択
できるが、ミセル化される材料、分散媒体により適宜選
択されるものである。酸化還元部は疎水部に位置するこ
とも、親水部に位置することも可能であるが、親水部の
場合は生成するミセルが逆ミセルであることが必要であ
り、したがってミセル化するための液媒体は比較的極性
の少ない有機溶媒が選択されることが必要である。ま
た、酸化還元部が疎水部に位置する場合は、ミセルは通
常のミセルであることが必要で、したがってミセル化す
るための液媒体は比較的極性の大きい水性媒体を選択す
ることが必要である。酸化還元部が疎水部あるいは親水
部を兼ねる場合には、上述したような親水部や疎水部を
必ずしも持つ必要はない。酸化還元可能な部位として
は、具体的には、酸化還元可能な部位がメタロセン、メ
タロセン誘導体よりなるものが好ましく、特に好ましく
はフェロセン、フェロセン誘導体である。
【0013】ミセルを形成する液媒体としては、水、ア
ルコール、アセトン、シリコンオイル、アイソパー等あ
るいはこれらの混合物が使用できる。本発明に利用され
るミセルが通常のミセル(逆ミセルではない)の場合は
分散媒体が水性媒体であるため、被ミセル化物(界面活
性剤により乳化される物質:ここでは蛍光層構成材料)
はその表面が疎水性であることが必要である。逆に本発
明に利用されるミセルが逆ミセルの場合は分散媒体が比
較的極性のない有機溶媒であるため、被ミセル化物はそ
の表面が親水性であることが必要である。被ミセル化物
(蛍光層構成材料)の表面が親水性の場合は逆ミセルを
形成することになるが、蛍光層構成材料の表面を疎水部
を持つカップリング剤(シラン系、チタネート系、アル
ミネート系、ジルコニア系)たとえば、イソプロピル
(ジオクチルホスフェート)チタネートにより処理した
り、蛍光層構成材料表面の水酸基に還流脱水法等により
アルコールを反応させアルコキシ基を導入することによ
り蛍光層構成材料の表面を疎水性にして通常のミセルを
作製することができる。もちろんその逆も可能で、疎水
性を有する表面を親水部を持つカップリング剤によって
処理し表面を親水性にして使用することもできる。しか
しながら、表面処理等の余分な工程を経ず直接ミセル化
することが好ましく、特に本発明で使用する蛍光材料は
その表面が親水性のものが多いため、非水溶媒中、逆ミ
セルを作製しミセル電解をおこなうことが好ましい態様
である。
【0014】ミセル電解液中には、液媒体の電気伝導度
を調節するために、必要に応じて支持電解質が添加され
る。この支持電解質としては、アルカリ金属、アルカリ
土類金属、などの硫酸塩、ハロゲン化物、酢酸塩、水溶
性酸化物など、一般に広く用いられているものが用いら
れるが、印加電界により分解するものや酸素、水素を発
生させるもの、ミセルの生成を阻害したり、凝集をおこ
させたりするものであってはならない。ミセルの凝集を
起こさせることなくより多く塩を添加できる(電気伝導
度をあげられる)塩が好ましい。このような塩は、より
電荷数の小さいイオンの組み合わせが好ましく、具体的
にはアルカリ金属と1価のアニオンとの組み合わせが最
も好ましい。上記材料を用いて、ミセル電解液を調製す
るには、液媒体中に蛍光層構成材料、酸化還元可能な界
面活性剤、必要に応じて、支持電解質などを入れて、ホ
モジナイザー、三本ロールミル、サンドミル、パールミ
ル、スターラーなどの分散方法で、均一に分散、あるい
は可溶化する。ここで、界面活性剤濃度は臨界ミセル濃
度以上の量を添加することが必要である。
【0015】本発明の蛍光層の作製方法としては、蛍光
層構成材料の各々を別々にミセル電解液を作製したの
ち、別々に電解反応させても良いし、蛍光層構成材料の
各々を混合して作製した電解液(複数の被ミセル化物を
最初から一つの電解液として調整したもの)を電解反応
させてもよい。前記の混合して電解反応する場合は、あ
らかじめ所望する処方(各材料の割合)に調整しておく
ことが必要である。別々に電解反応する場合は、もっと
も保存安定性のよい電解液を別々につくり電解印加時間
で電着量を制御する方法が好ましい。蛍光層構成材料を
別々にミセル化する場合、その材料に適するミセル化剤
を使用して作製することが好ましい。さらに酸化還元電
位が異なるミセル化剤にて蛍光層構成材料の各々を(た
とえば蛍光体と導電体)ミセル化した電解液を混合して
使用する場合においては、印加する電位により優勢に崩
壊するミセルを選択でき、1回の電解反応で蛍光層中の
蛍光層構成材料の割合に傾斜をもたせることが可能であ
る。ミセル電解反応の条件としては、用いる界面活性剤
の酸化還元電位以上で、溶媒や電解質の分解電位以下の
電位で行なうことが必要で定電位、定電圧、定電流いず
れの電解方法も使用可能である。以上の記載により、ミ
セル電解法による本発明の前記(1)の目的を達成する
ための構成、動作、利点を中心に説明したが、以下本発
明の前記(2)の目的を達成するための構成、動作、利
点を中心に説明する。
【0016】前記(2)の主な目的は、十分な輝度を持
った導電性蛍光層を所望の部位に、一工程で前記電気化
学的手法により作製するとともに導電性粒子の割合の制
御された蛍光層を提供することである。上記目的を達成
する構成としては、例えば下記(A)と(B)の構成が
挙げられる。 (A)少なくとも蛍光体微粒子及び導電性微粒子を内包
したミセルを含む液媒体中に少なくとも1対の導電性基
板を浸漬し電界を印加することにより所望の部位に蛍光
体/導電性微粒子を複合化することである。これは前述
したが蛍光層構成材料の各々を別々にミセル電解液を作
製したのち、作製した電解液を混合して電解反応させる
ものである(複数の被ミセル化物を最初から一つの電解
液として調整してもよい)。この場合電解反応液はあら
かじめ所望する処方(各材料の割合)に調整しておくこ
とにより導電性粒子の割合の制御された蛍光層を作製す
ることができる。あるいは、酸化還元電位が異なるミセ
ル化剤にて蛍光体と導電体の各々をミセル化した電解液
を混合して使用すれば、印加する電位により優勢に崩壊
するミセルを選択でき、1回の電解反応で蛍光層中の蛍
光体と導電体の割合に傾斜をもたせることが可能であ
る。
【0017】(B)少なくとも蛍光体微粒子を内包する
ミセルと導電性微粒子を含む液媒体、あるいは少なくと
も導電性微粒子を内包するミセルと蛍光体微粒子を含む
液媒体に少なくとも1対の導電性基板を浸漬し電界を印
加することにより所望の部位に蛍光体微粒子/導電性微
粒子を複合化することにより達成される。前記二つの分
散液(蛍光体微粒子を内包するミセルと導電性微粒子を
含む液媒体あるいは導電性微粒子を内包するミセル及び
蛍光体微粒子を含む液媒体)の複合化において、蛍光体
微粒子を内包するミセル及び導電性微粒子を内包するミ
セルの電解反応は上記に説明したとおりである。また、
