JP2001235449A - 浸炭深さ測定装置 - Google Patents

浸炭深さ測定装置

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JP2001235449A
JP2001235449A JP2000045728A JP2000045728A JP2001235449A JP 2001235449 A JP2001235449 A JP 2001235449A JP 2000045728 A JP2000045728 A JP 2000045728A JP 2000045728 A JP2000045728 A JP 2000045728A JP 2001235449 A JP2001235449 A JP 2001235449A
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impedance
depth
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lift
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Akio Suzuki
紀生 鈴木
Fumitomo Yokoyama
文友 横山
Kenji Ishida
憲治 石田
Kozo Yamauchi
鉱三 山内
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Shinko Inspection & Service Co
Aisin AW Co Ltd
Kobelco Inspection and Service Co Ltd
Original Assignee
Shinko Inspection & Service Co
Aisin AW Co Ltd
Kobelco Inspection and Service Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 渦流センサを用いた浸炭深さの測定におい
て,浸炭層の透磁率や比抵抗,リフトオフ等の測定誤差
をできる限り排除して正確な測定をする。 【解決手段】 被測定物に対して高周波域3種,低周波
域3種の計6つの周波数におけるインピーダンス測定を
行う(S1)。続いて,ステップS1で得られた高周波
域でのインピーダンス測定値に基づいて表面層の比抵抗
及びリフトオフを算出し(S2),それに基づいてステ
ップS1で得られた低周波域でのインピーダンス測定値
を補正する(S3)。ステップS3で補正された低周波
域でのインピーダンス測定値を用いて2kHz−500
Hzのインピーダンス測定値を結んだ直線の方向(位相
角)及び母材層の比抵抗因子と透磁率因子を算出し(S
5),ステップS2で得られた表面層の比抵抗,ステッ
プS4で得られた位相角と母材層の比抵抗因子及び透磁
率因子に基づいて浸炭深さを算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,渦流センサを用い
て鋼表面の浸炭深さを測定する浸炭深さ測定装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】鋼表面に浸炭処理を施すと,内部から表
層に向けて炭素の濃度勾配が生じ,浸炭層の透磁率が低
くなる傾向にある。炭素が固溶することにより,透磁率
は一般的に低くなるためである。そこで,従来より,渦
流センサを用いて渦電流の浸透深さが浸炭深さ近傍とな
るような所定の周波数条件でインピーダンス値を測定
し,被測定物内に誘起された渦電流による磁束によるイ
ンピーダンス変化を利用して上記透磁率の低下した層の
厚さ,即ち浸炭深さを求める方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで,上記のよう
な渦流センサを用いた浸炭深さの測定においては,同一
材料であっても生産ロットによって浸炭層の透磁率や比
抵抗,母材の透磁率や比抵抗などが変化すればインピー
ダンス測定値は変化するため,これら被測定物の電磁気
的特性の違いが測定誤差の大きな要因となる。例えば,
室温付近で被測定物の温度が変化すると,磁壁の移動度
が増大して透磁率が高くなるため,測定時の温度の僅か
な変化によってもインピーダンス測定値は変化し,この
インピーダンス測定値より直接的に求められる浸炭深さ
の値は誤差を含んでしまうことになる。また,渦流セン
サ(の検出コイル)と被測定物との間のギャップ(以
下,リフトオフ)が変化すればインピーダンス測定値は
変化するため,上記のような渦流センサを用いた浸炭深
さの測定においては,被測定物の電磁気的特性だけでな
く,リフトオフについても大きな誤差要因となる。尚,
浸炭深さの測定方法とは異なるものの,浸炭深さの測定
への応用が可能と思われるライナ被覆管の厚み測定方法
にあっては,上記のような問題点を一部解消できる方法
が特公平6−8723号公報に提案されている。しかし
ながら,上記公報に提案されている方法では,ライナ層
の厚さを最小2乗法で算出しているため,材質の変化へ
の対応が非常に困難であるという問題点があった。更
に,材質の変化に対して比抵抗,透磁率を考慮して補正
するものの,ライナ層と違って浸炭層の場合にはその補
正幅が大となり,精度が低下してしまうという問題点も
あった。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであ
り,その目的とするところは,種々の誤差要因による影
響をできる限り排除して高精度の測定が可能な浸炭深さ
測定装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に,第1の本発明は,鋼表面の浸炭深さを,渦流センサ
による所定の周波数におけるインピーダンス測定値に基
づいて測定する浸炭深さ測定装置において,被測定物に
ついて,上記渦流センサにより複数の周波数におけるイ
ンピーダンス値を測定し,得られた複数のインピーダン
ス測定値に基づいて上記被測定物の浸炭深さを測定して
なることを特徴とする浸炭深さ測定装置として構成され
ている。ここで,複数のインピーダンス測定値に基づく
測定の具体例としては,被測定物について2つの周波数
におけるインピーダンス値を測定し,得られた2つのイ
ンピーダンス測定値を通る直線の方向である位相角を求
め,該位相角と予め求められた位相角−浸炭深さの関係
とに基づいて浸炭深さを求めることが考えられる。ま
た,被測定物について3つの周波数におけるインピーダ
ンス値を測定し,得られた3つのインピーダンス測定値
を順に直線で結んだ時の中心角である位相差角を求め,
該位相差角と予め求められた位相差角−浸炭深さの関係
とに基づいて浸炭深さを求めるようにしてもよい。図
8,図9,図11,図12に示すように,上記位相角や
位相差角と浸炭深さとの関係は,被測定物の表面層や母
材層の電磁気的特性の変化に影響されにくいため,上記
位相角や位相差角に基づいて浸炭深さを推定するように
すれば,表面層や母材層の電磁気的特性の変化に影響さ
れない浸炭深さの測定が可能となる。ここで,更に所定
の高周波域に属する複数の周波数におけるインピーダン
ス測定値に基づいてリフトオフ値を求め,得られたリフ
トオフ値に基づいて補正されたインピーダンス測定値を
用いて上記位相角や位相差角を求めるようにすれば,リ
フトオフによる誤差を排除してより高精度の浸炭深さ推
定が可能となる。
【0005】また,第2の発明は,鋼表面の浸炭深さ
を,渦流センサによる所定の周波数におけるインピーダ
ンス測定値に基づいて測定する浸炭深さ測定装置におい
て,所定の高周波域に属する複数の周波数におけるイン
ピーダンス測定値に基づいて,上記被測定物の表面層の
所定の電磁気的特性を算出する第1の特性算出手段と,
所定の低周波域に属する複数の周波数におけるインピー
ダンス測定値に基づいて,所定の2つのインピーダンス
測定値を通る直線の方向である位相角,若しくは所定の
3つのインピーダンス測定値を順に直線で結んだ時の中
心角である位相差角を求める第2の特性算出手段と,上
記第1の特性算出手段で得られた表面層の電磁気的特性
と,上記第2の特性算出手段で得られた位相角若しくは
位相差角とに基づいて浸炭深さを求める浸炭深さ算出手
段とを具備してなることを特徴とする浸炭深さ測定装置
として構成されている。即ち,高周波域に属する複数の
周波数におけるインピーダンス測定値に基づいて被測定
物の表面層の電磁気的特性を求め,上記位相角或いは位
相差角に加えて,更に上記表面層の電磁気的特性を考慮
して浸炭深さを求める。これにより,位相角或いは位相
差角と浸炭深さとの関係に影響を与える表面層の電磁気
的特性の変化分を補正することができるため,浸炭深さ
の推定精度は更に向上する。更に,上記第2の特性算出
手段において,所定の低周波域に属する複数の周波数に
おけるインピーダンス測定値に基づいて上記被測定物の
母材層の所定の電磁気的特性を更に求め,上記浸炭深さ
算出手段において,上記第1の特性算出手段で得られた
表面層の所定の電磁気的特性と,上記第2の特性算出手
段で得られた位相角若しくは位相差角と,更に上記被測
定物の母材層の所定の電磁気的特性とに基づいて浸炭深
さを求めるようにすれば,位相角或いは位相差角と浸炭
深さとの関係に影響を与える母材層の電磁気的特性の変
化分をも補正することができるため,浸炭深さの推定精
度は更に向上する。更に,上記第1の特性算出手段にお
いて,複数の周波数におけるインピーダンス測定値に基
づいてリフトオフ値を求め,上記第2の特性算出手段に
おいては,上記所定の低周波域に属する複数の周波数に
おけるインピーダンス測定値を上記リフトオフ値に基づ
いて補正した上で処理を行うようにすれば,リフトオフ
による誤差を排除して更に高精度の浸炭深さ推定が可能
となる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下添付図面を参照して,本発明
の実施の形態及び実施例につき説明し,本発明の理解に
供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を
具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定す
る性格のものではない。本実施の形態に係る浸炭深さ測
定装置A1は,図2に示すように,渦流センサ3と,該
渦流センサ3を制御し,得られたインピーダンス測定値
を出力する渦流測定部2と,上記渦流測定部2に接続さ
れた演算部1とを具備して構成されている。上記渦流セ
ンサ3は,図3に示すように,コの字型のフェライトコ
ア4と,該フェライトコア4の両端部近傍に取付けら
れ,直列に接続された検出コイル5,5と,上記フェラ
イトコア4の中間部に取り付けられた励磁コイル4とで
構成されている。透磁率の高いフェライトコアにコイル
を巻いた構成とすることにより小型のセンサとすること
ができ,コの字型に形成して磁束が被測定物Pとフェラ