前記二つの分散液のミセル化していない蛍光体微粒子あ
るいは導電性微粒子は電気泳動の原理に従い電極表面に
電着される(このミセル化していない蛍光体微粒子ある
いは導電性微粒子を含む分散液を、以下、電気泳動液と
も呼ぶ)。電気泳動とは粒子表面に存在する電荷に働く
静電引力により動きが発生するもので、当然、正に荷電
している粒子は負電極へ、負に荷電している粒子は正電
極に泳動してゆくこととなる。
【0018】粒子の電荷はその液体自体が解離性の液体
の場合〔たとえば水(水素イオンと水酸化イオン)〕、
その粒子の表面と親和性の高いイオンが表面に特異吸着
し、吸着したイオンの電荷を粒子が帯びることとなる。
また吸着したイオンと逆の電荷を持つイオンはこの粒子
の周りを取り巻き、対イオンを形成する。解離性の液体
でない場合(通常有機溶媒が多い)は一般的には電解質
塩が添加されることにより、前述した特異吸着がおこり
粒子は電荷をおびることとなる。勿論水のような解離性
液体中にも電解質塩をくわえ、電荷をコントロールする
ことは一般的におこなわれている。本発明に使用する電
気泳動液は解離性液体を使用する場合、基本的構成は液
と粒子のみで構成することが可能である。しかしなが
ら、この場合電荷を決定するイオン種及び電荷量は粒子
の材料と分散媒体の組み合わせで一義的に決定される
(制御出来ない)ため、電荷量、イオン種を自由に制御
するためには電解質塩を添加するのが好ましい。ここで
使用される電解質としては、無機塩、有機塩等が挙げら
れ、その種類には特に制限はない。しかし、粒子の表面
の性質および荷電させたい符号によって適宜選択するの
が好ましい。特に少ない添加でより大きい表面電荷をも
たせられるものが好ましく、より具体的には特異吸着す
る方のイオンが多価イオンであることが好ましい。
【0019】また、粒子と解離性液体だけ、あるいはさ
らに電解質塩を添加した液では粒子を小さくしないと分
散液を安定化させることができない(凝集してしまう)
場合があり、この分散溶液の安定性を高める目的で界面
活性剤を添加することもできる。この場合、界面活性剤
がイオン性の時はそれ自体が粒子に電荷を与える役割を
になうことにもなる。ここで使用される界面活性剤は非
イオン性(ポリエチレングリコール型、多価アルコール
型)、カチオン性(アミン塩型、アンモニウム塩型)、
アニオン性(カルボン酸塩型、スルホン酸塩型、硫酸エ
ステル塩型、リン酸エステル塩型)、両性(アミノ酸
型、ベタイン型)のいずれも使用可能であるが、粒子に
電荷を少ない添加量で付加させるためにはカチオン性あ
るいはアニオン性の活性剤を使用することが好ましい。
非解離性の液体を使用した場合は電解質塩(イオン性の
界面活性剤を含む)が必須となる。同上の理由で界面活
性効果のない電解質塩では電荷は制御できるが分散液の
安定性がわるいため、界面活性剤を使用することが好ま
しい。
【0020】電気泳動液の作製は蛍光体微粒子あるいは
導電性微粒子と電解質塩、さらには必要に応じて界面活
性剤を分散媒体に加えホモジナイザー、三本ロールミ
ル、サンドミル、パールミル、スターラー、超音波分散
などの分散方法により作製することができる。このよう
にして作製した電気泳動液と先に記述したミセル電解液
を混合することにより前記(2)の目的に使用する電解
液が作製できるが、各々の液が十分混和するように、あ
らかじめ二つの液を作製するときには相溶するあるいは
同一の分散媒体を使用することは必須である。この電解
液は以下の4種が基本的に存在する。すなわち、(i)
酸化崩壊型ミセルと正帯電粒子の組み合わせ、(ii)酸
化崩壊型ミセルと負帯電粒子の組み合わせ、(iii)還
元崩壊型ミセルと正帯電粒子の組み合わせ、(iv)還元
崩壊型ミセルと負帯電粒子の組み合わせの4種である。
これらの電界液に電界を印加した場合を(i)を例にあ
げ説明する。まず、ミセルの酸化電位以下の電位では蛍
光層を作製しようとする電極には何も析出しない。ミセ
ルの酸化電位となった時点でミセルの崩壊によるミセル
内部の粒子が析出する。この時、電極電位は正電荷をも
っているため正帯電粒子は析出しない。つぎに蛍光層を
作製しようとする電極(ミセルが崩壊した方の電極)に
負電荷を印加し正帯電粒子を電気泳動により電着させる
ことにより先にミセル電解により析出させた粒子上に電
着粒子を複合化できる。すなわち蛍光体微粒子と導電性
微粒子の割合を制御して1段階で導電性蛍光層を作製で
きることとなる。ここでは正電界(ミセルが崩壊する電
界)を与えた後、負電界(電気泳動がおこる電界)を印
加したが、逆も可能であるし、正電界と負電界を繰り返
すことも可能であり、所望する電気伝導度や蛍光体の割
合により電界条件を制御することとなる。
【0021】次ぎに(ii)に電界を印加した場合につい
て説明する。ミセルの酸化電位となった時点でミセルの
崩壊によるミセル内部の粒子が析出する。この時電極電
位は正電荷をもっているため負帯電粒子は正電荷を持っ
ている電極方向に力をうけるがほとんど優勢にミセル電
解が進行する〔ミセル電解で印加する電位は低いため
(数V)、電気泳動粒子に大きな静電引力が生じな
い〕。次いで、電気泳動が十分おこる程度に電界を強く
していくと電気泳動が優勢に起るようになる。この時点
でミセル電解反応は進行しているが、ミセル電解反応が
電位によって規制される反応であるため、一定以上の強
い電解になった時点でミセルの崩壊反応が拡散律速に達
し、電位をあげても析出速度は上がらない状態となる。
これに対して電気泳動は電位で規制される反応ではな
く、静電引力により粒子が泳動しているだけのため、ほ
ぼ電界強度に比例して泳動速度があがる(電着速度があ
がる)ため電気泳動が優勢に起ることとなる。この時点
で先にミセル電界で析出させている粒子の上に優勢的に
電気泳動粒子を複合化できる。すなわち蛍光体微粒子と
導電性微粒子の割合を制御して1段階で導電性蛍光層を
作製できることとなる。ここでは低電界(ミセル電解反
応が優勢におこる領域)から高電界(電気泳動が優勢に
おこる領域)の順に説明したが逆も可能であるし、低電
界と高電界を繰り返すことも可能であり、所望する電気
伝導度や蛍光体の割合により電界条件を制御することと
なる。(iii)、(iv)の場合はミセルが還元反応で崩
壊することだけが(i)、(ii)と異なり基本的概念は
(i)、(ii)と同様である。
【0022】本発明に使用する蛍光体微粒子と導電性微
粒子の平均粒径の関係は蛍光体微粒子より導電性微粒子
のほうが小さいことが好ましく、特に導電性微粒子径が
蛍光体微粒子径の15%以下であることが、蛍光体微粒
子に効率良く(少ない複合量で)導電性を付与できる
点、発光輝度の点から好ましい。また蛍光体微粒子の平
均粒径は、0.5μm以下が発光輝度、発光の安定性の
面で好ましい。また、導電性微粒子の径は、1μm以下