イトコアー4とで閉磁路を形成するように構成すること
により,磁束の広がりを抑え,磁束を被測定物の測定面
だけに局在化させることが可能となる。また,上記渦流
測定部2は,上記演算部1からの指令に基づいて上記渦
流センサ3の励磁コイル4の励磁を制御すると共に,検
出コイル5による検出信号に基づいてインピーダンス値
を出力する。また,上記演算部1は,例えばパーソナル
コンピュータなどの計算機で構成され,所定のプログラ
ムを実行させることにより,図1に示す処理を実行する
ように構成されている。上記浸炭深さ測定装置A1の最
も特徴的な部分は上記演算部1による処理手順(図1)
であるが,この処理手順に沿った動作説明を行う前に,
まず上記処理手順を導出するに至った過程や各処理の詳
細について説明する。
【0007】(解析モデルを用いた検討)上記目的を達
成できるような浸炭深さ測定方法を検討するにあたり,
まず,解析モデルを用いた検討を行った。尚,鋼表面に
浸炭が生じた場合,実際には炭素量が表面から内部に向
かって連続的に変化しながら分布するため,透磁率も表
面から内部に向かって連続的に変化分布するが,そのよ
うな連続モデルで解析結果を理解することは困難である
ため,ここでは浸炭層の透磁率を持つ浸炭深さ分の層
(以下,表面層という)が,母材の透磁率の層(以下,
母材層という)の上にあるモデルを仮定した。浸炭処理
を施し,表面部の透磁率が低下すると,概念的には図4
に示すようなインピーダンス変化を生じるはずである。
図4中の半円は,透磁率が一定で深さが無限大の被測定
物に渦流センサを近接させた時のインピーダンス変化を
示している。周波数,比抵抗が増加すると,インピーダ
ンス測定点は半円の周上を原点に向かって変化する。ま
た,被測定物の透磁率が高くなると,半円の半径が大き
くなる。2つの半円の間を結ぶ釣り針状の曲線は,表面
層が存在する場合の表面層の深さが変化した時のインピ
ーダンス測定点の軌跡を示す。浸炭の場合,表面層の透
磁率が低く母材層の透磁率が高いことから,表面層の深
さが零の時には外側の半円上にあり,表面層の深さが無
限大になると内側の半円上にインピーダンス測定点が移
動する。即ち,表面層の深さが変化すると,インピーダ
ンス測定点は釣り針状の軌跡(以下,釣り針状軌跡)を
辿る。図4中の3種類の釣り針状軌跡は,それぞれ周波
数2kHz,500Hz,125Hzのものである。表
面層の深さが同じ場合,低周波ほど,インピーダンス測
定点は釣り針状軌跡の付け根に位置する。図4右には,
3種類の釣り針状軌跡の付け根(母材)が一致するよう
に釣り針状軌跡を平行移動した場合の拡大図と,一定の
表面層厚の場合の点を結んだ直線群を記載している。こ
の釣り針状軌跡の付け根を一致させることは,特性の同
じ2個のセンサの片方を母材上に,片方を試験片上に配
置し,両方のコイルで電気的なブリッジを構成してイン
ピーダンスを測定した時の出力変化に対応している。
【0008】図5,図6に,表面層及び母材層の電磁気
的特性(図5では透磁率,図6では比抵抗)を変化させ
てインピーダンス測定値をシミュレーションした結果を
示す。図では,2kHz,500Hz,125Hzで表
面層の深さを0〜4mmの範囲で変化させ,インピーダ
ンスをシミュレーションによって求め,基準の2層材料
(表面層の透磁率30,比抵抗20μΩ−cm,母材層
の透磁率60,比抵抗20μΩ−cm)の母材のインピ
ーダンスを基準に釣り針状軌跡を平行移動させている。
△が2kHz,■が500Hz,◆が125Hzのイン
ピーダンスを示している。図5,図6より,母材層,表
面層の電磁気的特性が変化すると,釣り針状軌跡の形状
や大きさが変化していることがわかる。
【0009】(位相角と浸炭深さとの関係)ここで,図
5,図6の結果より,基準材料(表面層の透磁率30,
比抵抗20μΩ−cm,母材層の透磁率60,比抵抗2
0μΩ−cm)における2kHzと500Hzの2本の
釣り針状軌跡を抜き出し,それぞれの釣り針状軌跡上の
浸炭深さ0.8mmのインピーダンス点を結んだ線分を
図7(a),(b)に示す。更に,図7(a)について
は表面層の透磁率を25と35に変化させたときの同様
の線分を,図7(b)については母材層の透磁率を50
と70に変化させたときの同様の線分を,それぞれ重ね
て表示している。図7(a),(b)より,表面層や母
材層の透磁率が変化しても,上記線分の方向(以下,位
相角という)の変化は僅かであることが分かる。また,
図示はしないが,表面層や母材層の比抵抗を変化させた
場合も同様の結果となる。また,図7より,表面層の深
さが変化すればそれに伴って上記位相角も変化すること
は明らかである。これらのことから,同一の被測定物に
ついて得られた2つの周波数でのインピーダンス測定値
より位相角を求め,この位相角に基づいて浸炭深さを推
定するようにすれば,表面層や母材層の電磁気的特性の
変化に影響されない浸炭深さの測定が可能であることが
うかがえる。図8に,表面層と母材層の透磁率の組み合
わせの異なる9つの試料についての位相角と浸炭深さと
の関係を示す。同様に,表面層と母材層の比抵抗の組み
合わせの異なる9つの試料についての位相角と浸炭深さ
との関係を図9に示す。図8,図9より,実際に位相角
に基づいて浸炭深さを推定することが可能であることが
分かる。但し,表面層と母材層の電磁気的特性の変化が
僅かながら位相角と浸炭深さとの関係に影響しているこ
とも確かである。
【0010】(位相差角と浸炭深さとの関係)続いて,