のものが本発明のミセル化には適しているが、特にミセ
ルの作製がし易いこと、分散液が安定であること等から
好ましくは0.5μm以下、さらには、ミセルの作製の
しやすさ、安定性がさらに向上するだけでなく、発光輝
度を上昇すること等から0.1μm以下が一層好まし
い。
【0023】本発明に使用する導電性基板は公知のもの
が使用でき、たとえばIn、SnO、ZnO、
CdO、TiO、In−Sn、SnO−Sb
などの酸化物薄膜、Au、Ag、Ptなどの金属薄膜、
TiN、ZrNなどの導電性窒化物薄膜をガラス、プラ
スチック等の基板にパターンニングした電極を使用でき
るが、与える電界において安定である素材を選択する必
要がある。また、前記電極基板は、その表面が粗面であ
ることが、蛍光層構成材料との接着性が向上することか
ら好ましい。電極基板の表面粗さを制御する方法として
は、上記電極の構成材料、作製条件により制御する方
法、電極を表面処理する方法が挙げられる。前者の方法
としては種々考えられるが、特に支持体基板上に導電性
微粒子を粗面化層として設けて電極としたものが効果的
である。導電性微粒子の粗面化層とは、たとえば、金
属、ITOなどの導電性金属酸化物微粒子をフィラーと
して分散し塗布した樹脂分散層、また、支持体基板を導
電性として、前述の電気化学的手法により形成した層な
どが挙げられる。後者の表面処理としては、塩酸、硫
酸、りん酸等の酸性溶液等に浸漬し化学エッチングした
り、スプレー散布したりする化学的研磨による方法やサ
ンドブラスト、ショットブラスト、ブラシ研磨、バフ研
磨等による機械的粗面化方法、プラズマ中に暴露する方
法等が挙げられる。
【0024】本発明の蛍光層は電子の衝突により発光す
るわけであるが、その電子源としてはフィラメント等か
らの熱電子や冷陰極からの電界放出電子が使用できる。
特に冷陰極からの電界放出電子を使用することが好まし
い。これは本発明の蛍光層は電気伝導度に優れるため、
低加速電子において本質的にメタルバック処理ができな
いような蛍光層に対して最も効果的に蛍光を発する発光
層を提供できるからである。冷陰極としては半導体型、
Spindt型に代表される電界放出型、表面伝動型、
MIM型(Metal−Insulator−Meta
l)いずれも使用可能である。好ましくは表面伝動型、
電界放出型が用いられる。電界放出型のエミッタの材料
としては低仕事関数の金属材料、炭素材料が用いられる
が、放出効率、安定性の点から、炭素材料が好ましく、
特に本発明の蛍光層と組み合わせた場合には、より低い
電圧で効率的に電子を取り出すことができ、輝度を高く
することができる炭素材料を用いることが好ましい。炭
素材料としては、中でもカーボンナノチューブ(CN
T)が好ましい。
【0025】前記CNTは厚さ数原子層のグラファイト
状炭素原子面を丸めた円筒が、複数個入れ子構造になっ
たものであり、nmオーダーの外径の極めて微小な物質
であり、1991年に発見され(Nature 354
1991 P56)、その化学的特性、電子的特性、
力学的特性などにより大きな注目を集めた。現在、電界
放出型電子放出素子、SPMプローブ、触媒、構造強化
材料、電池電極、センサー材料など各方面において応用
の可能性が研究されている。これらの中で、特に電界放
出型電子放出素子については、ディスプレーの薄型化、
高輝度化、高コントラスト化、高視野角化に伴い、ディ
スプレー用の冷陰極電子源として、従来の熱電子放出電
子源に代わる重要なデバイスとして期待され、CNTの
実用化の可能性が最も高いといえる。ただし、この際、
CNTエミッタをいかにして形成するかが重要な課題で
ある。
【0026】CNTの製造方法は、黒鉛などのアーク放
電(Nature 354 P561991、Natu
re 358 P220 1992)による方法、触媒
を用いた熱分解法(J.Phys.Chem.Soli
ds 54 P18411993)、レーザー蒸発法
(Science 273 P483 1996)、C
VD法(Science 274 P1701 199
6)などが挙げられる。さらに、遠心分離法、ろ過法、
酸化法、クロマトグラフ法等の種々の精製法が検討さ
れ、より高純度なCNTが生成可能となってきた。ただ
し、上記、デバイス等への応用を考えた場合、nmオー
ダーのCNT微粒子を集合体として取り扱う技術、たと
えば、成膜、成型、配向技術が必要である。特に成膜に
関しては重要で、CNTにおいても、蒸着法、CVD法
などの乾式成膜法(特開平6−184738、特開平1
0−265208)、塗布、印刷などの湿式成膜法の検
討が行われている。
【0027】しかし、乾式成膜法は大規模な装置が必要
であり、生産性が低いなどの問題がある。さらに、1μ
m以下の成膜は可能であるが、逆に1μm以上の成膜に
時間がかかったり、成膜する部分にアルミナ、ポーラス
Siなどのようなポーラス状の型が必要であったりと難
点がある。また、塗布、印刷などの湿式成膜法は各種有
機材料、顔料、ポリマー材料等では工業的には広く用い
られているが、CNTへの具体的な応用例は少なく、C
NTの分散性が悪いため、均一な薄膜が得られず、界面
活性剤を用いて分散性を向上させると、界面活性剤を含
んだ膜となってしまう。また、塗布の場合、薄膜をパタ
ーン化する際、薄膜形成後にフォトリソグラフィーなど
の方法により不用な部分を除去することとなり、貴重な
CNT材料の成膜法としては効率的ではない。この点で
本発明はCNTを媒体中で分散、または界面活性剤で可
溶化し、電気化学的に酸化および/または還元すること
により薄膜を形成すると、均一で、生産性の優れたCN
T薄膜を形成できることを見い出した。この際、CNT
を媒体中で、電気化学的に酸化および/または還元可能
な部位を有した界面活性剤、特にフェロセン誘導体から
なる界面活性剤でミセル化した分散液に、電極基板を浸
漬し、通電処理することによりCNT薄膜を形成する方
法が非常に効果的である。さらに、電極の表面粗さを中
心線平均粗さでRaを0.005μm以上としたり、電
極表面を疎水化処理することにより、電極基板とCNT
薄膜の接着性を向上できる。特に前者については、電極
が支持基板上に導電性微粒子層を形成したものであると
効果的である。
【0028】また、CNTは前述の方法にて生成した
後、副生成物であるアモルファスカーボンナノ粒子、フ
ラーレン類、金属ナノ粒子などを分離除去する精製プロ
セスが必要であるが、この際、ほとんどの精製法は、C
NTを媒体中に分散した湿式の状態で行われ、特に精製
法が遠心分離法である場合には、そのままのサンプル状
態で、精製プロセス終了後、本発明の薄膜化プロセスへ
移行できるため、非常に有効である。このようなCNT
薄膜をエミッタに用いると、高効率で安定した電子放出
能を持った電界放出型電子放出素子、低駆動電圧の蛍光
表示装置ができる。CNT薄膜を用いた電子放出素子の
構成例を図1に示した。ただし、本発明で使用されるC
NT薄膜を用いた電子放出素子の構成は、このような構
成のものに限定されるものではない。
【0029】図中1はカソード電極で、前述の電気化学
的手法によりCNT薄膜を構成できるものを用い、電極
材料自体が支持基板を構成しても、別の支持基板上に電
極を構成しても良い。カソード電極上には電気化学的手
法により作製したCNT薄膜から構成されたエミッタ2
と絶縁層3があり、絶縁層上部にゲート電極4が設けら
れる。これらの構成は、図1(a)のようにカソード電
極/エミッタ(CNT薄膜)/絶縁層/ゲート電極を順
次作製してから、フォトリソグラフィー技術によりエミ
ッタ部の絶縁層/ゲート電極をエッチング除去してもよ
いし、また、図1(b)のように、カソード電極/絶縁
層/ゲート電極を順次作製した後、フォトリソグラフィ
ー技術によりエミッタ部の絶縁層/ゲート電極をエッチ
ング除去し、カソード電極の露出部分にエミッタ(CN
T薄膜)を作製してもよい。ただし、後者の方が電気化
学的手法のメリットが有効に生かされる。なお、絶縁層
は、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物などの誘電体
材料を、スパッタリング法、蒸着法、CVD法などの乾
式成膜法、塗布などの湿式成膜法、基板の陽極酸化、熱
酸化法などにより作製し、ゲート電極は、導電性材料を
スパッタリング法、蒸着法、CVD法などの乾式成膜
法、塗布などの湿式成膜法等により作製できる。実際の
カソードからの電子放出の際には、図3に示したよう
に、放出された電子を捕獲するアノード電極が必要にな
り、さらに、電極上に蛍光体を組み合わせることによ
り、蛍光表示装置が作製できる。
【0030】電界放出型電子放出素子としては現在、
「Spindt(スピント)型」と呼ばれる円錐形状の
エミッタが主流になっている。これはSiOなどの絶
縁層に直径1〜2μm程度のピンホールを空け、回転斜
方蒸着法により基板を回転させながら斜方蒸着により剥
離層を形成する。そしてその後に垂直方向からエミッタ
形成材料を蒸着し、最後に剥離層ごとリフトオフするこ
とにより形成される。このとき蒸着される材料自身によ
りピンホール径が徐々に小さくなることにより円錐形状
になる。しかしながらこのようなエミッタの製造方法
は、基板を回転させながらピンホール周辺において均一
な円形の剥離層を形成するための制御が困難で歩留まり
が低いうえ、特殊な蒸着法のために専用の装置が必要と
なるので、製造コストが極めて高くなるという問題があ
る。また前述の「Spindt(スピント)型」のエミ
ッタとしてはまた、Moなどの金属材料が一般的に使用
されているが、これらの材料は電子放出部分に水素など
のガスが吸着すると仕事関数が変化して経時的に放出電
流が変動するという欠点を有する。それを防止するため
に超高真空に封止する必要があり、これがさらに信頼性
の向上を阻害するとともに一層の高コスト化の要因にな
っている。このような問題を解決するための材料として
カーボンナノチューブなどの炭素系材料が注目されてい
る。これらは吸着原子による仕事関数の変動が小さく、
安定に低い電圧で電界放出が得られるという利点を持っ
ている。特にカーボンナノチューブは高アスペクト比と
いう形状的特徴からも電子放出源に適している。
【0031】図4は、従来の2極管型の電界放出型電子
放出素子をディスプレイに応用した場合の構成例を概略
的に示したものであり、(a)はアノード電極が紙面上
並列に並ぶ方向からみたもの、(b)はカソード電極が
紙面上並列に並ぶ方向からみたものである。但し(b)
では図を見やすくするため、隔壁を省略している。図4
においてカソード電極およびアノード電極はストライプ
状で互いに交差するように配置されており、選択された
アノード電極に正の所定電圧を印加し、同時に選択され
たカソード電極に負の所定電圧を印加することにより、
両電極の交点部分のエミッタから電子が放出される。放
出された電子はアノード電極に引き寄せられ、その部分
に形成されている蛍光体に衝突して発光を生じさせる。
【0032】図5は、本発明に基く三角柱状エミッタを
形成した電子放出素子アレーを図4の2極管型の電界放
出型ディスプレイに応用した場合の構成例を概略的に示
したものであり、図4と同様(a)はアノード電極が紙
面上並列に並ぶ方向からみたもの、(b)はカソード電
極が紙面上並列に並ぶ方向からみたものである。但し
(b)では図を見やすくするため、隔壁を省略してい
る。図5の構成のものにおいては、一つのカソード電極
上に複数の三角柱状エミッタが形成された構成になって
いる。図4における従来のエミッタが面で一様に放出さ
れるのに対して図5の場合は鋭利な先端部分に電界が集
中するために効率的に電子が放出されるようになり、し
かも指向性が改善されることから本発明の蛍光層と組み
合わせた時より輝度を向上させることができるととも
に、解像度が向上する。
【0033】図6は、本発明に基く三角柱状エミッタを
形成した電子放出素子において、さらにゲート電極を設
けた場合の構成例を、一つのカソード電極について三角
柱形状が一つの構成で概略的に示したものであり、
(a)はエミッタの稜線が紙面に対し垂直方向からみた
もの、(b)は三角柱稜線方向からみたもの、そして
(c)は三角柱を横方向からみたものである。但し
(a)では図を見やすくするため、前方および後方の絶
縁層とその上のゲート電極を省略している。図6におい
て、三角柱状エミッタの周辺には絶縁層が形成されてお
り、ゲート電極はその上にエミッタ先端の稜線を取り囲
むようにパターンニングされている。そして、例えばカ
ソード電極をグランドレベル(ゼロボルト)に固定して
ゲート電極に正電圧を印加することにより、ゲート電極
とエミッタ先端間に電界が発生しエミッタ先端から電子
が放出される。このとき距離的な効果で、より低電圧で
電子を放出させることができる。それによって、アノー
ド電圧を、電子を蛍光体に衝突させるだけに必要な電圧
に下げられる。これに対して、図4や図5では電子を放
出させるために必要以上のアノード電圧を印加しなけれ
ばならなかった。
【0034】図7は、本発明の電界放出型電子放出素子
の具体的な製造方法の例を、概略的に示したものであ
る。以下に順を追って本図の説明を行なう。 (a)カソード基板上にカソード電極をパターンニング
し、その上に絶縁層を形成する。そしてさらにその上に
ゲート電極層を形成する。 (b)フォトリソグラフィーによりゲート電極をパター
ンニングする。 (c)ケミカルエッチングにより、カソード電極表面が