図5,図6の結果より,基準材料(表面層の透磁率3
0,比抵抗20μΩ−cm,母材層の透磁率60,比抵
抗20μΩ−cm)における2kHz,500Hz,及
び125Hzの3本の釣り針状軌跡を抜き出し,それぞ
れの釣り針状軌跡上の同一浸炭深さ(0.6mm,及び
1.0mm)のインピーダンス点を順に直線で結んだも
のを図10に示す。図示はしないが,上記3点を結んだ
直線の中心角(以下,位相差角という)についても,表
面層や母材層の電磁気的特性が変化した時の変化は僅か
である。また,表面層の深さが変化すればそれに伴って
上記位相差角も変化する。これらのことから,同一の被
測定物について得られた3つの周波数でのインピーダン
ス測定値より位相差角を求め,この位相差角に基づいて
浸炭深さを推定するようにしても,表面層や母材層の電
磁気的特性の変化に影響されない浸炭深さの測定が可能
であることがうかがえる。図11に,表面層と母材層の
透磁率の組み合わせの異なる9つの試料についての位相
差角と浸炭深さとの関係を示す。同様に,表面層と母材
層の比抵抗の組み合わせの異なる9つの試料についての
位相差角と浸炭深さとの関係を図12に示す。図11,
図12より,実際に位相差角に基づいて浸炭深さを推定
することが可能であることが分かる。但し,表面層と母
材層の電磁気的特性の変化が僅かながら位相差角と浸炭
深さとの関係に影響していることも確かである。
【0011】以上説明したように,位相角,若しくは位
相差角を用いて浸炭深さを推定することが可能であるこ
とが分かった。また,表面層と母材層の電磁気的特性の
変化が僅かながら位相差角と浸炭深さとの関係に影響し
てくることも分かった。また,リフトオフについても浸
炭深さの測定値に大きく影響してくることは確実であ
る。そこで,位相角若しくは位相差角を用い,表面層の
電磁気的特性を考慮したり,或いは更にリフトオフ補正
を行ったり,或いは更に母材層の電磁気的特性を考慮し
たりといった様々なテストを繰り返した結果,「位相角
を用い,表面層及び母材層の電磁気的特性を共に考慮
し,更にリフトオフ補正を行う」ことによって,最も実
測値からのバラツキが少ない高精度の浸炭深さ推定が行
えることが確認できた(上記各種の条件における結果の
比較については実施例の欄で説明する)。
【0012】(測定装置)上述の処理を行うにあたっ
て,表面層の電磁気的特性及びリフトオフに関しては浸
透深さの浅い高周波域のインピーダンス測定値を,位相
角及び母材層の電磁気的特性に関しては浸透深さの深い
低周波域のインピーダンス測定値を,それぞれ用いるこ
ととした。また,使用する渦流センサ3の励磁コイル
は,高周波域としては200kHz,100kHz,及
び50kHz,低周波域としては2kHz,500H
z,125Hzの電流を印加可能に構成した。また,渦
流測定では,リフトオフが,測定されるインピーダンス
に大きな影響を与える。そこで,上記渦流測定部2は,
高周波域と低周波域での測定を同時に行い(厳密には時
間差はある),両方の測定でリフトオフが一定となる条
件でデータを収集できるようにした。また,S/N比の
向上を図るため,各周波数域でそれぞれ500msec
程度の平均化をしてデータを収集するようにした。ま
た,上記渦流センサ3では,1つの検出コイル5で測定
するため,両周波数域でそれぞれ最も感度が良い条件で
測定することができない。そこで,測定器の増幅度を高
くしてインピーダンスを収集する必要があるが,増幅度
を高くすると,電気的なノイズも増加する。しかしなが
ら,渦流測定では,連続波で励磁しているため,ランダ
ムな信号は,同期検波と,同期検波出力の平均化によっ
てかなりの程度減少させることができる。また,本測定
装置A1では,被測定物のインピーダンス測定値だけで
なく,浸炭していない母材のインピーダンスも平均化し
て収集し,被測定物の測定結果と母材の測定結果との差
をとることとした。これにより,本測定装置A1内の増
幅器出力の温度ドリフトによる誤差の低減ができ,更に
精度が向上できた。
【0013】(表面層の電磁気的特性及びリフトオフの
測定)SCM20が2種類,SCR20が1種類の計3
種類の試験片を用いて,高周波域の3つの周波数でイン
ピーダンスを測定した結果を図13に示す。◆,■がS
CM20,△がSCR20のインピーダンスを示してい
る。3つの周波数でのインピーダンスは,それぞれ直線
で回帰できることがわかる(試料の種類が異なると回帰
直線は多少異なる)。図に表示した3本の回帰直線の方
向は,透磁率の変化方向に対応する。原点に近いほど,
透磁率が高いことを示す。また,比抵抗が変化すると,
透磁率の変化方向と直交する方向のインピーダンス変化
が生じる。また,図中には,リフトオフが変化したとき
のインピーダンスの変化方向を矢印で表示している。リ
フトオフが変化すると,透磁率の変化方向と異なる方向
(周波数で決まる)にインピーダンスが変化する。この
ように,同じリフトオフで,同じ電磁気的特性の材料を
3種の周波数で測定しているにも関わらず,周波数によ
ってリフトオフ,電磁気的特性の変化方向が異なってい
るため,これを利用すれば,未知数であるリフトオフ,
電磁気的特性を推定することが可能である。以下,その
具体的方法について説明する。図14に,高周波域の3
つの周波数によるインピーダンス測定値を用いてリフト
オフと電磁気的特性を抽出する方法の模式図を示す。図
14においては,基準試験片を決め,その試験片の各周
波数でのインピーダンス測定値を基準点としている。ま
た,各周波数における透磁率,比抵抗,リフトオフの変