部分的に現れるぐらいに絶縁層に開口部を形成する。 (d)NiやAlなどの金属材料を2方向から交互に繰
り返し斜方蒸着することにより剥離層を形成する。 (e)垂直方向からMoなど低仕事関数の金属材料を蒸
着することによりエミッタを形成する。このとき蒸着さ
れる金属材料自身により開口部が徐々にふさがれていく
ことにより、エミッタは三角柱状に形成される。 (f)最後に余分に堆積したものを剥離層ごとリフトオ
フする。
【0035】図8は、先端に炭素系材料を固着させた電
界放出型電子放出素子について、特に炭素系材料がカー
ボンナノチューブであるものについての構成例、および
製造方法の具体例を概略的に示したものである。以下に
順を追って本図の説明を行なう。 (a)図7における(a)〜(d)の工程を経て、
(e)のエミッタ形成工程を開始する。 (b)エミッタ形成を途中でやめて、FeやCoなどの
触媒材料に変えて蒸着を再開する。 (c)触媒層の膜が形成された時点で蒸着を終了し、剥
離層ごとリフトオフする。 (d)CVD法により触媒層上にCNTを成長させる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例を示す。
【0037】実施例1 シュウ酸塩共沈法で作製したY:Eu蛍光体をア
ミノシランの4%イソプロピルアルコール溶液に加え、
表面処理した蛍光体粉末を用意した。この蛍光体を20
g、フェロセンの誘導体であるFPEG(同仁化学製)
2g、支持塩としてLiBr10gを水1000mlに
加えて10分間超音波分散後、遠心分離により、副生成
物、不溶解成分、分散安定度の低い成分などを分離精製
して、成膜用の分散液を作製した。150mm×150
mmの大きさのITOガラス電極(ジオマテック社製
面抵抗20Ω/□、ITO厚み1200A)に110μ
mピッチ、巾90μm、960本のストライプ状に通常
のフォトリソ法で加工した。このITO基板を作用電極
として用い、対極に白金板、参照電極に飽和カロメル電
極(SCE)を用いて、25℃、0.5Vの定電位電解
を15mC/cm行ない、作用極上にY:Eu
蛍光体薄膜が形成できた。得られた膜を光学顕微鏡で観
察すると蛍光体がストライプ上にITO部に作製されて
おり、微細加工が可能であることが確認できた。
【0038】実施例2 以下のミセル電解液を調製した。酸化すず粉末5gをア
ミノシランの4%イソプロピルアルコール溶液に加え、
表面処理し導電性粉末を用意した。この粉末とフェロセ
ン誘導体としてFPEG(同仁化学製)4g、支持塩と
してLiBr10.4gを水1000mlに加えて超音
波分散後、遠心分離により調製した。このようにして調
製したミセル電解液に実施例1で使用した電極(未電解
の電極)を浸漬対極に白金板、参照電極に飽和カロメル
電極(SCE)を用いて、25℃、0.5Vの定電位電
解を10mC/cm行ない、作用極上に導電性粒子薄
膜が形成できた。得られた膜を光学顕微鏡で観察すると
導電体がストライプ上にITO部に作製されており、微
細加工が可能であることが確認できた。
【0039】実施例3 以下のミセル電解液を調製した。ITO粉末5gをアミ
ノシランの4%イソプロピルアルコール溶液に加え、表
面処理し導電性粉末を用意した。この粉末とフェロセン
誘導体としてFPEG(同仁化学製)4g、支持塩とし
てLiBr10.4gを水1000mlに加えて超音波
分散後、遠心分離により調製した。このようにして調製
したミセル電解液に実施例1で作製した蛍光体付着電極
の半分の面積のみ浸漬し、対極に白金板、参照電極に飽
和カロメル電極(SCE)を用いて、25℃、0.5V
の定電位電解を10mC/cm行ない、蛍光体上に導
電性粒子薄膜を複合化した。得られた膜を光学顕微鏡で
観察すると導電体がストライプ上に蛍光体上に作製され
ており、微細複合加工が可能であることが確認できた。
【0040】実施例4 以下のようにしてミセル電解液を調製した。シュウ酸塩
共沈法で作製したY:Eu蛍光体をアミノシラン
の4%イソプロピルアルコール溶液に加え表面処理した
蛍光体粉末を10g、同様に表面処理した酸化すず粉末
5g、FPEG(同仁化学製)4g、支持塩としてLi
Br10.4gを水1000mlに加えて超音波分散
後、遠心分離によりに蛍光体微粒子/導電体微粒子の混
合ミセル電解液を調製した。このようにして調製したミ
セル電解液に実施例1で使用した電極(未電解の電極)
を浸漬し、対極に白金板、参照電極に飽和カロメル電極
(SCE)を用いて、25℃、0.5Vの定電位電解を
15mC/cm行ない、作用極上に導電性粒子薄膜が
形成した。得られた膜を光学顕微鏡で実施例1及び2で
得た蛍光体のみの膜、導電体のみの膜と比較することに
より観察すると蛍光体粒子と導電体粒子がストライプ状
にITO部に作製されていることが確認された。また、
本方法により作製された導電性蛍光層(蛍光体への導電
性の付与)は、蛍光体のみと導電体のみの2工程のミセ
ル電解で作製する場合にくらべ、作製時間は1/3であ
った。
【0041】実施例5 イソプロピルアルコール1000mlに硝酸ガリウム
0.1gを加え、ついで酸化すず粉末5gを超音波分散
してガリウムカチオンにより正帯電させた酸化すず分散
液を作製した。これとは別にY:Eu蛍光体をア
ミノシランの4%イソプロピルアルコール溶液に加え、
表面処理した蛍光体粉末を20g、フェロセンの誘導体
であるFPEG(同仁化学製)2g、および支持電解質
を水1000mlに加えて10分間超音波分散後、遠心
分離により、副生成物、不溶解成分、分散安定度の低い
成分などを分離精製した分散液を作製した。この二つの
分散液を混合したのち、実施例1で使用した電極(未電
解電極)を作用極、白金を対向電極、参照電極に飽和カ
ロメル電極(SCE)を用いて、25℃、0.5Vの定
電位電解を10mC/cm行なった。この時実施例1
の960本のストライプ電極の右端より約2/3(約6
40本:A部)を作用電極として使用し電解反応をおこ
なった。ついでこんどは左2/3(約640本:B部)
を作用極として選択し、これと対極の二つの極に対して
作用極が負電圧になるように電界を印加した。得られた
膜を光学顕微鏡でA部、B部およびABがかさなった部
分を観察するとA部では主に蛍光体粒子がB部では主に
導電体粒子がストライプ状にITO部に作製されている
とともに、ABの重なる部分では蛍光体上に導電体微粒
子が複合化されていることが確認できた。これにより電
界条件をかえるのみで1工程で蛍光体/導電体の順に複
合化が可能であることがわかった。また、本方法により
作製された導電性蛍光層(蛍光体への導電性の付与)
は、蛍光体のみと導電体のみの2工程で作製する場合に
くらべ、作製時間は1/3であった。
【0042】実施例6 エチルアルコール1000mlに、ポリビニルアルコー
ル5gを加えた液を準備し、これにカチオン性界面活性