化方向が一義的に決まることを利用し,先ず,100k
Hzの基準点から,上記の所定の変化方向に従って,透
磁率,比抵抗,リフトオフの変化量を仮定する。この
時,100kHzでの透磁率,比抵抗の変化量μ,ρに
対して,200kHz,50kHzのインピーダンス変
化はそれぞれ√2μ,√2ρ,及びμ/√2,ρ/√2
になることを利用する。リフトオフに関しては,全ての
周波数で一定条件であることを利用している。図14に
示したモデルを用いれば,被測定物について高周波域の
3つの周波数におけるインピーダンス測定値(X出力及
びY出力)の計6個の値から,最小自乗法等を用いて透
磁率,比抵抗,リフトオフの3種の値を算出することが
可能である。尚,測定値が6つあるため,上記透磁率,
比抵抗,及びリフトオフ以外の未知数,例えば温度等に
ついても同様の考え方で同時に求めることが可能であ
る。
【0014】(母材層の電磁気的特性の測定)母材層の
電磁気的特性については,低周波域でのインピーダンス
測定値を用いて得られる次のような因子を用いることと
した。まず,図15に示すように,125Hzで各種の
試験片を用いて測定したインピーダンス測定値を回帰し
て基準線を求めておき,被測定物の125Hzでの測定
点と上記基準線との距離を求め,これを比抵抗因子とし
た。また,図16に示すように,被測定物における12
5Hzと500Hzでの測定点間の位相ベクトルのX軸
からの角度と,原点から125Hz測定点までの長さの
積を求め,これを透磁率因子とした。これは,母材層の
透磁率が変化すると,釣り針状軌跡が回転し,また釣り
針状軌跡の始点の原点からの距離が変化することを利用
している。ここで,上記位相ベクトルは浸炭深さが深く
なると小さくなる因子であり,一方,上記原点から測定
点までの長さは浸炭深さが深くなると大きくなる因子で
あることから,浸炭深さに影響されない因子とするため
に両者の積を透磁率因子とした。
【0015】(位相角の算出)前述のように,位相角,
位相差角のいずれを用いても浸炭深さの推定が可能であ
ることが分かっているが,より高精度な推定を行うため
には,リフトオフによる依存性が少ない方を用いること
が望ましい。図17は,ある試験片における2kHz−
500Hzの位相角,500Hz−125Hzの位相
角,2kHz−500Hz−125Hzの位相差角と,
リフトオフとの関係を示したものである。この結果に基
づいて,リフトオフ依存性の最も小さい2kHz−50
0Hzの位相角を用いることとした。
【0016】(リフトオフ補正)高周波域のデータに基
づいてリフトオフを測定する方法については上述した。
上述した母材層の電磁気的特性と位相角の算出に用いる
低周波域でのインピーダンス値としては,上記リフトオ
フに基づいて補正された値を用いる。具体的には,渦流
センサを所定のリフトオフ変化(例えば0.1mm)で
所定の出力変化(例えば5V)が生じるように設定して
おき,低周波域でのインピーダンス測定値を上記リフト
オフ測定値と設定値との差に基づいて補正すればよい。
【0017】(浸炭深さの算出)以上のようにして求め
られた位相角(θ),表面層の比抵抗(ρ),母材の比
抵抗因子(ρ′)及び母材の透磁率因子(μ′)を用い
て,浸炭深さ(t)が次式で表されると仮定した。 t = aθ + bρ + cρ′ + dμ′ + e …(1) ここで,a,b,c,d,eは定数 上記a〜eの各定数は,多数の試験片を用いて予め決定
しておく。尚,表面層の透磁率については結果的に浸炭
深さへの影響がほとんど見られなかったため,本実施の
形態では考慮していないが,もちろん同様に考慮するこ
とも可能である。
【0018】以上説明した処理方法を踏まえつつ,本実
施の形態に係る浸炭深さ測定装置A1による実際の処理
手順を,図1に示すフローチャートに従って説明する。 (ステップS1)まず,渦流測定部2により,渦流セン
サ3を用いて,被測定物に対して高周波域3種(200
kHz,100kHz,及び50kHz),低周波域3
種(2kHz,500Hz,及び125Hz)の計6つ
の周波数におけるインピーダンス測定を行う。 (ステップS2)続いて,演算部1において,上記ステ
ップS1で得られた高周波域でのインピーダンス測定値
に基づいて,前述の方法により表面層の比抵抗,及びリ
フトオフを算出する。 (ステップS3)上記ステップS2で算出したリフトオ
フに基づいて,上記ステップS1で得られた低周波域で
のインピーダンス測定値を補正する。 (ステップS4)ステップS3で補正された低周波域で
のインピーダンス測定値を用いて,前述の方法により2
kHz−500Hzの位相角,及び母材層の比抵抗因子
と透磁率因子を算出する。 (ステップS5)上記ステップS2で得られた表面層の
比抵抗,上記ステップS4で得られた2kHz−500
Hzの位相角と母材層の比抵抗因子及び透磁率因子に基
づいて,予め係数が決定された上記(1)式により浸炭
深さを算出する。
【0019】以上のような方法で得られた浸炭深さの評
価結果(推定値と実測値との関係)を図18に示す。図
中の実線は,全ての被測定物について回帰した結果であ
る。±2σの幅(2本の破線間の幅)は0.277であ
り,バラツキが小さく,高精度に推定できていることが
分かる。また,7個の試験片に対して5回づつ上記方法
で浸炭深さの推定を行い,実測値との関係を示したのが
図19である。推定値のバラツキが小さく,再現性につ
いても良好であるといえる。
【0020】以上説明したように,本実施の形態に係る
浸炭深さ測定装置A1では,渦流センサによって2つの
周波数で得られた2つのインピーダンス測定値を通る直
線の方向である位相角を求め,該位相角に基づいて浸炭
深さを求めるようにしたため,電磁気的特性の変化に影
響されない正確な測定が可能となった。更に,表面層の
電磁気的特性,母材層の電磁気的特性を考慮してそれら
の変化による誤差を除去し,更にリフトオフ補正を行っ
てリフトオフによる誤差を除去しているため,様々な誤
差要因が存在する渦流センサによる浸炭深さ測定を極め
て高精度に行うことが可能となった。
【0021】
【実施例】上記実施の形態では,様々な方法でテストを
繰り返した結果として,最も高精度な測定結果が得られ
た構成を示した。また,結果に殆ど影響しなかった因子
(例えば表面層の透磁率など)については考慮から外し
ている。しかしながら,多少の精度低下を容認できるの
であれば,考慮する項目を更に絞り込むことも可能であ
る。以下,参考までに,上記実施の形態の処理手順から
考慮項目を外した場合の浸炭深さの推定結果を示してお
く。図20に,リフトオフ補正を行わず,また母材層及
び表面層の電磁気的特性も考慮せず,位相角のみに基づ
いて浸炭深さを推定した結果を示す。更に,同様の条件
で,上記位相角に代えて位相差角を用いて浸炭深さを推
定した結果を図21に示す。また,図22に,リフトオ
フ補正のみを行い,母材層及び表面層の電磁気的特性は
考慮せず,位相角に基づいて浸炭深さを推定した結果を
示す。更に,同様の条件で,上記位相角に代えて位相差
角を用いて浸炭深さを推定した結果を図23に示す。更
に,上記実施の形態の処理手順から母材層の電磁気的特
性のみを考慮から外し,上記位相角に代えて位相差角を
用いて浸炭深さを推定した結果を図24に示す。それぞ
れ,上記実施の形態による結果(図18)には劣るが,
ある程度の精度は得られている。また,位相角に代えて
位相差角を用いると多少精度が低下していることも分か
る。また,上記実施の形態の処理手順からリフトオフ補
正のみを考慮から外し,図19と同様に再現性を評価し
た結果を図25に示す。リフトオフ補正をしていないた
め,図19と比較すると個々の被測定物での推定値の位
置と浸炭深さ推定の標準偏差とが劣化していることが分
かる。
【0022】尚,上記の例では,平面部の測定について
のみ記載したが,もちろん同様に円筒部の浸炭深さの測
定に応用することも可能である。この場合には,円筒部
の内面側の測定には内挿型の円形コイルを,円筒部の外
面側の測定には外挿型の円形コイルを用いればよい。
尚,その場合,リフトオフは被測定物の外半径,内半径
の製作誤差によって生じるクリアランスの大きさに相当
する。ここで,上記外挿型の円形測定コイルの一例を図
26に示す。リング状のコア材11の内側にコイル12
が巻かれた構成となっている。尚,同図に示す測定コイ
ルでは,上記コイル12は励磁コイルと検出コイルを兼
用したものとなっているが,もちろん両者を別々に具備
するような構成としてもよい。また,上記外挿型の円形
測定コイルを用いた実際の渦流センサの一例を図27に
示す。同図に示す渦流センサは,被測定物31にセット
される測定コイル21と参照試験片32にセットされる
参照コイル22とで構成されており,両者は図示しない
ブリッジ回路にて接続されている。以上のような浸炭深
さ測定装置も本発明の一例である。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように,第1の本発明は,
鋼表面の浸炭深さを,渦流センサによる所定の周波数に
おけるインピーダンス測定値に基づいて測定する浸炭深
さ測定装置において,被測定物について,上記渦流セン
サにより複数の周波数におけるインピーダンス値を測定
し,得られた複数のインピーダンス測定値に基づいて上
記被測定物の浸炭深さを測定してなることを特徴とする
浸炭深さ測定装置として構成されているため,1つのイ
ンピーダンス測定値に基づいて浸炭深さを推定する場合
と比較して被測定物の電磁気的特性の変化の影響を受け
にくく,浸炭深さ推定の精度向上が期待できる。ここ
で,複数のインピーダンス測定値に基づく測定の具体例
としては,被測定物について2つの周波数におけるイン
ピーダンス値を測定し,得られた2つのインピーダンス
測定値を通る直線の方向である位相角を求め,該位相角
と予め求められた位相角−浸炭深さの関係とに基づいて
浸炭深さを求めることが考えられる。また,被測定物に
ついて3つの周波数におけるインピーダンス値を測定
し,得られた3つのインピーダンス測定値を順に直線で
結んだ時の中心角である位相差角を求め,該位相差角と
予め求められた位相差角−浸炭深さの関係とに基づいて
浸炭深さを求めるようにしてもよい。図8,図9,図1
1,図12に示すように,上記位相角や位相差角と浸炭
深さとの関係は,被測定物の表面層や母材層の電磁気的
特性の変化に影響されにくいため,上記位相角や位相差
角に基づいて浸炭深さを推定するようにすれば,表面層
や母材層の電磁気的特性の変化に影響されない浸炭深さ
の測定が可能となる。ここで,更に所定の高周波域に属
する複数の周波数におけるインピーダンス測定値に基づ
いてリフトオフ値を求め,得られたリフトオフ値に基づ
いて補正されたインピーダンス測定値を用いて上記位相
角や位相差角を求めるようにすれば,リフトオフによる
誤差を排除してより高精度の浸炭深さ推定が可能とな
る。
【0024】また,第2の発明は,鋼表面の浸炭深さ
を,渦流センサによる所定の周波数におけるインピーダ