剤を2g、および酸化すず粉末5gを加え、分散するこ
とにより負帯電した酸化すず分散液を作製した。これと
は別にY:Eu蛍光体をアミノシランの4%イソ
プロピルアルコール溶液に加え、表面処理した蛍光体粉
末を20g、フェロセンの誘導体であるFPEG(同仁
化学製)2g、および支持電解質をエチルアルコール1
000mlに加えて10分間超音波分散後、遠心分離に
より、副生成物、不溶解成分、分散安定度の低い成分な
どを分離精製した分散液を作製した。この二つの分散液
を混合したのち、実施例1で使用した電極(未電解電
極)を作用極、白金を対向電極、参照電極に飽和カロメ
ル電極(SCE)を用いて、25℃、0.5Vの定電位
電解を10mC/cm 行なった。この時実施例1の9
60本のストライプ電極の右端より約2/3(約640
本:A部)を作用電極として使用し電解反応をおこなっ
た。ついでこんどは左2/3(約640本:B部)を作
用極として選択し、これと対極の二つの極に対して作用
極が対極に対して+50Vとなるように電界を印加し
た。得られた膜を光学顕微鏡でA部、B部およびABが
かさなった部分を観察するとA部では主に蛍光体粒子が
B部では主に導電体粒子がストライプ状にITO部に作
製されているとともに、ABの重なる部分では蛍光体上
に導電体微粒子が複合化されていることが確認できた。
これにより電界条件をかえるのみで1工程で蛍光体/導
電体の複合化が可能であることがわかった。また、本方
法により作製された導電性蛍光層(蛍光体への導電性の
付与)は、蛍光体のみと導電体のみの2工程で作製する
場合にくらべ、作製時間は1/3であった。
【0043】実施例7 イソプロピルアルコール1000mlに硝酸ガリウム
0.3gを加え、ついでY:Eu蛍光体粉末20
gを超音波分散してガリウムカチオンにより正帯電させ
た蛍光体粉末分散液を作製した。これとは別にアミノシ
ランの4%イソプロピルアルコール溶液に加え表面処理
した酸化すず粉末5g、フェロセンの誘導体であるFP
EG(同仁化学製)1g、および支持電解質を水100
0mlに加えて10分間超音波分散後、遠心分離によ
り、副生成物、不溶解成分、分散安定度の低い成分など
を分離精製した分散液を作製した。この二つの分散液を
混合したのち、実施例1で使用した電極(未電解電極)
を作用極、白金を対向電極、参照電極に飽和カロメル電
極(SCE)を用いて、25℃、0.5Vの定電位電解
を10mC/cm行なった。この時、実施例1の96
0本のストライプ電極の右端より約2/3(約640
本:A部)を作用電極として使用し電解反応を行った。
ついで、こんどは左2/3(約640本:B部)を作用
極として選択し、これと対極の二つの極に対して作用極
が負電圧になるように電界を印加した。得られた膜を光
学顕微鏡でA部、B部およびABがかさなった部分を観
察するとA部では主に導電体粒子がB部では主に蛍光体
粒子がストライプ状にITO部に作製されているととも
に、ABの重なる部分では導電体微粒子上に蛍光体微粒
子が複合化されていることが確認できた。これにより電
界条件をかえるのみで1工程で導電体/蛍光体の順に複
合化が可能であることがわかった。また、本方法により
作製された導電性蛍光層(蛍光体への導電性の付与)
は、蛍光体のみと導電体のみの2工程で作製する場合に
くらべ、作製時間は1/3であった。
【0044】実施例8 エチルアルコール1000mlに、ポリビニルアルコー
ル8gを加えた液を準備し、これにカチオン性界面活性
剤を2g、および蛍光体粉末を20gを加え、分散する
ことにより負帯電した蛍光体分散液を作製した。これと
は別に酸化すず粉末をアミノシランの4%イソプロピル
アルコール溶液に加え表面処理した酸化すず粉末5g、
フェロセンの誘導体であるFPEG(同仁化学製)1
g、および支持電解質をエチルアルコール1000ml
に加えて10分間超音波分散後、遠心分離により、副生
成物、不溶解成分、分散安定度の低い成分などを分離精
製した分散液を作製した。この二つの分散液を混合した
のち、実施例1で使用した電極(未電解電極)を作用
極、白金を対向電極、参照電極に飽和カロメル電極(S
CE)を用いて、25℃、0.5Vの定電位電解を10
mC/cm行なった。この時実施例1の960本のス
トライプ電極の右端より約2/3(約640本:A部)
を作用電極として使用し電解反応をおこなった。ついで
こんどは左2/3(約640本:B部)を作用極として
選択し、これと対極の二つの極に対して作用極が対極に
対して+50Vとなるように電界を印加した。得られた
膜を光学顕微鏡でA部、B部およびABがかさなった部
分を観察するとA部では主に導電体粒子がB部では主に
蛍光体粒子がストライプ状にITO部に作製されている
とともに、ABの重なる部分では蛍光体上に導電体微粒
子が複合化されていることが確認できた。これにより電
界条件をかえるのみで1工程で導電体/蛍光体の複合化
が可能であることがわかった。また、本方法により作製
された導電性蛍光層(蛍光体への導電性の付与)は、蛍
光体と導電体のみの2工程で作製する場合にくらべ、作
製時間は1/3であった。
【0045】実施例9 平均粒径5μmのY:Eu蛍光体をアミノシラン
の4%イソプロピルアルコール溶液に加え、表面処理し
た蛍光体粉末を用意した。この蛍光体を20g、フェロ
センの誘導体であるFPEG(同仁化学製)2g、支持
塩としてLiBr10gを水1000mlに加えて10
分間超音波分散後、遠心分離により、副生成物、不溶解
成分、分散安定度の低い成分などを分離精製して、成膜
用の分散液を作製した。ITOガラス基板を作用電極と
して用い、対極に白金板、参照電極に飽和カロメル電極
(SCE)を用いて、25℃、0.5Vの定電位電解を
行ない、作用極上にY:Eu蛍光体薄膜を形成し
た。得られた膜を加速電圧180Vの低速電子線励起下
で輝度測定をしたところ32cd/mであった。
【0046】比較例 イソプロピルアルコール1000mlに硝酸ガリウム1
gを加え、ついで平均粒径5μmのY:Eu蛍光
体粉末20gを超音波分散してガリウムカチオンにより
正帯電させた蛍光体粉末分散液を作製した。この分散液
にITOガラス電極、対極を白金電極としてITO電極
に−200Vを印加し、電気泳動により蛍光体微粒子を
ITO電極上に形成した。この得られた膜を加速電圧1
80Vの低速電子線励起下で輝度測定をしたところ29
cd/mであった。
【0047】実施例10 以下のようにしてミセル電解液を調製した。シュウ酸塩
共沈法で作製した平均粒径4μmのY:Eu蛍光
体をアミノシランの4%イソプロピルアルコール溶液に
加え表面処理した蛍光体粉末、同様に表面処理した平均
粒径0.4μmのITO粉末、FPEG(同仁化学製)
4g、支持塩としてLiBr10.4gを水1000m
lに加えて超音波分散後、遠心分離によりに蛍光体微粒
子/導電体微粒子の混合ミセル電解液を調製した。作用
極にITOガラス電極、対極に白金板、参照電極に飽和
カロメル電極(SCE)を用いて、25℃、0.5Vの
定電位電解を行ない、作用極上に蛍光体微粒子導電性粒
子複合膜が形成した。この得られた膜を加速電圧80V
の低速電子線励起下で輝度測定をしたところ33cd/
であった。
【0048】実施例11−21 実施例10の蛍光体および導電体の平均粒径を表1のよ
うにした以外は同様に蛍光層を作製した。この得られた
膜を加速電圧80Vの低速電子線励起下で輝度測定をし
た結果もあわせて表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】実施例22 炭素電極1対を用意し、一方をアノード電極(炭素
源)、もう一方をカソード電極(CNT収集部材)とし
て、真空容器内に配置する。真空容器内を排気するとと
もに、Arをガス真空容器内に導入し、約500tor
rにする。電極間に直流電圧10〜20Vを印加し、電
流100Aとなるようにアーク放電を発生させ、カソー
ド電極上にCNTを作製した。カソード電極上から回収
したCNT2.0g、フェロセン誘導体としてFPEG
(同仁化学製)0.2g、支持塩としてLiBr1.0
gを水100mlに加えて10分間超音波分散後、遠心
分離(8000rpm10分)により、副生成物、不溶
解成分、分散安定度の低い成分などを分離精製して、成
膜用の分散液を作製した。一方、ポリビニルブチラール
(ユニオンカーバイドXYHL)1重量部をメチルエチ
ルケトン/シクロヘキサノン(7/3vol)5重量部
に溶解して、導電性微粒子としてのSnO、4重量部
を加えて三本ロールミルにて分散し、Al板上に浸漬塗
布し120℃1.5時間乾燥して、CNT薄膜作製用電
極とした。なお、この電極の中心線平均粗さRaを触針
法(DEKTAK)にて測定したところ、0.052μ
mであった。作用極に上記電極、対極に白金板、参照電
極に飽和カロメル電極(SCE)を用いて、25℃、
0.5Vの定電位電解を15mC/cm行ない、陽極
上に1.81μmの均一なCNT薄膜が形成できた。
【0051】実施例23 実施例22で作製したCNT薄膜を電子放出源に用い
て、以下のように電子放出素子を作製した(図2)。実
施例1で作製した表面にSnO分散層を形成したAl
基板上〔図2(a)〕に、絶縁層として2.0μmのS
iO層をスパッタリング法にて形成した〔図2
(b)〕。この上に、ゲート電極層として0.4μmの
Al層をスパッタリング法にて形成した〔図2
(c)〕。このような積層膜をフォトリソグラフィー技
術により、エミッタ作製部のSiO層/Al層をエッ
チングし、Al/SnO電極層を露出させた〔図2
(d)〕。これを実施例1で作製した成膜用分散液に浸
漬して、実施例22と同様な条件にて電解し、所定のS
nO分散層上部にCNT薄膜を形成した〔図2
(e)〕。このようにして作製した電子放出素子を図3
のように真空容器内に入れて放出電子を捕獲するアノー
ド電極をエミッタから200μmの位置に保持し、真空
容器内を10 torrとして、カソード/アノード
間に400V、カソード/ゲート間に50Vの電圧を印
加したところ、蛍光が観測された。
【0052】
【効果】1.請求項1〜2 微細加工が可能であり、発光輝度に優れる蛍光層を有す
る表示用蛍光体が提供できる。 2.請求項3 蛍光体粒子の帯電が無く、微細加工が可能で、安定して
発光できる蛍光層を有する表示用蛍光体が提供できる。 3.請求項4 本発明の技術を用いることにより蛍光体と導電体の複合
を1工程で生産性良く作製できるとともに、微細加工が
可能で、安定して発光できる蛍光層を有する表示用蛍光
体が提供できる。 4.請求項5〜6 蛍光体と導電体の複合を電界条件の制御のみで任意の割
合で1工程で生産性良く行えるとともに、微細加工が可
能で、安定して発光できる蛍光層を有する表示用蛍光体
が提供できる。 5.請求項7 蛍光体と導電体の複合を1工程で生産性良く作製できる
とともに、微細加工が可能で、安定して発光できる高輝
度の蛍光層を有する表示用蛍光体が提供できる。 6.請求項8〜9 前記請求項1〜7記載の表示用蛍光体の製造方法が提供
できる。 7.請求項10 低加速電子で発光できる蛍光層をそなえた電界放出表示
素子が提供できる。 8.請求項11〜12 安定に低電圧でより高輝度な電界放出表示素子が提供で
きる。 9.請求項13 炭素材料の微細加工が可能であり、電子放出能力、発光
輝度に優れる電界放出表示素子を生産性良く提供でき
る。 10.請求項14 電界放出能力に優れる電子放出源を有する電界放出表示
素子を生産性良く提供できる。 11.請求項15 電子放出能力、発光輝度に優れる電界放出表示素子を生
産性良く提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CNT薄膜を用いた電子放出素子の構成を説明
した図である。 (a)エミッタ部の絶縁層/ゲート電極をエッチング除
去したもの。 (b)エミッタ部の絶縁層/ゲート電極をエッチング除
去した後、カソード電極の露出部分にエミッタ(CNT
薄膜)を形成したもの。
【図2】CNT薄膜を炭素放出源に用いて作製する実施
例23の電子放出素子の作製工程を示す図である。 (a)SnO分散層を形成する工程。 (b)絶縁層としてSiO層をスパッタリング法で形
成する工程。 (c)ゲート電極としてAl層をスパッタリング法で形
成する工程。 (d)前記(a)と(b)工程で作製した積層膜をエッ
チングしてAl/SnO電極層を露出させる工程。 (e)SnO分散層上部にCNT薄膜を形成させる工
程。
【図3】図2の電子放出素子を真空容器内で、10−6
torrの真空状態で電圧を印加する工程。
【図4】従来の2極管型の電界放出型電子放出素子をデ
ィスプレイに応用した場合の構成例を示す図である。 (a)アノード電極が紙面上並列に並ぶ方向からみたも
の。 (b)カソード電極が紙面上並列に並ぶ方向からみたも
の。
【図5】三角柱状エミッタ膜を形成した電子放出素子ア
レーを図4の2極管型の電界放出型ディスプレイに応用
した場合の構成例を示す図である。 (a)アノード電極が紙面上並列に並ぶ方向からみたも
の。 (b)カソード電極が紙面上並列に並ぶ方向からみたも
の。
【図6】三角柱状エミッタ膜を形成した電子放出素子に
おいて、さらにゲート電極を設けた場合の構成例を示す
図である。 (a)エミッタの稜線が紙面に対し垂直方向からみたも
の。 (b)三角柱を稜線方向からみたもの。 (c)三角柱を横方向からみたもの。
【図7】電界放出型電子放出素子の製造方法を概略的に