ンス測定値に基づいて測定する浸炭深さ測定装置におい
て,所定の高周波域に属する複数の周波数におけるイン
ピーダンス測定値に基づいて,上記被測定物の表面層の
所定の電磁気的特性を算出する第1の特性算出手段と,
所定の低周波域に属する複数の周波数におけるインピー
ダンス測定値に基づいて,所定の2つのインピーダンス
測定値を通る直線の方向である位相角,若しくは所定の
3つのインピーダンス測定値を順に直線で結んだ時の中
心角である位相差角を求める第2の特性算出手段と,上
記第1の特性算出手段で得られた表面層の電磁気的特性
と,上記第2の特性算出手段で得られた位相角若しくは
位相差角とに基づいて浸炭深さを求める浸炭深さ算出手
段とを具備してなることを特徴とする浸炭深さ測定装置
として構成されているため,位相角或いは位相差角と浸
炭深さとの関係に影響を与える表面層の電磁気的特性の
変化分を補正することができるため,上記第1の発明に
比べて浸炭深さの推定精度は更に向上する。更に,上記
第2の特性算出手段において,所定の低周波域に属する
複数の周波数におけるインピーダンス測定値に基づいて
上記被測定物の母材層の所定の電磁気的特性を更に求
め,上記浸炭深さ算出手段において,上記第1の特性算
出手段で得られた表面層の所定の電磁気的特性と,上記
第2の特性算出手段で得られた位相角若しくは位相差角
と,更に上記被測定物の母材層の所定の電磁気的特性と
に基づいて浸炭深さを求めるようにすれば,位相角或い
は位相差角と浸炭深さとの関係に影響を与える母材層の
電磁気的特性の変化分をも補正することができるため,
浸炭深さの推定精度は更に向上する。更に,上記第1の
特性算出手段において,複数の周波数におけるインピー
ダンス測定値に基づいてリフトオフ値を求め,上記第2
の特性算出手段においては,上記所定の低周波域に属す
る複数の周波数におけるインピーダンス測定値を上記リ
フトオフ値に基づいて補正した上で処理を行うようにす
れば,リフトオフによる誤差を排除して更に高精度の浸
炭深さ推定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る浸炭深さ測定装置
A1による処理手順を示すフローチャート。
【図2】 上記浸炭深さ測定装置A1の概略構成を示す
ブロック図。
【図3】 上記浸炭深さ測定装置A1を構成する渦流セ
ンサ3の概略外観図。
【図4】 浸炭測定におけるインピーダンス変化の概念
図。
【図5】 浸炭深さが異なる多数の被測定物を3つの周
波数によってインピーダンス測定した結果(被測定物の
表面層及び母材層の透磁率をそれぞれ変化させた9ケー
ス分)を示す図。
【図6】 浸炭深さが異なる多数の被測定物を3つの周
波数によってインピーダンス測定した結果(被測定物の
表面層及び母材層の比抵抗をそれぞれ変化させた9ケー
ス分)を示す図。
【図7】 位相角の説明図。
【図8】 表面層と母材層の透磁率の組み合わせの異な
る9つの試料についての位相角と浸炭深さとの関係を示
す図。
【図9】 表面層と母材層の比抵抗の組み合わせの異な
る9つの試料についての位相角と浸炭深さとの関係を示
す図。
【図10】 位相差角の説明図。
【図11】 表面層と母材層の透磁率の組み合わせの異
なる9つの試料についての位相差角と浸炭深さとの関係
を示す図。
【図12】 表面層と母材層の比抵抗の組み合わせの異
なる9つの試料についての位相差角と浸炭深さとの関係
を示す図。
【図13】 3種類の試験片(SCM20が2種類,S
CR20が1種類)を用いて高周波域の3つの周波数で
インピーダンスを測定した結果を示す図。
【図14】 高周波域の3つの周波数によるインピーダ
ンス測定値を用いてリフトオフと電磁気的特性を抽出す
る方法の模式図。
【図15】 母材層の比抵抗因子の説明図。
【図16】 母材層の透磁率因子の説明図。
【図17】 ある試験片における2kHz−500Hz
の位相角,500Hz−125Hzの位相角,2kHz
−500Hz−125Hzの位相差角と,リフトオフと
の関係を示す図。
【図18】 上記浸炭深さ測定装置A1による浸炭深さ
の評価結果(推定値と実測値との関係)を示す図。
【図19】 上記浸炭深さ測定装置A1により7個の試
験片に対して5回づつ浸炭深さの推定を行って得られた
推定値と実測値との関係を示す図。
【図20】 リフトオフ補正を行わず,また母材層及び
表面層の電磁気的特性も考慮せず,位相角のみに基づい
て浸炭深さを推定した結果を示す図。
【図21】 図20と同様の条件で位相角に代えて位相
差角を用いて浸炭深さを推定した結果を示す図。
【図22】 リフトオフ補正のみを行い,母材層及び表
面層の電磁気的特性は考慮せず,位相角に基づいて浸炭
深さを推定した結果を示す図。
【図23】 図22と同様の条件で位相角に代えて位相
差角を用いて浸炭深さを推定した結果を示す図。
【図24】 図1に示す処理手順から母材層の電磁気的
特性のみを考慮から外し,位相角に代えて位相差角を用
いて浸炭深さを推定した結果を示す図。
【図25】 図1に示す処理手順からリフトオフ補正の
みを考慮から外し,図19と同様,7個の試験片に対し
て5回づつ浸炭深さの推定を行って得られた推定値と実
測値との関係を示す図。
【図26】 外挿型の円形測定コイルの一例を示す断面
図(a)及び正面図(b)。
【図27】 外挿型の円形測定コイルを用いた渦流セン
サの一例を示す外観斜視図。
【符号の説明】