示す図である。 (a)ゲート電極層を形成する工程。 (b)ゲート電極層をパターニングする工程。 (c)絶縁層に部分的に開口部を形成する工程。 (d)斜方蒸着により剥離層を形成する工程。 (e)エミッタを形成する工程。 (f)リフトオフする工程。
【図8】先端に炭素系材料、特にカーボンナノチューブ
である電界放出型電子放出素子の構成例を示す図であ
る。 (a)エミッタ形成工程。 (b)触媒層の形成工程。 (c)リフトオフ工程。 (d)CNT層の成長工程。
【符号の説明】
1 カソード電極 2 エミッタ 3 絶縁層 4 ゲート電極 21 Al基板 22 SnO分散層 23 SiO層 24 Al層 25 CNT薄膜 31 Al基板 32 SnO分散層 33 SiO層 34 Al層 35 CNT薄膜 36 アノード電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桂川 忠雄 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 村井 俊晴 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 高橋 裕幸 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 井上 智博 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 5C028 FF03 FF14 5G435 BB01 FF11 KK07 KK10

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光層構成材料の少なくとも1種を内包
    したミセルを含む液媒体中に1対の導電性基板を浸漬
    し、電界を印加することにより所望の部位に表示用蛍光
    層を形成したことを特徴とする表示用蛍光体。
  2. 【請求項2】 ミセルに内包される蛍光層構成材料が蛍
    光体微粒子であることを特徴とする請求項1記載の表示
    用蛍光体。
  3. 【請求項3】 表示用蛍光層が少なくとも蛍光体微粒子
    と導電性微粒子からなることを特徴とする請求項1記載
    の表示用蛍光体。
  4. 【請求項4】 少なくとも蛍光体微粒子及び導電性微粒
    子を内包したミセルを含む液媒体中に少なくとも1対の
    導電性基板を浸漬し、電界を印加することにより所望の
    部位に蛍光体微粒子/導電性微粒子を複合化した表示用
    蛍光層を形成したことを特徴とする表示用蛍光体。
  5. 【請求項5】 少なくとも導電性微粒子を内包するミセ
    ルと蛍光体微粒子を含む液媒体中に少なくとも1対の導
    電性基板を浸漬し、電界を印加することにより所望の部
    位に蛍光体微粒子/導電性微粒子を複合化した表示用蛍
    光層を形成したことを特徴とする表示用蛍光体。
  6. 【請求項6】 少なくとも蛍光体微粒子を内包するミセ
    ルと導電性微粒子を含む液媒体中に少なくとも1対の導
    電性基板を浸漬し、電界を印加することにより所望の部
    位に蛍光体微粒子/導電性微粒子を複合化した表示用蛍
    光層を形成したことを特徴とする表示用蛍光体。
  7. 【請求項7】 蛍光体微粒子の粒径より導電性微粒子の
    粒径が小さいことを特徴とする請求項3〜6のいずれか
    に記載の表示用蛍光体。
  8. 【請求項8】 蛍光層構成材料の少なくとも1種を内包
    したミセルを含む液媒体中、少なくとも蛍光体微粒子及
    び導電性微粒子を内包したミセルを含む液媒体中、少な
    くとも導電性微粒子を内包するミセルと蛍光体微粒子を
    含む液媒体中または少なくともを蛍光体微粒子を内包す
    るミセルと導電性微粒子を含む液媒体中に少なくとも1
    対の導電性基板を浸漬し、電界を印加することにより所
    望の部位に表示用蛍光層を形成したことを特徴とする表
    示用蛍光体の製造方法。
  9. 【請求項9】 ミセルを形成するためのミセル化剤が少
    なくともフェロセン誘導体を含有する請求項8記載の表
    示用蛍光体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7のいずれかに記載の表示
    用蛍光体を使用したことを特徴とする電界放出表示素
    子。
  11. 【請求項11】 電界放出表示素子の電子放出材料とし
    て炭素材料を使用したことを特徴とする請求項10記載
    の電界放出表示素子。
  12. 【請求項12】 炭素材料を存在させたミセルを含む液
    媒体中に、少なくとも1対の導電性基板を浸漬し、電界
    を印加することにより所望の部位に炭素材料を形成した
    ことを特徴とする請求項11記載の電界放出表示素子。
  13. 【請求項13】 電界放出素子の電子放出部の先端が、
    鋭利な稜線を持つ三角柱状であることを特徴とする請求
    項11〜12のいずれかに記載の電界放出表示素子。
  14. 【請求項14】 三角柱状の電子放出部分に炭素材料を
    固着させたことを特徴とする請求項13記載の電界放出
    表示素子。
  15. 【請求項15】 炭素材料がカーボンナノチューブであ
    ることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載
    の電界放出表示素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010509740A (ja) * 2006-11-15 2010-03-25 キースマン、ティル 電界放出装置
JP2017508867A (ja) * 2014-01-20 2017-03-30 オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングOsram Opto Semiconductors GmbH 横方向に構造形成した蛍光体層を製造するための方法およびそのような蛍光体層を備えたオプトエレクトロニクス半導体部品

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JP2017508867A (ja) * 2014-01-20 2017-03-30 オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングOsram Opto Semiconductors GmbH 横方向に構造形成した蛍光体層を製造するための方法およびそのような蛍光体層を備えたオプトエレクトロニクス半導体部品

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