1…演算部 2…渦流測定部 3…渦流センサ 4…励磁コイル 5…検出コイル 6…フェライトコア P…被測定物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 文友 愛知県渥美郡田原町緑が浜2号2番地 ア イシン・エィ・ダブリュ精密株式会社内 (72)発明者 石田 憲治 愛知県渥美郡田原町緑が浜2号2番地 ア イシン・エィ・ダブリュ精密株式会社内 (72)発明者 山内 鉱三 愛知県渥美郡田原町緑が浜2号2番地 ア イシン・エィ・ダブリュ精密株式会社内 Fターム(参考) 2F063 AA15 AA16 AA50 BB02 BB03 BC02 BC05 BD13 CA08 CB20 DA01 DB01 DB04 DB05 DD02 GA08 GA29 GA42 LA01 LA18 2G053 AA24 AB21 BC02 BC07 BC14 CA03 CB10 CB25 DA01 DA06 2G055 AA03 BA20 CA22 EA07 EA08 FA03

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼表面の浸炭深さを,渦流センサによる
    所定の周波数におけるインピーダンス測定値に基づいて
    測定する浸炭深さ測定装置において,被測定物につい
    て,上記渦流センサにより複数の周波数におけるインピ
    ーダンス値を測定し,得られた複数のインピーダンス測
    定値に基づいて上記被測定物の浸炭深さを測定してなる
    ことを特徴とする浸炭深さ測定装置。
  2. 【請求項2】 被測定物について2つの周波数における
    インピーダンス値を測定し,得られた2つのインピーダ
    ンス測定値を通る直線の方向である位相角を求め,該位
    相角と予め求められた位相角−浸炭深さの関係とに基づ
    いて浸炭深さを求めてなる請求項1記載の浸炭深さ測定
    装置。
  3. 【請求項3】 所定の高周波域に属する複数の周波数に
    おけるインピーダンス測定値に基づいてリフトオフ値を
    求め,上記リフトオフ値に基づいて補正されたインピー
    ダンス測定値を用いて上記位相角を求めてなる請求項2
    記載の浸炭深さ測定装置。
  4. 【請求項4】 被測定物について3つの周波数における
    インピーダンス値を測定し,得られた3つのインピーダ
    ンス測定値を順に直線で結んだ時の中心角である位相差
    角を求め,該位相差角と予め求められた位相差角−浸炭
    深さの関係とに基づいて浸炭深さを求めてなる請求項1
    記載の浸炭深さ測定装置。
  5. 【請求項5】 所定の高周波域に属する複数の周波数に
    おけるインピーダンス測定値に基づいてリフトオフ値を
    求め,上記リフトオフ値に基づいて補正されたインピー
    ダンス測定値を用いて上記位相差角を求めてなる請求項
    4記載の浸炭深さ測定装置。
  6. 【請求項6】 鋼表面の浸炭深さを,渦流センサによる
    所定の周波数におけるインピーダンス測定値に基づいて
    測定する浸炭深さ測定装置において,所定の高周波域に
    属する複数の周波数におけるインピーダンス測定値に基
    づいて,上記被測定物の表面層の所定の電磁気的特性を
    算出する第1の特性算出手段と,所定の低周波域に属す
    る複数の周波数におけるインピーダンス測定値に基づい
    て,所定の2つのインピーダンス測定値を通る直線の方
    向である位相角,若しくは所定の3つのインピーダンス
    測定値を順に直線で結んだ時の中心角である位相差角を
    求める第2の特性算出手段と,上記第1の特性算出手段
    で得られた表面層の電磁気的特性と,上記第2の特性算
    出手段で得られた位相角若しくは位相差角とに基づいて
    浸炭深さを求める浸炭深さ算出手段とを具備してなるこ
    とを特徴とする浸炭深さ測定装置。
  7. 【請求項7】 上記第2の特性算出手段において,所定
    の低周波域に属する複数の周波数におけるインピーダン
    ス測定値に基づいて上記被測定物の母材層の所定の電磁
    気的特性を更に求め,上記浸炭深さ算出手段において,
    上記第1の特性算出手段で得られた表面層の所定の電磁
    気的特性と,上記第2の特性算出手段で得られた位相角
    若しくは位相差角と,更に上記被測定物の母材層の所定
    の電磁気的特性とに基づいて浸炭深さを求める請求項6
    記載の浸炭深さ測定装置。
  8. 【請求項8】 上記第1の特性算出手段において,複数
    の周波数におけるインピーダンス測定値に基づいて更に
    リフトオフ値を求め,上記第2の特性算出手段において
    は,上記所定の低周波域に属する複数の周波数における
    インピーダンス測定値を上記リフトオフ値に基づいて補
    正した上で処理を行う請求項6又は7記載の浸炭深さ測
    定装置。
  9. 【請求項9】 上記表面層の所定の電磁気的特性が比抵
    抗を含む請求項6〜8のいずれかに記載の浸炭深さ測定
    装置。
  10. 【請求項10】 上記母材層の所定の電磁気的特性が比
    抵抗に関する因子を含む請求項6〜9のいずれかに記載
    の浸炭深さ測定装置。
  11. 【請求項11】 上記母材層の所定の電磁気的特性が透
    磁率に関する因子を含む請求項6〜10のいずれかに記
    載の浸炭深さ測定装置。
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